(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139332
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】天井裏走行ロボットおよび天井裏配線支援システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20241002BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20241002BHJP
B25J 5/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G05D1/02 K
H02G1/06
B25J5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050222
(22)【出願日】2023-03-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和 4年 8月 1日に、2022年(第40回)電気設備学会 全国大会 講演論文集にて公開 令和 4年 9月 2日に、2022年(第40回)電気設備学会 全国大会にて公開 令和 4年11月10日に、第55回 2022建築設備技術会議にて公開 令和 5年 2月 3日に、2022年度技術開発報告会にて公開
(71)【出願人】
【識別番号】000141060
【氏名又は名称】株式会社関電工
(71)【出願人】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】武本 純平
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 勇治
【テーマコード(参考)】
3C707
5G352
5H301
【Fターム(参考)】
3C707AS14
3C707CS08
3C707HS27
3C707KS12
3C707KT01
3C707KT05
3C707WA16
5G352CA07
5G352CH05
5H301AA03
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD05
5H301DD13
5H301GG06
5H301GG07
5H301GG09
(57)【要約】
【課題】遠方まで撮影可能な天井裏走行ロボット等を提供すること。
【解決手段】天井裏走行ロボット40は、複数の車輪46が取り付けられたフレーム43と、先端部に全天球カメラ44が取り付けられたカメラ支持柱441と、前記カメラ支持柱441を、前記フレーム43に対して直立状態と水平状態とに回動させる回動部445とを備える。天井裏走行ロボット40は、前記カメラ支持柱441が水平状態になったことを検出する水平検知センサ448を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪が取り付けられたフレームと、
先端部に全天球カメラが取り付けられたカメラ支持柱と、
前記カメラ支持柱を、前記フレームに対して直立状態と水平状態とに回動させる回動部と
を備える天井裏走行ロボット。
【請求項2】
前記カメラ支持柱が水平状態になったことを検出する水平検知センサを備える
請求項1に記載の天井裏走行ロボット。
【請求項3】
前記フレームに取り付けられた第1照明部を備える
請求項1に記載の天井裏走行ロボット。
【請求項4】
前記カメラ支持柱に取り付けられた第2照明部を備える
請求項1に記載の天井裏走行ロボット。
【請求項5】
前記フレームは、
多角形の支持枠と、
前記支持枠のそれぞれの頂点から前記支持枠から斜め下向きに延びるモータ保持枠と、
それぞれの前記モータ保持枠に保持されたモータと、
前記支持枠の下面に取り付けられた台座と
を備え、
前記車輪は、それぞれのモータのモータ軸に取り付けられており、
前記回動部は、前記台座の上に配置されている
請求項1に記載の天井裏走行ロボット。
【請求項6】
前記フレームは、絶縁体で覆われている
請求項1に記載の天井裏走行ロボット。
【請求項7】
前記車輪は、障害物を踏んだ場合に前記障害物を包み込むように変形する
請求項1に記載の天井裏走行ロボット。
【請求項8】
前記車輪は、
円筒形の車軸と、
前記車軸と同じ高さを有する円筒形のリムと、
前記車軸と前記リムとを接続する複数のスポークとを備え、
前記スポークは、前記車軸の高さと同一長さの短辺を有する長方形板状であり、
一体のゴム製である
請求項1に記載の天井裏走行ロボット。
【請求項9】
前記リムは、ラバーコーティングされている
請求項8に記載の天井裏走行ロボット。
【請求項10】
前記モータ軸の側面を覆い、該モータ軸に固定された車輪保持具を備え、
前記車輪保持具は、
前記モータ軸と同軸に配置された柱状部と、
前記柱状部の前記モータ保持枠側の端部に配置された鍔部と、
前記鍔部から前記柱状部を挟んで延びる一組のレバー部とを備え、
前記レバー部を互いに近づけるように弾性変形させた場合に、前記車輪を着脱可能であり、
前記レバー部を弾性復帰させた場合に、前記車輪を保持する
請求項5に記載の天井裏走行ロボット。
【請求項11】
コントローラと、ケーブルにより前記コントローラに接続された天井裏走行ロボットとを備える天井裏配線支援システムにおいて、
前記天井裏走行ロボットは、
複数の車輪が取り付けられたフレームと、
先端部に全天球カメラが取り付けられたカメラ支持柱と、
前記カメラ支持柱を、前記フレームに対して直立状態と水平状態とに回動させる回動部とを有し、
前記コントローラは、
前記全天球カメラにより撮影された画像をリアルタイムで表示する表示部と、
