(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139381
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】混合装置、ボトルユニット及びパンク修理キット
(51)【国際特許分類】
B29C 73/02 20060101AFI20241002BHJP
B29L 30/00 20060101ALN20241002BHJP
【FI】
B29C73/02
B29L30:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050287
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】野村 圭介
(72)【発明者】
【氏名】木平 智一
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AH20
4F213AR12
4F213WA95
4F213WB01
4F213WM01
4F213WM07
(57)【要約】
【課題】 パンク修理を短時間で行うための混合装置、ボトルユニット及びパンク修理キットを提供する。
【解決手段】 パンク修理液Rと圧縮空気Aとを混合するための混合装置4である。使用時に上方に位置する天面8aと下方に位置する床面8bとを含む混合室8と、混合室8に圧縮空気Aを供給するための第1入口9と、混合室8にパンク修理液Rを供給するための第2入口10と、混合室8からパンク修理液Rと圧縮空気Aとの混合物を排出するための出口11とを備えている。混合室8は、床面8bと天面8aとをつなぐ側面8cを含んでいる。床面8b、天面8a及び側面8cの少なくとも1つには、混合室8から外側に凹む複数の凹部12が形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンク修理液と圧縮空気とを混合するための混合装置であって、
使用時に上方に位置する天面と下方に位置する床面とを含む混合室と、
前記混合室に前記圧縮空気を供給するための第1入口と、
前記混合室に前記パンク修理液を供給するための第2入口と、
前記混合室から前記パンク修理液と前記圧縮空気との混合物を排出するための出口とを備え、
前記混合室は、前記床面と前記天面とをつなぐ側面を含み、
前記床面、前記天面及び前記側面の少なくとも1つには、前記混合室から外側に凹む複数の凹部が形成される、
混合装置。
【請求項2】
前記複数の凹部のそれぞれは、半球状である、請求項1に記載の混合装置。
【請求項3】
前記混合室は、前記床面及び前記天面が円形状の円柱形状であり、
前記複数の凹部のそれぞれの最大直径は、前記混合室の直径の5%~35%である、請求項2に記載の混合装置。
【請求項4】
前記複数の凹部のそれぞれの最大深さは、前記混合室の最大高さの15%~75%である、請求項2に記載の混合装置。
【請求項5】
前記複数の凹部が、前記床面に形成される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の混合装置。
【請求項6】
前記床面には、前記第1入口と前記出口とが設けられ、
前記複数の凹部は、前記第1入口と前記出口との間に配された少なくとも1つの凹部を含む、請求項5に記載の混合装置。
【請求項7】
前記天面は、前記混合室の内部に向けて突出する突出部を有する、請求項5に記載の混合装置。
【請求項8】
前記複数の凹部が、前記天面に形成される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の混合装置。
【請求項9】
前記複数の凹部が、前記床面及び前記天面の両方にそれぞれ設けられる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の混合装置。
【請求項10】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の混合装置と、前記パンク修理液が収容された容器とを含むボトルユニットであって、
前記容器は、前記パンク修理液を前記容器の内部に収容するための口部を有し、
前記混合装置は、前記口部に取り付けられる、ボトルユニット。
【請求項11】
