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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139340
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
B29C45/76
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050231
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中田 匡英
(72)【発明者】
【氏名】樽家 宏治
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AP10
4F206AR11
4F206JA07
4F206JL01
4F206JL02
4F206JM16
4F206JP13
4F206JP14
4F206JP22
4F206JP27
4F206JQ88
(57)【要約】
【課題】成形条件の変更による成形動作の実行時間の変化を容易に確認できる成形機を提供する。
【解決手段】射出成形機は、成形条件を格納する記憶装置53と、成形条件に基づいて成形品を成形する動作(成形動作)を実行する制御装置55と、を有する。制御装置55が、成形動作の実行時間を計測する。制御装置55が、成形条件を変更する前に計測した成形動作の実行時間と、成形条件を変更した後に計測した成形動作の実行時間と、の差分時間を表示装置51に表示する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形材料を金型のキャビティに射出して成形品を成形する成形機であって、
成形条件を格納する記憶装置と、前記成形条件に基づいて前記成形品を成形する動作を実行する制御装置と、を有し、
前記制御装置が、
前記動作の実行時間を計測し、
前記成形条件を変更する前に計測した前記実行時間(以下、「変更前実行時間」という。)と、前記成形条件を変更した後に計測した前記実行時間(以下、「変更後実行時間」という。)と、の差分時間を表示する、ことを特徴とする成形機。
【請求項2】
前記制御装置が、
前記動作に含まれる複数の工程の時間を計測し、
前記成形条件を変更する前に計測した前記工程の時間(以下、「変更前工程時間」という。)と、前記成形条件を変更した後に計測した前記工程の時間(以下、「変更後工程時間」という。)と、の差分時間を表示する、請求項1に記載の成形機。
【請求項3】
前記制御装置が、前記変更前工程時間と、前記変更後工程時間と、当該変更前工程時間と当該変更後工程時間との前記差分時間と、を1つの行に含み、当該行を複数含むテーブルを表示する、請求項2に記載の成形機。
【請求項4】
前記制御装置が、前記変更前実行時間と、前記変更後実行時間と、当該変更前実行時間と当該変更後実行時間との前記差分時間と、を1つの行に含み、当該行を含む前記テーブルを表示する、請求項3に記載の成形機。
【請求項5】
前記制御装置が、前記テーブルと並べて、前記成形条件を変更するための成形条件設定画面を表示する、請求項3に記載の成形機。
【請求項6】
前記制御装置が、
前記成形条件設定画面において前記成形条件が変更されると、変更された前記成形条件を仮の成形条件として保持して、当該仮の成形条件に基づいて前記動作を実行し、
前記成形条件を保存する操作が入力されると、前記仮の成形条件を前記成形条件として前記記憶装置に格納し、
前記成形条件を破棄する操作が入力されると、前記仮の成形条件を前記記憶装置に格納せずに破棄する、請求項5に記載の成形機。
【請求項7】
前記制御装置が、前記実行時間の目標時間が入力されると、前記変更前実行時間と、前記目標時間と、の差分時間を表示する、請求項1に記載の成形機。
【請求項8】
前記制御装置の前記差分時間の表示態様が、前記差分時間が0のときと、前記差分時間が正の値のときと、前記差分時間が負の値のときと、で異なる、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の成形機。
【請求項9】
前記成形機が、射出成形機であり、
前記動作が、
前記金型を型締する型閉動作を実行する型閉工程、
前記キャビティに前記成形材料である樹脂を射出する射出動作を実行する射出工程、
前記キャビティ内の前記樹脂を冷却する冷却動作を実行する冷却工程、
前記キャビティに射出する前記樹脂を計量する計量動作を実行する計量工程、
前記金型を開く型開動作を実行する型開工程、および、
