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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139337
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20241002BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20241002BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050228
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】梶尾 克宏
【テーマコード(参考)】
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H126BB06
5H127AA06
5H127AB04
5H127AC03
5H127BA02
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB34
5H127BB37
5H127BB39
5H127EE17
(57)【要約】
【課題】カソードガス又はカソードオフガスに含まれる水が流路で凝縮した場合でも、水を流路から排出できる加湿器を構成する。
【解決手段】加湿ユニット11を収容するケースCと、乾燥空気を加湿ユニット11で加湿して燃料電池FCに供給する乾燥側流路DLと、水分を乾燥空気に与えた後に送り出す含水側流路WLと、乾燥側流路DLを構成する管路又は含水側流路WLを構成する管路の少なくとも一方の屈曲部位に滞留する水を抜き出すドレン流路Exと、ドレン流路Exの水の排出を可能にする弁機構と、を備えた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池に供給される乾燥空気に対して前記燃料電池から送り出された含水空気の水分を与える加湿ユニットと、
前記乾燥空気が流入する流入ポートと、前記含水空気が前記加湿ユニットにより除湿されて生成された除湿空気が流出する流出ポートと、を有し、前記加湿ユニットを収容するケースと、
前記流入ポートから流入した乾燥空気を加湿ユニットで加湿して燃料電池に供給する乾燥側流路と、
前記燃料電池から送り出された含水空気を、前記加湿ユニットで当該含水空気に含まれる水分を前記乾燥空気に与えた後に前記流出ポートから送り出す含水側流路と、
前記乾燥側流路を構成する管路又は前記含水側流路を構成する管路の少なくとも一方の屈曲部位に滞留する水を抜き出すドレン流路と、
前記ドレン流路の水の排出を可能にする弁機構と、を備えている加湿器。
【請求項2】
前記屈曲部位が、前記管路において空気の流れを上向きに変化させる駆上がり部であり、当該駆上がり部を構成する前記管路の下面に前記ドレン流路が接続している請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
燃料電池に供給される乾燥空気に対して前記燃料電池から送り出された含水空気の水分を与える加湿ユニットと、
前記乾燥空気が流入する流入ポートと、前記含水空気が前記加湿ユニットにより除湿されて生成された除湿空気が流出する流出ポートと、を有し、前記加湿ユニットを収容するケースと、
流入ポートから流入した乾燥空気を前記加湿ユニットで加湿して燃料電池に供給する乾燥側流路と、
前記燃料電池から送り出された含水空気を、前記加湿ユニットで当該含水空気に含まれる水を前記乾燥空気に与えた後に前記流出ポートから送り出す含水側流路と、
前記ケースが、前記乾燥空気を前記加湿ユニットに供給する吸気ガイド部と、前記加湿ユニットで加湿された加湿空気を送り出す供給ガイド部と、前記含水空気を前記加湿ユニットに供給する受給ガイド部と、前記除湿空気を排出する排出ガイド部とを、前記乾燥側流路と前記含水側流路との何れの流路断面積より大きい流路断面積で前記ケースの外面から外方に膨出する形態で形成し、
前記吸気ガイド部と、前記供給ガイド部と、前記受給ガイド部と、前記排出ガイド部との少なくとも1つに滞留する水を抜き出すドレン流路と、当該ドレン流路の水の排出を可能にする弁機構とを備えている加湿器。
【請求項4】
