(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139493
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】パターンシートおよびパターンシートの使用方法
(51)【国際特許分類】
C09J 7/40 20180101AFI20241002BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20241002BHJP
C09J 123/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
C09J7/40
C09J7/38
C09J123/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050451
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】加茂 雅康
(72)【発明者】
【氏名】中村 茜
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA07
4J004AB01
4J004CA04
4J004CB02
4J004DA02
4J004DB03
4J040DF021
4J040JB09
4J040PA42
(57)【要約】
【課題】剥離剤層との適度な擬似接着性を有し、粘着剤層に糊殺し処理するときの加工性に優れるとともに、粘着力を喪失させる効果が持続しやすいパターンシートを提供すること。
【解決手段】粘着シートに貼付されて用いられるパターンシート100。パターンシート100は、剥離基材11、及び前記剥離基材11の一方の面に設けられた剥離剤層13を備える剥離シート10と、前記剥離シート10の前記剥離基材11と反対側の面に設けられ、前記剥離剤層13に擬似接着している熱可塑性樹脂層20と、を備え、前記剥離剤層13が、ポリオレフィン樹脂組成物を含有するオレフィン剥離剤を含み、前記熱可塑性樹脂層20が、ポリオレフィン樹脂を含み、前記剥離剤層13と、前記熱可塑性樹脂層20との界面が、擬似接着界面であり、前記擬似接着界面で剥離したときの擬似接着力が、50mN/50mm以上、1000mN/50mm以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着シートに貼付されて用いられるパターンシートであって、
剥離基材、及び前記剥離基材の一方の面に設けられた剥離剤層を備える剥離シートと、
前記剥離シートの前記剥離基材と反対側の面に設けられ、前記剥離剤層に擬似接着している熱可塑性樹脂層と、
を備え、
前記剥離剤層が、ポリオレフィン樹脂組成物を含有するオレフィン剥離剤を含み、
前記熱可塑性樹脂層が、ポリオレフィン樹脂を含み、
前記剥離剤層と、前記熱可塑性樹脂層との界面が、擬似接着界面であり、
前記擬似接着界面で剥離したときの擬似接着力が、50mN/50mm以上、1000mN/50mm以下である、
パターンシート。
【請求項2】
請求項1に記載のパターンシートにおいて、
前記ポリオレフィン樹脂組成物が、エチレンに由来する構成単位、プロピレンに由来する構成単位、ブテンに由来する構成単位、ヘキセンに由来する構成単位、オクテンに由来する構成単位、及び4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位を持つポリオレフィン熱可塑性樹脂を含む、
パターンシート。
【請求項3】
請求項2に記載のパターンシートにおいて、
前記ポリオレフィン樹脂組成物が、エチレンに由来する構成単位及びブテンに由来する構成単位を含む共重合体と、ポリエチレンとの混合物であるか、又は、
前記ポリオレフィン樹脂組成物が、エチレンに由来する構成単位及びオクテンに由来する構成単位を含む共重合体と、ポリエチレンとの混合物である、
パターンシート。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパターンシートにおいて、
前記ポリオレフィン樹脂組成物のメルトフローレートが、1g/10分以上、20g/10分以下である、
パターンシート。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパターンシートにおいて、
前記熱可塑性樹脂層における前記ポリオレフィン樹脂が、エチレンに由来する構成単位およびプロピレンに由来する構成単位の少なくとも一方を持つ、
パターンシート。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパターンシートにおいて、
前記熱可塑性樹脂層は、前記剥離剤層の一部が露出するように、パターン状に形成されており、
パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層および露出された前記剥離剤層が、前記粘着シートに貼付されたとき、
前記剥離剤層の前記粘着シートに対する剥離力が、50mN/50mm以上、500mN/50mm以下である、
パターンシート。
【請求項7】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパターンシートにおいて、
前記剥離基材が、紙基材及び樹脂基材のうちの一種または二種である、
パターンシート。
【請求項8】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパターンシートの使用方法であって、
前記パターンシートを準備する工程と、
前記粘着シートを準備する工程と、
前記熱可塑性樹脂層を、前記粘着シートに向けて貼付し、前記粘着シート、前記熱可塑性樹脂層、及び前記剥離シートの順で積層する工程と、
を有し、
前記粘着シートから、前記パターンシートを分離したとき、前記熱可塑性樹脂層は、前記剥離剤層から分離され、前記粘着シートの粘着性を喪失させる非粘着部として前記粘着シートに残留する、
パターンシートの使用方法。
【請求項9】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパターンシートの使用方法であって、
前記パターンシートを準備する工程と、
前記パターンシートに対して打ち抜きを行い、前記剥離シートには切れ目を設けず、前記熱可塑性樹脂層に切れ目を設け、熱可塑性樹脂層不要部と熱可塑性樹脂層パターン部とを区画する工程と、
前記熱可塑性樹脂層不要部を取り除くカス上げを行い、前記剥離剤層の第一剥離剤層面の一部を露出させ、前記熱可塑性樹脂層をパターン状に形成する工程と、
前記粘着シートを準備する工程と、
パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層を、前記粘着シートに向けて貼付し、前記粘着シート、パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層、及び前記剥離シートの順で積層する工程と、
を有し、
前記粘着シートから、前記剥離シートを分離したとき、パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層は、前記剥離剤層から分離され、前記粘着シートの粘着性を喪失させる非粘着部として前記粘着シートに残留する、
パターンシートの使用方法。
【請求項10】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のパターンシートの使用方法であって、
前記パターンシートを準備する工程と、
前記パターンシートに対して打ち抜きを行い、前記剥離シートには切れ目を設けず、前記熱可塑性樹脂層に切れ目を設け、熱可塑性樹脂層不要部と熱可塑性樹脂層パターン部とを区画する工程と、
前記熱可塑性樹脂層不要部を取り除くカス上げを行い、前記剥離剤層の第一剥離剤層面の一部を露出させ、前記熱可塑性樹脂層をパターン状に形成する工程と、
前記粘着シートを準備する工程と、
パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層を、前記粘着シートに向けて貼付し、前記粘着シート、パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層、及び前記剥離シートの順で積層されたラベルシートを形成する工程と、
前記ラベルシートに対して打ち抜きを行い、前記剥離シートには切れ目を設けず、前記粘着シートのみ、又は、前記粘着シート及びパターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層に切れ目を設け、ラベル不要部とラベル部とを区画する工程と、
前記ラベル不要部を取り除くカス上げを行う工程と、
を有し、
前記ラベルシートから、前記ラベル部を分離したとき、パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層は、前記剥離剤層から分離され、前記粘着シートの粘着性を喪失させる非粘着部として前記粘着シートに残留する、
パターンシートの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンシートおよびパターンシートの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着シートは、粘着基材の一方の面における全面に設けられた粘着剤層の一部に、粘着剤層の粘着力を喪失させる処理(いわゆる糊殺し処理)が施される場合がある。糊殺し処理された粘着シートは、粘着剤層に、粘着部と非粘着部とを有する。非粘着部は、例えば、粘着剤層の一部に、印刷インクおよびニスなどの糊殺し剤を印刷することにより、粘着性を喪失させて形成されている。
【0003】
特許文献1には、表面に剥離剤層を有する剥離紙と、その剥離紙上に粘着剤層を介して仮着されたラベル基材とからなり、前記剥離剤層と対面する粘着剤層の一部に糊殺し剤が印刷されて一部の粘着性が封じられた糊殺し面を有する剥離紙付きラベルが記載されている。特許文献1に記載される剥離紙付きラベルは、前記糊殺し面の剥離剤層面に対する摩擦抵抗と、粘着剤層面の剥離剤層面に対する摩擦抵抗とが同等であるとともに、糊殺し面の剥離剤層面に対する剥離抵抗と、粘着剤層面の剥離剤層面に対する剥離抵抗とが同等である。
【0004】
特許文献2には、剥離剤面に糊殺し部を形成した長尺状の剥離紙と共に長尺状の表面基材を走行させる過程において、前記表面基材の内面に粘着剤を塗工した後、該表面基材の内面と前記剥離紙の剥離剤面とを貼り合わせる糊殺し粘着シートの製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-099215号公報
【特許文献2】特開2007-039484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載される剥離紙付きラベルは、粘着剤層の一部に、印刷インクを含む糊殺し剤を印刷して粘着性が封じられることで、非粘着部が形成されている。また、特許文献2に記載される糊殺し粘着シートは、一般的に使用されている印刷インク又はニスを用いて、剥離剤層の剥離性を有する面(剥離剤面)に糊殺し印刷を施すことで糊殺し部を形成し、当該糊殺し部が粘着剤層に転写されることで、非粘着部が形成されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載される剥離紙付きラベル、及び、特許文献2に記載される糊殺し粘着シートにおいて、糊殺し剤によって形成された非粘着部は、糊殺し剤が粘着剤層の中に浸透しやすいため、粘着力を喪失させる効果が持続し難い。
【0008】
また、特許文献2に記載される糊殺し粘着シートは、シリコーン膜からなる剥離剤層上に、直接、糊殺し剤を印刷することによって糊殺し部を形成する。このため、シリコーン膜からなる剥離剤層上に形成された糊殺し部は、一見、当該剥離剤層に対して擬似的に接着されているようにみえる。しかしながら、剥離剤層に対する糊殺し部の接着力が低すぎるため、特許文献2に記載される糊殺し粘着シートは、粘着剤層に糊殺し処理するときの加工性に劣る。
【0009】
本発明の目的は、剥離剤層との適度な擬似接着性を有し、粘着剤層に糊殺し処理するときの加工性に優れるとともに、粘着力を喪失させる効果が持続しやすいパターンシート、及び当該パターンシートの使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]
粘着シートに貼付されて用いられるパターンシートであって、
剥離基材、及び前記剥離基材の一方の面に設けられた剥離剤層を備える剥離シートと、
前記剥離シートの前記剥離基材と反対側の面に設けられ、前記剥離剤層に擬似接着している熱可塑性樹脂層と、
を備え、
前記剥離剤層が、ポリオレフィン樹脂組成物を含有するオレフィン剥離剤を含み、
前記熱可塑性樹脂層が、ポリオレフィン樹脂を含み、
前記剥離剤層と、前記熱可塑性樹脂層との界面が、擬似接着界面であり、
前記擬似接着界面で剥離したときの擬似接着力が、50mN/50mm以上、1000mN/50mm以下である、
パターンシート。
【0011】
[2]
[1]に記載のパターンシートにおいて、
