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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139434
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】電極カテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/287 20210101AFI20241002BHJP
   A61B 18/14 20060101ALN20241002BHJP
【FI】
A61B5/287
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050371
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹中 宏人
(72)【発明者】
【氏名】清水 一朗
【テーマコード(参考)】
4C127
4C160
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127LL08
4C127LL15
4C127LL19
4C160KK04
4C160KK13
4C160KK35
4C160MM33
4C160MM34
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】導線孔から導線が抜けにくく、製造が容易である電極カテーテルを提供する。
【解決手段】長手軸方向に延在し、内腔を備えたシャフト10であって、内腔とシャフト10の外とが連通する開口部40を有するシャフト10と、開口部40に配置されている電極20と、電極20に接続されており、開口部40を通じてシャフト10の内腔に延在している導線30と、を有し、シャフト10の長手軸方向に沿った断面において、開口部40は、シャフト10の径方向に対して斜めである部分を有している電極カテーテル1。但し、開口部40は、シャフト10の径方向に対して斜めである部分においてスリット形状を有しない。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸方向に延在し、内腔を備えたシャフトであって、前記内腔と前記シャフトの外とが連通する開口部を有するシャフトと、
前記開口部に配置されている電極と、
前記電極に接続されており、前記開口部を通じて前記シャフトの内腔に延在している導線と、を有し、
前記シャフトの長手軸方向に沿った断面において、前記開口部は、前記シャフトの径方向に対して斜めである部分を有している電極カテーテル。
但し、前記開口部は、前記シャフトの径方向に対して斜めである部分においてスリット形状を有しない。
【請求項2】
前記シャフトの長手軸方向に沿った断面において、前記開口部は、前記シャフトの長手軸と前記開口部の延在方向とがなす角度が10度以上80度以下である部分を有している請求項1に記載の電極カテーテル。
【請求項3】
前記シャフトの長手軸方向に沿った断面において、前記開口部は、折れ曲がり部を有している請求項1または2に記載の電極カテーテル。
【請求項4】
長手軸方向に延在し、内腔を備えたシャフトであって、前記内腔と前記シャフトの外とが連通する開口部を有するシャフトと、
前記開口部に配置されている電極と、
前記電極に接続されており、前記開口部を通じて前記シャフトの内腔に延在している導線と、を有し、
前記シャフトの長手軸方向に垂直な断面において、前記開口部は、前記シャフトの径方向に対して斜めである部分を有している電極カテーテル。
但し、前記開口部は、前記シャフトの径方向に対して斜めである部分においてスリット形状を有しない。
【請求項5】
前記シャフトの長手軸方向に垂直な断面において、前記開口部は、前記シャフトの中心点を通る垂線と前記開口部の延在方向とがなす角度が10度以上80度以下である部分を有している請求項4に記載の電極カテーテル。
【請求項6】
前記シャフトの長手軸方向に垂直な断面において、前記開口部は、折れ曲がり部を有している請求項4または5に記載の電極カテーテル。
【請求項7】
前記開口部の開口面積は、前記開口部の延在方向の全体にわたって一定の大きさである請求項1または4に記載の電極カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体内臓器、主に心臓の電位測定や体内組織の焼灼に用いる電極カテーテルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電極カテーテルは、主に心臓の電位測定を行うことで不整脈を診断することや、不整脈を治療するために高周波電流を流して体内組織を焼灼する医療器具として用いられている。一般的に、電極カテーテルは、内腔を有する筒体(シャフト)の外側に複数のリング状電極が配置される。リング状電極の内側に接続される導線は、シャフトに設けられた導線孔からシャフトの内腔を通って心電図計まで延びている。導線と心電図計との接続には、コネクターが用いられる。例えば、電極カテーテルを患者の心臓内に挿入してコネクターを心電図計に接続することにより、リング状電極部近傍の心電図を測定して不整脈の原因となる心筋の状態を正確に把握することが可能である。
【0003】
例えば、特許文献1には、側面に開口部を有する筒体を準備するステップAと、導電部材と導線とを接続するステップBと、導線を筒体内に配置し導電部材を開口部に配置するステップCと、開口部の外側にリング電極を配置するステップDと、リング電極をかしめて導電部材により開口部の少なくとも一部を閉塞するステップEと、を含む電極カテーテルの製造方法が記載されている。
【0004】
特許文献2には、筒体と、第1区間、第2区間、第3区間を順に有する導線と、筒体の外側に配されているリング電極と、を有し、導線の第1区間および第3区間は筒体内に配され、導線の第2区間は筒体の側面に露出しており、導線の第2区間の少なくとも一部はリング電極に接続されていることを特徴とする電極カテーテルが記載されている。