前記キャビティから前記成形品を取り出す取出動作を実行する取出工程、を含み、
前記制御装置が、少なくとも前記型閉工程の時間、前記射出工程の時間、前記冷却工程の時間、前記型開工程の時間および前記取出工程の時間を計測する、請求項1に記載の成形機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機やダイカストマシンなどの成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の射出成形機が開示されている。射出成形機は、成形品を成形する動作(成形動作)において、型閉工程、射出工程、冷却工程、計量工程(可塑化工程)、型開工程および取出工程などを実行する。射出成形機は、各工程の開始、終了のイベントが指定され、イベント間の時間(以下、「イベント時間」という。)を計測して表示する。作業者は、射出成形機の成形条件を調整してイベント時間を短縮し、ひいては、成形動作の実行時間を短縮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-12318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記射出成形機では、作業者が、成形条件を変更した後のイベント時間から成形条件を変更する前のイベント時間を差し引いて、成形条件の変更によってイベント時間が短くなったのか長くなったのかを確認する必要がある。そのため、作業者が、イベント時間の変化を確認するのに手間がかかる。
【0005】
そこで、本発明は、成形条件の変更による成形動作の実行時間の変化を容易に確認できる成形機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る成形機は、成形材料を金型のキャビティに射出して成形品を成形する成形機であって、成形条件を格納する記憶装置と、前記成形条件に基づいて前記成形品を成形する動作を実行する制御装置と、を有し、前記制御装置が、前記動作の実行時間を計測し、前記成形条件を変更する前に計測した前記実行時間と、前記成形条件を変更した後に計測した前記実行時間と、の差分時間を表示する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、制御装置が、成形品を成形する動作の実行時間を計測し、成形条件を変更する前に計測した実行時間と、成形条件を変更した後に計測した前記実行時間と、の差分時間を表示する。このようにしたことから、作業者が、実行時間を計算することなく差分時間を確認できる。そのため、作業者が、成形条件の変更による成形動作の実行時間の変化を容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る射出成形機の概略構成を示す図である。
図2】射出成形機の機能ブロック図である。
図3】射出成形機の制御装置が実行する成形動作の一例を示すフローチャートである。
図4】成形動作に含まれる工程の一例を示す図である。
図5】成形サイクル管理画面を示す図(その1)である。
図6】成形サイクル管理画面を示す図(その2)である。
図7】成形サイクル管理画面を示す図(その3)である。
図8】成形サイクル管理画面を示す図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係る射出成形機について、図1図8を参照して説明する。射出成形機は、成形材料である樹脂を可塑化して金型のキャビティに射出し、成形品を成形する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る射出成形機の概略構成を示す図である。図2は、図1の射出成形機の機能ブロック図である。図3は、図1の射出成形機の制御装置が実行する成形動作の一例を示すフローチャートである。図4は、成形動作に含まれる工程の一例を示す図である。図5図8は、成形サイクル管理画面を示す図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態に係る射出成形機1は、型締装置2と、射出装置3と、取出装置4と、制御ユニット5と、基台6と、を有する。
【0012】
型締装置2は、基台6上に配置されている。型締装置2は、固定側金型81と可動側金型82とを開閉および型締する。固定側金型81と可動側金型82とは、キャビティ83を形成する。
【0013】
