(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139378
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】加熱炉用搬送構造および管の搬送方法
(51)【国際特許分類】
C21D 1/00 20060101AFI20241002BHJP
B21B 39/00 20060101ALI20241002BHJP
C21D 9/08 20060101ALI20241002BHJP
F27B 9/22 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
C21D1/00 113Z
B21B39/00 C
B21B39/00 H
C21D9/08 J
F27B9/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050282
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 裕也
(72)【発明者】
【氏名】太田 慧
(72)【発明者】
【氏名】安部 健太
【テーマコード(参考)】
4K034
4K042
4K050
【Fターム(参考)】
4K034AA05
4K034AA19
4K034BA03
4K034DA02
4K034DA03
4K034DA05
4K034DB02
4K034DB04
4K034EA11
4K034EB22
4K034EB23
4K034EB41
4K034GA07
4K042AA06
4K042BA13
4K042BA14
4K042CA17
4K042DA03
4K042DB07
4K042DF01
4K042DF02
4K042EA01
4K050AA02
4K050BA02
4K050CG01
4K050CG02
4K050CG16
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で、加熱炉内における搬送路上の管の傾斜が生じても、容易に管を搬送すること。
【解決手段】加熱炉内において加熱対象の管を転動させながら搬送する搬送路と、搬送路が管を搬送する際に、管の端部を搬送路の搬送方向に沿ってガイドするガイド部材とを備えた加熱炉用搬送構造であって、ガイド部材は、搬送路の搬送方向と直交する幅方向における搬送路の少なくとも一方の側縁に沿って配置され、ガイド部材は、搬送路の搬送方向に沿って延在する斜面を有し、斜面は、搬送路の幅方向において、搬送路に対して遠い側から近い側に向かって斜め下向きに傾斜しており、斜面は、基準の位置から搬送路の幅方向に位置ずれした管の端部を支持しながら、管の端部を斜面の範囲内で搬送方向および斜面の傾斜に沿って転動させるように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱炉内において加熱対象の管を転動させながら搬送する搬送路と、前記搬送路が前記管を搬送する際に、前記管の端部を前記搬送路の搬送方向に沿ってガイドするガイド部材とを備えた加熱炉用搬送構造であって、
前記ガイド部材は、前記搬送路の搬送方向と直交する幅方向における前記搬送路の少なくとも一方の側縁に沿って配置され、
前記ガイド部材は、前記搬送路の搬送方向に沿って延在する斜面を有し、
前記斜面は、前記搬送路の幅方向において、前記搬送路に対して遠い側から近い側に向かって斜め下向きに傾斜しており、
前記斜面は、基準の位置から前記搬送路の幅方向に位置ずれした前記管の端部を支持しながら、前記管の端部を前記斜面の範囲内で前記搬送方向および前記斜面の傾斜に沿って転動させるように構成されている、加熱炉用搬送構造。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記加熱炉の炉壁と前記搬送路との間に配置された治具、または、前記加熱炉の炉壁である、請求項1に記載の加熱炉用搬送構造。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記搬送路の幅方向における前記搬送路の前記一方の側縁に沿った位置および他方の側壁に沿った位置にそれぞれ配置される、請求項1に記載の加熱炉用搬送構造。
【請求項4】
前記管が鋳鉄管である、請求項1に記載の加熱炉用搬送構造。
【請求項5】
加熱炉内において加熱対象の管を転動させながら搬送する搬送路上で前記管を搬送する方法であって、
前記方法は、
斜面を有するガイド部材を、前記斜面が前記搬送路の搬送方向に沿って延在するように配置する配置工程と、
前記管を前記搬送路上で搬送する搬送工程と
を含み、
前記配置工程において、前記ガイド部材は、前記搬送路の搬送方向と直交する幅方向における前記搬送路の少なくとも一方の側縁に沿って配置され、
前記配置工程において、前記ガイド部材は、前記斜面が、前記搬送路の幅方向において、前記搬送路に対して遠い側から近い側に向かって斜め下向きに傾斜するように配置され、
前記搬送工程において、前記管が前記搬送路上で基準の位置から前記搬送路の幅方向に位置ずれした際に、前記斜面は、前記管の端部を支持しながら、前記管の端部を前記斜面の範囲内で前記搬送方向および前記斜面の傾斜に沿って転動させる、
管の搬送方法。
【請求項6】
前記管の少なくとも一方の端部に、前記端部の外径よりも大きな外径の外周面を有する拡径部材を装着する工程をさらに含み、
前記搬送工程において、前記管が前記搬送路上で基準の位置から前記搬送路の幅方向に位置ずれした際に、前記斜面は、前記拡径部材の外周面を支持しながら、前記拡径部材を前記斜面の範囲内で前記搬送方向および前記斜面の傾斜に沿って転動させる、
請求項5に記載の管の搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱炉用搬送構造および管の搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上下水などの流体を流すために用いられる管、たとえば、鋳鉄管(直管)は、鋳造後に焼鈍炉での焼鈍工程を経て製品化される。焼鈍炉は、鋳鉄管等の管を転動させながら搬送する搬送路を備えている。また、焼鈍炉は、搬送路上で管を搬送しながら熱処理するように構成されている。
【0003】
ところで、鋳鉄管等の管は、搬送路上で搬送方向に対して傾斜せずに搬送される(たとえば、搬送路の中心線と管の長さ方向の中心とが一致した状態で搬送される)ことが望ましい。しかしながら、管の形状によっては、管は、搬送路上で搬送方向に対して傾斜して搬送される(以下、単に「管が傾斜する」、「管の傾斜」という)場合がある。たとえば、管の外径が管の長さ方向において一定でない場合や、管の外周が真円でない場合、または、管が長さ方向において曲がりを有する場合に、管が傾斜し得る。また、搬送路の摩耗状態等、搬送路の状態によっても、管が傾斜し得る。管の傾斜の程度が大きい場合には、管の端部が炉壁に衝突し、管および炉壁が破損または変形する可能性がある。
【0004】
