(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139500
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】電子機器、光反射部材及び表示灯
(51)【国際特許分類】
F21V 7/04 20060101AFI20241002BHJP
G09F 13/16 20060101ALI20241002BHJP
G09F 13/04 20060101ALI20241002BHJP
G08B 21/18 20060101ALI20241002BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20241002BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20241002BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241002BHJP
【FI】
F21V7/04 100
G09F13/16 E
G09F13/04 J
G08B21/18
F21V5/00 510
F21V5/04 650
F21S2/00 600
F21S2/00 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050465
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】林 寿宏
【テーマコード(参考)】
5C086
5C096
【Fターム(参考)】
5C086AA34
5C086BA13
5C086FA11
5C086GA06
5C096AA01
5C096BA01
5C096CC06
5C096CD33
5C096CE06
(57)【要約】
【課題】表示灯の光指向性及び指向する範囲で光量分布の均一性を確保しやすい電子機器、光反射部材及び表示灯を提供する。
【解決手段】電子機器の一例としての印刷装置は、異常が発生した場合に所定の色で発光する表示灯を備える。表示灯は、光源と、光源から発せられた光が入射し、入射した光を反射させる光反射部材50とを有する。光反射部材50は、光が反射する反射面51を有する。反射面51は、入射する光の進行方向に対して所定角度をなす軸を有する円錐面の少なくとも一部の面形状に形成された複数の個別反射面55を有する。複数の個別反射面55が、入射光の進行方向と交差する第一方向Aに並んで配置されている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
前記電子機器に異常が発生した場合に所定の色で発光する表示灯を備え、
前記表示灯は、
平行光よりなる光を発する光源と、
前記光源から発せられた光が入射し、前記入射した光を反射させる光反射部材と、
を有し、
前記光反射部材は、光が反射する反射面を有し、
前記反射面は、入射する光の進行方向に対して所定角度をなす軸を有する円錐面又は多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成された複数の個別反射面を有し、
複数の前記個別反射面が、入射光の進行方向と交差する第一方向に並んで配置されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記光源は、発光体と、前記発光体からの光を平行光束に変換して前記光反射部材に入射させる光路変換部材とを備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記円錐面又は前記多角錐面は、入射する光の進行方向と平行な軸を有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記個別反射面は、入射する光の進行方向と反対の方向に向かって凸状であり前記円錐面又は前記多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成された凸形状反射面と、入射する光の進行方向に向かって凹状であり前記円錐面又は前記多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成された凹形状反射面とを有し、前記凸形状反射面と前記凹形状反射面とが、前記第一方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記凸形状反射面は、入射する光の進行方向と反対の方向に頂点が向く前記円錐面又は前記多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成され、
前記凹形状反射面は、入射する光の進行方向に頂点が向く前記円錐面又は前記多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記凸形状反射面と前記凹形状反射面は、前記円錐面の少なくとも一部の面形状に形成され、
前記凸形状反射面と前記凹形状反射面とが、母線同士が接続された状態で前記第一方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記光反射部材の前記反射面は、前記凸形状反射面と前記凹形状反射面とが母線同士が接続された状態で前記第一方向に並んで配置されてなる個別反射面列が、前記第一方向と交差する第二方向に複数配置されることで構成されることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項8】
前記光反射部材は、透明な樹脂材料で形成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記個別反射面について面形状を規定する仮想の前記円錐面又は前記多角錐面を想定した場合、前記個別反射面の狭くなる側を頂点側、広くなる側を底面側と規定すると、
前記第二方向に隣合う二列の前記個別反射面列の接続部分は、一方の前記個別反射面列を構成する前記個別反射面の頂点側と、他方の前記個別反射面列を構成する前記個別反射面の底面側とが対応して配置され、一方の前記個別反射面の底面側が他方の前記個別反射面の頂点側の方向に突出するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項10】
前記個別反射面について面形状を規定する仮想の前記円錐面又は前記多角錐面を想定した場合、前記個別反射面の狭くなる側を頂点側、広くなる側を底面側と規定すると、
前記第二方向に隣合う二列の前記個別反射面列の接続部分は、一方の前記個別反射面列を構成する前記個別反射面の頂点側と、他方の前記個別反射面列を構成する前記個別反射面の底面側とが対応して配置され、一方の前記個別反射面の頂点側が他方の前記個別反射面の底面側の方向に突出するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第二方向に隣合う二列の前記個別反射面列の接続部分は、
一方の前記個別反射面の底面側が他方の前記個別反射面の頂点側の方向に突出するように構成されている部分と、一方の前記個別反射面の頂点側が他方の前記個別反射面の底面側の方向に突出するように構成されている部分との両方を備えていることを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記光反射部材は光を透過させる導光部品で構成され、前記反射面は前記導光部品と大気との界面で構成され、前記反射面に対する入射光の入射角は臨界角より大きいことを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項13】
前記光反射部材の前記反射面には、光を反射させる加工がなされていることを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項14】
前記反射面と入射光とのなす角度は、40度以上45度以下であることを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項15】
前記表示灯は、複数の色で発光することを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項16】
光源から発せられた平行光よりなる光が入射し、前記入射した光を反射させる光反射部材であって、
光が反射する反射面を有し、
前記反射面は、入射する光の進行方向に対して所定角度をなす軸を有する円錐面又は多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成された個別反射面が、入射光の進行方向と交差する第一方向に並んで配置されていることを特徴とする光反射部材。
【請求項17】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の表示灯であって、
前記光源と、
前記光反射部材と
を備えることを特徴とする表示灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示灯を有する印刷装置などの電子機器及び表示灯に用いられる光反射部材及び表示灯に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、表示灯を備えるプリンター(電子機器の一例)が開示されている。プリンターは、異常が発生したことを表示灯の点灯又は点滅や発光色の違いによりユーザーに報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のプリンターの動作状態や印刷状態を監視するユーザーは、プリンターから少し離れた位置にいる場合もある。そのため、ユーザーがプリンターの周囲どの位置から見ても、表示灯の点灯又は点滅などの発光を見逃しなく確認できる必要がある。そのためには、表示灯に指向性を持たせることなく高い光量で発光させればよい。しかし、その一方で、プリンターの近くで作業や操作をするユーザーにとって表示灯の発光が眩しすぎないことも求められる。このため、プリンターから離れた位置からは視認しやすく、かつ近い位置で眩しすぎない表示灯が望まれる。
【0005】