型締装置2は、固定ダイプレート21と、可動ダイプレート22と、型締駆動機構23と、を有する。固定ダイプレート21には、固定側金型81が取り付けられる。可動ダイプレート22には、可動側金型82が取り付けられる。型締駆動機構23は、固定ダイプレート21と可動ダイプレート22とによって固定側金型81および可動側金型82を前後方向(図1において左右方向)に締め付けて型締力を発生させる。
【0014】
射出装置3は、基台6上に配置されている。射出装置3は、シリンダ31と、ノズル32と、樹脂供給部33と、ヒーター34と、スクリュー35と、スクリュー駆動機構36と、を有している。
【0015】
シリンダ31は、円筒形状を有する。シリンダ31は、前後方向に沿って配置される。ノズル32は、シリンダ31の前端部に配置される。樹脂供給部33は、シリンダ31の後端部に配置される。樹脂供給部33は、粉体状または粒体状の樹脂が収容されるホッパを有している。樹脂供給部33は、シリンダ31に樹脂を供給する。ヒーター34は、例えば、バンドヒータであって、シリンダ31の外周面に配置される。スクリュー35は、シリンダ31に回転可能でかつ前後進可能に収容されている。スクリュー駆動機構36は、例えば、電動モータなどを有しており、スクリュー35を回転および前後進させる。
【0016】
取出装置4は、突出機構41を有している。突出機構41は、エジェクタピン(図示なし)を駆動してキャビティ83内に突出させ、成形品を可動側金型82から取り出す。
【0017】
制御ユニット5は、射出成形機1全体の動作を司る。図2に示すように、制御ユニット5は、表示装置51と、入力装置52と、記憶装置53と、タイマ54と、制御装置55と、を有している。
【0018】
表示装置51は、例えば、液晶ディスプレイである。入力装置52は、例えば、操作キーやタッチパネルである。記憶装置53は、例えば、磁気ディスク装置や不揮発性メモリなどである。記憶装置53は、成形条件などを格納する。制御装置55は、コンピュータを有している。制御装置55は、表示装置51、入力装置52、記憶装置53およびタイマ54と通信可能に接続されている。制御装置55は、表示装置51に各種情報を表示し、入力装置52に入力された操作に応じた動作を行なう。なお、表示装置51および入力装置52は、例えば、制御装置55と無線通信により接続されたタブレット装置やノートパソコンなどであってもよい。また、制御装置55は、型締駆動機構23、ヒーター34、スクリュー駆動機構36および突出機構41とも通信可能に接続されている。制御装置55は、成形品を成形する動作(成形動作)において、型締駆動機構23、ヒーター34、スクリュー駆動機構36および突出機構41などを制御する。
【0019】
次に、制御装置55が実行する成形動作の一例について、図3図4を参照して説明する。
【0020】
制御装置55は、ヒーター34を制御して、シリンダ31を所定の温度に加熱する。制御装置55は、成形動作の実行前にパージ動作および初回射出分の樹脂の計量を実行する。
【0021】
成形動作において、制御装置55は型締駆動機構23を制御して、固定側金型81に可動側金型82を押し付けて型締する(型閉動作、S110)。次に、制御装置55はスクリュー駆動機構36を制御して、スクリュー35を前進させる(射出動作(充填)、S120)。これにより、シリンダ31の前端部にある可塑化された樹脂がキャビティ83に充填される。次に、制御装置55はスクリュー駆動機構36を制御して、キャビティ83内の樹脂に所定の圧力(保圧)が加わるようにスクリュー35を前後進させる(射出動作(保圧)、S130)。
【0022】
次に、制御装置55はスクリュー駆動機構36を制御して、スクリュー35を回転させながら後退させ、1回の射出に必要となる量の樹脂をシリンダ31の前端部に供給(計量)する(計量動作、S140)。計量動作は、可塑化動作ともいう。計量動作と並行して、制御装置55はキャビティ83内の樹脂が冷えて硬化するまで待つ(冷却動作、S150)。
【0023】
そして、冷却動作が終わると、制御装置55は、型締駆動機構23を制御して、固定側金型81および可動側金型82を開き(型開動作、S160)、突出機構41を制御して、エジェクタピンによりキャビティ83から成形品を取り出す(取出動作、S170)。
【0024】
型閉動作から突出動作までが1つの成形動作である。制御装置55は、成形動作を繰り返し実行して成形品を成形する。成形動作の1回の実行に要する時間(実行時間)を「1サイクル時間」という。
【0025】
