(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139465
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】カバー及び空調ユニットの設置方法
(51)【国際特許分類】
F24F 1/58 20110101AFI20241002BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20241002BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
F24F1/58
F24F13/08 A
F24F13/20 202
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050418
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】313009051
【氏名又は名称】ダイキンMRエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】小山 智史
(72)【発明者】
【氏名】加藤 茂
(72)【発明者】
【氏名】田渕 健人
【テーマコード(参考)】
3L054
3L081
【Fターム(参考)】
3L054BA01
3L054BA06
3L054BB01
3L054BB03
3L081AA02
3L081AB03
3L081BA05
(57)【要約】
【課題】 空調ユニットの塩害をより軽減できるカバー及び空調ユニットの設置方法を提案する。
【解決手段】 カバー11は、海塩粒子が飛来する場所に設置される空調ユニットに装着されるカバー又は空調ユニットの近傍に配置されるカバーである。カバー11は、空調ユニットに対向する第1壁を備える。第1壁には、空調ユニットと第1壁の間において海塩粒子の乱流沈殿を発生させて海塩粒子が空調ユニットに向かうことを抑制する空気流路、が形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海塩粒子が飛来する場所に設置される空調ユニットに装着されるカバー(11)又は前記空調ユニットの近傍に配置されるカバーであって、
前記空調ユニットに対向する第1壁を備え、
前記第1壁には、前記空調ユニットと前記第1壁の間において前記海塩粒子の乱流沈殿を発生させて前記海塩粒子が前記空調ユニットに向かうことを抑制する空気流路、が形成される、
カバー。
【請求項2】
前記第1壁は、前記空調ユニットの熱交換器(21)に対向し、
前記第1壁には、前記熱交換器と前記第1壁の間において前記海塩粒子の乱流沈殿を発生させて前記海塩粒子が前記熱交換器に向かうことを抑制する前記空気流路、が形成される、
請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記第1壁は、
一又は複数の第1穴が設けられた板状部材(1111)と、
前記第1穴を通った空気の流れの向きを変える一又は複数の第1ガイド部材、
を有する、
請求項1又は請求項2に記載のカバー。
【請求項4】
前記空気流路の入口である前記第1穴の流路断面積は、前記第1ガイド部材の先端の前記空気流路の出口の流路断面積より狭い、
請求項3に記載のカバー。
【請求項5】
前記板状部材には、さらに一又は複数の第2穴が設けられ、
前記第1壁は、前記第2穴を通った空気の流れの向きを変える一又は複数の第2ガイド部材をさらに有し、
前記第1ガイド部材の先端の前記空気流路の出口は、前記第2ガイド部材の先端の前記空気流路の出口より高い位置に存在する、
請求項3に記載のカバー。
【請求項6】
前記第1壁は、鉛直面に沿う壁であり、鉛直面に沿って配置される前記空調ユニットに対向する壁である、
請求項1又は請求項2に記載のカバー。
【請求項7】
断面視における、前記第1ガイド部材の空気の流れの方向への、前記第1ガイド部材の長さは、0.11メートル以上且つ1.11メートル以下であり、
前記断面視における、鉛直方向への前記第1穴の幅は、0.04メートル以上且つ0.48メートル以下であり、
前記断面視における、前記第1ガイド部材の空気の流れの方向への、前記第1ガイド部材の先端の前記空気流路の出口の幅は、0.045メートル以上且つ0.59メートル以下である、
請求項3に記載のカバー。
【請求項8】
前記第1壁と前記空調ユニットとの間には、粒子径が50μm未満の前記海塩粒子を濾過するフィルタが設けられる、
請求項1又は請求項2に記載のカバー。
【請求項9】
前記空気流路は、前記空調ユニットと前記第1壁の間において前記海塩粒子の乱流沈殿を発生させて、粒子径が50μm以上の前記海塩粒子が前記空調ユニットに向かうことを抑制する、
請求項1又は請求項2に記載のカバー。
【請求項10】
海塩粒子が飛来する場所に空調ユニットを配置する第1工程(S1)と、
カバー(11)の第1壁が前記空調ユニットに対向するように前記空調ユニットに前記カバーを装着するか、若しくは、前記第1壁が前記空調ユニットに対向するように前記空調ユニットの近傍に前記カバーを配置する、第2工程(S2)を含み、
前記第1壁には、前記空調ユニットと前記第1壁の間において前記海塩粒子の乱流沈殿を発生させて前記海塩粒子が前記空調ユニットに向かうことを抑制する空気流路、が形成される、
空調ユニットの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
カバー及び空調ユニットの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開平11-193942)は、通気性と水滴遮断性を有するフィルタを、室外機の排気口に脱着自在に設ける、インバータエアコンの通風装置を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のインバータエアコンの通風装置は、フィルタの設置及び管理にコストを要する。
【0004】
本開示は、空調ユニットに海塩粒子が付着することを抑制でき、空調ユニットの塩害を軽減できるカバー及び空調ユニットの設置方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点のカバーは、海塩粒子が飛来する場所に設置される空調ユニットに装着されるカバー又は空調ユニットの近傍に配置されるカバーである。カバーは、空調ユニットに対向する第1壁を備える。第1壁には、空調ユニットと第1壁の間において海塩粒子の乱流沈殿を発生させて海塩粒子が空調ユニットに向かうことを抑制する空気流路、が形成される。
