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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139414
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20241002BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20241002BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20241002BHJP
   H10K 50/858 20230101ALI20241002BHJP
   H10K 50/86 20230101ALI20241002BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20241002BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20241002BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G02B3/00 A
H10K50/10
H10K50/858
H10K50/86
H10K59/10
H10K59/38
G09F9/30 365
G09F9/30 349B
G09F9/30 349C
G09F9/30 349Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050342
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣田 佑輝
【テーマコード(参考)】
2H148
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
2H148BD11
2H148BD21
2H148BE36
2H148BG06
2H148BH01
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC32
3K107CC37
3K107EE22
3K107EE27
3K107EE29
3K107FF15
5C094AA12
5C094BA27
5C094ED01
5C094ED02
5C094ED15
(57)【要約】
【課題】視野角特性に優れた表示装置の実現に有用な技術を提供する。
【解決手段】表示装置1Aは、基板2と、前記基板2上に設けられた複数の発光素子ODと、前記複数の発光素子OD上に設けられ、前記複数の発光素子ODとそれぞれ向き合った複数の着色部9B,9G,9Rを含んだカラーフィルタ層9と、前記複数の着色部の隣り合ったものの間に各々が挟まれた複数の隔壁部を含んだブラックマトリクス8とを備え、前記ブラックマトリクス8の上面は、前記カラーフィルタ層9の上面と等しい高さを有しているか、又は、前記カラーフィルタ層9の前記上面と比較して高さがより高い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた複数の発光素子と、
前記複数の発光素子上に設けられ、前記複数の発光素子とそれぞれ向き合った複数の着色部を含んだカラーフィルタ層と、
前記複数の着色部の隣り合ったものの間に各々が挟まれた複数の隔壁部を含んだブラックマトリクスと
を備え、
前記ブラックマトリクスの上面は、前記カラーフィルタ層の上面と等しい高さを有しているか、又は、前記カラーフィルタ層の前記上面と比較して高さがより高い表示装置。
【請求項2】
前記ブラックマトリクスの前記上面は、前記カラーフィルタ層の前記上面と比較して高さがより高い請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記カラーフィルタ層上に設けられ、前記複数の着色部とそれぞれ向き合った複数のレンズを含んだレンズ層を更に備えた請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記カラーフィルタ層上に設けられ、前記複数の着色部とそれぞれ向き合った複数のレンズを含んだレンズ層を更に備え、
前記ブラックマトリクスの前記上面は、前記カラーフィルタ層の前記上面と比較して高さがより高く、
前記レンズ層は、前記複数の隔壁部の各々の上面が少なくとも部分的に露出するように前記複数の隔壁部の位置で開口している請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記レンズ層は、無機化合物又は非感光性樹脂の硬化物からなる請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数の隔壁部の各々は、これを挟んだ前記着色部の配列方向及び前記基板の厚さ方向に対して平行な断面が逆テーパ状である逆テーパ部を含んだ請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記複数の隔壁部の各々は、これを挟んだ前記着色部の配列方向及び前記基板の厚さ方向に対して平行な断面が逆テーパ状であり、前記厚さ方向に積層された複数の逆テーパ部を含んだ請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