制御装置55は、タイマ54を用いて、1サイクル時間を計測する。制御装置55は、タイマ54を用いて、型閉動作を実行する型閉工程の時間(型閉時間)、射出動作を実行する射出工程の時間(射出時間)、冷却動作を実行する冷却工程の時間(冷却時間)、型開動作を実行する型開工程の時間(型開時間)および取出動作を実行する取出工程の時間(取出時間)を計測する。なお、制御装置55は、タイマ54を用いて、射出動作における充填に係る時間(充填時間)、射出動作における保圧に係る時間(保圧時間)、および計量動作を実行する計量工程の時間(計量時間)も計測可能である。また、制御装置55は、タイマ54を用いて、任意の2つの動作切換タイミングの間(例えば、射出動作開始から計量動作終了までなど)の時間を計測可能である。制御装置55は、計測した各時間を記憶装置53に格納する。
【0026】
射出成形機1において、成形条件を変更することにより、1サイクル時間および各工程の時間が変化することがある。成形条件は、例えば、シリンダ31の温度、型閉工程における可動側金型82の移動距離、閉じ速度および型締力、射出工程におけるスクリューの前進距離、前進速度およびスクリューによる保圧力、計量工程(可塑化工程)におけるスクリューの後進距離、後進速度および回転速度、型開工程における可動側金型82の移動距離および開き速度、取出工程におけるエジェクタピンの突出距離および突出タイミングなどを含む。
【0027】
次に、制御装置55が表示装置51に表示する成形サイクル管理画面Gの一例について、図5図8を参照して説明する。
【0028】
成形サイクル管理画面Gは、テーブルTと、成形条件設定画面Sと、を含む。テーブルTと成形条件設定画面Sとは上下に並んで表示されている。
【0029】
テーブルTは、複数の行R1を含む。行R1は、名称T11と、変更前工程時間T12と、変更後工程時間T13と、差分時間T14と、を含む。名称T11は、工程の時間を示す名称である。変更前工程時間T12は、成形条件を変更する前に計測された工程の時間である。変更後工程時間T13は、成形条件を変更した後に計測された工程の時間である。差分時間T14は、変更後工程時間T13から変更前工程時間T12を差し引いた時間である。本実施形態において、テーブルTは、射出工程の時間(射出時間)、冷却工程の時間(冷却時間)、型開工程の時間(型開時間)、取出工程の時間(取出時間)、および、型閉工程の時間(型閉時間)に対応する行R1を初期表示行(デフォルト表示行)としている。また、テーブルTは、作業者が任意の工程等の時間を表示可能な行R1(予備1~3)を含む。行R1は、差分時間T14のみ含むものであってもよい。
【0030】
テーブルTは、1つの行R2を含む。行R2は、名称T21と、変更前実行時間T22と、変更後実行時間T23と、差分時間T24と、を含む。名称T21は、成形動作の実行時間を示す名称(1サイクル時間)である。変更前実行時間T22は、成形条件を変更する前に計測した成形動作の実行時間である。変更後実行時間T23は、成形条件を変更した後に計測した成形動作の実行時間である。差分時間T24は、変更後実行時間T23から変更前実行時間T22を差し引いた時間である。行R2は、差分時間T24のみ含むものであってもよい。
【0031】
テーブルTは、1つの行R3を含む。行R3は、変更前実行時間T32と、目標時間T35と、差分時間T34と、を含む。変更前実行時間T32は、変更前実行時間T22と同じ時間である。目標時間T35は、成形動作の実行時間の目標時間である。目標時間T35は、作業者によって設定される。差分時間T34は、目標時間T35から変更前実行時間T32を差し引いた時間である。行R3は、初期表示行である。行R1は、差分時間T34のみ含むものであってもよい。テーブルTは、行R1、R2、R3のいずれか1つのみ含むものであってもよい。
【0032】
成形条件設定画面Sは、複数の選択ボタンS1と、表示部S2と、保存ボタンS3、とキャンセルボタンS4と、を含む。
【0033】
複数の選択ボタンS1は、「射出」、「可塑化」、「型開」、「取出」および「型閉」に対応するボタンを含む。表示部S2は、長方形状を有している。表示部S2には、選択ボタンS1のいずれかが操作されると、操作された選択ボタンS1に応じた設定画面S21が表示される。保存ボタンS3およびキャンセルボタンS4は、成形サイクル管理画面Gを終了する際に操作される。選択ボタンS1、保存ボタンS3およびキャンセルボタンS4は、入力装置52に含まれる。
【0034】
次に、制御装置55が実行する成形サイクル管理動作の一例について、図5図8を参照して説明する。
【0035】
制御装置55は、入力装置52に成形サイクル管理動作を起動する操作が入力されると、図5に示す成形サイクル管理画面Gを表示装置51に表示する。
【0036】