【0006】
本カバーは、海塩粒子の乱流沈殿を発生させて海塩粒子が空調ユニットに向かうことを抑制する空気流路が形成される、第1壁を備える。従って、本カバーは、空調ユニットに海塩粒子が付着することを抑制でき、空調ユニットの塩害を軽減できる。
【0007】
第2観点のカバーは、第1観点のカバーであって、第1壁が、空調ユニットの熱交換器に対向する。空気流路は、熱交換器と第1壁の間において海塩粒子の乱流沈殿を発生させて海塩粒子が熱交換器に向かうことを抑制する。
【0008】
本カバーは、海塩粒子の乱流沈殿を発生させて海塩粒子が熱交換器に向かうことを抑制する空気流路が形成される、第1壁を備える。従って、本カバーは、熱交換器に海塩粒子が付着することを抑制でき、熱交換器の塩害を軽減できる。
【0009】
第3観点のカバーは、第1観点又は第2観点のカバーであって、第1壁が、板状部材と、一又は複数の第1ガイド部材を有する。板状部材には、一又は複数の第1穴が設けられる。第1ガイド部材は、第1穴を通った空気の流れの向きを変える。
【0010】
第1穴を通った空気の流れの向きが変わるため、第1穴を通った空気の海塩粒子の乱流沈殿が発生する。従って、本カバーは、乱流沈殿により、空調ユニットに海塩粒子が付着することを抑制でき、空調ユニットの塩害を軽減できる。
【0011】
第4観点のカバーは、第3観点のカバーであって、空気流路の入口である第1穴の流路断面積が、第1ガイド部材の先端の空気流路の出口の流路断面積より狭い。
【0012】
空気流路の入口の流路断面積が空気流路の出口の流路断面積より狭いため、空気流路内に渦が生成される空間が生じ得る。従って、本カバーは、乱流沈殿により、空調ユニットに海塩粒子が付着することを抑制でき、空調ユニットの塩害を軽減できる。
【0013】
第5観点のカバーは、第3観点又は第4観点のカバーであって、板状部材には、さらに一又は複数の第2穴が設けられる。第1壁は、第2穴を通った空気の流れの向きを変える一又は複数の第2ガイド部材をさらに有する。第1ガイド部材の先端の空気流路の出口は、第2ガイド部材の先端の空気流路の出口より高い位置に存在する。
【0014】
第2穴を通った空気は、第2ガイド部材の先端の空気流路の出口の付近で、第1ガイド部材の先端の空気流路の出口から沈殿した海塩粒子と衝突し、流れが停滞する。そのため、海塩粒子の液滴が生成され、空気中の海塩粒子が少なくなり、乱流沈殿がより起こりやすくなる。従って、本カバーは、空調ユニットに海塩粒子が付着することをより抑制でき、空調ユニットの塩害をより軽減できる。
【0015】
第6観点のカバーは、第1観点から第5観点の何れかの観点のカバーであって、第1壁が、鉛直面に沿う壁であり、鉛直面に沿って配置される空調ユニットに対向する壁である。
【0016】
カバーと空調ユニットが互いに平行で設置されるため、カバーと空調ユニットとの間における乱流の移動距離が長くなる。従って、本カバーは、空調ユニットに海塩粒子が付着することをより抑制でき、空調ユニットの塩害をより軽減できる。
【0017】
第7観点のカバーは、第3観点から第5観点の何れかの観点のカバーであって、断面視における、第1ガイド部材の空気の流れの方向への、第1ガイド部材の長さは、0.11メートル以上且つ1.11メートル以下である。断面視における、鉛直方向への第1穴の幅は、0.04メートル以上且つ0.48メートル以下である。断面視における、第1ガイド部材の空気の流れの方向への、第1ガイド部材の先端の空気流路の出口の幅は、0.045メートル以上且つ0.59メートル以下である。
【0018】
本カバーの態様は、空調ユニットの態様に対応し、具体的な寸法にかかる態様である。従って、本カバーは、空調ユニットに海塩粒子が付着することをより抑制でき、空調ユニットの塩害をより軽減できる。
【0019】
第8観点のカバーは、第1観点から第7観点の何れかの観点のカバーであって、第1壁と空調ユニットとの間には、粒子径が50μm未満の海塩粒子を濾過するフィルタが設けられる。
【0020】
従って、本カバーは、海塩粒子の濾過により、空調ユニットに海塩粒子が付着することをより抑制でき、空調ユニットの塩害をより軽減できる。
【0021】
第9観点のカバーは、第1観点から第8観点の何れかの観点のカバーであって、空調ユニットと第1壁の間において海塩粒子の乱流沈殿を発生させて、粒子径が50μm以上の海塩粒子が空調ユニットに向かうことを抑制する。
【0022】
従って、本カバーは、空調ユニットに粒子径が50μm以上の海塩粒子が付着することを抑制でき、空調ユニットの塩害を軽減できる。
【0023】
第10観点の空調ユニットの設置方法は、第1工程と、第2工程を含む。第1工程は、海塩粒子が飛来する場所に空調ユニットを配置する工程である。第2工程は、カバーの第1壁が空調ユニットに対向するように空調ユニットにカバーを装着するか、若しくは、第1壁が空調ユニットに対向するように空調ユニットの近傍にカバーを配置する工程である。第1壁には、空調ユニットと第1壁の間において海塩粒子の乱流沈殿を発生させて海塩粒子が空調ユニットに向かうことを抑制する空気流路、が形成される。
【0024】
本空調ユニットの設置方法は、第1壁により、海塩粒子の乱流沈殿を発生させて海塩粒子が空調ユニットに向かうことを抑制する空気流路が形成される第2工程を含む。従って、本空調ユニットの設置方法を使用すると、空調ユニットに海塩粒子が付着することを抑制でき、空調ユニットの塩害を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図4】右壁111を示す、塩害軽減装置1の右側面図である。
【
図6】前壁112を示す、塩害軽減装置1の正面図である。
【
図8】左壁114を示す、塩害軽減装置1の左側面図である。
【
図9】裏壁115を示す、塩害軽減装置1の背面図である。
【
図10】空気流路を示す、塩害軽減装置1の断面図である。
【
図11】空気流路を示す、塩害軽減装置1の断面図である。
【
図12】空気流路を示す、塩害軽減装置1の断面図である。
【
図13】粒体流路GPを示す、塩害軽減装置1の断面図である。
【
図14】粒体流路GPを示す、塩害軽減装置1の断面図である。
【
図15】室外ユニット2の設置方法を示すフローチャートである。
【
