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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139343
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】端子台
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/16 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
H01R9/16
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050236
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】吉田 優介
(72)【発明者】
【氏名】牧村 友貴
【テーマコード(参考)】
5E086
【Fターム(参考)】
5E086CC46
5E086DD05
5E086HH25
5E086JJ03
5E086LL04
5E086LL06
5E086LL15
(57)【要約】
【課題】バスバーの誤組付けを防止することができる端子台の提供。
【解決手段】中間端子台2は、ベース部20と、ベース部20上に配置されて、バスバー3Aの一端が固定される固定部21aと、固定部21aを挟むようにベース部20上に立設され、バスバー3Aの延出経路を形成する一対の隔壁部223と、ベース部20上に固定部21aと並置されて、バスバー3Bの一端が固定される固定部21bと、固定部21bを挟むようにベース部20上に立設され、バスバー3Bの延出経路を形成する一対の隔壁部223と、を備え、壁部22aの隔壁部223は、バスバー3Bの固定部21aへの配置を阻止する領域R4および誤組防止部224を有し、壁部22bの隔壁部223は、バスバー3Aの固定部21bへの配置を阻止する領域R3を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースプレートと、
前記ベースプレート上に配置されて、第1バスバーの一端が固定される第1固定部と、
前記第1固定部を挟むように前記ベースプレート上に立設され、前記第1バスバーの延出経路を形成する一対の第1隔壁部と、
前記ベースプレート上に前記第1固定部と並置されて、第2バスバーの一端が固定される第2固定部と、
前記第2固定部を挟むように前記ベースプレート上に立設され、前記第2バスバーの延出経路を形成する一対の第2隔壁部と、を備え、
一対の前記第1隔壁部の少なくとも一方は、前記第2バスバーの前記第1固定部への配置を阻止する第1干渉領域を有し、
一対の前記第2隔壁部の少なくとも一方は、前記第1バスバーの前記第2固定部への配置を阻止する第2干渉領域を有することを特徴とする端子台。
【請求項2】
請求項1に記載の端子台において、
前記第1および第2隔壁部は電気絶縁性の材料で形成され、
前記第1隔壁部は、前記第1固定部に固定された前記第1バスバーから離間して配置され、かつ、前記ベースプレートからの突出高さが前記第1固定部に固定された前記第1バスバーの高さよりも高く、
前記第2隔壁部は、前記第2固定部に固定された前記第2バスバーから離間して配置され、かつ、前記ベースプレートからの突出高さが前記第2固定部に固定された前記第2バスバーの高さよりも高いことを特徴とする端子台。
【請求項3】
請求項1に記載の端子台において、
前記第1隔壁部の固定部対向面には、前記第1バスバーが当接して該第1バスバーを前記第1固定部の所定固定位置へ導く第1誘導突起が設けられ、
前記第2隔壁部の固定部対向面には、前記第2バスバーが当接して該第2バスバーを前記第2固定部の所定固定位置へ導く第2誘導突起が設けられていることを特徴とする端子台。
【請求項4】
請求項1に記載の端子台において、
前記端子台は、前記第1および第2固定部の並置方向が水平方向となり、かつ、前記第1および第2隔壁部の延在方向が鉛直方向となるように設置され、
一対の前記第1隔壁部が形成する前記第1バスバーの前記延出経路は、一対の前記第1隔壁部の一方の鉛直方向上方を含み、
前記第2隔壁部は、前記第2固定部の鉛直方向下方に突出する第2壁面を備えることを特徴とする端子台。
【請求項5】
請求項1に記載の端子台において、
前記第1隔壁部は、前記第1固定部に配置された前記第1バスバーを前記延出経路において支持する支持部を備えることを特徴とする端子台。
【請求項6】
請求項2から請求項5までのいずれか一項に記載の端子台において、
前記端子台は、前記第1および第2固定部の並置方向が水平方向となり、かつ、前記第1および第2隔壁部の延在方向が鉛直方向となるように設置され、