【0005】
特許文献3には、電極の内部に予めリード線を溶接し、孔を介して該リード線を外管用チューブ内腔に挿入し、外管用チューブの電極を取り付ける工程、電極を取り付けた外管用チューブの内腔にマンドレルを挿通する工程、外管用チューブに対して外周側より中心軸方向に圧力を負荷し電極表面とカテーテル外管外周面の段差を取り除く工程、外管用チューブよりマンドレルを抜去する工程、操作用チューブの内腔にリード線を挿通する工程、外管用チューブとガイドワイヤー挿通用内管用チューブからなる2重管と操作用チューブとを溶着してガイドワイヤー挿入口を形成する工程、電極に連結しているリード線の各々について電極電位モニター用の端子を連結する工程、を含むことを特徴とする製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-137019号公報
【特許文献2】特開2016-137020号公報
【特許文献3】特開2017-176200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~3の電極カテーテルでは、電極に接続される導線をシャフトの側面に設けられた導線孔へ挿通した際に導線が移動しやすく、導線孔から導線が抜けてしまうことがあった。そのため、導線を導線孔に挿通した後、導線と電極との接続やシャフトへの電極の配置を直ちに行ったり、導線を仮止めしておいたりする必要があり、電極カテーテルの製造効率を高めるために改善の余地があった。
【0008】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、導線孔から導線が抜けにくく、製造が容易である電極カテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決できた本発明の第1の電極カテーテルの一実施態様は、下記の通りである。
[1] 長手軸方向に延在し、内腔を備えたシャフトであって、前記内腔と前記シャフトの外とが連通する開口部を有するシャフトと、
前記開口部に配置されている電極と、
前記電極に接続されており、前記開口部を通じて前記シャフトの内腔に延在している導線と、を有し、
前記シャフトの長手軸方向に沿った断面において、前記開口部は、前記シャフトの径方向に対して斜めである部分を有している電極カテーテル。
但し、前記開口部は、前記シャフトの径方向に対して斜めである部分においてスリット形状を有しない。
【0010】
上記第1の電極カテーテルによれば、シャフトの長手軸方向に沿った断面において、開口部がシャフトの径方向に対して斜めである部分を有していることにより、開口部に挿通されている導線が開口部に引っ掛かりやすくなる。そのため、開口部から導線が抜けにくく、製造が容易な電極カテーテルとすることができる。
【0011】
本発明の第1の電極カテーテルは、以下の[2]~[3]であることが好ましい。
[2] 前記シャフトの長手軸方向に沿った断面において、前記開口部は、前記シャフトの長手軸と前記開口部の延在方向とがなす角度が10度以上80度以下である部分を有している[1]に記載の電極カテーテル。
[3] 前記シャフトの長手軸方向に沿った断面において、前記開口部は、折れ曲がり部を有している[1]または[2]に記載の電極カテーテル。
【0012】
さらに、本発明の第2の電極カテーテルの一実施態様は、下記の通りである。
[4] 長手軸方向に延在し、内腔を備えたシャフトであって、前記内腔と前記シャフトの外とが連通する開口部を有するシャフトと、
前記開口部に配置されている電極と、
前記電極に接続されており、前記開口部を通じて前記シャフトの内腔に延在している導線と、を有し、
前記シャフトの長手軸方向に垂直な断面において、前記開口部は、前記シャフトの径方向に対して斜めである部分を有している電極カテーテル。
但し、前記開口部は、前記シャフトの径方向に対して斜めである部分においてスリット形状を有しない。
【0013】
上記第2の電極カテーテルによれば、シャフトの長手軸方向に垂直な断面において、開口部がシャフトの径方向に対して斜めである部分を有していることにより、開口部に挿通されている導線が開口部に引っ掛かりやすくなる。そのため、開口部から導線が抜けにくく、製造が容易な電極カテーテルとすることができる。
【0014】
本発明の第2の電極カテーテルは、以下の[5]~[6]であることが好ましい。
[5] 前記シャフトの長手軸方向に垂直な断面において、前記開口部は、前記シャフトの中心点を通る垂線と前記開口部の延在方向とがなす角度が10度以上80度以下である部分を有している[4]に記載の電極カテーテル。
[6] 前記シャフトの長手軸方向に垂直な断面において、前記開口部は、折れ曲がり部を有している[4]または[5]に記載の電極カテーテル。
【0015】
本発明の第1の電極カテーテルまたは第2の電極カテーテルは、以下の[7]であることが好ましい。
[7] 前記開口部の開口面積は、前記開口部の延在方向の全体にわたって一定の大きさである[1]~[6]のいずれか一項に記載の電極カテーテル。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電極カテーテルによれば、シャフトの長手軸方向に沿った断面あるいは長手軸方向に垂直な断面において、開口部がシャフトの径方向に対して斜めである部分を有していることにより、開口部に挿通されている導線が開口部に引っ掛かりやすくなる。そのため、開口部から導線が抜けにくく、製造が容易な電極カテーテルとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施の形態における電極カテーテルの全体図を表す。
図2】本発明の一実施の形態における電極カテーテルの長手軸方向に沿った断面図を表す。