図16】空気流路を示す、塩害軽減装置1の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(1)概説
塩害軽減装置1について概説する。塩害軽減装置1は、室外ユニット2の近傍に配置され、室外ユニット2の塩害を軽減する装置である。なお、塩害軽減装置1は、室外ユニット2に装着される装置であってもよい。室外ユニット2は、空調ユニットの一例である。
【0027】
空調ユニットは、空気調和を行うユニットである。空気調和の例としては、冷房、冷凍、暖房、加湿、除湿、空気清浄、送風などが挙げられる。空調ユニットは、海塩粒子が飛来する場所に設置される。
【0028】
海塩粒子は、海面から大気中に放出された小さな液滴が、液滴の状態か、乾燥した個体粒子として大気中に浮遊しているものである。海塩粒子は、粒体と、粉体を含む。粒体とは、粒子径が50μm以上の粒子をいう。粉体とは、粒子径が50μm未満の粒子をいう。なお、海塩粒子は、粒体と、粉体と、の何れかの一方を含んでもよい。
【0029】
「海塩粒子が飛来する」ことの例としては、海塩飛沫により大気中に存在する海塩粒子が、空気の流れにより到来することが挙げられる。海塩飛沫は、海塩粒子が飛沫することをいう。
【0030】
「海塩粒子が飛来する場所」の例としては、海洋構造物と、船と、重塩害地と、塩害地などが挙げられる。海洋構造物の例としては、浮体式洋上風力発電施設と、石油プラットフォームと、海洋牧場と、海水に接する構造物などが挙げられる。重塩害地の例としては、海岸までの距離が300m以内の場所などが挙げられる。塩害地の例としては、海岸までの距離が300m以上であり、1km以内の場所などが挙げられる。
【0031】
塩害は、海塩粒子が含む発錆成分により、腐食が起こることをいう。空調ユニットの塩害の例としては、空調ユニットが備える構成要素が海塩粒子により腐食することなどが挙げられる。
【0032】
(2)全体構成
塩害軽減装置1の全体構成について説明する。
図1は、塩害軽減装置1を示す概略斜視図である。
図2は、
図1と反対側から塩害軽減装置1を示す概略斜視図である。
図3は、塩害軽減装置1のA-A’断面を示す断面図である。
【0033】
塩害軽減装置1は、カバー11と、架台12を備える。カバー11と架台12により形成される内部領域IAには、室外ユニット2が設けられる。外部領域OAは、内部領域IAではない領域である。
【0034】
(2-1)カバー11
カバー11は、室外ユニット2の近傍に配置され、室外ユニット2の塩害を軽減する。なお、カバー11は、室外ユニット2に装着されてもよい。カバー11の詳細構成については後述する。
【0035】
(2-2)架台12
架台12は、カバー11及び室外ユニット2を、持ち上げて支持する。架台12の態様は、カバー11及び室外ユニット2を持ち上げて支持する態様であればよく、
図1及び
図2に示す架台12の態様に限定されない。
【0036】
架台12は、カバー11及び室外ユニット2を持ち上げるため、カバー11及び室外ユニット2の海水への浸漬を抑制する。従って、架台12は、室外ユニット2の塩害を軽減できる。
【0037】
(2-3)室外ユニット2
室外ユニット2は、冷媒の熱と内部領域IAの熱を交換するユニットである。室外ユニット2は、主に、熱交換器21と、ファン22と、筐体23などを有する。室外ユニット2は、ホースPにより、空調対象空間に設けられる室内ユニット(図示しない)と接続する。ホースPは、冷媒配管と、ドレンホースの少なくとも何れかの機能を実現する。なお、室外ユニット2は、家庭用と、業務用の少なくとも何れかであってもよい。なお、室外ユニット2は、横吹きと、上吹きの少なくとも何れかであってもよい。
【0038】
(2-3-1)熱交換器21
熱交換器21は、熱交換器21の内部を流れる冷媒の熱と内部領域IAの空気(熱源空気)の熱を交換する。熱交換器21は、冷媒の放熱器と、冷媒の蒸発器として機能する。熱交換器21は、鉛直面に沿って配置される。
【0039】
(2-3-2)ファン22
ファン22は、回転駆動して、空気を熱交換器21に吸い込む。また、ファン22は、回転駆動して、熱交換器21により熱が交換された空気を吹き出す。
【0040】
(2-3-3)筐体23
筐体23は、熱交換器21と、ファン22を収納する。筐体23には、複数の筐体穴(図示しない)が設けられる。筐体穴により、内部領域IAと熱交換器21は連通する。筐体穴により、内部領域IAとファン22は連通する。
【0041】
(3)カバーの詳細構成
カバー11の詳細構成について説明する。カバー11は、右壁111と、前壁112と、屋根113と、左壁114と、裏壁115を有する。
【0042】
(3-1)右壁111
右壁111について説明する。
図4は、右壁111を示す、塩害軽減装置1の右側面図である。右壁111は、板状部材1111と、ガイド部材Gaと、ガイド部材Gbと、複数の仕切り板Pを有する。右壁111は、第1壁の一例である。右壁111は、鉛直面に沿う壁である。右壁111は、熱交換器21に対向する。なお、右壁111は、複数のガイド部材Gaを備えてもよい。なお、右壁111は、複数のガイド部材Gbを備えてもよい。
【0043】
(3-1-1)板状部材1111
板状部材1111は、板状の形状をもち、鉛直面に沿う部材である。板状部材1111は、熱交換器21と対向する。板状部材1111には、穴Haと、穴Hbが設けられる。なお、板状部材1111には、複数の穴Haが設けられてもよい。なお、板状部材1111には、複数の穴Hbが設けられてもよい。
【0044】
(3-1-1-1)穴Ha
穴Haは、内部領域IAと外部領域OAを連通させる。穴Haは、第1穴の一例である。なお、穴Haの形状は、内部領域IAと外部領域OAを連通させる形状であればよく、
図4に示す長方形の形状に限定されない。
【0045】
穴Haの高さHhaは、0.06mである。穴Haの高さHhaは、断面視における、鉛直方向への穴Haの幅ともいえる。穴Haの高さHhaは、0.04m以上且つ0.48m以下であってもよい。なお、穴Haの高さHhaは、塩害軽減装置1の態様や塩害軽減装置1の設置環境に応じて、0.04m未満又は0.48m超過であってもよい。
【0046】
穴Haの横幅Hwaは、0.5mである。穴Haの横幅Hwaは、0.5m以上且つ1m以下であってもよい。なお、穴Haの横幅Hwaは、塩害軽減装置1の態様や塩害軽減装置1の設置環境に応じて、0.5m未満又は1m超過であってもよい。