前記第1干渉領域の前記第1隔壁部の鉛直方向上側の壁面、前記第2干渉領域の前記第2隔壁部の鉛直方向上側の壁面、前記第1および第2誘導突起の鉛直方向上側の面、前記第1および第2壁面、および、前記支持部の鉛直方向上側の壁面は、水平に対して斜めに傾斜していることを特徴とする端子台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子台に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車のような電動車両には、電動機、発電機等の回転電機と、回転電機を制御する制御ユニットとを備える駆動装置が搭載されている。回転電機と制御ユニットとは、バスバーと呼ばれる接続線によって接続されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-151138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の駆動装置では、3本のバスバーはほぼ同一形状であるが、周囲の構成物との干渉を避けるためにバスバー形状を異なる形状とする場合ある。例えば、バスバーA、バスバーBのように形状の異なる2種類のバスバーを使用する場合、バスバーAを組み付けるべき端子にバスバーBを組み付けてしまうという、誤組み付けが生じるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による端子台は、ベースプレートと、前記ベースプレート上に配置されて、第1バスバーの一端が固定される第1固定部と、前記第1固定部を挟むように前記ベースプレート上に立設され、前記第1バスバーの延出経路を形成する一対の第1隔壁部と、前記ベースプレート上に前記第1固定部と並置されて、第2バスバーの一端が固定される第2固定部と、前記第2固定部を挟むように前記ベースプレート上に立設され、前記第2バスバーの延出経路を形成する一対の第2隔壁部と、を備え、一対の前記第1隔壁部の少なくとも一方は、前記第2バスバーの前記第1固定部への配置を阻止する第1干渉領域を有し、一対の前記第2隔壁部の少なくとも一方は、前記第1バスバーの前記第2固定部への配置を阻止する第2干渉領域を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、バスバーの誤組付けを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態の端子台が用いられているトラクションモータユニットの概観を示す図である。
図2図2は、図1の矩形破線領域の拡大図である。
図3図3は、図2のA矢視図である。
図4図4は、中間端子台の平面図である。
図5図5は、図4のB矢視図である。
図6図6は、図4のC矢視図である。
図7図7は、絶縁性能向上機能を説明する図である。
図8図8は、誤組付け防止機能を説明する図である。
図9図9は、落下防止機能を説明する図である。
図10図10は、位置決め機能を説明する図である。
図11図11は、堆積防止機能を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態について説明する。以下の記載および図面は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略および簡略化がなされている。また、以下の説明では、同一または類似の要素および処理には同一の符号を付し、重複説明を省略する場合がある。なお、以下に記載する内容はあくまでも本発明の実施の形態の一例を示すものであって、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、他の種々の形態でも実施をすることが可能である。
【0009】
図1は、本実施形態の端子台が用いられているトラクションモータユニット1の概観を示す図である。トラクションモータユニット1のミッションケース11内には、トラクションモータ12、ジェネレータ13、トランスミッション(不図示)等が設けられている。ミッションケース11の上部にはインバータ等を備えたパワーコントロールユニット(PCU)14が設けられている。トラクションモータ12およびジェネレータ13の軸芯はy軸の方向に延在している。
【0010】
図1は、ミッションケース11の軸方向手前側の蓋が外された状態を示しており、トラクションモータ12と、ジェネレータ13と、端子台(以下では、中間端子台と呼ぶ)2とが露出している。中間端子台2は、ジェネレータステータから引き出されたジェネレータフィード131と、バスバー3とを接続するための端子台であって、ジェネレータフィード131の接続端子とバスバー3の一端に設けられた端子部31とが固定される。バスバー3の他端に設けられた端子部32は、PCU端子141に接続される。ミッションケース11にはクーラント導入口111が設けられている。ジェネレータ13で生成された三相電流は3本のバスバー3を介してPCU14に入力される。トラクションモータ12のステータ121の近傍には、オートマチックトランスミッションフルード(ATF)の滴下パイプ122が設けられている。その滴下パイプ122からATFを滴下して、ステータ121全体にATFを塗布するようにしている。
【0011】
