(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139291
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】テープエンド検知装置、テープ印刷装置、およびテープエンド検知装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
B65H 43/02 20060101AFI20241002BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20241002BHJP
B41J 29/48 20060101ALI20241002BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20241002BHJP
B41J 11/42 20060101ALI20241002BHJP
B65H 26/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B65H43/02
B41J3/36 T
B41J29/48 B
B41J11/70
B41J11/42
B65H26/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050166
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】弁理士法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甕 健二
(72)【発明者】
【氏名】坂本 啓心
【テーマコード(参考)】
2C055
2C058
2C061
3F048
3F105
【Fターム(参考)】
2C055CC00
2C055CC01
2C055CC05
2C058AB03
2C058AC06
2C058AD06
2C058AE04
2C058AE15
2C058AF06
2C058AF25
2C058AF31
2C058AF51
2C058LA03
2C061AP05
2C061AQ04
2C061AS06
2C061LL06
3F048AA05
3F048AC04
3F048BA02
3F048BA05
3F048BB02
3F048CB09
3F048CC01
3F048DA09
3F048DB02
3F048DB07
3F048DB11
3F048DC05
3F048DC09
3F048DC13
3F105AB09
3F105BA12
3F105DA21
3F105DA37
3F105DA41
3F105DA51
3F105DB02
3F105DB11
3F105DC12
(57)【要約】
【課題】2つのセンサーを利用し、テープエンドの検知を含む3種類の検知を行う。
【解決手段】テープ印刷装置1は、プラテンローラー17とカッター31との間に位置する第1検出位置で、テープTの有無を検出する上流センサーS1と、カッター31とテープ排出口24との間に位置する第2検出位置で、テープTの有無を検出する下流センサーS2と、を備え、上流センサーS1の検出結果に基づいて、テープTの終端以外の特定位置が第1検出位置を通過したことを検知し、下流センサーS2の検出結果に基づいて、カッター31により切断されたテープTがテープ排出口24から排出されたことを検知し、上流センサーS1および下流センサーS2の検出結果に基づいて、テープTの終端がプラテンローラー17を通過したことを示すテープエンドを検知する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープロールから繰り出されたテープを第1方向に送る送りローラーより前記第1方向に設けられ、前記テープをテープ幅方向に切断するカッターと、
前記カッターより前記第1方向に設けられ、前記テープをテープ排出口に向けて前記第1方向に送る排出ローラーと、
前記送りローラーと前記カッターとの間に位置する第1検出位置で、前記テープの有無を検出する第1センサーと、
前記カッターと前記テープ排出口との間に位置する第2検出位置で、前記テープの有無を検出する第2センサーと、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1センサーの検出結果に基づいて、前記テープの終端以外の特定位置が前記第1検出位置を通過したことを検知し、
前記第2センサーの検出結果に基づいて、前記カッターにより切断された前記テープが前記テープ排出口から排出されたことを検知し、
前記第1センサーおよび前記第2センサーの検出結果に基づいて、前記テープの終端が前記送りローラーを通過したことを示すテープエンドを検知することを特徴とするテープエンド検知装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記送りローラーにより前記テープが送られている間に、前記第1センサーによりテープ無しが検出され、且つ、前記第2センサーによりテープ有りが検出された場合、前記テープエンドを検知することを特徴とする請求項1に記載のテープエンド検知装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記送りローラーによる前記テープの送りが開始されてからの前記テープの送り量が所定量を超えた後、前記第1センサーによりテープ有りが検出され、且つ、前記第2センサーによりテープ無しが検出された場合、前記テープエンドを検知することを特徴とする請求項1に記載のテープエンド検知装置。
【請求項4】
前記排出ローラーは、前記テープを挟持して回転送りする一対のローラーを含み、
前記第2センサーは、
前記一対のローラー間を前記第2検出位置として、前記テープの有無を検出することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のテープエンド検知装置。
【請求項5】
請求項1に記載のテープエンド検知装置と、
前記送りローラーにより送られていく前記テープに印刷を行う印刷ヘッドと、を備えることを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項6】
テープロールから繰り出されたテープを第1方向に送る送りローラーより前記第1方向に設けられ、前記テープをテープ幅方向に切断するカッターと、
前記カッターより前記第1方向に設けられ、前記テープをテープ排出口に向けて前記第1方向に送る排出ローラーと、
前記送りローラーと前記カッターとの間に位置する第1検出位置で、前記テープの有無を検出する第1センサーと、
前記カッターと前記テープ排出口との間に位置する第2検出位置で、前記テープの有無を検出する第2センサーと、を備えたテープエンド検知装置の制御方法であって、
前記テープエンド検知装置は、
前記第1センサーの検出結果に基づいて、前記テープの終端以外の特定位置が前記第1検出位置を通過したことを検知し、
前記第2センサーの検出結果に基づいて、前記カッターにより切断された前記テープが前記テープ排出口から排出されたことを検知し、