このような課題を解決するために、従来、作業員が搬送路上の管の位置を手動で調節する場合があった。また、このような課題を解決するための技術の一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に記載の技術は、炉壁から管側へ延びるプッシャーが、搬送路上の管を押圧することにより、管の位置を調節するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、作業員が搬送路上の管の位置を手動で調節する作業は、安全面での改善が求められる。また、特許文献1に記載の技術では、搬送路の搬送方向において、プッシャーの設置位置以外で管の傾斜が生じる場合に、管の傾斜を防止できない可能性がある。また、特許文献1に記載の技術は、プッシャーの他、管の位置を監視する装置、および、プッシャーの動きを制御する装置等が必要となり、構造が複雑であり、製造コストが嵩む可能性がある。
【0007】
そこで、本発明はかかる問題点に鑑みて、簡単な構成で、加熱炉内における搬送路上の管の傾斜が生じても、容易に管を搬送することが可能な加熱炉用搬送構造および管の搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る加熱炉用搬送構造は、加熱炉内において加熱対象の管を転動させながら搬送する搬送路と、前記搬送路が前記管を搬送する際に、前記管の端部を前記搬送路の搬送方向に沿ってガイドするガイド部材とを備えた加熱炉用搬送構造であって、前記ガイド部材は、前記搬送路の搬送方向と直交する幅方向における前記搬送路の少なくとも一方の側縁に沿って配置され、前記ガイド部材は、前記搬送路の搬送方向に沿って延在する斜面を有し、前記斜面は、前記搬送路の幅方向において、前記搬送路に対して遠い側から近い側に向かって斜め下向きに傾斜しており、前記斜面は、基準の位置から前記搬送路の幅方向に位置ずれした前記管の端部を支持しながら、前記管の端部を前記斜面の範囲内で前記搬送方向および前記斜面の傾斜に沿って転動させるように構成されている。
【0009】
本発明に係る管の搬送方法は、加熱炉内において加熱対象の管を転動させながら搬送する搬送路上で前記管を搬送する方法であって、前記方法は、斜面を有するガイド部材を、前記斜面が前記搬送路の搬送方向に沿って延在するように配置する配置工程と、前記管を前記搬送路上で搬送する搬送工程とを含み、前記配置工程において、前記ガイド部材は、前記搬送路の搬送方向と直交する幅方向における前記搬送路の少なくとも一方の側縁に沿って配置され、前記配置工程において、前記ガイド部材は、前記斜面が、前記搬送路の幅方向において、前記搬送路に対して遠い側から近い側に向かって斜め下向きに傾斜するように配置され、前記搬送工程において、前記管が前記搬送路上で基準の位置から前記搬送路の幅方向に位置ずれした際に、前記斜面は、前記管の端部を支持しながら、前記管の端部を前記斜面の範囲内で前記搬送方向および前記斜面の傾斜に沿って転動させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡単な構成で、加熱炉内における搬送路上の管の傾斜が生じても、容易に管を搬送することが可能な加熱炉用ガイド部材および管の搬送方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る加熱炉用搬送構造の一例を模式的に示す平面図である。
【
図3A】本発明の一実施形態に係る加熱炉用搬送構造の一例を模式的に示す平面図であり、管の一端部がガイド部材に接近する様子を示す図である。
【
図3B】本発明の一実施形態に係る加熱炉用搬送構造の一例を模式的に示す平面図であり、管の一端部がガイド部材に接触する様子を示す図である。
【
図3C】本発明の一実施形態に係る加熱炉用搬送構造の一例を模式的に示す平面図であり、管の一端部がガイド部材の斜面に乗り上げる様子を示す図である。
【
図3D】本発明の一実施形態に係る加熱炉用搬送構造の一例を模式的に示す平面図であり、管の一端部がガイド部材の斜面を下りた後に、斜面から離れる様子を示す図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係る加熱炉用搬送構造の一例を模式的に示す図であり、管の他端部がガイド部材に接近する様子を示す図である。
【
図5B】本発明の一実施形態に係る加熱炉用搬送構造の一例を模式的に示す平面図であり、管の他端部がガイド部材に接触する様子を示す図である。
【
図5C】本発明の一実施形態に係る加熱炉用搬送構造の一例を模式的に示す平面図であり、管の他端部がガイド部材の斜面に乗り上げる様子を示す図である。
【
図5D】本発明の一実施形態に係る加熱炉用搬送構造の一例を模式的に示す平面図であり、管の他端部がガイド部材の斜面を下りた後に、斜面から離れる様子を示す図である。
【
図6A】本発明の一実施形態に係る加熱炉用搬送構造の一例を模式的に示す平面図であり、管の他端部に装着された拡径部材がガイド部材に接近する様子を示す図である。
【
図6B】本発明の一実施形態に係る加熱炉用搬送構造の一例を模式的に示す平面図であり、管の他端部に装着された拡径部材がガイド部材に接触する様子を示す図である。
【
図6C】本発明の一実施形態に係る加熱炉用搬送構造の一例を模式的に示す平面図であり、管の他端部に装着された拡径部材がガイド部材の斜面に乗り上げる様子を示す図である。
【
図6D】本発明の一実施形態に係る加熱炉用搬送構造の一例を模式的に示す平面図であり、管の他端部に装着された拡径部材がガイド部材の斜面を下りた後に、斜面から離れる様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る加熱炉用搬送構造を説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまで一例であり、本発明に係る加熱炉用搬送構造は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
図1および
図2に示される、本実施形態に係る加熱炉用搬送構造1(以下、搬送構造1とも称する)は、上下水などの流体を流すために用いられる管、たとえば、鋳鉄管(直管)の製造に用いられる。具体的には、搬送構造1は、たとえば鋳造後の鋳鉄管に対して加熱炉2で焼鈍工程を行う際に用いられる。
【0014】
搬送構造1は、加熱炉2内において加熱対象の管Pを転動させながら搬送する搬送路3と、搬送路3が管Pを搬送する際に、管Pの端部を搬送路3の搬送方向D1に沿ってガイド(案内)するガイド部材4とを備えている。
【0015】
なお、本明細書において、水平方向のうち、搬送路3の搬送方向(長手方向)D1と直交する幅方向を「幅方向」(
図2に参照符号D2で示す方向)と称する。また、搬送方向D1のうち、搬送の上流側を「上流側」(
図2に参照符号D11で示す方向)と称し、搬送の下流側を「下流側」(
図2に参照符号D12で示す方向)と称する。
図1に示される例では、
図1における左側が「搬送方向」の上流側D11であり、
図1における右側が「搬送方向」の下流側D12である。すなわち、搬送路3は、管Pを
図1における左側(上流側D11)から右側(下流側D12)へ搬送する。また、本明細書において、「搬送路3の幅方向D2における搬送路3の一方の側縁」とは、搬送路3の幅方向D2における搬送路3の一方の端部において搬送方向D1に沿って延びる縁を意味する。「搬送路3の幅方向D2における搬送路3の他方の側縁」とは、搬送路3の幅方向D2における搬送路3の他方の端部において搬送方向D1に沿って延びる縁を意味する。
