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特開2024-139389出来形管理装置、出来形管理方法および出来形管理プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139389
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】出来形管理装置、出来形管理方法および出来形管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/00 20060101AFI20241002BHJP
   G01B 11/24 20060101ALI20241002BHJP
   G01C 7/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
E21D9/00 Z
G01B11/24 A
G01C7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050300
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 顕伍
(72)【発明者】
【氏名】石井 敏之
(72)【発明者】
【氏名】川澄 悠馬
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA53
2F065CC40
2F065FF11
2F065GG04
2F065QQ25
2F065RR08
2F065SS13
(57)【要約】
【課題】より正確な出来形を計測して、出来形を管理すること。
【解決手段】出来形管理装置であって、掘削中の掘削対象領域の設計データを取得する設計データ取得部と、掘削対象領域にレーザ光を走査させて掘削対象領域の3次元形状を計測した点群データを取得する点群データ取得部と、掘削対象領域を所定メッシュサイズで区切り、掘削対象領域と対応付けした複数のグリッドを生成するグリッド生成部と、複数のグリッドのうち所定グリッドに属する設計データと、所定グリッドの点群データと、の差分量を算出する差分量算出部と、算出された差分量に基づいて、所定グリッドに対応付けられた掘削対象領域の掘削状態を判定する掘削状態判定部と、掘削状態判定部による判定結果に基づいて、複数のグリッドのそれぞれを識別可能に表示させる表示制御部と、を備えた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削中の掘削対象領域の設計データを取得する設計データ取得部と、
前記掘削対象領域にレーザ光を走査させて前記掘削対象領域の3次元形状を計測した点群データを取得する点群データ取得部と、
前記掘削対象領域を所定メッシュサイズで区切り、前記掘削対象領域と対応付けした複数のグリッドを生成するグリッド生成部と、
前記複数のグリッドのうち所定グリッドに属する設計データと、前記所定グリッドの点群データと、の差分量を算出する差分量算出部と、
算出された差分量に基づいて、前記所定グリッドに対応付けられた掘削対象領域の掘削状態を判定する掘削状態判定部と、
前記掘削状態判定部による判定結果に基づいて、前記複数のグリッドのそれぞれを識別可能に表示させる表示制御部と、
を備えた出来形管理装置。
【請求項2】
前記複数のグリッドのそれぞれに対応する設計データが存在するか否かを判定し、対応する設計データが存在しないグリッドに対して、隣接する複数のグリッドの設計データから内挿または外挿して、前記対応する設計データが存在しないグリッドの設計データを補間する設計データ補間部をさらに備える請求項1に記載の出来形管理装置。
【請求項3】
前記所定グリッドに属する設計データのうち、少なくとも1つの設計データを選択設計データとして選択し、選択された前記選択設計データを中心とする所定半径の同心円の内側の領域に存在する点群データを抽出点群データとして抽出する点群データ抽出部と、
前記抽出点群データについて、高さ方向のデータである高さデータの平均として高さデータ平均値を算出する平均値算出部と、
をさらに備え、
前記差分量算出部は、前記高さデータ平均値と、前記所定グリッドの設計データのうち高さ方向のデータである設計高さデータと、の差分量を算出する請求項1または2に記載の出来形管理装置。
【請求項4】
前記点群データ抽出部は、前記同心円の内側の領域に存在する点群データのうち、前記中心から近い順に50点の点群データを前記抽出点群データとして抽出する請求項3に記載の出来形管理装置。
【請求項5】
前記掘削状態判定部は、前記掘削状態として、当たりの有無を判定する請求項1~4のいずれか1項に記載の出来形管理装置。
【請求項6】
前記掘削状態判定部は、前記掘削状態として、当たりが有ると判定された場合、当たり量をさらに判定する請求項5に記載の出来形管理装置。
【請求項7】
掘削中の掘削対象領域の設計データを取得する設計データ取得ステップと、
前記掘削対象領域にレーザ光を走査させて前記掘削対象領域の3次元形状を計測した点群データを取得する点群データ取得ステップと、
前記掘削対象領域を所定メッシュサイズで区切り、前記掘削対象領域と対応付けした複数のグリッドを生成するグリッド生成ステップと、
前記複数のグリッドのうち所定グリッドの設計データと、前記所定グリッドの点群データと、の差分量を算出する差分量算出ステップと、
算出された差分量に基づいて、前記所定グリッドに対応付けられた掘削対象領域の掘削状態を判定する掘削状態判定ステップと、
を含む出来形管理方法。
【請求項8】
掘削中の掘削対象領域の設計データを取得する設計データ取得ステップと、
前記掘削対象領域にレーザ光を走査させて前記掘削対象領域の3次元形状を計測した点群データを取得する点群データ取得ステップと、
前記掘削対象領域を所定メッシュサイズで区切り、前記掘削対象領域と対応付けした複数のグリッドを生成するグリッド生成ステップと、
前記複数のグリッドのうち所定グリッドの設計データと、前記所定グリッドの点群データと、の差分量を算出する差分量算出ステップと、
算出された差分量に基づいて、前記所定グリッドに対応付けられた掘削対象領域の掘削状態を判定する掘削状態判定ステップと、
