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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139277
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/048 20130101AFI20241002BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20241002BHJP
   G06F 3/0488 20220101ALI20241002BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20241002BHJP
   G09G 5/37 20060101ALI20241002BHJP
   G09G 5/14 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G06F3/048
G06F3/14 350A
G06F3/14 360A
G06F3/0488
G09G5/00 550C
G09G5/37 320
G09G5/14 A
G09G5/00 555D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050147
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 高志
【テーマコード(参考)】
5B069
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
5B069AA20
5B069CA14
5B069KA06
5C182AB08
5C182AB25
5C182AC02
5C182AC03
5C182AC39
5C182AC43
5C182BA01
5C182BA06
5C182BA66
5C182BC25
5C182CB44
5C182CC02
5E555AA10
5E555AA26
5E555AA62
5E555BA01
5E555BA23
5E555BB01
5E555BB23
5E555BC04
5E555BE10
5E555CA12
5E555CB12
5E555CC05
5E555DA05
5E555DB04
5E555DB56
5E555DC09
5E555DC31
5E555DC45
5E555DC72
5E555DD06
5E555DD07
5E555EA09
5E555EA11
5E555EA14
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】表示装置に対する適切な操作を実現する。
【解決手段】車両に搭載された表示装置に表示する画面を生成し、前記表示装置の画面に対応する画面を外部装置に提供する制御装置であって、前記表示装置または前記外部装置を選択する選択部と、前記画面内の一部の領域に、前記選択部が選択した装置に入力された操作に基づく処理を実行し、前記選択部が選択した装置以外の装置へ入力された操作に基づく処理を抑制する領域を設定する設定部と、前記画面内の各領域に対応付けされた前記選択部が選択した装置が受け付けた操作に基づいて画面を生成する処理部と、前記処理部によって生成された画面を前記表示装置に表示し、前記外部装置に対して前記表示装置の画面に対応する画面を提供する表示制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された表示装置に表示する画面を生成し、前記表示装置の画面に対応する画面を外部装置に提供する制御装置であって、
前記表示装置または前記外部装置を選択する選択部と、
前記画面内の一部の領域に、前記選択部が選択した装置に入力された操作に基づく処理を実行し、前記選択部が選択した装置以外の装置へ入力された操作に基づく処理を抑制する領域を設定する設定部と、
前記画面内の各領域に対応付けされた前記選択部が選択した装置が受け付けた操作に基づいて画面を生成する処理部と、
前記処理部によって生成された画面を前記表示装置に表示し、前記外部装置に対して前記表示装置の画面に対応する画面を提供する表示制御部と、を備えた制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記選択部は、前記画面の運転者側の領域における装置として、前記表示装置を選択する制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記処理部は、前記表示装置に表示する画面と前記外部装置に表示する画面の双方に同一の領域が表示された状態において、当該領域について選択されていない装置が受け付けた当該領域に対する操作については、処理の対象外とする制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記選択部は、前記画面のうち、運転者側の領域を除いた領域について前記外部装置を選択する制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の制御装置であって、