前記回動部を動作させる第1スイッチとを備える
天井裏配線支援システム。
【請求項12】
第1ドラムと、前記第1ドラムよりも小径であり、前記第1ドラムに同軸に固定された第2ドラムとを有するケーブルリールを備え、
前記ケーブルは、途中で前記第1ドラムの縁に固定されている
請求項11に記載の天井裏配線支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井裏走行ロボットおよび天井裏配線支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
障害物を乗り越えながら天井裏を移動して、配線材を敷設できるロボットが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のロボットは、周囲を撮影するカメラを有する。ユーザは、カメラにより撮影された画像を見て、ロボットをリモートコントロールする。
【0005】
しかしながら特許文献1のロボットは、天井裏の狭い空間を移動できるように、低背に構成されている。カメラも低い位置に配置されているため、たとえば障害物の向こう側は撮影できない。したがってロボットを操縦するユーザは、必ずしも最適なルートを選択できない。
【0006】
一つの側面では、遠方まで撮影可能な天井裏走行ロボット等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
天井裏走行ロボットは、複数の車輪が取り付けられたフレームと、先端部に全天球カメラが取り付けられたカメラ支持柱と、前記カメラ支持柱を、前記フレームに対して直立状態と水平状態とに回動させる回動部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
一つの側面では、遠方まで撮影可能な天井裏走行ロボット等を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】天井裏配線支援システムの構成を説明する説明図である。
【
図2】カメラ支持柱を直立状態にした天井裏走行ロボットの外観写真である。
【
図3】カメラ支持柱を直立状態にした天井裏走行ロボットの外観写真である。
【
図4】カメラ支持柱を水平状態にした天井裏走行ロボットの外観写真である。
【
図5】コントローラの外観を説明する説明図である。
【
図6】ケーブルリールの構成を説明する説明図である。
【
図8】骨格に外装部材である絶縁カバーを取り付けたフレームを説明する説明図である。
【
図9】プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。
【
図10】実施の形態2の天井裏走行ロボットの一部を拡大した外観写真である。
【
図11】車輪を取り外した状態を示す外観写真である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施の形態1]
図1は、天井裏配線支援システム10の構成を説明する説明図である。天井裏配線支援システム10は、コントローラ20と、天井裏走行ロボット40とを備える。コントローラ20と天井裏走行ロボット40とは、ケーブル15で接続されている。ケーブル15は、信号線と電源線とを含む多芯ケーブルである。ケーブル15の途中にケーブルリール60が接続されている。
【0011】
天井裏走行ロボット40は、全天球カメラ44、カメラ支持柱441、回動部445、水平検知センサ448、通知ライト449、第1照明部41、第2照明部42、右前モータ451、左前モータ452、右後モータ453および左後モータ454を含む。以後の説明では、4個のモータを特に区別する必要がない場合には、単にモータ45と記載する場合がある。それぞれのモータ45のモータ軸458(
図8参照)には、車輪46(
図2参照)が取り付けられている。
【0012】
第1照明部41は、第1ライト411および第2ライト412を含む。全天球カメラ44と回動部445とは、カメラ支持柱441により連結されている。カメラ支持柱441の側面は、絶縁性熱収縮チューブ、絶縁シート、または絶縁性塗装等により覆われている。それぞれの構成要素の配置および機能については、後述する。
【0013】
コントローラ20は、第1スイッチ21、第2スイッチ22、第3スイッチ23、照明スイッチ24、電源スイッチ25、および情報処理装置30を含む。第1スイッチ21は、ケーブル15を介して回動部445に接続されている。第2スイッチ22は、ケーブル15を介して右前モータ451および右後モータ453に接続されている。第3スイッチ23は、ケーブル15を介して左前モータ452および左後モータ454に接続されている。
【0014】
なお、それぞれのスイッチと、モータ45等との間に配置されて、モータ45等に駆動電力を供給するドライバについては、図示を省略する。ドライバは、コントローラ20内に配置されていても、天井裏走行ロボット40内に配置されていても、コントローラ20と天井裏走行ロボット40との間に配置されていてもよい。
【0015】
照明スイッチ24は、ケーブル15を介して第1照明部41および第2照明部42に接続されている。電源スイッチ25は、コントローラ20の電源のON-OFFを切り替える。それぞれのスイッチの機能については後述する。
【0016】
情報処理装置30は、制御部31、主記憶装置32、補助記憶装置33、通信部34、およびタッチパネル35を含む。制御部31は、本実施の形態のプログラムを実行する演算制御装置である。制御部31には、一または複数のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはマルチコアCPU等が使用される。制御部31は、バスを介して情報処理装置30を構成するハードウェア各部と接続されている。