請求項10に記載のボトルユニットと、前記圧縮空気を供給するためのコンプレッサとを含む、パンク修理キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンク修理液と圧縮空気とを混合するための混合装置、当該混合装置を含むボトルユニット及び当該ボトルユニットを含むパンク修理キットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パンクしたタイヤを修理するためのパンク修理キットが知られている。例えば、下記特許文献1では、コンプレッサからの圧縮空気により、パンクしたタイヤにパンク修理液と圧縮空気とを順次注入してパンクを修理するためのパンク修理キットを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のパンク修理キットは、パンク修理液を注入後、圧縮空気を注入するため、パンクしている部位をパンク修理液で塞ぐのに要する時間が長くなる傾向にあった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、パンク修理を短時間で行うための混合装置、ボトルユニット及びパンク修理キットを提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、パンク修理液と圧縮空気とを混合するための混合装置であって、使用時に上方に位置する天面と下方に位置する床面とを含む混合室と、前記混合室に前記圧縮空気を供給するための第1入口と、前記混合室に前記パンク修理液を供給するための第2入口と、前記混合室から前記パンク修理液と前記圧縮空気との混合物を排出するための出口とを備え、前記混合室は、前記床面と前記天面とをつなぐ側面を含み、前記床面、前記天面及び前記側面の少なくとも1つには、前記混合室から外側に凹む複数の凹部が形成される、混合装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の混合装置は、上述の構成を備えることにより、パンク修理を短時間で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明のパンク修理キットの一実施形態を概念的に示す断面図である。
【
図4】第2の実施形態の床面を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1は、本実施形態のパンク修理キット1を概念的に示す断面図である。
図1に示されるように、パンク修理キット1は、例えば、パンクしたタイヤ等の対象物Tに、パンク修理液Rと圧縮空気Aとを充填するために好適に用いられる。本実施形態のパンク修理キット1は、ボトルユニット2と、ボトルユニット2に圧縮空気Aを供給するためのコンプレッサ3とを含んでいる。
【0010】
本実施形態のボトルユニット2は、パンク修理液Rと圧縮空気Aとを混合するための混合装置4と、パンク修理液Rを収容するための容器5とを含んでいる。混合装置4は、例えば、容器5に取り付けられるアダプタ部材6と、アダプタ部材6に取り付けられるキャップ部材7とを含んでいる。
【0011】
このようなボトルユニット2は、混合装置4と容器5との取り付けが容易であり、パンク修理に要する時間の短縮に役立つ。また、混合装置4は、パンク修理液Rと圧縮空気Aとを対象物Tに充填する前に予め混合することができ、パンク修理に要する時間を短縮することができる。なお、混合装置4は、このような態様に限定されるものではなく、例えば、アダプタ部材6とキャップ部材7とが一体化された一体成型品であってもよい。
【0012】
容器5は、例えば、パンク修理液Rを容器5の内部に収容するための口部5aを有している。容器5は、例えば、口部5aからパンク修理液Rを容器5内に収容している。口部5aは、例えば、収容されたパンク修理液Rを気密に保持するためのフィルム(図示省略)を有している。混合装置4は、容器5の口部5aに取り付けられるのが望ましい。このような容器5は、パンク修理液Rの取り出し口を別途形成する必要がなく、製造コストを低減させることに役立つ。
【0013】
混合装置4は、例えば、アダプタ部材6とキャップ部材7との間に形成された混合室8を含んでいる。本実施形態の混合室8は、使用時、すなわち、混合装置4が容器5に取り付けられてパンク修理をするときに上方に位置する天面8aと下方に位置する床面8bとを含んでいる。混合室8は、天面8aと床面8bとをつなぐ側面8cを含むのが望ましい。このような混合室8は、パンク修理液Rと圧縮空気Aとを予め混合するための空間を確保するのに適している。
