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  • 特開-改修方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139263
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】改修方法
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20241002BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
E04H1/02
E04B1/76 400B
E04B1/76 500K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050128
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】303046244
【氏名又は名称】旭化成ホームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(72)【発明者】
【氏名】野村 精男
【テーマコード(参考)】
2E001
2E025
【Fターム(参考)】
2E001DD01
2E001EA06
2E001EA09
2E001FA03
2E001FA11
2E001FA14
2E001HF11
2E025AA13
2E025AA14
2E025AA15
2E025AA22
2E025AA23
(57)【要約】
【課題】住宅の部分的な断熱改修を異なるタイミングで効率的に実行可能とする、住宅の改修方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る改修方法は、住宅の改修方法であって、前記住宅の屋内空間から、浴室及び洗面室からなる第1区画領域、リビングダイニングキッチンからなる第2区画領域、及び、寝室からなる第3区画領域、を特定し、前記第1区画領域、前記第2区画領域及び前記第3区画領域の少なくとも1つの区画領域を断熱改修する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の改修方法であって、
前記住宅の屋内空間から、浴室及び洗面室からなる第1区画領域、リビングダイニングキッチンからなる第2区画領域、及び、寝室からなる第3区画領域、を特定し、前記第1区画領域、前記第2区画領域及び前記第3区画領域の少なくとも1つの区画領域を断熱改修する、改修方法。
【請求項2】
前記住宅は、
玄関と、
前記玄関と接続されていると共に、前記第1区画領域、前記第2区画領域及び前記第3区画領域の少なくとも1つと接続されている廊下と、を備え、
前記玄関と前記廊下とを、開閉可能な戸で区画する、請求項1に記載の改修方法。
【請求項3】
前記住宅は、前記第1区画領域と前記第2区画領域とを接続する接続廊下を備え、
前記第2区画領域の断熱改修では、前記第2区画領域及び前記接続廊下を一体の第4区画領域として、前記第4区画領域を区画する区画体を断熱改修する、請求項1又は2に記載の改修方法。
【請求項4】
前記第1区画領域、前記第2区画領域及び前記第3区画領域が同一階に無い場合には、前記第1区画領域、前記第2区画領域及び前記第3区画領域の少なくとも1つの区画領域を移動し、前記第1区画領域、前記第2区画領域及び前記第3区画領域を同一階に配置する改修を行うと共に、前記第1区画領域、前記第2区画領域及び前記第3区画領域のうち改修によって移動した前記少なくとも1つの区画領域を断熱改修する、請求項1又は2に記載の改修方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は改修方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、既存の住宅の断熱性能を向上させるために実行される断熱改修が知られている。既存の住宅の断熱改修では、一般的に、住宅全体に及ぶ大掛かりな改修工事が必要となる。
【0003】
これに対して、特許文献1には、1階トイレ、洗面室及び浴室から構成される非居室群を区画する外壁を断熱改修する改修方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-155960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
住宅の断熱改修としては、上述のように住宅全体に及ぶ大掛かりな改修工事となる場合もあれば、特許文献1のように住宅の一部のみの改修工事になる場合もある。但し、断熱改修として、住宅の一部のみを断熱改修する場合であっても、例えば、居住者の年齢の変化、ライフステージの変化に伴う居住者数の変動、設備の老朽化等に合わせて、将来的に住宅の別の一部を更に断熱改修する必要が生じる場合もある。そのため、直近では住宅の一部のみを断熱改修する場合であっても、将来的な追加の断熱改修を予め考慮した改修方法を検討しておくことが好ましい。
【0006】
本発明は、住宅の部分的な断熱改修を異なるタイミングで効率的に実行可能とする、住宅の改修方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る改修方法は、
(1)
住宅の改修方法であって、
前記住宅の屋内空間から、浴室及び洗面室からなる第1区画領域、リビングダイニングキッチンからなる第2区画領域、及び、寝室からなる第3区画領域、を特定し、前記第1区画領域、前記第2区画領域及び前記第3区画領域の少なくとも1つの区画領域を断熱改修する、改修方法、である。
