(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139398
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】圧縮成形に用いられる封止樹脂並びにその形成方法及び形成装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/56 20060101AFI20241002BHJP
【FI】
H01L21/56 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050312
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】涌井 正明
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 高志
(72)【発明者】
【氏名】川口 誠
(72)【発明者】
【氏名】野村 祐大
【テーマコード(参考)】
5F061
【Fターム(参考)】
5F061AA01
5F061CA22
5F061CB03
5F061DA01
5F061FA05
(57)【要約】
【課題】成形不良の発生を防止することが可能な圧縮成形装置及び圧縮成形方法を実現することができる封止樹脂並びにその形成方法及び形成装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る封止樹脂の形成方法は、基材Waに電子部品Wbが搭載された構成を有するワークWの圧縮成形に用いられる封止樹脂Rを形成する形成方法であって、貫通孔Rhを有する枠状もしくは格子状の封止樹脂Rを形成する形成工程を備え、前記形成工程は、前記貫通孔Rhに前記ワークWの前記電子部品Wbが収容されて該電子部品Wbの上面Wbfが露出するように該貫通孔Rhの位置及び形状を設定して形成する工程を有する。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に電子部品が搭載された構成を有するワークの圧縮成形に用いられる封止樹脂を形成する封止樹脂の形成方法であって、
貫通孔を有する枠状もしくは格子状の前記封止樹脂を形成する形成工程を備え、
前記形成工程は、前記貫通孔に前記ワークの前記電子部品が収容されて該電子部品上面が露出するように該貫通孔の位置及び形状を設定して形成する工程を有すること
を特徴とする封止樹脂の形成方法。
【請求項2】
前記形成工程は、ベース樹脂を打錠して前記封止樹脂を形成する工程を有すること
を特徴とする請求項1記載の封止樹脂の形成方法。
【請求項3】
前記ベース樹脂として、パウダー樹脂が用いられること
を特徴とする請求項2記載の封止樹脂の形成方法。
【請求項4】
ベース樹脂を打錠して、ワークの圧縮成形に用いられる封止樹脂を形成する形成装置であって、
前記ベース樹脂を収容し、前記ワークの形状に対応させた貫通孔を有する枠状もしくは格子状の前記封止樹脂となるように打錠する打錠金型を備えること
を特徴とする封止樹脂の形成装置。
【請求項5】
ワークの圧縮成形に用いられる封止樹脂であって、
貫通孔を有する枠状もしくは格子状に形成されていること
を特徴とする封止樹脂。
【請求項6】
基材に電子部品が搭載された構成を有するワークの圧縮成形に用いられる封止樹脂であって、
前記基材上に載置されたときに前記電子部品が収容されて該電子部品の上面を露出させる貫通孔を有する形状に形成されていること
を特徴とする封止樹脂。
【請求項7】
前記貫通孔を有する枠状もしくは格子状の形状に形成されていること
を特徴とする請求項6記載の封止樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮成形に用いられる封止樹脂並びにその形成方法及び形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基材に電子部品が搭載されたワークを封止樹脂により封止して成形品に加工する樹脂封止装置及び樹脂封止方法の例として、圧縮成形方式によるものが知られている。
【0003】
圧縮成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる封止領域(キャビティ)に所定量の封止樹脂を供給すると共に当該封止領域にワークを配置して、上型と下型とでクランプする操作によって樹脂封止する技術である。一例として、上型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、ワーク上の中心位置に一括して封止樹脂を供給して成形する技術等が知られている。一方、下型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、当該キャビティを含む金型面を覆うリリースフィルム(以下、単に「フィルム」と称する場合がある)及び封止樹脂を供給して成形する技術等が知られている(特許文献1:特開2019-145550号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、ワークとして、ストリップタイプのワイヤー接続された電子部品(半導体チップ)を樹脂封止する場合に、上型にキャビティが設けられる圧縮成形方式では、下型に保持されるワークのワイヤー部分が予めキャビティに供給した封止樹脂又はワーク上に供給した封止樹脂と接触して変形してしまうため、樹脂封止が困難であるという課題があった。そのため、一般的には、上型にワークが保持され、下型にキャビティが設けられ、当該キャビティ内に封止樹脂(一例として、顆粒樹脂)が供給される圧縮成形方式が採用されていた。