【0047】
(3-1-1-2)穴Hb
穴Hbは、内部領域IAと外部領域OAを連通させる。穴Hbは、第2穴の一例である。なお、穴Hbの形状は、内部領域IAと外部領域OAを連通させる形状であればよく、
図4に示す長方形の形状に限定されない。
【0048】
穴Hbの高さHhbは、0.06mである。穴Hbの高さHhbは、断面視における、鉛直方向への穴Hbの幅ともいえる。穴Hbの高さHhbは、0.04m以上且つ0.48m以下であってもよい。なお、穴Hbの高さHhbは、塩害軽減装置1の態様や塩害軽減装置1の設置環境に応じて、0.04m未満又は0.48m超過であってもよい。なお、穴Hbの高さHhbは、穴Haの高さHhaと異なっても良い。
【0049】
穴Hbの横幅Hwbは、0.5mである。穴Hbの横幅Hwbは、0.5m以上且つ1m以下であってもよい。なお、穴Hbの横幅Hwbは、塩害軽減装置1の態様や塩害軽減装置1の設置環境に応じて、0.5m未満又は1m超過であってもよい。なお、穴Hbの横幅Hwbは、穴Hbの横幅Hwbと異なっても良い。
【0050】
(3-1-2)ガイド部材Ga
ガイド部材Gaは、穴Haを通った空気の流れの向きを変える部材である。ガイド部材Gaは、第1ガイド部材の一例である。
図5は、塩害軽減装置1のB-B’断面を示す断面図である。なお、ガイド部材Gaの形状は、穴Haを通った空気の流れの向きを変える形状であればよく、
図5に示す形状に限定されない。
【0051】
ガイド部材Gaの高さGhaは、0.13mである。ガイド部材Gaの高さGhaは、断面視における、ガイド部材Gaの空気の流れの方向への、ガイド部材Gaの長さともいえる。ガイド部材Gaの高さGhaは、0.11m以上且つ1.11m以下であってもよい。なお、ガイド部材Gaの高さGhaは、塩害軽減装置1の態様や塩害軽減装置1の設置環境に応じて、0.11m未満又は1.11m超過であってもよい。
【0052】
(3-1-2-1)出口Ea
ガイド部材Gaの先端には、出口Eaが形成される。出口Eaの高さEhaは、0.07mである。出口Eaの高さEhaは、断面視における、ガイド部材Gaの空気の流れの方向への、ガイド部材Gaの先端の空気流路Raの出口の幅ともいえる。空気流路Raの詳細については、後述する。出口Eaの高さEhaは、0.045m以上且つ0.59m以下であってもよい。なお、出口Eaの高さEhaは、塩害軽減装置1の態様や塩害軽減装置1の設置環境に応じて、0.045m未満又は0.59m超過であってもよい。なお、出口Eaの高さEhaは、穴Haの高さHhaと同じ値でもよい。
【0053】
(3-1-3)ガイド部材Gb
ガイド部材Gbは、穴Hbを通った空気の流れの向きを変える部材である。ガイド部材Gbは、第2ガイド部材の一例である。なお、ガイド部材Gbの形状は、穴Hbを通った空気の流れの向きを変える形状であればよく、
図5に示す形状に限定されない。
【0054】
ガイド部材Gbの高さGhbは、0.13mである。ガイド部材Gbの高さGhbは、0.11m以上且つ1.11m以下であってもよい。なお、ガイド部材Gbの高さGhbは、塩害軽減装置1の態様や塩害軽減装置1の設置環境に応じて、0.11m未満又は1.11m超過であってもよい。なお、ガイド部材Gbの高さGhbは、ガイド部材Gaの高さGhaと異なっても良い。
【0055】
(3-1-3-1)出口Eb
ガイド部材Gbの先端には、出口Ebが形成される。出口Ebは、ガイド部材Gbの先端の空気流路Rbの出口ともいえる。空気流路Rbの詳細については、後述する。出口Eaは、出口Ebより高い位置に存在する。
【0056】
(3-1-4)仕切り板P
仕切り板Pは、右壁111とガイド部材Gaの間の一部又は右壁111とガイド部材Gbの間の一部を塞ぐように設けられる。仕切り板Pは、空気流路Ra及び空気流路Rb以外の空気流路が形成されないように設けられる。なお、仕切り板Pの形状は、
図4に示す形状に限定されない。
【0057】
(3-2)前壁112
前壁112について説明する。
図6は、前壁112を示す、塩害軽減装置1の正面図である。前壁112は、板状部材1121と、ガイド部材Gcと、ガイド部材Gdと、複数の仕切り板Pを有する。前壁112は、第1壁の一例であってもよい。前壁112は、鉛直面に沿う壁である。前壁112は、熱交換器21に対向する。なお、前壁112は、複数のガイド部材Gcを備えてもよい。なお、前壁112は、複数のガイド部材Gdを備えてもよい。
【0058】
(3-2-1)板状部材1121
板状部材1121は、板状の形状をもち、鉛直面に沿う部材である。板状部材1121は、熱交換器21と対向する。板状部材1121には、穴Hcと、穴Hdが設けられる。なお、板状部材1121には、複数の穴Hcが設けられてもよい。なお、板状部材1121には、複数の穴Hdが設けられてもよい。
【0059】
(3-2-1-1)穴Hc
穴Hcは、内部領域IAと外部領域OAを連通させる。穴Hcは、第1穴の一例であってもよい。なお、穴Hcの形状は、内部領域IAと外部領域OAを連通させる形状であればよく、
図6に示す長方形の形状に限定されない。
【0060】
穴Hcの高さHhcは、0.06mである。穴Hcの高さHhcは、断面視における、鉛直方向への穴Hcの幅ともいえる。穴Hcの高さHhcは、0.04m以上且つ0.48m以下であってもよい。なお、穴Hcの高さHhcは、塩害軽減装置1の態様や塩害軽減装置1の設置環境に応じて、0.04m未満又は0.48m超過であってもよい。
【0061】
穴Hcの横幅Hwcは、0.9mである。穴Hcの横幅Hwcは、0.9m以上且つ1.1m以下であってもよい。なお、穴Hcの横幅Hwcは、塩害軽減装置1の態様や塩害軽減装置1の設置環境に応じて、0.9m未満又は1.1m超過であってもよい。
【0062】
(3-2-1-2)穴Hd
穴Hdは、内部領域IAと外部領域OAを連通させる。穴Hdは、第2穴の一例であってもよい。なお、穴Hdの形状は、内部領域IAと外部領域OAを連通させる形状であればよく、
図6に示す長方形の形状に限定されない。
【0063】
穴Hdの高さHhdは、0.06mである。穴Hdの高さHhdは、断面視における、鉛直方向への穴Hdの幅ともいえる。穴Hdの高さHhdは、0.04m以上且つ0.48m以下であってもよい。なお、穴Hdの高さHhdは、塩害軽減装置1の態様や塩害軽減装置1の設置環境に応じて、0.04m未満又は0.48m超過であってもよい。なお、穴Hdの高さHhdは、穴Hcの高さHhcと異なっても良い。