【0017】
主記憶装置32は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置32には、制御部31が行なう処理の途中で必要な情報および制御部31で実行中のプログラムが一時的に保存される。
【0018】
補助記憶装置33は、SRAM、フラッシュメモリ、ハードディスクまたは磁気テープ等の記憶装置である。補助記憶装置33には、制御部31に実行させるプログラム、およびプログラムの実行に必要な各種データが保存される。通信部34は、情報処理装置30とネットワークとの間の通信を行なうインターフェイスである。
【0019】
タッチパネル35は、液晶表示パネルまたは有機EL(Electro-Luminescence)表示パネル等の表示部351と、表示部351に積層された入力部352とを含む。本実施の形態の情報処理装置30は、汎用のタブレットまたはスマートフォン等の、いわゆるスレート型の情報機器である。情報処理装置30は、コントローラ20用の専用ハードウェアであってもよい。
【0020】
図2および
図3は、カメラ支持柱441を直立状態にした天井裏走行ロボット40の外観写真である。
図2は、天井裏走行ロボット40を斜め上から撮影した写真であり、
図3は天井裏走行ロボット40をほぼ真横から撮影した写真である。
図4は、カメラ支持柱441を水平状態にした天井裏走行ロボット40の外観写真である。
図1から
図4を使用して、天井裏走行ロボット40の構成を説明する。
【0021】
天井裏走行ロボット40は、
図1を使用して説明した構成要素に加えて、フレーム43を備える。フレーム43は、略長方形枠である支持枠431(
図8参照)のそれぞれの頂点から斜め下向きに4本の脚が延びた形状である。それぞれの脚は略長円板状のモータ保持枠433(
図8参照)である。支持枠431の短辺を挟むモータ保持枠433同士は平行に配置されている。支持枠431の長辺を挟む2本のモータ保持枠433は、支持枠431に対して略垂直な平面上に、下向きに広がる角度で配置されている。支持枠431の下面に、長方形板状の台座438が取り付けられている。
【0022】
それぞれのモータ保持枠433に、モータ45(
図8参照)と、車輪46とが取り付けられている。4個の車輪46は、回転軸が支持枠431の短辺に平行になるように配置されている。すなわち天井裏走行ロボット40が単に直進または後退する場合には、支持枠431の長辺に平行な向きに走行する。すべての車輪46が床面に置かれて静止した状態では、支持枠431は略水平に保持される。
【0023】
以後の説明では、
図2に示す座標軸により、天井裏走行ロボット40の走行方向および向きを説明する場合がある。すなわち、
図2において手前側の車輪46が左前輪であり、右端の車輪46が左後輪である。
【0024】
回動部445は、台座438の上に固定されている。回動部445は、モータを含む。モータの軸に、カメラ支持柱441の一端が取り付けられている。カメラ支持柱441は、角筒形状であり、先端部に全天球カメラ44が取り付けられている。
【0025】
全天球カメラ44は、複数の魚眼レンズ備えており、画像処理により全天球画像をリアルタイムで生成する。全天球カメラ44で生成された全天球画像は、無線または有線の通信により情報処理装置30にリアルタイムで転送されて、表示部351に表示される。全天球カメラ44、および、全天球カメラ44で撮影された全天球画像を表示部351にリアルタイムで表示するソフトウェアは従来から使用されているため、詳細については説明を省略する。
【0026】
カメラ支持柱441の各面に、第2照明部42が取り付けられている。第2照明部42は、たとえば白色LED(Light Emitting Diode)である。カメラ支持柱441の前面および後面に、通知ライト449が取り付けられている。通知ライト449は、たとえば赤色LED等の、非白色LEDである。全天球カメラ44、第2照明部42および通知ライト449に接続される各種配線材は、カメラ支持柱441の内部に挿通されている。
【0027】
フレーム43を構成する長方形枠の前側の短辺上面に、水平検知センサ448が配置されている。水平検知センサ448は、たとえば
図4に示すようにカメラ支持柱441が水平になった場合にON状態になるリミットスイッチである。水平検知センサ448は、磁気または光等によりカメラ支持柱441が接近または接触したことを検出する、接触センサまたは近接センサであってもよい。水平検知センサ448は、カメラ支持柱441の傾きを検出する傾斜センサであってもよい。
【0028】
水平検知センサ448が設置された短辺の前側に、第1ライト411が配置されている。第1ライト411は、たとえば白色LEDであり、天井裏走行ロボット40の前方を照明する。反対側の短辺の後側に、第2ライト412が配置されている。第2ライト412は、たとえば白色LEDであり、天井裏走行ロボット40の後方を照明する。第1ライト411と第2ライト412と、第2照明部42との、3つの光源を同時に使用することにより、全天球カメラ44の視野全体を明るく照明できる。
【0029】
車輪46は、車軸465、リム466およびスポーク467を備える。車軸465とリム466とは、同じ高さを有する円筒形である。リム466は、車軸465の外側に、車軸465と略同心に配置されている。スポーク467は車軸465の高さと略同一長さの短辺を有する長方形板状である。スポーク467の一方の短辺は車軸465の外周面に、他方の短辺はリム466の内周面にそれぞれ接続されている。
【0030】