制御装置55は、記憶装置53に格納された各工程の時間および1サイクル時間を読み出して、図5に示すように、変更前工程時間T12および変更前実行時間T22、T32としてテーブルTに表示する。制御装置55は、成形条件設定画面Sに複数の選択ボタンS1および表示部S2を表示し、表示部S2に選択ボタンS1の操作を促すメッセージを表示する。制御装置55は、記憶装置53に格納された成形条件を読み出して、制御装置55が有する図示しないメモリに格納する。すなわち、制御装置55は、成形条件をメモリにコピーする。
【0037】
次に、制御装置55は、複数の選択ボタンS1のいずれかに操作が入力されると、操作された選択ボタンS1に応じた設定画面S21を表示部S2に表示する。例えば、図6に示すように、「型開」に対応する選択ボタンS1が操作されると、制御装置55は型開動作の成形条件を設定するための設定画面S21を表示部S2に表示する。また、入力装置52に成形動作の実行時間の目標時間を設定する操作が入力されると、入力された目標時間を目標時間T35としてテーブルTに表示する。目標時間の設定は任意である。
【0038】
次に、制御装置55は、設定画面S21において新たな成形条件が設定される(成形条件が変更される)と、新たな成形条件を仮の成形条件としてメモリに格納する。そして、制御装置55は、入力装置52に成形動作を起動する操作が入力されると、メモリに格納されている仮の成形条件に基づいて成形動作を実行する。制御装置55は、各工程の時間および1サイクル時間を計測する。制御装置55は、図7に示すように、計測した各工程の時間および1サイクル時間を変更後工程時間T13および変更後実行時間T23としてテーブルTに表示する。また、制御装置55は、差分時間T14、T24、T34をテーブルTに表示する。図7は、型開動作の成形条件のみを変更して成形動作を実行したときの成形サイクル管理画面Gの一例を示す。
【0039】
同様に、制御装置55は、複数の選択ボタンS1のいずれか(例えば、「型開」以外の選択ボタンS1)に操作が入力されると、操作された選択ボタンS1に応じた設定画面S21を表示部S2に表示し、設定画面S21において新たな成形条件が設定されると、新たな成形条件を仮の成形条件としてメモリに格納する。そして、制御装置55は、入力装置52に成形動作を起動する操作が入力されると、メモリに格納されている仮の成形条件に基づいて成形動作を実行する。制御装置55は、各工程の時間および1サイクル時間を計測し、図8に示すように、計測した各工程の時間および1サイクル時間を変更後工程時間T13および変更後実行時間T23としてテーブルTに表示し、差分時間T14、T24、T34をテーブルTに表示する。図8は、射出動作、計量動作(可塑化動作)、型開動作、取出動作および型閉動作の成形条件を変更して成形動作を実行したときの成形サイクル管理画面Gの一例を示す。
【0040】
そして、制御装置55は、保存ボタンS3が操作されると、メモリに格納されている仮の成形条件を正式な成形条件として記憶装置53に格納し、成形サイクル管理画面Gを終了(消去)する。制御装置55は、キャンセルボタンS4が操作されると、メモリに格納されている仮の成形条件を破棄し、成形サイクル管理画面Gを終了する。この場合、記憶装置53に格納された成形条件は変更されず、成形サイクル管理画面Gを表示する前と同じである。制御装置55は、記憶装置53に格納された成形条件に基づいて成形動作を実行する。
【0041】
以上説明したように、射出成形機1は、成形材料である樹脂を固定側金型81と可動側金型82とが形成するキャビティ83に射出して成形品を成形する成形機である。射出成形機1は、成形条件を格納する記憶装置53と、成形条件に基づいて成形品を成形する動作(成形動作)を実行する制御装置55と、を有する。
【0042】
成形動作は、固定側金型81と可動側金型82とを型締する型閉動作を実行する型閉工程、キャビティ83に樹脂を射出する射出動作を実行する射出工程、キャビティ83内の樹脂を冷却する冷却動作を実行する冷却工程、キャビティ83に射出する樹脂を計量する計量動作を実行する計量工程、固定側金型81と可動側金型82とを開く型開動作を実行する型開工程、および、キャビティ83から成形品を取り出す取出動作を実行する取出工程、を含む。
【0043】
制御装置55が、成形動作の実行時間を計測し、成形条件を変更する前に計測した実行時間(変更前実行時間T22)と、成形条件を変更した後に計測した実行時間(変更後実行時間T23)と、の差分時間T24を表示する。このようにしたことから、作業者が、成形時間の実行時間を計算することなく差分時間T24を確認できる。そのため、作業者が、成形条件の変更による成形動作の実行時間の変化を容易に確認できる。
