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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139280
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】プログラムおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/45 20140101AFI20241002BHJP
   A63F 13/58 20140101ALI20241002BHJP
   A63F 13/55 20140101ALI20241002BHJP
   A63F 13/53 20140101ALI20241002BHJP
   A63F 13/812 20140101ALN20241002BHJP
【FI】
A63F13/45
A63F13/58
A63F13/55
A63F13/53
A63F13/812 D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050152
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】509070463
【氏名又は名称】株式会社コロプラ
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】山崎 聡士
(57)【要約】
【課題】ゲームの興趣性を向上させる。
【解決手段】プログラムは、コンピュータを、ユーザがキャラクタを操作してプレイするイベントの進行を制御する進行制御手段と、所定の指標に基づいて判断されるユーザの強さに基づいて、キャラクタの周囲に発生する所定の事象に係る処理を行う事象制御手段と、として機能させ、事象制御手段は、所定の事象を、強さに関する所定の条件を満たすユーザに対して有利に作用させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザがキャラクタを操作してプレイするイベントの進行を制御する進行制御手段と、
所定の指標に基づいて判断されるユーザの強さに基づいて、前記キャラクタの周囲に発生する所定の事象に係る処理を行う事象制御手段と、として機能させ、
前記事象制御手段は、前記所定の事象を、前記強さに関する所定の条件を満たすユーザに対して有利に作用させる
プログラム。
【請求項2】
前記事象制御手段は、前記所定の事象を、前記強さの弱いユーザに対して有利に作用させることを実行可能な
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記事象制御手段は、前記所定の事象を、前記強さの強いユーザに対して不利に作用させることを実行可能な
請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記事象制御手段は、前記所定の事象の発生確率を、ユーザの前記強さに応じて変動させる
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記事象制御手段は、ユーザの前記強さが弱い場合の方が、ユーザの前記強さが強い場合に比べて、前記所定の事象の発生確率を高くする
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記所定の事象は、前記キャラクタの周囲に特定のオブジェクトが出現する事象である
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータをさらに、
前記所定の事象に係る表示を表示手段に表示させる表示制御手段として機能させ、
前記所定の事象は、前記表示手段における表示上、ユーザにとって一見不利な事象である
請求項1~6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
ユーザがキャラクタを操作してプレイするイベントの進行を制御する進行制御手段と、
所定の指標に基づいて判断されるユーザの強さに基づいて、前記キャラクタの周囲に発生する所定の事象に係る処理を行う事象制御手段と、を備え、
前記事象制御手段は、前記所定の事象を、前記強さに関する所定の条件を満たすユーザに対して有利に作用させる
情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のユーザが協力して進行させるゲームやユーザ同士で対戦をするゲーム等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5485438号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような複数のユーザが協力して行うゲームやユーザ同士で対戦をするゲームにおいては、ゲームがあまり上手くないユーザ等にとってプレイをする敷居が高く、楽しみにくい場合があった。また、ユーザが単独でプレイするゲームにおいても、同様に、ゲームがあまり上手くないユーザ等にとってプレイをする敷居が高くなる場合があり、このようなユーザがゲームを楽しみにくい場合があった。
【0005】
本発明は、ゲームの興趣性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に示す一実施形態によれば、
コンピュータを、
ユーザがキャラクタを操作してプレイするイベントの進行を制御する進行制御手段と、
所定の指標に基づいて判断されるユーザの強さに基づいて、前記キャラクタの周囲に発生する所定の事象に係る処理を行う事象制御手段と、として機能させ、
前記事象制御手段は、前記所定の事象を、前記強さに関する所定の条件を満たすユーザに対して有利に作用させる
プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ゲームの興趣性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ゲームシステムの概略構成を示す図である。
図2】ゲームシステムの機能的構成を示すブロック図である。
図3】表示画面の一例を示す図である。
図4】ゲーム空間に配置されるテニスコートを示す図である。
図5】表示画面の一例を示す図であって、所定の事象が発生した状態を示す図である。
図6】所定の事象を、強さに関する所定の条件を満たすユーザに対して有利に作用させる処理の一例を示すフローチャートである。
図7】所定の事象を、強さに関する所定の条件を満たすユーザに対して有利に作用させる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
<ゲームシステムのハードウェア構成>
図1に示すように、本実施形態の情報処理システムとしてのゲームシステム1は、複数の端末装置10と、サーバ20とを備えている。
【0011】
端末装置10とサーバ20とは、ネットワーク2を介して接続される。ネットワーク2は、例えば、インターネット、移動通信システム(例えば、3G、4G、5G、LTE(Long Term Evolution)等)、WiFi(Wireless Fidelity)、ブルートゥース(登録商標)、その他の通信回線、またはこれらの組み合わせ等のいずれによって構成されていてもよい。また、端末装置10とサーバ20との接続は、有線接続であるか無線接続であるかを問わない。
【0012】
サーバ20(換言すると、コンピュータ、情報処理装置)は、例えば、ワークステーションまたはパーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータであってもよい。サーバ20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信IF(インターフェース)24と、入出力IF25と、を備える。サーバ20が備えるこれらの構成は、通信バスによって互いに接続される。
【0013】
プロセッサ21は、サーバ20全体の動作を制御する。プロセッサ21は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)およびGPU(Graphics Processing Unit)等を含み得る。プロセッサ21は、ストレージ23からプログラムを読み出し、メモリ22に展開する。プロセッサ21は、展開したプログラムを実行する。
【0014】