前記複数の隔壁部の各々において、前記複数の逆テーパ部のうち、上方に位置したものは、下方に位置したものと比較して、前記配列方向における上面の寸法がより小さい請求項7に記載の表示装置。
【請求項9】
前記ブラックマトリクスは、黒色感光性樹脂組成物の硬化物からなる請求項1に記載の表示装置。
【請求項10】
前記複数の発光素子の各々は、有機エレクトロルミネッセンス素子である請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)や電子ビューファインダ(EVF)用途のマイクロディスプレイ分野において、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(OLED)の利用が注目されている。そのような分野で使用されるマイクロOLEDでは、高解像度化を目的として画素サイズの微細化が進められており、サブ画素のサイズは小さいもので5μmを下回っている。
【0003】
現在、マイクロOLEDのフルカラー表示方式としては、白色バックライトにカラーフィルタを組み合わせた方式が主流である。しかしながら、この方式では、微細化が進むことで混色の影響が大きくなる。ここで、混色とは、或るサブ画素を通った光が隣接するサブ画素を通ることで色の彩度が落ちてしまうことを指している。混色は、ディスプレイをのぞき込む方向が正面方向からずれるほど彩度低下への影響が大きくなる。それ故、上記の理由で生じる混色は、ディスプレイの視野角特性を悪化させるものである。
【0004】
特許文献1には、クロム等の金属からなるブラックマトリクスを設ける代わりに、カラーフィルタにおいて、赤色着色部を、赤色サブ画素の位置だけでなく、隣り合ったサブ画素間の領域にも設けるとともに、これら領域の位置で赤色着色部に緑色着色部及び青色着色部の各々を部分的に重ね合わせることが記載されている。これら着色部が重なり合った部分は、ブラックマトリクスと類似した光学的な役割を果たす隔壁を構成する。
【0005】
特許文献2には、上記特許文献1が開示する構成では、隔壁を光が透過し、この透過光も視認可能であることから、赤色、緑色及び青色の視野角特性に相違を生じることが記載されている。特許文献2には、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を封止する封止層上であって、サブ画素間の境界位置に、着色材料を含まない樹脂からなるか又はアルミニウムなどの金属からなる凸部を設けるとともに、赤色着色部、緑色着色部及び青色着色部を、それらの隣り合ったものの端面が、下方で凸部を間に挟んで向き合い、上方で互いに接するように配置することが記載されている。凸部は、上記の混色を抑制する役割を果たす。また、着色部は、上方で互いに接しているので、密着性に優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-38677号公報
【特許文献2】特開2014-89804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、視野角特性に優れた表示装置の実現に有用な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によると、基板と、前記基板上に設けられた複数の発光素子と、前記複数の発光素子上に設けられ、前記複数の発光素子とそれぞれ向き合った複数の着色部を含んだカラーフィルタ層と、前記複数の着色部の隣り合ったものの間に各々が挟まれた複数の隔壁部を含んだブラックマトリクスとを備え、前記ブラックマトリクスの上面は、前記カラーフィルタ層の上面と等しい高さを有しているか、又は、前記カラーフィルタ層の前記上面と比較して高さがより高い表示装置が提供される。
【0009】
本発明の他の側面によると、前記ブラックマトリクスの前記上面は、前記カラーフィルタ層の前記上面と比較して高さがより高い上記側面に係る表示装置が提供される。
【0010】
本発明の更に他の側面によると、前記カラーフィルタ層上に設けられ、前記複数の着色部とそれぞれ向き合った複数のレンズを含んだレンズ層を更に備えた上記側面の何れかに係る表示装置が提供される。
【0011】
本発明の更に他の側面によると、前記カラーフィルタ層上に設けられ、前記複数の着色部とそれぞれ向き合った複数のレンズを含んだレンズ層を更に備え、前記ブラックマトリクスの前記上面は、前記カラーフィルタ層の前記上面と比較して高さがより高く、前記レンズ層は、前記複数の隔壁部の各々の上面が少なくとも部分的に露出するように前記複数の隔壁部の位置で開口している上記側面の何れかに係る表示装置が提供される。
