(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139468
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】封緘養生装置及び打設コンクリートの封緘養生方法
(51)【国際特許分類】
B28B 11/24 20060101AFI20241002BHJP
E04G 21/02 20060101ALI20241002BHJP
C04B 40/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B28B11/24
E04G21/02 104
E04G21/02 ESW
C04B40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050421
(22)【出願日】2023-03-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発 CO2有効利用拠点における技術開発 CO2有効利用コンクリートの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】501061319
【氏名又は名称】学校法人 東洋大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】河内 友一
(72)【発明者】
【氏名】井上 丈揮
(72)【発明者】
【氏名】関 健吾
(72)【発明者】
【氏名】取違 剛
(72)【発明者】
【氏名】境 美緒
(72)【発明者】
【氏名】山野 泰明
(72)【発明者】
【氏名】向 俊成
(72)【発明者】
【氏名】横関 康祐
【テーマコード(参考)】
2E172
4G055
4G112
【Fターム(参考)】
2E172AA05
2E172EA01
2E172EA13
4G055AA01
4G055BA02
4G112RA02
4G112RA03
4G112RA05
(57)【要約】
【課題】屋外で養生コンクリートを炭酸化養生可能な封緘養生装置を提供すること。
【解決手段】封緘養生装置1は、養生コンクリートCを覆い養生空間10aを形成する封緘養生シート10と、養生コンクリートCの周囲を囲むように設けられ、養生空間10aと外部とを通気不能に封止する封止部60と、養生空間10aにおいて、二酸化炭素を含む気体を循環させる気体循環装置20と、温度センサ40aと、湿度センサ40bと、温度調整部40cと、湿度調整部40dと、温度センサ40aの計測結果づき温度調整部40cの動作を、湿度センサ40bの計測結果に基づき湿度調整部40dの動作をそれぞれ制御する制御部51と、を備え、封止部60は、上方に開口し内部に水Wが貯蔵可能な凹形状60aを有し、養生コンクリートCを覆う封緘養生シート10の少なくとも一部が凹形状60a内の水に浸かるように設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸化養生される養生コンクリートを覆い閉空間を形成するシート部材と、
前記養生コンクリートの周囲を囲むように設けられ、閉空間と外部とを通気不能に封止する封止部と、
前記閉空間内に二酸化炭素を含む気体を循環させる気体循環部と、
前記閉空間内の温度を計測する温度計測部と、
前記閉空間内の湿度を計測する湿度計測部と、
前記閉空間内を加熱又は冷却可能な温度調整部と、
前記閉空間内を加湿又は除湿可能な湿度調整部と、
前記温度計測部により計測された前記閉空間内の温度に基づいて前記温度調整部の動作を制御し、前記湿度計測部により計測された前記閉空間内の湿度に基づいて前記湿度調整部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記封止部は、
上方に開口し、内部に液体が貯蔵可能な凹形状を有し、
前記養生コンクリートを覆う前記シート部材の少なくとも一部が前記凹形状の内部の液体に浸かるように設けられる、封緘養生装置。
【請求項2】
前記封止部は、H鋼である、請求項1に記載の封緘養生装置。
【請求項3】
前記液体は、水である、請求項1又は2に記載の封緘養生装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記温度計測部により計測された前記閉空間内の温度が所定温度に近づくように前記温度調整部の動作を制御し、
前記湿度計測部により計測された前記閉空間内の湿度が所定湿度に近づくように前記湿度調整部の動作を制御する、請求項1又は2に記載の封緘養生装置。
【請求項5】
前記養生コンクリートは、屋外で打設される打設コンクリートである、請求項1又は2に記載の封緘養生装置。
【請求項6】
屋外に打設され炭酸化養生される養生コンクリートを覆い閉空間を形成するシート部材と、
前記閉空間内に二酸化炭素を含む気体を循環させる気体循環部と、
前記閉空間内の温度を計測する温度計測部と、
前記閉空間内の湿度を計測する湿度計測部と、
