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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139425
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 5/04 20060101AFI20241002BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B62D5/04
F16F15/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050361
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 誠一
(72)【発明者】
【氏名】中里 洋平
【テーマコード(参考)】
3D333
3J048
【Fターム(参考)】
3D333CB02
3D333CB13
3D333CC14
3D333CD04
3D333CD05
3D333CE03
3D333CE04
3J048AB03
3J048EA21
(57)【要約】
【課題】より軽量化および低コスト化を図ることが可能な電動パワーステアリング装置を提供すること。
【解決手段】電動パワーステアリング装置は、減速機ハウジングのウォームシャフトハウジングを備える。ウォームシャフトハウジングは、筒状部と、モータ取付けフランジと、第1補強リブ及び第2補強リブと、を有する。軸方向から見て、第1直線は、第2直線に対して直交して配置される。第1補強リブは、径方向の外側に向かうに従って厚さが薄くなる又は厚さが同一である板形状を有する。第2補強リブは、第1部位を有する。第1部位は、交差部分から第1方向の一方側又は他方側に向かうに従って、厚さが薄くなる又は厚さが同一である板形状を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの出力軸に取り付けられ且つウォームホイールに噛み合うウォームシャフトを収容するウォームシャフトハウジングを含む減速機ハウジングを備え、
前記ウォームシャフトハウジングは、
前記ウォームシャフトの中心軸の軸回りの周方向に沿って延びる筒状部と、
前記筒状部における軸方向の一方側の端部に設けられ且つ周方向に沿って環状に延びるモータ取付けフランジと、
前記モータ取付けフランジと前記筒状部の外周面とに固定される第1補強リブ及び第2補強リブと、を有し、
軸方向から見て、前記中心軸から前記第1補強リブへ延びる第1直線は、前記中心軸と前記第2補強リブとを通る第2直線に対して直交して配置され、
前記第1補強リブは、
前記筒状部の前記外周面から径方向の外側に向けて延び且つ径方向の外側に向かうに従って厚さが薄くなる又は厚さが同一である板形状を有し、
前記第2補強リブは、
前記中心軸に直交する断面において、前記筒状部の前記外周面から径方向の外側に離隔し且つ前記第1直線と平行な第1方向に延びる第1部位を有し、
当該第1部位は、
前記中心軸に直交する断面において、前記第2直線と交差する交差部分から第1方向の一方側又は他方側に向かうに従って、第1方向に直交する第2方向の厚さが薄くなる又は厚さが同一である板形状を有する、
電動パワーステアリング装置。
【請求項2】
前記第1補強リブは、前記中心軸に直交する断面において、周方向に間隔をおいて複数設けられる、
請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項3】
前記第1補強リブは、2つ設けられ、
軸方向から見て、前記第1直線は、2つの前記第1補強リブのうちの一方と他方との間を通る、
請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項4】
軸方向から見て、前記第1直線は、前記第1補強リブの前記一方と前記他方との周方向の中央を通る、
請求項3に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項5】
前記第2補強リブは、
前記第1部位から径方向の内側に向かって延び且つ前記筒状部の前記外周面に固定される板状の第2部位を有する、
請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項6】
前記中心軸に直交する断面において、
前記第2部位は、
前記第1部位における第1方向の中央部に固定される、
請求項5に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項7】
前記第2補強リブは、
前記中心軸に直交する断面において、前記筒状部の前記外周面に沿って周方向に延びて当該外周面に固定され且つ前記第2部位における径方向の内側の端部に繋がる第3部位を有し、
前記中心軸に直交する断面において、当該第3部位の外周面は、前記筒状部の前記外周面に沿って延びる円弧状又は前記第1直線と平行な直線状である、
請求項5に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項8】
前記中心軸に直交する断面において、
前記第2部位は、
前記第1部位における第1方向の中央部と前記第3部位における周方向の中央部とを繋ぐ、
請求項7に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項9】
前記第2部位は、貫通孔を有する、
請求項8に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項10】
前記中心軸に直交する断面において、
前記第2部位は、
前記第1部位における第1方向の一方側の端部と前記第3部位における周方向の一方側の端部とを繋ぐ、
