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特開2024-139501液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法
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  • 特開-液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139501
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20241002BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B41J2/165 505
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050466
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】篠遠 晃
(72)【発明者】
【氏名】辻村 佐和子
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EC17
2C056EC18
2C056EC32
2C056KA01
2C056KB08
2C056KB26
2C056KB35
(57)【要約】
【課題】クリーニングに要する時間を短縮できる液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法を提供する。
【解決手段】液体吐出ヘッド15と、供給流路22と、加圧機構23と、圧力調整機構24と、制御部16と、を備え、圧力調整機構24は、液体流入部43と、ダイヤフラム48が変位することで内部の容積が変化する液体流出部44と、液体流入部43と液体流出部44とを連通する連通流路45と、開閉弁46と、を有し、加圧機構23は、第1加圧部27と、第2加圧部28と、を有し、制御部16は、第1加圧部27によって開閉弁46より上流の供給流路22内を第1圧力にした状態で、第2加圧部28によってダイヤフラム48を加圧して開閉弁46を開状態にし、第1加圧部27によって開閉弁46より上流の供給流路22内を第1圧力よりも低い第2圧力にした状態で、第2加圧部28によるダイヤフラム48への加圧を解除して開閉弁46を閉状態にする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、
液体供給源から前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給可能な供給流路と、
前記供給流路内を加圧可能な加圧機構と、
前記供給流路に設けられる圧力調整機構と、
前記加圧機構を制御する制御部と、
を備え、
前記圧力調整機構は、
前記液体供給源から供給される前記液体が流入する液体流入部と、
ダイヤフラムが変位することで内部の容積が変化する液体流出部と、
前記液体流入部と前記液体流出部とを連通する連通流路と、
前記液体流出部内が所定の負圧になることで変位する前記ダイヤフラムによって、前記連通流路を閉鎖する閉状態から前記連通流路を開放する開状態になる開閉弁と、
を有し、
前記加圧機構は、
前記開閉弁より上流の前記供給流路内を加圧可能な第1加圧部と、
前記液体流出部の容積が小さくなる方向に前記ダイヤフラムを加圧可能な第2加圧部と、
を有し、
前記制御部は、
前記第1加圧部によって前記開閉弁より上流の前記供給流路内を第1圧力にした状態で、前記第2加圧部によって前記ダイヤフラムを加圧して前記開閉弁を前記開状態にし、
前記第1加圧部によって前記開閉弁より上流の前記供給流路内を前記第1圧力よりも低い第2圧力にした状態で、前記第2加圧部による前記ダイヤフラムへの加圧を解除して前記開閉弁を前記閉状態にすることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記第2圧力は、
前記第2加圧部による前記ダイヤフラムへの加圧を解除した際に前記ノズル内の前記液体に作用する圧力がメニスカスを破壊する負圧よりも高くなるように設定されることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1加圧部は、加圧ポンプを含み、