前記閉空間内を加熱又は冷却可能な温度調整部と、
前記閉空間内を加湿又は除湿可能な湿度調整部と、
前記温度調整部の動作及び前記湿度調整部の動作を制御可能な制御部と、を備える封緘養生装置を用いた養生コンクリートの封緘養生方法であって、
前記養生コンクリートの周囲に上方に開口する凹形状を有する封止部を設ける封止部設置工程と、
前記凹形状に液体を注入する凹形状液体注入工程と、
前記シート部材の少なくとも一部が前記凹形状に注入された液体に浸かるように、前記シート部材により前記養生コンクリートを覆う被覆工程と、
前記制御部が前記閉空間内の温度に基づいて前記温度調整部に前記閉空間内の温度調整を行わせ、前記閉空間内の湿度に基づいて前記湿度調整部に前記閉空間内の湿度調整を行わせる炭酸化養生工程と、を含む、養生コンクリートの封緘養生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封緘養生装置及び打設コンクリートの封緘養生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンクリート中への二酸化炭素の固定技術が知られている。この種の技術を示すものとして特許文献1が挙げられる。特許文献1では、複数の別個のコンクリート物体が配置され、湿度、二酸化炭素濃度、温度を制御する硬化チャンバーが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術は、屋内に設けられた養生槽等である大きさ以下のプレキャストコンクリート等に対して行われるものであり、屋外に打設された打設コンクリートや大型のプレキャストコンクリートを炭酸化養生する技術は従来検討されておらず、屋外で養生コンクリートを炭酸化養生可能な技術が求められていた。
【0005】
本発明は、屋外で養生コンクリートを炭酸化養生可能な封緘養生装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る封緘養生装置は、炭酸化養生される養生コンクリートを覆い閉空間を形成するシート部材と、前記養生コンクリートの周囲を囲むように設けられ、閉空間と外部とを通気不能に封止する封止部と、前記閉空間内に二酸化炭素を含む気体を循環させる気体循環部と、前記閉空間内の温度を計測する温度計測部と、前記閉空間内の湿度を計測する湿度計測部と、前記閉空間内を加熱又は冷却可能な温度調整部と、前記閉空間内を加湿又は除湿可能な湿度調整部と、前記温度計測部により計測された前記閉空間内の温度に基づいて前記温度調整部の動作を制御し、前記湿度計測部により計測された前記閉空間内の湿度に基づいて前記湿度調整装置の動作を制御する制御部と、を備え、前記封止部は、上方に開口し、内部に液体が貯蔵可能な凹形状を有し、前記養生コンクリートを覆う前記シート部材の少なくとも一部が前記凹形状の内部の液体に浸かるように設けられる。
【0007】
(1)の封緘養生装置は、屋外で養生コンクリートを炭酸化養生できる。
【0008】
(2) 本発明に係る封緘養生装置は、前記封止部は、H鋼であることが好ましい。
【0009】
(2)の封緘養生装置は、よりコストをかけずに屋外で養生コンクリートを炭酸化養生できる。
【0010】
(3) 本発明に係る封緘養生装置は、前記液体は、水であることが好ましい。
【0011】
(3)の封緘養生装置は、よりコストをかけずに屋外で養生コンクリートを炭酸化養生できる。
【0012】
(4) 本発明に係る封緘養生装置は、前記制御部は、前記温度計測部により計測された前記閉空間内の温度が所定温度に近づくように前記温度調整部の動作を制御し、前記湿度計測部により計測された前記閉空間内の湿度が所定湿度に近づくように前記湿度調整装置の動作を制御することが好ましい。
【0013】
(4)の封緘養生装置は、容易に温湿度制御を行うことができ、よりコストをかけずに屋外で養生コンクリートを炭酸化養生できる。
【0014】
(5) 本発明に係る封緘養生装置は、前記養生コンクリートは、屋外で打設される打設コンクリートであることが好ましい。
【0015】
(5)の封緘養生装置は、打設されたコンクリートでも炭酸化養生できる。
【0016】
(6) 本発明に係る養生コンクリートの封緘養生方法は、屋外に打設され炭酸化養生される養生コンクリートを覆い閉空間を形成するシート部材と、前記閉空間内に二酸化炭素を含む気体を循環させる気体循環部と、前記閉空間内の温度を計測する温度計測部と、前記閉空間内の湿度を計測する湿度計測部と、前記閉空間内を加熱又は冷却可能な温度調整部と、前記閉空間内を加湿又は除湿可能な湿度調整部と、前記温度調整部の動作及び前記湿度調整部の動作を制御可能な制御部と、を備える封緘養生装置を用いた養生コンクリートの封緘養生方法であって、前記養生コンクリートの周囲に上方に開口する凹形状を有する封止部を設ける封止部設置工程と、前記凹形状に液体を注入する凹形状液体注入工程と、前記シート部材の少なくとも一部が前記凹形状に注入された液体に浸かるように、前記シート部材により前記養生コンクリートを覆う被覆工程と、前記制御部が前記閉空間内の温度に基づいて前記温度調整部に前記閉空間内の温度調整を行わせ、前記閉空間内の湿度に基づいて前記湿度調整装置に前記閉空間内の湿度調整を行わせる炭酸化養生工程と、を含む。
