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  • 特開-負荷駆動装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139460
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】負荷駆動装置
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/12 20100101AFI20241002BHJP
   H03K 17/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
F16H61/12
H03K17/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050411
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】千賀 久司
【テーマコード(参考)】
3J552
5J055
【Fターム(参考)】
3J552PA61
3J552PB02
3J552PB09
3J552QC01
3J552TA04
3J552TA10
5J055AX36
5J055BX16
5J055CX13
5J055CX28
5J055DX52
5J055EX02
5J055FX04
5J055FX08
5J055FX32
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX05
(57)【要約】
【課題】意図した電流とは異なる電流で負荷を駆動する不具合や、過大電流よる負荷の劣化を防止する。
【解決手段】負荷駆動装置1は、電源から第1負荷101に供給する第1電流を第1電流値として監視する電流モニタ回路40と、第1負荷101と直列に接続された第1シャント抵抗51と、第1シャント抵抗51の両端の電圧から第1シャント抵抗51に流れる第2電流を第2電流値として検出する第1電流検出回路61と、第1負荷101及び第1シャント抵抗51と直列に接続されたスイッチ71と、を備え、第2電流値に基づきデューティ比を変化させ、スイッチ71をPWM制御し、第1電流値と第2電流値とが所定の関係になっている場合、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61は正常とし、第1電流値と第2電流値とが所定の関係になっていない場合、第1シャント抵抗51及び/または第1電流検出回路61は正常ではないとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電位の高電位電源と、前記第1電位より低い第2電位の低電位電源との間に配置された負荷に流れる電流を制御する、負荷駆動装置であって、
前記高電位電源と前記負荷との間に配置され、前記高電位電源と前記負荷とのそれぞれに電気的に接続され、前記高電位電源から前記負荷に流れる第1電流を第1電流値として監視する電流モニタ回路と、
前記負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記負荷と前記低電位電源とのそれぞれに電気的に接続され、前記負荷と直列に接続されたシャント抵抗と、
前記シャント抵抗の両端の電圧から前記シャント抵抗に流れる第2電流を第2電流値として検出する電流検出回路と、
前記負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記負荷と前記低電位電源とのそれぞれに電気的に接続され、前記負荷及び前記シャント抵抗と直列に接続されたスイッチと、を備え、
前記第2電流値に基づきデューティ比を変化させ、前記スイッチをPWM制御し、
前記第1電流値と前記第2電流値とが所定の関係になっている場合、前記シャント抵抗及び前記電流検出回路は正常とし、
前記第1電流値と前記第2電流値とが前記所定の関係になっていない場合、前記シャント抵抗及び/または前記電流検出回路は正常ではないとする、
負荷駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の負荷駆動装置であって、
前記第1電位は、正電位であって、
前記第2電位は、GND電位である、
負荷駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の負荷駆動装置であって、
前記電流モニタ回路と前記負荷との間に配置され、前記電流モニタ回路と前記負荷とのそれぞれに電気的に接続された第1端子と、
前記負荷と前記シャント抵抗との間に配置され、前記負荷と前記シャント抵抗とのそれぞれに電気的に接続された第2端子と、を更に備える、
負荷駆動装置。
【請求項4】
請求項1に記載の負荷駆動装置であって、
前記スイッチを第1スイッチとし、
前記高電位電源と前記負荷との間において前記高電位電源と前記負荷とのそれぞれに電気的に接続された第2スイッチを、更に備え、
前記シャント抵抗及び前記電流検出回路が前記正常の場合、前記第2スイッチを第1の導通状態とし、
前記シャント抵抗及び/または前記電流検出回路が前記正常でない場合、前記第2スイッチを、前記第1の導通状態より抑制された第2の導通状態とする、
負荷駆動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の負荷駆動装置であって、
前記電流モニタ回路は、前記第2スイッチに含まれる、
負荷駆動装置。
【請求項6】
請求項4に記載の負荷駆動装置であって、
直列に接続された前記シャント抵抗と前記第1スイッチとにおいて、前記シャント抵抗が前記第1スイッチより前記負荷側にある構成である、
負荷駆動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の負荷駆動装置であって、
前記負荷は、少なくとも一部に誘導負荷を備え、
前記シャント抵抗は、前記負荷と電気的に接続された第1端部と、前記第1スイッチと電気的に接続された第2端部と、を備え、
前記負荷は、前記電流モニタ回路に電気的に接続された第1端部と、前記シャント抵抗に電気的に接続された第2端部と、を備え、
前記シャント抵抗の前記第2端部と前記第1スイッチの間と、前記第2スイッチと前記負荷の前記第1端部との間とを電気的に接続する還流用の回路を備え、
前記第1電流値と前記第2電流値との前記所定の関係は、前記デューティ比が反映される、
負荷駆動装置。
【請求項8】
請求項7に記載の負荷駆動装置であって、
前記還流用の回路は、ダイオードを備える、
負荷駆動装置。
【請求項9】
請求項1に記載の負荷駆動装置であって、
前記負荷は、第1負荷と第2負荷を、少なくとも備え、
前記第1負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記第1負荷と前記低電位電源とのそれぞれに電気的に接続され、前記第1負荷と直列に接続された第1シャント抵抗と、
前記第1シャント抵抗の両端の第1電圧から前記第1シャント抵抗に流れる第3電流を第3電流値として検出する第1電流検出回路と、
前記第1負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記負荷と前記低電位電源とのそれぞれに電気的に接続され、前記第1負荷及び前記第1シャント抵抗と直列に接続された第3スイッチと、を備え、前記第3電流値に基づきデューティ比を変化させ、前記第3スイッチをPWM制御し、
前記第2負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記第2負荷と前記低電位電源とのそれぞれに電気的に接続され、前記第2負荷と直列に接続された第2シャント抵抗と、
前記第2シャント抵抗の両端の第2電圧から前記第2シャント抵抗に流れる第4電流を第4電流値として検出する第2電流検出回路と、
前記第2負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記第2負荷と前記低電位電源のそれぞれに電気的に接続され、前記第2負荷及び前記第2シャント抵抗と直列に接続された第4スイッチと、を備え、前記第4電流値に基づきデューティ比を変化させ、前記第4スイッチをPWM制御し、
前記第1電流値と、前記第3電流値及び前記第4電流値と、が所定の関係になっている場合、前記第1シャント抵抗、前記第2シャント抵抗、前記第1電流検出回路、または前記第2電流検出回路のぞれぞれは正常とし、