【0012】
本発明の更に他の側面によると、前記レンズ層は、無機化合物又は非感光性樹脂の硬化物からなる上記側面の何れかに係る表示装置が提供される。
【0013】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の隔壁部の各々は、これを挟んだ前記着色部の配列方向及び前記基板の厚さ方向に対して平行な断面が逆テーパ状である逆テーパ部を含んだ上記側面の何れかに係る表示装置が提供される。
【0014】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の隔壁部の各々は、これを挟んだ前記着色部の配列方向及び前記基板の厚さ方向に対して平行な断面が逆テーパ状であり、前記厚さ方向に積層された複数の逆テーパ部を含んだ上記側面の何れかに係る表示装置が提供される。
【0015】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の隔壁部の各々において、前記複数の逆テーパ部のうち、上方に位置したものは、下方に位置したものと比較して、前記配列方向における上面の寸法がより小さい上記側面に係る表示装置が提供される。
【0016】
本発明の更に他の側面によると、前記ブラックマトリクスは、黒色感光性樹脂組成物の硬化物からなる上記側面の何れかに係る表示装置が提供される。
【0017】
本発明の更に他の側面によると、前記複数の発光素子の各々は、有機エレクトロルミネッセンス素子である上記側面の何れかに係る表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、視野角特性に優れた表示装置の実現に有用な技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置を概略的に示す断面図である。
図2図2は、比較例に係る表示装置を概略的に示す断面図である。
図3図3は、本発明の第2実施形態に係る表示装置を概略的に示す断面図である。
図4図4は、本発明の第3実施形態に係る表示装置を概略的に示す断面図である。
図5図5は、本発明の第4実施形態に係る表示装置を概略的に示す断面図である。
図6図6は、本発明の第5実施形態に係る表示装置を概略的に示す断面図である。
図7図7は、本発明の第6実施形態に係る表示装置を概略的に示す断面図である。
図8図8は、実施例及び比較例に係る表示装置の視野角特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。以下に記載する事項は、単独で又は複数を組み合わせて、上記側面の各々に組み入れることができる。
【0021】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の構成部材の材質、形状、及び構造等によって限定されるものではない。本発明の技術的思想には、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0022】
なお、同様又は類似した機能を有する要素については、以下で参照する図面において同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は模式的なものであり、或る方向の寸法と別の方向の寸法との関係、及び、或る部材の寸法と他の部材の寸法との関係等は、現実のものとは異なり得る。
【0023】
<1>第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る表示装置を概略的に示す断面図である。図1に示す表示装置1Aは、有機EL型マイクロディスプレイである。このマイクロディスプレイは、基板2と、陽極3と、有機発光層(有機EL層)4と、陰極5と、無機封止層6と、平坦化層7と、ブラックマトリクス8と、カラーフィルタ層9とを含んでいる。
【0024】
なお、図中、X及びY方向は、基板2の上面に対して平行であり且つ互いに交差する方向である。ここでは、一例として、X及びY方向は、互いに対して垂直であるとする。また、Z方向は、X及びY方向に対して垂直な方向、即ち、基板2の厚さ方向である。
【0025】
基板2は、ここでは、アレイ基板である。アレイ基板は、シリコン基板と、その上に設けられたアレイ部とを含んでいる。アレイ部は、画素回路と、画素回路へ信号及び電力を供給する配線とを含んでいる。画素回路は、駆動素子及びスイッチとしてのトランジスタ、キャパシタ、及びそれらを互いに接続する配線を含んでいる。トランジスタは、例えば、シリコン基板の表面領域の一部を、ソース領域、チャネル領域及びドレイン領域として含んだ電界効果トランジスタである。
【0026】
陽極3は、基板2上に、画素回路に対応して配置されている。ここでは、一例として、陽極3は、X方向とY方向とに配列しているとする。陽極3は、画素回路へそれぞれ接続された画素電極である。一例によれば、陽極3は、アルミニウムなどの金属又は合金からなる。