をコンピュータに実行させる出来形管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出来形管理装置、出来形管理方法および出来形管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野において、特許文献1には、トンネル掘削工事における掘削箇所の出来形を測定するために、掘削箇所にレーザ光を照射して取得した点群データと設計データとからコンター図を生成し、生成したコンター図を格子状に分割して複数の領域を設定する。そして、設定された各領域の4つの交点の座標を点群データから得られる各点の座標データから内挿して算出し、掘削箇所の出来形を計測する技術が開示されている(同文献段落[0014]、[0028]~[0029]等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-151963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、出来形計測に用いる4つの交点の座標は、点群データから内挿して算出されたものであり、正確な出来形を計測して、出来形を管理することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る出来形管理装置は、
掘削中の掘削対象領域の設計データを取得する設計データ取得部と、
前記掘削対象領域にレーザ光を走査させて前記掘削対象領域の3次元形状を計測した点群データを取得する点群データ取得部と、
前記掘削対象領域を所定メッシュサイズで区切り、前記掘削対象領域と対応付けした複数のグリッドを生成するグリッド生成部と、
前記複数のグリッドのうち所定グリッドに属する設計データと、前記所定グリッドの点群データと、の差分量を算出する差分量算出部と、
算出された差分量に基づいて、前記所定グリッドに対応付けられた掘削対象領域の掘削状態を判定する掘削状態判定部と、
前記掘削状態判定部による判定結果に基づいて、前記複数のグリッドのそれぞれを識別可能に表示させる表示制御部と、
を備えた。
【0006】
また、上記目的を達成するため、本発明に係る出来形管理方法は、
掘削中の掘削対象領域の設計データを取得する設計データ取得ステップと、
前記掘削対象領域にレーザ光を走査させて前記掘削対象領域の3次元形状を計測した点群データを取得する点群データ取得ステップと、
前記掘削対象領域を所定メッシュサイズで区切り、前記掘削対象領域と対応付けした複数のグリッドを生成するグリッド生成ステップと、
前記複数のグリッドのうち所定グリッドの設計データと、前記所定グリッドの点群データと、の差分量を算出する差分量算出ステップと、
算出された差分量に基づいて、前記所定グリッドに対応付けられた掘削対象領域の掘削状態を判定する掘削状態判定ステップと、
を含む。
【0007】
さらに、上記目的を達成するため、本発明に係る出来形管理プログラムは、
掘削中の掘削対象領域の設計データを取得する設計データ取得ステップと、
前記掘削対象領域にレーザ光を走査させて前記掘削対象領域の3次元形状を計測した点群データを取得する点群データ取得ステップと、
前記掘削対象領域を所定メッシュサイズで区切り、前記掘削対象領域と対応付けした複数のグリッドを生成するグリッド生成ステップと、
前記複数のグリッドのうち所定グリッドの設計データと、前記所定グリッドの点群データと、の差分量を算出する差分量算出ステップと、
算出された差分量に基づいて、前記所定グリッドに対応付けられた掘削対象領域の掘削状態を判定する掘削状態判定ステップと、
をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、より正確な出来形を計測して、出来形を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の第1実施形態に係る出来形管理装置による出来形管理の概要を説明するための図である。
図1B】本発明の第1実施形態に係る出来形管理装置による識別可能表示の一例を説明するための図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る出来形管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る出来形管理装置が有するデータテーブルの一例を説明するための図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る出来形管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る出来形管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
図6A】本発明の第2実施形態に係る出来形管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
図6B】本発明の第2実施形態に係る出来形管理装置による線形補間について説明するための図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る出来形管理装置が有するデータテーブルの一例を説明するための図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る出来形管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
図9】本発明の第2実施形態に係る出来形管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
図10A】本発明の第3実施形態に係る出来形管理装置の構成を説明するためのブロック図である。
図10B】本発明の第3実施形態に係る出来形管理装置による差分量の算出を説明するための図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る出来形管理装置が有するデータテーブルの一例を説明するための図である。