請求項7に記載の電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のステアリング装置は、中心軸の軸方向に延びるステアリングコラムと、ステアリングコラムにおける軸方向の端部に取り付けられる減速機(ギアボックス)と、を備える。減速機のハウジングは、中心軸の径方向に延びる径方向面部を有する。また、当該径方向面部とステアリングコラムの軸方向の端部とが交差する隅部には、補強リブが設けられる。補強リブは、径方向(中心軸に直交する方向)から見て、例えば、三角形の形状を有する。この補強リブにより、ステアリングコラムと減速機のハウジングとの結合部の剛性を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-35486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両部品の軽量化および低コスト化が望まれる。従って、前述の補強リブについても、より重量が小さく、また、製造時に使用する金型の構造をより簡素化することが望ましい。
【0005】
本開示は、前述の課題に鑑みてなされたものであって、より軽量化および低コスト化を図ることが可能な電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するため、本開示の一態様の電動パワーステアリング装置は、モータの出力軸に取り付けられ且つウォームホイールに噛み合うウォームシャフトを収容するウォームシャフトハウジングを含む減速機ハウジングを備え、前記ウォームシャフトハウジングは、前記ウォームシャフトの中心軸の軸回りの周方向に沿って延びる筒状部と、前記筒状部における軸方向の一方側の端部に設けられ且つ周方向に沿って環状に延びるモータ取付けフランジと、前記モータ取付けフランジと前記筒状部の外周面とに固定される第1補強リブ及び第2補強リブと、を有し、軸方向から見て、前記中心軸から前記第1補強リブへ延びる第1直線は、前記中心軸と前記第2補強リブとを通る第2直線に対して直交して配置され、前記第1補強リブは、前記筒状部の前記外周面から径方向の外側に向けて延び且つ径方向の外側に向かうに従って厚さが薄くなる又は厚さが同一である板形状を有し、前記第2補強リブは、前記中心軸に直交する断面において、前記筒状部の前記外周面から径方向の外側に離隔し且つ前記第1直線と平行な第1方向に延びる第1部位を有し、当該第1部位は、前記中心軸に直交する断面において、前記第2直線と交差する交差部分から第1方向の一方側又は他方側に向かうに従って、第1方向に直交する第2方向の厚さが薄くなる又は厚さが同一である板形状を有する。
【0007】
第1補強リブ及び第2補強リブは、板形状を有する。従って、例えば三角柱や直方体の形状を有する補強リブと比較すると、板形状の第1補強リブ及び第2補強リブは、より重量が小さい。
【0008】
また、第1補強リブは、径方向の外側に向かうに従って厚さが薄くなる又は厚さが同一である板形状を有し、第1部位は、交差部分から第1方向の一方側又は他方側に向かうに従って、厚さが薄くなる又は厚さが同一である板形状を有する。従って、減速機ハウジングを鋳造で製造する場合、例えば、パーティングラインを第2直線に合わせると、パーティングラインを挟んだ両側にそれぞれ配置される第1型及び第2型という2つの型で金型を構成することができる。従って、例えば、3つや4つの型からなる金型に対して、金型の構成が簡素化され、且つ、金型費用も安価に抑えることができる。
【0009】
以上のように、本開示によれば、より軽量化および低コスト化を図ることが可能な電動パワーステアリング装置を提供することができる。
【0010】
さらに、第1補強リブは、モータ取付けフランジと筒状部の外周面とに跨って固定される。従って、モータ取付けフランジの剛性が向上し、反力をより強固に支持することができる。以下、詳細に説明する。
【0011】
モータの出力軸には、ウォームシャフトが取り付けられる。ウォームシャフトは、ウォームホイールに噛みあう。これにより、モータが回転駆動すると、ウォームシャフトが回転しウォームホイールに回転駆動力が伝達される。そして、ウォームシャフトは、ウォームホイールから反力を受ける。当該反力は、出力軸を介してモータに伝わる。モータは、モータ取付けフランジに取り付けられている。ここで、モータ取付けフランジは、第1補強リブによって剛性が向上するため、当該反力をモータ取付けフランジで安定して受けることができる。なお、これにより、例えば、モータ取付けフランジをより薄くして更なる軽量化を図ることも可能である。
【0012】
また、ウォームシャフトハウジングを軸方向から見て、第1補強リブから周方向に90度ずれた部位は、第1補強リブによるモータ取付けフランジの剛性向上の効果が小さくなる。そこで、当該部位に第2補強リブを設けている。第2補強リブは、第1部位を有する。第1部位は、第1方向に延びる板形状であるため、例えば第1方向の長さが第2方向の厚さよりも大きい。従って、例えば三角柱や直方体の形状を有する補強リブと比較すると、剛性を低下させずに重量を軽減させることが可能である。以上より、第2補強リブによっても、モータ取付けフランジの剛性を向上させることができる。
【0013】
なお、第1補強リブ及び第2補強リブによるモータ取付けフランジの剛性向上によって、モータの回転時の振動音を抑制して、車室内の静音性を向上させることができる。
【0014】
望ましい態様として、前記第1補強リブは、前記中心軸に直交する断面において、周方向に間隔をおいて複数設けられる。これにより、第1補強リブを1つのリブにする場合よりもモータ取付けフランジの剛性を更に向上させることができる。
【0015】
望ましい態様として、前記第1補強リブは、2つ設けられ、軸方向から見て、前記第1直線は、2つの前記第1補強リブのうちの一方と他方との間を通る。
【0016】
減速機ハウジングを鋳造で製造する場合、前述のように、パーティングラインを挟んだ両側にそれぞれ配置される第1型及び第2型で構成される金型を用いることができる。この場合、第1直線に沿った方向に向けて、第1型及び第2型のそれぞれを相対的に離れる向きに移動させることによって、金型を開くことができる。
【0017】
