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特開2024-139346情報処理装置および情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139346
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241002BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20241002BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241002BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/13
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050239
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】金子 拓光
(72)【発明者】
【氏名】後藤 紳一郎
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB15
5H181BB20
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF05
5H181MC02
5H181MC12
5H181MC15
5H181MC27
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】車両に着脱可能に取り付けられるオプション品に関する情報を取得する。
【解決手段】情報処理装置30は、車両に搭載される外部センサ群および内部センサ群それぞれにより検出されるフローティングカーデータを含む各種データをリアルタイムに収集するデータ収集部331と、データ収集部331により収集された複数のデータを用いて車両の走行に関する特徴を学習する機械学習部332と、機械学習部332により学習された車両の特徴を記憶する記憶部34と、記憶部34に記憶された車両の特徴とデータ収集部331により収集される車両から得られる最新データとを比較して、オプション品の装着の有無を判定する判定部333と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に着脱可能に取り付けられるオプション品に関する情報を取得する情報処理装置であって、
前記車両に搭載される複数のセンサそれぞれにより検出される複数のデータをリアルタイムに収集するデータ収集部と、
前記データ収集部により収集された複数のデータを用いて前記車両の走行に関する特徴を学習する機械学習部と、
前記機械学習部により学習された前記車両の前記特徴を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記車両の前記特徴と前記データ収集部により収集される前記車両から得られる最新データとを比較して、前記オプション品の装着の有無を判定する判定部と、を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記判定部は、前記車両の前記特徴と前記最新データとを比較して、前記オプション品の装着確率を算出し、算出された前記装着確率に基づいて、前記オプション品の装着の有無を判定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、
前記データ収集部により収集される複数のデータには、前記オプション品が前記車両に取り付けられることで出力される接続信号が含まれ、
前記判定部は、前記データ収集部により前記接続信号が収集されると、前記装着確率および前記接続信号の有無に基づいて、前記オプション品の装着の有無を判定することを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の情報処理装置において、
前記データ収集部により収集される複数のデータには、前記車両の位置情報および車速情報を含む走行に関するデータと、日時および天候を含む走行時の条件に関するデータとが含まれることを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置と通信可能であり、前記複数のセンサを有する前記車両と、
自動車関連事業体が有し、前記判定部により判定された前記オプション品の装着情報が送信される事業体端末と、を備えることを特徴とする情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の装備に関する情報を取得する情報処理装置および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通信ネットワークを介して走行中の車両からリアルタイムに車両情報を取得してこれを管理し、必要な情報を配信する装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、車両の稼働データから各種オイルの量や温度、バッテリ電圧等の情報を取得してこれらの交換時期を管理し、車両の所有者に配信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-310218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両には、オプション品が新たに装着されたり、装備品(標準部品)がオプション品に交換されたりすることがある。