前記第1センサーおよび前記第2センサーの検出結果に基づいて、前記テープの終端が前記送りローラーを通過したことを示すテープエンドを検知することを特徴とするテープエンド検知装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープエンド検知装置、テープ印刷装置、およびテープエンド検知装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、テープロールからテープの終端が離れたか否か、すなわちテープエンドとなったか否かを検知可能な装置が知られている。特許文献1に開示されている装置は、テープの終端に設けられた終端識別用のエンド部をセンサーにより検出した場合、テープエンドを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている装置は、テープエンド検知のために、専用のセンサーを搭載する必要がある。また、この専用のセンサーは、テープエンドの検知のみに用いられ、他の用途に利用できない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のテープエンド検知装置は、テープロールから繰り出されたテープを第1方向に送る送りローラーより第1方向に設けられ、テープをテープ幅方向に切断するカッターと、カッターより第1方向に設けられ、テープをテープ排出口に向けて第1方向に送る排出ローラーと、送りローラーとカッターとの間に位置する第1検出位置で、テープの有無を検出する第1センサーと、カッターとテープ排出口との間に位置する第2検出位置で、テープの有無を検出する第2センサーと、制御部と、を備え、制御部は、第1センサーの検出結果に基づいて、テープの終端以外の特定位置が第1検出位置を通過したことを検知し、第2センサーの検出結果に基づいて、カッターにより切断されたテープがテープ排出口から排出されたことを検知し、第1センサーおよび第2センサーの検出結果に基づいて、テープの終端が送りローラーを通過したことを示すテープエンドを検知する。
【0006】
本発明のテープエンド検知装置の制御方法は、テープロールから繰り出されたテープを第1方向に送る送りローラーより第1方向に設けられ、テープをテープ幅方向に切断するカッターと、カッターより第1方向に設けられ、テープをテープ排出口に向けて第1方向に送る排出ローラーと、送りローラーとカッターとの間に位置する第1検出位置で、テープの有無を検出する第1センサーと、カッターとテープ排出口との間に位置する第2検出位置で、テープの有無を検出する第2センサーと、を備えたテープエンド検知装置の制御方法であって、テープエンド検知装置は、第1センサーの検出結果に基づいて、テープの終端以外の特定位置が第1検出位置を通過したことを検知し、第2センサーの検出結果に基づいて、カッターにより切断されたテープがテープ排出口から排出されたことを検知し、第1センサーおよび第2センサーの検出結果に基づいて、テープの終端が送りローラーを通過したことを示すテープエンドを検知する。
【0007】
本発明のテープ印刷装置は、上記のテープエンド検知装置と、送りローラーにより送られていくテープに印刷を行う印刷ヘッドと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】テープ印刷装置およびテープカートリッジの外観図である。
【
図2】テープ排出機構の平面図であって、排出駆動ローラーと排出従動ローラーとの間にテープが挟持されていない状態を示す図である。
【
図3】テープ排出機構の平面図であって、排出駆動ローラーと排出従動ローラーとの間にテープが挟持されている状態を示す図である。
【
図4】印刷ヘッドからテープ排出口までのX方向における部材の配置を示す図である。
【
図6】テープ印刷装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図7】センサーの検出結果と、発生場面と、装置状態と、の関係を示す表である。
【
図11】テープの先端が第1検出位置より+X方向に位置している状態を示す図である。
【
図12】テープの先端が第1検出位置より-X方向に位置している状態を示す図である。
【
図13】余白距離が第1距離より小さい場合において、テープの頭出しが行われた状態を示す図である。
【
図14】余白距離が第1距離より大きい場合において、テープの頭出しが行われた状態を示す図である。
【
図15】テープの先端が第1検出位置と第2検出位置との間に位置している状態を示す図である。
【
図16】テープの先端が第2検出位置より-X方向に位置している状態を示す図である。
【
図17】テープの先端が第2検出位置より+X方向に位置し、テープの終端が第1検出位置より-X方向に位置している状態を示す図である。
【
図18】テープの先端が第2検出位置より-X方向に位置し、テープの終端が第1検出位置より-X方向に位置している状態を示す図である。
【
図20】テープが切断された後、切断されたテープが排出された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して、テープエンド検知装置、テープ印刷装置、およびテープエンド検知装置の制御方法について説明する。本実施形態では、テープエンド検知装置としてテープ印刷装置1を例示する。テープ印刷装置1は、印刷対象物となる長尺状のテープTに対し、これを送りながら印刷を行った後、テープTの印刷済み部分を切断し、切断したテープ片を装置外部に排出するものである。なお、一部の図面では、XYZ直交座標系による方向を用いて説明するが、これらの方向は説明の便宜上のものにすぎず、以下の実施形態を何ら限定するものではない。
【0010】
図1は、テープ印刷装置1およびテープカートリッジCの外観図である。テープ印刷装置1は、装置ケース3と、装着部カバー5と、を備えている。装置ケース3の+Z方向の面には、操作キー群21と、ディスプレー22と、カートリッジ装着部23と、が設けられている。
【0011】
操作キー群21は、テープTに印刷される印刷画像の編集操作など、ユーザーの各種操作を受け付ける。ディスプレー22は、印刷画像の編集画面など、各種情報を表示する。テープ印刷装置1は、ユーザーによる印刷画像の編集操作に基づいて、印刷データを生成し、生成した印刷データに基づいて印刷処理を行う。
【0012】
カートリッジ装着部23は、+Z方向が開放された凹部である。カートリッジ装着部23には、テープカートリッジCが着脱可能に装着される。装着部カバー5は、装置ケース3の+Y方向の端部に回動可能に取り付けられており、カートリッジ装着部23を開閉する。
【0013】
カートリッジ装着部23には、印刷ヘッド26と、ヘッドカバー20と、が設けられている。印刷ヘッド26は、テープTに印刷を行う。ヘッドカバー20は、印刷ヘッド26を部分的に覆っている。また、カートリッジ装着部23の底面からは、プラテン駆動軸25と、繰出し軸28と、巻取り軸29とが、+Z方向に突出している。
【0014】
装置ケース3の-X方向の側部には、カートリッジ装着部23に連なるテープ排出口24が形成されており、カートリッジ装着部23とテープ排出口24との間には、テープ排出経路27が構成されている。そして、装置ケース3内部には、テープ排出経路27に臨むように、+X方向から、上流センサー機構51と、テープ切断機構52と、テープ排出機構53と、がアッセンブリ化されて内蔵されている。
【0015】
上流センサー機構51は、テープTの特定位置が検出位置を通過したことを検知するための機構である。上流センサー機構51には、上流センサーS1(
図4参照)が含まれる。上流センサーS1は、「第1センサー」の一例である。上流センサー機構51は、テープTの特定位置として、テープTの先端および終端を検出する。テープTの先端は、「テープの終端以外の特定位置」の一例である。
【0016】
テープ切断機構52は、テープTを切断する機構である。テープ切断機構52には、テープTをZ方向に切断するカッター31(
図4参照)が含まれる(
図4参照)。
【0017】