望ましい態様として、軸方向から見て、前記第1直線は、前記第1補強リブの前記一方と前記他方との周方向の中央を通る。これによれば、前述のように、第1型及び第2型のそれぞれを相対的に離れる向きに移動させることによって金型を開く場合、第1補強リブの一方および他方に金型が干渉することがより少なくなり、よりスムーズに金型を開くことができる。
【0018】
望ましい態様として、前記第2補強リブは、前記第1部位から径方向の内側に向かって延び且つ前記筒状部の前記外周面に固定される板状の第2部位を有する。これにより、第1部位のみの第2補強リブと比較して、第2補強リブの剛性がより高くなり、モータ取付けフランジの剛性を更に向上させることができる。
【0019】
望ましい態様として、前記中心軸に直交する断面において、前記第2部位は、前記第1部位における第1方向の中央部に固定される。これにより、第1部位における第1方向の端部に第2部位を固定した場合よりも、第1部位が第2部位をより安定して保持することが可能となり、モータ取付けフランジの剛性を更に向上させることができる。
【0020】
望ましい態様として、前記第2補強リブは、前記中心軸に直交する断面において、前記筒状部の前記外周面に沿って周方向に延びて当該外周面に固定され且つ前記第2部位における径方向の内側の端部に繋がる第3部位を有し、前記中心軸に直交する断面において、当該第3部位の外周面は、前記筒状部の前記外周面に沿って延びる円弧状又は前記第1直線と平行な直線状である。これにより、第1部位及び第2部位からなる第2補強リブよりも、第2補強リブの剛性が高くなり、モータ取付けフランジの剛性を更に向上させることができる。なお、第3部位の外周面が円弧状又は直線状であるため、2つの型で成形する際に、スムーズに離型させることができる。
【0021】
望ましい態様として、前記中心軸に直交する断面において、前記第2部位は、前記第1部位における第1方向の中央部と前記第3部位における周方向の中央部とを繋ぐ。これにより、第1部位における第1方向の端部に第2部位を固定した場合よりも、第1部位が第2部位をより安定して保持することが可能となり、モータ取付けフランジの剛性を更に向上させることができる。
【0022】
望ましい態様として、前記第2部位は、貫通孔を有する。これにより、貫通孔のない第2部位よりも第2補強リブの重量が小さくなり、さらなる軽量化を図ることが可能となる。
【0023】
望ましい態様として、前記中心軸に直交する断面において、前記第2部位は、前記第1部位における第1方向の一方側の端部と前記第3部位における周方向の一方側の端部とを繋ぐ。例えば、操舵力アシスト機構の構造において、モータの中心軸が第1方向の一方側に傾く設計にした場合等に、第2補強リブにおいて、第1部位における第1方向の一方側及び第3部位における周方向の一方側の剛性をより高く設定することにより、安定してモータを支持することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、より軽量化および低コスト化を図ることが可能な電動パワーステアリング装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、第1実施形態のステアリング装置の模式図である。
図2図2は、第1実施形態の操舵力アシスト機構の斜視図である。
図3図3は、第1実施形態の減速機ハウジングの斜視図である。
図4A図4Aは、第1実施形態の減速機ハウジングの側面図である。
図4B図4Bは、図4AのIVB-IVB線による断面を示す模式図である。
図5A図5Aは、図4Aの模式図である。
図5B図5Bは、図2を側方から見た模式図である。
図6図6は、図5AのVI-VI線による断面を示す模式図である。
図7図7は、減速機ハウジングと鋳造用の金型とを示す模式図である。
図8図8は、第1変形例の減速機ハウジングの模式図である。
図9図9は、図8のIX-IX線による断面を示す模式図である。
図10図10は、第2変形例のウォームシャフトハウジングの断面を示す模式図である。
図11図11は、第3変形例のウォームシャフトハウジングの断面を示す模式図である。
図12図12は、第4変形例のウォームシャフトハウジングの断面を示す模式図である。
図13図13は、図12の補強リブをA方向から見た模式図である。
図14図14は、第5変形例のウォームシャフトハウジングの断面を示す模式図である。
図15図15は、第6変形例のウォームシャフトハウジングの断面を示す模式図である。
図16図16は、第2実施形態の減速機ハウジングの模式図である。
図17図17は、図16をB方向から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための形態(以下、実施形態という)により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、図面中X方向は、ウォームホイールの中心軸の軸方向を示す。X1側は、X2側の反対側である。Y方向は、ウォームシャフトの中心軸の軸方向を示す。Y1側は、Y2側の反対側である。Y方向は、X方向に直交する。Z方向は、X方向およびY方向に直交する。Z1側は、Z2側の反対側である。
【0027】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態のステアリング装置の模式図である。図2は、第1実施形態の操舵力アシスト機構の斜視図である。図3は、第1実施形態の減速機ハウジングの斜視図である。
【0028】
図1に示すように、電動パワーステアリング装置80は、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、操舵力アシスト機構83と、ユニバーサルジョイント84と、中間シャフト85と、ユニバーサルジョイント86と、ステアリングギヤ88と、ECU90と、車速センサ95と、イグニッションスイッチ98と、電源装置99と、を備える。
【0029】