前記ポリオレフィン樹脂組成物が、エチレンに由来する構成単位、プロピレンに由来する構成単位、ブテンに由来する構成単位、ヘキセンに由来する構成単位、オクテンに由来する構成単位、及び4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位を持つポリオレフィン熱可塑性樹脂を含む、
パターンシート。
【0012】
[3]
[2]に記載のパターンシートにおいて、
前記ポリオレフィン樹脂組成物が、エチレンに由来する構成単位及びブテンに由来する構成単位を含む共重合体と、ポリエチレンとの混合物であるか、又は、
前記ポリオレフィン樹脂組成物が、エチレンに由来する構成単位及びオクテンに由来する構成単位を含む共重合体と、ポリエチレンとの混合物である、
パターンシート。
【0013】
[4]
[1]から[3]のいずれか一項に記載のパターンシートにおいて、
前記ポリオレフィン樹脂組成物のメルトフローレートが、1g/10分以上、20g/10分以下である、
パターンシート。
【0014】
[5]
[1]から[4]のいずれか一項に記載のパターンシートにおいて、
前記熱可塑性樹脂層における前記ポリオレフィン樹脂が、エチレンに由来する構成単位およびプロピレンに由来する構成単位の少なくとも一方を持つ、
パターンシート。
【0015】
[6]
[1]から[5]のいずれか一項に記載のパターンシートにおいて、
前記熱可塑性樹脂層は、前記剥離剤層の一部が露出するように、パターン状に形成されており、
パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層および露出された前記剥離剤層が、前記粘着シートに貼付されたとき、
前記剥離剤層の前記粘着シートに対する剥離力が、50mN/50mm以上、500mN/50mm以下である、
パターンシート。
【0016】
[7]
[1]から[6]のいずれか一項に記載のパターンシートにおいて、
前記剥離基材が、紙基材及び樹脂基材のうちの一種または二種である、
パターンシート。
【0017】
[8]
[1]から[7]のいずれか一項に記載のパターンシートの使用方法であって、
前記パターンシートを準備する工程と、
前記粘着シートを準備する工程と、
前記熱可塑性樹脂層を、前記粘着シートに向けて貼付し、前記粘着シート、前記熱可塑性樹脂層、及び前記剥離シートの順で積層する工程と、
を有し、
前記粘着シートから、前記パターンシートを分離したとき、前記熱可塑性樹脂層は、前記剥離剤層から分離され、前記粘着シートの粘着性を喪失させる非粘着部として前記粘着シートに残留する、
パターンシートの使用方法。
【0018】
[9]
[1]から[7]のいずれか一項に記載のパターンシートの使用方法であって、
前記パターンシートを準備する工程と、
前記パターンシートに対して打ち抜きを行い、前記剥離シートには切れ目を設けず、前記熱可塑性樹脂層に切れ目を設け、熱可塑性樹脂層不要部と熱可塑性樹脂層パターン部とを区画する工程と、
前記熱可塑性樹脂層不要部を取り除くカス上げを行い、前記剥離剤層の第一剥離剤層面の一部を露出させ、前記熱可塑性樹脂層をパターン状に形成する工程と、
前記粘着シートを準備する工程と、
パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層を、前記粘着シートに向けて貼付し、前記粘着シート、パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層、及び前記剥離シートの順で積層する工程と、
を有し、
前記粘着シートから、前記剥離シートを分離したとき、パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層は、前記剥離剤層から分離され、前記粘着シートの粘着性を喪失させる非粘着部として前記粘着シートに残留する、
パターンシートの使用方法。
【0019】
[10]
[1]から[7]のいずれか一項に記載のパターンシートの使用方法であって、
前記パターンシートを準備する工程と、
前記パターンシートに対して打ち抜きを行い、前記剥離シートには切れ目を設けず、前記熱可塑性樹脂層に切れ目を設け、熱可塑性樹脂層不要部と熱可塑性樹脂層パターン部とを区画する工程と、
前記熱可塑性樹脂層不要部を取り除くカス上げを行い、前記剥離剤層の第一剥離剤層面の一部を露出させ、前記熱可塑性樹脂層をパターン状に形成する工程と、
前記粘着シートを準備する工程と、
パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層を、前記粘着シートに向けて貼付し、前記粘着シート、パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層、及び前記剥離シートの順で積層されたラベルシートを形成する工程と、
前記ラベルシートに対して打ち抜きを行い、前記剥離シートには切れ目を設けず、前記粘着シートのみ、又は、前記粘着シート及びパターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層に切れ目を設け、ラベル不要部とラベル部とを区画する工程と、
前記ラベル不要部を取り除くカス上げを行う工程と、
を有し、
前記ラベルシートから、前記ラベル部を分離したとき、パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層は、前記剥離剤層から分離され、前記粘着シートの粘着性を喪失させる非粘着部として前記粘着シートに残留する、
パターンシートの使用方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、剥離剤層との適度な擬似接着性を有し、粘着剤層に糊殺し処理するときの加工性に優れるとともに、粘着力を喪失させる効果が持続しやすいパターンシート、及び当該パターンシートの使用方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係るパターンシートの一例を表す概略断面図である。
【
図3】本実施形態に係るパターンシート使用方法における第一の態様を表す概略工程図である。
【
図4】本実施形態に係るパターンシート使用方法における第一の態様を表す概略工程図である。
【
図5】本実施形態に係るパターンシート使用方法における第二の態様を表す概略工程図である。
【
図6】本実施形態に係るパターンシート使用方法における第二の態様を表す概略工程図である。
【
図7】本実施形態に係るパターンシート使用方法における第二の態様を表す概略工程図である。
【
図8】本実施形態に係るパターンシート使用方法における第二の態様を表す概略工程図である。
【
図9】本実施形態に係るパターンシート使用方法における第三の態様を表す概略工程図である。
【
図10】本実施形態に係るパターンシート使用方法における第三の態様を表す概略工程図である。
【
図11】本実施形態に係るパターンシート使用方法における第三の態様を表す概略工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[パターンシート]
本実施形態に係るパターンシートの好ましい実施形態について説明する。
【0023】
本実施形態に係るパターンシートは、粘着シートに貼付されて用いられる。当該パターンシートは、剥離基材、及び前記剥離基材の一方の面に設けられた剥離剤層を備える剥離シートと、前記剥離シートの前記剥離基材と反対側の面に設けられ、前記剥離剤層に擬似接着している熱可塑性樹脂層とを備える。前記剥離剤層が、ポリオレフィン樹脂組成物を含有するオレフィン剥離剤を含み、前記熱可塑性樹脂層が、ポリオレフィン樹脂を含む。そして、前記剥離剤層と、前記熱可塑性樹脂層との界面が、擬似接着界面であり、前記擬似接着界面で剥離したときの擬似接着力が、50mN/50mm以上、1000mN/50mm以下である。
【0024】
本実施形態に係るパターンシートが、粘着シートに貼付されるとき、パターンシートの熱可塑性樹脂層側が、粘着シートの粘着剤層に向けて貼付される。本実施形態に係るパターンシートが、粘着シートに貼付された後の粘着体から、当該パターンシートを分離すると、当該パターンシートにおける熱可塑性樹脂層と剥離剤層との間で分離して、熱可塑性樹脂層が粘着剤層に残留する。粘着剤層に残留した熱可塑性樹脂層の部分は、粘着力を喪失させた非粘着部となる。本実施形態に係るパターンシートを用いることにより、非粘着部を形成するための糊殺し処理が、印刷インク等の印刷による糊殺し剤ではなく、熱可塑性樹脂の転写によって行われるため、粘着剤層に、糊殺し剤の染み込みが生じない。このため、本実施形態に係るパターンシートは、上記構成を有することで、粘着力を喪失させる効果が持続しやすくなる。また、本実施形態に係るパターンシートは、熱可塑性樹脂と剥離剤層との接着力に優れるとともに、両者を剥離したいときには剥離しやすい接着力であるため、熱可塑性樹脂層と剥離剤層との接着力は、適度な擬似接着性を有する。このため、本実施形態に係るパターンシートによれば、粘着剤層に糊殺し処理するときの加工性に優れる。なお、本実施形態に係るパターンシートは、適度な擬似接着性を有するため、使用に十分に耐え得る接着力を有する。
【0025】
本実施形態に係るパターンシートについて、図面を参照して説明する。図面においては、説明を容易にするために、拡大、又は縮小して図示した部分がある。
図1を参照すると、
図1には、本実施形態に係るパターンシートの一例として、パターンシート100の概略断面図が示されている。
【0026】
図1に示されるパターンシート100は、剥離シート10と、剥離シート10の一方の面に設けられた熱可塑性樹脂層20とを備えている。剥離シート10は、剥離基材11および剥離基材11上に設けられた剥離剤層13を備える。剥離基材11は、第一剥離基材面111と、第一剥離基材面111とは反対側の面である第二剥離基材面112とを備え、剥離剤層13は、第一剥離剤層面131と、第一剥離剤層面131とは反対側の面である第二剥離剤層面132とを備える。熱可塑性樹脂層20は、第一熱可塑性樹脂層面201と、第一熱可塑性樹脂層面201とは反対側の面である第二熱可塑性樹脂層面202とを備える。
【0027】
具体的には、パターンシート100は、剥離基材11、及び剥離基材11の一方の面(第一剥離基材面111)に、直接、積層された剥離剤層13を備える剥離シート10と、剥離シート10における剥離剤層13の剥離基材11側とは反対側の面(第一剥離剤層面131)に、直接、積層された熱可塑性樹脂層20とを備えている。すなわち、パターンシート100は、剥離基材11、剥離剤層13、及び熱可塑性樹脂層20が、剥離基材11から熱可塑性樹脂層20に向かって、厚さ方向に、この順で順次積層されている。剥離剤層13は、ポリオレフィン樹脂組成物を含むオレフィン剥離剤を含有している。熱可塑性樹脂層20は、ポリオレフィン樹脂を含有している。熱可塑性樹脂層20は、剥離剤層13に、擬似接着しており、剥離剤層13と熱可塑性樹脂層20との界面は、擬似接着界面である。具体的には、パターンシート100においては、第一剥離剤層面131と、第二熱可塑性樹脂層面202との接触面が、擬似接着界面となる。剥離剤層13と熱可塑性樹脂層20との界面で剥離したときの擬似接着力は、50mN/50mm以上、1000mN/50mm以下の範囲である。パターンシート100が図示しない粘着シートに貼付されるとき、熱可塑性樹脂層20の剥離シート10側とは反対側の面(第一熱可塑性樹脂層面201)が、粘着シートの粘着剤層(不図示)に貼付される。
【0028】
図1に示されるパターンシート100において、剥離基材11の第一剥離基材面111と反対側の面である第二剥離基材面112には、剥離剤層13及び熱可塑性樹脂層20が設けられておらず、第二剥離基材面112が露出している。パターンシート100は、図示しない粘着シートに貼付されて用いられる。
図1に示される剥離シート10において、剥離剤層13は、剥離基材11に対して擬似接着ではなく、強固に接着している。
【0029】
以上、
図1を参照して、本実施形態に係るパターンシートの一例を説明したが、本実施形態に係るパターンシートは、これに限定されるものではない。本実施形態に係るパターンシートは、上記構成を有していれば、種々の形態を採用し得る。
例えば、
図1に示すパターンシート100における剥離シート10において、剥離基材11と剥離剤層13との間に、剥離基材11の第一剥離基材面111及び剥離剤層13の第二剥離剤層面132の両者に、直接、接するように、図示しない中間層を積層してもよい。中間層は、押出ラミネートまたはコーティングにより形成された中間層であってもよい。
【0030】
本実施形態に係るパターンシートは、一態様において、剥離シートにおける剥離剤層の剥離基材側とは反対側の面の全面に、熱可塑性樹脂層が設けられていることも好ましい。
【0031】
