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  • 特開-ジャー容器 図1
  • 特開-ジャー容器 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139316
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】ジャー容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/04 20060101AFI20241002BHJP
   B65D 43/08 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B65D41/04 200
B65D43/08 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050199
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB06
3E084BA03
3E084CA01
3E084DA01
3E084DB12
3E084DB18
3E084EA01
3E084EB03
3E084EB04
3E084FA09
3E084FB01
3E084FC07
3E084GA01
3E084GB01
3E084GB12
3E084GB17
3E084HA01
3E084HB09
3E084HD04
(57)【要約】
【課題】 容器体の口筒部に装着する中蓋を設け、蓋体を容器体の口筒部に螺着することにより、容器体内の気密性を高めることができるジャー容器を提供すること。
【解決手段】 内容物を収容する容器体Aと、容器体Aの口筒部1に装着される中蓋Bと、中蓋Bの上から容器体Aの口筒部1に螺着する蓋体Cとを備えるジャー容器であって、中蓋Bは、口筒部1内周に挿入される周壁10と、周壁10の上端から径方向外方に延設されるフランジ11と、周壁10の下端からR形状の連結部12を介して内側に連設されるドーム凸状の天壁13とを有し、中蓋Bは、蓋体Cの螺着時に、天壁13の最頂部13aが押し込まれることにより、周壁10が拡径されて口筒部1内周に密着することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器体と、容器体の口筒部に装着される中蓋と、中蓋の上から容器体の口筒部に螺着する蓋体とを備えるジャー容器であって、
中蓋は、口筒部内周に挿入される周壁と、周壁の上端から径方向外方に延設されるフランジと、周壁の下端からR形状の連結部を介して内側に連設されるドーム凸状の天壁とを有し、
中蓋は、蓋体の螺着時に、天壁の最頂部が押し込まれることにより、周壁が拡径されて口筒部内周に密着することを特徴とするジャー容器。
【請求項2】
中蓋は、周壁の外周から突出するシール部を有することを特徴とする請求項1に記載のジャー容器。
【請求項3】
容器体は、口筒部の内周上端に凹設され、中蓋のフランジと当接する装着段部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のジャー容器。
【請求項4】
中蓋は、天壁の上面から上方に延設され、蓋体の螺着時に屈曲変形可能な摘み部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のジャー容器。
【請求項5】
中蓋は、天壁の上面から上方に延設され、蓋体の螺着時に屈曲変形可能な摘み部を有することを特徴とする請求項3に記載のジャー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器体の口筒部が広口のジャー容器に関し、とくに、容器体の気密性を高めたジャー容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、クリーム等の内容物を収容する広口の容器体と、容器体の口筒部に螺合する蓋体とを備えるジャー容器が知られている。
このジャー容器では、容器体の口筒部は、口径が大きいため、容器体内部の気密性を確保することが難しかった。
【0003】