図2は、図1の矩形破線領域の拡大図である。図1に示した3本のバスバー3は、途中で大きく湾曲しているバスバー3Aと、同一形状の2本のバスバー3Bとで構成されている。PCU端子141から図示下方に延在するバスバー3Aは、トラクションモータ12のステータ121が取り付けられている部分を迂回するように、途中が大きく湾曲した形状に形成されている。そのため、バスバー3Bも、湾曲したバスバー3Aと干渉しないように中間付近が図示左側に折れ曲がった形状を有している。
【0012】
中間端子台2は、中間端子台2の底面がほぼ垂直面となるように、2本のボルトによりミッションケース11の垂直面に固定されている。各バスバー3A,3Bの端子部31は、対応するジェネレータフィード131の接続端子と重ねるように中間端子台2の固定部21に配置され、ボルト等により共締めされるように固定部21に固定される。ところで、クーラント導入口111から導入されるクーラントが上述のATFに誤って混入すると、クーラントが混入したATFが滴下パイプ122からミッションケース11内の端子台配置領域に侵入することになる。
【0013】
図3は、図2に示すバスバー3A,3Bおよび中間端子台2をA方向から見たA矢視図である。ミッションケース11の端子台取付面は段差を有しており、中間端子台2が固定される面とPCU端子141のバスバー固定面とは高さが異なる。ミッションケース11に設けられたステータ121は、バスバー3A,3B側に突出するように形成されている。図2に示したように、バスバー3Aはステータ121を避けるように湾曲している。
【0014】
バスバー3Aは、PCU端子141に固定された端子部32の図示右側で折れ曲がって、中間端子台2の固定部21の高さと同じ高さまで立ち上がった後、中間端子台2の方向に延伸している。バスバー3Bは、端子部32の図示右側で折れ曲がって中間端子台2よりも図示上方に立ち上がった後に、再び図示下方に折れ曲がって中間端子台2に固定される。そのため、図2ではバスバー3Aの湾曲した部分が隣のバスバー3Bに近接しているように見えるが、図3に示すようにy方向に十分離れている。
【0015】
図4~6は、中間端子台2の形状を説明する図である。図4は平面図であり、図5図4のB方向から見たB矢視図であり、図6図4のC方向から見たC矢視図である。中間端子台2は、金属板を電気絶縁性の樹脂でモールドしたインサート成形により形成される。中間端子台2は、取り付け対象に固定されるベース部20と、ベース部20上に設けられた複数の固定部21a,21b,21cと、固定部21a,21b,21cの周囲に設けられた壁部22a,22bとを備えている。ベース部20には、中間端子台2を取り付け対象(例えば、ミッションケース11)にボルト固定するための貫通孔201が形成されている。
【0016】
固定部21a,21b,21cはx方向に並ぶように配置され、バスバー3A,3Bの端子部31が固定される座面211を備えている。図2に示したように、右側の固定部21aの座面211にはバスバー3Aの端子部31が固定され、その左側に設けられた2つの固定部21b,21cの各座面211には、各バスバー3Bの端子部31がそれぞれ固定される。
【0017】
壁部22a,22bはベース部20から突出するように設けられ、壁部22aは図示右端の固定部21aの周囲を囲むように形成され、壁部22bは図示左端の固定部21cの周囲を囲むように形成されている。壁部22a,22bの内周面および外周面には、バスバー3A,3Bを固定部21a~21cへ誘導するための誘導部220が設けられている。また、バスバー3Bを間違って固定部21aに組み付けてしまうのを防止するための誤組防止部224が、壁部22aの内周面に設けられている。なお、誘導部220および誤組防止部224については後述する。
【0018】
壁部22a,22bの図示上側領域には、固定部21a,21cに固定されたバスバー3A,3Bを上方に引き出すための引出口221が設けられている。一方、壁部22a,22bの図示下側領域には固定部21a,21cに固定されたジェネレータフィード131を下方に引き出すための引出口222が設けられている。これらの引出口221,222は壁部22a,22bの一部を切り欠いて形成したものである。そのため、引出口221,222の壁部高さは、壁部22a,22bのその他の領域の高さよりも低くなっている。
【0019】
なお、引出口221の高さは固定部21aの高さとほぼ同一に設定されており(図6参照)、引出口221の壁部は、バスバー3Aの延出部33(図)を支持する支持部として機能する。固定部21aに配置されたバスバー3Aは、固定部21aと引出口221の両方に接触するので、組付け作業時のバスバー3Aの保持に関して安定性向上を図ることができる。
【0020】
図4において、壁部22a,22bのハッチングを施した領域は、壁部高さが最も高い部分の頂面を示している。本実施形態では、壁部22a,22bにおけるハッチングを施した部分を、隔壁部223と称する。隔壁部223はx方向に沿って4か所ある。各固定部21a,21b,21cは、4か所の隔壁部223の内の隣り合う一対の隔壁部223によって挟まれた領域に配置されている。
【0021】
固定部21aの両側に配置された隔壁部223は、固定部21aに固定されたバスバー3Aに対して溝状の経路(以下では、延出経路と呼ぶ)を形成している。固定部21bの両側に配置された隔壁部223は、固定部21bに固定されたバスバー3Bの延出経路を形成している。固定部21cの両側に配置された隔壁部223は、固定部21cに固定されたバスバー3Bの延出経路を形成している。
