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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139406
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】圧縮成形装置及び圧縮成形方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/56 20060101AFI20241002BHJP
   B29C 43/18 20060101ALI20241002BHJP
   B29C 43/58 20060101ALI20241002BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20241002BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B29C43/56
B29C43/18
B29C43/58
H01L23/30 R
H01L21/56 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050323
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】涌井 正明
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 高志
(72)【発明者】
【氏名】川口 誠
(72)【発明者】
【氏名】野村 祐大
【テーマコード(参考)】
4F204
4M109
5F061
【Fターム(参考)】
4F204AA36
4F204AC04
4F204AD19
4F204AG03
4F204AH37
4F204AM32
4F204AR15
4F204FA01
4F204FA15
4F204FB01
4F204FB12
4F204FF01
4F204FF47
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
4F204FQ38
4M109AA01
4M109BA01
4M109BA03
4M109BA05
4M109CA03
4M109CA22
4M109EA02
4M109EB11
5F061AA01
5F061BA01
5F061BA03
5F061BA05
5F061CA03
5F061CA22
5F061DD11
5F061DE01
(57)【要約】
【課題】成形不良の発生を防止することが可能な圧縮成形装置及び圧縮成形方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る圧縮成形装置1は、上型204と下型206とを備える封止金型202を用いて、基材Waに電子部品Wbが搭載された構成を有するワークWを封止樹脂Rにより封止して成形品Wpに加工する圧縮成形装置であって、封止樹脂Rとして、板状もしくはブロック状の固形・半固形樹脂であって、第1分量を有する第1封止樹脂Raが用いられ、ワークW毎に一つの基材Waに搭載された電子部品Wbの有無の数を計測したデータに基づいて必要な樹脂の総量を算定し、総量と第1分量とを比較する制御演算部150を備え、制御演算部150は、総量に対して第1分量が不足している場合に、封止樹脂Rとして、ブロック状の固形・半固形樹脂又は粘性の高い液状樹脂であって、不足量に相当する第2分量を有する第2封止樹脂Rが追加的に用いられるように供給する制御を行う。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型と下型とを備える封止金型を用いて、基材に電子部品が搭載された構成を有するワークを封止樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形装置であって、
前記封止樹脂として、板状もしくはブロック状の固形・半固形樹脂であって、第1分量を有する第1封止樹脂が用いられ、
前記ワーク毎に一つの前記基材に搭載された前記電子部品の有無の数を計測したデータに基づいて必要な樹脂の総量を算定し、前記総量と前記第1分量とを比較する制御演算部を備え、
前記制御演算部は、前記総量に対して前記第1分量が不足している場合に、前記封止樹脂として、ブロック状の固形・半固形樹脂又は粘性の高い液状樹脂であって、不足量に相当する第2分量を有する第2封止樹脂が追加的に用いられるように供給する制御を行うこと
を特徴とする圧縮成形装置。
【請求項2】
前記上型にキャビティを有する場合、前記基材の前記電子部品搭載面上に前記第2封止樹脂が載置され、前記第2封止樹脂上に前記第1封止樹脂が載置された状態で圧縮成形が行われる構成であること
を特徴とする請求項1記載の圧縮成形装置。
【請求項3】
前記基材の前記電子部品搭載面上に前記第2封止樹脂が載置され、前記第2封止樹脂上に前記第1封止樹脂が載置された状態において、前記第1封止樹脂が前記電子部品に当接しない状態に構成されていること
を特徴とする請求項2記載の圧縮成形装置。
【請求項4】
前記下型にキャビティを有する場合、前記キャビティの底面上に前記第1封止樹脂が載置され、前記第1封止樹脂上に前記第2封止樹脂が載置された状態で圧縮成形が行われる構成であること
を特徴とする請求項1記載の圧縮成形装置。
【請求項5】
上型と下型とを備える封止金型を用いて、基材に電子部品が搭載された構成を有するワークを封止樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形方法であって、
前記封止樹脂として、板状もしくはブロック状の固形・半固形樹脂であって第1分量を有する第1封止樹脂を準備する樹脂準備工程と、
前記ワーク毎に一つの前記基材に搭載された前記電子部品の有無の数を計測したデータに基づいて必要な樹脂の総量を算定し、前記総量と前記第1分量とを比較する演算工程と、
前記総量に対して前記第1分量が不足している場合に、前記封止樹脂として、ブロック状の固形・半固形樹脂又は粘性の高い液状樹脂であって、不足量に相当する第2分量を有する第2封止樹脂を追加的に準備する追加樹脂準備工程と、
を備えること
を特徴とする圧縮成形方法。
【請求項6】
前記上型にキャビティを有する場合、前記基材の前記電子部品搭載面上に前記第2封止樹脂を載置させ、前記第2封止樹脂上に前記第1封止樹脂を載置させた状態で圧縮成形する樹脂封止工程を備えること
を特徴とする請求項5記載の圧縮成形方法。
【請求項7】
前記樹脂封止工程は、前記第1封止樹脂が前記電子部品に当接しない状態となるように、
前記基材の前記電子部品搭載面上に前記第2封止樹脂を載置させ、前記第2封止樹脂上に前記第1封止樹脂を載置させる工程を有すること
を特徴とする請求項6記載の圧縮成形方法。
【請求項8】
前記下型にキャビティを有する場合、前記キャビティの底面上に前記第1封止樹脂を載置させ、前記第1封止樹脂上に前記第2封止樹脂を載置させた状態で圧縮成形する樹脂封止工程を備えること
を特徴とする請求項5記載の圧縮成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮成形装置及び圧縮成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基材に電子部品が搭載されたワークを封止樹脂により封止して成形品に加工する樹脂封止装置及び樹脂封止方法の例として、圧縮成形方式によるものが知られている。
【0003】