この問題に対処するため、内容物を収容した容器体と、容器体の口筒部に螺着されて口筒部の上端開口を閉塞する蓋体とを備える容器において、口筒部のうち上端部の内径は、該上端部に該上端部の下方から連設された基部の内径よりも大きく、上端部の内周面と基部の内周面とは、段部を介して連結され、蓋体が、口筒部内に配設されたインナーリング部を有し、インナーリング部の下端部には、外径が下端から上方に向かうにしたがって漸次大きくなるテーパ部が形成されており、インナーリング部が、基部と段部との接続部分に密接しているジャー容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-232773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載のジャー容器では、気密性をさらに高めるために、インナーリング部と口筒部との締め代を大きくすると、蓋体の開閉する際のトルクが上昇してしまい、ジャー容器の操作性を損ねてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、容器体の口筒部に装着する中蓋を設け、蓋体を容器体の口筒部に螺着することにより、容器体内の気密性を高めることができるジャー容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、ジャー容器として、内容物を収容する容器体と、容器体の口筒部に装着される中蓋と、中蓋の上から容器体の口筒部に螺着する蓋体とを備えるジャー容器であって、中蓋は、口筒部内周に挿入される周壁と、周壁の上端から径方向外方に延設されるフランジと、周壁の下端からR形状の連結部を介して内側に連設されるドーム凸状の天壁とを有し、中蓋は、蓋体の螺着時に、天壁の最頂部が押し込まれることにより、周壁が拡径されて口筒部内周に密着することを特徴とする構成を採用する。
【0008】
ジャー容器の実施形態として、中蓋は、周壁の外周から突出するシール部を有することを特徴とする構成を採用し、また、容器体は、口筒部の内周上端に凹設され、中蓋のフランジと当接する装着段部を有することを特徴とする構成を採用し、また、中蓋は、天壁の上面から上方に延設され、蓋体の螺着時に屈曲変形可能な摘み部を有することを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のジャー容器は、上記構成を採用することにより、容器体の口筒部に装着するドーム凸状の中蓋が、容器体に螺着される蓋体により、容器体の口筒部に対して拡径され、中蓋で容器体内の気密性を確保するとともに、容器体から螺脱される蓋体により、中蓋の拡径が解消され、中蓋を容器体から簡単に外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例であるジャー容器の閉蓋時の状態を示す図であり、(a)は側面断面図、(b)は(a)の要部拡大図である。
図2】本発明の実施例であるジャー容器の中蓋の状態を示す図であり、(a)は蓋体を外した時の側面断面図、(b)は蓋体を螺着開始時の側面断面図、(c)は蓋体を螺着後の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明のジャー容器について、以下の実施例に示した図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、図1(a)でみて、上方向を「上」とし、下方向を「下」とする。
【0012】
図1において、Aは内容物を収容する容器体、Bは容器体Aの開口部内周に装着され、内方を密閉する中蓋、Cは容器体Aの開口部を閉塞する蓋体である。
【0013】
図1(a)に示すように、容器体Aは、上部に形成される円筒状の口筒部1と、口筒部1の下部に形成される有底円筒状の収容部2とから構成されている。
口筒部1は、内周上端部を拡径して凹設された内方面5aと、内方面5aの下端部から内方に向けて形成された底段面5bとからなる装着段部5と、外周面に螺設され、蓋体Cと螺合する雄ねじ部6とを備えている。
【0014】
図1に示すように、中蓋Bは、変形可能な素材で薄肉に形成され、外周が口筒部1の内径より僅かに小さい径で形成される円筒状の周壁10と、周壁10の外周上端から径方向外方に延設され、外縁が装着段部5の内方面5aに近接する径で形成されるフランジ11と、周壁10の下端からR形状にカーブしながら内方に向かうように形成される連結部12と、連結部12の内端から内側上方に連設され、中央部が最頂部13aとなるようにドーム凸状に形成される天壁13とを備え、周壁10の下端外周には、最突部が口筒部1の内周面(装着段部5よりも下方位置)に当接するように突出するシール部14が形成されている。
【0015】
図2(a)に示すように、天壁13の最頂部13aは、中蓋Bの外周である周壁10の上端面より距離αだけ高くなるように形成されている。
さらに、中蓋Bは、天壁13の外周寄りの上面から内側上方に伸びるように形成されるとともに、蓋体Cの螺着(閉蓋)時に根元から屈曲変形し、天壁13の上面に沿って収容される摘み部15を備えている。
【0016】
本実施例では、中蓋Bの天壁13および周壁10の肉厚は、均一な厚みで形成されることが好ましいが、周壁10のシール部14が形成される最突部の肉厚だけは、突出する最突部に応じて厚く形成されている。なお、天壁13の肉厚に対して周壁10の肉厚が3倍を超えると、蓋体Cの閉蓋の際に、天壁13外周の変形が周壁10のシール部14へ伝わる変形を抑制してしまう。
