(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139462
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】食品提供装置
(51)【国際特許分類】
A23P 20/13 20160101AFI20241002BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20241002BHJP
【FI】
A23P20/13
A23L5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050413
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】519020616
【氏名又は名称】TechMagic株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 栄多
【テーマコード(参考)】
4B035
4B048
【Fターム(参考)】
4B035LC16
4B035LE05
4B035LK01
4B035LP26
4B035LP46
4B035LT14
4B048PE11
4B048PN14
4B048PN16
4B048PN18
(57)【要約】
【課題】調味料のまぶされた食品を自動的に取り出して小分けすることが可能な食品提供装置を提供する。
【解決手段】食品提供装置1は、円筒状の外ドラム111と、外ドラム111に収容される、内部に羽根113が設けられ、食品を受け入れる円筒状の内ドラム112と、一端が内ドラム112内に位置し他端が外ドラム111の外部に位置し、食品の向きを整列させるためのガイド溝211が形成されたレーン210を備え、内ドラム112内において落下した食品を受け止め、他端まで搬送する搬送装置200とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の筐体と、
前記筐体に収容される、内部に羽根が設けられ、食品を受け入れる筒状の回転体と、
一端が前記回転体内に位置し他端が前記筐体の外部に位置し、前記食品の向きを整列させるためのガイド溝が形成されたレーンを備え、前記回転体内において落下した前記食品を受け止め、前記他端まで搬送する搬送装置と
を有する食品提供装置。
【請求項2】
前記食品は、固形物に粉体または液体がまぶされたものであり、
前記回転体は、前記固形物以外については前記回転体の外部に通過させる一方、前記固形物については当該回転体の内部に留めるメッシュ構造体が形成されている
請求項1に記載の食品提供装置。
【請求項3】
前記固形物は棒状の食材であり、
前記粉体または液体は調味料であり、
前記ガイド溝は搬送方向に延びている
請求項2に記載の食品提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品の調理を自動的に行う調理システムに好適な食品提供装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調理システムとして、食品を油で揚げる作業を自動的に行うシステムが各種提案されている。この種の調理システムでは、揚げ物に調味料をまぶして攪拌する工程が実施される。そこで、この攪拌工程を自動化するための装置が提案されている。例えば特許文献1は、調味料がまぶされた食品を回転ドラムにより撹拌しつつ搬送する装置において、回転ドラム内にメッシュ構造を設けて余計な調味料が付かないようにした装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載の装置によれば、適切な量の調味料を食品にまぶすことができるが、調味料を食品にまぶした後、その食品を回転ドラムから取り出して、顧客に提供する小分け容器に収容する作業が必要であり、食品提供の効率が低いという問題があった。
【0005】
この発明は、調味料のまぶされた食品を自動的に取り出して小分け容器に収容することが可能な食品提供装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一態様である食品提供装置は、筒状の筐体と、前記筐体に収容される、内部に羽根が設けられ、食品を受け入れる筒状の回転体と、一端が前記回転体内に位置し他端が前記筐体の外部に位置し、前記食品の向きを整列させるためのガイド溝が形成されたレーンを備え、前記回転体内において落下した前記食品を受け止め、前記他端まで搬送する搬送装置とを有する。
【0007】
この態様によれば、食品が回転体から取り出され、レーンにより整列した状態で搬送される。このため、食品を小分け容器に整然と盛り付けることができる。
【0008】
好ましい態様において、前記食品は、固形物に粉体または液体がまぶされたものであり、前記回転体は、前記固形物以外については前記回転体の外部に通過させる一方、前記固形物については当該回転体の内部に留めるメッシュ構造体が形成されている。
【0009】
この態様によれば、粉体と固形物とを均一に混ぜることができる。連続的に運用されて粉体が筐体外に排出されずにたまったとしても、回転によって回転体と筐体の内壁との隙間にたまるから、たまった余計な粉体は、食品と触れる回転体の内壁には触れないため、固形物にまぶされる粉体の量を一定に保つことができる。
【0010】
好ましい態様において、前記固形物は、棒状の食材であり、前記粉体または液体は調味料であり、前記ガイド溝は搬送方向に延びている。
【0011】
この態様によれば、棒状の食材を整列させて搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】この発明の一実施形態である食品提供装置の斜視図である。
【
図5】同食品提供装置の回転ドラムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。
【0014】
図1は、この発明の一実施形態である食品提供装置1の構成を示す斜視図である。
図2は、同食品提供装置1を矢印V1方向から見た正面図である。
図3は、同食品提供装置1を矢印V2方向から見た側面図である。
図4は同食品提供装置1を矢印V3方向から見た平面図である。
【0015】
本実施形態による食品提供装置1は、調味料がまぶされたポテトを、整列させた状態で小分け容器に供給する装置であり、好ましくは自動揚げ調理システム(図示省略)に組み込まれるが、単独で用いられてもよい。
【0016】
