(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139354
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】締結ユニット
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20241002BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
E04B1/58 G
E04H9/02 311
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050248
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼倉 恵
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 浩徳
【テーマコード(参考)】
2E125
2E139
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA33
2E125AB01
2E125AC13
2E125AC14
2E125AC15
2E125AG03
2E125AG12
2E125AG31
2E125AG41
2E125AG57
2E125BB03
2E125BB13
2E125BB22
2E125BB34
2E125BC09
2E125BD01
2E125BE01
2E125BE02
2E125CA05
2E139AA01
2E139AC19
2E139AC33
2E139BD15
(57)【要約】
【課題】第2延出部材から受ける引張力に対する第2締結部の強度を向上させた締結ユニットを提供する。
【解決手段】本発明の締結ユニットは、第1延出部材の端部に設けられた第1締結部100と、第1延出部材に対して斜めに延出している第2延出部材の端部に設けられた第2締結部200と、第2締結部を第1締結部に接続するためのボルト300と、を備え、第2締結部200が第1締結部100にボルト300によって接続されることで第2延出部材が第1延出部材に締結され、第2締結部200は、第2延出部材の端部を挟み込んで、第2延出部材に接合されている一対の挟み込み部1と、一対の挟み込み部1同士を連結している連結部2と、一対の挟み込み部1の間に配置されて連結部2と隣接し、且つ、一対の挟み込み部1及び連結部2の各々に接合された補強部3と、を有し、ボルト300の挿入孔6が、補強部3及び連結部2を貫通して形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1延出部材の端部に設けられた第1締結部と、
前記第1延出部材に対して斜めに延出している第2延出部材の端部に設けられた第2締結部と、
前記第2締結部を前記第1締結部に接続するためのボルトと、を備え、
前記第2締結部が前記第1締結部に前記ボルトによって接続されることで前記第2延出部材が前記第1延出部材に締結され、
前記第2締結部は、
前記第2延出部材の端部を挟み込んで、前記第2延出部材に接合されている一対の挟み込み部と、
前記一対の挟み込み部同士を連結している連結部と、
前記一対の挟み込み部の間に配置されて前記連結部と隣接し、且つ、前記一対の挟み込み部及び前記連結部の各々に接合された補強部と、を有し、
前記ボルトの挿入孔が、前記補強部及び前記連結部を貫通して形成されている、締結ユニット。
【請求項2】
前記一対の挟み込み部と前記連結部とは、一枚の金属プレートを折り曲げて構成されている、請求項1に記載の締結ユニット。
【請求項3】
前記金属プレートは、前記補強部に溶接されている、請求項2に記載の締結ユニット。
【請求項4】
前記一対の挟み込み部のうちの一方に、前記第1締結部に向けて延出している差し込み部が、取り付けられており、
前記第2延出部材が前記第1延出部材に締結された状態では、前記差し込み部は、前記第1締結部と当接する、請求項3に記載の締結ユニット。
【請求項5】
前記一対の挟み込み部のうちの一方と前記連結部とは、一枚の金属プレートによって構成されており、
前記一対の挟み込み部のうちの他方は、前記一対の挟み込み部のうちの一方よりも前記第1締結部側に突出しており、
前記第2延出部材が前記第1延出部材に締結された状態では、前記一対の挟み込み部のうちの他方は、前記第1締結部と当接する、請求項1に記載の締結ユニット。
【請求項6】
前記金属プレートは、前記補強部に溶接されている、請求項5に記載の締結ユニット。
【請求項7】
前記補強部は、板状のナットによって構成されている、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の締結ユニット。
【請求項8】
