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  • 特開-位置決め装置 図1
  • 特開-位置決め装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139288
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】位置決め装置
(51)【国際特許分類】
   G12B 5/00 20060101AFI20241002BHJP
   F16C 32/06 20060101ALI20241002BHJP
   F16C 29/04 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G12B5/00 T
F16C32/06 A
F16C29/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050162
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊徳
【テーマコード(参考)】
2F078
3J102
3J104
【Fターム(参考)】
2F078CA08
2F078CB09
2F078CB16
2F078CC07
2F078CC11
3J102AA02
3J102BA05
3J102BA11
3J102CA11
3J102EA02
3J102EA07
3J102GA01
3J102GA07
3J104AA01
3J104AA41
3J104AA52
3J104AA70
3J104AA73
3J104AA74
3J104AA76
3J104AA77
3J104DA02
3J104EA01
3J104EA02
3J104EA07
(57)【要約】
【課題】一対のステージの位置決め静定性及び位置決め精度に優れる位置決め装置を提供すること。
【解決手段】位置決め装置1は、基台6上で一対のステージ5A,5BがX軸方向及びY軸方向に移動可能であって、互いにY軸方向に平行に離間しながらX軸方向に延在して配置された一対のX軸方向案内部3A,3Bと、一対のX軸方向案内部3A,3BによりX軸方向に移動可能に支持されて、互いにX軸方向に平行に離間しながらY軸方向に延在して配置された一対のY軸方向案内部4A,4Bと、一対のY軸方向案内部4A,4BによりそれぞれY軸方向に移動可能に支持された一対のステージ5A,5Bと、を備える。一対のステージ5A,5Bは、X軸方向及びY軸方向の移動時において、互いに逆向きに加減速される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台上で一対のステージがX軸方向及びY軸方向に移動可能に配置される位置決め装置であって、
互いに前記Y軸方向に平行に離間しながら前記X軸方向に延在して配置された一対のX軸方向案内部と、
前記一対のX軸方向案内部により前記X軸方向に移動可能に支持されて、互いに前記X軸方向に平行に離間しながら前記Y軸方向に延在して配置された一対のY軸方向案内部と、
前記一対のY軸方向案内部によりそれぞれ前記Y軸方向に移動可能に支持された前記一対のステージと、を備え、
前記一対のステージは、前記X軸方向及び前記Y軸方向の移動時において、互いに逆向きに加減速される、
位置決め装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記一対のステージの加減速度は、当該一対のステージへの搭載部品の質量に対応する、
位置決め装置。
【請求項3】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記一対のステージは、それぞれ、前記基台に対して当該一対のステージを気体によって鉛直方向に浮上支持する鉛直方向空気軸受を有する、
位置決め装置。
【請求項4】
請求項3に記載の位置決め装置であって、
前記一対のステージは、それぞれ、非接触状態で当該一対のステージを前記基台に向けて吸引する吸引力発生部を有する、
位置決め装置。
【請求項5】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記一対のステージは、それぞれ、前記Y軸方向案内部に対して当該一対のステージを気体によって前記Y軸方向と直交する水平方向に支持する水平方向空気軸受を有する、
位置決め装置。
【請求項6】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記一対のX軸方向案内部は、転がり案内である、
位置決め装置。
【請求項7】
請求項1に記載の位置決め装置であって、
前記Y軸方向案内部を前記X軸方向に駆動するX軸駆動部、及び、前記一対のステージを前記Y軸方向に駆動するY軸駆動部は、リニアモータである、