【0027】
有機発光層4は、陽極3上に設けられている。有機発光層4は、電荷の注入によって白色に発光するものであれば、どのようなものを用いてもよい。
【0028】
陰極5は、有機発光層4を被覆している。陰極5は、アレイ部に設けられた給電線へ接続された共通電極である。陽極3と、その上に設けられた有機発光層4と、陰極5のうち有機発光層4を間に挟んで陽極3と向き合った部分とは、発光素子ODである有機EL素子を構成している。
【0029】
無機封止層6は、陰極5上に設けられている。無機封止層6は、一般的に水分に極めて弱いという有機EL素子の課題を解決するために設けられる。無機封止層6は、例えば、無機酸化物及び無機窒化物等の無機化合物からなる。無機封止層6は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0030】
平坦化層7は、無機封止層6上に設けられている。平坦化層7は、有機EL素子が射出し、無機封止層6が透過させた白色光を透過させる。平坦化層7は、例えば、樹脂の硬化物からなる。この樹脂は、例えば、アクリル樹脂又はエポキシ樹脂である。樹脂は、アクリル樹脂であることが好ましい。平坦化層7は、省略することができる。
【0031】
カラーフィルタ層9は、平坦化層7上に設けられている。カラーフィルタ層9は、第1着色部9B、第2着色部9G、及び、第3着色部9Rを含んでいる。一例によれば、第1着色部9B、第2着色部9G及び第3着色部9Rは、それぞれ、青色着色層、緑色着色層及び赤色着色層である。白色光が青色着色層、緑色着色層及び赤色着色層へ入射すると、それらは、青色光、緑色光及び赤色光をそれぞれ透過させる。
【0032】
第1着色部9B、第2着色部9G及び第3着色部9Rは、ストライプ配列を形成している。第1着色部9B、第2着色部9G及び第3着色部9Rの各々は、無機封止層6及び平坦化層7を間に挟んで、一列に並んだ複数の有機EL素子と向き合っている。第1着色部9B、第2着色部9G及び第3着色部9Rは、デルタ配列又はモザイク配列を形成していてもよい。
【0033】
第1着色部9B、第2着色部9G及び第3着色部9Rは、着色感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィにより形成することができる。着色感光性樹脂組成物としては、例えば、顔料、透明樹脂、光重合性モノマー、光開始剤及び溶剤を含んだものを使用することができる。
【0034】
カラーフィルタ層9の厚さ、即ち、第1乃至第3着色部の厚さは、0.2μm乃至3.0μmの範囲内にあることが好ましく、0.4μm乃至1.5μmの範囲内にあることがより好ましい。
【0035】
第1乃至第3着色部の各々は、X方向及びY方向の寸法が、0.5μm乃至10.0μmの範囲内にあることが好ましく、1.0μm乃至5.0μmの範囲内にあることがより好ましい。なお、これら寸法は、マイクロディスプレイである表示装置1Aについて説明する技術を、より大型のディスプレイへ適用する場合、第1乃至第3着色部の各々のX方向及びY方向の寸法は、より大きくても構わない。
【0036】
ブラックマトリクス8は、平坦化層7上に設けられている。ブラックマトリクス8は、第1乃至第3着色部の隣り合ったものの間に各々が挟まれた複数の隔壁部を含んでいる。ここでは、ブラックマトリクス8は、第1着色部9B、第2着色部9G及び第3着色部9Rの位置に貫通孔が設けられた遮光層である。ブラックマトリクス8の上面は、カラーフィルタ層9の上面と等しい高さを有している。
【0037】
ブラックマトリクス8は、例えば、黒色感光性樹脂組成物の硬化物からなる。即ち、ブラックマトリクス8は、黒色感光性樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィにより形成することができる。黒色着色感光性樹脂組成物としては、例えば、黒色顔料、透明樹脂、光重合性モノマー、光開始剤及び溶剤を含んだものを使用することができる。
【0038】
以上のように構成された表示装置1Aでは、有機EL素子が射出した白色光をカラーフィルタ層9が着色光へと変換する。この表示装置1Aは、これにより、高い色再現性でカラー画像を表示することができる。また、この表示装置1Aは、例えば、ヘッドマウントディスプレイや電子ビューファインダでの使用に適している。
【0039】
また、この表示装置1Aは、以下に説明するように、視野角特性に優れている。
【0040】
上記の通り、混色抑制の目的で、カラーフィルタにおいて、赤色着色部を、赤色サブ画素の位置だけでなく、隣り合ったサブ画素間の領域にも設けるとともに、これら領域の位置で赤色着色部に緑色着色部及び青色着色部の各々を部分的に重ね合わせることがある。これら着色部が重なり合った部分は、可視光の透過率が低い隔壁を構成する。
【0041】