図12】本発明の第3実施形態に係る出来形管理装置のハードウェア構成を説明するための図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る出来形管理装置の処理手順を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について、図面を参照して、例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている、構成、数値、処理の流れ、機能要素などは一例に過ぎず、その変形や変更は自由であって、本発明の技術範囲を以下の記載に限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態としての出来形管理装置100について、図1A図5を参照して説明する。まず、図1Aおよび図1Bを参照して本実施形態に係る出来形管理装置100による出来形管理の概要を説明する。山岳トンネル120の工事におけるインバートの設置は、例えば、片側車線を通行止めにして、バックホー101などの掘削用重機で掘削対象領域102を掘削して、掘削が完了したら、掘削完了したところにインバートを構築することにより行われる。
【0012】
ここで、インバートの掘削においては、掘削された掘削面103の出来形を確認しながら工事が進められる。掘削面103の出来形の確認は、作業員が、トンネル側壁に高さの基準を設置して、定規を使って掘削面103の高さを測定する。そして、計測した値と設計値とを比較することで、当たりの有無を判定し、これが存在する場合には、設計値に近くづくように再掘削が必要となる。このような工法に従って、インバート部の掘削面103の出来形の確認が行われている。しかしながら、このような工法では、掘削面103の計測は、作業員による手作業で行われるため、正確性に欠けたり、時間がかかったり、また、掘削面103を計測する作業員と掘削重機とが接触する危険性が生じたりすることがあった。
【0013】
本実施形態の出来形管理装置100においては、例えば、作業員が、バックホー101などの掘削用重機を用いて掘削した掘削対象領域102が、設計通りの出来形となっているかを、掘削箇所にレーザ光を照射することで、確認できるようになっている。つまり、作業員は、バックホー101の運転席から降りることなく、掘削箇所が、計画通りの形状となっているか否かを、例えば、運転席に設置されたモニター画面を見ながら確認することができるようになっている。
【0014】
バックホー101には、レーザセンサ104が搭載されており、レーザセンサ104から照射されるレーザ光で、掘削対象領域102を走査する。ここで、レーザセンサ104は、例えば、LiDAR(Light Detection and Ranging)センサであり、光を用いた計測技術である。レーザセンサ104は、レーザ光をパルス状に照射して、対象物に当たって跳ね返ってくるまでの時間差により、対象物とレーザセンサ104との間の距離を計測している。
【0015】
出来形管理装置100は、バックホー101に搭載されているレーザセンサ104から照射されるレーザ光を用いて、各点における計測値である点群データ106を取得する。そして、取得した点群データ106から得られる各点における高さデータを設計データ107と比較することで、当たりまたは余掘りの有無などを確認する。このように、本実施形態の出来形管理装置100においては、作業員が、レーザ光を用いて掘削された掘削対象領域102の形状を確認しながら作業を進めることができる。
【0016】
掘削対象領域102の掘削においては、出来形管理の行い易さの観点から、掘削対象領域102を所定メッシュサイズで区切って、グリッド105を生成し、グリッド単位で出来形の管理を行っている。
【0017】
出来形管理装置100は、区切られたグリッド105のそれぞれの点群データ106から高さデータを算出して、設計データ107と比較する。比較の結果、出来形管理装置100は、グリッド105ごとに、当たりの存在の有無を判定し、判定結果は、例えば、バックホー101の運転席のモニターなどに識別可能に表示される。作業員は、モニターの表示に従って、当たりが生じているグリッド105に対しては、さらに、掘削をして、設計データ107に近づくようにする。
【0018】
例えば、グリッド105の掘削状態を判定する場合には、出来形管理装置100は、レーザセンサ104からレーザ光を照射して点群データ106を取得する。出来形管理装置100は、取得した点群データ106を、出来形の判定対象となるグリッド(所定グリッド105a)の設計データ107と比較して、差分量を算出する。そして、図1Bに示したように、出来形管理装置100は、算出した差分量に基づいて、グリッド105(所定グリッド105a)のそれぞれを着色表示するなどして、作業員が、掘削の状態を把握し易いようにする。作業員は、グリッド105の着色状態に応じた作業を行う。
【0019】
次に、図2Aおよび図2Bを参照して、本実施形態に係る出来形管理装置100の構成について説明する。出来形管理装置100は、設計データ取得部201、点群データ取得部202、グリッド生成部203、差分量算出部204、掘削状態判定部205および表示制御部206を有する。
【0020】
設計データ取得部201は、掘削中の掘削対象領域102の設計データ107を取得する。設計データは、3次元CAD(Computer‐Aided Design)を用いて生成された、掘削対象領域の完成形示すデータである。設計データは、出来形管理装置100において生成しても、出来形管理装置100とは異なる装置で生成してもよい。
【0021】
点群データ取得部202は、掘削対象領域102にレーザ光を走査させて掘削対象領域102の3次元形状を計測した点群データ106を取得する。掘削対象領域102に照射されて走査されるレーザ光は、バックホー101に搭載されたレーザセンサ104から照射される。例えば、バックホー101のオペレータが、掘削対象領域102の掘削中または掘削終了後に、掘削対象領域102にレーザ光を照射して、点群データ取得部202が、点群データ106を取得できるようにしてもよい。なお、点群データ取得部202は、掘削面103の計測のタイミングにより、1つのグリッド105に対して、複数の点群データ106が存在する場合には、最新の点群データ106を取得するようにしてもよい。
【0022】
また、バックホー101による掘削作業中、レーザセンサ104から掘削対象のグリッド105等にレーザ光を照射してもよい。このように、レーザ光を走査させるタイミングは、掘削作業が開始された以降のタイミングであれば、いずれのタイミングであってもよい。なお、レーザセンサ104は、バックホー101に搭載しなくてもよく、レーザセンサ104から照射されたレーザ光が、掘削対象領域102に届く位置であれば、いずれの位置に配置してもよい。
【0023】