メモリ22は、主記憶装置である。メモリ22は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等の記憶装置により構成される。メモリ22は、プロセッサ21がストレージ23から読み出したプログラムおよび各種データを一時的に記憶することにより、プロセッサ21に作業領域を提供する。メモリ22は、プロセッサ21がプログラムに従って動作している間に生成した各種データも一時的に記憶する。
【0015】
なお、本実施形態においてプログラムとは、ゲームを端末装置10により実現するプログラムであってもよい。また、当該プログラムは、当該ゲームを端末装置10とサーバ20との協働により実現するプログラムであってもよい。なお、端末装置10とサーバ20との協働により実現されるゲームは、一例として、端末装置10において起動されたブラウザ上で実行されるゲームであってもよい。また、当該プログラムは、当該ゲームを複数の端末装置10の協働により実現するプログラムであってもよい。また、各種データには、例えば、ユーザ情報およびゲーム情報などのゲームに関するデータ、および端末装置10とサーバ20との間で送受信される指示や通知が含まれる。
【0016】
ストレージ23は、補助記憶装置である。ストレージ23は、例えば、フラッシュメモリまたはHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により構成される。ストレージ23には、ゲームに関する各種データが格納される。
【0017】
通信IF24は、サーバ20と端末装置10等との間におけるネットワークを介した各種データの送受信を制御する。
【0018】
入出力IF25は、サーバ20がデータの入力を受け付けるためのインターフェースであるとともに、サーバ20がデータを出力するためのインターフェースである。入出力IF25は、例えば、マウス、キーボード等の情報入力機器である入力部と、画像を表示出力する機器である表示部とを含み得る。
【0019】
端末装置10(換言すると、コンピュータ、情報処理装置)は、例えば、スマートフォン、フィーチャーフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、タブレット型コンピュータ、パーソナルコンピュータ、ウェアラブル端末、またはゲーム装置等であってもよい。端末装置10は、携帯端末であってもよい。端末装置10は、ユーザ(ゲームプレイヤ)がゲームを実行する際に可搬型の端末であってもよい。
【0020】
端末装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信IF14と、入出力IF15と、入力部17と、表示部18と、を備える。端末装置10が備えるこれらの構成は、通信バスによって互いに接続される。
【0021】
プロセッサ11は、端末装置10全体の動作を制御する。プロセッサ11は、CPU、MPUおよびGPU等を含み得る。プロセッサ11は、ストレージ13からプログラムを読み出し、メモリ12に展開する。プロセッサ11は、展開したプログラムを実行する。
【0022】
メモリ12は、主記憶装置である。メモリ12は、例えば、ROMおよびRAM等の記憶装置により構成される。メモリ12は、プロセッサ11がストレージ13から読み出したプログラムおよび各種データを一時的に記憶することにより、プロセッサ11に作業領域を提供する。メモリ12は、プロセッサ11がプログラムに従って動作している間に生成した各種データも一時的に記憶する。
【0023】
ストレージ13は、補助記憶装置である。ストレージ13は、例えば、フラッシュメモリまたはHDD等の記憶装置により構成される。ストレージ13には、ゲームに関する各種データが格納される。
【0024】
通信IF14は、端末装置10とサーバ20等との間におけるネットワークを介した各種データの送受信を制御する。
【0025】
入出力IF15は、端末装置10がデータの入力を受け付けるためのインターフェースであるとともに、端末装置10がデータを出力するためのインターフェースである。入出力IF15は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等を介してデータの入出力を行うこととしてもよい。入出力IF15は、入力部17または表示部18等を含み得る。
【0026】
入力部17は、ユーザによる入力を受け付ける。入力部17は、例えば、タッチパッド等のポインティングデバイスであってもよい。表示部18は、画像を表示する。表示部18は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等であってもよい。端末装置10は、例えば、入力部17と表示部18とを組み合わせた電子部品であるタッチスクリーン16を備える。
【0027】
入力部17は、ユーザの操作(例えば、タッチ操作、タップ操作、スライド操作、スワイプ操作、フリック操作、ピンチイン操作およびピンチアウト操作等)により入力面に対して入力された位置を検知し、検知した位置を示す情報を入力信号として送信する機能を有する。入力部17としてのタッチパネルは、静電容量方式または抵抗膜方式等を採用することができるが、他の方式であってもよい。
【0028】
なお、入力部17は、例えば、キーボード、各種物理ボタン、各種センサ(例えば、加速度センサまたは角速度センサ等)、操作スティック、カメラ、またはマイク等であってもよい。また、表示部18は、例えば、プロジェクタ等であってもよい。
【0029】
<ゲームシステムの機能的構成>
図2は、サーバ20および端末装置10の機能的構成を示すブロック図である。本実施形態におけるサーバ20は、例えば、ゲームを実現するために必要な各種データおよびプログラムを各端末装置10に提供する機能、各端末装置10からゲームに関するデータを収集して管理する機能、ならびに複数の端末装置10間の同期処理を行う機能等を有する。
【0030】
なお、本実施形態において、サーバ20は、ゲームごとに事前に登録されるユーザのアカウントを用い、各ユーザおよび端末装置10を識別する。アカウントの登録方法は特に限定されない。例えば、端末装置10またはパーソナルコンピュータ等の他の装置が、ユーザの操作に基づいて、ユーザのアカウント登録に必要な情報をサーバ20に送信し、サーバ20が、受信した情報に基づいて各ユーザのアカウントを作成および保存することとしてもよい。
【0031】
図2に示すように、サーバ20は、プロセッサ21、メモリ22、ストレージ23、通信IF(インターフェース)24、および入出力IF25等の協働によって、制御部210および記憶部220として機能する。記憶部220は、制御部210が使用する各種データを格納する。各種データとして、例えば、ゲームプログラム221、ゲーム情報222およびユーザ情報223がある。
【0032】
ゲームプログラム221は、ゲームを実現するためのプログラムである。ゲーム情報222およびユーザ情報223は、制御部210がゲームプログラム221を実行するときに参照するデータである。
【0033】
なお、ゲームプログラム221は、サーバ20側で実行するゲームプログラムに加え、端末装置10に送信して端末装置10側で実行するプログラム(後述するゲームプログラム121)を含むこととしてもよい。あるいは、記憶部220が、サーバ20側で実行するゲームプログラム221と、端末装置10側で実行するプログラムとを格納することとしてもよい。
【0034】
ゲーム情報222は、アカウント間で共通の情報である。ゲーム情報222は、例えば、各種ゲーム空間を規定するための情報を含む。ゲーム空間とは、ユーザによって操作可能なキャラクタ(以下、「操作キャラクタ」あるいは「プレイヤキャラクタ」ともいう。)や当該キャラクタの装備するアイテム等のオブジェクトが配置される空間である。また、ゲーム情報222は、例えば、ゲーム空間内に配置される建物や木、石等の背景オブジェクトやノンプレイヤキャラクタ(non player character:NPC)のオブジェクトの配置位置や大きさ、色、形状等、アカウント間で共通のオブジェクトに関する各種設定情報を含む。以下においては、ゲーム空間に配置されたキャラクタのオブジェクトを指して、単に「キャラクタ」ということもある。
【0035】
ユーザ情報223は、ゲームのアカウントごとに管理される情報である。ユーザ情報223は、例えば、ユーザの操作キャラクタ等のオブジェクトに関する情報、保有資産に関する情報、およびゲームの進行度合いを示す情報等を含む。保有資産として、例えば、仮想空間内の通貨(換言すると、ゲーム内通貨)、アイテム、キャラクタの装備品等が挙げられる。
【0036】
