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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139306
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】魚釣用スピニングリール
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/01 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
A01K89/01 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050184
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】堤 わたる
【テーマコード(参考)】
2B108
【Fターム(参考)】
2B108BB04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】釣糸の巻回を高負荷又は低負荷のいずれで行う場合にあっても、スプールのスカート部への釣糸の溜まりを防止し、また正テーパー巻きとならず、投擲時のバックラッシュの発生を低減できる魚釣用スピニングリールを提供することにある。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールは、リール本体と、該リール本体に設けられ、釣糸が巻回される円筒状の釣糸巻回胴部と、該釣糸巻回胴部の前端から径方向外側に立ち上がるリング状の前フランジと、該釣糸巻回胴部の後端から径方向外側に立ち上がるリング状の後フランジと、後フランジから後方に延びる略円筒状のスカート部と、を有するスプールと、を備え、前記スプールの前記後フランジに、前記釣糸を逃がすための逃がし部が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体と、該リール本体に設けられ、釣糸が巻回される円筒状の釣糸巻回胴部と、該釣糸巻回胴部の前端から径方向外側に立ち上がるリング状の前フランジと、該釣糸巻回胴部の後端から径方向外側に立ち上がるリング状の後フランジと、後フランジから後方に延びる略円筒状のスカート部と、を有するスプールと、を備える魚釣用スピニングリールであって、
前記スプールの前記後フランジに、前記釣糸を逃がすための逃がし部が設けられている、魚釣用スピニングリール。
【請求項2】
前記逃がし部は、前記スプールの径方向でみて、前記後フランジの外側10%から30%の範囲に設けられる、請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項3】
前記逃がし部の、前記スプールの軸方向の長さは、1.0mmから1.5mmの範囲である、請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項4】
前記逃がし部の、前記スプールの径方向の長さは、前記魚釣用リールの使用時に放出される前記釣糸の、該スプールの径方向の巻回長さと同じ又はそれよりも大きい、請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項5】
前記逃がし部は、前記スプールの径方向外側に向かって、該スプールの径方向に対して、該スプールの前後方向で後方向に傾斜する傾斜部である、請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項6】
前記逃がし部は、底部と壁部とを有する段部である、請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項7】
前記底部は、前記スプールの径方向に垂直又は傾斜している、請求6に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項8】
前記壁部は、前記後フランジの延伸方向と同じ方向又は該延伸方向に対して傾斜している、請求項6に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項9】
前記釣糸巻回胴部の、前記スプールの前後方向への延伸方向が、前記スプールの前後動方向に対して傾斜している、請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項10】
前記釣糸巻回胴部の、前記スプールの前後方向への延伸方向が、前記釣糸巻回胴部の後端側が前記スプールの前後動方向に対して該スプールの径方向外側又は内側に傾斜している、請求項9に記載の魚釣用スピニングリール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用スピニングリールに関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣用スピニングリールとして、リール本体に、ロータと、スプールと、該ロータを回転させるためのロータ駆動機構と、該スプールを回転軸に沿って前後方向に移動させてスプールに釣糸を巻き取るための往復動機構とを備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-9828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係るスピニングリールでは、一方側に開口部を有し釣り竿に装着されるリール本体と、前記リール本体に回転自在に支持されたハンドル軸と、前記リール本体に往復動自在に支持され外周に釣り糸が巻かれるスプールと、前記リール本体に回転自在に支持され、前記スプール外周に釣り糸を案内し、前記リール本体の開口部の上方空間の一部を覆うロータと、前記リール本体に収容され、前記ハンドル軸に固定されて前記ロータを回転させ、前記リール本体の開口部から取り出し可能なマスターギアと、前記ロータに重ならない範囲で前記リール本体の開口部の一部を塞ぎ、前記ハンドル軸の一端側が回転自在に支持され、前記開口部から取り外し可能なカバー本体と、前記カバー本体に塞がれていない残りの開口部を塞ぎ、前記マスターギアが前記開口部から取り出し可能になる退避状態に配置可能なフランジ状カバーとを備える構成が開示されている。