しかしながら、特許文献1記載の装置が取得する情報には、オプション品に関する情報は含まれていない。オプション品は、車両の所有者自身若しくはディーラ以外の整備工場で取り付けや交換等を行われることがあり、その場合、自動車メーカやディーラでこれらの情報を取得することが困難な場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、車両に着脱可能に取り付けられるオプション品に関する情報を取得する情報処理装置である。情報処理装置は、車両に搭載される複数のセンサそれぞれにより検出される複数のデータをリアルタイムに収集するデータ収集部と、データ収集部により収集された複数のデータを用いて車両の走行に関する特徴を学習する機械学習部と、機械学習部により学習された車両の特徴を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された車両の特徴とデータ収集部により収集される車両から得られる最新のデータとを比較して、オプション品の装着の有無を判定する判定部と、を備える。
【0006】
本発明の他の態様である情報処理システムは、上記の情報処理装置と、情報処理装置と通信可能であり、複数のセンサを有する車両と、自動車関連事業体が有し、情報処理装置の判定部により判定されたオプション品の装着情報が送信される事業体端末と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両に着脱可能に取り付けられるオプション品に関する情報を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る情報処理装置を備える情報処理システムの構成の一例を示す図。
図2】車両に搭載される車載端末の要部構成を示すブロック図。
図3】本実施形態に係る情報処理装置の要部構成を示すブロック図。
図4】事業体端末の要部構成を示すブロック図。
図5】情報処理装置の演算部で実行されるオプション品に関する情報取得処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図1図5を参照して本発明の一実施形態について説明する。本発明の実施形態に係る情報処理装置は、車両に着脱可能なオプション品に関する情報、例えば、車両に後付け若しくは取り外されたオプション品、又は交換されたオプション品等の最新の情報を取得する装置として構成される。ここで、オプション品とは、車両に取付け可能な部品および予め装備された装備品(標準部品)と交換可能な部品を含み、オプション品には、自動車メーカにより製造された純正部品に加え、車外メーカにより製造された車外部品なども含む。
【0010】
一般に、車両に装着可能なオプション品においては、自動車メーカのディーラで取り付けや交換等のメンテナンスを行う場合は、自動車メーカやディーラにその情報が残るが、車両の所有者自身やディーラ以外の整備工場等で取り付けや交換等を行った場合には、自動車メーカやディーラではこれらの情報を把握することが困難である。そこで、車両が実際に走行して得られるフローティングカーデータを取得し、これらから車両の走行に関する特徴を機械学習させ、機械学習した特徴に変化が生じた場合に車両のオプション品の変化を判定する。これにより、車両の所有者自身やディーラ以外の整備工場等でオプション品の取り付け等を行った場合においても、車両のオプション品に関する最新の情報を取得することができる。また、オプション品に関する最新情報を自動車関連事業体に送信して共有することで、将来的な自動車関連事業体のサービスに役立てることが期待できる。例えば、将来的に中古車として販売される場合に役立つことが期待できる。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理装置を備える情報処理システムの構成の一例を示す図である。図1に示すように、情報処理システム1は、管理対象となる車両10に搭載される車載端末20と、車両10を販売したディーラが有する情報処理装置30と、ディーラと関連する自動車関連事業体が有する事業体端末40と、を備える。
【0012】
車載端末20、情報処理装置30および事業体端末40は、それぞれ、通信網2を介して互いに通信可能に構成される。通信網2には、インターネット網や携帯電話網等に代表される公衆無線通信網だけでなく、所定の管理地域ごとに設けられた閉鎖的な通信網、例えば無線LAN、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)等も含まれる。
【0013】
管理対象となる車両10には、ディーラにより販売された複数の車両10-1,10-2,・・・,10-nが含まれ、例えば、数年後の下取りを前提にした残価設定型クレジットにより購入した車両も含まれる。図2は、車両10に搭載される車載端末20の要部構成を示すブロック図である。図2に示すように、車載端末20は、コントローラ21と、CAN通信線等を介してコントローラ21にそれぞれ通信可能に接続された入出力装置22、測位ユニット23、ナビゲーション装置24、通信ユニット25、アクチュエータ26、外部センサ群27および内部センサ群28と、を主に備える。