【0064】
穴Hdの横幅Hwdは、0.9mである。穴Hdの横幅Hwdは、0.9m以上且つ1.1m以下であってもよい。なお、穴Hdの横幅Hwdは、塩害軽減装置1の態様や塩害軽減装置1の設置環境に応じて、0.9m未満又は1.1m超過であってもよい。なお、穴Hdの横幅Hwdは、穴Hcの横幅Hwcと異なっても良い。
【0065】
(3-2-2)ガイド部材Gc
ガイド部材Gcは、穴Hcを通った空気の流れの向きを変える部材である。ガイド部材Gcは、第1ガイド部材の一例であってもよい。
図7は、塩害軽減装置1のC-C’断面を示す断面図である。なお、ガイド部材Gcの形状は、穴Hcを通った空気の流れの向きを変える形状であればよく、
図7に示す形状に限定されない。
【0066】
ガイド部材Gcの高さGhcは、0.13mである。ガイド部材Gcの高さGhcは、断面視における、ガイド部材Gcの空気の流れの方向への、ガイド部材Gcの長さともいえる。ガイド部材Gcの高さGhcは、0.11m以上且つ1.11m以下であってもよい。なお、ガイド部材Gcの高さGhcは、塩害軽減装置1の態様や塩害軽減装置1の設置環境に応じて、0.11m未満又は1.11m超過であってもよい。
【0067】
(3-2-2-1)出口Ec
ガイド部材Gcの先端には、出口Ecが形成される。出口Ecの高さEhcは、0.07mである。出口Ecの高さEhcは、断面視における、ガイド部材Gcの空気の流れの方向への、ガイド部材Gcの先端の空気流路Rcの出口の幅ともいえる。空気流路Rcの詳細については、後述する。出口Ecの高さEhcは、0.045m以上且つ0.59m以下であってもよい。なお、出口Ecの高さEhcは、塩害軽減装置1の態様や塩害軽減装置1の設置環境に応じて、0.045m未満又は0.59m超過であってもよい。なお、出口Ecの高さEhcは、穴Hcの高さHhcと同じ値でもよい。
【0068】
(3-2-3)ガイド部材Gd
ガイド部材Gdは、穴Hdを通った空気の流れの向きを変える部材である。ガイド部材Gdは、第2ガイド部材の一例であってもよい。なお、ガイド部材Gdの形状は、穴Hdを通った空気の流れの向きを変える形状であればよく、
図7に示す形状に限定されない。
【0069】
ガイド部材Gdの高さGhdは、0.13mである。ガイド部材Gdの高さGhdは、0.11m以上且つ1.11m以下であってもよい。なお、ガイド部材Gdの高さGhdは、塩害軽減装置1の態様や塩害軽減装置1の設置環境に応じて、0.11m未満又は1.11m超過であってもよい。なお、ガイド部材Gdの高さGhdは、ガイド部材Gcの高さGhcと異なっても良い。
【0070】
(3-2-3-1)出口Ed
ガイド部材Gdの先端には、出口Edが形成される。出口Edは、ガイド部材Gdの先端の空気流路Rdの出口ともいえる。空気流路Rdの詳細については、後述する。出口Ecは、出口Edより高い位置に存在する。
【0071】
(3-2-4)仕切り板P
仕切り板Pは、前壁112とガイド部材Gcの間の一部又は前壁112とガイド部材Gdの間の一部を塞ぐように設けられる。仕切り板Pは、空気流路Rc及び空気流路Rd以外の空気流路が形成されないように設けられる。なお、仕切り板Pの形状は、
図6に示す形状に限定されない。
【0072】
(3-3)屋根113
屋根113は、右壁111と、前壁112と、左壁114と、裏壁115から形成される領域を上から塞ぐ。
【0073】
(3-4)左壁114
左壁114について説明する。
図8は、左壁114を示す、塩害軽減装置1の左側面図である。左壁114は、板状部材1141を有する。板状部材1141には、穴Heが設けられる。穴Heは、ホースPが板状部材1141を貫通するように、内部領域IAと外部領域OAを連通させる。
【0074】
なお、ホースPは、架台12又は左壁114以外のカバー11の構成要素を貫通して、室外ユニット2と接続してもよい。この場合、穴Heは左壁114に設けられず、貫通する架台12又は左壁114以外のカバー11の構成要素に設けられる。
【0075】
(3-5)裏壁115
裏壁115について説明する。
図9は、裏壁115を示す、塩害軽減装置1の背面図である。裏壁115は、板状部材1151と、羽板1152を有する。板状部材1151には、穴Hfが設けられる。穴Hfは、内部領域IAと外部領域OAを連通させる。羽板1152は、内部領域IAの室外ユニット2が海水に浸漬することを抑制する。また、羽板1152は、日除けや雨除けの機能を果たす。なお、羽板1152の形状は、
図9に示す形状に限定されず、上向きの形状であってもよい。
【0076】
(4)空気流路と粒体流路GP
塩害軽減装置1の空気流路と粒体流路GPについて説明する。
図10は、吸込みの空気流路R1と、吹出しの空気流路R2を示す、塩害軽減装置1のA-A’断面図である。
【0077】
ファン22が回転駆動すると、熱交換器21側に負圧が生じる。負圧により、外部領域OAから内部領域IAと熱交換器21を介してファン22に流れる吸込みの空気流路R1が形成される。また、ファン22が回転駆動すると、熱交換器21の反対側に正圧が生じる。正圧により、ファン22から内部領域IAを介して外部領域OAに流れる吹出しの空気流路R2が形成される。
【0078】
吸込みの空気には海塩粒子が含まれる。吸込みの空気流路R1が形成される場合、海塩粒子の流路も形成される。
【0079】
塩害の程度は、海塩粒子が含む発錆成分の量に相関する。また、海塩粒子が含む発錆成分の量は、海塩粒子の数と海塩粒子の体積に相関する。海塩粒子が粒体と粉体の両方を含む場合であっても、塩害の程度は、粒体の影響をより大きく受ける。従って、塩害を軽減するためには、海塩粒子が含む粒体の流路を把握することが重要といえる。以下、海塩粒子が含む粒体の流路を略して、粒体流路GPと称する。
【0080】
以下、吸込みの空気流路R1及び粒体流路GPと、吹出しの空気流路R2について説明する。
【0081】
(4-1)吸込みの空気流路R1及び粒体流路GP
(4-1-1)吸込みの空気流路R1
(4-1-1-1)右壁111側
右壁111側における吸込みの空気流路R1について説明する。
図11は、吸込みの空気流路R1の一例を示す、塩害軽減装置1のB-B’断面図である。
【0082】