前記選択部は、前記制御装置が複数の外部装置から入力操作を受信するとき、前記画面の運転者側の領域を除いた領域を分割し、分割した各領域ごとに異なる外部装置を選択する制御装置。
【請求項6】
表示装置に表示する画面を生成し、前記表示装置の画面に対応する画面を外部装置に提供する制御装置による制御方法であって、
前記制御装置が、
前記表示装置または前記外部装置を選択する選択ステップと、
前記画面内の一部の領域に、前記選択ステップで選択した装置に入力された操作に基づく処理を実行し、前記選択部が選択した装置以外の装置へ入力された操作に基づく処理を抑制する領域を設定する設定ステップと、
前記画面内の各領域に対応付けされた前記選択部が選択した装置が受け付けた操作に基づいて画面を生成する処理ステップと、
前記処理ステップによって生成された画面を前記表示装置に表示し、前記外部装置に対して前記表示装置の画面に対応する画面を提供する表示制御ステップと、を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された表示装置の画面を制御する制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地図の表示やコンテンツの再生が可能な車載表示装置が利用されている。車載表示装置を携帯端末などの外部装置と連携させる技術もある。特許文献1には「車両用装置と携帯端末とを接続して携帯端末の画面を車両用装置で表示させる場合において、携帯端末と車両用装置との二者同時操作による誤動作を防止すること、また、運転操作の集中を妨げないようにしながらも乗員にとっての利便性をより損なわないようにすることを可能にする情報表示システムおよび車両用装置を提供する。」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】US20140015737
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両に搭載された表示装置の画面全体を運転者が操作可能であることが適切でない場合がある。例えば、車両に搭載された表示装置が大型のタッチパネルディスプレイを搭載している場合、運転者が遠くに表示されたアイコンなどを操作しようとすることは適切ではない可能性がある。
【0005】
本発明では、表示装置に対する適切な操作を実現し、操作性と安全性を向上する制御装置及び制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、代表的な本発明の制御装置の一つは、車両に搭載された表示装置に表示する画面を生成し、前記表示装置の画面に対応する画面を外部装置に提供する制御装置であって、前記表示装置または前記外部装置を選択する選択部と、前記画面内の一部の領域に、前記選択部が選択した装置に入力された操作に基づく処理を実行し、前記選択部が選択した装置以外の装置へ入力された操作に基づく処理を抑制する領域を設定する設定部と、前記画面内の各領域に対応付けされた前記選択部が選択した装置が受け付けた操作に基づいて画面を生成する処理部と、前記処理部によって生成された画面を前記表示装置に表示し、前記外部装置に対して前記表示装置の画面に対応する画面を提供する表示制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示装置に対する適切な操作が実現できる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の車載表示装置の制御の説明図
図2】実施例1のシステム全体の構成図
図3】車載表示装置の制御のフローチャート
図4】領域と装置の選択の説明図(その1)
図5】領域と装置の選択の説明図(その2)
図6】領域を利用した操作の具体例
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて実施例を説明する。
【実施例0010】
