(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139326
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】データ管理装置、データ管理システム、データ管理方法、及びデータ管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/70 20170101AFI20241002BHJP
【FI】
G06T7/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050213
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110003937
【氏名又は名称】弁理士法人前川知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 剛
(72)【発明者】
【氏名】深谷 暢之
(72)【発明者】
【氏名】重田 将宏
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096AA06
5L096AA09
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA67
5L096FA69
5L096JA11
(57)【要約】
【課題】作業現場の確認及び地形の状態把握をより簡易に行うことができるデータ管理装置等を提供すること。
【解決手段】データ管理装置2は、特徴点を含む既存画像が記憶された記憶部35と、新画像を撮像する撮像部30と、新画像から特徴点を抽出する特徴抽出部40と、新画像に対応する既存画像を取得し、取得した既存画像の特徴点に対応する新画像の特徴点を抽出して対応付ける特徴マッチング部41と、対応付けされた新画像の特徴点から、新画像の撮像状況を算出する撮像状況算出部42と、新画像の特徴点のうち、既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、新画像の撮像状況に基づき前記対応付けされた特徴点との相対位置情報を差分特徴点に付与する差分特定部43と、差分特徴点に相対位置情報が付与された新画像を既存画像として記憶部35に記憶するDB更新部44と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特徴点を含む既存画像が記憶された記憶部と、
新画像を撮像する撮像部と、
前記新画像から特徴点を抽出する特徴抽出部と、
前記記憶部から前記新画像に対応する既存画像を取得し、取得した既存画像の特徴点に対応する前記新画像の特徴点を抽出して対応付ける特徴マッチング部と、
前記対応付けされた前記新画像の特徴点から、前記新画像の撮像状況を算出する撮像状況算出部と、
前記新画像の特徴点のうち、前記既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、前記新画像の撮像状況に基づき前記対応付けされた特徴点との相対位置情報を前記差分特徴点に付与する差分特定部と、
前記差分特徴点に前記相対位置情報が付与された前記新画像を既存画像として前記記憶部に記憶する更新部と、
を備えるデータ管理装置。
【請求項2】
前記撮像状況算出部は、前記撮像状況として前記新画像の撮像位置と撮像姿勢を算出する請求項1に記載のデータ管理装置。
【請求項3】
前記特徴マッチング部は、前記記憶部から前記新画像の撮像状況と近似する撮像状況の既存画像を、前記新画像に対応する既存画像として取得する請求項1に記載のデータ管理装置。
【請求項4】
前記特徴マッチング部は、前記記憶部から前記新画像に写っている内容と類似する既存画像を、前記新画像に対応する既存画像として取得する請求項1に記載のデータ管理装置。
【請求項5】
前記特徴抽出部は、前記新画像から抽出した特徴点に、前記撮像部により撮像した撮像時間に関する情報を付与する請求項1に記載のデータ管理装置。
【請求項6】
前記記憶部に記憶された既存画像に基づく三次元画像を生成する表示制御部をさらに備える請求項1に記載のデータ管理装置。
【請求項7】
特徴点を含む既存画像が記憶された記憶部と、
新画像を撮像する撮像部と、
前記新画像から特徴点を抽出する特徴抽出部と、
前記記憶部から前記新画像に対応する既存画像を取得し、取得した既存画像の特徴点に対応する前記新画像の特徴点を抽出して対応付ける特徴マッチング部と、
前記対応付けされた前記新画像の特徴点から、前記新画像の撮像状況を算出する撮像状況算出部と、