例えば、表示灯が光指向性を有し、プリンター等の電子機器から離れた位置からはある程度に範囲内であればどの位置からも明るく見え、かつ近い位置では操作者の目の位置が指向性のある光から外れるような発光特性をもつ表示灯が要望される。この点から、光指向性及び指向する範囲で光量分布の均一性を確保しやすい表示灯が望まれる。また、離れた位置からどの位置からも明るく見えるようにするためには、一般的に表示灯のサイズを大きくしたり、形状を例えば円筒形状にすることが考えられるが、電子機器本体のサイズやデザインに合わせて、表示灯のサイズを小さくしたり、形状を別の形状にすることも要望される。なお、この種の表示灯の発光特性が求められるのは、プリンターに限らず、その他の電子機器でも同様である。電子機器から離れた位置からユーザーが電子機器を監視したり、その電子機器の近くでユーザーが作業や操作を行う使われ方をするその他の電子機器においても、表示灯には同様の発光特性が要望される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する電子機器は、前記電子機器に異常が発生した場合に所定の色で発光する表示灯を備え、前記表示灯は、平行光よりなる光を発する光源と、前記光源から発せられた光が入射し、前記入射した光を反射させる光反射部材と、を有し、前記光反射部材は、光が反射する反射面を有し、前記反射面は、入射する光の進行方向に対して所定角度をなす軸を有する円錐面又は多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成された複数の個別反射面を有し、複数の前記個別反射面が、入射光の進行方向と交差する第一方向に並んで配置されている。
【0007】
上記課題を解決する光反射部材は、光源から発せられた平行光よりなる光が入射し、前記入射した光を反射させる光反射部材であって、光が反射する反射面を有し、前記反射面は、入射する光の進行方向に対して所定角度をなす軸を有する円錐面又は多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成された個別反射面が、入射光の進行方向と交差する第一方向に並んで配置されている。
【0008】
上記課題を解決する表示灯は、上記電子機器における表示灯であって、前記光源と、前記光反射部材とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態における印刷装置を示す斜視図である。
【
図7】表示灯における光路を示す部分正面図である。
【
図8】光路変換部材における光路を示す部分正面図である。
【
図9】表示灯を斜め上方から見た部分斜視図である。
【
図10】反射面を光源と反対側の表面側から見た拡大斜視図である。
【
図14】表示灯における凸形状反射面の部分を示す部分側断面図である。
【
図16】表示灯における凹形状反射面の部分を示す部分側断面図である。
【
図17】発光体から近い位置にある反射面を示す部分斜視図である。
【
図18】発光体から中間位置にある反射面を示す部分斜視図である。
【
図19】発光体に遠い位置にある反射面を示す部分斜視図である。
【
図20】発光体から近い位置にある反射面を示す部分平面図である。
【
図21】発光体から中間位置にある反射面を示す部分平面図である。
【
図22】発光体に遠い位置にある反射面を示す部分平面図である。
【
図23】3種類の単位反射面の反射光分布特性を示すグラフである。
【
図24】表示灯の前後方向における光指向性を示す光量分布特性図である。
【
図25】表示灯の全方向における光指向性を示す光量分布特性図である。
【
図26】変更例における反射面を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、表示灯が適用される電子機器が印刷装置である実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の印刷装置11は、シリアルスキャン型(シリアル印刷型)のプリンターである。印刷装置11は、例えば、大判プリンター(ラージフォーマットプリンター)である。印刷装置11は、外部のホストコンピューターから供給された印刷データに含まれる画像データに応じて液滴(例えばインク)を吐出させることによって、用紙又は布帛等の媒体M(メディア)にドット群を形成し、これにより画像(文字や図形等を含む)を印刷するインクジェットプリンターである。
【0011】
なお、本実施形態では、印刷装置11において、互いに直交する3つの軸XYZと平行な方向を、それぞれ幅方向X、搬送方向Y、鉛直方向Zとする。幅方向Xは、印刷装置11を正面から見たときに印刷装置11の幅を示す方向である。搬送方向Yは、印刷部23と対向する印刷位置において媒体Mが搬送される方向である。なお、
図1の例では、鉛直上向きが高さ方向-Zである。
【0012】
<印刷装置11の構成>
まず、
図1を参照して、印刷装置11の概略構成を説明する。
図1に示すように、印刷装置11は、キャスター12が下端に取り付けられた支持スタンド13と、支持スタンド13に支持された略直方体形状の筐体14とを有する。筐体14は、その後部に給送部15を有する。給送部15には、長尺の用紙又は布帛等の媒体Mが円筒状に巻き重ねられたロール体16が装填されている。給送部15は、ロール体16から媒体Mを給送する。給送された媒体Mは、筐体14内の不図示の搬送部により
図1に矢印で示す搬送方向Y1に搬送される。なお、搬送方向Y1は、媒体Mの搬送経路上の位置に応じて変化する。そのため、搬送方向Yは、印刷位置における搬送方向Y1を示す。
【0013】
印刷部23は、筐体14内の印刷位置で媒体Mに文字又は画像を印刷する。印刷後の媒体Mは、所定の長さに切断された後、排出口18から排出される。排出された媒体Mは、媒体受けユニット19に収容される。なお、印刷後の媒体Mは、切断されずにロール体として巻き取られてもよい。
【0014】
また、筐体14の上面端部には、操作パネル20が設けられている。操作パネル20は、表示部及び操作ボタンを有する。表示部には、メニューやメッセージ等が表示される。メッセージには、ユーザーに印刷装置11の動作状態等を知らせるものなどが含まれる。ユーザーは、操作パネル20を操作することで、印刷装置11に対する印刷指示を含む各種の指示を行う。
【0015】
印刷装置11は、給送部15、搬送部及び印刷部23を制御する制御部100を備える。制御部100は、ホスト装置(図示略)から受信した印刷データ又は操作パネル20の操作で指示された印刷指示に基づいて印刷装置11を制御する。
【0016】
筐体14の一端下部には、液体供給部21が設けられる。液体供給部21には、液体の一例としてのインクを収容する複数(
図1の例では4つ)の液体収容部22(例えばインクカートリッジ又はインクタンク)を着脱可能な状態で取り付けられる。複数の液体収容部22は、それぞれ異なる種類(例えば色)の液体(例えばインク)を収容する。液体がインクの例では、複数の液体収容部22は、例えば、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)を含む複数色のインクをそれぞれ1色ずつ収容する。
【0017】
印刷部23は、幅方向Xに移動可能に構成されるキャリッジ24と、キャリッジ24に配置された印刷ヘッド25とを有する。印刷ヘッド25は、例えば、インクジェット式の印刷ヘッドであってもよい。この場合、印刷ヘッド25は、各液体収容部22から不図示のチューブを通じて供給される各色の液体(インク)を吐出することで、媒体Mに印刷する。キャリッジ24は、印刷ヘッド25を媒体Mの搬送経路と対向する位置に支持する。
図1に示すように、印刷ヘッド25は、キャリッジ24の下部に配置されてもよい。印刷ヘッド25は、媒体Mに対して液滴(インク滴)を吐出することで、媒体Mに印刷を行う。なお、印刷装置11は、液体供給部21が筐体14に取り付けられたオフキャリッジタイプの構成に限らず、キャリッジ24に複数の液体収容部22が取り付けられたオンキャリッジタイプの構成でもよい。
【0018】
図1に示すように、印刷装置11は、印刷装置11に異常が発生した場合に所定の色で発光する表示灯30を備える。表示灯30は、例えば、筐体14の上部に配置されている。表示灯30は、印刷装置11の異常発生時に点滅してもよい。表示灯30の発光又は点滅は、制御部100により制御される。制御部100は、印刷装置11の動作状態を監視し、その監視結果に基づいて異常を検出したときに表示灯30を発光させる。異常には、例えば、ロール体16の残量切れ、インク残量切れ、不適切な印刷条件の検出時、ジャム検出時などの異常検出などが含まれる。表示灯30は、ユーザーに、印刷装置11の動作状態や異常発生の旨を報知するインジケーターとして機能する。そのため、表示灯30は、ユーザーが視認し易い発光特性を有する。例えば、表示灯30は、印刷装置11の周囲のどの方向からユーザーが見ても視認し易い発光特性を有する。
【0019】
また、表示灯30は、複数の色で発光してもよい。この場合、表示灯30の後述する発光体31(
図3参照)が、複数色備えられてもよいし、1つの発光体31が、例えば、複数色の発光LEDを内蔵する構成でもよい。発光体31は、例えば、RGB3色のうちの少なくとも2色を含む複数色でもよい。この場合、制御部100は、複数色の発光LEDを1色ごと別々に発光させてもよいし、複数色の発光LEDを同時に発光させることで混合色を発光させてもよい。また、制御部100は、表示灯30の発光色を報知内容に応じて切り替えてもよい。例えば、印刷装置11の異常発生時は、表示灯30を赤色で発光させ、異常よりも緊急性・重大性が低い報知内容であれば、青、緑、黄色、オレンジ等の他の色で発光させてもよい。
【0020】
<表示灯30の概略構成>
次に、
図2~
図6を参照して、表示灯30の構成について説明する。ここで、
図2は、斜め上方から見た表示灯30を示す。
図3は表示灯30の正面を示し、
図4は表示灯30の底面を示す。
図5は表示灯30の正断面を示し、
図6は表示灯30の側断面を示す。なお、表示灯30の長手方向をA方向、短手方向をB方向、高さ方向をH方向とする。A方向を長手方向A、B方向を短手方向B、H方向を高さ方向Hともいう。表示灯30が、印刷装置11の筐体14に配置された状態において、A方向は幅方向Xに相当し、B方向は搬送方向Yに相当し、H方向は鉛直方向Zと反対の方向である-Z方向に相当する。