制御部210は、記憶部220に格納されたゲームプログラム221を実行することにより、ゲームに関する各種処理を制御する。制御部210は、例えば、送受信部211、サーバ処理部212、データ管理部213および同期処理部214を有する。
【0037】
送受信部211は、各種データを送信または受信する。送受信部211は、例えば、各種データおよびプログラムの送信要求や、マルチプレイ機能に対応するための同期処理の要求、同期処理の対象となるデータ等を、各端末装置10から受信し、サーバ処理部212に渡す。また、送受信部211は、サーバ処理部212による制御に従って、同期を取るための指示等を含む各種データやプログラムを、各端末装置10に送信する。
【0038】
本実施形態において、マルチプレイ機能とは、複数のアカウントによるゲーム処理を同期させた状態で進行させる機能である。ゲームシステム1のサーバ20および端末装置10は、ゲームシステム1にログインしているアカウントが同じゲームに複数参加する場合に、マルチプレイ機能に対応するための各種処理を実行する。
【0039】
サーバ処理部212は、端末装置10からの要求等に応じ、ゲームプログラム221に記述された演算処理を実行することで、端末装置10にゲームを提供する。サーバ処理部212は、例えば、マルチプレイ機能に対応するための同期処理の要求や同期処理の対象となるデータを、送受信部211を介して端末装置10から受け取ると、マルチプレイ機能に対応するための同期処理を実行する。また、サーバ処理部212は、ゲーム情報222またはユーザ情報223の送信指示を送受信部211に指令する。さらに、サーバ処理部212は、ゲーム情報222またはユーザ情報223のレコードの追加、更新または削除に関する指示をデータ管理部213に指令する。
【0040】
データ管理部213は、記憶部220に格納されている各種データをサーバ処理部212の指示に従って管理する。データ管理部213は、例えば、サーバ処理部212からの指令に従って、ゲーム情報222またはユーザ情報223を読み出し、送受信部211を介して端末装置10に送信する。また、データ管理部213は、サーバ処理部212からの指令に従って、ゲーム情報222またはユーザ情報223のレコードを、追加、更新または削除する。
【0041】
同期処理部214は、サーバ処理部212からの指令に従って、ゲームのマルチプレイ機能に対応するための同期処理を実行する。同期処理部214は、例えば、サーバ20が複数の端末装置10に対して情報を送信するときに、各端末装置10に同時に情報を送信することで、各端末装置10間で進行するゲームの同期を取る。具体的に、同期処理部214は、各アカウントに対応する端末装置10から所定期間(例えば、一フレーム)内に受信した操作情報を、所定期間ごとに各端末装置10に同時に送信する。操作情報は、端末装置10に入力される操作に関する情報である。同期のタイミングや同期すべき情報は、サーバ処理部212から随時受信することとしてもよい。同期処理を実行することで、一つの端末装置10で入力された操作に起因するゲーム内の事象を、他の端末装置10に同時に反映させることが可能となる。
【0042】
本実施形態における端末装置10は、例えば、ユーザの入力操作を受け付ける入力装置としての機能、およびゲームの画像や音声を出力する出力装置としての機能等を有する。
【0043】
端末装置10は、プロセッサ11、メモリ12、ストレージ13、通信IF14、および入出力IF15等の協働によって、制御部110および記憶部120として機能する。記憶部120は、制御部110が使用する各種データを格納する。各種データとして、例えば、ゲームプログラム121、ゲーム情報122およびユーザ情報123がある。
【0044】
ゲームプログラム121は、端末装置10側でゲームを実現するためのプログラムである。ゲーム情報122およびユーザ情報123は、制御部110がゲームプログラム121を実行するときに参照するデータである。
【0045】
ゲーム情報122は、前述したサーバ20のゲーム情報222と同様の情報を含む。したがって、ここではゲーム情報122の説明を省略する。
【0046】
ユーザ情報123は、端末装置10を使用するユーザのアカウントに関するデータであり、前述したサーバ20のユーザ情報223と同様の情報を含む。したがって、ここではユーザ情報123の説明を省略する。
【0047】
制御部110は、記憶部120に格納されたゲームプログラム121を実行することにより、端末装置10において実行されるゲームに関する各種処理を制御する。制御部110は、例えば、操作受付部111、送受信部112、ゲーム進行部113および表示制御部114を有する。
【0048】
操作受付部111は、入力部17を介してユーザにより入力される操作(以下、「入力操作」ともいう。)を受け付ける。具体的には、操作受付部111は、入力部17に対する入力操作がされた場合に、入力位置の座標および入力操作の種類を検知する。入力操作の種類として、例えば、タッチ操作、タップ操作、スライド操作、スワイプ操作、フリック操作、ピンチイン操作およびピンチアウト操作等の、手指等による各種操作が挙げられる。入力操作は、入力部17(例えば、タッチスクリーン16)に物理的に接触する操作に限らず、非接触による操作も含み得る。なお、タッチスクリーン16への接触を終了するタッチオフ操作等のそれまで行っていた入力操作を終了する操作も、入力操作の一態様ということができる。
【0049】
ここで、操作受付部111は、入出力IF15を介して接続された操作機器を用いてされる入力操作についても、入力部17に対する入力操作と同様に受け付けることができる。
【0050】
送受信部112は、各種データを送受信する。以下に、具体例を挙げて説明する。
【0051】
送受信部112は、ゲーム情報122またはユーザ情報123や、マルチプレイ機能に対応するための同期要求を、サーバ20に送信する。送受信部112は、各種データ、プログラム、およびマルチプレイ機能に対応するための同期のためのデータ等を、サーバ20から受信する。同期のためのデータには、例えば、マルチプレイに参加している各端末装置10間で同期を取るように指示するための同期指示データが含まれる。同期指示データには、例えば、同期対象となるデータおよびそのデータの種類や、同期する時期を特定するためのデータ等が含まれる。
【0052】
送受信部112は、操作受付部111により受け付けられた入力操作に関する操作情報を、サーバ20に送信する。送受信部112は、他の端末装置10において他のユーザにより入力された操作に関する操作情報を、サーバ20から受信する。
【0053】
ゲーム進行部113は、ゲームの進行に関する各種処理を実行する。以下に、具体例を挙げて説明する。
【0054】
ゲーム進行部113は、ゲーム情報122に含まれるゲーム空間を規定するための情報に基づいて、ゲーム空間(換言すると仮想空間)を規定する。ゲーム進行部113は、ゲーム情報122に含まれるオブジェクトの設定情報に基づいて、ゲーム空間にオブジェクトを配置する。ゲーム進行部113は、ゲーム空間に配置したオブジェクトを制御する。具体的には、ゲーム進行部113は、ゲーム空間内でのオブジェクトの位置、向き、形状、色等を変更することや、オブジェクトに所定の動作を行わせるように、オブジェクトを制御する。
【0055】
ゲーム進行部113は、ゲーム空間のうちユーザに提示する領域を指定するための仮想カメラを規定する。ゲーム進行部113は、ゲーム空間内での仮想カメラの位置および向きを規定することにより、ゲーム空間内に仮想カメラを配置する。ゲーム進行部113は、仮想カメラにより規定される視野領域およびこの視野領域に配置されているオブジェクトを描画した画像を生成するように、表示制御部114に指示する。
【0056】
仮想カメラの位置および向きは、ゲーム空間ごとに適宜決定することができる。例えば、ゲーム進行部113は、特定のオブジェクトの位置や向きを基準とし、特定のオブジェクトが特定の向きで視野領域の中央に位置するように、仮想カメラを配置する。その際、ゲーム進行部113は、特定のオブジェクトに対する方向、距離および角度を用い、仮想カメラの位置や向きを調整する。特定のオブジェクトは、例えば、操作キャラクタやノンプレイヤキャラクタ等の動的なオブジェクトであってもよいし、建物や木、石等の静的なオブジェクトであってもよい。動的なオブジェクトには、各ユーザの操作に基づいてそれぞれ動作する操作キャラクタと、ゲームプログラム121,221に基づいて動作するキャラクタ(例えば、ノンプレイヤキャラクタ、敵キャラクタ等)とが含まれる。