【0022】
次に、壁部22a,22bの機能について説明する。
(第1の機能:絶縁性能向上)
第1に、壁部22a,22bの隔壁部223は、固定部21a~21cに固定されたバスバー3A,3Bおよびジェネレータフィード131に対して絶縁保護壁として機能する。図7図4のD-D断面に相当する図であり、沿面放電抑制機能について説明する図である。沿面放電は、絶縁物の表面に沿って電流が流れる放電現象である。図4では示していないが、絶縁物で構成される固定部21a,21bには、図7に示すようにバスバー3A,3Bが固定される。
【0023】
図7に示すような構成の場合、バスバー3Aとバスバー3Bとの間、およびバスバー3Aとステータ121との間で沿面放電の可能性がある。しかしながら、中間端子台2においては、それらの間に高さ寸法の大きな隔壁部223が配置されている。すなわち、隔壁部223のベースプレート20からの突出高さは、固定部21a,21b,21cに固定されたバスバー3A,3Bの高さよりも高く設定されている。そのため、沿面放電の電流は破線矢印L1,L2のような経路で流れることになる。この破線矢印L1,L2で示す経路の長さは沿面放電における絶縁距離を表しており、隔壁部223を設けたことにより、隔壁部223が無い場合に比べて絶縁距離を数倍に拡大することができる。その結果、沿面放電の発生を抑制することができる。
【0024】
(第2の機能:誤組付け防止機能)
壁部22a,22bの第2の機能は、バスバー3A,3Bの誤組付け防止機能である。図8は、中間端子台2における誤組付け防止機能を説明する図である。前述したように、固定部21aを囲む壁部22aの内周面には、誤組防止部224が形成されている。図2に示したように、固定部21aにはバスバー3Aが固定され、固定部21b、21cにはバスバー3Bが固定される。図2,3に示したようにバスバー3Aとバスバー3Bとは形状が異なっている。バスバー3Aは、ステータ121との干渉を避けるために図3の左方向に大きく湾曲している。また、バスバー3Bの端子部31には、誤組付け防止用の突起311が形成されている。
【0025】
図8の二点鎖線で示すようにバスバー3Aを間違って固定部21bに組み付けようとした場合、符号R3を付した領域において、バスバー3Aの湾曲している部分が壁部22bの隔壁部223に干渉する。バスバー3Aを固定部21cに組み付けようとした場合も同様で、バスバー3Aの湾曲している部分が壁部22bの図示左側の隔壁部223(符号R3を付した領域)に干渉する。そのため、バスバー3Aの端子部31を固定部21b,21cの座面211に配置することができず、バスバー3Aの固定部21b,21cへの誤組付けを防止することができる。
【0026】
また、二点鎖線で示すようにバスバー3Bを固定部21aに組み付けようとした場合には、バスバー3bの端子部31に形成された突起311が、壁部22aの内周面に形成された誤組防止部224に干渉する。また、バスバー3Bはバスバー3Aのように大きく湾曲していないので、符号R4を付した領域において壁部22aの隔壁部223と干渉する。その結果、バスバー3Bの端子部31を固定部21aの座面211に配置することがでず、バスバー3Bの固定部21aへの誤組付けを防止することができる。
【0027】
(第3の機能:落下防止機能)
壁部22a,22bの第3の機能は、バスバー3A,3Bの組付け作業時の落下防止である。図9は、中間端子台2における落下防止機能を説明する図である。図1に示したように、トラクションモータユニット1において図示上下方向が天地方向である。そして、図1,2に示すような配置姿勢で中間端子台2をミッションケース11に固定した後に、バスバー3A,3Bの取り付け作業が行われる。その場合、延在方向が天地方向となる姿勢でバスバー3A,3Bを配置するので、取り付け作業中にバスバー3A,3Bを落下させてしまう可能性があり、固定作業に手間取るおそれがある。また、バスバー3A,3Bを中間端子台2に仮置きして、次の工程でねじ止めするような作業工程の場合には、トラクションモータユニット1の次の工程への移動の際に、バスバー3A,3Bが仮置きされている中間端子台2から落下してしまう可能性がある。
【0028】
図9は、仮置きされたバスバー3A,3Bの落下が防止される様子を示したものである。固定部21aに固定されたバスバー3Aは、端子部31から湾曲しながら鉛直上方に延びる延出部33を有している。壁部22aの一対の隔壁部223は、バスバー3Aの延出部33が通る延出経路を形成している。そして、延出部33が通る延出経路は、壁部22aの図示左側の隔壁部223の鉛直方向上方を含んでいる。そのため、固定部21aに仮置きされたバスバー3Aが図示下方に位置ずれした場合には、符号R5で示す領域において、延出部33が隔壁部223に当接する。その結果、位置ずれしたバスバー3Aは隔壁部223により図9に示す状態に保持され、落下が防止される。
【0029】