【0017】
(6)の封緘養生方法は、屋外で養生コンクリートを炭酸化養生できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、屋外で養生コンクリートを炭酸化養生できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る封緘養生装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る封緘養生シートにより覆われる養生コンクリートの一例を示す模式図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る封緘養生装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る封緘養生装置を用いた打設コンクリートの封緘養生方法の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る炭酸化養生制御の一例を示すフローチャートである。
【
図6】変形例に係る封緘養生シートにより覆われる養生コンクリートの一例を示す模式図である。
【
図7】変形例に係る封緘養生装置を用いた打設コンクリートの封緘養生方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<封緘養生装置>
以下、本発明の一実施形態に係る封緘養生装置1について、
図1~3を用いて説明する。本実施形態に係る封緘養生装置1は、養生コンクリートCを炭酸化養生するための装置である。養生コンクリートCは、例えば建設現場で打設される打設コンクリートである。打設コンクリートとしては、壁、土間コン、床版、地中梁、桁、柱等が挙げられる。封緘養生装置1は、
図1に示すようにシート部材としての封緘養生シート10と、気体循環部としての気体循環装置20と、二酸化炭素供給部30と、温湿度調整装置40と、循環流路Fと、制御装置50と、
図2に示される封止部としての封止部60と、圧力検知部70と、弁部80と、を有する。
【0021】
封緘養生シート10は、養生コンクリートCを覆う養生空間10aを形成するための構成である。封緘養生シート10としては、ターポリン等の、ポリエステルやナイロン等の基布の両面にポリ塩化ビニルをコーティング等した3層構造のシート素材を用いることができる。なお、封緘養生シート10は、気密性の高い材料により構成されてもよい。気密性の高い材料は、例えばアルミ箔等のガスバリア性を有する層を組み込んだ多層構成の合成樹脂が挙げられる。なお、封緘養生シート10は、表層にフッ素系コーティング又はシリコーン系コーティング等の撥水層やハスの葉のような複数の突起を有する撥水構造を有してもよい。封緘養生シート10が撥水層又は撥水構造を有することで、雨天時等に雨水等を封緘養生シート10の表面を伝って後述する封止部60の凹形状60aに貯蔵された水Wに供給できる。
【0022】
封緘養生シート10は、
図2に示されるように、打設コンクリートCを覆いつつ、封緘養生シート10の縁部が打設コンクリートCの周囲に配置された後述の封止部60の凹形状60aに貯蔵された水Wに浸かるように配置される。
【0023】
なお、凹形状60aに貯蔵された水Wに浸かるのは、封緘養生シート10の縁部に限らず、例えば封緘養生シート10の周縁部でもよい。即ち、封緘養生シート10は、養生コンクリートCの周囲を取り囲む部分のいずれかが水に浸かる。
【0024】
また、後述のように封止部60は、打設コンクリートCに密着して配置される。このため、封緘養生シート10により形成される養生空間10a内は、外部から気密に保たれる。
【0025】
気体循環装置20は、
図2及び
図3に示されるように、後述する循環流路Fに連通し、循環流路F内の気体を循環させるファン20aと、を有する。
【0026】
二酸化炭素供給部30は、養生空間10a内に二酸化炭素を供給するための構成である。本実施形態に係る二酸化炭素供給部30は、気体循環装置20を介して養生空間10aに二酸化炭素を供給する。二酸化炭素供給部30は、
図2及び
図3に示されるように、循環流路Fと連通し、循環流路F内を循環する気体に二酸化炭素を供給するための二酸化炭素供給装置である。二酸化炭素供給部30は、二酸化炭素が貯蔵された不図示の二酸化炭素ボンベと、濃度調整用ガスが貯蔵された不図示の調整用ガスボンベと、供給流量調整装置30aと、を有する。濃度調整用ガスは、例えば窒素ガスである。供給流量調整装置30aは、二酸化炭素ボンベからの二酸化炭素の供給流量と、調整用ガスボンベからの調整用ガスの供給流量と、を調整可能であり、循環流路F内の気体に濃度が調整された二酸化炭素を供給できる。二酸化炭素濃度は、例えば20%以上となるように調整してもよい。なお、二酸化炭素濃度が高いほど炭酸化速度が速まる。