ステアリングシャフト82は、入力軸82aと出力軸82bとを有する。入力軸82aの前方端部は、出力軸82bの内側に挿入される。操舵力アシスト機構83は、減速装置92と、モータ93と、トルクセンサ1と、を含む。操舵力アシスト機構83については、詳細に後述する。中間シャフト85は、ユニバーサルジョイント84とユニバーサルジョイント86とを連結している。中間シャフト85の一方の端部がユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部がユニバーサルジョイント86に連結される。ピニオンシャフト87の一方の端部がユニバーサルジョイント86に連結され、ピニオンシャフト87の他方の端部がステアリングギヤ88に連結される。ユニバーサルジョイント84及びユニバーサルジョイント86は、例えばカルダンジョイントである。ステアリングシャフト82の回転が中間シャフト85を介してピニオンシャフト87に伝わる。すなわち、中間シャフト85はステアリングシャフト82に伴って回転する。
【0030】
ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bとを含む。ピニオン88aは、ピニオンシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に連結される。ラック88bが移動することで車輪の角度が変化する。
【0031】
電動パワーステアリング装置80は、ECU(Electronic Control Unit)90と、トルクセンサ1と、車速センサ95と、を含む。モータ93、トルクセンサ1及び車速センサ95は、ECU90と電気的に接続される。トルクセンサ1は、入力軸82aに伝達された操舵トルクをCAN(Controller Area Network)通信によりECU90に出力する。車速センサ95は、電動パワーステアリング装置80が搭載される車体の走行速度(車速)を検出する。車速センサ95は、車体に設けられ、車速をCAN通信によりECU90に出力する。
【0032】
ECU90は、モータ93の動作を制御する。ECU90は、トルクセンサ1及び車速センサ95のそれぞれから信号を取得する。ECU90には、イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)から電力が供給される。ECU90は、操舵トルク及び車速に基づいて補助操舵指令値を算出する。ECU90は、補助操舵指令値に基づいてモータ93へ供給する電力値を調節する。ECU90は、モータ93の誘起電圧の情報又はモータ93に設けられたレゾルバ等から出力される情報を取得する。ECU90がモータ93を制御することで、ステアリングホイール81の操作に要する力が小さくなる。
【0033】
図2に示すように、操舵力アシスト機構83は、減速装置92と、モータ93とを含む。後述の図5Bに示すように、減速装置92は、例えばウォーム減速装置である。減速装置92は、ウォームシャフト922と、ウォームホイール921と、減速機ハウジング100と、を有する。ウォームシャフト922は、ウォームホイール921に噛みあう。ウォームシャフト922は、モータ93の出力軸93dに取り付けられる。ウォームシャフト922は、中心軸AX1の軸回り方向に回転する。ウォームホイール921は、中心軸AX2の軸回り方向に回転する。ウォームホイール921は、ウォームシャフト922に対して直交する。即ち、中心軸AX2は、中心軸AX1に対して直交する。中心軸AX1の軸方向は、Y方向である。中心軸AX2の軸方向は、X方向である。なお、図3に示すように、減速機ハウジング100は、ウォームシャフトハウジング2と、ウォームホイールハウジング3と、を含む。ウォームシャフトハウジング2は、ウォームシャフト922を収容する。ウォームホイールハウジング3は、ウォームホイール921を収容する。ウォームホイールハウジング3は、円板部31からX方向に突出するリブ33を有する。また、ウォームホイールハウジング3は、車体取付部34を有し、車体取付部34が図示しない車体部材に取り付けられる。なお、ウォームホイールハウジング3には、円形の貫通孔Hが設けられる。
【0034】
図2に示すように、ウォームシャフトハウジング2は、ウォームホイールハウジング3に対してZ1側に隣接する。具体的には、ウォームシャフトハウジング2とウォームホイールハウジング3とは、例えば鋳造によって一体成形される。ウォームシャフトハウジング2に対してY2側には、モータ93が取り付けられる。ウォームシャフトハウジング2のモータ取付けフランジ21にモータ用ハウジング93aが取り付けられる。具体的には、モータ用ハウジング93aには、フランジ93bが設けられ、フランジ93bにはボルト用嵌合孔93cが設けられる。ボルト用嵌合孔93cには、雌ねじが形成され、当該雌ねじには、ボルトBLの雄ねじ部が噛み合う。モータ取付けフランジ21には、ボルトBLが貫通するボルト貫通孔211a(図3参照)が形成される。モータ取付けフランジ21のボルト貫通孔211aにボルトBLの雄ねじ部を通し、当該雄ねじ部をフランジ93bの雌ねじに噛み合わせることによって、モータ取付けフランジ21とフランジ93bとは、ボルトBLを介して締結される。
【0035】
次に、ウォームシャフトハウジング2の構成を説明する。図4Aは、第1実施形態の減速機ハウジングの側面図である。図4Bは、図4AのIVB-IVB線による断面を示す模式図である。図5Aは、図4Aの模式図である。図5Bは、図2を側方から見た模式図である。図6は、図5AのVI-VI線による断面を示す模式図である。なお、図4Bは、図4AのIVB-IVB線による断面を示すため、図4Bの断面ではモータ取付けフランジ21が見えない。よって、モータ取付けフランジ21は、図示された断面の手前にある部分を表す想像線として二点鎖線で示している。図6図7図9から図12図14図15についても同様にモータ取付けフランジ21を二点鎖線で示している。
【0036】
ウォームシャフトハウジング2は、筒状部22と、モータ取付けフランジ21と、第2補強リブ4と、を有する。
【0037】