図3図2に示した電極カテーテルを上側から見た平面図(一部断面図)を表す。
図4図2に示した電極カテーテルの変形例を示す断面図を表す。
図5】本発明の異なる実施の形態における電極カテーテルの長手軸方向に垂直な断面図を表す。
図6図5に示した電極カテーテルを上側から見た平面図(一部断面図)を表す。
図7図5に示した電極カテーテルの変形例を示す断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0019】
図1は本発明の一実施の形態における電極カテーテル1の全体図である。図2は電極カテーテル1の長手軸方向に沿った断面図である。図3図2に示した電極カテーテル1を上側から見た平面図(一部断面図)である。図4図2に示した電極カテーテル1の変形例を示す断面図である。電極カテーテル1は、例えば、その遠位側から患者の血管内を通って心臓まで到達させて、心臓における不整脈の検査、治療、除細動等に用いられる。
【0020】
本発明において、近位側とはシャフト10の延在方向に対して使用者の手元側を指し、遠位側とは近位側の反対側、即ち処置対象側を指す。また、シャフト10の延在方向を長手軸方向と称する。長手軸方向は遠近方向と言い換えることもできる。径方向とはシャフト10の半径方向を指し、径方向において内方とはシャフト10の長手軸中心側に向かう方向を指し、径方向において外方とは内方と反対側に向かう方向を指す。なお、図1において、図の右側が近位側であり、図の左側が遠位側である。
【0021】
まず、第1の電極カテーテル1について説明する。
【0022】
図1図4に示すように、電極カテーテル1は、長手軸方向に延在し、内腔を備えたシャフト10であって、内腔とシャフト10の外とが連通する開口部40を有するシャフト10と、開口部40に配置されている電極20と、電極20に接続されており、開口部40を通じてシャフト10の内腔に延在している導線30と、を有している。
【0023】
シャフト10は長手軸方向のほか、径方向と周方向を有している長尺な部材であることが好ましい。シャフト10は、長手軸方向に遠位端と近位端を有している。シャフト10には、遠位端と近位端の少なくともいずれかに開口が設けられていてもよい。シャフト10の遠位端の開口は、内腔と連通していることが好ましい。また、シャフト10の近位端の開口は、内腔と連通していることが好ましい。
【0024】
シャフト10は、内腔を1つ有しているシングルルーメン構造であってもよく、内腔を複数有しているマルチルーメン構造であってもよい。シャフト10が有する内腔の数が1つであれば、シャフト10の内部に内腔を区分けする隔壁等が存在しないため、シャフト10の柔軟性を高めることができ、電極カテーテル1の挿通性を向上させることができる。シャフト10が有する内腔の数が複数であれば、内腔に配置される複数の導線30等をそれぞれ別の内腔に配置することによって、導線30が別の導線30等に接触することを防止し、導線30が断線する等の破損を防ぐことができる。なお、シャフト10の内腔はシャフト10の長手軸方向に延在していることが好ましい。
【0025】
シャフト10は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。シャフト10は、単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。シャフト10が複層構造である場合、例えば、シャフト10を構成する樹脂チューブの中間層として、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属編組を用いた構造とすることができる。シャフト10を構成する材料は、ポリアミド系樹脂であることが好ましく、ポリアミドエラストマーであることがより好ましい。シャフト10を構成する材料がポリアミドエラストマーであることにより、シャフト10の外表面のすべり性がよく、また、シャフト10が適度な剛性を有するため、血管への挿通性がよい電極カテーテル1とすることができる。
【0026】
シャフト10の長手軸方向の長さは、治療に適切な長さを選択することができる。例えば、シャフト10の長手軸方向の長さは、500mm以上1500mm以下とすることができる。
【0027】
シャフト10の外径は、0.5mm以上であることが好ましく、0.7mm以上であることがより好ましく、1mm以上であることがさらに好ましい。シャフト10の外径の下限値を上記の範囲に設定することにより、シャフト10に適度な剛性を与えることができ、血管への挿通性の高い電極カテーテル1とすることができる。また、シャフト10の外径は、3mm以下であることが好ましく、2.8mm以下であることがより好ましく、2.5mm以下であることがさらに好ましい。シャフト10の外径の上限値を上記の範囲に設定することにより、電極カテーテル1の外径が大きくなりすぎることを防ぎ、低侵襲性を高めることができる。
【0028】
シャフト10の厚み、すなわち管壁の厚みは、50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、150μm以上であることがさらに好ましい。シャフト10の厚みの下限値を上記の範囲に設定することにより、シャフト10の剛性を高め、血管への挿通性がよい電極カテーテル1とすることが可能となる。また、シャフト10の厚みは、350μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、250μm以下であることがさらに好ましい。シャフト10の厚みの上限値を上記の範囲に設定することにより、シャフト10の内腔を広くすることができ、電極カテーテル1の電極20を多極化できる。
【0029】