前記ケースが、縦向き姿勢の外壁を有し、
前記外壁に対し、前記吸気ガイド部と、前記供給ガイド部と、前記受給ガイド部と、前記排出ガイド部とが外方に膨出しており、
前記吸気ガイド部と、前記供給ガイド部と、前記受給ガイド部と、前記排出ガイド部との少なくとも1つの下面に前記ドレン流路が接続している請求項3に記載の加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池のカソード側に供給する空気を加湿する加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃料電池のスタックのカソード側に加湿されたカソードガスを供給する加湿装置(加湿器)が記載されている。この加湿装置は中空糸膜束の内部にオフガスを通過させると共に、中空糸膜の外部に反応ガス(空気)を供給することにより、オフガスに含まれる水分を反応ガスに受け渡し、加湿を実現している。
【0003】
また、特許文献1に記載される加湿装置は、オフガスが供給される側に入口ヘッドを配置し、オフガスが排出される側に出口ヘッドを配置し、夫々の底部に排出口を設けた構成が記載されている。これにより、オフガスに含まれる水分が凝縮した場合の排出を可能にしている。
【0004】
特許文献2では、燃料電池スタックからオフガスを加湿器のジョイント部に供給する配管を備え、この配管においてオフガスの流れ方向での異なる位置の内径を異ならせた構成の加湿器が記載されている。また、配管に連結する加湿器のジョイント部の底部には排水容器が形成され、この排水容器には排水チャンバーを形成した構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-184440号公報
【特許文献2】特開2012-38467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載される加湿器では、カソードオフガスに含まれる水が内部(入口ヘッド、出口ヘッド)で凝縮し、水の滞留による加湿性能の低下を抑制するために、加湿器の内部(入口ヘッド、出口ヘッド)に滞留する水の排出を可能にしている。
【0007】
また、この特許文献1に記載される加湿器では、内部に水が滞留することにより、オフガスの流れが抑制され、燃料電池の内部の過加湿状態になる不都合を抑制するためにも加湿器の内部の水の排出が行われる。
【0008】
特許文献2に記載される加湿器では、発電による生成水を配管の内面から吹き飛ばし微細化することによりオフガスを加湿器の内部に導入しやすくしている。また、この特許文献2では発電による生成水が配管から排出された直後等で凝縮した場合には、排水容器に水を貯留し排出することも可能に構成されている。
【0009】
しかしながら、加湿器で加湿された空気(カソードガス)を燃料電池に供給する経路、燃料電池から排出された反応後の空気(カソードオフガス)を送る経路が管路であり、例えば、この管路が屈曲している場合には、管路の内部でガスに含まれる水分が凝縮し、ガスの流れを妨げることが考えられる。
【0010】
特に、加湿器で加湿された空気(カソードガス)を燃料電池に供給する経路において水分が凝縮した場合には、燃料電池内部の水分が過剰となり発電性能を低下させる不都合に繋がる。
【0011】
また、燃料電池から排出された反応後の空気(カソードオフガス)を送る経路において水分が凝縮した場合には、カソードオフガスの圧力を設定する調圧弁の内部でのガスの流れを抑制し、適正な圧力を維持できない不都合に繋がる。
【0012】
このような理由から、カソードガス又はカソードオフガスに含まれる水が流路で凝縮した場合でも、水を流路から排出できる加湿器が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る加湿器の特徴構成は、燃料電池に供給される乾燥空気に対して前記燃料電池から送り出された含水空気の水分を与える加湿ユニットと、前記乾燥空気が流入する流入ポートと、前記含水空気が前記加湿ユニットにより除湿されて生成された除湿空気が流出する流出ポートと、を有し、前記加湿ユニットを収容するケースと、前記流入ポートから流入した乾燥空気を加湿ユニットで加湿して燃料電池に供給する乾燥側流路と、前記燃料電池から送り出された含水空気を、前記加湿ユニットで当該含水空気に含まれる水分を前記乾燥空気に与えた後に前記流出ポートから送り出す含水側流路と、前記乾燥側流路を構成する管路又は前記含水側流路を構成する管路の少なくとも一方の屈曲部位に滞留する水を抜き出すドレン流路と、前記ドレン流路の水の排出を可能にする弁機構と、を備えた点にある。