【0006】
しかしながら、上型にワークが保持され、下型にキャビティが設けられる構成においては、ワークが薄い場合や大型の場合に、上型での保持が難しく落下が生じ易いという課題があった。また、通常、フィルムを介在させて下型のキャビティ内に封止樹脂が供給される構成となるが、厚み(ここでは、成形後の樹脂部分の厚み)が1mmを超える程度に厚い成形品を形成しようとすると、成形ストロークが大きくなり、フィルムが成形品に噛み込んでしまう成形不良が生じ易いという課題があった。さらに、封止樹脂として顆粒樹脂が用いられる場合、前記のフィルム噛み込みが発生し易くなり、また、粉塵が発生するという課題や、ハンドリングが難しいという課題に加えて、下型に設けられるキャビティ内の全領域に対して均等に封止樹脂を供給(散布)することが難しく巻きムラが生じ易いという課題があった。また、封止樹脂の散布時に粒同士の隙間に含まれる空気及び溶融時に封止樹脂より脱泡することによる気体成分が抜けずに成形品に残ってしまう成形不良が生じ易いという課題があった。特に、電子部品がワイヤー接続により搭載されたワークの場合、樹脂封止時のキャビティ内における樹脂流動に起因するワイヤー流れ(ワイヤーの変形、切断)が生じるおそれもあった。
【0007】
一方、キャビティの配置に関わらず、ヒートシンク等の電子部品が露出した成形品を形成する場合には、当該電子部品の所定部位、具体例としてヒートシンクの上面(すなわち冷却面)が設計通りに露出しない等の成形不良の発生を防止することが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、ハンドリングが容易であると共に、特にワークに搭載された電子部品の上面が露出する成形品の形成に好適な封止樹脂であって、樹脂流動、巻きムラ、残留気体、成形時の粉塵発生に起因する成形不良の発生防止と、厚さ寸法が大きい成形品の形成と、を可能とする圧縮成形装置及び圧縮成形方法を実現することができる封止樹脂並びにその形成方法及び形成装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
一実施形態に係る封止樹脂は、ワークの圧縮成形に用いられる封止樹脂であって、貫通孔を有する枠状もしくは格子状に形成されていることを要件とする。例えば、前記ワークとして、基材に電子部品が搭載された構成を有するワークが用いられる。その場合、前記基材上に載置されたときに前記電子部品が収容されて該電子部品の上面を露出させる貫通孔を有する形状に形成されていることが好ましい。
【0011】
また、一実施形態に係る封止樹脂の形成方法は、基材に電子部品が搭載された構成を有するワークの圧縮成形に用いられる封止樹脂を形成する封止樹脂の形成方法であって、貫通孔を有する枠状もしくは格子状の前記封止樹脂を形成する形成工程を備え、前記形成工程は、前記貫通孔に前記ワークの前記電子部品が収容されて該電子部品上面が露出するように該貫通孔の位置及び形状を設定して形成する工程を有することを要件とする。
【0012】
また、前記形成工程は、ベース樹脂を打錠して前記封止樹脂を形成する工程を有することが好ましい。また、前記ベース樹脂として、パウダー樹脂が用いられることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る封止樹脂を用いれば、樹脂流動、巻きムラ、残留気体、成形時の粉塵発生に起因する成形不良の発生防止と、特にワークに搭載された電子部品の上面が露出しない成形不良の発生防止と、厚さ寸法が大きい成形品の形成と、を可能とする圧縮成形装置及び圧縮成形方法を実現することができる。また、顆粒樹脂等と比べて特に供給時やセット時におけるハンドリングが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る封止樹脂が用いられる圧縮成形装置の例を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る封止樹脂が用いられる圧縮成形方法の例を説明する説明図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る封止樹脂が用いられる圧縮成形方法の他の例を説明する説明図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る封止樹脂の形成装置の例を示す側面図である。
【
図11】
図10に示す形成装置の打錠金型の例を示す側面断面図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る封止樹脂の形成方法の説明図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る封止樹脂の例を示す斜視図である。
【
図16】本発明の実施形態に係る封止樹脂により樹脂封止されるワークの例を示す斜視図である。
【