電極20は、リング状電極であってもよく、長方形あるいは正方形等の形状の平板電極であってもよい。また、電極20の形状は、リングに切れ込みが入った断面C字の形状、または線材を巻回したコイル形状であってもよい。電極20が平板電極である場合、平板電極の裏面(内側面)および表面(外側面)の少なくとも一方が、シャフト10の表面の曲面に沿いやすいよう、曲面であってもよい。中でも、電極20はリング状であることが好ましい。電極20がリング状電極であることにより、シャフト10の周上における電極20の面積を大きくすることができ、電極20を心臓の内壁等の目的部位へ接触させやすくなる。
【0030】
電極20は導電性材料から構成されていればよく、金属、または樹脂と金属を含む混合物から構成することができる。電極20を構成する材料としては、導電性樹脂、銅、金、白金、アルミニウム、鉄、またはこれらの合金等の金属材料が挙げられる。電極を導電性樹脂から構成する場合、硫酸バリウムや酸化ビスマス等の造影剤を混合してもよい。中でも、電極20を構成する材料は、白金またはその合金であることが好ましい。電極20がこのように構成されていることにより、電極20のX線に対する造影性を高めることができ、電極カテーテル1の使用時にX線を用いることによって電極20の位置を確認することができる。
【0031】
電極20は、シャフト10の外表面に配置されていることが好ましい。電極20がシャフト10に配置されていることにより、電極20を心臓の内壁に近接または接触させて心内電位を測定し、不整脈の原因となっている心臓の異常部位を特定することや、心腔内において除細動を行うこと等が可能となる。
【0032】
電極20の数は、複数であることが好ましい。電極20の数が複数である場合、各電極20の大きさは、同じであってもよく、異なっていてもよい。各電極20の大きさが異なるとは、例えば、シャフト10の長手軸方向における電極20の長さが異なること等を指す。
【0033】
導線30は、電極20と電極カテーテル1の電源装置等の外部機器(図示せず)とを電気的に接続するものであり、シャフト10の内腔に配置される。導線30は、その長手軸方向に第1端と第2端を有しており、以下では第1端と第2端をまとめて両端と称することがある。導線30を電極カテーテル1の外部機器に接続することにより、電極20と電極カテーテル1の外部機器とが電気的に接続される。また、図示していないが、電極カテーテル1の近位側にコネクタを有しており、導線30がコネクタに接続されている構成であって、コネクタを電極カテーテル1の外部機器に接続することによって、電極20と外部機器とを接続してもよい。なお、導線30の第1端は導線30の近位端であり、第2端は導線30の遠位端であることが好ましい。
【0034】
図示していないが、導線30は、コアと被覆を有している。導線30のコアを構成する材料は、導電性材料であればよいが、例えば、鉄、銅、銀、ステンレス、タングステン、ニッケル、チタン、またはこれらの合金等の金属材料が挙げられる。中でも、導線30のコアを構成する材料はステンレスであることが好ましい。ステンレスは真直性と剛性があるため、導線30のコアを構成する材料がステンレスであることにより、電極カテーテル1の製造において導線30をシャフト10の内腔に通しやすく、また、電極20の接続部等において導線30の断線が生じにくくなる。
【0035】
導線30の被覆は、電極20等の他物と接続される両端部以外の部分に存在していることが好ましい。具体的には、例えば、導線30の遠位端部の被覆を一部除去し、この部分を電極20に溶接すること等によって導線30の遠位端部を電極20に接続し、電極カテーテル1の外部機器、またはハンドル50のコネクタに接続する導線30の近位端部の被覆を一部除去することにより、導線30は両端部以外の部分に被覆を有する構成とすることができる。
【0036】
導線30の被覆は、絶縁性材料であればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂が挙げられる。導線30の被覆を構成する材料は、中でも、フッ素系樹脂であることが好ましく、PFAであることがより好ましい。導線30の被覆がフッ素系樹脂であることにより、導線30の絶縁性を高めることができ、また、シャフト10の内腔において、他の電極20に接続されている導線30等の他物に対する摺動性を向上させ、導線30の被覆と他物が接触することによる被覆の破損を防ぐことができる。
【0037】
導線30を電極20へ接続する方法としては、例えば、溶接、はんだ等のろう付け、かしめ等による接続等を用いることができる。中でも、電極20への導線30の接続方法は、溶接であることが好ましい。導線30が溶接によって電極20へ接続されていることにより、導線30と電極20との接続強度を高めることができる。また、図示していないが、導線30と電極20との間に導電性を有する導電性部材を介した状態にて、導線30と電極20とが接続されていてもよい。
【0038】
導線30と電極20との接続部は、大気中等に含まれる水分等による酸化劣化が生じないようにするため、樹脂等によりコーティングを行ってもよい。このコーティングに用いる樹脂としては、例えば、ポリウレタン系樹脂やエポキシ系樹脂等が挙げられる。
【0039】
図2および図4に示すように、シャフト10の長手軸方向に沿った断面において、開口部40は、シャフト10の径方向に対して斜めである部分を有している。開口部40は、導線30をシャフト10の外からシャフト10の内腔へ挿通するためのものである。なお、以下では、「シャフト10の径方向に対して斜めである部分」を「斜め部分」と称することがある。なお、開口部40は斜め部分においてスリット形状を有しないものとする。ここで、スリットとは切り込みまたは細長い隙間のことを指し、例えばスリットは長手方向と、長手方向に垂直な短手方向を有し、長手方向のスリット長さが、短手方向のスリット長さの少なくとも5倍以上ある形状である。
【0040】
シャフト10の径方向は、シャフト10の管壁の厚み方向と言い換えることもできる。なお、図2および図4において、図の上下方向がシャフト10の径方向である。