図1は、実施例1の車載表示装置(表示装置ともいう)の制御を示す図である。車載システム10は、車載表示装置20と制御装置30とを有する。車載表示装置20は、車両に搭載されたタッチパネルディスプレイであり、運転者がタッチパネルに触れることでディスプレイを操作できる。制御装置30は、車両に搭載されて、車載表示装置20に表示する画面データを生成し、車載表示装置20が受け付けた操作データを処理する。制御装置30は、外部装置40と通信可能である。外部装置40は、ディスプレイと操作を受けつけるタッチパネルなどを備えた装置であり、例えば、車両乗員が所持するスマートフォンなどである。制御装置30は、外部装置40に画面データを提供し、外部装置40が受け付けた操作データを受信する。
【0011】
図1に示したように、制御装置30は、車載表示装置20と外部装置40に同一の画面を表示するミラーリングが可能である。制御装置30は、画面を複数の領域に分割できる。制御装置30は、分割により生成した領域に対して入力を行う装置を設定できる。本実施例において、ある領域に対して入力を行う装置として設定した装置をその領域の優先装置と呼ぶ。
【0012】
制御装置30は、各領域について、当該領域の優先装置に入力された操作に基づく処理を実行し、優先装置以外の装置に入力された操作に基づく処理を抑制する。
図1では、制御装置30は、車載表示装置20のディスプレイ21と外部装置40のディスプレイ41に同一内容の画面を表示する。この画面は、領域A1と領域A2に分割されている。領域A1の優先装置は、車載表示装置20である。領域A2の優先装置は、外部装置40である。
【0013】
車載表示装置20と外部装置40は、自装置が優先装置である領域と、自装置が優先装置ではない領域とで表示態様を異ならせることができる。一例として、枠線や半透過表示などを用いればよい。図1では、領域の枠線の線種の違いにより、表示態様の差を模式的に示している。
【0014】
制御装置30は、車載表示装置20が領域A1に受け付けた操作を処理し、外部装置40が領域A1に受け付けた操作は処理の対象外とする。制御装置30は、外部装置40が領域A2に受け付けた操作を処理し、車載表示装置200が領域A2に受け付けた操作は処理の対象外とする。
【0015】
車載表示装置20は、領域A1に対する操作を受け付けて、外部装置40が領域A2に受け付けた操作の内容を表示する。外部装置40は、領域A2に対する操作を受け付けて、車載表示装置20が領域A1に受け付けた操作の内容を表示する。
【0016】
図2は、実施例1のシステム全体の構成図である。
車載表示装置20は、タッチパネルを備えたディスプレイ21を有する。
制御装置30は、処理部31、表示制御部32、圧縮動画生成部33、タッチイベント処理部34、タッチイベント処理部35、操作制限管理部36を有する。
【0017】
処理部31は、受け付けた操作と表示用データに基づいて、ディスプレイ21に表示する画面を生成する。表示用データには、素材となるイメージデータ、テキストデータ、レイアウトデータ等が含まれる。
表示制御部32は、処理部31によって生成された画面を示す画面データD1を車載表示装置20に送信し、表示させる。表示制御部32は、処理部31によって生成された画面を示す画面データを圧縮動画生成部33に出力する。
圧縮動画生成部33は、画面データD1を圧縮動画の形式に変換し、無線経路を伝送可能なRTP(Real-time Transport Protocol)等のプロトコルで外部装置40に伝送する。
【0018】
タッチイベント処理部34は、車載表示装置20が受け付けた操作を取得する。車載表示装置20が受け付けた操作とは、タッチパネルに対するタップ、スワイプ、ドラッグなどのタッチイベントである。
タッチイベント処理部35は、外部装置40が受け付けた操作を取得する。外部装置40が受け付けた操作とは、タッチパネルに対するタップ、スワイプ、ドラッグなどのタッチイベントである。
【0019】
操作制限管理部36は、選択部37及び設定部38を有する。選択部37は、車載表示装置20または外部装置40を選択する。選択部37が選択した装置が優先装置である。設定部38は、画面内の一部の領域に、優先装置に入力された操作に基づく処理を実行し、優先装置以外の装置へ入力された操作に基づく処理を抑制する領域を設定する。この設定によって、画面内の各領域が、選択部が選択した装置に対応付けられる。
選択部37は、画面の運転者側の領域における装置として、車載表示装置20を選択する。言い換えると、車載表示装置20は、画面の運転者側の領域に対応付けられる。選択部37は、運転者側の領域を除いた領域について外部装置40を選択する。言い換えると、外部装置40は、運転者側の領域を除いた領域のいずれかに対応付けられる。
操作制限管理部36は、必要に応じて操作管理データを参照する。操作管理データには、操作可能な領域の定義データや機種別の優先度の定義データが含まれる。
操作制限管理部36は、領域、優先装置、タッチイベントを処理部31に出力する。