前記新画像の特徴点のうち、前記既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、前記新画像の撮像状況に基づき前記対応付けされた特徴点との相対位置情報を前記差分特徴点に付与する差分特定部と、
前記差分特徴点に前記相対位置情報が付与された前記新画像を既存画像として前記記憶部に記憶する更新部と、
を備えるデータ管理システム。
【請求項8】
記憶部が、特徴点を含む既存画像が記憶する記憶工程と、
撮像部が、新画像を撮像する撮像工程と、
特徴抽出部が、前記新画像から特徴点を抽出する特徴抽出工程と、
特徴マッチング部が、前記記憶部から前記新画像に対応する既存画像を取得し、取得した既存画像の特徴点に対応する前記新画像の特徴点を抽出して対応付ける特徴マッチング工程と、
撮像状況算出部が、前記対応付けされた前記新画像の特徴点から、前記新画像の撮像状況を算出する撮像状況算出工程と、
差分特定部が、前記新画像の特徴点のうち、前記既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、前記新画像の撮像状況に基づき前記対応付けされた特徴点との相対位置情報を前記差分特徴点に付与する差分特定工程と、
更新部が、前記差分特徴点に前記相対位置情報が付与された前記新画像を既存画像として前記記憶部に記憶する更新工程と、
を備えるデータ管理方法。
【請求項9】
記憶部が、特徴点を含む既存画像が記憶する記憶工程と、
撮像部が、新画像を撮像する撮像工程と、
特徴抽出部が、前記新画像から特徴点を抽出する特徴抽出工程と、
特徴マッチング部が、前記記憶部から前記新画像に対応する既存画像を取得し、取得した既存画像の特徴点に対応する前記新画像の特徴点を抽出して対応付ける特徴マッチング工程と、
撮像状況算出部が、前記対応付けされた前記新画像の特徴点から、前記新画像の撮像状況を算出する撮像状況算出工程と、
差分特定部が、前記新画像の特徴点のうち、前記既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、前記新画像の撮像状況に基づき前記対応付けされた特徴点との相対位置情報を前記差分特徴点に付与する差分特定工程と、
更新部が、前記差分特徴点に前記相対位置情報が付与された前記新画像を既存画像として前記記憶部に記憶する更新工程と、
をコンピュータに実行させるためのデータ管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、データ管理装置、データ管理システム、データ管理方法、及びデータ管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、作業者の位置をリアルタイムで把握しながら作業支援を行う技術が開発されている。このような技術の一つとして、例えば特許文献1には、作業装置(作業機械)で利用される情報を算出するサーバコンピュータを備えた施工管理システムが開示されている。サーバコンピュータは、施工現場で稼動する作業装置から出力される作業装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、施工現場の現況地形データを取得する現況地形データ取得部と、施工現場の設計地形データを取得する設計地形データ取得部と、を備える。特許文献1の作業装置は、作業中、GPS受信機を利用して自己の位置情報を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
作業現場で利用されるシステムは、作業現場の確認及び地形の状態把握をより簡易に行うことが求められる。しかし、特許文献1の技術において、作業装置は自己の位置を特定するためにGPS受信機を備える必要がある。また、作業装置が自己の位置を特定する別の方法として、作業装置に座標が既知の標定点を観測させる場合は、標定点の設置のための作業が必要となってしまう。
【0005】
本開示は、作業現場の確認及び地形の状態把握をより簡易に行うことができるデータ管理装置、データ管理システム、データ管理方法及びデータ管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本開示に係るデータ管理装置は、特徴点を含む既存画像が記憶された記憶部と、新画像を撮像する撮像部と、前記新画像から特徴点を抽出する特徴抽出部と、前記記憶部から前記新画像に対応する既存画像を取得し、取得した既存画像の特徴点に対応する前記新画像の特徴点を抽出して対応付ける特徴マッチング部と、前記対応付けされた前記新画像の特徴点から、前記新画像の撮像状況を算出する撮像状況算出部と、前記新画像の特徴点のうち、前記既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、前記新画像の撮像状況に基づき前記対応付けされた特徴点との相対位置情報を前記差分特徴点に付与する差分特定部と、前記差分特徴点に前記相対位置情報が付与された前記新画像を既存画像として前記記憶部に記憶する更新部と、を備える。