前記第1電流値と、前記第3電流値及び前記第4電流値と、が前記所定の関係になっていない場合、前記第1シャント抵抗、前記第2シャント抵抗、前記第1電流検出回路、または前記第2電流検出回路の内、少なくとも1つは正常ではないとする、
負荷駆動装置。
【請求項10】
請求項1に記載の負荷駆動装置であって、
前記負荷は、第1負荷と第2負荷を、少なくとも備え
前記第1負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記第1負荷と前記低電位電源とのそれぞれに電気的に接続され、前記第1負荷と直列に接続された第1シャント抵抗と、
前記第1シャント抵抗の両端の第1電圧から前記第1シャント抵抗に流れる第3電流を第3電流値として検出する第1電流検出回路と、
前記第1負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記負荷と前記低電位電源とのそれぞれに電気的に接続され、前記第1負荷及び前記第1シャント抵抗と直列に接続された第3スイッチと、を備え、前記第3電流値に基づきデューティ比を変化させ、前記第3スイッチをPWM制御し、
前記第2負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記第2負荷と前記低電位電源とのそれぞれに電気的に接続され、前記第2負荷と直列に接続された第2シャント抵抗と、
前記第2シャント抵抗の両端の第2電圧から前記第2シャント抵抗に流れる第4電流を第4電流値として検出する第2電流検出回路と、
前記第2負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記第2負荷と前記低電位電源とのそれぞれに電気的に接続され、前記第2負荷及び前記第2シャント抵抗と直列に接続された第4スイッチと、を備え、前記第4電流値に基づきデューティ比を変化させ、前記第4スイッチをPWM制御し、
前記第1電流値と、前記第3電流値と、が第1の所定の関係になっている場合、前記第1シャント抵抗及び前記第1電流検出回路は正常とし、
前記第1電流値と、前記第3電流値と、が前記第1の所定の関係になっていない場合、前記第1シャント抵抗または前記第1電流検出回路は正常でないとし、
次に、前記第1電流値と、前記第4電流値と、が第2の所定の関係になっている場合、前記第2シャント抵抗及び前記第2電流検出回路は正常とし、
前記第1電流値と、前記第4電流値と、が前記第2の所定の関係になっていない場合、前記第2シャント抵抗または前記第2電流検出回路は正常でないとする、
負荷駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、負荷駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すように、負荷に流れる実電流を検出するために、負荷に直列に接続された電流検出用回路を備え、負荷に流れる実電流をフィードバック制御する負荷駆動装置が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-117736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電流検出回路が故障、劣化等の要因により異常状態となる時にフィードバック制御を行うと、負荷に過電流が印加され、負荷の劣化を招くおそれが生ずる。例えば、目標通りの電流が負荷に流れているにもかかわらず、異常状態に陥った電流検出回路により、電流検出ゲインが設計値に対し0.5倍となった場合、目標電流の0.5倍程度の電流値しか検出されていないことになる。したがって、検出された電流値に基づいて目標電流の2倍の電流が負荷に流れるようにフィードバック制御されてしまうため、意図した電流とは異なる電流で負荷を駆動したり、場合によっては負荷の劣化や故障を招いたりする。
【0005】
本開示は、負荷の劣化を招くようなフィードバック制御を防止し得る負荷駆動装置を提供する技術に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、第1電位の高電位電源と、前記第1電位より低い第2電位の低電位電源との間に配置された負荷に流れる電流を制御する、負荷駆動装置であって、前記高電位電源と前記負荷との間に配置され、前記高電位電源と前記負荷とのそれぞれに電気的に接続され、前記高電位電源から前記負荷に流れる第1電流を第1電流値として監視する電流モニタ回路と、前記負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記負荷と前記低電位電源とのそれぞれに電気的に接続され、前記負荷と直列に接続されたシャント抵抗と、前記シャント抵抗の両端の電圧から前記シャント抵抗に流れる第2電流を第2電流値として検出する電流検出回路と、前記負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記負荷と前記低電位電源とのそれぞれに電気的に接続され、前記負荷及び前記シャント抵抗と直列に接続されたスイッチと、を備え、前記第2電流値に基づきデューティ比を変化させ、前記スイッチをPWM制御し、前記第1電流値と前記第2電流値とが所定の関係になっている場合、前記シャント抵抗及び前記電流検出回路は正常とし、前記第1電流値と前記第2電流値とが前記所定の関係になっていない場合、前記シャント抵抗及び/または前記電流検出回路は正常ではないとする、負荷駆動装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、高電位電源から負荷へ供給される電流(即ち電源電流)を電流モニタ回路によって測定した第1電流値と、負荷に直列に接続されたシャント抵抗に流れる電流を電流検出回路によって検出した第2電流値との関係に基づき、シャント抵抗及び/または電流検出回路が正常であるか否かを判定するため、電流検出回路の異常(例えば電流検出回路のゲインの異常など)により意図した電流とは異なる電流で負荷を駆動する不具合や、過大電流よる負荷の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態に係る負荷駆動装置の回路図
図2A】スイッチのオン時の電流を示す回路図
図2B】スイッチのオフ時の電流を示す回路図
図3】駆動電圧、負荷電流、電源電流、還流用のダイオードを流れる電流のタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を適宜参照しつつ、本開示に係る負荷駆動装置を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
(回路構成)
図1は、本実施の形態に係る負荷駆動装置の回路図である。図1に示す様に、本実施の形態に係る負荷駆動装置1は、第1電位を有する高電位電源である電源Vと、電源Vの第1電位より低い第2電位の低電位電源であるグランドGNDとの間に配置された4つの負荷101、102、103、104のそれぞれに流れる電流を制御する。第1電位は正電位であって、例えば車両に適用される場合13.5[V]に設定され、第2電位はGND電位(つまりゼロ[V])である。
【0011】
負荷駆動装置1は、例えば、車両に搭載されるElectronic Control Unit(ECU)の全部あるいは一部として構成され、車両の各部の駆動を制御する装置である。具体例として、負荷駆動装置1は、車両が備える4車輪のそれぞれの電子制御サスペンションのソレノイド(誘導負荷)に流れる電流を制御し、ソレノイドの駆動を制御する制御装置として作用する。但し、負荷駆動装置1の作用は、このような用途には限定されない。
【0012】
本実施の形態に係る負荷駆動装置1は、スイッチング回路により負荷を電流駆動し、電源Vから負荷に流れる負荷電流を、別途設けられた電流検出回路により検出する。負荷駆動装置1は、負荷電流と目標電流値とが一致するように、スイッチング回路のデューティ(Duty)比を操作するフィードバック制御システムを採用している。以下、負荷駆動装置1の構成及び作用について説明する。
【0013】
負荷駆動装置1は、電源回路10と、Central Processing Unit(CPU)20と、逆接続保護回路30と、電流モニタ回路40と、4つのシャント抵抗(第1シャント抵抗51、第2シャント抵抗52、第3シャント抵抗53、第4シャント抵抗54)と、4つの電流検出回路(第1電流検出回路61、第2電流検出回路62、第3電流検出回路63、第4電流検出回路64)と、4つのスイッチ(第1スイッチ71、第2スイッチ72、第3スイッチ73、第4スイッチ74)と、還流用の回路90と、を備えている。
