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<図1>
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139436
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】電動締付機
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/00 20060101AFI20241002BHJP
   B25F 5/00 20060101ALN20241002BHJP
【FI】
B25B21/00 510Z
B25F5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050374
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 智大
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 弘明
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA01
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA18
3C064BB03
3C064BB63
3C064BB86
3C064CA03
3C064CA08
3C064CA26
3C064CA27
3C064CA29
3C064CA53
3C064CB05
3C064CB06
3C064CB07
3C064CB08
3C064CB13
3C064CB14
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB36
3C064CB63
3C064CB72
3C064CB75
3C064CB86
3C064DA02
3C064DA33
3C064DA70
(57)【要約】      (修正有)
【課題】モータを停止状態にするためのスイッチの故障を抑制する。
【解決手段】電動締付機は、ロータを有するモータと、ロータの回転を減速する動力伝達部と、動力伝達部よりも前方側に配置され、ロータの回転に基づいて、ナットを保持した状態で、前後方向に延びる出力回転軸を中心に回転する出力部と、モータを駆動状態にするための第1スイッチと、モータを停止状態にするための第2スイッチと、動力伝達部の少なくとも一部を収容するギヤケースと、ギヤケースの下方側に配置され、モータを収容するモータハウジングと、モータハウジングの後方側に配置され、第1スイッチ及び第2スイッチを収容するハンドルハウジングと、出力部に掛かるトルクが所定値以上になったときに、モータが駆動状態から停止状態に変化するように、第2スイッチを操作する停止操作部と、を備える。第2スイッチは、第1スイッチよりも前方側に配置される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びるモータ回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、
前記モータよりも上方側に配置され、前記ロータの回転を減速する動力伝達部と、
前記動力伝達部よりも前方側に配置され、前記動力伝達部を介して伝達される前記ロータの回転に基づいて、ナットを保持した状態で、前後方向に延びる出力回転軸を中心に回転する出力部と、
前記モータを駆動状態にするための第1スイッチと、
前記モータを停止状態にするための第2スイッチと、
前記動力伝達部の少なくとも一部を収容するギヤケースと、
前記ギヤケースの下方側に配置され、前記モータを収容するモータハウジングと、
前記モータハウジングの後方側に配置され、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチを収容するハンドルハウジングと、
前記出力部に掛かるトルクが所定値以上になったときに、前記モータが駆動状態から停止状態に変化するように、前記第2スイッチを操作する停止操作部と、を備え、
前記第2スイッチは、前記第1スイッチよりも前方側に配置される、
電動締付機。
【請求項2】
前記第2スイッチの前端部は、前記ギヤケースの後端部よりも前方側に配置される、
請求項1に記載の電動締付機。
【請求項3】
前記ギヤケースの後部の開口を覆うように配置されるリヤカバーを備え、
前記第2スイッチは、前記リヤカバーの後端部よりも前方側に配置される、
請求項2に記載の電動締付機。
【請求項4】
前記動力伝達部は、
前記出力回転軸を中心に回転可能なスピンドルと、
前記スピンドルの周囲に配置され、前記スピンドルと相対回転可能であり、前記ロータからの回転力が入力されるベベルギヤを有する中間スリーブと、
第1ボールを介して前記中間スリーブの周囲に配置される前側部分と、前記前側部分よりも後方側に配置され、第2ボールを介して前記スピンドルの周囲に配置される後側部分と、を有し、前記スピンドルと前後方向に相対移動可能であるカムと、
前記スピンドルの回転を前記出力部に伝達する減速機構と、を有する、
請求項1に記載の電動締付機。
【請求項5】
前記停止操作部は、
前記カムに接触可能な位置に配置され、前記カムが後方側に移動することにより下方側に移動するロッドと、
前記ロッド及び前記第2スイッチのそれぞれに接触可能な位置に配置され、前記ロッドが下方側に移動することにより回動するスイッチアームと、を有し、
前記スイッチアームが回動することにより、前記モータが駆動状態から停止状態に変化するように、前記第2スイッチが操作される、
請求項4に記載の電動締付機。
【請求項6】
前記スイッチアームは、前記第2スイッチの後方側に配置される、
請求項5に記載の電動締付機。
【請求項7】
前記ギヤケースの後部の開口を覆うように配置されるリヤカバーを備え、
前記スイッチアームは、前記リヤカバーの後端部よりも前方側に配置される、
請求項6に記載の電動締付機。
【請求項8】
前記第2スイッチは、本体部と、前記本体部に移動可能に支持されるボタン部と、を有し、
前記ボタン部は、前記スイッチアームに対向する、
請求項6に記載の電動締付機。
【請求項9】
前記スイッチアームは、
前記ハンドルハウジングに回動可能に支持される回動部と、
前記回動部から前方側に突出し、前記ロッドの下端部が接触する第1アーム部と、
前記第1アーム部よりも下方側且つ前記回動部よりも前方側に配置され、前記ボタン部に接触する第2アーム部と、を有する、
請求項8に記載の電動締付機。
【請求項10】
前記回動部は、左右方向に延びる回動軸を中心に回動する、
請求項9に記載の電動締付機。
【請求項11】
前記第1アーム部が上方側に移動し、前記第2アーム部が前方側に移動するように、前記スイッチアームを回動方向に付勢するトーションスプリングを備える、
請求項10に記載の電動締付機。
【請求項12】
前記トーションスプリングの付勢力により、前記ボタン部が前記第2アーム部により押されて、前記モータの駆動状態が維持される、
請求項11に記載の電動締付機。
【請求項13】
前記ロッドの下方側への移動により、前記第2アーム部が後方側に移動するように、前記スイッチアームが前記トーションスプリングの付勢力に抗って回動して、前記モータが駆動状態から停止状態に変化する、
請求項12に記載の電動締付機。
【請求項14】
前記トーションスプリングは、前記回動部よりも後方側に配置される、
請求項11に記載の電動締付機。
【請求項15】
前記トーションスプリングは、前記ハンドルハウジングに支持される、
請求項14に記載の電動締付機。
【請求項16】
前記ギヤケースの下方側、且つ、前記モータハウジング及び前記ハンドルハウジングよりも上方側に配置されるギヤハウジングと、
前記ハンドルハウジングよりも上方側において、前記ギヤハウジング及び前記ギヤケースの後部の開口を覆うように配置されるリヤカバーと、
前記ギヤハウジングに曲げられた状態で固定される帯状のフックと、を備え、
前記フックの右部は、前記ギヤハウジングの右側面に固定され、
前記フックの左部は、前記ギヤハウジングの左側面に固定され、
前記フックの後端部は、前記リヤカバーよりも後方側に配置され、
前記トーションスプリングは、前記フックの後端部よりも前方側に配置される、
請求項15に記載の電動締付機。
【請求項17】
前記フックの後端部は、前記ハンドルハウジングの後端部よりも前方側に配置される、
請求項16に記載の電動締付機。
【請求項18】
前記第2スイッチは、前記第1スイッチよりも上方側に配置される、
