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特開2024-139417ラベル印刷装置、ラベル印刷方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139417
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】ラベル印刷装置、ラベル印刷方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 25/20 20060101AFI20241002BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241002BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241002BHJP
   B41J 21/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B41J25/20
B41J29/38 206
G03G21/00 510
B41J21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050346
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 義之
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS06
2C061AS08
2C061CE03
2C061CG02
2C061CK01
2C061CK08
2C061HH03
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HL01
2C061HL03
2C061HL04
2C061JJ01
2C061JJ12
2C061KK13
2C061KK22
2C061KK26
2C061KK31
2C187AC01
2C187AC06
2C187AD05
2C187AD09
2C187AE13
2C187AE18
2C187AG08
2C187BF11
2C187BF36
2C187BF41
2C187BF50
2C187BH18
2C187BH23
2C187CD04
2C187CD07
2C187HA01
2C187HA33
2H270LA44
2H270LC02
2H270LC07
2H270PA14
2H270PA71
2H270PA75
2H270RA27
2H270RC10
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】ラベル印刷において、抜き位置のずれを直感的かつ正確に把握でき、抜き位置の調整に要する資源や工数の無駄を削減できるラベル印刷装置、ラベル印刷方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】ラベル印刷装置は、印刷データを解析して、ラベル画像、基準マーク及びカットマークを抽出する印刷データ解析部と、納品用画像を生成する納品用画像生成部と、カットマークに基づく特定画像を含む調整用画像を生成する調整用画像生成部と、調整用画像と納品用画像とを連続紙に印刷させる印刷指示部と、を備え、特定画像は、カットマークを複数に分割することにより形成される複数の分割カットマークで構成され、調整用画像生成部は、基準マークに対するカットマークの描画位置を基準位置として、ずれ量及びずれ方向の少なくとも一方が異なるように、それぞれの分割カットマークを基準位置からずらして配置する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抜き加工によって抜き取られるラベル画像を連続紙に繰り返し印刷するラベル印刷装置であって、
印刷データを解析して、前記ラベル画像、前記抜き加工の位置決めに使用する基準マーク、及び、前記ラベル画像の抜き取り枠を示すカットマークを抽出する印刷データ解析部と、
前記基準マーク及び当該基準マークに対応する前記ラベル画像を含む納品用画像を生成する納品用画像生成部と、
前記基準マーク及び当該基準マークに対応する前記カットマークに基づく特定画像を含む調整用画像を生成する調整用画像生成部と、
前記調整用画像と前記納品用画像とを前記連続紙に印刷させる印刷指示部と、を備え、
前記特定画像は、前記カットマークを複数に分割することにより形成される複数の分割カットマークで構成され、
前記調整用画像生成部は、前記基準マークに対する前記カットマークの描画位置を基準位置として、ずれ量及びずれ方向の少なくとも一方が異なるように、それぞれの前記分割カットマークを前記基準位置からずらして配置する、
ラベル印刷装置。
【請求項2】
前記特定画像は、前記カットマークを主走査方向又は副走査方向に2以上に分割することにより形成される、
請求項1に記載のラベル印刷装置。
【請求項3】
前記印刷指示部は、前記連続紙に複数の前記調整用画像を連続して印刷させ、
前記調整用画像生成部は、複数の前記調整用画像に含まれるすべての前記分割カットマークについて、前記ずれ量及び前記ずれ方向の少なくとも一方を異ならせる、
請求項1に記載のラベル印刷装置。
【請求項4】
前記調整用画像生成部は、それぞれの前記分割カットマークに対して、ずれ量及びずれ方向を示す情報を付加する、
請求項1に記載のラベル印刷装置。
【請求項5】
前記調整用画像生成部は、前記カットマークを分割してなる前記分割カットマークの組を、前記調整用画像の中に複数組配置し、前記調整用画像に含まれるすべての前記分割カットマークについて、前記ずれ量及び前記ずれ方向の少なくとも一方を異ならせる、
請求項1に記載のラベル印刷装置。
【請求項6】
前記調整用画像生成部は、前記調整用画像の中に配置される前記分割カットマークの描画態様を組ごとに異ならせる、
請求項4に記載のラベル印刷装置。
【請求項7】
前記調整用画像生成部は、前記調整用画像に、前記分割カットマークを視認しやすくするための強調画像を配置する、
請求項1に記載のラベル印刷装置。
【請求項8】
抜き加工によって抜き取られるラベル画像を連続紙に繰り返し印刷するラベル印刷方法であって、
印刷データを解析して、前記ラベル画像、前記抜き加工の位置決めに使用する基準マーク、及び、前記ラベル画像の抜き取り枠を示すカットマークを抽出する工程と、