前記一対の挟み込み部が前記第2延出部材の端部を挟み込む方向、及び、前記第2延出部材の延出方向の双方に直交する方向において、前記補強部の幅は、前記連結部の幅よりも大きい、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の締結ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物に設けられた第1延出部材と第2延出部材とを締結するために用いられる締結ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物において耐震補強等の強度を向上させる目的で、柱等の第1延出部材の間に、ブレース等の第2延出部材が、対をなして、互いにX字状に交差した状態で配置される場合がある。また、第1延出部材の間に配置された第2延出部材を各第1延出部材に締結するために締結ユニットが利用されることがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された締結ユニットによれば、第1延出部材としての柱に、第2延出部材としてのブレースを引張接合形式で接合し、具体的には、ブレースからの引張力が作用する方向に沿って延びたボルトを柱側の締結部に締結させる。このような構成を有することで、特許文献1に記載の締結ユニットでは、第2延出部材であるブレースの初期剛性を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載の締結ユニットのような、引張接合によって締結させる締結ユニットでは、一般的に、締結ユニットにおける第2延出部材側の部品同士が溶接にて接合されて組み立てられている。このような要領で構築された締結ユニットに対して、第2延出部材からの引張力が作用した場合に、締結ユニットにおいて第2延出部材側に溶接箇所が破断してしまい、その結果、締結ユニットが破損してしまう虞がある。そのため、第2延出部材から作用する引張力に対する強度が十分に確保された締結ユニットの開発が求められている。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、以下に示す課題を解決することを目的とする。
具体的には、本発明は、第2延出部材から受ける引張力に対する強度を向上させた締結ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するために、本発明の締結ユニットは、第1延出部材の端部に設けられた第1締結部と、第1延出部材に対して斜めに延出している第2延出部材の端部に設けられた第2締結部と、第2締結部を第1締結部に接続するためのボルトと、を備え、第2締結部が第1締結部にボルトによって接続されることで第2延出部材が第1延出部材に締結され、第2締結部は、第2延出部材の端部を挟み込んで、第2延出部材に接合されている一対の挟み込み部と、一対の挟み込み部同士を連結している連結部と、一対の挟み込み部の間に配置されて連結部と隣接し、且つ、一対の挟み込み部及び連結部の各々に接合された補強部と、を有し、ボルトの挿入孔が、補強部及び連結部を貫通して形成されている、ことにより解決される。
【0008】
本発明の締結ユニットでは、連結部が、一対の挟み込み部を連結しており、補強部が、一対の挟み込み部と連結部に接合されている。
これにより、第2延出部材から受ける引張力を、一対の挟み込み部のそれぞれと連結部とが交差する部分(曲がり部分)によって負担させることができるため、第2延出部材から受ける引張力を分散させやすくすることができる。この結果、締結ユニットにおいて、第2延出部材から受ける引張力に対する締結ユニットの強度、特に第2締結部の強度を向上させることができる。
【0009】
また、本発明の締結ユニットでは、一対の挟み込み部と連結部とは、一枚の金属プレートを折り曲げて構成されているとよい。
上記の構成では、連結部と一対の挟み込み部とが、継ぎ目がなく連結されている。そのため、一対の突出部及び連結部が互いに別部材によって構成される場合に比べ、第2延出部材から受ける引張力に対する第2締結部の強度をより高めることができる。
この結果、地震等の負荷が発生した際に第2締結部に対して、通常よりも大きな引張力が作用した場合にも、第2締結部における補強部の接合状態(溶接状態)を安定して維持することができる。また、上記の負荷によって締結ユニットが最終的に破壊される状況に至る段階まで、第2締結部は、その機能を適切に発揮することができ、これを以て、締結ユニットの安全性を向上させることができる。
さらに、上記の構成において、金属プレートは、補強部に溶接されているとよい。この場合には、第2延出部材からの引張力に対する第2締結部の強度を高めて、金属プレートと補強部との溶接箇所(接合箇所)の破断を抑えることができる。
【0010】
また、本発明の締結ユニットでは、一対の挟み込み部のうちの一方に、第1締結部に向けて延出している差し込み部が、取り付けられており、第2延出部材が第1延出部材に締結された状態では、差し込み部は、第1締結部と当接するとよい。
上記の構成では、第1締結部に第2締結部を接続する際に、第1締結部に設けられた第1隙間に、第2締結部の差し込み部を差し込むことで、第2延出部材がボルトを軸に回転してしまうのを抑制することができる。
【0011】
また、本発明の締結ユニットでは、一対の挟み込み部のうちの一方と連結部とは、一枚の金属プレートによって構成されており、一対の挟み込み部のうちの他方は、一対の挟み込み部のうちの一方よりも第1締結部側に突出しており、第2延出部材が第1延出部材に締結された状態では、一対の挟み込み部のうちの他方は、第1締結部と当接するとよい。