【0008】
本発明の1つの実施形態としての改修方法は、
(2)
前記住宅は、
玄関と、
前記玄関と接続されていると共に、前記第1区画領域、前記第2区画領域及び前記第3区画領域の少なくとも1つと接続されている廊下と、を備え、
前記玄関と前記廊下とを、開閉可能な戸で区画する、上記(1)に記載の改修方法、である。
【0009】
本発明の1つの実施形態としての改修方法は、
(3)
前記住宅は、前記第1区画領域と前記第2区画領域とを接続する接続廊下を備え、
前記第2区画領域の断熱改修では、前記第2区画領域及び前記接続廊下を一体の第4区画領域として、前記第4区画領域を区画する区画体を断熱改修する、上記(1)又は(2)に記載の改修方法、である。
【0010】
本発明の1つの実施形態としての改修方法は、
(4)
前記第1区画領域、前記第2区画領域及び前記第3区画領域が同一階に無い場合には、前記第1区画領域、前記第2区画領域及び前記第3区画領域の少なくとも1つの区画領域を移動し、前記第1区画領域、前記第2区画領域及び前記第3区画領域を同一階に配置する改修を行うと共に、前記第1区画領域、前記第2区画領域及び前記第3区画領域のうち改修によって移動した前記少なくとも1つの区画領域を断熱改修する、上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の改修方法、である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、住宅の部分的な断熱改修を異なるタイミングで効率的に実行可能とする、住宅の改修方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態としての改修方法により改修を行う前の住宅の1階平面図である。
図2図1に示す住宅の2階平面図である。
図3】本発明の一実施形態としての改修方法により改修を行った後の住宅の1階平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る住宅の改修方法の実施形態について図面を参照して例示説明する。各図において共通する構成には同一の符号を付している。
【0014】
図1は、改修前の住宅100の1階平面図である。図2は、改修前の住宅100の2階平面図である。図3は、改修後の住宅100の1階平面図である。以下、説明の便宜上、改修前の住宅100を「住宅100A」と記載し、改修後の住宅100を「住宅100B」と記載する。また、住宅100を改修前後で特に区別しない場合は、単に「住宅100」と記載する。まず、住宅100の概略について説明する。
【0015】
住宅100は、例えば鉄骨造の軸組みを有する戸建て住宅としてよい。本実施形態の住宅100は2階建てであるが、住宅100の階層数は特に限定されない。住宅100は、3階層以上を有する構成であってもよく、1階層のみを有する構成であってもよい。
【0016】
本実施形態の住宅100は、鉄筋コンクリート造の基礎と、柱や梁などの軸組部材で構成された軸組架構を有し、基礎に固定された上部構造体と、で構成される。本実施形態の上部構造体は、鉄骨造の軸組架構を有するが、例えば、木造の軸組みを有してもよく、その構造は特に限定されない。また、本実施形態の住宅100の軸組架構を構成する軸組部材は、予め規格化(標準化)されたものであり、予め工場にて製造されたのち建築現場に搬入されて組み立てられる。
【0017】
具体的に、本実施形態の住宅100の上部構造体の軸組架構の外周部には、外壁を構成する外装材等が配置される。また、軸組架構の層間部には、床部を構成する床スラブ材等が配置される。更に、軸組架構の上部には、陸屋根を構成する屋根床スラブ材等が配置される。
【0018】
本実施形態の住宅100の外壁は、例えば、外面側に防水層としての塗膜が形成された軽量気泡コンクリート(ALC)からなるパネル状の外装材が連接されて構成された外部仕上げ層を備える。また、本実施形態の住宅100の外壁は、例えば、石膏ボートと石膏ボード表面に貼設された壁クロス等の仕上げ材とで構成された内部仕上げ層を備える。更に、本実施形態の住宅100の外壁は、外部仕上げ層と内部仕上げ層との間に、例えばグラスウール、ロックウール、発泡樹脂系パネルなどの断熱材を備えてもよい。但し、住宅100の外壁は、この構成に限定されない。
【0019】
本実施形態の住宅100の床部は、床スラブ材を含む。床スラブ材は、軸組架構の梁間に架設され、梁により直接的又は間接的に支持される。床スラブ材としては、例えば、ALCパネルを用いることできるが、折板、押出成形セメント板、木質パネル材などの別の部材を用いてもよい。床部は、床スラブ材に加えて、例えば、床スラブ材に対して直接的又は間接的に取り付けられる、下階の天井面を構成する天井内装材や、床スラブ材上に積層された、上階の床面を構成するフローリング等の床内装材などを含む構成であってもよい。
【0020】
なお、陸屋根を構成する屋根床スラブ材についても、ALCパネルを用いることができるが、ALCパネルに限られるものではない。また、屋根床スラブ材は、例えば塩化ビニル樹脂から形成されている防水シート等により覆われることにより、防水処理が施されている。また、住宅の屋根は、陸屋根に限らず、スレート等の屋根外装材を用いた勾配屋根としてもよい。
【0021】
次に、図1図2を参照して、本実施形態の改修前の住宅100Aの間取りについて説明する。
【0022】
図1に示すように、住宅100Aの1階は、玄関11、1階廊下12、1階トイレ13、洗面室14、浴室15、リビングダイニングキッチン16、第1個室17、及び、客室18を備える。