【0014】
電源回路10は、電源Vからの電流(電源電流)を受けて負荷駆動装置1に適した形に整流等を行うための回路である。CPU20は、フィートバック制御に際しての判断を行い、他の各部に対し指令を発する制御装置(コンピュータ)である。逆接続保護回路30は、負荷駆動装置1側から電源V側に向けて逆方向に電流が流れるのを防止する保護回路である。
【0015】
電流モニタ回路40は、電流モニタ部41を含み、電源Vと負荷101~104のそれぞれとの間に配置され、電源Vと負荷101~104のそれぞれとに電気的に接続される。電流モニタ回路40は、電源Vから負荷101~負荷104のそれぞれに流れる第1電流を第1電流値として監視する。
【0016】
4つのシャント抵抗は、第1シャント抵抗51、第2シャント抵抗52、第3シャント抵抗53、第4シャント抵抗54を含む。シャント抵抗は、一般的に電流のモニタに利用される抵抗である。第1シャント抵抗51は、4つの負荷(第1負荷101~第4負荷104)のうち、第1負荷101とグランドGNDとの間に配置され、第1負荷101とグランドGNDとの両方に電気的に接続され、第1負荷101と直列に接続される。
【0017】
第2シャント抵抗52は、4つの負荷のうち、第2負荷102とグランドGNDとの間に配置され、第2負荷102とグランドGNDとの両方に電気的に接続され、第2負荷102と直列に接続される。第3シャント抵抗53は、4つの負荷のうち、第3の負荷103とグランドGNDとの間に配置され、第3負荷103とグランドGNDとの両方に電気的に接続され、第3負荷103と直列に接続される。第4シャント抵抗54は、4つの負荷のうち、第4負荷104とグランドGNDとの間に配置され、第4負荷104とグランドGNDとの両方に電気的に接続され、第4負荷104と直列に接続される。
【0018】
4つの電流検出回路は、第1電流検出回路61、第2電流検出回路62、第3電流検出回路63、第4電流検出回路64を含む。第1電流検出回路61は、第1シャント抵抗51の両端の電圧から第1シャント抵抗51に流れる第2電流を第2電流値として検出する。第2電流検出回路62、第3電流検出回路63、第4電流検出回路64も、第1電流検出回路61と同様に、対応するシャント抵抗の両端の電圧から当該シャント抵抗に流れる電流、すなわち第2電流を第2電流値として検出する。但し、第2電流値は、電流モニタ回路40によって監視される第1電流値に対する概念であり、各シャント抵抗(第1シャント抵抗51~第4シャント抵抗54)のそれぞれに流れる電流値がすべて同じ、というわけではない。
【0019】
第1電流検出回路61は、電流検出アンプ61a、ローパスフィルタ61bを含んでおり、第1シャント抵抗51に流れる電流を検出することができる。第2電流検出回路62、第3電流検出回路63、第4電流検出回路64も、第1電流検出回路61と同様の構成、作用を有する。また、各電流検出回路はADコンバータ(ADC)をさらに含んでもよい。
【0020】
4つのスイッチのうち、第1スイッチ71は、第1負荷101とグランドGNDとの間に配置され、第1負荷101とグランドGNDとの両方に電気的に接続され、第1負荷101及び第1シャント抵抗51と直列に接続される。スイッチ72は、第1負荷102とグランドGNDとの間に配置され、第2負荷104とグランドGNDとの両方に電気的に接続され、第2負荷102及び第2シャント抵抗52と直列に接続される。
【0021】
スイッチ73は、第3負荷103とグランドGNDとの間に配置され、第3負荷103とグランドGNDとの両方に電気的に接続され、第3負荷103及び第3シャント抵抗53と直列に接続される。スイッチ74は、第4負荷104とグランドGNDとの間に配置され、第4負荷104とグランドGNDとの両方に電気的に接続され、第4負荷104及び第4シャント抵抗54と直列に接続される。
【0022】
上述した4つのスイッチは、いわゆる半導体スイッチであり、バイポーラ型、Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor(MOSFET)型、Insulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)型等、特にその種類は限定されない。
【0023】
上述した構成の下、CPU20は、第1シャント抵抗51~第4シャント抵抗54のそれぞれに流れる第2電流について、第1電流検出回路61~第4電流検出回路64のそれぞれが検出した第2電流値に基づき、第1スイッチ71~第4スイッチ74のそれぞれをオンオフ駆動するためのデューティ比を変化させ、第1スイッチ71~第4スイッチ74のそれぞれをPulse Width Modulation(PWM;パルス幅変調)制御する。すなわち、CPU20は、第2電流値に基づきフィードバック制御を行い、スイッチ71~74のそれぞれを制御する。
【0024】
本実施の形態に係る負荷駆動装置1は、4つの負荷に応じた以下の様な4つの制御チャンネルを有している。但し、負荷及び制御チャンネルの数は4つに限定されない。4つの制御チャンネルは、例えば一般的な車両における4つの車輪に対応した4つの電子制御サスペンションのソレノイド(誘導負荷)の制御、例えば、道路状況に応じたサスペンションの応答性を制御することができる。
【0025】
・第1負荷101の第1制御チャンネル:第1シャント抵抗51、第1電流検出回路61、スイッチ71
・第2負荷102の第2制御チャンネル:第2シャント抵抗52、第2電流検出回路62、スイッチ72
・第3負荷103の第3制御チャンネル:第3シャント抵抗53、第3電流検出回路63、スイッチ73
・第4負荷104の第4制御チャンネル:第4シャント抵抗54、第4電流検出回路64、スイッチ74
【0026】
(異常判定の方法:第1例)
次に、本実施の形態に係る負荷駆動装置1が実施する、電流検出回路及びシャント抵抗の異常の有無を判定する方法の第1例について説明する。以下の説明では、第1例において、上述した4つの制御チャンネルのうち、第1負荷101の第1制御チャンネルのみを判定する例を挙げて説明する。第1制御チャンネルのみに注目するため、第1負荷101は単なる「負荷101」と呼ぶこともでき、第1シャント抵抗51は単なる「シャント抵抗51」と呼ぶこともでき、第1電流検出回路61は単なる「電流検出回路61」と呼ぶこともできる。
【0027】
第1電流検出回路61及び第1シャント抵抗51のうち少なくとも1つが故障、劣化等の要因により異常状態となってしまうことがある。この時に、CPU20がフィードバック制御を行うと、第1負荷101に過電流が印加され、第1負荷101の劣化を招くおそれが生ずる。例えば、目標通りの電流が第1負荷101に流れているにもかかわらず、異常状態に陥った第1電流検出回路61及び第1シャント抵抗51のうち少なくとも1つにより、電流検出ゲインが設計値に対し0.5倍になってしまうことがあり得る。この場合、目標電流の2倍の電流が第1負荷101に流れるようにフィードバック制御されてしまうため、意図した電流とは異なる電流で第1負荷101を駆動したり、場合によっては第1負荷101の劣化や故障を招いたりする。
【0028】
上記のような事象を鑑み、本実施の形態においては、CPU20が、第1電流値と第2電流値との関係をモニタすることにより、第1電流検出回路61及び第1シャント抵抗51のうち少なくとも1つにおける異常発生の有無を確認する。すなわち、CPU20は、第1電流値と第2電流値とが、あらかじめ想定した所定の関係になっている場合、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61は正常と判定する。一方で、CPU20は、第1電流値と第2電流値とが、あらかじめ想定した所定の関係になっていない場合、第1シャント抵抗51及び/または第1電流検出回路61は正常ではないと判定する。
【0029】
すなわち、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61が、負荷駆動装置1の当初の設計、製造のまま正常ならば、第1負荷101に流れる第1電流値と、第1シャント抵抗51に流れる第2電流値とは、当初より想定される所定の関係を満たすはずである。よって、CPU20は、この所定の関係が満たされる場合、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61は正常と判定する。
【0030】