【0014】
本構成によると、乾燥側流路を構成する管路に形成される屈曲部位と、含水側流路を構成する管路の屈曲部位との何れであっても、ドレン流路が接続することにより水が滞留する場合には、滞留した水をドレン流路に導き、弁機構の開放によって排出することが可能となる。従って、カソードガス又はカソードオフガスに含まれる水が流路で凝縮した場合でも、水を流路から排出できる加湿器が構成された。
【0015】
他の構成として、前記屈曲部位が、前記管路において空気の流れを上向きに変化させる駆上がり部であり、当該駆上がり部を構成する前記管路の下面に前記ドレン流路が接続しても良い。
【0016】
これによると、管路が空気の流れを上向きに変化させる駆上がり部である場合には、空気に含まれる水分が空気から分離して管路の内部に滞留しやすい。このため、駆上がり部の下面にドレン流路を接続することにより、管路中に滞留する水の効率的な排出を可能にする。
【0017】
本発明に係る加湿器の特徴構成は、燃料電池に供給される乾燥空気に対して前記燃料電池から送り出された含水空気の水分を与える加湿ユニットと、前記乾燥空気が流入する流入ポートと、前記含水空気が前記加湿ユニットにより除湿されて生成された除湿空気が流出する流出ポートと、を有し、前記加湿ユニットを収容するケースと、流入ポートから流入した乾燥空気を前記加湿ユニットで加湿して燃料電池に供給する乾燥側流路と、前記燃料電池から送り出された含水空気を、前記加湿ユニットで当該含水空気に含まれる水を前記乾燥空気に与えた後に前記流出ポートから送り出す含水側流路と、前記ケースが、前記乾燥空気を前記加湿ユニットに供給する吸気ガイド部と、前記加湿ユニットで加湿された加湿空気を送り出す供給ガイド部と、前記含水空気を前記加湿ユニットに供給する受給ガイド部と、前記除湿空気を排出する排出ガイド部とを、前記乾燥側流路と前記含水側流路との何れの流路断面積より大きい流路断面積で前記ケースの外面から外方に膨出する形態で形成し、前記吸気ガイド部と、前記供給ガイド部と、前記受給ガイド部と、前記排出ガイド部との少なくとも1つに滞留する水を抜き出すドレン流路と、当該ドレン流路の水の排出を可能にする弁機構とを備えた点にある。
【0018】
本構成によると、吸気ガイド部と、供給ガイド部と、受給ガイド部と、排出ガイド部とが、乾燥側流路と含水側流路との何れの流路断面積より大きい流路断面積で加湿ユニットを収容するケースの外面から外方に膨出する形態で形成されている。このため、何れのガイド部の内部で空気が流れる場合には、空気の流速が低下し、空気から分離した水が滞留することもある。このように水が滞留した場合でも、滞留した水をドレン流路に導き、弁機構の開放によって排出することが可能となる。従って、カソードガス又はカソードオフガスに含まれる水が流路で凝縮した場合でも、水を流路から排出できる加湿器が構成された。
【0019】
他の構成として、前記ケースが、縦向き姿勢の外壁を有し、前記外壁に対し、前記吸気ガイド部と、前記供給ガイド部と、前記受給ガイド部と、前記排出ガイド部とが外方に膨出しており、前記吸気ガイド部と、前記供給ガイド部と、前記受給ガイド部と、前記排出ガイド部との少なくとも1つの下面に前記ドレン流路が接続しても良い。
【0020】
これによると、何れかのガイド部の内部に水が滞留した場合でも、何れかのガイド部の内部の水の効率的な排出を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】加湿器の流路を示す図である。
図2】加湿器の正面図である。
図3】加湿器の平面図である。
図4】加湿器の左側面図である。
図5】加湿器の右側面図である。
図6】電磁弁の制御系を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔基本構成〕