図17】本発明の実施形態に係る封止樹脂により樹脂封止された成形品の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(圧縮成形装置及び圧縮成形方法)
本発明の実施形態に係る封止樹脂Rは、ワークWの圧縮成形に用いられる封止樹脂Rである。初めに、当該封止樹脂Rを用いてワークWの樹脂封止(圧縮成形)を行う圧縮成形装置1及び圧縮成形方法の概略について説明する。ここで、
図1は、圧縮成形装置1の例を示す平面図(概略図)である。
【0016】
封止対象であるワークWは、基材Waに電子部品Wbが搭載された構成を備えている。より具体的には、基材Waの例として、樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状の部材が挙げられる。また、電子部品Wbの例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。尚、基材Waの形状は、長方形状(短冊状)、正方形状、円形状等である。また、一つの基材Waに搭載される電子部品Wbの個数は、一つもしくは複数個(例えば、マトリクス状等)に設定される。
【0017】
基材Waに電子部品Wbを搭載する方法の例として、ワイヤーボンディング実装、フリップチップ実装等による方法が挙げられる。あるいは、樹脂封止後に成形品Wpから基材(ガラス製や金属製のキャリアプレート)Waを剥離する構成の場合には、熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品Wbを貼付ける方法もある。
【0018】
また、フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。尚、フィルムFは、後述の形成装置100において封止樹脂Rを形成する際にも用いられる。
【0019】
図1に示すように、圧縮成形装置1は、ワークWの供給等を行う供給ユニット10A、ワークWを樹脂封止して成形品Wpへの加工等を行うプレスユニット10B、成形品Wpの収納等を行う収納ユニット10Cを主要構成として備えている。一例として、
図1中のX方向に沿って、供給ユニット10A、プレスユニット10B、収納ユニット10Cの順に配置されている。但し、上記の構成に限定されるものではなく、ユニット内の機器構成やユニット数(特に、プレスユニット数)、ユニットの配置順等を変更することができる。また、上記以外のユニットを備える構成とすることもできる(いずれも不図示)。
【0020】
また、圧縮成形装置1は、各ユニット間を跨いでガイドレール20が直線状に設けられており、ワークW及び封止樹脂Rを搬送する搬送装置(第1ローダ)22、並びに、成形品Wpを搬送する(封止樹脂Rの搬送に用いてもよい)搬送装置(第2ローダ)24が、ガイドレール20に沿って所定のユニット間を移動可能に設けられている。但し、上記の構成に限定されるものではなく、ワークW、封止樹脂R、及び成形品Wpを搬送する共通の(一つの)搬送装置(ローダ)を備える構成としてもよい(不図示)。また、搬送装置は、ローダに代えて、ロボットハンド等を備える構成としてもよい。
【0021】
また、圧縮成形装置1は、各ユニットにおける各機構の作動制御を行う制御部30が供給ユニット10Aに配置されている(他のユニットに配置される構成としてもよい)。
【0022】
プレスユニット10Bは、プレス装置250によって型開閉される一対の封止金型を備えている。封止金型は、一例として、上型にキャビティが設けられる構成(封止金型202)としてもよく、他の例として、下型にキャビティが設けられる構成(封止金型302)としてもよい。また、プレス装置250には、上型204におけるキャビティ208の内面を含む金型面204a(所定領域)を覆うためのフィルムFを供給するフィルム供給部211が設けられている。尚、一例として、フィルムFは、ロール状であるが短冊状であってもよい。
【0023】
一例として、封止金型202を備える場合の圧縮成形装置1を用いて実施される圧縮成形方法の工程について
図2~
図6を参照して説明する。本実施形態においては、ヒートシンク等の電子部品Wbの所定部位(具体的には、ヒートシンクの上面(基材Wa側と逆側の面を指す)すなわち冷却面)Wbfが露出した成形品Wpを形成する場合を例に挙げて説明する。尚、説明の簡素化のため、基材Wa上の電子部品Wbは一部品としているが、複数の積層部品からなる場合もある。
【0024】
先ず、準備工程(封止準備工程)を実施する。具体的に、上型204及び下型206を所定温度(例えば、100℃~300℃)に調整して加熱する工程を実施する。また、フィルム供給部211を作動させて新しいフィルムFを供給して、上型204におけるキャビティ208の内面を含む金型面204aの所定領域を覆うように吸着させる工程を実施する。
【0025】
準備工程の後に、下型206のワーク保持部205にワークWを保持させるワーク保持工程を実施する。具体的には、供給マガジン12から供給されたワークWを、第1ローダ22によって保持して封止金型202内へ搬入し、下プレート242(金型面206a)のワーク保持部205に保持させる(
図2参照)。
【0026】
ワーク保持工程の後に、封止樹脂Rを、ワーク保持部205に保持させたワークWの上に載置する樹脂載置工程を実施する(