【0007】
上記した目的を達成するために、本開示に係るデータ管理システムは、特徴点を含む既存画像が記憶された記憶部と、新画像を撮像する撮像部と、前記新画像から特徴点を抽出する特徴抽出部と、前記記憶部から前記新画像に対応する既存画像を取得し、取得した既存画像の特徴点に対応する前記新画像の特徴点を抽出して対応付ける特徴マッチング部と、前記対応付けされた前記新画像の特徴点から、前記新画像の撮像状況を算出する撮像状況算出部と、前記新画像の特徴点のうち、前記既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、前記新画像の撮像状況に基づき前記対応付けされた特徴点との相対位置情報を前記差分特徴点に付与する差分特定部と、前記差分特徴点に前記相対位置情報が付与された前記新画像を既存画像として前記記憶部に記憶する更新部と、を備える。
【0008】
上記した目的を達成するために、本開示に係るデータ管理方法は、記憶部が、特徴点を含む既存画像が記憶する記憶工程と、撮像部が、新画像を撮像する撮像工程と、特徴抽出部が、前記新画像から特徴点を抽出する特徴抽出工程と、特徴マッチング部が、前記記憶部から前記新画像に対応する既存画像を取得し、取得した既存画像の特徴点に対応する前記新画像の特徴点を抽出して対応付ける特徴マッチング工程と、撮像状況算出部が、前記対応付けされた前記新画像の特徴点から、前記新画像の撮像状況を算出する撮像状況算出工程と、差分特定部が、前記新画像の特徴点のうち、前記既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、前記新画像の撮像状況に基づき前記対応付けされた特徴点との相対位置情報を前記差分特徴点に付与する差分特定工程と、更新部が、前記差分特徴点に前記相対位置情報が付与された前記新画像を既存画像として前記記憶部に記憶する更新工程と、を備える。
【0009】
上記した目的を達成するために、本開示に係るデータ管理プログラムは、記憶部が、特徴点を含む既存画像が記憶する記憶工程と、撮像部が、新画像を撮像する撮像工程と、特徴抽出部が、前記新画像から特徴点を抽出する特徴抽出工程と、特徴マッチング部が、前記記憶部から前記新画像に対応する既存画像を取得し、取得した既存画像の特徴点に対応する前記新画像の特徴点を抽出して対応付ける特徴マッチング工程と、撮像状況算出部が、前記対応付けされた前記新画像の特徴点から、前記新画像の撮像状況を算出する撮像状況算出工程と、差分特定部が、前記新画像の特徴点のうち、前記既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、前記新画像の撮像状況に基づき前記対応付けされた特徴点との相対位置情報を前記差分特徴点に付与する差分特定工程と、更新部が、前記差分特徴点に前記相対位置情報が付与された前記新画像を既存画像として前記記憶部に記憶する更新工程と、をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
上記手段を用いる本開示に係るデータ管理装置、データ管理システム、データ管理方法及びデータ管理プログラムは、作業現場の確認及び地形の状態把握をより簡易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係るデータ管理システムの全体構成図である。
【
図3】データ管理方法の各処理のフローチャートである。
【
図4】変形例に係るデータ管理システムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本開示の実施形態に係るデータ管理システム1の全体構成図である。なお、本実施形態の説明において、各装置や配置関係は、模式的に示しており、説明の便宜上実際の縮尺と異なっていてもよい。
【0013】
図1に示すように、データ管理システム1は、データ管理装置2を作業者Aが持って移動し、任意の測点にてデータ管理装置2を設置して、画像に基づく特徴点のデータベースを更新していくシステムである。データ管理装置2は、本体部21と、本体部21を支持する棒状のピンポール22を有している。
【0014】
図2に示すように、本体部21は、撮像部30と、姿勢検出部31、操作部32と、表示部33と、通信部34と、記憶部35と、制御部36とを有している。なお、図示しないが、本体部21は、時計等の時間情報取得部を有している。また、機種によっては本体部21がGSNN等の位置情報取得部を有してもよい。