リム466の厚さと、スポーク467の厚さとは略同一である。車軸465の厚さは、リム466の厚さの3倍程度である。車輪46は、たとえばシリコーンゴム、またはウレタンゴム等の柔軟な絶縁材料製である。車輪46は、たとえばモールド成形等の成形技術を用いて一体に作製されている。車輪46は、三次元プリンタにより一体に作製されてもよい。車輪46は、たとえば車軸465の内部に硬質プラスチック製または金属製の補強材を埋め込んだインサート成形により作製されてもよい。
【0031】
リム466の外面は、ラバーコーティングされていてもよい。ラバーコーティングは、たとえばスプレータイプのコーティング剤により行なえる。ラバーコーティングによる滑り止め効果により、滑りやすい場所でも円滑に走行する天井裏走行ロボット40を実現できる。
【0032】
車輪46は、全体が柔軟である。たとえば
図3の左後輪は、床面と接する部分が床面の形状にならって平坦になっている。車輪46が回転した場合、リム466の平坦になっている部分は、弾性復帰して円筒形に戻る。
【0033】
天井裏走行ロボット40の進路に、たとえば車輪46の直径の四割以下程度の高さの障害物が存在する場合、車輪46は障害物の表面を包み込むように変形しながら、当該障害物を乗り越える。障害物の高さに比べて、車輪46の中心軸の高さの変化量が少ないため、障害物を乗り越える際の天井裏走行ロボット40の転倒を防止できる。全天球カメラ44の高さの変動も少ないため、画面の揺れが少なく、ユーザが疲れにくい天井裏配線支援システム10を実現できる。
【0034】
図5は、コントローラ20の外観を説明する説明図である。コントローラ20は、箱型の筐体の中央部に市販のスレート型の情報処理装置30が、タッチパネル35を露出させた状態で取り付けられた形状である。タッチパネル35の左側に第2スイッチ22が、右側に第3スイッチ23がそれぞれ配置されている。第1スイッチ21は、第3スイッチ23の上側に配置されている。照明スイッチ24は、第3スイッチ23の下側に配置されている。電源スイッチ25は、第2スイッチ22の下側に配置されている。
【0035】
第1スイッチ21、第2スイッチ22および第3スイッチ23は、それぞれOFF状態、第1接続状態、および第2接続状態の3通りの状態に切り替え可能な、いわゆる三投式のロッカスイッチである。第2スイッチ22を例にして説明する。第2スイッチ22がOFF状態である場合、右前モータ451および右後モータ453は回転しない。
【0036】
第2スイッチ22が第1接続状態である場合、右前モータ451および右後モータ453はたとえば天井裏走行ロボット40を前進させる方向に回転する。第1スイッチ21が第2接続状態である場合、右前モータ451および右後モータ453はたとえば天井裏走行ロボット40を後退させる方向に回転する。
【0037】
なおコントローラ20は、右前モータ451、左前モータ452、右後モータ453および左後モータ454をそれぞれ個別に前進方向または後退方向に回転させるスイッチを有してもよい。
【0038】
照明スイッチ24および電源スイッチ25は、ON状態とOFF状態とを切り替え可能な、いわゆる単投式のスイッチである。照明スイッチ24がON状態である場合、第1照明部41および第2照明部42は点灯し、照明スイッチ24がOFF状態である場合、第1照明部41および第2照明部42は消灯する。なお、コントローラ20は第1ライト411、第2ライト412および第2照明部42を個別に点灯および消灯させるスイッチを有してもよい。
【0039】
電源スイッチ25がON状態である場合、コントローラ20は動作状態になり、ケーブル15を介して天井裏走行ロボット40に電源および制御信号を供給する。電源スイッチ25がOFF状態である場合、コントローラ20は動作しない。照明スイッチ24および電源スイッチ25は、コントローラ20の表面からの突出量が少なく、ユーザの手が不用意に触れないように構成されていることが望ましい。照明スイッチ24および電源スイッチ25は、ON状態のときに点灯し、OFF状態のときに消灯することにより、ユーザが動作状態を容易に把握できるように構成されていることが望ましい。
【0040】
コントローラ20の筐体には、たとえば肩掛け用のベルトが装着されており、ユーザが立ったまま、または、歩きながらでも操作できることが望ましい。
【0041】
図6は、ケーブルリール60の構成を説明する説明図である。ケーブルリール60は、第1ドラム61、第2ドラム62、ハンドル65、リール枠66およびステップ67を備える。第2ドラム62は第1ドラム61よりも小径である。第1ドラム61と第2ドラム62とは、同軸に固定されている。第1ドラム61の端面、第1ドラム61と第2ドラム62との間、および第2ドラム62の端面には、それぞれ鍔が設けられている。
【0042】
第1ドラム61および第2ドラム62に固定された中心軸は、リール枠66に支持されている。中心軸にハンドル65が接続されている。リール枠66の接地部には、第1ドラム61および第2ドラム62の軸と略平行に延びるステップ67が固定されている。
【0043】
前述のとおり、コントローラ20と天井裏走行ロボット40とは、多芯ケーブルであるケーブル15により接続されている。ケーブル15は、第2ドラム62との間の鍔に設けられたケーブル固定部63に固定されている。ケーブル固定部63は、たとえば鍔に設けられ貫通孔と、貫通孔の縁にケーブル15を結びつける結束バンドにより構成される。ケーブル固定部63は、鍔にケーブル15を接着固定する接着部であってもよい。
。
【0044】
ケーブル固定部63から天井裏走行ロボット40までのケーブル15の長さと、ケーブル固定部63からコントローラ20までのケーブル15の長さとの比は、第1ドラム61の直径と第2ドラム62との直径との比とほぼ一致していることが望ましい。