図3参照)。具体的には、後述する封止樹脂の形成装置(単に、「形成装置」と称する場合がある)100において形成された封止樹脂Rを、第1ローダ22(他の搬送装置でもよい)によって保持して封止金型202内へ搬入し、ワーク保持部205に保持されたワークWの上に載置する。電子部品Wbの上面Wbfが露出した成形品Wpを形成する場合、当該電子部品Wbが封止樹脂Rの貫通孔Rh(詳細は後述する)に収容されるように、ワークW及び封止樹脂Rを相互に位置合わせをして載置する。
【0027】
または、樹脂載置工程の他の例として、上記のワーク保持工程の前に、形成装置100において形成された封止樹脂RをワークWの上に載置する工程として実施してもよい。その場合、ワーク保持工程は、封止樹脂Rが載置された状態のワークWをワーク保持部205に保持させる工程となる。すなわち、第1ローダ22は、封止樹脂Rが載置された状態のワークWを保持して封止金型202内へ搬入し、ワーク保持部205に保持させる。封止金型202へのワークWと封止樹脂Rをそれぞれ別に行うのではなく、一回で行う利点がある。
【0028】
次いで、ワークWを封止樹脂Rにより封止して成形品Wpに加工する樹脂封止工程を実施する。具体的に、封止金型202の型閉じを行い、クランパ228に囲われたキャビティ208内でキャビティ駒226を相対的に下降させて、ワークWに対して封止樹脂Rを加熱加圧する型閉じ工程を実施する。
【0029】
電子部品Wbの上面Wbfが露出した成形品Wpを形成する場合、封止金型202(この場合、上型204)は、以下の構成を備えることが好適である。具体的に、キャビティ駒226において、電子部品Wbの上面Wbfの全面と当接し、且つ、上下動可能な可動駒236が設けられている。当該可動駒236は押動ピン232を介して可動駒バネ234によって下型206に向けて付勢された状態で支持されている。一例として、可動駒236は、平面視において、電子部品Wbの外形よりも所定寸法大きい外形となるように設定されている。
【0030】
この構成を備える封止金型202を用いて実施する型閉じ工程は以下のようになる。具体的に、上型204と下型206とを相互に接近させる動作を行う。このとき、初めにクランパ228がワークWの基材Waと当接して、当該ワークWを挟持する(
図4A参照)。次いで(もしくは同時に)、可動駒236がワークWの電子部品Wbの上面Wbfと当接して、当該上面Wbfの全面が覆われた状態となる(
図4B参照)。次いで、キャビティ駒226の下面(可動駒236が設けられていない領域)がワークWの基材Wa上に載置された封止樹脂Rと当接し、さらに加圧する。このような型閉じ工程によって、封止樹脂Rが熱硬化して樹脂封止(圧縮成形)が完了する(
図5参照)。
【0031】
上記の型閉じ工程に続く後の工程として、封止金型202の型開きを行い、成形品Wpと使用済みのフィルムFとを分離して当該成形品Wpを取出せるようにする型開き工程を実施する(
図6参照)。本実施形態においては、上記の通り可動駒236がワークWの電子部品Wbの上面Wbf(全面)を覆った状態で樹脂封止が行われるため、当該上面Wbf(全面)が露出した状態の成形品Wpが形成される。尚、変形例として、電子部品Wbの上面Wbfの全面ではなく、一部領域を露出部位として設定することも可能である(不図示)。
【0032】
次いで、第2ローダ24によって、成形品Wpを封止金型202内から搬出し、収納ユニット10Cへ搬送する成形品搬出工程を実施する。一例として、搬送した成形品Wpは、収納マガジン14に収納する。また、成形品搬出工程の後に、もしくは、並行して、フィルム供給部211を作動させて、使用済みのフィルムFを封止金型202内から送り出し、新しいフィルムFを封止金型202内へ送り込んでセットする工程を実施する。
【0033】
以上が封止金型202を備える場合の圧縮成形装置1を用いて行う圧縮成形方法の主要工程である。但し、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。
【0034】
他の例として、封止金型302を備える場合の圧縮成形装置1を用いて実施される圧縮成形方法の工程について
図7~
図9を参照して説明する。この場合、プレス装置250には、下型306におけるキャビティ308の内面を含む金型面306a(所定領域)を覆うためのフィルムFを供給するフィルム供給部311が設けられている。尚、一例として、フィルムFは、ロール状であるが短冊状であってもよい。
【0035】
先ず、準備工程(封止準備工程)を実施する。具体的に、上型304及び下型306を所定温度(例えば、100℃~300℃)に調整して加熱する工程を実施する。また、フィルム供給部311を作動させて新しいフィルムFを供給して、下型306におけるキャビティ308の内面を含む金型面306aの所定領域を覆うように吸着させる工程を実施する。
【0036】
準備工程の後に、上型304のワーク保持部305にワークWを保持させるワーク保持工程を実施する。具体的には、供給マガジン12から供給されたワークWを、第1ローダ22によって保持して封止金型302内へ搬入し、上プレート342(金型面304a)のワーク保持部305に保持させる。
【0037】
ワーク保持工程の後に、樹脂保持工程を実施する(尚、ワーク保持工程の前に、もしくは並行して実施してもよい)。樹脂保持工程は以下の工程を有している。封止樹脂Rを、下型306のキャビティ308内に保持させる(
