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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139266
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】絶縁チップおよび信号伝達装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/822 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
H01L27/04 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050131
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】和田 恵治
【テーマコード(参考)】
5F038
【Fターム(参考)】
5F038AZ04
5F038EZ01
5F038EZ02
5F038EZ20
(57)【要約】
【課題】絶縁耐圧の向上を図ること。
【解決手段】トランスチップ50は、第1ユニット90と、第1ユニット90上に設けられた第2ユニット100と、第1ユニット90と第2ユニット100とを接合する絶縁性接合材110と、を備える。第1ユニット90は、第1素子絶縁層92と、第1素子絶縁層92に埋め込まれた第1コイル21と、を含む。第2ユニット100は、第2素子絶縁層102と、第2素子絶縁層102に埋め込まれた第2コイル22と、第2素子絶縁層102の第2素子裏面102Bと接する第2半導体基板101と、を含む。絶縁性接合材110によって第2ユニット100が第1ユニット90上に接合されたユニット接合状態において、Z方向において第1コイル21と第2コイル22とが対向配置されている。絶縁性接合材110は、第1素子絶縁層92と第2半導体基板101とを接合している。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ユニットと、
前記第1ユニット上に設けられた第2ユニットと、
前記第1ユニットと前記第2ユニットとを接合する絶縁性接合材と、
を備え、
前記第1ユニットは、
前記第2ユニットの側を向く第1素子表面、および前記第1素子表面とは反対側の第1素子裏面を含む第1素子絶縁層と、
前記第1素子絶縁層の厚さ方向において前記第1素子表面から離隔した位置で前記第1素子絶縁層に埋め込まれた第1絶縁素子と、
を含み、
前記第2ユニットは、
第2素子表面、および前記第2素子表面とは反対側の第2素子裏面を含む第2素子絶縁層と、
前記第2素子絶縁層の厚さ方向において前記第2素子表面から離隔した位置で前記第2素子絶縁層に埋め込まれた第2絶縁素子と、
前記第2素子裏面と接する第2半導体基板と、
を含み、
前記絶縁性接合材によって前記第2ユニットが前記第1ユニット上に接合されたユニット接合状態において、前記第1素子絶縁層の厚さ方向において前記第1絶縁素子と前記第2絶縁素子とが対向配置されており、
前記絶縁性接合材は、前記第1素子絶縁層と前記第2半導体基板とを接合している
絶縁チップ。
【請求項2】
前記第1ユニットは、前記第1素子絶縁層の前記第1素子裏面と接する第1半導体基板を含み、
前記第2半導体基板の不純物濃度は、前記第1半導体基板の不純物濃度よりも低い
請求項1に記載の絶縁チップ。
【請求項3】
前記第2半導体基板の不純物濃度は、1×1013cm-3以上1×1014cm-3以下である
請求項2に記載の絶縁チップ。
【請求項4】
前記第1ユニットは、前記第1素子絶縁層の前記第1素子裏面と接する第1半導体基板を含み、
前記第2半導体基板の不純物濃度は、前記第1半導体基板の不純物濃度と等しい
請求項1に記載の絶縁チップ。
【請求項5】
前記第1半導体基板および前記第2半導体基板の不純物濃度は、1×1013cm-3以上1×1014cm-3以下である
請求項4に記載の絶縁チップ。
【請求項6】
前記第1ユニットは、前記第1素子絶縁層の前記第1素子裏面と接する第1半導体基板を含み、
前記第2半導体基板の抵抗率は、前記第1半導体基板の抵抗率よりも高い
請求項1に記載の絶縁チップ。
【請求項7】
前記第2半導体基板の抵抗率は、100Ωcm以上10000Ωcm未満である
請求項6に記載の絶縁チップ。
【請求項8】
前記第1ユニットは、前記第1素子絶縁層の前記第1素子裏面と接する第1半導体基板を含み、
前記第2半導体基板の抵抗率は、前記第1半導体基板の抵抗率と等しい
請求項1に記載の絶縁チップ。
【請求項9】
前記第1半導体基板および前記第2半導体基板の抵抗率は、100Ωcm以上10000Ωcm未満である
請求項8に記載の絶縁チップ。
【請求項10】
前記第1ユニットは、前記第1素子絶縁層の前記第1素子裏面と接する第1半導体基板を含み、
前記第2半導体基板の厚さは、前記第1半導体基板の厚さよりも薄い
請求項1に記載の絶縁チップ。
【請求項11】
前記絶縁性接合材は、エポキシ樹脂およびビスマレイミド樹脂の少なくとも1つを含む
請求項1に記載の絶縁チップ。
【請求項12】
前記第2ユニットは、平面視において前記第1ユニットよりも小さく形成されており、
前記第1ユニットは、前記第1絶縁素子と電気的に接続され、前記第1素子表面から露出するように前記第1素子絶縁層に設けられた第1電極パッドを含み、
前記第2ユニットは、前記第2絶縁素子と電気的に接続され、前記第2素子表面から露出するように前記第2素子絶縁層に設けられた第2電極パッドを含み、
前記ユニット接合状態において、前記第1電極パッドが平面視において前記第2ユニットとは異なる位置に設けられている
請求項1に記載の絶縁チップ。
【請求項13】
前記第1絶縁素子は、前記第1素子表面よりも前記第1素子裏面寄りに配置されており、
前記第2絶縁素子は、前記第2素子裏面よりも前記第2素子表面寄りに配置されている
請求項1に記載の絶縁チップ。
【請求項14】
前記第1絶縁素子および前記第2絶縁素子は、コイルである
請求項1に記載の絶縁チップ。
【請求項15】
前記第1絶縁素子および前記第2絶縁素子は、電極板である
請求項1に記載の絶縁チップ。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の絶縁チップと、
第1回路と、
前記第1回路と前記絶縁チップを介して接続された第2回路と、
を備え、
前記第1回路と前記第2回路とは、前記絶縁チップを介して信号を伝達するように構成されている
信号伝達装置。
【請求項17】
前記第1ユニットは、前記第1回路を含み、
前記第2回路は、前記絶縁チップとは別に設けられている
請求項16に記載の信号伝達装置。
【請求項18】
前記第1回路を含む第1チップと、
前記第2回路を含む第2チップと、
を含む
請求項16に記載の信号伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、絶縁チップおよび信号伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
信号伝達装置の一例として、トランジスタ等のスイッチング素子のゲートにゲート電圧を印加する絶縁型のゲートドライバが知られている。このようなゲートドライバに用いられる絶縁チップの一例として、素子絶縁層内において、素子絶縁層の厚さ方向に互いに対向配置された第1コイルおよび第2コイルを含む構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-78169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような絶縁チップでは、絶縁耐圧の向上が要求される場合がある。なお、第1コイルおよび第2コイルを含む絶縁チップに限られず、キャパシタを含む絶縁チップにおいても同様に絶縁耐圧の向上が要求される場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する絶縁チップは、第1ユニットと、前記第1ユニット上に設けられた第2ユニットと、前記第1ユニットと前記第2ユニットとを接合する絶縁性接合材と、を備え、前記第1ユニットは、前記第2ユニットの側を向く第1素子表面、および前記第1素子表面とは反対側の第1素子裏面を含む第1素子絶縁層と、前記第1素子絶縁層の厚さ方向において前記第1素子表面から離隔した位置で前記第1素子絶縁層に埋め込まれた第1絶縁素子と、を含み、前記第2ユニットは、第2素子表面、および前記第2素子表面とは反対側の第2素子裏面を含む第2素子絶縁層と、前記第2素子絶縁層の厚さ方向において前記第2素子表面から離隔した位置で前記第2素子絶縁層に埋め込まれた第2絶縁素子と、前記第2素子裏面と接する第2半導体基板と、を含み、前記絶縁性接合材によって前記第2ユニットが前記第1ユニット上に接合されたユニット接合状態において、前記第1素子絶縁層の厚さ方向において前記第1絶縁素子と前記第2絶縁素子とが対向配置されており、前記絶縁性接合材は、前記第1素子絶縁層と前記第2半導体基板とを接合している。
【0006】
上記課題を解決する信号伝達装置は、上記絶縁チップと、第1回路と、前記第1回路と前記絶縁チップを介して接続された第2回路と、を備え、前記第1回路と前記第2回路とは、前記絶縁チップを介して信号を伝達するように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
上記絶縁チップおよび信号伝達装置によれば、絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の信号伝達装置の回路構成を模式的に示す回路図である。
図2図2は、図1の信号伝達装置の構成を模式的に示す概略平面図である。
図3図3は、図2の信号伝達装置の構成を模式的に示す概略断面図である。
図4図4は、信号伝達装置における絶縁チップの第1ユニットを模式的に示す概略平面図である。
図5図5は、図4のF5-F5線で第1ユニットを切断した概略断面図である。
図6図6は、図4のF6-F6線で第1ユニットを切断した概略断面図である。
図7図7は、信号伝達装置における絶縁チップの第2ユニットを模式的に示す概略平面図である。
図8図8は、図7のF8-F8線で第2ユニットを切断した概略断面図である。
図9図9は、絶縁チップの第1ユニットおよび第2ユニットが分離した状態の概略断面図である。
図10図10は、絶縁チップを模式的に示す概略平面図である。
図11図11は、図10のF11-F11線で絶縁チップを切断した概略断面図である。
図12図12は、図10のF12-F12線で絶縁チップを切断した概略断面図である。
図13図13は、図10のF13-F13線で絶縁チップを切断した概略断面図である。
図14図14は、絶縁チップの製造工程を示す概略斜視図である。
図15図15は、第2実施形態の信号伝達装置の回路構成を模式的に示す回路図である。
図16図16は、図15の信号伝達装置における絶縁チップを模式的に示す概略平面図である。
図17図17は、図16のF17-F17線で絶縁チップを切断した概略断面図である。
図18図18は、第3実施形態の信号伝達装置の回路構成を模式的に示す回路図である。
図19図19は、図18の信号伝達装置を模式的に示す概略断面図である。
図20図20は、信号伝達装置における絶縁チップの第1ユニットを模式的に示す概略平面図である。
図21図21は、図20のF21-F21線で第1ユニットを切断した概略断面図である。
図22図22は、図20のF22-F22線で第1ユニットを切断した概略断面図である。
図23図23は、信号伝達装置における絶縁チップの第2ユニットを模式的に示す概略平面図である。
図24図24は、図23のF24-F24線で第2ユニットを切断した概略断面図である。
図25図25は、図23のF25-F25線で第2ユニットを切断した概略断面図である。
図26図26は、絶縁チップを模式的に示す概略平面図である。
図27図27は、図26のF27-F27線で絶縁チップを切断した概略断面図である。
図28図28は、変更例の絶縁チップを示す概略断面図である。
図29図29は、変更例の信号伝達装置を模式的に示す概略断面図である。
図30図30は、変更例の信号伝達装置を模式的に示す概略断面図である。
図31図31は、変更例の信号伝達装置を模式的に示す概略断面図である。
図32図32は、変更例の信号伝達装置を模式的に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本開示における絶縁チップおよび信号伝達装置のいくつかの実施形態について説明する。なお、説明を簡単かつ明確にするために、図面に示される構成要素は必ずしも一定の縮尺で描かれていない。また、理解を容易にするために、断面図では、ハッチング線が省略されている場合がある。添付の図面は、本開示の実施形態を例示するに過ぎず、本開示を制限するものとみなされるべきではない。
【0010】
以下の詳細な記載は、本開示の例示的な実施形態を具体化する装置、システム、および方法を含む。この詳細な記載は本来説明のためのものに過ぎず、本開示の実施形態またはこのような実施形態の適用および使用を限定することを意図していない。
【0011】
<第1実施形態>
[信号伝達装置の構成]
図1図3を参照して、第1実施形態の信号伝達装置10の概略構成について説明する。図1は第1実施形態の信号伝達装置10の回路構成の一例を簡略化して示している。図2は第1実施形態の信号伝達装置10内部の概略平面構造を示している。図3図2の信号伝達装置10の一部の内部構造を簡略化して示している。なお、図3では、図面の理解を容易にするため、ハッチング線を省略している。
【0012】
図1に示すように、信号伝達装置10は、1次側端子11と2次側端子12との間を電気的に絶縁しつつパルス信号を伝達するように構成されている。信号伝達装置10は、例えばデジタルアイソレータである。デジタルアイソレータの一例はDC/DCコンバータである。信号伝達装置10は、1次側端子11に電気的に接続された1次側回路13と、2次側端子12に電気的に接続された2次側回路14と、1次側回路13と2次側回路14とを電気的に絶縁するトランス15と、を有する信号伝達回路10Aを含む。ここで、本開示においては、1次側回路13は「第1回路」に対応し、2次側回路14は「第2回路」に対応している。
【0013】
1次側回路13は、第1電圧V1が印加されることによって動作するように構成されている。1次側回路13は、例えば外部の制御装置(図示略)に電気的に接続されている。
2次側回路14は、第1電圧V1とは異なる第2電圧V2が印加されることによって動作するように構成されている。第1電圧V1および第2電圧V2は直流電圧である。2次側回路14は、例えば制御装置の制御対象となる駆動回路(図示略)に電気的に接続されている。駆動回路の一例は、スイッチング素子を含むスイッチング回路である。スイッチング素子としては、例えばSiMOSFET、SiCMOSFET、IGBT等が挙げられる。2次側回路14は、スイッチング素子のゲートに電気的に接続されている。そして、2次側回路14は、スイッチング素子のゲートにゲート駆動信号を供給する。
【0014】
信号伝達回路10Aにおいては、制御装置からの制御信号が1次側端子11を介して1次側回路13に入力されると、1次側回路13からトランス15を介して2次側回路14に信号が伝達される。そして、2次側回路14に伝達された信号は、2次側回路14から2次側端子12を介して駆動回路に出力される。
【0015】
1次側回路13から2次側回路14に向けて伝達される信号、すなわち1次側回路13から出力される信号としては、例えばスイッチング素子を駆動させるための信号である。この信号の一例は、セット信号(SET)およびリセット信号(RESET)が挙げられる。セット信号は制御装置からの制御信号の立上りを伝達する信号であり、リセット信号は制御装置からの制御信号の立下りを伝達する信号である。セット信号およびリセット信号は、スイッチング素子のゲート駆動信号を生成するための信号であるといえる。
【0016】
より詳細には、1次側回路13は、制御装置から入力された制御信号に基づいてセット信号およびリセット信号を生成する。一例では、1次側回路13は、制御信号の立上りに応答することによってセット信号を生成する一方、制御信号の立下りに応答することによってリセット信号を生成する。そして、1次側回路13は、生成したセット信号およびリセット信号を2次側回路14に向けて送信する。
【0017】
2次側回路14は、1次側回路13から受信したセット信号およびリセット信号に基づいて、スイッチング素子を駆動するためのゲート駆動信号を生成する。そして、2次側回路14は、ゲート駆動信号をスイッチング素子のゲートに供給する。つまり、2次側回路14は、1次側回路13から出力された第1信号に基づいてスイッチング素子のゲートに供給するゲート駆動信号を生成するともいえる。より詳細には、2次側回路14は、セット信号に基づいてスイッチング素子をオンするゲート駆動信号を生成した後、そのゲート駆動信号をスイッチング素子のゲートに供給する。一方、2次側回路14は、リセット信号に基づいてスイッチング素子をオフするゲート駆動信号を生成した後、そのゲート駆動信号をスイッチング素子のゲートに供給する。このように、信号伝達装置10によってスイッチング素子のオンオフが制御される。
【0018】
2次側回路14は、例えばセット信号およびリセット信号が入力されるRS型フリップフロップ回路と、RS型フリップフロップ回路の出力信号に基づいてゲート駆動信号を生成するドライバ部と、を含む。ただし、2次側回路14の具体的な回路構成は任意に変更可能である。
【0019】
上述のとおり、1次側回路13と2次側回路14とは、トランス15によって電気的に絶縁されている。より詳細には、トランス15によって1次側回路13と2次側回路14との間で直流電圧が伝達されることが規制されている一方、セット信号およびリセット信号等の各種信号の伝達は可能となっている。
【0020】
すなわち、1次側回路13と2次側回路14とが絶縁されている状態とは、1次側回路13と2次側回路14との間において、直流電圧の伝達が遮断されている状態を意味し、1次側回路13と2次側回路14との間における信号の伝達については許容している。
【0021】
信号伝達装置10の絶縁耐圧は、例えば2500Vrms以上7500Vrms以下である。一例では、信号伝達装置10の絶縁耐圧は、5000Vrms程度である。ただし、信号伝達装置10の絶縁耐圧の具体的な数値はこれに限られず任意に変更可能である。
【0022】
図1に示す例では、1次側回路13のグランドGND1と2次側回路14のグランドGND2とが独立して設けられている。以下、1次側回路13のグランドGND1の電位を第1基準電位とし、2次側回路14のグランドGND2の電位を第2基準電位とする。この場合、第1電圧V1は第1基準電位からの電圧であり、第2電圧V2は第2基準電位からの電圧である。第1電圧V1は例えば4.5V以上5.5V以下であり、第2電圧V2は例えば9V以上24V以下である。
【0023】
次に、信号伝達装置10の詳細な構成について説明する。
信号伝達装置10は、1次側回路13から2次側回路14に向けてセット信号およびリセット信号の2種類の信号を伝達させることに対応させて、トランス15を2つ含む。より詳細には、信号伝達装置10は、1次側回路13から2次側回路14へのセット信号の伝達に用いられるトランス15と、1次側回路13から2次側回路14へのリセット信号の伝達に用いられるトランス15と、を含む。以下、説明の便宜上、セット信号の伝達に用いられるトランス15を「トランス15A」とし、リセット信号の伝達に用いられるトランス15を「トランス15B」とする。
【0024】
信号伝達装置10は、1次側回路13とトランス15Aとを接続する1次側信号線16Aと、1次側回路13とトランス15Bとを接続する1次側信号線16Bと、を含む。このため、1次側信号線16Aは、セット信号を1次側回路13からトランス15Aに伝達する。1次側信号線16Bは、リセット信号を1次側回路13からトランス15Bに伝達する。
【0025】
信号伝達装置10は、トランス15Aと2次側回路14とを接続する2次側信号線17Aと、トランス15Bと2次側回路14とを接続する2次側信号線17Bと、を含む。このため、2次側信号線17Aは、セット信号をトランス15Aから2次側回路14に伝達する。2次側信号線17Bは、リセット信号をトランス15Bから2次側回路14に伝達する。
【0026】
トランス15Aは、1次側回路13と2次側回路14とを電気的に絶縁する一方、1次側回路13から2次側回路14にセット信号を伝達するように構成されている。トランス15Bは、1次側回路13と2次側回路14とを電気的に絶縁する一方、1次側回路13から2次側回路14にリセット信号を伝達するように構成されている。
【0027】
トランス15A,15Bは、第1コイル21および第2コイル22を含む。第1コイル21と第2コイル22とは、互いに電気的に絶縁されており、かつ磁気結合可能に構成されている。
【0028】
トランス15A,15Bの第1コイル21は、1次側回路13に電気的に接続されている。一例では、トランス15Aの第1コイル21の第1端は1次側信号線16Aによって1次側回路13に電気的に接続され、トランス15Aの第1コイル21の第2端は1次側回路13のグランドGND1に電気的に接続されている。トランス15Bの第1コイル21の第1端は1次側信号線16Bによって1次側回路13に電気的に接続され、トランス15Bの第1コイル21の第2端は1次側回路13のグランドGND1に電気的に接続されている。したがって、トランス15A,15Bの第1コイル21の第2端の電位は、第1基準電位となる。第1基準電位は例えば0Vである。
【0029】
トランス15A,15Bの第2コイル22は、2次側回路14に電気的に接続されている。一例では、トランス15Aの第2コイル22の第1端は2次側信号線17Aによって2次側回路14に電気的に接続され、トランス15Aの第2コイル22の第2端は2次側回路14のグランドGND2に電気的に接続されている。トランス15Bの第2コイル22の第1端は2次側信号線17Bによって2次側回路14に電気的に接続され、トランス15Bの第2コイル22の第2端は2次側回路14のグランドGND2に電気的に接続されている。したがって、トランス15A,15Bの第2コイル22の第2端の電位は、第2基準電位となる。2次側回路14のグランドGND2は、例えば2次側回路14に電気的に接続されたスイッチング回路におけるスイッチング素子のソースに電気的に接続されている。
【0030】
ところで、スイッチング回路の使用態様によっては、スイッチング回路の動作にともないスイッチング素子のソースが変動する。この場合、スイッチング素子のソースは、例えば600V以上となる場合がある。したがって、2次側回路14のグランドGND2、つまり第2基準電位は、600V以上となる場合がある。このため、トランス15A,15Bは、第1基準電位および第2基準電位に応じた絶縁耐圧が求められる。
【0031】
このように、第2基準電位が600V以上となる場合、2次側回路14は1次側回路13よりも高い電位で動作するため、換言すると第2電圧V2が第1電圧V1よりも高くなるため、「高圧回路」と称することができる。一方、1次側回路13は2次側回路14よりも低い電位で動作するため、換言すると第1電圧V1が第2電圧V2よりも低くなるため、「低圧回路」と称することができる。このため、トランス15A,15Bのうち1次側回路13(低圧回路)に電気的に接続された第1コイル21は「低圧コイル」と称することができる。また、トランス15A,15Bのうち2次側回路14(高圧回路)に電気的に接続された第2コイル22は「高圧コイル」と称することができる。
【0032】
図2は、信号伝達装置10の内部構成を示す平面図の一例を示している。なお、図1では、信号伝達装置10の回路構成を簡略化して示しているため、図2の信号伝達装置10の外部端子(1次側端子11および2次側端子12)の数は、図1の信号伝達装置10の外部端子の数よりも多い。また、図2の信号伝達装置10における1次側回路13から2次側回路14に信号を伝達する信号線の数(後述するワイヤW1~W4の数)は、図1の信号伝達装置10の信号線の数よりも多い。
【0033】
図3は、信号伝達装置10の内部構成を示す断面図の一例を示している。なお、図3は、信号伝達装置10の内部構成を簡略化して示しているため、後述する第1チップ30、第2チップ40、およびトランスチップ50の断面構造は簡略化されている。このため、図3に示すトランスチップ50の断面構造は、図10図12図14等のトランスチップ50の断面構造とは異なっている。
【0034】
図2に示すように、信号伝達装置10は、複数の半導体チップが1パッケージ化された半導体装置である。信号伝達装置10のパッケージ形式は、SO(Small Outline)系であり、図2の例ではSOP(Small Outline Package)である。信号伝達装置10は、半導体チップとして、第1チップ30、第2チップ40、およびトランスチップ50を含む。また、信号伝達装置10は、第1チップ30が配置された第1リードフレーム60と、第2チップ40が配置された第2リードフレーム70と、各チップ30,40,50および各リードフレーム60,70の一部を封止する封止樹脂80と、を含む。なお、トランスチップ50は「絶縁チップ」の一例である。また、信号伝達装置10のパッケージ形式は任意に変更可能である。また、図2において、封止樹脂80は、信号伝達装置10の内部構造を説明する都合上、二点鎖線で示されている。
【0035】
封止樹脂80は、電気絶縁性を有する材料によって形成されている。一例では、封止樹脂80は、例えばエポキシ樹脂を含む樹脂によって形成されている。封止樹脂80は、Z方向を厚さ方向とする矩形板状に形成されている。封止樹脂80は、4つの樹脂側面81~84を有する。樹脂側面81,82は、封止樹脂80のX方向の両端面を構成している。樹脂側面83,84は、封止樹脂80のY方向の両端面を構成している。なお、以降の説明において、Z方向から信号伝達装置10およびその構成要素を視ることを「平面視」という。またX方向およびY方向は、平面視においてZ方向と交差する方向であり、互いに直交している。一例では、X方向およびY方向の双方はZ方向と直交する方向である。
【0036】
第1リードフレーム60および第2リードフレーム70の各々は、導体であり、例えばCu(銅)、Fe(鉄)等を含む材料によって形成されている。各リードフレーム60,70は、封止樹脂80の内外に跨って設けられている。