上記の構成では、第1締結部に第2締結部を接続する際に、一対の挟み込み部のうちの一つが第1締結部の所定箇所に当接することで、第2延出部材がボルトを軸に回転してしまうのを抑制することができる。
さらに、上記の構成において、金属プレートは、補強部に溶接されているとよい。この場合、第2延出部材からの引張力に対する第2締結部の強度を高めて、金属プレートと補強部との溶接箇所(接合箇所)の破断を抑えることができる。
【0012】
また、本発明の締結ユニットでは、補強部は、板状のナットによって構成されているとよい。
上記の構成では、汎用部品である板状のナット(板ナット)を補強部として用いることができ、この板状のナットにボルトを螺合させることで第1締結部及び第2締結部を接続することができる。
【0013】
また、本発明の締結ユニットでは、一対の挟み込み部が第2延出部材の端部を挟み込む方向、及び、第2延出部材の延出方向の双方に直交する方向において、補強部の幅は、連結部の幅よりも大きいとよい。
上記の構成では、補強部の幅をより広くすることで、第2延出部材の引張力に対する第2締結部の強度をより一層向上させることができる。また、一対の挟み込み部の間の距離が小さい場合にも、第2延出部材の引張力に対する第2締結部の強度を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第2延出部材からの引張力に対する第2締結部の強度を向上させた締結ユニットを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る建築物にて使用されている締結ユニットの正面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る建築物にて使用されている締結ユニットの柱脚側の拡大図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る建築物にて使用されている締結ユニットの柱頭側の拡大図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る第2締結部の正面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る第2締結部の側面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る第2締結部の上面図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る第2締結部の正面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る第2締結部の側面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に係る第2締結部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
なお、各図では、内部に隠れて外部から確認できない構造を、破線にて表している。
また、各図では、説明を分かり易くするために溶接ビード等の各部材を省略し、簡略化、及び模式化して図示しており、図中に示す各部材の寸法及び部材間の間隔等についても、実際のものとは異なっている場合がある。
また、以降に説明する各部材の位置、向き及び姿勢等は、特に断る場合を除き、各部材の使用されている状態にあるときの位置、向き及び姿勢等であることとする。
【0017】
また、以下の説明では、建築物において、第1延出部材が配置されている方向を、「第1方向」と呼ぶ。なお、第1方向は、水平方向における一つの方向である。
また、以下の説明では、建築物の第1延出部材が延出している方向を、「第2方向」と呼ぶ。なお、第2方向は、鉛直方向である。
また、以下の説明では、建築物において、第1方向及び第2方向と直交する方向を、「第3方向」と呼ぶ。
【0018】
<<本発明の各実施形態の全体構成>>
本発明の各実施形態に共通の建築物Aに係る構成について、
図1、2、及び3を参照しながら説明する。
本発明の各実施形態に共通の建築物Aは、
図1に示すように、第1延出部材、第2延出部材、及び締結ユニットUを有する。
【0019】
第1延出部材は、
図1に示すように、第1方向に間隔を空けて複数配置され、第2方向に沿って延出しており、具体的には、建築物Aにおいて鉛直方向に延びる柱(以下、柱Hと呼ぶ)である。柱Hの両端部には第1締結部100が設けられている。なお、柱Hの端部とは、柱Hの延出方向の端部、すなわち柱頭部及び柱脚部を意味する。
以下の説明では、建築物Aにある柱Hのうち、第1方向において互いに隣り合う一対の柱Hに着目して説明することとする。
柱Hの材質及び形状は、特に限定されず、一般的な建築物に用いられる部材であればよいが、本発明では、例えば、第1締結部100を溶接にて接合させる観点から、角筒形状の鋼材から構成された柱Hを用いてもよい。
【0020】
第2延出部材は、
図1に示すように、一対の柱Hの間に対をなして設けられ、互いにX字状に交差して配置されている。それぞれの第2延出部材は、引張ブレース(以下、ブレースBと呼ぶ)であり、一対の柱Hのそれぞれに対して、斜めに延出して固定されている。ブレースBの両端部には第2締結部200が設けられている。ブレースBの両端部には、第2締結部200が設けられている。なお、ブレースBの端部とは、ブレースBの延出方向における端部を意味する。