本実施形態に係るパターンシートは、他の一態様において、剥離シートにおける剥離剤層の剥離基材側とは反対側の面の一部に、熱可塑性樹脂層が設けられていることも好ましい。剥離剤層の剥離基材側とは反対側の面の一部に、熱可塑性樹脂層が設けられている状態は、剥離剤層の上に、熱可塑性樹脂が設けられた部分と、熱可塑性樹脂が設けられていない部分とを有する。すなわち、本実施形態に係るパターンシートの他の一態様において、当該パターンシートを熱可塑性樹脂層側から平面視したとき、熱可塑性樹脂が露出した部分と、剥離剤層が露出した部分とを有するように、熱可塑性樹脂層が、剥離剤層の上に、断続的に設けられている。この場合、本実施形態に係るパターンシートは、剥離シートにおける剥離剤層の剥離基材側とは反対側の面の全面に、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層が設けられていることも好ましい。
【0032】
<剥離シート>
剥離シートは、剥離基材と、剥離基材上に設けられた剥離剤層とを備える。
【0033】
(剥離基材)
剥離基材は、剥離剤層を支持する基材である。剥離基材の材質は、特に限定されず、例えば、紙、樹脂、及び金属箔等が挙げられ、これら材質を一種単独、又は二種以上を組み合わせてもよい。剥離基材は、紙基材及び樹脂基材のうちの一種または二種であることが好ましい。本明細書において、紙基材は、紙で形成された基材であり、樹脂基材は、樹脂フィルム等の樹脂で形成された樹脂基材である。
【0034】
紙基材に用いられる紙としては、例えば、クラフト紙、上質紙、グラシン紙、及びコート紙(例えば、アート紙、クレーコート紙、及びキャストコート紙など)などが挙げられる。
【0035】
樹脂基材に用いられる樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン-ノルボルネン共重合体、ノルボルネン樹脂、及びエチレン共重合体(エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、及びエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体など))、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及びポリブチレンテレフタレートなど)、ポリ塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、及び塩化ビニル共重合体など)、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、及びフッ素樹脂等が挙げられる。
【0036】
(中間層)
中間層は、必要に応じて設けられる層である。中間層が設けられる場合、剥離基材、中間層、及び剥離剤層がこの順で積層される。中間層が設けられる場合、中間層は、例えば、剥離基材上に、押出ラミネートすることにより積層されてもよく、剥離基材上に、プライマー等の易接着剤をコーティングすることにより積層されてもよく、これらの組み合わせによって積層されてもよい。中間層は、押出ラミネートすることにより積層されることが好ましい。
【0037】
中間層に用いられる材料は、剥離基材と剥離剤層との密着性を向上させることができる材料であれば、特に限定されない。中間層に用いられる材料は、例えば、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、及びポリプロピレン等)、ポリウレタン樹脂、及びポリアクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、中間層に用いられる材料は、ポリオレフィンであることが好ましく、ポリプロピレンおよびポリエチレンの少なくとも一種であることがより好ましく、ポリエチレンであることがさらに好ましい。中間層に用いられる材料がポリエチレンである場合、ポリエチレンは、低密度ポリエチレンであることが好ましい。
【0038】
中間層が、例えば、ポリオレフィン樹脂を含む場合、ポリオレフィン樹脂の含有量は、50質量%以上、100質量%以下であることが好ましい。中間層がポリオレフィン樹脂を含む場合のポリオレフィン樹脂の含有量は、75質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることがよりさらに好ましい。中間層には、目的に応じて、各種の添加剤を含んでいてもよい。
【0039】
中間層の厚さは、特に限定されず、例えば、1μm以上、50μm以下であってもよく、5μm以上、50μm以下であってもよい。
【0040】
(剥離剤層)
剥離剤層がシリコーン系剥離剤から形成される場合、剥離剤層と熱可塑性樹脂層との接着性が低くなりすぎる。このため、剥離剤層と熱可塑性樹脂層との適度な擬似接着性を得る観点で、本実施形態に係るパターンシートが備える剥離シートの剥離剤層には、ポリオレフィン樹脂組成物を含有するオレフィン剥離剤が用いられる。
【0041】
オレフィン剥離剤に含まれるポリオレフィン樹脂組成物は、例えば、炭素数が2以上、10以下のオレフィンに由来する構成単位を持つポリオレフィン熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物が挙げられる。当該ポリオレフィン樹脂組成物は、具体的には、エチレンに由来する構成単位、プロピレンに由来する構成単位、ブテンに由来する構成単位、ヘキセンに由来する構成単位、オクテンに由来する構成単位、及び4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位を持つポリオレフィン熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。本明細書において、ポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン熱可塑性樹脂から構成される。
【0042】
ポリオレフィン熱可塑性樹脂は、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、及び4-メチル-1-ペンテンからなる群から選択されるいずれかの構成単位を持つ単独重合体でもよく、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、及び4-メチル-1-ペンテンからなる群から選択される少なくとも一つの構成単位を持つ共重合体でもよい。ポリオレフィン樹脂組成物は、これらの単独重合体および共重合体の混合物でもよい。
【0043】
剥離剤層と熱可塑性樹脂層との適度な擬似接着性が得られやすくする観点で、ポリオレフィン樹脂組成物は、エチレンに由来する構成単位を持つポリオレフィン熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。エチレンに由来する構成単位を持つポリオレフィン熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレンに由来する構成単位を持つ単独重合体、及び、エチレンに由来する構成単位と、炭素数が3以上、10以下のα-オレフィンに由来する構成単位とを持つ共重合体が挙げられる。ポリオレフィン樹脂組成物は、これらの単独重合体とこれらの共重合体との混合物でもよい。
【0044】
剥離剤層と熱可塑性樹脂層との適度な擬似接着性がより得られやすくする観点で、ポリオレフィン樹脂組成物は、エチレンに由来する構成単位、並びに、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、及び4-メチル-1-ペンテンからなる群から選択される少なくとも一つに由来する構成単位を持つ共重合体と、ポリエチレンとの混合物であることが好ましい。これらの中でも、剥離剤層と熱可塑性樹脂層との適度な擬似接着性がより得られやすくする観点で、ポリオレフィン樹脂組成物は、エチレンに由来する構成単位及びブテンに由来する構成単位を含む共重合体と、ポリエチレンとの混合物であることがより好ましい。同様の観点で、ポリオレフィン樹脂組成物は、エチレンに由来する構成単位及びオクテンに由来する構成単位を含む共重合体と、ポリエチレンとの混合物であることもより好ましい。ポリオレフィン樹脂組成物中にポリエチレンを含む場合、ポリエチレンは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、及び高密度ポリエチレン等のいずれでもよい。ポリオレフィン樹脂組成物中に含まれるポリエチレンは、低密度ポリエチレンであることが好ましい。
【0045】
本明細書において、密度が0.91g/cm3以上、0.93g/cm3未満のポリエチレンを低密度ポリエチレン、密度が0.93g/cm3以上、0.942g/cm3未満のポリエチレンを中密度ポリエチレン、及び、密度が0.942g/cm3以上、0.97g/cm3以下のポリエチレンを高密度ポリエチレンと称する。ポリエチレンの密度は、JIS K7112:1999に準拠して測定できる。
【0046】
エチレンに由来する構成単位、並びに、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、及び4-メチル-1-ペンテンからなる群から選択される少なくとも一つに由来する構成単位を持つ共重合体の密度は、0.80g/cm3以上であることが好ましく、0.805g/cm3以上であることがより好ましい。
エチレンに由来する構成単位、並びに、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、及び4-メチル-1-ペンテンからなる群から選択される少なくとも一つに由来する構成単位を持つ共重合体の密度は、0.91g/cm3未満であることが好ましく、0.905g/cm3以下であることがより好ましく、0.90g/cm3以下であることがさらに好ましい。
エチレンに由来する構成単位、並びに、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、及び4-メチル-1-ペンテンからなる群から選択される少なくとも一つに由来する構成単位を持つ共重合体の密度は、JIS K7112:1999に準拠して測定できる。
【0047】
本実施形態に係るパターンシートにおいて、熱可塑性樹脂層が後述のパターン状に形成された熱可塑性樹脂層である場合には、本実施形態に係るパターンシートを粘着シートに貼付した場合、粘着剤層と熱可塑性樹脂層とが貼付される部分および粘着剤層と剥離剤層とが貼付される部分が生じる。このため、剥離剤層が、熱可塑性樹脂層に対して適度な擬似接着性がより得られやすくなり、かつ、粘着剤層に対して優れた剥離性が得られやすくなる観点で、オレフィン剥離剤に含まれるポリオレフィン樹脂組成物は、エチレンに由来する構成単位、プロピレンに由来する構成単位、ブテンに由来する構成単位、ヘキセンに由来する構成単位、オクテンに由来する構成単位、及び4-メチル-1-ペンテンに由来する構成単位からなる群から選ばれる少なくとも一種の構成単位を持つポリオレフィン熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
【0048】
同様の観点で、オレフィン剥離剤に含まれるポリオレフィン樹脂組成物は、エチレンに由来する構成単位、並びに、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、及び4-メチル-1-ペンテンからなる群から選択される少なくとも一つに由来する構成単位を持つ共重合体と、ポリエチレンとの混合物であることが好ましい。これらの中でも、ポリオレフィン樹脂組成物は、エチレンに由来する構成単位及びブテンに由来する構成単位を含む共重合体と、ポリエチレンとの混合物であるか、又は、エチレンに由来する構成単位及びオクテンに由来する構成単位を含む共重合体と、ポリエチレンとの混合物であることがより好ましい。
【0049】
ポリオレフィン樹脂組成物が、エチレンに由来する構成単位、並びに、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、及び4-メチル-1-ペンテンからなる群から選択される少なくとも一つに由来する構成単位を持つ共重合体と、ポリエチレンとの混合物である場合、当該共重合体とポリエチレンとの混合割合(当該共重合体:ポリエチレン)は、質量比で、10:90から90:10の範囲であることが好ましく、20:80から80:20の範囲であることがより好ましい。当該共重合体とポリエチレンとの混合割合が、10:90から90:10の範囲であれば、剥離剤層と熱可塑性樹脂層との擬似接着性がより得られやすくなる。また、当該共重合体とポリエチレンとの混合割合が、10:90から90:10の範囲であれば、粘着剤層と接した場合には、粘着剤層との剥離性に優れる。
【0050】
ポリオレフィン樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)が、1g/10分以上、20g/10分以下であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂組成物のMFRは、3g/10分以上であることがより好ましい。ポリオレフィン樹脂組成物のMFRは、15g/10分以下であることがより好ましい。剥離剤層に用いられるポリオレフィン樹脂組成物のMFRは、JIS K 7210-1:2011に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgの測定条件下で測定されたものである。