圧縮成形方式は、上型と下型とを備えて構成される封止金型に設けられる封止領域(キャビティ)に所定量の封止樹脂を供給すると共に当該封止領域にワークを配置して、上型と下型とでクランプする操作によって樹脂封止する技術である。一例として、上型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、ワーク上の中心位置に一括して封止樹脂を供給して成形する技術等が知られている。一方、下型にキャビティを設けた封止金型を用いる場合、当該キャビティを含む金型面を覆うリリースフィルム(以下、単に「フィルム」と称する場合がある)及び封止樹脂を供給して成形する技術等が知られている(特許文献1:特開2019-145550号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-145550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、ワークとして、ストリップタイプのワイヤー接続された電子部品(半導体チップ)を樹脂封止する場合に、上型にキャビティが設けられる圧縮成形方式では、下型に保持されるワークのワイヤー部分が予めキャビティに供給した封止樹脂またはワーク上に供給した封止樹脂と接触して変形してしまうため、樹脂封止が困難であるという課題があった。そのため、一般的には、上型にワークが保持され、下型にキャビティが設けられ、当該キャビティ内に封止樹脂(一例として、顆粒樹脂)が供給される圧縮成形方式が採用されていた。
【0006】
しかしながら、上型にワークが保持され、下型にキャビティが設けられる構成においては、ワークが薄い場合や大型の場合に、上型での保持が難しく落下が生じ易いという課題があった。また、通常、フィルムを介在させて下型のキャビティ内に封止樹脂が供給される構成となるが、厚み(ここでは、成形後の樹脂部分の厚み)が1mmを超える程度に厚い成形品を形成しようとすると、成形ストロークが大きくなり、フィルムが成形品に噛み込んでしまう成形不良が生じ易いという課題があった。さらに、封止樹脂として顆粒樹脂が用いられる場合、前記のフィルム噛み込みが発生し易くなり、また、成形時の粉塵が発生するという課題や、ハンドリングが難しいという課題に加えて、下型に設けられるキャビティ内の全領域に対して均等に封止樹脂を供給(散布)することが難しく巻きムラが生じ易いという課題があった。また、封止樹脂の散布時に粒同士の隙間に含まれる空気及び溶融時に封止樹脂より脱泡することによる気体成分が抜けずに成形不良が生じ易いという課題があった。特に、電子部品がワイヤー接続により搭載されたワークの場合、樹脂封止時のキャビティ内における樹脂流動に起因するワイヤー流れ(ワイヤーの変形、切断)が生じるおそれもあった。
【0007】
一方、キャビティの配置に関わらず、封止対象のワークにおいて電子部品の欠落(例えば、間引きのための未搭載や、搭載後の落失等)が生じた場合には、封止に必要な樹脂の総量が増加するため、樹脂量が不足して成形不良が生じる原因となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、上型にキャビティが設けられる構成の課題解決及び下型にキャビティが設けられる構成の課題解決が可能で、また、封止樹脂の流動、巻きムラ、残留気体、樹脂量の不足に起因する成形不良の発生を防止することが可能で、また、厚さ寸法が大きい成形品を形成することが可能で、また、封止樹脂のハンドリングが容易で、成形時の粉塵の発生を防止することが可能な圧縮成形装置及び圧縮成形方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、一実施形態として以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
【0010】
一実施形態に係る圧縮成形装置は、上型と下型とを備える封止金型を用いて、基材に電子部品が搭載された構成を有するワークを封止樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形装置であって、前記封止樹脂として、板状もしくはブロック状の固形・半固形樹脂であって、第1分量を有する第1封止樹脂が用いられ、前記ワーク毎に一つの前記基材に搭載された前記電子部品の有無の数を計測したデータに基づいて必要な樹脂の総量を算定し、前記総量と前記第1分量とを比較する制御演算部を備え、前記制御演算部は、前記総量に対して前記第1分量が不足している場合に、前記封止樹脂として、ブロック状の固形・半固形樹脂又は粘性の高い液状樹脂であって、不足量に相当する第2分量を有する第2封止樹脂が追加的に用いられるように供給する制御を行うことを要件とする。
【0011】
上記の実施形態によれば、封止樹脂の流動、巻きムラ、残留気体に起因する成形不良の発生を防止することができる。特に、ワークの電子部品の欠落等によって必要な樹脂の総量が増加した場合においても、必要な樹脂の総量を容易且つ迅速に確保することができるため、樹脂量の不足に起因する成形不良の発生を防止することができる。また、厚さ寸法が1mmを超えるような厚い成形品を形成する場合にも、フィルムの噛み込みを防止することができる。また、封止樹脂のハンドリングを容易化することができると共に、顆粒樹脂による成形時の粉塵の発生を防止することができる。
【0012】
一例として、前記上型にキャビティを有する場合、前記基材の前記電子部品搭載面上に前記第2封止樹脂が載置され、前記第2封止樹脂上に前記第1封止樹脂が載置された状態で圧縮成形が行われる構成であることが好ましい。その場合、前記基材の前記電子部品搭載面上に前記第2封止樹脂が載置され、前記第2封止樹脂上に前記第1封止樹脂が載置された状態において、前記第1封止樹脂が前記電子部品に当接しない状態に構成されていることが好ましい。
【0013】
他の例として、前記下型にキャビティを有する場合、前記キャビティの底面上に前記第1封止樹脂が載置され、前記第1封止樹脂上に前記第2封止樹脂が載置された状態で圧縮成形が行われる構成であることが好ましい。
【0014】
また、一実施形態に係る圧縮成形方法は、上型と下型とを備える封止金型を用いて、基材に電子部品が搭載された構成を有するワークを封止樹脂により封止して成形品に加工する圧縮成形方法であって、前記封止樹脂として、板状もしくはブロック状の固形・半固形樹脂であって第1分量を有する第1封止樹脂を準備する樹脂準備工程と、前記ワーク毎に一つの前記基材に搭載された前記電子部品の有無の数を計測したデータに基づいて必要な樹脂の総量を算定し、前記総量と前記第1分量とを比較する演算工程と、前記総量に対して前記第1分量が不足している場合に、前記封止樹脂として、ブロック状の固形・半固形樹脂又は粘性の高い液状樹脂であって、不足量に相当する第2分量を有する第2封止樹脂を追加的に準備する追加樹脂準備工程と、を備えることを要件とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上型にキャビティが設けられる構成の課題解決及び下型にキャビティが設けられる構成の課題解決を図ることができる。また、封止樹脂の流動、巻きムラ、残留気体、樹脂量の不足に起因する成形不良の発生を防止することができる。また、厚さ寸法が1mmを超えるような厚い成形品を形成することができる。また、封止樹脂のハンドリングを容易化することができると共に、成形時の粉塵の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る圧縮成形装置の例を示す平面図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る圧縮成形装置のプレス装置の例を示す側面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る圧縮成形装置の封止金型の例を示す正面断面図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る圧縮成形方法の説明図である。