【0027】
温湿度調整装置40は、
図3に示されるように、温度センサ40aと、湿度センサ40bと、温度調整部40cと、湿度調整部40dと、を有する。温度センサ40a及び湿度センサ40bは、封緘養生シート10により形成される養生空間10a内に配置される。温度調整部40cと湿度調整部40dは、循環流路Fと接続され、それぞれ循環流路F内の気体の温度の調整と湿度の調整を行うことができる。
【0028】
炭酸化養生においては、養生空間10a内における気体の温度と湿度を適切に調整することで炭酸化速度を速めることができる。炭酸化養生における温度は、例えば30℃~60℃が好ましい。また、炭酸化養生における相対湿度は、例えば30%~60%が好ましい。所定の圧力は、例えば大気圧の103%以上とすることが好ましい。これにより、炭酸化速度を速めることができる。
【0029】
また、封緘養生シート10を打設コンクリートCから離間させた状態とする必要があることから、封緘養生シート10の内部の養生空間10a内の気体の圧力は、周囲の大気圧より高い所定の圧力とする必要がある。太陽光や風、雨等の外部の環境により温度が左右し、温度により気体の圧力が変化するため、その観点でも養生空間10a内の温度調整が要求される。
【0030】
特に夜間等の外気温が低下する状況では、養生空間10a内の温度低下に伴い気体の圧力が下がることから、温湿度調整装置40によって養生空間10a内の気体の温度低下を抑え気体の圧力の低下を抑制し、封緘養生シート10を自立させ打設コンクリートCから離間した状態とすることができる。
【0031】
循環流路Fは、
図2に示されるように、封緘養生シート10により形成される養生空間10a内の封緘養生シート10と、二酸化炭素供給部30と、温湿度調整装置40と、に連通し、内部に気体が循環する。循環流路Fは、例えばホース等で構成される。
【0032】
制御装置50は、
図3に示されるように、封緘養生装置1の各部に電気的に接続され、封緘養生装置1の各種の動作を制御するための構成である。例えば、制御装置50は、気体循環装置20と、二酸化炭素供給部30と、温湿度調整装置40と、弁部80と、を制御して封緘養生制御や圧力制御等の各種の制御を実行する。なお、制御装置50による養生空間10a内の圧力制御において、養生空間10a内の昇圧は、二酸化炭素供給部30による二酸化炭素の供給や温湿度調整装置40の加熱動作により行われる。また、制御装置50による養生空間10a内の圧力制御において、養生空間10a内の降圧は、弁部80による養生空間10a内の気体の排出動作により行われる。
【0033】
制御装置50は、
図3に示されるように、制御部51と、入力部52と、出力部53と、記憶部54と、電源部55と、を有する。なお、制御装置50は、
図3の構成に限らない。
【0034】
制御部51は、プロセッサ等を有し、プロセッサが演算処理を実行することにより各種の動作の制御が実現される。
【0035】
入力部52及び出力部53は、有線又は無線により電気的に不図示の入出力インターフェースに接続されるユーザインタフェースである。入力部52は例えば制御装置50の操作ボタンやキーボード等によって構成され、出力部53は、制御装置50の操作のための画像を表示するモニタ53aや通知音等の音声を拡声するブザー53b等によって構成される。なお、入力部52及び出力部53は、タッチパネルのように表示機能と入力機能が一体的な構成であってもよい。
【0036】
記憶部54は、例えば、揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)や、揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)等によって構成される主記憶装置と、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等で構成される補助記憶装置と、によって構成される。
【0037】
本実施形態に係る記憶部54には、例えば養生空間10a内の設定温度である所定温度情報や設定湿度である所定湿度情報等が記憶されている。
【0038】
電源部55は、不図示の電源回路を介して、制御装置50に電力を供給可能である。
【0039】
封止部60は、養生空間10aと外部とを通気不能に封止する構成である。封止部60は、凹形状60aを有する。本実施形態に係る封止部60は、例えばH鋼であり、この場合、H鋼の2箇所に凹形状60aが形成される。しかし、封止部60は、これに限られず、U字鋼でもよい。また封止部60は、鉄に限られず、溝が形成された樹脂でもよい。
【0040】
封止部60は、コンクリート打設時には型枠の一部として型枠の基礎部分に設けられ、コンクリート流し込みが行われ脱型後もそのまま打設コンクリートの周囲に配置される。従って、封止部60は、脱型後に打設コンクリートと密着した状態となる。また、封緘養生シート10により打設コンクリートCを覆う前に、封止部60の凹形状60aに液体としての水を張る。なお、凹形状60aに張る液体は、水に限らないが、流動性を有するものである必要がある。