【0016】
本実施形態において、搬送構造1による搬送の対象となる管Pは、搬送されながら加熱炉2によって加熱処理される管である。本実施形態では、加熱炉2による加熱処理は、鋳造後の鋳鉄管に対する焼鈍処理である。管Pは、加熱炉2内において搬送路3上を転動しながら搬送される管であれば、その形状は特に限定されない。本実施形態では、管Pは直線的に延びる直管である。具体的には、管Pは、直線的に延びる直管部P1を有する。また、管Pは、直管部P1の一端側に設けられた受口部P2と、直管部P1の他端側に設けられた挿口部P3とを有する。受口部P2の外径は、直管部P1の外径よりも大きい。また、挿口部P3の外径は、直管部P1の外径と同じである。受口部P2は、他の管Pの挿口部P3と嵌合可能に構成されている。一の管Pの受口部P2の内面に、他の管Pの挿口部P3を挿入して嵌合させることにより、一の管Pと他の管Pとを連結することができる。
【0017】
管Pの直管部P1は、軸方向(長さ方向)において外径が一定であることが望ましい。また、直管部P1の外周部は真円であることが望ましい。また、直管部P1は軸方向における直線性の精度が高いことが望ましい。しかしながら、実際には、直管部P1の外径が直管部P1の軸方向において一定でない場合や、直管部P1の外周部が真円でない場合があり得る。直管部P1の外径が直管部P1の軸方向において一定でない場合の例としては、たとえば、直管部P1に鋳型からの抜き勾配が設けられている場合がある。また、直管部P1は、軸方向における直線性の精度が高くない(曲がりを有する)場合があり得る。
【0018】
搬送路3は、加熱炉2内において管Pを転動させながら搬送することができれば、その構造は特に限定されない。本実施形態では、搬送路3は、管Pを転動可能に支持する搬送台と、管Pを搬送方向に転動させるように管Pに力を加える搬送手段とを備えている。本実施形態では、搬送台は、管Pを管Pの軸方向における複数の個所において支持する複数のレール(スキッドレール)31によって構成されている。しかし、搬送台の構造は、管Pを転動可能に支持することができれば、特に限定されない。搬送台は、幅方向の長さが管Pの長さよりも短くなるように構成され、幅方向で搬送台の両側縁(本実施形態では、レール31の側縁)から、管Pがはみ出るように構成されている。搬送手段は、本実施形態では、レール31に支持された管Pを上流側D11から下流側D12へ移動させる搬送コンベア32によって構成されている。
【0019】
本実施形態では、搬送方向D1に沿って延び、かつ、互いに平行に配置された一対のレール31が管Pを支持する。具体的には、一対のレール31が、直管部P1を支持する。一方のレール31は、直管部P1の一端側を支持し、他方のレール31は、直管部P1の他端側を支持する。すなわち、一対のレール31が管Pを支持した状態で、管Pの一端部(たとえば受口部P2)は一方のレール31に対して、幅方向D2の外側に位置する。また、一対のレール31が管Pを支持した状態で、管Pの他端部(たとえば挿口部P3)は他方のレール31に対して、幅方向D2の外側に位置する。
【0020】
本実施形態では、搬送路3は、複数の管Pを連続的に搬送するように構成されている(
図1参照)。搬送路3が複数の管Pを連続的に搬送することにより、加熱炉2は、複数の管Pを連続的に加熱処理することができる。本実施形態では、複数の管Pが、一対のレール31上に、搬送方向D1に一定ピッチで並べられて、連続的に搬送される。複数の管Pは、一対のレール31上に、管Pの軸方向が搬送方向D1に対して直交するように並べられて搬送される。すなわち、複数の管Pは、一対のレール31上に、管Pの軸方向が幅方向D2と平行となるように並べられて搬送される。具体的には、管Pは、搬送路3における後述の爪322の下流側D12の面に当接した状態で配置されて搬送される。具体的には、管Pは、搬送路3における後述の複数(本実施形態では2つ)の爪322の下流側D12の面に当接した状態で配置されて搬送される。
【0021】
搬送コンベア32は、加熱炉2内において加熱対象の管Pを転動させながら搬送することができれば、その構造は特に限定されない。本実施形態では、搬送コンベア32は、管Pをレール31上で転動させながら搬送するように構成されている。すなわち、搬送コンベア32は、管Pをレール31上で上流側D11から下流側D12へ転動させながら搬送するように構成されている。
【0022】
本実施形態では、搬送コンベア32は、無端状のコンベア本体321と、コンベア本体321から上向きに突出するように設けられた複数の爪322とを備えている。複数の爪322は、コンベア本体321の動作に伴って上流側D11から下流側D12へ移動する。複数の爪322は、レール31上の管Pに上流側D11側から接触した状態で上流側D11から下流側D12へ移動することにより、管Pとの間で滑りを生じさせながら管Pを上流側D11から下流側D12へ後押しするように構成されている。これにより、複数の爪322は、管Pをレール31上で上流側D11から下流側D12へ転動させながら、管Pを上流側D11から下流側D12へ移動させることができる。本実施形態では、搬送コンベア32は、各管Pを、それぞれ、複数の爪322で後押しするように構成されている。具体的には、搬送コンベア32は、搬送方向D1と直交する方向に互いに間隔をあけて並ぶように配置された複数の爪322が、1つの管Pを後押しするように構成されている。本実施形態では、搬送コンベア32は、搬送方向D1と直交する方向に互いに間隔をあけて並ぶように配置された2つの爪322が、1つの管Pを後押しするように構成されている。2つの爪322を結ぶ方向(幅方向D2)と、搬送方向D1とは直交する。
【0023】
本実施形態では、搬送路3は、管Pの傾斜の原因となるような摩耗が生じた状態にある場合があり得る。具体的には、たとえば、レール31において管Pと対向する面が摩耗している場合があり得る。また、搬送コンベア32の爪322において、管Pと対向する面が摩耗している場合があり得る。
【0024】
管Pは、搬送路3上で搬送方向D1に沿って搬送される(傾斜せずに搬送される)ことが望ましい。しかしながら、管Pの形状によっては、管Pは、搬送路3上で傾斜する場合があり得る。たとえば、管Pの外径が管Pの軸方向において一定でない場合や、管Pの外周が真円でない場合、または、管Pが軸方向において曲がりを有する場合に、傾斜が生じ得る。また、搬送路3の摩耗状態等、搬送路3の状態によっても、管Pの傾斜が生じる場合があり得る。
【0025】
本明細書において「傾斜」とは、管Pが搬送路3上を搬送方向D1へ搬送されていくうちに、幅方向D2の少なくとも一方側に位置ずれしていく現象を意味する。すなわち、「傾斜」には、管Pが搬送路3上を搬送方向D1の上流側D11から下流側D12へ搬送されていくうちに、幅方向D2の一方側に位置ずれしていく場合と、幅方向D2の他方側に位置ずれしていく場合と、幅方向D2の一方側への位置ずれ、および、他方側への位置ずれを繰り返す場合と、が含まれる。
【0026】