図3および図4Aに示すように、筒状部22は、ウォームシャフト922の中心軸AX1の軸回りの周方向に沿って延びる。筒状部22は、大径部221と、中径部223と、小径部222と、を有する。中径部223は、小径部222に対してY2側に隣接する。大径部221は、中径部223に対してY2側に隣接する。小径部222の外径よりも中径部223の外径が大きく、中径部223の外径よりも大径部221の外径が大きい。
【0038】
モータ取付けフランジ21は、筒状部22におけるY2側の端部に設けられる。モータ取付けフランジ21は、中心軸AX1の軸回りの周方向に沿って円環状に延びる。中心軸AX1に直交する断面において、モータ取付けフランジ21におけるX1側およびX2側の部位には、径方向の外側に突出する突出部210がそれぞれ一対に設けられる。突出部210に、前述したボルト貫通孔211aが設けられる。
【0039】
モータ取付けフランジ21は、Y2側からY1側に向かうに従って、平面部211と、第1環状面212と、底面213と、第2環状面214と、が設けられる。平面部211および底面213は、中心軸AX1に直交する。第1環状面212および第2環状面214は、中心軸AX1の軸回りの周方向に沿って円環状に延びる。平面部211における径方向の内側の端部からY1側に向けて第1環状面212が延びる。第1環状面212における軸方向の端部から径方向の内側に向けて底面213が延びる。底面213における径方向の内側の端部からY1側に向けて第2環状面214が延びる。第1環状面212の内周側には、モータ用ハウジング93aの端部が挿入される。換言すると、モータ用ハウジング93aの端部は、モータ取付けフランジ21に対して所謂インロー結合される。
【0040】
また、第1補強リブ5、5Aおよび第2補強リブ4は、モータ取付けフランジ21および筒状部22の外周面220に跨って固定される。以下に、第1補強リブ5、5Aおよび第2補強リブ4の構成を説明する。
【0041】
図3図4A図4Bおよび図6に示すように、第1補強リブ5、5Aは、筒状部22の外周面220から径方向の外側に向けて延びる。具体的には、図4Bに詳細に示すように、第1補強リブ5はX1側に向けて延び、第1補強リブ5AはX2側に向けて延びる。即ち、図4Bに示すように、中心軸AX1に直交する断面において、X1側に第1補強リブ5が配置され、X2側に第1補強リブ5Aが配置される。第1補強リブ5、5Aは、ボルト貫通孔211aの近傍、即ち、ボルトBLの近傍に設けられる。また、換言すると、前述のように突出部210にボルト貫通孔211aが設けられるため、第1補強リブ5、5Aは、モータ取付けフランジ21の突出部210の近傍に設けられる。第1補強リブ5は、2つの第1補強リブ51および第1補強リブ52を有する。第1補強リブ5Aは、2つの第1補強リブ51Aおよび第1補強リブ52Aを有する。第1補強リブ5Aは、中心軸AX1を挟んで第1補強リブ5の反対側に位置する。中心軸AX1から第1補強リブ5、5Aへと向かう直線を第1直線L1とする。第1直線L1は、第1補強リブ51と第1補強リブ52との間および第1補強リブ51Aと第1補強リブ52Aとの間を通る。具体的には、第1直線L1は、第1補強リブ51と第1補強リブ52との周方向中央および第1補強リブ51Aと第1補強リブ52Aとの周方向中央を通る。第1補強リブ51および第1補強リブ52は、周方向に間隔をおいて設けられる。第1補強リブ51Aおよび第1補強リブ52Aも、周方向に間隔をおいて設けられる。本実施形態では、第1補強リブ5、5Aの数は、2つずつに設定したが、3以上でもよい。第1補強リブ51および第1補強リブ52は、中心軸AX1の径方向の外側に向かうに従って厚さT1が薄くなる又は厚さが同一である板形状を有する。第1補強リブ51Aおよび第1補強リブ52Aも、中心軸AX1の径方向の外側に向かうに従って厚さT1が薄くなる又は厚さが同一である板形状を有する。
【0042】
また、図3に示すように、第1補強リブ5は、周方向から見て、直線部50aと、傾斜部50cと、内周部50eと、を有する。直線部50aは、Y方向に沿って直線状に延びる。傾斜部50cは、Z方向から見て、直線部50aと交差する。傾斜部50cは、直線部50aの端部50bから筒状部22の外周面220に向けて端部50dまで直線状に延びる。内周部50eは、筒状部22の外周面220に固定される。
【0043】
図4Aに示すように、第2補強リブ4は、第1延在部41と、第2延在部42と、を有する。X方向から見て、第1延在部41は、Y方向に沿って延びる。第1延在部41は、端部411から屈曲部43まで延びる。第2延在部42は、第1延在部41と交差して延びる。即ち、第1延在部41におけるY1側の端部である屈曲部43において外周面220に向けて屈曲する。換言すると、第2補強リブ4は、X方向から見て、略V字状に屈曲する。第2延在部42は、屈曲部43から端部421まで延びる。また、X方向から見て、第2補強リブ4と、筒状部22の外周面220とは、例えば、間隙G1をおいて離隔する。
【0044】
図4Bに示すように、第2補強リブ4は、第1部位40を有する。第1部位40は、Y方向から見て、筒状部22の外周面220から径方向の外側に離隔する部位である。ここで、中心軸AX1と第1部位40とを通る直線を第2直線L2とする。第2直線L2は、第1部位40におけるX方向の中央に位置する交差部分40aを通る。第2直線L2と第1直線L1とは、直交する。また、第1部位40において、第1直線L1と平行な方向を第1方向D1とする。第1方向D1と直交する方向を第2方向D2とする。第2方向D2は、第2直線L2と平行な方向である。第1部位40は、中心軸AX1に直交する断面において、交差部分40aから第1方向D1のX1側又はX2側に向かうに従って、第2方向D2の厚さT2が薄くなる又は厚さが同一である板形状を有する。
【0045】