図5図4に続く説明図である。
図6図5に続く説明図である。
図7図7Aは、図6におけるVII部拡大図である。図7Bは、図7Aに続く説明図である。
図8図7Bに続く説明図である。
図9図8に続く説明図である。
図10】本発明の実施形態に係る圧縮成形装置及び圧縮成形方法において用いられる封止樹脂(第1封止樹脂)の例を示す斜視図である。
図11】本発明の実施形態に係る圧縮成形装置及び圧縮成形方法において用いられる封止樹脂(第2封止樹脂)の例を示す斜視図である。図11Aは、第2封止樹脂の一例であり、図11Bは、第2封止樹脂の他の例であり、図11Cは、第2封止樹脂の他の例である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る圧縮成形装置のプレス装置の例を示す側面図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る圧縮成形装置の封止金型の例を示す正面断面図である。
図14】本発明の第2の実施形態に係る圧縮成形方法の説明図である。
図15図14に続く説明図である。
図16図15に続く説明図である。
図17図16に続く説明図である。
図18図17に続く説明図である。
図19】従来の実施形態に係る圧縮成形装置及び圧縮成形方法の説明図である。
図20】従来の実施形態に係る圧縮成形装置及び圧縮成形方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施形態]
(全体構成)
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態について詳しく説明する。図1は、本実施形態に係る圧縮成形装置1の例を示す平面図(概略図)である(第2の実施形態と共通の構成図である)。尚、説明の便宜上、図中において矢印により圧縮成形装置1における左右方向(X方向)、前後方向(Y方向)、上下方向(Z方向)を示す。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
【0018】
本実施形態に係る圧縮成形装置1は、上型204及び下型206を備える封止金型202を用いて、ワーク(被成形品)Wの樹脂封止(圧縮成形)を行う装置である。下型206に、ワークWを保持する一または複数のワーク保持部205が設けられる。上型204に、ワークWの形状や個数に応じて一または複数のキャビティ208が設けられる。このキャビティ208内にフィルムFが吸着保持される。但し、この構成に限定されるものではない。
【0019】
先ず、成形対象であるワークWは、基材Waに電子部品Wbが搭載された構成を備えている。より具体的には、基材Waの例として、樹脂基板、セラミックス基板、金属基板、キャリアプレート、リードフレーム、ウェハ等の板状の部材が挙げられる。また、電子部品Wbの例として、半導体チップ、MEMSチップ、受動素子、放熱板、導電部材、スペーサ等が挙げられる。尚、基材Waの形状は、長方形状(短冊状)、正方形状、円形状等である。また、一つの基材Waに搭載される電子部品Wbの個数は、一つもしくは複数個(例えば、マトリクス状等)に設定される。
【0020】
基材Waに電子部品Wbを搭載する方法の例として、ワイヤボンディング実装、フリップチップ実装等による方法が挙げられる。あるいは、樹脂封止後に成形品Wpから基材(ガラス製や金属製のキャリアプレート)Waを剥離する構成の場合には、熱剥離性を有する粘着テープや紫外線照射により硬化する紫外線硬化性樹脂を用いて電子部品Wbを貼付ける方法もある。
【0021】
本実施形態においては、封止樹脂Rとして、熱硬化性樹脂(例えば、フィラー含有のエポキシ系樹脂等であるが、これに限定されない)であって、ワークWの形状に対応させた所定形状(詳細は後述)を有する固形・半固形樹脂が用いられる。尚、上記「半固形」とは完全な固形状態ではなくいわゆるBステージまで溶融した状態をいう。
【0022】
また、フィルムFの例として、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れたフィルム材、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリジン等が好適に用いられる。
【0023】
続いて、本実施形態に係る圧縮成形装置1の概要について説明する。図1に示すように、圧縮成形装置1は、ワークWの供給等を行う供給ユニット100A、ワークWを樹脂封止して成形品Wpへの加工等を行うプレスユニット100B、成形品Wpの収納等を行う収納ユニット100Cを主要構成として備えている。一例として、図1中のX方向に沿って、供給ユニット100A、プレスユニット100B、収納ユニット100Cの順に配置されている。但し、上記の構成に限定されるものではなく、ユニット内の機器構成やユニット数(特に、プレスユニット数)、ユニットの配置順等を変更することができる。また、上記以外のユニットを備える構成とすることもできる(いずれも不図示)。
【0024】
また、圧縮成形装置1は、封止樹脂Rの供給を行う樹脂供給部120を備えている。本実施形態においては、封止樹脂Rとして、第1封止樹脂Ra及び第2封止樹脂Rbが用いられるが、詳細については後述する。本実施形態に係る樹脂供給部120は、予め形成された封止樹脂R(すなわち、第1封止樹脂Ra及び第2封止樹脂Rb)が複数個収容されたストッカ等が着脱可能に保持されて、当該封止樹脂Rを順次取出して供給する構成である。但し、この構成に限定されるものではなく、封止樹脂R(すなわち、第1封止樹脂Ra及び第2封止樹脂Rb)を形成する樹脂形成機構を備えて、当該封止樹脂Rを順次形成して供給する構成としてもよい(不図示)。
【0025】
樹脂供給部120は、一例として、供給ユニット100Aに配置されているが、収納ユニット100Cもしくはプレスユニット100B、または上記以外の別ユニットを備える場合における当該別ユニットに配置される構成としてもよい(不図示)。あるいは、他の例として、樹脂供給部120が圧縮成形装置1の装置外に配置され、ベルトコンベアもしくはロボットハンド等の搬送装置を用いて装置内へ搬送される構成としてもよい(不図示)。
【0026】
また、圧縮成形装置1は、封止対象となるワークW毎に、一つの基材Waに搭載された電子部品Wbの有無の数(搭載数もしくは欠落数であり、さらには電子部品Wbの高さを計測する場合を含んでもよい)を計測する計測部140を備えている。一例として、計測部140は、ワークWの重量を計測することによって電子部品Wbの有無の数を算出する構成としている。但し、この構成に限定されるものではなく、基材Waの電子部品搭載面を撮像し、画像処理によって電子部品Wbの有無の数を算出する構成としてもよい。
【0027】
計測部140は、一例として、供給ユニット100Aに配置されているが、収納ユニット100Cもしくはプレスユニット100B、または上記以外の別ユニットを備える場合における当該別ユニットに配置される構成としてもよい(不図示)。あるいは、他の例として、計測部140が圧縮成形装置1の装置外に配置され、ワークW毎に計測された電子部品Wbの有無の数の計測データが本装置(圧縮成形装置1)へ送信される構成としてもよい(不図示)。
【0028】
また、圧縮成形装置1は、各ユニット間を跨いでガイドレール130が直線状に設けられており、ワークW及び封止樹脂Rを搬送する搬送装置(第1ローダ)132、並びに、成形品Wpを搬送する搬送装置(第2ローダ)134が、ガイドレール130に沿って所定のユニット間を移動可能に設けられている。但し、上記の構成に限定されるものではなく、ワークW、封止樹脂R、及び成形品Wpを搬送する共通の(一つの)搬送装置(ローダ)を備える構成としてもよい(不図示)。また、搬送装置は、ローダに代えて、ロボットハンド等を備える構成としてもよい。