図1に示すように、2つのエンドプレート1と、これらのエンドプレート1に挟み込まれる複数の燃料電池セル2を備えて燃料電池FCが構成されている。この燃料電池FCは一方のエンドプレート1の外面に加湿器10を備えている。尚、この燃料電池FCは、FCV(燃料電池自動車)に搭載されるものを示している。
【0023】
図面には示していないが、燃料電池FCの2つのエンドプレート1のうち、加湿器10が配置された面と反対側のエンドプレート1の外面に水素ガス(アノードガス)を供給する水素供給部を備えている。
【0024】
図1に示すように、一方のエンドプレート1は、空気(カソードガス)が供給される吸入孔1aと、反応後の空気(カソードオフガス)を排出する排出孔1bとが形成されている。また、他方のエンドプレート1には水素ガス(アノードガス)の供給孔(図示せず)と、反応後のガス(アノードオフガス)の排出口(図示せず)が形成される。
【0025】
燃料電池FCは、水素供給部からの水素ガス(アノードガス)が複数の燃料電池セル2のアノード側に供給され、加湿器10で加湿された加湿空気(カソードガス)が複数の燃料電池セル2のカソード側に供給されることにより発電を行う。
【0026】
燃料電池セル2は、カソード電極を構成する高分子電解質膜を適度の湿潤状態に維持することにより発電性能が高められる。この理由から燃料電池FCは、燃料電池セル2のカソード側に加湿空気を供給する加湿器10が備えられる。
【0027】
燃料電池FCは、発電に伴い生成された水が、反応後の空気(カソードオフガス/以下、含水空気と称することもある)に含まれる状態で排出される。加湿器10は、含水空気に含まれる水分を加湿ユニット11(図2図3を参照)で奪い、奪った水分で空気(カソードガス/以下、乾燥空気と称することもある)を、加湿することにより加湿空気を生成する。
【0028】
燃料電池セル2の発電は発熱反応であるため含水空気の温度は上昇する。このため、加湿器10において含水空気に含まれる水分を乾燥空気に与えることにより、加湿空気の温度上昇も図られる。
【0029】
〔加湿器〕
図2に示すように、この実施形態では、エンドプレート1が重力方向に沿った縦向き姿勢で設けられ、このエンドプレート1の外面に加湿器10が備えられている。
【0030】
図2図3の右側を加湿器10の右側(右部等)と定義し、この逆側を左側(左部等)と定義する。また、図2の上側を加湿器10の上側(上部等)と定義し、この逆側を下側(下部等)と定義する。更に、図3の下側を加湿器10の前側(前部等)と定義し、この逆側(エンドプレート1に近い側)を後側(後部等)と定義する。以下の説明では、この定義に従い加湿器10の各部の位置関係を説明する。
【0031】
図2図5に示すように、加湿器10は、加湿ユニット11をケースCに収容している。ケースCは、後部がエンドプレート1に連結固定された樹脂製のケース本体12と、ケース本体12の前側の開口を覆う樹脂製の外壁13とを備えている。
【0032】
図1図5に示すように、外壁13は、プレート状部に対し、吸気ガイド13aと、供給ガイド13bと、受給ガイド13cと、排出ガイド13dとがプレート状部から外方に膨らむように突出形成されている。
【0033】
尚、吸気ガイド13aと、供給ガイド13bと、受給ガイド13cと、排出ガイド13dとの総称として、ガイドと称することもある。
【0034】
図2に示すように、吸気ガイド13aの流路断面積は、この吸気ガイド13aに接続する第1流路21(管路の一例)の流路断面積より大きい。これと同様に、供給ガイド13bの流路断面積は、この供給ガイド13bに接続する第2流路22(管路の一例)の流路断面積より大きい。
【0035】
図1図3に示すように、第1流路21は、吸入ポート10aから乾燥空気が供給される。また、第1流路21の中間の吸気制御弁15から分岐する分岐流路21aは、第2流路22に合流する。第2流路22は供給ガイド13bからの加湿空気を供給ポート10bに空気を供給する。
【0036】
更に、受給ガイド13cの流路断面積は、この受給ガイド13cに接続する第3流路23の流路断面積より大きい。これと同様に、排出ガイド13dの流路断面積は、この排出ガイド13dに接続する第4流路24の流路断面積より大きい。
【0037】
図1図5に示すように、第3流路23は、受給ポート10cから含水空気が供給される。第4流路24は、排出ガイド13dに接続する第からの除湿空気を、排気制御弁16を介して排出ポート10dに供給する。