【0014】
混合室8は、例えば、天面8a及び床面8bが円形状の円柱形状である。すなわち、混合室8の側面8cは、円筒形状であるのが望ましい。このような混合室8は、側面8cに角部がなく、混合室8内の滞留物を低減するのに適している。
【0015】
混合室8の天面8aは、例えば、アダプタ部材6の隔壁6aにより構成されている。混合室8の床面8bは、例えば、キャップ部材7により構成されている。混合室8の側面8cは、例えば、アダプタ部材6により構成されている。混合室8の側面8cは、例えば、キャップ部材7により構成されていてもよい。このような混合室8は、天面8a及び床面8bの加工が容易であり、製造コストを低減させることに役立つ。
【0016】
本実施形態の混合装置4は、混合室8に圧縮空気Aを供給するための第1入口9と、混合室8にパンク修理液Rを供給するための第2入口10とを備えている。このような混合装置4は、コンプレッサ3から供給される圧縮空気Aの脈動により、混合室8が正圧状態と負圧状態とに繰り返されることで、第2入口10からパンク修理液Rを混合室8内に滴下して、混合物を生成することができる。
【0017】
混合物の少なくとも一部は、例えば、パンク修理液Rと圧縮空気Aとのエアロゾルである。すなわち、本実施形態の混合室8は、混合物の少なくとも一部をエアロゾル化することができる。このような混合物は、パンク修理液Rの少なくとも一部を1~100μm程度のエアロゾル粒子として供給することができる。これにより、パンク修理キット1は、パンクした部分を少量のパンク修理液Rで効率よく修理可能であり、対象物Tが内部に吸音材、センサ等を配したタイヤであっても、吸音材、センサ等への影響を低減することができる。
【0018】
パンク修理液Rは、グリコールを少なくとも含むのが望ましい。グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、プロピレングリコール等が挙げられる。このようなパンク修理液Rは、パンクしたタイヤ等の対象物Tにエアロゾルとして少量を注入したときにも、パンクした部分を効率よく修理することに適している。
【0019】
混合装置4は、混合室8からパンク修理液Rと圧縮空気Aとの混合物を排出するための出口11を備えるのが望ましい。このような混合装置4は、パンク修理液Rと圧縮空気Aとの出し入れをスムーズに行うことで、混合室8内での混合物の滞留時間を短くすることができ、パンク修理に要する時間の短縮に役立つ。
【0020】
第1入口9及び出口11は、例えば、キャップ部材7に設けられる。本実施形態の第1入口9及び出口11は、床面8bに設けられている。第2入口10は、例えば、アダプタ部材6の隔壁6aに設けられる。本実施形態の第2入口10は、天面8aに設けられている。
【0021】
このような混合装置4は、上方に位置する第2入口10から滴下されたパンク修理液Rと圧縮空気Aとの混合物を、下方に位置する出口11から排出するので、滴下されたパンク修理液Rの滞留を抑制し、混合物を効率よく生成することができる。
【0022】
図2は、床面8bを模式的に示す平面図である。
図1及び
図2に示されるように、本実施形態の床面8b、天面8a及び側面8cの少なくとも1つには、混合室8から外側に凹む複数の凹部12が形成されている。このような凹部12は、混合室8内の流れをスムーズにして流速を高めることができ、混合物の滞留時間を短縮することができる。その結果、本実施形態の混合装置4は、少なくとも一部がエアロゾル化した混合物であっても、混合物を出口11から速やかに排出することができ、混合物の凝集を抑制することができる。このため、本実施形態の混合装置4は、パンク修理を短時間で行うことができる。
【0023】
本実施形態の複数の凹部12は、床面8bに形成されている。複数の凹部12は、床面8bの中央部よりも周辺部に多く形成されるのが望ましい。このような混合室8は、重力により滞留物が発生し易い下方の流れをスムーズにして、混合物の滞留を抑制することができる。
【0024】
複数の凹部12は、第1入口9と出口11との間に配された少なくとも1つの、本実施形態では1つの凹部12を含んでいる。このような凹部12は、第1入口9から出口11へ流れる圧縮空気Aの流れをスムーズにすることができる。
【0025】