【0021】
図2に示すように、表示灯30は、一方向に長い長尺形状を呈する。表示灯30は側周面32が発光する構成である。表示灯30の側周面32は、正面30A、背面30B、一対の側端面30Cとを有する。正面30Aと背面30Bは、長手方向Aに長い矩形を呈する面である。側端面30Cは、幅方向Xの外側に向かって凸となる曲面(凸曲面)を呈する。
【0022】
表示灯30は、発光体31(
図3)と、光路変換部材40と、光反射部材50とを備える。
図3、
図4に示すように、表示灯30は、その底面側に長手方向Aに沿って複数(例えば3つ)の発光体31(
図3参照)を備える。
【0023】
図2、
図3に示すように、光路変換部材40と光反射部材50は一体に固定されている。光路変換部材40は、透明樹脂材料よりなる導光部品46である。光反射部材50は、透明樹脂材料よりなる導光部品56である。導光部品46,56は、それぞれ、複数の発光体31に対して一つの部材として形成されている。導光部品46,56は、同じ透明樹脂材料でもよいし、異なる透明樹脂材料でもよい。導光部品46,56は、着色された透明樹脂材料でもよい。
【0024】
図2、
図3に示す光路変換部材40は、発光体31からの光を高さ方向Hの平行光に変換するライトガイドである。光反射部材50は、発光体31(
図3参照)から発せられた光を入射し、入射した光を反射させる。光反射部材50は、光路変換部材40から入射した光をユーザーが視認しやすい方向に反射させる機能を有する。ユーザーが視認しやすい方向とは、印刷装置11において表示灯30の位置から、印刷装置11の周囲に立ち姿勢でいるユーザーの目の高さに向かう方向を指す。このように、表示灯30は、側周面32から指向性のある光を発出する。なお、発光体31と光路変換部材40とによって、平行光を出射する光源33が構成される。
【0025】
光路変換部材40及び光反射部材50は、例えば、光透過性の接着剤を介して接続されている。発光体31は、光路変換部材40及び光反射部材50とは別の発光体ユニット(図示略)として組み付けられる。発光体ユニットは、光路変換部材40側と筐体14側のどちらに組み付けられてもよい。
【0026】
図1、
図5、
図6に示すように、表示灯30の上面は、-H方向に凹む反射面51を有する。反射面51は、短手方向Bに対向する一対の第1反射面51Aと、長手方向Aに対向する一対の第2反射面51Bとを含む。一対の第1反射面51Aは、高さ方向Hの下方ほど対向する距離が狭くなる向きに傾斜する面である。一対の第2反射面51Bは、高さ方向Hの下方ほど対向する距離が狭くなる向きに傾斜する面である。反射面51は、ほぼ面全体に配置される多数の凹凸よりなる凹凸面を含む。なお、光反射部材50は、反射面51の部分とそれ以外の部分とが一体で形成されてもよいし、別部材として製造されたものを組み合わせて形成されたものでもよい。
【0027】
<光路変換部材40及び光反射部材50の概略構成>
次に、
図3~
図6を参照して、光路変換部材40及び光反射部材50の概略構成について説明する。
図5に示すように、光路変換部材40は、発光体31からの光を平行光束に変換して光反射部材50に入射させる。
図3~
図5に示すように、光路変換部材40には、その長手方向Aに沿う3箇所に3つの発光体31が組み付けられている。発光体31は光を放射状に発光する。光路変換部材40は、発光体31が発光する放射状の光を、高さ方向Hの平行光束に変換する。
【0028】
図5、
図6に示すように、光路変換部材40は、発光体31と高さ方向Hに対向する位置にレンズ部41を有する。光路変換部材40は、レンズ部41で集光された平行光を反射する第1斜状反射面42と、第1斜状反射面42からの平行光を反射する第2斜状反射面43とを有する。光路変換部材40は、第2斜状反射面43が反射した平行光束を光反射部材50に入射する。
【0029】
光反射部材50は、光路変換部材40から入射した平行光束を反射面51で反射する。すなわち、光反射部材50は、光路変換部材40から入射した平行光束を、一対の第1反射面51Aが反射することで、正面30A及び背面30Bから光を発出する。また、光反射部材50は、光路変換部材40から入射した平行光束を、一対の第2反射面51Bが反射することで、一対の側端面30Cから光を発出する。
【0030】
<表示灯30の機能>
表示灯30は、平面視で、楕円又は長円形状を呈する。光路変換部材40及び光反射部材50も、同様に平面視で、楕円形状又は長円形状を呈する。このように、表示灯30が一方向に長く延びた形状である場合、ユーザーが表示灯30の正面30A又は背面30Bを見るときは、側端面30Cを見るときに比べ、発光面積が広い。このため、ユーザーは、表示灯30の正面30A又は背面30Bを見るときは、発光の見落としが発生しにくい。しかし、ユーザーは印刷装置11から所定の距離の範囲内で立ち姿勢で表示灯30を見る。そのため、ユーザーが見ない方向にも光が発出されており、光が効率よく利用されていない。
【0031】
一方、ユーザーが印刷装置11の側方から表示灯30を見る場合、側端面30Cを見ることになるので、発光面積が小さい。発光面積が小さいと、表示灯30の単位面積当たりの光量が同じでも、ユーザーが表示灯30の発光を見落としやすくなる。
【0032】
そのため、本実施形態の表示灯30は、その側周面32から発出される光に面ごとに必要な方向の指向性を持たせている。すなわち、正面30Aと背面30Bは、鉛直方向Zにはユーザーの目の高さを指向する狭い指向性を有し、且つ水平方向には広い範囲を指向し光量分布が均一になるようにしている。
【0033】
また、湾曲面よりなる側端面30Cは、面に垂直な方向に光が発出されると、光が広がってしまう。この場合、ユーザーは、表示灯30の側端面30Cが相対的に暗く見える。そのため、側端面30Cは、鉛直方向Zにはユーザーの目の高さを指向する狭い指向性を有し、且つ水平方向にはX方向を指向する狭い指向性を有するようにしている。
【0034】
このような表示灯30の面ごとに異なる発光特性は、主に光反射部材50の構造により実現される。すなわち、一対の第1反射面51Aは、鉛直方向Zにはユーザーの目の高さを指向する狭い指向性で光を反射し、水平方向には広い範囲に亘り均一な光量分布で光を反射する。一方、一対の第2反射面51Bは、鉛直方向Zにはユーザーの目の高さを指向する狭い指向性で光を反射し、水平方向には長手方向Aを指向する狭い範囲で均一な光量分布で光を反射する。なお、光路変換部材40及び光反射部材50のそれぞれの詳細な構成については後述する。
【0035】
次に、
図7、
図8を参照して、光路変換部材40が発光体31からの光を光反射部材50に入射すべき平行光束に変換する機能について説明する。
図7は、光路変換部材40が発光体31からの光を高さ方向Hに平行な平行光束に変換する際の光路を示す。また、
図8は、光路変換部材40が光反射部材50に入射する平行光束の光量を、A方向における発光体31からの距離に応じて調整する機能を説明する。
【0036】
図7に示すように、発光体31からの光は光路変換部材40により導かれ、光路変換部材40から高さ方向Hに出射される。光路変換部材40は、表示灯30が配置される筐体14の上面(設置面)に対して直交する方向に発光体31からの光を導く。すなわち、光路変換部材40は、発光体31からの光を鉛直方向Zの上向きに導くライトガイドである。光路変換部材40は、発光体31からの光を平行光束に変換して光反射部材50に入射させる。
【0037】
<光路変換部材40の構成>
次に、
図7及び
図8を参照して、光路変換部材40の詳細な構成について説明する。
図7に示すように、光路変換部材40は、前述のレンズ部41と、第1斜状反射面42と、第2斜状反射面43と、光透過界面44とを有する。レンズ部41は、発光体31からの放射状の光を、高さ方向Hに平行な平行光(光束)として集光する。第1斜状反射面42は、レンズ部41内を進む平行光を、高さ方向Hに位置の異なる複数の高さ位置で、A方向と平行な水平方向に進む平行光として反射する。
【0038】
第2斜状反射面43は、A方向において発光体31からの距離が異なる複数の位置で水平方向に進む平行光の光路を高さ方向Hに平行光が進む光路に、光路の向きを変換する。光透過界面44は、光路変換部材40内において第2斜状反射面43で反射して高さ方向Hに進む平行光束が、光路変換部材40から光反射部材50に入射する界面である。光透過界面44は、第2斜状反射面43からの平行光束が進む向きと直交するため、光透過界面44でほぼ屈折することなく高さ方向Hに平行な平行光束のまま光反射部材50に入射する。
【0039】
図8に示すように、第2斜状反射面43は、A方向において発光体31からの距離に応じて、H方向に平行な平行光束の光量を変化させる複数のステップ状反射面45を有する。複数のステップ状反射面45は、A方向において発光体31からの距離が遠いほど、H方向に平行な平行光束の光量が多くなるように第1斜状反射面42からの平行光を反射させる。発光体31からのA方向の距離が所定距離よりも短い位置にあるステップ状反射面45よりも、発光体31からのA方向の距離が所定距離よりも長い位置にあるステップ状反射面45の方が、反射した平行光束の光量が多くなるように設定されている。
【0040】
図8に示すように、複数のステップ状反射面45は、発光体31からのA方向の距離に応じてステップ状反射面45の頂点の高さが段階的に高くなる。A方向に隣同士の2つのステップ状反射面45の頂点の高さの差が、発光体31からの距離に応じて段階的に大きくなっている。
【0041】
ここで、隣同士の2つのステップ状反射面45の各々の頂点の高さの差をΔHとする。発光体31からのA方向の距離が所定値よりも小さい位置での第1の差ΔH1が、発光体31からのA方向の距離が所定値よりも大きい位置での第2の差ΔH2よりも小さい。すなわち、発光体31からの距離に応じて、第1の差ΔH1よりも第2の差ΔH2の方が大きくなるように設定されている。
【0042】