前記基準マーク及び当該基準マークに対応する前記ラベル画像を含む納品用画像を生成する工程と、
前記基準マーク及び当該基準マークに対応する前記カットマークに基づく特定画像を含む調整用画像を生成する工程と、
前記調整用画像と前記納品用画像とを前記連続紙に印刷させる工程と、を含み、
前記特定画像は、前記カットマークを複数に分割することにより形成される複数の分割カットマークで構成され、
前記調整用画像を生成する工程は、前記基準マークに対する前記カットマークの描画位置を基準位置として、ずれ量及びずれ方向の少なくとも一方が異なるように、それぞれの前記分割カットマークを前記基準位置からずらして配置する工程を含む、
ラベル印刷方法。
【請求項9】
抜き加工によって抜き取られるラベル画像を連続紙に繰り返し印刷するラベル印刷装置を制御可能に構成されるコンピューターに、所定の処理を実行させるプログラムであって、
前記所定の処理は、
印刷データを解析して、前記ラベル画像、前記抜き加工の位置決めに使用する基準マーク、及び、前記ラベル画像の抜き取り枠を示すカットマークを抽出する処理と、
前記基準マーク及び当該基準マークに対応する前記ラベル画像を含む納品用画像を生成する処理と、
前記基準マーク及び当該基準マークに対応する前記カットマークに基づく特定画像を含む調整用画像を生成する処理と、
前記調整用画像と前記納品用画像とを前記連続紙に印刷させる処理と、を含み、
前記特定画像は、前記カットマークを複数に分割することにより形成される複数の分割カットマークで構成され、
前記調整用画像を生成する処理は、前記基準マークに対する前記カットマークの描画位置を基準位置として、ずれ量及びずれ方向の少なくとも一方が異なるように、それぞれの前記分割カットマークを前記基準位置からずらして配置する処理を含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル印刷装置、ラベル印刷方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、抜き加工によって抜き取られるラベル画像をロール紙等の連続紙に繰り返し印刷するラベル印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。ラベル印刷装置で印刷されたラベル紙は、印刷しただけでは納品物として完了しておらず、後加工装置と連携して、ラベル紙からラベル画像を抜き取る処理(以下、「抜き加工」と称する)や、ラベル画像以外の不要な部分をラベル紙から取り除く処理(以下、「カス上げ」と称する)を行うことにより、最終納品物が完成する。
【0003】
ラベル紙には、ラベル画像とともに、抜き加工時の基準となる基準マーク(いわゆるアイマーク)が印刷される。後加工装置では、ラベル紙に印刷された基準マークを参照することにより、抜き加工すべきラベル画像の位置が特定される。
【0004】
ところで、抜き加工は、ラベル画像に応じた機構部品(抜き型)により行われる。そのため、基準マークを参照してラベル画像の位置を特定できても、後加工装置に対する機構部品の取付け位置によっては、ラベル画像の抜き位置にずれが生じてしまう。通常は、所定数のラベル画像の抜き加工を実施し、抜き取られたラベル画像を目視で確認して抜き位置の適否を判定し、期待通りの位置で抜き加工ができるまで機構部品の位置調整を繰り返している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-181718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来のラベル印刷装置では、抜き取られたラベル画像を目視して抜き位置の適否を判定し、機構部品(抜き型)の位置調整を行うため、納品数よりも多めにラベル画像を印刷する必要がある。また、機構部品の位置調整は、オペレーターの技量に依存するため、熟練するまでは何度も位置調整が必要であり、位置調整用として大量のラベル画像を廃棄することになり、資源や工数を無駄に消費するという問題がある。
【0007】
特許文献1では、位置を少しずつずらして配置したカットマークを含む調整用画像を利用して、抜き位置とカットマークを比較することにより、抜き位置のずれを直感的に把握できるものの、依然として資源の無駄が発生する。
【0008】
本発明の目的は、ラベル印刷において、抜き位置のずれを直感的かつ正確に把握でき、抜き位置の調整に要する資源や工数の無駄を削減できるラベル印刷装置、ラベル印刷方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るラベル印刷装置は、
抜き加工によって抜き取られるラベル画像を連続紙に繰り返し印刷するラベル印刷装置であって、
印刷データを解析して、前記ラベル画像、前記抜き加工の位置決めに使用する基準マーク、及び、前記ラベル画像の抜き取り枠を示すカットマークを抽出する印刷データ解析部と、
前記基準マーク及び当該基準マークに対応する前記ラベル画像を含む納品用画像を生成する納品用画像生成部と、
前記基準マーク及び当該基準マークに対応する前記カットマークに基づく特定画像を含む調整用画像を生成する調整用画像生成部と、
前記調整用画像と前記納品用画像とを前記連続紙に印刷させる印刷指示部と、を備え、
前記特定画像は、前記カットマークを複数に分割することにより形成される複数の分割カットマークで構成され、
前記調整用画像生成部は、前記基準マークに対する前記カットマークの描画位置を基準位置として、ずれ量及びずれ方向の少なくとも一方が異なるように、それぞれの前記分割カットマークを前記基準位置からずらして配置する。
【0010】
本発明に係るラベル印刷方法は、
抜き加工によって抜き取られるラベル画像を連続紙に繰り返し印刷するラベル印刷方法であって、
印刷データを解析して、前記ラベル画像、前記抜き加工の位置決めに使用する基準マーク、及び、前記ラベル画像の抜き取り枠を示すカットマークを抽出する工程と、
前記基準マーク及び当該基準マークに対応する前記ラベル画像を含む納品用画像を生成する工程と、
前記基準マーク及び当該基準マークに対応する前記カットマークに基づく特定画像を含む調整用画像を生成する工程と、
前記調整用画像と前記納品用画像とを前記連続紙に印刷させる工程と、を含み、
前記特定画像は、前記カットマークを複数に分割することにより形成される複数の分割カットマークで構成され、