【0057】
ゲーム進行部113は、操作受付部111により検知された入力位置の座標および入力操作の種類等に基づいて、ユーザの指示内容を解釈する。ゲーム進行部113は、解釈した指示内容等に基づいて、ゲームの進行に関わる各種判定処理を実行する。ゲーム進行部113は、判定処理の結果等に基づいて、オブジェクトや仮想カメラ等を制御しながらゲームを進行する。ゲーム進行部113は、ゲームの進行状況に応じて、ゲーム情報122やユーザ情報123を更新、追加または削除する。
【0058】
表示制御部114は、表示部18に画像を表示させる。以下に、具体例を挙げて説明する。
【0059】
表示制御部114は、ゲーム空間のうち、ゲーム進行部113が規定する仮想カメラの視野の領域と、その領域に存在するオブジェクトとを描画した画像を生成し、表示部18に表示させる。表示制御部114は、表示部18に表示させる画像に対し、例えば、アイコン、ボタン、各種パラメータを示すメニュー等、ゲームの種々の操作に必要なUI(User Interface)に関わるオブジェクトを重畳して描画することができる。
【0060】
なお、図2に示す端末装置10およびサーバ20の機能は一例にすぎない。端末装置10およびサーバ20の各装置は、他の装置が備える機能の少なくとも一部を備えていてもよい。換言すると、本実施形態において端末装置10が備える機能ブロックの一部または全部をサーバ20が備えていてもよく、サーバ20の備える機能ブロックの一部または全部を端末装置10が備えていてもよい。また、端末装置10およびサーバ20等の各装置は、一体の機器により実現されるものでなくてもよく、例えば、ネットワーク等を介して接続される複数の機器によって実現されてもよい。また、ゲームシステム1は、例えば、端末装置10またはサーバ20のみによって構成されていてもよい。換言すると、ゲームシステム1は、ネットワークを介して接続される複数の機器によって実現されていなくてもよい。
【0061】
<本実施形態に係る処理>
次に、本実施形態に係る処理について説明する。なお、本実施形態では、端末装置10のプロセッサ11またはサーバ20のプロセッサ21が、ゲームシステム1に記憶されているゲームプログラムを実行することによって、後述する各処理を行うものとして説明する。ただし、後述する処理であってプロセッサ11が行う処理のうちの少なくとも一部を、プロセッサ11とは別のプロセッサが実行するようにしてもよい。また、後述する処理であってプロセッサ21が行う処理のうちの少なくとも一部を、プロセッサ21とは別のプロセッサが実行するようにしてもよい。換言すると、本実施形態においてゲームプログラムを実行するコンピュータは、端末装置10およびサーバ20のいずれであってもよく、また、複数の装置の組み合わせにより実現されてもよい。
【0062】
以下では、本実施形態に係る構成をスポーツゲームの1つであるテニスゲームに適用した場合を例に説明する。テニスゲームでは、ユーザは、例えば、ゲーム空間内のプレイヤキャラクタを操作して、プレイヤキャラクタを移動させつつ、ボールを打球させる等の操作を行い、ゲームを進行させることができる。なお、本実施形態に係る構成は、テニスゲーム以外のゲームに適用することもできる。また、本実施形態に係る構成は、各ユーザに関連するオブジェクトが存在する仮想空間を提供するサービス(換言すると、アプリケーション)に適用することもできる。
【0063】
図3は、テニスゲームにおいて、対戦相手との対戦中に表示部18に表示されるテニスコートFを含むゲーム空間30を示す画面例である。ゲーム進行部113は、テニスの試合(すなわち、対戦)の開始時に、フィールドとしてのテニスコートFを含むゲーム空間30の画像を表示部18に表示させる。具体的には、ゲーム空間30内の仮想カメラによって撮影された画像が表示部18に表示される。
【0064】
図4に示すように、ゲーム進行部113は、ゲーム空間30内のxyz座標軸において、xy平面上にテニスコートFを配置する。このとき、z軸は、テニスコートFのコート面(換言すると、地面)に対する高さ方向となる。図4は、z軸上方からテニスコートFを見たxy平面図である。
【0065】
図3に戻り、ゲーム空間30およびゲーム空間30に重ねて表示されるオブジェクトについて説明する。ゲーム進行部113は、ゲーム空間30におけるオブジェクトの配置を制御する。また、ゲーム進行部113は、ユーザの入力操作等に基づき、ゲーム空間30に配置されたオブジェクトの移動を制御する。また、ゲーム進行部113は、ゲーム空間30のうち、表示部18に表示される領域となる視界領域を制御する。表示制御部114は、ゲーム空間30のうち、ゲーム進行部113が規定する仮想カメラの視界領域と、当該視界領域に存在するオブジェクトとを描画した画像を生成し、表示部18に表示させる。ゲーム空間30に配置されるオブジェクトとしては、プレイヤキャラクタ31、相手キャラクタ32、ボール33、および後述する事象関連オブジェクト35等がある。
【0066】
また、ゲーム進行部113は、表示制御部114に対し、当該画像に、アイコン、ボタン、各種パラメータを示すメニュー等、ゲームの種々の操作に必要なUI(User Interface)に係るオブジェクトを重畳して描画し、表示部18に表示させるように指示する。当該UIに係るオブジェクトとしては、例えば、ユーザが、プレイヤキャラクタ31に必殺技としてのスキルを実行させる際に操作するスキルボタン34等がある。
【0067】
ゲーム進行部113は、プレイヤキャラクタ31をゲーム空間30に配置する。具体的には、ゲーム進行部113は、ラケット(対戦で使用するアイテムの一例)を、プレイヤキャラクタ31に所持させるようにして、ゲーム空間30に配置する。また、ゲーム進行部113は、操作受付部111を介してのユーザの入力操作(例えば、ドラッグ操作)に基づき、プレイヤキャラクタ31を、ゲーム空間30内におけるテニスコートFが配置されている面上において移動させる。また、ゲーム進行部113は、ユーザの入力操作(例えば、タップ操作またはフリック操作)に基づき、プレイヤキャラクタ31にラケットをスイングさせる。すなわち、ゲーム進行部113は、仮想空間にプレイヤキャラクタ31を配置し、ユーザの操作に基づいてプレイヤキャラクタ31を動かす制御を行う。
【0068】
また、ゲーム進行部113は、相手キャラクタ32をゲーム空間30に配置する。具体的には、ゲーム進行部113は、ラケットを、相手キャラクタ32に所持させるようにして、ゲーム空間30に配置する。また、ゲーム進行部113は、ゲームの進行に応じて、相手キャラクタ32を、ゲーム空間30内におけるテニスコートFが配置されている面上において移動させる。相手キャラクタ32は、プレイヤキャラクタ31の対戦相手となるオブジェクトである。相手キャラクタ32は、プレイヤキャラクタ31を操作するユーザとは異なる他のユーザの入力操作に基づき移動やラケットのスイング等をするものであってもよく、いわゆるノンプレイヤキャラクタ(換言すると、他ユーザの入力操作に基づかずにコンピュータが動きを制御するキャラクタ)であってもよい。すなわち、ユーザの対戦相手は、他のユーザであってもよく、コンピュータ(換言すると、ノンプレイヤキャラクタ)であってもよい。
【0069】
ここで、テニスコートFのうち、プレイヤキャラクタ31が配置されるコートを自コートF1とし、相手キャラクタ32が配置されるコートを相手コートF2とする。ゲーム進行部113は、プレイヤキャラクタ31を、相手コートF2側を向くように自コートF1に配置し、相手キャラクタ32を、自コートF1側を向くように相手コートF2に配置する。換言すると、ゲーム進行部113は、プレイヤキャラクタ31および相手キャラクタ32を、テニスコートFのネットNを挟んで向かい合うように配置する。なお、向かい合うとは、正面で向かい合う(すなわち正対する)場合に限らず、対角で向かい合う場合等を含む。
【0070】
また、ゲーム進行部113は、ボール33をゲーム空間30に配置する。また、ゲーム進行部113は、プレイヤキャラクタ31によるラケットのスイングや、相手キャラクタ32によるラケットのスイングに応じてゲーム空間30においてボール33を移動させ得る。ボール33は、プレイヤキャラクタ31と相手キャラクタ32とが交互に打ち合う対象となるオブジェクト(換言すると対象物、移動体)と言うことができる。
【0071】