対照的に、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61の少なくともいずれかが、当初の設計、製造のまま正常でなく、異常をきたしている場合、第1負荷101に流れる第1電流値と、第1シャント抵抗51に流れる第2電流値は、当初より想定される所定の関係から逸脱する可能性が高い。よって、CPU20は、この所定の関係が満たされていない場合、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61の少なくともいずれかは、正常でないと判定する。
【0031】
第1電流値及び第2電流値が満たすべき所定の関係は、負荷駆動装置1の設計、機種、適用される場面等、種々の要因により定められるため、具体的な関係には限定されない。しかしながら、理解のため、以下に所定の関係の具体例を説明する。
【0032】
1つの理想的な状態は、電流モニタ回路40によって検出される第1電流値と、第1電流検出回路61によって検出される第2電流値とは、常に等しいという状態である。この場合には、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61のいずれも正常であると判定してよい。
【0033】
但し、電流値の検出精度は限界があるため、第1電流値及び第2電流値のいずれに関しても、常時、完璧な検出精度をもって検出することは困難である。よって、第1電流値と第2電流値とが常に等しいという状態を想定することは現実的ではない。
【0034】
そこで、負荷駆動装置1は正常に駆動しており、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61のいずれも正常である場合、第1電流値と第2電流値とが、相対的に所定の大きさの関係の範囲内にある、と想定することが考えられる。第2電流値が適切に検出され、極端な値をとらないため、第1電流値に対する相対的な大きさも所定の範囲内に収まるものと推定されるからである。
【0035】
正常な場合、第1電流検出回路61によって検出される第2電流値は、電流モニタ回路40によって検出される第1電流値に対し、第1電流値に幅を持たせることによるその下限値、上限値の範囲内に収まるはずである。そこで、電流モニタ回路40によって検出される第1電流値をI_bat_monで表記し、第1電流検出回路61によって検出される第2電流値を、I_bat_estimate1で表記すると、正常な場合、以下の式(1)が成立する。
【0036】
I_bat_mon * CL1 < I_bat_estimate1 < I_bat_mon * CU1 ・・・(1)
【0037】
L1は、電流モニタ回路40によって検出される第1電流値の誤差を考慮して定まる下限を得るための下限係数であり、1より小さい(CL1<1)。CU1は、電流モニタ回路40によって検出される第1電流値の誤差を考慮して定まる上限を得るための上限係数であり、1より大きい(CU1>1)。
【0038】
下限係数CL1、上限係数CU1は、特に限定されず、電流モニタ回路40のスペック等に応じて適宜定めることができる。例えば、CL1=0.8、CU1=1.2とすると、式(1)は下記の式(2)になる。
【0039】
I_bat_mon * 0.8 < I_bat_estimate1 < I_bat_mon * 1.2 ・・・(2)
【0040】
L1は0.8に限定されず、0.95、0.9、0.85、0.75、0.7等であってもよい。CU1も1.2に限定されず、1.05、1.1、1.15、1.25、1.3等であってもよい。
【0041】
CPU20は、第1電流値I_bat_monと第2電流値I_bat_estimate1とが、式(1)(CL1=0.8、CU1=1.2の場合は式(2))を満たす場合、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61のいずれも正常であると判定することができる。一方、CPU20は、第1電流値I_bat_monと第2電流値I_bat_estimate1とが、式(1)(CL1=0.8、CU1=1.2の場合は式(2))を満たさない場合、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61のいずれかが正常でないと判定することができる。
【0042】
なお、上述の考え方は、正常な場合の第2電流値は、第1電流値に対し、第1電流値に幅を持たせることによるその下限値、上限値の範囲内に収まる、というものである。同様に、正常な場合の第1電流値は、第2電流値に対し、第2電流値に幅を持たせることによるその下限値、上限値の範囲内に収まる、と考えてもよい。この場合、以下の式(3)が成立するが、実質的に式(1)と同じである。
【0043】
I_bat_estimate1 * CL1A < I_bat_mon < I_bat_estimate1 * CU1A ・・・(3)
【0044】
下限係数CL1A、上限係数CU1Aは、特に限定されず、第1電流検出回路61のスペック等に応じて適宜定めることができる。例えば、CL1A=0.8、CU1A=1.2とすると、式(3)は下記の式(4)であり、実質的に式(2)と同じである。
【0045】
I_bat_estimate1 * 0.8 < I_bat_mon < I_bat_estimate1 * 1.2 ・・・(4)
【0046】
L1Aは0.8に限定されず、0.95、0.9、0.85、0.75、0.7等であってもよい。CU1Aも1.2に限定されず、1.05、1.1、1.15、1.25、1.3等であってもよい。
【0047】
CPU20は、第1電流値I_bat_monと第2電流値I_bat_estimate1とが、式(3)(CL1A=0.8、CU1A=1.2の場合は式(4))を満たす場合、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61のいずれも正常であると判定することができる。一方、CPU20は、第1電流値I_bat_monと第2電流値I_bat_estimate1とが、式(3)(CL1A=0.8、CU1A=1.2の場合は式(4))を満たさない場合、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61のいずれかが正常でないと判定することができる。
【0048】
なお、第1電流値I_bat_monと比較される第2電流値I_bat_estimate1とは、第1電流検出回路61が検出した値I_sense1(図1参照)そのものではなく、スイッチ71に適用されるデューティ比Duty1を加味した値を用いるのが実用的である。すなわち、下記の式(5)が成立する。
【0049】
I_bat_estimate1 = I_sense1 * Duty1 ・・・(5)
【0050】
図2Aは、スイッチのオン時の電流を示す回路図である。図2Bは、スイッチのオフ時の電流を示す回路図である。図3は、駆動電圧、負荷電流、電源電流、還流用のダイオードを流れる電流のタイミングチャートである。図3のタイミングチャート(1)で示す様に、CPU20のPWM制御により、スイッチ71は、オンオフ動作を周期的に繰り返し、スイッチ71の駆動電圧(例えばゲート-ソース間電圧)VGSが変化する。駆動電圧VGSのオンオフに関わらず、図3のタイミングチャート(2)で示す様に、第1シャント抵抗51に流れる第2電流である負荷電流iは、多少の変動はあるものの、ゼロにはならない。
【0051】
また、図1に示す様に、第1シャント抵抗51は、第1負荷101と電気的に接続された第1端部51aと、スイッチ71と電気的に接続された第2端部51bと、を備える。また、図2に示す様に、第1負荷101は、電流モニタ回路40に電気的に接続された第1端部101aと、第1シャント抵抗51に電気的に接続された第2端部101bと、を備える。
【0052】
さらに負荷駆動装置1は、第1シャント抵抗51の第2端部51bとスイッチ71との間と、電流モニタ回路40と第1負荷101の第1端部51aとの間とを電気的に接続する還流用の回路90を備えている。
【0053】
第1負荷101が誘導負荷を含む場合、図2Aのスイッチ71のオン時の回路で示す様に、第1負荷101を流れる電流が流れるが、このとき第1負荷101にはエネルギーが蓄積される。スイッチ71がオフになると、第1負荷に含まれる誘導負荷は還流用の回路90を介してエネルギーを放出し、図2Bに示すような経路で電流が流れる。図3のタイミングチャート(4)は、還流用の回路90を流れる電流iを示している。
【0054】