このため、入射光Liが第1斜状反射面42で反射した水平方向に進む平行光は、隣同士の2つのステップ状反射面45の高さの差ΔHに応じた面積で反射する。このため、第1の差ΔH1よりも第2の差ΔH2の方が、水平方向に進む平行光を反射できる面積がより広い。このため、発光体31からのA方向の距離が遠い位置ほど、ステップ状反射面45がH方向に反射した平行光束の光量が多くなる。
【0043】
このように発光体31からのA方向の距離に応じて平行光束の光量を調整する理由は、発光体31からの距離に応じて光の強度が減衰するからである。光量の調整を行わない場合、発光体31から遠い位置ほど光量が少なくなりその光量の少ない光を反射した部分が相対的に暗くなる。つまり、表示灯30の正面30A及び背面30Bに明るさのばらつきの分布ができる。表示灯30のこの種の明るさのばらつきの分布は、ユーザーが表示灯30の発光を見落とす原因になりうる。
【0044】
このため、
図8に示すように、発光体31から近い距離の位置での高さの差である第1の差ΔH1よりも、遠い距離の位置での高さの差である第2の差ΔH2の方が差が大きくなるように、複数のステップ状反射面45を形成している。これにより、第1の差ΔH1に対応する面積の部分のステップ状反射面45によって、第1光量の平行光束L1が反射される。また、第2の差ΔH2に対応する面積の部分のステップ状反射面45によって、第1光量よりも光量の多い第2光量の平行光束L2が反射される。光反射部材50の反射面51が、各平行光束L1,L2を反射することで、表示灯30の発光面を均等な明るさの分布で発光させるようにしている。
【0045】
<光反射部材50の構成>
次に、
図9~
図13を参照して、光反射部材50の詳細な構成について説明する。
図9に示すように、表示灯30の上面は、-H方向に凹む凹状の反射面51を有する。反射面51は、B方向(短手方向)に対向する一対の第1反射面51Aと、A方向(長手方向)に対向する一対の第2反射面51Bとを含む。一対の第1反射面51Aは、鉛直方向Zの下方ほど対向する距離が狭くなる向きに傾斜する面である。一対の第2反射面51Bは、高さ方向Hの下方ほど対向する距離が狭くなる向きに傾斜する面である。反射面51は、面全体に配置される多数の凸面及び凹面を含む凹凸面に形成されている。
【0046】
一対の第1反射面51Aは、光路変換部材40(
図7、
図8を参照)からの平行光を、主に正面30Aと背面30Bに向かって反射させる面である。一対の第1反射面51Aで反射した反射光は、主に正面30Aと背面30Bから発出される。また、一対の第2反射面51Bは、光路変換部材40からの平行光を、主に一対の側端面30Cに向かって反射させる面である。一対の第2反射面51Bで反射した反射光は、主に一対の側端面30Cから発出される。
【0047】
図10に示すように、反射面51には、斜め上方から見て、第一方向Aに沿って複数の個別反射面55が列状に配置されてなる個別反射面列52が、第二方向Kに複数列配置されている。個別反射面55は、反射面51の最小単位である。つまり、反射面51は、入射する光の進行方向に対して所定角度をなす軸を有する円錐面Cの少なくとも一部の面形状に形成された複数の個別反射面55を有する。本実施形態は、特に、所定角度が0度の例である。つまり、円錐面Cの軸は、入射する光の進行方向と平行である。複数の個別反射面55が、入射光の進行方向と交差する第一方向Aに並んで配置されている。このように、反射面51は、その面全体に、第一方向Aと第二方向Kとに縦横に配列された多数の個別反射面55によって構成される。多数の個別反射面55は、極力隙間なく密に配置されている。また、多数の個別反射面55は、水平面(例えば、筐体14の被設置面)に対して所定の角度をなす指向方向に光を反射できるように、その面形状、配置角度、向きなどが設定されている。
【0048】
図10に示すように、本実施形態の個別反射面55は、凸形状反射面53と、凹形状反射面54とにより構成される。凸形状反射面53は、下方(-H方向)に向かって突出する凸形状を呈する反射面である。凹形状反射面54は、上方(+H方向)に向かって凹む凹形状を呈する反射面である。凸形状反射面53は、円錐面Cの一部の面形状と同じ面形状を呈している。凹形状反射面54も、同様に、円錐面Cの一部の面形状と同じ面形状を呈している。
【0049】
第二方向Kに隣合う二列の個別反射面列52は、高さが一段異なる段差を隔てて隣接している。隣合う二列の個別反射面列52が隣接する段差となった境界は、各個別反射面55の面形状を規定する仮想の円錐面Cの頂点側の部分を一部除去したり、仮想の円錐面Cの底面側の部分を一部除去又は膨らませることで波状に形成されている。つまり、隣合う二列の個別反射面列52は、波状の境界を介して隣接している。
【0050】
図10において、発光体31からの光は、光路変換部材40を介して鉛直方向Zの上方に向かって反射面51の裏面に入射し、反射面51の裏面で反射した反射光は、表示灯30の側周面32から発出される。凸形状反射面53及び凹形状反射面54の裏面で反射した反射光は、表示灯30の側周面32から略水平方向に発出される。
【0051】
ここで、光反射部材50は、透明な樹脂材料で形成されている。反射面51での光の反射は、樹脂材料と大気との屈折率の差による反射を用いて行う。ここで、射効率を上げるために、光反射部材50の反射面51には、光を反射させる加工がなされてもよい。具体的には、反射面51の空気層側の表面に、反射加工層を成膜してもよい。
【0052】
図11は、個別反射面列52の一部を拡大した斜視図を示す。なお、
図11では、個別反射面列52を構成する個別反射面55は、仮想の円錐面C(
図10参照)の一部の面形状として描いており、第二方向Kに隣合う二列の個別反射面列52の接続部分においてその境界BLが波形状に形成されている点については省略している。
図11に示すように、光反射部材50の反射面51は、凸形状反射面53と凹形状反射面54とが母線GL同士が接続された状態で第一方向Aに並んで配置されてなる個別反射面列52を有する。
【0053】
図12に示すように、個別反射面列52は、第一方向Aと交差する第二方向Kに複数配置されることで構成される。
図12では、光路変換部材40からの平行光は、同図の紙面直交方向に奥側から手前側に向かって入射する。入射した平行光は、凸形状反射面53と凹形状反射面54で反射し、その反射光は、
図12に矢印で示す光路で正面30Aから発出する。
【0054】
図12に示すように、凸形状反射面53に入射した平行光は、凸形状反射面53の台錐面で反射する。このため、凸形状反射面53で反射した光は、所定の広がり角で広がる。また、凹形状反射面54で反射した反射光も広がる。表示灯30の正面30Aから出射する光は、正面30Aを通過する過程でそれぞれの入射角に応じた方向へ屈折する。
【0055】
<凸形状反射面53の構成について>
次に、凸形状反射面53の構成について、
図13、
図14を参照して説明する。なお、
図13、
図14では、波形状の境界BLを省略している。
図13に示すように、凸形状反射面53は、入射する光の進行方向(+H方向)と反対の方向(-H方向)に向かって凸状であり、仮想の円錐面C1の少なくとも一部の面形状に形成されている。凸形状反射面53の面形状を規定する仮想の円錐面C1は、入射する光の進行方向(+H方向)と反対の方向(-H方向)に頂点が向いている。
【0056】
図13、
図14に示すように、入射光Liは、光反射部材50の導光部品を透過して凸形状反射面53で反射する。入射光Liと反射光Lrとのなす角度αは、例えば、90度よりも大きい(α>90°)。
【0057】
図14に示す光反射部材50は光を透過させる導光部品で構成される。反射面51は導光部品と大気との界面で構成されている。よって、反射面51を構成する凸形状反射面53についても、導光部品56と大気との界面で構成されている。凸形状反射面53に対する入射光の入射角は臨界角より大きい。このため、平行光よりなる入射光Liは、凸形状反射面53に対して全反射する。
【0058】
凸形状反射面53と入射光Liとのなす角度θ1は、40度以上45度以下である。このため、入射光Liと反射光Lrとのなす角度αは、90度以上100度以下の範囲内の所定角度である。反射光Lrは、水平面に対して斜め上向きに所定角度θ3を指向する。所定角度θ3は、本実施形態では0度以上10度以下の角度である。所定角度θ3として、例えば、1度以上5度以下の角度が選択されてもよい。そして、光反射部材50の導光部品56内を透過した反射光Lrは、正面30A又は背面30Bから所定角度θ3の指向方向にはさほど屈折することなく発出光Loとして発出される。なお、
図12に示すように、反射光は正面30A又は背面30Bを通過する際に、光が指向する光指向面内では屈折する。
【0059】
<凹形状反射面54の構成について>
次に、凹形状反射面54の構成について、
図15、
図16を参照して説明する。なお、
図15、
図16では、波形状の境界BLを省略している。
図15に示すように、凹形状反射面54は、入射する光の進行方向(+H方向)に向かって凹状であり、仮想の円錐面C2の少なくとも一部の面形状に形成されている。凹形状反射面54の面形状を規定する仮想の円錐面C2は、入射する光の進行方向(+H方向)に頂点が向いている。
【0060】
図15、
図16に示すように、入射光Liは、光反射部材50の導光部品56を透過して凹形状反射面54で反射する。入射光Liと反射光Lrとのなす角度βは、例えば、90度よりも大きい(β>90°)。
【0061】
図16に示す光反射部材50は、光を透過させる導光部品56で構成されている。反射面51は導光部品56と大気との界面で構成される。よって、反射面51を構成する凹形状反射面54についても、導光部品56と大気との界面で構成されている。凹形状反射面54に対する入射光の入射角は臨界角より大きい。このため、平行光よりなる入射光Liは、凹形状反射面54に対して全反射する。
【0062】
凹形状反射面54と入射光Liとのなす角度θ2は、40度以上45度以下である。このため、反射光Lrは、水平面に対して斜め上向きに所定角度θ3を指向する。そして、光反射部材50の導光部品56内を透過した反射光Lrは、正面30A又は背面30Bからさほど屈折することなく発出光Loとして発出される。
【0063】
このように、表示灯30は、凸形状反射面53及び凹形状反射面54により、高さ方向Hにおいて、水平面に対して斜め上向きに所定角度θ3を指向する狭い指向性が付与される。また、表示灯30は、