【0015】
撮像部30は、画像を撮像するイメージセンサ(CCDセンサやCMOSセンサ等)である。撮像部30が撮像可能な画像は静止画像でも動画像であってもよい。本実施形態では、発明の理解のしやすさのため静止画像を例に説明するが、動画像においても同様に本実施形態を適用できる。
【0016】
姿勢検出部31は、例えばジャイロセンサであり、データ管理装置2の姿勢情報を取得可能である。つまり、姿勢検出部31は、撮像部30による撮像時の撮像方向を検出可能である。
【0017】
操作部32は、各種の動作指示や設定を入力可能な操作手段である。動作指示は、例えば、電源のオン又はオフの切替、撮像部30による撮影の指示、及び撮像に関する設定等を含むことができる。また操作部32は、スイッチ、ボタン、ダイアルなど、その他の操作デバイス又は入力デバイスを含んでもよい。
【0018】
表示部33は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等である。表示部33がタッチパネルディスプレイである場合は、表示部33と操作部32とは一体に形成されていてもよい。
【0019】
通信部34は、外部装置と情報を共有可能に通信する機能を有する。例えば無線通信手段である。通信部34は、接続端子を介して有線通信手段として機能してもよい。外部装置としては、例えば、携帯可能な携帯情報端末(PDA)、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の装置がある。
【0020】
記憶部35は、各種情報が記憶されるハードディスク、SSD等の記憶装置である。記憶部35には、特徴点を含む画像が記憶されている。以下、記憶部35に記憶されている特徴点を含む画像を既存画像という。
【0021】
特徴点は画像内に写っている特徴的な部分(位置)であり、当該特徴点の固有性をベクトル等の表現で数値化した値を特徴量という。記憶部35には、既存画像及びその特徴点(特徴量を含む)と、これらに付随する種々の情報(データ)が記憶されており、いわゆる特徴点データベース(以下、DBともいう)が構築されている。
【0022】
例えば、特徴点は位置情報を含んでおり、既存画像内における位置に対応してグローバル座標系の位置情報(三次元座標データ)が紐づけられている。この特徴点の位置情報は、事前に測量機(トータルステーションやスキャナ)等を用いて測量した結果の位置情報であってもよいし、後述するように制御部36により算出された位置情報であってもよい。また、特徴点の位置情報には、位置情報を算出した測量種類(トータルステーション、スキャナ、写真測量、等)、測量装置の設置座標、測量装置使用時の時間データが付与されている。
【0023】
また、特徴点には、他にも撮像に関する情報が紐づけられている。撮像に関する情報としては、例えば撮像部の仕様(解像度、画角、等)撮像位置情報、撮像時刻情報、撮像姿勢情報、及び撮像時間情報を含む撮像状況情報が含まれている。撮像位置情報は、後述するように制御部36により算出される。姿勢情報は撮像した際に姿勢検出部31により検出され、当該姿勢情報から撮像方向が算出される。撮像時間情報は、例えばデータ管理装置2が有する時計により撮像時点の日時である。
【0024】
なお、異なる地点から、又は異なる時点から、同一の特徴点を抽出した場合には、1つの特徴点に複数の情報が付与される。
【0025】
制御部36は、記憶部35に記憶されるプログラムに含まれるコード又は命令によって実現する機能及び/又は方法を実行する。制御部36は、例として、中央処理装置(CPU)、MPU、GPU、マイクロプロセッサ、プロセッサコア、マルチプロセッサ、ASIC、FPGA等を含み、集積回路等に形成された論理回路や専用回路によって各実施形態に開示される各処理を実現してもよい。また、これらの回路は、1又は複数の集積回路により実現されてよく、各実施形態に示す複数の処理を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。
【0026】
本実施形態の制御部36は、撮像した画像の各特徴点に位置座標を付与する特徴点管理制御を実施する。そのための制御部36の機能を構成として説明すると、制御部36は特徴抽出部40、特徴マッチング部41、撮像状況算出部42、差分特徴特定部43、DB更新部44、表示制御部45、を有している。
【0027】