複数の凹部12は、第1入口9と出口11とをつなぐ仮想線の一方側及び他方側のそれぞれに配された複数の、本実施形態では2つの凹部12を含んでいる。このような凹部12は、床面8bの周辺部を流れる流れをスムーズにして流速を向上させることに役立つ。
【0026】
複数の凹部12のそれぞれは、半球状であるのが望ましい。このような凹部12は、凹部12の内部に滞留物が蓄積することを抑制し、混合物の排出を促進することができる。また、このような凹部12は、加工が容易であり、簡易な構成で混合室8内の流れをスムーズにすることができる。
【0027】
図1に示されるように、本実施形態の天面8aは、混合室8の内部に向けて突出する突出部13を有している。このような突出部13は、混合室8の中央部よりも周辺部での流れを促進するように、混合室8の内部の流れに方向性を持たせることができる。このため、本実施形態の混合室8は、床面8bの周辺部に配された複数の凹部12と協働して、周辺部での流れをスムーズにすることができ、混合物の滞留時間をより短縮することができる。
【0028】
アダプタ部材6は、例えば、容器5の口部5aにアダプタ部材6が取り付けられたときに、口部5aのフィルム(図示省略)を破断する破断部14を有している。このような破断部14は、混合装置4が容器5に取り付けられたときに、口部5aのフィルムを破断することができ、パンク修理液Rを混合室8に供給することができる。
【0029】
キャップ部材7は、例えば、混合装置4で混合物をエアロゾルとして生成困難な極低温の環境下であれば、容器5の口部5aに直接取り付けられてもよい。キャップ部材7は、容器5の口部5aにキャップ部材7が取り付けられたときに、口部5aのフィルムを破断する副破断部15を有している。副破断部15は、例えば、出口11の開口部近傍に設けられている。
【0030】
このような副破断部15は、キャップ部材7が容器5に直接取り付けられたときに、口部5aのフィルムを破断することができる。また、この副破断部15は、混合装置4としてキャップ部材7がアダプタ部材6に装着されたときに、混合室8内の流路抵抗を低減することに役立つ。
【0031】
アダプタ部材6は、例えば、容器5の口部5a及びキャップ部材7の両者にネジ止めされている。アダプタ部材6と口部5aとの間は、シール部材16により密閉されるのが望ましい。アダプタ部材6とキャップ部材7との間は、例えば、副シール部材17により密閉されている。このようなアダプタ部材6は、容器5への取り付け及びキャップ部材7との取り付けが容易であり、取り付け後の気密性にも優れている。
【0032】
図3は、第2の実施形態の混合室20の模式図である。上述の実施形態と共通する要素には、同一の符号が付され、その説明が省略される。
図3に示されるように、第2の実施形態の混合室20は、使用時に上方に位置する天面20aと、下方に位置する床面20bと、天面20aと床面20bとをつなぐ側面20cとを含んでいる。第2の実施形態の混合室20は、上述の混合室8と同様、天面20a及び床面20bが円形状の円柱形状であり、側面20cが円筒形状である。
【0033】
図4は、第2の実施形態の床面20bを模式的に示す平面図である。
図3及び
図4に示されるように、第2の実施形態の床面20bには、混合室20から外側に凹む複数の凹部21が形成されている。このような凹部21は、混合室20内の流れをスムーズにすることができ、混合物の滞留時間を短縮することができる。
【0034】
第2の実施形態の複数の凹部21のそれぞれは、上述の凹部12と同様、半球状であるのが望ましい。第2の実施形態の凹部21は、上述の凹部12よりも小さいものが多数設けられている。このような凹部21は、凹部12の内部に滞留物が蓄積することを抑制し、混合物の排出を促進することができる。
【0035】
複数の凹部21のそれぞれの最大直径D1は、好ましくは、混合室20の直径D2の5%~35%である。凹部21の最大直径D1が混合室20の直径D2の5%以上であることで、凹部21による流速増加効果を確実に奏することができる。凹部21の最大直径D1が混合室20の直径D2の35%以下であることで、床面20bに配される凹部21の個数を増やすことができ、混合室20内の流れをスムーズにすることに役立つ。
【0036】