【0021】
具体的に説明すると、一対のブレースBは、それぞれ、斜めの姿勢で柱Hの間に架設されている。一方のブレースBは、一方の柱Hの柱頭部と他方の柱Hの柱脚部との間に掛け渡されており、他方のブレースBは、一方の柱Hの柱脚部と他方の柱Hの柱頭部との間に掛け渡されている。
【0022】
また、柱Hが延びる方向に沿って引いた仮想的な中心線と、ブレースBが延びる方向に沿って引いた仮想的な中心線(軸)とが、建築物Aの設置面(地面)で交差するように、ブレースBの、柱Hに対する傾斜角度が決められている。仮想的な中心線同士が設置面で交差するようにブレースBを配置することにより、第1締結部100における偏心応力の発生を抑制することができる。
なお、ブレースBの材質及び形状は、特に限定されず、一般的な建築物に用いられる部材であればよく、例えば、第2締結部200を溶接にて接合させる観点から、金属製の平板からなるブレースBであるとよい。
【0023】
締結ユニットUは、
図1~3に示すように、主にブレースBを柱Hに締結するために使用され、第1締結部100、第2締結部200、及びボルト300を有する。第1締結部100と第2締結部200とをボルト300によって接続することで、締結ユニットUを介して柱HとブレースBとが締結される。
【0024】
第1締結部100は、
図2及び3に示すように、一対の突出部101、孔形成部102、及び側面プレート103を有し、上述の通り柱Hの端部(柱頭部又は柱脚部)に接合されて設けられている。第1締結部100には、柱Hの端部に溶接された側面プレート103が設けられており、側面プレート103には、一対の突出部101の基端部が溶接にて固定されている。一対の突出部101のそれぞれは、第1方向においてブレースB側へ突出しており、一対の突出部101の先端部の上面には、孔形成部102が接合されて固定されている。
【0025】
ここで、一対の突出部101の基端部とは、
図2及び3に示すように、一対の突出部101における柱H側の部分である。一対の突出部101の先端部とは、一対の突出部101におけるブレースB側の部分、すなわち自由端部である。
また、一対の突出部101の先端部の間は、端部連結部によって連結されている。すなわち、一対の突出部101は、端部連結部によって連結されることで一体化されている。
以上のように、一対の突出部101及び側面プレート103は、孔形成部102を、柱Hに対して支持するために設けられている。
【0026】
孔形成部102は、板状のナット(板ナット)によって構成されている。そして、孔形成部102の中央部にはボルト300を挿入させるための挿入孔が、厚み方向に孔形成部102を貫通して設けられており、挿入孔の内周面には、雌ねじが形成されている。なお、厚み方向とは、孔形成部102を構成する板ナットが厚み(板厚)を有する方向のことである。
【0027】
そして、柱脚部に設けられる第1締結部100においては、端部連結部及び一対の突出部101の各々が、孔形成部102の下面における挿入孔の周囲に溶接にて接合されている。柱頭部に設けられる第1締結部100においては、端部連結部及び一対の突出部101の各々が、孔形成部102の上面における挿入孔の周囲に溶接にて接合されている。さらに、第1締結部100には、後述の差し込み部4を挿入するための第1隙間106が、孔形成部102と側面プレート103との間に設けられている。
【0028】
第2締結部200は、
図2及び3に示すように、挟み込み部1、連結部2、及び補強部3を有し、上述の通りブレースBの端部に、ブレースBの延出方向へ接合されて設けられている。
具体的に説明すると、第2締結部200は、ブレースBの端部を挟み込んで、ブレースBに接合されている一対の挟み込み部1と、一対の挟み込み部1同士を連結している連結部2と、一対の挟み込み部1及び連結部2の強度を補強する補強部3と、を有する。なお、一対の挟み込み部1の端部とは、ブレースBの延出方向においてブレースBから遠ざかる側の端部を意味する。
【0029】
補強部3は、
図2及び3に示すように、一対の挟み込み部1の間で、連結部2と隣接する位置、詳しくは、ブレースBにより近い側で連結部2と隣接する位置に配置されている。また、補強部3は、かかる配置位置において、一対の挟み込み部1及び連結部2の各々に溶接にて接合されている。
連結部2及び補強部3には、ボルト300を挿入させるための挿入孔6が貫通して設けられている。挿入孔6に挿入されたボルト300は、両端にナット及びばね座金を用いることで、第2締結部200に対して固定された状態を良好に維持することができる。
【0030】
また、第2締結部200は、
図2及び3に示すように、ブレースBの延出方向に沿ってブレースBの端部から延出している差し込み部4を有し、柱Hに対してブレースBが締結された状態、つまり、第2締結部200が第1締結部100に接続された状態では、差し込み部4が、上述の第1隙間106に差し込まれてもよい。これにより、ブレースB及び第2締結部200が、ブレースBの延出方向に沿う軸を中心に回転してしまうのを抑えることができる。
【0031】