前記制御部は、
前記加圧ポンプに印加する電圧を変化させることで、前記開閉弁より上流の前記供給流路内に対する加圧力を変化させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
ノズルから液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、液体供給源から前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給可能な供給流路と、前記供給流路内を加圧可能な加圧機構と、前記供給流路に設けられる圧力調整機構と、を備え、
前記圧力調整機構は、
前記液体供給源から供給される前記液体が流入する液体流入部と、ダイヤフラムが変位することで内部の容積が変化する液体流出部と、前記液体流入部と前記液体流出部とを連通する連通流路と、前記液体流出部内が所定の負圧になることで変位する前記ダイヤフラムによって、前記連通流路を閉鎖する閉状態から前記連通流路を開放する開状態になる開閉弁と、を有し、
前記加圧機構は、
前記開閉弁より上流の前記供給流路内を加圧可能な第1加圧部と、前記液体流出部の容積が小さくなる方向に前記ダイヤフラムを加圧可能な第2加圧部と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、
前記第1加圧部によって前記開閉弁より上流の前記供給流路内を第1圧力にした状態で、前記第2加圧部によって前記ダイヤフラムを加圧して前記開閉弁を前記開状態にすることと、
前記第1加圧部によって前記開閉弁より上流の前記供給流路内を前記第1圧力よりも低い第2圧力にした状態で、前記第2加圧部による前記ダイヤフラムへの加圧を解除して前記開閉弁を前記閉状態にすることと、
を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項5】
前記第1加圧部は、加圧ポンプを含み、
前記加圧ポンプに印加する電圧を変化させて、前記開閉弁より上流の前記供給流路内に対する加圧力を前記第1圧力から前記第2圧力に変化させることを更に含むことを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、液体吐出ヘッドの一例である液体噴射部のノズルから液体を吐出して印刷する液体吐出装置の一例である液体噴射装置がある。液体噴射装置は、ノズルの吐出不良を回復させるためにクリーニングを行う。
【0003】
具体的には、液体噴射装置は、加圧した液体をノズルから排出させる排出動作を行うことで、ノズルの吐出不良を回復させる。しかし、排出動作を行うと、液体噴射部内の圧力が印刷時よりも高くなる。液体噴射部内の圧力が高い状態では、液体の吐出が不安定になる虞がある。そのため、液体噴射装置のクリーニングは、排出動作と、液体噴射部内の加圧された液体を排出させる圧力低下動作と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-94743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の液体噴射装置のように、排出動作を行った後にそのまま圧力低下動作を行う場合、クリーニングに要する時間が長くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する液体吐出装置は、ノズルから液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、液体供給源から前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給可能な供給流路と、前記供給流路内を加圧可能な加圧機構と、前記供給流路に設けられる圧力調整機構と、前記加圧機構を制御する制御部と、を備え、前記圧力調整機構は、前記液体供給源から供給される前記液体が流入する液体流入部と、ダイヤフラムが変位することで内部の容積が変化する液体流出部と、前記液体流入部と前記液体流出部とを連通する連通流路と、前記液体流出部内が所定の負圧になることで変位する前記ダイヤフラムによって、前記連通流路を閉鎖する閉状態から前記連通流路を開放する開状態になる開閉弁と、を有し、前記加圧機構は、前記開閉弁より上流の前記供給流路内を加圧可能な第1加圧部と、前記液体流出部の容積が小さくなる方向に前記ダイヤフラムを加圧可能な第2加圧部と、を有し、前記制御部は、前記第1加圧部によって前記開閉弁より上流の前記供給流路内を第1圧力にした状態で、前記第2加圧部によって前記ダイヤフラムを加圧して前記開閉弁を前記開状態にし、前記第1加圧部によって前記開閉弁より上流の前記供給流路内を前記第1圧力よりも低い第2圧力にした状態で、前記第2加圧部による前記ダイヤフラムへの加圧を解除して前記開閉弁を前記閉状態にする。