【0041】
シャフト10の長手軸方向に沿った断面において、開口部40がシャフト10の径方向に対して斜めである部分を有していることにより、この斜め部分の端部に導線30が引っ掛かりやすくなる。そのため、シャフト10の長手軸方向への荷重が意図せず開口部40に挿通した導線30へ加わった際に導線30が開口部40から抜けにくくなり、電極カテーテル1の製造が行いやすく、製造効率を高めることが可能となる。
【0042】
シャフト10の長手軸方向に沿った断面において、斜め部分を有している開口部40を有するシャフト10を形成するには、例えば、ナイフやカッター等の刃物、ドリル等の切削工具、またはポンチ、針、キリ、千枚通し等の先端が尖った部材等の器具類を用いて、シャフト10の管壁の厚み方向に対して斜めとなるように器具類を進入させて、シャフト10の管壁に貫通孔を開けることが挙げられる。また、レーザー光を照射可能な装置を用いて斜め部分を有している開口部40が形成されてもよい。
【0043】
図2図3に示すように開口部40は、シャフト10の外表面側に位置する外側開口41と、シャフト10の内腔側に位置する内側開口42とを有している。図3に示すようにシャフト10の長手軸方向において外側開口41は遠位端411と近位端412を有しており、内側開口42は遠位端421と近位端422を有している。以下では外側開口41から内側開口42に向かって開口部40の断面中心線が延びる方向を開口部40の延在方向と称する。電極カテーテル1のシャフト10の開口部40を上側から見た平面図において、外側開口41と内側開口42は重なって配されていてもよく、離隔して配されていてもよい。
【0044】
シャフト10の長手軸方向に沿った断面において斜め部分を有している開口部40の具体的な形状としては、外側開口41が内側開口42よりも近位側にある構成や、外側開口41が内側開口42よりも遠位側にある構成が挙げられる。外側開口41が内側開口42よりも近位側にある場合、図3に示すように外側開口41の遠位端411が内側開口42の近位端422よりも近位側に位置していてもよく、図示していないが外側開口41の遠位端411が内側開口42の近位端422よりも遠位側に位置していてもよい。後者の場合は、シャフト10の開口部40を上側から見た平面図において外側開口41から内側開口42を視認することができ、前者の場合は外側開口41から内側開口42を視認することができない。外側開口41が内側開口42よりも遠位側にある場合、図示していないが、外側開口41の近位端412が内側開口42の遠位端421よりも遠位側に位置していてもよく、外側開口41の近位端412が内側開口42の遠位端421よりも近位側に位置していてもよい。後者の場合は、シャフト10の開口部40を上側から見た平面図において外側開口41から内側開口42を視認することができ、前者の場合は外側開口41から内側開口42を視認することができない。
【0045】
シャフト10の長手軸方向に沿った断面において、斜め部分を有している開口部40の具体的な形状としては、図4に示すような、開口部40が折れ曲がり部44を有する構成等も挙げられる。なお、開口部40が折れ曲がり部44を有する構成の詳細については、後述する。
【0046】
シャフト10の長手軸方向に沿った断面において、開口部40は、外側開口41から内側開口42までの全体にわたって斜め部分となっていてもよく、一部が斜め部分となっていてもよい。すなわち、シャフト10の長手軸方向に沿った断面において、開口部40はその延在方向の全体にわたって斜め部分となっていてもよく、一部のみが斜め部分となっていてもよい。開口部40の外側開口41から内側開口42までの一部が斜め部分となっている構成とは、開口部40が斜め部分とシャフト10の管壁の厚み方向に沿った部分とを有していることを示す。中でも、開口部40は、外側開口41から内側開口42までの全体にわたって斜め部分となっていることが好ましい。開口部40の全体が斜め部分となっていることにより、開口部40に挿通されている導線30と開口部40とが接触しやすく、開口部40から導線30が抜けにくくなる効果を高めることができる。
【0047】
シャフト10が有する開口部40の数は、1つであってもよいが、複数であることが好ましい。シャフト10が複数の開口部40を有することにより、複数の電極20を有する電極カテーテル1とすることができる。
【0048】
開口部40の延在方向に垂直な断面における開口部40の形状は、開口部40の延在方向において同じであってもよく、延在方向の位置によって異なっていてもよい。開口部40の延在方向に垂直な断面における開口部40の形状は、例えば、円形状、多角形状、またはこれらを組み合わせた形状とすることができる。ここで、円形状には、真円形状、楕円形状、長円形状、卵形状、角丸長方形状が含まれるものとする。なお、開口部40の延在方向に垂直な断面における開口部40の形状は、長手方向と、長手方向に垂直な短手方向を有していてもよいが、長手方向の長さが、短手方向の長さの5倍未満であることが好ましい。
【0049】
外側開口41の形状と内側開口42の形状は異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。外側開口41や内側開口の形状は、例えば、円形状、多角形状、またはこれらを組み合わせた形状とすることができる。
【0050】
開口部40の開口面積は、開口部40の延在方向における位置によって異なっていてもよいが、開口部40の延在方向の全体にわたって一定の大きさであることが好ましい。当該構成により開口部40に導線30を挿通しやすくなる。ここで、開口部40の開口面積が一定の大きさであるとは±5%以内の大きさの変動を含むものとする。図示していないが、開口部40の開口面積は、シャフト10の長手軸の中心に向かうにしたがって小さくなっていてもよく、大きくなっていてもよい。
【0051】