請求項1に記載の電動締付機。
【請求項19】
前記ハンドルハウジングは、
上下方向に延び、前記第1スイッチを収容する縦ハンドル部と、
前記縦ハンドル部の上端部から前方側に延びる横ハンドル部と、を有し、
前記第2スイッチは、前記横ハンドル部に収容される、
請求項18に記載の電動締付機。
【請求項20】
前記第2スイッチの前端部は、前記ギヤケースの後端部よりも前方側に配置される、
請求項19に記載の電動締付機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、電動締付機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動締付機に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような一次締めレンチが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-297858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されているように、一次締めレンチは、モータを停止状態にするためのマイクロスイッチを備える。マイクロスイッチは、ハンドルに配置される。ハンドルに外力が作用し、マイクロスイッチに衝撃が加わると、マイクロスイッチが故障する可能性がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、モータを停止状態にするためのスイッチの故障を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、電動締付機を開示する。電動締付機は、上下方向に延びるモータ回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、モータよりも上方側に配置され、ロータの回転を減速する動力伝達部と、動力伝達部よりも前方側に配置され、動力伝達部を介して伝達されるロータの回転に基づいて、ナットを保持した状態で、前後方向に延びる出力回転軸を中心に回転する出力部と、モータを駆動状態にするための第1スイッチと、モータを停止状態にするための第2スイッチと、動力伝達部の少なくとも一部を収容するギヤケースと、ギヤケースの下方側に配置され、モータを収容するモータハウジングと、モータハウジングの後方側に配置され、第1スイッチ及び第2スイッチを収容するハンドルハウジングと、出力部に掛かるトルクが所定値以上になったときに、モータが駆動状態から停止状態に変化するように、第2スイッチを操作する停止操作部と、を備えてもよい。第2スイッチは、第1スイッチよりも前方側に配置されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本明細書で開示する技術によれば、モータを停止状態にするための第2スイッチの故障が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る電動締付機を示す右前方からの斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る電動締付機を示す左後方からの斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る電動締付機を示す右側面図である。
図4図4は、実施形態に係る電動締付機を示す断面図である。
図5図5は、実施形態に係る電動締付機の上部を示す断面図である。
図6図6は、実施形態に係るアウタスリーブに掛かるトルクが所定値未満であるときの停止操作部を示す図である。
図7図7は、実施形態に係るアウタスリーブに掛かるトルクが所定値以上であるときの停止操作部を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る電動締付機の効果を説明するための図である。
図9図9は、その他の実施形態に係る電動締付機を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動締付機は、上下方向に延びるモータ回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、モータよりも上方側に配置され、ロータの回転を減速する動力伝達部と、動力伝達部よりも前方側に配置され、動力伝達部を介して伝達されるロータの回転に基づいて、ナットを保持した状態で、前後方向に延びる出力回転軸を中心に回転する出力部と、モータを駆動状態にするための第1スイッチと、モータを停止状態にするための第2スイッチと、動力伝達部の少なくとも一部を収容するギヤケースと、ギヤケースの下方側に配置され、モータを収容するモータハウジングと、モータハウジングの後方側に配置され、第1スイッチ及び第2スイッチを収容するハンドルハウジングと、出力部に掛かるトルクが所定値以上になったときに、モータが駆動状態から停止状態に変化するように、第2スイッチを操作する停止操作部と、を備えてもよい。第2スイッチは、第1スイッチよりも前方側に配置されてもよい。
【0010】
上記の構成では、第2スイッチが第1スイッチよりも前方側に配置されるので、ハンドルハウジングに外力が作用しても、ハンドルハウジングに作用した外力が第2スイッチに伝達することが抑制される。すなわち、第2スイッチに加わる衝撃が小さくなるので、第2スイッチの故障が抑制される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第2スイッチの前端部は、ギヤケースの後端部よりも前方側に配置されてもよい。
【0012】
上記の構成では、第2スイッチがハンドルハウジングにおいて前方側に配置されるので、第2スイッチに加わる衝撃が緩和される。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動締付機は、ギヤケースの後部の開口を覆うように配置されるリヤカバーを備えてもよい。第2スイッチは、リヤカバーの後端部よりも前方側に配置されてもよい。
【0014】
上記の構成では、第2スイッチがハンドルハウジングにおいて前方側に配置されるので、第2スイッチに加わる衝撃が緩和される。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、動力伝達部は、出力回転軸を中心に回転可能なスピンドルと、スピンドルの周囲に配置され、スピンドルと相対回転可能であり、ロータからの回転力が入力されるベベルギヤを有する中間スリーブと、第1ボールを介して中間スリーブの周囲に配置される前側部分と、前側部分よりも後方側に配置され、第2ボールを介してスピンドルの周囲に配置される後側部分と、を有し、スピンドルと前後方向に相対移動可能であるカムと、スピンドルの回転を出力部に伝達する減速機構と、を有してもよい。
【0016】
上記の構成では、ロータの回転力が出力部に伝達される。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、停止操作部は、カムに接触可能な位置に配置され、カムが後方側に移動することにより下方側に移動するロッドと、ロッド及び第2スイッチのそれぞれに接触可能な位置に配置され、ロッドが下方側に移動することにより回動するスイッチアームと、を有してもよい。スイッチアームが回動することにより、モータが駆動状態から停止状態に変化するように、第2スイッチが操作されてもよい。
【0018】
上記の構成では、第1スイッチの操作によりモータが駆動状態において、出力部に掛かるトルクが所定値以上になると、カムが後方側に移動してロッドが下方側に移動する。ロッドが下方側に移動すると、スイッチアームが回動して、モータが駆動状態から停止状態に変化するように、第2スイッチが操作される。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スイッチアームは、第2スイッチの後方側に配置されてもよい。
【0020】
上記の構成では、第2スイッチがスイッチアームよりも前方側に配置されるので、第2スイッチに加わる衝撃が緩和される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動締付機は、ギヤケースの後部の開口を覆うように配置されるリヤカバーを備えてもよい。スイッチアームは、リヤカバーの後端部よりも前方側に配置されてもよい。
【0022】