レーザセンサ104は、上述したように、LiDARセンサである。LiDARには、距離測定方法の違いによりTOF(Time of Flight、飛行時間)方式とFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave、周波数連続変調)方式の2種類がある。しかしながら、いずれの方式のLiDARを用いてもよい。また、本実施形態においては、測距可能なセンサであれば、レーザセンサ104は、LiDARセンサには、限定されない。なお、レーザ光の走査は、グリッド105単位で行っても、掘削対象領域102全体で行ってもよい。
【0024】
グリッド生成部203は、掘削対象領域102を所定メッシュサイズで区切り、掘削対象領域102と対応付けした複数のグリッド105(所定グリッド105a)を生成する。グリッド105は、掘削対象領域102の掘削が開始される前の状態で生成されるため、略水平な平面上に生成される。
【0025】
実際の掘削面103は、盤膨れ対策のため、逆アーチ状の形状(曲面を含む形状)となる。そのため、実際の掘削面103におけるグリッドの形状は、生成されたグリッド105を掘削面103に対して正射影した形状となる。なお、図1に示した例では、トンネルの片側のみを図示しているため、逆アーチ形状の半分のみが図示されている。
【0026】
また、グリッド生成部203は、掘削対象領域102の出来形管理の精度を高めるため、所定メッシュサイズで区切ったグリッド105を複数生成する。生成されるグリッド105は、正方形であっても、長方形であってもよい。また、生成されるグリッド105の縦横のサイズは、掘削対象領域102の面積(大きさ)、バックホー101のバケットの容量などに応じて決定できる。なお、グリッド105のサイズを小さくすれば、出来形管理の精度を向上させることができる。さらに、掘削対象領域102において、異なるメッシュサイズのグリッド105が存在していてもよい。掘削対象領域102の中であっても、細かく、精度高く出来形を管理したい場所と、比較的緩やかな出来形管理で十分な場所とが混在する場合には、グリッド105のサイズが統一されている必要はない。例えば、インバートの傾斜が大きくなる部分については、メッシュサイズを細かくして、小さいサイズのグリッド105を生成し、その他の部分では、メッシュサイズを通常の大きさとして、通常のサイズのグリッド105を生成する。
【0027】
例えば、図1Aに示した例においては、グリッド生成部203は、9個(3×3)のグリッド105を生成している。グリッド生成部203は、生成したグリッド105のそれぞれを区別するための識別子や一意の番号などをグリッド105のそれぞれに付与してもよい。これにより、グリッド105の管理が容易になる。
【0028】
なお、上述した設計データ取得部201は、設計データ107が、例えば、2つのグリッドの中間の位置に存在する場合には、これら2つのグリッド105に属する設計データ107としてそのデータを取得する。同様に、設計データ取得部201は、4つのグリッド105の格子点上の位置に設計データ107が存在する場合には、これら4つのグリッド105に属する設計データ107としてそのデータを取得する。
【0029】
差分量算出部204は、複数のグリッド105のうち所定グリッド105aに属する設計データ107と、所定グリッド105aの点群データ106と、の差分量を算出する。所定グリッド105aは、例えば、掘削対象領域102のうち、掘削状態を判定して、出来形を確認したい場所である。そのため、差分量算出部204は、まず、所定グリッド105aに属する設計データ107を抽出する。設計データ107は、掘削面103の形状をどのような形状とするかに関するデータであり、例えば、所定グリッド105aの領域では、どの程度、地面を掘り進めるかを示すデータとなっている。
【0030】
次に、差分量算出部204は、所定グリッド105aを掘削面に対して正射影した領域に含まれる点群データを所定グリッド105aの点群データ106として抽出する。点群データ106は、所定グリッド105aにおいて、実際に計測された出来形に関するデータとなっている。そして、差分量算出部204は、点群データ106と設計データ107との差分量を算出する。
【0031】
掘削状態判定部205は、算出された差分量に基づいて、所定グリッド105aに対応付けられた掘削対象領域102の掘削状態を判定する。差分量算出部204で算出された差分量が、実際に掘削された掘削面103と設計上の掘削面との間に、どの程度の違いがあるかを示す量となっている。例えば、差分量がプラス(+)の場合、掘削面103が設計上の掘削面よりも高い(掘削量が足りない)状態、すなわち、「当たり」の状態にあることを示す。例えば、差分量がマイナス(-)の場合、掘削面103が、設計上の掘削面よりも低い(掘削量が多い)状態、すなわち、「余掘り」の状態にあることを示す。また、差分量がプラスマイナスゼロ(±0)の場合、掘削面103が、設計データ通りに掘削されていることを示している。
【0032】
掘削状態判定部205においては、所定グリッド105aについての掘削状態が、当たりの状態にあるか否かを判定する。掘削状態判定部205は、掘削状態として、当たりの場合には、それに応じた施工を行わなければならいないため、掘削状態判定部205は、当たりの有無を判定し、さらに、この状態が判定された場合には、当たり量を判定する。当たり量が分かると、バックホー101のオペレータに対して、具体的な施工方針を示すことが可能となる。なお、掘削状態判定部205は、算出された差分量に基づいて、余掘りの有無および余掘り量の判定をしてもよい。
【0033】
表示制御部206は、掘削状態判定部205による判定結果に基づいて、複数のグリッド105のそれぞれを識別可能に表示させる。表示制御部206は、所定グリッド105aを含むグリッド105のそれぞれに対して、掘削状態に応じた着色を施して、バックホー101に搭載されたディスプレイに表示させる。
【0034】
例えば、表示制御部206は、掘削前のグリッド105については、無色で表示し、掘削中のグリッド105であって、当たりのあるグリッド105については、赤色表示し、当たり量に応じたグラデーションで表示する。すなわち、表示制御部206は、当たり量が多い状態から少ない状態へ移行するに従って、濃い赤色から薄い赤色へと遷移するようにグラデーション表示する。そして、表示制御部206は、設計通りにグリッドの掘削が行われると、赤色表示から緑色表示へと着色表示を変化させる。