このような傾斜が生じる主な原因は、搬送路3上において管Pが転動によって進む距離が、管Pの軸方向の位置に応じて異なることである。搬送路3上において管Pが転動によって進む距離が、管Pの軸方向の位置に応じて異なるという現象は、たとえば、管Pにおいて搬送路3と接触する部分の径が、管Pの軸方向に応じて異なる場合に生じ得る。これは、管Pの転動の回転数が、管Pの軸方向全体において一定であると仮定した場合に、径が大きい程、回転に応じて進む距離も大きくなるからである。このように軸方向の位置に応じて進む距離が異なるという現象は、具体的には、管Pの直管部P1の径が、管Pの軸方向に応じて異なる場合に生じ得る。たとえば、管Pの直管部P1の径が、幅方向D2における管Pの他端側(たとえば挿口部P3側、
図1における上側、
図3Aにおける右側)で大きく一端側(たとえば受口部P2側、
図1における下側、
図3Aにおける左側)で小さくなる場合、すなわち、管Pの一端側から他端側に向かって次第に径が大きくなるような場合には、管Pの他端側部分がレール31上で進む距離は、管Pの一端側部分がレール31上で進む距離よりも大きい。この場合、管Pの転動が進むにつれて、管Pは、搬送方向D1において、他端側部分が一端側部分よりも、次第に下流側D12へ位置するようになる。このような前進速度の違いにより、管Pの転動が進むにつれて、管Pは、幅方向D2に対して傾斜するようになる。そして、管Pの転動が進む程、管Pの軸方向と幅方向D2とがなす傾斜角度θ1(
図3A参照)は大きくなる。このように管Pの傾斜角度θ1が大きくなるにつれて、管Pは、搬送方向D1の下流側D12に向かって進むとともに、搬送方向D1に対して傾斜角度θ1をなす傾斜方向D3へも進むようになる。そうすると、管Pは、傾斜方向D3の先に向かって進み、傾斜方向D3の先にある物体に接近するようになる。たとえば、
図3Aに示される例では、傾斜方向D3の先にあるガイド部材4に接近するようになる。
【0027】
加熱炉2は、搬送路3を覆いながら、搬送路3に沿って延びるように配置されている。加熱炉2は、搬送路3の幅方向D2における一方の側縁(一方のレール31)に沿って延びる側壁である炉壁21と、搬送路3の幅方向D2における他方の側縁(他方のレール31)に沿って延びる側壁である炉壁21と、一方の炉壁21の上部と他方の炉壁21の上部同士を繋ぐ天井壁(図示せず)とを備えている。
【0028】
ガイド部材4は、搬送路3の搬送方向D1と直交する幅方向D2における搬送路3の少なくとも一方の側縁に沿って配置されている。本実施形態では、ガイド部材4は、当該側縁から間隔をあけて配置されている。なお、ガイド部材4は、当該側縁に常に接触するように(側縁との間隔がゼロとなるように)配置されていてもよい。また、本実施形態では、ガイド部材4は、炉壁21から間隔をあけて配置されている。なお、ガイド部材4は、炉壁21に接触するように(炉壁21との間隔がゼロとなるように)配置されていてもよい。ガイド部材4は、搬送路3上で転動しながら搬送される管Pを、搬送方向D1にガイドする部材である。すなわち、ガイド部材4は、上述のように傾斜方向D3に進む管Pを受け止めて、管Pの軌道を修正する機能を有する。ガイド部材4は、傾斜方向D3に進む管Pを受け止めて、管Pの軌道を修正することができるのであれば、搬送路3の幅方向D2における搬送路3の一方の側縁に沿った位置にのみ設けられていてもよいし、幅方向D2における搬送路3の他方の側縁に沿った位置にのみ設けられていてもよいし、搬送路3の幅方向D2における搬送路3の一方の側縁に沿った位置、および、幅方向D2における搬送路3の他方の側縁に沿った位置の双方に設けられていてもよい。
図1および
図2に示される例では、ガイド部材4は、幅方向D2における搬送路3の一方の側縁に沿った位置(以下、一方側位置とも称する)、および、幅方向D2における搬送路3の他方の側縁に沿った位置(以下、他方側位置とも称する)の双方に設けられている。このようにガイド部材4が、一方側位置および他方側位置の双方に設けられている場合には、管Pが幅方向D2における一方側および他方側のいずれの側に接近しても、管Pを受け止めて管Pの軌道を修正することができる。
【0029】
ガイド部材4は、幅方向D2における搬送路3の側縁から間隔をあけて配置されていることにより、搬送路3とガイド部材4との間に隙間を設けることができる。これにより、搬送路3の側縁から管Pの端部を突出させた状態で、搬送路3上に管Pを配置することができる。これにより、搬送路3は、管Pを確実に支持することができる。なお、ガイド部材4と搬送路3の側縁との間の間隔は、管Pの傾斜の有無にかかわらず、搬送路3が管Pを支持できるのであれば、特に限定されない。本実施形態では、管Pが搬送路3に対して基準の位置にある状態において、管Pの端部とガイド部材4との間に隙間があるように配置されている。本明細書における「基準の位置」とは、搬送路3上における管Pの搬送に適した位置であり、管Pの長さ、形状、および重心の位置等に応じて、管Pが搬送路3上で安定して搬送されやすい位置である。基準の位置は、管Pが搬送路3上に設置される際の位置(初期位置)でもある。本実施形態では、管Pは、基準の位置において、管Pの一方の端部が搬送路3の一方の側縁よりも幅方向D2の外側へ突出し、管Pの他方の端部が搬送路3の他方の側縁から幅方向D2における外側へ突出するような位置である。また、基準の位置は、管Pの重心が、幅方向D2における搬送路3の中央部に位置するような位置である。具体的には、基準の位置は、管Pの重心が、幅方向D2における一方のレール31と他方のレール31との間の中央部に位置するような位置である。また、基準の位置は、管Pの軸方向と搬送方向D1とが直交するような位置である。
【0030】
ガイド部材4は、搬送路3の搬送方向D1に沿って延在する斜面41を有する。斜面41は、搬送路3上で転動しながら搬送される管Pを、搬送方向D1にガイドする部分である。すなわち、斜面41は、管Pが転動に伴って基準の位置から変位して管Pの端部が斜面41に接触した際に、傾斜方向D3に進む管Pを受け止めて、管Pの軌道を修正する機能を有する。
【0031】
斜面41は、搬送路3の幅方向D2において、搬送路3に対して遠い側から近い側に向かって斜め下向きに傾斜している(
図4A~
図4D参照)。本明細書において「搬送路3に対して遠い側から近い側に向かって斜め下向きに傾斜している」とは、斜面41が、搬送路3から離れるにつれて、鉛直方向の高さが高くなるように傾斜(水平方向に対して傾斜)していることを意味する。斜面41が、幅方向D2において、搬送路3に対して遠い側から近い側に向かって斜め下向きに傾斜する構成により、管Pの端部が斜面41に接近して斜面41に接触した際に、斜面41が傾斜方向D3に進む管Pの端部を受け止めて、管Pの軌道を修正することができる。具体的には、斜面41がこのような傾斜を有することにより、斜面41は、管Pの端部が斜面41に接近して接触したときに、管Pの端部を搬送路3側から見て上り勾配の斜面41に乗り上げさせることができる。管Pの端部が搬送路3側から見て上り勾配の斜面41に乗り上げることにより、管Pが斜面41に接触するときの衝撃を弱めることができる。これにより、管Pが斜面41に接触したときに管Pの端部および斜面41が変形したり、破損したりするのを防止することができる。また、斜面41が管Pの端部を受け止めることにより、管Pの端部が加熱炉2の炉壁21に衝突するのを防止することができる。したがって、管Pの端部が加熱炉2の炉壁21に衝突することに起因する、管Pの端部および炉壁21の変形および破損を防止することができる。また、管Pの端部が加熱炉2の炉壁21に衝突することに起因して、管Pが搬送路3の爪322を上流側D11に乗り越えて、後続の管Pと団子状に集積してしまい、その結果、管Pを搬送できなくなるような問題が生じるのを防止することができる。