しかしながら、これら隔壁は、可視領域の全域で透過率が低い訳ではない。また、赤色着色部と緑色着色部とが重なり合った部分と、赤色着色部と青色着色部とが重なり合った部分とは、透過スペクトルが異なる。更に、着色部が重なり合った部分では、その長さ方向に垂直な断面の形状を左右対称とすることは難しい。それ故、この構成では、赤色、緑色及び青色の視野角特性を等しくすることは極めて困難である。
【0042】
また、上記の通り、封止層上であって、サブ画素間の境界位置に、着色材料を含まない樹脂からなるか又はアルミニウムなどの金属からなる凸部を設けるとともに、赤色着色部、緑色着色部及び青色着色部を、それらの隣り合ったものの端面が、下方で凸部を間に挟んで向き合い、上方で互いに接するように配置することがある。この構成では、凸部は混色を抑制する役割を果たす。
【0043】
しかしながら、凸部の上方では隣り合った着色部が接触しているため、或る色の着色部を透過した光が、これに隣接した他の色の着色部へ入射することを完全には防止できない。それ故、この構成では、混色を十分に抑制できない。
【0044】
更に、この構成を採用した場合、凸部に対して着色部を高い位置精度で形成することと、或る色の着色部に対して他の色の着色部を高い位置精度で形成することとが必要である。凸部に対する着色部の位置ずれを生じた場合、赤色、緑色及び青色の視野角特性を等しくすることはできない。また、或る色の着色部と他の色の着色部とをそれらの間に隙間を生じることなく形成するには、後から形成する着色部を、その縁が先に形成した着色部の縁に重なり合うように形成する必要がある。これによって生じる構造は、上記の隔壁と同様である。従って、この場合も、赤色、緑色及び青色の視野角特性を等しくすることはできない。
【0045】
図2は、比較例に係る表示装置を概略的に示す断面図である。図2に示す表示装置1Xは、ブラックマトリクス8の上面の位置がカラーフィルタ層9の上面の位置よりも低いこと以外は、図1を参照しながら説明した表示装置1Aと同様である。この表示装置1Xにおいて、ブラックマトリクス8は、上記の凸部に相当する。従って、この表示装置1Xでは、混色を十分に抑制できず、また、赤色、緑色及び青色の視野角特性を等しくすることはできない。
【0046】
これに対し、図1を参照しながら説明した表示装置1Aでは、第1乃至第3着色部は互いから離間しており、それらの間には、カラーフィルタ層9の厚さ全体に亘って、ブラックマトリクス8の隔壁部が介在している。それ故、或る色の着色部を透過した光が、これと隣り合った他の色の着色部へ入射するのを完全に防止できる。従って、混色を十分に抑制でき、また、赤色、緑色及び青色の視野角特性を等しくすることができる。このような理由から、表示装置1Aは、視野角特性に優れている。
【0047】
<2>第2実施形態
図3は、本発明の第2実施形態に係る表示装置を概略的に示す断面図である。図3に示す表示装置1Bは、ブラックマトリクス8の上面がカラーフィルタ層9の上面と比較して高さがより高いこと以外は、図1を参照しながら説明した表示装置1Aと同様である。
【0048】
表示装置1Bは、表示装置1Aと同様の効果を奏する。
また、表示装置1Bは、表示装置1Aと比較して、製造のばらつきに起因して、ブラックマトリクス8の上面がカラーフィルタ層9の着色部によって被覆された構造、即ち、図2を参照しながら説明した表示装置1Xの構造又はそれに類似した構造を生じるリスクが小さい。この観点では、ブラックマトリクス8の厚さとカラーフィルタ層9の厚さとの差は、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。
【0049】
但し、ブラックマトリクス8の厚さとカラーフィルタ層9の厚さとの差を大きくすると、視野角が狭くなる。従って、ブラックマトリクス8の厚さとカラーフィルタ層9の厚さとの差は、1.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
【0050】
<3>第3実施形態
図4は、本発明の第3実施形態に係る表示装置を概略的に示す断面図である。図4に示す表示装置1Cは、ブラックマトリクス8及びカラーフィルタ層9上に設けられたレンズ層10を更に含んでいること以外は、図1を参照しながら説明した表示装置1Aと同様である。
【0051】
レンズ層10は、無色透明な層である。レンズ層10は、第1乃至第3着色部とそれぞれ向き合った複数のレンズ10Lを含んでいる。レンズ10Lの各々は凸レンズである。レンズ10Lは、レンズ層10の下面に入射した拡散光をコリメート光に近づけて上面から射出する。
【0052】
レンズ層10は、例えば、以下の方法により形成する。
先ず、感光性樹脂からなる塗膜を、ブラックマトリクス8及びカラーフィルタ層9を被覆するように形成する。次に、この塗膜のパターン露光及び現像を行うことにより、第1乃至第3着色部の中央部上にそれぞれが位置した複数の柱状体を形成する。その後、これら柱状体をリフローさせることにより、レンズ10Lを有するレンズ層10を得る。
【0053】