【0041】
また、凹形状60aには、後述するように封緘養生シート10が凹形状60aの内部に溜まる水に浸かるように設けられ、凹形状60aの内部に溜まる水の水面は、封緘養生シート10により外気に触れる水面と、養生空間10a内の気体に触れる水面と、に分けられる。このとき、凹形状60aの内部に溜まる水の水面のうち少なくとも外気に触れる水面は、蒸発を防ぐための液体膜を形成することが好ましい。液体膜は、例えばパラフィン膜等の油膜でもよい。このようにH鋼内の貯水の表面にパラフィン膜等の油膜を形成することで外部に水が自然蒸発することを抑制することができ、凹形状60aに貯水する水の管理の手間を省くことができる。
【0042】
また、凹形状60aには、凹形状60aに張られる水の温度を調整する温度調整部を備えてもよい。例えば、本実施形態に係る温度調整部は、加熱手段として太陽光熱や現場内廃熱を利用し、夜間や寒冷時の加温、加熱のために、太陽熱や現場内廃熱を溜める蓄熱体と、蓄熱体と封止部60のH鋼と接続し蓄熱体から封止部60のH鋼に熱を移動可能なヒートパイプと、を有してもよい。
【0043】
蓄熱体は、公知のものを用いることができる。本実施形態に係る蓄熱体は、例えば土砂類を詰めた容器やコンクリートブロック等のコンクリートの輻射熱を利用する方法によるものなどでもよい。
【0044】
凹形状60aの温度調整部においては、昼間は、蓄熱体が太陽光による熱を蓄熱し、夜間は、ヒートパイプが蓄熱体からの熱を封止部60のH鋼に供給可能である。H鋼に熱が供給されることで凹形状60aに熱が伝わり、凹形状60aに溜まる水を加熱できる。なお、この場合の温度は、50℃以上とすることが好ましい。これにより、二酸化炭素が水に溶けにくくできる。また、これにより養生空間10aにおける二酸化炭素の漏洩の抑制や濃度の制御を容易とすることができる。なお、凹形状60aの温度調整部は、加熱手段として封止部60のH鋼を加熱可能なヒータと、凹形状60a内の水の温度を計測可能な温度計と、を備え、当該温度計の測定結果に基づいてヒータの制御を行い、凹形状60aに溜まる水の水温を制御してもよい。
【0045】
また、封止部60は、地面との接触部分にガスバリア性を有するガスバリア部を設けることが好ましい。また、ガスバリア部は、可撓性を有することがより好ましい。例えばフィルムを構成する樹脂は、常温で可撓性を有している樹脂であれば特に限定されず、熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であっても良い。上記樹脂としては、例えば、ゴム、エラストマー等が挙げられる。これにより、ガスバリア部は、封止部60の重量により押圧され、封止部60と地面との間の隙間を埋めるように変形し、封止部60と地面との間からの養生空間10a内の気体の漏洩を抑制することができる。
【0046】
なお、上記温度調整部は、H鋼内の凹形状60aに貯めた水を加熱し温水にして蒸発させて養生空間10a内に蒸気を供給させることで養生空間10a内の湿度の調整に用いてもよい。この場合は、凹形状60aの内部に溜まる水の水面のうち養生空間10a内の気体に触れる水面には上述の液体膜を形成しないことが好ましい。また、温度調整部は、ヒートパイプによりH鋼に熱を伝え、養生空間10a内においてH鋼からの放熱により養生空間10a内の気体を温めてもよい。この場合、温度調整部は、温湿度調整装置40の機能の一部を代替可能である。言い換えると、上述の温湿度調整装置40は、凹形状60aに設けられる温度調整部を含んでもよい。
【0047】
この場合、上記温度調整部は、夜間等に凹形状60aからの放熱により、養生空間10a内の気体を加熱させ、養生空間10a内の気体の圧力を高めることに用いてもよい。例えば夜間等において、温度調整部により養生空間10a内の気体の温度低下を抑え気体の圧力の低下を抑制し、封緘養生シート10を自立させ打設コンクリートCから離間した状態とすることができる。この場合、温湿度調整装置40の代わりに上記温度調整部を利用することで太陽光熱や現場内廃熱を利用でき、上述の温湿度調整装置40の稼働を抑えて燃料や電力の消費を抑えることができる。
【0048】
また、封止部60は、封緘養生後に撤去される。なお、封止部60にローラー等を設けて移動式としてもよい。これにより、封緘養生の準備時の微調整や持ち運びが容易にできる。
【0049】
また、本実施形態に係る封止部60は、型枠の一部として型枠の基礎部分に設けられていたが、これに限らず、型枠自体を封止部60とする構成でもよい。これにより、炭酸化養生のために型枠をそのまま封止部60として活用することができ、脱型工程を省くことができ、部材の数を減らすことができる。
【0050】