以下、相手コートF2側を向いているプレイヤキャラクタ31の前方側を「前」、同後ろ側を「後」、同右手側を「右」、同左手側を「左」、同頭側を「上」、同足側を「下」とする。ゲーム進行部113は、ゲーム空間30では、基本的にプレイヤキャラクタ31(具体的には、プレイヤキャラクタ31の位置座標)を基準とし、仮想カメラの位置や向きを制御する。ゲーム進行部113は、プレイヤキャラクタ31の後方かつ上方の位置に仮想カメラを配置し、かつプレイヤキャラクタ31が視界領域における所定位置(例えば、視界領域における略中央部)に位置するように、当該仮想カメラの向きを調整する。図3は、当該仮想カメラによって撮影されて生成された画像が表示部18に表示されている状態を示している。
【0072】
プレイヤキャラクタ31は、ユーザの入力操作に基づき、図4に示す移動可能領域Sの範囲内で移動可能となっている。換言すると、プレイヤキャラクタ31は、自コートF1内を移動可能となっている。ここで、プレイヤキャラクタ31によるラケットのスイングについて説明する。ゲーム進行部113は、操作受付部111を介してユーザの入力操作を受け付けると、プレイヤキャラクタ31にラケットをスイングする動作を行わせる。プレイヤキャラクタ31の周囲には、プレイヤキャラクタ31の位置を中心とする所定範囲の打球可能領域(図示せず)が設定されている。なお、ゲーム進行部113は、プレイヤキャラクタ31の周囲に、打球可能領域に対応する表示(換言すると、打球可能範囲を示す表示)を表示させてもよい。
【0073】
相手キャラクタ32がボール33を打ち、相手コートF2から自コートF1に向かってボール33が移動してくるとき、ユーザは、打球可能領域の範囲内にボール33を収めるように、プレイヤキャラクタ31を移動させる入力操作を行う。また、ユーザは、打球可能領域の範囲内にボール33が収まっているタイミングで、プレイヤキャラクタ31にラケットをスイングさせる入力操作を行う。
【0074】
また、ゲーム進行部113は、ボール33が打球可能領域の範囲内に存在するタイミングでユーザの入力操作(例えば、タップ操作またはフリック操作)を受け付けると、プレイヤキャラクタ31にラケットをスイングさせるとともに、ラケットとボール33を衝突させる。なお、ゲーム進行部113は、ボール33が打球可能領域の範囲外に存在するタイミングでユーザの入力操作(例えば、タップ操作またはフリック操作)を受け付けると、プレイヤキャラクタ31にラケットをスイングさせるが、ラケットとボール33を衝突させない。すなわち、ラケットを空振りさせる。
【0075】
また、ゲーム進行部113は、スイングに係る入力操作を行ったタイミングに応じて打たれたボール33の質を変化させる。具体的には、ボール33が打球可能領域の範囲内に存在するタイミングのうちの第1のタイミング(換言すると、適切なタイミング)で入力操作が行われた場合、ナイスショットとして、質の高いボール33(例えば、球速が速いボール等の相手が比較的打ち返しにくいボール)を相手コートF2に返す。一方、ボール33が打球可能領域の範囲内に存在するタイミングのうちの第2のタイミング(換言すると、不適切なタイミング)で入力操作が行われた場合、ミスショットとして、質の低いボール33(例えば、浮いたボール等の相手が比較的打ち返しやすいボール)を相手コートF2に返す。
【0076】
また、ゲーム進行部113は、ボール33が打球可能領域の範囲内に存在するタイミングでユーザの入力操作(例えば、タップ操作またはフリック操作)を受け付けると、プレイヤキャラクタ31にラケットをスイングさせるが、このとき、テニスコートFの地面からのボール33の高さが所定の高さ以下である場合にはラケットとボール33を衝突させ、当該ボール33の高さが所定の高さよりも高い場合にはラケットとボール33を衝突させない(すなわち、空振りさせる)ようにしてもよい。
【0077】
ゲーム進行部113は、所定の指標に基づいて判断されるユーザの強さに基づいて、プレイヤキャラクタ31の周囲に発生する所定の事象に係る処理を行う事象制御部として機能し得る。また、ゲーム進行部113は、所定の事象を、所定のユーザに対して有利に作用させる。以下、この点について詳述する。
【0078】
ゲーム進行部113は、ゲームの進行中において、プレイヤキャラクタ31の周囲に所定の事象を発生させる。具体的には、例えば、図5に示すように、ゲーム進行部113は、打球をしようとボール33に向かって移動するプレイヤキャラクタ31の足元に事象関連オブジェクトとしての石35を出現させる。そして、ゲーム進行部113は、プレイヤキャラクタ31を石35につまづかせて転ばせる(換言すると、コケさせる)。より具体的には、ゲーム進行部113は、通常であれば(換言すると、石35が出現し転ばなかった場合に)ボール33に届かず返球ができない状況において、プレイヤキャラクタ31の足元に石35を出現させ、プレイヤキャラクタ31を転ばせる。
【0079】
また、ゲーム進行部113は、プレイヤキャラクタ31を操作するユーザが弱い場合、転んだ反動でプレイヤキャラクタ31がボール33に届くように制御し、プレイヤキャラクタ31に打球を行わせる。なお、当該打球は、通常の打球と同様にラケットをスイングさせるユーザの入力操作(例えば、タップ操作またはフリック操作)に基づいて行われてもよく、当該入力操作を要さずに自動で行われてもよい。すなわち、ゲーム進行部113は、プレイヤキャラクタ31を操作するユーザが弱い場合に、プレイヤキャラクタ31の周囲に石35が出現するという事象を発生させ、この事象をプレイヤキャラクタ31を操作するユーザ(換言すると、プレイヤキャラクタ31)に有利に作用させる。
【0080】
ここで、「有利に作用させる」とは、有利なゲーム結果につながるようなゲーム状況を生み出すことを意味する。例えば、有利な作用の一例として、図5の事象発生状況下においては、プレイヤキャラクタ31が、自分に届きそうにない相手キャラクタ32からのボール33を取ろうと追いかけた際に、いきなり足元に出現する石35につまずいて転ぶが、その転んだ反動によりボール33に届かせるという作用が挙げられる。有利な作用のさらなる例としては、この状況から一歩進んで、プレイヤキャラクタ31が打ったボール33がナイスショットとして相手コートF2に返球されるという作用が挙げられる。
【0081】
また、ゲーム進行部113は、プレイヤキャラクタ31の周囲に風が発生するという事象を発生させてもよい。この場合に、風が発生するという事象をプレイヤキャラクタ31を操作するユーザ(換言すると、プレイヤキャラクタ31)に有利に作用させる例としては以下が挙げられる。すなわち、有利な作用の一例として、相手キャラクタ32の打ったボール33(例えば、スマッシュ等の所定のアクションにより打ったボール33等)が自コートF1に向かって移動してくる際に風(換言すると、突風)が発生し、風の影響によりボール33の速度が低下するという作用や、風の影響によりボール33の軌道が変わりボール33がプレイヤキャラクタ31の打ち返し易い位置に到達するという作用が挙げられる。また、有利な作用の一例として、プレイヤキャラクタ31の打ったボール33が相手コートF2に向かって移動する際に風(換言すると、突風)が発生し、風の影響によりボール33の速度が上昇するという作用や、風の影響によりボール33の軌道が乱れ、相手コートF2のライン際等の相手キャラクタ32の打ち返しにくい位置に到達するという作用が挙げられる。
【0082】
なお、所定の事象が発生するキャラクタの「周囲」とは、キャラクタの近辺におけるゲーム空間30の一領域のみならず、ゲーム空間30全体も含む。すなわち、キャラクタの周囲とは、キャラクタの外部ともいえる。換言すると、「キャラクタの周囲に所定の事象を発生させる」とは、キャラクタ自体の持つパラメータを変化(例えば、上昇あるいは回復等)させるものではない。換言すると、「キャラクタの周囲に所定の事象を発生させる」とは、キャラクタ自体を強化する(換言すると、バフをかける)ものではない。換言すると、本実施形態において、キャラクタの周囲に発生する事象をキャラクタに対して有利に作用させる条件は、キャラクタのパラメータを変動させる条件とは異なる。なお、ここで、キャラクタ自体の持つパラメータの一例としては、キャラクタのパワー(換言すると、攻撃力)、スピード(例えば、移動速度、スイング速度、または攻撃速度等)、体力(換言すると、ヒットポイント)、またはスキルの発動に必要なパラメータ等が挙げられる。
【0083】