【0029】
また、圧縮成形装置1は、各ユニットにおける各機構の作動制御等を行う制御演算部150が供給ユニット100Aに配置されている(他のユニットに配置される構成としてもよい)。
【0030】
(供給ユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備える供給ユニット100Aについて詳しく説明する。
【0031】
供給ユニット100Aは、複数のワークWが収納される供給マガジン102を備えている。ここで、供給マガジン102には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられる。
【0032】
尚、供給ユニット100Aは、供給マガジン102から取出されたワークWが載置されるワークステージ等(不図示)を備える構成としてもよい。また、供給ユニット100Aは、樹脂供給部120から供給された封止樹脂Rが載置される樹脂ステージ等(不図示)を備える構成としてもよい。
【0033】
ワークW及び封止樹脂Rは、第1ローダ132に保持されてプレスユニット100Bへ搬送され、封止金型202の所定位置にセットされる。本実施形態においては、ワークWは、下型206のワーク保持部205に保持され、封止樹脂Rは、ワーク保持部205に保持されたワークWの上に載置される(工程の詳細については後述する)。尚、第1ローダ132におけるワークW及び封止樹脂Rの保持機構には、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0034】
上記搬送装置の変形例として、X及びY方向に移動する第1ローダ132に代えて、X方向に移動してユニット間の搬送を行う搬送装置(ローダ)と、Y方向に移動して封止金型202への搬入及びセットを行う搬送装置(ローダ)とを別個に備える構成としてもよい(不図示)。
【0035】
また、供給ユニット100Aは、ワークWや封止樹脂Rの予備加熱を行う予熱ヒータ(不図示)を備えている。一例として、予熱ヒータには、公知の加熱機構(例えば、電熱線ヒータ、赤外線ヒータ、等)が用いられる。これにより、ワークWや封止樹脂Rが封止金型202内に搬入される前に予備加熱をしておくことができる。尚、予熱ヒータを備えない構成としてもよい。また、予熱ヒータに代えて、もしくは予熱ヒータと共に、第1ローダ132に予備加熱用のヒータ(不図示)を備える構成としてもよい。
【0036】
(プレスユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備えるプレスユニット100Bについて詳しく説明する。
【0037】
プレスユニット100Bは、開閉される一対の金型(例えば、合金工具鋼からなる複数の金型ブロック、金型プレート、金型ピラー等やその他の部材が組み付けられたもの)を有する封止金型202を備えている。また、封止金型202を開閉駆動してワークWを樹脂封止するプレス装置250を備えている。一例として、プレス装置250を一台備える構成としているが、複数台備える構成としてもよい(不図示)。プレスユニット100Bに設けられるプレス装置250の側面図(概略図)を図2に示し、封止金型202の正面断面図(概略図)を図3に示す。
【0038】
ここで、プレス装置250は、図2に示すように、一対のプラテン254、256と、一対のプラテン254、256が架設される複数のタイバー252と、プラテン256を可動(昇降)させる駆動装置等を備えて構成されている。具体的に、当該駆動装置は、駆動源(例えば、電動モータ)260及び駆動伝達機構(例えば、ボールねじやトグルリンク機構)262等を備えて構成されている(但し、これに限定されるものではない)。本実施形態では、鉛直方向において上方側のプラテン254を固定プラテン(タイバー252に固定されるプラテン)とし、下方側のプラテン256を可動プラテン(タイバー252に摺動可能に保持されて昇降するプラテン)として設定している。但し、これに限定されるものではなく、上下逆に、すなわち上方側を可動プラテン、下方側を固定プラテンに設定してもよく、あるいは、上方側、下方側共に可動プラテンとして設定してもよい(いずれも不図示)。
【0039】
一方、封止金型202は、図3に示すように、プレス装置250における上記一対のプラテン254、256間に配設される一対の金型として、鉛直方向における上方側の上型204と、下方側の下型206とを備えている。すなわち、上型204が上方側のプラテン(本実施形態では、固定プラテン254)に組み付けられ、下型206が下方側のプラテン(本実施形態では、可動プラテン256)に組み付けられている。この上型204と下型206とが相互に接近・離反することで型閉じ・型開きが行われる(鉛直方向(上下方向)が型開閉方向となる)。
【0040】
また、本実施形態においては、一例として、ロール状のフィルムFを封止金型202の内部へ搬送(供給)するフィルム供給機構211が設けられている。尚、フィルムFは、ワークWの構成に応じ、ロール状に代えて短冊状のものが用いられる場合がある。
【0041】
次に、封止金型202の上型204について詳しく説明する。図3に示すように、上型204は、上型チェイス210と、これに保持されるキャビティ駒226、クランパ228等を備えている。上型チェイス210は、サポートピラー212を介してサポートプレート214の下面に対して固定されている。上型204の下面(下型206側の面)にキャビティ208が設けられている。
【0042】
クランパ228は、キャビティ駒226を囲うように環状に構成されると共に、押動ピン222及びクランパバネ(例えば、コイルバネに例示される付勢部材)224を介して、サポートプレート214の下面に対して離間(フローティング)して上下動可能に組み付けられる(但し、この組み付け構造に限定されるものではない)。このキャビティ駒226がキャビティ208の奥部(底部)を構成し、クランパ228がキャビティ208の側部を構成する。尚、一つの上型204に設けられるキャビティ208の形状や個数は、ワークWの形状や個数に応じて適宜設定される(一つもしくは複数個)。
【0043】
また、クランパ228下面やクランパ228とキャビティ駒226との境界部等に、吸引装置に連通する吸引路(孔や溝等)が設けられている(不図示)。これにより、フィルム供給機構211から供給されたフィルムFを、キャビティ208の内面を含む金型面204aに吸着させて保持することができる。また、型閉じをして樹脂封止を行う際にキャビティ208内の脱気を行うことができる。
【0044】
また、本実施形態においては、上型204を所定温度に加熱する上型加熱機構(不図示)が設けられている。この上型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御演算部150によって加熱の制御が行われる。一例として、ヒータは、上型チェイス210に内蔵され、上型204全体及びキャビティ208内に収容される封止樹脂Rに熱を加える構成となっている。当該ヒータによって、上型204が所定温度(例えば、100℃~300℃)となるように加熱される。
【0045】
次に、封止金型202の下型206について詳しく説明する。図3に示すように、下型206は、下型チェイス240と、これに保持される下プレート242等を備えている。
【0046】