特徴抽出部40は、画像から特徴点を抽出する機能を有する。具体的には、撮像部30が撮像した新画像に対して、特徴点を抽出する所定のアルゴリズムを使用して特徴点を抽出する。なお、新画像とは特徴点算出前の画像である。所定のアルゴリズムは、写真測量等で用いられる公知のアルゴリズムを用いればよい。また、特徴抽出部40は、抽出した特徴点に、撮像時間情報等の撮像状況情報を付与する。
【0028】
特徴マッチング部41は、記憶部35から新画像に対応する既存画像を取得し、取得した既存画像の特徴点に対応する位置にある新画像の特徴点を抽出して、抽出した特徴点に位置情報を付与するマッチング機能を有する。
【0029】
具体的には、特徴マッチング部41は、新画像の撮像状況と近似する撮像状況の既存画像を、新画像に対応する既存画像として取得する。これは例えば、特徴マッチング部41は、記憶部35から新画像と類似する既存画像を検索する検索機能を有しており、新画像の撮像位置と近接する撮像位置の既存画像を取得する。新画像の撮像位置は、例えば撮像部30が連続的に撮影を行っている場合は、特徴抽出部40が直前に撮像した既存画像(例えば撮像時刻が近接している既存画像)の撮像位置を、新画像の概略撮像位置として設定してもよい。又は、データ管理装置2が位置情報取得部を有している場合は、特徴抽出部40が当該位置情報取得部で取得した位置情報を新画像の概略撮像位置として設定してもよい。なお、必ずしも撮像状況が近似していなくとも、画像内に少なくとも同じ対象物が映り込んでいればマッチングは可能であるため、特徴マッチング部41の検索機能として、新画像の撮像位置と近接する撮像位置の既存画像を取得できない場合は、例えば画像解析技術を用いて、新画像に写っている内容と類似する既存画像を記憶部35から検索して取得してもよい。
【0030】
特徴マッチング部41は、上記のようにして取得した既存画像と新画像とから、両画像間で特徴量が一致又は近似する特徴点を抽出して一致対応付けることで、マッチングを行う。これにより既存画像と新画像との相対的位置関係が特定される。新画像において対応付けられた特徴点には、既存画像の特徴点が有する位置情報(相対的位置情報又はグローバル座標系の三次元座標)が付与される。この既存画像の特徴点が有する位置情報は、当該既存画像内又は他の既存画像内における他の特徴点との相対的位置関係を示す情報であってもよいし、グローバル座標系の三次元座標であってもよい。
【0031】
撮像状況算出部42は、対応付けされた新画像の特徴点から、当該新画像の撮像状況を算出する機能を有する。新画像にて少なくとも3以上の特徴点が既存画像の特徴点と対応付けされれば、既存画像との相対的位置関係と撮像部30の仕様情報から、公知のアルゴリズムを用いて撮像姿勢等の撮像状況を算出可能である。つまり、撮像状況算出部42は新画像内にて対応付けされた特徴点から逆算して撮像状況を算出する。
【0032】
差分特徴特定部43は、新画像の特徴点のうち、既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、新画像の撮像状況に基づき、対応付けされた特徴点との相対位置情報を差分特徴点に付与する機能を有する。つまり、差分特徴特定部43は、既存画像の特徴点とマッチングされなかった特徴点(差分特徴点)を抽出し、これらの特徴点は新規の特徴点であり、位置情報を持たないことから、差分特徴特定部43がマッチングされた特徴点との相対位置を示す相対位置情報を新たに付与する。このように、新規の特徴点に相対位置情報が付与されれば、少なくとももう1枚の他の画像とマッチングすることで、グローバル座標系の三次元座標を算出することも可能となる。
【0033】
DB更新部44は、各特徴点に位置情報が付与された新画像を、既存画像として記憶部35に記憶する機能を有する。つまり、DB更新部44は、新画像の特徴点の情報を追加することで特徴点DBを更新する。新画像の各特徴点には撮像時間情報も含まれているため、特徴点DBは時系列的に特徴点が管理される。
【0034】
表示制御部45は、記憶部35に記憶された既存画像に基づく三次元画像を生成し、生成した三次元画像を表示部33に表示する機能を有する。例えば、表示制御部45は、DB更新部44にて特徴点DBが更新される毎に、三次元画像を生成することで新画像を撮像していくのに応じて三次元画像を更新することとなる。また、表示制御部45は、特徴点に付与された撮像時間情報を用いて、過去の所定の時点における特徴点に基づく三次元画像を生成したり、複数の時点における三次元画像を比較可能に示したり、することが可能である。つまり、表示制御部45は、時系列に応じた三次元画像を生成可能である。
【0035】
以上のような構成により、データ管理装置2は、新画像を撮像していくことで特徴点DBを更新可能である。
【0036】
次に