【0051】
剥離剤層の厚さは、特に限定されず、例えば、3μm以上、50μm以下であることが好ましい。
剥離剤層の厚さは、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。
剥離剤層の厚さは、40μm以下であることがより好ましく、35μm以下であることがさらに好ましい。
【0052】
オレフィン剥離剤に含まれるポリオレフィン樹脂組成物の含有量は、オレフィン剥離剤の全体量基準で、95質量%以上、100質量%以下であることが好ましい。オレフィン剥離剤には、ポリオレフィン樹脂組成物以外に、例えば、低分子オレフィンワックスなどのオレフィン化合物を含んでいてもよい。剥離剤層と熱可塑性樹脂層との擬似接着性がより得られやすくなる観点で、オレフィン剥離剤は、ポリオレフィン樹脂組成物以外のオレフィン化合物を含まないことが好ましい。オレフィン剥離剤は、ポリオレフィン樹脂組成物から構成されることがさらに好ましい。
【0053】
剥離剤層中、オレフィン剥離剤の含有量は、剥離剤層の全体量基準で、90質量%以上、100質量%以下であることが好ましい。オレフィン剥離剤の含有量は、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。
【0054】
剥離剤層は、剥離基材との密着性、及び、剥離剤層と熱可塑性樹脂層との擬似接着性を損なわない範囲であれば、充填剤、可塑剤、及び安定剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。剥離剤層は、剥離剤層と熱可塑性樹脂層との擬似接着性を損なわない範囲であれば、ポリオレフィン樹脂組成物以外に、他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂の一例としては、シリコーン樹脂も挙げられる。剥離剤層と熱可塑性樹脂層との擬似接着性がより得られやすくなる観点で、剥離剤層中、シリコーン樹脂の含有量は、剥離剤層の全体量基準で、0質量%以上、1質量%以下であることが好ましい。同様の観点で、剥離剤層は、シリコーン樹脂を含まないほうが好ましい。
【0055】
<熱可塑性樹脂層>
熱可塑性樹脂層は、剥離シートが備える剥離剤層の上に、直接、接して設けられている。熱可塑性樹脂層は、剥離剤層と擬似接着しており、剥離剤層と、熱可塑性樹脂層との界面は、擬似接着界面である。熱可塑性樹脂層は、ポリオレフィン樹脂を含む。熱可塑性樹脂層は、剥離剤層に擬似接着でき、粘着シートの粘着剤層との密着性に優れるのであれば、剥離剤層に含まれるポリオレフィン樹脂組成物と同じでもよく、異なっていてもよい。剥離剤層と熱可塑性樹脂層との擬似接着性がより得られやすくなり、粘着シートの粘着剤層との密着性に優れる観点で、熱可塑性樹脂層は、剥離剤層に含まれるポリオレフィン樹脂組成物とは異なることが好ましい。
【0056】
本実施形態に係るパターンシートにおいて、擬似接着界面で剥離したときの擬似接着力、すなわち、熱可塑性樹脂層の剥離剤層に対する擬似接着力は、50mN/50mm以上、1000mN/50mm以下である。
熱可塑性樹脂層の剥離剤層に対する擬似接着力は、60mN/50mm以上であることが好ましく、80mN/50mm以上であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂層の剥離剤層に対する擬似接着力は、950mN/50mm以下であることが好ましく、600mN/50mm以下であることがより好ましく、300mN/50mm以下であることがさらに好ましい。
【0057】
熱可塑性樹脂層の剥離剤層に対する擬似接着力が、50mN/50mm以上であれば、熱可塑性樹脂層が、意図せず剥離剤層から剥離することを抑制できる。また、熱可塑性樹脂層の剥離剤層に対する適度な接着力が得られることにより、粘着シートの粘着剤層に糊殺し処理するときの加工性に優れる。このため、粘着剤層に、簡便に、非粘着部を形成できる。
熱可塑性樹脂層の剥離剤層に対する擬似接着力が、1000mN/50mm以下であれば、熱可塑性樹脂層を剥離シートの剥離剤層から分離させるときの剥離性に優れる。このため、粘着シートの粘着剤層に糊殺し処理するときの加工性に優れ、粘着剤層に、簡便に、非粘着部を形成できる。
熱可塑性樹脂層の剥離剤層に対する擬似接着力は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
【0058】
ポリオレフィン樹脂は、特に限定されない。ポリオレフィン樹脂は、例えば、炭素数2以上、18以下のオレフィンモノマーを含むモノマーから重合された重合体が挙げられる。
【0059】
ポリオレフィン樹脂は、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、及び4-メチル-1-ペンテン等のオレフィンモノマーの単独重合体が挙げられる。ポリオレフィン樹脂は、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、及び4-メチルペンテン等からなる群から選択されるオレフィンモノマーの共重合体も挙げられる。オレフィンモノマーの共重合体は、例えば、エチレンと、炭素数3以上、18以下のαオレフィン(例えば、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、デセン、及び4-メチルペンテン等からなる群から選択される少なくとも一つのオレフィンモノマー)との共重合体も挙げられる。オレフィンモノマーの共重合体は、2種以上のオレフィンモノマーを併用してもよい。ポリオレフィン樹脂は、一種単独の樹脂でもよいし、二種以上の樹脂の組み合わせでもよい。
【0060】
ポリオレフィン樹脂は、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、及び4-メチル-1-ペンテン等のオレフィンモノマーの一種または二種以上と、水酸基、カルボキシ基、酢酸ビニル構造、及び酸無水物構造等を有するモノマーの一種または二種以上との共重合体も挙げられる。
【0061】
ポリオレフィン樹脂は、例えば、具体的には、ポリエチレン(低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、及び高密度ポリエチレン等)、ポリプロピレン、ポリ-1-ブテン、ポリ-2-ブテン、ポリ-1-ヘキセン、ポリ-1-オクテン、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、及びエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる群から選択される少なくとも一種であることが挙げられる。
【0062】
これらの中でも、ポリオレフィン樹脂は、エチレンに由来する構成単位およびプロピレンに由来する構成単位の少なくとも一つを持つ樹脂であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂は、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレン-酢酸ビニル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種であることがより好ましく、ポリエチレン及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも一種であることがさらに好ましい。ポリオレフィン樹脂として、ポリエチレンを用いる場合、ポリオレフィン樹脂は、低密度ポリエチレンであることが好ましい。
【0063】
熱可塑性樹脂層に含まれるポリオレフィン樹脂と、剥離剤層に含まれるポリオレフィン樹脂組成物とが異なる場合、前記ポリオレフィン樹脂は、オレフィンモノマーの単独重合体およびオレフィンモノマーを含むモノマーから重合された共重合体のいずれか一方を含有し、前記ポリオレフィン樹脂組成物は、オレフィンモノマーを含むモノマーから重合された共重合体およびオレフィンモノマーの単独重合体の両方を含有していてもよい。
前記ポリオレフィン樹脂は、オレフィンモノマーの単独重合体を含有し、前記ポリオレフィン樹脂組成物は、オレフィンモノマーを含むモノマーから重合された共重合体およびオレフィンモノマーの単独重合体の両方を含有していてもよい。
前記ポリオレフィン樹脂に含まれる重合体のオレフィンモノマーは、炭素数2以上、18以下のオレフィンモノマーが挙げられる。前記ポリオレフィン樹脂組成物に含まれる重合体のオレフィンモノマーは、炭素数が2以上、10以下のオレフィンモノマーが挙げられる。前記ポリオレフィン樹脂と、前記ポリオレフィン樹脂組成物との具体的な組み合わせは、例えば、以下に挙げる組み合わせであることが好ましい。
【0064】
前記ポリオレフィン樹脂は、エチレンに由来する構成単位およびプロピレンに由来する構成単位の少なくとも一つを持つ樹脂であり、前記ポリオレフィン樹脂組成物は、エチレンに由来する構成単位、並びに、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、及び4-メチル-1-ペンテンからなる群から選択される少なくとも一つに由来する構成単位を持つ共重合体と、ポリエチレンとの混合物であることが好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレン-酢酸ビニル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一種であり、前記ポリオレフィン樹脂組成物は、エチレンに由来する構成単位及びブテンに由来する構成単位を含む共重合体と、ポリエチレンとの混合物であるか、又は、エチレンに由来する構成単位及びオクテンに由来する構成単位を含む共重合体と、ポリエチレンとの混合物であることがより好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂は、低密度ポリエチレンまたはポリプロピレンであり、前記ポリオレフィン樹脂組成物は、エチレン-1-ブテン共重合体と低密度ポリエチレンとの混合物またはエチレン-1-ヘキセン共重合体と低密度ポリエチレンとの混合物であることがさらに好ましい。
【0065】
なお、剥離シートが中間層を備える場合、例えば、中間層は、低密度ポリエチレンを含み、剥離剤層は、エチレン-1-ブテン共重合体と低密度ポリエチレンとの混合物またはエチレン-1-ヘキセン共重合体と低密度ポリエチレンとの混合物を含み、熱可塑性樹脂層は、低密度ポリエチレンまたはポリプロピレンを含んでいてもよい。
【0066】
ポリオレフィン樹脂の密度は、特に限定されず、例えば、0.85g/cm3以上、0.97g/cm3以下であることが好ましい。ポリオレフィン樹脂の密度は、JIS K7112:1999に準拠して測定できる。
【0067】
熱可塑性樹脂層は、粘着シートの粘着剤層に貼付された後、剥離シートの剥離剤層から剥離することで、粘着シートの粘着剤層に非粘着部を形成するための層である。非粘着部として適度な厚さとする観点で、熱可塑性樹脂層の厚さは、特に限定されず、例えば、3μm以上、50μm以下であることが好ましい。
熱可塑性樹脂層の厚さは、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂層の厚さは、40μm以下であることがより好ましく、35μm以下であることがさらに好ましい。
【0068】
熱可塑性樹脂層中、ポリオレフィン樹脂の含有量は、熱可塑性樹脂層の全体量基準で、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましく、100質量%であることがよりさら好ましい。
【0069】
熱可塑性樹脂層は、ポリオレフィン樹脂以外に、必要に応じて、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、滑剤、紫外線吸収剤、着色剤、及びアンチブロッキング剤等が挙げられる。熱可塑性樹脂層が添加剤を含有する場合、添加剤は、1種単独で含有していてもよく、2種以上を含んでいてもよい。熱可塑性樹脂層は、非粘着部として視認性が低いことが求められる場合がある。この場合、熱可塑性樹脂層は、透明であることが好ましい。このため、熱可塑性樹脂層は、透明性を低下させる添加剤は含まないことが好ましい。ここで、透明性とは、可視光線が少なくとも透過することを表し、具体的には、例えば、JIS K7361-1:1997に規定する50%以上の全光線透過率を有することを表す。
【0070】
熱可塑性樹脂層は、剥離剤層の一部が露出するように、パターン状に形成されていることが好ましい(例えば、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層を備えるパターンシートの一例として、後述の
図6を参照。)。そして、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層および露出された剥離剤層が、粘着シートに貼付されたとき、剥離剤層の粘着シートに対する剥離力(すなわち、剥離剤層の粘着シートにおける粘着剤層に対する剥離力)が、50mN/50mm以上、500mN/50mm以下であることが好ましい。