また、キャラクタの周囲に発生する所定の事象は、当該キャラクタとは別のオブジェクトとしての事象関連オブジェクトが出現するものであってもよい。また、事象関連オブジェクトは、当該キャラクタまたは当該キャラクタによって移動される移動体(例えば、ボール33)に物理的に作用するオブジェクトであってもよい。具体的には、事象関連オブジェクトは、当該キャラクタや当該移動体に、所定の力を加え、運動方向(換言すると、ボール33の着地位置等)や速度やゲーム空間30上における位置等を変化させるものであってもよい。換言すると、当該所定の事象に基づき、当該キャラクタや当該移動体に外力が与えられることにより、ユーザに有利な状況(または不利な状況)がもたらされるようになっていてもよい。
【0084】
また、ユーザの強さは所定の指標に基づいて判断される。
【0085】
具体的には、ゲーム進行部113は、ユーザの強さを、ユーザの熟練度を示す指標に基づいて判断してもよい。例えば、ゲーム進行部113は、ユーザの熟練度を示す指標としての、プレイヤキャラクタ31またはユーザ自体に設定されたレベル(換言すると、ランク)に基づいてユーザの強さを判断してもよい。このようなレベルは、例えば、ゲームのプレイ(例えば、対戦の実行や、勝利等)により稼ぐことのできる経験値を貯めることにより上昇するものであってもよい。また、例えば、ゲーム進行部113は、ユーザの熟練度を示す指標としての、所定のレーティング手法(例えば、イロレーティングやグリコレーティング等)により算出される指標値(換言すると、レーティング値)に基づいてユーザの強さを判断してもよい。
【0086】
また、ゲーム進行部113は、ユーザの強さを、実行中の対戦(換言すると、イベント)の進行状況に基づいて判断してもよい。例えば、ゲーム進行部113は、ユーザの強さを、スコアの状況(例えば、大差で勝っているか否か)や、サーブ成功率、レシーブ成功率、ナイスショット率、またはミスショット率等に基づいて判断してもよい。
【0087】
また、ゲーム進行部113は、ユーザの強さを、ユーザのプレイ履歴に基づいて判断してもよい。例えば、ゲーム進行部113は、ユーザの強さを、1または複数の試合の総合的なデータ(例えば、複数の試合の総合的なサーブ成功率、レシーブ成功率、ナイスショット率、ミスショット率、パーフェクトスコアの達成率、または戦績等)に基づいて判断してもよい。
【0088】
換言すると、ゲーム進行部113は、ユーザの強さを、所定のアクションの成功率(例えば、サーブ成功率、レシーブ成功率、またはナイスショット率(換言すると、ミスショット率)等)に基づいて判断してもよい。
【0089】
また、ゲーム進行部113は、ユーザの強さを判断する上で、ユーザの強さを他のユーザ(例えば、対戦相手)との比較によって相対的に判断してもよく、他のユーザ(例えば、対戦相手)との比較によらずに判断してもよい。具体的には、ゲーム進行部113は、強さの判断に係る所定の指標(例えば、所定のレベルやランク、レーティング値、所定のアクションの成功率、戦績等)を対戦相手と比較し、優れている方を「強い」と判定し、劣っている方を「弱い」と判定してもよい。また、ゲーム進行部113は、強さの判断に係る所定の指標が、所定の条件を満たすユーザ(例えば、所定の基準に満たないユーザ)を「弱い」と判定してもよい。換言すると、ユーザの強弱は、対戦相手との比較により相対的に決まるものであってもよく、所定の基準に基づき絶対的に決まるものであってもよい。また、ゲーム進行部113は、ユーザを「強い」か「弱い」かの2種類に分けず、例えば、「強い」と「弱い」の間の「普通」等を含めた複数種類に分類してもよい。
【0090】
なお、ユーザの強さの判断に係る指標は、ゲーム進行部113が、プレイヤキャラクタ31の周囲に発生する所定の事象による有利な作用により得られた結果による変動(例えば、テニスの試合において有利な作用の結果獲得した得点の加味や、有利な作用の結果成功した所定のアクションについて当該アクションの成功率への反映)はしない(換言すると、当該結果を除外してユーザの強さが判断される)こととしてもよい。また、ユーザの強さの判断に係る指標は、当該結果を加味したものであってもよい(換言すると、当該結果を含めてユーザの強さが判断されてもよい)。
【0091】
このように、ゲーム進行部113は、所定の指標に基づいて判断される強さの弱いユーザに対して、所定の事象を有利に作用させる。この点に関し、ゲーム進行部113は、所定の指標に基づいて判断される強さの強いユーザに対しては、当該所定の事象を不利に作用させてもよい。具体的には、例えば、前述の石35が出現する事象について、ゲーム進行部113は、プレイヤキャラクタ31を操作するユーザが強い場合、ユーザが弱い場合と同様に、プレイヤキャラクタ31を石35につまづかせて転ばせるが、転んだ反動でプレイヤキャラクタ31がボール33に届くようにする制御を行わない。換言すると、ゲーム進行部113は、通常であればボール33に届かず返球ができない状況において、プレイヤキャラクタ31を操作するユーザが強い場合についても石35を出現させるが、ユーザが強い場合にはプレイヤキャラクタ31をボール33に届かせる制御を行わず、単にその場で転ばせる。すなわち、ユーザが強い場合、石35が出現するという事象が、当該ユーザに不利に作用する。
【0092】
なお、ゲーム進行部113は、所定の指標に基づいて判断されるユーザの強さに基づいて所定の事象に係る処理を行い、所定の事象を所定のユーザに有利に(あるいは不利に)作用させるが、「所定の指標に基づいて判断されるユーザの強さに基づいて」とは、所定の事象に係る処理の結果が、ユーザの強さに応じて変化するものであればよい。すなわち、所定の事象を所定のユーザに有利に(あるいは不利に)作用させる処理フローにおいて、必ずしもゲーム進行部113が内部的に強さの判定を行い弱いか否かを示す情報を出力しなくてもよい。具体的には、例えば、強さを示す指標として所定のアクションの成功率を使用する場合に、所定のアクションの成功率が所定割合以下のユーザに対して所定の事象を有利に作用させ、これにより結果としてユーザの強さに応じて有利な作用が得られるようになっていてもよい。
【0093】
また、本実施系形態において、ユーザに所定の作用(具体的には、有利な作用または不利な作用)を与える所定の事象は、表示部18における表示上、当該ユーザにとって一見不利な事象となっている。具体的には、表示制御部114は、所定の事象に係る表示として、自コートF1に石35が出現する表示や、あるいは風が発生する表示(例えば、風を示すオブジェクトが自コートF1に出現する表示)等を表示部18に表示させるが、これらは一見、ユーザ(換言すると、プレイヤキャラクタ31)に不利な事象に見える。換言すると、本実施形態における所定の事象は、障害物(換言すると、ユーザの所定の行動を妨げるオブジェクト(例えば、石35等))の発生や、ゲーム空間30内の環境(例えば、天候や地形等)の悪化または急な変化(例えば、突風の発生等)といった、一見ユーザにとって好ましくないものとなっている。しかし、本実施系形態においては、このような一見不利に作用するように見える事象が、ユーザが弱い場合には、結果としてユーザにとって有利に作用するようになっている。換言すると、事象を「有利に作用させる」とは、一見キャラクタにとって不利な事象であっても、結果としてそのキャラクタにとって有利となるようなゲーム状況を生み出すことを意味する。事象が有利に作用する場合に、表示制御部114は、ユーザに不利な結果を想起させる事象の表示を一定時間行った後に、当該事象が有利な結果を導いたことがわかる表示をする。換言すると、表示制御部114は、ユーザに不利な結果を想起させる一連の演出の表示を行った後に、演出の結果として、有利な結果が導かれたことがわかる表示をする。一方で、本実施系形態においては、このような一見不利に作用するように見える事象が、ユーザが強い場合には、結果としてもユーザにとって不利に作用するようになっている。換言すると、事象を「不利に作用させる」とは、一見してキャラクタにとって不利な事象が、結果としてもそのキャラクタにとって不利となるようなゲーム状況を生み出すこと等を意味する。
【0094】
また、本実施形態において、ゲーム進行部113は、ユーザの強さに基づいて、プレイヤキャラクタ31の周囲に発生する所定の事象に係る処理を行い、所定の事象を、強さに関する所定の条件を満たすユーザに対して有利に(あるいは不利に)作用させるが、このような処理は例えば、以下のようなものであってもよい。
【0095】
すなわち、ゲーム進行部113は、ユーザの強さに基づいて、所定の事象が発生する確率を変化させてもよい。具体的には、例えば、ゲーム進行部113は、ユーザが弱いほど(例えば、レベルやランク、レーティング値、所定のアクションの成功率、または戦績等が低いほど)、所定の事象が発生する確率が高くなるようにしてもよい。なお、「確率が高い」とは、高い方の確率が100%の場合や、低い方の確率が0%の場合等を含む。換言すると、ゲーム進行部113は、ユーザが強い場合には、所定の事象が発生しないようにしてもよい。