【0023】
図2に示すように、住宅100Aの2階は、2階廊下31、2階トイレ32、収納室33、バルコニー34、寝室35、第2個室36、及び、第3個室37を備える。
【0024】
図1図2に示すように、住宅100Aの1階及び2階は、階段室41の階段41aにより連結されており、階段41aを利用して行き来可能である。図1に示すように、階段室41の階段41aの下方には物入スペース41bが設けられている。また、図1に示すように、住宅100Aの1階には、1階廊下12に面する位置に、他の物入スペース42、43が設けられていてもよい。
【0025】
以下、本発明に係る住宅の改修方法の一実施形態としての住宅100Aの改修方法について例示説明する。
【0026】
まず、図1図2に示すように、住宅100Aの屋内空間から、浴室15及び洗面室14からなる第1区画領域Z1、リビングダイニングキッチン16からなる第2区画領域Z2、及び、寝室35からなる第3区画領域Z3、を特定する。これら第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3は、住宅100A内において特に断熱性能の向上が求められる領域である。このように、まず、住宅100Aにおいて断熱改修すべき領域を、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3として特定する。
【0027】
その後、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3の少なくとも1つの区画領域を断熱改修する。つまり、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3を予め特定した後は、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3を同時に断熱改修してもよく、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3を異なるタイミングで順次断熱改修してもよい。更に、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3のいずれか1つ又は2つのみを、同時又は異なるタイミングで順次に、断熱改修してもよい。このように、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3を予め特定しておくことが肝要である。これにより、住宅100Aの断熱改修を、居住者の年齢、居住者数の変動、設備の老朽化等に合わせて、異なるタイミングで部分的に順次行う場合であっても、効率的に行うことができる。例えば、第1区画領域Z1の断熱改修は、老朽化したタイミングで行われることが多い。その一方で、第2区画領域Z2の断熱改修は、家族構成の変化に伴い居住者数が変動したタイミングで行われることが多い。また、第3区画領域Z3は、新築時のままとされて断熱改修されない場合が多く、例えば間取り変更を伴う改修によって寝室を新たに設けるタイミングがある場合に、それに合わせて断熱改修されることが多い。このように、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3の断熱改修が必要となるタイミングは、一致しない場合が多い。そのため、上述のように、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3を予め特定しておくことにより、所望のタイミングに合わせて効率的に順次、断熱改修を進めることができる。
【0028】
なお、本実施形態の住宅100Aでは、第1区画領域Z1及び第2区画領域Z2が、1階に配置され、第3区画領域Z3が、2階に配置されている。このように、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3が同一階に無い場合に、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3を同一階に配置する改修を行うことなく、そのまま各区画領域Z1~Z3を断熱改修してもよい。但し、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3が同一階に無い場合には、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3を同一階に配置する改修を行うと共に、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3のうち上記改修の際に移動する少なくとも1つの区画領域を断熱改修することが好ましい。本実施形態の改修方法では、一例として、2階にある寝室35からなる第3区画領域Z3を1階に移動させ、1階にある寝室20からなる第3区画領域Z3とすることで、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3を同一階に配置している。
【0029】
第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3を同一階に配置することで、洗面室14及び浴室15からなる第1区画領域Z1と、リビングダイニングキッチン16からなる第2区画領域Z2と、寝室20からなる第3区画領域Z3とを、階段41aを使わずに行き来することができる。そのため、例えば高齢の居住者等にとって生活し易い間取りを実現できる。そして、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3のうち上記改修により移動した少なくとも1つの区画領域(本実施形態では第3区画領域Z3)の断熱改修を、この改修のタイミングに合わせて実行する。このようにすれば、間取り変更の改修と、断熱改修と、を同じタイミングで実行でき、効率的な断熱改修を行うことができる。