剥離剤層の粘着シートに対する剥離力は、60mN/50mm以上であることがより好ましく、100mN/50mm以上であることがさらに好ましく、110mN/50mm以上であることがよりさらに好ましい。
剥離剤層の粘着シートに対する剥離力は、500mN/50mm以下であることがより好ましく、200mN/50mm以下であることがさらに好ましい。
剥離剤層の粘着シートに対する剥離力は、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
【0071】
本実施形態に係るパターンシートが、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層を有する場合、粘着剤層と熱可塑性樹脂層とが貼付される部分および粘着剤層と剥離剤層とが貼付される部分を有する。このため、剥離剤層の粘着シートに対する剥離力が、50mN/50mm以上、500mN/50mm以下であれば、剥離剤層の粘着剤層に対する剥離性が優れる。
【0072】
パターン状に形成された熱可塑性樹脂層のパターン形状は、特に限定されず、目的とする非粘着部の形状に応じたパターン形状であればよい。パターン形状は、矩形、円形、楕円形、多角形、及びこれらの組み合わせでもよい。パターン形状の個数も、目的に応じて設ければよい。
【0073】
<パターンシートの製造方法>
本実施形態に係るパターンシートの好ましい製造方法の一例について説明する。本実施形態に係るパターンシートの好ましい製造方法は、剥離基材の上に、ポリオレフィン樹脂組成物を含有するオレフィン剥離剤を溶融押出ラミネートすることにより剥離剤層が設けられた剥離シートを得る工程と、前記剥離シートの剥離剤層の剥離基材とは反対側の面に、ポリオレフィン樹脂を溶融押出ラミネートすることにより、ポリオレフィン樹脂を含む熱可塑性樹脂層を設ける工程と、を有する。
【0074】
剥離シートの剥離基材と剥離剤層との間に中間層を設ける場合、剥離シートを得る工程は、剥離基材の上に、溶融押出ラミネートおよびコーティングの少なくとも一つを行うことにより中間層を形成する工程と、前記中間層の上に、ポリオレフィン樹脂組成物を含有するオレフィン剥離剤を溶融押出ラミネートすることにより剥離剤層が設けられた剥離シートを得る工程を有してもよい。
【0075】
剥離シートを得る工程は、剥離基材を準備する工程、及び、ポリオレフィン樹脂組成物を含むオレフィン剥離剤を準備する工程を含む。剥離基材は、前述の剥離基材で説明した剥離基材を準備すればよい。剥離基材は、公知の製造方法によって得られる。ポリオレフィン樹脂組成物は、前述の剥離剤層で説明したポリオレフィン樹脂組成物を準備すればよい。ポリオレフィン樹脂組成物は、公知の製造方法によって得られる。ポリオレフィン樹脂組成物が、エチレンに由来する構成単位、並びに、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン、及び4-メチル-1-ペンテンからなる群から選択される少なくとも一つに由来する構成単位を持つ共重合体を含む場合、当該共重合体は、マルチサイト触媒を用いて重合された共重合体であることが好ましい。
【0076】
剥離シートを得る工程において、剥離基材上に、ポリオレフィン樹脂組成物を含有するオレフィン剥離剤を溶融押出ラミネートする方法は、特に限定されず、公知の方法が採用できる。剥離剤層を設けるときの条件は、剥離剤層が形成できる温度条件であれば、特に限定されない。例えば、Tダイを備える押出機のホッパーに、ポリオレフィン樹脂組成物を投入し、シリンダー温度およびダイ温度をポリオレフィン樹脂組成物の種類にあわせて適宜調整し、Tダイから、ポリオレフィン樹脂組成物のフィルム状溶融混練物を押出し、冷却ロールにて冷却させることにより、剥離基材上に、剥離剤層を形成することができる。
【0077】
剥離シートを得る工程において、中間層を溶融押出ラミネートによって設ける場合、剥離剤層を設ける場合と同様に、中間層に用いる樹脂の種類に合わせて、溶融押出ラミネートするときの条件を調整することによって、剥離基材上に中間層を設けることができる。
中間層をコーティングにより設ける場合は、例えば、中間層に用いる材料を、バーコート法、ナイフコート法、ロールナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、カーテンコート法、及びグラビアコート法などの公知の塗布方法によって、剥離基材上に中間層を設けることができる。
【0078】
剥離シートを得る工程は、剥離基材の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、及び火炎処理などの易接着処理が施された後、剥離剤層が設けられる工程であってもよい。中間層を設ける場合、剥離基材の表面に易接着処理を施して中間層を形成する工程の後、中間層にも易接着処理が施された後に剥離剤層が設けられる工程であってもよい。
【0079】
熱可塑性樹脂層を設ける工程は、ポリオレフィン樹脂を準備する工程を含む。ポリオレフィン樹脂は、前述の熱可塑性樹脂層で説明したポリオレフィン樹脂を準備すればよい。ポリオレフィン樹脂は、公知の製造方法によって得られる。
【0080】
熱可塑性樹脂層を設ける工程において、剥離剤層の剥離基材側とは反対側の面に、ポリオレフィン樹脂を溶融押出ラミネートする方法は、特に限定されず、公知の方法が採用できる。熱可塑性樹脂層を設けるときの条件は、熱可塑性樹脂層が形成できる温度条件であれば、特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂層は、次のようにして得られる。まず、Tダイを備える押出機のホッパーに、ポリオレフィン樹脂を投入し、シリンダー温度およびダイ温度をポリオレフィン樹脂の種類にあわせて適宜調整する。次いで、Tダイから、ポリオレフィン樹脂のフィルム状溶融混練物を押出し、冷却ロールにて冷却させることにより、剥離シートにおける剥離剤層の上に、熱可塑性樹脂層を形成することができる。
【0081】
熱可塑性樹脂層を設ける工程では、熱可塑性樹脂層を形成するときに、剥離シートにおける剥離剤層の表面に、コロナ処理、プラズマ処理、及び火炎処理などの易接着処理が施されてもよい。
【0082】
熱可塑性樹脂層をパターン状に形成する場合、本実施形態に係るパターンシートの好ましい製造方法は、剥離剤層の一部を露出させ、熱可塑性樹脂層をパターン状に形成する工程を有する。熱可塑性樹脂層をパターン状に形成する工程は、例えば、剥離シートには切れ目を設けず、熱可塑性樹脂層に切れ目を設け、熱可塑性樹脂層不要部と熱可塑性樹脂層パターン部とを区画し、熱可塑性樹脂層不要部を取り除くことで、熱可塑性樹脂層をパターン状に形成する工程であることが挙げられる。熱可塑性樹脂層をパターン状に形成する場合、熱可塑性樹脂層をパターン状に形成する前のパターンシートは、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層が設けられたパターンシートを得るための原反となる。パターン状に形成された熱可塑性樹脂層が設けられたパターンシートは、ロール・トゥー・ロール(Roll to Roll)方式によって加工することができる。
【0083】
以上の工程を経ることによって、本実施形態に係るパターンシートが得られる。
【0084】
[粘着シート]
本実施形態に係るパターンシートが貼付される粘着シートの一例について説明する。粘着シートは、粘着基材と、粘着基材の上に設けられた粘着剤層とを有する。
【0085】
本実施形態に係るパターンシートが貼付される粘着シートについて、図面を参照して説明する。図面においては、説明を容易にするために、拡大、又は縮小して図示した部分がある。
図2を参照すると、
図2には、粘着シートの一例として、粘着シート30の概略断面図が示されている。
【0086】
図2に示される粘着シート30は、粘着基材31、及び粘着剤層33を備えている。粘着基材31は、第一粘着基材面311と、第一粘着基材面311とは反対側の面である第二粘着基材面312とを有する。粘着剤層33は、粘着基材31の一方の面(第一粘着基材面311)に積層されている。粘着シート30は、粘着剤層33が、粘着基材31に、直接、積層されており、粘着剤層33は、粘着基材31に対して、強固に接着している。
図2に示される粘着シート30において、第二粘着基材面312には、粘着剤層33が設けられておらず、第二粘着基材面312が露出している。粘着剤層33の第一粘着剤層面331は、図示しない本実施形態に係るパターンシートの熱可塑性樹脂層に貼付される面である。
【0087】
以上、
図2を参照して、本実施形態に係るパターンシートに貼付される粘着シートの一例を説明したが、粘着シートは、これに限定されるものではない。粘着シートは、上記構成を有していれば、種々の形態を採用し得る。
例えば、
図2に示す粘着シート30は、粘着基材31の少なくとも一方の面(第一粘着基材面311および第二粘着基材面312の一方の面または両方の面)に図示しない印刷層が設けられてもよい。具体的には、例えば、粘着シート30は、粘着基材31の粘着剤層33側の面(第一粘着基材面311)とは反対側の面(第二粘着基材面312)に印刷層が設けられてもよい。粘着基材31に印刷層が設けられる場合、印刷層は、例えば、文字、数字、図形、記号、模様、イラスト、写真、グラフ、及びこれらの組み合わせ等の情報で構成されていてもよい。印刷層を形成するための印刷は、単色印刷もよく、多色印刷でもよい。印刷層は、公知の印刷方法で印刷される。
また、
図2に示す粘着シート30において、粘着基材31と粘着剤層33との密着性を向上させるために、粘着基材31と粘着剤層33との間に、粘着基材31の第一粘着基材面311及び粘着剤層33の第二粘着剤層面332の両者に接するように、図示しない易接着層などが設けられてもよい。
【0088】
(粘着基材)
粘着基材は、粘着剤層を支持する基材である。粘着基材の材質は、特に限定されず、例えば、紙、樹脂、及び金属箔等が挙げられる。粘着基材は、これら材質を一種単独、又は二種以上を組み合わせてもよい。粘着基材は、樹脂基材であってもよい。樹脂基材は、樹脂フィルム等で形成された樹脂基材である。樹脂基材は、紙に類似した性質を有する発泡プラスチックフィルム等のいわゆる合成紙と称される樹脂基材も含まれる。
【0089】
樹脂基材に用いられる樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、及びポリエチレンナフタレートなど)、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、エチレン-ノルボルネン共重合体、ノルボルネン樹脂、及びエチレン共重合体(エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、及びエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等)など)、ポリ塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニル、及び塩化ビニル共重合体など)、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂、及びアイオノマーなどが挙げられる。基材は、上記の樹脂の単層フィルムでもよく、2層以上積層された積層フィルムであってもよい。基材が積層フィルムである場合、各層の樹脂は、同種の樹脂であってよく、異種の樹脂であってもよい。
【0090】
粘着基材の厚さは、5μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましく、50μm以上であることがよりさらに好ましい。
粘着基材の厚さは、500μm以下であることが好ましく、450μm以下であることがより好ましく、300μm以下であることがさらに好ましく、250μm以下であることがよりさらに好ましく、200μm以下であることがさらになお好ましい。
【0091】
粘着基材は、第二粘着基材面(粘着剤層が設けられる面とは反対側の面)に印刷が施されていてもよい。また、印刷の密着を向上させる観点で、粘着基材は、第二粘着基材面(印刷が施される面)に、表面処理が施されていてもよい。
【0092】
(粘着剤層)
粘着剤層は、特に限定されず、粘着剤を含む粘着剤組成物から形成される。粘着剤としては、例えば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ウレタン系、ポリエステル系、及びポリビニルエーテル系等の粘着剤が挙げられる。粘着剤は、用途等によって、選択されることがよい。粘着剤は、アクリル系の粘着剤であることが好ましい。
【0093】
アクリル系粘着剤としては、例えば、(1)粘着性を与えるガラス転移温度が低い(低Tg)主モノマー成分、(2)接着性及び凝集力の少なくとも一方の特性を与えるガラス転移温度が高い(高Tg)コモノマー成分、(3)架橋又は接着性改良のための官能基含有モノマー成分を主とする重合体または共重合体を含む。
【0094】
(1)主モノマー成分
主モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、及びメタクリル酸ベンジル等が挙げられる。
【0095】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの両方を意味する。他の類似用語についても同様である。
【0096】
(2)コモノマー成分
コモノマー成分としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、酢酸ビニル、スチレン、及びアクリロニトリル等が挙げられる。
【0097】
(3)官能基含有モノマー成分
官能基含有モノマー成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、及びイタコン酸等のカルボキシル基含有モノマー、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、及びN-メチロールアクリルアミド等のヒドロキシル基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、並びに、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0098】
モノマーの種類、分子量の選択等により、用途に応じた品質及び特性を得ることができる。
【0099】
アクリル系粘着剤は、架橋型、非架橋型のいずれも使用できる。
アクリル系粘着剤が架橋型の場合、エポキシ系化合物、イソシアナート系化合物、金属キレート化合物、金属アルコキシド、金属塩、アミン化合物、ヒドラジン化合物、及びアルデヒド系化合物等の各種架橋剤が挙げられる。アクリル系粘着剤が架橋型の場合、放射線照射により架橋させる方法等も挙げられる。
【0100】
粘着剤層は、必要に応じ、例えば、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、染料、及び顔料等の各種添加剤が添加されてもよい。
【0101】
粘着剤層の厚さは、特に限定されず、例えば、5μm以上、200μm以下であることが好ましく、10μm以上、100μm以下であることがより好ましい。
【0102】
粘着シートは、例えば、粘着基材を準備する工程と、粘着基材上に粘着剤層を設ける工程とを有する製造方法によって得られる。粘着基材上に粘着剤層を設ける工程は、例えば、粘着基材上に、粘着剤組成物を塗工して粘着剤層を形成することができる。この他、粘着基材上に粘着剤層を設ける工程は、まず、粘着シート作製用剥離シートを準備する。次いで、粘着シート作製用剥離シートの剥離性を有する面に、粘着剤組成物を塗工して粘着剤層を形成した後、粘着剤層上に粘着基材を積層する。次いで、粘着基材に粘着剤層を転写する。このような工程でも、粘着基材上に、粘着剤層を形成することができる。
【0103】
粘着剤組成物を塗工する方法としては、特に限定されず、例えば、グラビアコート法、バーコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ナイフコート法、ロールコート法、及びダイコート法等の公知の方法が採用できる。
【0104】
[パターンシートの用途]
本実施形態に係るパターンシートによれば、剥離剤層との適度な擬似接着性を有し、粘着剤層に糊殺し処理するときの加工性に優れるとともに、粘着力を喪失させる効果が持続しやすい。このため、本実施形態に係るパターンシートの用途は、例えば、糊殺し処理が求められる各種の用途に適用できる。糊殺し処理が求められる用途は、例えば、タグラベル、養生ラベル、POP(Point Of Purchase)ラベル(POPラベルは、アイキャッチラベル、及びアテンションラベル等とも称される。)などの各種ラベル、付箋シート、及び部品を仮固定するための工程紙などが挙げられる。本実施形態に係るパターンシートの用途は、これら例に挙げた糊殺し処理が求められる用途に限られず、他の糊殺し処理が求められる用途にも適用できる。また、本実施形態に係るパターンシートは、糊殺し処理が求められる用途に限られず、糊殺し処理が求められない各種の用途にも適用可能である。
【0105】
[パターンシートの使用方法]
本実施形態に係るパターンシートの使用方法における好ましい態様について説明する。
【0106】
<第一の態様>
本実施形態に係るパターンシートの使用方法における第一の態様は、下記の工程を有する。
(工程P1-1)本実施形態に係るパターンシートを準備する工程。
(工程P1-2)粘着シートを準備する工程。
(工程P1-3)前記パターンシートが備える熱可塑性樹脂層を、前記粘着シートに向けて貼付し、前記粘着シート、前記熱可塑性樹脂層、及び前記パターンシートが備える剥離シートの順で積層する工程。
そして、本実施形態に係るパターンシートの使用方法における第一の態様では、前記粘着シートから、前記パターンシートを分離したとき、前記熱可塑性樹脂層は、前記剥離剤層から分離され、前記粘着シートの粘着性を喪失させる非粘着部として前記粘着シートに残留する。
【0107】
以下、本実施形態に係るパターンシートの使用方法における第一の態様について、図面を参照して説明する。図面においては、説明を容易にするために、拡大、又は縮小して図示した部分がある。
図3及び
図4を参照すると、
図3及び
図4には、本実施形態に係るパターンシートを用いた一態様における概略工程図が示されている。
【0108】
工程P1-1において、本実施形態に係るパターンシートを準備する。本実施形態に係るパターンシートは、前述のパターンシートにおいて説明したパターンシートを準備すればよい。
図3においては、
図1で説明したパターンシート100を準備して、当該パターンシート100が使用に供される。パターンシート100は、剥離基材11及び剥離基材11の上に設けられた剥離剤層13を備える剥離シート10と、剥離シート10の上に設けられた熱可塑性樹脂層20とを備える。
【0109】
工程P1-2において、本実施形態に係るパターンシートが貼付される粘着シートを準備する。粘着シートは、前述の粘着シートにおいて説明した粘着シートを準備すればよい。
図3においては、
図2で説明した粘着シート30を準備して、当該粘着シート30が使用に供される。粘着シート30は、粘着基材31、及び粘着基材31の上に設けられた粘着剤層33を備える。粘着シート30は、粘着基材31の少なくとも一方の面に印刷層が有されていてもよい。粘着シート30は、例えば、粘着剤層33が設けられていない面(第二粘着基材面312)に印刷層を有していてもよい。
【0110】
工程P1-3において、工程P1-1で準備した本実施形態に係るパターンシートは、工程P1-2で準備した粘着シートに向けて貼り付けられる。
図3には、パターンシート100と粘着シート30とが貼り付けられた状態の粘着体400が示されている。
図3に示される粘着体400は、パターンシート100における熱可塑性樹脂層20の第一熱可塑性樹脂層面201と、粘着シート30における粘着剤層33の第一粘着剤層面331とが対向するように、熱可塑性樹脂層20を粘着剤層33に向けて貼付されることによって得られる。粘着体400において、パターンシート100は、粘着剤層33の第一粘着剤層面331の一部に貼付されている。粘着シート30に、パターンシート100が貼付されると、粘着体400は、粘着シート30、熱可塑性樹脂層20、及び剥離シート10の順で積層される。具体的には、粘着体400は、粘着基材31、粘着剤層33、熱可塑性樹脂層20、剥離剤層13、及び剥離基材11が、この順で、厚さ方向に向かって、順次積層されている。
【0111】
粘着体400において、熱可塑性樹脂層20は、剥離シート10の剥離剤層13に擬似接着しており、剥離剤層13と、熱可塑性樹脂層20との界面は、擬似接着界面である。このため、粘着体400は、パターンシート100における熱可塑性樹脂層20と、剥離剤層13との間で分離することができる。
図3に示される矢印R1の方向に、粘着体400が分離されると、粘着体400は、熱可塑性樹脂層20の第二熱可塑性樹脂層面202と、剥離剤層13の第一剥離剤層面131との間で分離される。分離された熱可塑性樹脂層20は、第一熱可塑性樹脂層面201が、粘着剤層33の第一粘着剤層面331に貼付されたままの状態で、粘着シート30の粘着剤層33に残留する。
【0112】
図4には、
図3に示されるパターンシート100が、粘着シート30から分離された後、熱可塑性樹脂層20が粘着剤層33に残留した状態の粘着体401が表されている。
図4に示される粘着体401は、粘着シート30と、粘着シート30の粘着剤層33に残留した熱可塑性樹脂層20とを備えている。粘着剤層33は、第一粘着剤層面331が露出した粘着部333と、熱可塑性樹脂層20の第二熱可塑性樹脂層面202が露出した非粘着部335とを有している。熱可塑性樹脂層20は、粘着シート30の粘着剤層33に残留することによって、粘着シート30の粘着性を喪失させる非粘着部335として機能する。
図4には、粘着部333における粘着剤層33の厚さが、非粘着部335における粘着剤層33の厚さと同等の厚さで示されているが、これに限定されない。粘着部333における粘着剤層33の厚さは、非粘着部335における粘着剤層33の厚さよりも厚くてもよい。例えば、粘着部333における粘着剤層33の厚さが、非粘着部335における熱可塑性樹脂層20の厚さ及び粘着剤層33の厚さの合計の厚さ程度であってもよい。
【0113】
第一の態様で使用されるパターンシート100は、熱可塑性樹脂層20と剥離剤層13との接着力が適度な擬似接着性を有する。このため、本実施形態に係るパターンシートの使用方法における第一の態様によれば、粘着シート30の粘着剤層33に糊殺し処理するときの加工性に優れ、粘着剤層33に、簡便に、非粘着部335を設けることができる。
また、粘着剤層33に設けられた非粘着部335は、熱可塑性樹脂層20によって設けられるため、粘着力を喪失させる効果が持続しやすい。
【0114】
<第二の態様>
本実施形態に係るパターンシートの使用方法における第二の態様は、下記の工程を有する。
(工程P2-1)本実施形態に係るパターンシートを準備する工程。
(工程P2-2)前記パターンシートに対して打ち抜きを行い、前記パターンシートが備える剥離シートには切れ目を設けず、前記パターンシートが備える熱可塑性樹脂層に切れ目を設け、熱可塑性樹脂層不要部と熱可塑性樹脂層パターン部とを区画する工程。
(工程P2-3)前記熱可塑性樹脂層不要部を取り除くカス上げを行い、前記剥離剤層の第一剥離剤層面の一部を露出させ、前記熱可塑性樹脂層をパターン状に形成する工程。
(工程P2-4)粘着シートを準備する工程。
(工程P2-5)パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層を、前記粘着シートに向けて貼付し、前記粘着シート、パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層、及び前記剥離シートの順で積層する工程。
そして、本実施形態に係るパターンシートの使用方法における第二の態様では、前記粘着シートから、前記剥離シートを分離したとき、パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層は、前記剥離剤層から分離され、前記粘着シートの粘着性を喪失させる非粘着部として前記粘着シートに残留する。
【0115】
なお、工程P2-2において、剥離シートには切れ目が設けられないとは、剥離シートには切れ目が全く設けられないことの他、打ち抜きを施すときに不可避的に設けられた場合の切れ目も許容する。熱可塑性樹脂層と剥離剤層との剥離性に影響せず、剥離シートが破断しない程度に、例えば、第一剥離剤層面から剥離基材に向かって、剥離剤層の厚さ方向に、剥離剤層の厚さ全体に対して、10分の1以下程度の範囲に切れ目が設けられる場合を許容する。
【0116】
第二の態様では、第一の態様で用いたパターンシートに対して打ち抜きを行うことにより、熱可塑性樹脂層不要部と熱可塑性樹脂層パターン部とを区画し、熱可塑性樹脂層不要部を取り除いて、熱可塑性樹脂層をパターン状に形成する点で、第一の態様と異なる。第二の態様における工程P2-1および工程P2-4は、第一の態様における工程P1-1および工程P1-2と同様の工程であるため、説明を省略する。
【0117】
以下、本実施形態に係るパターンシートの使用方法における第二の態様について、図面を参照して説明する。図面においては、説明を容易にするために、拡大、又は縮小して図示した部分がある。
図5から
図8を参照すると、
図5から
図8には、本実施形態に係るパターンシートを用いた一態様の概略工程図が示されている。
【0118】
工程P2-2では、工程P2-1で準備したパターンシート100に対して打ち抜きを行う。
図5に示されるように、パターンシート100に対して打ち抜きが施されると、パターンシート100が備える熱可塑性樹脂層20には、切れ目20Xが設けられる。一方、打ち抜きが施された後、パターンシート100が備える剥離シート10には切れ目20Xが設けられない。パターンシート100に対する打ち抜きは、熱可塑性樹脂層20の厚さ方向に、第一熱可塑性樹脂層面201から剥離シート10の方向に向かって施される。切れ目20Xは、第二熱可塑性樹脂層面202に到達しており、第一熱可塑性樹脂層面201から第二熱可塑性樹脂層面202にまでわたっている。打ち抜きは、打ち抜き手段を備える公知の加工装置を使用して施されればよい。