よって、図3のタイミングチャート(2)で示す様に、スイッチ71のオフ時においても誘導負荷の性質により電流を維持する様に電流が流れるため(還流用の回路90を流れる、即ちダイオード91を流れる電流iに対応する電流が流れるため)、負荷電流iはゼロにはならない。
【0055】
一方、電源VからグランドGNDに流れる電源電流iは、電源Vから第1負荷101に流れる第1電流に対応し、図3のタイミングチャート(3)で示す様に、駆動電圧VGSに連動してオンオフを繰り返す。図2A及び図2Bの2つの回路図は、駆動電圧VGSのオンまたはオフの2つの状態を示しており、スイッチ71がオンの時は電源Vから電流が供給され、電源電流iがオンとなり、スイッチ71がオフの時は電源Vから電流が供給されず、電源電流iがオフとなる。オンとオフの割合は、スイッチ71に適用されるデューティ比Dである。
【0056】
よって、図3のタイミングチャート(3)の破線で示した様に、電源電流iの第1電流値と比較される第2電流値は、デューティ比Dを加味した電源電流iの平均値iave、すなわち、式(5)の様に、第2電流である負荷電流iにデューティ比Dを乗じたものとすることがよい。
【0057】
図2Aに示す様に、例えば負荷電流iの電流値が1[A]であり、スイッチ71のデューティ比Dが50%である場合、電源電流i、すなわち第1電流値の平均値は、1[A]×50%=0.5[A]となる。よって、この第1電流値と比較される第2電流値は、負荷電流iの電流値にデューティ比D50%を掛け合わせた0.5[A]が基準となる。
【0058】
上述の説明は、4つの制御チャンネルのうち、第1負荷101の第1制御チャンネルのみについて単独で判定する例に関するものである。但し、第2制御チャンネルについても、電流モニタ回路40によって検出される第1電流値をI_bat_monで表記し、第2電流検出回路62によって検出される第2電流値を、I_bat_estimate2で表記すると、正常な場合、以下の式(6)が成立する。
【0059】
I_bat_mon * CL1 < I_bat_estimate2 < I_bat_mon * CU1 ・・・(6)
【0060】
よって、第2制御チャンネルに関しても、第1制御チャンネルの式(2)~式(4)と同様の関係が成立し、第1制御チャンネルと同様な判定を行うことができる。また、式(5)の考え方と同様に、電流値I_bat_estimate2は、第2電流検出回路62が検出した値I_sense2(図1参照)そのものではなく、スイッチ72に適用されるデューティ比Duty2を加味した値を用いるのが実用的である。すなわち、下記の式(7)が成立する。
【0061】
I_bat_estimate2 = I_sense2 * Duty2 ・・・(7)
【0062】
第3制御チャンネルについても、電流モニタ回路40によって検出される第1電流値をI_bat_monで表記し、第3電流検出回路63によって検出される第2電流値を、I_bat_estimate3で表記すると、正常な場合、以下の式(8)が成立する。
【0063】
I_bat_mon * CL1 < I_bat_estimate3 < I_bat_mon * CU1 ・・・(8)
【0064】
よって、第3制御チャンネルに関しても、第1制御チャンネルの式(2)~式(4)と同様の関係が成立し、第1制御チャンネルと同様な判定を行うことができる。また、式(5)の考え方と同様に、第2電流値I_bat_estimate3は、第3電流検出回路63が検出した値I_sense3(図1参照)そのものではなく、スイッチ73に適用されるデューティ比Duty3を加味した値を用いるのが実用的である。すなわち、下記の式(9)が成立する。
【0065】
I_bat_estimate3 = I_sense3 * Duty3 ・・・(9)
【0066】
第4制御チャンネルについても、電流モニタ回路40によって検出される第1電流値をI_bat_monで表記し、第4電流検出回路64によって検出される第2電流値を、I_bat_estimate4で表記すると、正常な場合、以下の式(10)が成立する。
【0067】
I_bat_mon * CL1 < I_bat_estimate4 < I_bat_mon * CU1 ・・・(10)
【0068】
よって、第4制御チャンネルに関しても、第1制御チャンネルの式(2)~式(4)と同様の関係が成立し、第1制御チャンネルと同様な判定を行うことができる。また、式(5)の考え方と同様に、第2電流値I_bat_estimate4は、第4電流検出回路64が検出した値I_sense4(図1参照)そのものではなく、スイッチ74に適用されるデューティ比Duty4を加味した値を用いるのが実用的である。すなわち、下記の式(11)が成立する。
【0069】
I_bat_estimate4 = I_sense4 * Duty4 ・・・(11)
【0070】
上述の式では、4つの制御チャンネルにおいて、下限係数CL1、上限係数CU1を用いたが、下限係数CL1、上限係数CU1のそれぞれは、異なる制御チャンネルで共通であってもよいし、制御チャンネルごとに値を変えてもよい。
【0071】
第1~第4制御チャンネルを個別に判定する第1例の方法は、負荷駆動装置1を適用するシステムを停止している間(初期診断を含む)に行うのが一般的である。システムが車両の場合、この方法はエンジン始動時の走行前の初期診断や、メンテナンスにおける停車時に実行されるのが一般的である。
【0072】
本実施の形態に係る負荷駆動装置1において、第1負荷101に流れる第1電流値と、第1シャント抵抗51に流れる第2電流値との関係に基づき、第1シャント抵抗51及び/または第1電流検出回路61が正常であるか否かを判定するため、電流検出回路の異常(例えば電流検出回路のゲインの異常など)により意図した電流とは異なる電流で第1負荷101を駆動する不具合や、過大電流よる第1負荷101の劣化を防止することができる。場合によっては、負荷駆動装置1が駆動を停止し、負荷駆動装置1が適用されるシステム(例えば車両)をも停止し、不測の事態の発生を防止することができる。
【0073】
なお、本実施の形態においては、高電位電源である電源Vの第1電位は正電位であり、低電位電源であるグランドGNDの第2電位はGND電位である。これにより、一般的な回路構成に含まれる正電位とGND電位との間で、シャント抵抗51及び/または第1電流検出回路61が正常であるか否かを判定することができる。
【0074】
また、負荷駆動装置1は、電流モニタ回路40と第1負荷101の間に配置され、電流モニタ回路40と第1負荷のそれぞれに電気的に接続された第1端子81と、第1負荷101と第1シャント抵抗51の間に配置され、第1負荷101と第1シャント抵抗51のそれぞれに電気的に接続された第2端子82と、を更に備えている。これにより、負荷駆動装置1の第1端子81及び第2端子82に、第1負荷101を接続するという簡易な構成により、第1負荷101に過剰な電流が流れるのを抑制することができる。
【0075】
次に、以下の説明では、スイッチ71を第1のスイッチである第1スイッチ71と呼びつつ、さらに、図1に示した第2のスイッチである第2スイッチ40Aを加味して説明する。すなわち、負荷駆動装置1は、電源Vと第1負荷101との間において、電源Vと第1負荷101のそれぞれに電気的に接続された第2スイッチ40Aを更に備えている。第2スイッチ40Aは、保護機能が付与されており、Intelligent Power Device(IPD)と呼ばれることがある。第2スイッチ40Aは、スイッチング部42、スイッチング部42のゲートに接続されゲート制御部43を有する。
【0076】
CPU20は、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61が正常の場合、ゲート制御部43を制御して、第2スイッチ40Aを第1の導通状態とする。一方で、CPU20は、第1シャント抵抗51及び/または第1電流検出回路61が正常でない場合、ゲート制御部43を制御して、第2スイッチ40Aを、第1の導通状態より抑制された第2の導通状態とする。
【0077】
ここでいう第1の導通状態は、負荷駆動装置1が正常に機能している状態における、第2スイッチ40Aの電流の導通状態である。一方、第2の導通状態は、負荷駆動装置1が正常に機能していない状態において、第1の導通状態よりも流れる電流が小さく、第2スイッチ40Aをオフにした状態や、電流値が完全にゼロとなった状態をも含む概念である。
【0078】