【0037】
第1リードフレーム60は、封止樹脂80内に配置された第1ダイパッド61と、封止樹脂80の内外に跨って配置された複数の第1リード62と、を含む。各第1リード62は、1次側端子11(図1参照)を構成している。
【0038】
図2の例では、第1ダイパッド61には、第1チップ30およびトランスチップ50の双方が配置されている。平面視において、第1ダイパッド61は、そのX方向の中央が封止樹脂80のX方向の中央よりも樹脂側面81の近くとなるように配置されている。一例では、第1ダイパッド61は、封止樹脂80から露出されていない。第1ダイパッド61は、Z方向を厚さ方向とする矩形平板状に形成されている。平面視における第1ダイパッド61の形状は、Y方向が長手方向となり、X方向が短手方向となる矩形状である。
【0039】
複数の第1リード62は、Y方向において互いに離隔して配列されている。複数の第1リード62のうちY方向の両端に配置された第1リード62の各々は、第1ダイパッド61と一体化されている。各第1リード62の一部は、樹脂側面81から封止樹脂80の外方に向けて突出している。
【0040】
第2リードフレーム70は、封止樹脂80内に配置された第2ダイパッド71と、封止樹脂80の内外に跨って配置された複数の第2リード72と、を含む。各第2リード72は、2次側端子12(図1参照)を構成している。
【0041】
図2の例では、第2ダイパッド71には、第2チップ40が配置されている。平面視において、第2ダイパッド71は、第1ダイパッド61よりも樹脂側面82寄りに第1ダイパッド61に対してX方向に離隔して配置されている。このように、X方向において第1ダイパッド61および第2ダイパッド71が配列されているため、X方向は第1ダイパッド61および第2ダイパッド71の配列方向であるといえる。
【0042】
一例では、第2ダイパッド71は、封止樹脂80から露出されていない。第2ダイパッド71は、Z方向を厚さ方向とする矩形平板状に形成されている。平面視における第2ダイパッド71の形状は、Y方向が長手方向となり、X方向が短手方向となる矩形状である。第1ダイパッド61および第2ダイパッド71のX方向の寸法は、配置される半導体チップのサイズや数に応じて設定される。このため、第1チップ30およびトランスチップ50が配置された第1ダイパッド61のX方向の寸法は、第2チップ40が配置された第2ダイパッド71のX方向の寸法よりも大きい。
【0043】
複数の第2リード72は、Y方向において互いに離隔して配列されている。図2に示す例では、複数の第2リード72のうち一対の第2リード72は、第2ダイパッド71と一体化されている。一対の第2リード72は、Y方向の両端に配置された第2リード72の各々とY方向に隣り合う第2リード72である。各第2リード72の一部は、樹脂側面82から封止樹脂80の外方に向けて突出している。
【0044】
一例では、第2リード72の数は、第1リード62の数と同じである。図2に示すとおり、平面視において、複数の第1リード62は、第1ダイパッド61および第2ダイパッド71の配列方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に配列されている。複数の第2リード72も同様に、第1ダイパッド61および第2ダイパッド71の配列方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に配列されている。なお、第1リード62の数および第2リード72の数はそれぞれ任意に変更可能である。
【0045】
図2の例では、第1ダイパッド61は、第1ダイパッド61と一体化された一対の第1リード62によって支持されている。第2ダイパッド71は、第2ダイパッド71と一体化された一対の第2リード72によって支持されている。このため、各ダイパッド61,71には、樹脂側面83,84から露出する吊りリードが設けられていない。このため、第1リードフレーム60と第2リードフレーム70との間の絶縁距離を大きくとることができる。
【0046】
第1チップ30およびトランスチップ50は、第1ダイパッド61上においてX方向に互いに離隔して配列されている。第2チップ40は、X方向においてトランスチップ50に対して第1チップ30とは反対側に配置されている。このように、第1チップ30、第2チップ40、およびトランスチップ50は、X方向において互いに離隔して配列されている。第1チップ30、第2チップ40、およびトランスチップ50は、第1ダイパッド61および第2ダイパッド71の配列方向と同じ方向に配列されているといえる。X方向において第1リード62から第2リード72に向けて、第1チップ30、トランスチップ50、および第2チップ40の順に配列されている。つまり、トランスチップ50は、X方向において第1チップ30と第2チップ40との間に配置されているといえる。
【0047】
第1チップ30は、図1に示す1次側回路13を含む。第1チップ30は、Z方向が厚さ方向となる矩形板状に形成されている。平面視における第1チップ30の形状は、X方向が短手方向となり、Y方向が長手方向となる矩形状である。図3に示すように、第1チップ30は、Z方向において互いに反対側を向くチップ表面31およびチップ裏面32を有する。第1チップ30のチップ裏面32は、導電性接合材SDによって第1ダイパッド61に接合されている。導電性接合材SDは、例えばはんだペーストやAg(銀)ペーストが用いられている。
【0048】
第1チップ30のチップ表面31には、複数の第1電極パッド33、複数の第2電極パッド34、および複数の第3電極パッド35が形成されている。第1電極パッド33、第2電極パッド34、および第3電極パッド35は、1次側回路13と電気的に接続されている。
【0049】
複数の第1電極パッド33は、チップ表面31のうちチップ表面31のX方向の中央よりも第1リード62寄りに配置されている。複数の第1電極パッド33はY方向において互いに離隔して配列されている。複数の第2電極パッド34は、チップ表面31のX方向の両端部のうちトランスチップ50に近い方の端部に配置されている。複数の第2電極パッド34はY方向において互いに離隔して配列されている。複数の第3電極パッド35は、チップ表面31のY方向の両端部に分散して配置されている。
【0050】
図3に示すように、第1チップ30は、1次側回路13が形成された基板36を含む。基板36は、例えば半導体基板である。半導体基板の一例は、Siを含む材料によって形成された基板である。基板36上には、配線層37が形成されている。基板36は、チップ裏面32を構成し、配線層37はチップ表面31を構成している。
【0051】
配線層37は、例えばZ方向に積層された複数の絶縁膜と、絶縁膜に埋め込まれた金属層と、を含む。金属層は、第1チップ30の配線パターンを構成している。金属層は、例えば1次側回路13と各電極パッド33~35とを電気的に接続している。つまり、各電極パッド33~35は、配線層37を介して1次側回路13に電気的に接続されている。金属層は、例えばTi(チタン)、TiN(窒化チタン)、Au(金)、Ag、Cu、Al(アルミニウム)、およびW(タングステン)のうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって形成されている。
【0052】
図2に示すように、第2チップ40は、図1に示す2次側回路14を含む。第2チップ40は、Z方向が厚さ方向となる矩形板状に形成されている。平面視における第2チップ40の形状は、X方向が短手方向となり、Y方向が長手方向となる矩形状である。図3に示すように、第2チップ40は、Z方向において互いに反対側を向くチップ表面41およびチップ裏面42を有する。第2チップ40のチップ裏面42は、導電性接合材SDによって第2ダイパッド71に接合されている。
【0053】
第2チップ40のチップ表面41には、複数の第1電極パッド43、複数の第2電極パッド44、および複数の第3電極パッド45が形成されている。第1電極パッド43、第2電極パッド44、および第3電極パッド45は、2次側回路14と電気的に接続されている。
【0054】
複数の第1電極パッド43は、チップ表面41のX方向の両端部のうちトランスチップ50に近い方の端部に形成されている。複数の第1電極パッド43は、Y方向において互いに離隔して配列されている。複数の第2電極パッド44は、チップ表面41のX方向の両端部のうち第2リード72に近い方の端部に形成されている。複数の第2電極パッド44は、Y方向において互いに離隔して配列されている。複数の第3電極パッド45は、チップ表面41のY方向の両端部に分散して配置されている。
【0055】
図3に示すように、第2チップ40は、2次側回路14が形成された基板46を含む。基板46は、例えば半導体基板である。半導体基板の一例は、Siを含む材料によって形成された基板である。基板46上には、配線層47が形成されている。基板46は、チップ裏面42を構成し、配線層47はチップ表面41を構成している。
【0056】
配線層47は、例えばZ方向に積層された複数の絶縁膜と、絶縁膜に埋め込まれた金属層と、を含む。金属層は、第2チップ40の配線パターンを構成している。金属層は、例えば2次側回路14と各電極パッド43~45とを電気的に接続している。つまり、各電極パッド43~45は、配線層47を介して2次側回路14に電気的に接続されている。金属層は、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって形成されている。
【0057】
第1実施形態では、トランスチップ50は、図1に示すトランス15A,15Bを含んで1チップ化されたものである。つまり、トランスチップ50は、第1チップ30および第2チップ40とは別のトランス15A,15B専用のチップである。
【0058】
図3に示すように、トランスチップ50は、Y方向から視て凸状に形成されている。トランスチップ50は、第1チップ表面51および第2チップ表面52と、これらチップ表面51,52とは反対側を向くチップ裏面53と、を有する。トランスチップ50のチップ裏面53は、導電性接合材SDによって第1ダイパッド61に接合されている。第2チップ表面52は、Z方向において第1チップ表面51に対して第1ダイパッド61とは反対側に位置している。換言すると、第1チップ表面51は、Z方向において第2チップ表面52よりも第1ダイパッド61の近くに配置されている。
【0059】
図2および図3に示すように、トランスチップ50の第1チップ表面51には、複数の第1電極パッド54が形成されている。複数の第1電極パッド54は、第1チップ表面51のX方向の両端部のうち第1チップ30に近い方の端部に形成されている。複数の第1電極パッド54は、Y方向において互いに離隔して配列されている。トランスチップ50の第2チップ表面52には、複数の第2電極パッド55が形成されている。複数の第2電極パッド55は、X方向およびY方向において互いに離隔して配列されている。
【0060】
信号伝達装置10の絶縁耐圧を予め設定された絶縁耐圧とするため、各リードフレーム60,70が最も接近する第1ダイパッド61と第2ダイパッド71とを互いに離隔させる必要がある。このため、平面視においてトランスチップ50と第2チップ40とのX方向の間の距離は、トランスチップ50と第1チップ30とのX方向の間の距離よりも大きくなる。一方、トランスチップ50と第1チップ30とは第1ダイパッド61上に配置されているため、互いに近づけてもよい。このため、トランスチップ50は、第2チップ40よりも第1チップ30寄りに配置されているといえる。
【0061】
第1チップ30、トランスチップ50、および第2チップ40の各々には、複数のワイヤW1~W4が接続されている。各ワイヤW1~W4は、ワイヤボンディング装置によって形成されたボンディングワイヤであり、例えばAu、Al、Cu等を含む導体によって形成されている。
【0062】
第1チップ30は、ワイヤW1によって第1リードフレーム60と電気的に接続されている。より詳細には、第1チップ30の複数の第1電極パッド33および複数の第3電極パッド35と、複数の第1リード62とがワイヤW1によって個別に電気的に接続されている。複数の第3電極パッド35は、複数の第1リード62のうち第1ダイパッド61と一体化された一対の第1リード62とワイヤW1によって個別に電気的に接続されている。これにより、1次側回路13と複数の第1リード62(1次側端子11)とが電気的に接続されている。図2の例では、第1ダイパッド61と一体化された一対の第1リード62がグランド端子を構成し、かつワイヤW1によって1次側回路13と第1ダイパッド61とが電気的に接続されている。このため、第1ダイパッド61が1次側回路13のグランドGND1と同じ電位となる。
【0063】
第2チップ40は、ワイヤW4によって第2リードフレーム70と電気的に接続されている。より詳細には、第2チップ40の複数の第2電極パッド44および複数の第3電極パッド45と、複数の第2リード72とがワイヤW4によって個別に電気的に接続されている。複数の第3電極パッド45は、複数の第2リード72のうち第2ダイパッド71と一体化された一対の第2リード72とワイヤW4によって個別に電気的に接続されている。これにより、2次側回路14と複数の第2リード72(2次側端子12)とが電気的に接続されている。図2の例では、第2ダイパッド71と一体化された一対の第2リード72がグランド端子を構成し、かつワイヤW4によって2次側回路14と第2ダイパッド71とが電気的に接続されている。このため、第2ダイパッド71が2次側回路14のグランドGND2と同じ電位となる。
【0064】
トランスチップ50は、第1チップ30とワイヤW2によって電気的に接続されている。また、トランスチップ50は、第2チップ40とワイヤW3によって電気的に接続されている。より詳細には、トランスチップ50の複数の第1電極パッド54は、第1チップ30の複数の第2電極パッド34とワイヤW2によって個別に電気的に接続されている。トランスチップ50の複数の第2電極パッド55は、第2チップ40の複数の第1電極パッド33とワイヤW3によって個別に電気的に接続されている。
【0065】
なお、トランス15A,15Bの第1コイル21(図3参照)は、ワイヤW2および第1チップ30等を介して1次側回路13のグランドGND1に電気的に接続されている。トランス15A,15Bの第2コイル22(図3参照)は、ワイヤW3および第2チップ40等を介して2次側回路14のグランドGND2に電気的に接続されている。
【0066】
[トランスチップの構成]
図3図11を参照して、トランスチップ50の構成の一例について説明する。
図3に示すように、トランスチップ50は、第1ユニット90と、第1ユニット90上に接合された第2ユニット100と、を備える。以下では、第1ユニット90の構成および第2ユニット100の構成をそれぞれ説明した後、第1ユニット90と第2ユニット100とを組み合わせたトランスチップ50の構成について説明する。なお、トランス15Bの第1コイル21および第2コイル22の構成は、トランス15Aの第1コイル21および第2コイル22の構成と同様であるため、以下では、トランス15Aについて説明し、トランス15Bの詳細な説明を省略する。
【0067】
(第1ユニット)
図3図6を参照して、第1ユニット90の構成について説明する。
図4は、トランスチップ50の第1ユニット90の平面構造を示している。図5は、図4のF5-F5線で第1ユニット90を切断した断面構造であり、トランス15Aの第1コイル21の断面構造を主に示している。図6は、図4のF6-F6線で第1ユニット90を切断した断面構造であり、第1電極パッド54および後述する第1接続部93の断面構造を主に示している。
【0068】
図3に示すように、第1ユニット90は、トランスチップ50のうち第1ダイパッド61に導電性接合材SDによって接合される側のユニットである。第1ユニット90は、第1半導体基板91と、第1半導体基板91上に形成された第1素子絶縁層92と、を含む。
【0069】
第1半導体基板91は、トランスチップ50のチップ裏面53を構成している。第1半導体基板91は、Z方向を厚さ方向とする矩形板状に形成されている。第1半導体基板91は、例えばSiを含む材料によって形成されている。第1実施形態では、第1半導体基板91は、Si基板である。なお、第1半導体基板91には、ワイドバンドギャップ半導体または化合物半導体が用いられてもよい。ワイドバンドギャップ半導体は、2.0eV以上のバンドギャップを有する半導体基板である。ワイドバンドギャップ半導体は、SiC(炭化シリコン)であってよい。化合物半導体は、III-V族化合物半導体であってよい。化合物半導体は、AlN(窒化アルミニウム)、InN(窒化インジウム)、GaN(窒化ガリウム)、およびGaAs(ヒ化ガリウム)のうち少なくとも1つを含んでいてよい。
【0070】
図4に示すように、第1素子絶縁層92は、平面視においてX方向が短手方向となり、Y方向が長手方向となる矩形状に形成されている。第1素子絶縁層92は、4つの第1素子側面92C~92Fを含む。第1素子側面92C,92Dは、第1素子絶縁層92のX方向の両端面を構成している。第1素子側面92E,92Fは、第1素子絶縁層92のY方向の両端面を構成している。X方向において、第1素子側面92Cは図2の封止樹脂80の樹脂側面81寄りの側面であり、第1素子側面92Dは樹脂側面82寄りの側面である。Y方向において、第1素子側面92Eは封止樹脂80の樹脂側面83寄りの側面であり、第1素子側面92Fは樹脂側面84寄りの側面である。
【0071】
第1ユニット90は、トランス15A,15Bの第1コイル21を含む。より詳細には、第1素子絶縁層92内には、トランス15A,15Bの第1コイル21が設けられている。これら第1コイル21は、X方向において互いに同じ位置であってY方向において互いに離隔して配列されている。トランス15Aの第1コイル21は、トランス15Bの第1コイル21よりも第1素子側面92F寄りに配置されている。また、これら第1コイル21は、X方向において第1素子絶縁層92の中央よりも第1素子側面92C寄りに配置されている。より詳細には、第1コイル21のX方向の中央は、第1素子絶縁層92のX方向の中央よりも第1素子側面92C寄りに位置している。
【0072】
第1ユニット90は、複数の第1電極パッド54を含む。第1電極パッド54は、X方向において第1コイル21よりも第1素子側面92C寄りに配置されている。図4に示す例では、第1電極パッド54は、4つ設けられている。より詳細には、第1電極パッド54は、トランス15Aの第1コイル21に対応させて2つ設けられ、トランス15Bの第1コイル21に対応させて2つ設けられている。
【0073】
トランス15Aの第1コイル21に対応する2つの第1電極パッド54のうち1つは、Y方向において第1コイル21と同じ位置に配置されている。2つの第1電極パッド54のうち別の1つは、Y方向において第1コイル21よりも第1素子側面92E寄りに配置されている。
【0074】
トランス15Bの第1コイル21に対応する2つの第1電極パッド54のうち1つは、Y方向において第1コイル21と同じ位置に配置されている。2つの第1電極パッド54のうち別の1つは、Y方向において第1コイル21よりも第1素子側面92E寄りに配置されている。なお、Y方向における第1電極パッド54の配置位置は任意に変更可能である。なお、第1電極パッド54および第2電極パッド55の数は、図4に示す例に限られず、任意に変更可能である。
【0075】
図5に示すように、第1素子絶縁層92は、複数の第1絶縁膜92Pおよび複数の第2絶縁膜92Qを含む。複数の第1絶縁膜92Pおよび複数の第2絶縁膜92Qは、Z方向において1つずつ交互に積層されている。このため、Z方向は、第1素子絶縁層92の厚さ方向であるともいえる。
【0076】
第1絶縁膜92Pは、エッチングストッパ膜であり、例えばSiN(窒化シリコン)、SiC、SiCN(窒素添加炭化シリコン)のうち少なくとも1つを含む材料によって形成されている。また、第1絶縁膜92Pは、例えばCuの拡散防止の機能を有してよい。つまり、第1絶縁膜92Pは、Cuの拡散防止膜であってよい。
【0077】
第2絶縁膜92Qは、層間絶縁膜であり、例えばSiO(酸化シリコン)を含む材料によって形成された酸化膜である。第2絶縁膜92Qは、第1絶縁膜92Pよりも厚い膜厚を有する。第1絶縁膜92Pは、例えば50nm以上1000nm未満の膜厚を有する。第2絶縁膜92Qは、例えば500nm以上5000nm以下の膜厚を有する。第1実施形態では、第1絶縁膜92Pは300nm程度の膜厚を有し、第2絶縁膜92Qは2000nm程度の膜厚を有する。なお、図面を容易に理解するため、図面における第1絶縁膜92Pの膜厚と第2絶縁膜92Qの膜厚との比率は、実際の第1絶縁膜92Pの膜厚と第2絶縁膜92Qの膜厚との比率とは異なる。
【0078】
第1素子絶縁層92は、Z方向において互いに反対側を向く第1素子表面92Aおよび第1素子裏面92Bを有する。第1素子表面92Aは、トランスチップ50の第1チップ表面51および第2チップ表面52(ともに図3参照)と同じ側を向いている。第1素子表面92Aは、例えば第1チップ表面51を構成している。第1素子裏面92Bは、トランスチップ50のチップ裏面53(図3参照)と同じ側を向いている。第1素子裏面92Bは第1半導体基板91に接している。一例では、第1素子裏面92Bは第2絶縁膜92Qによって構成されている。
【0079】
第1素子絶縁層92は、第1素子表面92Aの側に形成された保護層92Gおよびパッシベーション層92Hを含む。
保護層92Gは、複数の第1絶縁膜92Pおよび複数の第2絶縁膜92Qの積層体である絶縁体92Rを保護する膜である。保護層92Gは、絶縁体92R上に形成されている。保護層92Gは、例えばSiOを含む材料によって形成されている。一例では、保護層92Gは、平面視において絶縁体92Rの全面にわたり形成されている。
【0080】
パッシベーション層92Hは、第1ユニット90の表面保護膜である。パッシベーション層92Hは、保護層92G上に形成されている。パッシベーション層92Hは、例えばSiN、SiOのうち少なくとも1つを含む材料によって形成されている。一例では、パッシベーション層92Hは、SiOを含む材料によって形成されている。一例では、パッシベーション層92Hは、平面視において保護層92Gの全面にわたり形成されている。
【0081】
第1電極パッド54は、第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aと面一となるように形成されている。一例では、第1電極パッド54は、絶縁体92R上に設けられており、保護層92Gおよびパッシベーション層92Hによって覆われている。一方、第1電極パッド54は、パッシベーション層92Hと面一となるように形成されている。このため、第1電極パッド54は、第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aから露出するように第1素子絶縁層92に設けられている。
【0082】
第1コイル21は、Z方向において第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aから離隔した位置で第1素子絶縁層92に埋め込まれている。また、第1コイル21は、Z方向において第1素子裏面92Bから離隔した位置に配置されている。つまり、第1コイル21は、第1素子絶縁層92から露出していない。図5に示す例では、第1コイル21は、Z方向において第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aよりも第1素子裏面92B寄りに配置されている。換言すると、第1コイル21と第1素子表面92AとのZ方向の間の距離DA1は、第1コイル21と第1素子裏面92BとのZ方向の間の距離DA2よりも大きい。第1コイル21は、Z方向において第1素子表面92Aよりも第1半導体基板91寄りに配置されているともいえる。一例では、距離DA1は、距離DA2の3倍以下であってよい。一例では、距離DA1は、距離DA2の2倍以下であってよい。なお、距離DA1,DA2は任意に変更可能である。一例では、距離DA1は、距離DA2の2倍よりも大きくてもよい。
【0083】
図4に示すように、第1コイル21は、平面視において渦巻き状に形成されている。第1コイル21は、第1端部21Aおよび第2端部21Bを含む。第1端部21Aは、平面視において第1コイル21の巻回部の内方の端部を構成している。第2端部21Bは、平面視において第1コイル21の巻回部の外方の端部を構成している。なお、第1コイル21の巻回数は、トランスチップ50の電気的特性に応じて任意に変更可能である。
【0084】
第1コイル21は、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。一例では、第1コイル21は、Cuを含む材料によって形成されている。
【0085】
第1ユニット90は、第1コイル21の第1端部21Aに接続された第1接続部93と、第1コイル21の第2端部21Bに接続された第2接続部94と、を含む。なお、以下の説明において、図4に示すトランス15Aに対応する2つの第1電極パッド54を「第1電極パッド54A」および「第1電極パッド54B」と称する。
【0086】
図4に示すように、第1接続部93は、第1電極パッド54Aに接続されている。つまり、第1接続部93は、第1コイル21の第1端部21Aと第1電極パッド54Aとを電気的に接続している。第1接続部93は、第1素子絶縁層92に埋め込まれている。つまり、第1コイル21と第1電極パッド54Aとは、第1素子絶縁層92内において互いに電気的に接続されている。
【0087】
図4図6に示すように、第1接続部93は、第1配線層93A、第1接続配線93B、およびビア93Cを含む。
図5および図6に示すように、第1配線層93Aは、Z方向において第1コイル21よりも第1素子裏面92B寄りに配置されている。第1配線層93Aは、Z方向において第1コイル21と第1素子裏面92Bとの間に配置されているともいえる。図4に示すように、第1配線層93Aは、平面視において第1コイル21の第1端部21AからY方向に延びる第1部分と、第1部分から第1電極パッド54Aに向けてX方向に延びる第2部分と、を含む。一例では、第1部分および第2部分は一体化されている。第2部分は、X方向において第1コイル21の巻回部よりも外方に配置されている。
【0088】