【0030】
なお、本実施形態では、第3区画領域Z3を移動させる改修を例示説明しているが、これに限られない。つまり、第1区画領域Z1及び第2区画領域Z2を移動させる改修であってもよい。
【0031】
図3に示すように、改修後の住宅100Bの1階には、上述した改修により、寝室20が設けられている。寝室20は、改修前の住宅100Aの第1個室17及び客室18の位置に設けられている。改修後の住宅100Bの1階のその他の間取りは、改修前の住宅100Aの1階の間取りと同様である。なお、改修後の住宅100Bの2階の間取りについては改修前の住宅100Aと同様であるため、図示を省略している。また、図3では、改修により同一階に配置された、1階の第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3を示している。本実施形態に示す改修方法では、1階の第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3のうち少なくとも1つの区画領域が断熱改修される。なお、上述したように、本実施形態の改修方法では、第3区画領域Z3を2階から1階に移動する改修を伴うため、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3のうち断熱改修される少なくとも1つの区画領域は、第3区画領域Z3を含むことが好ましいが、第3区画領域Z3を含むことは必須ではない。
【0032】
例えば、第1区画領域Z1の断熱改修は、第1区画領域Z1を区画する壁、床、天井からなる区画体X1の断熱性を向上させる。断熱改修の方法としては、例えば、区画体X1の内部に断熱材を追加すること、区画体X1の形成材料を断熱性の高い材料に変更すること等、が挙げられる。
【0033】
第2区画領域Z2の断熱改修、及び、第3区画領域Z3の断熱改修についても同様である。第2区画領域Z2の断熱改修は、第2区画領域Z2を区画する壁、床、天井からなる区画体X2の断熱性を向上させる。第3区画領域Z3の断熱改修は、第3区画領域Z3を区画する壁、床、天井からなる区画体X3の断熱性を向上させる。
【0034】
図1図3に示す住宅100では、1階に、玄関11と、1階廊下12と、が設けられている。図3に示す改修後の住宅100Bでは、1階廊下12は、玄関11と接続されていると共に、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び前記第3区画領域Z3の全てと接続されている。より具体的に、1階廊下12と、第1区画領域Z1を構成する洗面室14とは、建具51aが配置された出入口51を通じて行き来可能である。また、1階廊下12と、第2区画領域Z2を構成するリビングダイニングキッチン16とは、出入口52を通じて行き来可能である。出入口52には建具が設けられていないが、建具が配置されていてもよい。更に、1階廊下12と、第3区画領域Z3を構成する寝室20とは、建具53aが配置された出入口53を通じて行き来可能である。但し、1階廊下12は、本実施形態で示す構成に限られない。1階廊下12は、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び前記第3区画領域Z3のうち1つ又は2つの区画領域のみと接続されていてもよい。
【0035】
ここで、図3に示すように、本実施形態の改修方法では、玄関11と1階廊下12とを、開閉可能な建具としての戸21で区画しているが、これに限定されず、玄関11と1階廊下12とを開閉可能な戸21で区画しなくてもよい。但し、本実施形態の改修方法のように、玄関11と1階廊下12とを、開閉可能な建具としての戸21で区画することにより、玄関11から1階廊下12に外気が入り込むことを抑制できる。そのため、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び前記第3区画領域Z3のうち1階廊下12と接続されている区画領域から1階廊下12に出た際に生じ得るヒートショックの発生を抑制できる。
【0036】
更に、図3に示す住宅100Bは、第1区画領域Z1と第2区画領域Z2とを接続する接続廊下19を備える。換言すれば、居住者は、第1区画領域Z1と第2区画領域Z2とを、接続廊下19を介して行き来可能である。本実施形態の接続廊下19は、1階廊下12である。このような接続廊下19を備える場合には、第2区画領域Z2を断熱改修する際に、第2区画領域Z2及び接続廊下19を一体の第4区画領域Z4として、第4区画領域Z4を区画する区画体X4を断熱改修してもよい。つまり、リビングダイニングキッチン16と、接続廊下19としての1階廊下12とを、一体の第4区画領域Z4として、断熱改修を実行してもよい。このようにすることで、接続廊下19としての1階廊下12を、居住者が日中長い時間を過ごすリビングダイニングキッチン16と一体で空調可能となり、リビングダイニングキッチン16から洗面室14及び浴室15に移動する際の接続廊下19でのヒートショックの発生を抑制できる。なお、本実施形態の接続廊下19は、1階廊下12により構成されているが、この構成に限られない。接続廊下19は、1階廊下12とは別であってもよい。また、本実施形態の住宅100では、1階廊下12に接続される1階トイレ13が設けられている。そのため、上述した第4区画領域Z4に1階トイレ13を追加した区画領域を設定し、1階トイレ13を含めた区画領域を区画する区画体の断熱改修を実行してもよい。更に、第1区画領域Z1と第2区画領域Z2とを接続する接続廊下19が設けられている場合であっても、第4区画領域Z4ではなく、第2区画領域Z2を断熱改修してもよい。なお、図1に示す住宅100Aの第2区画領域Z2を断熱改修する場合は、例えば出入口52に建具を配置することで、第2区画領域Z2を構成するリビングダイニングキッチン16と、接続廊下19としての1階廊下12とを間仕切り可能にする。