前記調整用画像を生成する工程は、前記基準マークに対する前記カットマークの描画位置を基準位置として、ずれ量及びずれ方向の少なくとも一方が異なるように、それぞれの前記分割カットマークを前記基準位置からずらして配置する工程を含む。
【0011】
本発明に係るプログラムは、
抜き加工によって抜き取られるラベル画像を連続紙に繰り返し印刷するラベル印刷装置を制御可能に構成されるコンピューターに、所定の処理を実行させるプログラムであって、
前記所定の処理は、
印刷データを解析して、前記ラベル画像、前記抜き加工の位置決めに使用する基準マーク、及び、前記ラベル画像の抜き取り枠を示すカットマークを抽出する処理と、
前記基準マーク及び当該基準マークに対応する前記ラベル画像を含む納品用画像を生成する処理と、
前記基準マーク及び当該基準マークに対応する前記カットマークに基づく特定画像を含む調整用画像を生成する処理と、
前記調整用画像と前記納品用画像とを前記連続紙に印刷させる処理と、を含み、
前記特定画像は、前記カットマークを複数に分割することにより形成される複数の分割カットマークで構成され、
前記調整用画像を生成する処理は、前記基準マークに対する前記カットマークの描画位置を基準位置として、ずれ量及びずれ方向の少なくとも一方が異なるように、それぞれの前記分割カットマークを前記基準位置からずらして配置する処理を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ラベル印刷において、抜き位置のずれを直感的かつ正確に把握でき、抜き位置の調整に要する資源や工数の無駄を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施の形態に係るラベル印刷システムの全体構成を示す図である。
図2図2は、ラベル印刷装置の制御系の主要部を示す図である。
図3図3A図3Cは、ラベル作成用画像、納品用画像及び調整用画像の一例を示す図である。
図4図4は、ラベル印刷時にラベル紙に印刷される納品用画像及び調整用画像の一例を示す図である。
図5図5は、ラベル印刷処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、調整用画像生成処理の一例を示すフローチャートである。
図7図7A図7Bは、調整用画像と実際の抜き位置の関係を示す図である。
図8図8は、調整用画像の一例を示す図である。
図9図9A図9Cは、調整用画像の他の一例を示す図である。
図10図10は、調整用画像の描画態様の一例を示す図である。
図11図11A図11Bは、調整用画像の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態に係るラベル印刷システム1の全体構成を示す図である。
【0016】
ラベル印刷システム1は、台紙(剥離紙)に印刷紙が剥離可能に貼着された長尺のラベル紙S(連続紙)にラベル画像を印刷し、ラベルとして使用する部分に抜き加工を行って、ラベル納品物を製造するシステムである。なお、ラベル紙Sは、紙媒体であってもよいし、樹脂製のフィルム媒体であってもよい。
【0017】
ラベル印刷システム1は、例えば、LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワーク3を介して、クライアント端末2と接続される。ラベル印刷システム1は、クライアント端末2から送信される印刷データに基づいて、ラベル納品物を製造する。
【0018】
クライアント端末2は、アプリケーションで作成されたデータを、プリンターコントローラーが解釈可能な印刷データに変換し、当該印刷データをラベル印刷システム1に送信する。印刷データは、例えば、PJL(Printer Job Language)やPS(PostScript)、PCL(Printer Control Language)等のページ記述言語で記述されたPDL(Page Description Language)データ、又は、PDF(Portable Document Format)データである。
【0019】
印刷データは、ラベル作成用画像50(図3A参照)の画像データ及び印刷設定用データを有する。ラベル作成用画像50は、ラベル画像51、基準マーク52(いわゆるアイマーク)及びカットマーク53を含む。印刷設定用データは、ラベル画像51、基準マーク52及びカットマーク53の印刷条件を規定するデータである。例えば、カットマーク53の色は、ラベル画像51に対する位置を画面上で調整しやすくするために、通常、ユーザーが予め設定した特定の色(特色)に設定されている。
【0020】
図1に示すように、ラベル印刷システム1は、ラベル印刷装置1A、後加工装置1B、給紙装置1C及び巻取装置1Dを備える。本実施の形態では、ラベル印刷装置1Aと後加工装置1Bがインラインで接続されており、ラベル印刷装置1Aによってラベル紙Sにラベル印刷が行われた後、続けて後加工装置1Bで抜き加工等の後加工処理が施され、一連の処理によりラベル納品物が製造されるようになっている。
【0021】
ラベル印刷装置1Aは、例えば、クライアント端末2からの印刷データに基づいて、ラベル紙Sにラベル印刷を行う。ラベル印刷は、後述する納品用画像50A(図3B参照)及び調整用画像50B(図3C参照)の印刷を含む。
【0022】
ラベル印刷システム1では、ラベル印刷装置1Aの制御部11(図2参照)が、プリンターコントローラーとして機能し、クライアント端末2から送信された印刷データに基づいて、ラベル印刷装置1Aの各ブロックとともに、後加工装置1B、給紙装置1C及び巻取装置1Dを制御する。
【0023】
後加工装置1Bは、ラベル印刷装置1Aの制御部11からの指示に従い、納品用画像50A又は調整用画像50Bが形成されたラベル紙Sに対して、抜き加工及びカス上げを含む後加工処理を施す。なお、後加工装置1Bは、少なくとも抜き加工処理を実施できればよく、カス上げ処理については任意である。
【0024】
給紙装置1Cは、ラベル印刷装置1Aの制御部11からの指示に従い、ロール状のラベル紙Sを繰り出してラベル印刷装置1Aに給紙する。
【0025】
巻取装置1Dは、ラベル印刷装置1Aの制御部11からの指示に従い、後加工処理が施されたラベル納品物を巻き取る。
【0026】
図2は、ラベル印刷装置1Aの制御系の主要部を示す図である。
【0027】
図2に示すように、ラベル印刷装置1Aは、制御部11、記憶部12、通信部13、画像処理部14、画像形成部15、表示部16及び操作部17等を備える。