図7参照)。具体的には、形成装置100において形成された封止樹脂Rを、第1ローダ22(他の搬送装置でもよい)によって保持して封止金型302内へ搬入し、キャビティ308内に収容する(具体的には、キャビティ駒326の上面に載置する)。電子部品Wbの上面Wbfが露出した成形品Wpを形成する場合、当該電子部品Wbが封止樹脂Rの貫通孔Rh(詳細は後述する)に収容されるように、ワークW及び封止樹脂Rを相互に位置合わせをしてそれぞれ保持させる。
【0038】
次いで、ワークWを封止樹脂Rにより封止して成形品Wpに加工する樹脂封止工程を実施する。具体的に、封止金型302の型閉じを行い、クランパ328に囲われたキャビティ308内でキャビティ駒326を相対的に上昇させて、ワークWに対して封止樹脂Rを加熱加圧する型閉じ工程を実施する。これにより、封止樹脂Rが熱硬化して樹脂封止(圧縮成形)が完了する(
図8参照)。
【0039】
尚、この例(封止金型302を備える場合)においては、下型306のキャビティ駒326において、前述の例(封止金型202を備える場合)と同様に構成される可動駒336、押動ピン332、可動駒バネ334を設ければよい。これにより、可動駒236と当接するワークW(電子部品Wb)の上面Wbfを露出面として形成できる。
【0040】
上記の型閉じ工程に続く後の工程として、封止金型302の型開きを行い、成形品Wpと使用済みのフィルムFとを分離して当該成形品Wpを取出せるようにする型開き工程を実施する(
図9参照)。次いで、第2ローダ24によって、成形品Wpを封止金型302内から搬出し、収納ユニット10Cへ搬送する成形品搬出工程を実施する。一例として、搬送した成形品Wpは、収納マガジン14に収納する。また、成形品搬出工程の後に、もしくは、並行して、フィルム供給部311を作動させて、使用済みのフィルムFを封止金型302内から送り出し、新しいフィルムFを封止金型302内へ送り込んでセットする工程を実施する。
【0041】
以上が封止金型302を備える場合の圧縮成形装置1を用いて行う圧縮成形方法の主要工程である。但し、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。
【0042】
(封止樹脂の形成装置)
続いて、上記の圧縮成形装置1及び圧縮成形方法に用いられる封止樹脂Rを形成する形成装置100について
図10、
図11を参照して説明する。当該形成装置100は、ベース樹脂Rmを加工して、封止樹脂Rを形成する。ここで、
図10は、形成装置100の例を示す側面図(概略図)である。尚、形成装置100は、圧縮成形装置1の装置内、装置外のいずれに設けてもよい。
【0043】
本実施形態においては、ベース樹脂Rm、及び、当該ベース樹脂Rmから形成される封止樹脂Rとして、熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等であるが、これに限定されない)が用いられる。封止樹脂Rは、全体の形状がワークWの形状に対応させた所定形状(詳細は後述)を有する固形・半固形樹脂として形成される。通常は、一個で封止必要量(ワークW一個当たりの一回分)の「全体」をなすが、数個(例えば二、三個程度)の分割状態で封止必要量の「全体」をなすように構成してもよい。また、上記「半固形」とは完全な固形状態ではなくいわゆるBステージまで溶融した状態をいう。尚、ベース樹脂Rmには、熱硬化性樹脂(性質)であるパウダー樹脂(態様)が好適に用いられる(詳細は後述)。但し、これに限定されるものではなく、顆粒樹脂、破砕状樹脂、固形樹脂、液状樹脂、もしくは、それらの内の複数を組合せた樹脂、が用いられる構成としてもよい。
【0044】
図10に示すように、形成装置100は、型開閉される一対の金型(例えば、合金工具鋼からなる複数の金型ブロック、金型プレート、金型ピラー等やその他の部材が組み付けられたもの)を有する打錠金型102を備えている。また、打錠金型102を開閉駆動するプレス装置150を備えている。また、各機構の作動制御等を行う制御演算部170を備えている。ここで、
図11は、打錠金型102の例を示す側面断面図(概略図)である。
【0045】
プレス装置150は、
図10に示すように、一対のプラテン154、156と、一対のプラテン154、156が架設される複数のタイバー152と、プラテン156を可動(昇降)させる駆動装置等を備えて構成されている。具体的に、当該駆動装置は、駆動源(例えば、電動モータ)160及び駆動伝達機構(例えば、ボールねじやトグルリンク機構)162等を備えて構成されている(但し、これに限定されるものではない)。本実施形態では、鉛直方向において上方側のプラテン154を固定プラテン(タイバー152に固定されるプラテン)とし、下方側のプラテン156を可動プラテン(タイバー152に摺動可能に保持されて昇降するプラテン)として設定している。但し、これに限定されるものではなく、上下逆に、すなわち上方側を可動プラテン、下方側を固定プラテンに設定してもよく、あるいは、上方側、下方側共に可動プラテンとして設定してもよい(いずれも不図示)。
【0046】
一方、打錠金型102は、