上記の構成では、第2スイッチがハンドルハウジングにおいて前方側に配置されるので、第2スイッチに加わる衝撃が緩和される。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第2スイッチは、本体部と、本体部に移動可能に支持されるボタン部と、を有してもよい。ボタン部は、スイッチアームに対向してもよい。
【0024】
上記の構成では、スイッチアームの回動により、第2スイッチのボタン部が操作される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、スイッチアームは、ハンドルハウジングに回動可能に支持される回動部と、回動部から前方側に突出し、ロッドの下端部が接触する第1アーム部と、第1アーム部よりも下方側且つ回動部よりも前方側に配置され、ボタン部に接触する第2アーム部と、を有してもよい。
【0026】
上記の構成では、ロッドが下方側に移動すると、第1アーム部がロッドにより下方側に押される。第1アーム部が下方側に押されることにより、第2アーム部がボタン部から離れるように後方側に移動する。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、回動部は、左右方向に延びる回動軸を中心に回動してもよい。
【0028】
上記の構成では、ロッドの下方側への移動により、第2アーム部がボタン部から離れるように後方側に移動する。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動締付機は、第1アーム部が上方側に移動し、第2アーム部が前方側に移動するように、スイッチアームを回動方向に付勢するトーションスプリングを備えてもよい。
【0030】
上記の構成では、出力部に掛かるトルクが所定値未満の場合、トーションスプリングの付勢力により、第2スイッチのボタン部が第2アーム部により押され続ける。
【0031】
1つ又はそれ以上の実施形態において、トーションスプリングの付勢力により、ボタン部が第2アーム部により押されて、モータの駆動状態が維持されてもよい。
【0032】
上記の構成では、出力部に掛かるトルクが所定値未満の場合、トーションスプリングの付勢力により、第2スイッチのボタン部が第2アーム部により押され続けるので、第1スイッチの操作に基づいてモータの駆動状態が維持される。
【0033】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ロッドの下方側への移動により、第2アーム部が後方側に移動するように、スイッチアームがトーションスプリングの付勢力に抗って回動して、モータが駆動状態から停止状態に変化してもよい。
【0034】
上記の構成では、出力部に掛かるトルクが所定値以上の場合、トーションスプリングの付勢力に抗って、第2アーム部が第2スイッチのボタン部から離れるように後方側に移動するので、第1スイッチが操作されていても、第2スイッチの操作により、モータが駆動状態から停止状態に変化する。
【0035】
1つ又はそれ以上の実施形態において、トーションスプリングは、回動部よりも後方側に配置されてもよい。
【0036】
上記の構成では、第2スイッチ及びスイッチアームのそれぞれがハンドルハウジングにおいて前方側に配置されるので、第2スイッチ及びスイッチアームに加わる衝撃が緩和される。
【0037】
1つ又はそれ以上の実施形態において、トーションスプリングは、ハンドルハウジングに支持されてもよい。
【0038】
上記の構成では、トーションスプリングは、ハンドルハウジングに支持された状態で、付勢力を発生する。
【0039】
1つ又はそれ以上の実施形態において、電動締付機は、ギヤケースの下方側、且つ、モータハウジング及びハンドルハウジングよりも上方側に配置されるギヤハウジングと、ハンドルハウジングよりも上方側において、ギヤハウジング及びギヤケースの後部の開口を覆うように配置されるリヤカバーと、ギヤハウジングに曲げられた状態で固定される帯状のフックと、を備えてもよい。フックの右部は、ギヤハウジングの右側面に固定され、フックの左部は、ギヤハウジングの左側面に固定され、フックの後端部は、リヤカバーよりも後方側に配置されてもよい。トーションスプリングは、フックの後端部よりも前方側に配置されてもよい。
【0040】
上記の構成では、フックにより、トーションスプリング、第2スイッチ、及びスイッチアームに加わる衝撃が緩和される。
【0041】
1つ又はそれ以上の実施形態において、フックの後端部は、ハンドルハウジングの後端部よりも前方側に配置されてもよい。
【0042】
上記の構成では、フックがハンドルハウジングから後方側に突出しないので、電動締付機を用いる作業性の低下が抑制される。
【0043】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第2スイッチは、第1スイッチよりも上方側に配置されてもよい。
【0044】
上記の構成では、停止操作部は、第2スイッチを操作し易い。
【0045】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ハンドルハウジングは、上下方向に延び、第1スイッチを収容する縦ハンドル部と、縦ハンドル部の上端部から前方側に延びる横ハンドル部と、を有してもよい。第2スイッチは、横ハンドル部に収容されてもよい。
【0046】
上記の構成では、第2スイッチを第1スイッチよりも前方側に配置し易い。また、停止操作部は、第2スイッチを操作し易い。
【0047】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第2スイッチの前端部は、ギヤケースの後端部よりも前方側に配置されてもよい。
【0048】
上記の構成では、第2スイッチがハンドルハウジングにおいて前方側に配置されるので、第2スイッチに加わる衝撃が緩和される。
【0049】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、電動締付機1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0050】
図1は、実施形態に係る電動締付機1を示す右前方からの斜視図である。図2は、実施形態に係る電動締付機1を示す左後方からの斜視図である。図3は、実施形態に係る電動締付機1を示す右側面図である。図4は、実施形態に係る電動締付機1を示す断面図である。図5は、実施形態に係る電動締付機1の上部を示す断面図である。
【0051】
実施形態において、電動締付機1は、一次締めレンチである。電動締付機1は、シャーボルトとナットとの締付作業に使用される。一次締めレンチは、シャーボルトとナットとを第1トルクで締め付ける仮締付作業(一次締付作業)に使用される。一次締めレンチによる仮締結作業が実施された後、シャーレンチにより、一次締めレンチで締め付けられたシャーボルトとナットとを第1トルクよりも高い第2トルクで締め付ける本締付作業が実施される。本締付作業により、シャーボルトに設けられているピンテールがシャーボルトから分離される。
【0052】
[一次締めレンチ]
電動締付機1は、ハウジング2と、ギヤハウジング3と、ギヤケース4と、リヤカバー5と、動力部6と、動力伝達部7と、出力部8と、トリガスイッチ9と、マイクロスイッチ10と、停止操作部11と、バッテリ装着部12と、コントローラ13とを備える。
【0053】
ハウジング2は、電動締付機1を構成する各種部材を直接的又は間接的に保持する。ハウジング2は、モータハウジング21と、ハンドルハウジング22と、コントローラハウジング23とを有する。モータハウジング21は、筒形である。ハンドルハウジング22とコントローラハウジング23とは、一体である。ハンドルハウジング22は、いわゆる半割れハウジングであり、左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとを含む。左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとは、複数のねじ24により相互に固定される。
【0054】
ハウジング2は、ギヤハウジング3の下方側に配置される。ハウジング2は、合成樹脂製である。モータハウジング21及びハンドルハウジング22のそれぞれは、ギヤハウジング3の下部から下方側に延びるように配置される。モータハウジング21及びハンドルハウジング22のそれぞれは、上下方向に長い。ハンドルハウジング22は、モータハウジング21の後方側に配置される。コントローラハウジング23は、モータハウジング21の下部とハンドルハウジング22の下部との間に配置される。ハンドルハウジング22とコントローラハウジング23とは、一体である。モータハウジング21は、動力部6を収容する。ハンドルハウジング22は、トリガスイッチ9及びマイクロスイッチ10を収容する。コントローラハウジング23は、コントローラ13を収容する。