図3には、制御部36が実行するデータ管理制御の手順を示すフローチャートが示されており、以下同フローチャートに基づき、
図1も参照しつつ本実施形態のデータ管理方法について説明する。
【0037】
まず、ステップS1として、制御部36の特徴抽出部40が、撮像部30により新画像Pnを撮像させる。これは
図1に示すように、データ管理装置2は、作業者Aが任意の測点Xにデータ管理装置2を設置して、操作部32を介した操作に応じて撮像を行う。厳密にはピンポール22や本体部21における撮像部30の取付位置等も計算するが、説明を簡略化するため当該測点Xを新画像の撮像位置として説明する。
【0038】
ステップS2として、制御部36の特徴抽出部40が、新画像Pnから特徴点を抽出する。また、特徴抽出部40は、抽出した特徴点に撮像時間情報等の撮像状況情報を付与する。
図1では、新画像Pnの特徴点として、建物Tの角部に対応する特徴点Fn1~Fn5の5つの特徴点が抽出されている。
【0039】
ステップS3として、制御部36の特徴マッチング部41が、新画像に撮像概略位置情報があるか否かを判定する。当該判定結果が真(Yes)である場合、即ち、撮像概略位置情報がある場合は、特徴マッチング部41はステップS4に処理を進める。一方、当該判定結果が偽(No)である場合、即ち、新画像に撮像概略位置情報がない場合は、特徴マッチング部41はステップS5に処理を進める。
【0040】
ステップS4では、制御部36の特徴マッチング部41は、記憶部35から、新画像Pnと撮像状況が近似する既存画像を検索して取得する。例えば特徴マッチング部41は、撮像位置又は撮像時刻が近い既存画像Peを取得する。
【0041】
ステップS5では、制御部36の特徴マッチング部41は、記憶部35から、新画像Pnと撮像内容が近似する既存画像を検索して取得する。例えば特徴マッチング部41は、
図1に示すように、同一の建物Tが写り込んでいる既存画像Peを取得する。
【0042】
ステップS4又はステップS5にて既存画像Peを取得した後、ステップS6として、制御部36の特徴マッチング部41は、既存画像Peの特徴点Feと新画像Pnの特徴点Fnとのマッチングを行う。具体的には、特徴マッチング部41は、両画像間の各特徴点の特徴量を比較して、既存画像Peの特徴点Feに対応する(即ち、特徴量が一致又は近似する)新画像Pnの特徴点Fnを抽出して対応付ける。例えば
図1では既存画像Peと新画像Pnとの建物Tにおいて、両画像間で一致する位置の特徴点が抽出される。
図1においては、既存画像Peの特徴点Fe1~Fe3が新画像Pnの特徴点Fn1~Fn3と一致しており、特徴マッチング部41は特徴点Fe1と特徴点Fn1、特徴点Fe2と特徴点Fn2、特徴点Fe3と特徴点Fn3をそれぞれ対応付ける。
【0043】
次にステップS7として、制御部36の撮像状況算出部42が、ステップS6にて対応付けされた特徴点から逆算して新画像の撮像状況を算出する。つまり、
図1に示すように撮像状況算出部42は対応付けされた特徴点Fn1~Fn3から、撮像位置(測点X)の座標や撮像姿勢等の撮像状況を算出する。
【0044】
ステップS8として、制御部36の差分特徴特定部43が、新画像の特徴点のうち、既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、ステップS7で算出した新画像の撮像状況に基づいて、対応付けされた特徴点との相対位置情報を差分特徴点に付与する。つまり、
図1に示すように差分特徴特定部43は、新画像Pnの特徴点Fn1~Fn5のうち、既存画像の特徴点Fe1~Fe3と対応付けされなかった差分特徴点Fn4、Fn5を抽出する。そして、差分特徴特定部43は、新画像Pnの測点Xの位置座標及び撮像状況から、対応付けされた特徴点Fn1~Fn3に対する差分特徴点Fn4、Fn5の相対関係を算出し、算出した相対位置情報を差分特徴点Fn4、Fn5のそれぞれに付与する。
【0045】
ステップS9として、制御部36のDB更新部44が、新画像Pnの情報を記憶部35に追加することで特徴点DBを更新する。具体的には、DB更新部44は、既存画像Peの特徴点Fe1~Fe3と対応付けされた特徴点Fn1~Fn3と、この対応付けされた特徴点Fn1~Fn3との相対位置情報が付与された特徴点Fn4、Fn5と、を有する新画像Pnを記憶部35に追加する。また、新画像Pnの各特徴点Fn1~Fn5には、撮像時間情報、撮像姿勢等の撮像状況情報が含まれている。これらの情報を含む新画像Pnが既存画像として記憶部35に記憶される。
【0046】
ステップS10として、制御部36の表示制御部45が、更新後の特徴点DBに基づく三次元画像を生成し、表示部33に表示し、当該ルーチンをリターンする。例えば、