【0014】
入出力装置22は、車両10に乗車する乗員からの指令が入力されたり、乗員に対して情報が出力されたりする装置の総称である。例えば入出力装置22には、操作部材の操作により乗員が各種指令を入力する各種スイッチ、乗員が音声で指令を入力するマイク、表示画面を介して乗員に情報を表示するディスプレイ、音声で乗員に情報を提供するスピーカなどが含まれる。
【0015】
測位ユニット(GNSSユニット)23は、測位衛星から送信された測位用の信号を受信する測位センサを有する。測位センサを内部センサ群28に含めることもできる。測位衛星は、GPS衛星や準天頂衛星などの人工衛星である。測位ユニット23は、測位センサが受信した測位情報を利用して、車両10の現在位置(緯度、経度、高度)を測定する。
【0016】
ナビゲーション装置24は、乗員により入力された目的地までの道路上の目標経路を探索するとともに、目標経路に沿った案内を行う装置である。目的地の入力および目的経路に沿った案内は、入出力装置22を介して行われる。目標経路は、測位ユニット23により測定された車両10の現在位置と地図データベースに記憶された地図情報とに基づいて演算される。
【0017】
通信ユニット25は、通信網2を介して、情報処理装置30および事業体端末40等の外部の装置と無線通信可能に構成される。また通信ユニット25は、地図情報、天候情報および交通情報などを定期的にあるいは任意のタイミングで図示しない各種サーバから取得するために、通信網2を介してこれらサーバと無線通信可能に構成される。
【0018】
アクチュエータ26は、車両10に搭載された各種機器を駆動して、車両10の走行を制御するための走行用アクチュエータを含む。例えばアクチュエータ26には、スロットル用アクチュエータ、ブレーキ用アクチュエータおよび転舵用アクチュエータ等の走行用アクチュエータが含まれる。
【0019】
外部センサ群27は、車両10の周辺情報である外部状況を検出する複数のセンサ(外部センサ)の総称である。例えば外部センサ群27には、レーザ光を照射して反射光を検出することで車両10の周辺の物体の位置(車両10からの距離や方向)を検出するライダ、電磁波を照射して反射波を検出することで車両10の周辺の物体の位置を検出するレーダ、CCDやCMOS等の撮像素子を有し、車両10の周辺(前方、後方および側方)を撮像するカメラなどが含まれる。
【0020】
内部センサ群28は、車両10の走行状態を検出する複数のセンサ(内部センサ)の総称である。例えば内部センサ群28には、車両10の車速を検出する車速センサ、車両10の前後方向および左右方向の加速度を検出する加速度センサ、走行駆動源の回転数を検出する回転数センサなどが含まれる。また内部センサ群28には、ドライバの運転操作、例えばアクセルペダルの操作、ブレーキペダルの操作、ステアリングホイールの操作等を検出するセンサも含まれ、装備品(標準部品)やオプション品等に含まれる電装部品が車両10に接続されると出力される接続信号および電装部品がONされると出力される駆動信号などを検出するセンサも含まれる。
【0021】
なお、以下では、外部センサ群27および内部センサ群28により検出される各種データをフローティングカーデータ(プローブデータ)と呼び、フローティングカーデータとは、実際に走行している車両をセンサ(プローブ)として得られたデータを含む。
【0022】
コントローラ21は、電子制御ユニット(ECU)により構成される。より具体的には、コントローラ21は、CPU(マイクロプロセッサ)等の演算部211と、ROM,RAM,ハードディスク等の記憶部212と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路と、を有するコンピュータを含んで構成される。演算部211は、機能的構成として、情報受信部211aと、情報送信部211bと、を有する。記憶部212には、演算部211の情報受信部211aや情報送信部211b等が実行する各種プログラムが記憶されるとともに、各部に用いられる各種データが記憶される。例えば、外部センサ群27や内部センサ群28により検出された各種情報、ナビゲーション装置24に用いられる地図データベース等が記憶される。
【0023】
情報受信部211aは、外部センサ群27や内部センサ群28により検出された各種情報、および通信ユニット25を介して外部の装置や図示しない各種サーバから送信される各種情報等を受信する。より具体的には、情報受信部211aは、外部および内部センサ群27,28からフローティングカーデータを受信したり、各種サーバから地図情報、日時を含む天候情報および交通情報などを受信したりする。
【0024】
情報送信部211bは、通信ユニット25を介して、各種情報を情報処理装置30等の外部の装置に送信する。より具体的には、情報送信部211bは、情報受信部211aにより受信されたフローティングカーデータを含む各種データを、通信ユニット25を介して情報処理装置30にリアルタイムに送信する。