図11に示すように、プレス装置150における上記一対のプラテン154、156間に配設される一対の金型として、鉛直方向における上方側の上型104と、下方側の下型106とを備えている。上型104が上方側のプラテン(本実施形態では、固定プラテン154)に組み付けられ、下型106が下方側のプラテン(本実施形態では、可動プラテン156)に組み付けられている。この上型104と下型106とが相互に接近・離反することで型閉じ・型開きが行われる(鉛直方向(上下方向)が型開閉方向となる)。本実施形態に係る打錠金型102においては、上型104がいわゆる「杵型」を構成し、下型106がいわゆる「臼型」を構成する。
【0047】
次に、打錠金型102の下型106について詳しく説明する。
図11に示すように、下型106は、下型チェイス110と、これに保持されるキャビティ駒126、クランパ128等を備えている。下型チェイス110は、サポートピラー112を介してサポートプレート114の上面に対して固定されている。下型106の上面(上型104側の面)にキャビティ108が設けられている。このキャビティ108内に所定量のベース樹脂Rmが収容される。
【0048】
本実施形態に係る下型106は、キャビティ108内に収容される所定量のベース樹脂Rmを押圧して、ワークWの形状に対応させた所定形状を有する封止樹脂Rとなるように形成(打錠)するための以下の構成を備えている(形成方法の詳細については後述する)。具体的に、キャビティ駒126において(平面視におけるキャビティ駒126の領域内に)、後述の上型104の打錠プレート142と当接可能で、且つ、上下動可能な可動駒136が設けられている。当該可動駒136は押動ピン132を介して可動駒バネ134によって上型104に向けて付勢された状態で支持されている。一例として、可動駒136は、平面視において、電子部品Wbの外形よりも所定寸法大きい外形となるように設定されている。上記構成を有する下型106において、所定量のベース樹脂Rmは、可動駒136同士の間の凹状部138に収容される(尚、最初に可動駒136の上面を含むキャビティ108内全体に当該ベース樹脂Rmを散布し、その後、スキージ等により掃き落として、最終的に凹状部138に収容されるようにしてもよい)。
【0049】
また、クランパ128は、キャビティ駒126を囲うように環状に構成されると共に、押動ピン122及びクランパバネ124(例えば、コイルバネに例示される付勢部材)を介して、サポートプレート114の上面に対して離間(フローティング)して上下動可能に組み付けられる(但し、この組み付け構造に限定されるものではない)。このキャビティ駒126がキャビティ108の奥部(底部)を構成し、クランパ128がキャビティ108の側部を構成する。尚、一つの下型106に設けられるキャビティ108の形状や個数は、適宜設定される(一つもしくは複数個)。
【0050】
ここで、プレス装置150には、下型106におけるキャビティ108の内面を含む金型面106a(所定領域)を覆うためのフィルムFを供給する下型フィルム供給部111が設けられている。尚、一例として、フィルムFは、ロール状であるが短冊状であってもよい。
【0051】
また、下型106は、クランパ128上面やクランパ128とキャビティ駒126との境界部等に、吸引装置に連通する吸引路(孔や溝等)が設けられている(不図示)。これにより、下型フィルム供給部111から供給されたフィルムFを、キャビティ108の内面を含む金型面106aに吸着させて保持することができる。
【0052】
また、本実施形態においては、下型106を所定温度に加熱する下型加熱機構(不図示)が設けられている。この下型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御部30によって加熱の制御が行われる。一例として、ヒータは、下型チェイス110に内蔵され、下型106全体及びキャビティ108内に収容されるベース樹脂Rmに熱を加える構成となっている。このとき、ベース樹脂Rmが熱硬化(本硬化)しない程度の所定温度(例えば、50℃~80℃)となるように、下型106が加熱される。
【0053】
次に、打錠金型102の上型104について詳しく説明する。
図11に示すように、上型104は、下型106のキャビティ108内に収容される所定量のベース樹脂Rmを押圧して、ワークWの形状に対応させた所定形状を有する封止樹脂Rとなるように形成(打錠)する打錠プレート142を備えている(形成方法の詳細については後述する)。打錠プレート142は、上型チェイス140に保持(固定)される。本実施形態においては、打錠プレート142の下面(下型106側の面)に、前述の下型106の可動駒136と当接可能な凸状部144が設けられている。一例として、凸状部144は、平面視において、全ての可動駒136の上面と当接すると共に、全ての凹状部138を覆うことができる外形となるように設定され、打錠プレート142の下面に所定高さ(封止樹脂Rの形成厚さに応じて設定)で立設されている。
【0054】
ここで、プレス装置150には、上型104の金型面104a(所定領域)を覆うためのフィルムFを供給する上型フィルム供給部113が設けられている。尚、一例として、フィルムFは、ロール状であるが短冊状であってもよい。
【0055】