凹部21の最大直径D1は、好ましくは、0.5~5.0mmである。凹部21の最大直径D1が0.5mm以上であることで、凹部21による流速増加効果を確実に奏することができる。凹部21の最大直径D1が5.0mm以下であることで、床面20bに配される凹部21の個数を増やすことができ、混合室20内の流れをスムーズにすることに役立つ。このような観点から、凹部21の最大直径D1は、より好ましくは、1.5~4.5mmである。
【0037】
混合室20の直径D2は、好ましくは、5.0~50.0mmである。混合室20の直径D2が5.0mm以上であることで、混合物をエアロゾルとして生成するのに必要な空間を形成することができる。混合室20の直径D2が50.0mm以下であることで、混合装置4が過度に大きくなることを抑制し、パンク修理キット1の小型化に役立つ。このような観点から、混合室20の直径D2は、より好ましくは、15.0~20.0mmである。
【0038】
複数の凹部21のそれぞれの最大深さdは、好ましくは、混合室20の床面20bと天面20aとの間の距離である最大高さHの15%~75%である。凹部21の最大深さdが混合室20の最大高さHの15%以上であることで、凹部21による流速増加効果を確実に奏することができる。凹部21の最大深さdが混合室20の最大高さHの75%以下であることで、凹部21の底に混合物が滞留することを抑制することができる。
【0039】
凹部21の最大深さdは、好ましくは、0.25~2.50mmである。凹部21の最大深さdが0.25mm以上であることで、凹部21による流速増加効果を確実に奏することができる。凹部21の最大深さdが2.50mm以下であることで、凹部21の内部に不要な渦が発生することを抑制し、凹部21の底に混合物が滞留することを抑制することができる。
【0040】
凹部21の最大深さdは、好ましくは、凹部21の最大直径D1の30%~100%である。このような凹部21は、混合室20内の流れをスムーズにすることができ、特に凹部21の最大深さdを最大直径D1の50%、すなわち凹部21を半球状に形成することで、その効果をより高めることができる。
【0041】
混合室20の最大高さHは、好ましくは、0.5~20.0mmである。混合室20の最大高さHが0.5mm以上であることで、混合物をエアロゾルとして生成するのに必要な空間を形成することができる。混合室20の最大高さHが20.0mm以下であることで、高さ方向の渦の発生が抑制され、これにより混合物の滞留時間が長くなることを抑制することができる。このような観点から、混合室20の最大高さHは、より好ましくは、2.0~5.0mmである。
【0042】
互いに隣接する凹部21の間の距離Lは、凹部21の最大直径D1よりも小さいのが望ましい。凹部21の間の距離Lは、好ましくは、0.0~10.0mmであり、より好ましくは、0.0~5.0mmである。このような凹部21は、床面20bの全域で混合物の流速を増加させることができる。
【0043】
図示は省略されるが、複数の凹部21は、例えば、天面20aに形成されるものであってもよい。また、複数の凹部21は、例えば、床面20b及び天面20aの両方にそれぞれ設けられるものであってもよい。このような凹部21は、凹部21が形成された天面20a又は床面20bに沿った流れをスムーズにすることができる。また、天面20aに形成された凹部21は、床面20bに設けられた第1入口9から供給された圧縮空気Aの流れを制御するのにも役立つ。
【0044】
図示は省略されるが、第2の実施形態の天面20aも、上述の天面8aと同様、混合室20の内部に向けて突出する突出部13を有していてもよい。複数の凹部21が天面20aに形成される場合、例えば、複数の凹部21が、突出部13に形成されていてもよく、突出部13が床面20bに設けられていてもよい。このような突出部13は、混合室20の周辺部での流れを増加させることができ、周辺部に設けられた多数の凹部21と協働して、混合物の滞留時間を短縮することに役立つ。
【0045】
図5は、第3の実施形態の混合室30の模式図である。上述の実施形態と共通する要素には、同一の符号が付され、その説明が省略される。
図5に示されるように、第3の実施形態の混合室30は、使用時に上方に位置する天面30aと、下方に位置する床面30bと、天面30aと床面30bとをつなぐ側面30cとを含んでいる。第3の実施形態の混合室30は、上述の混合室8と同様、天面30a及び床面30bが円形状の円柱形状であり、側面30cが円筒形状である。
【0046】