図6に示すように、第1接続配線93Bは、第1配線層93Aと第1電極パッド54Aとを電気的に接続している。第1接続配線93Bは、平面視において第1電極パッド54Aと第1配線層93Aとの双方と重なる位置に設けられている。第1接続配線93Bは、Z方向に延びるビアとして形成されている。図6に示す例では、第1接続配線93Bは、第1ビア93BA、中間配線層93BB、および第2ビア93BCを含む。第1ビア93BAは、第1配線層93Aに接続されている。中間配線層93BBは、第1ビア93BA上に形成されている。中間配線層93BBは、第1ビア93BAに接続されている。第2ビア93BCは、中間配線層93BB上に形成されている。第2ビア93BCは、第1電極パッド54Aと中間配線層93BBとを接続している。第2ビア93BCのZ方向の長さは、第1ビア93BAのZ方向の長さよりも長い。
【0089】
図5に示すように、ビア93Cは、第1配線層93Aと第1コイル21の第1端部21Aとを電気的に接続している。ビア93Cは、平面視において第1コイル21の第1端部21Aと第1配線層93Aとの双方と重なる位置に配置されている。第1配線層93A、第1接続配線93B、およびビア93Cは、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。一例では、第1配線層93Aは、第1コイル21と同じ材料によって形成されていてよい。一例では、第1接続配線93Bおよびビア93Cは、第1コイル21とは異なる材料によって形成されていてよい。
【0090】
図4に示すように、第2接続部94は、第1電極パッド54Bに接続されている。つまり、第2接続部94は、第1コイル21の第2端部21Bと第1電極パッド54Bとを電気的に接続している。第2接続部94は、第1素子絶縁層92に埋め込まれている。つまり、第1コイル21と第1電極パッド54Bとは、第1素子絶縁層92内において互いに電気的に接続されている。
【0091】
図4および図5に示すように、第2接続部94は、第2配線層94Aおよび第2接続配線94Bを含む。
第2配線層94Aは、Z方向において第1コイル21と同じ位置に配置されている。つまり、第2配線層94Aは、第1配線層93Aよりも第1素子表面92A寄りに配置されている。第2配線層94Aは、平面視において第1コイル21の第2端部21Bから第1電極パッド54Bに向けてX方向に延びている。
【0092】
なお、第2配線層94AのZ方向の位置は任意に変更可能である。一例では、第2配線層94Aは、Z方向において第1配線層93Aと同じ位置に配置されていてもよい。つまり、第2配線層94Aは、Z方向において第1コイル21よりも第1素子裏面92B寄りに配置されていてもよい。
【0093】
第2接続配線94Bは、第2配線層94Aと第1電極パッド54Bとを電気的に接続している。第2接続配線94Bは、平面視において第1電極パッド54Bと第2配線層94Aとの双方と重なる位置に設けられている。第2接続配線94Bは、Z方向に延びるビアとして形成されている。第2配線層94Aおよび第2接続配線94Bは、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。一例では、第2配線層94Aは、第1コイル21と同じ材料によって形成されていてよい。一例では、第2接続配線94Bは、第1コイル21とは異なる材料によって形成されていてよい。
【0094】
ここで、本開示においては、第1接続部93の第1配線層93Aおよび第2接続部94の第2配線層94Aの双方は「第1ユニットの配線層」に対応している。第1接続部93の第1接続配線93Bおよび第2接続部94の第2接続配線94Bの双方は「第1ユニットの接続配線」に対応している。
【0095】
(第2ユニット)
図3図7、および図8を参照して、第2ユニット100の構成について説明する。
図7は、トランスチップ50の第2ユニット100の平面構造を示している。図8は、図7のF8-F8線で第2ユニット100を切断した断面構造であり、トランス15Aの第2コイル22の断面構造を主に示している。
【0096】
図3に示すように、第2ユニット100は、Z方向においてトランスチップ50のうち第1ユニット90に対して第1ダイパッド61とは反対側に配置されたユニットである。第2ユニット100は、第2半導体基板101と、第2半導体基板101に形成された第2素子絶縁層102と、を含む。
【0097】
第2半導体基板101は、Z方向を厚さ方向とする矩形板状に形成されている。第2半導体基板101は、第1半導体基板91と同様に、例えばSiを含む材料によって形成された半導体基板である。第1実施形態では、第2半導体基板101は、Si基板である。なお、第2半導体基板101には、ワイドバンドギャップ半導体または化合物半導体が用いられてもよい。
【0098】
第2素子絶縁層102は、Z方向において第2半導体基板101に対して第1ユニット90とは反対側に配置されている。第2素子絶縁層102は、第2チップ表面52を構成している。
【0099】
図7に示すように、第2素子絶縁層102は、平面視においてX方向が短手方向となり、Y方向が長手方向となる矩形状に形成されている。第2素子絶縁層102は、4つの第2素子側面102C~102Fを含む。第2素子側面102C,102Dは、第2素子絶縁層102のX方向の両端面を構成している。第2素子側面102E,102Fは、第2素子絶縁層102のY方向の両端面を構成している。X方向において、第2素子側面102Cは図2の封止樹脂80の樹脂側面81寄りの側面であり、第2素子側面102Dは樹脂側面82寄りの側面である。Y方向において、第2素子側面102Eは封止樹脂80の樹脂側面83寄りの側面であり、第2素子側面102Fは樹脂側面84寄りの側面である。
【0100】
第2ユニット100は、トランス15A,15Bの第2コイル22を含む。より詳細には、第2素子絶縁層102内には、トランス15A,15Bの第2コイル22が設けられている。
【0101】
トランス15Aの第2コイル22およびトランス15Bの第2コイル22は、X方向において互いに同じ位置であってY方向において互いに離隔して配列されている。トランス15Aの第2コイル22は、トランス15Bの第2コイル22よりも第2素子側面102F寄りに配置されている。また、これら第2コイル22は、X方向において第2素子絶縁層102の中央よりも第2素子側面102C寄りに配置されている。より詳細には、第2コイル22のX方向の中央は、第2素子絶縁層102のX方向の中央よりも第2素子側面102C寄りに位置している。
【0102】
図8に示すように、第2素子絶縁層102は、複数の第1絶縁膜102Pおよび複数の第2絶縁膜102Qを含む。複数の第1絶縁膜102Pおよび複数の第2絶縁膜102Qは、Z方向において1つずつ交互に積層されている。このため、Z方向は、第2素子絶縁層102の厚さ方向であるともいえる。
【0103】
第1絶縁膜102Pは、エッチングストッパ膜であり、例えばSiN、SiC、SiCNのうち少なくとも1つを含む材料によって形成されている。また、第1絶縁膜102Pは、例えばCuの拡散防止の機能を有してよい。つまり、第1絶縁膜102Pは、Cuの拡散防止膜であってよい。
【0104】
第2絶縁膜102Qは、層間絶縁膜であり、例えばSiOを含む材料によって形成された酸化膜である。第2絶縁膜102Qは、第1絶縁膜102Pよりも厚い膜厚を有する。一例では、第2絶縁膜102Qは、第1素子絶縁層92の第2絶縁膜92Q(図5参照)と同じ膜厚を有してよい。一例では、第1絶縁膜102Pは、第1素子絶縁層92の第1絶縁膜92P(図5参照)と同じ膜厚を有してよい。第1絶縁膜102Pは、例えば50nm以上1000nm未満の膜厚を有する。第2絶縁膜102Qは、例えば500nm以上5000nm以下の膜厚を有する。第1実施形態では、第1絶縁膜102Pは300nm程度の膜厚を有し、第2絶縁膜102Qは2000nm程度の膜厚を有する。また、一例では、第1絶縁膜102Pの数は第1素子絶縁層92の第1絶縁膜92Pの数と同じであってよい。第2絶縁膜102Qの数は第1素子絶縁層92の第2絶縁膜92Qと同じであってよい。このように、複数の第1絶縁膜102Pおよび複数の第2絶縁膜102Qの積層体である絶縁体102Rの厚さは、絶縁体92R(図5参照)の厚さと等しくてよい。なお、図面を容易に理解するため、図面における第1絶縁膜102Pの膜厚と第2絶縁膜102Qの膜厚との比率は、実際の第1絶縁膜102Pの膜厚と第2絶縁膜102Qの膜厚との比率とは異なる。
【0105】
第2素子絶縁層102は、Z方向において互いに反対側を向く第2素子表面102Aおよび第2素子裏面102Bを有する。第2素子表面102Aは、トランスチップ50の第2チップ表面52を構成している。第2素子裏面102Bは、トランスチップ50のチップ裏面53(ともに図3参照)と同じ側を向いている。第2素子裏面102Bは第2半導体基板101に接している。一例では、第2素子裏面102Bは第2絶縁膜102Qによって構成されている。
【0106】
第2素子絶縁層102は、第2素子表面102Aの側に形成された保護層102Gおよびパッシベーション層102Hを含む。
保護層102Gは、絶縁体102Rを保護する膜である。保護層102Gは、絶縁体102R上に形成されている。保護層102Gは、例えばSiOを含む材料によって形成されている。一例では、保護層102Gは、平面視において絶縁体102Rの全面にわたり形成されている。
【0107】
パッシベーション層102Hは、第2ユニット100の表面保護膜である。パッシベーション層102Hは、保護層102G上に形成されている。パッシベーション層102Hは、例えばSiN、SiOのうち少なくとも1つを含む材料によって形成されている。パッシベーション層102Hは、例えばSiOを含む材料によって形成されている。一例では、パッシベーション層102Hは、平面視において保護層102Gの全面にわたり形成されている。
【0108】
第2コイル22は、Z方向において第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aから離隔した位置で第2素子絶縁層102に埋め込まれている。また、第2コイル22は、Z方向において第2素子裏面102Bから離隔した位置に配置されている。つまり、第2コイル22は、第2素子絶縁層102から露出していない。図8に示す例では、第2コイル22は、Z方向において第2素子絶縁層102の第2素子裏面102Bよりも第2素子表面102A寄りに配置されている。換言すると、第2コイル22と第2素子裏面102BとのZ方向の間の距離DB1は、第2コイル22と第2素子表面102AとのZ方向の間の距離DB2よりも大きい。一例では、距離DB1は、距離DB2の2倍以上であってよい。一例では、距離DB1は、距離DB2の3倍以下であってよい。なお、距離DB1と距離DB2との関係は任意に変更可能である。一例では、距離DB1は、距離DB2よりも大きくかつ距離DB2の2倍未満であってもよい。
【0109】
図7に示すように、第2コイル22は、平面視において渦巻き状に形成されている。第2コイル22は、第1端部22Aおよび第2端部22Bを含む。第1端部22Aは、平面視において第2コイル22の巻回部の内方の端部を構成している。第2端部22Bは、平面視において第2コイル22の巻回部よりも外方の端部を構成している。なお、第2コイル22の巻回数は、トランスチップ50の電気的特性に応じて任意に変更可能である。第2コイル22は、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。一例では、第2コイル22は、Cuを含む材料によって形成されている。つまり、第2コイル22は、第1コイル21(図4参照)と同じ材料によって形成されていてよい。なお、第2コイル22を構成する材料は任意に変更可能である。一例では、第2コイル22は、第1コイル21とは異なる材料によって形成されていてよい。
【0110】
第2ユニット100は、複数の第2電極パッド55を含む。第2電極パッド55は、第1電極パッド54に対応させて4つ設けられている。より詳細には、トランス15Aの第2コイル22に対して2つの第2電極パッド55が設けられ、トランス15Bの第2コイル22に対して2つの第2電極パッド55が設けられている。以降では、トランス15Aの第2コイル22に対応する2つの第2電極パッド55を便宜上、「第2電極パッド55A」および「第2電極パッド55B」と称する場合がある。
【0111】
第2電極パッド55Aは、平面視において第2コイル22と重なる位置に配置されている。より詳細には、第2電極パッド55Aは、平面視において第2コイル22の第1端部22Aと重なる位置に配置されている。
【0112】
第2電極パッド55Bは、平面視において第2コイル22とは異なる位置に配置されている。より詳細には、第2電極パッド55Bは、平面視において第2コイル22よりも第2素子側面102D寄りに配置されている。
【0113】
図8に示すように、各第2電極パッド55は、第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aと面一となるように形成されている。一例では、各第2電極パッド55は、絶縁体102R上に設けられており、保護層102Gおよびパッシベーション層102Hによって覆われている。一方、各第2電極パッド55は、パッシベーション層102Hと面一となるように形成されている。このため、各第2電極パッド55は、第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aから露出するように第2素子絶縁層102に設けられている。
【0114】
第2ユニット100は、第1接続部103および第2接続部104を含む。第1接続部103および第2接続部104は、第2素子絶縁層102内に設けられている。第1接続部103および第2接続部104は、第2コイル22と、この第2コイル22に対応する2つの第2電極パッド55とを電気的に接続している。このように、第2コイル22と2つの第2電極パッド55とは、第2素子絶縁層102内において電気的に接続されている。
【0115】
第1接続部103は、第2コイル22の第1端部22Aと第2電極パッド55Aとを電気的に接続している。第1接続部105は、平面視において第1端部22Aと第1電極パッド54Aとの双方と重なる位置に設けられている。第1接続部105は、第1端部22Aから第2素子絶縁層102をZ方向に貫通するようにZ方向に延びるビアである。第1接続部105は、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。
【0116】
第2接続部104は、第2コイル22の第2端部22Bと第2電極パッド55Bとを電気的に接続している。第2接続部104は、第2端部22Bに接続された配線層104Aと、配線層104Aと第2電極パッド55Bとを接続するビア104Bと、を含む。
【0117】
配線層104Aは、Z方向において第2コイル22と同じ位置に配置されている。配線層104Aは、第2コイル22の第2端部22Bから第2電極パッド55Bに向けてX方向に沿って延びている。ビア104Bは、平面視において配線層104Aと第2電極パッド55Bとの双方と重なる位置に設けられている。配線層104Aおよびビア104Bは、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。一例では、配線層104Aは、第2コイル22と同じ材料によって形成されていてよい。一例では、ビア104Bは、第2コイル22とは異なる材料によって形成されていてよい。
【0118】
なお、配線層104AのZ方向の位置は任意に変更可能である。一例では、配線層104Aは、Z方向において第2コイル22よりも第2素子表面102A寄りに配置されていてもよい。
【0119】
ここで、本開示においては、第2接続部104の配線層104Aは「第2ユニットの配線層」に対応している。第2接続部104のビア104Bは「第2ユニットの接続配線」に対応している。
【0120】
(トランスチップ)
図9図13を参照して、トランスチップ50について説明する。
図9は、第1ユニット90と第2ユニット100とを接合する過程を示す模式的な断面構造を示している。図10は、トランスチップ50の平面構造を示している。図11は、図10のF11-F11線でトランスチップ50を切断した断面構造であり、トランス15Aの第1コイル21および第2コイル22の断面構造を主に示している。図12は、図10のF12-F12線でトランスチップ50を切断した断面構造であり、トランス15Aの第1接続部93,103の断面構造を主に示している。図13は、図10のF13-F13線でトランスチップ50を切断した断面構造であり、図11とは異なる方向のトランス15Aの第1コイル21および第2コイル22の断面構造を主に示している。
【0121】
図9に示すように、第2ユニット100は、第2半導体基板101が第1ユニット90の第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aと対面するように配置されている。また、第2ユニット100の第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aは、Z方向において第2半導体基板101に対して第1ユニット90とは反対側に配置されている。このため、第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aは、トランスチップ50の第2チップ表面52を構成している。
【0122】
第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aのうち第2ユニット100が配置される領域には、絶縁性接合材110が塗布されている。絶縁性接合材110は、エポキシ樹脂およびビスマレイミド樹脂の少なくとも1つを含む。一例では、絶縁性接合材110としては、エポキシ樹脂、フェノール系硬化剤、およびシリカを含む接合材が用いられていてもよい。また別の一例では、絶縁性接合材110としては、ビスマレイミド樹脂、フルオロポリマー、および変形シランを含む接合材が用いられていてもよい。
【0123】
図10に示すように、第2ユニット100は、X方向において第2素子側面102Dが第1ユニット90の第1素子側面92Dの近くとなり、第2素子側面102Cが第1ユニット90の第1素子側面92Cの近くとなるように配置されている。
【0124】
図11に示すように、第2ユニット100が絶縁性接合材110によって第1ユニット90に接合された状態(以下、「ユニット接合状態」という)において、第2ユニット100は、絶縁性接合材110上に載置されている。このため、第2半導体基板101は絶縁性接合材110に接している。つまり、絶縁性接合材110は、第2半導体基板101と第1素子絶縁層92とを接合している。このように、第2半導体基板101と第1素子絶縁層92とのZ方向の間には絶縁性接合材110が介在している。このため、第2半導体基板101は、第1素子絶縁層92からZ方向に離隔した位置に配置されている。つまり、第2半導体基板101は第1素子絶縁層92と直接接合されていない。
【0125】
図10および図11に示すとおり、平面視において第2ユニット100は第1ユニット90よりも小さい。より詳細には、平面視において第2ユニット100のX方向の寸法は第1ユニット90のX方向の寸法よりも小さく、第2ユニット100のY方向の寸法は第1ユニット90のY方向の寸法よりも小さい。このため、第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aは、平面視において第2ユニット100の周囲を囲む矩形枠状の露出領域51Aを含む。この露出領域51Aは、トランスチップ50の第1チップ表面51を構成している。露出領域51Aは、第1素子側面92Cと第2素子側面102CとのX方向の間の第1領域51AA、第1素子側面92Dと第2素子側面102DとのX方向の間の第2領域51AB、第1素子側面92Eと第2素子側面102EとのY方向の間の第3領域51AC、および第1素子側面92Fと第2素子側面102FとのY方向の間の第4領域51ADを含む。
【0126】
図10に示す例では、第2ユニット100は、X方向において第1素子側面92Cよりも第1素子側面92D寄りに配置されている。より詳細には、平面視において、第1素子側面92Dと第2素子側面102DとのX方向の間の距離は、第1素子側面92Cと第2素子側面102CとのX方向の間の距離よりも小さい。このため、第1領域51AAの幅(X方向の寸法)は、第2領域51ABの幅(X方向の寸法)よりも大きい。
【0127】
図10に示す例では、第2ユニット100は、Y方向において第1素子側面92Eよりも第1素子側面92F寄りに配置されている。より詳細には、平面視において、第1素子側面92Fと第2素子側面102FとのY方向の間の距離は、第1素子側面92Eと第2素子側面102EとのY方向の間の距離よりも小さい。このため、第3領域51ACの幅(Y方向の寸法)は、第4領域51ADの幅(Y方向の寸法)よりも大きい。なお、図10に示す例では、第1領域51AAの幅は第3領域51ACの幅よりも大きい。第3領域51ACの幅は、第2領域51ABの幅よりも大きい。なお、平面視における第1ユニット90に対する第2ユニット100の配置位置は任意に変更可能である。
【0128】
図10に示すように、平面視において、第1電極パッド54は、第2ユニット100とは異なる位置に設けられている。より詳細には、第1電極パッド54は、露出領域51Aに設けられている。平面視において、第1電極パッド54は、第2ユニット100よりも第1素子側面92C寄りに配置されている。つまり、第1電極パッド54は、第1領域51AAに設けられている。
【0129】
図11に示すように、ユニット接合状態において、第1コイル21と第2コイル22とがZ方向において対向配置されている。一例では、第1コイル21と第1素子表面92AとのZ方向の間の距離DA1は、第2コイル22と第2素子表面102AとのZ方向の間の距離DB1よりも小さい。換言すると、距離DB1は、距離DA1よりも大きい。なお、距離DA1,DB1はそれぞれ任意に変更可能である。一例では、距離DA1が距離DB1よりも大きくてもよい。また一例では、距離DB1が距離DA1と等しくてもよい。ここで、距離DA1と距離DB1との差が例えば距離DA1の10%以内であれば、距離DA1が距離DB1と等しいといえる。
【0130】
第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間には、第2ユニット100の第2半導体基板101と絶縁性接合材110とが介在している。このため、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離は、距離DA1および距離DB1と、第2半導体基板101の厚さT2および絶縁性接合材110の厚さT3との合計(DA1+DB1+T2+T3)となる。
【0131】
図12および図13に示すように、第1ユニット90における第1接続部93の第1配線層93Aは、Z方向において第1コイル21に対して第2コイル22とは反対側に配置されている。図13に示すように、第2ユニット100における第1接続部103は、Z方向において第2コイル22に対して第1コイル21とは反対側に配置されている。このため、第1配線層93Aと第1接続部103とのZ方向の間の距離は、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離(DA1+DB1+T2+T3)よりも大きくなる。
【0132】
図11に示すように、第1ユニット90における第2接続部94の第2配線層94Aは、Z方向において第1コイル21と同じ位置に配置されている。第2ユニット100における第2接続部104の配線層104Aは、Z方向において第2コイル22と同じ位置に配置されている。このため、第2配線層94Aと配線層104AとのZ方向の間の距離は、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離(DA1+DB1+T2+T3)と等しい。
【0133】
このように、耐圧が関係する第1コイル21、第2コイル22、第1接続部93,103、および第2接続部94,104のうち最も距離が短くなるのは、第1コイル21と第2コイル22との間の距離(DA1+DB1+T2+T3)と、第2配線層94Aと配線層104AとのZ方向の間の距離とになる。つまり、トランスチップ50の耐圧は、第1コイル21と第2コイル22との間の距離(DA1+DB1+T2+T3)および第2配線層94Aと配線層104AのZ方向の間の距離に応じて決められる。
【0134】
[半導体基板]
次に、図11を参照して、第1ユニット90の第1半導体基板91および第2ユニット100の第2半導体基板101について説明する。
【0135】
図11に示すとおり、第2半導体基板101は第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間に配置されているため、第1コイル21と第2コイル22とによって形成された磁界の磁束が通過する。このため、第2半導体基板101は、磁界への影響を低減できる高抵抗な半導体基板が用いられることが好ましい。
【0136】
一例では、第2半導体基板101の抵抗率は、第1半導体基板91の抵抗率よりも高い。一例では、第2半導体基板101の抵抗率は、100Ωcm以上10000Ωcm未満である。好ましくは、第2半導体基板101の抵抗率は、1000Ωcm以上10000Ωcm未満である。好ましくは、第2半導体基板101の抵抗率は、5000Ωcm以上10000Ωcm未満である。
【0137】
なお、第1半導体基板91の抵抗率は任意に変更可能である。一例では、第1半導体基板91の抵抗率は、100Ωcm以上10000Ωcm未満であってもよい。この場合、第2半導体基板101の抵抗率は、第1半導体基板91の抵抗率と等しくてもよい。つまり、第1半導体基板91および第2半導体基板101の抵抗率は、100Ωcm以上10000Ωcm未満であってもよい。好ましくは、第1半導体基板91および第2半導体基板101の抵抗率は、1000Ωcm以上10000Ωcm未満である。好ましくは、第1半導体基板91および第2半導体基板101の抵抗率は、5000Ωcm以上10000Ωcm未満である。
【0138】
このような半導体基板の抵抗率は、不純物濃度によって調整することができる。つまり、半導体基板の不純物濃度が低くなるほど、半導体基板の抵抗率が高くなる。このため、第2半導体基板101の不純物濃度は、例えば第1半導体基板91の不純物濃度よりも低い。一例では、第2半導体基板101の不純物濃度は、1×1013cm-3以上1×1014cm-3以下である。