テープ排出機構53は、カッター31により切断されたテープTをテープ排出口24から排出すると共に、切断されたテープTがテープ排出口24から排出されたことを検知する機構である。テープ排出機構53については、後述する。
【0018】
テープカートリッジCは、テープコア15と、プラテンローラー17と、繰出しコア18と、巻取りコア19と、これらを収容したカートリッジケース11と、を備えている。プラテンローラー17は、「送りローラー」の一例である。
【0019】
テープコア15には、テープTが巻回されている。テープTは、裏面に粘着剤層が形成された印刷テープTaと、この粘着剤層により印刷テープTaに貼着した剥離テープTbとから構成されている。そして、テープTは、印刷テープTaを外側にし、かつ剥離テープTbを内側にしてテープコア15に巻回されたテープロール16としてカートリッジケース11に収容されている。繰出しコア18には、インクリボンRが巻回されている。繰出しコア18から繰り出されたインクリボンRは、巻取りコア19に巻き取られる。カートリッジケース11には、ヘッド挿通孔12が、Z方向に貫通して設けられている。また、カートリッジケース11の-X方向の面には、Z方向に延在するテープ送出口13が設けられている。テープロール16から繰り出されたテープTは、テープ送出口13からカートリッジケース11外に送り出される。
【0020】
テープカートリッジCがカートリッジ装着部23に装着されると、印刷ヘッド26およびヘッドカバー20がヘッド挿通孔12に挿通される。また、プラテン駆動軸25、繰出し軸28および巻取り軸29が、それぞれ、プラテンローラー17、繰出しコア18および巻取りコア19と係合する。続いて、装着部カバー5が閉められると、ヘッド移動機構(図示省略)により、印刷ヘッド26がプラテンローラー17に向かって移動する。これにより、印刷ヘッド26とプラテンローラー17との間に、テープTおよびインクリボンRが挟持される。
【0021】
この状態で、送りモーター45a(
図6参照)が第1回転方向に回転すると、テープTがテープ送出口13からカートリッジケース11外へ送り出されると共にインクリボンRが巻取りコア19に巻き取られるように、プラテンローラー17および巻取りコア19が回転する。なお、このときテープTは、テープ排出口24へ向かって-X方向に送られる。-X方向は、「第1方向」の一例である。また、モーターが第1回転方向とは反対の第2回転方向に回転すると、テープTがカートリッジケース11内に引き戻されると共にインクリボンRが繰出しコア18に巻き戻されるように、プラテンローラー17および繰出しコア18が回転する。なお、このときテープTは、+X方向に送られる。+X方向は、「第2方向」の一例である。
【0022】
印刷ヘッド26は、テープTが-X方向に送られているとき、印刷データに応じて発熱する。これにより、インクリボンRのインクがテープTに転写され、印刷データに基づく印刷画像がテープTに印刷される。
【0023】
印刷が完了すると、テープ切断機構52によりテープTの印刷済み部分の後端部がフルカットされる。フルカットとは、テープT全体、すなわち印刷テープTaおよび剥離テープTbを一体に切断することを指す。切断後のテープ片は、テープ排出機構53の作動によりテープ排出口24から排出される。このようにして、所望の文字等が印刷されたテープ片が作成される。
【0024】
図2および
図3を参照し、テープ排出機構53について説明する。テープ排出機構53は、切断されたテープTを装置外に排出すると共に、テープTが排出されたことを検知するための機構である。テープ排出機構53は、排出ローラー33と、回転体スライダー130と、下流センサー機構61と、を備えている。
【0025】
排出ローラー33は、テープTの剥離テープTb側に転接する排出駆動ローラー33aと、印刷テープTa側に転接する排出従動ローラー33bと、を含む。排出駆動ローラー33aおよび排出従動ローラー33bは、「一対のローラー」の一例である。
【0026】
排出駆動ローラー33aの回転軸である駆動ローラー軸111には、駆動側回転体(図示省略)が軸着されている。また、排出従動ローラー33bの回転軸である従動ローラー軸121には、従動側回転体123が軸着されている。駆動側回転体および従動側回転体123は、それぞれギア状に形成され、相互にオーバーラップ状態で係合する。また、従動側回転体123は、駆動側回転体との間に挟み込まれたテープTにより係合離脱する。
【0027】
回転体スライダー130は、従動側回転体123を従動ローラー軸121廻りに回転自在に支持する。また、回転体スライダー130は、従動側回転体123が駆動側回転体に係合する前進位置と、従動側回転体123が駆動側回転体から係合離脱する後退位置と、の間でY方向に移動自在に構成されている。
【0028】
下流センサー機構61は、回転体スライダー130が後退位置にスライドしたことを検出するものである。下流センサー機構61は、下流センサーS2と、回転体スライダー130に形成された係合孔(図示省略)に係合する係合アーム135と、係合アーム135と略直交するようにして径方向に延在し、先端部が下流センサーS2に臨む検出アーム137と、を備えている。下流センサーS2は、「第2センサー」の一例である。
【0029】
係合アーム135および検出アーム137は、回転体スライダー130の前進位置と後退位置との間のスライドに連動して軸部(図示省略)を中心に往復回動する。軸部は、係合アーム135のY方向の回動を検出アーム137のX方向の回動に変換する機構である。なお、回転体スライダー130が前進位置から後退位置へスライドする場合の係合アーム135および検出アーム137の回動方向を後退回動方向と言い、回転体スライダー130が後退位置から前進位置へスライドする場合の係合アーム135および検出アーム137の回動方向を前進回動方向と言う。
【0030】
下流センサーS2は、透過型の光センサーで構成され、後退回動方向の回動端に回動した検出アーム137の先端部に臨むように配設されている。下流センサーS2は、対向配置した発光素子と受光素子(いずれも図示省略)との間に検出アーム137の先端部が挿入されることにより、その光が遮断され、回転体スライダー130が後退位置にスライドしたことが検出される。
【0031】
図2に示すように、駆動側回転体と従動側回転体123との間にテープTが挟み込まれていない場合には、係合アーム135および検出アーム137が前進回動方向に回動する。これにより、回転体スライダー130が排出駆動ローラー33aに対して前進位置に移動するため、回転体スライダー130に支持された従動側回転体123が駆動側回転体に対してオーバーラップ状態で係合する。この場合、下流センサーS2は、排出駆動ローラー33aと排出従動ローラー33bとの間にテープTが無いことを検出する。
【0032】
一方、
図3に示すように、駆動側回転体と従動側回転体123との間にテープTが挟み込まれると、従動側回転体123は、駆動側回転体に対して係合離脱し、駆動側回転体とのオーバーラップ状態が解消される。これにより、従動側回転体123を支持する回転体スライダー130は、テープTの厚さに加えてオーバーラップ状態の解消分、前進位置から後退位置へ移動する。回転体スライダー130の後退位置への移動に連動して、回転部材192の係合アーム135および検出アーム137が後退回動方向に回動し、検出アーム137の先端部が下流センサーS2に臨む。この場合、下流センサーS2は、排出駆動ローラー33aと排出従動ローラー33bとの間にテープTが有ることを検出する。
【0033】
図4を参照し、印刷ヘッド26からテープ排出口24までのX方向における部材の配置について説明する。