次に、減速機ハウジング100を鋳造で製造する手順を簡単に説明する。図7は、減速機ハウジングと鋳造用の金型とを示す模式図である。図7に示すように、金型6は、第1型61と、第2型62と、を有する。第1型61は、第2型62に対してX2側に隣接して配置される。第1型61は第3方向D3に移動可能で、第2型62は第4方向D4に移動可能である。第3方向D3は、X2側に向かう方向である。第4方向D4は、X1側に向かう方向である。第1型61におけるX1側の縁611と、第2型62におけるX2側の縁621とは当接する。つまり、当接した状態における縁611および縁621は、金型6のパーティングラインPLである。パーティングラインPLは、第2補強リブ4の第1部位40におけるX方向の中央を通る。そして、鋳造後に金型6を開く場合、第1型61は第3方向D3に移動し、第2型62は第4方向D4に移動する。
【0046】
なお、金型6が開く方向である第3方向D3および第4方向D4は、中心軸AX2の軸方向にウォームホイール921を収容するウォームホイールハウジング3を成形するため、中心軸AX2の軸方向と平行になる。即ち、第3方向D3および第4方向D4は、第1補強リブ5、5Aを通る第1直線L1に対して平行となり、且つ、第2補強リブ4を通る第2直線L2に対して直交する。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係る電動パワーステアリング装置80は、減速機ハウジング100のウォームシャフトハウジング2は、筒状部22と、モータ取付けフランジ21と、第1補強リブ5、5A及び第2補強リブ4と、を有する。軸方向から見て、第1直線L1は、第2直線L2に対して直交して配置される。第1補強リブ5、5Aは、径方向の外側に向かうに従って厚さT1が薄くなる又は厚さが同一である板形状を有する。第2補強リブ4は、第1部位40を有する。第1部位40は、交差部分40aから第1方向D1の一方側又は他方側に向かうに従って、厚さT2が薄くなる又は厚さが同一である板形状を有する。
【0048】
第1補強リブ5、5A及び第2補強リブ4は、板形状を有する。従って、例えば三角柱や直方体の形状を有する補強リブと比較すると、板形状の第1補強リブ5、5A及び第2補強リブ4は、より重量が小さい。
【0049】
また、第1補強リブ5、5Aは、径方向の外側に向かうに従って厚さT1が薄くなる又は厚さが同一である板形状を有し、第1部位40は、交差部分40aから第1方向D1の一方側又は他方側に向かうに従って、厚さT2が薄くなる又は厚さが同一である板形状を有する。従って、減速機ハウジング100を鋳造で製造する場合、例えば、パーティングラインPLを第2直線L2に合わせると、パーティングラインPLを挟んだ両側にそれぞれ配置される第1型61及び第2型62という2つの型で金型6を構成することができる。従って、例えば、3つや4つの型からなる金型に対して、金型の構成が簡素化され、且つ、金型費用も安価に抑えることができる。
【0050】
以上のように、本実施形態によれば、より軽量化および低コスト化を図ることが可能な電動パワーステアリング装置80を提供することができる。
【0051】
さらに、第1補強リブ5、5Aは、モータ取付けフランジ21と筒状部22の外周面220とに跨って固定される。従って、モータ取付けフランジ21の剛性が向上し、反力をより強固に支持することができる。以下、詳細に説明する。
【0052】
モータ93の出力軸93dには、ウォームシャフト922が取り付けられる。ウォームシャフト922は、ウォームホイール921に噛みあう。これにより、モータ93が回転駆動すると、ウォームシャフト922が回転しウォームホイール921に回転駆動力が伝達される。そして、ウォームシャフト922は、ウォームホイール921から反力を受ける。当該反力は、出力軸93dを介してモータ93に伝わる。モータ93は、モータ取付けフランジ21に取り付けられている。ここで、モータ取付けフランジ21は、第1補強リブ5、5Aによって剛性が向上するため、当該反力をモータ取付けフランジ21で安定して受けることができる。なお、これにより、例えば、モータ取付けフランジ21をより薄くして更なる軽量化を図ることも可能である。
【0053】
また、ウォームシャフトハウジング2を軸方向から見て、第1補強リブ5、5Aから周方向に90度ずれた部位は、第1補強リブ5、5Aによるモータ取付けフランジ21の剛性向上の効果が小さくなる。そこで、当該部位に第2補強リブ4を設けている。第2補強リブ4は、第1部位40を有する。第1部位40は、第1方向D1に延びる板形状であるため、例えば第1方向D1の長さが第2方向D2の厚さよりも大きい。従って、例えば三角柱や直方体の形状を有する補強リブと比較すると、剛性を低下させずに重量を軽減させることが可能である。以上より、第2補強リブ4によっても、モータ取付けフランジ21の剛性を向上させることができる。なお、第1補強リブ5、5A及び第2補強リブ4によるモータ取付けフランジ21の剛性向上によって、モータ93の回転時の振動音を抑制して、車室内の静音性を向上させることができる。
【0054】
第1補強リブ5、5Aは、中心軸AXに直交する断面において、周方向に間隔をおいて複数設けられる。これにより、第1補強リブ5、5Aを1つのリブにする場合よりもモータ取付けフランジ21の剛性を更に向上させることができる。
【0055】
[第1変形例]
次に、第1変形例について説明する。図8は、第1変形例の減速機ハウジングの模式図である。図9は、図8のIX-IX線による断面を示す模式図である。
【0056】
図8および図9に示すように、第1変形例においては、第2補強リブ4Aを追加している。以下、第1実施形態と相違する点を中心に説明する。
【0057】
第1実施形態では、第2補強リブは、第2補強リブ4のみの1つを設けているが、第1変形例では、第2補強リブ4と第2補強リブ4Aとを設けている。
【0058】
図9に示すように、減速機ハウジング100Aにおけるウォームシャフトハウジング2Aでは、中心軸AX1に直交する断面において、第2補強リブ4Aは、前述した第2補強リブ4と同様に第1部位40を有する。第2補強リブ4Aの第1部位40の構成(形状)は、第2補強リブ4の第1部位40の構成(形状)と同じである。第2補強リブ4Aは、中心軸AX1を挟んで第2補強リブ4の反対側のZ2側に位置する。
【0059】