【0119】
熱可塑性樹脂層20に打ち抜きが施されることによって、切れ目20Xを挟んで、熱可塑性樹脂層不要部20Zと、熱可塑性樹脂層パターン部20Aとが区画される。熱可塑性樹脂層パターン部20Aの寸法、及び、熱可塑性樹脂層不要部20Zの寸法は、目的とする寸法に応じて決定すればよい。
【0120】
工程P2-3では、工程P2-2で区画された熱可塑性樹脂層不要部20Zを取り除くカス上げを行う。このカス上げを行うことによって、剥離剤層13の第一剥離剤層面131の一部が露出されて、熱可塑性樹脂層20がパターン状に形成される。カス上げは、カス上げ手段を備える公知の加工装置を使用して施されればよい。打ち抜き手段およびカス上げ手段を備える加工装置で、工程P2-2および工程P2-3を行ってもよい。
【0121】
図6には、工程P2-3を経た後のパターンシート101が示されている。
図6に示されるパターンシート101は、剥離基材11上に設けられた剥離剤層13を備える剥離シート10の上に、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層21が積層されたパターンシート101が示されている。パターン状に形成された熱可塑性樹脂層21は、剥離剤層13の第一剥離剤層面131に、直接、接して積層されている。剥離剤層13の第一剥離剤層面131と熱可塑性樹脂層21の第二熱可塑性樹脂層面212との接触面は、擬似接着面である。熱可塑性樹脂層21は、熱可塑性樹脂層パターン部20Aが、離間して、断続的に設けられている。隣り合う熱可塑性樹脂層パターン部20Aの間には、第一剥離剤層面131が露出している。
【0122】
工程P2-5は、第一の態様における工程P1-3と実質的に同様の工程であるが、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層21を備えるパターンシート101を使用する点で、第一の態様と異なる。工程P2-5において、パターンシート101は、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層21の第一熱可塑性樹脂層面211を、工程P2-4で準備した粘着シート30の粘着剤層33に向けて貼り付けられる。パターンシート101が粘着シート30に貼付されるときに、圧着されて貼付されてもよく、圧着されずに貼付されてもよい。
【0123】
図7には、パターンシート101と粘着シート30が貼り付けられた状態の粘着体403が示されている。
図7に示される粘着体403は、パターンシート101におけるパターン状に形成された熱可塑性樹脂層21の第一熱可塑性樹脂層面211および第一剥離剤層面131と、粘着シート30における粘着剤層33の第一粘着剤層面331とが対向するように、熱可塑性樹脂層21を粘着剤層33に向けて貼付されることによって得られる。粘着体403においては、熱可塑性樹脂層21を粘着剤層33に向けて貼付されるときに、圧着されて貼付されている。粘着シート30に、パターンシート101が貼付されると、粘着体403は、粘着シート30、熱可塑性樹脂層21、及び剥離シート10の順で積層される。具体的には、粘着体403は、粘着基材31、粘着剤層33、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層21、剥離剤層13、及び剥離基材11が、この順で、厚さ方向に向かって、順次積層されている。
【0124】
粘着体403において、熱可塑性樹脂層21は、剥離シート10の剥離剤層13に擬似接着しており、剥離剤層13と、熱可塑性樹脂層21との界面は、擬似接着界面である。このため、粘着体403は、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層21と、剥離剤層13との間で分離することができる。粘着体403が分離されると、粘着体403は、熱可塑性樹脂層21の第二熱可塑性樹脂層面212と、剥離剤層13の第一剥離剤層面131との間で分離される。分離された熱可塑性樹脂層21は、第一熱可塑性樹脂層面211が、粘着剤層33の第一粘着剤層面331に貼付されたままの状態で、粘着シート30の粘着剤層33に残留する。熱可塑性樹脂層21は、熱可塑性樹脂層パターン部20Aによって形成されている。
【0125】
図8には、
図7に示されるパターンシート101が、粘着シート30から分離された後、熱可塑性樹脂層21が粘着剤層33に残留した状態の粘着体405が表されている。
図8に示される粘着体405は、粘着シート30と、粘着シート30の粘着剤層33に残留したパターン状に形成された熱可塑性樹脂層21とを備えている。粘着剤層33は、第一粘着剤層面331が露出した粘着部333と、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層21の第二熱可塑性樹脂層面212が露出した非粘着部335とを有している。分離された熱可塑性樹脂層21は、粘着シート30の粘着剤層33に残留することによって、粘着シート30の粘着性を喪失させる非粘着部335として機能する。
図8には、粘着部333における粘着剤層33の厚さが、非粘着部335における粘着剤層33の厚さと熱可塑性樹脂層21の厚さとの合計の厚さで示されているが、これに限定されない。粘着部333における粘着剤層33の厚さは、非粘着部335における粘着剤層33の厚さと熱可塑性樹脂層21の厚さとの合計の厚さよりも小さくてもよい。
【0126】
第二の態様で使用されるパターンシート101は、熱可塑性樹脂層21と剥離剤層13との接着力が適度な擬似接着性を有する。このため、本実施形態に係るパターンシートの使用方法における第二の態様によれば、前述の第一の態様と同様に、粘着シート30の粘着剤層33に、簡便に、非粘着部335を設けることができる。
また、前述の第一の態様と同様に、非粘着部335は、粘着力を喪失させる効果が持続しやすい。
さらに、第二の態様で用いられるパターンシート101は、パターン状に形成されている熱可塑性樹脂層21を備えるため、パターンシート101を粘着シート30に貼付した粘着体405において、剥離剤層13と粘着剤層33とが接する。剥離剤層13と粘着剤層33とが接する箇所において、剥離剤層13が粘着剤層33から剥離される場合に、剥離剤層13は粘着剤層33に対して優れた剥離性を有する。
【0127】
<第三の態様>
本実施形態に係るパターンシートの使用方法における第三の態様は、下記の工程を有する。
(工程P3-1)本実施形態に係るパターンシートを準備する工程。
(工程P3-2)前記パターンシートに対して打ち抜きを行い、前記パターンシートが備える剥離シートには切れ目を設けず、前記パターンシートが備える熱可塑性樹脂層に切れ目を設け、熱可塑性樹脂層不要部と熱可塑性樹脂層パターン部とを区画する工程。
(工程P3-3)前記熱可塑性樹脂層不要部を取り除くカス上げを行い、前記剥離剤層の第一剥離剤層面の一部を露出させ、前記熱可塑性樹脂層をパターン状に形成する工程。
(工程P3-4)粘着シートを準備する工程。
(工程P3-5)パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層を、前記粘着シートに向けて貼付し、前記粘着シート、パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層、及び前記剥離シートの順で積層されたラベルシートを形成する工程。
(工程P3-6)前記ラベルシートに対して打ち抜きを行い、前記剥離シートには切れ目を設けず、前記粘着シートのみ、又は、前記粘着シート及びパターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層に切れ目を設け、ラベル不要部とラベル部とを区画する工程。
(工程P3-7)前記ラベル不要部を取り除くカス上げを行う工程。
そして、本実施形態に係るパターンシートの使用方法における第三の態様では、前記ラベルシートから、前記ラベル部を分離したとき、パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層は、前記剥離剤層から分離され、前記粘着シートの粘着性を喪失させる非粘着部として前記粘着シートに残留する。
【0128】
なお、工程P3-2において、剥離シートには切れ目が設けられないとは、第二の態様における工程2-2で説明したとおりの意味である。また、工程P3-6において、剥離シートには切れ目が設けられないとは、剥離シートには切れ目が全く設けられないことの他、打ち抜きを施すときに不可避的に設けられた場合の切れ目も許容する。例えば、熱可塑性樹脂層と剥離剤層との剥離性、及び粘着剤層と剥離剤層との剥離性に影響せず、剥離シートが破断しない程度に、例えば、第一剥離剤層面から剥離基材に向かって、剥離剤層の厚さ方向に、剥離剤層の厚さ全体に対して、10分の1以下程度の範囲に切れ目が設けられる場合を許容する。
【0129】
第三の態様では、第二の態様で用いた粘着シートに、パターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層を貼付した粘着体がラベルシートである点で異なる。また、第三の態様では、ラベルシートに対して打ち抜きを行い、前記剥離シートには切れ目を設けず、前記粘着シートのみ、又は、前記粘着シート及びパターン状に形成された前記熱可塑性樹脂層に切れ目を設け、ラベル不要部とラベル部とを区画した後、前記ラベル不要部を取り除くカス上げを行う点でも、第二の態様と異なる。第三の態様における工程P3-1から工程P3-4は、第二の態様における工程P2-1から工程P2-4と同様の工程であるため、説明を省略する。
【0130】
また、工程P3-5は、第二の態様における工程P2-5と実質的に同様の工程である。工程P3-5において、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層を、粘着シートに向けて貼付することで積層された粘着体は、ラベルシートである。パターンシートが粘着シートに貼付されるときに、圧着されて貼付されてもよく、圧着されずに貼付されてもよい。工程P3-5において、パターンシートが粘着シートに貼付されることで積層されたラベルシートは、
図7に示される粘着体403で説明した積層構造と同じ構造になる。このため、工程P3-5で得られるラベルシートの説明は省略する。
【0131】
以下、本実施形態に係るパターンシートの使用方法における第三の態様について、図面を参照して説明する。図面においては、説明を容易にするために、拡大、又は縮小して図示した部分がある。
図9から
図11を参照すると、
図9から
図11には、本実施形態に係るパターンシートを用いた一態様の概略工程図が示されている。
【0132】
工程P3-6では、工程P3-5で得られたラベルシートに対して打ち抜きを行う。ラベルシートに対して打ち抜きが施されると、剥離シートには切れ目が設けられないが、粘着シートのみ、又は、粘着シート及びパターン状に形成された熱可塑性樹脂層に切れ目が設けられる。この切れ目を設けることによって、ラベル不要部とラベル部とが区画される。以下、粘着シートのみに切れ目が設けられる場合について説明する。
【0133】
図9には、工程P3-5で得られたラベルシートに対して打ち抜きが施された後のラベルシート407が表されている。
図9に示されるように、打ち抜きが施されたラベルシート407は、粘着シート30に切れ目407Xが設けられる。一方で、打ち抜きが施された後のラベルシート407は、剥離シート10には切れ目407Xが設けられない。工程P3-5で得られたラベルシート407に対する打ち抜きは、粘着シート30の厚さ方向に、第二粘着基材面312から剥離シート10の方向に向かって施される。切れ目407Xは、第一粘着剤層面331に到達しており、第二粘着基材面312から第一粘着剤層面331にまでわたっている。打ち抜きは、打ち抜き手段を備える公知の加工装置を使用して施されればよい。
【0134】
ラベルシート407に対して打ち抜きが施されることによって、切れ目407Xを挟んで、ラベル不要部407Zと、ラベル部407Aとが区画される。ラベル部407Aの寸法、及び、ラベル不要部407Zの寸法は、目的とする寸法に応じて決定すればよい。
図9に示されるように、工程3-6によって、熱可塑性樹脂層21は、一つのラベル部407Aに対し、一つの熱可塑性樹脂層パターン部20Aが配置されるように、ラベル部407A毎に分割される。
【0135】
工程P3-7では、工程P3-6で区画されたラベル不要部407Zを取り除くカス上げを行う。
図10には、
図9に示されるラベルシート407に対してカス上げを行うことによって、ラベルシート407から、ラベル不要部407Zが取り除かれた状態のラベルシート409が表されている。