図12に示すように、凸形状反射面53及び凹形状反射面54が反射した光が、水平方向に広い範囲で分布し、水平方向の光量分布が均一になる。
【0064】
<個別反射面列52>
次に、
図12、
図17~
図22を参照して、第二方向に隣合う二列の個別反射面列52の接続部分の形状について説明する。本実施形態では、二列の個別反射面列52の接続部分の形状により、発光体31の近くと遠くとの違いによって正面30A及び背面が発光した際に光量がばらつくことを抑制している。
【0065】
発光体31からの光は、発光体31からの距離が長いほど減衰する。このため、表示灯30の正面30Aの発光量は、発光体31からの距離に依存する。通常、発光体31に近い部分では光量が高く、発光体31から遠い部分では光量が低くなる。また、発光体31からの光の光量分布は、発光体31から射出される光の広がり具合や、発光体31そのものの発光光量分布によって変化する。よって、表示灯30の正面30A及び背面30Bに、光量分布のばらつきが発生し易い。
【0066】
このため、本実施形態では、第二方向に隣合う二列の個別反射面列52接続部分の形状、つまり列間の境界の形状を変化させることで、光量分布のばらつきを抑えるようにしている。すなわち、発光体31の近くでは、個別反射面55の曲率半径の大きい部分を減らす面形状にし、発光体31の遠くでは、個別反射面55の曲率半径の大きい部分を増やす面形状にしている。そして、発光体31から近くもなく遠くもないその間の距離では、個別反射面55の曲率半径の大きい部分をさほど減らしも増やしもしない。このように個別反射面列52の列間の境界形状によって、個別反射面55の曲率半径の大きい部分の面積の増減を行っている。
【0067】
図12に示すように、隣合う二列の個別反射面列52は、第二方向Kに波打つように変化する波状の曲線で示される境界BLで接続されている。個別反射面55の曲率半径の大きい部分の面積が減ると、正面0度の方向の反射光の光量が相対的に減る。個別反射面55の曲率半径の大きい部分の面積が増えると、正面0度の方向の反射光の光量が相対的に増える。なお、個別反射面55の曲率半径の大きい部分の面積を減らすと、曲率半径の小さい部分の面積は増える。また、個別反射面55の曲率半径の大きい部分の面積を増やすと、曲率半径の小さい部分の面積は減る。
【0068】
そして、
図17~
図19は、それぞれρ0°=Min、ρ0°=Mid、ρ0°=MAXの条件での反射面51の部分斜視図を示す。
図20~
図22はそれぞれρ0°=Min、ρ0°=Mid、ρ0°=Maxの条件での反射面51の部分平面図を示す。ここで、ρ0°は、正面(0°)の光量を示す。つまり、正面30A又は背面30Bに対して直交する方向(正面方向)を0°とした場合、0°の方向に指向する光の光量を示す。前述したように、本実施形態の表示灯30は、水平面に対して所定角度θ3で斜め上向きに傾く方向に光指向性を有する。この光指向性を維持したまま、個別反射面55ごとの反射光の光量を境界BLの形状によって調整する。
【0069】
ここで、個別反射面55について面形状を規定する仮想の円錐面Cを想定した場合、個別反射面55の狭くなる側を頂点側、広くなる側を底面側と規定する。この場合、
図17~
図22において、第二方向Kに隣合う二列の個別反射面列52の接続部分は、一方の個別反射面列52を構成する個別反射面の頂点側と、他方の個別反射面列52を構成する個別反射面55の底面側とが対応して配置されている。
【0070】
図17、
図20に示すように、ρ0°=Minの場合、第二方向Kに対応する二つの個別反射面55のうち、一方の個別反射面55の頂点側が他方の個別反射面55の底面側の方向に突出するように構成されている。
【0071】
図19、
図22に示すように、ρ0°=Maxの場合、第二方向Kに対応する二つの個別反射面55のうち、一方の個別反射面55の底面側が他方の個別反射面55の頂点側の方向に突出するように構成されている。
【0072】
図18、
図21に示すように、ρ0°=Midの場合、第二方向Kに対応する二つのうち一方の個別反射面55の頂点側が他方の個別反射面55の底面側の方向に突出しておらず、且つ一方の個別反射面55の底面側が他方の個別反射面55の頂点側の方向に突出していないように構成されている。つまり、隣合う二列の個別反射面列52の境界BLが直線状である。
【0073】
図17、
図20に示すρ0°=Minの場合、個別反射面55の面積が小さくなるとともに、個別反射面55の曲率半径の大きな領域が相対的に少なくなる。一方、
図19、
図22に示すρ0°=Maxの場合、個別反射面55の面積が大きくなるとともに、個別反射面55の曲率半径の大きな領域が相対的に多くなる。そして、
図18、
図21に示すρ0°=Midの場合、個別反射面55の面積が、ρ0°=Minの場合の面積とρ0°=Maxの場合の面積との中間になるうえ、個別反射面55の曲率半径の大きな領域の広さも中間になる。
【0074】
1つの個別反射面55の反射光を1つの発光点とみなす場合、表示灯30の正面30A又は背面30Bの発光点は、ρ0°=Minの場合に光量が少なく、ρ0°=Maxの場合に光量が多く、ρ0°=Midの場合に中間の光量になる。
【0075】
図23は、1つの個別反射面55を発光点とした場合、その発光点の光指向性と光量(光強度)とを示すグラフである。このグラフにおいて、発光点が属する発光面と直交する方向(発光点の正面に向かう方向)を0°とし、左右にそれぞれ90°の範囲で光指向性を示す。また、発光点の位置を原点「0」とし、原点からの距離で光量(光強度)が示される。なお、
図23のグラフは、
図14、
図16に示す発出光Loが指向する所定角度θ3の光指向面内における発光点の光指向性を示す。
【0076】
図23のグラフにおいて、一点鎖線で示すρ0°=Minの場合、発光点の正面(0°)に向かう光の光量が多く、反射光は正面に向かう指向性を有する。また、このグラフにおいて実線で示すρ0°=Maxの場合、発光点の正面(0°)に向かう光の光量が少ないものの60°の方向を指向する光の光量が多い。つまり、反射光が60°の方向に向かう指向性を有する。さらに、このグラフにおいて破線で示すρ0°=Midの場合、発光点からどの方向にも光の光量が平均的に分布している。所定角度θ3の光指向面内において反射光の指向性は特にない。
【0077】
そして、
図3、
図5に示すように、表示灯30は、光路変換部材40の下側に、長手方向Aに異なる3つの位置に3つの発光体31を有する。反射面51において発光体31から長手方向Aに距離が近い領域には、ρ0°=Minの個別反射面55が配置される。また、反射面51において発光体31から長手方向Aに距離が遠い領域には、ρ0°=Maxの個別反射面55が配置される。そして、反射面51において発光体31から長手方向Aの距離が中間の領域には、ρ0°=Midの個別反射面55が配置される。なお、
図17~
図22では、ρ0°=Min、Mid、Maxの3種類の個別反射面55を示したが、さらに3種類の個別反射面55の間にも、ρ0°の値が異なるタイプの個別反射面55が配置されてもよい。
【0078】
このように、第二方向Kに隣合う二列の個別反射面列52の接続部分は、ρ0°=Minの個別反射面55の部分(第1部分)と、ρ0°=Maxの個別反射面55の部分(第2部分)との両方を備えている。第1部分は、一方の個別反射面55の頂点側が他方の個別反射面55の底面側の方向に突出するように構成されている部分である。第2部分は、一方の個別反射面55の底面側が他方の個別反射面55の頂点側の方向に突出するように構成されている部分である。本実施形態では、第二方向Kに隣合う二列の個別反射面列52の接続部分は、第一方向Aにおいて、発光体31に近い位置では第1部分(ρ0°=Minの部分)で接続され、発光体31から遠い位置では第2部分(ρ0°=Maxの部分)で接続されている。
【0079】
図24、
図25は、上述のレイアウトで個別反射面55が配置された本実施形態の表示灯30の発光特性を示す。
図24は、表示灯30をA方向から見たときの正面30Aと背面30Bの発光特性を示す。
図25は、表示灯30を-H方向から見たときに側周面32から発出される光の指向特性を示す。
図24では、H方向に並ぶ多数の発光点のうち一部(例えば3つ)の発光点における発光分布曲線F1を示す。発光分布曲線は、発光点における光の指向性と光量(光強度)とを示す。
図24に示す発光分布曲線F1のとおり、本実施形態の表示灯30は、水平面に対して角度θ3で斜め上向きに傾く方向に光の指向性を有する。そのため、表示灯30の正面30Aと背面30Bからは、角度θ3の指向方向に十分な光量の光が発出される。
【0080】
図25では、表示灯30の正面30Aと背面30Bについては、代表的な複数の発光点による発光分布曲線F1を示し、側端面30Cについては1つの発光点の発光分布曲線F2を示す。
図25に示す発光分布曲線F1のとおり、正面30Aと背面30Bからは角度θ3の光指向面内において広がりをもった光が出射される。また、
図25に示す発光分布曲線F2のとおり、側端面30Cからは長手方向Aに高い指向性を有する、例えば、平行光に近い光が出射される。なお、発光分布曲線F2で示される光は、発光分布曲線F1と同様に、水平面に対して角度θ3で斜め上向きに指向する。
【0081】
<実施形態の作用>
次に、本実施形態の印刷装置11の作用について説明する。
印刷時は、制御部100による制御によりキャリッジ24が幅方向Xに移動する途中で印刷ヘッド25が媒体Mに印刷する。印刷された媒体Mは排出口18から排出される。この印刷動作中などにおいて、印刷装置11の異常等が発生すると、制御部100は表示灯30を発光させる。表示灯30は、複数の色で発光してもよい。表示灯30の発光は点滅でもよい。表示灯30は、発光によりユーザーに異常の発生又は報知情報があることを報知する。
【0082】
ユーザーは、印刷装置11の周辺で作業や監視をする。そのため、ユーザーは、印刷装置11に対してどの方向から表示灯30を見るかは分からない。