圧力検知部70は、養生空間10a内の圧力を制御するために圧力を検知するための構成である。本実施形態に係る圧力検知部70は、圧力センサ70aを有する。封緘養生装置1の制御装置50は、圧力検知部70による養生空間10a内の圧力の検知結果に基づいて、上述の所定の圧力となるように、二酸化炭素供給部30と、温湿度調整装置40と、弁部80の動作を制御する。
【0051】
なお、外気と養生空間10a内の気体との間に圧力差を生じさせる構成となっており、凹形状60aの内部に溜まる水の水面のうち、封緘養生シート10により外気に触れる水面と、養生空間10a内の気体に触れる水面と、の間には高低差(ヘッド差)がある。従って、圧力検知部70は、封緘養生シート10により外気に触れる水面の水位を測る水位計と、養生空間10a側の気体に触れる水面の水位を測る水位計と、をさらに備え、制御部51は、上記2箇所の水位計からヘッド差を算出し、当該ヘッド差により、圧力を算出してもよい。また、制御部51は、当該ヘッド差が所定の差分を下回ったときに、二酸化炭素の漏洩の可能性や圧力低下により封緘養生シート10が萎み養生コンクリートCに付着する可能性があるとして、出力部53のモニタ53a及びブザー53bに警告画面や警告音を出力させてもよい。
【0052】
弁部80は、養生空間10a内の気体を排出するための構成である。弁部80は、例えば養生空間10a内の圧力を下げる場合に用いられる。弁部80は、制御装置50と接続される電動弁80aと、背圧弁80bと、を有する。
【0053】
電動弁80aは、例えば封緘養生シート10の両面を連通する開口部と、制御部51の指令により開口を開閉する開閉部と、を有する。制御部51は、弁部80の電動弁80aの開閉を制御することで養生空間10a内の空気の排出を制御し、養生空間10a内の圧力を制御する。なお、弁部80は、外部から養生空間10a内に気体が流入することを抑制するために、両面を連通する開口部のうち養生空間10a側の開口から外部への開口への一方のみ気体が流通可能な逆止弁部を有してもよい。逆止弁部は、電動弁80aに接続された逆止弁でもよいし、電動弁80aが有する逆止弁の構造でもよい。
【0054】
背圧弁80bは、養生空間10a内が所定の圧力になると外部に開放して内部の空気を排出する。これにより、弁部80は、養生空間10a内の圧力が所定の閾値を超えると開放して内部の気体を排出し養生空間10a内の圧力が上がりすぎないようにすることができる。なお、所定の閾値は、上述の所定の圧力と同じでもよいし、安全のために所定の圧力よりも高い設定としてもよい。
【0055】
<炭酸化養生方法>
次に、本実施形態に係る封緘養生装置1を用いた打設コンクリートの炭酸化養生方法について説明する。当該炭酸化養生方法では、まず、打設コンクリートの打設前に本実施形態に係る封緘養生装置1の封止部60の凹形状60aを溝として打設コンクリートの打設予定場所の周囲に配置する封止部設置工程を行う(ステップS10)。
【0056】
次に、型枠を設置する型枠設置工程を行う(ステップS11)。なお、封止部設置工程で配置した封止部60は、型枠の一部として用いてもよい。次に、打設コンクリートの流し込みからコンクリートが硬化する迄の作業等を行うコンクリート打設工程を行う(ステップS12)。次に、封止部60以外の型枠を外す脱型工程を行う(ステップS13)。次に、封止部60の凹形状60aに水を張る液体注入工程としての水注入工程を行う(ステップS14)。
【0057】
次に、本実施形態に係る封緘養生装置1の封緘養生シート10をその縁部が凹形状60aに張られた水に浸かるようにして打設コンクリートを覆う被覆工程を行う(ステップS15)。次に、本実施形態に係る封緘養生装置1に以下に説明する封緘養生制御を行わせ、封緘養生を行う炭酸化養生工程を行う(ステップS16)。封緘養生後に封緘養生装置1を撤去し、本炭酸化養生方法が完了する。
【0058】
次に、本実施形態に係る封緘養生装置1の制御装置50の制御部51が実行する炭酸化養生制御の一例について、
図5を用いて説明する。当該制御は、制御装置50の入力部52に炭酸化養生制御の開始操作が入力されたタイミングで制御部51により実行される。
【0059】
まずは、制御部51は、気体循環装置20に循環流路F内の気体を循環させる(ステップS20)。次に、制御部51は、二酸化炭素供給部30に循環流路F内の気体に所定濃度の二酸化炭素を供給させる(ステップS21)。所定濃度は、例えば15%である。
【0060】
次に、制御部51は、温度センサ40aの測定値と湿度センサ40bの測定値とが、それぞれ所定温度、所定湿度になっているか確認する(ステップS22)。所定温度は、例えば50℃である。所定湿度は、例えば40%である。
【0061】
温度センサ40aの測定値と湿度センサ40bの測定値とが、それぞれ所定温度、所定湿度になっていない場合(ステップS22:NO)、制御部51は、温湿度調整装置40に養生空間10a内の温度、湿度がそれぞれ所定温度、所定湿度に近づくように加熱若しくは冷却、又は加湿若しくは除湿を行わせ(ステップS23)、ステップS22に移行する。一方、温度センサ40aの測定値と湿度センサ40bの測定値とが、それぞれ所定温度、所定湿度になっている場合(ステップS22:YES)、入力部52に炭酸化養生制御の終了操作が入力されたか否かを確認する(ステップS24)。