【0028】
制御部11は、演算/制御装置としてのCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するコンピューターである。ROMには、基本プログラムや基本的な設定データが記憶される。また、ROMには、ラベル印刷に関するプログラムが記憶される。CPUは、ROMから処理内容に応じたプログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムを実行することにより、ラベル印刷装置1Aの各ブロック、後加工装置1B、給紙装置1C及び巻取装置1Dの動作を集中制御する。
【0029】
なお、制御部11が実行する処理の一部又は全部は、処理に応じて設けられたDSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路によって実行されてもよい。
【0030】
記憶部12は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。記憶部12には、例えば、各ブロックの動作を制御する際に参照されるルックアップテーブルが格納される。
【0031】
通信部13は、例えばNIC(Network Interface Card)、MODEM(MOdulator-DEModulator)、USB(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースを有し、後加工装置1B、給紙装置1C、巻取装置1D、及び、クライアント端末2等の外部装置との間で各種情報の送受信を行う。
【0032】
画像処理部14は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う。画像処理部14は、例えば、制御部11の制御下で、クライアント端末2から受け取った印刷データに対して、ラスタライズや色変換などの画像処理を行い、画像処理後の画像データを画像形成部15に転送する。
【0033】
画像形成部15は、画像処理部14から転送された画像データに基づいて、ラベル紙Sにラベル作成用画像を形成する。画像形成部15は、例えば、電子写真方式のプリンターエンジンであり、感光体ドラム、帯電装置、露光装置及び現像装置を含む作像部と、感光体ドラムに作像されたトナー像をラベル紙Sに転写する転写部と、転写された画像を加熱及び加圧して定着させる定着部と、を有する(いずれも符号略)。なお、画像形成部15は、インクジェット方式、感熱方式又は熱転写方式のプリンターエンジンで構成されてもよい。
【0034】
表示部16は、制御部11から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像状態、各機能の動作状況等の表示を行う。
【0035】
操作部17は、マウス、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを有し、ユーザーによる入力操作を受け付けて、操作信号を制御部11に出力する。ユーザーは、操作部17を操作して、例えば、原稿設定、画質設定、倍率設定、応用設定、出力設定、及び記録材設定などの画像形成に関する設定を行うことができる。
【0036】
表示部16及び操作部17は、例えば、タッチパネル付きのフラットパネルディスプレイにより一体的に構成されてもよい。フラットパネルディスプレイとしては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
【0037】
本実施の形態では、ラベル印刷装置1Aの制御部11は、ラベル印刷プログラムを実行することにより、印刷データ解析部111、納品用画像生成部112、調整用画像生成部113及び印刷指示部114として機能する。これらの機能については、後述する。
【0038】
ラベル印刷装置1Aにおいてラベル印刷を行う場合、ラベル紙Sに、納品用画像50A(図3B参照)及び調整用画像50B(図3C参照)が印刷される。納品用画像50Aは、ラベルとして使用される画像である。調整用画像50Bは、後加工装置1Bにおける抜き型の取付位置を調整するために用いられる画像である。
【0039】
本実施の形態のように、ラベル印刷装置1Aと後加工装置1Bがインラインで接続されている場合、調整用画像50Bによって後加工装置1Bにおける抜き型の位置調整を行った後、続けて納品用画像50Aの印刷が行われる。そのため、ラベル紙Sには、先に調整用画像50Bが印刷され、調整用画像50Bを用いて抜き型の位置調整が行われた後、納品用画像50Aが印刷される。
【0040】
一方、ラベル印刷装置1Aと後加工装置1Bがオフラインで接続されている場合、ラベル印刷装置1Aで必要数の納品用画像50A及び調整用画像50Bを印刷した後、巻き取られたロール紙を後加工装置1Bの給紙装置に装着して、抜き加工が行われる。抜き加工を行うに際し、まず、抜き型の位置調整を行う必要があるため、調整用画像50Bが印刷されている部分が先に後加工装置1Bに通紙されるように、ラベル印刷装置1Aでは、先に納品用画像50Aが印刷され、その後に、調整用画像50Bが印刷される。
【0041】
図3A図3Cは、ラベル作成用画像50、納品用画像50A及び調整用画像50Bの一例を示す図である。
【0042】
図3Aに示すように、ラベル作成用画像50は、ラベル画像51、基準マーク52及びカットマーク53を含む。ラベル作成用画像50のデータは、例えば、クライアント端末2からの印刷データに含まれる。ラベル作成用画像50において、ラベル画像51、基準マーク52及びカットマークの位置関係は、予め設定されている。
【0043】
ラベル画像51は、ラベルとして使用される画像である。図3Aに示すラベル画像51では、楕円形の背景511の中央に横書きの文字列512が配置されている。
【0044】
基準マーク52は、抜き加工の位置調整の基準となる画像である。基準マーク52は、後加工装置1Bの使用に合わせて、例えば、用紙端などのラベル本体以外の不要部分(いわゆる「カス」)に配置される。基準マーク52は、あらかじめ定められた形状やサイズを有する。基準マーク52は、通常、1cm以内の黒い四角形で描画される。基準マーク52の位置に基づいて、ラベル画像51及びカットマーク53の位置を容易に推定することができる。抜き加工では、基準マーク52が読み取られ、基準マーク52の位置を元に、カットマーク53の位置と一致するように抜き型による抜き位置が調整される。