【0045】
図7は、フレーム43の骨格を説明する説明図である。フレーム43の骨格は、2本の長辺パイプ491、2本の短辺棒492、4本の脚パイプ493、4本のモータ保持筒494、および4個のジョイント495を含む。長辺パイプ491は、角型パイプである。短辺棒492は、丸棒である。脚パイプ493は、円形パイプである。
【0046】
モータ保持筒494は、外周面がテーパ状の筒型である。ジョイント495は、略円盤形状である。モータ保持筒494およびジョイント495は、外周面の一か所に平坦部を有する。平坦部に、脚パイプ493の両端がそれぞれ接続されている。すなわち、ジョイント495は、長辺パイプ491と、短辺棒492と、脚パイプ493とを連結する連結部品の機能を有する。モータ保持筒494には、半径方向にスリ割りと、図示を省略するネジ穴が設けられており、内側に挿入されたモータ45を強固に保持できる。
【0047】
長辺パイプ491と短辺棒492とは、ジョイント495を介して接続されて、長方形の枠型を構成している。脚パイプ493は、それぞれのジョイント495から斜め下向きに延びている。骨格の段階では、前側の構造と後ろ側の構造とは同一である。
【0048】
図8は、骨格に外装部材である絶縁カバー432を取り付けたフレーム43を説明する説明図である。絶縁カバー432は、複数の部品に分かれた絶縁性プラスチック製である。絶縁カバー432は、たとえばスナップフィットにより互いに結合する。ここでスナップフィットとは、プラスチック等の弾性材料製部品同士の結合に用いられる機械的接合手法の一種である。スナップフィットによる部品同士の結合は従来から広く使用されているため、詳細については説明を省略する。絶縁カバー432と骨格とは、たとえばネジ止めにより固定される。絶縁カバー432は、フレーム43を覆う絶縁体の例示である。
【0049】
図7を使用して説明した骨格と、絶縁カバー432との間には、各種配線材を収容する空洞が形成されている。絶縁カバー432には、複数のケーブル孔435が設けられており、配線材の引き回しに使用される。絶縁カバー432と骨格との間の空間を使用して、配線材が天井裏走行ロボット40の表面に露出しないようにすることにより、走行中に配線材が障害物に引っ掛かるトラブルを防止できる。
【0050】
絶縁カバー432のうち、一方の短辺棒492を覆う部分には、コネクタ48が設けられている。コネクタ48は、ケーブル15と天井裏走行ロボット40との接続に使用される。
【0051】
図8の左端に例示するように、モータ保持筒494にモータ45が、モータ軸458を左右方向外側に向けて取り付けられる。骨格に絶縁カバー432を固定するネジに金属製ネジが使用された場合には、ネジの頭は絶縁性シート等で覆われることが望ましい。絶縁カバー432の一部は、絶縁性の熱収縮チューブ、または、絶縁性シート等で代用されてもよい。
【0052】
絶縁カバー432の2本の長辺パイプ491を覆う部分の下側に、台座438が取り付けられて、フレーム43が完成する。なお、台座438の下面には、天井裏走行ロボット40の制御用基板が取り付けられてもよい。
【0053】
図1から
図8を使用して、天井裏配線支援システム10の使用法の概要および動作を説明する。ユーザは、事前にケーブルリール60に巻き付けられていたケーブル15をほどく。ユーザは、コントローラ20を商用電源または外部バッテリーに接続する。ユーザは、電源スイッチ25を押して、天井裏配線支援システム10を起動させ、天井裏配線支援システム10の動作確認を行う。
【0054】
ユーザは、たとえば結束バンド等を使用して、通線ワイヤを天井裏走行ロボット40に固定する。ユーザは、たとえば点検口または工事用通路を介して天井裏に天井裏走行ロボット40を置く。ユーザは、照明スイッチ24を操作して第1照明部41および第2照明部42を点灯させ、第1スイッチ21を操作してカメラ支持柱441を直立させる。
【0055】
ユーザは、タッチパネル35に表示される画像を見ながら、第2スイッチ22および第3スイッチ23を操作して天井裏走行ロボット40を制御する。たとえばユーザが、第2スイッチ22と第3スイッチ23との両方を前進方向に操作した場合、天井裏走行ロボット40は直進する。同様にユーザが第2スイッチ22と第3スイッチ23との両方を後退方向に操作した場合、天井裏走行ロボット40は後退する。
【0056】
ユーザが、第3スイッチ23のみを前進方向に操作した場合、天井裏走行ロボット40の左前モータ452および左後モータ454のみが前進方向に回転し、天井裏走行ロボット40は右折する。ユーザが第3スイッチ23を前進方向に、第2スイッチ22を後退方向に操作した場合、天井裏走行ロボット40は小さい回転半径で右折する。
【0057】
進行方向の上部に障害物がある場合、ユーザは第1スイッチ21を操作する。回動部445がカメラ支持柱441を前側に回動させる。カメラ支持柱441が水平になったことを水平検知センサ448が検出した場合、通知ライト449が点滅する。通知ライト449の点滅光は、全天球カメラ44により撮影された画像に映り込む。表示部351を見て通知ライト449が点滅していることに気が付いた場合、ユーザは第1スイッチ21の操作をやめる。回動部445およびカメラ支持柱441が静止する。
【0058】
カメラ支持柱441が水平になったことを水平検知センサ448が検出した場合に、自動的に回動部445の動作が停止するように、ハードウェア的に配線が行われていてもよい。
【0059】
ユーザは、タッチパネル35に表示される画面に映りこむ通知ライト449の点滅光により、カメラ支持柱441が水平になっていることを認識できる。したがって、ユーザが天井裏走行ロボット40の状態を誤解して、操作を誤ることを防止できる。