図10に示されるように、カス上げを行った後のラベルシート409は、剥離剤層13の第一剥離剤層面131の一部が露出され、剥離シート10の上に、多数のラベル部407Aが離間して、断続的に貼付されている。カス上げは、カス上げ手段を備える公知の加工装置を使用して施されればよい。打ち抜き手段およびカス上げ手段を備える加工装置で、工程P3-6および工程P3-7を行ってもよい。また、工程P3-2および工程P3-3を行うための打ち抜き手段およびカス上げ手段を備え、さらに、工程P3-6および工程P3-7を行うための打ち抜き手段およびカス上げ手段を備える加工装置で、工程P3-2および工程P3-3、並びに、工程P3-6および工程P3-7を行ってもよい。さらに、工程P3-2および工程P3-3、並びに、工程P3-6および工程P3-7を行うための打ち抜き手段およびカス上げ手段を備えるラベル製造装置で、工程P3-2および工程P3-3、並びに、工程P3-5から工程P3-7を行ってもよい。
【0136】
剥離剤層13と、熱可塑性樹脂層21との界面(すなわち、剥離剤層13の第一剥離剤層面131と熱可塑性樹脂層21の第二熱可塑性樹脂層面212との接触面)は、擬似接着界面であるため、ラベルシート409は、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層21と剥離剤層13との間で分離することができる。
図11には、ラベルシート409から、矢印R2の方向に、ラベル部407Aを分離したときの状態が表されている。ラベルシート409から分離されたラベル部407Aは、ラベル410である。ラベルシート409から、ラベル部407Aが分離されると、ラベルシート409は、パターンシート101における第二熱可塑性樹脂層面212と、第一剥離剤層面131との間で分離される。分離された熱可塑性樹脂層21は、第一熱可塑性樹脂層面211が、粘着剤層33の第一粘着剤層面331に貼付されたままの状態で、粘着シート30の粘着剤層33に、熱可塑性樹脂層パターン部20Aとして残留する。ラベルシート409からのラベル部407Aの分離は、例えば、自動ラベリング装置を用いてもよい。
【0137】
図11に示されるラベル410は、粘着シート30と、粘着シート30の粘着剤層33に残留した熱可塑性樹脂層21の一部である熱可塑性樹脂層パターン部20Aとを備えている。粘着剤層33は、第一粘着剤層面331が露出した粘着部333と、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層21の第二熱可塑性樹脂層面212が露出した非粘着部335とを有している。粘着部333は、粘着剤層33に、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層21が貼付されなかった部分である。分離された熱可塑性樹脂層21は、粘着シート30の粘着剤層33に残留することによって、粘着シート30の粘着性を喪失させる非粘着部335として機能する。
図11には、粘着部333における粘着剤層33の厚さが、非粘着部335における粘着剤層33の厚さと熱可塑性樹脂層21の厚さとの合計程度の厚さで示されているが、これに限定されない。粘着部333における粘着剤層33の厚さは、非粘着部335における粘着剤層33の厚さと熱可塑性樹脂層21の厚さとの合計厚さよりも小さくてもよい。
【0138】
第三の態様で使用されるパターンシート101は、熱可塑性樹脂層21と剥離剤層13との接着力が適度な擬似接着性を有する。このため、本実施形態に係るパターンシートの使用方法における第三の態様によれば、前述の第一の態様および第二の態様と同様に、粘着シート30の粘着剤層33に、簡便に、非粘着部335を設けることができる。
また、前述の第一の態様および第二の態様と同様に、粘着力を喪失させる効果が持続しやすい。
さらに、第三の態様で使用されるパターンシート101は、パターン状に形成された熱可塑性樹脂層21を備えるため、第二の態様と同様に、剥離剤層13が粘着剤層33から剥離される場合に、剥離剤層13は粘着剤層33に対して優れた剥離性を有する。
【0139】
本発明は、前記実施形態に限定されない。本発明は、本発明の目的を達成できる範囲での変形及び改良などを含むことができる。
【実施例0140】
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
【0141】
各実施例及び各比較例を作製するための原材料として、下記の原材料を準備した。
【0142】
[剥離シート作製用材料]
(剥離基材)
「RB-1」:上質紙(日本製紙株式会社製、「WMシール64.0G」、坪量64g/m2)。
「RB-2」:ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル株式会社製、「T-100」、厚さ38μm)。
【0143】
(中間層)
「M-1」:低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、「LC605Y」、MFR:7.3g/10分、密度:0.918g/cm3)。
【0144】
(剥離剤層)
「RA-1」:オレフィン剥離剤〔ポリオレフィン樹脂組成物(エチレン-1-ブテン共重合体(住友化学株式会社製、「エクセレンVL EUL731」、密度:0.895g/cm3)75質量%と、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、「ノバテックLD LC604」、密度:0.918g/cm3)25質量%との混合物)、ポリオレフィン樹脂組成物のMFR:8.5g/10分〕。
「RA-2」:オレフィン剥離剤〔ポリオレフィン樹脂組成物(エチレン-1-オクテン共重合体(Dow株式会社製、「ENGAGE8200」、密度:0.870g/cm3)75質量%と、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、「ノバテックLD LC604」、密度:0.918g/cm3)25質量%との混合物)、ポリオレフィン樹脂組成物のMFR:5.0g/10分〕。
「RA-3」:シリコーン系剥離剤(信越化学工業株式会社製、「KS847」)。
【0145】
[熱可塑性樹脂層形成材料]
「PE-1」:低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、「ノバテックLD LC605Y」、MFR:7.3g/10分、密度:0.918g/cm3)
「PE-2」:低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、「ノバテックLD LC8001」、MFR:20g/10分、密度:0.917g/cm3)
「PE-3」:低密度ポリエチレン(住友化学株式会社製、「スミカセン L405」、MFR:3.7g/10分、密度:0.924g/cm3)
「PP-1」:ポリプロピレン(サンアロマー株式会社製、「PHA03A」、MFR:42g/10分、密度:0.90g/cm3)
【0146】
<実施例1>
(剥離シートの作製)
中間層形成用の低密度ポリエチレン(M-1)を加熱溶融し、溶融したポリエチレンをTダイから、280℃の押出樹脂温度で押し出すことで、剥離基材(RB-1)の片面に、厚さ15μmの中間層を形成した。次いで、中間層の上に、剥離剤層形成用のオレフィン剥離剤(RA-1)を加熱溶融し、厚さが20μmになるように、280℃の押出樹脂温度で押し出すことで、剥離剤層を形成した。このようにして、剥離基材、中間層、及び剥離剤層の順で積層された剥離シートを得た。
【0147】
(パターンシートの作製)
上記で得られた剥離シートの剥離剤層の熱可塑性樹脂層を形成する予定の面に対して、コロナ処理を施した後、熱可塑性樹脂層形成用の低密度ポリエチレン(PE-1)を加熱溶融し、溶融したポリエチレンをTダイから、280℃の押出樹脂温度で押し出すことで、剥離剤層の上に、厚さ13μmの熱可塑性樹脂層を形成した。このようにして、剥離シートの剥離剤層に熱可塑性樹脂層が擬似接着した実施例1のパターンシートを得た。
【0148】
<実施例2~実施例14>
表1にしたがって、剥離基材の種類、剥離剤層の種類、熱可塑性樹脂層形成材料の種類、熱可塑性樹脂層の厚さ、及び熱可塑性樹脂層を設けるときのコロナ処理の有無のうちの少なくともいずれかの条件を変更した以外は、実施例1と同様にして、各実施例のパターンシートを得た。
【0149】
<比較例1~比較例4>
表1にしたがって、剥離剤層の種類、熱可塑性樹脂層形成材料の種類、及び熱可塑性樹脂層の厚さのうちの少なくともいずれかの条件を変更し、さらに、熱可塑性樹脂層を設けるときのコロナ処理を無しに変更した以外は、実施例1と同様にして、各比較例のパターンシートを得た。
【0150】
<比較例5>
剥離シートの作製において、剥離剤層を設けない以外は、実施例1における剥離シートの作製と同様にして、剥離シートを得た。次に、得られた剥離シートを用いて、表1にしたがって、熱可塑性樹脂層形成材料の種類を変更し、さらに、熱可塑性樹脂層を設けるときのコロナ処理を無しに変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例5のパターンシートを得た。
【0151】
[接着性の評価]
各例で作製したパターンシートにおける剥離剤層と熱可塑性樹脂層との接着性について、下記評価基準にしたがって目視にて評価した。
「A」:浮きなどの不具合が見られず、剥離剤層と熱可塑性樹脂層とが接着している。
「F」:浮きなどの不具合が見られ、接着性が不十分である。
【0152】
[擬似接着力の測定]
剥離シートの剥離剤層と熱可塑性樹脂層との界面における擬似接着力を測定した。
擬似接着力は、JIS Z0237:2022に規定される180°引き剥がし粘着力測定に準じて測定した。具体的には、まず、各例で作製したパターンシートの熱可塑性樹脂層側を、両面テープを使用してステンレス板に固定した。その後、パターンシートの剥離シートを、剥離速度:0.3m/min、剥離角度:180°の条件で、熱可塑性樹脂層から剥離した。この剥離で必要とされた力(引き剥がし力)の大きさを測定し、測定された引き剥がし力を擬似接着力(単位:mN/50mm)とした。
なお、比較例5の擬似接着力は、剥離剤層を設けていないため、熱可塑性樹脂層を中間層から剥離することができず、測定不可であった。表中、比較例5の疑似接着力をFと表記した。
【0153】
[剥離剤層の粘着剤層に対する剥離力]
剥離力は、JIS Z0237:2022に規定される180°引き剥がし粘着力測定に準じて測定した。具体的には、まず、上記の「剥離シートの作製」の手順にしたがって、剥離シートを作製した。次いで、得られた剥離シートの剥離剤層の表面に、アクリル系粘着剤(ブチルアクリレート90質量部及びアクリル酸10質量部を共重合した重量平均分子量80万のアクリル酸エステル共重合体100質量部と、イソシアネート系架橋剤(タケネートD-101E 三井化学株式会社製)2質量部とを含有する粘着剤溶液)を厚さが20μmとなるようにコーティングして粘着剤層を形成した。その後、粘着剤層に厚さ50μmのPETフィルムを貼り合わせた。その後、2kgローラを1往復させて粘着体を作製した。この粘着体を温度23℃、相対湿度50%の条件下に1日間放置した後に、粘着体から剥離剤層を剥離させ、剥離速度0.3m/min、剥離角度:180°の条件で剥離力を測定した。
なお、比較例5の剥離力は、剥離剤層を設けていないため、熱可塑性樹脂層を、粘着体から剥離剤層から剥離することができず、測定不可であった。表中、比較例5の剥離力をFと表記した。
【0154】
【0155】
各実施例では、擬似接着性が得られていた。このため、剥離シートの剥離剤層と熱可塑性樹脂層との界面で剥がすことができた。
一方、比較例1から比較例4では、剥離剤層がシリコーン系剥離剤によって形成されているため、剥離シートの剥離剤層と熱可塑性樹脂層との界面との擬似接着力が低すぎ、接着性が劣っていた。比較例5は、剥離剤層が無いため、熱可塑性樹脂層を中間層から剥離できなかった。
【0156】
以上の結果から、本実施形態に係るパターンシートは、剥離剤層と熱可塑性樹脂層との間で、適度な擬似接着性を有することが分かる。また、本実施形態に係るパターンシートは、剥離剤層と熱可塑性樹脂層との間で、適度な擬似接着性を有するため、粘着剤層に糊殺し処理するときの加工性に優れ、簡便に、粘着シートの粘着剤層に、非粘着部を形成できる。さらに、本実施形態に係るパターンシートは、熱可塑性樹脂によって非粘着部が形成されるため、粘着力を喪失させる効果が持続しやすい。
10…剥離シート、11…剥離基材、13…剥離剤層、20,21…熱可塑性樹脂層、20A…熱可塑性樹脂層パターン部、20X…切れ目、20Z…熱可塑性樹脂層不要部、30…粘着シート、31…粘着基材、33…粘着剤層、100,101…パターンシート、111…第一剥離基材面、112…第二剥離基材面、131…第一剥離剤層面、132…第二剥離剤層面、201,211…第一熱可塑性樹脂層面、202,212…第二熱可塑性樹脂層面、311…第一粘着基材面、312…第二粘着基材面、331…第一粘着剤層面、332…第二粘着剤層面、333…粘着部、335…非粘着部、400,401,403,405…粘着体、407…ラベルシート、407A…ラベル部、407X…切れ目、407Z…ラベル不要部、409…ラベルシート、410…ラベル。