外部領域OAの空気は、乱流状態又は層流状態で、穴Ha及び穴Hbを入口として吸い込まれる。穴Ha及び穴Hbから吸い込まれた空気は、ガイド部材Ga及びガイド部材Gbと衝突し、流れの向きが変わる。空気の流れの向きが変わる場所付近に、渦が生成される空間が生じ得る。また、衝突により、衝突後の空気の流れの向きの不規則性が生じ得る。渦が生成される空間と、空気の流れの向きの不規則性は、衝突後のガイド部材Ga内及びガイド部材Gb内における空気の流れを、層流状態から乱流状態にするか、より乱流状態にする。
【0083】
空気は、乱流状態で出口Ea及び出口Ebに到達する。入口である穴Haから出口Eaまでの空気流路を空気流路Raという。また、入口である穴Hbから出口Ebまでの空気流路を空気流路Rbという。
【0084】
穴Haの流路断面積は、穴Haの高さHhaに穴Haの横幅Hwaを乗算することで、0.03平方メートルとなる。出口Eaの流路断面積は、出口Eaの高さEhaに穴Haの横幅Hwaを乗算することで、0.035平方メートルとなる。
【0085】
空気流路Raの入口の流路断面積より、空気流路Raの出口の流路断面積が広い。そのため、空気流路Ra内に渦が生成される空間が生じ得る。渦が生成される空間は、空気流路Ra内における空気の流れをより乱し、空気流路Ra内における空気の流れをより乱流状態とする。
【0086】
空気は、出口Ea及び出口Ebから出ると、熱交換器21と右壁111の間に流れる。熱交換器21と右壁111の間において、空気を層流状態にする要素は少ない。そのため、熱交換器21と右壁111の間において、空気の乱流状態は大きく変わらない。従って、空気は、乱流状態のまま熱交換器21へ流れる。
【0087】
(4-1-1-2)前壁112側
前壁112側における吸込みの空気流路R1について説明する。
図12は、吸込みの空気流路R1の一例を示す、塩害軽減装置1のC-C’断面図である。
【0088】
外部領域OAの空気は、乱流状態又は層流状態で、穴Hc及び穴Hdを入口として吸い込まれる。穴Hc及び穴Hdから吸い込まれた空気は、ガイド部材Gc及びガイド部材Gdと衝突し、流れの向きが変わる。空気の流れの向きが変わる場所付近に、渦が生成される空間が生じ得る。また、衝突により、衝突後の空気の流れの向きの不規則性が生じ得る。渦が生成される空間と、空気の流れの向きの不規則性は、衝突後のガイド部材Gc内及びガイド部材Gd内における空気の流れを、層流状態から乱流状態にするか、より乱流状態にする。
【0089】
空気は、乱流状態で出口Ec及び出口Edに到達する。入口である穴Hcから出口Ecまでの空気流路を空気流路Rcという。また、入口である穴Hdから出口Edまでの空気流路を空気流路Rdという。
【0090】
穴Hcの流路断面積は、穴Hcの高さHhcに穴Hcの横幅Hwcを乗算することで、0.054平方メートルとなる。出口Ecの流路断面積は、出口Ecの高さEhcに穴Hcの横幅Hwcを乗算することで、0.063平方メートルとなる。
【0091】
空気流路Rcの入口の流路断面積より、空気流路Rcの出口の流路断面積が広い。そのため、空気流路Rc内に渦が生成される空間が生じ得る。渦が生成される空間は、空気流路Rc内における空気の流れをより乱し、空気流路Rc内における空気の流れをより乱流状態とする。
【0092】
空気は、出口Ec及び出口Edから出ると、熱交換器21と前壁112の間に流れる。熱交換器21と前壁112の間において、空気を層流状態にする要素は少ない。そのため、熱交換器21と前壁112の間において、空気の乱流状態は大きく変わらない。従って、空気は、乱流状態のまま熱交換器21へ流れる。
【0093】
(4-1-2)粒体流路GP
(4-1-2-1)右壁111側
右壁111側における粒体流路GPについて説明する。
図13は、粒体流路GPの一例を示す、塩害軽減装置1のB-B’断面図である。なお、粒体流路GPは、
図12の一例に限定されない。
【0094】
出口Ea及び出口Ebまでの粒体流路GPは、出口Ea及び出口Ebまでの吸込みの空気流路R1と同様である。海塩粒子の粒体は、乱流状態で出口Ea及び出口Ebに到達する。
【0095】
海塩粒子は重力を受ける。海塩粒子の粒体は、熱交換器21と右壁111の間において、熱交換器21側の負圧だけでなく重力も受ける。乱流状態である空気の流れにおいて、重力方向への流れにより、海塩粒子が重力方向へ沈殿することを、乱流沈殿という。従って、熱交換器21と右壁111の間において、海塩粒子の粒体の乱流沈殿が発生するといえる。
【0096】
海塩粒子の粒体の乱流沈殿により、熱交換器21と右壁111の間における粒体流路GPは、熱交換器21と右壁111の間における空気流路R1と異なる。海塩粒子の粒体の乱流沈殿により、海塩粒子の粒体は熱交換器21に向かうことが抑制される。言い換えると、空気流路Ra及び空気流路Rbは、熱交換器21と右壁111の間において海塩粒子の粒体の乱流沈殿を発生させて海塩粒子の粒体が熱交換器21に向かうことを抑制する。
【0097】
出口Eaから出た空気の乱流沈殿により、出口Eaより低い位置には海塩粒子の粒体が存在する。穴Hbから入った空気は、出口Ebの付近で、海塩粒子の粒体と衝突し、流れが停滞する。出口Ebの付近において、相対湿度が上昇して液滴Lが生成される。これにより、熱交換器21と右壁111の間において、海塩粒子の粒体が少なくなり、海塩粒子の粒体の乱流沈殿がより起こりやすくなる。
【0098】
(4-1-2-2)前壁112側
前壁112側における粒体流路GPについて説明する。
図14は、粒体流路GPの一例を示す、塩害軽減装置1のC-C’断面図である。なお、粒体流路GPは、
図14の一例に限定されない。
【0099】
出口Ec及び出口Edまでの粒体流路GPは、出口Ec及び出口Edまでの空気流路R1と同様である。粒体は、乱流状態で出口Ec及び出口Edに到達する。
【0100】
海塩粒子の粒体は、熱交換器21と前壁112の間において、熱交換器21側の負圧だけでなく重力も受ける。従って、熱交換器21と前壁112の間において、海塩粒子の粒体の乱流沈殿が発生する。海塩粒子の粒体の乱流沈殿により、熱交換器21と右壁111の間における粒体流路GPは、熱交換器21と前壁112の間における空気流路R1と異なる。海塩粒子の粒体の乱流沈殿により、海塩粒子の粒体は熱交換器21に向かうことが抑制される。言い換えると、空気流路Rc及び空気流路Rdは、熱交換器21と前壁112の間において海塩粒子の粒体の乱流沈殿を発生させて海塩粒子の粒体が熱交換器21に向かうことを抑制する。
【0101】