【0007】
上記課題を解決する液体吐出装置の制御方法は、ノズルから液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、液体供給源から前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給可能な供給流路と、前記供給流路内を加圧可能な加圧機構と、前記供給流路に設けられる圧力調整機構と、を備え、前記圧力調整機構は、前記液体供給源から供給される前記液体が流入する液体流入部と、ダイヤフラムが変位することで内部の容積が変化する液体流出部と、前記液体流入部と前記液体流出部とを連通する連通流路と、前記液体流出部内が所定の負圧になることで変位する前記ダイヤフラムによって、前記連通流路を閉鎖する閉状態から前記連通流路を開放する開状態になる開閉弁と、を有し、前記加圧機構は、前記開閉弁より上流の前記供給流路内を加圧可能な第1加圧部と、前記液体流出部の容積が小さくなる方向に前記ダイヤフラムを加圧可能な第2加圧部と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、前記第1加圧部によって前記開閉弁より上流の前記供給流路内を第1圧力にした状態で、前記第2加圧部によって前記ダイヤフラムを加圧して前記開閉弁を前記開状態にすることと、前記第1加圧部によって前記開閉弁より上流の前記供給流路内を前記第1圧力よりも低い第2圧力にした状態で、前記第2加圧部による前記ダイヤフラムへの加圧を解除して前記開閉弁を前記閉状態にすることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、液体吐出装置の一実施形態の模式図である。
図2図2は、開閉弁が開状態の液体吐出装置を示す模式図である。
図3図3は、液体吐出装置の変更例の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法の一実施形態を、図面を参照して説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙、布帛、ビニール、プラスチック部品、金属部品などの媒体に液体の一例であるインクを吐出して印刷するインクジェット式のプリンターである。
【0010】
図面では、液体吐出装置11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。
【0011】
<液体吐出装置>
図1に示すように、液体吐出装置11は、装着部12と、供給機構13と、キャリッジ14と、液体吐出ヘッド15と、制御部16と、を備えてもよい。
【0012】
装着部12は、液体を収容する液体供給源18が着脱可能に装着されてもよい。液体供給源18に液体の補充が可能である場合、液体供給源18は、装着部12に固定されてもよい。
【0013】
キャリッジ14は、液体吐出ヘッド15を搭載して走査方向に移動可能である。走査方向は、媒体19の印刷される面に沿う方向である。走査方向は、Y軸に平行な方向であってもよい。キャリッジ14は、媒体19を横切るように液体吐出ヘッド15を往復移動させてもよい。
【0014】
液体吐出ヘッド15は、ノズル20から液体を吐出可能である。液体吐出ヘッド15は、複数のノズル20から液体を吐出して媒体19に印刷する。液体吐出ヘッド15は、供給機構13によって供給された液体を吐出する。
【0015】
<供給機構>
供給機構13は、装着部12に装着された液体供給源18から液体吐出ヘッド15に液体を供給する。供給機構13は、供給流路22と、加圧機構23と、圧力調整機構24と、を備える。供給機構13は、脱気機構25と、駆動機構26と、を備えてもよい。加圧機構23は、第1加圧部27と、第2加圧部28と、を有する。加圧機構23は、供給流路22内を加圧可能である。
【0016】