なお、各実施形態において、柱脚側の差し込み部4は、
図2に示すように、第1隙間106の内部に収めて孔形成部102の側面に当接され、柱頭側の差し込み部4は、
図3に示すように、第1締結部100の所定部位(孔形成部102の側端面)に当接される。
連結部2と差し込み部4とは、
図4に示すように、互いに溶接にて接合されており、溶接箇所には、溶接痕としての溶接ビード5が形成されている。
【0032】
ボルト300について説明すると、
図1~3に示すように、ボルト300の両端部のうちの一端部が第1締結部100の孔形成部102の挿入孔に挿入され、ボルト300の両端のうちの他端部が、第2締結部200の連結部2及び補強部3を貫通する挿入孔6に挿入される。上述の通りに、第1締結部100と第2締結部200とを、ボルト300によって接続することで、柱HとブレースBとを締結することができる。
【0033】
[本発明の各実施形態に係る締結ユニットUの使用方法について]
本発明の各実施形態に係る締結ユニットUの使用方法について説明する。
締結ユニットUを使用して柱HとブレースBとを締結する際には、先ず、ボルト300の一端部を、第1締結部100の孔形成部102に設けられた挿入孔に回転させながら挿入する。この際、ボルト300の雄ねじが、孔形成部102に設けられた挿入孔の内周面に形成された雌ねじに噛み合わされて係合する。
次に、第2締結部200の連結部2及び補強部3に設けられた挿入孔6に対して、ボルト300の他端部が挿入される位置に、ブレースBの端部を移動させて配置する。
【0034】
そして、柱脚側の締結ユニットUでは、ブレースBの角度を調整した上で、第1締結部100の第1隙間106に対して、第2締結部200の差し込み部4が差し込まれる位置に、第1締結部100及び第2締結部200の各々が離間して配置される。なお、柱頭側の締結ユニットUでは、ブレースBの角度を調整した上で、第2締結部200の差し込み部4が、第1締結部100の外部に当接される位置に、第1締結部100及び第2締結部200の各々が隣り合って配置される。
最後に、連結部2及び補強部3に設けられた挿入孔6に挿入されたボルト300の他端部にナット及びばね座金を嵌め込んでボルト300を連結部2及び補強部3に対して締結する。これにより、ブレースBを引張させてブレースBの剛性を高めることができる。
【0035】
以上の手順により、第1締結部100及び第2締結部200が組み合わされて(接続されて)締結ユニットUが構築され、具体的には、第1締結部100と第2締結部200をボルト300によって接続することで、柱HとブレースBとを締結することができる。
【0036】
<<本発明に係る第1実施形態について>>
本発明の第1実施形態(以下、第1実施形態)に係る第2締結部200の構成について、
図1~6を参照しながら、説明する。
第1実施形態では、締結ユニットUを含む建築物Aの基本的な構造は、
図1に示すような、上述した全体構成を採用している一方で、締結ユニットUの第2締結部200は、特徴的な構造を有する。そして、以下に説明する第2締結部200の構成によれば、ブレースBからの引張力に対する強度を向上させることができる。
【0037】
第1実施形態に係る第2締結部200は、
図2及び3に示すように、差し込み部4を備える一対の挟み込み部1と、連結部2と、補強部3と、を有する。また、ブレースBの上端部に設けられた第2締結部200と、ブレースBの下端部に設けられた第2締結部200とでは、構造が共通している一方で、ブレースBに対して設けられる向きが上下反転している。
第2締結部200を構成する各部材の材質は、特に限定されず、一般的な建築物に用いられる部材であればよいが、例えば、部材同士を溶接にて接合させる観点から、金属製であるとよい。
【0038】
一対の挟み込み部1のそれぞれは、金属製の板状部材である金属プレートによって構成されており、
図4に示すように、ブレースBの端部を挟み込んで、ブレースBに溶接にて接合されている。具体的に説明すると、
図4に示すように、一対の挟み込み部1の各々は、ブレースBの延出方向に沿って長く延びており、ブレースBの延出方向においてブレースBの端よりも外側に突出している。また、
図4及び5に示すように、一対の挟み込み部1は、ブレースBの小端がそれぞれの挟み込み部1の主面(厚み方向の端面)に当接した状態でブレースBを挟み込んでいる。
【0039】
一対の挟み込み部1のうちの一方(以下、第1挟み込み部)は、
図4に示すように、後述の連結部2と同一の部材によって構成されており、一部品として連続している。具体的には、第1挟み込み部及び連結部2は、1枚の金属プレートをL字状に折り曲げることによって構成されている。
【0040】
一対の挟み込み部1のうちの他方(以下、第2挟み込み部)は、
図4に示すように、第1挟み込み部よりも、第1締結部100側へ長く延出(突出)している。そして、第2挟み込み部のブレースB側とは反対側の端部は、差し込み部4と連続している。具体的には、第2挟み込み部は、第1挟み込み部より長い金属プレートによって構成されており、その先端部分(第1締結部100側の端部)は、差し込み部4と兼用されている。
また、差し込み部4は、上述のように、柱Hに対してブレースBが締結された状態、つまり、第2締結部200が第1締結部100に接続された状態では、第1隙間106に差し込まれて第1締結部100と当接する。