出口Ecから出た空気の乱流沈殿により、出口Ecより低い位置には海塩粒子の粒体が存在する。穴Hdから入った空気は、出口Edの付近で、海塩粒子の粒体と衝突し、流れが停滞する。出口Edの付近において、相対湿度が上昇して液滴Lが生成される。これにより、熱交換器21と前壁112の間において、海塩粒子の粒体が少なくなり、海塩粒子の粒体の乱流沈殿がより起こりやすくなる。
【0102】
(4-2)吹出しの空気流路R2
吹出しの空気流路R2について説明する。ファン22を通過した空気は、ファン22の回転駆動で生じた正圧により、内部領域IAを介して裏壁115へ流れる。裏壁115に到達した空気は、穴Hfを通過し、外部領域OAに吹き出される。
【0103】
(5)設置方法
室外ユニット2の設置方法について説明する。
図15は、室外ユニット2の設置方法を示すフローチャートである。
【0104】
海塩粒子が飛来する場所に室外ユニット2を配置する(第1工程S1)。右壁111が室外ユニット2に対向するように室外ユニット2の近傍にカバー11を配置する(第2工程S2)。なお、第2工程において、カバー11の右壁111が室外ユニット2に対向するように室外ユニット2にカバー11を装着してもよい。
【0105】
なお、第1工程S1の前に第2工程を行い、第2工程の後に第1工程を行ってもよい。
【0106】
(6)特徴
(6-1)
カバー11は、海塩粒子が飛来する場所に設置される空調ユニットに装着されるカバー又は空調ユニットの近傍に配置されるカバーである。カバー11は、空調ユニットに対向する第1壁を備える。第1壁には、空調ユニットと第1壁の間において海塩粒子の乱流沈殿を発生させて海塩粒子が空調ユニットに向かうことを抑制する空気流路、が形成される。
【0107】
カバー11は、海塩粒子の乱流沈殿を発生させて海塩粒子が空調ユニットに向かうことを抑制する空気流路が形成される、第1壁を備える。従って、カバー11は、空調ユニットに海塩粒子が付着することを抑制でき、空調ユニットの塩害を軽減できる。
【0108】
(6-2)
カバー11は、第1壁が、空調ユニットの熱交換器21に対向する。空気流路は、熱交換器21と第1壁の間において海塩粒子の乱流沈殿を発生させて海塩粒子が熱交換器21に向かうことを抑制する。
【0109】
カバー11は、海塩粒子の乱流沈殿を発生させて海塩粒子が熱交換器21に向かうことを抑制する空気流路が形成される、第1壁を備える。従って、カバー11は、熱交換器21に海塩粒子が付着することを抑制でき、熱交換器21の塩害を軽減できる。
【0110】
(6-3)
カバー11は、第1壁が、板状部材1111と、一又は複数の第1ガイド部材を有する。板状部材1111には、一又は複数の第1穴が設けられる。第1ガイド部材は、第1穴を通った空気の流れの向きを変える。
【0111】
第1穴を通った空気の流れの向きが変わるため、第1穴を通った空気の海塩粒子の乱流沈殿が発生する。従って、カバー11は、乱流沈殿により、空調ユニットに海塩粒子が付着することを抑制でき、空調ユニットの塩害を軽減できる。
【0112】
(6-4)
カバー11は、空気流路の入口である第1穴の流路断面積が、第1ガイド部材の先端の空気流路の出口の流路断面積より狭い。
【0113】
空気流路の入口の流路断面積が空気流路の出口の流路断面積より狭いため、空気流路内に渦が生成される空間が生じ得る。従って、カバー11は、乱流沈殿により、空調ユニットに海塩粒子が付着することを抑制でき、空調ユニットの塩害を軽減できる。
【0114】
(6-5)
カバー11は、板状部材1111には、さらに一又は複数の第2穴が設けられる。第1壁は、第2穴を通った空気の流れの向きを変える一又は複数の第2ガイド部材をさらに有する。第1ガイド部材の先端の空気流路の出口は、第2ガイド部材の先端の空気流路の出口より高い位置に存在する。
【0115】
第2穴を通った空気は、第2ガイド部材の先端の空気流路の出口の付近で、第1ガイド部材の先端の空気流路の出口から沈殿した海塩粒子と衝突し、流れが停滞する。そのため、海塩粒子の液滴Lが生成され、空気中の海塩粒子が少なくなり、乱流沈殿がより起こりやすくなる。従って、カバー11は、空調ユニットに海塩粒子が付着することをより抑制でき、空調ユニットの塩害をより軽減できる。
【0116】
(6-6)
カバー11は、第1壁が、鉛直面に沿う壁であり、鉛直面に沿って配置される空調ユニットに対向する壁である。
【0117】
カバー11と空調ユニットが互いに平行で設置されるため、カバー11と空調ユニットとの間における乱流の移動距離が長くなる。従って、カバー11は、空調ユニットに海塩粒子が付着することをより抑制でき、空調ユニットの塩害をより軽減できる。
【0118】
(6-7)
カバー11は、断面視における、第1ガイド部材の空気の流れの方向への、第1ガイド部材の長さは、0.11メートル以上且つ1.11メートル以下である。断面視における、鉛直方向への第1穴の幅は、0.04メートル以上且つ0.48メートル以下である。断面視における、第1ガイド部材の空気の流れの方向への、第1ガイド部材の先端の空気流路の出口の幅は、0.045メートル以上且つ0.59メートル以下である。
【0119】
カバー11の態様は、空調ユニットの態様に対応し、具体的な寸法にかかる態様である。従って、カバー11は、空調ユニットに海塩粒子が付着することをより抑制でき、空調ユニットの塩害をより軽減できる。
【0120】
(6-8)
カバー11は、空調ユニットと第1壁の間において海塩粒子の乱流沈殿を発生させて、粒子径が50μm以上の海塩粒子が空調ユニットに向かうことを抑制する。
【0121】
海塩粒子の半径は、潮解により、相対湿度が高くなると大きくなる。海塩粒子が飛来する場所は、海から近く、相対湿度の高い場所ともいえる。そのため、空調ユニットに飛来する海塩粒子は、粒子径が50μm以上の粒子(粒体)も多いと想定される。
【0122】
カバー11は、空調ユニットに粒子径が50μm以上の海塩粒子が付着することを抑制でき、空調ユニットの塩害をより軽減できる。
【0123】
(6-9)
空調ユニットの設置方法は、第1工程S1と、第2工程S2を含む。第1工程S1は、海塩粒子が飛来する場所に空調ユニットを配置する工程である。第2工程S2は、カバー11の第1壁が空調ユニットに対向するように空調ユニットにカバーを装着するか、若しくは、第1壁が空調ユニットに対向するように空調ユニットの近傍にカバーを配置する工程である。第1壁には、空調ユニットと第1壁の間において海塩粒子の乱流沈殿を発生させて海塩粒子が空調ユニットに向かうことを抑制する空気流路、が形成される。