これにより、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61の状態に基づいて第2スイッチ40Aの導通状態を変更するため、第1シャント抵抗51及び/または第1電流検出回路61が異常状態に陥っても、第1負荷101に過剰な電流が流れるのを抑制することができる。
【0079】
特に本実施の形態においては、電流モニタ回路40は、IPDの様な第2スイッチ40Aに含まれる構成を有している。これにより、第2スイッチ40Aは、電流モニタ回路40により検出された第1の電流値をモニタしつつ、負荷駆動装置1を保護することもできる。
【0080】
また、負荷駆動装置1は、直列に接続された第1シャント抵抗51と第1スイッチ71とにおいて、第1シャント抵抗51が第1スイッチ71より第1負荷101側にある構成を有する。これにより、第1スイッチ71に過剰な電流が流れるのを防止することができる。
【0081】
さらに本実施の形態の負荷駆動装置1は、第1負荷101の様に、図2でも挙げたように、少なくとも一部がソレノイドの様な誘導負荷を含む負荷に適用することが可能である。以下、具体的に説明する。
【0082】
図1に示す様に、第1シャント抵抗51は、第1負荷101と電気的に接続された第1端部51aと、第1スイッチ71と電気的に接続された第2端部51bと、を備える。また、第1負荷101は、電流モニタ回路40に電気的に接続された第1端部101aと、第1シャント抵抗51に電気的に接続された第2端部101bと、を備える。
【0083】
さらに負荷駆動装置1は、第1シャント抵抗51の第2端部51bと第1スイッチ71の間と、第2スイッチ40Aと第1負荷101の第1端部51aとの間とを電気的に接続する還流用の回路90を備えている。そして、第1電流値と第2電流値との所定の関係は、第1スイッチ71をオンオフ駆動するためのデューティ比が反映されている。
【0084】
第1負荷101が誘導負荷を含む場合、図2の第1スイッチ71のオン時の回路で示す様に、第1負荷101を流れる電流が流れるが、このとき第1負荷101にはエネルギーが蓄積される。スイッチ71がオフになると、第1負荷に含まれる誘導負荷によって逆起電力が発生し、第1スイッチ71(MOSFET)のドレイン電圧が上昇する。並列に接続された還流用の回路90、ここではダイオード(以降、還流ダイオードとも記載する)によって、第1スイッチ71のドレイン電圧が電源電圧よりも還流ダイオードの順方向電圧だけ高い電圧に到達すると、還流ダイオードが導通し、図2Bに示すような経路で電流が流れる。図3のタイミングチャート(4)は、還流ダイオードを流れる電流iを示している。
【0085】
これにより、負荷駆動装置1において、整流作用を持つダイオード91によって、第1スイッチ71(MOSFET)のドレイン電圧に非常に高い電圧が発生し、第1スイッチが過電圧で破損することを回避することが可能になる。ダイオード91は、逆電流を抑制可能な整流ダイオード、より損失を抑え得るショットキーバリアダイオード等であってよく、特に限定されない。
【0086】
(異常判定の方法:第2例)
次に、本実施の形態に係る負荷駆動装置1が実施する、電流検出回路及びシャント抵抗の異常の有無を判定する方法の第2例について説明する。第1例においては、異常の有無の判定は、第1制御チャンネル~第4制御チャンネルそれぞれについて、個別に行われる。
【0087】
一方、第2例では、第1制御チャンネルのみならず、第2制御チャンネルを加えた、複数の制御チャンネルについてまとめて判定を行う。以下では、スイッチ71を第3のスイッチである第3スイッチ71と呼び、スイッチ72を第4のスイッチである第4スイッチ72と呼んで説明する。負荷は、第1負荷101と第2負荷102とを、少なくとも備えることになる。
【0088】
上述した様に、第1シャント抵抗51は、第1負荷101と低電位電源GNDとの間に配置され、第1負荷101と低電位電源GNDのそれぞれに電気的に接続され、第1負荷101と直列に接続される。第1電流検出回路61は、第1シャント抵抗51の両端の第1電圧から第1シャント抵抗51に流れる第3電流を第3電流値(上述の説明では第2電流値に相当する値)として検出する。
【0089】
第3スイッチ71は、第1負荷101と低電位電源GNDとの間に配置され、第1負荷101と低電位電源GNDのそれぞれに電気的に接続され、第1負荷101及び第1シャント抵抗51と直列に接続される。CPU20は、第1シャント抵抗51に流れる第3電流について、第1電流検出回路61が検出した第3電流値に基づき、第3スイッチ71をオンオフ駆動するためのデューティ比を変化させ、第3スイッチ71をPWM制御する。
【0090】
一方、第2シャント抵抗52は、第2負荷102と低電位電源GNDとの間に配置され、第2負荷102と低電位電源GNDのそれぞれに電気的に接続され、第2負荷102と直列に接続される。第2電流検出回路62は、第2シャント抵抗52の両端の第2電圧から第2シャント抵抗52に流れる第4電流を第4電流値として検出する。
【0091】
第4スイッチ72は、第2負荷102と低電位電源GNDとの間に配置され、第2負荷102と低電位電源GNDのそれぞれに電気的に接続され、第2負荷102及び第2シャント抵抗52と直列に接続される。CPU20は、第2シャント抵抗52に流れる第4電流について、第2電流検出回路62が検出した第4電流値(上述の説明では第2電流値に相当する値)に基づき、第4スイッチ72をオンオフ駆動するためのデューティ比を変化させ、第4スイッチ72をPWM制御する。
【0092】
上記の構成下、CPU20は、まず、第1負荷101の第1電流検出回路61が検出した第3電流値と、第2負荷102の第2電流検出回路62が検出した第4電流値と、の合計値を算出する。第3電流値は式(1)における第2電流値I_bat_estimate1に等しく、第4電流値は式(6)における第2電流値I_bat_estimate2に等しいため、合計値I_bat_estimate_totalは、以下の式(12)により求められる。
【0093】
I_bat_estimate_total = I_bat_estimate1 + I_bat_estimate2 ・・・(12)
【0094】
ここでの負荷は、第1負荷101及び第2負荷102を含むため、電流モニタ回路40が検出する第1電流値は、これら負荷に流れる電流の合計値である。よって、第1電流値と比較されるべき値は、上記I_bat_estimate_totalである。
【0095】
したがって、CPU20は、第1電流値と、第3電流値及び第4電流値(の合計値)と、が所定の関係になっている場合、第1シャント抵抗51、第2シャント抵抗52、第1電流検出回路61、または第2電流検出回路62のぞれぞれは正常と判定する。一方で、CPU20は、第1電流値と、第3電流値及び第4電流値(の合計値)と、が所定の関係になっていない場合、第1シャント抵抗51、第2シャント抵抗52、第1電流検出回路61、または第2電流検出回路62の内、少なくとも1つは正常ではないと判定する。
【0096】
今回の例でも、合計値に関して、式(1)と同様な式(13)の関係が成立するか否かに基づき、第1シャント抵抗51、第2シャント抵抗52、第1電流検出回路61、または第2電流検出回路62のそれぞれが正常であるか否か判定すればよい。
【0097】
I_bat_mon * CL1 < I_bat_estimate_total < I_bat_mon * CU1 ・・・(13)
【0098】
上述の考え方は、正常な場合の第3電流値及び第4電流値の合計値は、第1電流値に対し、第1電流値に幅を持たせることによるその下限値、上限値の範囲内に収まる、というものである。同様に、正常な場合の第1電流値は、第3電流値及び第4電流値の合計値に対し、この合計値に幅を持たせることによるその下限値、上限値の範囲内に収まる、と考えてもよい。すなわち、式(3)と同様に、以下の式(14)が成立するが、実質的に式(13)と同じである。
【0099】
I_bat_estimate_total * CL1A < I_bat_mon < I_bat_estimate1 * CU1A
・・・(14)
【0100】
ここでの下限係数CL1、CL1Aの意義は、上限係数CU1、CU1Aは、式(1)、式(3)のものと同じ意義である。また、デューティ比に関する式(5)、式(7)も同様に成立している。
【0101】