【0045】
カットマーク53は、ラベル画像51を適切に抜き取るためのガイドを示す画像である。図3Aでは、カットマーク53は、ラベル画像51の外形よりも一回り小さい楕円枠形状に形成されている。カットマーク53は、通常、特色等で描画され、クライアント端末2の表示部上での確認や、抜き型の作製のために使用されるものであり、ラベル印刷には使用されない。本実施の形態では、カットマーク53を使用して、抜き型の位置調整を行うための調整用画像50Bが生成される。
【0046】
図3Bに示すように、納品用画像50Aは、ラベル画像51及び基準マーク52を含む。すなわち、ラベル印刷においては、クライアント端末2で作成されたラベル作成用画像50からカットマーク53を除いた納品用画像50Aの画像データに基づいて、ラベル印刷が行われる。納品用画像50Aとして印刷されたラベル画像51のうち、カットマーク53に沿って抜き取られる部分が、ラベル本体として使用される。なお、納品用画像50Aは、カットマーク53を含まないが、説明の便宜上、図3Bでは、カットマーク53を一点鎖線で示している。
【0047】
図3Cに示すように、調整用画像50Bは、基準マーク52及び特定画像60を含む。特定画像60は、カットマーク53に基づいて描画される画像であり、抜き型の位置調整を行うために用いられる。
【0048】
具体的には、特定画像60は、カットマーク53を複数に分割することにより形成された複数の分割カットマークで構成される。図3Cでは、特定画像60は、カットマーク53を上下左右に4分割した4つの分割カットマーク601~604で構成されている。
【0049】
分割カットマーク601~604は、基準マーク52に対するカットマーク53の描画位置(図3Cの一点鎖線参照)を基準位置として、ずれパターンが異なるように基準位置からずらして配置される。図3Cでは、分割カットマーク601は、基準位置から右上にずらして配置され、分割カットマーク602は、基準位置から左上にずらして配置され、分割カットマーク603は、基準位置から下にずらして配置され、分割カットマーク604は、基準位置から右にずらして配置されている。
【0050】
分割カットマーク601~604のずれパターンは、基準位置からのずれ量及びずれ方向を含み、例えば、基準位置を原点とする含むベクトルで表される。つまり、ずれパターンが異なるとは、ずれ量及びずれ方向の少なくとも一方が異なることを意味する。
【0051】
本実施形態では、用紙幅方向(主走査方向)をX軸、用紙搬送方向(副走査方向)をY軸とする座標系において、基準位置からX軸方向にΔX、Y軸方向にΔYずれているときのずれパターンを(ΔX,ΔY)と表す。
【0052】
なお、図3Cでは、分割カットマーク601~604が内接する矩形を破線で示し、それぞれのずれパターンを認識しやすくしているが、この破線の矩形枠は、特定画像60として描画されてもよいし、描画されなくてもよい。
【0053】
特定画像60を含む調整用画像50Bに対して抜き加工を行い、実際の抜き位置と、分割カットマーク601~604を比較することにより、抜き型のずれ(取付誤差)を特定することができる。具体的には、実際の抜き位置と、いずれかの分割カットマーク601~604の位置が一致した場合、当該一致した分割カットマークのずれパターン(ずれ量及びずれ方向)が、抜き型のずれに相当することになる。
【0054】
抜き型のずれを調整するために、ラベル紙Sには、特定画像60を含む調整用画像50Bが用紙搬送方向に連続して印刷される(図4A参照)。複数の調整用画像50Bのそれぞれに含まれる特定画像60は、互いに異なる。具体的には、それぞれの特定画像60を構成する分割カットマーク601~604に対して、異なるずれパターンが設定される。
【0055】
例えば、抜き型のずれが、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに±20mmの範囲で生じうる場合に、1mm単位でずれパターンを設定すると、抜き型のずれを特定するためには、約1600のずれパターンが必要となる。
【0056】
特定画像60は、ずれパターンが異なる4つの分割カットマーク601~604を含むので、一つの調整用画像50Bに対する一回の抜き加工で、4つのずれパターンと実際の抜き位置の一致/不一致を判断できる。
【0057】
本実施形態のように、ラベル印刷装置1Aと後加工装置1Bとがインラインで接続されている場合、例えば、調整用画像50Bを印刷しつつ、抜き型のずれが確認される。抜き型のずれを特定できた段階で、調整用画像50Bの印刷は終了となり、続いて、納品用画像50Aのラベル印刷が行われる。具体的には、図5に示すフローチャートに従って、ラベル印刷処理が実行される。
【0058】
図5は、ラベル印刷処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、ラベル印刷装置1Aにおいて、クライアント端末2からの印刷データを受信することに伴い、制御部11のCPUがROMに格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0059】
図5に示すように、まず、ステップS1において、制御部11は、印刷データに含まれるラベル作成用画像50の画像データを解析し、ラベル画像51、基準マーク52及びカットマーク53のオブジェクトを抽出する(印刷データ解析部111としての処理)。
【0060】
制御部11は、例えば、K=100%のグラフィックスオブジェクトであって、かつ、10mm程度の矩形のオブジェクトを検出して、検出されたオブジェクトを基準マーク52として抽出する。制御部11は、例えば、特色が指定されたオブジェクトを検出して、検出されたオブジェクトをカットマーク53として抽出する。また、制御部11は、例えば、ラベル作成用画像50に含まれるオブジェクトのうち、基準マーク52及びカットマーク53を除いたオブジェクトを、ラベル画像51として抽出する。
【0061】
次いで、ステップS2において、制御部11は、調整用画像50Bを生成する(調整用画像生成部113としての処理)。調整用画像50Bは、例えば、図6に示すフローチャートに従って生成される。
【0062】
すなわち、図6のステップS21において、制御部11は、抽出されたカットマーク53を所定の分割態様(例えば、上下4分割)で分割する。