【0005】
特許文献1に係るスピニングリールでは、スプール軸及びスプールが回転軸芯に沿って前後方向に往復動し、ベール及びラインローラによってスプールに案内された釣糸がスプールの外周に前後方向に均一に巻き取られるとするものの、特許文献1のようなスピニングリールでは、釣糸の巻回を高負荷で行う場合と低負荷で行う場合とで、釣糸の巻回位置が変化し、糸巻き状態が変化してしまうため、釣糸の種類(例えば、PEやフロロカーボン)によってはスプールのスカート部に釣糸が溜まり、また正テーパー巻きとなり、投擲時にバックラッシュが発生し易くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、釣糸の巻回を高負荷又は低負荷のいずれで行う場合にあっても、スプールのスカート部への釣糸の溜まりを防止し、また正テーパー巻きとならず、投擲時のバックラッシュの発生を低減できる魚釣用スピニングリールを提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールは、リール本体と、該リール本体に設けられ、釣糸が巻回される円筒状の釣糸巻回胴部と、該釣糸巻回胴部の前端から径方向外側に立ち上がるリング状の前フランジと、該釣糸巻回胴部の後端から径方向外側に立ち上がるリング状の後フランジと、後フランジから後方に延びる略円筒状のスカート部と、を有するスプールと、を備え、前記スプールの前記後フランジに、前記釣糸を逃がすための逃がし部が設けられている。
【0008】
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールにおいて、前記逃がし部は、前記スプールの径方向でみて、前記後フランジの外側10%から30%の範囲に設けられる。
【0009】
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールにおいて、前記逃がし部の、前記スプールの軸方向の長さは、1.0mmから1.5mmの範囲である。
【0010】
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールにおいて、前記逃がし部の、前記スプールの径方向の長さは、前記魚釣用リールの使用時に放出される前記釣糸の、該スプールの径方向の巻回長さと同じ又はそれよりも大きい。
【0011】
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールにおいて、前記逃がし部は、前記スプールの径方向外側に向かって、該スプールの径方向に対して、該スプールの前後方向で後方向に傾斜する傾斜部である。
【0012】
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールにおいて、前記逃がし部は、底部と壁部とを有する段部である。また、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールにおいて、前記底部は、前記スプールの径方向に垂直又は傾斜している。また、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールにおいて、前記壁部は、前記後フランジの延伸方向と同じ方向又は該延伸方向に対して傾斜している。
【0013】
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールにおいて、前記釣糸巻回胴部の、前記スプールの前後方向への延伸方向が、前記スプールの前後動方向に対して傾斜している。また、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールにおいて、前記釣糸巻回胴部の、前記スプールの前後方向への延伸方向が、前記釣糸巻回胴部の後端側が前記スプールの前後動方向に対して該スプールの径方向外側又は内側に傾斜している。
【発明の効果】
【0014】
上記実施形態によれば、釣糸の巻回を高負荷又は低負荷のいずれで行う場合にあっても、スプールのスカート部への釣糸の溜まりを防止し、また正テーパー巻きとならず、投擲時のバックラッシュの発生を低減できる魚釣用スピニングリールを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールの全体構成を説明する図である。
図2】本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールのスプールの後フランジを説明する概略図である。
図3】本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールのスプールの後フランジを説明する概略図である。
図4】本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールのスプールの後フランジを説明する概略図である。
図5】本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールのスプールの釣糸巻回胴部を説明する概略図である。