図4は、カートリッジ装着部23にテープカートリッジCが装着された状態における各部材の配置を示している。そのため、テープカートリッジCのカートリッジケース11に収容されているプラテンローラー17が、印刷ヘッド26とテープTを挟んで対向する位置に配置されている。また、カートリッジケース11のテープ送出口13は、印刷ヘッド26の印刷位置より-X方向に位置している。
【0034】
カッター31は、プラテンローラー17より-X方向に設けられている。X方向におけるプラテンローラー17の位置は、印刷ヘッド26の印刷位置に相当する。また、排出ローラー33は、カッター31より-X方向に設けられている。また、テープ排出口24は、排出ローラー33より-X方向に設けられている。
【0035】
上流センサーS1は、プラテンローラー17とカッター31との間に設けられている。すなわち、上流センサーS1の検出位置は、印刷ヘッド26による印刷位置より-X方向に位置し、カッター31による切断位置より+X方向に位置する。以下、上流センサーS1の検出位置を「第1検出位置」と言う。上流センサーS1は、透過型の光センサーで構成され、テープTを挟んで対向配置した発光素子S1aと受光素子S1bとから成る。
【0036】
下流センサーS2は、カッター31とテープ排出口24との間に設けられている。上記のとおり、下流センサーS2は、排出駆動ローラー33aおよび排出従動ローラー33b間を検出位置として、テープTの有無を検出する。以下、下流センサーS2の検出位置を「第2検出位置」と言う。
【0037】
なお、以下の説明において、印刷ヘッド26による印刷位置と第1検出位置とのX方向における距離を、「第1距離D1」と言う。また、以下の説明において、印刷ヘッド26による印刷位置と第2検出位置とのX方向における距離を、「第2距離D2」と言う。
【0038】
図5を参照し、テープTについて説明する。
図5において、テープT上の斜線部分は印刷対象領域ESを示している。印刷対象領域ESとは、印刷ヘッド26により印刷が行われる領域を指す。印刷対象領域ESは、テープTに印刷される印刷画像を囲む矩形領域である。
【0039】
なお、以下の説明において、テープTの-X方向における端部であるテープTの先端から印刷対象領域ESの-X方向における端部までの距離を、「余白距離ML」と言う。印刷対象領域ESの-X方向における端部は、テープTの印刷開始位置となる。
【0040】
図6を参照し、テープ印刷装置1のハードウェア構成について説明する。テープ印刷装置1は、操作キー群21と、上流センサーS1と、下流センサーS2と、制御部44と、印刷部45と、切断部46と、を備えている。
【0041】
操作キー群21は、文字キーや数字キーの他、印刷キーを含む。印刷キーは、ユーザーが印刷開始を指示するためのキーである。制御部44は、ユーザーにより印刷キーが操作されることにより、印刷開始命令を取得し、印刷処理を開始する。
【0042】
上流センサーS1は、プラテンローラー17とカッター31との間に位置する第1検出位置で、テープTの有無を検出する。上流センサーS1は、受光状態である場合、「テープ無し」を検出し、遮光状態である場合、「テープ有り」を検出する。上流センサーS1は、テープTの先端が第1検出位置を通過したことを検知するため、および、テープエンドを検知するために用いられる。テープエンドとは、テープTの終端がプラテンローラー17を通過したことを指す。
【0043】
下流センサーS2は、カッター31とテープ排出口24との間に位置する第2検出位置で、テープTの有無を検出する。下流センサーS2は、受光状態である場合、「テープ無し」を検出し、遮光状態である場合、「テープ有り」を検出する。下流センサーS2は、カッター31により切断されたテープTがテープ排出口24から排出されたことを検知するため、および、テープエンドを検知するために用いられる。
【0044】
制御部44は、CPU(Central Processing Unit)44aと、ROM(Read Only Memory)44bと、RAM(Random Access Memory)44cと、を含む。
【0045】
CPU44aは、ROM44bに記憶されたファームウェアなどの制御プログラムをRAM44cに展開して実行することにより、各種制御を行う。なお、制御部44は、CPU44aに代え、ASIC等のハードウェア回路をプロセッサーとして用いてもよい。また、プロセッサーは、1以上のCPUとASIC等のハードウェア回路が協働して動作する構成でもよい。
【0046】
印刷ヘッド26は、発熱素子群(図示省略)を備え、インクリボンRからテープTにインクを熱転写することにより印刷を行う。発熱素子群とは、複数の発熱素子がZ方向に沿って並べられたものである。
【0047】
印刷部45は、プラテン駆動軸25と、排出駆動ローラー33aと、送りモーター45aと、排出モーター45bと、を含む。プラテン駆動軸25は、プラテンローラー17と係合し、プラテンローラー17を回転させる。排出駆動ローラー33aは、排出従動ローラー33bとの間にテープTを挟持し、テープTをテープ排出口24に向けて送る。
【0048】
送りモーター45aは、プラテン駆動軸25および排出駆動ローラー33aの駆動源である。また、排出モーター45bは、排出駆動ローラー33aの駆動源である。なお、送りモーター45aは、印刷処理の開始から印刷が終了するまでの間、回転し、排出モーター45bは、印刷が終了し、テープTが切断された後、回転する。
【0049】
ここで、印刷処理とは、印刷開始命令の取得により開始される処理であり、印刷開始命令の対象となる印刷データに基づく一連の処理を指す。例えば、印刷処理には、印刷ヘッド26の駆動、テープTの送りおよびテープTの切断が含まれる。また、印刷が開始するとは、印刷ヘッド26の駆動と、テープTの-X方向への送りと、を開始することを指す。一方、印刷が終了するとは、印刷データに基づく印刷ヘッド26の駆動と、テープTの-X方向への送りと、が終了することを指す。例えば、テープTの印刷対象領域ES(
図5参照)の+X方向に余白領域があるテープ片を作成する場合、印刷ヘッド26の駆動終了後、余白領域分のテープTの-X方向への送りを終了したとき、印刷が終了したこととなる。なお、印刷処理では、印刷が終了した後、テープTの切断が行われる。
【0050】
切断部46は、カッターモーター46aと、カッター31と、を含む。カッターモーター46aは、カッター31を駆動する駆動源である。カッターモーター46aが駆動すると、カッター31が動作し、テープTがZ方向に切断される。
【0051】
ここで、
図6に示したテープ印刷装置1の構成における制御部44の機能について説明する。制御部44は、上流センサーS1の検出結果に基づいて、テープTの先端が第1検出位置を通過したことを検知する。また、制御部44は、下流センサーS2の検出結果に基づいて、カッター31により切断されたテープTがテープ排出口24から排出されたことを検知する。また、制御部44は、上流センサーS1および下流センサーS2の検出結果に基づいて、テープエンドを検知する。このように、制御部44は、2つのセンサーSを利用し、少なくとも3種類の検知を行うことができる。
【0052】
また、制御部44は、プラテンローラー17によりテープTが送られている間に、上流センサーS1によりテープ無しが検出され、且つ、下流センサーS2によりテープ有りが検出された場合、テープエンドを検知する。
【0053】
また、制御部44は、プラテンローラー17によるテープTの送りが開始されてからのテープTの送り量が所定量を超えた後、上流センサーS1によりテープ有りが検出され、且つ、下流センサーS2によりテープ無しが検出された場合、テープエンドを検知する。本実施形態において、「テープTの送りが開始されてからのテープTの送り量」とは、印刷が開始されてからのテープTの送り量を指す。所定量は、第2距離D2(