図1において、表示制御部45が生成する三次元画像は、新画像の差分特徴点Fn4、Fn5が新規の特徴点である場合には、更新前には表示されなかった差分特徴点Fn4、Fn5の範囲が三次元画像に表示されることとなる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係るデータ管理システム1、データ管理装置2、データ管理方法、データ管理プログラムによれば、測量装置等を用いることなく、新画像を撮像して既存画像とのマッチングを行うことで、新画像の撮像位置及び撮像姿勢等の撮像状況を算出し、新しい特徴点の情報を更新していくことができる。これにより、作業現場の確認及び地形の状態把握をより簡易に行うことができる。例えば、記憶部35は、時系列的に特徴点を管理していることから、特徴点に変化(差分)があったということは対象の構造物又は地形の時間変化を把握することができる。つまり、新画像が撮影されるごとに対象物や地形の変化を把握することができる。
【0048】
また、特徴マッチング部41は、新画像の撮像状況と近似する撮像状況の既存画像を、新画像に対応する既存画像として取得することで、マッチングに適した既存画像を容易に取得することができる。
【0049】
また、特徴マッチング部41は、新画像に写っている内容と類似する既存画像を、新画像に対応する既存画像として取得することで、新画像の撮像状況が不十分であっても、マッチングに適した既存画像を取得することができる。
【0050】
また、特徴抽出部が新画像から抽出した特徴点に、撮像部30により撮像した撮像時間情報を付与することで、各特徴点を時系列的に管理することができる。
【0051】
さらに、表示制御部45が、記憶部35に記憶された既存画像に基づく三次元画像を生成することで、特徴点DBの更新に応じて新画像が撮像されるごとに三次元画像を生成していくことができ、作業現場の確認及び地形の状態把握をより一層簡易に行うことができる。
【0052】
以上で本開示の実施形態の説明を終えるが、本開示の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0053】
例えば、
図4には変形例に係るデータ管理システムの構成図が示されており、同図に基づき変形例のデータ管理システム101について説明する。
【0054】
変形例のデータ管理装置102は、本体部121が作業者Aの頭部への装着が可能であるウェアラブル装置である。データ管理装置102は、表示部133がいわゆるAR(拡張現実)表示が可能なヘッドマウントディスプレイ(HMD)である。撮像部130は、作業者Aの指向方向と同方向を撮像するよう、表示部133の取付位置に対応して設けられている。その他の構成については、上記実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0055】
当該変形例のデータ管理装置102は、例えば撮像部130により動画像を撮像し、図示しない制御部136がリアルタイムに特徴点DBを更新し表示部134に三次元画像をAR表示させる。
【0056】
以上のような構成とすることにより、作業者Aは、頭部にデータ管理装置2を装着し、現場を移動しながら周囲を指向するだけで特徴点DBが更新され、更新された特徴点に基づく三次元画像を表示部134を介してリアルタイムに確認することができる。これにより、作業現場の確認及び地形の状態把握をより一層簡易に行うことができる。
【0057】
このように、データ処理システム1A、撮像装置2A、並びにデータ処理システム1Aを利用したデータ処理方法及びデータ処理プログラムは、作業者Aによる作業を効率的に管理することができる。
【0058】
また、上記実施形態及び変形例では、データ管理装置2、102単体でデータ管理システム1、101を実現しているが、このような構成に限られず、一部の構成を外部装置が有していてもよい。例えば特徴点DBを外部の管理サーバが有する記憶部にて構築してもよい。この場合、管理サーバと1又は複数のデータ管理装置とは相互に通信可能に接続されている。このような構成のデータ管理システムによれば、特徴点DBを複数のデータ管理装置と容易に共有することができ、作業現場の確認及び地形の状態把握をより一層簡易に行うことができる。
【0059】
本実施形態の構成を例示すると以下のとおりである。
[1]
特徴点を含む既存画像が記憶された記憶部と、
新画像を撮像する撮像部と、
前記新画像から特徴点を抽出する特徴抽出部と、
前記記憶部から前記新画像に対応する既存画像を取得し、取得した既存画像の特徴点に対応する前記新画像の特徴点を抽出して対応付ける特徴マッチング部と、