【0055】
ハンドルハウジング22は、上下方向に延びる縦ハンドル部22Aと、縦ハンドル部22Aの上端部から前方側に延びる横ハンドル部22Bとを有する。トリガスイッチ9は、縦ハンドル部22Aの上部に収容される。マイクロスイッチ10は、横ハンドル部22Bの前部に収容される。作業者は、縦ハンドル部22Aを手で握る。
【0056】
ギヤハウジング3は、ハウジング2の上方側に配置される。ギヤハウジング3は、動力伝達部7の少なくとも一部を収容する。ギヤハウジング3は、金属製である。ギヤハウジング3は、ハウジング2とギヤケース4とにより上下方向から挟まれる。ギヤハウジング3は、複数のねじ25によりモータハウジング21に固定される。
【0057】
ギヤケース4は、ギヤハウジング3の上方側に配置される。モータハウジング21及びハンドルハウジング22は、ギヤハウジング3の下方側に配置される。ギヤハウジング3は、ギヤケース4の下方側、且つ、モータハウジング21及びハンドルハウジング22よりも上方側に配置される。ギヤケース4は、動力伝達部7の少なくとも一部を収容する。ギヤケース4は、金属製である。
【0058】
リヤカバー5は、ハンドルハウジング22よりも上方側において、ギヤハウジング3及びギヤケース4の後部の開口を覆うように配置される。リヤカバー5は、合成樹脂製である。リヤカバー5は、ねじ26によりギヤケース4に固定される。
【0059】
ギヤハウジング3にフック14が取り付けられる。フック14は、ねじ15によりギヤハウジング3に固定される。フック14は、帯状の部材である。フック14は、薄板状である。フック14は、金属製である。フック14は、曲げられた状態でギヤハウジング3に固定される。フック14の左部が左側のねじ15によりギヤハウジング3の左側面に固定される。フック14の右部が右側のねじ15によりギヤハウジング3の右側面に固定される。フック14の後端部(中間部)は、ギヤケース4の後方側に配置される。フック14の後端部は、リヤカバー5よりも後方側に配置される。フック14の後端部は、ハンドルハウジング22の後端部よりも前方側に配置される。フック14の後端部は、リヤカバー5の後面に対向するように配置される。フック14の後端部は、間隙を介してリヤカバー5の後面に対向する。フック14にカラビナを介して肩掛けベルトが掛けられる。
【0060】
動力部6は、回転力を発生する。動力部6は、モータ30を含む。モータ30は、電動締付機1の駆動源である。モータ30は、モータハウジング21に収容される。モータ30は、電動モータである。モータ30は、インナロータ型のDCブラシレスモータである。モータ30は、ステータ31と、ステータ31の内側に配置されるロータ32とを有する。ロータ32は、ロータシャフト33を含む。モータ30は、コントローラ13により制御される。ロータ32は、上下方向に延びるモータ回転軸MXを中心に回転する。
【0061】
ステータ31は、ステータコアと、インシュレータを介してステータコアに装着される複数のコイルとを有する。ステータ31の下部にセンサ回路基板34が固定される。
【0062】
ロータ32は、ロータシャフト33と、ロータシャフト33の周囲に配置された筒状のステータコアと、ステータコアの内部に配置される永久磁石と、センサ回路基板34に対向するようにステータコアの下部に固定されるセンサ用永久磁石とを有する。ロータシャフト33は、ロータコアに固定される。ロータシャフト33の上端部にピニオンギヤ35が設けられる。
【0063】
センサ回路基板34は、センサ用永久磁石を検出することによりロータ32の回転位置を検出する磁気センサを有する。コントローラ13は、センサ回路基板34の磁気センサにより検出されたロータ32の回転位置に基づいて、モータ30に供給される電流を制御する。
【0064】
ピニオンギヤ35の下側にロータシャフト33の上部を支持するボールベアリング36が設けられる。ボールベアリング36は、ギヤハウジング3に保持される。ステータ31の下側にロータシャフト33の下部を支持するボールベアリング37が設けられる。ボールベアリング37は、モータハウジング21に保持される。
【0065】
ボールベアリング36とステータ31との間にファン38が配置される。ファン38は、ロータシャフト33に固定される。ロータシャフト33の回転により、ファン38が回転する。モータハウジング21の下部に複数の吸気口16が設けられる。ギヤハウジング3に複数の排気口17が設けられる。ファン38が回転することにより、ハウジング2の周囲の空気が吸気口16を介してモータハウジング21の内部に流入する。モータハウジング21の内部に流入した空気は、モータ30の周囲を流れた後、排気口17から排出される。モータ30の周囲を空気が流れることにより、モータ30が冷却される。
【0066】
ハンドルハウジング22の下部に複数の通気口18が設けられる。ハンドルハウジング22の内部におけるバッテリ装着部12と動力部6との境界には、前後左右に広がる仕切リブ27が配置されている。コントローラ13は、通気口18におけるファン38によらない自然な通気により、適宜冷却される。
【0067】
動力伝達部7は、モータ30よりも上方側に配置される。動力伝達部7は、モータ30が発生した回転力を出力部8に伝達する。動力伝達部7は、ロータ32の回転を減速する。動力伝達部7の少なくとも一部は、出力部8よりも後方側に配置される。
【0068】
動力伝達部7は、ロータ32からの回転力が入力される第1減速機構41と、第1減速機構41からの回転力が入力される第2減速機構42と、第2減速機構42からの回転力が入力される第3減速機構43と、第3減速機構43からの回転力が入力される第4減速機構44とを有する。
【0069】
第1減速機構41は、ピニオンギヤ35に噛み合うヘリカルギヤ45と、ヘリカルギヤ45に噛み合う中間ギヤ46とを有する。ヘリカルギヤ45の回転軸は、上下方向に延びる。ヘリカルギヤ45の上部を支持するボールベアリング47は、ギヤケース4に保持される。ヘリカルギヤ45の下部を支持するニードルベアリング48は、ギヤハウジング3に保持される。中間ギヤ46の回転軸は、上下方向に延びる。中間ギヤ46は、ヘリカルギヤ45よりも後方側に配置される。中間ギヤ46の上部を支持するボールベアリング49は、ギヤケース4に保持される。中間ギヤ46の下部を支持するボールベアリング50は、ギヤハウジング3に保持される。
【0070】
第2減速機構42は、前後方向に長いスピンドル51と、スピンドル51の周囲に配置される中間スリーブ52と、中間スリーブ52の周囲に配置される前側部分とスピンドル51の周囲に配置される後側部分とを有するカム53と、中間スリーブ52とカム53との間に配置される第1ボール54と、スピンドル51とカム53との間に配置される第2ボール55とを有する。
【0071】
スピンドル51は、中間ギヤ46の上方側に配置される。スピンドル51は、前後方向に延びる出力回転軸AXを中心に回転する。スピンドル51の後部は、ボールベアリング56に回転可能に支持される。スピンドル51の前部は、ボールベアリング57に回転可能に支持される。
【0072】
中間スリーブ52は、スピンドル51の周囲に配置される。中間スリーブ52は、スピンドル51と相対回転可能である。前後方向において、中間スリーブ52は、スピンドル51に対して移動しない。中間スリーブ52の後部とスピンドル51との間にニードルベアリング58が配置される。中間スリーブ52の前部とスピンドル51との間にボールベアリング59が配置される。
【0073】
中間スリーブ52は、ロータ32からの回転力が入力されるベベルギヤ52Aを有する。ベベルギヤ52Aは、中間ギヤ46の上部に設けられたベベルギヤ46Aに噛み合う。
【0074】
カム53の前側部分は、第1ボール54を介して中間スリーブ52の周囲に配置される。カム53の後側部分は、カム53の前側部分よりも後方側に配置される。カム53の後側部分は、第2ボール55を介してスピンドル51の周囲に配置される。カム53は、スピンドル51と前後方向に相対移動可能である。カム53は、スピンドル51と一体回転可能である。
【0075】