【0139】
なお、第1半導体基板91の不純物濃度は任意に変更可能である。一例では、第1半導体基板91の不純物濃度は、1×1013cm-3以上1×1014cm-3以下であってもよい。この場合、第2半導体基板101の不純物濃度は、第1半導体基板91の不純物濃度と等しくてもよい。つまり、第1半導体基板91および第2半導体基板101の不純物濃度は、1×1013cm-3以上1×1014cm-3以下であってもよい。
【0140】
また、図11に示す例では、第2半導体基板101の厚さT2は、第1半導体基板91の厚さT1よりも薄い。第2半導体基板101の厚さT2は、第2素子絶縁層102の厚さTBよりも厚い。
【0141】
なお、第2半導体基板101の厚さT2は任意に変更可能である。第2半導体基板101の厚さT2は、第1半導体基板91の厚さT1と等しくてもよい。また、第2半導体基板101の厚さT2は、第1半導体基板91の厚さT1よりも厚くてもよい。
【0142】
[トランスチップの製造方法]
図14を参照して、トランスチップ50の製造方法の一例について説明する。図14は、トランスチップ50の製造過程の一例を模式的に示している。
【0143】
図14に示すように、トランスチップ50の製造方法は、第1半導体ウエハ800および第2半導体ウエハ900を用意する工程を含む。第1半導体ウエハ800は、複数の第1ユニット90が形成されたウエハである。第1半導体ウエハ800としては、例えばSiウエハが用いられる。第2半導体ウエハ900は、複数の第2ユニット100が形成されたウエハである。第2半導体ウエハ900としては、例えばSiウエハが用いられる。
【0144】
続いて、トランスチップ50の製造方法は、第2半導体ウエハ900を個片化する工程を含む。一例では、ダイシング加工によって第2半導体ウエハ900が切断される。より詳細には、第2半導体ウエハ900は、ダイシングテープ910上に配置される。続いて、ダイシングブレード920によって第2半導体ウエハ900が切断される。これにより、複数の第2ユニット100が製造される。
【0145】
続いて、トランスチップ50の製造方法は、複数の第2ユニット100を第1半導体ウエハ800に接合する工程を含む。この工程では、第2ユニット100は、第1半導体ウエハ800のうち第1ユニット90が形成された領域に接合される。
【0146】
より詳細には、第1半導体ウエハ800のうち第1ユニット90が形成された領域に絶縁性接合材110が塗布される。続いて、第2ユニット100の第2半導体基板101と第1ユニット90の第1素子表面92A(図11参照)とが互いに対向する向きにおいて第2ユニット100が絶縁性接合材110上に載置される。続いて、例えば硬化処理によって絶縁性接合材110を硬化させる。硬化処理としては、例えば絶縁性接合材110を加熱することによって硬化させる処理、および絶縁性接合材110に紫外線を照射することによって硬化させる処理の少なくとも一方が用いられてよい。以上の工程を経て、絶縁性接合材110によって第2ユニット100が第1半導体ウエハ800に接合される。
【0147】
続いて、トランスチップ50の製造方法は、第1半導体ウエハ800を個片化する工程を含む。一例では、ダイシング加工によって第1半導体ウエハ800が切断される。以上の工程を経て、トランスチップ50が製造される。
【0148】
[作用]
第1実施形態の作用について説明する。
従来から基板を構成するSiウエハ上に素子絶縁層が形成された後、ダイシング加工を用いて個片化されることによって複数の半導体チップ(第1実施形態ではトランスチップ50)が製造される方法が知られている。この方法では、Siウエハ上の素子絶縁層の厚さが厚くなると、Siウエハの反り量が増加してしまう。
【0149】
一方、トランスチップの絶縁耐圧の向上を図るためには、第1コイルと第2コイルとのZ方向の間の距離を大きくとる必要がある。しかし、Siウエハの反り量の増大の懸念から素子絶縁層を厚くすることが困難であるため、第1コイルと第2コイルとの間の距離を大きくとることができない。その結果、トランスチップの絶縁耐圧の向上が困難であった。
【0150】
この点、第1実施形態では、トランスチップ50は、第1素子絶縁層92を含む第1ユニット90と第2素子絶縁層102を含む第2ユニット100とを互いに接合した構造である。より詳細には、第1ユニット90は、Siウエハ(第1半導体ウエハ800)によって形成された第1半導体基板91および第1素子絶縁層92に第1コイル21が設けられている。第2ユニット100は、Siウエハ(第2半導体ウエハ900)によって形成された第2半導体基板101および第2素子絶縁層102に第2コイル22が設けられている。そして、第1素子絶縁層92と第2素子絶縁層102とが接合されているため、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の素子絶縁層は、個別に形成された第1素子絶縁層92と第2素子絶縁層102との貼り合わせによって構成されている。このため、第1素子絶縁層92の厚さTA(図5参照)および第2素子絶縁層102の厚さTB(図8参照)をそれぞれ過度に厚くしなくても、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離を大きくとることができる。したがって、第1半導体ウエハ800および第2半導体ウエハ900の反り量が増大することを抑制しつつ、トランスチップ50の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【0151】
加えて、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間には、第2半導体基板101および絶縁性接合材110が介在している。つまり、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間には、素子絶縁層(第1素子絶縁層92および第2素子絶縁層102)以外の部材が介在している。このため、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離をさらに大きくとることができる。また、第2半導体基板101は、第1コイル21と第2コイル22との間の磁界への影響を低減するように高抵抗の半導体基板によって構成されている。これにより、トランスチップ50の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【0152】
[効果]
第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1-1)トランスチップ50は、第1ユニット90と、第1ユニット90上に設けられた第2ユニット100と、第1ユニット90と第2ユニット100とを接合する絶縁性接合材110と、を備える。第1ユニット90は、第2ユニット100の側を向く第1素子表面92A、および第1素子表面92Aとは反対側の第1素子裏面92Bを含む第1素子絶縁層92と、Z方向において第1素子表面92Aから離隔した位置で第1素子絶縁層92に埋め込まれた第1コイル21と、を含む。第2ユニット100は、第2素子表面102A、および第2素子表面102Aとは反対側の第2素子裏面102Bを含む第2素子絶縁層102と、Z方向において第2素子表面102Aから離隔した位置で第2素子絶縁層102に埋め込まれた第2コイル22と、第2素子裏面102Bと接する第2半導体基板101と、を含む。絶縁性接合材110によって第2ユニット100が第1ユニット90上に接合されたユニット接合状態において、Z方向において第1コイル21と第2コイル22とが対向配置されている。絶縁性接合材110は、第1素子絶縁層92と第2半導体基板101とを接合している。
【0153】
この構成によれば、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の素子絶縁層を第1素子絶縁層92および第2素子絶縁層102のように個別に形成することができる。そして、積層された第1素子絶縁層92および第2素子絶縁層102によって形成された素子絶縁層内に第1コイル21および第2コイル22がそれぞれ設けられているため、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離を大きくとることができる。したがって、トランスチップ50の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【0154】
加えて、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間には、第2半導体基板101および絶縁性接合材110が介在しているため、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離をさらに大きくとることができる。したがって、トランスチップ50の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【0155】
(1-2)第1ユニット90は、第1素子絶縁層92の第1素子裏面92Bと接する第1半導体基板91を含む。第2半導体基板101の不純物濃度は、第1半導体基板91の不純物濃度よりも低い。
【0156】
この構成によれば、第2半導体基板101が第1半導体基板91よりも高抵抗の半導体基板によって構成されているため、第2半導体基板101が第1コイル21と第2コイル22との間の磁界に影響を与えることを抑制することができる。
【0157】
(1-3)第2半導体基板101の不純物濃度は、1×1013cm-3以上1×1014cm-3以下である。
この構成によれば、第2半導体基板101が高抵抗の半導体基板によって構成されているため、第2半導体基板101が第1コイル21と第2コイル22との間の磁界に影響を与えることを抑制することができる。
【0158】
(1-4)第2半導体基板101の抵抗率は、第1半導体基板91の抵抗率よりも高い。
この構成によれば、第2半導体基板101が第1半導体基板91よりも高抵抗の半導体基板によって構成されているため、第2半導体基板101が第1コイル21と第2コイル22との間の磁界に影響を与えることを抑制することができる。
【0159】
(1-5)第2半導体基板101の抵抗率は、100Ωcm以上10000Ωcm未満である。
この構成によれば、第2半導体基板101が高抵抗の半導体基板によって構成されているため、第2半導体基板101が第1コイル21と第2コイル22との間の磁界に影響を与えることを抑制することができる。
【0160】
(1-6)第2半導体基板101の不純物濃度は、第1半導体基板91と等しくてもよい。この場合、第1半導体基板91および第2半導体基板101の不純物濃度は、1×1013cm-3以上1×1014cm-3以下である。
【0161】
この構成によれば、第2半導体基板101が高抵抗の半導体基板によって構成されているため、第2半導体基板101が第1コイル21と第2コイル22との間の磁界に影響を与えることを抑制することができる。
【0162】
(1-7)第2半導体基板101の抵抗率は、第1半導体基板91の抵抗率と等しくてもよい。この場合、第1半導体基板91および第2半導体基板101の抵抗率は、100Ωcm以上10000Ωcm未満である。
【0163】
この構成によれば、第2半導体基板101が高抵抗の半導体基板によって構成されているため、第2半導体基板101が第1コイル21と第2コイル22との間の磁界に影響を与えることを抑制することができる。
【0164】
(1-8)第2ユニット100は、平面視において第1ユニット90よりも小さく形成されている。第1ユニット90は、第1コイル21と電気的に接続され、第1素子表面92Aから露出するように第1素子絶縁層92に設けられた第1電極パッド54を含む。第2ユニット100は、第2コイル22と電気的に接続され、第2素子表面102Aから露出するように第2素子絶縁層102に設けられた第2電極パッド55を含む。ユニット接合状態において、第1電極パッド54が平面視において第2ユニット100とは異なる位置に設けられている。
【0165】
この構成によれば、第1電極パッド54が第1ユニット90の第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aから露出している。これにより、第1電極パッド54が第2ユニット100の第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aから露出した構成と比較して、第1コイル21と第1電極パッド54との間の導電経路の長さを短くすることができる。つまり、Z方向における導電経路の長さを短くすることができる。したがって、第1電極パッド54と第1コイル21との間の接続配線を容易に形成することができる。
【0166】
また、第2電極パッド55が第2ユニット100の第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aから露出している。これにより、第2電極パッド55が第1ユニット90の第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aから露出した構成と比較して、第2コイル22と第2電極パッド55との間の導電経路の長さを短くすることができる。また、第1素子絶縁層92に第2コイル22と第2電極パッド55との間の導電経路を設ける必要がなくなる。したがって、第2電極パッド55と第2コイル22との間の接続配線を容易に形成することができる。
【0167】
(1-9)第1コイル21は、Z方向において第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aよりも第1素子裏面92B寄りに配置されている。
この構成によれば、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離を大きくとることができる。したがって、トランスチップ50の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【0168】
(1-10)第2コイル22は、Z方向において第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aよりも第2素子裏面102B寄りに配置されている。
この構成によれば、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離を大きくとることができる。したがって、トランスチップ50の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【0169】
(1-11)第1ユニット90は、第1素子絶縁層92内に設けられ、第1コイル21の第1端部21Aと電気的に接続された第1配線層93Aと、第1素子絶縁層92内に設けられ、第1配線層93Aと第1電極パッド54Aとを電気的に接続する第1接続配線93Bと、を含む。
【0170】
この構成によれば、第1コイル21の第1端部21Aと第1電極パッド54Aとを第1ユニット90内(第1素子絶縁層92内)で電気的に接続することができる。したがって、第1ユニット90の外部において第1コイル21の第1端部21Aと第1電極パッド54Aとを電気的に接続する構成と比較して、第1コイル21の第1端部21Aと第1電極パッド54Aとの導電経路の長さを短くすることができる。
【0171】
(1-12)第1ユニット90は、第1素子絶縁層92内に設けられ、第1コイル21の第2端部21Bと電気的に接続された第2配線層94Aと、第1素子絶縁層92内に設けられ、第2配線層94Aと第1電極パッド54Bとを電気的に接続する第2接続配線94Bと、を含む。
【0172】
この構成によれば、第1コイル21の第2端部21Bと第1電極パッド54Bとを第1ユニット90内(第1素子絶縁層92内)で電気的に接続することができる。したがって、第1ユニット90の外部において第1コイル21の第2端部21Bと第1電極パッド54Bとを電気的に接続する構成と比較して、第1コイル21の第2端部21Bと第1電極パッド54Bとの導電経路の長さを短くすることができる。
【0173】
(1-13)第2ユニット100は、第2素子絶縁層102内に設けられ、第2コイル22の第1端部22Aと第2電極パッド55Aとを電気的に接続する第1接続部103を含む。
【0174】
この構成によれば、第2コイル22の第1端部22Aと第2電極パッド55Aとを第2ユニット100内(第2素子絶縁層102内)で電気的に接続することができる。したがって、第2ユニット100の外部において第2コイル22の第1端部22Aと第2電極パッド55Aとを電気的に接続する構成と比較して、第2コイル22の第1端部22Aと第2電極パッド55Aとの導電経路の長さを短くすることができる。
【0175】
(1-14)第2ユニット100は、第2素子絶縁層102内に設けられ、第2コイル22の第2端部22Bと電気的に接続された配線層104Aと、配線層104Aと第2電極パッド55Bとを電気的に接続するビア104Bを含む。
【0176】
この構成によれば、第2コイル22の第2端部22Bと第2電極パッド55Bとを第2ユニット100内(第2素子絶縁層102内)で電気的に接続することができる。したがって、第2ユニット100の外部において第2コイル22の第2端部22Bと第2電極パッド55Bとを電気的に接続する構成と比較して、第2コイル22の第2端部22Bと第2電極パッド55Bとの導電経路の長さを短くすることができる。
【0177】
<第2実施形態>
図15図17を参照して、第2実施形態の信号伝達装置10について説明する。第2実施形態の信号伝達装置10では、第1実施形態の信号伝達装置10と比較して、トランスチップ50に代えてキャパシタチップ130を用いられている点が異なる。以下の説明において、第1実施形態の構成要素と共通する構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0178】
図15は、第1実施形態の信号伝達装置10の回路構成の一例を簡略化して示している。図16は、キャパシタチップ130の平面構造を模式的に示している。図17は、図16のF17-F17線でキャパシタチップ130を切断した断面構造であり、後述するキャパシタ120Aの断面構造を主に示している。
【0179】
図15に示すように、信号伝達装置10は、トランス15A,15Bに代えて、キャパシタ120A,120Bを備える。
キャパシタ120Aは、1次側回路13から2次側回路14にセット信号を伝達する一方、1次側回路13と2次側回路14とを電気的に絶縁している。キャパシタ120Aは、キャパシタ120Aの電極を構成する第1電極板121および第2電極板122を有する。キャパシタ120Aの第1電極板121は1次側信号線16Aに電気的に接続され、第2電極板122は2次側信号線17Aに電気的に接続されている。
【0180】
キャパシタ120Bは、1次側回路13から2次側回路14にリセット信号を伝達する一方、1次側回路13と2次側回路14とを電気的に絶縁している。キャパシタ120Bは、第1電極板121および第2電極板122を有する。キャパシタ120Bの第1電極板121は1次側信号線16Bに電気的に接続され、第2電極板122は2次側信号線17Bに電気的に接続されている。ここで、第2実施形態では、キャパシタ120A,120Bの第1電極板121は「第1絶縁素子」に対応し、キャパシタ120A,120Bの第2電極板122は「第2絶縁素子」に対応している。
【0181】
信号伝達装置10の絶縁耐圧は、例えば2500Vrms以上7500Vrms以下である。第2実施形態の信号伝達装置10の絶縁耐圧は、第1実施形態と同様に、5000Vrms程度である。ただし、信号伝達装置10の絶縁耐圧の具体的な数値はこれに限られず任意に変更可能である。
【0182】
図16および図17に示すように、第2実施形態の信号伝達装置10は、トランスチップ50(図2参照)に代えて、キャパシタチップ130を備える。なお、キャパシタ120Bは、キャパシタ120Aと同様の構成であるため、その詳細な説明を省略する。ここで、第2実施形態では、キャパシタチップ130は、「絶縁チップ」の一例である。
【0183】
キャパシタチップ130は、トランスチップ50のトランス15A,15Bをキャパシタ120A,120Bに変更した構成である。このため、キャパシタチップ130において、トランスチップ50と共通する構成要素にはトランスチップ50の構成要素と同一符号を付し、その説明を省略する。
【0184】
キャパシタチップ130は、トランスチップ50と同様に、Y方向から視て凸状に形成されている。キャパシタチップ130は、第1チップ表面131および第2チップ表面132と、これらチップ表面131,132とは反対側を向くチップ裏面133と、を有する。図示していないが、キャパシタチップ130のチップ裏面133は、導電性接合材SDによって第1ダイパッド61(ともに図3参照)に接合されている。第2チップ表面132は、Z方向において第1チップ表面131に対して第1ダイパッド61とは反対側に位置している。換言すると、第1チップ表面131は、Z方向において第2チップ表面132よりも第1ダイパッド61の近くに配置されている。
【0185】
図16および図17に示すように、キャパシタチップ130の第1チップ表面131には、複数の第1電極パッド54が形成されている。複数の第1電極パッド54は、第1チップ表面131のX方向の両端部のうち第1チップ30(図3参照)に近い方の端部に形成されている。複数の第1電極パッド54は、Y方向において互いに離隔して配列されている。
【0186】
キャパシタチップ130の第2チップ表面132には、複数の第2電極パッド55が形成されている。複数の第2電極パッド55は、X方向およびY方向において互いに離隔して配列されている。
【0187】
キャパシタチップ130は、第1ユニット140と、第1ユニット140上に接合された第2ユニット150と、を備える。
第1ユニット140は、Z方向を厚さ方向とする矩形平板状に形成されている。平面視において、第1ユニット140は、X方向が短手方向となり、Y方向が長手方向となる矩形状に形成されている。
【0188】
第1ユニット140は、第1電極パッド54、第1半導体基板91、第1素子絶縁層92、キャパシタ120A,120Bの第1電極板121、および接続部141を備える。
図16に示すように、第1電極パッド54は、平面視において第2ユニット150よりも第1素子絶縁層92の第1素子側面92C寄りに配置されている。第1電極パッド54の数は、キャパシタ120A,120Bの数に応じて設定される。具体的には、第1電極パッド54の数は、キャパシタ120A,120Bの数と同じである。第2実施形態では、キャパシタ120A,120Bの合計が2つであるため、第1電極パッド54の数は2つである。
【0189】
2つの第1電極パッド54は、X方向において互いに同じ位置であってY方向において離隔して配列されている。Y方向において、各第1電極パッド54は、キャパシタ120A,120Bの第1電極板121と同じ位置となるように配置されている。
【0190】
キャパシタ120A,120Bの第1電極板121は、Z方向が厚さ方向となる平板状に形成された電極板である。平面視における第1電極板121の形状は、例えば矩形状である。これらの第1電極板121は、X方向において同じ位置であってY方向において互いに離隔して配列されている。
【0191】
図17に示すように、第1電極板121は、第1素子絶縁層92に埋め込まれている。より詳細には、第1電極板121は、第1素子絶縁層92の第1素子表面92AからZ方向に離隔した位置に配置されている。第1電極板121は、第1素子絶縁層92の第1素子裏面92BからZ方向に離隔した位置に配置されている。このため、第1電極板121は、第1素子絶縁層92から露出していない。このように、第1電極板121は、第1素子絶縁層92に埋め込まれている。第1電極板121は、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。一例では、第1電極板121は、Cuを含む材料によって形成されている。なお、平面視における第1電極板121の形状は任意に変更可能である。
【0192】
第1電極板121は、Z方向において第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aよりも第1素子裏面92B寄りに配置されている。つまり、第1電極板121と第1素子表面92AとのZ方向の間の距離DD1は、第1電極板121と第1素子裏面92BとのZ方向の間の距離DD2よりも大きい。一例では、距離DD1は、距離DD2の3倍以下であってよい。一例では、距離DD1は、距離DD2の2倍以下であってよい。なお、距離DD1,DD2は任意に変更可能である。一例では、距離DD1は、距離DD2の2倍よりも大きくてもよい。
【0193】
接続部141は、第1電極パッド54と第1電極板121とを接続している。接続部141は、X方向に延びる配線層141Aと、Z方向に延びるビア141Bとを含む。
配線層141Aは、第1電極板121に接続されている。配線層141Aは、Z方向において第1電極板121と同じ位置に配置されている。配線層141Aは、平面視において第1電極パッド54と重なる部分を含む。この部分には、ビア141Bが接続されている。ビア141Bは、配線層141Aと第1電極パッド54とを接続している。これにより、第1電極パッド54と第1電極板121とが電気的に接続されている。配線層141Aおよびビア141Bは、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。
【0194】
第2ユニット150は、Z方向を厚さ方向とする矩形平板状に形成されている。平面視において、第2ユニット150は、X方向が短手方向となり、Y方向が長手方向となる矩形状に形成されている。
【0195】
第2ユニット150は、第2半導体基板101、第2素子絶縁層102、キャパシタ120A,120Bの第2電極板122、および接続部151を含む。