床面30b、天面30a及び側面30cの少なくとも1つ、第3の実施形態では全部には、混合室30から外側に凹む複数の凹部31が形成されている。このような混合室30は、床面30b、天面30a及び側面30cに沿った流れをスムーズにすることができ、混合物の滞留時間をより短縮することができる。
【0047】
図示は省略されるが、第3の実施形態の混合室30も、天面30a及び床面30bの少なくとも一方に突出部13が形成されていてもよい。このような突出部13は、混合室30の周辺部での流れを増加させることができ、周辺部に設けられた多数の凹部31と協働して、混合物の滞留時間を短縮することに役立つ。
【0048】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施され得る。
【実施例0049】
図3及び
図4に基づく基本構成を有する混合装置の実施例が、表1に基づきモデリングされ、比較例として、凹部を有さない混合装置がモデリングされた。モデリングされた混合装置を用いて、混合室内の混合物の流れがシミュレーションされ、供給された混合物中のパンク修理液に対する出口に到達したパンク修理液の割合が計算された。なお、シミュレーションには、シーケンス社のSTAR-CCM+16.06.008-R8が用いられた。
【0050】
【0051】
図6は、シミュレーション結果の流速分布図である。
図6に示されるように、シミュレーションの結果、実施例の混合装置は、比較例に対し、内部の流速が向上しており、パンク修理を短時間で行うことができることが確認された。
【0052】
図7は、シミュレーション結果を示すグラフである。
図7の横軸は、
図6に対応した各実施例及び比較例であり、縦軸は、供給された混合物中のパンク修理液のうち出口に到達したパンク修理液の割合である。
図7に示されるように、シミュレーションの結果、実施例の混合装置は、比較例に対し、パンク修理液の出口への到達割合が大きく、パンク修理を短時間で行うことができることが確認された。
【0053】
[付記]
本発明は、次のとおりである。
【0054】
[本発明1]
パンク修理液と圧縮空気とを混合するための混合装置であって、
使用時に上方に位置する天面と下方に位置する床面とを含む混合室と、
前記混合室に前記圧縮空気を供給するための第1入口と、
前記混合室に前記パンク修理液を供給するための第2入口と、
前記混合室から前記パンク修理液と前記圧縮空気との混合物を排出するための出口とを備え、
前記混合室は、前記床面と前記天面とをつなぐ側面を含み、
前記床面、前記天面及び前記側面の少なくとも1つには、前記混合室から外側に凹む複数の凹部が形成される、
混合装置。
【0055】
[本発明2]
前記複数の凹部のそれぞれは、半球状である、本発明1に記載の混合装置。
【0056】
[本発明3]
前記混合室は、前記床面及び前記天面が円形状の円柱形状であり、
前記複数の凹部のそれぞれの最大直径は、前記混合室の直径の5%~35%である、本発明2に記載の混合装置。
【0057】
[本発明4]
前記複数の凹部のそれぞれの最大深さは、前記混合室の最大高さの15%~75%である、本発明1ないし3のいずれかに記載の混合装置。
【0058】
[本発明5]
前記複数の凹部が、前記床面に形成される、本発明1ないし4のいずれかに記載の混合装置。
【0059】
[本発明6]
前記床面には、前記第1入口と前記出口とが設けられ、
前記複数の凹部は、前記第1入口と前記出口との間に配された少なくとも1つの凹部を含む、本発明5に記載の混合装置。
【0060】
[本発明7]
前記天面は、前記混合室の内部に向けて突出する突出部を有する、本発明1ないし6のいずれかに記載の混合装置。
【0061】
[本発明8]
前記複数の凹部が、前記天面に形成される、本発明1ないし4のいずれかに記載の混合装置。
【0062】
[本発明9]
前記複数の凹部が、前記床面及び前記天面の両方にそれぞれ設けられる、本発明1ないし4のいずれかに記載の混合装置。
【0063】
[本発明10]
本発明1ないし9のいずれかに記載の混合装置と、前記パンク修理液が収容された容器とを含むボトルユニットであって、
前記容器は、前記パンク修理液を前記容器の内部に収容するための口部を有し、
前記混合装置は、前記口部に取り付けられる、ボトルユニット。
【0064】
[本発明11]
本発明10に記載のボトルユニットと、前記圧縮空気を供給するためのコンプレッサとを含む、パンク修理キット。