【0032】
また、斜面41が、幅方向D2において、搬送路3に対して遠い側から近い側に向かって斜め下向きに傾斜する構成により、管Pが斜面41に乗り上げた後、管Pの自重を利用して、管Pが一定以上の高さを超えるのを防止することができる。これにより、管Pが斜面41の上端から搬送路3とは反対側へ脱落するのを防止することができる。具体的には、斜面41がこのような傾斜を有することにより、斜面41は、管Pの端部が斜面41に接触して斜面41に乗り上げたときに、管Pに作用する重力のうち、斜面41に沿った方向の成分(以下、重力の斜面方向成分とも称する)が、管Pの端部を斜面41に沿って降下させようとする力となる。したがって、管Pの端部が斜面41をある程度の高さまで乗り上げた後、重力の斜面方向成分によって管Pの端部の上昇が止まり、その後、管Pの端部は斜面41上で一定の高さを維持するか、または、斜面41を降下することができる。したがって、管Pが斜面41の上端から搬送路3とは反対側へ脱落するのを防止することができる。
【0033】
ガイド部材4の形状は、ガイド部材4が、加熱炉2内において、傾斜方向D3に進む管Pを受け止めて、管Pの軌道を修正することができるのであれば、特に限定されない。本実施形態では、ガイド部材4は、搬送路3側に斜面41を有し、かつ、搬送方向D1に沿って延びる長尺部材であって、長手方向に直交する方向の断面が、斜面41に対応する辺を有する三角形状に形成されている。また、ガイド部材4の材質は、ガイド部材4が、加熱炉2内において、傾斜方向D3に進む管Pを受け止めて、管Pの軌道を修正することができるのであれば、特に限定されない。本実施形態では、ガイド部材4の材質は、加熱炉2内の高温に耐え得る材質である。そのような材質としては、たとえば、鋼材、セラミック等を挙げることができる。また、ガイド部材4が管Pの挿口部をガイドする場合には、ガイド部材4の材質は、摩擦係数が比較的小さいことが望ましい。その理由は、後述するように、管Pの挿口部が斜面41上を降下する場合、管Pの挿口部P3が斜面41に対してスライドしながら降下する可能性があるため、管Pの挿口部P3と斜面41との間で発生する摩擦力を抑制することにより、管Pの挿口部P3が斜面41上を降下するのが阻害されないようにするためである。そのような材質としては、たとえば、鋼材を挙げることができる。また、斜面41の摩擦係数を低減するために、斜面41は必要に応じて研磨されていてもよい。
【0034】
また、斜面41は、上述の基準の位置から搬送路3の幅方向D2に位置ずれした管Pの端部を支持しながら、管Pの端部を斜面41の範囲内で搬送方向D1および斜面41の傾斜D4に沿って転動させるように構成されている。本明細書において「搬送方向D1および斜面41の傾斜D4に沿って転動させる」とは、管Pの一方側の端部(たとえば、
図4Bおよび
図4Cに示される受口部P2)のエッジが、斜面41に接触しながら転動する際に、他方側の端部(たとえば、
図4Bおよび
図4Cに示される挿口部P3)側において搬送路3と接触した部分を支点として、一方側の端部の鉛直方向の高さが高くなるように一方側の端部が斜面41に乗り上げて、鉛直方向に見たときに、基準の位置にある管Pの軸方向に対して一方側の端部が後方(上流側D11)に位置するように傾斜した第1の状態(たとえば
図3Bに示される状態)から、基準の位置にある管Pの軸に一致するように、または、一方側の端部が前方(下流側D12)に位置するように傾斜した第2の状態(たとえば
図3Cに示される状態)へ遷移するように、管Pの一方側の端部が転動して案内されることを意味する。斜面41が、このように管Pの端部を支持しながら、管Pの端部を斜面41の範囲内で搬送方向D1および斜面41の傾斜D4に沿って転動させる構成により、斜面41は、管Pの端部が斜面41に接近して接触したときに、管Pの端部を斜面41上で転動させて、管Pの端部を斜面41に容易に乗り上げさせることができる。管Pの端部が斜面41に容易に乗り上げることにより、管Pが斜面41に接触するときの衝撃をより一層弱めることができる。これにより、管Pが斜面41に接触したときに管Pの端部および斜面41が変形したり、破損したりするのをより確実に防止することができる。
【0035】
また、斜面41が、このように管Pの端部を支持しながら、管Pの端部を斜面41の範囲内で搬送方向D1および斜面41の傾斜D4に沿って転動させる構成により、管Pが斜面41上をスムーズに移動することができ、搬送路3上における管Pの搬送方向D1への搬送が阻害されない。また、管Pが斜面41に乗り上げた後に降下する場合には、管Pの端部が斜面41上を転動しながら降下することができる。したがって、管Pの端部は、斜面41上をスムーズに降下することができ、降下の勢いを利用して斜面41から搬送路3側へ離脱することができる。これにより、管Pの位置を搬送路3側へ戻すことができ、管Pを基準の位置または基準の位置に近い位置まで戻すことが可能となる。
【0036】
本実施形態では、斜面41の傾斜角度θ2は、斜面41と水平面とがなす角度である(
図2、
図4A~
図4D参照)。傾斜角度θ2の大きさは、管Pの端部が斜面41に接触した際に、斜面41が傾斜方向D3に進む管Pを受け止めて、管Pの軌道を修正することができるのであれば、特に限定されない。具体的には、斜面41は、上述のように、管Pの端部が斜面41に接近して接触したときに、管Pの端部が斜面41に乗り上げることにより、管Pが斜面41に接触するときの衝撃を弱める機能(以下、衝撃緩和機能とも称する)と、管Pが斜面41に乗り上げた後、管Pの自重を利用して、管Pが一定以上の高さを超えるのを防止することにより、管Pが斜面41の上端から搬送路3とは反対側へ脱落するのを防止する機能(以下、脱落防止機能とも称する)とを有する。すなわち、斜面41の傾斜角度θ2が大き過ぎる(90°に近過ぎる)場合、管Pの端部が斜面41に接近して斜面41に接触した際に、管Pの端部が斜面41に乗り上げることができず、管Pの端部と斜面41との接触の衝撃を弱めにくくなり、衝撃緩和機能を発揮しにくくなる。また、斜面41の傾斜角度θ2が小さ過ぎる(0°に近過ぎる)場合、管Pの端部が斜面41に接近して斜面41に接触した際に、管Pの端部が斜面41に乗り上げた後、管Pの傾斜方向D3の速度のうち幅方向D2の成分を十分に弱めることができず、管Pの端部が斜面41の上端部から脱落する可能性があり、脱落防止機能を発揮しにくくなる。なお、脱落防止機能は、管Pの端部が斜面41の上端部から脱落するのを防止することができればよく、後述するように、管Pの端部が斜面41に乗り上げた後に斜面1を降下して、斜面41から(たとえば斜面41の下端部から)搬送路3側へ離脱する(戻る)のは構わない。
【0037】
本実施形態では、斜面41が衝撃緩和機能および脱落防止機能を発揮することができるような角度に設定されている。具体的には、斜面41は、たとえば、10°~80°に設定され、好ましくは30°~75°に設定され、より好ましくは45°~70°に設定され、特に好ましくは60°~70°に設定されている。
【0038】