操作制限管理部36は、領域、優先装置を操作抑止データD2として外部装置40に送信する。
【0020】
処理部31は、画面内の各領域に対応付けされた優先装置が受け付けた操作に基づいて画面を生成する。
処理部31は、車載表示装置20に表示する画面と外部装置40に表示する画面の双方に同一の領域が表示された状態において、当該領域について選択されていない装置が受け付けた当該領域に対する操作については、処理の対象外とする。言い換えると、処理部31は、画面の各領域ごとに異なる装置を対応付けし、ある領域に対応付けされていない装置がある領域への操作を受け付けたとしても、その操作は処理部31による処理の対象外である。
【0021】
外部装置40は、ディスプレイ41、映像受信部42、映像再生部43、タッチイベント判定部44、ミラーリング制御部45、操作制限描画部46を有する。
映像受信部42は、圧縮動画形式の画面データD1を受信する。映像再生部43は、画面データD1を解凍し、ディスプレイ41に表示する。
ディスプレイ41は、タッチパネルを備えている。タッチイベント判定部44は、タッチパネルに対する操作(タップ、スワイプ、ドラッグなど)をタッチイベントとして判定する。
【0022】
ミラーリング制御部45は、タッチイベントを示す操作データD3を制御装置30のタッチイベント処理部35に送信する。
ミラーリング制御部45は、操作抑止データD2を受信し、操作制限描画部46に出力する。
操作制限描画部46は、操作抑止データD2に基づいて、操作可能な領域と操作不可能な領域の表示態様を異ならせる。
【0023】
図3は、車載表示装置の制御のフローチャートである。制御装置30は、次のステップS101からステップS106を順次実行する。
ステップS101 制御装置30の選択部37は、車載表示装置20または外部装置40を選択する。その後、ステップS102に進む。
ステップS102 制御装置30の設定部38は、画面の各領域に優先装置を設定する。その後、ステップS103に進む。
ステップS103 制御装置30の操作制限管理部36は、車載表示装置20又は外部装置40が受け付けた操作を取得する。その後、ステップS104に進む。
【0024】
ステップS104 制御装置30の操作制限管理部36は、領域と装置の組み合わせを判定する。ある領域に設定された優先装置から操作を受け付けたならば、ステップS105に進む。ある領域に設定された優先装置以外の装置から操作を受け付けたならば、ステップS105には進まない。このときには、ステップS103に戻る。
【0025】
ステップS105 制御装置30の処理部31は、ステップS104で受け付けた操作に基づいて車載表示装置20に表示させる画面を生成する。その後、ステップS106に進む。
ステップS106 制御装置30の表示制御部32は、処理部31が生成した画面を画面データD1として車載表示装置20に送信する。制御装置30の表示制御部32は、画面データD1を圧縮動画生成部33に圧縮させて外部装置40に提供する。
【0026】
図4は、運転席の前から助手席の前に至る横長のディスプレイ21における、領域と装置の選択の説明図である。この場合、運転手の手が届きやすい位置である運転手近傍の領域における優先装置として車載表示装置20が選択される。
図4に示したパターンP1では、ディスプレイ21の表示領域を領域A1~領域A2に分割している。領域A1は、運転席近傍の領域である。領域A2は、領域A1以外であり、運転席近傍の領域を含まない。領域A1における優先装置は、車載表示装置20であることから、運転者は車載表示装置20に表示された領域A1を直接操作することが可能である。領域A2における優先装置は、外部装置40である。これは、領域A2は運転席から遠いため、運転者が領域A2を直接操作することは不適切だからである。領域A2における優先装置として外部装置40を割り当てると、運転者が運転席から遠い領域を直接操作することが抑制され、助手席や後部座席の乗員が外部装置40を介して領域A2を操作できる。
【0027】
図4に示したパターンP2では、ディスプレイ21の表示領域が領域A1~領域A3に分割されている。領域A1は、運転席近傍の領域である。領域A3は、助手席近傍の領域である。領域A2は、領域A1と領域A2の間の領域である。領域A1における優先装置は、車載表示装置20であり、運転者は車載表示装置20に表示された領域A1を直接操作することが可能である。領域A2における優先装置は、後部座席の乗員が所持する外部装置40である。領域A3における優先装置は、助手席乗員が所持する外部装置40である。また、領域A3における優先装置として、車載表示装置20を選択しても良い。このように、制御装置30は、複数の外部装置40から入力操作を受信するとき、画面の運転者側の領域を除いた領域を分割し、分割した領域ごとに異なる外部装置40を選択できる。言い換えると、運転者以外の複数の乗員に、画面を分割して割り当てることができる。