位置決め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決め装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、搬送装置、工作機械又は半導体製造装置には、真空雰囲気や特殊ガス雰囲気のプロセス室内でステージを回転させる回転機構や、ステージをスライド移動させる位置決め装置が用いられる。特許文献1には、露光装置、第1ステージ及び第2ステージを備えて、第1ステージ及び第2ステージが露光装置に近接する露光位置と露光位置から離れ
た別の位置との間で移動可能なリソグラフィ装置(位置決め装置)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4472358号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した一対のステージ(第1ステージ及び第2ステージ)を備えた従来の位置決め装置では、一方のステージが動作すると、その加減速時に発生する反力によって、他方のステージが微小に変位するおそれがあった。即ち、従来の位置決め装置は、位置決め精度等の観点から、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点に着目してなされたものであり、一対のステージの位置決め静定性及び位置決め精度に優れる位置決め装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するべく、本発明に係る位置決め装置は、下記の通りである。
【0007】
(1)
基台上で一対のステージがX軸方向及びY軸方向に移動可能に配置される位置決め装置であって、
互いに前記Y軸方向に平行に離間しながら前記X軸方向に延在して配置された一対のX軸方向案内部と、
前記一対のX軸方向案内部により前記X軸方向に移動可能に支持されて、互いに前記X軸方向に平行に離間しながら前記Y軸方向に延在して配置された一対のY軸方向案内部と、
前記一対のY軸方向案内部によりそれぞれ前記Y軸方向に移動可能に支持された前記一対のステージと、を備え、
前記一対のステージは、前記X軸方向及び前記Y軸方向の移動時において、互いに逆向きに加減速される、
位置決め装置。
【0008】
(2)
上記(1)に記載の位置決め装置であって、
前記一対のステージの加減速度は、当該一対のステージへの搭載部品の質量に対応する、
位置決め装置。
【0009】
(3)
上記(1)又は(2)の何れか一つに記載の位置決め装置であって、
前記一対のステージは、それぞれ、前記基台に対して当該一対のステージを気体によって鉛直方向に浮上支持する鉛直方向空気軸受を有する、
位置決め装置。
【0010】
(4)
上記(3)に記載の位置決め装置であって、
前記一対のステージは、それぞれ、非接触状態で当該一対のステージを前記基台に向けて吸引する吸引力発生部を有する、
位置決め装置。
【0011】
(5)
上記(1)~(4)の何れか一つに記載の位置決め装置であって、
前記一対のステージは、それぞれ、前記Y軸方向案内部に対して当該一対のステージを気体によって前記Y軸方向と直交する水平方向に支持する水平方向空気軸受を有する、
位置決め装置。
【0012】
(6)
上記(1)~(5)の何れか一つに記載の位置決め装置であって、
前記一対のX軸方向案内部は、転がり案内である、
位置決め装置。
【0013】
(7)
上記(1)~(6)に記載の位置決め装置であって、
前記Y軸方向案内部を前記X軸方向に駆動するX軸駆動部、及び、前記一対のステージを前記Y軸方向に駆動するY軸駆動部は、リニアモータである、
位置決め装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、一対のステージの位置決め静定性及び位置決め精度に優れる位置決め装置を提供できる。
【0015】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る位置決め装置の概略上面図である。
図2図2は、図1の概略断面図である(ただし、ハッチング略)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る位置決め装置1について図面を参照して説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、以下に説明する実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば限定されるものではない。
【0018】
以下、図1図2において、X軸方向は水平面内の方向であり、Y軸方向は水平面内においてX軸方向に直交する方向(水平方向)であり、Z軸方向は水平面に直交する上下方向である。なお、本例では、鉛直方向は、上下方向に対応する。
図1は、本発明の一実施形態に係る位置決め装置の概略上面図である。図2は、図1の概略断面図である。
【0019】
はじめに、位置決め装置1の概略構成について説明する。
図1に示すように、位置決め装置1は、基台6上に配置された一対のX軸方向案内部3A,3Bと、一対のX軸方向案内部3A,3B上に配置された一対のY軸方向案内部4A,4Bと、基台6上で移動可能に支持される一対のステージ5A,5Bと、を備えて構成される。