図4参照)である。
【0054】
ここで、
図7の表を参照し、センサーSの検出結果と、発生場面と、装置状態と、の関係について説明する。
図7に示す発生場面は、いずれも印刷処理中に発生するものである。
【0055】
ケース1aに示すように、制御部44は、印刷開始からテープTを切断するまでの間と、テープTを切断した後、排出距離分、テープTを送るまでの間と、のいずれかにおいて、下流センサーS2によりテープ有りが検出され、且つ、上流センサーS1によりテープ有りが検出された場合、「テープ排出中または印刷中」であると判定する。テープ排出中とは、排出モーター45bの駆動によりテープTが排出されている状態を指す。また、印刷中とは、送りモーター45aの駆動によりテープTが送られている状態を指す。また、排出距離は、カッター31と排出ローラー33とのX方向における距離より長い距離である。
【0056】
また、ケース1bに示すように、制御部44は、テープTを切断した後、排出距離分、テープTを送った後において、センサーSの検出結果がケース1aと同様である場合、「テープ排紙エラー」であると判定する。
【0057】
また、ケース2に示すように、制御部44は、印刷開始後において、下流センサーS2によりテープ有りが検出され、且つ、上流センサーS1によりテープ無しが検出された場合、装置状態が「テープエンド」であると判定する。
【0058】
また、ケース3aに示すように、制御部44は、印刷開始からテープTを第2距離D2(
図4参照)分送るまでの間と、テープTを切断した後と、のいずれかにおいて、下流センサーS2によりテープ無しが検出され、且つ、上流センサーS1によりテープ有りが検出された場合、「テープ排出中または印刷中」であると判定する。
【0059】
また、ケース3bに示すように、制御部44は、印刷開始からテープTを第2距離D2分送った後、テープTを切断するまでの間において、センサーSの検出結果がケース3aと同様である場合、「テープエンド」であると判定する。
【0060】
また、ケース4に示すように、制御部44は、以下の発生場面において、下流センサーS2によりテープ無しが検出され、且つ、上流センサーS1によりテープ無しが検出された場合、「テープ搬送異常」であると判定する。テープTの送り開始からテープTを第1距離D1分送った後、印刷開始までの間と、印刷開始からテープTを第1距離D1分送った後、印刷終了までの間と、のいずれかである。なお、テープTの送りとは、印刷処理が開始され、テープTの頭出しを行うためのテープTの送りを指す。
【0061】
次に、
図8ないし
図10のフローチャートを参照し、テープ印刷装置1の印刷処理の流れを説明する。テープ印刷装置1の印刷処理は、「テープ検知装置の制御方法」の一例である。また、この印刷処理は、制御部44が、印刷開始命令を取得することにより開始される。上記のとおり、制御部44は、印刷開始命令を取得すると、ユーザーによる印刷画像の編集結果に基づいて印刷データを生成する。以下に示す印刷処理は、この印刷データに基づいて実行される。
【0062】
なお、印刷処理開始時点において、下流センサーS2は、テープ無しを検出しているものとする。これは、印刷処理の最後には、カッター31によりテープTが切断され、切断されたテープTはテープ排出口24から排出されることを前提としているためである。なお、制御部44は、印刷処理開始時点において、確実に、下流センサーS2がテープ無しを検出する状態とするため、印刷開始命令の取得後、テープTの切断と排出を行ってから、印刷処理を開始してもよい。
【0063】
ステップS01において、制御部44は、上流センサーS1の検出結果を判定する。制御部44は、上流センサーS1の検出結果がテープ無しであると判定した場合、ステップS02に進む。
図11は、この場合のテープTの位置を示している。この場合、テープTの先端は、上流センサーS1の検出位置である第1検出位置より+X方向に位置している。
また、制御部44は、上流センサーS1の検出結果がテープ有りであると判定した場合、ステップS07に進む。
図12は、この場合のテープTの位置を示している。この場合、テープTの先端は、第1検出位置より-X方向に位置している。
【0064】
ステップS02において、制御部44は、テープTを-X方向に送る。
【0065】
ステップS03において、制御部44は、上流センサーS1の検出結果を判定する。制御部44は、上流センサーS1の検出結果がテープ無しであると判定した場合、ステップS05に進む。また、制御部44は、上流センサーS1の検出結果がテープ有りであると判定した場合、ステップS04に進む。制御部44は、このテープ有りであるとの判定により、-X方向に送られているテープTの先端が第1検出位置を通過したことを検知する。
【0066】
ステップS04において、制御部44は、テープTの頭出しを行う。「テープTの頭出しを行う」とは、テープTの印刷開始位置を印刷ヘッド26による印刷位置に位置させることを指す。
制御部44は、以下のように場合分けをして頭出しを行う。テープTの余白距離MLが第1距離D1より小さい場合、制御部44は、テープTの先端が第1検出位置を通過したことを検知してから第3距離D3だけテープTを+X方向に送ることにより、テープTの頭出しを行う(
図13参照)。第3距離D3は、第1距離D1から余白距離MLを差し引いた距離である。
逆に、テープTの余白距離MLが第1距離D1より大きい場合、制御部44は、テープTの先端が第1検出位置を通過したことを検知してから第4距離D4だけテープTを-X方向に送ることにより、テープTの頭出しを行う(
図14参照)。第4距離D4は、余白距離MLから第1距離D1を差し引いた距離である。
制御部44は、ステップS04の後、
図9のステップS10に進む。
【0067】
ステップS05において、制御部44は、テープTの送り開始から第1距離D1分テープTを送ったか否かを判定する。ここでは、制御部44は、テープTの送り開始、すなわち印刷処理の開始から、テープTを-X方向に第1距離D1だけ送る分、送りモーター45aを回転させたか否かを判定する。制御部44は、テープTの送り開始から、テープTを第1距離D1分送ったと判定した場合、ステップS06に進む。制御部44は、テープTの送り開始から、テープTを第1距離D1分送っていないと判定した場合、ステップS03に戻る。
【0068】
ステップS06において、制御部44は、テープ搬送異常を検知する。このテープ搬送異常を検知した状態は、
図7に示した表の「ケース4」に相当する。すなわち、この状態は、テープTの送り開始からテープTを第1距離D1分送った後、印刷開始までの間において、下流センサーS2によりテープ無しが検出され、且つ、上流センサーS1によりテープ無しが検出された場合に相当する。
このときのテープTは、例えば
図11に示したような状態である。すなわち、このときのテープTは、テープTの送り開始から第1距離D1分テープTを-X方向に送るように送りモーター45aを回転させたにもかかわらず、テープTの先端が第1検出位置を通過していない状態である。このような状態は、テープカートリッジCから送出されたテープTが、テープ排出経路27に送られず、テープジャムが発生した場合などに発生する。制御部44は、テープ搬送異常を検知すると、印刷処理を中断する。なお、このとき制御部44は、テープ搬送異常をユーザーに報知する報知制御を行ってもよい。例えば、制御部44は、報知制御として、ディスプレー22にテープ搬送異常を示すメッセージを表示してもよい。以下、他の報知制御においても、ディスプレー22に検知結果を示すメッセージを表示してもよい。