また、本実施形態においては、ワークWを下プレート242の上面における所定位置に保持するワーク保持部205が設けられている。このワーク保持部205は、一例として、ワークガイドピン(不図示)、及び下プレート242を貫通して配設され、吸引装置に連通する吸引路(孔や溝等)を有している(不図示)。具体的には、吸引路の一端が下型206の金型面206aに通じ、他端が下型206外に配設される吸引装置と接続される。これにより、吸引装置を駆動させて吸引路からワークWを吸引し、金型面206a(ここでは、下プレート242の上面)にワークWを吸着させて保持することが可能となる。上記の吸着保持機構に代えて、もしくは吸着保持機構と共に、ワークWの外周を挟持する保持爪を備える構成としてもよい(不図示)。尚、一つの下型206に設けられるワーク保持部205の形状や個数は、ワークWの形状や個数に応じて適宜設定される(一つもしくは複数個)。
【0047】
また、本実施形態においては、下型206を所定温度に加熱する下型加熱機構(不図示)が設けられている。この下型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御演算部150によって加熱の制御が行われる。一例として、ヒータは、下型チェイス240に内蔵され、下型206全体及びワーク保持部205に保持されるワークWに熱を加える構成となっている。当該ヒータによって、下型206が所定温度(例えば、100℃~300℃)となるように加熱される。
【0048】
(収納ユニット)
続いて、圧縮成形装置1が備える収納ユニット100Cについて詳しく説明する。
【0049】
成形品Wpは、第2ローダ134に保持されて封止金型202から搬出され、収納ユニット100Cへ搬送される。尚、第2ローダ134における成形品Wpの保持機構には、公知の保持機構(例えば、保持爪を有して挟持する構成、吸引装置に連通する吸引孔を有して吸着する構成、等)が用いられる(不図示)。
【0050】
上記搬送装置の変形例として、X及びY方向に移動する第2ローダ134に代えて、X方向に移動してユニット間の搬送を行う搬送装置(ローダ)と、Y方向に移動して封止金型202からの搬出を行う搬送装置(ローダ)とを別個に備える構成としてもよい(不図示)。
【0051】
収納ユニット100Cは、複数の成形品Wpが収納される収納マガジン104を備えている。ここで、収納マガジン104には、公知のスタックマガジン、スリットマガジン等が用いられる。
【0052】
尚、収納ユニット100Cは、プレスユニット100Bから搬送された成形品Wpが載置される成形品ステージ等(不図示)を備える構成としてもよい。
【0053】
(樹脂封止動作)
続いて、本実施形態に係る圧縮成形装置1を用いて樹脂封止(圧縮成形)を行う動作(すなわち、本実施形態に係る圧縮成形方法)について説明する。ここで、図4図9は、各工程の説明図であって、図3と同方向の正面断面図として図示する。
【0054】
先ず、準備工程として、上型加熱機構により上型204を所定温度(例えば、100℃~300℃)に調整して加熱する加熱工程(上型加熱工程)を実施する。また、下型加熱機構により下型206を所定温度(例えば、100℃~300℃)に調整して加熱する加熱工程(下型加熱工程)を実施する。また、フィルム供給機構211を作動させて新しいフィルムFを封止金型202内にセットするフィルムセット工程を実施する。
【0055】
上記の準備工程と前後して、もしくは並行して、板状もしくはブロック状の固形・半固形樹脂であって第1分量(樹脂の量、すなわちグラム数)を有する第1封止樹脂Raを準備する樹脂準備工程を実施する。具体的には、樹脂供給部120が、第1封止樹脂Raを供給し、搬送装置(本実施形態では、第1ローダ132)によって搬送できる状態とする。尚、一例として、一個で第1分量となるように第1封止樹脂Raを構成するが、他の例として、数個(例えば二、三個程度)で第1分量となるように第1封止樹脂Raを構成してもよい。第1封止樹脂Raの構成(形状)の例については後述する。
【0056】
上記の樹脂準備工程、演算工程と前後して、もしくは並行して、下型206のワーク保持部205にワークWを保持させるワーク保持工程を実施する(図4参照)。具体的には、供給マガジン102から供給されたワークWを、第1ローダ132によって保持して封止金型202内へ搬入し、ワーク保持部205に保持させる。
【0057】
上記のワーク保持工程の前のいずれかの時点で、計測部140等が、ワークW毎に一つの基材Waに搭載された電子部品Wbの有無の数(搭載数もしくは欠落数であり、さらには電子部品Wbの高さを計測する場合を含んでもよいし、重量を計量してもよい)を計測する。次いで、制御演算部150が、当該計測データに基づき、計測したワークWを封止するために必要な封止樹脂Rの総量を算定し、当該総量と上記第1分量とを比較する演算工程を実施する。尚、前述の通り、計測部140が圧縮成形装置1の装置外に配置され、ワークW毎に計測された電子部品Wbの有無の数等の計測データが本装置の制御演算部150へ送信される構成としてもよい(不図示)。
【0058】
次いで、演算工程の実施により、上記総量に対して上記第1分量が不足している結果となった場合に、封止樹脂Rとして、ブロック状の固形・半固形樹脂であって、不足量に相当する第2分量を有する第2封止樹脂Rbを追加的に準備する追加樹脂準備工程を実施する。具体的には、制御演算部150が、不足量に相当する第2分量を有する第2封止樹脂Rbを追加供給する指令を出して、樹脂供給部120が、第2封止樹脂Rbを供給し、搬送装置(本実施形態では、第1ローダ132)によって搬送できる状態とする。ここで、当該不足量は、ワークWにおける電子部品Wbの欠落(未搭載・落失)が原因で発生する。したがって、一個の電子部品Wbの体積を充足できる樹脂量に相当する第2分量を有するように第2封止樹脂Rbを形成しておくことが好適である。これによれば、電子部品Wbの欠落数と同数の第2封止樹脂Rbを供給するだけで、追加すべき樹脂量を過不足なく適量で供給することが可能となる。但し、この構成に限定されるものではない。尚、第2封止樹脂Rbの構成(形状)の例については後述する。
【0059】
ワーク保持工程の後に、準備した封止樹脂R(すなわち、樹脂準備工程で準備した第1封止樹脂Ra、及び、追加樹脂準備工程で準備した第2封止樹脂Rb)を、所定位置に載置する樹脂載置工程を実施する。本実施形態においては、樹脂供給部120から供給された第2封止樹脂Rbを、第1ローダ132によって保持して封止金型202内へ搬入し、ワーク保持部205に保持されたワークWの上(具体的には、基材Waの電子部品搭載面上)に載置する(図5参照)。次いで、樹脂供給部120から供給された第1封止樹脂Raを、第1ローダ132によって保持して封止金型202内へ搬入し、第2封止樹脂Rbの上に載置する(図6参照)。これによれば、ワークWの電子部品Wbの欠落等によって必要な樹脂の総量が増加した場合においても、必要な樹脂の総量を容易且つ迅速に確保することができるため、樹脂量の不足に起因する成形不良の発生を防止することができる。
【0060】
または、樹脂載置工程の他の例として、上記のワーク保持工程の前に、封止樹脂R(第1封止樹脂Ra、第2封止樹脂Rb)をワークWの上に載置する工程として実施してもよい。その場合、ワーク保持工程は、封止樹脂Rが載置された状態(すなわち、基材Waの電子部品搭載面上に第2封止樹脂Rbが載置され、第2封止樹脂Rb上に第1封止樹脂Raが載置された状態)のワークWをワーク保持部205に保持させる工程となる。すなわち、第1ローダ132は、封止樹脂Rが載置された状態のワークWを保持して封止金型202内へ搬入し、ワーク保持部205に保持させる。封止金型202へのワークW及び封止樹脂R(第1封止樹脂Ra、第2封止樹脂Rb)の搬入をそれぞれ別に行うのではなく、一回で行う利点がある。また、封止金型202に同時に入れられるため、第1封止樹脂Raと第2封止樹脂Rbとの熱履歴が同じになる利点もある。