【0062】
入力部52に炭酸化養生制御の終了操作が入力されていない場合(ステップS24:NO)、ステップS22に移行し、温湿度の制御を行う。一方、入力部52に炭酸化養生制御の終了操作が入力された場合(ステップS24:YES)、制御部51は、二酸化炭素供給部30に循環流路F内の気体への二酸化炭素供給を停止させる(ステップS25)。次に、制御部51は、気体循環装置20に循環流路F内の気体の循環を停止させ(ステップS26)、炭酸化養生制御を終了する。なお、炭酸化養生制御は、このステップに限らない。例えば、乾湿を繰り返す制御を行い、段階的な炭酸化を行ってもよい。これにより、二酸化炭素濃度の固定速度を速めることができる。
【0063】
以上説明した本実施形態に係る封緘養生装置1によれば、以下の効果が得られる。現場打設コンクリートに二酸化炭素を固定させるために、打設した後の現場打設コンクリートの周囲にシート状の仮設備を設けて閉空間を構成する。コンクリート構造物の形状によっては、そのコンクリート壁面を閉空間の壁として用いることも可能である。その閉空間に二酸化炭素を送り込む。送り込む二酸化炭素は、より高濃度の方が望ましい。閉空間は外部に封緘装置と呼ばれる装置を接続し、二酸化炭素を含めた閉空間内部の気体を循環させる。
【0064】
閉空間内の温度・湿度によって、二酸化炭素を固定する速度が影響を受けるが、屋外でコンクリートを打設する場合は、大きく変動する閉空間内部の温度は閉空間外部の温度の影響を受ける。閉空間内で温度・湿度を連続的に計測し、その計測結果をもとに装置で温度と湿度を調整し、閉空間へと流入させる気体の温度・湿度を最適な値に調整する。これにより、屋外でコンクリートを打設する場合でも、閉空間内部の温度の変化を抑制でき、二酸化炭素を固定する速度が受ける影響を抑えることができる。
【0065】
また、封緘装置は例えばトラックの荷台に設置できる大きさとすることで、可搬性を持たせることができ、コンクリートの打設の現場で容易に利用可能となる。
【0066】
また、シート状の閉空間を構成する際には気密性が必要であるが、上述の実施形態に係る封緘養生装置1は、シートの下端部に予め溝やH鋼等で凹部を設け、その凹部内に水を入れておくようにしており、気密性を高めて、封緘養生の効率をあげることができる。また、上述の実施形態に係る封緘養生装置1の閉空間を形成する構成がシート状のため、閉空間を構造物の形状に応じて柔軟に変形させることができる。
【0067】
即ち、本発明の一実施形態に係る封緘養生装置1は、炭酸化養生される養生コンクリートCを覆い養生空間10aを形成する封緘養生シート10と、養生コンクリートCの周囲を囲むように設けられ、養生空間10aと外部とを通気不能に封止する封止部60と、養生空間10a内に二酸化炭素を含む気体を循環させる気体循環装置20と、養生空間10a内の温度を計測する温度センサ40aと、養生空間10a内の湿度を計測する湿度センサ40bと、養生空間10a内を加熱又は冷却可能な温度調整部40cと、養生空間10a内を加湿又は除湿可能な湿度調整部40dと、温度センサ40aにより計測された養生空間10a内の温度に基づいて温度調整部40cの動作を制御し、湿度センサ40bにより計測された養生空間10a内の湿度に基づいて湿度調整部40dの動作を制御する制御部51と、を備え、封止部60は、上方に開口し、内部に水Wが貯蔵可能な凹形状60aを有し、養生コンクリートCを覆う封緘養生シート10の少なくとも一部が凹形状60aの内部の水Wに浸かるように設けられる。
【0068】
これにより、本発明の一実施形態に係る封緘養生装置1は、屋外で養生コンクリートを炭酸化養生できる。
【0069】
[変形例]
【0070】
上述の実施形態に係る封緘養生装置1は、封緘養生シート10を封止する封止部60を有していたが、封止部60の構成には限定されない。封止部60に代えて、炭酸化養生する養生コンクリートの周囲の地面等に形成された溝60Bでもよい。この場合、炭酸化養生する養生コンクリートの周囲の地面等に予め溝を形成し、当該溝上に型枠を配置して打設コンクリートの流し込み等を行い、脱型後に予め形成した溝を封止部として封緘養生時に活用してもよい。以下に、変形例に係る封緘養生装置1Bについて、
図6を用いて説明する。なお、既に説明した構成と共通又は同様の構成については同じ名称をつけて詳細な説明を省略する場合がある。
【0071】
変形例に係る封緘養生装置1Bは、
図6に示すようにシート部材としての封緘養生シート10と、気体循環部としての気体循環装置20と、二酸化炭素供給部30と、温湿度調整装置40と、制御装置50と、を有する。変形例に係る封緘養生装置1Bは、封止部60を有さない点を除き、上述の実施形態に係る封緘養生装置1と同様の構成である。
【0072】
<変形例に係る養生方法>