【0035】
なお、グリッド105の着色表示は、ここに示した例には、限定されない。また、グリッド105のそれぞれに着色表示する他に、グリッド105に、掘削状態を示す文字を表示させたり、また、グリッド105を点滅表示させたりしてもよい。点滅表示させる場合、グリッド105の点滅の間隔により、掘削状態を表現してもよい。さらに、出来形管理装置100において、表示制御部206は、余掘りが発生したグリッドについては、そのグリッドを青色表示してもよい。表示制御部206は、余掘り量が少ない状態から多い状態へ移行するに従って、薄い青色から濃い青色へと遷移するようにグラデーション表示してもよい。
【0036】
そして、作業員は、バックホー101の運転席のモニターに表示されたグラデーション表示を見ながら、掘削対象領域102の掘削箇所の掘削量を判断しながら掘削を行う。つまり、モニター上の掘削対象領域102の表示が、例えば、赤の表示となっているところを掘削した後、計測すると、緑表示もしくは青色表示となり、当たりが解消される。
【0037】
図3を参照して、出来形管理装置100が有するデータテーブル301の一例について説明する。データテーブル301は、グリッドID(Identifier)311に関連付けて、設計データ312および点群データ313を記憶する。グリッドID311は、生成されたグリッド105のそれぞれを識別するための識別子である。設計データ312は、掘削対象領域102の最終的な出来形を示すデータであり、これを、生成されたグリッド105のそれぞれに割り当てたデータとなっている。グリッド105の中には、複数の設計データが割り当てられているグリッドも存在する。なお、点群データは、計測したタイミングに応じて、1つのグリッド105に複数の点群データが存在していてもよい。複数の点群データが存在する場合、点群データ取得部202は、最新の点群データを取得する。そして、出来形管理装置100は、データテーブル301を参照して、掘削対象領域102(掘削面103)の掘削状態を判定する。
【0038】
図4を参照して、出来形管理装置100のハードウェア構成について説明する。CPU(Central Processing Unit)410は、演算制御用のプロセッサであり、プログラムを実行することで図2の出来形管理装置100の各機能構成を実現する。CPU410は複数のプロセッサを有し、異なるプログラムやモジュール、タスク、スレッドなどを並行して実行してもよい。ROM(Read Only Memory)420は、初期データおよびプログラムなどの固定データおよびその他のプログラムを記憶する。また、ネットワークインタフェース430は、ネットワークを介して他の装置などと通信する。なお、CPU410は1つに限定されず、複数のCPUであっても、あるいは画像処理用のGPU(Graphics Processing Unit)を含んでもよい。また、ネットワークインタフェース430は、CPU410とは独立したCPUを有して、RAM(Random Access Memory)440の領域に送受信データを書き込みあるいは読み出しするのが望ましい。また、RAM440とストレージ450との間でデータを転送するDMAC(Direct Memory Access Controller)を設けるのが望ましい(図示なし)。さらに、CPU410は、RAM440にデータが受信あるいは転送されたことを認識してデータを処理する。また、CPU410は、処理結果をRAM440に準備し、後の送信あるいは転送はネットワークインタフェース430やDMACに任せる。
【0039】
RAM440は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM440には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。設計データ441は、掘削対象領域102の最終的な出来形を示すデータである。点群データ442は、所定のタイミングで、掘削面103にレーザ光を照射して計測した、掘削面103とレーザセンサ104との間の距離などのデータである。設計高さデータ443は、掘削面103の設計高さを示すデータであり、設計データ441から算出される。計測高さデータ444は、所定のタイミングで計測した、所定グリッド105aに属する掘削面103の高さを示すデータであり、点群データ442から算出される。
【0040】
送受信データ445は、ネットワークインタフェース430を介して送受信されるデータである。また、RAM440は、各種アプリケーションモジュールを実行するためのアプリケーション実行領域446を有する。
【0041】
ストレージ450には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ450は、データテーブル301を格納する。データテーブル301は、図3に示した、グリッドID311と設計データ312などとの関係を管理するテーブルである。
【0042】
ストレージ450は、さらに、設計データ取得モジュール451、点群データ取得モジュール452、グリッド生成モジュール453、差分量算出モジュール454、掘削状態判定モジュール455および表示制御モジュール456を格納する。設計データ取得モジュール451は、掘削中の掘削対象領域102の設計データ107を取得するモジュールである。点群データ取得モジュール452は、掘削対象領域102にレーザ光を走査させて掘削対象領域102の3次元形状を計測した点群データ106を取得するモジュールである。グリッド生成モジュール453は、掘削対象領域102を所定メッシュサイズで区切り、掘削対象領域102と対応付けした複数のグリッド105を生成するモジュールである。差分量算出モジュール454は、複数のグリッド105のうち所定グリッド105aに属する設計データ107と、所定グリッド105aの点群データとの、差分量を算出するモジュールである。掘削状態判定モジュール455は、算出された差分量に基づいて、所定グリッド105aに対応付けられた掘削対象領域102の掘削状態を判定するモジュールである。表示制御モジュール456は、判定結果に基づいて、複数のグリッドのそれぞれを識別可能に表示させるモジュールである。これらのモジュール451~456は、CPU410によりRAM440のアプリケーション実行領域446に読み出され、実行される。制御プログラム457は、出来形管理装置100の全体を制御するためのプログラムである。