なお、脱落防止機能は、管Pの端部を斜面41のある程度の高さまで乗り上げさせた後、管Pの自重を利用して管Pの端部を斜面41に沿って降下させる機能(以下、斜面降下機能とも称する)を有することが好ましい。脱落防止機能が、斜面降下機能を有することにより、管Pの端部が斜面41から搬送路3とは反対側へ脱落するのをより確実に防止することができる。また、脱落防止機能は、管Pの端部を斜面41に沿って下った後、下る勢い(慣性)を利用して管Pの端部が斜面41から搬送路3側へ離脱する機能(以下、斜面離脱機能とも称する)を有することがさらに好ましい。脱落防止機能が、斜面離脱機能を有することにより、管Pを搬送路3側へ戻すことができ、管Pを基準の位置または基準の位置に近い位置まで戻すことが可能となる。
【0039】
次に、搬送構造1のいくつかの具体例について説明する。以下の例では、管Pは、直管部P1と、受口部P2と、挿口部P3とを備えているものとする。また、管Pは、鋳造によって形成された鋳鉄管であって、焼鈍処理が行われる前の管であるものとする。また、以下の例では、管Pは、搬送路3上に設置された当初は、搬送路3の基準の位置に設置されていたが、管Pの形状および/または搬送路3の摩耗状態等に起因して、搬送中に基準の位置から位置ずれして、管Pの軸方向が搬送路3の幅方向D2に対して傾斜している状態を想定する。この場合、管Pは、本来であれば2つの爪322によって後押しされるはずが、ガイド部材4によってガイドされる直前には、1つの爪322による片押し状態になっているものとする。
【0040】
図3A~
図3Dおよび
図4A~
図4Dは、連続的に搬送される複数の管Pのうちの1つに着目して図示している。
図4A~
図4Dは、それぞれ、
図3A~
図3Dに対応している。
図3A~
図3Dおよび
図4A~
図4Dに示される例では、管Pにおいて、幅方向D2における一方側の端部(受口部P2)がガイド部材4によりガイドされて軌道修正される場合が想定されている。
図3A~
図3Dにおいて、図の上側が搬送方向D1の上流側D11に対応し、図の下側が搬送方向D1の下流側D12に対応している。すなわち、搬送路3の2つの爪322が図の上側(上流側D11)から下側(下流側D12)に向かって移動する。これにより、管Pは、爪322に後押しされて、転動しながら図の上側から下側へ搬送される。
【0041】
この例では、まず、
図3Aに示されるように、管Pの軸方向が搬送路3の幅方向D2に対して傾斜している。また、
図4Aに示されるように、管Pは基準の位置から幅方向D2に位置ずれ(変位)して、幅方向D2における一方側の炉壁21およびガイド部材4に接近している。ガイド部材4は、炉壁21と搬送路3との間に介在している。管Pの一方側の端部(受口部P2)とガイド部材4との距離は、管Pの一方側の端部(受口部P2)と炉壁21との距離よりも小さい。
【0042】
管Pの転動がさらに進むと、
図3Bおよび
図4Bに示されるように、管Pの一方側の端部(受口部P2)がガイド部材4の斜面41に接触する。これにより、管Pの一方側の端部(受口部P2)は、斜面41から反力Fを受ける(
図4Bおよび
図4C参照)。この反力Fは、管Pの一方側の端部(受口部P2)を上方へ持ち上げるとともに、管Pの一方側の端部(受口部P2)を搬送路3側へ押し返そうとする力である。管Pの一方側の端部(受口部P2)が斜面41から反力Fを受けることにより、管Pの一方側の端部(受口部P2)は、斜面41上を転動しながら上り始める。すなわち、管Pの一方側の端部(受口部P2)は、斜面41に転動しながら乗り上がる。このように管Pの一方側の端部(受口部P2)が、斜面41に乗り上がりながらも、管Pの一方側の端部(受口部P2)は、搬送方向D1の上流側D11から下流側D12に進んでいる。なお、管Pの一方側の端部(受口部P2)が斜面41に沿って上昇している間、管Pには重力G(
図4Bおよび
図4C参照)が作用している。この重力Gは、管Pを降下させようとする力である。
【0043】
管Pの転動がさらに進むと、
図3Cおよび
図4Cに示されるように、管Pの一方側の端部(受口部P2)の上昇が止まる。その理由の1つは、管Pに作用する重力Gが管Pを降下させようとするためである。すなわち、重力Gの作用により、管Pの一方側の端部(受口部P2)の上昇は、斜面41をある程度上昇した時点で止まる。また、管Pの一方側の端部(受口部P2)の上昇が止まる他の理由の1つは、
図4Cに示されるように、管Pの他方側の端部(挿口部P3)側を支持するレール31(
図4Cにおける右側のレール31)との接触箇所を支点として、管Pが
図3Aの状態から
図3Dの状態まで回転し、これにより、管Pの一方側の端部(受口部P2)が斜面41に乗り上げて一旦上昇した後に降下していくからである。管Pの一方側の端部(受口部P2)は、上述の2つの理由により、上昇が停止した後、斜面41に沿って降下を始める。管Pの一方側の端部(受口部P2)は、斜面41上での上昇中、上昇停止、および降下中のいずれにおいても、管Pの一方側の端部(受口部P2)は、搬送方向D1の上流側D11から下流側D12に進んでいる。したがって、管Pの一方側の端部(受口部P2)は、斜面41上において、上向きに凸の円弧を描くように移動する。また、管Pの一方側の端部(受口部P2)の外径は、直管部P1の外径よりも大きいため、管Pが転動する際の管Pの一方側の端部(受口部P2)の移動距離は、直管部P1の移動距離よりも大きくなる。このため、斜面41に乗り上げた一方側の端部(受口部P2)の搬送方向D1への移動速度は、直管部P1の搬送方向D1への移動速度よりも大きくなる。したがって、幅方向D2に対する管Pの傾斜が速やかに修正される(
図3A~
図3C参照)。すなわち、管Pの向きが速やかに修正される。
【0044】
管Pの転動がさらに進むと、
図3Dおよび
図4Dに示されるように、管Pの一方側の端部(受口部P2)は、斜面41から搬送路3側へ離脱する。その理由は、管Pが斜面41を降下する勢い(慣性)が、斜面41を下り切った後の管Pに作用し、管Pの一方側の端部(受口部P2)を斜面41から搬送路3側へ離脱させようとするためである。具体的には、管Pの一方側の端部(受口部P2)は、斜面41を降下する際に、斜面41から搬送路3へ向かう方向の力(反力Fのうち、幅方向D2の成分)を受ける。このため、管Pの一方側の端部(受口部P2)は、斜面41を下り切った後に、斜面41から搬送路3側へ離脱する。これにより、管Pの移動方向および位置が修正され、管Pは基準の位置に近づきながら搬送される。
【0045】
したがって、本実施形態の搬送構造1によれば、斜面41を有するという単純な構造のガイド部材4を搬送路3に沿って配置するだけで、加熱炉2内における搬送路3上の管Pの傾斜を抑制することができる。これにより、簡単な構成で、管Pの端部が炉壁21に衝突するのを防止することができ、管Pの端部と炉壁21との衝突に起因する、管Pの端部および炉壁21の変形および損傷を防止することができる。
【0046】
図5A~
図5Bは、搬送構造1の他の例を示している。
図5A~
図5Bに示される例では、管Pにおいて、幅方向D2における他方側の端部(挿口部P3)がガイド部材4によりガイドされて軌道修正される場合が想定されている。
【0047】