【0028】
図5は、縦長のディスプレイ21における、領域と装置の選択の説明図である。この場合、運転手の手が届きやすい位置であるディスプレイの中央の領域またはディスプレイの上部の領域における優先装置として、車載表示装置20が選択される。
図5に示したパターンP3では、ディスプレイ21の表示領域を領域A1~A2に分割している。領域A1は、ディスプレイ21の上側であり、運転者の手が届きやすい。領域A2は、ディスプレイ21の下側であり、領域A1に比して運転者の手が届きにくい。このため、領域A1における優先装置は、車載表示装置20であり、運転者が領域A1を直接操作することが可能である。領域A2における優先領域は、助手席乗員が所持する外部装置40である。
【0029】
図5に示したパターンP4では、ディスプレイ21は、パターンP3よりも縦に長く、ディスプレイ21の上端は、パターンP3よりも高い位置にある。パターンP4では、ディスプレイ21の表示領域を領域A1~A3に分割している。領域A1は、ディスプレイ21の中央付近にあり、運転者の手が届きやすい。領域A2は、ディスプレイ21の下側であり、領域A1に比して運転者の手が届きにくい。領域A3は、ディスプレイ21の上側であり、後部座席乗員からの視認性が高い。このため、領域A1における優先装置は、車載表示装置20であり、運転者は領域A1を直接操作することが可能である。領域A2における優先装置は、助手席乗員の外部装置40である。領域A3における優先装置は、後部座席乗員の外部装置40である。
【0030】
図5に示したパターンP5では、ディスプレイ21は、パターンP3よりも縦に長く、ディスプレイ21の下側は、屈曲しながら前席のアームレスト近傍まで延在している。パターンP5では、ディスプレイ21の表示領域を領域A1~A3に分割している。領域A1は、ディスプレイ21の中央付近にあり、運転者の手が届きやすい。領域A2は、ディスプレイ21の上側であり、領域A1に比して運転者の手が届きにくい。領域A3は、ディスプレイ21の下側、前席のアームレスト近傍であり、後部座席乗員からの視認性が高い。このため、領域A1における優先装置は、車載表示装置20であり、運転者は領域A1を直接操作することが可能である。領域A2における優先装置は、助手席乗員の外部装置40である。領域A3における優先装置は、後部座席乗員の外部装置40である。
【0031】
図6は、領域を利用した操作の具体例である。図6では、ディスプレイ21は横長である。ディスプレイ21の左側、運転席に近くて運転者の手の届く範囲に領域A1を設定し、車載表示装置20を優先装置としている。領域A1の右側は領域A2であり、車載表示装置20により受け付けた操作は抑制される。
【0032】
制御装置30を起動すると、制御装置30は、領域A1内に機能F1に関するオブジェクトを表示する(1)。例えば、機能F1は初期画面に対応する。機能F1に関するオブジェクトは、全体が領域A1内にあるため、運転者は機能F1のオブジェクトの任意の位置に触れて操作できる。
【0033】
次に、運転者が機能F1とは異なる別の機能F2を呼び出すと、制御装置30は、機能F1のオブジェクトを右に移動し、機能F2のオブジェクトを左端に表示する(2)。機能F2のオブジェクトは、全体が領域A1内にあるため、運転者は機能F2のオブジェクトの任意の位置に触れて操作できる。機能F1のオブジェクトは左端の一部が領域A1内に残っているが、大部分が領域A2に押し出されている。運転者は車載表示装置20を介して領域A1に表示されたオブジェクトを操作可能であることから、制御装置30は、車載表示装置20が機能F2の全体と機能F1の一部に対する操作に基づく処理を実行する。
【0034】
次に、運転者が機能F3を呼び出すと、制御装置30は、機能F1及び機能F2のオブジェクトを右に移動し、機能F3のオブジェクトを左端に表示する(3)。機能F3のオブジェクトは、全体が領域A1内にあるため、運転者は機能F3のオブジェクトの任意の位置に触れて操作できる。機能F2のオブジェクトは左端の一部が領域A1内に残っているが、大部分が領域A2に押し出されている。機能F1のオブジェクトは全体が領域A2に押し出されている。運転者は車載表示装置20を介して領域A1に表示されたオブジェクトを操作可能であることから、制御装置30は、車載表示装置20が機能F3の全体と機能F2の一部に対する操作に基づく処理を実行する。
【0035】