【0063】
ステップS22において、制御部11は、それぞれの分割カットマーク601~604に対して、ずれパターンを設定する。1つの特定画像60を構成する4つの分割カットマーク601~604の組に対して、異なる4つのずれパターンが設定される。分割カットマーク601~604に設定されるずれパターンは、4つの分割カットマーク601~604が互いに離間して重ならないように設定されるのが好ましい。
【0064】
例えば、分割カットマーク601に対しては、XY座標系の第1象限(X≧0、Y≧0)内に分割カットマーク601が配置されるようにずれパターン(ΔX1,ΔY1)が設定される。また、分割カットマーク602に対しては、XY座標系の第2象限(X≦0、Y≧0)内に分割カットマーク602が配置されるようにずれパターン(ΔX2,ΔY2)が設定される。同様に、分割カットマーク603に対しては、XY座標系の第3象限(X≦0、Y≦0)内に分割カットマーク603が配置されるようにずれパターン(ΔX3,ΔY3)が設定され、分割カットマーク604に対しては、XY座標系の第4象限(X≧0、Y≦0)内に分割カットマーク604が配置されるようにずれパターン(ΔX4,ΔY4)が設定される。
【0065】
ステップS23において、制御部11は、4つの分割カットマーク601~604で構成される特定画像60及び基準マーク52を描画して、一つの調整用画像50Bを生成する(図3C参照)。分割カットマーク601~604は、それぞれに対して設定されているずれパターン(ΔX1,ΔY1)~(ΔX4,ΔY4)に従って、カットマーク53を基準位置としてずらした位置に配置される。生成された調整用画像50Bの画像データは、画像転送用バッファ(図示略)に格納される。
【0066】
ステップS24において、制御部11は、所定数の調整用画像50Bを生成したか否かを判定する。所定数とは、例えば、抜き型のずれを特定するのに必要な調整用画像50Bの数の最大値である。複数の調整用画像50Bにわたって、分割カットマーク601~604のずれパターンをすべて異ならせる場合、抜き型のずれを特定するのに必要な調整用画像50Bの数の最大値は、ずれの特定に必要なずれパターンの数の1/4となる。なお、所定数は、オペレーターによって指定されてもよい。
【0067】
所定数の調整用画像50Bが生成された場合(ステップS24で“YES”)、調整用画像生成処理を終了し、図4のステップS3に戻る。所定数の調整用画像50Bが生成されていない場合(ステップS24で“NO”)、ステップS22の処理に移行して、調整用画像50Bの生成を繰り返す。生成される複数の調整用画像50B間において、ずれパターン(ΔX1,ΔY1)~(ΔX4,ΔY4)は、互いにすべて異なることが好ましいが、一部重複していてもよい。
【0068】
ステップS3において、制御部11は、画像形成部15等を制御して、ラベル紙Sに調整用画像50Bを印刷させる(印刷指示部114としての処理)。また、制御部11は、後加工装置1Bを制御して、調整用画像50Bが印刷されたラベル紙Sに対して、抜き加工処理及びカス上げ処理を実行させる。調整用画像50Bの印刷処理及び後加工処理は、例えば、後加工処理後のラベル紙Sが巻取装置1Dに巻き取られる前に、オペレーターが抜き位置を確認できるように、所定数単位で断続的に、又は比較的遅い搬送速度で連続的に行われる。
【0069】
ステップS4において、制御部11は、抜き位置の調整が終了したか否かを判定する。抜き位置の調整が終了した場合(ステップS4で“YES”)、ステップS5の処理に移行する。抜き位置の調整が終了していない場合(ステップS4で“NO”)、ステップS3の処理に移行する。
【0070】
抜き位置の調整が終了したか否かの判定は、例えば、オペレーターによる操作に基づいて行われる。具体的には、オペレーターは、抜き型のずれ(ずれ量及びずれ方向)を特定し、抜き位置の調整を完了した場合は、納品用画像50Aの印刷を指示する操作を行う。一方、オペレーターは、抜き型のずれを特定できない場合は、調整用画像50Bの印刷続行を指示する操作を行う。制御部11は、オペレーター操作によって入力された操作信号に基づいて、抜き位置の調整が終了したか否かを判定する。
【0071】
オペレーターは、カス上げ処理後のラベル紙Sにおいて、調整用画像50Bの分割カットマーク601~604と実際の抜き位置を比較することによって、抜き型のずれを直感的かつ正確に特定することができる(図7A図7B参照)。図7Aは、調整用画像50Bと実際の抜き位置の位置関係を示し、図7Bは、カス上げ処理後のラベル紙Sにおける調整用画像50Bを示す。
【0072】
図7A図7Bでは、用紙搬送方向において、中段の調整用画像50Bの分割カットマーク602と、実際の抜き位置が一致しているので、当該分割カットマーク602に設定されているずれパターンにより、抜き型のずれが特定される。
【0073】
オペレーターは、抜き型のずれを特定できた場合は、当該ずれに基づいて、抜き位置の調整を行う。抜き位置の調整は、抜き型の取付位置の調整であってもよいし、納品用画像50Aにおけるラベル画像51の描画位置(基準マーク52に対するラベル画像51の描画位置)の調整であってもよい。
【0074】
ここで、分割カットマーク601~604に設定されているずれパターンは、調整用画像50Bごとに、オペレーターに認識可能となっている。例えば、ラベル紙Sに形成される調整用画像50Bの順番と、分割カットマーク601~604に設定されているずれパターンとを対応付けて、ラベル印刷装置1Aの表示部16等に表示することで、オペレーターは、分割カットマーク601~604に対して設定されているずれパターンを認識することができる。
【0075】
また例えば、図8に示すように、分割カットマーク601~604と一緒に、それぞれのずれパターンを示す情報601T~604Tが描画されるようにしてもよい。図8では、分割カットマーク601のずれパターン(ΔX1,ΔY1)が(0,1)、分割カットマーク602のずれパターン(ΔX2,ΔY2)が(-1,0)、分割カットマーク603のずれパターン(ΔX3,ΔY3)が(0,-1)、分割カットマーク604のずれパターン(ΔX4,ΔY4)が(1,0)に設定されている場合の一例を示している。これにより、オペレーターは、分割カットマーク601~604に対して設定されているずれパターンを、容易に認識することができる。
【0076】