【0037】
以上のように、本実施形態の住宅100Aの改修方法では、直近又は将来的な断熱改修の対象となる第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3を予め特定する。その上で、所望のタイミングに合わせて、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3の少なくとも1つの区画領域の断熱改修を行う。このように、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3を予め特定しておくことで、例えば居住者のライフステージの変化等に基づく所望のタイミングに合わせて、効率的に順次、断熱改修を進めることができる。
【0038】
また、住宅100Aの改修方法では、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3が同一階に無い場合には、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3の少なくとも1つの区画領域を移動し、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3を同一階に配置する改修を行うと共に、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3のうち改修によって移動した上記少なくとも1つの区画領域を断熱改修することが好ましい。このようにすることで、間取り変更の改修と、断熱改修と、を同じタイミングで実行でき、効率的な断熱改修を行うことができる。なお、本実施形態では、住宅100Aの2階にある第3区画領域Z3を1階に移動することで、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3を同一階に配置している。そのため、1階に第3区画領域Z3となる寝室20を設置する改修に合わせて、第3区画領域Z3を断熱改修することが好ましい。
【0039】
更に、本実施形態の住宅100Aの改修方法では、玄関11と、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3に接続されている1階廊下12とを、開閉可能な戸21で区画している。このようにすることで、居住者等が、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3それぞれから1階廊下12に出た際のヒートショックの発生を抑制できる。但し、1階廊下12は、本実施形態のように、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3の全てに接続されている構成に限られない。つまり、1階廊下12は、第1区画領域Z1、第2区画領域Z2及び第3区画領域Z3のうちいずれか1つ又は2つのみに接続される構成であってもよい。
【0040】
また、住宅100Aが、第1区画領域Z1と第2区画領域Z2とを接続する接続廊下19を備える場合に、第2区画領域Z2及び接続廊下19を一体の第4区画領域Z4として、第4区画領域Z4を区画する区画体X4を断熱改修することが好ましい。このようにすることで、接続廊下19を、居住者が日中長い時間を過ごすリビングダイニングキッチン16と一体で空調可能となり、リビングダイニングキッチン16から洗面室14及び浴室15に移動する際の接続廊下19でのヒートショックの発生を抑制できる。なお、本実施形態では、接続廊下19が1階廊下12により構成されているがこの構成に限られない。接続廊下19は、1階廊下12とは別に設けられていてもよい。
【0041】
本発明に係る住宅の改修方法は、上述した実施形態に示す具体的な工程に限られず、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の変更・変形・組み合わせが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は改修方法に関する。
【符号の説明】
【0043】
11:玄関
12:1階廊下(玄関に接続されている廊下、及び、接続廊下、の一例)
13:1階トイレ
14:洗面室
15:浴室
16:リビングダイニングキッチン
17:第1個室
18:客室
19:接続廊下
20:寝室
21:戸
31:2階廊下
32:2階トイレ
33:収納室
34:バルコニー
35:寝室
36:第2個室
37:第3個室
41:階段室
41a:階段
41b:物入れスペース
42、43:物入れスペース
51、52、53:出入口
51a、53a:建具
100:住宅
100A:改修前の住宅
100B:改修後の住宅
X1:第1区画領域を区画する区画体
X2:第2区画領域を区画する区画体
X3:第3区画領域を区画する区画体
X4:第4区画領域を区画する区画体
Z1:第1区画領域
Z2:第2区画領域
Z3:第3区画領域
Z4:第4区画領域
図1
図2
図3