図16に示すように、キャパシタ120A,120Bの第2電極板122は、Z方向が厚さ方向となる平板状に形成された電極板である。平面視における第2電極板122の形状は、例えば矩形状である。一例では、平面視における第2電極板122の形状は、X方向が短手方向となり、Y方向が長手方向となる矩形状である。第2電極板122のサイズは、第1電極板121のサイズと同じである。つまり、第2電極板122のX方向、Y方向、およびZ方向の寸法は、第1電極板121のX方向、Y方向、およびZ方向の寸法と等しい。これらの第2電極板122は、X方向において同じ位置であってY方向において互いに離隔して配列されている。なお、図17では、キャパシタ120Aの第2電極板122を示し、キャパシタ120Bの第2電極板122を示していない。
【0196】
図17に示すように、第2電極板122は、第2素子絶縁層102に埋め込まれている。より詳細には、第2電極板122は、第2素子絶縁層102の第2素子表面102AからZ方向に離隔した位置に配置されている。第2電極板122は、第2素子絶縁層102の第2素子裏面102BからZ方向に離隔した位置に配置されている。このため、第2電極板122は、第2素子絶縁層102から露出していない。このように、第2電極板122は、第2素子絶縁層102に埋め込まれている。第2電極板122は、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。一例では、第2電極板122は、Cuを含む材料によって形成されている。なお、平面視における第2電極板122の形状は任意に変更可能である。
【0197】
第2電極板122は、Z方向において第2素子絶縁層102の第2素子裏面102Bよりも第2素子表面102A寄りに配置されている。つまり、第2電極板122と第2素子裏面102BとのZ方向の間の距離DE1は、第2電極板122と第2素子表面102AとのZ方向の間の距離DE2よりも大きい。一例では、距離DE1は、距離DE2の2倍よりも大きくてよい。一例では、距離DE1は、距離DE2の3倍以下であってよい。一例では、距離DE1は、距離DE2よりも大きくかつ距離DE2の2倍以下であってよい。なお、距離DE1,DE2は任意に変更可能である。
【0198】
接続部151は、第2電極パッド55と第2電極板122とを接続している。接続部151は、X方向に延びる配線層151Aと、Z方向に延びるビア151Bとを含む。
配線層151Aは、第2電極板122に接続されている。配線層151Aは、Z方向において第2電極板122と同じ位置に配置されている。配線層151Aは、平面視において第2電極パッド55と重なる部分を含む。この部分には、ビア151Bが接続されている。ビア151Bは、配線層151Aと第2電極パッド55とを接続している。これにより、第2電極パッド55と第2電極板122とが電気的に接続されている。配線層151Aおよびビア151Bは、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。
【0199】
第2ユニット150は、X方向において第2素子側面102Dが第1ユニット140の第1素子側面92Dの近くとなり、第2素子側面102Cが第1ユニット140の第1素子側面92Cの近くとなるように配置されている。
【0200】
第2ユニット150が第1ユニット140に接合された状態(以下、「ユニット接合状態」という)において、第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aは、第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aと接している。一例では、第2素子表面102Aは、その全面にわたり第1素子表面92Aと接している。
【0201】
図16および図17に示すとおり、第2ユニット150は第1ユニット140よりも小さい。より詳細には、平面視において第2ユニット150のX方向の寸法は第1ユニット140のX方向の寸法よりも小さく、第2ユニット150のY方向の寸法は第1ユニット140のY方向の寸法よりも小さい。第1ユニット140に対する第2ユニット150の配置態様は、図10に示す第1実施形態の第1ユニット90に対する第2ユニット100の配置態様と同様である。このため、第1実施形態と同様に、第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aは、平面視において第2ユニット150の周囲を囲む矩形枠状の露出領域51Aを含む。この露出領域51Aは、キャパシタチップ130の第1チップ表面131を構成している。
【0202】
図16に示すように、平面視において、第1電極パッド54および第2電極パッド55は、第2ユニット150とは異なる位置に設けられている。より詳細には、平面視において、第1電極パッド54は、第2ユニット150よりも第1素子側面92C寄りに配置されている。平面視において、第2電極パッド55は、第2ユニット150よりも第2素子側面102D(第1素子側面92D)寄りに配置されている。
【0203】
図17に示すように、ユニット接合状態において、第1電極板121と第2電極板122とがZ方向において対向配置されている。一例では、第1電極板121と第1素子表面92AとのZ方向の間の距離DD1は、第2電極板122と第2素子表面102AとのZ方向の間の距離DE1よりも小さい。換言すると、距離DE1は、距離DD1よりも大きい。なお、距離DD1,DE1はそれぞれ任意に変更可能である。一例では、距離DD1が距離DE1よりも大きくてもよい。また一例では、距離DE1が距離DD1よりも等しくてもよい。ここで、距離DD1と距離DE1との差が例えば距離DD1の10%以内であれば、距離DD1が距離DE1と等しいといえる。
【0204】
第1電極板121と第2電極板122とのZ方向の間には、第2ユニット100の第2半導体基板101と絶縁性接合材110とが介在している。このため、第1電極板121と第2電極板122とのZ方向の間の距離は、距離DD1および距離DE1と、第2半導体基板101の厚さT2および絶縁性接合材110の厚さT3との合計(DD1+DE1+T2+T3)となる。
【0205】
第1ユニット140における接続部141の配線層141Aは、Z方向において第1電極板121と同じ位置に配置されている。第2ユニット150における接続部151の配線層151Aは、Z方向において第2電極板122と同じ位置に配置されている。このため、配線層141Aと配線層151AとのZ方向の間の距離は、第1電極板121と第2電極板122とのZ方向の間の距離(DD1+DE1+T2+T3)と等しい。
【0206】
このように、耐圧が関係する第1電極板121、第2電極板122、接続部141、および接続部151のうち最も距離が短くなるのは、第1電極板121と第2電極板122との間の距離(DD1+DE1+T2+T3)と、配線層141Aと配線層151AとのZ方向の間の距離とになる。つまり、キャパシタチップ130の耐圧は、第1電極板121と第2電極板122との間の距離(DD1+DE1+T2+T3)および配線層141Aと配線層151AのZ方向の間の距離に応じて決められる。なお、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0207】
<第3実施形態>
図18図27を参照して、第3実施形態の信号伝達装置10について説明する。第3実施形態の信号伝達装置10では、第1実施形態の信号伝達装置10と比較して、トランスチップ50の構成および配置態様が主に異なる。以下では、第1実施形態の共通の構成要素には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0208】
[信号伝達装置]
図18および図19を参照して、第3実施形態の信号伝達装置10の構成について説明する。図18は、信号伝達装置10の回路構成の一例を簡略化して示している。図19は、信号伝達装置10の一部の内部構成を簡略して示している。図20は、トランスチップ50の平面構造の一例を示している。なお、図19の断面図では、図面を容易に理解するため、ハッチング線を省略している。
【0209】
図18に示すように、第3実施形態の信号伝達装置10におけるトランス15Aは、互いに直列に接続されたトランス18A,19Aを含む。トランス15Bは、互いに直列に接続されたトランス18B,19Bを含む。トランス18A,18Bは、1次側回路13に電気的に接続されている。トランス18A,18Bは、第1コイル21と、第1コイル21と電気的に絶縁されておりかつ磁気結合可能に配置された第2コイル22と、を含む。トランス19A,19Bは、2次側回路14に電気的に接続されている。トランス19A,19Bは、第3コイル23と、第3コイル23と電気的に絶縁されておりかつ磁気結合可能に配置された第4コイル24と、を含む。
【0210】
ここで、トランス15A,15Bの第1コイル21は「第1絶縁素子」の一例であり、トランス15A,15Bの第2コイル22は「第2絶縁素子」の一例である。また、トランス15A,15Bの第3コイル23は「第3絶縁素子」の一例であり、トランス15A,15Bの第4コイル24は「第4絶縁素子」の一例である。
【0211】
トランス15A,15Bの第1コイル21は、1次側回路13に電気的に接続されている。一例では、トランス15Aの第1コイル21の第1端は1次側信号線16Aによって1次側回路13に電気的に接続され、トランス15Aの第1コイル21の第2端は1次側回路13のグランドGND1に電気的に接続されている。トランス15Bの第1コイル21の第1端は1次側信号線16Bによって1次側回路13に電気的に接続され、トランス15Bの第1コイル21の第2端は1次側回路13のグランドGND1に電気的に接続されている。したがって、トランス15A,15Bの第1コイル21の第2端の電位は、第1基準電位となる。第1基準電位は例えば0Vである。
【0212】
トランス15A,15Bの第2コイル22は、第3コイル23と電気的に接続されている。一例では、第2コイル22および第3コイル23は、電気的にフローティング状態となるように互いに接続されている。つまり、第2コイル22の第1端は第3コイル23の第1端に接続され、第2コイル22の第2端は第3コイル23の第2端に接続されている。このように、第2コイル22および第3コイル23は、第1コイル21から第4コイル24への信号の伝達を中継する中継コイルとなる。
【0213】
トランス15A,15Bの第4コイル24は、2次側回路14に電気的に接続されている。一例では、トランス15Aの第4コイル24の第1端は2次側信号線17Aによって2次側回路14に電気的に接続され、トランス15Aの第4コイル24の第2端は2次側回路14のグランドGND2に電気的に接続されている。トランス15Bの第4コイル24の第1端は2次側信号線17Bによって2次側回路14に電気的に接続され、トランス15Bの第4コイル24の第2端は2次側回路14のグランドGND2に電気的に接続されている。したがって、トランス15A,15Bの第4コイル24の第2端の電位は、第2基準電位となる。2次側回路14のグランドGND2は、例えば2次側回路14に電気的に接続されたスイッチング回路におけるスイッチング素子のソースに電気的に接続されている。
【0214】
図19に示すように、トランスチップ50は、図18に示すトランス15A,15Bを含んで1チップ化されたものである。つまり、トランスチップ50は、第1チップ30および第2チップ40とは別のトランス15A,15B専用のチップである。
【0215】
トランスチップ50は、Y方向から視て凸状に形成されている。トランスチップ50は、第1チップ表面51および第2チップ表面52と、これらチップ表面51,52とは反対側を向くチップ裏面53と、を有する。トランスチップ50は、第1ダイパッド61と第2ダイパッド71とのX方向の間を跨ぐように配置されている。このため、トランスチップ50のチップ裏面53は、Z方向において第1ダイパッド61と対向する第1領域と、Z方向において第2ダイパッド71と対向する第2領域と、を含む。導電性接合材SDによってチップ裏面53の第1領域が第1ダイパッド61に接合され、導電性接合材SDによってチップ裏面53の第2領域が第2ダイパッド71に接合されている。第2チップ表面52は、Z方向において第1チップ表面51に対して第1ダイパッド61とは反対側に位置している。換言すると、第1チップ表面51は、Z方向において第2チップ表面52よりも第1ダイパッド61の近くに配置されている。
【0216】
図19および図20に示すように、トランスチップ50の第1チップ表面51には、複数の第1電極パッド54および複数の第2電極パッド55が形成されている。複数の第1電極パッド54は、第1チップ表面51のX方向の両端部のうち第1チップ30に近い方の端部に形成されている。複数の第1電極パッド54は、Y方向において互いに離隔して配列されている。複数の第2電極パッド55は、第1チップ表面51のX方向の両端部のうち第2チップ40に近い方の端部に形成されている。複数の第2電極パッド55は、Y方向において互いに離隔して配列されている。
【0217】
[トランスチップの構成]
図19図27を参照して、トランスチップ50の構成の一例について説明する。
第3実施形態のトランスチップ50は、第1実施形態と同様に、第1ユニット90と、第1ユニット90上に接合された第2ユニット100と、を備える。以下では、第1ユニット90の構成および第2ユニット100の構成をそれぞれ説明した後、第1ユニット90と第2ユニット100とを組み合わせたトランスチップ50の構成について説明する。なお、トランス15Bの第1~第4コイル21~24の構成は、トランス15Aの第1~第4コイル21~24の構成と同様であるため、以下では、トランス15Aについて説明し、トランス15Bの詳細な説明を省略する。
【0218】
また、図21および図22の第1ユニット90の断面構造、図24および図25の第2ユニット100の断面構造、並びに図27のトランスチップ50の断面構造の各々について、Z方向の寸法と、X方向の寸法およびY方向の寸法とは実際とは異なる。図面の理解を容易にするため、図21図22図24図25、および図27の各断面構造では、トランスチップ50の各構成要素のZ方向の寸法がX方向の寸法およびY方向の寸法よりも大きく示されている。つまり、図21図22図24図25、および図27の各断面構造における各構成要素のX方向の寸法に対するZ方向の寸法の比率、Y方向の寸法に対するZ方向の寸法の比率が実際よりも大きい。
【0219】
(第1ユニット)
図19図22を参照して、第1ユニット90の構成について説明する。
図20は、トランスチップ50の第1ユニット90の平面構造を示している。図21は、図20のF21-F21線で第1ユニット90を切断した断面構造であり、トランス15Aの第1コイル21および第4コイル24の断面構造を主に示している。図22は、図20のF22-F22線で第1ユニット90を切断した断面構造であり、第1電極パッド54、第2電極パッド55と、第1接続部95および第3接続部97との断面構造を主に示している。
【0220】
図19に示すように、第1ユニット90の第1半導体基板91は、第1実施形態とは異なり、X方向において互いに離隔して配列された第1基板91Aおよび第2基板91Bを含む。第1基板91Aおよび第2基板91Bの各々は、Z方向を厚さ方向とする矩形板状に形成されている。第1基板91Aおよび第2基板91Bの各々は、例えばSiを含む材料によって形成されている。第1基板91Aおよび第2基板91Bの構成材料は、例えば第1実施形態の第1半導体基板91と同じであってよい。
【0221】
一例では、第1基板91Aおよび第2基板91Bは、互いに同じ厚さを有する。一例では、第1基板91AのX方向の寸法およびY方向の寸法は、第2基板91BのX方向の寸法およびY方向の寸法と等しい。なお、第1基板91Aおよび第2基板91Bのサイズは個別に任意に変更可能である。
【0222】
図20に示すように、第1ユニット90は、トランス15A,15Bの第1コイル21および第4コイル24を含む。より詳細には、第1素子絶縁層92内には、トランス15A,15Bの第1コイル21および第4コイル24が設けられている。
【0223】
トランス15Aの第1コイル21およびトランス15Bの第1コイル21は、X方向において互いに同じ位置であってY方向において互いに離隔して配列されている。トランス15Aの第1コイル21は、トランス15Bの第1コイル21よりも第1素子側面92F寄りに配置されている。また、これら第1コイル21は、X方向において第1素子絶縁層92の中央よりも第1素子側面92C寄りに配置されている。
【0224】
トランス15Aの第4コイル24およびトランス15Bの第4コイル24は、X方向において互いに同じ位置であってY方向において互いに離隔して配列されている。トランス15Aの第4コイル24は、トランス15Bの第4コイル24よりも第1素子側面92F寄りに配置されている。また、これら第4コイル24は、X方向において第1素子絶縁層92の中央よりも第1素子側面92D寄りに配置されている。トランス15Aの第4コイル24は、トランス15Aの第1コイル21とY方向において同じ位置に配置されている。トランス15Bの第4コイル24は、トランス15Bの第1コイル21とY方向において同じ位置に配置されている。このため、第1コイル21と第4コイル24とは、X方向において互いに離隔して配列されている。一例では、平面視において、第1コイル21と第4コイル24とのX方向の間の距離DX1は、トランス15Aの第1コイル21とトランス15Bの第1コイル21とのY方向の間の距離DY1よりも大きい。また距離DX1は、トランス15Aの第4コイル24とトランス15Bの第4コイル24とのY方向の間の距離DY4よりも大きい。なお、距離DX1,DY1,DY4は、個別に任意に変更可能である。また、X方向は「第1方向」に対応している。
【0225】
第1電極パッド54は、X方向において第1コイル21よりも第1素子側面92C寄りに配置されている。図20に示す例では、第1電極パッド54は、4つ設けられている。より詳細には、第1電極パッド54は、トランス15Aの第1コイル21に対応させて2つ設けられ、トランス15Bの第1コイル21に対応させて2つ設けられている。
【0226】
トランス15Aの第1コイル21に対応する2つの第1電極パッド54のうち1つは、Y方向においてトランス15Aの第1コイル21と同じ位置に配置されている。2つの第1電極パッド54のうち別の1つは、Y方向においてトランス15Aの第1コイル21よりも第1素子側面92E寄りに配置されている。
【0227】
トランス15Bの第1コイル21に対応する2つの第1電極パッド54のうち1つは、Y方向においてトランス15Bの第1コイル21と同じ位置に配置されている。2つの第1電極パッド54のうち別の1つは、Y方向においてトランス15Bの第1コイル21よりも第1素子側面92E寄りに配置されている。なお、Y方向における第1電極パッド54の配置位置は任意に変更可能である。
【0228】
第2電極パッド55は、X方向において第4コイル24よりも第1素子側面92D寄りに配置されている。図20に示す例では、第2電極パッド55は、4つ設けられている。より詳細には、第2電極パッド55は、トランス15Aの第4コイル24に対応させて2つ設けられ、トランス15Bの第4コイル24に対応させて2つ設けられている。これら4つの第2電極パッド55は、Z方向において第1電極パッド54と同じ位置に配置されている。
【0229】
トランス15Aの第4コイル24に対応する2つの第2電極パッド55のうち1つは、Y方向においてトランス15Aの第4コイル24と同じ位置に配置されている。2つの第2電極パッド55のうち別の1つは、Y方向においてトランス15Aの第4コイル24よりも第1素子側面92E寄りに配置されている。
【0230】
トランス15Bの第4コイル24に対応する2つの第2電極パッド55のうち1つは、Y方向においてトランス15Bの第4コイル24と同じ位置に配置されている。2つの第2電極パッド55のうち別の1つは、Y方向においてトランス15Bの第4コイル24よりも第1素子側面92E寄りに配置されている。なお、Y方向における第2電極パッド55の配置位置は任意に変更可能である。また、第1電極パッド54および第2電極パッド55の数は、図20に示す例に限られず、任意に変更可能である。
【0231】
図21に示すように、第1電極パッド54および第2電極パッド55は、第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aと面一となるように形成されている。一例では、第1電極パッド54および第2電極パッド55は、絶縁体92R上に設けられており、保護層92Gおよびパッシベーション層92Hによって覆われている。一方、第1電極パッド54および第2電極パッド55は、パッシベーション層92Hと面一となるように形成されている。第1電極パッド54および第2電極パッド55は、第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aから露出するように第1素子絶縁層92に設けられている。
【0232】
第1コイル21は、Z方向において第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aから離隔した位置で第1素子絶縁層92に埋め込まれている。また、第1コイル21は、Z方向において第1素子裏面92Bから離隔した位置に配置されている。つまり、第1コイル21は、第1素子絶縁層92から露出していない。図21に示す例では、第1コイル21は、Z方向において第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aよりも第1素子裏面92B寄りに配置されている。換言すると、第1コイル21と第1素子表面92AとのZ方向の間の距離DA1は、第1コイル21と第1素子裏面92BとのZ方向の間の距離DA2よりも大きい。第1コイル21は、Z方向において第1素子表面92Aよりも第1基板91A寄りに配置されているともいえる。一例では、距離DA1は、距離DA2の3倍以下であってよい。一例では、距離DA1は、距離DA2の2倍以下であってよい。なお、距離DA1,DA2は任意に変更可能である。一例では、距離DA1は、距離DA2の2倍よりも大きくてもよい。
【0233】
第4コイル24は、Z方向において第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aから離隔した位置で第1素子絶縁層92に埋め込まれている。また、第4コイル24は、Z方向において第1素子裏面92Bから離隔した位置に配置されている。つまり、第4コイル24は、第1素子絶縁層92から露出していない。図21に示す例では、第4コイル24は、Z方向において第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aよりも第1素子裏面92B寄りに配置されている。換言すると、第4コイル24と第1素子表面92AとのZ方向の間の距離DA3は、第4コイル24と第1素子裏面92BとのZ方向の間の距離DA4よりも大きい。第4コイル24は、Z方向において第1素子表面92Aよりも第2基板91B寄りに配置されているともいえる。一例では、距離DA3は、距離DA4の3倍以下であってよい。一例では、距離DA3は、距離DA4の2倍以下であってよい。なお、距離DA3,DA4は任意に変更可能である。一例では、距離DA3は、距離DA4の2倍よりも大きくてもよい。このように、第4コイル24は、Z方向において第1コイル21と同じ位置に配置されている。なお、距離DA3,DA4を変更することによって、第4コイル24がZ方向において第1コイル21と異なる位置に配置されていてもよい。
【0234】
第1ユニット90は、第1コイル21の第1端部21Aに接続された第1接続部95と、第1コイル21の第2端部21Bに接続された第2接続部96と、を含む。なお、以下の説明において、図20に示すトランス15Aの第1コイル21に対応する2つの第1電極パッド54を「第1電極パッド54A」および「第1電極パッド54B」と称する。
【0235】
図20に示すように、第1接続部95は、第1電極パッド54Aに接続されている。つまり、第1接続部95は、第1コイル21の第1端部21Aと第1電極パッド54Aとを電気的に接続している。第1接続部95は、第1素子絶縁層92に埋め込まれている。つまり、第1コイル21と第1電極パッド54Aとは、第1素子絶縁層92内において互いに電気的に接続されている。
【0236】
図20図22に示すように、第1接続部95は、第1配線層95A、第1接続配線95B、およびビア95Cを含む。
図21および図22に示すように、第1配線層95Aは、Z方向において第1コイル21よりも第1素子裏面92B寄りに配置されている。第1配線層95Aは、Z方向において第1コイル21と第1素子裏面92Bとの間に配置されているともいえる。図20に示すように、第1配線層95Aは、平面視において第1コイル21の第1端部21AからY方向に延びる第1部分と、第1部分から第1電極パッド54Aに向けてX方向に延びる第2部分と、を含む。一例では、第1部分および第2部分は一体化されている。第2部分は、X方向において第1コイル21の巻回部よりも外方に配置されている。
【0237】
図22に示すように、第1接続配線95Bは、第1配線層95Aと第1電極パッド54Aとを電気的に接続している。第1接続配線95Bは、平面視において第1電極パッド54Aと第1配線層95Aとの双方と重なる位置に設けられている。第1接続配線95Bは、Z方向に延びるビアとして形成されている。図22に示す例では、第1接続配線95Bは、第1ビア95BA、中間配線層95BB、および第2ビア95BCを含む。第1ビア95BAは、第1配線層95Aに接続されている。中間配線層95BBは、第1ビア95BA上に形成されている。中間配線層95BBは、第1ビア95BAに接続されている。第2ビア95BCは、中間配線層95BB上に形成されている。第2ビア95BCは、第1電極パッド54Aと中間配線層95BBとを接続している。第2ビア95BCのZ方向の長さは、第1ビア95BAのZ方向の長さよりも長い。
【0238】
図21に示すように、ビア95Cは、第1配線層95Aと第1コイル21の第1端部21Aとを電気的に接続している。ビア95Cは、平面視において第1コイル21の第1端部21Aと第1配線層95Aとの双方と重なる位置に配置されている。第1配線層95A、第1接続配線95B、およびビア95Cは、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。一例では、第1配線層95Aは、第1コイル21と同じ材料によって形成されていてよい。一例では、第1接続配線95Bおよびビア95Cは、第1コイル21とは異なる材料によって形成されていてよい。