抜き位置の調整が終了した後、ステップS5において、制御部11は、納品用画像50Aを生成する(納品用画像生成部112としての処理)。具体的には、制御部11は、ステップS1で抽出したラベル画像51及び基準マーク52を描画して、納品用画像50Aを生成する(図3B参照)。
【0077】
次いで、ステップS5において、制御部11は、画像形成部15等を制御して、ラベル紙Sに納品用画像50Aを印刷させる(印刷指示部114としての処理)。また、制御部11は、後加工装置1Bを制御して、納品用画像50Aが印刷されたラベル紙Sに対して、抜き加工処理及びカス上げ処理を実行させる。所定数の納品用画像50Aの印刷処理及び後加工処理の終了に伴い、当該ラベル印刷処理が終了する。
【0078】
本実施の形態では、一つの調整用画像50Bに対する一回の抜き加工で、4つのずれパターンと実際の抜き位置の一致/不一致を判断できるので、抜き位置の調整に要する資源や工数の無駄を削減できる。また、本実施の形態のように、ラベル印刷装置1Aと後加工装置1Bとがインラインで接続されている場合は、抜き位置の調整が終了した時点で、それ以降に調整用画像50Bの印刷処理及び後加工処理を行う必要はなくなるので、資源や工数の無駄が格段に削減される。
【0079】
[変形例]
実施の形態では、一つの調整用画像50Bに、4つの分割カットマーク601~604で構成される特定画像60を一つ配置する場合について説明したが、一つの調整用画像50Bに、複数の特定画像60が含まれるようにしてもよい。
【0080】
図9A図9Cは、一つの調整用画像50Bに、2つの特定画像61、62を配置した調整用画像50Bの一例を示す図である。図9Cに示す調整用画像50Bには、図9Aに示す分割カットマーク611~614からなる特定画像61と、図9Bに示す分割カットマーク621~624からなる特定画像62とが配置されている。この場合、一つの調整用画像50Bにより、8つのずれパターンと実際の抜き位置の一致/不一致を判断できるようになる。
【0081】
図9A図9Cに示すように、一つの調整用画像50Bに、複数の特定画像61、62を配置する場合、それぞれを区別しやすいように、特定画像61、62ごとに、描画態様を異ならせることが好ましい。例えば、特定画像61、62は、それぞれ、異なる色や異なる線種で描画される。また、それぞれの特定画像61、62の分割カットマーク611~614,621~624には、図8のように、それぞれのずれパターンを示す情報が付加されてもよい。
【0082】
また、図10に示すように、調整用画像50Bには、分割カットマーク601~604を視認しやすくするための強調画像が配置されてもよい。図10に示す例では、分割カットマーク602は、実線602aと、実線602aを基準にして幅広に形成した網掛け線602bと、で構成されている。
【0083】
いずれかの分割カットマーク601~604と抜き位置が一致する場合は、カス上げ後のラベル紙Sから当該分割カットマーク601~604を示す画像を視認しにくくなり、ずれ量が大きいことによりカス上げ後のラベル紙Sから消失したのか、抜き位置と一致したのかを判断するのが困難となり得る(例えば、図7B参照)。分割カットマーク601~604を示す実線に沿って、当該実線とは異なる強調画像を配置することにより、カス上げ後に残っている強調表示の形状等から、分割カットマーク601~604と実際の抜き位置とが一致したことを容易に判断することができる。
【0084】
実施の形態では、カットマーク53が楕円形状を有する場合に、カットマーク53を上下左右に4分割し、調整用画像50Bとして4つの分割カットマーク601~604を利用する場合について示しているが、カットマーク53の形状及び分割態様(分割数を含む)は、これに限定されない。
【0085】
図11A図11Bは、カットマーク53が矩形形状を有する場合の分割態様の一例について示している。図11Bでは、カットマーク53が用紙搬送方向(副走査方向、Y軸方向)に5分割され、それぞれの分割カットマーク601~605が、X軸方向の正側に、1mmずつずらして配置されている。この場合、一つの調整用画像50Bにより、Y軸方向には1つのずれパターンしか判断できないが、X軸方向には5つのずれパターンとの一致/不一致を判断することができる。
【0086】
また、ラベル印刷システム1は、ラベル印刷装置1Aとは別に、プリンターコントローラーとして機能する制御装置を備えていてもよい。
【0087】
また、実施の形態では、ラベル印刷装置1Aと後加工装置1Bとがインラインで接続されたラベル印刷システム1を示しているが、ラベル印刷装置1Aと後加工装置1Bとは、オフラインで接続されてもよい。この場合、ラベル紙Sに対して納品用画像50Aの印刷が行われた後、調整用画像50Bの印刷が行われる。後加工装置1Bでは、先に繰り出される調整用画像50Bによって抜き位置の調整が行われる。
【0088】
このように、実施の形態に係るラベル印刷装置1Aは、以下の特徴事項を単独で、又は、適宜組み合わせて備えている。
【0089】
すなわち、ラベル印刷装置1Aは、抜き加工によって抜き取られるラベル画像51をラベル紙S(連続紙)に繰り返し印刷するラベル印刷装置であって、印刷データを解析して、ラベル画像51、抜き加工の位置決めに使用する基準マーク52、及び、ラベル画像51の抜き取り枠を示すカットマーク53を抽出する印刷データ解析部111と、基準マーク52及び当該基準マーク52に対応するラベル画像51を含む納品用画像50Aを生成する納品用画像生成部112と、基準マーク52及び当該基準マーク52に対応するカットマーク53に基づく特定画像60を含む調整用画像50Bを生成する調整用画像生成部113と、調整用画像50Bと納品用画像50Aとをラベル紙Sに印刷させる印刷指示部114と、を備える。特定画像60は、カットマーク60を複数に分割することにより形成される複数の分割カットマーク601~604で構成され、調整用画像生成部113は、基準マーク52に対するカットマーク53の描画位置を基準位置として、ずれ量及びずれ方向の少なくとも一方、すなわち、ずれパターンが異なるように、それぞれの分割カットマーク601~604を基準位置からずらして配置する。
【0090】