供給流路22は、上流端が装着部12に設けられてもよい。供給流路22の上流端は、例えば液体供給源18に刺さる中空の針であってもよい。供給流路22は、装着部12に装着された液体供給源18に上流端が接続されることにより、液体供給源18に収容された液体を導出可能になる。
【0017】
供給流路22は、下流端が液体吐出ヘッド15に接続される。供給流路22は、液体供給源18から液体吐出ヘッド15に液体を供給可能である。供給流路22は、液体供給源18と液体吐出ヘッド15とを、液体の流動が可能な状態に接続する。供給流路22には、液体供給源18が設けられる上流側から順に第1加圧部27、圧力調整機構24、および脱気機構25が設けられる。
【0018】
<第1加圧部>
第1加圧部27は、第1一方向弁30と、加圧ポンプ31と、リリーフ流路32と、リリーフ弁33と、を含んでもよい。
【0019】
第1一方向弁30は、加圧ポンプ31より供給方向Dsの上流に設けられる。第1一方向弁30は、供給方向Dsの下流側に向かう液体の流動を許容すると共に、上流側に向かう液体の流動を制限する。
【0020】
加圧ポンプ31は、供給方向Dsにおいて、第1一方向弁30より下流に設けられる。加圧ポンプ31は、液体供給源18に収容される液体に負圧を作用させることで、液体を供給流路22に導出する。加圧ポンプ31は、液体供給源18から液体吐出ヘッド15に向けて供給方向Dsに液体を加圧供給する。加圧ポンプ31は、例えばチューブポンプである。
【0021】
リリーフ流路32は、供給流路22における第1接続部35及び第2接続部36を接続する。第1接続部35は、供給方向Dsにおいて、第1一方向弁30と加圧ポンプ31との間に設けられる。第2接続部36は、供給方向Dsにおいて、加圧ポンプ31より下流に設けられる。
【0022】
リリーフ弁33は、リリーフ流路32に設けられる。リリーフ弁33は、リリーフ流路32内の液体の圧力が所定の圧力よりも高くなった場合に、自動的に開弁するように構成される。リリーフ弁33が開弁すると、第1接続部35と第2接続部36の間の供給流路22、およびリリーフ流路32において液体が循環する。リリーフ弁33は、供給流路22内の液体にかかる圧力を制限する。リリーフ弁33が開弁する圧力は、例えば第1圧力であってもよい。
【0023】
<圧力調整機構>
圧力調整機構24は、キャリッジ14に設けられてもよい。圧力調整機構24は、フィルター室41と、フィルター42と、を有してもよい。圧力調整機構24は、液体流入部43と、液体流出部44と、連通流路45と、開閉弁46と、を有してもよい。フィルター室41、液体流入部43、連通流路45、及び液体流出部44は、供給流路22の一部を構成してもよい。フィルター室41、液体流入部43、連通流路45、及び液体流出部44は、供給流路22を流れる液体を一時貯留する。
【0024】
フィルター42は、フィルター室41に設けられてもよい。フィルター42は、液体中に含まれる異物を捕集する。フィルター42としては、例えば網目状体、多孔質体、微細な貫通孔を形成した多孔板などを用いることができる。
【0025】
液体供給源18から供給される液体は、フィルター室41およびフィルター42を通過して液体流入部43に流入する。すなわち、液体流入部43には、液体供給源18から供給される液体が流入する。
【0026】
液体流出部44は、一部が可撓性を有するダイヤフラム48で形成される。ダイヤフラム48は、撓み変位可能である。ダイヤフラム48は、液体流出部44の壁面の一部を形成する。液体流出部44は、ダイヤフラム48が変位することで内部の容積が変化する。
【0027】
連通流路45は、液体流入部43と液体流出部44とを連通する。連通とは、液体および気体などの流体を流動可能な状態に接続することである。すなわち、連通流路45は、液体流入部43と液体流出部44とを、液体の流動が可能な状態に接続する。
【0028】
開閉弁46は、受圧部50と、弁体51と、上流側押付部材52と、下流側押付部材53と、を有してもよい。
受圧部50は、基端が液体流入部43に収容されると共に、先端が液体流出部44に収容される。
【0029】
弁体51は、連通流路45を開閉可能である。弁体51は、例えば、液体流入部43内に位置する受圧部50の基端部分に取り付けられたゴム又は樹脂などの弾性体であってもよい。
【0030】
上流側押付部材52は、液体流入部43に収容される。上流側押付部材52は、受圧部50を介して連通流路45を閉塞する方向に弁体51を押し付ける。