或いは、先ず、ポジ型の感光性樹脂からなる塗膜を、ブラックマトリクス8及びカラーフィルタ層9を被覆するように形成する。次に、この塗膜のうち、ブラックマトリクス8に設けられた各貫通孔の中心に対応した部分から、この貫通孔の側壁に対応した部分へ向けて露光量が順次大きくなるように、及び、ブラックマトリクス8の隔壁部の直上に位置した部分の露光量が最大となるように設計したグレイトーンマスクを介して、塗膜を露光する。その後、現像及び硬化を行うことにより、レンズ10Lを有するレンズ層10を得る。
【0054】
或いは、先ず、ネガ型の感光性樹脂を、ブラックマトリクス8及びカラーフィルタ層9上に塗工する。ここで、ブラックマトリクス8と、カラーフィルタ層9の第1乃至第3着色部とは、表面自由エネルギーが相違しているとする。また、感光性樹脂の表面張力は、第1乃至第3着色部の表面自由エネルギーとほぼ等しく、ブラックマトリクス8の表面自由エネルギーとは大きく相違しているとする。この場合、第1乃至第3着色部は感光性樹脂によって濡れ易く、ブラックマトリクス8は感光性樹脂によって濡れ難い。それ故、第1乃至第3着色部上には、感光性樹脂からなり、上面が凸曲面である島状部が形成される。その後、島状部を露光することにより、レンズ10Lを有するレンズ層10を得る。
【0055】
或いは、先ず、第1乃至第3着色部を被覆した透明材料層を形成する。透明材料層は、ブラックマトリクス8を更に被覆するように形成してもよい。次に、透明材料層上に、アルカリ可溶性と感光性と熱フロー性とを有するレジスト材料を用いてフォトリソグラフィ法と熱リフローとによりレンズ10Lの中央部に対応した島状パターンからなるレンズ母型を形成する。次いで、ドライエッチング法によりレンズ母型の形状をアクリル透明材料層に転写することにより、レンズ10Lを有するレンズ層10を得る。この方法では、透明材料層の材料は感光性である必要がない。それ故、この方法によると、例えば、無機化合物又は非感光性樹脂の硬化物からなるレンズ層10を形成することができる。
【0056】
表示装置1Cは、表示装置1Aと同様の効果を奏する。また、上記の通り、レンズ10Lは、レンズ層10の下面に入射した拡散光をコリメート光に近づけて上面から射出する。従って、表示装置1Cは、広い視野角が要求されない用途に特に適している。
【0057】
<4>第4実施形態
図5は、本発明の第4実施形態に係る表示装置を概略的に示す断面図である。図5に示す表示装置1Dは、ブラックマトリクス8及びカラーフィルタ層9上に設けられたレンズ層10を更に含んでいること以外は、図3を参照しながら説明した表示装置1Bと同様である。また、レンズ層10は、ブラックマトリクス8が含む隔壁部の各々の上面が少なくとも部分的に露出するようにこれら隔壁部の位置で開口していること以外は、図4を参照しながら説明した表示装置1Cのレンズ層10と同様である。
【0058】
表示装置1Dは、表示装置1Bと同様の効果を奏する。また、上記の通り、レンズ10Lは、レンズ層10の下面に入射した拡散光をコリメート光に近づけて上面から射出する。従って、表示装置1Dは、広い視野角が要求されない用途に特に適している。
【0059】
また、表示装置1Dでは、上記の通り、レンズ層10は、ブラックマトリクス8が含む隔壁部の各々の上面が少なくとも部分的に露出するようにこれら隔壁部の位置で開口している。この構成を採用した場合、或るサブ画素が射出した着色光が、その隣のサブ画素のレンズ10Lへ入射するのをより確実に防止できる。また、隔壁部の上面を露出させると、外光の反射が小さくなる。更に、隔壁部はカラーフィルタ層9の上面から上方へ突き出ているので、サイドエッチングを利用してレンズ10Lを形成する上記方法を採用した場合に、エッチングが過剰に進行することに起因してカラーフィルタ層9がダメージを受けるリスクが小さい。この観点でも、ブラックマトリクス8の厚さとカラーフィルタ層9の厚さとの差は、表示装置1Bについて上述した範囲内とすることが好ましい。
【0060】
表示装置1Dにおいても、レンズ層10は、ブラックマトリクス8が含む隔壁部の各々の上面全体を被覆するように設けてもよい。この場合、隔壁部の各々の上面を露出させた構造について上述した効果は得られないが、他の効果は得ることができる。
【0061】
<5>第5実施形態
図6は、本発明の第5実施形態に係る表示装置を概略的に示す断面図である。図6に示す表示装置1Eは、ブラックマトリクス8に以下の構造を採用したこと以外は、図5を参照しながら説明した表示装置1Dと同様である。即ち、表示装置1Dでは、ブラックマトリクス8が含んでいる隔壁部の各々は、これを挟んだ着色部の配列方向及び基板2の厚さ方向に対して平行な断面が矩形状である。これに対し、表示装置1Eでは、ブラックマトリクス8が含んでいる隔壁部の各々は、これを挟んだ着色部の配列方向及び基板2の厚さ方向に対して平行な断面が逆テーパ状である逆テーパ部を含んでいる。
【0062】