また、実施の形態に係るラベル印刷方法は、抜き加工によって抜き取られるラベル画像51をラベル紙S(連続紙)に繰り返し印刷するラベル印刷方法であって、印刷データを解析して、ラベル画像51、抜き加工の位置決めに使用する基準マーク52、及び、ラベル画像51の抜き取り枠を示すカットマーク53を抽出する工程(図5のステップS1)と、基準マーク52及び当該基準マーク52に対応するラベル画像51を含む納品用画像50Aを生成する工程(図5のステップS5)と、基準マーク52及び当該基準マーク52に対応するカットマーク53に基づく特定画像60を含む調整用画像50Bを生成する工程(図5のステップS3)と、調整用画像50Bと納品用画像50Aとをラベル紙Sに印刷させる工程(図5のステップS3、S6)と、を含む。特定画像60は、カットマーク53を複数に分割することにより形成される複数の分割カットマーク601~604で構成され、調整用画像50Bを生成する工程は、基準マーク52に対するカットマーク53の描画位置を基準位置として、ずれ量及びずれ方向の少なくとも一方、すなわち、ずれパターンが異なるように、それぞれの分割カットマーク601~604を基準位置からずらして配置する工程(図6のステップS21~S23)を含む。
【0091】
また、実施の形態に係るラベル印刷プログラムは、ラベル印刷装置1Aを制御可能に構成されるコンピューター(プリンターコントローラー)に、所定の処理を実行させるプログラムであって、所定の処理は、印刷データを解析して、ラベル画像51、抜き加工の位置決めに使用する基準マーク52、及び、ラベル画像51の抜き取り枠を示すカットマーク53を抽出する処理(図5のステップS1)と、基準マーク52及び当該基準マーク52に対応するラベル画像51を含む納品用画像50Aを生成する処理(図5のステップS5)と、基準マーク52及び当該基準マーク52に対応するカットマーク53に基づく特定画像60を含む調整用画像50Bを生成する処理(図5のステップS3)と、調整用画像50Bと納品用画像50Aとをラベル紙Sに印刷させる処理(図5のステップS3、S6)と、を含む。特定画像60は、カットマーク53を複数に分割することにより形成される複数の分割カットマーク601~604で構成され、調整用画像50Bを生成する処理は、基準マーク52に対するカットマーク53の描画位置を基準位置として、ずれ量及びずれ方向の少なくとも一方、すなわち、ずれパターンが異なるように、それぞれの分割カットマーク601~604を基準位置からずらして配置する処理(図6のステップS21~S23)を含む。
【0092】
このラベル印刷プログラムは、例えば、当該プログラムが格納されたコンピューター読取可能な可搬型記憶媒体(例えば、光ディスク、光磁気ディスク、及びメモリカードを含む)を介して提供することができる。また例えば、ラベル印刷プログラムは、当該プログラムを保有するサーバーから、ネットワークを介してダウンロードにより提供することもできる。
【0093】
ラベル印刷装置1A、ラベル印刷方法及びラベル印刷プログラムによれば、一つの調整用画像50Bに対する一回の抜き加工で、複数のずれパターンと実際の抜き位置の一致/不一致を判断できるので、抜き位置の調整に要する資源や工数の無駄を削減できる。特に、ラベル印刷装置1Aと後加工装置1Bとがインラインで接続されている場合は、抜き位置の調整が終了した時点で、それ以降に調整用画像50Bの印刷処理及び後加工処理を行う必要はなくなるので、資源や工数の無駄を格段に削減することができる。
【0094】
また、ラベル印刷装置1Aにおいて、特定画像60は、カットマーク53を用紙幅方向(主走査方向)又は用紙搬送方向(副走査方向)に2以上に分割することにより形成される。これにより、抜き位置のずれが、用紙幅方向及び用紙搬送方向のずれにより表されるので、抜き位置の調整作業が容易になる。
【0095】
また、ラベル印刷装置1Aにおいて、印刷指示部114は、ラベル紙S(連続紙)に複数の調整用画像50Bを連続して印刷させ、調整用画像生成部113は、複数の調整用画像50Bに含まれるすべての分割カットマーク601~604について、ずれ量及びずれ方向の少なくとも一方を異ならせる。これにより、抜き位置のずれを特定するための調整用画像50Bの数を低減できるので、資源や工数の無駄の削減効果が大きくなる。
【0096】
また、ラベル印刷装置1Aにおいて、調整用画像生成部113は、それぞれの分割カットマーク601~604に対して、ずれパターン(ずれ量及びずれ方向)を示す情報601T~604Tを付加する。これにより、オペレーターは、分割カットマーク601~604に対して設定されているずれパターンを、容易に認識することができる。
【0097】
また、ラベル印刷装置1Aにおいて、調整用画像生成部113は、カットマーク53を分割してなる分割カットマーク611~614、621~624の組を、調整用画像50Bの中に複数組配置し、調整用画像50Bに含まれるすべての分割カットマーク611~614、621~624について、ずれパターン(ずれ量及びずれ方向の少なくとも一方)を異ならせる。これにより、抜き位置のずれを特定するための調整用画像50Bの数をさらに低減できるので、資源や工数の無駄の削減効果がさらに大きくなる。
【0098】
また、ラベル印刷装置1Aにおいて、調整用画像生成部113は、調整用画像50Bの中に配置される分割カットマーク611~614、621~624の描画態様を組ごとに異ならせる。これにより、調整用画像50Bの中に、多数の分割カットマーク611~614、621~624が混在しても、区別しやすくなる。
【0099】
また、ラベル印刷装置1Aにおいて、調整用画像生成部113は、調整用画像50Bに、分割カットマーク601~604を視認しやすくするための強調画像を配置する。これにより、カス上げ後に残っている強調表示の形状等から、分割カットマーク601~604と実際の抜き位置とが一致したことを容易に判断することができる。
【0100】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、その構成や制御は適宜変更可能である。
【0101】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0102】
1 ラベル印刷システム
1A ラベル印刷装置
1B 後加工装置
1C 給紙装置
1D 巻取装置
11 制御部
111 印刷データ解析部
112 納品用画像生成部
113 調整用画像生成部
114 印刷指示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11