これにより、負荷駆動装置1において、第1負荷101及び第2負荷102に流れる第1電流値と、第1シャント抵抗51に流れる第3電流値と、第2シャント抵抗52に流れる第4電流値と、の関係に基づき、第1シャント抵抗51、第2シャント抵抗52、第1電流検出回路61、または第2電流検出回路62の各々が正常であるか否かを判定するため、電流検出回路の異常(例えば電流検出回路のゲインの異常など)により意図した電流とは異なる電流で第1負荷101及び第2負荷102を駆動する不具合や、過大電流よる第1負荷101及び第2負荷102の劣化を防止することができる。
【0102】
第1制御チャンネル及び第2制御チャンネルをまとめて判定する第2例の方法は、負荷駆動装置1を適用するシステムを停止している間(初期診断を含む)に行ってもよい。特に負荷が、第1負荷101及び第2負荷102の2つのみであるなら、当該システムが駆動している間の判定に適している。
【0103】
なお、CPU20は、第1制御チャンネル~第4制御チャンネルすべてをまとめて判定の対象とすることもできる。この場合、負荷は、第1負荷101及び第2負荷102のみならず、第3負荷103及び第4負荷104をも含むことになり、第1電流値I_bat_monと比較される合計値I_bat_estimate_totalは、以下の式(15)となる。これを踏まえて、CPU20は、式(13)、式(14)にしたがって、判定を行えばよい。
【0104】
I_bat_estimate_total = I_bat_estimate1 + I_bat_estimate2 + I_bat_estimate3 + I_bat_estimate4 ・・・(15)
【0105】
第1制御チャンネル~第4制御チャンネルをまとめて判定する第2例の方法は、負荷駆動装置1を適用するシステムを停止している間(初期診断を含む)に行ってもよい。また、図1のすべての負荷に対応する制御チャンネルについて行うため、システムが駆動している間に行うことも可能である。特に負荷が、図1の構成の様に、第1負荷101~第4負荷104の4つ(例えば車両の4車輪の電子制御サスペンションのソレノイド)であるなら、当該システムが駆動している間の判定に適している。
【0106】
(異常判定の方法:第3例)
第2例においては、CPU20は、第3電流値と第4電流値との合計値を算出したうえで、第1電流値と合計値との比較判定を行う。第3例では、複数の負荷に対応した電流検出回路に対し、1つずつ、順番に判定を行う。具体的には、CPU20は、第1電流値と第3電流値の比較判定を行い、その後第1電流値と第4電流値の比較判定を行う。
【0107】
まず、CPU20は、第1電流値と、第3電流値と、が第1の所定の関係になっている場合、第1シャント抵抗51及び第1電流検出回路61は正常と判定する。一方で、CPU20は、第1電流値と、第3電流値と、が第1の所定の関係になっていない場合、第1シャント抵抗51または第1電流検出回路61は正常でないと判定する。
【0108】
次にCPU20は、第1電流値と、第4電流値と、が第2の所定の関係になっている場合、第2シャント抵抗52及び第2電流検出回路62は正常と判定する。一方で、CPU20は、第1電流値と、第4電流値と、が第2の所定の関係になっていない場合、第2シャント抵抗52または第2電流検出回路62は正常でないと判定する。
【0109】
これにより、負荷駆動装置1において、第1負荷101及び第2負荷102に流れる第1電流値と、第1シャント抵抗51に流れる第3電流値と、第2シャント抵抗52に流れる第4電流値と、の関係に基づき、第1シャント抵抗51及び/または第1電流検出回路61が正常であるか否かを判定し、両者が正常である場合、第2シャント抵抗52及び/または第2電流検出回路62が正常であるか否かを判定するため、電流検出回路の異常(例えば電流検出回路のゲインの異常など)により意図した電流とは異なる電流で第1負荷101及び第2負荷102を駆動する不具合や、過大電流よる第1負荷101及び第2負荷102の劣化を防止することができる。
【0110】
なお、CPU20は、負荷駆動装置1の起動時には、上述のシーケンスに沿ったプログラムを読み込み、負荷駆動装置1に判定を実行させる。
【0111】
以上により、本開示には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0112】
(1)負荷駆動装置(1)は、第1電位の高電位電源(電源V)と、前記第1電位より低い第2電位の低電位電源(グランドGND)との間に配置された負荷(第1負荷101)に流れる電流を制御する、負荷駆動装置(負荷駆動装置1)であって、
前記高電位電源と前記負荷の間に配置され、前記高電位電源と前記負荷のそれぞれに電気的に接続され、前記高電位電源から前記負荷に流れる第1電流を第1電流値として監視する電流モニタ回路(電流モニタ回路40)と、
前記負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記負荷と前記低電位電源のそれぞれに電気的に接続され、前記負荷と直列に接続されたシャント抵抗(第1シャント抵抗51)と、
前記シャント抵抗の両端の電圧から前記シャント抵抗に流れる第2電流を第2電流値として検出する電流検出回路(第1電流検出回路61)と、
前記負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記負荷と前記低電位電源のそれぞれに電気的に接続され、前記負荷及び前記シャント抵抗と直列に接続されたスイッチ(スイッチ71)と、を備え、
前記第2電流値に基づきデューティ比を変化させ、前記スイッチをPWM制御し、
前記第1電流値と前記第2電流値とが所定の関係になっている場合、前記シャント抵抗及び前記電流検出回路は正常とし、
前記第1電流値と前記第2電流値とが前記所定の関係になっていない場合、前記シャント抵抗及び/または前記電流検出回路は正常ではないとする、
負荷駆動装置。
【0113】
これにより、負荷駆動装置において、負荷に流れる第1電流値と、シャント抵抗に流れる第2電流値との関係に基づき、シャント抵抗及び/または電流検出回路が正常であるか否かを判定するため、電流検出回路の異常(例えば電流検出回路のゲインの異常など)により意図した電流とは異なる電流で負荷を駆動する不具合や、過大電流よる負荷の劣化を防止することができる。
【0114】
(2)負荷駆動装置(1)は、(1)に記載の負荷駆動装置であって、
前記第1電位は、正電位であって、
前記第2電位は、GND電位である、
負荷駆動装置。
【0115】
これにより、負荷駆動装置において、一般的な回路構成に含まれる正電位とGND電位との間で、シャント抵抗及び/または電流検出回路が正常であるか否かを判定することができる。
【0116】
(3)負荷駆動装置(1)は、(1)に記載の負荷駆動装置であって、
前記電流モニタ回路と前記負荷の間に配置され、前記電流モニタ回路と前記負荷のそれぞれに電気的に接続された第1端子(第1端子81)と、
前記負荷と前記シャント抵抗の間に配置され、前記負荷と前記シャント抵抗のそれぞれに電気的に接続された第2端子(第2端子82)と、を更に備えた、
負荷駆動装置。
【0117】
これにより、負荷駆動装置において、第1端子及び第2端子に負荷を接続するという簡易な構成により、意図した電流とは異なる電流で負荷を駆動する不具合や、過大電流よる負荷の劣化を防止することができる。
【0118】
(4)負荷駆動装置(1)は、(1)に記載の負荷駆動装置であって、
前記スイッチを第1スイッチ(スイッチ71)とし、
前記高電位電源と前記負荷との間において前記高電位電源と前記負荷のそれぞれに電気的に接続された第2スイッチ(第2スイッチ40A)を、更に備え、
前記シャント抵抗及び前記電流検出回路が前記正常の場合、前記第2スイッチを第1の導通状態とし、
前記シャント抵抗及び/または前記電流検出回路が前記正常でない場合、前記第2スイッチを、前記第1の導通状態より抑制された第2の導通状態とする、
負荷駆動装置。
【0119】
これにより、負荷駆動装置において、シャント抵抗及び電流検出回路の状態に基づいて第2スイッチの導通状態を変更するため、シャント抵抗及び/または電流検出回路が異常状態に陥っても、意図した電流とは異なる電流で負荷を駆動する不具合や、過大電流よる負荷の劣化を防止することができる。
【0120】
(5)負荷駆動装置(1)は、(4)に記載の負荷駆動装置であって、
前記電流モニタ回路は、前記第2スイッチに含まれる、
負荷駆動装置。
【0121】
これにより、負荷駆動装置において、第2スイッチAは、電流モニタ回路により検出された第1の電流値をモニタしつつ、負荷駆動装置を保護することもできる。
【0122】
(6)負荷駆動装置(1)は、(4)に記載の負荷駆動装置であって、
直列に接続された前記シャント抵抗と前記第1スイッチとにおいて、前記シャント抵抗が前記第1スイッチより前記負荷側にある構成である、