また、壁部22bの隔壁部223の内周面は、符号R7で示す領域において固定部21cの鉛直方向下方(すなわち、図示左方向)に突出している。そのため、固定部21cから図示下方にバスバー3Bが位置ずれした場合には、バスバー3Bの端子部31が、符号R7で示す領域において隔壁部223の内周面に当接する。その結果、位置ずれしたバスバー3Bは図9に示す状態に保持され、落下が防止される。固定部21bに固定されるバスバー3Bに関しても同様で、端子部31が符号R6で示す領域において隔壁部223の外周面(固定部21b側の面)に当接するので、落下が防止される。なお、バスバー3Bの端子部31には突起311が形成されているので、バスバー3Bが隔壁部223に当接するまでの位置ずれ量を小さく抑えることができる。
【0030】
(第4の機能:位置決め機能)
図10は、壁部22a,22bの第4の機能である、バスバー3A,3Bに対する位置決め機能を説明する図である。図10は、図4のE-E断面に相当する図である。図10では、固定部21bに固定されるバスバー3Bの位置決めについて示した。図4に示したように、壁部22a,22bの内周面および外周面には、バスバー3A,3Bを固定部21a~21cへ誘導するための誘導部220が設けられている。固定部21bの両側に設けられている誘導部220は、固定部21bの方向に下り傾斜の傾斜面で構成されている。なお、図4に示す固定部21a,21cの両側に設けられている誘導部220についても、それぞれ固定部21a,21cの方向に下り傾斜の傾斜面で構成されている。
【0031】
図10において、二点鎖線は、それぞれ固定部21bへの配置動作途中のバスバー3Bを示している。バスバー3Bが図示左側の誘導部(傾斜面)220に当接すると、実線矢印L3で示すように、傾斜面である誘導部220により固定部21bの中央方向に誘導される。そして、中央まで誘導されると、バスバー3Bは実線矢印L4で示すように図示下方に移動し、固定部21b上の中央位置に載置される。固定部21bに固定されるジェネレータフィード131の接続端子に関しても、バスバー3Bの場合と同様に誘導部220によって固定部21bの中央に誘導される。
【0032】
図10では、バスバー3Bが左側に位置ずれしている場合の位置決め動作(誘導動作)について示したが、バスバー3Bが右側に位置ずれしている場合には、バスバー3Bは右側の誘導部220によって左斜め下方向へと誘導されることになる。また、各固定部21a,21cの誘導部220に関しても、固定部21bの両側の誘導部220と同様に機能する。なお、実施形態では各固定部21a~21cの両側に誘導部220を設けたが、片側にだけ誘導部220を設けても構わない。その場合、バスバー3A,3Bを配置する際に、誘導部220を目安に配置することで、誘導部220の誘導機能を利用することができる。
【0033】
(第5の機能:堆積防止機能)
図11は、壁部22a,22bの第5の機能である、クーラント液の堆積防止機能を説明する図である。端子部配置領域に侵入したクーラント液は、図11に示す矢印Fのように鉛直方向に沿って上から下へと流れる。クーラント液が中間端子台2に滞留して堆積した場合、特にバスバー3A,3Bに近い領域に堆積した場合、絶縁性低下の原因となりやすい。そこで、図11において太線で示す壁面(壁部22a,22bの鉛直方向上側の壁面)を、水平に対して斜めに傾斜した傾斜面とすることで、クーラント液の堆積を低減するようにした。
【0034】
具体的には、隔壁部223における、バスバー3A,3Bの誤組付けを防止するための領域R3,R4の壁面、バスバー3A,3Bの落下を防止する領域R5,R6,R7の壁面、バスバー3A,3Bを固定部21a,21b,21cへ誘導する誘導部220の壁面、および、支持部として機能する壁部22aの引出口221の壁面である。それらの壁面は鉛直方向上側の壁面であり、各壁面を水平に対して斜めに傾斜した傾斜面とすることで、クーラント液の堆積(滞留)が抑制される。なお、壁部22aの内周面に設けられた誤組防止部224についても、鉛直方向上側の壁面を傾斜面(左下がりの傾斜面)で構成するようにしても良い。
【0035】
以上説明した各種の実施の形態や変形例はあくまでも一例であり、発明の特徴を損なわない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。例えば、上述した実施形態では、トラクションモータユニット1に使用される端子台を例に説明したが、本発明は、他の機器に使用される端子台に対しても適用することができる。また、ベース部20が上述したように垂直となるように端子台(中間端子台2)を配置しても良いし、ベース部20が水平になるように配置しても良い。
【符号の説明】
【0036】
1…トラクションモータユニット、2…中間端子台(端子台)、3,3A,3B…バスバー、20…ベース部、21,21a,21b,21c…固定部、22a,22b…壁部、31,32…端子部、33…延出部、131…ジェネレータフィード、220…誘導部、221,222…引出口、223…隔壁部、224…誤組防止部、311…突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11