【0044】
また、制御装置55が、成形動作に含まれる複数の工程の時間を計測する。本実施形態において、制御装置55は、少なくとも型閉工程の時間、射出工程の時間、冷却工程の時間、型開工程の時間および取出工程の時間を計測する。制御装置55が、成形条件を変更する前に計測した各工程の時間(変更前工程時間T12)と、成形条件を変更した後に計測した各工程の時間(変更後工程時間T13)と、の差分時間T14を表示する。このようにすることで、作業者が、成形条件の変更による各工程の時間の変化を容易に確認できる。
【0045】
また、制御装置55が、変更前工程時間T12と、変更後工程時間T13と、差分時間T14と、を1つの行R1に含み、行R1を複数含むテーブルTを表示する。このようにすることで、作業者が、成形条件の変更による各工程の時間の変化について各工程間で容易に比較することができる。
【0046】
また、制御装置55が、変更前実行時間T22と、変更後実行時間T23と、差分時間T24と、を1つの行R2に含み、行R2を含むテーブルTを表示する。このようにすることで、作業者が、成形条件の変更による成形動作の実行時間の変化をより具体的に確認できる。
【0047】
また、制御装置55が、テーブルTと並べて、成形条件を変更するための成形条件設定画面Sを表示する。このようにすることで、作業者が、成形条件の変更による各工程の時間の変化を確認しながら、成形条件を変更することができる。
【0048】
また、制御装置55が、成形条件設定画面Sにおいて成形条件が変更されると、変更された成形条件を仮の成形条件として保持して、仮の成形条件に基づいて成形動作を実行する。制御装置55が、保存ボタンS3が操作される(成形条件を保存する操作が入力される)と、仮の成形条件を成形条件として記憶装置53に格納する。制御装置55が、キャンセルボタンS4が操作される(成形条件を破棄する操作が入力される)と、仮の成形条件を記憶装置53に格納せずに破棄する。このようにすることで、作業者が、成形条件を変更しても容易に元に戻すことができ、様々な成形条件を容易に試すことができる。
【0049】
また、制御装置55が、成形動作の実行時間の目標時間が入力されると、成形条件を変更する前に計測した成形動作の実行時間(変更前実行時間T32)と、目標時間(目標時間T35)と、の差分時間T34を表示する。このようにすることで、作業者が、成形動作の実行時間を目標時間とするために短縮すべき時間を容易に確認することができる。
【0050】
また、制御装置55の差分時間T14の表示態様が、差分時間T14が0のときと、差分時間T14が正の値のときと、差分時間T14が負の値のときと、で異なっていてもよい。例えば、テーブルTにおける差分時間T14を表示する部分の背景色を、差分時間T14が0のときは白色とし、差分時間T14が正の値のときは赤色とし、差分時間T14が負の値のときは青色とする。このようにすることで、成形条件の変更によって時間が短縮できたのか否かをより容易に確認することができる。差分時間T24、T34についても同様である。
【0051】
本明細書では、本発明の一実施形態に係る射出成形機を説明したが、本発明は射出成形機に限定されるものではない。本発明は、ダイカストマシンなどの他の種類の成形機にも適用可能である。
【0052】
上記に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。前述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…射出成形機 G…成形サイクル管理画面
2…型締装置 T…テーブル
21…固定ダイプレート R1…行
22…可動ダイプレート T11…名称
23…型締駆動機構 T12…変更前工程時間
3…射出装置 T13…変更後工程時間
31…シリンダ T14…差分時間
32…ノズル R2…行
33…樹脂供給部 T21…名称
34…ヒーター T22…変更前実行時間
35…スクリュー T23…変更後実行時間
36…スクリュー駆動機構 T24…差分時間
4…取出装置 R3…行
41…突出機構 T32…変更前実行時間
5…制御ユニット T34…差分時間
51…表示装置 T35…目標時間
52…入力装置 S…成形条件設定画面
53…記憶装置 S1…選択ボタン
54…タイマ S2…表示部
55…制御装置 S21…設定画面
6…基台 S3…保存ボタン
81…固定側金型 S4…キャンセルボタン
82…可動側金型
83…キャビティ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8