【0025】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置30の要部構成を示すブロック図である。情報処理装置30は、車両10を販売したディーラにより管理される端末であり、例えば、サーバ装置により構成される。なお、情報処理装置30は、車両10を販売したディーラにより管理される端末に限らず、車両10の状態を管理可能な事業体により管理される端末であればよい。例えば、自動車メーカにより管理される端末であってもよく、自動車メーカおよびディーラのそれぞれにより管理される端末であってもよい。また情報処理装置30は、クラウド上で仮想サーバ機能を利用して構成することもでき、複数の端末に分散して設ける構成であってもよい。例えば記憶部のみ、仮想サーバ機能を利用したり、分散して設けたりする構成であってもよい。
【0026】
図3に示すように、情報処理装置30は、コントローラ32と、コントローラ32と電気的に接続される通信ユニット31と、を主に備える。通信ユニット31は、通信網2を介して、車載端末20および事業体端末40等の外部の装置と無線通信可能に構成される。また通信ユニット31は、地図情報、天候情報および交通情報などを定期的にあるいは任意のタイミングで図示しない各種サーバから取得するために、通信網2を介してこれらサーバとも無線通信可能に構成される。
【0027】
コントローラ32は、CPU(マイクロプロセッサ)等の演算部33と、ROM,RAM,ハードディスク等の記憶部34と、I/Oインターフェース等の図示しないその他の周辺回路と、を有するコンピュータを含んで構成される。演算部33は、機能的構成として、データ収集部331と、機械学習部332と、判定部333と、情報送信部334と、を有する。
【0028】
データ収集部331は、車両10の車載端末20から送信されるフローティングカーデータを含む各種データを、通信ユニット31を介してリアルタイムで受信し、これを収集する。より具体的には、データ収集部331は、車載端末20の外部および内部センサ群27,28が受信した車両10の外部状況や走行状態などの走行に関するデータと、車載端末20が各種サーバから受信した日時を含む天候情報や交通情報などの走行時の条件に関するデータと、をリアルタイムで受信し、これらを紐づけしてデータ毎に収集する。例えばデータ収集部331は、走行時の天候等の走行条件毎に車両10の走行に関するデータを収集する。走行条件の一例として、データ収集部331は、走行時の天候毎に収集されたデータを、さらに、日時や場所、交通情報等に基づいて細分化して収集する。
【0029】
なお、データ収集部331は、フローティングカーデータを車載端末20から受信し、日時を含む天候情報や交通情報などの車両10の走行条件に関するデータを各種サーバから直接受信する構成であってもよい。
【0030】
機械学習部332は、データ収集部331により収集されたデータを用いて車両10の走行に関する特徴を機械学習する。より具体的には、機械学習部332は、車両10の走行時の日時、場所および天候等の走行条件毎に収集された走行に関するデータから、車両10の走行に関する特徴を機械学習する。例えば機械学習部332は、○月〇日○時頃の天候が霧、交通量の少ない○○地点での車速が○○km/hであった場合、フォグランプが装備されている車両10は、霧の状態では時速○○km/h程度で走行すると特徴づける。
【0031】
また機械学習部332は、上記のような特殊な特徴以外にも、車両10の通常運転時の特徴も機械学習する。例えば、○月〇日○時頃の天候が晴れ、交通量の少ない○○地点(生活圏内や生活圏外等)での車速等のデータから通常運転時の特徴も機械学習する。機械学習部332により学習された車両10の特徴は、記憶部34の特徴データベース342に記憶され、同条件での特徴が既に記憶されている場合には、更新して記憶される。すなわち、特徴データベース342には、車両10の各走行条件における最新の特徴が走行条件毎に記憶される。
【0032】
判定部333は、記憶部34の特徴データベース342に記憶された車両10の走行に関する特徴と、データ収集部331により収集される車両10から得られる最新データとを比較して、特徴に変化が生じた場合に車両10に装着されるオプション品の有無を判定する。なお、オプション品には、ナビゲーション装置やフォグランプ等の電装部品、エアロパーツやマフラー等の外装部品等が含まれる。
【0033】
まず、判定部333は、特徴に変化が生じたか否かを判定する。例えば判定部333は、最新データに「霧」の走行条件が検出された場合には、特徴データベース342から「霧」に関する走行の特徴を抽出し、最新データと抽出された特徴とを比較して、特徴の変化の有無を判定する。例えば判定部333は、走行条件が霧(天候)のとき、霧のときの特徴データベース342に記憶された車両10の車速と、霧のときの最新データの車速とを比較する。車速に変化が生じており、変化の幅が所定値以上の場合には、判定部333は特徴に変化ありと判定する。
【0034】
特徴に変化ありと判定されると、次に判定部333は、オプション品の装着確率を算出する。例えば判定部333は、フォグランプが装備されている車両10は、霧の状態では時速○○km/h程度で走行すると特徴づけられているが、最新データの車速が特徴の車速よりも遅く、速度差の幅も所定値以上の場合、フォグランプの装着確率を算出する。判定部333は、日時、場所および交通量等を考慮して、車速の差に基づいてフォグランプの装着確率を算出し、所定の閾値(10%)以下の装着確率が所定回数(N回)以上連続して算出された場合には、フォグランプが取り外されたと一次判定する。