中間スリーブ52の外周面に傾斜溝521が設けられる。カム53の内周面の前部に傾斜溝531が設けられる。第1ボール54は、傾斜溝521と傾斜溝531との間に配置される。第1ボール54は、傾斜溝521と傾斜溝531との間を転がることができる。第1ボール54は、中間スリーブ52に対して傾斜溝521と傾斜溝531とに沿って転がることができる。第1ボール54が傾斜溝521と傾斜溝531とに沿って転がることにより、カム53がスピンドル51及び中間スリーブ52に対して前後方向に移動する。
【0076】
スピンドル51の外周面に保持溝512が設けられる。カム53の内周面の後部に保持溝532が設けられる。第2ボール55は、保持溝512と保持溝532との間に配置される。カム53の回転力は、第2ボール55を介してスピンドル51に伝達される。
【0077】
中間ギヤ46が回転すると、中間ギヤ46のベベルギヤ46Aに噛み合うベベルギヤ52Aを有する中間スリーブ52が出力回転軸AXを中心に回転する。中間スリーブ52が回転すると、第1ボール54を介して中間スリーブ52に連結されているカム53が、中間スリーブ52と一緒に出力回転軸AXを中心に回転する。カム53が回転すると、第2ボール55を介してカム53に連結されているスピンドル51が、カム53と一緒に出力回転軸AXを中心に回転する。
【0078】
第3減速機構43及び第4減速機構44は、スピンドル51の回転を出力部8に伝達する。第3減速機構43の少なくとも一部は、スピンドル51よりも前方側に配置される。第4減速機構44は、第3減速機構43よりも前方側に配置される。第3減速機構43は、遊星歯車機構を含む。第4減速機構44は、遊星歯車機構を含む。
【0079】
第3減速機構43は、スピンドル51の前端部に設けられたピニオンギヤ60に噛み合う複数の遊星ギヤ61と、ピン62を介して遊星ギヤ61を回転可能に支持するキャリア63とを有する。
【0080】
第4減速機構44は、キャリア63の前部に形成されたサンギヤ64に噛み合う複数の遊星ギヤ65と、ピン66を介して遊星ギヤ65を回転可能に支持するキャリア67と、インターナルギヤ19の内面に形成され遊星ギヤ65に噛み合う内歯部とを有する。
【0081】
遊星ギヤ61の周囲及び遊星ギヤ65の周囲にインターナルギヤ19が配置される。インターナルギヤ19は、ギヤケース4よりも前方側に配置される。インターナルギヤ19の内周面に、遊星ギヤ61及び遊星ギヤ65のそれぞれに噛み合う内歯部が形成される。
【0082】
出力部8は、動力伝達部7よりも前方側に配置される。ロータシャフト33の回転は、動力伝達部7により減速された後、出力部8に伝達される。出力部8は、動力伝達部7を介して伝達されるロータ32の回転に基づいて、ナットを保持した状態で、前後方向に延びる出力回転軸AXを中心に回転する。
【0083】
出力部8は、シャーボルト及びナットを同時に保持可能である。出力部8は、アウタサポート71と、アウタサポート71の内側に配置されるインナサポート72と、少なくとも一部がアウタサポート71の前方側に配置されるアウタスリーブ73と、アウタスリーブ73の内側に配置されるインナスリーブ74とを有する。
【0084】
アウタサポート71は、円筒状であり、インターナルギヤ19の内歯部の前端部と結合される。アウタサポート71の後端部は、インターナルギヤ19の前端部の内側に配置される。インナサポート72は、円筒状であり、第4減速機構44のキャリア67と連結される。インターナルギヤ19とインナサポート72の間にボールベアリング75が配置される。ボールベアリング75の内輪は、インナサポート72及びキャリア67に接触する。ボールベアリング75の外輪は、インターナルギヤ19に接触する。アウタサポート71の中央部とインナサポート72の前端部との間にオイルレスベアリング76が配置される。
【0085】
アウタサポート71とアウタスリーブ73とは、4つの爪部とねじとにより固定される。アウタスリーブ73は、アウタサポート71に着脱可能である。インナサポート72とインナスリーブ74とは、スプライン結合される。インナスリーブ74は、インナサポート72に着脱可能である。アウタスリーブ73及びインナスリーブ74は、電動締付機1の先端工具として機能する。アウタサポート71及びインナサポート72は、先端工具を保持する電動締付機1の先端工具保持部として機能する。
【0086】
アウタスリーブ73は、ソケット状である。ナットは、アウタスリーブ73の前部の内周面に嵌まる。インナスリーブ74は、ソケット状である。シャーボルトのピンテールは、インナスリーブ74の前部の内周面に嵌まる。インナスリーブ74は、コンプレッションスプリング77により前方に付勢される。コンプレッションスプリング77は、キャリア67とインナスリーブ74との間に配置される。
【0087】
インナスリーブ74は、前後方向に移動可能な1個のピン78と、ピン78から径方向外側に延びるように配置された複数のストッパ79とを有する。ピン78の後部の太さは、ピン78の前部の太さよりも太い。ピン78が前方側に位置している場合、ピン78の後部がストッパ79の内側端部に接触してストッパ79を径方向外側に押し出す。ピン78が後方側に位置している場合、ピン78の前部がストッパ79の径方向内側への移動を許容する。径方向外側に押し出されたストッパ79は、アウタスリーブ73の内周部に係合する。
【0088】
トリガスイッチ9は、モータ30を駆動状態にするために操作される。トリガスイッチ9の前方側にトリガレバー28が配置される。トリガレバー28は、ハンドルハウジング22の上部の前端部から前方側に突出する。トリガレバー28は、モータ30を駆動させるために作業者に操作される。トリガスイッチ9及びトリガレバー28のそれぞれは、ハンドルハウジング22に保持される。トリガレバー28が後方側に移動するように操作されることにより、トリガスイッチ9がトリガレバー28により操作される。トリガレバー28により操作されたトリガスイッチ9は、モータ30を駆動状態にするための駆動信号を生成する。トリガスイッチ9において生成された駆動信号は、コントローラ13に送信される。コントローラ13は、トリガスイッチ9からの駆動信号に基づいて、モータ30を駆動する。
【0089】
マイクロスイッチ10は、モータ30を停止状態にするために操作される。マイクロスイッチ10は、トリガスイッチ9よりも前方側に配置される。マイクロスイッチ10は、トリガスイッチ9よりも上方側に配置される。マイクロスイッチ10の前端部は、ギヤケース4の後端部よりも前方側に配置される。マイクロスイッチ10は、リヤカバー5の後端部よりも前方側に配置される。マイクロスイッチ10は、停止操作部11により操作される。
【0090】
停止操作部11は、出力部8に掛かるトルクが所定値以上になったときに、モータが駆動状態から停止状態に変化するように、マイクロスイッチ10を操作する。マイクロスイッチ10は、本体部10Aと、本体部10Aに移動可能に支持されるボタン部10Bと、を有する。ボタン部10Bは、本体部10Aの後端部に配置される。本体部10Aは、ハンドルハウジング22に支持される。実施形態において、マイクロスイッチ10を操作することは、ボタン部10Bを操作することを含む。
【0091】
停止操作部11は、カム53に接触可能な位置に配置されたロッド81と、ロッド81及びマイクロスイッチ10のそれぞれに接触可能な位置に配置されたスイッチアーム82と、スイッチアーム82に接続されるトーションスプリング83と、カム53よりも後方側に配置された支持プレート84と、カム53と支持プレート84との間に配置されるコンプレッションスプリング85と、支持プレート84を前後方向に移動させるために操作されるチェンジリング86とを有する。
【0092】
ロッド81は、上下方向に長い。ロッド81は、上下方向に移動可能である。ロッド81は、リヤカバー5に移動可能に支持される。ロッド81は、カム53が後方側に移動することにより下方側に移動する。カム53は、テーパ面53Aを有する。テーパ面53Aは、カム53の外周面の後部に配置される。テーパ面53Aは、後方側に向かって出力回転軸AXの径方向内側に傾斜する。ロッド81の上端部は、テーパ面53Aに接触する。ロッド81の上端部がテーパ面53Aに接触した状態で、カム53が後方側に移動することにより、ロッド81が下方側に移動する。
【0093】
スイッチアーム82は、ロッド81の下方側に配置される。スイッチアーム82は、マイクロスイッチ10の後方側に配置される。スイッチアーム82は、リヤカバー5の後端部よりも前方側に配置される。マイクロスイッチ10のボタン部10Bは、スイッチアーム82に対向する。スイッチアーム82は、ロッド81の下端部に接触可能である。スイッチアーム82は、マイクロスイッチ10のボタン部10Bに接触可能である。
【0094】