【0061】
樹脂載置工程の後に、ワークWを封止樹脂R(第1封止樹脂Ra、第2封止樹脂Rb)により封止して成形品Wpに加工する樹脂封止工程を実施する。具体的に、封止金型202の型閉じを行い、キャビティ208内でキャビティ駒226を相対的に下降させて、ワークWに対して封止樹脂Rを加熱加圧する型閉じ工程を実施する。これにより、封止樹脂Rが熱硬化して樹脂封止(圧縮成形)が完了する(図8参照)。
【0062】
前述の通り、例えば、ストリップタイプのワイヤー接続された電子部品(半導体チップ)Wbが搭載されたワークW等に対して、上型にキャビティが設けられる従来の圧縮成形装置では、型閉じ工程の実施時に、下型に保持されるワークのワイヤー部分が予めキャビティに供給した封止樹脂またはワーク上に供給した封止樹脂と接触して変形してしまうため、樹脂封止が困難であるという課題があった。そのため、このようなワークWに対しては、下型にキャビティが設けられる圧縮成形装置が一般的に採用されていた。しかしながら、下型にキャビティが設けられる構成であるが故の課題(前述)もあった。
【0063】
上記の課題に対して、本実施形態においては、固形・半固形樹脂として形成されている封止樹脂R(第1封止樹脂Ra、第2封止樹脂Rb)が上記の状態で載置された構成を採用することにより、その解決を可能としている。特に、第1封止樹脂Raが電子部品Wb(ワイヤーを有する電子部品Wbは、ワイヤーを含む)に当接しない状態となるように、基材Waの電子部品搭載面上に第2封止樹脂Rbが載置され、第2封止樹脂Rb上に第1封止樹脂Raが載置される構成であることが好ましい。
【0064】
ここで、封止樹脂R(第1封止樹脂Ra、第2封止樹脂Rb)の具体的な構成(形状)例として、第1封止樹脂Raは、図10に示すように、「本体部」となる板状に形成されている。あるいは、板状以外の形状、例えば、凹部や凸部等を有するブロック状等としてもよい(不図示)。但し、これらの形状に限定されるものではない。尚、第1封止樹脂Raは、平面視でキャビティ208内に入る大きさであり、樹脂流動を考慮すると、キャビティ208の形状(特に、キャビティ駒226)より少し小さい大きさが好適である。図10では四つのコーナーがR形状をしているが、角状になっていてもよい。
【0065】
また、第2封止樹脂Rbは、図11に示すように、第1封止樹脂Raの一方の面(ワークWの電子部品Wbと対向する側の面)に断続的(もしくは連続的)に立設される複数個の「脚部」となるブロック状に形成されている。例えば、図11Aに示す円柱状、図11Bに示す角柱状、図11Cに示す一辺の長い角柱状等(これらの組合せでもよい)に形成される。但し、これらの形状に限定されるものではない。尚、本体部(第1封止樹脂)Raが電子部品Wbと当接しないようにするために、脚部(第2封止樹脂)Rbは高さHが必要ではあるが、ワイヤーが塑性変形しない程度の接触を除外するものではない。また、第2封止樹脂Rbは、第1封止樹脂Raの平面視で電子部品Wbに当接しない位置で、ワークW上に載置されたときに第1封止樹脂Raが傾かない位置に配置されている。さらに、成形時にワークWの配線(特に、ワイヤー)を少しでも損傷させないように電子部品Wb間または電子部品Wbの外周位置に配置される構成が好適である。第2封止樹脂Rbも縦、横、高さ、重さ(1g、3g、5g等)の複数種を用意し、不足量に対応する第2封止樹脂Rbの重さに合わせて複数種の数を割り出して、ワークW上に配置させる位置を導き出して載置する。可能な限り、第1封止樹脂Raと第2封止樹脂Rbとは同じ樹脂特性の種類の樹脂が好適である。また、第2封止樹脂Rbは第1封止樹脂Raを電子部品に当接させないために設けるものであり、粘度の高い液状樹脂で高さを稼ぐと共に所定の樹脂量にする構成でもよい。第2封止樹脂Rbが液状樹脂の場合は、第1封止樹脂Raの固形・半固形樹脂に対して樹脂特性が多少変わる可能性はあるが、供給ノズルをX-Y方向に移動させることで樹脂量及び配置を自由に組み合わせられる利点がある。
【0066】
前述の通り、第1封止樹脂Raが電子部品Wbに当接しない状態となるように、基材Waの電子部品搭載面上に第2封止樹脂Rbが載置され、第2封止樹脂Rb上に第1封止樹脂Raが載置される構成であることが好ましい。そのためには、脚部となる第2封止樹脂Rbを立設できることが重要となる。具体的には、基材Wa上に搭載される電子部品Wbに欠落が無い場合のワークWを封止するために必要な総量(すなわち「最大量」)よりも、第1封止樹脂Raの樹脂量(すなわち「第1分量」)が少量となるように設定し、且つ、最大量と第1分量との差の量が、少なくとも本体部(第1封止樹脂)Raを離間させることができる本数の脚部(第2封止樹脂)Rbを立設可能な量となるように第2封止樹脂Rbの樹脂量(第2分量)を設定すれば、上記の状態を実現できる。尚、電子部品Wbの欠落によってさらに不足量が生じた場合、第2封止樹脂Rbを増加させるだけで対応することができる。そのため第1封止樹脂Raは、既存のトランスファ成形時のミニタブレットと同様に事前に樹脂メーカーが複数種類(幅、長さ、厚さ、樹脂特性等)を製造して供給してもよい。
【0067】
上記の構成によれば、型閉じ工程の実施過程において、図7Aから図7Bに移行するように、封止樹脂Rの加熱による軟化及び溶融が進む(尚、図7A図7B図6におけるVII部の拡大図として示す)。このとき、全てのワイヤーに均一に略同時に樹脂(具体的には、第1封止樹脂Ra)が当接する状態となる(図7B参照)。その結果、ワイヤー流れが抑制される効果が得られる。
【0068】
本願発明者が、実際に本実施形態に係る圧縮成形装置1を用いて実験を行ったところ、上型にワークが保持され、下型にキャビティが設けられ、当該キャビティに封止樹脂(具体的には、顆粒樹脂)が供給される方式の従来の圧縮成形装置と比較して、ワイヤー流れが抑制され、成形品質が向上する結果が確認できた。
【0069】
さらに、封止樹脂Rが固形・半固形樹脂であることによって、従来のように、顆粒樹脂に起因する巻きムラ、残留気体、成形時の粉塵が発生するという課題や、ハンドリングが難しいという課題の解決を図ることもできる。また、厚さ寸法が1mmを超えるような厚い成形品を形成する場合にも、成形品WpへのフィルムFの噛み込みを防止することができる。
【0070】
尚、上記の型閉じ工程に続く後の工程は、従来の圧縮成形方法と同様である。概略として、封止金型202の型開きを行い、成形品Wpと使用済みのフィルムFとを分離して当該成形品Wpを取出せるようにする型開き工程を実施する(図9参照)。次いで、第2ローダ134によって、成形品Wpを封止金型202内から搬出し、収納ユニット100Cへ搬出する成形品搬出工程を実施する。また、成形品搬出工程の後に、もしくは、並行して、フィルム供給機構211を作動させて、使用済みのフィルムFを封止金型202内から送り出し、新しいフィルムFを封止金型202内へ送り込む、フィルムセット工程を実施する。
【0071】
以上が圧縮成形装置1を用いて行う圧縮成形方法の主要工程である。但し、上記の工程順は一例であって、支障がない限り先後順の変更や並行実施が可能である。
【0072】
[第2の実施形態]
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態に係る圧縮成形装置1及び圧縮成形方法は、前述の第1の実施形態と基本的な構成は同様であるが、プレスユニット100Bの構成(特に、プレス装置及び封止金型の構成)、並びに、当該プレスユニット100Bを中心に実施される工程において相違点を有する。以下、当該相違点を中心に本実施形態について説明する。
【0073】