【0043】
入出力インタフェース460は、入出力機器との入出力データをインタフェースする。入出力インタフェース460には、表示部461、操作部462、が接続される。また、入出力インタフェース460には、さらに、記憶媒体464が接続されてもよい。さらに、音声出力部であるスピーカ463や、音声入力部であるマイク(図示せず)、あるいは、GPS位置判定部が接続されてもよい。なお、図4に示したRAM440やストレージ450には、出来形管理装置100が有する汎用の機能や他の実現可能な機能に関するプログラムやデータは図示されていない。
【0044】
次に図5に示したフローチャートを参照して、出来形管理装置100の処理手順について説明する。このフローチャートは、図4のCPU410がRAM440を使用して実行し、図2の出来形管理装置100の各機能構成を実現する。
【0045】
ステップS501において、設計データ取得部201は、掘削中の掘削対象領域102の設計データを取得する。ステップS503において、点群データ取得部202は、掘削対象領域102にレーザ光を走査させて掘削対象領域102の3次元形状を計測した点群データを取得する。ステップS505において、グリッド生成部203は、掘削対象領域102を所定メッシュサイズで区切り、掘削対象領域102と対応付けした複数のグリッド105を生成する。
【0046】
ステップS507において、差分量算出部204は、複数のグリッド105のうち所定グリッド105aに属する設計データ107と、所定グリッド105aの点群データ106と、の差分量を算出する。ステップS509において、掘削状態判定部205は、算出された差分量に基づいて、所定グリッド105aに対応付けられた掘削対象領域102の掘削状態を判定する。
【0047】
ステップS511において、出来形管理装置100は、全てのグリッド105について、掘削状態の判定が終了したか否かを判定する。掘削状態の判定が終了していない場合(ステップS511のNO)、出来形管理装置100は、ステップS507へ戻る。掘削状態の判定が終了している場合(ステップS511のYES)、出来形管理装置100は、ステップS513へ進む。ステップS513において、表示制御部206は、ステップS509における判定結果に基づいて、複数のグリッド105のそれぞれを識別可能に表示させる。
【0048】
本実施形態によれば、掘削対象領域の掘削状態を正確に判定できるので、出来形を確実に管理することができる。また、判定された掘削状態をグリッドごとに識別可能に表示させるので、バックホーのオペレータが、バックホーから降りたり、他の作業員が掘削対象領域に出入りしたりする必要がないので、安全、確実に出来形を管理できる。
【0049】
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る出来形管理装置600について、図6A図9を用いて説明する。図6Aは、本実施形態に係る出来形管理装置600の構成を説明するためのブロック図である。本実施形態に係る出来形管理装置600は、上記第1実施形態と比べると、設計データ補間部601を有する点で異なる。その他の構成および動作は第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0050】
出来形管理装置600は、設計データ補間部601をさらに備える。設計データ補間部601は、複数のグリッド105のそれぞれに対応する設計データ107が存在するか否かを判定し、対応する設計データ107が存在しないグリッド105に対して、隣接する複数のグリッド105の設計データ107から内挿して、対応する設計データ107が存在しないグリッド105の設計データ107を補間する。
【0051】
ここで、設計データ取得部201が、掘削対象領域102の設計データ107を取得するが、生成されるグリッド105のそれぞれとの関係において、一部のグリッド105に対応する設計データ107が存在しないことがある。
【0052】
例えば、掘削対象領域102の形状によっては、生成されるグリッド105の形状が、矩形とならない場合もあり、このような場合、当該グリッド105について、設計データ107が存在しないことがある。また、設計データ107は、グリッド105が生成される前に生成されるため、例えば、グリッド105に合わせて等間隔で生成されず、グリッド105の並びとは無関係にランダムに生成される場合もある。このような場合、当該グリッド105について、掘削状態を判定しようとしても、判定の基準となる設計データ107が存在しないので、掘削状態を判定できない。
【0053】
したがって、設計データが存在しない一部のグリッドについては、掘削状態が判定できない事態を回避するため、隣接するグリッドであって、設計データ107が存在するグリッドの設計データを用いて補間する。
【0054】
図6Bに示したように、トンネルの軸方向624に6個のグリッド、幅方向625に9個のグリッドが並んでいる掘削対象領域620を例に設計データの補間について説明する。グリッド622は、設計データ621が存在し、グリッド623は、設計データ621が存在していない。
【0055】
初めに、設計データ621aが存在しているグリッド622aおよび設計データ621bが存在しているグリッド622bの間に存在する設計データ621が存在しないグリッド623aの設計データの補間について説明する。すなわち、グリッド621aからグリッド621bへ向けて、幅方向625へ、設計データを補間する場合について説明する。なお、掘削面の高さは、グリッド622aからグリッド622eへ向かって高くなるように設計されている。
【0056】
まず、グリッド622aの設計データ621aとグリッド622bの設計データ621bとを直線で結び、内挿することで、グリッド623bの中心付近の位置の高さをグリッド623aの高さとして線形補間して、グリッド623aの設計データとする。グリッド623b,623c,623dについても、設計データ621b,621c,621d,621eを用いて、設計データを補間できる。このようにして、グリッド622aから幅方向625へ進む位置にある、設計データのないグリッド623a,623b,623c,623dの設計データを補間できる。同様の方法で、グリッド622fから幅方向625に並ぶ設計データの存在しないグリッドについても、設計データを補間できる。このようにして、掘削対象領域620の幅方向625への設計データの補間を行うことができる。