本実施形態の表示灯30は、鉛直方向Zにおいて、水平面に対して角度θ3で斜め上向きの方向に狭い指向性を有する。つまり、筐体14の上面に配置された表示灯30は、印刷装置11から所定距離だけ離れた位置で作業や監視をするユーザーの目の高さに向かう光指向性を有する。また、表示灯30は、水平方向に広い指向性を持ち、且つ水平方向で光量分布が均一になる。よって、印刷装置11の周囲においてユーザーがどの方向に位置しても、ユーザーから表示灯30を視認し易い。
【0083】
また、本実施形態の表示灯30は、正面30A及び背面30Bにおいて発光体31からのA方向の位置の違いに起因する光量のばらつきもなく均等に発光する。このため、ユーザーは、表示灯30の正面30A又は背面30Bを見た場合、表示灯30の発光にすぐ気付くことができる。よって、表示灯30の発光を見落としにくい。
【0084】
また、ユーザーが印刷装置11の側方にいる場合、ユーザーは表示灯30を側端面30Cを見ることになる。表示灯30の側端面30Cは、正面30A又は背面30Bに比べ、発光面積が小さい。この側端面30Cからは水平面に対して角度θ3で斜め上向きのX方向に平行な平行光に近い光が発出される。よって、ユーザーがX方向から表示灯30を見た場合に、側端面30Cの小さな発光面積の割にユーザーが見る角度での発光量が多い。このため、ユーザーが、表示灯30の小さい側端面30Cを見ることになっても、表示灯30の発光を視認しやすい。
【0085】
一方、ユーザーが印刷装置11に対して作業又は操作を行う場合、ユーザーが表示灯30の近くに位置する。しかし、ユーザーの目の位置が、表示灯30の鉛直方向Zに狭い光の指向方向から外れる。例えば、ユーザーの目の位置が、表示灯30の光の指向方向よりも上側に外れる。よって、ユーザーは、表示灯30の光を眩しく感じることなく、印刷装置11に対する作業又は操作を行うことができる。
【0086】
よって、上記実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)電子機器の一例としての印刷装置11は、異常が発生した場合に所定の色で発光する表示灯30を備える。表示灯30は、平行光よりなる光を発する光源33と、光源33から発せられた光が入射し、入射した光を反射させる光反射部材50とを有する。光反射部材50は、光が反射する反射面51を有する。反射面51は、入射する光の進行方向に対して所定角度をなす軸を有する円錐面C1,C2の少なくとも一部の面形状に形成された複数の個別反射面55を有する。複数の個別反射面55が、入射光の進行方向と交差する第一方向Aに並んで配置されている。この構成によれば、表示灯30において、光源33から発せられた光が反射面51に入射する入射光の進行方向及び第一方向Aと交差する方向に光指向性を付与できるうえ、光量分布を均一化にできる。よって、表示灯30は、光指向性及び指向する範囲で光量分布の均一性を確保しやすい。例えば、印刷装置11から離れた位置からユーザーは表示灯30の発光を視認しやすく、且つ印刷装置11に近い位置ではユーザーは表示灯30の発光が眩しすぎない。また、このような特性を持つ表示灯30を小さなサイズで実現できたり、直方体や長円筒等の形状で実現できる。
【0087】
(2)光源33は、発光体31と、発光体31からの光を平行光束に変換して光反射部材50に入射させる光路変換部材40とを備える。この構成によれば、光反射部材50の反射面51に対して平行光を入射できる。例えば、反射面51を構成する個別反射面55の形状を規定する円錐面C1,C2の軸に対して所定角度をなす平行光を複数の個別反射面55に入射することができる。よって、表示灯30の光指向性及び光量分布の均一性を確保しやすい。
【0088】
(3)円錐面C1,C2は、入射する光の進行方向と平行な軸を有する。この構成によれば、複数の個別反射面55の面形状が少なくとも一部を形成する円錐面C1,C2が同一の形状であっても、表示灯30の長手方向Aの位置によらず水平面に対してほぼ同じ角度を指向するように光を発出できる。
【0089】
(4)個別反射面55は、入射する光の進行方向と反対の方向に向かって凸状であり円錐面C1の少なくとも一部の面形状に形成された凸形状反射面53と、入射する光の進行方向に向かって凹状であり円錐面C2の少なくとも一部の面形状に形成された凹形状反射面54とを有し、凸形状反射面53と凹形状反射面54とが、第一方向Aに並んで配置されている。この構成によれば、複数の個別反射面55を第一方向Aに密に配置できる。例えば、凸形状反射面53と凹形状反射面54とを隣同士に配置することで、反射面51に入射する平行光を指向方向に反射できる割合を高めることができる。よって、光指向性と指向方向における高い発光強度とを確保しやすい。
【0090】
(5)凸形状反射面53は、入射する光の進行方向と反対の方向に頂点が向く円錐面C1の少なくとも一部の面形状に形成される。凹形状反射面54は、入射する光の進行方向に頂点が向く円錐面C1,C2の少なくとも一部の面形状に形成されている。この構成によれば、凸形状反射面53と凹形状反射面54は、それぞれの面形状を少なくとも一部に含む仮想の円錐面C1,C2がそれぞれの頂点の向きが反対の面形状なので、凸形状反射面53と凹形状反射面54とを第一方向Aに密に配置できる。反射面51に入射する平行光を指向方向に反射できる割合を高めることができる。
【0091】
(6)凸形状反射面53と凹形状反射面54は、円錐面C1,C2の少なくとも一部の面形状に形成される。凸形状反射面53と凹形状反射面54とが、母線GL同士が接続された状態で第一方向Aに並んで配置されている。この構成によれば、凸形状反射面53と凹形状反射面54を第一方向Aに密に配置できる。例えば、凸形状反射面53と凹形状反射面54とを隣同士に配置することで、反射面51に入射する平行光を指向方向に反射できる割合を高めることができる。よって、光指向性と高い発光強度とを確保しやすい。
【0092】
(7)光反射部材50の反射面51は、凸形状反射面53と凹形状反射面54とが母線GL同士が接続された状態で第一方向Aに並んで配置されてなる個別反射面列52が、第一方向Aと交差する第二方向Kに複数配置されることで構成される。この構成によれば、凸形状反射面53と凹形状反射面54とが母線GL同士が接続された状態で第一方向Aに並んで配置されてなる個別反射面列52が、第一方向Aと交差する第二方向Kに複数配置されるので、表示灯30の発光領域を第二方向Kにも広げることができる。
【0093】
(8)光反射部材50は、透明な樹脂材料で形成されている。この構成によれば、光反射部材50は、透明な樹脂材料で形成されているので、光反射部材50を透過するときの光の減衰を抑制できる。よって、光源33の発光強度に応じた高い発光強度で表示灯30を発光できる。
【0094】
(9)個別反射面55について面形状を規定する仮想の円錐面C1,C2を想定した場合、個別反射面55の狭くなる側を頂点側、広くなる側を底面側と規定する。第二方向Kに隣合う二列の個別反射面列52の接続部分は、一方の個別反射面列52を構成する個別反射面55の頂点側と、他方の個別反射面列52を構成する個別反射面55の底面側とが対応して配置される。一方の個別反射面55の底面側が他方の個別反射面55の頂点側の方向に突出するように構成されている。この構成によれば、個別反射面55は、反射した光のうち正面に発出される光の光量を相対的に多くし正面以外の方向に発出される光の光量を相対的に少なくする。よって、表示灯30の発光分布の均一化に寄与できる。
【0095】
(10)個別反射面55について面形状を規定する仮想の円錐面C1,C2を想定した場合、個別反射面55の狭くなる側を頂点側、広くなる側を底面側と規定する。第二方向Kに隣合う二列の個別反射面列52の接続部分は、一方の個別反射面列52を構成する個別反射面55の頂点側と、他方の個別反射面列52を構成する個別反射面55の底面側とが対応して配置される。一方の個別反射面55の頂点側が他方の個別反射面55の底面側の方向に突出するように構成されている。この構成によれば、個別反射面55は、反射した光のうち正面に発出される光の光量を相対的に少なくし正面以外の方向に発出される光の光量を相対的に多くする。よって、表示灯30の発光分布の均一化に寄与できる。
【0096】
(11)第二方向Kに隣合う二列の個別反射面列52の接続部分は、一方の個別反射面55の底面側が他方の個別反射面55の頂点側の方向に突出するように構成されている部分と、一方の個別反射面55の頂点側が他方の個別反射面55の底面側の方向に突出するように構成されている部分との両方を備えている。この構成によれば、反射特性の異なる2種類の個別反射面55の両方を備える。すなわち、一方の個別反射面55は、反射した光のうち正面に発出される光の光量を相対的に少なくし正面以外の方向に発出される光の光量を相対的に多くする。他方の個別反射面55は、反射した光のうち正面に発出される光の光量を相対的に多くし正面以外の方向に発出される光の光量を相対的に少なくする。よって、表示灯30の発光分布をより一層均一化できる。
【0097】
(12)光反射部材50は光を透過させる導光部品56で構成され、反射面51は導光部品56と大気との界面で構成され、反射面51に対する入射光の入射角は臨界角より大きい。この構成によれば、入射光は反射面51で反射されるので、表示灯30の指向方向における発光強度を高く確保できる。
【0098】
(13)光反射部材50の反射面51には、光を反射させる加工がなされている。この構成によれば、入射光は反射面51で反射される割合が高くなるので、表示灯30の指向方向の発光強度を高く確保できる。
【0099】
(14)反射面51と入射光とのなす角度は、40度以上45度以下である。この構成によれば、反射面51は、入射光に対して90度以上100度以下の範囲内の角度をなす方向に光を反射することができる。例えば、鉛直方向の上向きに入射光が入射されれば、反射面51は、水平に対して0~10度の範囲内の所定角度だけ斜め上向きに指向する光を反射させることができる。例えば、印刷装置11に表示灯30が配置された場合、表示灯30からユーザーの目の高さを指向する光を発出することができる。よって、ユーザーが表示灯30の発光に気付きやすくなる。
【0100】
(15)表示灯30は、複数の色で発光する。この構成によれば、複数の色で発光するので、発光態様に加え発光色の組合せによって、種々の情報を報知できる。