外側開口41の開口面積と内側開口42の開口面積は同じ大きさであってもよく、異なる大きさであってもよい。外側開口41の開口面積が、内側開口42の開口面積よりも大きくてもよく、小さくてもよい。
【0052】
図2および図4に示すように、シャフト10の長手軸方向に沿った断面において、開口部40は、シャフト10の長手軸と開口部40の延在方向とがなす角度θ1が10度以上80度以下である部分を有していることが好ましい。開口部40がシャフト10の長手軸と開口部40の延在方向とがなす角度θ1が10度以上80度以下である部分を有していることにより、開口部40に挿通されている導線30と開口部40とが接触しやすくなる。その結果、電極カテーテル1の製造時において、開口部40に挿通した導線30が開口部40からより抜けにくくすることができる。
【0053】
シャフト10の長手軸方向に沿った断面において、開口部40の少なくとも一部は、シャフト10の長手軸と開口部40の延在方向とがなす角度θ1が10度以上であることが好ましく、15度以上であることがより好ましく、20度以上であることがさらに好ましい。シャフト10の長手軸と開口部40の延在方向とがなす角度θ1の下限値を上記の範囲に設定することにより、開口部40へ導線30を挿通しやすくなり、電極カテーテル1の製造効率を高めることができる。また、シャフト10の長手軸方向に沿った断面において、開口部40の少なくとも一部は、シャフト10の長手軸と開口部40の延在方向とがなす角度θ1が80度以下であることが好ましく、75度以下であることがより好ましく、70度以下であることがさらに好ましい。シャフト10の長手軸と開口部40の延在方向とがなす角度θ1の上限値を上記の範囲に設定することにより、導線30が開口部40に引っ掛かりやすく、抜けにくくする効果を高めることができる。
【0054】
図4に示すように、シャフト10の長手軸方向に沿った断面において、開口部40は、折れ曲がり部44を有していることが好ましい。折れ曲がり部44とは、シャフト10の長手軸と、開口部40の延在方向とがなす角度θ1が変化している部分を指す。シャフト10の長手軸方向に沿った断面において、開口部40が折れ曲がり部44を有していることにより、開口部40に挿通されている導線30が折れ曲がり部44に引っ掛かって、導線30と開口部40とで摩擦が生じる。その結果、導線30が開口部40からより抜けにくくすることができる。
【0055】
シャフト10の長手軸方向に沿った断面において、折れ曲がり部44を有している開口部40の具体的な形状としては、例えば、図4に示すような、外側開口41よりも遠位側かつ内側開口42よりも遠位側にV字状またはL字状となっている部分が設けられている構成が挙げられる。また、図示していないが、外側開口41よりも近位側かつ内側開口42の近位側にV字状またはL字状となっている部分が設けられている構成等も挙げられる。
【0056】
シャフト10の長手軸方向に沿った断面において折れ曲がり部44を有している開口部40は例えば以下の方法で形成することができる。ナイフやカッター等の刃物、ドリル等の切削工具、またはポンチ、針、キリ、千枚通し等の先端が尖った部材等の器具類を用いてシャフト10の外表面からシャフト10の管壁に第1の非貫通孔を開ける。その後、シャフト10の内腔に上述した器具類を入れ、シャフト10の内表面からシャフト10の管壁にさらに第2の非貫通孔を開ける。このとき第1の非貫通孔と第2の非貫通孔がシャフト10の管壁内で繋がるように第2の非貫通孔を開ける。なお、第1の非貫通孔と第2の非貫通孔の延在方向はそれぞれシャフト10の径方向に対して斜めであることが好ましい。
【0057】
電極20がリング状電極である場合、電極20の内径は、シャフト10の外径よりも小さいことが好ましい。電極20の内径がシャフト10の外径よりも小さいことにより、電極20の端部が他物に引っ掛かりにくくなり、血管や心臓の内壁等を傷つけにくくすることができる。電極20の内径をシャフト10の外径よりも小さくするには、例えば、電極20の内径をシャフト10の外径よりも大きく形成し、電極20をシャフト10に通して、電極20を外方からかしめて電極20の内径を縮める方法や、電極20の内径よりも小さい外径を有するシャフト10を熱膨張性樹脂で形成し、電極20をシャフト10に通してシャフト10を加熱し、シャフト10の外径を大きくする方法等が挙げられる。
【0058】
図1に示すように、電極カテーテル1は、近位側にハンドル50を有していてもよい。電極カテーテル1がハンドル50を有していることにより、電極カテーテル1の操作が行いやすくなる。
【0059】
図1図2および図4に示すように、電極カテーテル1は、シャフト10の遠位端に先端チップ60を有していてもよい。
【0060】
先端チップ60としては、半球状の電極、シャフト10の遠位端の開口を防ぐ蓋状の部材等が挙げられる。シャフト10の遠位端に先端チップ60を有していることにより、電極カテーテル1の使用時に血液等の液体がシャフト10の遠位端からシャフト10の内腔に入り込むことを防止できる。また、先端チップ60が電極カテーテル1の先端の案内役となり、電極カテーテル1の挿入性を向上させることも可能となる。
【0061】
先端チップ60を構成する材料は、例えば、前述のシャフト10を構成する材料、または、電極20を構成する材料等を用いることができる。なお、電極20を構成する材料等の導電性材料で先端チップ60を構成し、先端チップ60を導線30に接続することによって、先端チップ60が電極20を兼ねることも可能である。
【0062】
図2および図4に示すように、電極カテーテル1がシャフト10の遠位端に先端チップ60を有している場合、先端チップ60は、先端チップ60に接続されている先端チップ接続部材61を有しており、先端チップ接続部材61は、シャフト10の内腔に配置されていることが好ましい。先端チップ接続部材61としては、シャフト10の遠位側を屈曲させるためのプルワイヤ、先端チップ60が電極20として機能するための導線30等が挙げられる。