本実施形態に係るプレスユニット100Bは、型開閉される一対の金型(例えば、合金工具鋼からなる複数の金型ブロック、金型プレート、金型ピラー等やその他の部材が組み付けられたもの)を有する封止金型302を備えている。また、封止金型302を開閉駆動してワークWを樹脂封止するプレス装置350を備えている。一例として、プレス装置350(図1においてプレス装置250と共通で図示)を一台備える構成としているが、複数台備える構成としてもよい(不図示)。プレス装置350の側面図(概略図)を図12に示し、封止金型302の正面断面図(概略図)を図13に示す。
【0074】
ここで、プレス装置350は、図12に示すように、一対のプラテン354、356と、一対のプラテン354、356が架設される複数のタイバー352と、プラテン356を可動(昇降)させる駆動装置等を備えて構成されている。具体的に、当該駆動装置は、駆動源(例えば、電動モータ)360及び駆動伝達機構(例えば、ボールねじやトグルリンク機構)362等を備えて構成されている(但し、これに限定されるものではない)。本実施形態では、鉛直方向において上方側のプラテン354を固定プラテン(タイバー352に固定されるプラテン)とし、下方側のプラテン356を可動プラテン(タイバー352に摺動可能に保持されて昇降するプラテン)として設定している。但し、これに限定されるものではなく、上下逆に、すなわち上方側を可動プラテン、下方側を固定プラテンに設定してもよく、あるいは、上方側、下方側共に可動プラテンとして設定してもよい(いずれも不図示)。
【0075】
一方、封止金型302は、図13に示すように、プレス装置350における上記一対のプラテン354、356間に配設される一対の金型として、鉛直方向における上方側の上型304と、下方側の下型306とを備えている。すなわち、上型304が上方側のプラテン(本実施形態では、固定プラテン354)に組み付けられ、下型306が下方側のプラテン(本実施形態では、可動プラテン356)に組み付けられている。この上型304と下型306とが相互に接近・離反することで型閉じ・型開きが行われる(鉛直方向(上下方向)が型開閉方向となる)。
【0076】
また、本実施形態においては、一例として、ロール状のフィルムFを封止金型302の内部へ搬送(供給)するフィルム供給機構311が設けられている。尚、フィルムFは、ワークWの構成に応じ、ロール状に代えて短冊状のものが用いられる場合がある。
【0077】
次に、封止金型302の下型306について詳しく説明する。図13に示すように、下型306は、下型チェイス310と、これに保持されるキャビティ駒326、クランパ328等を備えている。下型チェイス310は、サポートピラー312を介してサポートプレート314の上面に対して固定されている。下型306の上面(上型304側の面)にキャビティ308が設けられている。
【0078】
クランパ328は、キャビティ駒326を囲うように環状に構成されると共に、押動ピン322及びクランパバネ(例えば、コイルバネに例示される付勢部材)324を介して、サポートプレート314の上面に対して離間(フローティング)して上下動可能に組み付けられる(但し、この組み付け構造に限定されるものではない)。このキャビティ駒326がキャビティ308の奥部(底部)を構成し、クランパ328がキャビティ308の側部を構成する。尚、一つの下型306に設けられるキャビティ308の形状や個数は、ワークWの形状や個数に応じて適宜設定される(一つもしくは複数個)。
【0079】
また、クランパ328上面やクランパ328とキャビティ駒326との境界部等に、吸引装置に連通する吸引路(孔や溝等)が設けられている(不図示)。これにより、フィルム供給機構311から供給されたフィルムFを、キャビティ308の内面を含む金型面306aに吸着させて保持することができる。また、型閉じをして樹脂封止を行う際にキャビティ308内の脱気を行うことができる。
【0080】
また、本実施形態においては、下型306を所定温度に加熱する下型加熱機構(不図示)が設けられている。この下型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御演算部150によって加熱の制御が行われる。一例として、ヒータは、下型チェイス310に内蔵され、下型306全体及びキャビティ308内に収容される封止樹脂Rに熱を加える構成となっている。当該ヒータによって、下型306が所定温度(例えば、100℃~300℃)となるように加熱される。
【0081】
次に、封止金型302の上型304について詳しく説明する。図13に示すように、上型304は、上型チェイス340と、これに保持される上プレート342等を備えている。
【0082】
また、本実施形態においては、ワークWを上プレート342の下面における所定位置に保持するワーク保持部305が設けられている。このワーク保持部305は、一例として、ワークガイドピン(不図示)、及び上プレート342を貫通して配設され、吸引装置に連通する吸引路(孔や溝等)を有している(不図示)。具体的には、吸引路の一端が上型304の金型面304aに通じ、他端が上型304外に配設される吸引装置と接続される。これにより、吸引装置を駆動させて吸引路からワークWを吸引し、金型面304a(ここでは、上プレート342の下面)にワークWを吸着させて保持することが可能となる。上記の吸着保持機構に代えて、もしくは吸着保持機構と共に、ワークWの外周を挟持する保持爪を備える構成としてもよい(不図示)。尚、一つの上型304に設けられるワーク保持部305の形状や個数は、ワークWの形状や個数に応じて適宜設定される(一つもしくは複数個)。
【0083】
また、本実施形態においては、上型304を所定温度に加熱する上型加熱機構(不図示)が設けられている。この上型加熱機構は、ヒータ(例えば、電熱線ヒータ)、温度センサ、電源等を備えており、制御演算部150によって加熱の制御が行われる。一例として、ヒータは、上型チェイス340に内蔵され、上型304全体及びワーク保持部305に保持されるワークWに熱を加える構成となっている。当該ヒータによって、上型304が所定温度(例えば、100℃~300℃)となるように加熱される。
【0084】
続いて、上記の構成を備える圧縮成形装置1を用いて実施される本実施形態に係る圧縮成形方法の工程について説明する。ここで、図14図18は、各工程の説明図であって、図13と同方向の正面断面図として図示する。
【0085】
先ず、第1の実施形態と同様に準備工程を実施する。具体的に、上型加熱機構により上型304を所定温度(例えば、100℃~300℃)に調整して加熱する加熱工程(上型加熱工程)を実施する。また、下型加熱機構により下型306を所定温度(例えば、100℃~300℃)に調整して加熱する加熱工程(下型加熱工程)を実施する。また、フィルム供給機構311を作動させて新しいフィルムFを封止金型302内にセットするフィルムセット工程を実施する。
【0086】
上記の準備工程と前後して、もしくは並行して、板状もしくはブロック状の固形・半固形樹脂であって第1分量(樹脂の量、すなわちグラム数)を有する第1封止樹脂Raを準備する樹脂準備工程を実施する。具体的な工程は、第1の実施形態と同様である。
【0087】
上記の樹脂準備工程、演算工程と前後して、もしくは並行して、上型304のワーク保持部305にワークWを保持させるワーク保持工程を実施する(図14参照)。具体的には、供給マガジン102から供給されたワークWを、第1ローダ132によって保持して封止金型302内へ搬入し、ワーク保持部305に保持させる。
【0088】