【0038】
外壁13には、吸気ガイド13a、供給ガイド13b、受給ガイド13c、排出ガイド13dの夫々に覆われる領域に対し、夫々のガイドに対応して吸気口13ap(流入ポートの一例)、供給口13bp、受給口13cp、排出口13dp(流出ポートの一例)が形成されている。
【0039】
この構成から、吸気ガイド13aは、第1流路21(管路の一例)から供給される乾燥空気を、吸気口13apを通過させて加湿ユニット11に案内する。加湿ユニット11は、吸気ガイド13aから供給された乾燥空気に水分を与え加湿空気を生成する。供給ガイド13bは、加湿空気を、供給口13bpを通過させ第2流路22(管路の一例)に送り出す。
【0040】
これら第1流路21と第2流路22と、分岐流路21a(管路の一例)と、吸気ガイド13aと、供給ガイド13bで乾燥側流路DLが構成されている。
【0041】
受給ガイド13cは、第3流路23(管路の一例)から供給される含水空気を、受給口13cpを通過させて加湿ユニット11に案内する。加湿ユニット11は、受給ガイド13cから供給された含水空気から水分を奪い、奪った水分を乾燥空気に与えて加湿する。排出ガイド13dは、加湿ユニット11で水分が奪われた除湿空気を、排出口13dpを通過させて第4流路24(管路の一例)に案内する。
【0042】
これら第3流路23と、第4流路24と、受給ガイド13cと、排出ガイド13dとで含水側流路WLが構成されている。
【0043】
特に、この加湿器10は、ケース本体12の内部で乾燥側流路DLから供給された空気と、含水側流路WLから供給された空気とを分離している。
【0044】
加湿器10は、ケース本体12の外部に吸気制御弁15と、排気制御弁16とを備えている。吸気制御弁15は電動アクチュエータの駆動によって内部の弁体を作動させ、流路の切り換えを行う。排気制御弁16は調圧弁として機能する。
【0045】
排気制御弁16は、第4流路24に流れる除湿空気の圧力を設定値に維持する。排出ポート10dから排出された除湿ガスは、車両のマフラー等を介して外部に排出される。
【0046】
特に、吸気制御弁15は、吸入ポート10aから吸入した乾燥空気を、吸気ガイド13aと、第2流路22との一方を選択して供給する。
【0047】
つまり、燃料電池FCのカソード側の水分が適正量である場合には、吸気制御弁15の制御により、加湿空気を燃料電池FCに供給することで適正な発電を可能にする。これに対し、燃料電池FCのカソード側の水分が過剰である場合に、吸気制御弁15の制御により、乾燥空気を燃料電池FCに供給し、カソード電極の水分量の増大を抑制し、水分量の低減を可能にする。
【0048】
〔加湿器:加湿部〕
図面には詳細を示していないが、加湿ユニット11は、複数の板状のセパレータと、複数のセパレータに挟み込まれる加湿膜とを有する。セパレータは、乾燥空気を、加湿膜の一方の面に接触させて流すことにより加湿空気を得る流路と、含水空気を、加湿膜の他方の面に接触させて流すことにより加湿膜を介して含水空気に含まれる水分を乾燥空気に与え除湿空気を得る流路とを有している。
【0049】
この加湿器10は、第1流路21から吸気ガイド13aに供給された乾燥空気を、ケース本体12の内部のセパレータの流路に流すことにより加湿膜に接触させた後に上側に流す構成を有している。このため、乾燥空気は加湿膜を介して水分を与えられ加湿空気となり、供給ガイド13bから第2流路22に排出される。
【0050】
また、加湿器10は、第3流路23から受給ガイド13cに供給された含水空気を、ケース本体12の内部のセパレータの加湿膜に接触させた後に、上側に流す構成を有している。このため、含水空気は水分を奪われて除湿空気となり、排出ガイド13dから第4流路24に排出される。
【0051】
〔加湿器:ドレン流路〕
図1図2に示すように、加湿器10は、吸入ポート10aと、供給ポート10bと、受給ポート10cと、排出ポート10dとを備えている。尚、排出ポート10dは排気制御弁16に備えられている。
【0052】
供給ポート10bは、エンドプレート1の吸入孔1aに嵌め込まれている。受給ポート10cはエンドプレート1の排出孔1bに嵌め込まれている。この加湿器10では、吸入ポート10aに対し、コンプレッサ等の供給装置で加圧された乾燥空気が供給される。