食品提供装置1は、攪拌装置100と、搬送装置200とを有する。攪拌装置100は、回転ドラム110と、駆動装置150とを有する。搬送装置200は、レーン210と、振動装置250とを有する。
【0017】
図5は、回転ドラム110を中心軸Pと直交する平面により切断した断面図である。
図6は、回転ドラム110を
図1の矢印V1側から見た正面図である。また、
図7は回転ドラム110を
図1の矢印V1の方向の反対方向から見た背面図である。
【0018】
図5に示すように、回転ドラム110は、円筒状の筐体である外ドラム111と、この外ドラム111内に収容された中空の回転体である内ドラム112とを有する2重構造のドラムである。そして、内ドラム112の円筒状の内壁面には、中心軸Pに向かって突出した複数の羽根113が放射状に設けられている。また、内ドラム112にはメッシュ構造体が形成されている。
【0019】
外ドラム111は、
図6および
図7に示すように、両端が開口端となっている中空のドラムである。内ドラム112は、一端が円形の開口部121を有する円形の底面122となっており、他端が閉塞端となっている。そして、内ドラム112は、
図6に示すように外ドラム101の一方の開口端から底面122を露出させ、外ドラム101の他方の開口端から底面122の反対側の閉塞端を露出させている。本実施形態では、底面122の開口部121を介して、調味料がまぶされたポテトが内ドラム112内に供給される。
【0020】
駆動装置150は、外ドラム111を支持し、内ドラム112に対して中心軸P廻りの回転力を与える手段である。駆動装置150は、外周部が内ドラム112の両端の外周縁に接触した複数のローラ151を有する(例えば
図1参照)。駆動装置150は、これらのローラ151を回転駆動することにより、内ドラム112に対して回転駆動力を与える。この回転駆動力により内ドラム112は、中心軸P廻りに回転し、回転によって頂上付近に持ち上がったポテトが落下する。
【0021】
レーン210は、一端が開口部121から内ドラム112内に挿入された棒状の部材であり、内ドラム112内において頂上部から落下したポテトを受け取って搬送する手段として機能する。
【0022】
本実施形態において、回転ドラム110は、レーン210側が上方を向くように傾いた姿勢で駆動装置150に支持されている(
図3参照)。また、レーン210は、回転ドラム110側の反対側がやや下を向くように傾いた姿勢で支持されている。
【0023】
図8はレーン210を搬送方向と直交する平面により切断した断面図である。
図9はレーン210を上方から見た平面図である。
図10はレーン210の側面図である。
図8および
図9に示すように、レーン210の上面には搬送方向に延びた複数本(図示の例では3本)の断面略V字状のガイド溝211が形成されている。また、
図9に示すように、レーン210の下面には搬送方向に延びた断面略矩形状の凹部212が形成されている。ガイド溝211は、内ドラム112から受け取ったポテトを搬送方向に沿って案内する手段である。ここで、ポテトは、棒状の食材であり、搬送方向に延びた断面略V字状のガイド溝211は、このような棒状の食材を整列させて案内するのに適している。
【0024】
振動装置250は、レーン210を下方から支持し、レーン210に対して振動を与える手段である。振動装置250は、頂上部に略直方体形状のマグネット251を有している。このマグネット251は、レーン210の下面の凹部212に挿入される。本実施形態におけるレーン210は磁性体の固定具を有し、マグネット251によって吸着されることにより、振動装置250に固定される。振動装置250は、レーン210に対して継続的に振動を与える。これにより、レーン210上のポテトはガイド溝211に案内され、レーン210における回転ドラム110側の反対側に移動する。
【0025】
次に本実施形態の動作について説明する。本実施形態では、開口部121を介して、調味料がまぶされたポテトが内ドラム112内に供給される。ポテトは、羽根113の設けられた内ドラム112の回転により頂上付近まで持ち上げられた後、落下する。
【0026】
落下したポテトは、内ドラム112内まで延びたレーン210によって受け止められ、レーン210に形成されたガイド溝211にはまる。このガイド溝211は、搬送方向に延びており、ポテトの向きはこのガイド溝211の向きに強制される。
【0027】
レーン210には、振動装置250から振動が与えられる。そして、レーン210の振動により、レーン210上のポテトは、端部まで搬送される。端部では、ポテトがレーン210から落下し、端部に設置された小分け容器に整列された状態で収容される。
【0028】
このように本実施形態によれば、粉体(あるいは液体)がまぶされた状態の固形物の食品を内ドラム112から取り出し、レーン210により、整列させた状態で小分け容器に搬送することができる。
【0029】
また、本実施形態によれば、回転ドラム110は、外ドラム111とメッシュ構造の内ドラム112の二重構造になっており、余剰の調味料が内ドラム112と外ドラム111の間の空間に溜まる。この空間内に溜まった調味料はポテトに触れないので、味が一定に保たれる。
【0030】
また、本実施形態において、レーン210は、マグネット251により着脱可能に振動装置250に支持されている。従って、レーン210を取り外して洗浄することができる。
【0031】
レーン210の搬送方式は、振動を用いた方式に替えて無端ベルトを用いたベルトコンベア方式を採用してもよい。また、回転ドラム110におけるメッシュ構造を省略しても構わない。ガイド溝の断面の形状、幅、深さ、本数は、搬送対象の食品および/または小分け容器のサイズや形状、小分けの方法に応じて、適宜設計することができる。
【0032】
要するに、本発明に係る装置は、筒状の筐体と、前記筐体に収容される、内部に羽根が設けられ、食品を受け入れる筒状の回転体と、一端が前記回転体内に位置し他端が前記筐体の外部に位置し、前記食品の向きを整列させるためのガイド溝が形成されたレーンとを備え、前記回転体内において落下した前記食品を受け止めて前記他端まで搬送する搬送装置とを有していればよい。
【符号の説明】
【0033】
1……食品提供装置、100……攪拌装置、200……搬送装置、110……回転ドラム、150……駆動装置、210……レーン、250……振動装置、111……外ドラム、112……内ドラム、113……羽根、121……開口部、122……底面、151……ローラ、211……ガイド溝、212……凹部。