【0035】
なお、装着確率は、車速に加え、収集された諸々の条件を用いて算出してもよく、記憶部34の車両データベース341に記憶されたフォグランプが装着された他車両に紐づけされた特徴データベース342に記憶されたデータを参考に加えて算出してもよい。
【0036】
フォグランプが取り外されたと一次判定されると、次に判定部333は、フローティングカーデータの中に、接続信号や駆動信号が含まれているか否を判定し、接続信号が含まれていない場合には、フォグランプが取り外されたと最終判定する。一方、所定の閾値よりも大きな値の装着確率が算出された場合には、判定部333はフォグランプが装着されたままであると最終判定する。
【0037】
また判定部333は、例えば通常運転時の速度が速くなった(車速に変化が生じた)と判定されると、オプション品のマフラー(装備品(標準部品)と交換して装着されたもの)或いはエアロパーツ等の外装部品の装着確率を算出する。判定部333は、予め記憶されたオプション品の外装部品に関するデータ(装着時の特徴をデータ化したもの)と最新のデータとを比較して、これらの装着確率を算出する。判定部333は、所定の閾値(90%)以上の装着確率が所定回数(N回)以上連続して算出された場合には、オプション品の外装部品が装着されたと一次判定する。オプション品の外装部品の取り付けには、電装部品のような接続信号等は出力されないことから、一次判定がこのまま最終判定となる。
【0038】
さらに判定部333は、オプション品の交換判定も行う。例えば判定部333は、前回および前々回の最終判定でオプション品は装着されていないと判定され、今回の最終判定でオプション品が装着されていると判定された場合には、オプション品は新たに取り付けられたと判定する。一方、判定部333は、前回の最終判定でオプション品は装着されていないと判定されているが、前々回および今回の最終判定でオプション品が装着されていると判定された場合には、オプション品は交換されたと判定する。
【0039】
情報送信部334は、通信ユニット31を介して、判定部333により判定された車両10のオプション品に関する最終判定を事業体端末40に送信する。情報送信部334は、定期的あるいは任意のタイミング(例えば、装備品に変化があった場合)で最終判定を事業体端末40に送信する。
【0040】
記憶部34には、演算部33が実行する各種プログラムや各種データ等が記憶される。例えば記憶部34には、演算部33により実行される各種プログラムとして、車両10の走行に関する特徴を学習する機械学習プログラムと、車両10のオプション品の装着確率を算出する装着確率算出プログラムおよびオプション品の交換等を判定する交換判定プログラムを含むオプション品の装着判定プログラムと、が記憶される。
【0041】
また記憶部34には、記憶される各種データとして、車両情報に関する車両データベース341、車両毎の特徴に関する特徴データベース342などが記憶される。車両データベース341には、車両10を所有する所有者の所有者IDを含む所有者情報と、所有者IDと紐付けされた車両IDを含む車両情報と、が記憶される。所有者情報には、所有者の住所、氏名、連絡先、車両購入時の決算方法等が含まれ、これらは所有者IDに紐づけされている。車両情報には、車種、年式、グレード、色、車体番号、車両番号等が含まれ、これらは車両IDに紐づけされている。特徴データベース342には、車両毎にそれぞれの走行に関する特徴が記憶される。特徴データベース342では、装備品あるいはオプション品の変化に伴い、これら走行に関する特徴が時系列に記憶される。また特徴データベース342には、オプション品の外装部品に関するデータも記憶される。
【0042】
図4は、事業体端末40の要部構成を示すブロック図である。事業体端末40は、情報処理装置30を有するディーラと関連する自動車関連事業体が有する端末であり、自動車関連事業体としては、例えば、ディーラと同メーカの中古車を販売する中古車販売会社や個人間のカーシェアリングサービスを仲介する事業者等が相当する。個人間のカーシェアリングサービスの仲介とは、車両の貸出しを希望する車両の個人オーナーと、車両を使用したいユーザと、の間を仲介する事業をいう。
【0043】
事業体端末40は、自動車関連事業体により管理される端末であり、例えば、パーソナルコンピュータにより構成される。図4に示すように、事業体端末40は、通信ユニット41と、入出力部42と、演算部43と、記憶部44と、を有する。
【0044】
通信ユニット41は、通信網2を介して情報処理装置30等の外部の装置と無線通信可能に構成される。入出力部42は、事業体端末40の使用者が事業体端末40に指令を入力したり、事業体端末40の使用者に対して情報が出力されたりする装置の総称である。例えば入出力部42には、使用者が各種指令を入力する各種スイッチや使用者に情報を表示するディスプレイ等が含まれる。記憶部44には、演算部43が実行する各種プログラムや各種データが記憶される。
【0045】