【0069】
ステップS07において、制御部44は、テープTを+X方向に送る。
【0070】
ステップS08において、制御部44は、上流センサーS1の検出結果を判定する。制御部44は、上流センサーS1の検出結果がテープ有りであると判定した場合、ステップS08を繰り返す。また、制御部44は、上流センサーS1の検出結果がテープ無しであると判定した場合、ステップS09に進む。制御部44は、このテープ無しであるとの判定により、+X方向に送られているテープTの先端が第1検出位置を通過したことを検知する。
【0071】
ステップS09において、制御部44は、テープTの頭出しを行う。テープTの頭出しは、ステップS04と同様に行われる。制御部44は、ステップS09の後、
図9のステップS10に進む。
【0072】
図9のステップS10において、制御部44は、印刷を開始する。印刷を開始するとは、テープTの-X方向への送りと、印刷ヘッド26の駆動とを開始することを指す。
【0073】
ステップS11において、制御部44は、上流センサーS1の検出結果を判定する。制御部44は、上流センサーS1の検出結果がテープ無しであると判定した場合、ステップS12に進む。また、制御部44は、上流センサーS1の検出結果がテープ有りであると判定した場合、ステップS14に進む。
なお、この上流センサーS1の検出結果がテープ有りであると判定されたときのテープTは、例えば
図15に示したような状態である。例えば、テープTの余白距離MLが第1距離D1より小さい場合は、印刷が開始され、テープTが-X方向に送られたことにより、テープTの先端が第1検出位置を通過した状態である。また、テープTの余白距離MLが第1距離D1より大きい場合は、テープTの先端が-X方向に移動した状態である。
この上流センサーS1の検出結果がテープ有りであると判定されたときの状態は、
図7に示した表の「ケース3a」に相当する。すなわち、印刷開始からテープTを第2距離D2分送るまでの間において、下流センサーS2によりテープ無しが検出され、且つ、上流センサーS1によりテープ有りが検出された場合に相当する。この場合、制御部44は、「印刷中」と判定する。
【0074】
ステップS12において、制御部44は、印刷開始から第1距離D1分テープTを送ったか否かを判定する。ここでは、制御部44は、印刷開始から、テープTを-X方向に第1距離D1だけ送る分、送りモーター45aを回転させたか否かを判定する。制御部44は、印刷開始から、テープTを第1距離D1分送ったと判定した場合、ステップS13に進む。制御部44は、印刷開始から、テープTを第1距離D1分送っていないと判定した場合、ステップS11に戻る。
【0075】
ステップS13において、制御部44は、テープ搬送異常を検知する。このテープ搬送異常を検知した状態は、
図7に示した表の「ケース4」に相当する。すなわち、印刷開始からテープTを第1距離D1分送った後、印刷終了までの間において、下流センサーS2によりテープ無しが検出され、且つ、上流センサーS1によりテープ無しが検出された場合に相当する。
このときのテープTは、例えば
図13に示したような状態である。すなわち、テープTの余白距離MLが第1距離D1より小さい場合において、印刷開始から第1距離D1分テープTを-X方向に送るように送りモーター45aを回転させたにもかかわらず、テープTの先端が第1検出位置を通過していない状態である。制御部44は、テープ搬送異常を検知すると、印刷処理を中断する。このとき、制御部44は、テープ搬送異常をユーザーに報知する報知制御を行ってもよい。
【0076】
ステップS14において、制御部44は、下流センサーS2の検出結果を判定する。制御部44は、下流センサーS2の検出結果がテープ無しであると判定した場合、ステップS15に進む。また、制御部44は、下流センサーS2の検出結果がテープ有りであると判定した場合、
図10のステップS17に進む。
なお、この下流センサーS2の検出結果がテープ有りであると判定されたときのテープTは、例えば
図16に示したような状態である。すなわち、
図15の状態からさらに印刷が進み、テープTが-X方向に送られたことにより、テープTの先端が第2検出位置を通過した状態である。この状態は、
図7に示した表の「ケース1a」に相当する。すなわち、印刷開始からテープTを切断するまでの間において、下流センサーS2によりテープ有りが検出され、且つ、上流センサーS1によりテープ有りが検出された場合に相当する。この場合、制御部44は、「印刷中」と判定する。
【0077】
ステップS15において、制御部44は、印刷開始から第2距離D2分テープTを送ったか否かを判定する。ここでは、制御部44は、印刷開始から、テープTを-X方向に第2距離D2だけ送る分、送りモーター45aを回転させたか否かを判定する。制御部44は、印刷開始から、テープTを第2距離D2分送ったと判定した場合、ステップS16に進む。制御部44は、印刷開始から、テープTを第2距離D2分送っていないと判定した場合、ステップS14に戻る。
【0078】
ステップS16において、制御部44は、テープエンドを検知する。このテープエンドを検知した状態は、
図7に示した表の「ケース3b」に相当する。すなわち、印刷開始からテープTを第2距離D2分送った後、テープTを切断するまでの間において、下流センサーS2によりテープ無しが検出され、且つ、上流センサーS1によりテープ有りが検出された場合に相当する。
このときのテープTは、例えば
図17に示したような状態である。すなわち、印刷開始から第2距離D2分テープTを-X方向に送るように送りモーター45aを回転させたにもかかわらず、テープTの先端が第2検出位置を通過していない状態である。このような状態は、例えばテープTの先端が排出ローラー33に届く前にテープTの終端がプラテンローラー17を通過してしまった場合などに発生する。制御部44は、テープエンドを検知すると、印刷処理を中断する。このとき、制御部44は、テープエンドをユーザーに報知する報知制御を行ってもよい。
【0079】
図10のステップS17において、制御部44は、上流センサーS1の検出結果を判定する。制御部44は、上流センサーS1の検出結果がテープ無しであると判定した場合、ステップS18に進む。また、制御部44は、上流センサーS1の検出結果がテープ有りであると判定した場合、ステップS19に進む。
なお、この上流センサーS1の検出結果がテープ有りであると判定されたときのテープTは、例えば
図16に示したような状態である。この状態は、
図7に示した表の「ケース1a」に相当する。すなわち、この状態は、印刷開始からテープTを切断するまでの間において、下流センサーS2によりテープ有りが検出され、且つ、上流センサーS1によりテープ有りが検出された場合に相当する。この場合、制御部44は、「印刷中」と判定する。
【0080】
ステップS18において、制御部44は、テープエンドを検知する。このテープエンドを検知した状態は、
図7に示した表の「ケース2」に相当する。すなわち、この状態は、印刷開始後において、下流センサーS2によりテープ有りが検出され、且つ、上流センサーS1によりテープ無しが検出された場合に相当する。
このときのテープTは、例えば
図18に示したような状態である。すなわち、テープTの先端が第2検出位置を通過し、且つ、テープTの終端が第1検出位置を通過した状態である。制御部44は、テープエンドを検知すると、印刷処理を中断する。このとき、制御部44は、テープエンドをユーザーに報知する報知制御を行ってもよい。なお、この場合、制御部44は、印刷処理を中断する前に、排出距離分、排出モーター45bを回転させ、テープTをテープ排出口24から排出させてもよい。