隔壁部の断面形状は、黒色感光性樹脂組成物の組成及び露光条件等に応じて変化させることができる。例えば、隔壁部が矩形状の断面を有しているブラックマトリクスを形成する場合は、露光に使用する光に対する吸収が小さい黒色感光性樹脂組成物を使用する。また、隔壁部が逆テーパ状の断面を有しているブラックマトリクスを形成する場合は、露光に使用する光に対する吸収が大きい黒色感光性樹脂組成物を使用する。
【0063】
表示装置1Eは、表示装置1Dと同様の効果を奏する。
また、表示装置1Eは、以下の効果を更に奏する。
【0064】
即ち、表示装置1Eは、表示装置1Dと比較して、隔壁部と着色部との接触面積が大きい。それ故、表示装置1Eでは、表示装置1Dと比較して、着色部の剥離を生じ難い。
【0065】
また、ブラックマトリクス8に図6を参照しながら説明した構造を採用した場合、サイドエッチングを利用してレンズ10Lを形成する上記方法を採用したときに、エッチングが過剰に進行して、レンズ10Lの径が設計値よりも小さくなったとしても、隔壁部のオーバーハングが、着色層の周縁部におけるエッチングを防止する。
【0066】
表示装置1Eにおいて、ブラックマトリクス8の上面は、カラーフィルタ層9の上面と等しい高さを有していてもよい。この場合、ブラックマトリクス8の上面がカラーフィルタ層9の上面と比較して高さがより高い構造について上述した効果は得られないが、他の効果は得ることができる。
【0067】
また、表示装置1Eにおいて、レンズ層10は、ブラックマトリクス8が含む隔壁部の各々の上面全体を被覆するように設けてもよい。この場合、隔壁部の各々の上面を露出させた構造について上述した効果は得られないが、他の効果は得ることができる。
【0068】
<6>第6実施形態
図7は、本発明の第6実施形態に係る表示装置を概略的に示す断面図である。図7に示す表示装置1Fは、ブラックマトリクス8に以下の構造を採用したこと以外は、図6を参照しながら説明した表示装置1Eと同様である。即ち、表示装置1Eでは、ブラックマトリクス8は単層構造を有している。これに対し、表示装置1Fでは、ブラックマトリクス8は多層構造、ここでは二層構造を有している。
【0069】
より具体的には、表示装置1Fでは、ブラックマトリクス8が含んでいる隔壁部の各々は、基板2の厚さ方向に積層された複数の逆テーパ部、ここでは、第1逆テーパ部8a及び第2逆テーパ部8bを含んでいる。第1逆テーパ部8a及び第2逆テーパ部8bの各々は、着色部の配列方向及び基板2の厚さ方向に対して平行な断面が逆テーパ状である。そして、隔壁部の各々において、複数の逆テーパ部のうち、上方に位置したものは、下方に位置したものと比較して、上記配列方向における上面の寸法がより小さい。ここでは、第2逆テーパ部8bは、第1逆テーパ部8aと比較して、上記配列方向における上面の寸法がより小さい。
【0070】
単層構造を有している厚いブラックマトリクスは、粘度が高い黒色感光性樹脂組成物を使用した1回のプロセスで形成することができる。多層構造を有しているブラックマトリクスは、複数回のプロセスを繰り返して、複数の層を順次形成することにより得ることができる。
【0071】
表示装置1Fは、表示装置1Eと同様の効果を奏する。
また、表示装置1Fは、以下の効果を更に奏する。
【0072】
即ち、表示装置1Fでは、表示装置1Eと比較して、隔壁部と着色部との接触面積が更に大きい。それ故、表示装置1Fでは、表示装置1Eと比較して、着色部の剥離を更に生じ難い。
【0073】
また、表示装置1Fでは、上方に位置した第2逆テーパ部8bは、下方に位置した第1逆テーパ部8aと比較して、上記配列方向における上面の寸法がより小さい。それ故、表示装置1Fでは、表示装置1Eと比較して、オーバーハング部が視野角や光取り出し効率へ及ぼす影響がより小さい。
【0074】
表示装置1Fにおいて、ブラックマトリクス8の上面は、カラーフィルタ層9の上面と等しい高さを有していてもよい。この場合、ブラックマトリクス8の上面がカラーフィルタ層9の上面と比較して高さがより高い構造について上述した効果は得られないが、他の効果は得ることができる。
【0075】
また、表示装置1Fにおいて、レンズ層10は、ブラックマトリクス8が含む隔壁部の各々の上面全体を被覆するように設けてもよい。この場合、隔壁部の各々の上面を露出させた構造について上述した効果は得られないが、他の効果は得ることができる。
【0076】
更に、表示装置1Fにおいて、上方に位置した第2逆テーパ部8bは、下方に位置した第1逆テーパ部8aと比較して、上記配列方向における上面の寸法がより小さくなくてもよい。例えば、それら寸法を等しくした表示装置1でも、表示装置1Eと比較して、オーバーハング部が視野角や光取り出し効率へ及ぼす影響がより小さい。また、上方に位置した第2逆テーパ部8bは、下方に位置した第1逆テーパ部8aと比較して、上記配列方向における上面の寸法がより大きい場合であっても、オーバーハング部が視野角や光取り出し効率へ及ぼす影響を小さくする効果は得られない可能性があるが、他の効果は得ることができる。
【0077】
<7>変形例
上記の表示装置には、様々な変形が可能である。
【0078】