【0041】
連結部2は、
図4及び6に示すように、第1挟み込み部におけるブレースBとは反対側の端部と、第2挟み込み部におけるブレースBとは反対側の端部付近の部分と、を連結している。
連結部2における第2挟み込み部側の端部は、第2挟み込み部におけるブレースBとは反対側の端部付近の部分に、連結部2の外側(ブレースBとは反対側)から、溶接にて接合されている。また、連結部2と第2挟み込み部との溶接箇所には、
図4に示すように、溶接痕としての溶接ビード5が形成されている。
連結部2における第1挟み込み部側の端部は、第1挟み込み部のブレースBとは反対側の端部と、一部品として連続している。
【0042】
補強部3は、連結部2と、一対の挟み込み部1の間に配置されて連結部2と隣接し、且つ、一対の挟み込み部1の各々に溶接によって接合されている。
具体的に説明すると、補強部3は、
図4に示すように、ブレースBの延出方向において、連結部2に重ねられて、連結部2よりもブレースB側に配置されている。また、一対の挟み込み部1の各々と補強部3との接合部分が、ブレースB側から溶接されている。補強部3の、一対の挟み込み部1に対する溶接箇所には、
図4に示すように、溶接痕としての溶接ビード5が形成されている。
補強部3は、雌ねじが設けられた板ナットによって構成されている。そして、第1締結部100と第2締結部200とを接続する際に、ボルト300を板ナットの雌ねじに螺合させる。
【0043】
また、ボルト300を挿入するための挿入孔6が、
図6に示すように、連結部2及び補強部3に形成されている。詳しく説明すると、連結部2及び補強部3の中央部には、ボルト300を挿入させるための挿入孔6が、厚み方向に連結部2及び補強部3を貫通して設けられており、挿入孔6の内周面には、雌ねじが形成されている。ここで、挿入孔6の内周面に形成された雌ねじの一部は、補強部3を構成する板ナットに設けられた雌ねじである。なお、厚み方向とは、補強部3を構成する板ナットが厚み(板厚)を有する方向のことである。
【0044】
連結部2と補強部3との間におけるサイズの大小関係について説明すると、補強部3の幅は、
図5及び6に示すように、連結部2の幅よりも大きい。換言すると、補強部3の幅方向の両端部は、連結部2の幅方向両端よりも外側にはみ出ている。ここで、幅とは、一対の挟み込み部1がブレースBの端部を挟み込む方向、及びブレースBの延出方向の双方に直交する方向(すなわち、第3方向)における長さのことである。
【0045】
[本発明の第1実施形態に係る第2締結部の構築方法について]
第1実施形態に係る第2締結部200の構築方法について、一例を挙げて説明する。ブレースBの上端側に設けられる第2締結部200の構築工程と、ブレースBの下端側に設けられる第2締結部200の構築工程とは、基本的に同様である。
【0046】
先ず、矩形状にカットされた金属プレートを、その長手方向の途中位置に設けられた折り曲げ位置(金属プレートの端部付近)にて略直角に折り曲げ、L字状に成形する。L字状に折り曲げられた金属プレートは、第1挟み込み部となり、折り曲げ位置を境にして、第1挟み込み部と連結部2とに分けられる。
【0047】
次に、L字状に折り曲げられた金属プレートと、折り曲げられていない平板状の金属プレートとで、ブレースBの端部を挟み込み、それぞれの金属プレートをブレースBに当接させる。その上で、ブレースBと一対の挟み込み部1と当接している部分に対して、隅肉溶接を実施する。折り曲げられていない金属プレートは、第2挟み込み部となり、その先端部は、差し込み部4となる。
【0048】
そして、L字状の金属プレートのうち、短辺側の先端部を、折り曲げられていない平板状の金属プレートの端部付近の部分に当接させる。その上で、金属プレート同士が当接している部分に対して、隅肉溶接を実施する。
【0049】
最後に、補強部3を、ブレースBの延出方向において、連結部2に重ねられた位置、且つ、連結部2よりもブレースB側の位置で、一対の挟み込み部1及び連結部2に当接させる。その上で補強部3と各金属プレートとが当接している部分に対して、隅肉溶接を実施する。
【0050】
以上の手順により、
図4、5及び6に示す第2締結部200が構築される。その後の処理として、第2締結部200の一部又は全部に対して電着塗装を施してもよい。
【0051】
[本発明の第1実施形態に係る締結ユニットの効果について]
第1実施形態に係る締結ユニットUが用いられることで得られる効果について、
図4~8を参照しながら説明する。
【0052】
建築物において、耐震補強等の強度を向上させるために柱Hの間にブレースBを引張接合形式で締結する場合に、
図7及び8に示すような締結ユニットX(以下、比較例に係る締結ユニットX)を用いる場合が考えられる。
【0053】
比較例に係る締結ユニットXの第2締結部200Xは、
図7及び8に示すように、第1実施形態に係る締結ユニットUの第2締結部200と概ね共通するが、第1実施形態に係る連結部2及び差し込み部4に相当する部材を有していない。
【0054】
比較例に係る締結ユニットXの第2締結部200Xにおいて、補強部3は、