【0081】
ステップS19において、制御部44は、印刷を終了したか否かを判定する。すなわち、制御部44は、印刷データに基づく印刷ヘッド26の駆動と、テープTの-X方向への送りと、を終了したか否かを判定する。制御部44は、印刷を終了したと判定した場合、ステップS20に進む。また、制御部44は、印刷を終了していないと判定した場合、ステップS17に戻る。
【0082】
ステップS20において、制御部44は、カッター31によりテープTを切断する。すなわち、制御部44は、カッターモーター46aを駆動する。
図19は、テープTが切断された状態を示す図である。
図19において、第1テープT1は、印刷が終了し、テープ終端が切断されたテープTである。また、第2テープT2は、次に印刷が行われるテープTである。
【0083】
ステップS21において、制御部44は、排出ローラー33によりテープTをテープ排出口24から排出する。すなわち、制御部44は、排出モーター45bを回転させる。これにより、
図19において、第1テープT1が、テープ排出口24に向けて送られる。
【0084】
ステップS22において、制御部44は、下流センサーS2の検出結果を判定する。制御部44は、下流センサーS2の検出結果がテープ無しであると判定した場合、印刷処理を終了する。すなわち、制御部44は、排出モーター45bの回転を停止させる。
なお、この下流センサーS2の検出結果がテープ無しであると判定されたときのテープTは、例えば
図20に示したような状態である。すなわち、テープ終端が切断された第1テープT1が、排出ローラー33によりテープ排出口24から排出された状態である。この状態は、
図7に示した表の「ケース3a」に相当する。すなわち、この状態は、テープTを切断した後において、下流センサーS2によりテープ無しが検出され、且つ、上流センサーS1によりテープ有りが検出された場合に相当する。この場合、制御部44は、「テープ排出中」と判定する。
【0085】
ステップS23において、制御部44は、テープTの切断から排出距離分、テープTを送ったか否かを判定する。ここでは、制御部44は、テープTの切断から、テープTを-X方向に排出距離送る分、排出モーター45bを回転させたか否かを判定する。制御部44は、テープTの切断から排出距離分、テープTを送ったと判定した場合、ステップS24に進む。制御部44は、テープTの切断から排出距離分、テープTを送っていないと判定した場合、ステップS21に戻る。
なお、このテープTの切断から排出距離分、テープTを送っていないと判定されたときのテープTは、例えば
図19に示したような状態である。すなわち、テープ終端が切断された第1テープT1の終端が第2検出位置を通過していない状態である。この状態は、
図7に示した表の「ケース1a」に相当する。すなわち、この状態は、テープTを切断した後、排出距離分、テープTを送るまでの間において、下流センサーS2によりテープ有りが検出され、且つ、上流センサーS1によりテープ有りが検出された場合に相当する。この場合、制御部44は、「テープ排出中」と判定する。
【0086】
ステップS24において、制御部44は、テープ排紙エラーを検知する。このテープ排紙エラーを検知した状態は、
図7に示した表の「ケース1b」に相当する。すなわち、この状態は、テープTを切断した後、排出距離分、テープTを送った後において、下流センサーS2によりテープ有りが検出され、且つ、上流センサーS1によりテープ有りが検出された場合に相当する。
このときのテープTは、例えば
図19に示したような状態である。すなわち、テープTの切断から排出距離分、テープTを送るように排出モーター45bを回転させたにもかかわらず、テープTがテープ排出口24から排出されず、第2検出位置にテープTが残っている状態である。制御部44は、テープ排紙エラーを検知すると、印刷処理を中断する。このとき、制御部44は、テープ排紙エラーをユーザーに報知する報知制御を行ってもよい。
【0087】
以上、説明したとおり、本実施形態に係るテープ印刷装置1は、上流センサーS1と下流センサーS2の2つのセンサーSを利用し、テープTの先端が第1検出位置を通過したことの検知と、テープTがテープ排出口24から排出されたことの検知と、テープエンドの検知と、を含む3種類以上の検知を行うことができる。言い換えれば、テープ印刷装置1は、上流センサーS1および下流センサーS2を、それぞれ複数種類の検知に利用することができる。
【0088】
また、テープ印刷装置1は、プラテンローラー17によりテープTが送られている間に、上流センサーS1によりテープ無しが検出され、且つ、下流センサーS2によりテープ有りが検出された場合、テープエンドを検知する。これにより、テープ印刷装置1は、下流センサーS2のみを用いる場合と比較し、より早くテープエンドを検知することができる。
【0089】
また、テープ印刷装置1は、印刷開始からテープTを第2距離D2分送った後、上流センサーS1によりテープ有りが検出され、且つ、下流センサーS2によりテープ無しが検出された場合、テープエンドを検知する。これにより、テープ印刷装置1は、テープTの先端が第2検出位置まで送られる前にテープエンドとなったことを検知することができる。
【0090】
また、テープ印刷装置1は、排出ローラー33の挟持位置を第2検出位置として、テープTの有無を検出する。これにより、テープ印刷装置1は、排出ローラー33と下流センサーS2とをX方向に並べて配置する必要がないため、省スペース化を図ることができる。
【0091】
上記の実施形態によらず、以下の変形例を採用可能である。
[変形例1]
テープ印刷装置1は、テープTとして、
図21に示すようなラベルテープLTを用いてもよい。ラベルテープLTは、台紙テープ71上に複数のラベルLがX方向に等間隔で配置されたものである。ラベルテープLTには、X方向においてラベルLとラベルLとの間に、被検出部となる検出孔72が設けられている。検出孔72は、台紙テープ71が矩形状に切り抜かれたものであり、台紙テープ71のZ方向における略中央に設けられている。この場合、上流センサーS1は、台紙テープ71のZ方向における略中央を検出位置とする。テープ印刷装置1は、上流センサーS1により、この検出孔72を検出して各ラベルLの頭出しを行うことで、ラベルLの所望の位置に印刷を行うことが可能となる。テープ印刷装置1は、例えば、検出孔72の+X方向における端部を検出する。この場合、検出孔72の+X方向における端部は、「テープの終端以外の特定位置」の一例である。
なお、頭出しを行うための被検出部は、台紙テープ71のZ方向における略中央に設けられるのではなく、+Z方向における端部または-Z方向における端部に設けられてよい。例えば、台紙テープ71の+Z方向における端部または-Z方向における端部に検出孔72が形成されてもよい。この場合、上流センサーS1は、台紙テープ71の+Z方向における端部または-Z方向における端部を検出位置とする。このように、上流センサーS1は、Z方向において被検出部に対応した位置に設けられる。すなわち、上流センサーS1は、台紙テープ71のZ方向における略中央に設けられることに限定されない。
また、ラベルテープLTの台紙テープ71に印刷されたマークを、被検出部としてもよい。
また、ラベルL自体が、被検出部として用いられる構成でもよい。この場合、上流センサーS1は、ラベルLの-X方向における端部位置を検出すればよい。また、この場合、台紙テープ71は透明テープでもよい。