【0096】
また、ゲーム進行部113は、ユーザの強さに基づいて、所定の事象が有利に作用する確率を変化させてもよい。具体的には、例えば、ゲーム進行部113は、ユーザが弱いほど、所定の事象が有利に作用する確率が高くなるようにしてもよい。具体的には、ゲーム進行部113は、ユーザが弱い場合には、所定の事象が必ず有利に作用するようにしてもよい。また、ゲーム進行部113は、ユーザが強い場合には、所定の事象が必ず不利に作用するようにしてもよい。あるいは、ゲーム進行部113は、ユーザが強い場合についても、所定の事象が必ず有利に作用するようにしてもよい。また、ゲーム進行部113は、所定の事象が発生する場合に、これが所定の確率でユーザに有利に作用するように制御してもよい。この場合に、ユーザが弱い場合の方が強い場合に比べ当該所定の確率が高くなるようにしてもよく、弱い場合と強い場合とで当該所定の確率が同一(換言すると、変わらない)となるようにしてもよい。
【0097】
また、ゲーム進行部113は、ユーザの強さに基づいて事象の作用の有利/不利を制御することに加えてまたは代えて、キャラクタに対して付与(換言すると、設定)される幸運度を示す属性(以下、「幸運属性」という。)等の所定の属性に基づいて事象の作用の有利/不利を制御してもよい。すなわち、事象の作用の有利/不利には、ユーザの強さは影響せず、「幸運属性」が影響するようになっていてもよい。また、事象の作用の有利/不利には、「幸運属性」のみならず、ユーザの強さも影響してもよい。
【0098】
具体的には、例えば、本実施形態のゲームにおいて、各ユーザは、自身が対戦に使用するプレイヤキャラクタ31を複数種類のキャラクタ(例えば、異なる性能を持つ複数種類のキャラクタ)の中から選択できることする。また、複数種類のキャラクタには、「幸運属性」の付されたキャラクタと、付されていないキャラクタとが存在することとする。このような場合において、ゲーム進行部113は、「幸運属性」の付されたキャラクタを使用するユーザについては、当該ユーザに有利に作用する特定の事象(例えば、石35の出現等)を発生させてもよい。また、このような場合において、ゲーム進行部113は、「幸運属性」の付されていないキャラクタを使用するユーザについては、当該ユーザに不利に作用する当該特定の事象を発生させてもよく、有利不利を問わず当該特定の事象自体を発生させないこととしてもよい。換言すると、特定の事象に基づく有利な作用が発生する確率(換言すると、有利に作用する特定の事象が発生する確率、さらに換言すると、特定の事象が有利に作用する確率)は、「幸運属性」を有するキャラクタを使用する場合の方が、「幸運属性」を有しないキャラクタを使用する場合に比べ高くなっていてもよい。また、特定の事象に基づく不利な作用が発生する確率(換言すると、不利に作用する特定の事象が発生する確率、さらに換言すると、特定の事象が不利に作用する確率)は、「幸運属性」を有しないキャラクタを使用する場合の方が、「幸運属性」を有するキャラクタを使用する場合に比べ高くなっていてもよい。換言すると、所定の事象に基づく有利な作用は、例えば、特定の特性(例えば、パッシブスキル)を有するキャラクタをユーザが使用している場合にのみ、発生してもよい。
【0099】
また、例えば、「幸運属性」について、属性値が設定されており、使用するキャラクタの「幸運属性」の属性値が高いほど、特定の事象に基づく有利な作用が発生する確率が高くなっていてもよい。
【0100】
また、例えば、特定の事象に係る制御を、弱いユーザに対しては第1の制御とし(例えば、特定の事象に基づく有利な作用が発生する確率を高くし)、強いユーザに対しては第2の制御とする(例えば、特定の事象に基づく有利な作用が発生する確率を低くする)ように構成した上で、「幸運属性」を有するキャラクタを使用する場合には、ユーザの強さに関わらずに第1の制御を行うように構成するなどしてもよい。
【0101】
本実施形態において、「有利に作用させる」とは、幸運な状況をもたらすともいえる。すなわち、ゲーム進行部113は、弱いユーザに対してラッキーなイベントを発生させるともいえる。
【0102】
なお、ユーザに対して所定の作用(具体的には、有利な作用または不利な作用)を与える所定の事象は、ユーザの入力操作とは無関係に生じてもよく、ユーザの所定の入力操作に基づいて生じてもよい。
【0103】
また、ユーザに対して所定の作用を与える所定の事象は、対戦の進行中において、ランダムに発生してもよく、所定の条件が満たされると発生してもよく、あるいは特定の期間が経過する毎に所定の確率で発生するなどしてもよい。また、所定の事象は、例えば、過去の1または複数の試合の結果が悪い場合(例えば、直前の試合で負けている場合や、直近の所定期間の勝率が所定の基準に満たない場合等)に発生し得るようにしてもよい。
【0104】
また、ゲーム進行部113は、事象をユーザに対して有利に作用させたり不利に作用させたりするが、有利に作用させるか不利に作用させるかは、事象の発生時点において決定されていてもよく、事象自体は先に発生し、その後所定契機で(例えば、石35にプレイヤキャラクタ31が接触したタイミング等の、作用を発生させるタイミング等において)、有利に作用させるか不利に作用させるかが決定されるようになっていてもよい。
【0105】
次に、図6を参照して、所定の事象を、強さに関する所定の条件を満たすユーザに対して有利に作用させる処理の一例について説明する。
【0106】
まず、ゲーム進行部113は、ユーザが弱いか否か(換言すると、ユーザの強さ)を判定する(ステップS1)。なお、ユーザの強さの判定については前述の通りである。
【0107】
ユーザが弱い場合(ステップS1でYES)、ゲーム進行部113は、当該ユーザに有利に作用する事象を発生させる(ステップS2)。例えば、ゲーム進行部113は、プレイヤキャラクタ31の足元に事象関連オブジェクトとしての石35を配置する。そして、ゲーム進行部113は、当該事象による有利な作用を発動させる(ステップS3)。例えば、ゲーム進行部113は、届きそうにない相手キャラクタ32からのボール33を取ろうと追いかけるプレイヤキャラクタ31を、石35につまづかせて転ばせ、転んだ反動によりボール33に届かせる。
【0108】
一方、ユーザが強い場合(ステップS1でNO)、ゲーム進行部113は、当該ユーザに不利に作用する事象を発生させる(ステップS4)。例えば、ゲーム進行部113は、プレイヤキャラクタ31の足元に事象関連オブジェクトとしての石35を配置する。そして、ゲーム進行部113は、当該事象による不利な作用を発動させる(ステップS5)。例えば、ゲーム進行部113は、届きそうにない相手キャラクタ32からのボール33を取ろうと追いかけるプレイヤキャラクタ31を、石35につまづかせて転ばせる。このとき、ゲーム進行部113は、転んだ反動によりボール33に届かせる制御を行わず、単にその場で転ばせる。
【0109】
次に、図7を参照して、強さに関する所定の条件を満たすユーザに対して有利に作用させる処理の他の例を説明する。
【0110】
ゲーム進行部113は、ゲームの進行中において、所定の契機で、プレイヤキャラクタ31の周囲に所定の事象を発生させる(ステップS11)。例えば、ゲーム進行部113は、プレイヤキャラクタ31の足元に事象関連オブジェクトとしての石35を配置する。
【0111】
この事象の発生に伴って、ゲーム進行部113は、所定の指標に基づいて、ユーザが弱いか否か(換言すると、ユーザの強さ)を判定する(ステップS12)。
【0112】
ユーザが弱い場合(ステップS12でYES)、そのユーザに対しては事象を有利に作用させる(ステップS13)。例えば、ゲーム進行部113は、届きそうにない相手キャラクタ32からのボール33を取ろうと追いかけるプレイヤキャラクタ31を、石35につまづかせて転ばせ、転んだ反動によりボール33に届かせる。
【0113】
一方、ユーザが強い場合(ステップS12でNO)、そのユーザに対しては事象を不利に作用させる(ステップS14)。例えば、ゲーム進行部113は、届きそうにない相手キャラクタ32からのボール33を取ろうと追いかけるプレイヤキャラクタ31を、石35につまづかせて転ばせる。このとき、ゲーム進行部113は、転んだ反動によりボール33に届かせる制御を行わず、単にその場で転ばせる。
【0114】