【0063】
図示していないが、電極カテーテル1は、シャフト10の遠位端に先端チップ60を有していなくてもよい。電極カテーテル1が先端チップ60を有していない場合、シャフト10の遠位端部が熱融着等されることによって、シャフト10の遠位端の開口が塞がれていることが好ましい。
【0064】
図2および図4に示すように、導線30の遠位端32は、シャフト10の外部に位置していることが好ましい。導線30の遠位端32がシャフト10の外部に位置しているとは、導線30の遠位端32がシャフト10の内腔に位置していないと換言することができる。導線30の遠位端32がシャフト10の外部に位置していることにより、開口部40を通る導線30と開口部40との間に隙間が生じにくくなり、血液等の液体がシャフト10の内腔へ浸入しにくくすることができる。また、例えば、導線30と電極20との接続を溶接にて行っており、この導線30と電極20との溶接箇所と導線30の遠位端32との距離が近い場合、導線30の遠位端32がシャフト10の外部に位置していることにより、導線30と電極20との溶接箇所と開口部40との距離をあけることができ、導線30と電極20との溶接箇所が開口部40を押し広げて隙間を生じさせることを防ぐことができる。
【0065】
図示していないが、導線30は、接着剤によって開口部40に固定されていることが好ましい。接着剤を用いて導線30を開口部40に固定することにより、導線30が開口部40へ強固に固定される。そのため、導線30が開口部40から抜けにくい電極カテーテル1とすることができる。
【0066】
導線30を開口部40に接着固定する接着剤としては、ポリウレタン系、エポキシ系、シアノ系、フッ素系、シリコーン系の接着剤を用いることが好ましい。
【0067】
次に、第2の電極カテーテル1について説明する。なお、下記の説明において、上記の説明と重複する部分は説明を省略する。
【0068】
図5は電極カテーテル1の長手軸方向に垂直な断面図である。図6図5に示した電極カテーテル1を上側から見た平面図(一部断面図)である。図7図5に示した電極カテーテル1の変形例を示す断面図である。図5図7に示すように、シャフト10の長手軸方向に垂直な断面において、開口部40は、シャフト10の径方向に対して斜めである部分を有している。但し、開口部40は、シャフト10の径方向に対して斜めである部分においてスリット形状を有しない。
【0069】
シャフト10の長手軸方向に垂直な断面において、開口部40がシャフト10の径方向に対して斜めである部分を有していることにより、開口部40に挿通されている導線30が斜め部分に引っ掛かりやすく、導線30と開口部40との間に摩擦が生じて導線30が開口部40から抜けにくくなる。その結果、電極カテーテル1の製造効率を向上させることができる。なお、開口部40は、シャフト10の径方向に対して斜めである部分においてスリット形状を有しないものとする。
【0070】
シャフト10の長手軸方向に垂直な断面において、斜め部分を有している開口部40を有するシャフト10を形成するには、前述のシャフト10の長手軸方向に沿った断面において、斜め部分を有している開口部40を有するシャフト10を形成する例と同様に、ナイフやカッター等の刃物、ドリル等の切削工具、またはポンチ、針、キリ、千枚通し等の先端が尖った部材等の器具類を用いて、シャフト10の管壁の厚み方向に対して斜めとなるように器具類を進入させて、シャフト10の管壁に貫通孔を開けることが挙げられる。また、レーザー光を照射可能な装置を用いて斜め部分を有している開口部40が形成されてもよい。
【0071】
第2の電極カテーテル1においても、開口部40は、シャフト10の外表面側に位置する外側開口41と、シャフト10の内腔側に位置する内側開口42とを有している。図6に示すように、シャフト10を上側から見た平面図で、シャフト10は長手軸と垂直な方向において第1の側101と第2の側102を有している。この平面図では、シャフト10の長手軸と垂直な方向において外側開口41は第1端413と第2端414を有しており、内側開口42は第1端423と第2端424を有している。第1端413と第1端423は第1の側101に位置し、第2端414と第2端424は第2の側102に位置している。
【0072】
電極カテーテル1のシャフト10の開口部40を上側から見た平面図において、外側開口41と内側開口42は図6に示すように重なって配されていてもよく、図示していないが離隔して配されていてもよい。シャフト10の長手軸方向に垂直な断面において、斜め部分を有している開口部40の具体的な形状としては、例えば、図5図6から理解できるように、外側開口41が内側開口42よりも第1の側101(図5では左側、図6では下側)にある構成や、外側開口41が内側開口42よりも第2の側102(図5では右側、図6では上側)にある構成が挙げられる。外側開口41が内側開口42よりも第1の側101にある場合、外側開口41の第2端414が内側開口42の第1端423よりも第2の側102に位置していてもよく、外側開口41の第2端414が内側開口42の第1端423よりも第1の側101に位置していてもよい。後者の場合は、シャフト10の開口部40を上側から見た平面図において外側開口41から内側開口42を視認することができ、前者の場合は外側開口41から内側開口42を視認することができない。外側開口41が内側開口42よりも第2の側102にある場合、外側開口41の第1端413が内側開口42の第2端424よりも第1の側101に位置していてもよく、外側開口41の第1端413が内側開口42の第2端424よりも第2の側102に位置していてもよい。後者の場合は、シャフト10の開口部40を上側から見た平面図において外側開口41から内側開口42を視認することができ、前者の場合は外側開口41から内側開口42を視認することができない。
【0073】