【0239】
図21に示すように、第2接続部96は、第1電極パッド54Bに接続されている。つまり、第2接続部96は、第1コイル21の第2端部21Bと第1電極パッド54Bとを電気的に接続している。第2接続部96は、第1素子絶縁層92に埋め込まれている。つまり、第1コイル21と第1電極パッド54Bとは、第1素子絶縁層92内において互いに電気的に接続されている。
【0240】
図20および図21に示すように、第2接続部96は、第2配線層96Aおよび第2接続配線96Bを含む。
第2配線層96Aは、Z方向において第1コイル21と同じ位置に配置されている。つまり、第2配線層96Aは、第1配線層95Aよりも第1素子表面92A寄りに配置されている。第2配線層96Aは、平面視において第1コイル21の第2端部21Bから第1電極パッド54Bに向けてX方向に延びている。
【0241】
第2接続配線96Bは、第2配線層96Aと第1電極パッド54Bとを電気的に接続している。第2接続配線96Bは、平面視において第1電極パッド54Bと第2配線層96Aとの双方と重なる位置に設けられている。第2接続配線96Bは、Z方向に延びるビアとして形成されている。第2配線層96Aおよび第2接続配線96Bは、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。一例では、第2配線層96Aは、第1コイル21と同じ材料によって形成されていてよい。一例では、第2接続配線96Bは、第1コイル21とは異なる材料によって形成されていてよい。
【0242】
図20図22に示すように、第1ユニット90は、第4コイル24の第1端部24Aに接続された第3接続部97と、第4コイル24の第2端部24Bに接続された第4接続部98と、を含む。なお、以下の説明において、図20に示すトランス15Aの第4コイル24に対応する2つの第2電極パッド55を「第2電極パッド55A」および「第2電極パッド55B」と称する。
【0243】
図20および図22に示すように、第3接続部97は、第2電極パッド55Aに接続されている。つまり、第3接続部97は、第4コイル24の第1端部24Aと第2電極パッド55Aとを電気的に接続している。第3接続部97は、第1素子絶縁層92に埋め込まれている。つまり、第4コイル24と第2電極パッド55Aとは、第1素子絶縁層92内において互いに電気的に接続されている。
【0244】
図20図22に示すように、第3接続部97は、第3配線層97A、第3接続配線97B、およびビア97Cを含む。
図21および図22に示すように、第3配線層97Aは、Z方向において第4コイル24よりも第1素子裏面92B寄りに配置されている。第3配線層97Aは、Z方向において第4コイル24と第1素子裏面92Bとの間に配置されているともいえる。図20に示すように、第3配線層97Aは、平面視において第4コイル24の第1端部24AからY方向に延びる第1部分と、第1部分から第2電極パッド55Aに向けてX方向に延びる第2部分と、を含む。一例では、第1部分および第2部分は一体化されている。第2部分は、X方向において第4コイル24の巻回部よりも外方に配置されている。
【0245】
図22に示すように、第3接続配線97Bは、第3配線層97Aと第2電極パッド55Aとを電気的に接続している。第3接続配線97Bは、平面視において第2電極パッド55Aと第3配線層97Aとの双方と重なる位置に設けられている。第3接続配線97Bは、Z方向に延びるビアとして形成されている。図22に示す例では、第3接続配線97Bは、第1ビア97BA、中間配線層97BB、および第2ビア97BCを含む。第1ビア97BAは、第3配線層97Aに接続されている。中間配線層97BBは、第1ビア97BA上に形成されている。中間配線層97BBは、第1ビア97BAに接続されている。第2ビア97BCは、中間配線層97BB上に形成されている。第2ビア97BCは、第2電極パッド55Aと中間配線層97BBとを接続している。第2ビア97BCのZ方向の長さは、第1ビア97BAのZ方向の長さよりも長い。
【0246】
図21に示すように、ビア97Cは、第3配線層97Aと第4コイル24の第1端部24Aとを電気的に接続している。ビア97Cは、平面視において第4コイル24の第1端部24Aと第3配線層97Aとの双方と重なる位置に配置されている。第3配線層97A、第3接続配線97B、およびビア97Cは、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。一例では、第3配線層97Aは、第4コイル24と同じ材料によって形成されていてよい。一例では、第3接続配線97Bおよびビア97Cは、第4コイル24とは異なる材料によって形成されていてよい。
【0247】
図21に示すように、第4接続部98は、第2電極パッド55Bに接続されている。つまり、第4接続部98は、第4コイル24の第2端部24Bと第2電極パッド55Bとを電気的に接続している。第4接続部98は、第1素子絶縁層92に埋め込まれている。つまり、第4コイル24と第2電極パッド55Bとは、第1素子絶縁層92内において互いに電気的に接続されている。
【0248】
図20および図21に示すように、第4接続部98は、第4配線層98Aおよび第4接続配線98Bを含む。
第4配線層98Aは、Z方向において第4コイル24と同じ位置に配置されている。つまり、第4配線層98Aは、第3配線層97Aよりも第1素子表面92A寄りに配置されている。第4配線層98Aは、平面視において第4コイル24の第2端部24Bから第2電極パッド55Bに向けてX方向に延びている。
【0249】
第4接続配線98Bは、第4配線層98Aと第2電極パッド55Bとを電気的に接続している。第4接続配線98Bは、平面視において第2電極パッド55Bと第4配線層98Aとの双方と重なる位置に設けられている。第4接続配線98Bは、Z方向に延びるビアとして形成されている。第4配線層98Aおよび第4接続配線98Bは、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。一例では、第4配線層98Aは、第4コイル24と同じ材料によって形成されていてよい。一例では、第4接続配線98Bは、第4コイル24とは異なる材料によって形成されていてよい。
【0250】
図21および図22に示すように、第1素子絶縁層92は、第1素子裏面92Bから第1素子表面92Aに向けて凹む凹部160を有する。凹部160は、平面視においてY方向に沿って延びている。一例では、凹部160は、第1素子絶縁層92の第1素子側面92Eから第1素子側面92F(ともに図20参照)までにわたり形成されている。つまり、凹部160は、第1素子絶縁層92のY方向の全体にわたり形成されている。
【0251】
凹部160は、第1素子絶縁層92のうちX方向において互いに離隔した第1基板91Aと第2基板91Bとの間の部分に形成されている。このため、X方向において、第1基板91Aおよび第2基板91Bは、凹部160の両側に分散して配置されているといえる。
【0252】
Y方向から視て、凹部160は、例えば矩形凹状に形成されている。凹部160は、X方向において対向配置された第1側面161および第2側面162と、第1側面161および第2側面162をY方向に繋ぐ底面163と、を有する。なお、Y方向から視た凹部160の形状は任意に変更可能である。
【0253】
図22に示すように、第1側面161は、第2側面162に対して第1素子側面92C寄りに位置している。一例では、第1側面161は、第1基板91Aの基板側面91ASと面一となるように形成されている。図22の例では、Y方向から視て、第1側面161は、Z方向に沿って延びている。
【0254】
第2側面162は、第1側面161に対して第1素子側面92D寄りに位置している。一例では、第2側面162は、第2基板91Bの基板側面91BSと面一となるように形成されている。図22の例では、Y方向から視て、第2側面162は、Z方向に沿って延びている。
【0255】
底面163は、Z方向において第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aに対して第1素子裏面92B寄りに位置している。つまり、凹部160によって第1素子絶縁層92が2つの素子絶縁層に分離されていない。ここで、第1素子表面92Aは第2ユニット100との接合面を形成するため、凹部160の底面163は、Z方向において第1ユニット90と第2ユニット100との接合面よりも第1半導体基板91寄りに形成されているといえる。一例では、図21に示すように、底面163は、Z方向において第1コイル21および第4コイル24に対して第1素子裏面92B寄りに形成されている。
【0256】
なお、底面163のZ方向の位置は任意に変更可能である。一例では、底面163は、Z方向において第1コイル21および第4コイル24に対して第1素子表面92A寄りに形成されていてよい。
【0257】
第1素子裏面92Bは、凹部160によって2つの素子裏面92BA,92BBに分離されている。素子裏面92BAおよび素子裏面92BBは、X方向において互いに離隔して配置されている。素子裏面92BAは、第1素子裏面92Bのうち凹部160よりも第1素子側面92C寄りの部分を構成している。素子裏面92BBは、第1素子裏面92Bのうち凹部160よりも第1素子側面92D寄りの部分を構成している。
【0258】
素子裏面92BAには第1基板91Aが形成されている。一例では、第1基板91Aは、素子裏面92BAの全面にわたり接している。素子裏面92BBには第2基板91Bが形成されている。一例では、第2基板91Bは、素子裏面92BBの全面にわたり接している。
【0259】
(第2ユニット)
図19図23図25を参照して、第2ユニット100の構成について説明する。
図23は、トランスチップ50の第2ユニット100の平面構造を示している。図24は、図23のF24-F24線で第2ユニット100を切断した断面構造であり、トランス15Aの第2コイル22および第3コイル23と後述する第1接続部105との断面構造を主に示している。図25は、図23のF25-F25線で第2ユニット100を切断した断面構造であり、トランス15Aの第2コイル22および第3コイル23と後述する第2接続部106との断面構造を主に示している。
【0260】
図19に示すように、第2ユニット100は、第2半導体基板101、第2素子絶縁層102、トランス15A,15Bの第2コイル22、および第3コイル23を含む。第2半導体基板101および第2素子絶縁層102の構成は、第1実施形態と同様である。第2素子絶縁層102内には、トランス15A,15Bの第2コイル22および第3コイル23が設けられている。一例では、第2半導体基板101は、第1実施形態と同様の不純物濃度および抵抗率を含む。一例では、第2半導体基板101の厚さT2は、第1実施形態と同じである。
【0261】
図23に示すように、トランス15Aの第2コイル22およびトランス15Bの第2コイル22は、X方向において互いに同じ位置であってY方向において互いに離隔して配列されている。トランス15Aの第2コイル22は、トランス15Bの第2コイル22よりも第2素子側面102F寄りに配置されている。また、これら第2コイル22は、X方向において第2素子絶縁層102の中央よりも第2素子側面102C寄りに配置されている。
【0262】
トランス15Aの第3コイル23およびトランス15Bの第3コイル23は、X方向において互いに同じ位置であってY方向において互いに離隔して配列されている。トランス15Aの第3コイル23は、トランス15Bの第3コイル23よりも第2素子側面102F寄りに配置されている。また、これら第3コイル23は、X方向において第2素子絶縁層102の中央よりも第2素子側面102D寄りに配置されている。トランス15Aの第3コイル23は、トランス15Aの第2コイル22とY方向において同じ位置に配置されている。トランス15Bの第3コイル23は、トランス15Bの第2コイル22とY方向において同じ位置に配置されている。一例では、平面視において、第2コイル22と第3コイル23とのX方向の間の距離DX2は、トランス15Aの第2コイル22とトランス15Bの第2コイル22とのY方向の間の距離DY2よりも大きい。また距離DX2は、トランス15Aの第3コイル23とトランス15Bの第3コイル23とのY方向の間の距離DY3よりも大きい。なお、距離DX2,DY2,DY3は、個別に任意に変更可能である。
【0263】
図24に示すように、第2コイル22は、Z方向において第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aから離隔した位置で第2素子絶縁層102に埋め込まれている。また、第2コイル22は、Z方向において第2素子裏面102Bから離隔した位置に配置されている。つまり、第2コイル22は、第2素子絶縁層102から露出していない。図24に示す例では、第2コイル22は、Z方向において第2素子絶縁層102の第2素子裏面102Bよりも第2素子表面102A寄りに配置されている。換言すると、第2コイル22と第2素子裏面102BとのZ方向の間の距離DB1は、第2コイル22と第2素子表面102AとのZ方向の間の距離DB2よりも大きい。一例では、距離DB1は、距離DB2の3倍以下であってよい。一例では、距離DB1は、距離DB2の2倍以下であってよい。なお、距離DB1と距離DB2との関係は任意に変更可能である。一例では、距離DB1は、距離DB2の2倍よりも大きくてもよい。
【0264】
第3コイル23は、Z方向において第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aから離隔した位置で第2素子絶縁層102に埋め込まれている。また、第3コイル23は、Z方向において第2素子裏面102Bから離隔した位置に配置されている。つまり、第3コイル23は、第2素子絶縁層102から露出していない。図24に示す例では、第3コイル23は、Z方向において第2素子絶縁層102の第2素子裏面102Bよりも第2素子表面102A寄りに配置されている。換言すると、第3コイル23と第2素子裏面102BとのZ方向の間の距離DB3は、第3コイル23と第2素子表面102AとのZ方向の間の距離DB4よりも大きい。一例では、距離DB3は、距離DB4の3倍以下であってよい。一例では、距離DB3は、距離DB4の2倍以下であってよい。なお、距離DB3と距離DB4との関係は任意に変更可能である。一例では、距離DB3は、距離DB4の2倍よりも大きくてもよい。このように、第3コイル23は、Z方向において第2コイル22と同じ位置に配置されている。なお、距離DB3,DB4を変更することによって、第3コイル23がZ方向において第2コイル22と異なる位置に配置されていてもよい。
【0265】
図23に示すように、第3コイル23は、平面視において渦巻き状に形成されている。第3コイル23は、第1端部23Aおよび第2端部23Bを含む。第1端部23Aは、平面視において第3コイル23の巻回部の内方の端部を構成している。第2端部23Bは、平面視において第3コイル23の巻回部の外方の端部を構成している。なお、第3コイル23の巻回数は、例えば第2コイル22の巻回数と同じである。また、第3コイル23の巻回数は、トランスチップ50の電気的特性に応じて任意に変更可能である。
【0266】
第3コイル23は、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。一例では、第3コイル23は、Cuを含む材料によって形成されている。つまり、第3コイル23は、第2コイル22と同じ材料によって形成されていてよい。なお、第3コイル23を構成する材料は任意に変更可能である。
【0267】
図24および図25に示すように、第2ユニット100は、第2コイル22の第1端部22Aと第3コイル23の第1端部23Aとを接続する第1接続部105と、第2コイル22の第2端部22Bと第3コイル23の第2端部23Bとを接続する第2接続部106と、を含む。
【0268】
第1接続部105および第2接続部106は、第2素子絶縁層102内に設けられている。つまり、第1接続部103および第2接続部104によって、第2コイル22および第3コイル23は、第2素子絶縁層102内において互いに電気的に接続されている。このように、第3実施形態では、第2コイル22、第3コイル23、第1接続部103、および第2接続部104は、電気的にフローティング状態となる。
【0269】
図23および図24に示すように、第1接続部105は、配線層105A、ビア105B、およびビア105Cを含む。
配線層105Aは、Z方向において第2コイル22および第3コイル23よりも第2素子表面102A寄りに配置されている。配線層105Aは、Z方向において第2コイル22および第3コイル23と第2素子表面102Aとの間に配置されているともいえる。図23に示すように、配線層105Aは、平面視においてX方向に延びている。また、配線層105Aは、平面視において第2コイル22の巻回部および第3コイル23の巻回部の双方を跨ぐように延びている。
【0270】
ビア105Bは、配線層105Aと第2コイル22の第1端部22Aとを電気的に接続している。ビア105Bは、平面視において第1端部22Aと配線層105Aとの双方と重なる位置に設けられている。
【0271】
ビア105Cは、配線層105Aと第3コイル23の第1端部23Aとを電気的に接続している。ビア105Cは、平面視において第1端部23Aと配線層105Aとの双方と重なる位置に設けられている。配線層105A、ビア105B、およびビア105Cは、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。一例では、配線層105Aは、第2コイル22および第3コイル23と同じ材料によって形成されていてよい。一例では、ビア105Bおよびビア105Cは、第2コイル22および第3コイル23とは異なる材料によって形成されていてよい。
【0272】
図23に示すように、第2接続部106は、第2コイル22の第2端部22Bと第3コイル23の第2端部23Bとを接続している。平面視において、第2接続部106は、X方向に延びている。図25に示すように、第2接続部106は、Z方向において第2コイル22および第3コイル23と同じ位置に配置されている。
【0273】
第2接続部106は、例えばTi、TiN、Au、Ag、Cu、Al、およびWのうち1つまたは複数が適宜選択されたものを含む材料によって構成されている。一例では、第2接続部106は、第2コイル22および第3コイル23と同じ材料によって形成されていてよい。一例では、第2接続部106は、第2コイル22および第3コイル23とは異なる材料によって形成されていてよい。
【0274】
(トランスチップ)
図26および図27を参照して、第2ユニット100の構成について説明する。
図26は、トランスチップ50の平面構造を示している。図27は、図26のF27-F27線でトランスチップ50を切断した断面構造であり、トランス15Aの第1~第4コイル21~24の断面構造を主に示している。
【0275】
図26および図27に示すとおり、平面視において第2ユニット100は第1ユニット90よりも小さい。より詳細には、平面視において第2ユニット100のX方向の寸法は第1ユニット90のX方向の寸法よりも小さく、第2ユニット100のY方向の寸法は第1ユニット90のY方向の寸法よりも小さい。そして、平面視において第2ユニット100は、第1ユニット90のX方向およびY方向の中央に配置されている。このため、図26に示すように、第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aは、平面視において第2ユニット100の周囲を囲む矩形枠状の露出領域51Aを含む。この露出領域51Aは、トランスチップ50の第1チップ表面51を構成している。
【0276】
露出領域51Aは、第1素子側面92Cと第2素子側面102CとのX方向の間の第1領域51AA、第1素子側面92Dと第2素子側面102DとのX方向の間の第2領域51AB、第1素子側面92Eと第2素子側面102EとのY方向の間の第3領域51AC、および第1素子側面92Fと第2素子側面102FとのY方向の間の第4領域51ADを含む。図26に示す例では、第1領域51AAの幅(X方向の寸法)は、第3領域51ACの幅(Y方向の寸法)および第4領域51ADの幅(Y方向の寸法)よりも大きい。第2領域51ABの幅(X方向の寸法)は、第3領域51ACの幅および第4領域51ADの幅よりも大きい。第1領域51AAの幅は、第2領域51ABの幅と等しい。ここで、第1領域51AAの幅と第2領域51ABの幅との差が例えば第1領域51AAの幅の10%以内であれば、第1領域51AAの幅が第2領域51ABの幅と等しいといえる。なお、第1~第4領域51AA~51ADの幅は、個別に任意に変更可能である。
【0277】
平面視において、第1電極パッド54および第2電極パッド55は、第2ユニット100とは異なる位置に設けられている。より詳細には、平面視において、第1電極パッド54は、第2ユニット100よりも第1素子側面92C寄りに配置されている。つまり、第1電極パッド54は、露出領域51Aのうち第1領域51AAに設けられている。平面視において、第2電極パッド55は、第2ユニット100よりも第1素子側面92D寄りに配置されている。つまり、第2電極パッド55は、露出領域51Aのうち第2領域51ABに設けられている。
【0278】
図27に示すように、第2ユニット100は、第2素子絶縁層102の第2半導体基板101が第1ユニット90の第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aと対面するように配置されている。第2ユニット100が絶縁性接合材110によって第1ユニット90に接合された状態(以下、「ユニット接合状態」という)において、第2ユニット100は、絶縁性接合材110上に載置されている。このため、第2半導体基板101は絶縁性接合材110に接している。つまり、絶縁性接合材110は、第2半導体基板101と第1素子絶縁層92とを接合している。このように、第2半導体基板101と第1素子絶縁層92とのZ方向の間には絶縁性接合材110が介在している。このため、第2半導体基板101は、第1素子絶縁層92からZ方向に離隔した位置に配置されている。つまり、第2半導体基板101は第1素子絶縁層92と直接接合されていない。
【0279】
ユニット接合状態において、第1コイル21と第2コイル22とがZ方向において対向配置されている。一例では、第1コイル21と第1素子表面92AとのZ方向の間の距離DA1は、第2コイル22と第2素子裏面102BとのZ方向の間の距離DB1と等しい。ここで、距離DA1と距離DB1との差が例えば距離DA1の10%以内であれば、距離DA1が距離DB1と等しいといえる。なお、距離DA1,DB1はそれぞれ任意に変更可能である。一例では、距離DA1が距離DB1よりも大きくてもよい。また一例では、距離DB1が距離DA1よりも大きくてもよい。
【0280】
ユニット接合状態において、第3コイル23と第4コイル24とがZ方向において対向配置されている。一例では、第3コイル23と第2素子裏面102BとのZ方向の間の距離DB3は、第4コイル24と第1素子表面92AとのZ方向の間の距離DA3と等しい。ここで、距離DA3と距離DB3との差が例えば距離DA3の10%以内であれば、距離DA3が距離DB3と等しいといえる。なお、距離DA3,DB3はそれぞれ任意に変更可能である。一例では、距離DA3が距離DB3よりも大きくてもよい。また一例では、距離DB3が距離DA3よりも大きくてもよい。
【0281】
第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間には、第2ユニット100の第2半導体基板101と絶縁性接合材110とが介在している。このため、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離は、距離DA1および距離DB1と、第2半導体基板101の厚さT2および絶縁性接合材110の厚さT3との合計(DA1+DB1+T2+T3)となる。
【0282】
第4コイル24と第3コイル23とのZ方向の間も同様に、第2半導体基板101と絶縁性接合材110とが介在している。このため、第4コイル24と第3コイル23とのZ方向の間の距離は、距離DA3および距離DB3と、第2半導体基板101の厚さT2および絶縁性接合材110の厚さT3との合計(DA3+DB3+T2+T3)となる。
【0283】
図27に示すように、第1ユニット90における第1接続部95の第1配線層95Aは、Z方向において第1コイル21に対して第2コイル22とは反対側に配置されている。また、第1ユニット90における第3接続部97の第3配線層97Aは、Z方向において第4コイル24に対して第3コイル23とは反対側に配置されている。第2ユニット100における第1接続部105の配線層105Aは、Z方向において第2コイル22(第3コイル23)に対して第1コイル21(第4コイル24)とは反対側に配置されている。このため、第1配線層95Aと配線層105AとのZ方向の間の距離および第3配線層97Aと配線層105AとのZ方向の間の距離の各々は、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離(DA1+DB1+T2+T3)および第4コイル24と第3コイル23とのZ方向の間の距離(DA3+DB3+T2+T3)の各々よりも大きくなる。
【0284】
第1ユニット90における第2接続部96の第2配線層96Aは、Z方向において第1コイル21と同じ位置に配置されている。また、第1ユニット90における第4接続部98の第4配線層98Aは、Z方向において第4コイル24と同じ位置に配置されている。第2ユニット100における第2接続部106(図25参照)は、Z方向において第2コイル22と同じ位置に配置されている。このため、第2配線層96Aと第2接続部106とのZ方向の間の距離は、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離(DA1+DB1+T2+T3)および第4コイル24と第3コイル23とのZ方向の間の距離(DA3+DB3+T2+T3)の各々と等しい。
【0285】