【0053】
図1図2図6に示すように、加湿器10は、乾燥側流路DLに流れる空気に含まれる水分を排出する乾燥側ドレン流路31(ドレン流路Exの一例)を備え、含水側流路WLに流れる空気に含まれる水分を加湿器10の外部に排出する含水側ドレン流路32(ドレン流路Exの一例)を備えている。
【0054】
複数の乾燥側ドレン流路31(ドレン流路Ex)の中間位置、複数の含水側ドレン流路32(ドレン流路Ex)の中間位置の夫々に開閉自在な電磁弁33(弁機構の一例)を備えている。
【0055】
〔乾燥側流路のドレン流路〕
図1図2図4図6に示すように、第2流路22と、分岐流路21aとに、屈曲部位として空気の流れを上向きに変化させる駆上がり部UPが形成されている。この駆上がり部UPの下面に乾燥側ドレン流路31の上端が連通するように接続している。
【0056】
吸気ガイド13aと供給ポート10bとの膨出部の下面に乾燥側ドレン流路31の上端が連通するように接続している。この乾燥側ドレン流路31は、中間に開閉自在な電磁弁33(弁機構の一例)を備え、電磁弁33の開放により乾燥側ドレン流路31の水を加湿器10の外部に排出する。
【0057】
これにより、乾燥側流路DLの内部に液状の水が滞留した場合には、滞留した水が乾燥側ドレン流路31から外部に排出される。その結果、乾燥側流路DLの内部に滞留する液状の水が供給ポート10bを介して燃料電池FCの内部に送り込まれる現象を抑制し、燃料電池FCが高い性能での発電を維持できる。
【0058】
〔含水側流路のドレン流路〕
図1図2図5図6に示すように、第4流路24に、屈曲部位として空気の流れを上向きに変化させる駆上がり部UPが形成されている。この駆上がり部UPの下面に含水側ドレン流路32の上端が連通するように接続している。
【0059】
受給ガイド13cと、排出ガイド13dとの膨出部の下面に含水側ドレン流路32の上端が連通するように接続している。この含水側ドレン流路32は、中間に開閉自在な電磁弁33を備え、水を加湿器10の外部に排出する。
【0060】
これにより、含水側流路WLの内部に液状の水が滞留した場合には、滞留した水が含水側流路WLから外部に排出される。その結果、含水側流路WLの内部に滞留する液状の水が排気制御弁16の内部に流れる不都合を抑制し、含水側流路WLの圧力を適正に維持できる。
【0061】
〔制御弁の制御〕
図6に示すように、制御装置34は、例えば、設定されたインターバル毎に電磁弁33を、設定時間だけ開放するように制御形態が設定される。これにより、ドレン流路Exに滞留した液状の水が増大する以前に、液状の水を加湿器10の外部に排出できる。
【0062】
また、制御装置34は、燃料電池FCの発電量に基づいて水量を推定し、この推定に基づき電磁弁33を開放するタイミングを決めるように制御形態を設定することも可能である。つまり、燃料電池FCの発電量が、燃料電池FCに供給される空気量に比例すると言える。このことから、燃料電池FCの発電量に基づき制御装置が、電磁弁33を制御することも可能となる。
【0063】
〔実施形態の作用効果〕
乾燥側流路DLと、含水側流路WLとの何れを構成する管路であっても、空気の流動方向が変化する部位、特に、駆上がり部UPでは、液状の水が滞留し易い。このため、駆上がり部UPにドレン流路Exの上端を接続することにより、液状の水を管路の内部に滞留させることなく、ドレン流路Exに流し込むことが可能となる。
【0064】
また、乾燥側流路DLの吸気ガイド13a、供給ガイド13bの夫々と、含水側流路WLの受給ガイド13c、排出ガイド13dの夫々とにおいては、空気の流速が大きく変化する現象に伴い内部に液状の水が滞留しやすい。このため、これらのガイドを構成する膨出部の下面にドレン流路Exを接続することにより、液状の水をガイドの内部に滞留させることなく、ドレン流路Exに流し込むことが可能となる。
尚、ガイドの内部の液状の水は、ドレン流路Exに流し込む構成に限らず、例えば、吸気ガイド13aから受給ガイド13cに流すことや、供給ガイド13bから排出ガイド13dに流すことにより、加湿器10の内部で処理することも可能である。
【0065】