下流側押付部材53は、液体流出部44に収容される。下流側押付部材53は、受圧部50を介して液体流出部44の容積を大きくする方向にダイヤフラム48を押す。
【0031】
開閉弁46は、液体吐出ヘッド15内の圧力が所定の負圧を下回ったときに連通流路45を開放する。開閉弁46は、液体流出部44内が所定の負圧になることで変位するダイヤフラム48によって、連通流路45を閉鎖する閉状態から連通流路45を開放する開状態になる。具体的には、例えばノズル20から液体が吐出されて液体吐出ヘッド15内の圧力が低下すると、液体流出部44内の圧力も低下する。液体流出部44の内圧が低下することによって、ダイヤフラム48が受圧部50を押す力が上流側押付部材52及び下流側押付部材53の押付力を上回った場合に、弁体51は連通流路45を開放する。
【0032】
連通流路45が開放されて液体流入部43から液体流出部44に液体が流入すると、液体流出部44の内圧が上昇する。その結果、液体流出部44の内圧が正圧まで上昇する前に、上流側押付部材52及び下流側押付部材53の押付力によって弁体51が連通流路45を閉塞する。こうして、液体流出部44の内圧は、上流側押付部材52及び下流側押付部材53の押付力に応じた負圧の範囲に保持される。
【0033】
液体流出部44の内圧は、液体吐出ヘッド15からの液体の排出に伴って低下する。弁体51は、液体流出部44の外圧である大気圧と液体流出部44の内圧との差圧に応じて自律的に連通流路45を開閉する。そのため、圧力調整機構24は差圧弁である。差圧弁は、減圧弁又は自己封止弁とも呼ばれる。圧力調整機構24は、液体吐出ヘッド15に供給される液体の圧力をノズル20から吐出可能な調整圧力に調整する。調整圧力は、例えば-1kPaである。調整圧力は、ノズル20から液体を吐出する方向に対して凹形状の液面がノズル20に形成される圧力である。凹形状の液面は、メニスカスともいう。圧力調整機構24は、加圧供給される液体の圧力を調整することで、ノズル20に供給される液体の圧力を安定させる。
【0034】
<第2加圧部>
第2加圧部28は、キャリッジ14に設けられてもよい。第2加圧部28は、液体流出部44の容積が小さくなる方向にダイヤフラム48を加圧可能に構成される。第2加圧部28は、ダイヤフラム48を液体流出部44の外から押すことで、供給流路22の一部を構成する液体流出部44を加圧可能である。
【0035】
第2加圧部28は、第1空気室57と、収容室58と、を備えてもよい。第2加圧部28は、強制的に連通流路45を開放することにより、液体吐出ヘッド15に液体を加圧供給することが可能な状態にする。
【0036】
第1空気室57は、ダイヤフラム48の液体流出部44とは反対側に設けられる。第1空気室57は、少なくともダイヤフラム48に対向する部分が変位可能である。第1空気室57は、少なくとも一部が可撓性を有する可撓部材59で形成されてもよい。本実施形態の第1空気室57は、全体が可撓部材59で形成される。本実施形態の第1空気室57は、袋状の可撓部材59により形成される。本実施形態の第1空気室57は、全体が可撓性を有する。第1空気室57は、可撓部材59がダイヤフラム48に接触可能に構成されてもよい。
【0037】
収容室58は、ダイヤフラム48により液体流出部44と区画される。収容室58は、第1空気室57を収容する。すなわち、収容室58は、第1空気室57を形成する可撓部材59を変位可能な状態で収容する。
【0038】
<脱気機構>
脱気機構25は、キャリッジ14に設けられてもよい。脱気機構25は、脱気室61と、第2空気室62と、透過部63と、を備えてもよい。
【0039】
脱気室61は、供給流路22に設けられる。脱気室61は、一部が透過部63で形成されてもよい。
第2空気室62は、透過部63の脱気室61とは反対側に設けられる。
【0040】
透過部63は、脱気室61と第2空気室62とを区画する。透過部63は、樹脂により構成してもよい。透過部63は、気体透過性を有してもよい。透過部63は、剛性を有する板部材であってもよい。
【0041】
<駆動機構>
駆動機構26は、ポンプ65と、吸気流路66と、排気流路67と、第1切り替え部68と、第2切り替え部69と、を備えてもよい。駆動機構26は、第1接続流路71と、第2接続流路72と、第1調圧部73と、第2調圧部74と、検出部75と、第2一方向弁76と、を備えてもよい。