シャフト10の長手軸方向に垂直な断面において、斜め部分を有している開口部40の具体的な形状としては、図7に示すような、開口部40が折れ曲がり部44を有する構成等も挙げられる。なお、開口部40が折れ曲がり部44を有する構成の詳細については、後述する。
【0074】
シャフト10の長手軸方向に垂直な断面において、開口部40は、外側開口41から内側開口42までの全体にわたって斜め部分となっていてもよく、一部が斜め部分となっていてもよい。すなわち、シャフト10の長手軸方向に垂直な断面において、開口部40はその延在方向の全体にわたって斜め部分となっていてもよく、一部のみが斜め部分となっていてもよい。中でも、開口部40は、外側開口41から内側開口42までの全体にわたって斜め部分となっていることが好ましい。開口部40の全体が斜め部分となっていることにより、開口部40に挿通されている導線30と開口部40とが接触しやすく、開口部40から導線30が抜けにくくなる効果を高めることができる。
【0075】
図5および図7に示すように、シャフト10の長手軸方向に垂直な断面において、開口部40は、シャフト10の中心点を通る垂線PLと開口部40の延在方向とがなす角度θ2が10度以上80度以下である部分を有していることが好ましい。開口部40がシャフト10の中心点を通る垂線PLと開口部40の延在方向とがなす角度θ2が10度以上80度以下である部分を有していることにより、開口部40と開口部40に挿通されている導線30とが接触しやすくなり、電極カテーテル1の製造時において、開口部40に挿通した導線30が開口部40から抜けにくくなって、製造効率を高めることが可能となる。
【0076】
シャフト10の長手軸方向に垂直な断面において、開口部40の少なくとも一部は、シャフト10の中心点を通る垂線PLと開口部40の延在方向とがなす角度θ2が10度以上であることが好ましく、15度以上であることがより好ましく、20度以上であることがさらに好ましい。シャフト10の中心点を通る垂線PLと開口部40の延在方向とがなす角度θ2の下限値を上記の範囲に設定することにより、開口部40に導線30を挿通しやすく、電極カテーテル1の製造効率を向上できる。また、シャフト10の長手軸方向に垂直な断面において、開口部40の少なくとも一部は、シャフト10の中心点を通る垂線PLと開口部40の延在方向とがなす角度θ2が80度以下であることが好ましく、75度以下であることがより好ましく、70度以下であることがさらに好ましい。シャフト10の中心点を通る垂線PLと開口部40の延在方向とがなす角度θ2の上限値を上記の範囲に設定することにより、導線30が開口部40に引っ掛かりやすくなり、導線30が開口部40から抜けにくくなる効果を高められる。
【0077】
図7に示すように、シャフト10の長手軸方向に垂直な断面において、開口部40は、折れ曲がり部44を有していることが好ましい。折れ曲がり部44とは、シャフト10の中心点を通る垂線PLと、開口部40の延在方向とがなす角度θ2が変化している部分を指す。シャフト10の長手軸方向に垂直な断面において、開口部40が折れ曲がり部44を有していることにより、開口部40に挿通されている導線30が折れ曲がり部44に引っ掛かりやすくなり、導線30が開口部40から抜けにくくする効果を高めることができる。
【0078】
シャフト10の長手軸方向に垂直な断面において、折れ曲がり部44を有している開口部40の具体的な形状としては、例えば、外側開口41よりも第1の側101かつ内側開口42よりも第1の側101(図7では左側、図6では下側)にV字状またはL字状となっている部分が設けられている構成が挙げられる。また、図示していないが、外側開口41よりも第2の側102かつ内側開口42よりも第2の側102(例えば図7では右側、図6では上側)にV字状またはL字状となっている部分が設けられている構成が挙げられる。
【0079】
シャフト10の長手軸方向に垂直な断面において、折れ曲がり部44を有している開口部40は、前述のシャフト10の長手軸方向に沿った断面において、折れ曲がり部44を有している開口部40を形成する方法と同様の方法で形成することができる。
【0080】
以上のように、本発明の第1の電極カテーテルは、長手軸方向に延在し、内腔を備えたシャフトであって、内腔とシャフトの外とが連通する開口部を有するシャフトと、開口部に配置されている電極と、電極に接続されており、開口部を通じてシャフトの内腔に延在している導線と、を有し、シャフトの長手軸方向に沿った断面において、開口部は、シャフトの径方向に対して斜めである部分を有しているものである。但し、開口部は、シャフトの径方向に対して斜めである部分においてスリット形状を有しない。また、本発明の第2の電極カテーテルは、長手軸方向に延在し、内腔を備えたシャフトであって、内腔とシャフトの外とが連通する開口部を有するシャフトと、開口部に配置されている電極と、電極に接続されており、開口部を通じてシャフトの内腔に延在している導線と、を有し、シャフトの長手軸方向に垂直な断面において、開口部は、シャフトの径方向に対して斜めである部分を有しているものである。但し、開口部は、シャフトの径方向に対して斜めである部分においてスリット形状を有しない。本発明の電極カテーテルがこのような構成であることにより、開口部に挿通されている導線が開口部に引っ掛かりやすく、開口部から導線が抜けにくくなって、製造が容易な電極カテーテルとすることができる。
【符号の説明】
【0081】
1:電極カテーテル
10:シャフト
20:電極
30:導線
32:遠位端
40:開口部
41:外側開口
42:内側開口
44:折れ曲がり部
50:ハンドル
60:先端チップ
61:先端チップ接続部材
PL:シャフトの中心点を通る垂線
θ1:開口部の延在方向とシャフトの長手軸方向とがなす角度
θ2:シャフトの中心点を通る垂線と開口部の延在方向とがなす角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7