【0057】
次に、掘削対象領域620の軸方向624への設計データの補間について説明する。例えば、グリッド621aからグリッド621fへ向けて、軸方向624へ、設計データを補間する場合は、上述したように、設計データ621aと設計データ621fとを直線で結んで、内挿することで、これら2つのグリッドの間に存在するグリッド623の設計データを線形補間できる。このような手順を、グリッド623a,623b,623c,623dから軸方向624へ並ぶグリッドについても行うことで、これらのグリッドの設計データを補間することができる。以上のようにして、掘削対象領域620において、設計データの存在しないグリッドの設計データを補間することができる。
【0058】
なお、ここでは、設計データの存在しないグリッドの両側に設計データの存在するグリッドがある場合について、内挿により設計データを補間する例を説明した。しかしながら、例えば、設計データの存在しないグリッドの片側だけに設計データの存在するグリッドがある場合であっても、片側のグリッドの設計データから外挿することで設計データを補間することができる。
【0059】
以上説明したように、設計データが存在しないグリッドの設計データの補間は、幅方向625に並ぶ設計データが存在するグリッドの設計データを用いて、内挿または外挿することにより行うことができる。同様に、設計データが存在しないグリッドの設計データの補間は、軸方向624に並ぶ設計データが存在するグリッドの設計データを用いて、内挿または外挿することにより行うことができる。また、設計データが存在しないグリッドの軸方向624および幅方向625に並ぶ、設計データの存在するグリッドが存在しない場合であっても、近傍の設計データの存在するグリッドから線形補間すればよい。
【0060】
そして、差分量算出部204において、補間された設計データを用いて、設計データの存在しないグリッド623等の差分量を算出し、掘削状態判定部205により、グリッド623等の掘削状態を判定することが可能となる。
【0061】
図7を参照して、出来形管理装置600が有するデータテーブル701の一例について説明する。データテーブル701は、グリッドID(Identifier)311に関連付けてグリッドサイズ711を記憶する。グリッドサイズ711は、複数のグリッド105のそれぞれの縦横の長さ(メッシュサイズ)を示している。グリッドサイズ711は、複数のグリッド105の一部においては、当該グリッドの配置位置により、他のグリッド105のサイズとは異なるサイズのものが存在している。そして、設計データ補間部601は、データテーブル701に基づいて、設計データ107を補間する。
【0062】
図8を参照して、出来形管理装置600のハードウェア構成について説明する。RAM840は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM840には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。メッシュ間隔データ841は、複数のグリッド105の縦横の長さに関するデータである。
【0063】
ストレージ850には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ850は、データテーブル701を格納する。データテーブル701は、図7に示した、グリッドID311とグリッドサイズ711との関係を管理するテーブルである。
【0064】
ストレージ850は、さらに、設計データ補間モジュール851を格納する。設計データ補間モジュール851は、複数のグリッド105に対応する設計データ107が存在するか否かを判定し、対応する設計データ107が存在しないグリッド105に対して、隣接する複数のグリッド105の設計データ107から内挿して、対応する設計データ107が存在しないグリッド105の設計データ107を補間するモジュールである。このモジュール851は、CPU410によりRAM840のアプリケーション実行領域446に読み出され、実行される。
【0065】
次に図9に示したフローチャートを参照して、出来形管理装置600の処理手順について説明する。このフローチャートは、図8のCPU410がRAM840を使用して実行し、図6の出来形管理装置600の各機能構成を実現する。
【0066】
ステップS901において、設計データ補間部601は、複数のグリッド105のそれぞれに対応する設計データ107が存在するか否かを判定する。設計データ107が存在しないグリッドが存在しない場合(ステップS701のNO)、出来形管理装置600は、ステップS507へ進む。設計データ107が存在しないグリッド105が存在する場合、出来形管理装置600は、ステップS903へ進む。ステップS903において、設計データ補間部601は、対応する設計データ107が存在しないグリッド105に対して、隣接する複数のグリッド105の設計データ107から内挿して、対応する設計データ107が存在しないグリッド105の設計データ107を補間する。
【0067】
本実施形態によれば、設計データを補間するので、掘削対象領域に設計データがランダムに存在する場合であっても、生成された全てのグリッド105について、掘削状態を判定することができる。
【0068】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態に係る出来形管理装置1000について、図10A図13を用いて説明する。図10Aは、本実施形態に係る出来形管理装置1000の構成を説明するためのブッロク図である。また、図10Bは、本実施形態に係る出来形管理装置1000による差分量の算出について説明するための図である。本実施形態に係る出来形管理装置1000は、上記第1実施形態と比べると、点群データ抽出部1001および平均値算出部1002を有する点で異なる。その他の構成および動作は第1実施形態と同様であるため、同じ構成および動作については同じ符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0069】