なお、変形例1において、テープ印刷装置1は、ラベルテープLTの頭出しを行う制御について、ラベルテープLTの先端ではなく、被検出部の検出に基づいて行うこととなる。
【0092】
[変形例2]
下流センサーS2は、カッター31と排出ローラー33との間、または排出ローラー33とテープ排出口24との間に設けられてもよい。
また、下流センサーS2は、上流センサーS1と同様に、テープTを挟んで対向配置した発光素子と受光素子とから成る透過式センサーでもよい。
また、上流センサーS1および下流センサーS2は、透過式センサーではなく、反射式センサーでもよい。
【0093】
[変形例3]
テープ印刷装置1は、テープカートリッジCを装着可能な構成でなくてもよい。例えば、テープ印刷装置1は、プラテンローラーを備え、テープ印刷装置1の外部から供給されたテープTに印刷を行うものでもよい。
【0094】
[変形例4]
テープ印刷装置1は、上記の実施形態に示した検知に加え、テープカートリッジCのセット不良を検知してもよい。例えば、テープ印刷装置1は、装着部カバー5が閉じられたときに、上流センサーS1がテープ無しを検出した場合、セット不良を検知してもよい。このようなセット不良は、例えばテープカートリッジCが、テープ送出口13から突き出ているテープTの先端が折り畳まれた状態でカートリッジ装着部23に装着された場合などに発生する。なお、テープ印刷装置1は、セット不良を検知した場合、セット不良をユーザーに報知する報知制御を行ってもよい。
【0095】
[変形例5]
テープ印刷装置1は、テープエンド、テープ排出エラーおよびテープ搬送異常の報知に加え、テープ排出中または印刷中であることをユーザーに報知してもよい。また、テープ印刷装置1は、テープ排出中と印刷中とを識別可能にユーザーに報知してもよい。
また、テープ印刷装置1は、テープエンドと、テープ排出エラーと、テープ搬送異常と、をそれぞれ識別可能にユーザーに報知してもよい。
【0096】
[変形例6]
第2距離D2は、印刷位置と第2検出位置とのX方向における距離に限定されず、印刷位置と第2検出位置とのX方向における距離より長い距離でもよい。
【0097】
[変形例7]
「テープエンド検知装置」は、テープ印刷装置1以外の装置にも適用可能である。例えば、「テープエンド検知装置」は、テープTへの印刷機能を有さず、テープTを切断する装置にも適用可能である。
【0098】
[変形例8]
テープ印刷装置1のファームウェアは、プログラムとして顧客に提供されてもよい。また、テープ印刷装置1のファームウェアを記録した記憶媒体が、顧客に提供されてもよい。また、テープ印刷装置1は、熱転写方式以外に、インクジェット方式など他の印刷方式でもよい。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【0099】
[付記]
以下、テープエンド検知装置、テープ印刷装置、およびテープエンド検知装置の制御方法について付記する。
テープ印刷装置1は、テープロール16から繰り出されたテープTを第1方向に送るプラテンローラー17より-X方向に設けられ、テープTをテープ幅方向に切断するカッター31と、カッター31より-X方向に設けられ、テープTをテープ排出口24に向けて-X方向に送る排出ローラー33と、プラテンローラー17とカッター31との間に位置する第1検出位置で、テープTの有無を検出する上流センサーS1と、カッター31とテープ排出口24との間に位置する第2検出位置で、テープTの有無を検出する下流センサーS2と、制御部44と、を備え、制御部44は、上流センサーS1の検出結果に基づいて、テープTの終端以外の特定位置が第1検出位置を通過したことを検知し、下流センサーS2の検出結果に基づいて、カッター31により切断されたテープTがテープ排出口24から排出されたことを検知し、上流センサーS1および下流センサーS2の検出結果に基づいて、テープTの終端がプラテンローラー17を通過したことを示すテープエンドを検知する。
【0100】
テープ印刷装置1の制御方法は、テープロール16から繰り出されたテープTを-X方向に送るプラテンローラー17より-X方向に設けられ、テープTをテープ幅方向に切断するカッター31と、カッター31より-X方向に設けられ、テープTをテープ排出口24に向けて-X方向に送る排出ローラー33と、プラテンローラー17とカッター31との間に位置する第1検出位置で、テープTの有無を検出する上流センサーS1と、カッター31とテープ排出口24との間に位置する第2検出位置で、テープTの有無を検出する下流センサーS2と、を備えたテープ印刷装置1の制御方法であって、テープ印刷装置1は、上流センサーS1の検出結果に基づいて、テープTの終端以外の特定位置が第1検出位置を通過したことを検知し、下流センサーS2の検出結果に基づいて、カッター31により切断されたテープTがテープ排出口24から排出されたことを検知し、上流センサーS1および下流センサーS2の検出結果に基づいて、テープTの終端がプラテンローラー17を通過したことを示すテープエンドを検知する。
【0101】
この構成によれば、テープ印刷装置1は、2つのセンサーSを利用し、テープTの特定位置が第1検出位置を通過したことの検知と、テープTがテープ排出口24から排出されたことの検知と、テープエンドの検知と、の3種類の検知を行うことができる。言い換えれば、テープ印刷装置1は、1つのセンサーSを複数種類の検知に利用することができる。
【0102】
上記のテープ印刷装置1において、制御部44は、プラテンローラー17によりテープTが送られている間に、上流センサーS1によりテープ無しが検出され、且つ、下流センサーS2によりテープ有りが検出された場合、テープエンドを検知することが好ましい。
【0103】
この構成によれば、テープ印刷装置1は、下流センサーS2のみを用いる場合と比較し、より早くテープエンドを検知することができる。
【0104】
上記のテープ印刷装置1において、制御部44は、プラテンローラー17によるテープTの送りが開始されてからのテープTの送り量が所定量を超えた後、上流センサーS1によりテープ有りが検出され、且つ、下流センサーS2によりテープ無しが検出された場合、テープエンドを検知することが好ましい。
【0105】
この構成によれば、テープ印刷装置1は、テープTの先端が下流センサーS2の検出位置まで送られる前にテープエンドとなったことを検知することができる。
【0106】
上記のテープ印刷装置1において、排出ローラー33は、テープTを挟持して回転送りする一対のローラーを含み、下流センサーS2は、一対のローラー間を第2検出位置として、テープTの有無を検出することが好ましい。
【0107】
この構成によれば、テープ印刷装置1は、排出ローラー33の一対のローラー間を第2検出位置とすることで、排出ローラー33と下流センサーS2とをX方向に並べて配置する必要がないため、省スペース化を図ることができる。
【0108】
テープ印刷装置1は、上記のテープ印刷装置1の構成要件と、プラテンローラー17により送られていくテープTに印刷を行う印刷ヘッド26と、を備える。
【0109】
この構成によれば、テープ印刷装置1は、2つのセンサーSを利用し、テープTの特定位置が第1検出位置を通過したことの検知と、テープTがテープ排出口24から排出されたことの検知と、テープエンドの検知と、の3種類の検知を行うことができる。
【符号の説明】
【0110】
1…テープ印刷装置、16…テープロール、17…プラテンローラー、24…テープ排出口、26…印刷ヘッド、31…カッター、33…排出ローラー、33a…排出駆動ローラー、33b…排出従動ローラー、44…制御部、S1…上流センサー、S2…下流センサー、T…テープ。