従って、乾燥側流路DLでは、電磁弁33が開放する以前であっても第2流路22、分岐流路21aの内部に滞留する液状の水、及び、吸気ガイド13a、供給ガイド13bの内部に滞留する液状の水を、乾燥側ドレン流路31に流し込むことが可能である。これにより、燃料電池FCの内部に液状の水が浸入する不都合を抑制する。
【0066】
また、電磁弁33が開放することにより、乾燥側ドレン流路31に滞留する液状の水を排出し、乾燥側ドレン流路31に流し込んだ液状の水がオーバーフローする不都合を招くことなく、燃料電池FCの発電性能を高く維持できる。
【0067】
乾燥側流路DLと同様に、含水側流路WLでは、電磁弁33が開放する以前であっても第4流路24の内部に滞留する液状の水、及び、受給ガイド13c、排出ガイド13dの内部に滞留する液状の水を、含水側ドレン流路32に流し込む。これにより、排気制御弁16に液状の水が浸入する不都合を抑制する。
【0068】
また、電磁弁33が開放することにより、含水側ドレン流路32に滞留する液状の水を確実に排出することが可能となる。尚、第4流路24から排出される除湿空気が供給される補機を想定することも可能である。このように、除湿空気に含まれる液状の水を排出することにより補機に対するダメージを抑制することも可能となる。
【0069】
〔別実施形態〕
本発明は、上記した実施形態以外に以下のように構成しても良い(実施形態と同じ機能を有するものには、実施形態と共通の番号、符号を付している)。
【0070】
(a)管路にドレン流路Exが接続する位置は、駆上がり部UPに限るものでなく、非直線部や、流路断面の形状が変化する部位、流路断面積が変化する部位であっても良い、
【0071】
(b)加湿器10は、実施形態に示した全てのドレン流路Exを備える必要はなく、一部のドレン流路Exを備えることも可能である。また、これとは逆に、実施形態に示したドレン流路Exの他の位置にドレン流路Exを備えることも考えられる。
【0072】
(c)乾燥側流路DLあるいは含水側流路WLに滞留する水量を検知するセンサ、ドレン流路Exの内部に滞留する水量を検知するセンサを備え、このセンサが検知する水量に基づき電磁弁33を開放するように加湿器10を構成しても良い。
【0073】
このように構成することにより、適切なタイミングで排水を行い、水をオーバーフローさせる不都合を招くことがない。
【0074】
(d)ドレン流路Exに軽く負圧を作用させ、電磁弁33(弁機構)を開放した際には負圧の作用によって水の抜き出しを円滑に行わせても良い。
【0075】
(e)ドレン流路Exの水の排出を可能にする弁機構としてオリフィスを用いても良い。オリフィスを用いることにより、乾燥側流路DLと含水側流路WLとの何れ接続するドレン流路Exであっても、オリフィスから空気を漏出させることになる。
【0076】
このようにオリフィスを用いるものでは、流路の圧力低下を抑制しつつ、排水を可能にするようにオリフィス径を設定することにより、電磁弁33を用いる構成と比較して低廉で、制御も不要となる。
【0077】
尚、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【0078】
また、燃料電池FCと加湿器10の相対位置関係は、実施形態に示すように垂直に立つエンドプレート1の前面方向に加湿器10を配置するものに限らず、エンドプレート1の下端側に偏位して配置するものや、燃料電池FCの下部に配置することも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、燃料電池のカソード側に供給する空気を加湿する加湿器に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
11 加湿ユニット
13a 吸気ガイド
13b 供給ガイド
13c 受給ガイド
13d 排出ガイド
13ap 吸気口(流入ポート)
13dp 排出口(流出ポート)
21 第1流路(管路)
21a 分岐流路(管路)
22 第2流路(管路)
23 第3流路(管路)
24 第4流路(管路)
31 乾燥側ドレン流路(ドレン流路)
32 含水側ドレン流路(ドレン流路)
33 電磁弁(弁機構)
C ケース
Ex ドレン流路
DL 乾燥側流路
WL 含水側流路
FC 燃料電池
UP 駆け上がり部・屈曲部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6