【0060】
カメラ支持柱441が水平になったことを水平検知センサ448が検出した場合、第1ライト411が消灯してもよい。全天球カメラ44と第1ライト411とが近接した状態で、第1ライト411の照明光が全天球カメラ44に入射することによる、ハレーションおよびフレア等の発生を防止できる。
【0061】
障害物のある場所を通過したのち、ユーザは第1スイッチ21を操作する。全天球カメラ44がカメラ支持柱441を後ろ側に回動させて、直立状態に戻す。
図4に示すように、カメラ支持柱441の根本にはストッパ446が配置されており、カメラ支持柱441が後方に倒れすぎることが防止されている。カメラ支持柱441が水平状態ではなくなったことは、水平検知センサ448により検出されて、通知ライト449は消灯する。
【0062】
なお天井裏走行ロボット40は、水平検知センサ448の動作を検出して、通知ライト449、回動部445および第2照明部42を適切に制御するプロセッサを搭載していてもよい。
【0063】
ユーザは、必要に応じて第2スイッチ22および第3スイッチ23を操作して天井裏走行ロボット40を後退させる。制御部31は、表示部351に表示する画像を180度回転させる。これにより、ユーザが見る画像の向きと、第2スイッチ22および第3スイッチ23の操作による右折および左折の向きが一致するため、後退中もユーザはストレスなく天井裏走行ロボット40を操作できる。
【0064】
天井裏走行ロボット40が目的地に到着した後、ユーザは出発地とは別の点検口等から天井裏走行ロボット40を取り出す。ユーザは、通線ワイヤを天井裏走行ロボット40から取り外す。ユーザは、通線ワイヤに配線材を取り付ける。その後ユーザは、出発地側から通線ワイヤを引き戻すことにより、配線材を敷設する。
【0065】
なお、敷設する配線材が短く、天井裏走行ロボット40の牽引力で配線材自体を運べる場合には、通線ワイヤの代わりに敷設する配線材が天井裏走行ロボット40に取り付けられてもよい。
【0066】
ユーザは、コントローラ20および天井裏走行ロボット40をケーブルリール60の近くに置く。ユーザがハンドル65を回すことにより、第1ドラム61と第2ドラム62とが一体に回転する。ケーブル15が第1ドラム61および第2ドラム62に巻き取られる。ユーザは、ハンドル65を回す際に、片足でステップ67を踏むことにより、ケーブルリール60の転倒を防止できる。
【0067】
以上により、使用後の天井裏配線支援システム10の片づけが完了する。なお、コントローラ20および天井裏走行ロボット40は、ケーブル15から取り外しされた状態で保管されてもよい。
【0068】
ケーブル15を、天井裏走行ロボット40側とコントローラ20側とに分けて巻き取ることにより、ケーブル15の絡まりを防止し、必要なときに速やかに使用可能な天井裏配線支援システム10を提供できる。
【0069】
図9は、プログラムの処理の流れを説明するフローチャートである。フローチャートへの記載は省略するが、
図9を使用して説明するプログラムの動作中、制御部31は全天球カメラ44により撮影された画像をリアルタイムで取得して、リアルタイムで表示部351に表示し続ける。さらに制御部31は、たとえばユーザによる画像の拡大、縮小、画質調整等の操作を受け付けて、表示を変更する。
【0070】
制御部31は、天井裏走行ロボット40が前進中であるか否かを判定する(ステップS501)。判定は、たとえば第2スイッチ22および第3スイッチ23の操作状態に基づいて行われる。判定は、全天球カメラ44により撮影された画像中の被写体が動く向きに基づいて行われてもよい。
【0071】
前進中であると判定した場合(ステップS501でYES)、制御部31は全天球カメラ44により撮影された画像を通常の態様で表示部351に表示する(ステップS502)。前進中ではないと判定した場合(ステップS501でNO)、制御部31は天井裏走行ロボット40が後退中であるか否かを判定する(ステップS503)。
【0072】
後退中であると判定した場合(ステップS503でYES)、制御部31は全天球カメラ44に撮影された画像を180度回転させた態様で表示部351に表示する(ステップS504)。ステップS502の終了後、ステップS504の終了後、または後退中ではないと判定した場合(ステップS503でNO)、制御部31は処理を終了するか否かを判定する(ステップS505)。たとえばユーザから天井裏走行ロボット40の動作を終了する旨の指示を受け付けた場合、制御部31は処理を終了すると判定する。
【0073】
処理を終了しないと判定した場合(ステップS505でNO)、制御部31はステップS501に戻る。処理を終了すると判定した場合(ステップS505でYES)、制御部31は処理を終了する。
【0074】
図9を使用して説明したプログラムによると、たとえば天井裏走行ロボット40が停止中または右左折中である場合には、表示部351の表示状態は変化しない。天井裏走行ロボット40が前進中である場合と、後退中である場合とでは、表示部351の表示状態が180度回転する。以上により、ユーザが見る画像の向きと、第2スイッチ22および第3スイッチ23の操作による右折および左折の向きが一致する天井裏配線支援システム10を実現できる。
【0075】
図9を使用して説明したプログラムは、たとえばネットワークを介して補助記憶装置33にダウンロードされて、情報処理装置30にインストールされて動作する。
【0076】
なお制御部31は、カメラ支持柱441が水平状態である場合に、全天球カメラ44により撮影された全天球画像を回転させて、進行方向が表示部351の中央になるように表示を制御してもよい。