この例では、まず、管Pの軸方向が搬送路3の幅方向D2に対して傾斜している。また、管Pは基準の位置から幅方向D2に位置ずれ(変位)して、幅方向D2における他方側の炉壁21およびガイド部材4に接近している(
図5A参照)。ガイド部材4は、炉壁21と搬送路3との間に介在している。管Pの他方側の端部(挿口部P3)とガイド部材4との距離は、管Pの他方側の端部(挿口部P3)と炉壁21との距離よりも小さい。
【0048】
管Pの転動がさらに進むと、
図5Bに示されるように、管Pの他方側の端部(挿口部P3)がガイド部材4の斜面41に接触する。これにより、管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、斜面41から反力Fを受ける。この反力Fは、管Pの他方側の端部(挿口部P3)を上方へ持ち上げるとともに、管Pの他方側の端部(挿口部P3)を搬送路3側へ押し返そうとする力である。管Pの他方側の端部(挿口部P3)が斜面41から反力Fを受けることにより、管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、斜面41上を転動しながら上り始める。すなわち、管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、斜面41に転動しながら乗り上がる。このように管Pの他方側の端部(挿口部P3)が、斜面41に乗り上がりながらも、管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、搬送方向D1の上流側D11から下流側D12に進んでいる。なお、管Pの他方側の端部(挿口部P3)が斜面41に沿って上昇している間、管Pには重力Gが作用している。この重力Gは、管Pを降下させようとする力である。
【0049】
管Pの転動がさらに進むと、
図5Cに示されるように、管Pの他方側の端部(挿口部P3)の上昇が止まる。その主な理由は、管Pに作用する重力Gが管Pを降下させようとするためである。すなわち、重力Gの作用により、管Pの他方側の端部(挿口部P3)の上昇は、斜面41をある程度上昇した時点で止まる。具体的には、管Pの他方側の端部(挿口部P3)が斜面41を上ってその位置が高くなる程、管Pの他方側の端部(挿口部P3)が斜面41から受ける反力F(重力Gに対抗する反力)のうち、管Pの他方側の端部(挿口部P3)を搬送路3側へ押し返そうとする力が大きくなる。管Pの他方側の端部(挿口部P3)を搬送路3側へ押し返そうとする力によって、管Pの他方側の端部(挿口部P3)の上昇する速度が次第に低下し、やがて管Pの他方側の端部(挿口部P3)の上昇が止まる。そして、管Pの他方側の端部(挿口部P3)を搬送路3側へ押し返そうとする力が、搬送路3(具体的にはレール31)と直管部P1との間の摩擦力よりも大きくなったときに、管Pの他方側の端部(挿口部P3)が斜面41に沿って降下し始めるとともに、管Pは搬送路3側へスライドする。管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、斜面41上での上昇中、上昇停止、および降下中のいずれにおいても、搬送方向D1の上流側D11から下流側D12に進んでいる。また、管Pの他方側の端部(挿口部P3)の外径は、直管部P1の外径と略同じである(または径の差が小さい)と考えられるため、管Pが転動する際の管Pの他方側の端部(挿口部P3)の移動距離は、直管部P1の移動距離と略同じである(または移動距離の差が小さい)と考えられる。このため、斜面41に乗り上げた他方側の端部(挿口部P3)の搬送方向D1への移動速度と、直管部P1の搬送方向D1への移動速度とは略同じである(または移動速度の差は小さい)と考えられる。したがって、幅方向D2に対する管Pの傾斜の修正は、
図4A~
図4Dの場合と比べて、ほとんど行われない(またはゆっくり行われる)と考えられる。なお、幅方向D2に対する管Pの傾斜の修正が行われない場合であっても、管Pの他方側の端部(挿口部P3)は斜面41上を搬送方向D1に沿って転動し続けるため、管Pの他方側の端部(挿口部P3)が炉壁21に衝突して、管Pの他方側の端部(挿口部P3)および炉壁21が変形したり、破損したりするのを防止することができる。また、管Pの他方側の端部(挿口部P3)が加熱炉2の炉壁21に衝突することに起因して、管Pが搬送路3の爪322を上流側D11に乗り越えて、後続の管Pと団子状に集積してしまい、その結果、管Pを搬送できなくなるような問題が生じるのを防止することができる。
【0050】
図6A~
図6Bおよび
図7A~
図7Bは、搬送構造1の他の例を示している。
図6A~
図6Bおよび
図7A~
図7Bに示される例では、管Pにおいて、幅方向D2における他方側の端部(挿口部P3)に、当該端部(挿口部P3)の外径よりも大きな外径の外周面を有する拡径部材5が装着される。そして、この拡径部材5がガイド部材4によりガイドされて軌道修正される場合が想定されている。
図6A~
図6Dにおいて、図の上側が搬送方向D1の上流側D11に対応し、図の下側が搬送方向D1の下流側D12に対応している。すなわち、搬送路3の2つの爪322が図の上側(上流側D11)から下側(下流側D12)に向かって移動する。これにより、管Pは、爪322に後押しされて、転動しながら図の上側から下側へ搬送される。
【0051】
この例では、まず、管Pの軸方向が搬送路3の幅方向D2に対して傾斜している(
図6A参照)。また、管Pは基準の位置から幅方向D2に位置ずれ(変位)して、幅方向D2における他方側の炉壁21およびガイド部材4に接近している(
図6Aおよび
図7A参照)。ガイド部材4は、炉壁21と搬送路3との間に介在している。管Pの他方側の端部(挿口部P3)とガイド部材4との距離は、管Pの他方側の端部(挿口部P3)と炉壁21との距離よりも小さい。
【0052】
管Pの転動がさらに進むと、
図6Bおよび
図7Bに示されるように、管Pの他方側の端部(挿口部P3)に装着された拡径部材5の外周部がガイド部材4の斜面41に接触する。これにより、管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、拡径部材5を介して斜面41から反力Fを受ける。この反力Fは、管Pの他方側の端部(挿口部P3)を上方へ持ち上げるとともに、管Pの他方側の端部(挿口部P3)を搬送路3側へ押し返そうとする力である。管Pの他方側の端部(挿口部P3)が斜面41から反力Fを受けることにより、管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、斜面41上を転動しながら上り始める。すなわち、管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、斜面41に転動しながら乗り上がる。このように管Pの他方側の端部(挿口部P3)が、斜面41に乗り上がりながらも、管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、搬送方向D1の上流側D11から下流側D12に進んでいる。なお、管Pの他方側の端部(挿口部P3)が斜面41に沿って上昇している間、管Pには重力Gが作用している。この重力Gは、管Pを降下させようとする力である。
【0053】
管Pの転動がさらに進むと、
図6Cおよび