演算部43はCPUを有し、通信ユニット41を介して外部から受信した信号、入出力部42を介して入力された信号、記憶部44に記憶されたプログラムやデータに基づいて所定の処理を実行し、通信ユニット41、入出力部42および記憶部44にそれぞれ制御信号を出力する。演算部43でのこの処理により、情報処理装置30から送信される車両10の装備に関する情報が入出力部(ディスプレイ)42に表示され、事業体端末40の使用者は、これを確認することができる。
【0046】
次に、上述した情報処理装置30によるオプション品に関する情報を取得する情報取得処理について説明する。図5は、情報処理装置30の演算部33で実行されるオプション品に関する情報取得処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、例えば、ディーラにより販売された車両10が納車されることで開始され、実際に走行して得られるフローティングカーデータの取得と共に繰り返し実行される。以下では、車両10に装備されていたフォグランプに関する情報を取得する例を説明する。
【0047】
まずステップS11で、車両10の車載端末20から送信されるフローティングカーデータを含む各種データを取得する。各種データには、フローティングカーデータに加え、日時を含む天候情報や交通情報などの車両10の走行条件に関するデータが含まれる。次いでステップS12で、フローティングカーデータ等を用いて車両10の走行に関する特徴を機械学習する。具体的には、車両10の走行時の日時、場所および天候等の走行条件毎に収集された走行に関するデータから、車両10の走行に関する特徴を機械学習する。例えば、走行条件が霧の場合の車両10の車速の特徴を機械学習する。
【0048】
次いでステップS13で、ステップS12で学習した車両10の走行に関する特徴を記憶する。このとき、同走行条件の特徴が既に記憶されている場合には、これを更新し、同走行条件での最新の特徴を記憶する。次いでステップS14で、同走行条件での特徴に変化が生じているか否かを判定する。ステップS14で否定されるとステップS11に戻り、特徴に変化が生じるまで上記を繰り返し実行する。ステップS11~S13が繰り返し実行されることで、特徴データベース342に記憶される特徴が蓄積される。
【0049】
一方、ステップS14で肯定されるとステップS15に進み、オプション品の装着確率を算出する。例えば、「霧」の走行条件における車速に変化が生じた場合には、霧のときに使用されるフォグランプの装着確率を算出する。次いでステップS16で、ステップS15で算出された装着確率が所定の閾値以下(例えば、10%以下)であるか否かを判定する。ステップS16で肯定されるとステップS17に進み、装着確率が所定回数以上(例えば、5回以上)連続して所定の閾値以下であるか否かを判定する。ステップS17で否定されるとステップS11に戻り、肯定されるとステップS18に進む。
【0050】
次いでステップS18で、オプション品が車両10に装備されると接続信号が出力される部品であるか否かを判定する。ステップS18で否定されるとステップS20に進み、フォグランプは車両10に装備されていないと判定される。一方、ステップS18で肯定されると、ステップS19で接続信号の入力の有無が判定され、接続信号が入力されている場合には判定不能となり、ステップS11に戻る。接続信号が入力されていない場合にはステップS20に進み、フォグランプは車両10に装備されていないと判定される。
【0051】
一方、ステップS16で否定されるとステップS21に進み、フォグランプは車両10に装備されていると判定される。フォグランプが装備されていると判定されると、次いでステップS22で、オプション品が交換等されたものであるか否かが判定される。ステップS22では、前回および前々回の最終判定でオプション品は装備されていないと判定され、今回の最終判定でオプション品が装備されていると判定された場合には、オプション品は新たに取り付けられたと判定される。一方、前回の最終判定でオプション品は装備されていないと判定されているが、前々回および今回の最終判定でオプション品が装備されていると判定された場合には、オプション品は交換されたと判定する。また前回および前々回と同様に今回も装備されていると判定された場合には、変化なしと判定される。
【0052】
次いでステップS23で、車両10の装備変化について判定され、否定されるとステップS11に戻り、肯定されるとステップS24に進む。ステップS24では、車両10の装備についてのデータを更新し、ステップS25では、車両10の装備についてのデータを事業体端末40に送信し、処理を終了する。
【0053】
本実施形態に係る情報処理装置30による動作をまとめると以下のようになる。車両10が納車され、車両10を実際に走行させることで得られるフローティングカーデータを取得すると、フローティングカーデータを含むデータから車両10の走行に関する特徴を機械学習する(ステップS11~S13)。リアルタイムに取得される最新のデータに機械学習した特徴との間で変化が生じると、オプション品の装着の有無が疑われるので、オプション品が取り付け、取り外しまたは交換等されたか否かを判定する(ステップS15~S23)。そして、オプション品の車両10の装備に変化が生じていると判定された場合には、オプション品に関する情報を更新し、事業体端末40にこの情報を送信する(ステップS24~S25)。