例えば、表示装置は、1以上の他の要素を更に含むことができる。例えば、表示装置は、オーバーコート層、密着層及びカバーガラスを更に含むことができる。
【0079】
オーバーコート層は、ブラックマトリクス8及びカラーフィルタ層9上に設けられる層である。オーバーコート層は、カラーフィルタ層9が透過させた着色光を透過させる。オーバーコート層は、平坦化層としての役割を果たす。オーバーコート層は、樹脂などの有機物からなる。
【0080】
密着層は、オーバーコート層上に設けられる層である。密着層は、カラーフィルタ層9及びオーバーコート層が透過させた着色光を透過させる。密着層は、例えば、接着剤からなる。
【0081】
カバーガラスは、密着層上に設けられる。カバーガラスは、カラーフィルタ層9、オーバーコート層及び密着層が透過させた着色光を透過させる。カバーガラスは、有機EL素子やカラーフィルタ層9等を損傷等から保護する。
【0082】
上記の表示装置では、有機発光層4は、陽極3だけでなく、基板2間の隙間の位置で基板2も被覆している。表示装置は、基板2と陰極5との間に介在し、陽極3の位置に貫通孔を有する隔壁絶縁層を更に含んでいてもよい。この場合、有機発光層4は、陽極3のみを被覆するように設けてもよい。なお、表示装置1Aが隔壁絶縁層を更に含む場合、陰極5は、隔壁絶縁層及び有機発光層4を被覆するように設ける。
【0083】
また、上述した表示装置は有機EL型マイクロディスプレイであるが、ここで説明した技術は、他の表示装置に適用することができる。例えば、表示装置は、発光素子として発光ダイオードを含んだマイクロLEDディスプレイであってもよい。
【実施例0084】
以下に、本発明に関連して行った試験について記載する。
【0085】
<1>表示装置の製造
<1.1>サンプルS1
ストライプ配列の代わりにベイヤー配列を採用し、ブラックマトリクス8を省略したこと以外は表示装置1Xについて上述したのと同様の表示装置を製造した。カラーフィルタ層9の厚さは1.2μmとし、着色部のX方向及びY方向の各々の寸法は3.0μmとした。以下、この表示装置をサンプルS1と呼ぶ。
【0086】
<1.2>サンプルS2
ストライプ配列の代わりにベイヤー配列を採用したこと以外は表示装置1Xについて上述したのと同様の表示装置を製造した。ブラックマトリクス8として、厚さが1.0μmであり、隔壁部が矩形状の断面を有し、その幅が0.7μmであるものを形成した。そして、その他の寸法はサンプルS1と同様とした。以下、この表示装置をサンプルS2と呼ぶ。
【0087】
<1.3>サンプルS3
ストライプ配列の代わりにベイヤー配列を採用したこと以外は表示装置1Aについて上述したのと同様の表示装置を製造した。ブラックマトリクス8として、厚さが1.2μmであり、隔壁部が矩形状の断面を有し、その幅が0.7μmであるものを形成した。カラーフィルタ層9の厚さは1.2μmとし、着色部のX方向及びY方向の各々の寸法は4.0μmとした。以下、この表示装置をサンプルS3と呼ぶ。
【0088】
<1.4>サンプルS3
ストライプ配列の代わりにベイヤー配列を採用したこと以外は表示装置1Bについて上述したのと同様の表示装置を製造した。ブラックマトリクス8として、厚さが1.4μmであり、隔壁部が矩形状の断面を有し、その幅が0.7μmであるものを形成した。カラーフィルタ層9の厚さは1.2μmとし、着色部のX方向及びY方向の各々の寸法は4.0μmとした。以下、この表示装置をサンプルS4と呼ぶ。
【0089】
<2>評価
サンプルS1及びS4の各々について、緑色のサブ画素のみを点灯させて、CIE表色系における色度y値の視野角依存性を調べた。その結果を図8に示す。
【0090】
図8において、曲線C1、C2、C3及びC4は、それぞれ、サンプルS1、S2、S3及びS4について得られた結果を示している。
【0091】
曲線C2乃至C4は、測定角度範囲の全域で、曲線C1よりもy値が高い。緑色については、y値が高いほど、彩度が高い。それ故、サンプルS2乃至S4では、サンプルS1とは異なり、混色を抑制できた。
【0092】
また、曲線C3及びC4は、測定角度範囲の全域で、曲線C2よりもy値が高い。即ち、サンプルS3及びS4では、サンプルS2と比較して、混色抑制効果が大きかった。
【0093】
そして、曲線C4は、測定角度範囲の全域で、曲線C3よりもy値が高い。即ち、サンプルS4では、サンプルS3と比較して、混色抑制効果が更に大きかった。
【符号の説明】
【0094】
1A…表示装置、1B…表示装置、1C…表示装置、1D…表示装置、1E…表示装置、1F…表示装置、1X…表示装置、2…基板、3…陽極、4…有機発光層、5…陰極、6…無機封止層、7…平坦化層、8…ブラックマトリクス、8a…第1逆テーパ部、8b…第2逆テーパ部、9…カラーフィルタ層、9B…第1着色部、9G…第2着色部、9R…第3着色部、C1…曲線、C2…曲線、C3…曲線、C4…曲線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8