また、上型104は、打錠プレート142等に、吸引装置に連通する吸引路(孔や溝等)が設けられている(不図示)。これにより、上型フィルム供給部113から供給されたフィルムFを、金型面104aに吸着させて保持することができる。
【0056】
また、本実施形態においては、上型104を所定温度に加熱する上型加熱機構(不図示)が設けられている。この上型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御部30によって加熱の制御が行われる。一例として、ヒータは、上型チェイス140に内蔵され、上型104全体に熱を加える構成となっている。このとき、上記下型106に保持(収容)されるベース樹脂Rmが熱硬化(本硬化)しない程度の所定温度(例えば、50℃~80℃)となるように、上型104が加熱される。
【0057】
(封止樹脂の形成方法)
続いて、上記の形成装置100を用いて実施される本実施形態に係る封止樹脂の形成方法の工程について説明する。ここで、
図12~
図14は、各工程の説明図であって、
図11と同方向の側面断面図として図示する。
【0058】
先ず、準備工程(打錠準備工程)を実施する。準備工程は以下の工程を有している。下型加熱機構により下型106を所定温度(ベース樹脂Rm、封止樹脂Rが本硬化しない温度であり、例えば、50℃~80℃)に調整して加熱する下型加熱工程を実施する。また、上型加熱機構により上型104を所定温度(ベース樹脂Rm、封止樹脂Rが本硬化しない温度であり、例えば、50℃~80℃)に調整して加熱する上型加熱工程を実施する。また、下型フィルム供給部111を作動させて新しいフィルムFを供給して、下型106におけるキャビティ108の内面を含む金型面106aの所定領域を覆うように吸着させる下型フィルム供給工程を実施する。また、上型フィルム供給部113を作動させて新しいフィルムFを供給して、上型104の金型面104aの所定領域を覆うように吸着させる上型フィルム供給工程を実施する。
【0059】
準備工程の後に、「所定形状」(詳細は後述する)の封止樹脂Rを形成する形成工程を実施する。一例として、ベース樹脂Rmを打錠することにより、封止樹脂Rとして、全体の形状がワークWの形状に対応させた所定形状を有する固形・半固形樹脂を形成する打錠工程を備えている。尚、形成工程の他の例として、打錠によらない形成方法を採用してもよい。
【0060】
上記の打錠工程は、具体的に、図示しないディスペンサ等によって「所定量」(詳細は後述する)のベース樹脂Rmを下型106のキャビティ108内に収容する(
図12参照)。前述の通り、当該ベース樹脂Rmを、可動駒136の上面に載らないようにしながら可動駒136同士の間の凹状部138に収容する(尚、最初に可動駒136の上面を含むキャビティ108内全体に当該ベース樹脂Rmを散布し、その後、スキージ等により掃き落として、最終的に凹状部138に収容してもよい)。
【0061】
次いで、プレス装置150を作動させて、上記の所定温度に昇温された打錠金型102の型閉じを行う(
図13参照)。このとき、キャビティ108内でキャビティ駒126が相対的に上昇して、キャビティ駒126と打錠プレート142とでベース樹脂Rmを打錠(挟み込んで加圧)する。
【0062】
より詳しくは、初めにクランパ128と打錠プレート142(凸状部144よりも外方部)とが当接する。次いで(もしくは同時に)、可動駒136の上面と打錠プレート142の凸状部144の下面とが当接して、当該可動駒136の上面の全面が覆われた状態となる。次いで、キャビティ駒126の上面(凹状部138の領域)と打錠プレート142の凸状部144の下面(凹状部138と対向する領域)とでベース樹脂Rmを打錠(挟み込んで加圧)する。これにより、「所定形状」を有し、熱硬化(本硬化)していない状態の固形・半固形の封止樹脂Rが形成される。具体的に、上記「所定形状」は、略板状であって板面を貫通する貫通孔Rhを有する枠状もしくは格子状の形状である。本実施形態においては、上記の形成工程(この場合、打錠工程)によって、下型106の可動駒136の周囲(凹状部138)のベース樹脂Rmが封止樹脂Rの本体部Raとして形成され、可動駒136の位置が貫通孔Rhとして形成される。尚、可動駒136は、キャビティ駒126に設けているが、打錠プレート142に設けてもよい(不図示)。
【0063】
上記工程において形成される封止樹脂Rの構成(形状)例を
図15に示す。具体的には、板状の本体部Raに複数の貫通孔Rhが並設された格子状の封止樹脂Rの例である(但し、これに限定されるものではない)。尚、当該封止樹脂Rは、一個で封止必要量(ワークW一個当たりの一回分)の「全体」(この場合、格子状)をなすように構成してもよく、あるいは、複数個(例えば二、三個程度)の集合(連結)状態で封止必要量の「全体」(この場合、格子状)をなすように構成してもよい。
【0064】
上記の封止樹脂R(
図15参照)によれば、特に、基材Wa上に電子部品Wbとしてヒートシンク等が搭載されたワークW(
図16参照)の圧縮成形に好適に用いることができる。具体的に、上記の封止樹脂Rを用いることによって、樹脂封止後(圧縮成形後)の成形品Wp(
図17参照)において当該電子部品Wb(ヒートシンク等)の上面Wbfが露出される構成を確実に形成することができる。
【0065】