【0077】
回動部445は、ユーザによる操作に基づいて直立状態と水平状態との間の任意の角度でカメラ支持柱441を停止させてもよい。たとえばユーザは、全天球カメラ44で撮影された画像を見ながら、全天球カメラ44が上方の障害物に衝突しないギリギリの高さになるように回動部445を制御できる。
【0078】
本実施の形態によると、カメラ支持柱441を直立させることにより、遠方まで俯瞰した画像を撮影可能な天井裏走行ロボット40を提供できる。ユーザは、広い範囲を確認して、適切な走行経路を選択できる。本実施の形態によると、カメラ支持柱441を倒置させることにより、上部に障害物がある場所でも使用可能な天井裏走行ロボット40を提供できる。
【0079】
全天球カメラ44を使用することにより、天井裏走行ロボット40自身の状態、および天井裏走行ロボット40と周囲の設備類等との位置関係を表示する天井裏配線支援システム10を提供できる。ユーザは、遠方と足元との両方をみて、適切に天井裏走行ロボット40を制御できる。
【0080】
フレーム43の骨格がパイプにより構成されているため、軽量な天井裏走行ロボット40を提供できる。軽量であるため、ユーザが天井裏から天井裏走行ロボット40を出し入れする作業を安全に行える。
【0081】
車輪46は絶縁性のゴム製であり、フレーム43は絶縁カバー432で覆われているため、工事中でむき出しになっている通電箇所に接触してもショート等を引き起こさない天井裏配線支援システム10を提供できる。したがって、たとえば建設中の建物の天井裏でも安全に使用できる天井裏配線支援システム10を提供できる。
【0082】
全天球カメラ44は、天井裏走行ロボット40の上部に配置されているため、天井裏走行ロボット40および天井裏走行ロボット40周囲の床面の状態を撮影できる。前述のとおり、全天球カメラ44により撮影された画像はリアルタイムで表示部351に表示される。ユーザは、タッチパネル35を操作して、表示された画像の拡大、縮小および回転等を行なえる。
【0083】
それぞれの車輪46に駆動用のモータ45が取り付けられた、いわゆる四輪駆動方式であるため、凸凹の大きい場所であっても安定して走行可能な天井裏走行ロボット40を提供できる。たとえば、牽引中の配線リードが外れた、または天井裏走行ロボット40が異物をひっかけた等のトラブルが生じた場合であっても、ユーザは天井裏走行ロボット40の状態を確認して、対応策を検討できる。
【0084】
通知ライト449は、フレーム43に取り付けられていてもよい。天井裏走行ロボット40は、3個または5個以上の車輪46を有してもよい。支持枠431は、車輪46の数に対応する頂点を有する多角形枠であることが望ましい。フレーム43の左右に照明用のLED等が取り付けられていてもよい。
【0085】
第2スイッチ22および第3スイッチ23の代わりに、ジョイスティック型の入力インターフェイスが設けられていてもよい。電源スイッチ25以外のスイッチは、タッチパネル35の画面に表示されても良い。
【0086】
天井裏走行ロボット40は、たとえば天井裏の点検作業にも使用できる。天井裏走行ロボット40は、たとえば床下への配線材の敷設および床下の点検作業にも利用できる。天井裏走行ロボット40は、たとえば電車、船舶、または飛行機等の大型移動体の天井裏または床下への配線材の敷設および点検作業に利用できる。
【0087】
[実施の形態2]
本実施の形態は、車輪46を容易に交換できる天井裏走行ロボット40に関する。実施の形態1と共通する部分については、説明を省略する。
【0088】
図10は、実施の形態2の天井裏走行ロボット40の一部を拡大した外観写真である。車軸465からレバー部476の先端が2個突出している。
図11は、車輪46を取り外した状態を示す外観写真である。なお、
図11に移りこんでいる車輪46は、後述する変形例の車輪46である。
図8を使用して説明したモータ45の外側に、レバー部476を備える車輪保持具47が取り付けられている。
【0089】
図12は、車輪保持具47の斜視図である。
図13は、車輪保持具47の半断面図である。
図14は、車輪保持具47の上面図である。
図12から
図14を使用して、車輪保持具47の構造を説明する。
【0090】
車輪保持具47は、前述のレバー部476に加えて、角柱部475および鍔部473を有する。角柱部475は、略正方形柱状である。角柱部475は、本実施の形態の柱状部の例示である。角柱部475の一方の端部に、略円盤上の鍔部473が設けられている。鍔部473から、略長方形板状のレバー部476が2枚、角柱部475を挟んで突出している。レバー部476は、角柱部475の4つの側面のうち、たがいに隣接しない2つの側面とそれぞれ略並行である。
【0091】
レバー部476は、先端および二つの長辺の中間に、角柱部475とは反対側に突出するリブを有する。先端に設けられたリブと、長辺の中間に設けられたリブとは、略T字形を形成している。角柱部475には長手方向に貫通するモータ軸孔478が設けられている。
【0092】
図13に示すように、モータ軸孔478は角柱部475側が太くなった段付き孔である。モータ軸孔478は、モータ45を収容可能な寸法である。モータ軸孔478の細径部は、モータ軸458とゆるみ嵌めで勘合する寸法である。車輪保持具47は、硬質プラスチックの射出成型により、一体に形成されている。
【0093】
図11に示すように、モータ軸458は平面部を有するDカット軸になっており、止ネジ孔477に挿入されたネジによりモータ軸458と車輪保持具47とが結合されている。モータ軸孔478の太径部の内径は、モータ45の外形よりも大きい。そのため、モータ軸458を回転させた場合、車輪保持具47はモータ軸458と共に回転する。