前記対応付けされた前記新画像の特徴点から、前記新画像の撮像状況を算出する撮像状況算出部と、
前記新画像の特徴点のうち、前記既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、前記新画像の撮像状況に基づき前記対応付けされた特徴点との相対位置情報を前記差分特徴点に付与する差分特定部と、
前記差分特徴点に前記相対位置情報が付与された前記新画像を既存画像として前記記憶部に記憶する更新部と、
を備えるデータ管理装置。
[2]
前記撮像状況算出部は、前記撮像状況として前記新画像の撮像位置と撮像姿勢を算出する[1]に記載のデータ管理装置。
[3]
前記特徴マッチング部は、前記記憶部から前記新画像の撮像状況と近似する撮像状況の既存画像を、前記新画像に対応する既存画像として取得する[1]又は[2]に記載のデータ管理装置。
[4]
前記特徴マッチング部は、前記記憶部から前記新画像に写っている内容と類似する既存画像を、前記新画像に対応する既存画像として取得する[1]から[3]のいずれかに一つに記載のデータ管理装置。
[5]
前記特徴抽出部は、前記新画像から抽出した特徴点に、前記撮像部により撮像した撮像時間に関する情報を付与する[1]から[4]のいずれかに一つに記載のデータ管理装置。
[6]
前記記憶部に記憶された既存画像に基づく三次元画像を生成する表示制御部をさらに備える[1]から[5]のいずれかに一つに記載のデータ管理装置。
[7]
特徴点を含む既存画像が記憶された記憶部と、
新画像を撮像する撮像部と、
前記新画像から特徴点を抽出する特徴抽出部と、
前記記憶部から前記新画像に対応する既存画像を取得し、取得した既存画像の特徴点に対応する前記新画像の特徴点を抽出して対応付ける特徴マッチング部と、
前記対応付けされた前記新画像の特徴点から、前記新画像の撮像状況を算出する撮像状況算出部と、
前記新画像の特徴点のうち、前記既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、前記新画像の撮像状況に基づき前記対応付けされた特徴点との相対位置情報を前記差分特徴点に付与する差分特定部と、
前記差分特徴点に前記相対位置情報が付与された前記新画像を既存画像として前記記憶部に記憶する更新部と、
を備えるデータ管理システム。
[8]
記憶部が、特徴点を含む既存画像が記憶する記憶工程と、
撮像部が、新画像を撮像する撮像工程と、
特徴抽出部が、前記新画像から特徴点を抽出する特徴抽出工程と、
特徴マッチング部が、前記記憶部から前記新画像に対応する既存画像を取得し、取得した既存画像の特徴点に対応する前記新画像の特徴点を抽出して対応付ける特徴マッチング工程と、
撮像状況算出部が、前記対応付けされた前記新画像の特徴点から、前記新画像の撮像状況を算出する撮像状況算出工程と、
差分特定部が、前記新画像の特徴点のうち、前記既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、前記新画像の撮像状況に基づき前記対応付けされた特徴点との相対位置情報を前記差分特徴点に付与する差分特定工程と、
更新部が、前記差分特徴点に前記相対位置情報が付与された前記新画像を既存画像として前記記憶部に記憶する更新工程と、
を備えるデータ管理方法。
[9]
記憶部が、特徴点を含む既存画像が記憶する記憶工程と、
撮像部が、新画像を撮像する撮像工程と、
特徴抽出部が、前記新画像から特徴点を抽出する特徴抽出工程と、
特徴マッチング部が、前記記憶部から前記新画像に対応する既存画像を取得し、取得した既存画像の特徴点に対応する前記新画像の特徴点を抽出して対応付ける特徴マッチング工程と、
撮像状況算出部が、前記対応付けされた前記新画像の特徴点から、前記新画像の撮像状況を算出する撮像状況算出工程と、
差分特定部が、前記新画像の特徴点のうち、前記既存画像の特徴点と対応付けされなかった差分特徴点を抽出し、前記新画像の撮像状況に基づき前記対応付けされた特徴点との相対位置情報を前記差分特徴点に付与する差分特定工程と、
更新部が、前記差分特徴点に前記相対位置情報が付与された前記新画像を既存画像として前記記憶部に記憶する更新工程と、
をコンピュータに実行させるためのデータ管理プログラム。
【符号の説明】
【0060】
1,101 データ管理システム
2,102 データ管理装置
21 本体部
22 ピンポール
30 撮像部
31 姿勢検出部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 記憶部
36 制御部
40 特徴抽出部
41 特徴マッチング部
42 撮影状況算出部
43 差分特徴特定部
44 DB更新部
45 表示制御部