(16)光反射部材50は、光源33から発せられた平行光よりなる光が入射し、入射した光を反射させる。光反射部材50は、光が反射する反射面51を有する。反射面51は、入射する光の進行方向に対して所定角度をなす軸を有する円錐面C1,C2の少なくとも一部の面形状に形成された個別反射面55が、入射光の進行方向と交差する第一方向Aに並んで配置されることで構成される。この構成によれば、表示灯30の光指向性及び指向する範囲で光量分布の均一性を確保しやすい。
【0101】
(17)表示灯30は、光源33と、光反射部材50とを備える。この構成によれば、表示灯30の光指向性及び指向する範囲で光量分布の均一性を確保しやすい。
なお、上記実施形態は以下に示す変更例のような形態に変更することもできる。さらに、上記実施形態および以下に示す変更例を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできるし、以下に示す変更例同士を適宜組み合わせたものを更なる変更例とすることもできる。
【0102】
・実施形態において、個別反射面55は、入射する光の進行方向に対して所定角度をなす軸を有する円錐面C1,C2の少なくとも一部の形状を面形状とする構成に限定されない。例えば、入射する光の進行方向に対して所定角度をなす軸を有する多角錐面の少なくとも一部の形状を面形状とする構成でもよい。例えば、
図26に示すように、多角錐面TPとして三角錐面を採用し、多角錐面TPの少なくとも一部を面形状とする個別反射面55であってもよい。
図26に示す例では、多角錐面TPの一部の形状を面形状とする個別反射面55として、凸形状反射面53と凹形状反射面54とが第一方向Aに交互に配置されている。そして、
図26に示す個別反射面列52が、第二方向Kに複数列配置されることによって反射面51が構成される。このように、
図10~
図22における個別反射面55、凸形状反射面53及び凹形状反射面54の面形状を規定する円錐面を多角錐面TPに置き替えて、個別反射面列52及び反射面51を構成してもよい。なお、多角錐面TPは、入射する光の進行方向と平行な軸を有してもよい。
【0103】
・
図26に示す変更例において、反射面51は、角数の異なる多角錐面TPの一部を面形状とする個別反射面55を組み合わせることで構成されてもよい。
・反射面51は、実施形態の円錐面C1,C2の一部を面形状とする個別反射面55と、
図26に示す多角錐面TPの一部を面形状とする個別反射面55との組合せにより構成されてもよい。
【0104】
・凸形状反射面53と凹形状反射面54は、母線GL同士を接続する配置に限定されない。凸形状反射面53と凹形状反射面54の互いの母線GLが離れた状態で配置されてもよい。
【0105】
・個別反射面55の面形状を規定する仮想の円錐面C1,C2又は多角錐面の軸と入射光Liは平行から少しずれてもよい。入射光Liは、仮想の円錐面C1,C2又は多角錐面の軸の方向に沿う方向でれば足りる。仮想の円錐面C1,C2又は多角錐面の軸と入射光Liが、例えば、10°以下の範囲でずれても、表示灯30に所望の光指向性が得られれば問題はない。
【0106】
・さらには、個別反射面55の面形状を規定する仮想の円錐面C1,C2又は多角錐面の軸が、入射する光の進行方向に対してなす所定角度は、例えば、10°を超える角度であってもよい。また、個別反射面55の面形状を規定する仮想の円錐面C1,C2又は多角錐面の軸が、入射する光の進行方向に対してなす所定角度を、発光体31に対する個別反射面55の位置に応じて変化させてもよい。
【0107】
・仮想の円錐面C1,C2又は多角錐面の軸を入射光の進行方向に対して傾けたり、母線GLの角度を射出光の向きによって変化させたりしてもよい。この構成によれば、射出光の上下方向の向きを所望の方向に調整することができる。
【0108】
・個別反射面55は、円錐面C又は多角錐面TPの一部を面形状とすることに限定されない。例えば、円錐面C又は多角錐面TPの全体(全周)を反射面とする個別反射面55としてもよい。また、個別反射面55は、円錐面C又は多角錐面TPの全周のうち、頂点側の周全体を除いた一部の全周を面形状としてもよいし、底面側の周全体を除いた一部の全周を面形状としてもよいし、さらには頂点側の周全体と底面側の周全体の両方を除いた一部の全周を面形状としてもよい。個別反射面55の面形状を、円錐面C又は多角錐面TPの全体又は一部の全周とする構成では、例えば、仮想の円錐面C又は多角錐面TPを頂点が下を向く向きに配置する。そして、この仮想の円錐面C又は多角錐面TPの全体又は一部の全周を面形状とする個別反射面55に対して、H方向に平行な平行光束を入射する。この構成では、1つの個別反射面55が反射した光が、表示灯30の正面30Aと背面30Bとの両面から発出される。
【0109】
・個別反射面55をA方向に一列に並べて個別反射面列52を形成する構成に替えて、個別反射面55をA方向に沿ってジグザグに並べてもよい。
・表示灯30は、光路変換部材40と光反射部材50との2部品を接着した構成に限らず、光路変換部材40と光反射部材50とを一体に成形して構成されてもよい。
【0110】
・表示灯30は、光路変換部材40と光反射部材50とが、それぞれ、複数の発光体31に対して一つの部材として形成される構成に限らず、複数の発光体31のそれぞれに対する部材として形成される構成でもよい。
【0111】
・表示灯30は、光路変換部材40を無くした構成でもよい。例えば、平行光を発光可能な発光体31を用いてもよい。
・個別反射面列52において隣同士の個別反射面55の組合せを、凸形状反射面53と凹形状反射面54との組合せとしたが、凸形状反射面53と凸形状反射面53との組合せ、あるいは凹形状反射面54と凹形状反射面54との組合せとしてもよい。要するに、円錐面Cの一部を面形状とする個別反射面55を配列できればよい。この場合、隣合う個別反射面55は、母線GL同士が接続されても接続されなくてもよい。
【0112】
・反射面51における第二方向に隣合う二列の個別反射面列52の接続部分の形状は、反射面51において発光体31から長手方向Aに距離が近い領域にρ0°=Minの個別反射面55を配置し、反射面51において発光体31から長手方向Aに距離が遠い領域にρ0°=Maxの個別反射面55を配置する構成に限定されない。例えば、表示灯30からの光量分布を所望のものとするために、発光体31の発光光量分布に対応させて、ρ0°=Minの個別反射面55とρ0°=Maxの個別反射面55との配置を定めてもよい。さらに、ρ0°=Minの個別反射面55のみを使用してもよいし、ρ0°=Maxの個別反射面55のみを使用してもよいし、ρ0°=Midの個別反射面55のみを使用してもよい。
【0113】
・表示灯30の形状は、適宜変更してもよい。例えば、表示灯30は、円筒形状でもよい。つまり、平面視において異方性を有しない形状であってもよい。例えば、平面視で正四角形、正三角形、正五角形、正六角形、正八角形、正N角形(但し、Nは、N>8を満たす自然数)の筒形状でもよい。
【0114】
・印刷装置11は、インクジェット式印刷装置に限定されない。印刷装置11は、レーザー式の印刷装置(レーザープリンター)、ドットインパクト方式の印刷装置(ドットインパクトプリンター)、感熱式の印刷装置などであってもよい。
【0115】
・印刷装置11は、大サイズの媒体Mに印刷可能に構成される大判プリンターに限定されず、最大サイズがA4判又はA3判等の比較的小サイズの媒体Mに印刷可能に構成されるオフィス又は個人向けのプリンターでもよい。また、印刷装置11は、捺染装置でもよい。捺染装置は、インクジェット印刷方式であってもよい。
【0116】
・電子機器は、印刷装置11に限定されず、スキャナー(画像読取装置)やプロジェクター等でもよい。さらには、テレビ等の映像機器、音響機器、冷蔵庫、電子レンジ等の電子調理器、エアコン等の空調機であってもよい。この場合、表示灯30のサイズは、適用する電子機器のサイズに応じて設定すればよい。また、電子機器は、使用時に所定の位置に載置、配置又は吊り下げ固定されるものであって、ユーザーの視線の高さと表示灯の高さが大きく変わらない位置に表示灯30が配置されてもよい。また、表示灯30は、側周面32全体が発光する構成に限定されず、側周面32のうちユーザーに視認される必要がある一部の面だけが発光する構成でもよい。例えば、壁に設置されるエアコン等の電子機器である場合、表示灯30における壁側と対向する一部の面は発光する機能がなく、壁側以外の発光が必要な面に限り発光すればよい。この場合、電子機器が設置される高さと、ユーザーの目の高さとの位置関係から、表示灯の発光面における光指向性を設定すればよい。このような光指向性の実現に個別反射面55を用いる。個別反射面55は、入射する平行光の進行方向に対して軸が所定角度をなす仮想の円錐面又は多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成する。個別反射面55の面形状を規定する円錐面又は多角錐面の軸と母線とのなす角度は、反射した光が、所望の指向性の方向に発出されるように設定する。所定角度は、仮想の円錐面又は多角錐面の軸が、入射する平行光の進行方向と平行となる角度であってもよい。
【0117】
以下、前記実施形態及び変更例から把握される技術思想を効果と共に記載する。
(A)電子機器は、前記電子機器に異常が発生した場合に所定の色で発光する表示灯を備え、前記表示灯は、平行光よりなる光を発する光源と、前記光源から発せられた光が入射し、前記入射した光を反射させる光反射部材と、を有し、前記光反射部材は、光が反射する反射面を有し、前記反射面は、入射する光の進行方向に対して所定角度をなす軸を有する円錐面又は多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成された複数の個別反射面を有し、複数の前記個別反射面が、入射光の進行方向と交差する第一方向に並んで配置されている。また、このような特性を持つ表示灯の小型化や、形状の自由度向上が可能となる。
【0118】
この構成によれば、表示灯において、光源から発せられた光が反射面に入射する入射光の進行方向及び第一方向と交差する方向に光指向性を付与できるうえ、光量分布を均一化できる。よって、表示灯の光指向性及び指向する範囲で光量分布の均一性を確保しやすい。また、このような特性を持つ表示灯の小型化や、形状の自由度向上が可能となる。