上記のワーク保持工程の前のいずれかの時点で、計測部140等が、ワークW毎に一つの基材Waに搭載された電子部品Wbの有無の数(搭載数もしくは欠落数であり、さらには電子部品Wbの高さを計測する場合を含んでもよい)を計測する。次いで、制御演算部150が、当該計測データに基づき、計測したワークWを封止するために必要な封止樹脂Rの総量を算定し、当該総量と上記第1分量とを比較する演算工程を実施する。尚、前述の通り、計測部140が圧縮成形装置1の装置外に配置され、ワークW毎に計測された電子部品Wbの有無の数の計測データが本装置の制御演算部150へ送信される構成としてもよい(不図示)。
【0089】
次いで、演算工程の実施により、上記総量に対して上記第1分量が不足している結果となった場合に、封止樹脂Rとして、ブロック状の固形・半固形樹脂であって、不足量に相当する第2分量を有する第2封止樹脂Rbを追加的に準備する追加樹脂準備工程を実施する。具体的な工程は、第1の実施形態と同様である。
【0090】
ワーク保持工程の後に、準備した封止樹脂R(すなわち、樹脂準備工程で準備した第1封止樹脂Ra、及び、追加樹脂準備工程で準備した第2封止樹脂Rb)を、所定位置に載置する樹脂載置工程を実施する。本実施形態においては、樹脂供給部120から供給された第1封止樹脂Raを、第1ローダ132によって保持して封止金型302内へ搬入し、下型306のキャビティ308の底面上(すなわち、キャビティ駒326の上面上)に載置する(図15参照)。次いで、樹脂供給部120から供給された第2封止樹脂Rbを、第1ローダ132によって保持して封止金型302内へ搬入し、第1封止樹脂Raの上に載置する(図16参照)。これによれば、ワークWの電子部品Wbの欠落等によって必要な樹脂の総量が増加した場合においても、必要な樹脂の総量を容易且つ迅速に確保することができるため、樹脂量の不足に起因する成形不良の発生を防止することができる。
【0091】
または、樹脂載置工程の他の例として、樹脂供給部120から供給された第1封止樹脂Raの上に、樹脂供給部120から供給された第2封止樹脂Rbが載置された状態とした後、第1ローダ132によってそれらを保持して封止金型302内へ搬入し、下型306のキャビティ308の底面上(すなわち、キャビティ駒326の上面上)に載置する工程として実施してもよい。これによれば、封止樹脂R(第1封止樹脂Ra、第2封止樹脂Rb)の搬入をそれぞれ別に行うのではなく、一回で行う利点がある。また、封止金型302に同時に入れられるため、第1封止樹脂Raと第2封止樹脂Rbとの熱履歴が同じになる利点もある。
【0092】
樹脂載置工程の後に、ワークWを封止樹脂R(第1封止樹脂Ra、第2封止樹脂Rb)により封止して成形品Wpに加工する樹脂封止工程を実施する。具体的に、封止金型302の型閉じを行い、キャビティ308内でキャビティ駒326を相対的に上昇させて、ワークWに対して封止樹脂Rを加熱加圧する型閉じ工程を実施する。これにより、封止樹脂Rが熱硬化して樹脂封止(圧縮成形)が完了する(図17参照)。
【0093】
従来の下型にキャビティが設けられる圧縮成形装置において、封止樹脂として顆粒樹脂が用いられる場合、キャビティ内に収容される封止樹脂(顆粒樹脂)の粒径や高さ(積層厚さ)は均一にはならない。そのため、例えば、顆粒樹脂の種類及び溶融状態によっては完全に液状(粘度が低い状態)にはなっていない場合があり、ストリップタイプのワイヤー接続された電子部品(半導体チップ)Wbが搭載されたワークW等に対して型閉じ工程を実施する場合において、図19に示すように、位置によっては、上型に保持されるワークのワイヤー部分が当該封止樹脂(顆粒樹脂)と部分的に強く(大きく)接触して変形してしまう課題が生じ得る。さらに、図20に示すように、キャビティ内における樹脂流動が大きく発生し、ワイヤー部分が切断・変形してしまう課題が生じ得る。
【0094】
上記の課題に対して、本実施形態においては、固形・半固形樹脂として形成されている封止樹脂R(第1封止樹脂Ra、第2封止樹脂Rb)が上記の状態で載置された構成を採用することにより、その解決を可能としている。特に、封止金型302の型閉じをする際に、上型304を下型306に徐々に接近させて、キャビティ308内に収容された封止樹脂Rの脚部(第2封止樹脂)Rbの先端部(上端部)が、ワーク保持部305に保持されたワークWの基材Waと当接した状態において、封止樹脂Rの本体部(第1封止樹脂)RaがワークWの電子部品Wb(ワイヤーを有する電子部品Wbは、ワイヤーを含む)と当接しない状態となるように、キャビティ308の底面上に第1封止樹脂Raが載置され、第1封止樹脂Ra上に第2封止樹脂Rbが載置される構成であることが好ましい。
【0095】
そのためには、前述の第1の実施形態と同様に、脚部となる第2封止樹脂Rbを立設できることが重要となる。具体的には、基材Wa上に搭載される電子部品Wbに欠落が無い場合のワークWを封止するために必要な総量(すなわち「最大量」)よりも、第1封止樹脂Raの樹脂量(すなわち「第1分量」)が少量となるように設定し、且つ、最大量と第1分量との差の量が、少なくとも本体部(第1封止樹脂)Raを離間させることができる本数の脚部(第2封止樹脂)Rbを立設可能な量となるように第2封止樹脂Rbの樹脂量(第2分量)を設定すれば、上記の状態を実現できる。尚、電子部品Wbの欠落によってさらに不足量が生じた場合、第2封止樹脂Rbを増加させるだけで対応することができる。
【0096】
ここで、封止樹脂Rの具体的な構成(形状)については、前述の第1の実施形態における具体例(図10図11A図11B)と同様となる。但し、これらの構成に限定されるものではない。
【0097】
尚、上記の型閉じ工程に続く後の工程は、従来の圧縮成形方法と同様である。概略として、封止金型302の型開きを行い、成形品Wpと使用済みのフィルムFとを分離して当該成形品Wpを取出せるようにする型開き工程を実施する(図18参照)。次いで、第2ローダ134によって、成形品Wpを封止金型302内から搬出し、収納ユニット100Cへ搬送する成形品搬出工程を実施する。また、成形品搬出工程の後に、もしくは、並行して、フィルム供給機構311を作動させて、使用済みのフィルムFを封止金型302内から送り出し、新しいフィルムFを封止金型302内へ送り込んでセットするフィルム供給工程を実施する。
【0098】
本実施形態に係るその他の構成は、前述の第1の実施形態と同様であり、繰り返しの説明を省略する。
【0099】
以上、説明した通り、本発明によれば、上型にキャビティが設けられる構成の課題解決及び下型にキャビティが設けられる構成の課題解決を図ることができる。また、封止樹脂の流動、巻きムラ、残留気体に起因する成形不良の発生を防止することができる。特に、ワークの電子部品の欠落等によって必要な樹脂の総量が増加した場合においても、必要な樹脂の総量を容易且つ迅速に確保することができるため、樹脂量の不足に起因する成形不良の発生を防止することができる。また、封止樹脂のハンドリングを容易化することができると共に、成形時の粉塵の発生を防止することができる。また、薄い成形品(厚さ寸法が1mm未満)はもちろん、厚い成形品(厚さ寸法が1mm以上)を形成することができる。尚、厚さ寸法の上限は、各種設定条件によるものの、10mm程度まで十分形成可能であると考えられる。
【0100】
尚、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 圧縮成形装置
202、302 封止金型
204、304 上型
205、305 ワーク保持部
206、306 下型
208、308 キャビティ
250、350 プレス装置
F リリースフィルム
R 封止樹脂
Ra 第1封止樹脂
Rb 第2封止樹脂
W ワーク
Wa 基材
Wb 電子部品
Wp 成形品
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