図6】本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールのスプールの釣糸巻回胴部を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールの糸止め装置の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。以下の説明において、「前後」「上下」を言うときは、図1に示した方向を基準とする。複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0017】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール(魚釣用リール)1の基本構成について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールの全体構成を示すものである。なお、図1において、魚釣用スピニングリール(魚釣用リール)1の基本構成・全体構成を説明する観点から、後述する逃がし部20の説明は省略しているが、図2以降の各図を用いて説明するものとする。図1に示すように、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1は、操作部(ハンドル)5aが組み付けられたリール本体2と、ハンドル5aの巻き取り操作により回転するロータ13と、ハンドル5aの巻き取り操作により前後方向に往復運動するスプール3と、を備えている。
【0018】
リール本体2には、前方へ延びて前端部にスプール3が取り付けられたスプール軸と、スプール往復動装置(図示しない)と、が設けられている。ハンドル5aの巻き取り操作が行われると、スプール往復動装置がスプール軸を前後動させ、スプール軸に取り付けられたスプール3が前後動する。また、スプール軸とスプール3との間には、ドラグ機構(図示しない)が介在しており、釣糸にドラグ力以上の力が作用すると、スプール3がスプール軸回りに回転(回動)するようになっている。
【0019】
図1に示すように、スプール3は、釣糸が巻回される円筒状の釣糸巻回胴部4と、該釣糸巻回胴部4の前端(前後方向の前側の端部)から径方向外側に立ち上がるリング状の前フランジ14と、該釣糸巻回胴部4の後端(前後方向の後側の端部)から径方向外側に立ち上がるリング状の後フランジ15と、後フランジ15から後方に延びる略円筒状のスカート部16と、を備えるよう構成される。
【0020】
リール本体2は、左側に向って開口する側部開口部(図示しない)が形成されたボディ10と、ボディ10から上方に延びて上端に竿取付部11aが形成された脚部11と、ボディ10の前側に設けられたボディ前部と、側部開口部を閉塞しつつハンドル軸5を軸支する蓋部材30と、ボディ10の後部に取り付けられた保護カバー40と、を備えている。なお、ボディ10と脚部11とボディ前部は、樹脂材料等により一体的に形成されている。また、蓋部材30と保護カバー40のそれぞれも樹脂材料等により形成されている。
【0021】
また、ボディ前部は、前後方向に開口する筒状を呈し、内部に駆動軸筒とスプール軸が組み付けられている。駆動軸筒の前端及びスプール軸の前端は、ボディ前部よりも前方に突出している。そして、駆動軸筒の前端にロータ13が取り付けられ、スプール軸の前端にスプール3が取り付けられている。一方で、駆動軸筒の後端及びスプール軸の後端は、ボディ10内に配置されている。また、駆動軸筒の後部には、ピニオンギヤが一体に形成されている。
【0022】
ボディ10内には、ハンドル5aの巻き取り操作により駆動軸筒とスプール軸を駆動させるための構成として、左右方向(図1の紙面の垂直な方向)に延在するハンドル軸5と、ハンドル軸5に連結するドライブギヤ及び歯車と、スプール往復動装置と、が収容されている。
【0023】
ドライブギヤは、前方に配置されたピニオンギヤに噛合する歯車であり、中央部がハンドル軸5に貫通され、ハンドル軸5と一体に回転軸回りに回転する。このようにして、ハンドル5aを巻き取り操作すると、ハンドル軸5及びドライブギヤが回転して、その回転駆動力がピニオンギヤに伝達し、駆動軸筒及びロータ13が回転する。
【0024】
また、歯車は、ハンドル軸5と一体に形成された歯車であり、スプール往復動装置の連動歯車に噛合し、ハンドル5aの巻き取り操作による回転駆動力を連動歯車に伝達する。スプール往復動装置は、前後方向に延びるガイド軸と、右側面に案内溝が形成されガイド軸に沿って移動する摺動子と、案内溝に係合する偏芯突部が形成された連動歯車とを備えている。また、摺動子にスプール軸の後端が固定され、摺動子とスプール軸とが一体になっている。
【0025】
このようにして、ハンドル5aの巻き取り操作によりハンドル軸5及び歯車6aが回転すると、連動歯車が回転する。そして、連動歯車の偏芯突部が摺動子の案内溝の内面を押圧し、回転運動が前後動に変換されて摺動子とスプール軸(スプール3)が前後方向に往復運動する。以上、説明したスプール往復動装置(オシレート機構)は、S字カム式オシレート機構を例として説明したが、ウォームシャフト式オシレート機構を用いてもよい。
【0026】
次に、図1ないし6を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1について更に説明する。図1、2ないし4に示すように、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1は、リール本体2と、該リール本体2に設けられ、釣糸が巻回される円筒状の釣糸巻回胴部4と、該釣糸巻回胴部4の前端(スプール3の前後方向の前側の端部)から径方向外側(スプール3の径方向における外側方向)に立ち上がるリング状の前フランジ14と、該釣糸巻回胴部の後端(スプール3の前後方向の後側の端部)から径方向外側(スプール3の径方向における外側方向)に立ち上がるリング状の後フランジ15と、後フランジ15から後方(スプール3の前後方向の後方向)に延びる略円筒状のスカート部16と、を有するスプール3と、を備え、該スプール3の該後フランジ14に、該釣糸を逃がすための逃がし部20が設けられている。ここで、「釣糸を逃がす」とは、糸の張力が低くなることにより糸が糸巻回胴部よりもボディ側に巻かれようとする現象を意味するものとする。
【0027】
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1によれば、釣糸の巻回を高負荷又は低負荷のいずれで行う場合にあっても、スプール3のスカート部16への釣糸の溜まりを防止し、また正テーパー巻きとならず、投擲時のバックラッシュの発生を低減できる魚釣用スピニングリール1を提供することが可能となる。より具体的には、糸はスカート部側に崩れながら巻かれるために、糸巻状態を逆テーパーに維持するが可能となる。