【0119】
(B)上記(A)に記載の電子機器において、前記光源は、発光体と、前記発光体からの光を平行光束に変換して前記光反射部材に入射させる光路変換部材とを備えてもよい。この構成によれば、光反射部材の反射面に対して平行光を入射できる。例えば、反射面を構成する個別反射面の形状を規定する円錐面又は多角錐面の軸と平行な平行光を複数の個別反射面に入射することができる。よって、表示灯の光指向性及び光量分布の均一性を確保しやすい。
【0120】
(C)上記(A)に記載の電子機器において、前記円錐面又は前記多角錐面は、入射する光の進行方向と平行な軸を有してもよい。この構成によれば、複数の個別反射面の面形状が少なくとも一部を形成する円錐面又は多角錘が同一の形状であっても、表示灯の位置によらず水平面に対してほぼ同じ角度を指向するように光を発出できる。
【0121】
(D)上記(A)に記載の電子機器において、前記個別反射面は、入射する光の進行方向と反対の方向に向かって凸状であり前記円錐面又は前記多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成された凸形状反射面と、入射する光の進行方向に向かって凹状であり前記円錐面又は前記多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成された凹形状反射面とを有し、前記凸形状反射面と前記凹形状反射面とが、前記第一方向に並んで配置されてもよい。
【0122】
この構成によれば、複数の個別反射面を第一方向に密に配置できる。例えば、凸形状反射面と凹形状反射面とを隣同士に配置することで、反射面に入射する平行光を指向方向に反射できる割合を高めることができる。よって、光指向性と指向方向における高い発光強度とを確保しやすい。
【0123】
(E)上記(D)に記載の電子機器において、前記凸形状反射面は、入射する光の進行方向と反対の方向に頂点が向く前記円錐面又は前記多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成され、前記凹形状反射面は、入射する光の進行方向に頂点が向く前記円錐面又は前記多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成されていてもよい。
【0124】
この構成によれば、凸形状反射面と凹形状反射面は、それぞれの面形状を少なくとも一部に含む仮想の円錐面又は多角錐面がそれぞれの頂点の向きが反対の面形状なので、凸形状反射面と凹形状反射面とを第一方向に密に配置できる。反射面に入射する平行光を指向方向に反射できる割合を高めることができる。
【0125】
(F)上記(E)に記載の電子機器において、前記凸形状反射面と前記凹形状反射面は、前記円錐面の少なくとも一部の面形状に形成され、前記凸形状反射面と前記凹形状反射面とが、母線同士が接続された状態で前記第一方向に並んで配置されていてもよい。
【0126】
この構成によれば、凸形状反射面と凹形状反射面を第一方向に密に配置できる。例えば、凸形状反射面と凹形状反射面とを隣同士に配置することで、反射面に入射する平行光を指向方向に反射できる割合を高めることができる。よって、光指向性と高い発光強度とを確保しやすい。
【0127】
(G)上記(E)に記載の電子機器において、前記光反射部材の前記反射面は、前記凸形状反射面と前記凹形状反射面とが母線同士が接続された状態で前記第一方向に並んで配置されてなる個別反射面列が、前記第一方向と交差する第二方向に複数配置されてもよい。
【0128】
この構成によれば、凸形状反射面と前記凹形状反射面とが母線同士が接続された状態で前記第一方向に並んで配置されてなる個別反射面列が、第一方向と交差する第二方向に複数配置されるので、表示灯の発光領域を第二方向にも広げることができる。
【0129】
(H)上記(A)~(G)のいずれか一つに記載の電子機器において、前記光反射部材は、透明な樹脂材料で形成されていてもよい。この構成によれば、光反射部材は、透明な樹脂材料で形成されているので、光反射部材を透過するときの光の減衰を抑制できる。よって、光源の発光強度に応じた高い発光強度で表示灯を発光できる。
【0130】
(I)上記(G)に記載の電子機器において、前記個別反射面について面形状を規定する仮想の前記円錐面又は前記多角錐面を想定した場合、前記個別反射面の狭くなる側を頂点側、広くなる側を底面側と規定すると、前記第二方向に隣合う二列の前記個別反射面列の接続部分は、一方の個別反射面列を構成する前記個別反射面の頂点側と、他方の個別反射面列を構成する前記個別反射面の底面側とが対応して配置され、一方の前記個別反射面の底面側が他方の前記個別反射面の頂点側の方向に突出するように構成されていてもよい。
【0131】
この構成によれば、個別反射面は、反射した光のうち正面に発出される光の光量を相対的に多くし正面以外の方向に発出される光の光量を相対的に少なくする。よって、表示灯の発光分布の均一化に寄与できる。
【0132】
(J)上記(G)に記載の電子機器において、前記個別反射面について面形状を規定する仮想の前記円錐面又は前記多角錐面を想定した場合、前記個別反射面の狭くなる側を頂点側、広くなる側を底面側と規定すると、前記第二方向に隣合う二列の前記個別反射面列の接続部分は、一方の個別反射面列を構成する前記個別反射面の頂点側と、他方の個別反射面列を構成する前記個別反射面の底面側とが対応して配置され、一方の前記個別反射面の頂点側が他方の前記個別反射面の底面側の方向に突出するように構成されていてもよい。
【0133】
この構成によれば、個別反射面は、反射した光のうち正面に発出される光の光量を相対的に少なくし正面以外の方向に発出される光の光量を相対的に多くする。よって、表示灯の発光分布の均一化に寄与できる。
【0134】
(K)上記(J)に記載の電子機器において、前記第二方向に隣合う二列の前記個別反射面列の接続部分は、一方の前記個別反射面の底面側が他方の前記個別反射面の頂点側の方向に突出するように構成されている部分と、一方の前記個別反射面の頂点側が他方の前記個別反射面の底面側の方向に突出するように構成されている部分との両方を備えていてもよい。
【0135】
この構成によれば、反射特性の異なる2種類の個別反射面の両方を備える。すなわち、一方の個別反射面は、反射した光のうち正面に発出される光の光量を相対的に少なくし正面以外の方向に発出される光の光量を相対的に多くする。他方の個別反射面は、反射した光のうち正面に発出される光の光量を相対的に多くし正面以外の方向に発出される光の光量を相対的に少なくする。よって、表示灯の発光分布をより一層均一化できる。
【0136】
(L)上記(J)に記載の電子機器において、前記光反射部材は光を透過させる導光部品で構成され、前記反射面は前記導光部品と大気との界面で構成され、前記反射面に対する入射光の入射角は臨界角より大きくてもよい。この構成によれば、入射光は反射面で反射されるので、表示灯の指向方向における発光強度を高く確保できる。
【0137】
(M)上記(J)に記載の電子機器において、前記光反射部材の前記反射面には、光を反射させる加工がなされていてもよい。この構成によれば、入射光は反射面で反射される割合が高くなるので、表示灯の指向方向の発光強度を高く確保できる。
【0138】
(N)上記(J)に記載の電子機器において、前記反射面と入射光とのなす角度は、40度以上45度以下であってもよい。この構成によれば、反射面は、入射光に対して90度以上100度以下の範囲内の角度をなす方向に光を反射することができる。例えば、鉛直方向の上向きに入射光が入射されれば、反射面は、水平に対して0~10度の範囲内の所定角度だけ斜め上向きに指向する光を反射させることができる。例えば、電子機器に表示灯が配置された場合、表示灯からユーザーの目の高さを指向する光を発出することができる。よって、ユーザーが表示灯の発光に気付きやすくなる。
【0139】
(O)上記(J)に記載の電子機器において、前記表示灯は、複数の色で発光してもよい。この構成によれば、複数の色で発光するので、発光態様に加え発光色の組合せによって、種々の情報を報知できる。
【0140】
(P)光反射部材は、光源から発せられた平行光よりなる光が入射し、前記入射した光を反射させる光反射部材であって、光が反射する反射面を有し、前記反射面は、入射する光の進行方向に対して所定角度をなす軸を有する円錐面又は多角錐面の少なくとも一部の面形状に形成された個別反射面が、入射光の進行方向と交差する第一方向に並んで配置されている。この構成によれば、光反射部材を表示灯に用いた場合、表示灯の光指向性及び指向する範囲で光量分布の均一性を確保しやすい。
【0141】
(Q)表示灯は、上記(A)~(O)のいずれか一つに記載の電子機器における表示灯であって、前記光源と、前記光反射部材とを備える。この構成によれば、表示灯の光指向性及び指向する範囲で光量分布の均一性を確保しやすい。
【符号の説明】
【0142】
11…電子機器の一例としての印刷装置、12…キャスター、13…支持スタンド、14…筐体、15…給送部、16…ロール体、18…排出口、20…操作パネル、21…液体収容ユニット、22…液体収容部、23…印刷部、24…キャリッジ、25…印刷ヘッド、30…表示灯、30A…正面、30B…背面、30C…側端面、31…発光体、32…側周面、33…光源、40…光路変換部材、41…レンズ部、42…第1斜状反射面、43…第2斜状反射面、44…光透過界面、45…ステップ状反射面、46…導光部品、50…光反射部材、51…反射面、51A…第1反射面、51B…第2反射面、52…個別反射面列、53…凸形状反射面、54…凹形状反射面、55…個別反射面、56…導光部品、100…制御部、ΔH1…第1の差、ΔH2…第2の差、Li…入射光、L1,L2…平行光束、Lr…反射光、Lo…発出光、C,C1,C2…仮想の円錐面、GL…母線、θ1…所定角度の一例である角度、θ2…所定角度の一例である角度、θ3…所定角度、X…幅方向、Y…搬送方向、Y1…搬送方向、Z…鉛直方向、A…第一方向の一例としての長手方向(A方向)、B…短手方向(B方向)、H…高さ方向、K…第二方向、BL…境界、F1…発光分布曲線、F2…発光分布曲線、TP…多角錐面。