また、中蓋Bの連結部12は、R部分の曲率半径が2R以下が好ましい。3Rを超えてくると、周壁10のシール部14への変形が伝わりづらくなり、変形量を増やす必要がある。
【0017】
図1に示すように、蓋体Cは、容器体Aの口筒部1の上部を覆う頂壁20と、頂壁20の外縁から垂下され、容器体Aの収容部2の外周と面一となる外周壁21とを備え、外周壁21の内周には、口筒部1外周の雄ねじ部6に螺合する雌ねじ部22が螺設されている。
【0018】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のジャー容器は、まず、容器体Aの収容部2に内容物を充填した後、容器体Aの口筒部1内周に中蓋Bの周壁10を挿入する。その際、中蓋Bは、容器体Aの口筒部1内周に当接(例えば、周壁10のシール部14の最突部のみ)あるいは近接する状態とし、挿入に対しての抵抗が小さく、軽い力でスムーズに挿入できる。
さらに、中蓋Bのフランジ11の下面が、口筒部1の装着段部5の底段面5bに当接し、図2(a)に示すように、中蓋Bは、容器体Aに装着される。
【0019】
次に、図2(b)に示すように、容器体Aの口筒部1に蓋体Cを被せ、螺合させて閉蓋していく。蓋体Cの螺合が進んで、容器体Aに対して蓋体Cが降下していく際には、まず、中蓋Bの周壁10の上端面より距離αだけ高い天壁13の最頂部13aは、蓋体Cの頂壁20下面に当接し、蓋体Cの降下にともない、天壁13を最頂部13aから周壁10に対して摘み部15とともに押し込まれていく。
このように、天壁13が最頂部13aから押し込まれていくと、ドーム凸状の天壁13は、中央から径方向に変形し、距離αの高さの分だけ、図2(c)に示すように、押し込みの力が、径方向に拡径する力となる。
【0020】
天壁13の変形による径方向に拡径する力は、連結部12を介して周壁10の下部を押し広げ、シール部14を外方に拡径させ、シール部14が容器体Aの口筒部1内周に押し付けられ、気密性を高めることができる。
本実施例では、中蓋Bは、少なくとも周壁10と天壁13が変形可能に形成されているので、天壁13の径方向への変形により、連結部12を介して周壁10のシール部14を安定して外方に拡径させることができる。
また、連結部12のR部分があっても、天壁13の変形による拡径する力を連結部12で下方に分散してしまうことがなく、安定して、周壁10のシール部14を外方に拡径することができる。
【0021】
最後は、図1および図2(c)に示すように、蓋体Cの頂壁20下面が口筒部1上端に当接して螺合が終了し、蓋体Cが容器体Aを閉蓋するとともに、容器体A内を中蓋Bで密閉した容器となる。
閉蓋中には、蓋体Cの頂壁20下面で、中蓋Bの天壁13の最頂部13aが押し込まれ、シール部14が容器体Aの口筒部1内周に押し付けられる形で固定されるので、容器体Aは、気密性が高い状態で閉蓋される。
【0022】
内容物を使用する際には、まず、蓋体Cを容器体Aに対して回転させ、容器体Aの口筒部1から蓋体Cを螺脱し、開蓋する。
蓋体Cが外されることで、蓋体Cによる中蓋Bの天壁13の最頂部13aへの押し込みが解放されていき、ドーム凸状の天壁13の変形が復元して、径方向に拡径する力がなくなるので、シール部14を外方に拡径させて容器体Aの口筒部1内周に押し付ける力がなくなり、図2(a)に示すように、中蓋Bは、容器体Aの口筒部1内周に当接(外周のシール部14の最突部のみ)あるいは近接した状態となる。
【0023】
また、中蓋Bのドーム凸状の天壁13が復元することで、摘み部15の先端が上方に向くように復元される。
次に、中蓋Bの摘み部15を摘んで引っ張ると、中蓋Bが容器体Aから、抵抗が小さく、軽い力でスムーズに外され、容器体A内から内容物を使用することができる。
【0024】
本実施例のジャー容器は、中蓋Bを装着した容器体Aに蓋体Cを閉蓋することで、中蓋Bの容器体Aに対するシール性を高め、確実に容器体A内を気密にできるので、蓋体Cと容器体Aとの気密性が低くても閉蓋した容器の運搬中に内容物が外に漏れたりすることがなく、蓋体Cを開蓋することで、中蓋Bの容器体Aに対するシール性をなくし、中蓋Bを容器体Aから簡単に外して内容物を使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のジャー容器は、容器体の口筒部に装着するドーム凸状の中蓋が、容器体に螺着される蓋体により、容器体の口筒部に対して拡径され、中蓋で容器体内の気密性を確保するとともに、容器体から螺脱される蓋体により、中蓋の拡径が解消され、中蓋を容器体から簡単に外すことができるので、気密性を必要とする内容物の容器として好適である。
【符号の説明】
【0026】
A 容器体
B 中蓋
C 蓋体
α 距離
1 口筒部
2 収容部
5 装着段部
5a 内方面
5b 底段面
6 雄ねじ部
10 周壁
11 フランジ
12 連結部
13 天壁
13a 最頂部
14 シール部
15 摘み部
20 頂壁
21 外周壁
22 雌ねじ部
図1
図2