【0028】
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1において、該逃がし部20は、該スプール3(の後フランジ15)の径方向でみて、該後フランジ15の径方向の外側端部から(該外側端部を逃がし部20の始端と考えた場合)、該後フランジ15の径方向の長さの10%から30%の範囲の長さに亘って設けられる。このように、後フランジの径方向最大深さ(釣糸の最大糸巻き深さ)に対する、投擲時に釣糸が実際に放出される糸巻き深さの比率に対応した逃がし部を設けることで、釣糸の巻回を高負荷又は低負荷のいずれで行う場合にあっても、より効果的にスプールのスカート部への釣糸の溜まりを防止し、また正テーパー巻きとならず、投擲時のバックラッシュの発生を低減できる魚釣用スピニングリールを提供することが可能となる。
【0029】
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1において、該逃がし部20の、該スプール3の軸方向でみた長さは、1.0mmから1.5mmの範囲である。このように、投擲時に釣糸が実際に放出される糸巻き深さに対応して逃がし部を設けることで、釣糸の巻回を高負荷又は低負荷のいずれで行う場合にあっても、より確実かつ的確にスプールのスカート部への釣糸の溜まりを防止し、また正テーパー巻きとならず、投擲時のバックラッシュの発生を低減できる魚釣用スピニングリールを提供することが可能となる。
【0030】
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1において、該逃がし部20の、該スプール3の径方向の長さは、魚釣用スピニングリール1の使用時に放出される釣糸の、該スプール3の径方向の巻回(深さ)長さと同じ又はそれよりも大きい。このように、投擲時に釣糸が実際に放出される糸巻き深さに対応して逃がし部を設けることで、釣糸の巻回を高負荷又は低負荷のいずれで行う場合にあっても、より確実かつ的確にスプールのスカート部への釣糸の溜まりを防止し、また正テーパー巻きとならず、投擲時のバックラッシュの発生を低減できる魚釣用スピニングリールを提供することが可能となる。
【0031】
次に、図3に示すように、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1において、該逃がし部20は、該スプール3の径方向外側に向かって、該スプール3の径方向に対して、該スプール3の前後方向で後方向に傾斜する傾斜部21である。このようにして、糸を糸巻回胴部に対して幅広く案内することが可能となるため、釣糸の巻回を高負荷又は低負荷のいずれで行う場合にあっても、より確実かつ的確にスプールのスカート部16への釣糸の溜まりを防止し、また正テーパー巻きとならず、投擲時のバックラッシュの発生を低減できる魚釣用スピニングリールを提供することが可能となる。
【0032】
次に、図4に示すように、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1において、該逃がし部20は、底部23と壁部24とを有する段部22である。このようにして、糸巻回胴部への案内を大きく設けることが可能となるため、釣糸の巻回を高負荷又は低負荷のいずれで行う場合にあっても、より確実かつ的確にスプールのスカート部への釣糸の溜まりを防止し、また正テーパー巻きとならず、投擲時のバックラッシュの発生を低減できる魚釣用スピニングリールを提供することが可能となる。
【0033】
また、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1において、該底部23は、該スプール3の径方向に垂直(図4の場合)又は傾斜している。このような底部を設けることで、積極的に後方への糸巻状態のダレを形成することが可能となる。また、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1において、該壁部24は、該後フランジの延伸方向と同じ方向(図4の場合)又は該延伸方向に対して傾斜している。このような壁部を設けることで、糸の放出を妨げない糸巻状態を形成することが可能となる。
【0034】
次に、図5、6に示すように、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1において、該釣糸巻回胴部4の、該スプール3の前後方向(前フランジ14から後フランジ15に向かう方向)でみた延伸方向が、該スプール3の前後動方向に対して傾斜している。このようにして、糸の放出を妨げない糸巻状態を形成することが可能となる。
【0035】
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1において、該スプール3の該釣糸巻回胴部4の、該スプールの前後方向(前フランジ14から後フランジ15に向かう方向)でみた延伸方向が、該釣糸巻回胴部4の後端側(後フランジ15側)が該スプール3の前後動方向に対して該スプール3の径方向外側(図4に示す場合で、釣糸巻回胴部4の形状を「正テーパー」と呼ぶ)又は内側(図4に示す場合で、釣糸巻回胴部4の形状を「逆テーパー」と呼ぶ)に傾斜している。釣糸巻回胴部4の形状が「正テーパー」の場合、糸の放出抵抗を軽減することが可能となり、釣糸巻回胴部4の形状が「逆テーパー」の場合、糸放出時のバックラッシュを抑制することが可能となる。
【0036】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0037】
1 魚釣用スピニングリール(魚釣用リール)
2 リール本体
3 スプール
4 釣糸巻回胴部
5a ハンドル(操作部)
10 ボディ
11 脚部
11a 竿取付部
13 ロータ
14 前フランジ