負荷駆動装置。
【0123】
これにより、負荷駆動装置において、第1スイッチに過剰な電流が流れるのを防止することができる。
【0124】
(7)負荷駆動装置(1)は、(6)に負荷駆動装置であって、
前記負荷は、少なくとも一部に誘導負荷(第1負荷101)を備え、
前記シャント抵抗は、前記負荷と電気的に接続された第1端部(第1端部51a)と、前記第1スイッチと電気的に接続された第2端部(第2端部51b)と、を備え、
前記負荷は、前記電流モニタ回路に電気的に接続された第1端部(第1端部101a)と、前記シャント抵抗に電気的に接続された第2端部(第2端部101b)と、を備え、
前記シャント抵抗の前記第2端部と前記第1スイッチの間と、前記第2スイッチと前記負荷の前記第1端部との間とを電気的に接続する還流用の回路(還流用の回路90)を備え、
前記第1電流値と前記第2電流値との前記所定の関係は、前記デューティ比が反映される、
負荷駆動装置。
【0125】
これにより、負荷駆動装置において、還流用の回路を備えることにより、第1スイッチのオフとなっても、オン時に誘導負荷に蓄積したエネルギーを放出することができる。
【0126】
(8)負荷駆動装置(1)は、(7)に記載の負荷駆動装置であって、
前記還流用の回路は、ダイオードを備える、
負荷駆動装置。
【0127】
第1スイッチが過電圧により破損することを回避できる。
【0128】
(9)負荷駆動装置(1)は、(1)に記載の負荷駆動装置であって、
前記負荷は、第1負荷(第1負荷101)と第2負荷(第2負荷102)を、少なくとも備え、
前記第1負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記第1負荷と前記低電位電源のそれぞれに電気的に接続され、前記第1負荷と直列に接続された第1シャント抵抗(第1シャント抵抗51)と、
前記第1シャント抵抗の両端の第1電圧から前記第1シャント抵抗に流れる第3電流を第3電流値として検出する第1電流検出回路(第1電流検出回路61)と、
前記第1負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記第1負荷と前記低電位電源のそれぞれに電気的に接続され、前記第1負荷及び前記第1シャント抵抗と直列に接続された第3スイッチ(スイッチ71)と、を備え、前記第3電流値に基づきデューティ比を変化させ、前記第3スイッチをPWM制御し、
前記第2負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記第2負荷と前記低電位電源のそれぞれに電気的に接続され、前記第2負荷と直列に接続された第2シャント抵抗(第2シャント抵抗52)と、
前記第2シャント抵抗の両端の第2電圧から前記第2シャント抵抗に流れる第4電流を第4電流値として検出する第2電流検出回路(第2電流検出回路62)と、
前記第2負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記第2負荷と前記低電位電源のそれぞれに電気的に接続され、前記第2負荷及び前記第2シャント抵抗と直列に接続された第4スイッチ(スイッチ72)と、を備え、前記第4電流値に基づきデューティ比を変化させ、前記第4スイッチをPWM制御し、
前記第1電流値と、前記第3電流値及び前記第4電流値と、が所定の関係になっている場合、前記第1シャント抵抗、前記第2シャント抵抗、前記第1電流検出回路、または前記第2電流検出回路のぞれぞれは正常とし、
前記第1電流値と、前記第3電流値及び前記第4電流値と、が前記所定の関係になっていない場合、前記第1シャント抵抗、前記第2シャント抵抗、前記第1電流検出回路、または前記第2電流検出回路の内、少なくとも1つは正常ではないとする、
負荷駆動装置。
【0129】
これにより、負荷駆動装置において、第1負荷及び第2負荷に流れる第1電流値と、第1シャント抵抗に流れる第3電流値と、第2シャント抵抗に流れる第4電流値と、の関係に基づき、第1シャント抵抗、第2シャント抵抗、第1電流検出回路、または第2電流検出回路の各々が正常であるか否かを判定するため、電流検出回路の異常(例えば電流検出回路のゲインの異常など)により意図した電流とは異なる電流で負荷を駆動する不具合や、過大電流よる負荷の劣化を防止することができる。
【0130】
(10)負荷駆動装置(1)は、(1)に記載の負荷駆動装置であって、
前記負荷は、第1負荷(第1負荷101)と第2負荷(第2負荷102)を、少なくとも備え、
前記第1負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記第1負荷と前記低電位電源のそれぞれに電気的に接続され、前記第1負荷と直列に接続された第1シャント抵抗(第1シャント抵抗51)と、
前記第1シャント抵抗の両端の第1電圧から前記第1シャント抵抗に流れる第3電流を第3電流値として検出する第1電流検出回路(第1電流検出回路61)と、
前記第1負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記第1負荷と前記低電位電源のそれぞれに電気的に接続され、前記第1負荷及び前記第1シャント抵抗と直列に接続された第3スイッチ(スイッチ71)と、を備え、前記第3電流値に基づきデューティ比を変化させ、前記第3スイッチをPWM制御し、
前記第2負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記第2負荷と前記低電位電源のそれぞれに電気的に接続され、前記第2負荷と直列に接続された第2シャント抵抗(第2シャント抵抗52)と、
前記第2シャント抵抗の両端の第2電圧から前記第2シャント抵抗に流れる第4電流を第4電流値として検出する第2電流検出回路(第2電流検出回路62)と、
前記第2負荷と前記低電位電源との間に配置され、前記第2負荷と前記低電位電源のそれぞれに電気的に接続され、前記第2負荷及び前記第2シャント抵抗と直列に接続された第4スイッチ(スイッチ72)と、を備え、前記第4電流値に基づきデューティ比を変化させ、前記第4スイッチをPWM制御し、
前記第1電流値と、前記第3電流値と、が第1の所定の関係になっている場合、前記第1シャント抵抗及び前記第1電流検出回路は正常とし、
前記第1電流値と、前記第3電流値と、が前記第1の所定の関係になっていない場合、前記第1シャント抵抗または前記第1電流検出回路は正常でないとし、
次に、前記第1電流値と、前記第4電流値と、が第2の所定の関係になっている場合、前記第2シャント抵抗及び前記第2電流検出回路は正常とし、
前記第1電流値と、前記第4電流値と、が前記第2の所定の関係になっていない場合、前記第2シャント抵抗または前記第2電流検出回路は正常でないとする、
負荷駆動装置。
【0131】
これにより、負荷駆動装置において、第1負荷及び第2負荷に流れる第1電流値と、第1シャント抵抗に流れる第3電流値と、第2シャント抵抗に流れる第4電流値と、の関係に基づき、第1シャント抵抗及び/または第1電流検出回路が正常であるか否かを判定し、両者が正常である場合、第1シャント抵抗及び/または第1電流検出回路、及び第2シャント抵抗及び/または第2電流検出回路が正常であるか否かを判定するため、流検出回路の異常(例えば電流検出回路のゲインの異常など)により意図した電流とは異なる電流で負荷を駆動する不具合や、過大電流よる負荷の劣化を防止することができる。
【0132】
以上、添付図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本開示は、負荷の劣化を招くようなフィードバック制御を防止し得る負荷駆動装置として有用である。
【符号の説明】
【0134】
1 負荷駆動装置
10 電源回路
20 CPU
30 逆接続保護回路
40 電流モニタ回路
40A 第2スイッチ
51 第1シャント抵抗(シャント抵抗)
51a 第1端部
51b 第2端部、
52 第2シャント抵抗
53 第3シャント抵抗
54 第4シャント抵抗
61 第1電流検出回路(電流検出回路)
62 第2電流検出回路
63 第3電流検出回路
64 第4電流検出回路
71 スイッチ(第1スイッチ、第3スイッチ)
72 スイッチ(第4スイッチ)
73 スイッチ
74 スイッチ
81 第1端子
82 第2端子
90 還流用の回路
91 ダイオード
101 第1負荷(負荷)
101a 第1端部
101b 第2端部
102 第2負荷
103 第3負荷
104 第4負荷
GND グランド
V 電源
図1
図2A
図2B
図3