以上、本実施形態に係る構成を対戦ゲームとしてのテニスゲームに適用した例について説明してきたが、本実施形態に係る構成は、いずれのゲームに適用されてもよい。例えば、本実施形態に係る構成は、マルチプレイ機能を利用するゲーム、換言すると、複数のユーザが協力して行うゲーム(例えば、ロールプレイングゲームまたはアクションゲーム等)にも適用できる。例えば、複数のユーザが自身のプレイヤキャラクタを用いて敵を倒すというイベントを協働して達成するゲームにおいて、ゲーム進行部113は、ゲームの進行中に、所定の事象として、プレイヤキャラクタを目掛けて岩(換言すると、事象関連オブジェクト)が落ちてくるという事象を、プレイヤキャラクタの周囲に発生させてもよい。この場合に、ゲーム進行部113は、強いユーザについては、当該強いユーザの使用するプレイヤキャラクタが、落ちてくる岩に当たってダメージを受けるという不利な作用を与えてもよい。また、弱いユーザについては、落ちてきた岩が、当該弱いユーザの使用するプレイヤキャラクタに当たらず、岩が当該プレイヤキャラクタの近くに落ちた反動(換言すると、衝撃)により運よく敵のところまで転がる(換言すると、移動する)ことができるという有利な作用を与えてもよい。そして、転がった後に所定のタイミングで敵への攻撃に係る入力操作を行うことで、敵にダメージを与えることができるようにしてもよい。このような構成によれば、弱いユーザでもチームに貢献できたという達成感が得られる。
【0115】
以上のように、ゲーム進行部113は、弱いユーザに対して所定の事象を有利に作用させることと、強いユーザに対して所定の事象を不利に作用させることとを行うが、あるタイミングで発生する1つの事象が、弱いユーザに有利に作用するとともに強いユーザに不利に作用してもよく、それぞれ別々のタイミングで発生する同一の事象が、弱いユーザに有利に作用するとともに強いユーザに不利に作用してもよい。前者の一例としては、前述の複数のユーザが協力して敵を倒すゲームにおける、岩が落ちるという事象が、弱いユーザに有利に作用すると同時に強いユーザに不利に作用する例が挙げられる。また、後者の一例としては、前述のテニスゲームにおける、石35が出現するという事象が、弱いユーザについて発生した場合において有利に作用するとともに、強いユーザについて発生した場合において不利に作用する例が挙げられる。
【0116】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、本発明はその発明の範囲内において、各構成要素の自由な組み合わせ、任意の構成要素の変形、または任意の構成要素の省略等が可能である。また、本明細書において説明した処理の流れはあくまで一例であり、各処理の順序や構成は異なるものであってもよい。また、各フローチャートに示した各種判定処理等の各処理は存在しないものがあってもよい。換言すると、処理の流れや具体的な判定処理等は本明細書に例示したものと異なっていてもよい。
【0117】
<付記>
以上の実施形態で説明した事項は、以下の付記のようにも記載され得る。
【0118】
(付記1)
コンピュータを、
ユーザがキャラクタを操作してプレイするイベントの進行を制御する進行制御手段(例えば、ゲーム進行部113)と、
所定の指標に基づいて判断されるユーザの強さに基づいて、前記キャラクタの周囲に発生する所定の事象に係る処理を行う事象制御手段(例えば、ゲーム進行部113)と、として機能させ、
前記事象制御手段は、前記所定の事象を、前記強さに関する所定の条件を満たすユーザに対して有利に作用させる
プログラム。
このような構成によれば、強さに関する所定の条件を満たすユーザに対して、キャラクタの周囲に発生する所定の事象による有利な作用を与えることができる。このため、例えば、弱いユーザ等に対して当該所定の事象の発生により有利な状況をもたらし、ゲームにおいて好結果を得ることを可能とすること等ができる。したがって、ゲームの興趣性が向上される。
【0119】
(付記2)
前記事象制御手段は、前記所定の事象を、前記強さの弱いユーザに対して有利に作用させることを実行可能な
付記1に記載のプログラム。
このような構成によれば、所定の事象が強さの弱いユーザに対して有利に作用するので、所定の条件を満たすユーザのキャラクタのパラメータを変化させて当該キャラクタ自体を強くすることなく、外的要因により弱いユーザに有利な状況をもたらすことができる。すなわち、例えば、現実世界においては対戦中において急に人が強くなったりすることはないところ、キャラクタ自体のパラメータを変化させる手法は、現実世界において通常起こり得ない現象を発生させることにもなりかねないが、本構成によれば、外的要因により弱いユーザに偶然有利な状況がもたらされるという、実際に起こり得そうな現象により、弱いユーザのプレイをアシストすること等が可能となる。したがって、ゲームの興趣性が向上される。
【0120】
(付記3)
前記事象制御手段は、前記所定の事象を、前記強さの強いユーザに対して不利に作用させることを実行可能な
付記2に記載のプログラム。
このような構成によれば、同一の事象が、強いユーザに対しては不利に作用する一方で、弱いユーザに対しては有利に作用するようにすることができる。すなわち、不利に作用し得る事象を、弱いユーザに対しては有利に作用させることができる。したがって、本構成によれば、外的要因により弱いユーザに偶然有利な状況がもたらされるという、実際に起こり得そうな現象により、弱いユーザのプレイをアシストすること等が可能となる。したがって、ゲームの興趣性が向上される。
【0121】
(付記4)
前記事象制御手段は、前記所定の事象の発生確率を、ユーザの前記強さに応じて変動させる
付記1に記載のプログラム。
このような構成によれば、ユーザの強さに応じて所定の事象の発生確率を変動させ、これにより当該所定の事象により有利な状況がもたらされる確率をユーザの強さに応じて異ならせることができる。したがって、ゲームの興趣性が向上される。
【0122】
(付記5)
前記事象制御手段は、ユーザの前記強さが弱い場合の方が、ユーザの前記強さが強い場合に比べて、前記所定の事象の発生確率を高くする
付記4に記載のプログラム。
このような構成によれば、弱いユーザについて所定の事象の発生確率を高くし、これにより弱いユーザが当該所定の事象により有利な結果を得られる確率を高くして、弱いユーザのプレイをアシストすること等が可能となる。したがって、ゲームの興趣性が向上される。
【0123】
(付記6)
前記所定の事象は、前記キャラクタの周囲に特定のオブジェクトが出現する事象である
付記1に記載のプログラム。
このような構成によれば、キャラクタの周囲に出現する特定のオブジェクトが有利に作用することによりユーザに有利な状況がもたらされる演出が可能となる。したがって、ゲームの興趣性が向上される。
【0124】
(付記7)
前記コンピュータをさらに、
前記所定の事象に係る表示を表示手段に表示させる表示制御手段(例えば、表示制御部114)として機能させ、
前記所定の事象は、前記表示手段における表示上、ユーザにとって一見不利な事象である
付記1~6のいずれか1つに記載のプログラム。
このような構成によれば、例えば、障害物の発生や、仮想空間内の環境の悪化または急な変化等の一見不利な事象が有利に作用するといった、幸運によりユーザに有利な状況がもたらされる演出が可能となる。したがって、ゲームの興趣性が向上される。
【0125】
(付記8)
ユーザがキャラクタを操作してプレイするイベントの進行を制御する進行制御手段(例えば、ゲーム進行部113)と、
所定の指標に基づいて判断されるユーザの強さに基づいて、前記キャラクタの周囲に発生する所定の事象に係る処理を行う事象制御手段(例えば、ゲーム進行部113)と、を備え、
前記事象制御手段は、前記所定の事象を、前記強さに関する所定の条件を満たすユーザに対して有利に作用させる
情報処理システム。
このような構成によれば、付記1に記載のプログラムと同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0126】
1 ゲームシステム、10 端末装置、11 プロセッサ、12 メモリ、13 ストレージ、16 タッチスクリーン、17 入力部、18 表示部、20 サーバ、21 プロセッサ、22 メモリ、23 ストレージ、110 制御部、111 操作受付部、112 送受信部、113 ゲーム進行部、114 表示制御部、120 記憶部、210 制御部、211 送受信部、212 サーバ処理部、213 データ管理部、214 同期処理部、220 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7