出来形管理装置1000は、点群データ抽出部1001および平均値算出部1002をさらに備える。点群データ抽出部1001は、所定グリッド105aに属する設計データ107のうち、少なくとも1つの設計データ107を選択設計データ107aとして選択し、選択された選択設計データ107aを中心とする所定半径の同心円108の内側の領域に存在する点群データ106を抽出点群データ106aとして抽出する。例えば、点群データ抽出部1001は、半径の5cmの同心円108の内側の領域に存在する点群データ106を抽出する。
【0070】
点群データ106は、掘削対象領域102の全体にレーザ光を満遍なく走査させて得られるデータであり、データ点数としては相当数のデータが得られる。このような場合、1つのグリッド105に存在する全ての点群データ106を拾うと、拾い上げるデータの点数が多くなり過ぎ、後述する平均値の算出において、精度が下がる。
【0071】
そのため、点群データ抽出部1001は、1つのグリッド105に存在する点群データ106のうちいくつかのデータに絞って、点群データ106を抽出する。例えば、点群データ抽出部801は、同心円108の内側の領域に存在する点群データ106のうち、中心から近い順に50点の点群データ106を抽出点群データ106aとして抽出する。
【0072】
そして、平均値算出部1002は、抽出点群データ106aについて、高さ方向のデータである高さデータの平均として高さデータ平均値を算出する。これにより、精度高く平均値を算出することができる。
【0073】
また、平均値算出部1002は、高さデータ平均値を算出する際、同心円の中心に近い点群データ106に対して、重み付けを大きく、中心から離れるにしたがって、重み付けを小さくして、高さデータ平均値を算出してもよい。これにより、より精度高く平均値を算出することができる。
【0074】
そして、差分量算出部204は、高さデータ平均値と、所定グリッド105aの設計データ107のうち高さ方向のデータである設計高さデータと、の差分量を算出する。掘削状態判定部205は、算出された差分量に基づいて、複数のグリッド105に対応付けられた掘削対象領域102の掘削状態を判定する。
【0075】
図11を参照して、出来形管理装置1000が有するデータテーブル1101の一例について説明する。データテーブル1101は、グリッドID(Identifier)311に関連付けて距離1111を記憶する。距離1111は、所定半径の同心円108の内側の領域に存在する点群データ106の同心円108の中心からの距離である。そして、点群データ抽出部1001は、距離1111に基づいて、点群データ106を抽出する。
【0076】
図12を参照して、出来形管理装置1000のハードウェア構成について説明する。RAM1240は、CPU410が一時記憶のワークエリアとして使用するランダムアクセスメモリである。RAM1240には、本実施形態の実現に必要なデータを記憶する記憶領域が確保されている。距離データ1241は、所定半径の同心円108の内側の領域に存在する点群データ106の同心円108の中心からの距離を表す。
【0077】
ストレージ1250には、データベースや各種パラメータ、あるいは本実施形態の実現に必要な以下のデータまたはプログラムが記憶されている。ストレージ1250は、データテーブル1101を格納する。データテーブル1101は、図11に示した、グリッドID311と距離1111との関係を管理するテーブルである。
【0078】
ストレージ1250は、さらに、点群データ抽出モジュール1251および平均値算出モジュール1252を格納する。点群データ抽出モジュール1251は、選択設計データ107aを中心とする所定半径の同心円108の内側の領域に存在する点群データ106を抽出点群データ106aとして抽出するモジュールである。平均値算出モジュール1252は、抽出点群データ106aについて、高さ方向のデータである高さデータの平均として高さデータ平均値を算出するモジュールである。これらのモジュール1251~1252は、CPU410によりRAM1240のアプリケーション実行領域446に読み出され、実行される。
【0079】
次に図13に示したフローチャートを参照して、出来形管理装置1000の処理手順について説明する。このフローチャートは、図12のCPU410がRAM1240を使用して実行し、図10の出来形管理装置1000の各機能構成を実現する。
【0080】
ステップS1301において、点群データ抽出部1001は、選択設計データ107aを中心とする所定半径の同心円108の内側の領域に存在する点群データ106を抽出点群データ106aとして抽出する。ステップS1303において、平均値算出部1002は、抽出点群データ106aについて、高さ方向のデータである高さデータの平均として高さデータ平均値を算出する。
【0081】
本実施形態によれば、設計データを中心として所定の範囲内にある点群データを用いて、掘削状態を判定するので、より正確な出来形の管理を行うことができる。
【0082】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず適宜変更可能である。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。また、それぞれの実施形態に含まれる別々の特徴を如何様に組み合わせたシステムまたは装置も、本発明の範疇に含まれる。
【0083】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用されてもよいし、単体の装置に適用されてもよい。さらに、本発明は、実施形態の機能を実現する情報処理プログラムが、システムあるいは装置に供給され、内蔵されたプロセッサによって実行される場合にも適用可能である。したがって、本発明の機能をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラム、あるいはそのプログラムを格納した媒体、そのプログラムをダウンロードさせるWWW(World Wide Web)サーバも、プログラムを実行するプロセッサも本発明の技術的範囲に含まれる。特に、少なくとも、上述した実施形態に含まれる処理ステップをコンピュータに実行させるプログラムを格納した非一時的コンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)は本発明の技術的範囲に含まれる。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13