【0124】
空調ユニットの設置方法は、第1壁により、海塩粒子の乱流沈殿を発生させて海塩粒子が空調ユニットに向かうことを抑制する空気流路が形成される第2工程S2を含む。従って、空調ユニットの設置方法を使用すると、空調ユニットに海塩粒子が付着することを抑制でき、空調ユニットの塩害を軽減できる。
【0125】
(7)変形例
(7-1)変形例1A
(7-1-1)構成
右壁111と熱交換器21との間には、海塩粒子の粉体を濾過するフィルタが設けられてもよい。言い換えると、右壁111と熱交換器21との間には、粒子径が50μm未満の海塩粒子を濾過するフィルタが設けられてもよい。例えば、吸込みの空気流路R1上にフィルタが設けられてもよい。なお、前壁112と熱交換器21との間に、フィルタが設けられてもよい。
【0126】
(7-1-2)特徴
カバー11は、第1壁と空調ユニットとの間には、粒子径が50μm未満の海塩粒子を濾過するフィルタが設けられる。
【0127】
従って、カバー11は、海塩粒子の粉体の濾過により、空調ユニットに海塩粒子の粉体が付着することを抑制でき、空調ユニットの塩害をより軽減できる。
【0128】
(7-2)変形例1B
(7-2-1)構成
カバー11は、屋根113の代わりに、波除板を有してもよい。この場合、右壁111と、前壁112と、左壁114と、裏壁115のうち、少なくとも何れかの壁は異なる高さをもつ。波除板は、水平に対して傾斜がつけられる。
【0129】
(7-2-2)特徴
カバー11は、水平に対して傾斜がつけられる波除板を有する。従って、カバー11は、海の波を除けることができ、空調ユニットの塩害を軽減できる。
【0130】
(7-3)変形例1C
前壁112は、穴Hcと、穴Hdと、ガイド部材Gcと、ガイド部材Gdを有しなくてもよい。この場合、吸込みの空気流路R1は、前壁112に形成されず、右壁111に形成される。
【0131】
前壁112と熱交換器21との距離が、右壁111と熱交換器21との距離に比べて短い場合がある。乱流沈殿の発生の程度は、乱流状態での移動距離に相関する。吸込みの空気流路R1を前壁112に形成させず、右壁111に形成することで、乱流沈殿が発生しやすくなる場合がある。従って、カバー11は、空調ユニットに海塩粒子が付着することをより抑制でき、空調ユニットの塩害をより軽減できる。
【0132】
(7-4)変形例1D
カバー11は、異なる寸法にかかる穴と、出口と、ガイド部材を有してもよい。穴Haの高さHhaと、穴Hbの高さHhbと、穴Hcの高さHhcと、穴Hdの高さHhdは0.17mであってもよい。この場合、出口Eaの高さEhaと、出口Ecの高さEhcは、0.21mである。また、ガイド部材Gaの高さGhaと、ガイド部材Gbの高さGhbと、ガイド部材Gcの高さGhcと、ガイド部材Gdの高さGhdは、0.39mである。
【0133】
(7-5)変形例1E
カバー11は、室外ユニット2の態様に応じて、異なる寸法にかかる穴と、出口と、ガイド部材を有してもよい。
【0134】
(7-5-1)業務用の2段の室外ユニット
室外ユニット2が業務用の2段の室外ユニットと、ルーフトップ型空調ユニットにおける室外ユニットと、カスタマイズされて固有の態様をもつ室外ユニットの何れかである場合、カバー11は、下記(7-5-1-1)段落記載の寸法又は(7-5-1―2)段落記載の寸法の穴と、出口と、ガイド部材を有してもよい。
【0135】
(7-5-1-1)寸法の一例
穴Haの高さHhaと、穴Hbの高さHhbと、穴Hcの高さHhcと、穴Hdの高さHhdは0.05mである。穴Haの横幅Hwaと、穴Hbの横幅Hwbは、0.6mである。穴Hcの横幅Hwcと、穴Hdの横幅Hwdは、1.1mである。出口Eaの高さEhaと、出口Ecの高さEhcは、0.057mである。ガイド部材Gaの高さGhaと、ガイド部材Gbの高さGhbと、ガイド部材Gcの高さGhcと、ガイド部材Gdの高さGhdは、0.11mである。
【0136】
(7-5-1-2)寸法の一例
穴Haの高さHhaと、穴Hbの高さHhbと、穴Hcの高さHhcと、穴Hdの高さHhdは0.42mである。穴Haの横幅Hwaと、穴Hbの横幅Hwbは、0.6mである。穴Hcの横幅Hwcと、穴Hdの横幅Hwdは、1.1mである。出口Eaの高さEhaと、出口Ecの高さEhcは、0.52mである。ガイド部材Gaの高さGhaと、ガイド部材Gbの高さGhbと、ガイド部材Gcの高さGhcと、ガイド部材Gdの高さGhdは、0.98mである。
【0137】
(7-5-2)上吹きの室外ユニット
室外ユニット2が上吹きの室外ユニットである場合、カバー11は、下記(7-5-2-1)段落記載の寸法又は(7-5-2―2)段落記載の寸法の穴と、出口と、ガイド部材を有してもよい。
【0138】
(7-5-2-1)寸法の一例
穴Haの高さHhaと、穴Hbの高さHhbと、穴Hcの高さHhcと、穴Hdの高さHhdは0.04mである。穴Haの横幅Hwaと、穴Hbの横幅Hwbは、1mである。穴Hcの横幅Hwcと、穴Hdの横幅Hwdは、1.1mである。出口Eaの高さEhaと、出口Ecの高さEhcは、0.045mである。ガイド部材Gaの高さGhaと、ガイド部材Gbの高さGhbと、ガイド部材Gcの高さGhcと、ガイド部材Gdの高さGhdは、0.11mである。
【0139】
(7-5-2-2)寸法の一例
穴Haの高さHhaと、穴Hbの高さHhbと、穴Hcの高さHhcと、穴Hdの高さHhdは0.48mである。穴Haの横幅Hwaと、穴Hbの横幅Hwbは、1mである。穴Hcの横幅Hwcと、穴Hdの横幅Hwdは、1.1mである。出口Eaの高さEhaと、出口Ecの高さEhcは、0.59mである。ガイド部材Gaの高さGhaと、ガイド部材Gbの高さGhbと、ガイド部材Gcの高さGhcと、ガイド部材Gdの高さGhdは、1.11mである。
【0140】
(7-6)変形例1F
左壁114にも、穴と、ガイド部材と、仕切り板Pが右壁111と同様な態様で設けられてもよい。
図16は、吸込みの空気流路R1と、吹出しの空気流路R2を示す、塩害軽減装置1のA-A’断面図である。左壁114からも空気流路R1が形成される。
【0141】
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0142】
11 カバー
21 熱交換器
1111 板状部材
S1 第1工程
S2 第2工程
【先行技術文献】
【特許文献】
【0143】