【0094】
図14に二点鎖線で車軸465の内面を図示する。鍔部473の部分を除く車輪保持具47は、車軸465の内径よりも僅かに太い。ユーザは、2つのレバー部476の先端を指でつまむことにより、レバー部476を弾性変形させて車軸465の内径よりも細い状態にできる。ユーザが指を離した場合、レバー部476が弾性復帰して、車軸465の内面に押し付けられる。そのため、車輪46と車輪保持具47とが連結される。
【0095】
本実施の形態によると、ユーザが車輪46を用意に着脱可能な天井裏走行ロボット40を提供できる。ユーザは、たとえば破損した車輪46を速やかに交換できる。ユーザは、使用する場所に応じた車輪46を選択して、容易に交換できる。
【0096】
[車輪の変形例]
図15は、車輪46の変形例の斜視図である。本変形例の車輪46は、リム466の表面に複数のリム爪469を備える。車軸465の内面には、4本の保持溝468が設けられている。
図15に示す車輪46は例示である。たとえば車輪46は、リム466の表面にリム爪469を備えなくてもよい。たとえば車輪46は保持溝468を備えなくてもよい。
【0097】
保持溝468の効果について説明する。保持溝468に設けられたリブと、保持溝468の位置とを合わせた状態で取り付けることにより、車輪保持具47と車輪46との間の滑りが防止される。
【0098】
リム爪469の効果について説明する。たとえば床材に細かい凸凹が存在するような場所では、リム爪469により車輪46の滑りが防止されるため、天井裏走行ロボット40はスムーズに走行できる。
【0099】
車輪46が有する保持溝468の数は、図示した4本に限定しない。車輪46は、2本または4本以上の任意の偶数の保持溝468を有してもよい。保持溝468の数が多い場合、車輪保持具47に車輪46を嵌め込む際の向き合わせが容易である。
【0100】
車輪46が有するスポーク467の数は、図示した8枚に限定しない。車輪46は7枚以下、または9枚以上のスポーク467を有してもよい。車輪46は、たとえば中央に貫通孔を有する円板状のスポンジであってもよい。
【0101】
[車輪保持具の変形例]
図16は、変形例の車輪保持具47の斜視図である。本変形例の車輪保持具47は、角柱部475の代わりに円柱部474を有する。円柱部474は、本実施の形態の柱状部の例示である。円柱部474の周囲に4本のレバー部476が等間隔に配置されている。
【0102】
4本のレバー部476を有するため、車輪46と車輪保持具47とが強固に結合した天井裏走行ロボット40を提供できる。
【0103】
[天井裏走行ロボットとコントローラとの接続形態の変形例]
天井裏走行ロボット40は、電池を搭載していてもよい。十分な容量の電池を搭載している場合、ケーブル15には電源線が含まれていなくてもよい。
【0104】
天井裏走行ロボット40とコントローラ20とは、たとえばBLUETOOTH(登録商標)、LAN(Local Area Network)または商用通信回線等の無線通信を介して接続されていてもよい。天井裏走行ロボット40の制御に必要なすべての信号を無線通信を介して送受信できる場合、ケーブル15には信号線が含まれていなくてもよい。
【0105】
天井裏走行ロボット40が十分な容量の電池を搭載しており、無線通信を介して制御可能である場合、天井裏配線支援システム10は、ケーブル15およびケーブルリール60を備えなくてもよい。
【0106】
プログラムは、プログラム製品の例示である。
コンピュータプログラムは、単一のコンピュータ上で、または一つのサイトにおいて配置されるか、もしくは複数のサイトにわたって分散され、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開することができる。
【0107】
各実施例で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組合せ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0108】
特許請求の範囲に記載した独立請求項および従属請求項は、引用形式に関わらずあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【符号の説明】
【0109】
10 天井裏配線支援システム
15 ケーブル
20 コントローラ
21 第1スイッチ
22 第2スイッチ
23 第3スイッチ
24 照明スイッチ
25 電源スイッチ
30 情報処理装置
31 制御部
32 主記憶装置
33 補助記憶装置
34 通信部
35 タッチパネル
351 表示部
352 入力部
40 天井裏走行ロボット
41 第1照明部
411 第1ライト
412 第2ライト
42 第2照明部
43 フレーム
431 支持枠
432 絶縁カバー
433 モータ保持枠
435 ケーブル孔
438 台座
44 全天球カメラ
441 カメラ支持柱
445 回動部
446 ストッパ
448 水平検知センサ
449 通知ライト
45 モータ
451 右前モータ
452 左前モータ
453 右後モータ
454 左後モータ
458 モータ軸
46 車輪
465 車軸
466 リム
467 スポーク
468 保持溝
469 リム爪
47 車輪保持具
473 鍔部
474 円柱部
475 角柱部
476 レバー部
477 止ネジ孔
478 モータ軸孔
48 コネクタ
491 長辺パイプ
492 短辺棒
493 脚パイプ
494 モータ保持筒
495 ジョイント
60 ケーブルリール
61 第1ドラム
62 第2ドラム
63 ケーブル固定部
65 ハンドル
66 リール枠
67 ステップ