スイッチアーム82は、ハンドルハウジング22に回動可能に支持される。スイッチアーム82は、横ハンドル部22Bに収容される。スイッチアーム82は、回動部82Aと、第1アーム部82Bと、第2アーム部82Cと、第3アーム部82Dとを有する。回動部82Aは、ハンドルハウジング22に回動可能に支持される。回動部82Aは、左右方向に延びる回動軸を中心に回動する。第1アーム部82Bは、回動部82Aから前方側に突出する。ロッド81の下端部は、第1アーム部82Bに接触する。第2アーム部82Cは、第1アーム部82Bよりも下方側且つ回動部82Aよりも前方側に配置される。第3アーム部82Dは、第1アーム部82Bよりも下方側且つ回動部82Aよりも後方側に配置される。マイクロスイッチ10のボタン部10Bは、第2アーム部82Cに接触する。
【0095】
トーションスプリング83は、ハンドルハウジング22に支持される。トーションスプリング83は、横ハンドル部22Bに収容される。トーションスプリング83は、回動部82Aよりも後方側に配置される。トーションスプリング83は、第3アーム部82Dに接触する。トーションスプリング83は、フック14の後端部よりも前方側に配置される。
【0096】
トーションスプリング83は、第1アーム部82Bが上方側に移動し、第2アーム部82Cが前方側に移動するように、スイッチアーム82を回動方向に付勢する。トーションスプリング83の付勢力により、マイクロスイッチ10のボタン部10Bが第2アーム部82Cにより押される。
【0097】
スイッチアーム82は、ロッド81が下方側に移動することにより、トーションスプリング83の付勢力に抗って回動する。ロッド81が下方側に移動すると、第1アーム部82Bが下方側に移動するように、スイッチアーム82が回動する。第1アーム部82Bが下方側に移動するようにスイッチアーム82が回動した場合、第2アーム部82Cが後方側に移動する。すなわち、第1アーム部82Bが下方側に移動するようにスイッチアーム82が回動した場合、第2アーム部82Cがボタン部10Bから離れるように後方側に移動する。
【0098】
実施形態において、マイクロスイッチ10のボタン部10Bが第2アーム部82Cにより押されている状態においては、コントローラ13は、トリガスイッチ9から出力される駆動信号に基づいて、モータ30を駆動させる。すなわち、トーションスプリング83の付勢力により、ボタン部10Bが第2アーム部82Cにより押されている状態においては、トリガスイッチ9の操作に基づいて、モータ30の駆動状態が維持される。
【0099】
ロッド81が下方側に移動して、第2アーム部82Cがボタン部10Bから離れるようにスイッチアーム82が回動することにより、コントローラ13は、トリガスイッチ9からの駆動信号を受信しても、マイクロスイッチ10の操作状態に基づいて、モータ30を停止させる。すなわち、ロッド81の下方側への移動により、スイッチアーム82が回動することにより、モータ30が駆動状態から停止状態に変化するように、マイクロスイッチ10が操作される。ロッド81の下方側への移動により、第2アーム部82Cが後方側に移動するように、スイッチアーム82がトーションスプリング83の付勢力に抗って回動して、モータ30が駆動状態から停止状態に変化する。実施形態においては、第2アーム部82Cがボタン部10Bから離れるように後方側に移動して、マイクロスイッチ10がオン状態からオフ状態に変化することにより、モータ30が駆動状態から停止状態に変化する。
【0100】
コンプレッションスプリング85は、カム53を前方側に移動させる付勢力を発生する。コンプレッションスプリング85は、スピンドル51の後部の周囲に配置される。実施形態において、コンプレッションスプリング85は、第1コンプレッションスプリング85Aと、第1コンプレッションスプリング85Aよりも径方向内側に配置される第2コンプレッションスプリング85Bとを含む。
【0101】
チェンジリング86は、カム53に対するコンプレッションスプリング85の付勢力を調整するために操作される。チェンジリング86は、リヤカバー5に回転可能に支持される。チェンジリング86の内周面に螺旋溝が設けられる。作業者によりチェンジリング86が回転されると、支持プレート84が前後方向に移動する。支持プレート84が前後方向に移動することにより、コンプレッションスプリング85の圧縮量が変化する。コンプレッションスプリング85の圧縮量が変化することにより、カム53に対するコンプレッションスプリング85の付勢力が調整される。
【0102】
バッテリ装着部12は、コントローラハウジング23の下部に配置される。バッテリ装着部12にバッテリパック90が装着される。バッテリパック90は、充電式バッテリパックである。バッテリパック90は、リチウムイオンバッテリを含む。
【0103】
[動作]
シャーボルトとナットとの仮締付作業(一次締付作業)を実施する場合、作業者は、インナスリーブ74にシャーボルトのピンテールを挿入する。ピンテールがインナスリーブ74に挿入されると、ピン78がピンテールにより後方側に押されて、ストッパ79が径方向内側に移動し、インナスリーブ74とアウタスリーブ73との係合が解除され、インナスリーブ74の後方側への移動が許容され、アウタスリーブ73へのナットの嵌め込みが許容される。
【0104】
アウタスリーブ73にナットが嵌められた状態で、シャーボルトは、インナスリーブ74をコンプレッションスプリング77の付勢力に抗して後方側に移動させる。シャーボルトのピンテールがインナスリーブ74に完全に嵌められることで、ナットがアウタスリーブ73に嵌められる。
【0105】
作業者がハンドルハウジング22の縦ハンドル部22Aを手で握ってトリガレバー28を引くと、トリガスイッチ9がオンされ、コントローラ13を介してバッテリパック90からモータ30へ給電され、モータ30が駆動する。コントローラ13は、センサ回路基板34の磁気センサから出力されるロータ32の回転位置の検出信号に基づいて、ステータ31のコイルに対して順番に電流を流すことで、ロータシャフト33を含むロータ32を回転させる。
【0106】
ロータシャフト33の回転により、ファン38が回転すると、吸気口16から排気口17へ空気が流れる。空気の流れによって、モータ30を始めとする各種の部材が冷却される。
【0107】
ロータシャフト33の回転力は、ピニオンギヤ35からヘリカルギヤ45及び中間ギヤ46を介して中間スリーブ52に伝達される。中間スリーブ52に伝達された回転力は、第1ボール54、カム53、及び第2ボール55を介してスピンドル51に伝達される。スピンドル51に伝達された回転力は、第3減速機構43及び第4減速機構44により減速された状態で、出力部8に伝達される。第4減速機構44のキャリア67の回転力は、インナサポート72及びインナスリーブ74に伝達される。インターナルギヤ19の回転力は、アウタサポート71及びアウタスリーブ73に伝達される。第4減速機構44のキャリア67の回転方向は、インターナルギヤ19の回転方向とは逆である。インターナルギヤ19は、ゆっくりと回転する。
【0108】
ナットの締め付け途中では、インナスリーブ74がシャーボルトにより停止され、アウタスリーブ73の回転力がナットに伝達され、ナットがシャーボルトに対して回転する。また、インターナルギヤ19がゆっくりと回転する。アウタスリーブ73に掛かるトルクは、所定値未満である。
【0109】
図6は、実施形態に係るアウタスリーブ73に掛かるトルクが所定値未満であるときの停止操作部11を示す図である。
【0110】
アウタスリーブ73に掛かるトルクが所定値未満である場合、スピンドル51、第3減速機構43、第4減速機構44、及びアウタスリーブ73のそれぞれは、モータ30の回転力により回転する。中間スリーブ52及びカム53は、スピンドル51と一緒に回転する。カム53は、前後方向におけるカム53の可動範囲の前端位置に配置される。カム53が前端位置に配置されている場合、ロッド81は、上下方向におけるロッド81の可動範囲の上端位置に配置される。ロッド81が上端位置に配置されているので、トーションスプリング83の付勢力により、スイッチアーム82は、第2アーム部82Cでマイクロスイッチ10のボタン部10Bを押すように回動する。
【0111】
図7は、実施形態に係るアウタスリーブ73に掛かるトルクが所定値以上であるときの停止操作部11を示す図である。
【0112】