次に、変形例に係る封緘養生装置1Bを用いた打設コンクリートの炭酸化養生法について、
図7を用いて説明する。なお、
図7は、
図4に示される上述の実施形態と同様の行程には同じ符号が付されている。当該炭酸化養生方法では、まず、打設コンクリートの打設前に打設コンクリートの打設予定場所の周囲に
図6に示される封止部としての溝60Bを形成する封止部設置工程を行う(ステップS10B)。例えば、予め基礎のコンクリートに溝60Bを形成しておいてもよい。
【0073】
次に、溝60B上に型枠を設置する型枠設置工程を行う(ステップS11B)。次に、打設コンクリートの流し込みからコンクリートが硬化する迄の作業等を行うコンクリート打設工程を行う(ステップS12)。次に、型枠を外す脱型工程を行う(ステップS13)。次に、溝60Bの凹形状60Baに水を注入する水注入工程を行う(ステップS14B)。
【0074】
次に、本変形例に係る封緘養生装置1Bの封緘養生シート10をその縁部が凹形状60Baに貯蔵された水に浸かるようにして打設コンクリートを覆う被覆工程を行う(ステップS15B)。次に、本変形例に係る封緘養生装置1Bに上述の実施形態と同様の封緘養生制御を行わせ、封緘養生を行う炭酸化養生工程を行う(ステップS16)。封緘養生後に封緘養生装置1Bを撤去し、本炭酸化養生方法が完了する。
【0075】
以上により、本変形例に係る養生コンクリートの封緘養生方法は、屋外に打設され炭酸化養生される養生コンクリートCを覆い養生空間10aを形成する封緘養生シート10と、養生空間10aに二酸化炭素を含む気体を循環させる気体循環装置20と、養生空間10aの温度を計測する温度センサ40aと、養生空間10aの湿度を計測する湿度センサ40bと、養生空間10aを加熱又は冷却可能な温度調整部40cと、養生空間10aを加湿又は除湿可能な湿度調整部40dと、温度調整部40cの動作及び湿度調整部40dの動作を制御可能な制御部51と、を備える封緘養生装置1Bを用いた養生コンクリートCの封緘養生方法であって、養生コンクリートCの周囲に上方に開口する凹形状60Baを有する溝60Bを設ける封止部設置工程と、凹形状60Baに水Wを注入する水注入工程と、封緘養生シート10の少なくとも一部が凹形状60Baに注入された水Wに浸かるように、封緘養生シート10により養生コンクリートCを覆う被覆工程と、制御部51が養生空間10a内の温度に基づいて温度調整部40cに養生空間10a内の温度調整を行わせ、養生空間10a内の湿度に基づいて湿度調整部40dに養生空間10a内の湿度調整を行わせる炭酸化養生工程と、を含む。
【0076】
これにより、本変形例に係る養生コンクリートの封緘養生方法は、屋外で養生コンクリートを炭酸化養生できる。
【0077】
<その他の変形例>
上述の実施形態に係る封緘養生装置1は、養生空間10aの外部に気体循環装置20を配置していたが、これに限らず、養生空間10aの内部に配置してもよい。この場合の封緘養生装置1について、説明する。なお、上述の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する場合がある。この場合の封緘養生装置1は、封緘養生シート10と、気体循環装置20と、二酸化炭素供給部30と、温湿度調整装置40と、循環流路Fと、制御装置50と、封止部60と、圧力検知部70と、弁部80と、を有する。
【0078】
この場合の気体循環装置20は、養生空間10a内に配置される不図示のファンを有し、養生空間10a内の気体を撹拌することで養生空間10a内の気体を循環させる。
【0079】
また、この場合の二酸化炭素供給部30は、外部に配置され、二酸化炭素を貯蔵する不図示のガスボンベと、ガスボンベと養生空間10a内とを接続する不図示の配管と、を有する。二酸化炭素供給部30は、配管を介してガスボンベから養生空間10a内に二酸化炭素を供給し、養生空間10a内が所定の圧力になると弁部80の背圧弁80bが開放して内部の気体を排出し養生空間10a内の圧力を保つ。このような構成とすることで、装置の構成をより単純化することができる。
【0080】
上述の実施形態に係る二酸化炭素供給部30は、気体循環装置20を介して養生空間10aに二酸化炭素を供給していたが、これに限らない。例えば、二酸化炭素供給部30は、二酸化炭素を養生空間10aに直接供給してもよい。二酸化炭素供給部30は、養生空間10a内に配置され、二酸化炭素を供給可能なドライアイス等の二酸化炭素供給物質を含んでもよい。二酸化炭素供給物としては、例えば工業用ドライアイスが好ましい。
【0081】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0082】
C 養生コンクリート
W 水(液体)
1 封緘養生装置
10 封緘養生シート
10a 養生空間10a
20 気体循環装置(気体循環部)
40a 温度センサ(温度計測部)
40b 湿度センサ(湿度計測部)
40c 温度調整部
40d 湿度調整部
51 制御部
60 封止部
60a 凹形状