そのため、上記の形成工程においては、封止対象となるワークWの電子部品Wbが封止樹脂Rの貫通孔Rhに収容され、且つ、当該電子部品Wbの上面Wbfが露出するように、当該貫通孔Rhの位置及び形状を設定することが重要となる。
【0066】
尚、上記の打錠工程は、形成される封止樹脂Rが、後の樹脂封止工程(圧縮成形方法の工程である)において熱硬化(本硬化)することができるように、ベース樹脂Rmが熱硬化(本硬化)しない温度で実施すること(熱硬化(本硬化)しない温度に下型106及び上型104を加熱して実施すること)が重要である。前述の通り、「熱硬化しない温度」は、ベース樹脂Rmの材質にもよるが、具体例として、50℃~80℃程度である(本実施形態においては、70℃程度である)。
【0067】
次に、上記ベース樹脂Rmの「所定量」を設定する樹脂量設定工程について説明する。樹脂量設定工程の一例として、封止対象となるワークW毎に、一つの基材Waに搭載された電子部品Wbの有無の数(搭載数もしくは欠落数であり、さらには電子部品Wbの高さもしくは重量を計測する場合を含んでもよい)を計測機構等(不図示)により計測し、封止金型202、302のキャビティ208、308の体積より電子部品Wbの総体積を引くことにより、樹脂封止(圧縮成形)に必要な樹脂量(グラム数)を制御演算部170が算定して「所定量」を設定する。または、樹脂量設定工程の他の例として、封止対象となるワークWの種類に対応する複数種類の定型量が用意され、当該定型量のうちワークWの種類に応じて最適な一つを制御演算部170もしくはオペレータが選択して「所定量」を設定する。定型量の場合は、樹脂封止時(圧縮成形時)に樹脂量が不足しないことが重要である。いずれの設定によっても、ワークWの種類に応じて適正量のベース樹脂Rmを供給することができる。その結果、ワークW毎に適正量の封止樹脂Rを正確に形成することができる。したがって、樹脂封止時に必要な樹脂量が不足することに起因する成形不良の発生を防止することができる。また、必要よりも過多の樹脂量が供給されることによる無駄の発生を防止することができる。特に、ヒートシンクに例示される電子部品Wbが搭載された成形品Wpを形成する場合に、当該電子部品Wbの所定部位、(一例として、ヒートシンクの上面すなわち冷却面)Wbfが露出しない成形不良の発生を防止することができる。
【0068】
また、上記ベース樹脂Rmとして、パウダー樹脂が用いられることが好適である。これによれば、顆粒樹脂や破砕状樹脂が用いられる場合と比較して、「所定量」の樹脂を極めて正確に調整して供給することができる。但し、パウダー樹脂に限定されるものではない。
【0069】
打錠工程の後に、打錠金型102の型開きを行い、封止樹脂Rと使用済みのフィルムFとを分離して当該封止樹脂Rを取出せるようにする型開き工程を実施する(
図14参照)。本実施形態においては、前述の下型フィルム供給工程及び上型フィルム供給工程を備えることによって、下型106の金型面106a及び上型104の金型面104aの両方にフィルムFが配置されるため、打錠により形成された封止樹脂Rの離型が容易となり、金型への樹脂付着による欠損を防止することができる。
【0070】
型開き工程の後に、もしくは、並行して、下型フィルム供給部111、上型フィルム供給部113を作動させて、使用済みのフィルムFを打錠金型102内から送り出し、新しいフィルムFを打錠金型102内へ送り込んでセットするフィルム供給工程(下型フィルム供給工程、上型フィルム供給工程)を実施する。
【0071】
尚、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。
【0072】
以上、説明した通り、本発明に係る封止樹脂は、上型にキャビティを有する構成、もしくは下型にキャビティを有する構成のいずれの圧縮成形装置及び圧縮成形方法に対しても好適に適用することができる。
【0073】
また、本発明に係る封止樹脂を用いれば、以下の効果を奏する圧縮成形装置及び圧縮成形方法を実現することができる。具体的に、当該圧縮成形装置及び圧縮成形方法によって、樹脂流動、巻きムラ、残留気体、成形時の粉塵発生に起因する成形不良の発生を防止することができる。特に、電子部品としてヒートシンク等が搭載される場合に、成形品において当該電子部品の所定部位(一例として、ヒートシンクの上面すなわち冷却面)が露出しない成形不良の発生を防止することができる。また、薄い成形品(厚さ寸法が1mm未満)はもちろん、厚い成形品(厚さ寸法が1mm以上)を形成することができる。尚、厚さ寸法の上限は、各種設定条件によるものの、10mm程度まで十分形成可能であると考えられる。また、供給時やセット時におけるハンドリングが容易となる。
【0074】
尚、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。特に、電子部品としてヒートシンクを例に挙げたが、これに限定されるものではない。また、露出部位として、電子部品の上面全面が対象となる場合を例に挙げたが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0075】
1 圧縮成形装置
100 封止樹脂の形成装置
102 打錠金型
138 凹状部
144 凸状部
202、302 封止金型
236、336 可動駒
Rm ベース樹脂
R 封止樹脂
Ra 本体部
Rh 貫通孔
W ワーク
Wa 基材
Wb 電子部品