図7及び8に示すように、一対の挟み込み部1のそれぞれに接合されており、詳しくは、各挟み込み部1の先端部、及び、先端よりもブレースB寄りの部分に溶接されている。また、連結部2と各挟み込み部1との溶接箇所には、
図7に示すように、溶接痕としての溶接ビード5が形成されている。
また、比較例に係る締結ユニットXでは、
図7及び8に示すように、第2締結部200Xが、差し込み部4を有していないため、第2締結部200が第1締結部100に接続される際に、ボルト300を軸とする第2締結部200Xの回転が規制されない。
【0055】
比較例に係る締結ユニットXによれば、柱Hに対してブレースBが引張されて締結されるため、ブレースBの初期剛性を高めることができる。しかし、比較例に係る締結ユニットXでは、当該締結ユニットXに対してブレースBからの引張力が作用した場合に、締結ユニットXが有する第2締結部200Xにおける溶接箇所が破断してしまい、結果として、締結ユニットXが破損してしまう虞がある。そのため、ブレースBからの引張力に対する第2締結部200Xの強度を高めて、第2締結部200Xにおける溶接箇所の破断を抑える必要があった。
【0056】
また、締結ユニットXの第2締結部200Xに対してより大きな引張力が作用した場合に、第2締結部200Xが最終的に破壊される状況では、溶接箇所が破断する傾向があった。そのため、第2締結部200Xを構成する部品同士の接合状態が適切に維持され、ブレースBの引張力に対する第2締結部200Xの強度を十分に確保する必要があった。
さらに、締結ユニットUの組立時に、ブレースBの中心線に沿ったボルト300を軸としてブレースBが回転するため、それが原因で締結ユニットXの組立の作業性が損なわれていた。
【0057】
これに対して、第1実施形態に係る第2締結部200は、ブレースBの端部を挟み込み溶接されている一対の挟み込み部1と、一対の挟み込み部1を連結している連結部2と、一対の挟み込み部1の間で連結部2と隣接する位置に、一対の挟み込み部1及び連結部2に溶接された補強部3と、を有する。
これにより、第1実施形態に係る締結ユニットUでは、比較例に係る締結ユニットXに比べて、ブレースBから受ける引張力に対する第2締結部200の強度を向上させることができる。
【0058】
具体的に説明すると、第1実施形態に係る第2締結部200では、
図4に示すように、ブレースBの端部を挟み込んでいる一対の挟み込み部1が連結部2によって連結されている。さらに、補強部3が、
図4に示すように、一対の挟み込み部1と連結部2の各々と当接した状態で、一対の挟み込み部1のそれぞれに溶接されている。
【0059】
これにより、第2締結部200では、ブレースBから受ける引張力を、一対の挟み込み部1の各々と連結部2とが交差する部分、すなわち金属プレートの曲げ部分によって負担させて、ブレースBから受ける引張力を分散させやすくすることができる。この結果、第1実施形態に係る締結ユニットUでは、比較例に係る締結ユニットXに比べて、ブレースBから受ける引張力に対する締結ユニットUの強度、特に第2締結部200の強度を向上させることができる。
【0060】
また、通常よりも大きな引張力が第2締結部200に対して作用した場合にも、その引張力を、金属プレートの曲げ部分によって負担させることができるので、第2締結部200における各部品同士の接合状態を維持することができる。これにより、上記の負荷によって締結ユニットUが最終的に破壊される状況に至る段階まで、第2締結部200は、その機能を適切に発揮することができる。結果として、第1実施形態に係る締結ユニットUでは、比較例に係る締結ユニットXに比べて、より高い安全性を確保することができる。
さらに、第1実施形態に係る締結ユニットUでは、ブレースBから受ける引張力を、金属プレートの曲げ部分によって負担することができるため、金属プレートと補強部3との溶接箇所(接合箇所)の破断が抑えられる。
【0061】
また、第1実施形態に係る締結ユニットUによって、ブレースBが柱Hに締結された状態では、第2締結部200における、第2挟み込み部の突出している先端部分(差し込み部4)が、第1締結部100と当接する。
具体的に説明すると、第1締結部100と第2締結部200とを互いに接続する際に、
図2に示すように、第1隙間106内に第2締結部200の差し込み部4が差し込まれて挿入され、差し込み部4が孔形成部102の側面に当接する。
【0062】
これにより、第1締結部100と第2締結部200とを互いに接続する際において、第2締結部200が回転してしまうのを抑制することができる。結果として、差し込み部4を用いることによって、第2締結部200が回転することを抑制するための追加の部材を、第2締結部200に設ける必要がなくなる。
また、第1実施形態に係る締結ユニットUでは、第2挟み込み部のブレースB側とは反対側の先端部分は、差し込み部4と連続している。つまり、一対の挟み込み部1のうちの一方が、差し込み部4と兼用されている。そのため、第1実施形態に係る締結ユニットUでは、差し込み部4を別部材として用意して一方の挟み込み部1に対して溶接によって接合する必要がない。
【0063】
また、第1実施形態に係る第2締結部200では、