このように、耐圧が関係する第1~第4コイル21~24、第1接続部95,105、第2接続部96,106、第3接続部97、および第4接続部98のうち最も距離が短くなるのは、第1コイル21と第2コイル22との間の距離(DA1+DB1+T2+T3)と、第4コイル24と第3コイル23との間の距離(DA3+DB3+T2+T3)と、第2配線層94Aと配線層104AとのZ方向の間の距離とになる。つまり、トランスチップ50の耐圧は、第1コイル21と第2コイル22との間の距離(DA1+DB1+T2+T3)、第4コイル24と第3コイル23との間の距離(DA3+DB3+T2+T3)、および第2配線層94Aと配線層104AのZ方向の間の距離に応じて決められる。
【0286】
ユニット接合状態において、第1ユニット90の第1素子絶縁層92の第1素子裏面92Bに形成された第1基板91Aは、平面視において第1コイル21および第2ユニット100の第2コイル22と重なる位置に配置されている。ユニット接合状態において、第1素子絶縁層92の第1素子裏面92Bに形成された第2基板91Bは、平面視において第4コイル24および第2ユニット100の第3コイル23と重なる位置に配置されている。
【0287】
第1基板91Aと第2基板91BとのX方向の間の距離DBXは、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離以上である。また距離DBXは、第3コイル23と第4コイル24とのZ方向の間の距離以上である。
【0288】
凹部160の幅WRは、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離以上である。凹部160の幅WRは、第3コイル23と第4コイル24とのZ方向の間の距離以上である。また、凹部160の幅WRは、例えば距離DBXと等しくてもよい。ここで、凹部160の幅WRは、凹部160のX方向の寸法、つまり凹部160の第1側面161と第2側面162とのZ方向の間の距離として定義することができる。また、凹部160の深さHRは、凹部160の幅WRよりも小さい。また、凹部160の深さHRは、第1半導体基板91の厚さT1よりも小さい。
【0289】
図20に示す信号伝達装置10においては、凹部160内には、封止樹脂80が充填される。つまり、凹部160の第1側面161、第2側面162、および底面163は、封止樹脂80と接している。
【0290】
[効果]
第3実施形態の信号伝達装置10によれば、第1実施形態の(1-2)~(1-7)の効果に加え、以下の効果が得られる。
【0291】
(3-1)トランスチップ50は、第1ユニット90と、第1ユニット90上に接合された第2ユニット100と、第1ユニット90と第2ユニット100とを接合する絶縁性接合材110と、を備える。第1ユニット90は、第1半導体基板91と、第2ユニット100の側を向く第1素子表面92A、および第1素子表面92Aとは反対側の第1素子裏面92Bを含み、第1素子裏面92Bが第1半導体基板91と接する第1素子絶縁層92と、Z方向において第1素子表面92Aから離隔した位置で第1素子絶縁層92に埋め込まれ、X方向において互いに離隔して配列されるとともに互いに電気的に絶縁された第1コイル21および第4コイル24と、を含む。第2ユニット100は、第2素子表面102A、および第2素子表面102Aとは反対側の第2素子裏面102Bを含む第2素子絶縁層102と、Z方向において第2素子表面102Aから離隔した位置で第2素子絶縁層102に埋め込まれ、X方向において互いに離隔して配列されるとともに互いに電気的に接続された第2コイル22および第3コイル23と、第2素子裏面102Bと接する第2半導体基板101と、を含む。絶縁性接合材110によって第2ユニット100が第1ユニット90の上に接合されたユニット接合状態において、第1コイル21および第2コイル22はZ方向において対向配置されており、第3コイル23および第4コイル24はZ方向において対向配置されている。絶縁性接合材110は、第1素子絶縁層92と第2半導体基板101とを接合している。
【0292】
この構成によれば、第1コイル21と第2コイル22とが対向配置され、第3コイル23と第4コイル24とが対向配置され、第2コイル22と第3コイル23とが電気的に接続されているため、第1コイル21と第2コイル22とが対向配置されたトランスチップの構成と比較して、トランスチップ50の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【0293】
加えて、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の素子絶縁層および第3コイル23と第4コイル24とのZ方向の間の素子絶縁層の各々を第1素子絶縁層92および第2素子絶縁層102のように、Z方向において個別に形成することができる。そして、積層された第1素子絶縁層92および第2素子絶縁層102によって形成された素子絶縁層内に第1~第4コイル21~24がそれぞれ設けられているため、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離および第4コイル24と第3コイル23とのZ方向の間の距離をそれぞれ大きくとることができる。したがって、トランスチップ50の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【0294】
加えて、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間および第3コイル23と第4コイル24とのZ方向の間には、第2半導体基板101および絶縁性接合材110が介在しているため、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離および第3コイル23と第4コイル24とのZ方向の間の距離の各々をさらに大きくとることができる。したがって、トランスチップ50の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【0295】
加えて、第1半導体基板91の第1基板91Aおよび第2基板91BがX方向において互いに離隔して配列されているため、第1半導体基板91に起因して第1コイル21と第1半導体基板91との間の絶縁耐圧および第4コイル24と第1半導体基板91との間の絶縁耐圧がそれぞれ低下することを抑制できる。
【0296】
(3-2)第1素子絶縁層92は、第1素子裏面92Bから第1素子表面92Aに向けて凹む凹部160を有する。X方向において、第1基板91Aおよび第2基板91Bは、凹部160の両側に分散して配置されている。凹部160の底面163は、Z方向において第1ユニット90と第2ユニット100との接合面よりも第1半導体基板91寄りに形成されている。
【0297】
この構成によれば、凹部160の底面163が第1素子絶縁層92によって構成されているため、第1コイル21と第4コイル24とのX方向の間の絶縁耐圧の低下を抑制することができる。加えて、凹部160が第1ユニット90と第2ユニット100との接合面よりも第2半導体基板101寄りに形成された構成と比較して、第1ユニット90と第2ユニット100との接合強度の低下を抑制することができる。
【0298】
(3-3)凹部160の底面163は、Z方向において第1コイル21および第4コイル24よりも第1素子裏面92B寄りに形成されている。
この構成によれば、第1コイル21と第4コイル24とのX方向の間に第1素子絶縁層92が介在するため、例えば第1コイル21と第4コイル24とのX方向の間に封止樹脂80が介在する構成と比較して、第1コイル21と第4コイル24とのX方向の間の絶縁耐圧の低下を抑制することができる。
【0299】
(3-4)凹部160の幅WRは、Z方向における第1コイル21と第2コイル22との間の距離以上である。
この構成によれば、凹部160のX方向の両側に分散して配置された第1基板91Aと第2基板91BとのX方向の間の距離がZ方向における第1コイル21と第2コイル22との間の距離以上となる。したがって、第1基板91Aと第2基板91Bとの間の絶縁耐圧に起因して、トランスチップ50の絶縁耐圧が低下することを抑制することができる。
【0300】
(3-5)第1コイル21と第4コイル24とのX方向の間の距離は、Z方向における第1コイル21と第2コイル22との間の距離以上である。
この構成によれば、第1コイル21と第4コイル24とのX方向の間の絶縁耐圧に起因して、トランスチップ50の絶縁耐圧が低下することを抑制することができる。
【0301】
(3-6)第1ユニット90は、第1コイル21と電気的に接続され、第1素子表面92Aから露出するように第1素子絶縁層92に設けられた第1電極パッド54と、第4コイル24と電気的に接続され、第1素子表面92Aから露出するように第1素子絶縁層92に設けられた第2電極パッド55と、を含む。
【0302】
この構成によれば、第1電極パッド54および第2電極パッド55が第2ユニット100に設けられる構成と比較して、第1コイル21と第1電極パッド54との間の導電経路の長さおよび第4コイル24と第2電極パッド55との間の導電経路の長さをそれぞれ短くすることができる。加えて、第1電極パッド54および第2電極パッド55の各々が第1素子絶縁層92に設けられているため、例えば第1電極パッド54および第2電極パッド55が半導体基板を貫通するように設けられる構成と比較して、第1電極パッド54および第2電極パッド55をそれぞれ容易に形成することができる。
【0303】
(3-7)第2ユニット100は、平面視において第1ユニット90よりも小さく形成されている。ユニット接合状態において、第1電極パッド54および第2電極パッド55の双方は、平面視において第2ユニット100とは異なる位置に設けられている。
【0304】
この構成によれば、第2ユニット100が平面視において第1ユニット90よりも小さく形成されているため、第2ユニット100に第1電極パッド54および第2電極パッド55を露出させるための形状を形成しなくても、第1電極パッド54および第2電極パッド55が第2ユニット100とは異なる位置に配置されている。このため、第2ユニット100の形状を矩形状等の簡素な形状とすることができる。したがって、第2ユニット100の製造コストの低減を図ることができる。
【0305】
(3-8)第2コイル22および第3コイル23は、第2素子絶縁層102内において互いに電気的に接続されている。
この構成によれば、第2コイル22および第3コイル23が第2素子絶縁層102の外部で電気的に接続される構成と比較して、第2コイル22と第3コイル23との間の導電経路を短くすることができる。
【0306】
(3-9)信号伝達装置10は、第1ダイパッド61と、第1ダイパッド61から離隔して配置された第2ダイパッド71と、を備える。トランスチップ50は、第1ダイパッド61と第2ダイパッド71との間を跨ぐように第1ダイパッド61および第2ダイパッド71の双方に配置されている。
【0307】
この構成によれば、第1基板91Aおよび第2基板91Bと第1ダイパッド61および第2ダイパッド71との間の絶縁耐圧の低下を抑制することができる。したがって、信号伝達装置10の絶縁耐圧の低下を抑制することができる。
【0308】
(3-10)第1コイル21および第4コイル24は、Z方向において第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aよりも第1素子裏面92B寄りに配置されている。
この構成によれば、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離および第4コイル24と第3コイル23とのZ方向の間の距離をそれぞれ大きくとることができる。したがって、トランスチップ50の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【0309】
(3-11)第2コイル22および第3コイル23は、Z方向において第2素子絶縁層102の第2素子裏面102Bよりも第2素子表面102A寄りに配置されている。
この構成によれば、第1コイル21と第2コイル22とのZ方向の間の距離および第4コイル24と第3コイル23とのZ方向の間の距離をそれぞれ大きくとることができる。したがって、トランスチップ50の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【0310】
<変更例>
上記各実施形態は例えば以下のように変更することができる。上記各実施形態と以下の各変更例は、技術的な矛盾が生じない限り、互いに組み合わせることができる。なお、以下の変更例において、上記各実施形態と共通する部分については、上記各実施形態と同一符号を付し、その説明を省略する。
【0311】
[絶縁チップの変更例]
・第1実施形態において、第1コイル21は、Z方向において第1素子絶縁層92の第1素子裏面92Bよりも第1素子表面92A寄りに配置されていてもよい。また、第1コイル21は、Z方向において第1素子絶縁層92の中央に配置されていてもよい。
【0312】
・第1実施形態において、第2コイル22は、Z方向において第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aよりも第2素子裏面102B寄りに配置されていてもよい。また、第2コイル22は、Z方向において第2素子絶縁層102の中央に配置されていてもよい。
【0313】
・第1実施形態において、第1コイル21と第1電極パッド54とは、トランスチップ50の外部において電気的に接続されていてもよい。
・第1実施形態において、第2ユニット100のサイズは任意に変更可能である。一例では、第2ユニット100のY方向の寸法は、第1ユニット90のY方向の寸法と等しくてもよい。
【0314】
・第2実施形態において、第1電極板121は、Z方向において第1素子絶縁層92の第1素子裏面92Bよりも第1素子表面92A寄りに配置されていてもよい。また、第1電極板121は、Z方向において第1素子絶縁層92の中央に配置されていてもよい。
【0315】
・第2実施形態において、第2電極板122は、Z方向において第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aよりも第2素子裏面102B寄りに配置されていてもよい。また、第2電極板122は、Z方向において第2素子絶縁層102の中央に配置されていてもよい。
【0316】
・第2実施形態において、第1電極板121と第1電極パッド54とは、キャパシタチップ130の外部において電気的に接続されていてもよい。
・第2実施形態において、第2ユニット150のサイズは任意に変更可能である。一例では、第2ユニット150のY方向の寸法は、第1ユニット140のY方向の寸法と等しくてもよい。
【0317】
・第3実施形態において、第1コイル21は、Z方向において第1素子絶縁層92の第1素子裏面92Bよりも第1素子表面92A寄りに配置されていてもよい。また、第1コイル21は、Z方向において第1素子絶縁層92の中央に配置されていてもよい。
【0318】
・第3実施形態において、第4コイル24は、Z方向において第1素子絶縁層92の第1素子裏面92Bよりも第1素子表面92A寄りに配置されていてもよい。また、第4コイル24は、Z方向において第1素子絶縁層92の中央に配置されていてもよい。
【0319】
・第3実施形態において、第2コイル22は、Z方向において第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aよりも第2素子裏面102B寄りに配置されていてもよい。また、第2コイル22は、Z方向において第2素子絶縁層102の中央に配置されていてもよい。
【0320】
・第3実施形態において、第3コイル23は、Z方向において第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aよりも第2素子裏面102B寄りに配置されていてもよい。また、第3コイル23は、Z方向において第2素子絶縁層102の中央に配置されていてもよい。
【0321】
・第3実施形態において、第1コイル21と第1電極パッド54とは、トランスチップ50の外部において電気的に接続されていてもよい。また、第3実施形態において、第4コイル24と第2電極パッド55とは、トランスチップ50の外部において電気的に接続されていてもよい。
【0322】
・第3実施形態において、第2コイル22と第3コイル23とは、第2ユニット100の外部において電気的に接続されていてもよい。また、第2コイル22と第3コイル23とは、トランスチップ50の外部において電気的に接続されていてもよい。
【0323】
・第3実施形態では、第1~第4絶縁素子として第1~第4コイル21~24が用いられたが、これに限られない。第1~第4絶縁素子として第1~第4コイル21~24に代えて第1~第4電極板が用いられてもよい。この場合、第3実施形態は、絶縁チップとしてトランスチップ50に代えてキャパシタチップが用いられる。第1~第4電極板の構成は、例えば第2実施形態の第1電極板121および第2電極板122の構成と同じであってよい。
【0324】
・第3実施形態において、凹部160の底面163の位置、つまり凹部160の深さHRは任意に変更可能である。一例では、凹部160は、第1ユニット90と第2ユニット100との接合面まで達していてもよい。これにより、第1素子絶縁層92は、X方向に分離された2つの絶縁層として第1絶縁層および第2絶縁層を含む。この場合、凹部160によって、Z方向において第2半導体基板101が露出している。
【0325】
第1絶縁層は、第1基板91A上に設けられており、第1コイル21を含む。第2絶縁層は、第2基板91B上に設けられており、第4コイル24を含む。第1絶縁層には、第1接続部95および第2接続部96が設けられていてもよい。第2絶縁層には、第3接続部97および第4接続部98が設けられていてもよい。またこの場合、絶縁性接合材110は、第1絶縁層の第1素子表面92Aと第2絶縁層の第1素子表面92Aとのそれぞれに塗布される。このため、第2半導体基板101のうち凹部160と対向する部分には絶縁性接合材110が塗布されていない。
【0326】
・各実施形態において、第1ユニット90は、第1半導体基板91に代えて、ガラスまたはアルミナ等のセラミックを含む材料によって形成された絶縁基板を含んでいてもよい。
【0327】
・各実施形態において、第2ユニット100は、第2半導体基板101に代えて、ガラスまたはアルミナ等のセラミックを含む材料によって形成された絶縁基板を含んでいてもよい。
【0328】
・各実施形態において、第2ユニット100のサイズは任意に変更可能である。一例では、第2ユニット100のY方向の寸法は、第1ユニット90のY方向の寸法と等しくてもよい。
【0329】
・各実施形態において、第1素子絶縁層92から保護層92Gおよびパッシベーション層92Hの少なくとも一方を省略してもよい。第1素子絶縁層92から保護層92Gおよびパッシベーション層92Hの双方が省略された場合、第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aは第2絶縁膜92Qによって構成される。このため、ユニット接合状態において、第2絶縁膜92Qは第2ユニット100の第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aに接合される。
【0330】
・各実施形態において、第2素子絶縁層102から保護層102Gおよびパッシベーション層102Hの少なくとも一方を省略してもよい。第2素子絶縁層102から保護層102Gおよびパッシベーション層102Hの双方が省略された場合、第2素子絶縁層102の第2素子表面102Aは第2絶縁膜102Qによって構成される。このため、ユニット接合状態において、第2絶縁膜102Qは第1ユニット90の第1素子絶縁層92の第1素子表面92Aに接合される。ここで、第1ユニット90の第1素子絶縁層92から保護層92Gおよびパッシベーション層92Hの双方が省略された場合、ユニット接合状態において、第2素子絶縁層102の第2絶縁膜102Qと第1素子絶縁層92の第2絶縁膜92Qとが接合される。
【0331】
・各実施形態において、第1素子絶縁層92の構成は任意に変更可能である。一例では、図28に示すように、第1素子絶縁層92は、複数の第2絶縁膜92Qの積層体によって形成されていてよい。つまり、第1素子絶縁層92から第1絶縁膜92Pを省略してもよい。図28に示す例では、保護層92Gおよびパッシベーション層92Hも省略している。このため、第1素子絶縁層92は、第1絶縁膜92Pによって形成されている。
【0332】
・各実施形態において、第2素子絶縁層102の構成は任意に変更可能である。一例では、図28に示すように、第2素子絶縁層102は、複数の第2絶縁膜102Qの積層体によって形成されていてよい。つまり、第2素子絶縁層102から第1絶縁膜102Pを省略してもよい。図28に示す例では、保護層102Gおよびパッシベーション層92Hも省略している。
【0333】
[信号伝達装置の変更例]
・第1実施形態において、トランスチップ50の配置構成は任意に変更可能である。一例では、トランスチップ50は、第2ダイパッド71に配置されていてもよい。この場合、第2ダイパッド71には、トランスチップ50および第2チップ40の双方が配置されている。
【0334】
・第2実施形態において、キャパシタチップ130の配置構成は任意に変更可能である。一例では、キャパシタチップ130は、第2ダイパッド71に配置されていてもよい。この場合、第2ダイパッド71には、キャパシタチップ130および第2チップ40の双方が配置されている。
【0335】
・第1実施形態において、図29に示すように、トランスチップ50が1次側回路13を含んでいてもよい。1次側回路13は、第1ユニット90に設けられている。より詳細には、1次側回路13は、例えば第1半導体基板91に設けられている。第1コイル21と1次側回路13とは、トランスチップ50内において電気的に接続されている。より詳細には、第1コイル21と1次側回路13とは、第1ユニット90内において電気的に接続されている。第1コイル21と1次側回路13とを電気的に接続する配線層は、例えば第1素子絶縁層92に設けられている。この場合、複数の第1電極パッド54は、第1リードフレーム60の複数の第1リード62(図2参照)に複数のワイヤW5によって個別に電気的に接続されている。
【0336】
なお、第2実施形態のキャパシタチップ130についても同様に、1次側回路13を含む構成に変更することができる。第1電極板121と1次側回路13とは、キャパシタチップ130内において電気的に接続されている。第1電極板121と1次側回路13とを電気的に接続する配線層は、例えば第1素子絶縁層92に設けられている。また、第3実施形態のトランスチップ50についても同様に、1次側回路13を含む構成に変更することができる。この場合、1次側回路13は、第1基板91Aに設けられている。
【0337】
・第3実施形態において、図30に示すように、トランスチップ50が2次側回路14を含んでいてもよい。2次側回路14は、第1ユニット90に設けられている。より詳細には、2次側回路14は、例えば第2基板91Bに設けられている。第4コイル24と2次側回路14とは、トランスチップ50内において電気的に接続されている。より詳細には、第4コイル24と2次側回路14とは、第1ユニット90内において電気的に接続されている。第4コイル24と2次側回路14とを電気的に接続する配線層は、例えば第1素子絶縁層92に設けられている。この場合、複数の第2電極パッド55は、第1リードフレーム60の複数の第1リード62(図2参照)に複数のワイヤW6によって個別に電気的に接続されている。
【0338】
・第3実施形態において、図31に示すように、トランスチップ50が1次側回路13および2次側回路14の双方を含んでいてもよい。1次側回路13および2次側回路14は第1ユニット90に設けられている。より詳細には、1次側回路13は例えば第1半導体基板91の第1基板91Aに設けられ、2次側回路14は例えば第1半導体基板91の第2基板91Bに設けられている。第1コイル21と1次側回路13とはトランスチップ50内において電気的に接続され、第4コイル24と2次側回路14とはトランスチップ50内において電気的に接続されている。より詳細には、第1コイル21と1次側回路13とは第1ユニット90内において電気的に接続されている。第4コイル24と2次側回路14とは第2ユニット100内において電気的に接続されている。第1コイル21と1次側回路13とを電気的に接続する配線層は、例えば第1素子絶縁層92に設けられている。第4コイル24と2次側回路14とを電気的に接続する配線層は、例えば第1素子絶縁層92に設けられている。
【0339】
複数の第1電極パッド54は、第1リードフレーム60の複数の第1リード62に複数のワイヤW7によって個別に電気的に接続されている。複数の第2電極パッド55は、第2リードフレーム70の複数の第2リード72に複数のワイヤW8によって個別に電気的に接続されている。
【0340】
・第1および第2実施形態において、信号伝達装置10は、例えば複数の絶縁チップを備えていてよい。一例では、図32に示すように、信号伝達装置10は、2つのトランスチップ50を備えていてよい。ここで、便宜上、2つのトランスチップ50を「第1トランスチップ50A」および「第2トランスチップ50B」とする。第1トランスチップ50Aは、第1リードフレーム60の第1ダイパッド61に配置されている。第2トランスチップ50Bは、第2リードフレーム70の第2ダイパッド71に配置されている。このように、第1ダイパッド61には第1トランスチップ50Aおよび第1チップ30の双方が配置され、第2ダイパッド71には第2トランスチップ50Bおよび第2チップ40の双方が配置されている。ここで、第1トランスチップ50Aは「第1絶縁チップ」の一例であり、第2トランスチップ50Bは「第2絶縁チップ」の一例である。
【0341】
第1トランスチップ50Aは、第1チップ30に対して第2チップ40寄りに配置されている。第2トランスチップ50Bは、第2チップ40に対して第1チップ30寄りに配置されている。このため、第1リードフレーム60の第1リード62から第2リードフレーム70の第2リード72に向けて、第1チップ30、第1トランスチップ50A、第2トランスチップ50B、および第2チップ40の順に配置されている。
【0342】