【0020】
更に、位置決め装置1は、一対のY軸方向案内部4A,4B(即ち、一対のステージ5A,5B)をそれぞれX軸方向に駆動するX軸駆動部(図示略)と、一対のステージ5A,5BをそれぞれY軸方向に駆動するY軸駆動部(図示略)と、を備えて構成される。
X軸駆動部及びY軸駆動部は、リニアモータである。
【0021】
一対のX軸方向案内部3A,3Bは、互いにY軸方向に平行に離間しながらX軸方向に延在して、基台6上のY軸方向両端側に配置されており、これら一対のX軸方向案内部3A,3Bに、一対のY軸方向案内部4A,4B(即ち、一対のY軸方向案内部4A,4Bを介して一対のステージ5A,5B)がX軸方向に移動可能に支持されている。
なお、一対のX軸方向案内部3A,3Bに対する一対のY軸方向案内部4A,4Bの移動は、例えば転がり案内や静圧空気軸受案内等である。
【0022】
一対のY軸方向案内部4A,4Bは、互いにX軸方向に平行に離間しながらY軸方向に延在して、一対のY軸方向案内部4A,4BのY軸方向両端部がそれぞれ一対のX軸方向案内部3A,3B上に配置されており、これら一対のY軸方向案内部4A,4Bに、一対のステージ5A,5BがそれぞれY軸方向に移動可能に支持されている。
なお、一対のY軸方向案内部4A,4Bに対する一対のステージ5A,5Bの移動は、静圧空気軸受を用いたエアスライドである。
【0023】
一対のステージ5A,5Bは、X軸方向案内部3A,3BによってY軸方向案内部4A,4Bを介して基台6上をX軸方向に移動可能に構成され、且つ、Y軸方向案内部4A,4Bによって、基台6上をY軸方向に移動可能に構成される。
【0024】
一対のステージ5A,5Bは、それぞれ、鉛直方向空気軸受11A,11Bと、吸引力発生部12A,12Bと、水平方向空気軸受13A,13Bと、を有している。
【0025】
鉛直方向空気軸受11A,11Bは、それぞれ、各ステージ5A,5Bの下面に鉛直方向下側に向けて空気(気体)を吹き出す空気穴が設けられることで、各ステージ5A,5Bの下面と基台6の上面との間に形成されている。
【0026】
吸引力発生部12A,12Bは、各ステージ5A,5Bの下面にそれぞれ埋設されており、例えば吸引パッドを用いた真空吸引部等である。そして、吸引力発生部12A,12Bは、基台6に対して所定間隙を空けて対向して配置され、鉛直方向空気軸受11A,11Bに予圧をかけている。
【0027】
一対のステージ5A,5Bは、対応するY軸方向案内部4A,4Bを挟むように、Y軸方向案内部4A,4Bの各側面に所定隙間を空けて対向する対向面15A,15Bが形成された対向部14A,14Bがそれぞれ突設されている。
これら対向部14A,14Bの対向面15A,15Bには、Y軸方向案内部4A,4Bの上記側面に向けて水平に空気(気体)を吹き出す噴出部が設けられることで、Y軸方向案内部4A,4Bの上記側面と対向部14A,14Bとの間に、各ステージ5A,5Bの水平方向を支持する(具体的には、一対のステージ5A,5BのY軸方向の移動を案内する)水平方向空気軸受13A,13Bが形成されている。
【0028】
次いで、位置決め装置1の動作及び効果について説明する。
位置決め装置1は、鉛直方向空気軸受11A,11Bの空気及び吸引力発生部12A,12Bの吸引力によって、バランスを保ちながら一対のステージ5A,5Bが基台6に対して鉛直方向に浮上支持される。
また、水平方向空気軸受13A,13Bの空気によって、一対のステージ5A,5BがY軸方向案内部4A,4Bに対してY軸方向の移動が案内される。
【0029】
そして、X軸駆動部の駆動によってY軸方向案内部4A,4B及びステージ5A,5BがX軸方向に直線移動し、Y軸駆動部の駆動によってステージ5A,5BがY軸方向に直線移動する。
【0030】
これらステージ5A,5BのY軸方向の直線移動時において、ステージ5A,5Bは互いに逆向きに加減速される。即ち、ステージ5A,5BのY軸方向の直線移動時にはY軸駆動部は互いに逆向きに加減速駆動する。
更に、位置決め装置1は、一対のステージ5A,5Bの加減速度は、これらステージ5A,5Bへの搭載部品の質量に対応して設定される。
即ち、本実施形態によれば、各ステージ5A,5Bの加減速時に発生する反力が相殺されるため、従来の位置決め装置に比べ、一対のステージ5A,5Bの速度安定性や位置決め静定性、及び位置決め精度に優れる。
【0031】
更に、本実施形態によれば、各ステージ5A,5Bが吸引力発生部12A,12Bを有することで、基台6上において各ステージ5A,5Bの姿勢が安定される。
【0032】
更に、本実施形態によれば、X軸駆動部及びY軸駆動部がリニアモータであることで、一対のステージ5A,5Bの速度安定性や位置決めを高精度で実現できる。
【符号の説明】
【0033】
1 位置決め装置
3A,3B X軸方向案内部
4A,4B Y軸方向案内部
5A,5B ステージ
6 基台
11A,11B 鉛直方向空気軸受
12A,12B 吸引力発生部
13A,13B 水平方向空気軸受
14A,14B 対向部
15A,15B 対向面
図1
図2