ナットの締め付けが最終段階に至り、アウタスリーブ73に掛かるトルクが所定値以上になると、アウタスリーブ73の回転が規制される。すなわち、ナットから受ける反動トルクにより、アウタスリーブ73の回転が低速になったり停止したりする。アウタスリーブ73の回転が規制されると、第4減速機構44、第3減速機構43、及びスピンドル51のそれぞれの回転が規制される。すなわち、アウタスリーブ73の回転が規制されると、第4減速機構44、第3減速機構43、及びスピンドル51のそれぞれの回転が低速になったり停止したりする。
【0113】
スピンドル51の回転が規制されても、モータ30の駆動は継続しているので、ロータシャフト33の回転力は、ピニオンギヤ35からヘリカルギヤ45及び中間ギヤ46を介して中間スリーブ52に伝達される。スピンドル51と中間スリーブ52とは、相対回転可能である。そのため、スピンドル51の回転が規制されても、中間スリーブ52は、ロータシャフト33の回転力に基づいて回転する。
【0114】
スピンドル51の回転が規制されている状態で、中間スリーブ52が回転すると、中間スリーブ52に伝達された回転力は、第1ボール54を介してカム53に伝達される。第1ボール54は、傾斜溝521と傾斜溝531との間を転がりながら後方側に移動する。第1ボール54が後方側に移動すると、カム53も、第1ボール54と一緒に、コンプレッションスプリング85の付勢力に抗って、後方側に移動する。カム53が後方側に移動することにより、ロッド81が下方側に移動する。ロッド81が下方側に移動することにより、スイッチアーム82の第2アーム部82Cがマイクロスイッチ10のボタン部10Bから後方側に移動するように、スイッチアーム82が回動する。第2アーム部82Cがボタン部10Bから後方側に移動することにより、マイクロスイッチ10がオン状態からオフ状態に変化し、モータ30が駆動状態から停止状態に変化する。
【0115】
モータ30が停止状態になると、カム53の可動範囲の後端位置に配置されていたカム53は、コンプレッションスプリング85の付勢力により前方側に移動する。第1ボール54は、傾斜溝521と傾斜溝531との間を転がりながら前方側に移動する。
【0116】
[効果]
図8は、実施形態に係る電動締付機1の効果を説明するための図である。実施形態においては、マイクロスイッチ10がトリガスイッチ9よりも前方側に配置されている。そのため、ハンドルハウジング22に外力が作用しても、マイクロスイッチ10に加わる衝撃が緩和され、マイクロスイッチ10の故障又は破損が抑制される。例えば、図8に示すように、ハンドルハウジング22が地面にぶつかるように電動締付機1が落下しても、マイクロスイッチ10に加わる衝撃が緩和され、マイクロスイッチ10の故障又は破損が抑制される。マイクロスイッチ10の故障の例として、マイクロスイッチ10のオン又はオフのタイミングが変わること、及びマイクロスイッチ10の位置が変化してスイッチアーム82でマイクロスイッチ10のボタン部10Bを押せないこと等が挙げられる。マイクロスイッチ10は、横ハンドル部22Bの前部に配置される。横ハンドル部22Bの前部は、ギヤケース4の直下に配置される。縦ハンドル部22Aに外力が作用しても、横ハンドル部22Bに衝撃が加わり難い。衝撃が加わり難い横ハンドル部22Bの前部にマイクロスイッチ10が配置されるので、縦ハンドル部22Aに外力が作用しても、マイクロスイッチ10の故障又は破損が抑制される。
【0117】
なお、マイクロスイッチ10に衝撃が加わる原因として、電動締付機1が地面に落下することの他に、電動締付機1の上方側から物体が電動締付機1に落下すること、及び鉄骨にハンドルハウジング22をぶつけること等が挙げられる。また、マイクロスイッチ10が故障又は破損する原因として、マイクロスイッチ10に衝撃が加わることの他に、ハンドルハウジング22が変形すること等が挙げられる。
【0118】
以上説明したように、実施形態において、電動締付機1は、上下方向に延びるモータ30回転軸MXを中心に回転するロータ32を有するモータ30と、モータ30よりも上方側に配置され、ロータ32の回転を減速する動力伝達部7と、動力伝達部7よりも前方側に配置され、動力伝達部7を介して伝達されるロータ32の回転に基づいて、ナットを保持した状態で、前後方向に延びる出力回転軸AXを中心に回転する出力部8と、モータ30を駆動状態にするための第1スイッチであるトリガスイッチ9と、モータ30を停止状態にするための第2スイッチであるマイクロスイッチ10と、動力伝達部7の少なくとも一部を収容するギヤケース4と、ギヤケース4の下方側に配置され、モータ30を収容するモータハウジング21と、モータハウジング21の後方側に配置され、トリガスイッチ9及びマイクロスイッチ10を収容するハンドルハウジング22と、出力部8に掛かるトルクが所定値以上になったときに、モータ30が駆動状態から停止状態に変化するように、マイクロスイッチ10を操作する停止操作部11と、を備えてもよい。マイクロスイッチ10は、トリガスイッチ9よりも前方側に配置されてもよい。
【0119】
上記の構成では、マイクロスイッチ10がトリガスイッチ9よりも前方側に配置されるので、ハンドルハウジング22に外力が作用しても、ハンドルハウジング22に作用した外力がマイクロスイッチ10に伝達することが抑制される。すなわち、マイクロスイッチ10に加わる衝撃が小さくなるので、マイクロスイッチ10の故障が抑制される。
【0120】
実施形態において、マイクロスイッチ10の前端部は、ギヤケース4の後端部よりも前方側に配置されてもよい。
【0121】
上記の構成では、マイクロスイッチ10がハンドルハウジング22において前方側に配置されるので、マイクロスイッチ10に加わる衝撃が緩和される。
【0122】
実施形態において、電動締付機1は、ギヤケース4の後部の開口を覆うように配置されるリヤカバー5を備えてもよい。マイクロスイッチ10は、リヤカバー5の後端部よりも前方側に配置されてもよい。
【0123】
上記の構成では、マイクロスイッチ10がハンドルハウジング22において前方側に配置されるので、マイクロスイッチ10に加わる衝撃が緩和される。
【0124】
実施形態において、動力伝達部7は、出力回転軸AXを中心に回転可能なスピンドル51と、スピンドル51の周囲に配置され、スピンドル51と相対回転可能であり、ロータ32からの回転力が入力されるベベルギヤ52Aを有する中間スリーブ52と、第1ボール54を介して中間スリーブ52の周囲に配置される前側部分と、前側部分よりも後方側に配置され、第2ボール55を介してスピンドル51の周囲に配置される後側部分と、を有し、スピンドル51と前後方向に相対移動可能であるカム53と、スピンドル51の回転を出力部8に伝達する減速機構である第3減速機構43及び第4減速機構44と、を有してもよい。
【0125】
上記の構成では、ロータ32の回転力が出力部8に伝達される。
【0126】
実施形態において、停止操作部11は、カム53に接触可能な位置に配置され、カム53が後方側に移動することにより下方側に移動するロッド81と、ロッド81及びマイクロスイッチ10のそれぞれに接触可能な位置に配置され、ロッド81が下方側に移動することにより回動するスイッチアーム82と、を有してもよい。スイッチアーム82が回動することにより、モータ30が駆動状態から停止状態に変化するように、マイクロスイッチ10が操作されてもよい。
【0127】
上記の構成では、トリガスイッチ9の操作によりモータ30が駆動状態において、出力部8に掛かるトルクが所定値以上になると、カム53が後方側に移動してロッド81が下方側に移動する。ロッド81が下方側に移動すると、スイッチアーム82が回動して、モータ30が駆動状態から停止状態に変化するように、マイクロスイッチ10が操作される。
【0128】
実施形態において、スイッチアーム82は、マイクロスイッチ10の後方側に配置されてもよい。
【0129】
上記の構成では、マイクロスイッチ10がスイッチアーム82よりも前方側に配置されるので、マイクロスイッチ10に加わる衝撃が緩和される。
【0130】
実施形態において、電動締付機1は、ギヤケース4の後部の開口を覆うように配置されるリヤカバー5を備えてもよい。スイッチアーム82は、リヤカバー5の後端部よりも前方側に配置されてもよい。
【0131】
上記の構成では、マイクロスイッチ10がハンドルハウジング22において前方側に配置されるので、マイクロスイッチ10に加わる衝撃が緩和される。
【0132】
実施形態において、マイクロスイッチ10は、本体部10Aと、本体部10Aに移動可能に支持されるボタン部10Bと、を有してもよい。ボタン部10Bは、スイッチアーム82に対向してもよい。
【0133】
上記の構成では、スイッチアーム82の回動により、マイクロスイッチ10のボタン部10Bが操作される。