【0054】
本実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)本実施形態に係る情報処理装置30は、車両10に着脱可能に取り付けられるオプション品に関する情報を取得する装置として構成される(図1図3)。情報処理装置30は、車両10に搭載される外部センサ群27および内部センサ群28それぞれにより検出されるフローティングカーデータを含む各種データをリアルタイムに収集するデータ収集部331と、データ収集部331により収集された複数のデータを用いて車両10の走行に関する特徴を学習する機械学習部332と、機械学習部332により学習された車両10の特徴を記憶する記憶部34と、記憶部34に記憶された車両10の特徴とデータ収集部331により収集される車両10から得られる最新データとを比較して、オプション品の装着の有無を判定する判定部333と、を備える(図3図5)。
【0055】
この構成により、車両10の所有者が所有者自身若しくは自動車メーカのディーラ以外の整備工場等でオプション品の取り付けや取り外し等を行った場合においても、取り付け等の情報を取得することができる。すなわち、車両10が走行している限り、車両10のオプション品を含む装備品の最新情報を取得することができる。また、フローティングカーデータを用いて車両10のオプション品を含む装備について機械学習させることで、装備に関する情報を容易に取得することができる。
【0056】
(2)判定部333は、車両10の特徴と最新データとを比較して、オプション品の装着確率を算出し、算出された装着確率に基づいて、オプション品の装着の有無を判定する。このように、フローティングカーデータを用いて車両10のオプション品の装着確率を算出することで、オプション品の装着の有無を判定することができる。
【0057】
(3)データ収集部331により収集されるデータには、オプション品が車両10に取り付けられることで出力される接続信号が含まれ、判定部333は、データ収集部331により接続信号が収集されると、装着確率および接続信号の有無に基づいて、オプション品の装着の有無を判定する。この構成により、電装部品等のオプション品の装着の有無をより高精度に判定することができる。
【0058】
(4)データ収集部331により収集される複数のデータには、車両10の位置情報および車速情報を含む走行に関するデータと、日時および天候を含む走行時の条件に関するデータとが含まれる。この構成により、車両10の走行に関する特徴を機械学習させることができる。
【0059】
(5)情報処理システムは、上記の情報処理装置30と、情報処理装置30と通信可能であり、複数のセンサを有する車両10と、自動車関連事業体が有し、判定部333により判定されたオプション品の装着情報が送信される事業体端末と40、を備える(図1)。
【0060】
この構成により、車両10のオプションに関する情報を情報処理装置30と事業体端末40とで共有可能となるので、将来的な自動車関連事業体のサービスに役立てることが期待できる。例えば自動車関連事業体の一例である中古車販売会社では、将来的にその車両10が中古車として販売されることになると、オプション品の条件に応じて早めに車両10を確保できるようになることが期待できる。カーシェアリングサービスを仲介する事業者では、車両情報を最新のオプション品の装備情報に更新することで、カーシェアリングサービスの利用を希望するユーザによる検索等にヒットし易くなり、同サービスを利用させやすくなることが期待できる。
【0061】
上記実施形態は種々の形態に変形することができる。以下、変形例について説明する。
【0062】
上記実施形態では、判定部333は、所定の閾値よりも大きな値の装着確率が算出された場合には、フォグランプが装着されたままであると最終判定したが、フォグランプが取り外されたと判定する場合と同様に、所定の閾値よりも大きな値の装着確率が所定回数以上連続して算出された場合に、フォグランプが装着されたままであると判定してもよい。
【0063】
上記実施形態では、走行条件が霧の状態における車両10の特徴を用いて説明したが、車両10の走行に関する特徴はこれに限定されない。天候に関する走行条件以外にも、一般道や高速道路、山道や生活圏内の道路等における走行に関する特徴を用いる構成であってもよい。
【0064】
上記実施形態では、図5のフローチャートに示すオプション品の情報取得処理の一例として、フォグランプに関する情報を取得する例を説明したが、取得するオプション品の情報はこれに限らず、例えば、車両の標準備品(バッテリ、ヘッドライト、バンパ等)に関する情報であってもよい。例えば、ヘッドライトの場合、機械学習した特徴よりも最新の夜間の車速が早くなっている場合、光量の高いヘッドライトの装着確率を算出する構成であってもよい。
【0065】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の1つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 情報処理システム、10 車両、20 車載端末、30 情報処理装置、33 演算部、34 記憶部、40 事業体端末、331 データ収集部、332 機械学習部、333 判定部
図1
図2
図3
図4
図5