以上説明したように、第1変形例によれば、2つの第2補強リブ4と第2補強リブ4Aとを設けている。従って、第2補強リブを1つのリブにする場合よりもモータ取付けフランジ21の剛性を更に向上させることができる。
【0060】
[第2変形例]
次に、第2変形例について説明する。図10は、第2変形例のウォームシャフトハウジングの断面を示す模式図である。第2変形例においては、第1変形例に対して第2部位40Bを有する点が相違する。以下、当該相違点を中心に説明する。
【0061】
図10に示すように、ウォームシャフトハウジング2Bでは、第2補強リブ4Bは、第1部位40Aと、第2部位40Bとを有する。第2補強リブ4Cは、第1部位40Aと、第2部位40Bとを有する。第2補強リブ4Bは、中心軸AX1を挟んで第2補強リブ4Cの反対側のZ1側に位置する。第2部位40Bは、第1部位40Aから径方向(Z方向)の内側に向かって延びる板状の形状を有する。第2部位40Bは、筒状部22の外周面220に固定される。また、中心軸AX1に直交する断面において、第2部位40Bは、第1部位40Aにおける第1方向D1(図4B参照)の中央部に固定される。
【0062】
以上説明したように、第2変形例によれば、第2補強リブ4B、4Cは、板状の第2部位40Bを有する。これにより、第1部位40のみの第2補強リブ4と比較して、第2補強リブ4B、4Cの剛性がより高くなり、モータ取付けフランジ21の剛性を更に向上させることができる。
【0063】
また、中心軸AX1に直交する断面において、第2部位40Bは、第1部位40Aにおける第1方向D1の中央部に固定される。これにより、第1部位40Aにおける第1方向D1の端部に第2部位を固定した場合よりも、第1部位40Aが第2部位40Bをより安定して保持することが可能となり、モータ取付けフランジ21の剛性を更に向上させることができる。
【0064】
[第3変形例]
次に、第3変形例について説明する。図11は、第3変形例のウォームシャフトハウジングの断面を示す模式図である。第3変形例においては、第2変形例に対して第3部位40Cを有する点が相違する。以下、当該相違点を中心に説明する。
【0065】
図11に示すように、ウォームシャフトハウジング2Cでは、第2補強リブ4Dは、中心軸AX1を挟んで第2補強リブ4Eの反対側のZ1側に位置する。中心軸AX1に直交する断面において、第3部位40Cは、筒状部22の外周面220に沿って周方向に沿って延びる。第3部位40Cは、外周面220に固定される。第3部位40Cは、第2部位40Bにおける径方向の内側の端部に固定される。第3部位40Cの外周面40Caは、筒状部22の外周面220に沿って延びる円弧状又は前記第1直線L1(図4B参照)と平行な直線状である。さらに、第2部位40Bは、第1部位40Aにおける第1方向D1(図4B参照)の中央部と第3部位40Cにおける周方向の中央部とを繋ぐ。
【0066】
以上説明したように、第3変形例によれば、第2補強リブ4D、4Eは、第3部位40Cを有する。中心軸AX1に直交する断面において、第3部位の外周面40Caは、筒状部22の外周面220に沿って延びる円弧状又は第1直線L1と平行な直線状である。これにより、第1部位40A及び第2部位40Bからなる第2補強リブよりも、第2補強リブ4D、4Eの剛性が高くなり、モータ取付けフランジ21の剛性を更に向上させることができる。なお、第3部位の外周面40Caが円弧状又は直線状であるため、2つの型で成形する際に、スムーズに離型させることができる。
【0067】
また、中心軸AX1に直交する断面において、第2部位40Bは、第1部位40Aにおける第1方向D1の中央部と第3部位40Cにおける周方向の中央部とを繋ぐ。これにより、第1部位40Aにおける第1方向D1の端部に第2部位を固定した場合よりも、第1部位40Aが第2部位40Bをより安定して保持することが可能となり、モータ取付けフランジ21の剛性を更に向上させることができる。
【0068】
[第4変形例]
次に、第4変形例について説明する。図12は、第4変形例のウォームシャフトハウジングの断面を示す模式図である。図13は、図12の補強リブをA方向から見た模式図である。第4変形例においては、第3変形例に対して貫通孔40Daを有する点が相違する。以下、当該相違点を中心に説明する。
【0069】
図12に示すように、ウォームシャフトハウジング2Dでは、第2補強リブ4Fは、中心軸AX1を挟んで第2補強リブ4Gの反対側のZ1側に位置する。第2補強リブ4Fおよび第2補強リブ4Gのそれぞれの第2部位40Dには、貫通孔40Daが設けられる。図13に示すように、貫通孔40Daは、例えば矩形状(長方形状)である。貫通孔40Daは、Y方向の長さがZ方向の長さよりも長い。なお、貫通孔の形状は、矩形状に限定されず、例えば円形や楕円形でもよい。
【0070】
以上説明したように、第4変形例によれば、第2部位40Dは、貫通孔40Daを有する。これにより、貫通孔40Daのない第2部位40Dよりも第2補強リブ4F、4Gの重量が小さくなり、さらなる軽量化を図ることが可能となる。
【0071】
[第5変形例]
次に、第5変形例について説明する。図14は、第5変形例のウォームシャフトハウジングの断面を示す模式図である。第5変形例においては、第2変形例に対して、第1部位40Aに対する第2部位40Bの取付位置が相違する。以下、当該相違点を中心に説明する。
【0072】
図14に示すように、ウォームシャフトハウジング2Eでは、第2補強リブ4Hは、中心軸AX1を挟んで第2補強リブ4Iの反対側のZ1側に位置する。第2部位40Eは、第1部位40Aにおける第1方向D1の一方側(X1側)の端部に取り付けられる。図14に示すように、第2補強リブ4H、4Iは、略L字状である。
【0073】
以上説明したように、第5変形例によれば、第2部位40Eは、第1部位40Aにおける第1方向D1の一方側(X1側)の端部に取り付けられる。例えば、操舵力アシスト機構83の構造において、モータ93の中心軸が第1方向D1の一方側に傾く設計にした場合等に、第2補強リブ4Hにおいて、第1部位40Aにおける第1方向D1の一方側の剛性をより高く設定することにより、安定してモータ93を支持することが可能となる。