【0134】
実施形態において、スイッチアーム82は、ハンドルハウジング22に回動可能に支持される回動部82Aと、回動部82Aから前方側に突出し、ロッド81の下端部が接触する第1アーム部82Bと、第1アーム部82Bよりも下方側且つ回動部82Aよりも前方側に配置され、ボタン部10Bに接触する第2アーム部82Cと、を有してもよい。
【0135】
上記の構成では、ロッド81が下方側に移動すると、第1アーム部82Bがロッド81により下方側に押される。第1アーム部82Bが下方側に押されることにより、第2アーム部82Cがボタン部10Bから離れるように後方側に移動する。
【0136】
実施形態において、回動部82Aは、左右方向に延びる回動軸を中心に回動してもよい。
【0137】
上記の構成では、ロッド81の下方側への移動により、第2アーム部82Cがボタン部10Bから離れるように後方側に移動する。
【0138】
実施形態において、電動締付機1は、第1アーム部82Bが上方側に移動し、第2アーム部82Cが前方側に移動するように、スイッチアーム82を回動方向に付勢するトーションスプリング83を備えてもよい。
【0139】
上記の構成では、出力部8に掛かるトルクが所定値未満の場合、トーションスプリング83の付勢力により、マイクロスイッチ10のボタン部10Bが第2アーム部82Cにより押され続ける。
【0140】
実施形態において、トーションスプリング83の付勢力により、ボタン部10Bが第2アーム部82Cにより押されて、モータ30の駆動状態が維持されてもよい。
【0141】
上記の構成では、出力部8に掛かるトルクが所定値未満の場合、トーションスプリング83の付勢力により、マイクロスイッチ10のボタン部10Bが第2アーム部82Cにより押され続けるので、トリガスイッチ9の操作に基づいてモータ30の駆動状態が維持される。
【0142】
実施形態において、ロッド81の下方側への移動により、第2アーム部82Cが後方側に移動するように、スイッチアーム82がトーションスプリング83の付勢力に抗って回動して、モータ30が駆動状態から停止状態に変化してもよい。
【0143】
上記の構成では、出力部8に掛かるトルクが所定値以上の場合、トーションスプリング83の付勢力に抗って、第2アーム部82Cがマイクロスイッチ10のボタン部10Bから離れるように後方側に移動するので、トリガスイッチ9が操作されていても、マイクロスイッチ10の操作により、モータ30が駆動状態から停止状態に変化する。
【0144】
実施形態において、トーションスプリング83は、回動部82Aよりも後方側に配置されてもよい。
【0145】
上記の構成では、マイクロスイッチ10及びスイッチアーム82のそれぞれがハンドルハウジング22において前方側に配置されるので、マイクロスイッチ10及びスイッチアーム82に加わる衝撃が緩和される。
【0146】
実施形態において、トーションスプリング83は、ハンドルハウジング22に支持されてもよい。
【0147】
上記の構成では、トーションスプリング83は、ハンドルハウジング22に支持された状態で、付勢力を発生する。
【0148】
実施形態において、電動締付機1は、ギヤケース4の下方側、且つ、モータハウジング21及びハンドルハウジング22よりも上方側に配置されるギヤハウジング3と、ハンドルハウジング22よりも上方側において、ギヤハウジング3及びギヤケース4の後部の開口を覆うように配置されるリヤカバー5と、ギヤハウジング3に曲げられた状態で固定される帯状のフック14と、を備えてもよい。フック14の右部は、ギヤハウジング3の右側面に固定され、フック14の左部は、ギヤハウジング3の左側面に固定され、フック14の後端部は、リヤカバー5よりも後方側に配置されてもよい。トーションスプリング83は、フック14の後端部よりも前方側に配置されてもよい。
【0149】
上記の構成では、フック14により、トーションスプリング83、マイクロスイッチ10、及びスイッチアーム82に加わる衝撃が緩和される。
【0150】
実施形態において、フック14の後端部は、ハンドルハウジング22の後端部よりも前方側に配置されてもよい。
【0151】
上記の構成では、フック14がハンドルハウジング22から後方側に突出しないので、電動締付機1を用いる作業性の低下が抑制される。
【0152】
実施形態において、マイクロスイッチ10は、トリガスイッチ9よりも上方側に配置されてもよい。
【0153】
上記の構成では、停止操作部11は、マイクロスイッチ10を操作し易い。
【0154】
実施形態において、ハンドルハウジング22は、上下方向に延び、トリガスイッチ9を収容する縦ハンドル部22Aと、縦ハンドル部22Aの上端部から前方側に延びる横ハンドル部22Bと、を有してもよい。マイクロスイッチ10は、横ハンドル部22Bに収容されてもよい。
【0155】
上記の構成では、マイクロスイッチ10をトリガスイッチ9よりも前方側に配置し易い。また、停止操作部11は、マイクロスイッチ10を操作し易い。
【0156】
実施形態において、マイクロスイッチ10の前端部は、ギヤケース4の後端部よりも前方側に配置されてもよい。
【0157】
上記の構成では、マイクロスイッチ10がハンドルハウジング22において前方側に配置されるので、マイクロスイッチ10に加わる衝撃が緩和される。
【0158】
[その他の実施形態]
図9は、その他の実施形態に係る電動締付機101を模式的に示す図である。図9に示すように、コントローラ113がモータハウジング121に配置されてもよい。コントローラ113は、モータ130の下方側に配置されてもよい。また、ハウジング102の内部にコンデンサ91が配置される場合、コンデンサ91がモータハウジング121に配置されてもよい。コントローラハウジング123は、ハンドルハウジング122と一体である。そのため、コントローラハウジング123の上下方向の寸法を小さくすることができる。これにより、電動締付機101の上下方向の寸法が小さくなる。
【符号の説明】
【0159】
1…電動締付機、2…ハウジング、2L…左ハウジング、2R…右ハウジング、3…ギヤハウジング、4…ギヤケース、5…リヤカバー、6…動力部、7…動力伝達部、8…出力部、9…トリガスイッチ(第1スイッチ)、10…マイクロスイッチ(第2スイッチ)、10A…本体部、10B…ボタン部、11…停止操作部、12…バッテリ装着部、13…コントローラ、14…フック、15…ねじ、16…吸気口、17…排気口、18…通気口、19…インターナルギヤ、21…モータハウジング、22…ハンドルハウジング、22A…縦ハンドル部、22B…横ハンドル部、23…コントローラハウジング、24…ねじ、25…ねじ、26…ねじ、27…仕切リブ、28…トリガレバー、30…モータ、31…ステータ、32…ロータ、33…ロータシャフト、34…センサ回路基板、35…ピニオンギヤ、36…ボールベアリング、37…ボールベアリング、38…ファン、41…第1減速機構、42…第2減速機構、43…第3減速機構、44…第4減速機構、45…ヘリカルギヤ、46…中間ギヤ、46A…ベベルギヤ、47…ボールベアリング、48…ニードルベアリング、49…ボールベアリング、50…ボールベアリング、51…スピンドル、52…中間スリーブ、52A…ベベルギヤ、53…カム、53A…テーパ面、54…第1ボール、55…第2ボール、56…ボールベアリング、57…ボールベアリング、58…ニードルベアリング、59…ボールベアリング、60…ピニオンギヤ、61…遊星ギヤ、62…ピン、63…キャリア、64…サンギヤ、65…遊星ギヤ、66…ピン、67…キャリア、71…アウタサポート、72…インナサポート、73…アウタスリーブ、74…インナスリーブ、75…ボールベアリング、76…オイルレスベアリング、77…コンプレッションスプリング、78…ピン、79…ストッパ、81…ロッド、82…スイッチアーム、82A…回動部、82B…第1アーム部、82C…第2アーム部、82D…第3アーム部、83…トーションスプリング、84…支持プレート、85…コンプレッションスプリング、85A…第1コンプレッションスプリング、85B…第2コンプレッションスプリング、86…チェンジリング、90…バッテリパック、91…コンデンサ、101…電動締付機、102…ハウジング、113…コントローラ、121…モータハウジング、122…ハンドルハウジング、123…コントローラハウジング、512…保持溝、521…傾斜溝、531…傾斜溝、532…保持溝、AX…出力回転軸、MX…モータ回転軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9