図5及び6に示すように、第3方向における補強部3の幅が、連結部2の幅よりも大きい。このように第1実施形態では、補強部3の幅をより広くすることで、ブレースBからの引張力に対する第2締結部200の強度をより一層向上させることができる。これにより、一対の挟み込み部1の間の距離が小さい場合にも、ブレースBからの引張力に対する第2締結部200の強度を確保することができる。
【0064】
<<本発明に係るその他の実施形態について>>
以上までに、本発明の締結ユニットUに関して、一つの具体的な実施形態を例に挙げて説明したが、上述した実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、又は改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれることは勿論である。
【0065】
上記の実施形態に係る締結ユニットUでは、一対の挟み込み部1の一方(第1挟み込み部)と連結部2とが、1枚の金属プレートをL字状に折り曲げられて構成されていることとした。また、上記の実施形態では、もう一方の挟み込み部1(第2挟み込み部)が、第1挟み込み部よりも長く延出しており、その端部が、差し込み部4が兼用されることとした。しかし、本発明の締結ユニットUは、かかる構成に限定されるものではない。例えば、本発明の締結ユニットUに係る第2締結部200Aは、
図9~11に示すように、一対の挟み込み部1及び連結部2がUの字状に折り曲げられた金属プレートからなり、その金属プレートの側面に差し込み部4が溶接された構成(以下、第2実施形態)であってもよい。
【0066】
具体的に説明すると、第2実施形態に係る第2締結部200Aでは、一対の挟み込み部1及び連結部2が、
図9~11に示すように、1枚の金属プレートをUの字状に直角に2回折り曲げることによって構成されている。これにより、一対の挟み込み部1のそれぞれは、連結部2と同一の部材によって構成されており、一部品として連続している。
【0067】
Uの字状に曲げられた金属プレートは、折り曲げ位置によって、一対の挟み込み部1と連結部2とに分けられる。詳しく説明すると、金属プレートの端から所定の長さだけ延びた部分が、挟み込み部1に相当し、金属プレートの中央部分が連結部2に相当する。
また、第2締結部200Aでは、
図9~11に示すように、差し込み部4が、一対の挟み込み部1のうちの一方のブレースB側とは反対側の端部に溶接されており、ブレースBの延出方向に沿って延出している。
【0068】
第2実施形態に係る第2締結部200Aが用いられることで得られる効果について、
図9を参照しながら説明する。
第2締結部200Aでは、
図9に示すように、一対の挟み込み部1の各々と連結部2とが交差する部分、すなわち、金属プレートの曲げ部分が2箇所であり、第1実施形態に係る第2締結部200に比べて、金属プレートの曲げ部分が多い。そのため、ブレースBから受ける引張力を、金属プレートに2箇所ある曲げ部分によって負担させることで、ブレースBから受ける引張力をより一層分散させやすくすることができる。
この結果、第1実施形態に係る締結ユニットXに比べて、締結ユニットUでは、ブレースBから受ける引張力に対する第2締結部200Aの強度を向上させることができる。
【0069】
また、通常よりも大きな引張力が第2締結部200Aに対して作用した場合にも、その引張力を、2箇所ある金属プレートの曲げ部分によって負担させることができるので、第2締結部200Aにおける各部品同士の接合状態をより一層維持することができる。これにより、上記の負荷によって締結ユニットUが最終的に破壊される状況に至る段階まで、第2締結部200Aは、その機能をより一層適切に発揮することができる。
結果として、第2実施形態に係る締結ユニットUでは、第1実施形態に係る締結ユニットUに比べて、より高い安全性を確保することができる。
【0070】
他方、第2実施形態に係る締結ユニットUの第2締結部200Aでは、差し込み部4が、一対の挟み込み部1とは別部品であり、差し込み部4を一方の挟み込み部1に溶接する必要がある。これに対して、第1実施形態に係る締結ユニットUの第2締結部200では、一対の挟み込み部1の一方における先端部分が差し込み部4として兼用されている。これにより、第1実施形態では、部品点数をより少なくすることができるとともに、第2実施形態のように差し込み部4を一方の挟み込み部1に溶接する作業を削減することができる。かかる点においては、第1実施形態の方が第2実施形態よりも有利である。
【0071】
また、上記の実施形態に係る締結ユニットUは、第1延出部材及び第2延出部材としての柱HとブレースBとを締結するものであることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、本発明の締結ユニットは、水平方向に延出する梁に、その梁に対して斜めに延出する部材を締結するものであってもよい。
【符号の説明】
【0072】
X 比較例に係る締結ユニット
A 建築物
H 柱
B ブレース
U 締結ユニット
1 挟み込み部
2 連結部
3 補強部
4 差し込み部
5 溶接ビード
6 挿入孔
100 第1締結部
101 一対の突出部
102 孔形成部
103 側面プレート
106 第1隙間
200、200A 第2締結部
200X 比較例に係る締結ユニットの第2締結部
300 ボルト