【0074】
[第6変形例]
次に、第6変形例について説明する。図15は、第6変形例のウォームシャフトハウジングの断面を示す模式図である。第6変形例においては、第3変形例に対して、第1部位40Aおよび第3部位40Cに対する第2部位40Eの取付位置が相違する。以下、当該相違点を中心に説明する。
【0075】
図15に示すように、ウォームシャフトハウジング2Fでは、第2補強リブ4Jは、中心軸AX1を挟んで第2補強リブ4Kの反対側のZ1側に位置する。第2補強リブ4Jおよび第2補強リブ4Kのそれぞれにおいて、第2部位40Eは、第1部位40Aにおける第1方向D1の一方側(X1側)の端部と第3部位40Cにおける周方向の一方側の端部とを繋ぐ。
【0076】
以上説明したように、第6変形例によれば、中心軸AX1に直交する断面において、第2部位40Eは、第1部位40Aにおける第1方向D1の一方側の端部と第3部位40Cにおける周方向の一方側の端部とを繋ぐ。例えば、操舵力アシスト機構83の構造において、モータ93の中心軸が第1方向D1の一方側に傾く設計にした場合等に、第2補強リブ4J、4Kにおいて、第1部位40Aにおける第1方向D1の一方側及び第3部位40Cにおける周方向の一方側の剛性をより高く設定することにより、安定してモータ93を支持することが可能となる。
【0077】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図16は、第2実施形態の減速機ハウジングの模式図である。図17は、図16をB方向から見た模式図である。第2実施形態においては、第1実施形態に対して、第3補強リブ7を設けた点が相違する。以下、当該相違点を中心に説明する。
【0078】
図17に示すように、第2実施形態に係る減速機ハウジング100Bにおいては、環状フランジ部32Aを有する。環状フランジ部32Aには、例えば、ウォームホイール921(図5B参照)に接続される部材等が挿入される。環状フランジ部32Aは、第1実施形態に係る減速機ハウジング100における環状フランジ部32よりも長い。従って、環状フランジ部32Aの根元部分を補強するために、第3補強リブ7を設けている。第3補強リブ7は、円板部31と環状フランジ部32Aとに跨って固定される。第3補強リブ7は、周方向から見て略三角形状である。
【0079】
また、図16に示すように、X方向から見て、第3補強リブ7は、中心軸AX2から遠ざかる方向に延びる。具体的には、第3補強リブ7は、第3補強リブ71、72、73、74を含む。第3補強リブ71は、Z1側に延びる。第3補強リブ72は、Z2側に延びる。第3補強リブ73は、Y2側に延びる。第3補強リブ74は、Y1側に延びる。そして、第3補強リブ71は、リブ711、712を含む。リブ711、712は、Y方向に離隔する。第3補強リブ72は、リブ721、722を含む。リブ721、722は、Y方向に離隔する。第3補強リブ73は、リブ731、732を含む。リブ731、732は、Z方向に離隔する。第3補強リブ74は、リブ741、742を含む。リブ741、742は、Z方向に離隔する。なお、第3補強リブ7は、X1側に向かうに従って厚さが薄くなる又は厚さが同一である板形状を有する。
【0080】
以上説明したように、第2実施形態においては、環状フランジ部32Aに第3補強リブ7を設けている。第3補強リブ7は、Y方向の両側とZ方向の両側とに設けられる第3補強リブ71、72、73、74を含む。従って、長い環状フランジ部32Aをより安定して支持することができる。
【符号の説明】
【0081】
2、2A、2B、2C、2D、2E、2F ウォームシャフトハウジング
21 モータ取付けフランジ
210 突出部
211 平面部
211a ボルト貫通孔
212 第1環状面
213 底面
214 第2環状面
22 筒状部
220 外周面
221 大径部
222 小径部
223 中径部
3 ウォームホイールハウジング
31 円板部
32、32A 環状フランジ部
33 リブ
34 車体取付部
4 第2補強リブ
40 第1部位
40a 交差部分
4A 第2補強リブ
40A 第1部位
4B、4C、4D、4E、4F、4G、4H、4I、4J、4K 第2補強リブ
40B 第2部位
40C 第3部位
40Ca 外周面
40D 第2部位
40Da 貫通孔
40E 第2部位
41 第1延在部
411 端部
42 第2延在部
421 端部
43 屈曲部
5 第1補強リブ
50a 直線部
50b 端部
50c 傾斜部
50d 端部
50e 内周部
51 第1補強リブ
52 第1補強リブ
5A 第1補強リブ
51A 第1補強リブ
52A 第1補強リブ
6 金型
61 第1型
611 縁
62 第2型
621 縁
7 第3補強リブ
71 第3補強リブ
711 リブ
712 リブ
72 第3補強リブ
721 リブ
722 リブ
73 第3補強リブ
731 リブ
732 リブ
74 第3補強リブ
741 リブ
742 リブ
80 電動パワーステアリング装置
81 ステアリングホイール
82 ステアリングシャフト
82a 入力軸
82b 出力軸
83 操舵力アシスト機構
84 ユニバーサルジョイント
85 中間シャフト
86 ユニバーサルジョイント
87 ピニオンシャフト
88 ステアリングギヤ
88a ピニオン
88b ラック
89 タイロッド
90 ECU
92 減速装置
921 ウォームホイール
922 ウォームシャフト
93 モータ
93a モータ用ハウジング
93b フランジ
93c ボルト用嵌合孔
93d 出力軸
95 車速センサ
98 イグニッションスイッチ
99 電源装置
100、100A、100B 減速機ハウジング
AX1 中心軸
AX2 中心軸
BL ボルト
D1 第1方向
D2 第2方向
D3 第3方向
D4 第4方向
H 貫通孔
G1 間隙
L1 第1直線
L2 第2直線
PL パーティングライン
T1 厚さ
T2 厚さ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17