運転者は、機能F2のオブジェクトのうち、領域A1内に残った部分に触れて選択し(4)、ドラッグ操作を行うことで、機能F2のオブジェクト全体を領域A1内に引き戻すことができる。このように、押し出されたオブジェクトの一部を操作可能な領域内に残すことで、運転者は機能F2を領域A1内に戻す操作が可能となる。この状態では、機能F1の一部が領域A1に戻るので、ひき戻す操作を繰り返して機能F1のオブジェクト全体を領域A1に戻すことができる。
【0036】
図6に示した例では、機能に関するオブジェクトの表示範囲と操作受付可能な領域とを異ならせ、その差分を利用することで所望の機能を所定の領域内で操作できる。このため、大画面を有効に利用しつつ、運転者による安全な操作を実現できる。
【0037】
図6では、領域A1に一部残した部分を引き戻し操作に用いる例を示しているが、操作ボタンを一部残した部分に配置し、大半が押し出されたオブジェクトに対する操作を可能としてもよい。ひき戻し操作は、必ずしも引き戻し対象のオブジェクトに接触する必要はない。領域A1内のスワイプ操作で引き戻しを行う構成としてもよい。
【0038】
上述してきたように、実施例に開示した制御装置30は、車両に搭載された表示装置である車載表示装置20に表示する画面を生成し、前記車載表示装置20の画面に対応する画面を外部装置40に提供する制御装置であって、前記車載表示装置20または前記外部装置40を選択する選択部37と、前記画面内の一部の領域に、前記選択部37が選択した装置に入力された操作に基づく処理を実行し、前記選択部が選択した装置以外の装置へ入力された操作に基づく処理を抑制する領域を設定する設定部38と、前記画面内の各領域に対応付けされた前記選択部が選択した装置が受け付けた操作に基づいて画面を生成する処理部31と、前記処理部31によって生成された画面を前記車載表示装置20に表示し、前記外部装置40に対して前記車載表示装置の画面に対応する画面を提供する表示制御部32と、を備える。
この制御装置30によれば、乗員は車載表示装置20と外部装置の両方から適切に画面を操作できる。また、この制御装置30によれば、映像を共有し、競合なく操作できる。
【0039】
また、前記選択部37は、前記画面の運転者側の領域における装置として、前記車載表示装置20を選択する。
この制御装置30によれば、運転者に近い領域に表示される画面を車載表示装置20からの操作を優先する領域に設定することで、運転者が適切に、短時間で車載表示装置20を操作できる。
【0040】
また、前記処理部31は、前記車載表示装置20に表示する画面と前記外部装置40に表示する画面の双方に同一の領域が表示された状態において、当該領域について選択されていない装置が受け付けた当該領域に対する操作については、処理の対象外とする。
この制御装置30によれば、ミラーリングによって表示された同じ画面に対して異なる操作が入力されたとしても、操作が競合することを防げる。
【0041】
また、前記選択部37は、前記画面のうち、運転者側の領域を除いた領域について前記外部装置40を選択する。
この制御装置30によれば、運転者から離れた領域に表示される画面を同乗した乗員が操作できるので、運転者は運転に集中でき、乗員は自由に制御装置30を操作できる。
【0042】
また、前記選択部37は、前記制御装置30が複数の外部装置40から入力操作を受信するとき、前記画面の運転者側の領域を除いた領域を分割し、分割した各領域ごとに異なる外部装置40を選択する制御装置。
この制御装置30によれば、複数の外部装置40が制御装置30に接続しても、乗員は操作の競合を気にすることなく自由に制御装置30を使うことができる。
【0043】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。
【0044】
例えば、車載表示装置20の機能と制御装置30の機能を有する車載装置として実施してもよい。また、車載表示装置20の表示と、外部装置40の表示とは、完全に一致する必要はなく、一方の表示が他方の表示を拡張するものであってもよい。車載表示装置20は車両に搭載されて、ディスプレイとタッチパネルを備えた装置であればよく、例えば携帯可能なタブレットなどを車両内に持ち込む例も車載表示装置20に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
10:車載システム、20:車載表示装置、21:ディスプレイ、30:制御装置、31;処理部、32:表示制御部、33:圧縮動画生成部、34~35:タッチイベント処理部、36:操作制限管理部、37:選択部、38:設定部、40:外部装置、41ディスプレイ、42:映像受信部、43:映像再生部、44:タッチイベント判定部、45:ミラーリング制御部、46:操作制限描画部
図1
図2
図3
図4
図5
図6