15 後フランジ
16 スカート部
20 逃がし部
21 傾斜部
22 段部
23 底部
24 壁部
30 蓋部材
40 保護カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリールにおいて、前記逃がし部は、前記スプールの径方向でみて、前記後フランジの径方向の外側端部から、前記後フランジの径方向の長さの10%から30%の範囲に設けられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
次に、図1ないし6を参照して、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1について更に説明する。図1、2ないし4に示すように、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1は、リール本体2と、該リール本体2に設けられ、釣糸が巻回される円筒状の釣糸巻回胴部4と、該釣糸巻回胴部4の前端(スプール3の前後方向の前側の端部)から径方向外側(スプール3の径方向における外側方向)に立ち上がるリング状の前フランジ14と、該釣糸巻回胴部の後端(スプール3の前後方向の後側の端部)から径方向外側(スプール3の径方向における外側方向)に立ち上がるリング状の後フランジ15と、後フランジ15から後方(スプール3の前後方向の後方向)に延びる略円筒状のスカート部16と、を有するスプール3と、を備え、該スプール3の該後フランジ1に、該釣糸を逃がすための逃がし部20が設けられている。ここで、「釣糸を逃がす」とは、糸の張力が低くなることにより糸が糸巻回胴部よりもボディ側に巻かれようとする現象を意味するものとする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
次に、図3に示すように、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1において、該逃がし部20は、該スプール3の径方向外側に向かって、該スプール3の径方向に対して、該スプール3の前後方向で後方向に傾斜する傾斜部21である。このようにして、糸を糸巻回胴部に対して幅広く案内することが可能となるため、釣糸の巻回を高負荷又は低負荷のいずれで行う場合にあっても、より確実かつ的確にスプールのスカート部16への釣糸の溜まりを防止し、また正テーパー巻きとならず、投擲時のバックラッシュの発生を低減できる魚釣用スピニングリールを提供することが可能となる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
次に、図4に示すように、本発明の一実施形態に係る魚釣用スピニングリール1において、該逃がし部20は、底部23と壁部24とを有する段部22である。このようにして、糸巻回胴部への案内を大きく設けることが可能となるため、釣糸の巻回を高負荷又は低負荷のいずれで行う場合にあっても、より確実かつ的確にスプールのスカート部への釣糸の溜まりを防止し、また正テーパー巻きとならず、投擲時のバックラッシュの発生を低減できる魚釣用スピニングリールを提供することが可能となる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体と、該リール本体に設けられ、釣糸が巻回される円筒状の釣糸巻回胴部と、該釣糸巻回胴部の前端から径方向外側に立ち上がるリング状の前フランジと、該釣糸巻回胴部の後端から径方向外側に立ち上がるリング状の後フランジと、後フランジから後方に延びる略円筒状のスカート部と、を有するスプールと、を備える魚釣用スピニングリールであって、
前記スプールの前記後フランジに、前記釣糸を逃がすための逃がし部が設けられている、魚釣用スピニングリール。
【請求項2】
前記逃がし部は、前記スプールの径方向でみて、前記後フランジの径方向の外側端部から、前記後フランジの径方向の長さの10%から30%の範囲に設けられる、請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項3】
前記逃がし部の、前記スプールの軸方向の長さは、1.0mmから1.5mmの範囲である、請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項4】
前記逃がし部の、前記スプールの径方向の長さは、前記魚釣用リールの使用時に放出される前記釣糸の、該スプールの径方向の巻回長さと同じ又はそれよりも大きい、請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項5】
前記逃がし部は、前記スプールの径方向外側に向かって、該スプールの径方向に対して、該スプールの前後方向で後方向に傾斜する傾斜部である、請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項6】
前記逃がし部は、底部と壁部とを有する段部である、請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項7】
前記底部は、前記スプールの径方向に垂直又は傾斜している、請求6に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項8】
前記壁部は、前記後フランジの延伸方向と同じ方向又は該延伸方向に対して傾斜している、請求項6に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項9】
前記釣糸巻回胴部の、前記スプールの前後方向への延伸方向が、前記スプールの前後動方向に対して傾斜している、請求項1に記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項10】
前記釣糸巻回胴部の、前記スプールの前後方向への延伸方向が、前記釣糸巻回胴部の後端側が前記スプールの前後動方向に対して該スプールの径方向外側又は内側に傾斜している、請求項9に記載の魚釣用スピニングリール。