第1チップ30と第1トランスチップ50Aとは複数のワイヤW1によって電気的に接続されている。第2チップ40と第2トランスチップ50Bとは複数のワイヤW3によって電気的に接続されている。複数のワイヤW1による第1チップ30と第1トランスチップ50Aとの接続態様は第1実施形態の複数のワイヤW1による第1チップ30とトランスチップ50の接続態様と同じである。複数のワイヤW2による第2チップ40と第2トランスチップ50Bとの接続態様は第1実施形態の複数のワイヤW2による第2チップ40とトランスチップ50との接続態様と同じである。
【0343】
第1トランスチップ50Aと第2トランスチップ50Bとは、複数のワイヤW9によって電気的に接続されている。より詳細には、第1トランスチップ50Aの複数の第2電極パッド55は、第2トランスチップ50Bの複数の第1電極パッド54と複数のワイヤW9によって個別に接続されている。これにより、第1トランスチップ50Aの第2コイル22と第2トランスチップ50Bの第1コイル21とが電気的に接続されている。
【0344】
この構成によれば、第1チップ30と第2チップ40との間を、第1トランスチップ50Aおよび第2トランスチップ50Bによる二重絶縁構造によって絶縁しているため、1つのトランスチップによって第1チップ30と第2チップ40とを絶縁する構成と比較して、信号伝達装置10の絶縁耐圧の向上を図ることができる。
【0345】
加えて、第1チップ30および第2チップ40とは別に第1トランスチップ50Aおよび第2トランスチップ50Bがそれぞれ設けられているため、異なる第1チップ30および第2チップ40に対して共通のトランスチップを用いることができる。これにより、第1チップ30および第2チップ40の少なくとも一方が異なる複数種類の信号伝達装置10を製造する場合に製造コストを低減することができる。
【0346】
・トランスチップ50は、各実施形態の信号伝達装置10以外にも適用可能である。
第1例では、トランスチップ50は、例えば1次側回路モジュールに適用されてもよい。1次側回路モジュールは、第1チップ30と、トランスチップ50と、これらチップ30,50を封止する封止樹脂と、を備える。また1次側回路モジュールは、第1チップ30およびトランスチップ50の双方が配置された第1ダイパッド61を備える。この場合、1次側回路モジュールは「絶縁モジュール」に対応している。なお、図29に示すように、トランスチップ50が1次側回路13を含む構成であってもよい。この場合、第1チップ30は省略される。また、1次側回路モジュールは、トランスチップ50に代えて、キャパシタチップ130を備えていてもよい。
【0347】
第2例では、トランスチップ50は、例えば2次側回路モジュールに適用されてもよい。2次側回路モジュールは、第2チップ40と、トランスチップ50と、これらチップ40,50を封止する封止樹脂と、を備える。また2次側回路モジュールは、第2チップ40およびトランスチップ50が配置された第2ダイパッド71を備える。この場合、2次側回路モジュールは「絶縁モジュール」に対応している。
【0348】
第3例では、トランスチップ50がモジュール化されてもよい。つまり、絶縁モジュールは、トランスチップ50と、トランスチップ50を封止する封止樹脂と、を備える。また、絶縁モジュールは、トランスチップ50が配置されたダイパッドを備える。また、絶縁モジュールは、トランスチップ50に代えて、キャパシタチップ130を備えていてもよい。
【0349】
・上記第1例~第3例に基づいて、信号伝達装置10の構成は以下のように変更してもよい。
一例では、信号伝達装置10は、上記1次側回路モジュールと第2チップ40とを備えていてもよい。この場合、第2チップ40が第2ダイパッド71に配置され、第2ダイパッド71および第2チップ40の双方が封止樹脂によって封止されたモジュールによって構成されていてもよい。つまり、このモジュールは、1次側回路モジュールとは別に設けられている。信号伝達装置10は、1次側回路モジュールと上記モジュールとを備える。
【0350】
また一例では、信号伝達装置10は、上記2次側回路モジュールと第1チップ30とを備えていてもよい。この場合、第1チップ30が第1ダイパッド61に配置され、第1ダイパッド61および第1チップ30の双方が封止樹脂によって封止されたモジュールによって構成されていてもよい。つまり、このモジュールは、2次側回路モジュールとは別に設けられている。信号伝達装置10は、2次側回路モジュールと上記モジュールとを備える。
【0351】
また一例では、信号伝達装置10は、絶縁モジュールと、第1チップ30と、第2チップ40と、を備えていてもよい。この場合、第1チップ30が第1ダイパッド61に配置され、第1ダイパッド61および第1チップ30の双方が封止樹脂によって封止された第1モジュールによって構成されていてもよい。第2チップ40が第2ダイパッド71に配置され、第2ダイパッド71および第2チップ40の双方が封止樹脂によって封止された第2モジュールによって構成されていてもよい。つまり、第1モジュール、第2モジュール、および絶縁モジュールは、互いに個別に設けられている。信号伝達装置10は、第1モジュール、第2モジュール、および絶縁モジュールを備える。
【0352】
・上記各実施形態では、信号伝達装置10は、1次側回路13から2次側回路14にセット信号およびリセット信号が伝達されたが、これに限られない。一例では、信号伝達装置10は、2次側回路14から1次側回路13に信号が伝達されてもよい。一例では、信号伝達装置10は、1次側回路13から2次側回路14に信号が伝達され、2次側回路14から1次側回路13から信号が伝達されるような双方向に信号が伝達されてもよい。
【0353】
本明細書に記載の様々な例のうち1つまたは複数を、技術的に矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に対象物を区別するために用いられており、対象物を順位づけするものではない。
【0354】
本明細書において、「AおよびBのうち少なくとも1つ」とは、「Aのみ、または、Bのみ、またはAおよびBの両方」を意味するものとして理解されるべきである。
本開示で使用される「~上に」という用語は、文脈によって明らかにそうでないことが示されない限り、「~上に」と「~の上方に」の意味を含む。したがって、例えば「第1要素が第2要素上に配置される」という表現は、或る実施形態では第1要素が第2要素に接触して第2要素上に直接配置され得るが、他の実施形態では第1要素が第2要素に接触することなく第2要素の上方に配置され得ることが意図される。すなわち、「~上に」という用語は、第1要素と第2要素との間に他の要素が形成される構造を排除しない。
【0355】
本開示で使用されるZ方向は必ずしも鉛直方向である必要はなく、鉛直方向に完全に一致している必要もない。したがって、本開示による種々の構造は、本明細書で説明されるZ方向の「上」および「下」が鉛直方向の「上」および「下」であることに限定されない。例えばX方向が鉛直方向であってもよく、またはY方向が鉛直方向であってもよい。
【0356】
<付記>
本開示から把握できる技術的思想を以下に記載する。なお、限定する意図ではなく理解の補助のため、付記に記載される構成要素には、上記実施形態中の対応する構成要素の参照符号が付されている。参照符号は、理解の補助のために例として示すものであり、各付記に記載された構成要素は、参照符号で示される構成要素に限定されるべきではない。
【0357】
[付記1]
第1ユニット(90)と、
前記第1ユニット(90)上に設けられた第2ユニット(100)と、
前記第1ユニット(90)と前記第2ユニット(100)とを接合する絶縁性接合材(110)と、
を備え、
前記第1ユニット(90)は、
前記第2ユニット(100)の側を向く第1素子表面(92A)、および前記第1素子表面(92A)とは反対側の第1素子裏面(92B)を含む第1素子絶縁層(92)と、
前記第1素子絶縁層(92)の厚さ方向(Z方向)において前記第1素子表面(92A)から離隔した位置で前記第1素子絶縁層(92)に埋め込まれた第1絶縁素子(21)と、
を含み、
前記第2ユニット(100)は、
第2素子表面(102A)、および前記第2素子表面(102A)とは反対側の第2素子裏面(102B)を含む第2素子絶縁層(102)と、
前記第2素子絶縁層(102)の厚さ方向(Z方向)において前記第2素子表面(102A)から離隔した位置で前記第2素子絶縁層(102)に埋め込まれた第2絶縁素子(22)と、
前記第2素子裏面(102B)と接する第2半導体基板(101)と、
を含み、
前記絶縁性接合材(110)によって前記第2ユニット(100)が前記第1ユニット(90)上に接合されたユニット接合状態において、前記第1素子絶縁層(92)の厚さ方向(Z方向)において前記第1絶縁素子(21)と前記第2絶縁素子(22)とが対向配置されており、
前記絶縁性接合材(110)は、前記第1素子絶縁層(92)と前記第2半導体基板(101)とを接合している
絶縁チップ(50)。
【0358】
[付記2]
前記第1ユニット(90)は、前記第1素子絶縁層(92)の前記第1素子裏面(92B)と接する第1半導体基板(91)を含み、
前記第2半導体基板(101)の不純物濃度は、前記第1半導体基板(91)の不純物濃度よりも低い
付記1に記載の絶縁チップ。
【0359】
[付記3]
前記第2半導体基板(101)の不純物濃度は、1×1013cm-3以上1×1014cm-3以下である
付記2に記載の絶縁チップ。
【0360】
[付記4]
前記第1ユニット(90)は、前記第1素子絶縁層(92)の前記第1素子裏面(92B)と接する第1半導体基板(91)を含み、
前記第2半導体基板(101)の不純物濃度は、前記第1半導体基板(91)の不純物濃度と等しい
付記1に記載の絶縁チップ。
【0361】
[付記5]
前記第1半導体基板(91)および前記第2半導体基板(101)の不純物濃度は、1×1013cm-3以上1×1014cm-3以下である
付記4に記載の絶縁チップ。
【0362】
[付記6]
前記第1ユニット(90)は、前記第1素子絶縁層(92)の前記第1素子裏面(92B)と接する第1半導体基板(91)を含み、
前記第2半導体基板(101)の抵抗率は、前記第1半導体基板(91)の抵抗率よりも高い
付記1に記載の絶縁チップ。
【0363】
[付記7]
前記第2半導体基板(101)の抵抗率は、100Ωcm以上10000Ωcm未満である
付記6に記載の絶縁チップ。
【0364】
[付記8]
前記第1ユニット(90)は、前記第1素子絶縁層(92)の前記第1素子裏面(92B)と接する第1半導体基板(91)を含み、
前記第2半導体基板(101)の抵抗率は、前記第1半導体基板(91)の抵抗率と等しい
付記1に記載の絶縁チップ。
【0365】
[付記9]
前記第1半導体基板(91)および前記第2半導体基板(101)の抵抗率は、100Ωcm以上10000Ωcm未満である
付記8に記載の絶縁チップ。
【0366】
[付記10]
前記第1ユニット(90)は、前記第1素子絶縁層(92)の前記第1素子裏面(92B)と接する第1半導体基板(91)を含み、
前記第2半導体基板(101)の厚さ(T2)は、前記第1半導体基板(91)の厚さ(T1)よりも薄い
付記1~9のいずれか1つに記載の絶縁チップ。
【0367】
[付記11]
前記絶縁性接合材(110)は、エポキシ樹脂およびビスマレイミド樹脂の少なくとも1つを含む
付記1~10のいずれか1つに記載の絶縁チップ。
【0368】
[付記12]
前記第2ユニット(100)は、平面視において前記第1ユニット(90)よりも小さく形成されており、
前記第1ユニット(90)は、前記第1絶縁素子(21)と電気的に接続され、前記第1素子表面(92A)から露出するように前記第1素子絶縁層(92)に設けられた第1電極パッド(54)を含み、
前記第2ユニット(100)は、前記第2絶縁素子(22)と電気的に接続され、前記第2素子表面(102A)から露出するように前記第2素子絶縁層(102)に設けられた第2電極パッド(55)を含み、
前記ユニット接合状態において、前記第1電極パッド(54)が平面視において前記第2ユニット(100)とは異なる位置に設けられている
付記1~11のいずれか1つに記載の絶縁チップ。
【0369】
[付記13]
前記第1絶縁素子(21)は、前記第1素子表面(92A)よりも前記第1素子裏面(92B)寄りに配置されており、
前記第2絶縁素子(22)は、前記第2素子裏面(102B)よりも前記第2素子表面(102A)寄りに配置されている
付記1~12のいずれか1つに記載の絶縁チップ。
【0370】
[付記14]
前記第1絶縁素子(21)および前記第2絶縁素子(22)は、コイルである
付記1~13のいずれか1つに記載の絶縁チップ。
【0371】
[付記15]
前記第1絶縁素子(121)および前記第2絶縁素子(122)は、電極板である
付記1~13のいずれか1つに記載の絶縁チップ。
【0372】
[付記16]
付記1~15のいずれか1つに記載の絶縁チップ(50)と、
第1回路(13)と、
前記第1回路(13)と前記絶縁チップ(50)を介して接続された第2回路(14)と、
を備え、
前記第1回路(13)と前記第2回路(14)とは、前記絶縁チップ(50)を介して信号を伝達するように構成されている
信号伝達装置(10)。
【0373】
[付記17]
前記第1ユニット(90)は、前記第1回路(13)を含み、
前記第2回路(14)は、前記絶縁チップ(50)とは別に設けられている
付記16に記載の信号伝達装置。
【0374】
[付記18]
前記第1回路(13)を含む第1チップ(30)と、
前記第2回路(14)を含む第2チップ(40)と、
を含む
付記16に記載の信号伝達装置。
【0375】
[付記19]
前記第1ユニット(90)は、
前記第1素子絶縁層(92)内に設けられ、前記第1絶縁素子(21)と電気的に接続された配線層(93A)と、
前記第1素子絶縁層(92)内に設けられ、前記配線層(93A)と前記第1電極パッド(54)とを電気的に接続する接続配線(93B,93C)と、
を含む
付記12に記載の絶縁チップ。
【0376】
[付記20]
前記第2ユニット(100)は、
前記第2素子絶縁層(102)内に設けられ、前記第2絶縁素子(22)と電気的に接続された配線層(104A)と、
前記第2素子絶縁層(102)内に設けられ、前記配線層(104A)と前記第2電極パッド(55)とを電気的に接続する接続配線(104B)と、
を含む
付記12に記載の絶縁チップ。
【0377】
[付記21]
第1ユニット(90)と、
前記第1ユニット(90)上に接合された第2ユニット(100)と、
前記第1ユニット(90)と前記第2ユニット(100)とを接合する絶縁性接合材(110)と、
を備え、
前記第1ユニット(90)は、
第1半導体基板(91)と、
前記第2ユニット(100)の側を向く第1素子表面(92A)、および前記第1素子表面(92A)とは反対側の第1素子裏面(92B)を含み、前記第1素子裏面(92B)が前記第1半導体基板(91)と接する第1素子絶縁層(92)と、
前記第1素子絶縁層(92)の厚さ方向(Z方向)において前記第1素子表面(92A)から離隔した位置で前記第1素子絶縁層(92)に埋め込まれ、前記第1素子表面(92A)に沿う第1方向(X方向)において互いに離隔して配列されるとともに互いに電気的に絶縁された第1絶縁素子(21)および第4絶縁素子(24)と、
を含み、
前記第2ユニット(100)は、
第2素子表面(102A)、および前記第2素子表面(102A)とは反対側の第2素子裏面(102B)を含む第2素子絶縁層(102)と、
前記第2素子絶縁層(102)の厚さ方向(Z方向)において前記第2素子表面(102A)から離隔した位置で前記第2素子絶縁層(102)に埋め込まれ、前記第1方向(X方向)において互いに離隔して配列されるとともに互いに電気的に接続された第2絶縁素子(22)および第3絶縁素子(23)と、
前記第2素子裏面(102B)と接する第2半導体基板(101)と、
を含み、
前記絶縁性接合材(110)によって前記第2ユニット(100)が前記第1ユニット(90)の上に接合されたユニット接合状態において、前記第1絶縁素子(21)および前記第2絶縁素子(22)は前記第1素子絶縁層(92)の厚さ方向(Z方向)において対向配置されており、前記第3絶縁素子(23)および前記第4絶縁素子(24)は前記第1素子絶縁層(92)の厚さ方向(Z方向)において対向配置されており、
前記第1半導体基板(91)は、前記第1方向(X方向)において互いに離隔して配列された第1基板(91A)および第2基板(91B)を含み、
前記第1基板(91A)は、平面視において前記第1絶縁素子(21)および前記第2絶縁素子(22)と重なる位置に配置されており、
前記第2基板(91B)は、平面視において前記第3絶縁素子(23)および前記第4絶縁素子(24)と重なる位置に配置されており、
前記絶縁性接合材(110)は、前記第1素子絶縁層(92)と前記第2半導体基板(110)とを接合している
絶縁チップ(50)。
【0378】
[付記22]
前記第1素子絶縁層(92)は、前記第1素子裏面(92B)から前記第1素子表面(92A)に向けて凹む凹部(160)を有し、
前記第1方向(X方向)において、前記第1基板(91A)および前記第2基板(91B)は、前記凹部(160)の両側に分散して配置されている
請求項21に記載の絶縁チップ。
【0379】
[付記23]
前記凹部(160)の底面(163)は、前記第1素子絶縁層(92)の厚さ方向(Z方向)において前記第1ユニット(90)と前記第2ユニット(100)との接合面よりも前記第1半導体基板(91)寄りに形成されている
付記22に記載の絶縁チップ。
【0380】
[付記24]
前記凹部(160)の底面(163)は、前記第1素子絶縁層(92)の厚さ方向(Z方向)において前記第1絶縁素子(21)および前記第4絶縁素子(24)よりも前記第1素子裏面(92B)寄りに形成されている
付記23に記載の絶縁チップ。
【0381】
[付記25]
前記凹部(160)の幅(WR)は、前記第1素子絶縁層(92)の厚さ方向(Z方向)における前記第1絶縁素子(21)と前記第2絶縁素子(22)との間の距離以上である
付記22~24のいずれか1つに記載の絶縁チップ。
【0382】
[付記26]
前記第1絶縁素子(21)と前記第4絶縁素子(24)との前記第1方向(X方向)の間の距離は、前記第1素子絶縁層(92)の厚さ方向(Z方向)における前記第1絶縁素子(21)と前記第2絶縁素子(22)との間の距離以上である
付記21~25のいずれか1つに記載の絶縁チップ。
【0383】
[付記27]
前記第1ユニット(90)は、
前記第1絶縁素子(21)と電気的に接続され、前記第1素子表面(92A)から露出するように前記第1素子絶縁層(92)に設けられた第1電極パッド(55)と、
前記第4絶縁素子(24)と電気的に接続され、前記第1素子表面(92A)から露出するように前記第1素子絶縁層(92)に設けられた第2電極パッド(55)と、
を含む
付記21~26のいずれか1つに記載の絶縁チップ。
【0384】
[付記28]
前記第2ユニット(100)は、平面視において前記第1ユニット(90)よりも小さく形成されており、
前記ユニット接合状態において、前記第1電極パッド(54)および前記第2電極パッド(55)の双方は、平面視において前記第2ユニット(100)とは異なる位置に設けられている
付記27に記載の絶縁チップ。
【0385】
[付記29]
前記第2絶縁素子(22)および前記第3絶縁素子(23)は、前記第2素子絶縁層(102)内において互いに電気的に接続されている
付記21~28のいずれか1つに記載の絶縁チップ。
【0386】
[付記30]
前記第1絶縁素子(21)、前記第2絶縁素子(22)、前記第3絶縁素子(23)、および前記第4絶縁素子(24)は、コイルによって形成されている
付記21~29のいずれか1つに記載の絶縁チップ。
【0387】
[付記31]
前記第1絶縁素子、前記第2絶縁素子、前記第3絶縁素子、および前記第4絶縁素子は、電極板によって形成されている
付記21~29のいずれか1つに記載の絶縁チップ。
【0388】
[付記32]
請求項21~31のいずれか1つに記載の絶縁チップ(50)と、
第1回路(13)と、
前記第1回路(13)と前記絶縁チップ(50)を介して接続された第2回路(14)と、
を備え、
前記第1回路(13)と前記第2回路(14)とは、前記絶縁チップ(50)を介して信号を伝達するように構成されている
信号伝達装置(10)。
【0389】
[付記33]
第1ダイパッド(61)と、
前記第1ダイパッド(61)から離隔して配置された第2ダイパッド(71)と、
を備え、
前記絶縁チップ(50)は、前記第1ダイパッド(61)と前記第2ダイパッド(71)との間を跨ぐように前記第1ダイパッド(61)および前記第2ダイパッド(71)の双方に配置されている
付記32に記載の信号伝達装置。
【0390】
[付記34]
前記第1ユニット(90)は、前記第1回路(13)および前記第2回路(14)の少なくとも一方を含む
付記32または33に記載の信号伝達装置。
【0391】
[付記35]
前記第1回路(13)を含む第1チップ(30)と、
前記第2回路(14)を含む第2チップ(40)と、
を含み、
前記第1チップ(30)は、前記第1ダイパッド(61)に配置され、
前記第2チップ(40)は、前記第2ダイパッド(71)に配置されている
付記33に記載の信号伝達装置。
【0392】
以上の説明は単に例示である。本開示の技術を説明する目的のために列挙された構成要素および方法(製造プロセス)以外に、より多くの考えられる組み合わせおよび置換が可能であることを当業者は認識し得る。本開示は、特許請求の範囲を含む本開示の範囲内に含まれる全ての代替、変形、および変更を包含することが意図される。
【符号の説明】
【0393】
10…信号伝達装置
10A…信号伝達回路
11…1次側端子
12…2次側端子
13…1次側回路(第1回路)
14…2次側回路(第2回路)
15,15A,15B…トランス
16A,16B…1次側信号線
17A,17B…2次側信号線
18A,18B,19A,19B…トランス
21…第1コイル
21A…第1端部
21B…第2端部
22…第2コイル
22A…第1端部
22B…第2端部
23…第3コイル
23A…第1端部
23B…第2端部
24…第4コイル
24A…第1端部
24B…第2端部
30…第1チップ
31…チップ表面
32…チップ裏面
33…第1電極パッド
34…第2電極パッド
35…第3電極パッド
36…基板
37…配線層
40…第2チップ
41…チップ表面
42…チップ裏面
43…第1電極パッド
44…第2電極パッド
45…第3電極パッド
46…基板
47…配線層
50…トランスチップ(絶縁チップ)
50A…第1トランスチップ
50B…第2トランスチップ
51…第1チップ表面
51A…露出領域
51AA…第1領域
51AB…第2領域
51AC…第3領域
51AD…第4領域
52…第2チップ表面
53…チップ裏面
54,54A,54B…第1電極パッド
55,55A,55B…第2電極パッド
60…第1リードフレーム
61…第1ダイパッド
62…第1リード
70…第2リードフレーム
71…第2ダイパッド
72…第2リード
80…封止樹脂
81~84…樹脂側面
90…第1ユニット
91…第1半導体基板
91A…第1基板
91AS…基板側面
91B…第2基板
91BS…基板側面
92…第1素子絶縁層
92A…第1素子表面
92B…第1素子裏面
92BA,92BB…素子裏面
92C~92F…第1素子側面
92G…保護層
92H…パッシベーション層
92P…第1絶縁膜
92Q…第2絶縁膜
92R…絶縁体
93…第1接続部
93A…第1配線層
93B…第1接続配線
93BA…第1ビア
93BB…中間配線層
93BC…第2ビア
93C…ビア
94…第2接続部
94A…第2配線層
94B…第2接続配線
95…第1接続部
95A…第1配線層
95B…第1接続配線
95BA…第1ビア
95BB…中間配線層
95BC…第2ビア
95C…ビア
96…第2接続部
96A…第2配線層
96B…第2接続配線
97…第3接続部
97A…第3配線層
97B…第3接続配線
97BA…第1ビア
97BB…中間配線層
97BC…第2ビア
97C…ビア
98…第4接続部
98A…第4配線層
98B…第4接続配線
100…第2ユニット
101…第2半導体基板
102…第2素子絶縁層
102A…第2素子表面
102B…第2素子裏面
102C~102F…第2素子側面
102G…保護層
102H…パッシベーション層
102P…第1絶縁膜
102Q…第2絶縁膜
102R…絶縁体
103…第1接続部
104…第2接続部
104A…配線層
104B…ビア
105…第1接続部
105A…配線層
105B…ビア
105C…ビア
106…第2接続部
110…絶縁性接合材
120A,120B…キャパシタ
121…第1電極板
122…第2電極板
130…キャパシタチップ(絶縁チップ)
131…第1チップ表面
132…第2チップ表面
133…チップ裏面
140…第1ユニット
141…接続部
141A…配線層
141B…ビア
150…第2ユニット
151…接続部
151A…配線層
151B…ビア
160…凹部
161…第1側面
162…第2側面
163…底面
800…第1半導体ウエハ
900…第2半導体ウエハ
910…ダイシングテープ
920…ダイシングブレード
W1~W9…ワイヤ
SD…導電性接合材
DA1…第1コイルと第1素子表面との間の距離
DA2…第1コイルと第1素子裏面との間の距離
DA3…第4コイルと第1素子表面との間の距離
DA4…第4コイルと第1素子裏面との間の距離
DB1…第2コイルと第2素子裏面との間の距離
DB2…第2コイルと第2素子表面との間の距離
DB3…第3コイルと第2素子裏面との間の距離
DB4…第3コイルと第2素子表面との間の距離
DX1…第1コイルと第1電極パッドとのX方向の間の距離
DX2…第1コイルと第2電極パッドとのX方向の間の距離
DY1…第1コイル同士のY方向の間の距離
DY2…第2コイル同士のY方向の間の距離
DY3…第3コイル同士のY方向の間の距離
DY4…第4コイル同士のY方向の間の距離
DD1…第1電極板と第1素子表面との間の距離
DD2…第1電極板と第1素子裏面との間の距離
DE1…第2電極板と第2素子裏面との間の距離
DE2…第2電極板と第2素子表面との間の距離
DBX…第1基板と第2基板とのX方向の間の距離
T1…第1半導体基板の厚さ
T2…第2半導体基板の厚さ
T3…絶縁性接合材の厚さ
TA…第1素子絶縁層の厚さ
TB…第2素子絶縁層の厚さ
HR…凹部の深さ
WR…凹部の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図32