図7Cに示されるように、管Pの他方側の端部(挿口部P3)の上昇が止まる。その理由の1つは、管Pに作用する重力Gが管Pを降下させようとするためである。すなわち、重力Gの作用により、管Pの他方側の端部(挿口部P3)の上昇は、斜面41をある程度上昇した時点で止まる。また、管Pの他方側の端部(挿口部P3)の上昇が止まる他の理由の1つは、
図7Cに示されるように、管Pの一方側の端部(受口部P2)側を支持するレール31(
図7Cにおける左側のレール31)との接触箇所を支点として、管Pが
図6Aの状態から
図6Dの状態まで回転し、これにより、管Pの他方側の端部(挿口部P3)が斜面41に乗り上げて一旦上昇した後に降下していくからである。管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、上述の2つの理由により、上昇が停止した後、斜面41に沿って降下を始める。管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、斜面41上での上昇中、上昇停止、および降下中のいずれにおいても、管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、搬送方向D1の上流側D11から下流側D12に進んでいる。したがって、管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、斜面41上において、上向きに凸の円弧を描くように移動する。また、拡径部材5の外径は、直管部P1の外径よりも大きいため、管Pが転動する際の管Pの他方側の端部(挿口部P3)の移動距離は、直管部P1の移動距離よりも大きくなる。このため、斜面41に乗り上げた他方側の端部(挿口部P3)の搬送方向D1への移動速度は、直管部P1の搬送方向D1への移動速度よりも大きくなる。したがって、幅方向D2に対する管Pの傾斜が速やかに修正される(
図6A~
図6C参照)。すなわち、管Pの向きが速やかに修正される。
【0054】
管Pの転動がさらに進むと、
図6Dおよび
図7Dに示されるように、管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、斜面41から搬送路3側へ離脱する。その理由は、管Pが斜面41を降下する勢い(慣性)が、斜面41を下り切った後の管Pに作用し、管Pの他方側の端部(挿口部P3)を斜面41から搬送路3側へ離脱させようとするためである。具体的には、管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、斜面41を降下する際に、斜面41から搬送路3へ向かう方向の力(反力Fのうち、幅方向D2の成分)を受ける。このため、管Pの他方側の端部(挿口部P3)は、斜面41を下り切った後に、斜面41から搬送路3側へ離脱する。これにより、管Pの移動方向および位置が修正され、管Pは基準の位置に近づきながら搬送される。
【0055】
したがって、
図6A~
図6Dおよび
図7A~
図7Dに示される搬送構造1によれば、単純な構造のガイド部材4を搬送路3に沿って配置するとともに、管Pの他方側の端部(挿口部P3)に拡径部材5を装着するだけで、加熱炉2内における搬送路3上の管Pの傾斜を抑制することができる。これにより、簡単な構成で、管Pの端部が炉壁21に衝突するのを防止することができ、管Pの端部と炉壁21との衝突に起因する、管Pの端部および炉壁21の変形および損傷を防止することができる。
【0056】
なお、上述の例では、ガイド部材4は、加熱炉2の炉壁21と搬送路3との間に配置された治具であるが、これに限定されるものではない。ガイド部材4は、たとえば、加熱炉2の炉壁21であってもよい。具体的には、たとえば、加熱炉21の内壁面に、搬送方向に対して傾斜する方向に進む管Pを受け止めて、管Pの軌道を修正する機能(衝撃緩和機能および脱落防止機能)を有する斜面を形成してもよい。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されない。なお、上記した実施形態は、以下の構成を有する発明を主に説明するものである。
【0058】
(1)加熱炉内において加熱対象の管を転動させながら搬送する搬送路と、前記搬送路が前記管を搬送する際に、前記管の端部を前記搬送路の搬送方向に沿ってガイドするガイド部材とを備えた加熱炉用搬送構造であって、
前記ガイド部材は、前記搬送路の搬送方向と直交する幅方向における前記搬送路の少なくとも一方の側縁に沿って配置され、
前記ガイド部材は、前記搬送路の搬送方向に沿って延在する斜面を有し、
前記斜面は、前記搬送路の幅方向において、前記搬送路に対して遠い側から近い側に向かって斜め下向きに傾斜しており、
前記斜面は、基準の位置から前記搬送路の幅方向に位置ずれした前記管の端部を支持しながら、前記管の端部を前記斜面の範囲内で前記搬送方向および前記斜面の傾斜に沿って転動させるように構成されている、加熱炉用搬送構造。
【0059】
(2)前記ガイド部材は、前記加熱炉の炉壁と前記搬送路との間に配置された治具、または、前記加熱炉の炉壁である、(1)に記載の加熱炉用搬送構造。
【0060】
(3)前記ガイド部材は、前記搬送路の幅方向における前記搬送路の前記一方の側縁に沿った位置および他方の側壁に沿った位置にそれぞれ配置される、(1)または(2)に記載の加熱炉用搬送構造。
【0061】
(4)前記管が鋳鉄管である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の加熱炉用搬送構造。
【0062】
(5)加熱炉内において加熱対象の管を転動させながら搬送する搬送路上で前記管を搬送する方法であって、
前記方法は、
斜面を有するガイド部材を、前記斜面が前記搬送路の搬送方向に沿って延在するように配置する配置工程と、
前記管を前記搬送路上で搬送する搬送工程と
を含み、
前記配置工程において、前記ガイド部材は、前記搬送路の搬送方向と直交する幅方向における前記搬送路の少なくとも一方の側縁に沿って配置され、
前記配置工程において、前記ガイド部材は、前記斜面が、前記搬送路の幅方向において、前記搬送路に対して遠い側から近い側に向かって斜め下向きに傾斜するように配置され、
前記搬送工程において、前記管が前記搬送路上で基準の位置から前記搬送路の幅方向に位置ずれした際に、前記斜面は、前記管の端部を支持しながら、前記管の端部を前記斜面の範囲内で前記搬送方向および前記斜面の傾斜に沿って転動させる、
管の搬送方法。
【0063】
(6)前記管の少なくとも一方の端部に、前記端部の外径よりも大きな外径の外周面を有する拡径部材を装着する工程をさらに含み、
前記搬送工程において、前記管が前記搬送路上で基準の位置から前記搬送路の幅方向に位置ずれした際に、前記斜面は、前記拡径部材の外周面を支持しながら、前記拡径部材を前記斜面の範囲内で前記搬送方向および前記斜面の傾斜に沿って転動させる、
(5)に記載の管の搬送方法。
【符号の説明】
【0064】
1 加熱炉用搬送構造
2 加熱炉
3 搬送路
31 レール
32 搬送コンベア
321 コンベア本体
322 爪
4 ガイド部材
41 斜面
5 拡径部材
D1 搬送方向
D11 上流側
D12 下流側
D2 幅方向
D3 管の傾斜方向
D4 斜面の傾斜
F 反力
G 重力
P 管
P1 直管部
P2 受口部
P3 挿口部
θ1 管の傾斜角度
θ2 斜面の傾斜角度