【0042】
ポンプ65は、吸気および排気が可能である。本実施形態のポンプ65は、エアポンプである。ポンプ65は、例えばダイヤフラムポンプであってもよいし、チューブポンプであってもよい。
【0043】
吸気流路66は、ポンプ65の吸気側と連通する。吸気流路66は、ポンプ65と第1切り替え部68とを連通させる。吸気流路66は、ポンプ65、第1切り替え部68、および第2切り替え部69を連通させてもよい。本実施形態の吸気流路66は、上流側が分岐して第1切り替え部68および第2切り替え部69に接続されると共に、下流端がポンプ65に接続される。
【0044】
排気流路67は、ポンプ65の排気側と連通する。排気流路67は、ポンプ65と第1切り替え部68とを連通させる。排気流路67は、ポンプ65、第1切り替え部68、および第2切り替え部69を連通させてもよい。本実施形態の排気流路67は、上流端がポンプ65に接続されると共に、下流側が分岐して第1切り替え部68および第2切り替え部69に接続される。
【0045】
第1切り替え部68は、第1空気室57に接続する流路を吸気流路66と排気流路67との間で切り替え可能である。第2切り替え部69は、第2空気室62に接続する流路を吸気流路66と排気流路67との間で切り替え可能である。すなわち、吸気流路66は、第1空気室57と第2空気室62に接続可能である。排気流路67は、第1空気室57と第2空気室62に接続可能である。第1切り替え部68と第2切り替え部69は、三方弁であってもよい。
【0046】
第1接続流路71は、第1切り替え部68と第1空気室57とを接続してもよい。
第2接続流路72は、第2切り替え部69と第2空気室62とを接続してもよい。
第1調圧部73は、吸気流路66に設けられる。第1調圧部73は、吸気流路66内の圧力を所定の負圧に維持可能である。第1調圧部73は、吸気流路66内の負圧が所定の負圧より大きくなった場合に開弁することで、吸気流路66内に空気を取り入れるレギュレーターであってもよい。所定の負圧とは、第1空気室57の容積が小さくなるように可撓部材59を変位させるのに十分な圧力であってもよい。所定の負圧とは、圧力調整機構24が調整する調整圧力よりも大きい負圧であってもよい。所定の負圧とは、脱気室61から第2空気室62に透過部63を介して気体が移動可能な圧力であってもよい。
【0047】
第2調圧部74は、排気流路67に設けられる。第2調圧部74は、排気流路67内の圧力を所定の正圧に維持可能である。第2調圧部74は、排気流路67内の正圧が所定の正圧より大きくなった場合に開弁することで、排気流路67内の空気を逃がすレギュレーターであってもよい。所定の正圧とは、第1空気室57の容積が大きくなるように変位した可撓部材59がダイヤフラム48を押すことにより、液体流出部44の容積を小さくするようにダイヤフラム48を変位させることができる圧力であってもよい。所定の正圧とは、加圧ポンプ31が液体を供給する圧力より大きい圧力であってもよい。
【0048】
検出部75は、吸気流路66に設けられてもよい。検出部75は、吸気流路66内の圧力を検出してもよい。
第2一方向弁76は、吸気流路66に設けられてもよい。第2一方向弁76は、第1調圧部73と第1切り替え部68との間に設けられてもよい。第2一方向弁76は、第1調圧部73と第2切り替え部69との間に設けられてもよい。本実施形態の第2一方向弁76は、分岐する吸気流路66の分岐点と第1調圧部73との間に設けられる。
【0049】
第2一方向弁76は、第1空気室57および第2空気室62からポンプ65に向かう空気の流動を許容すると共に、ポンプ65から第1空気室57および第2空気室62に向かう空気の流動を制限する。第2一方向弁76を設けることにより、第1調圧部73から吸気流路66に空気が流入した場合でも、第1空気室57内および第2空気室62内を所定の負圧に維持することができる。
【0050】
<制御部>
制御部16は、液体吐出装置11における各機構の駆動を統括的に制御すると共に、液体吐出装置11で実行される各種動作を制御する。
【0051】
制御部16は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0052】
<加圧クリーニング>
加圧クリーニングは、液体吐出ヘッド15に加圧した液体を供給することにより、ノズル20から液体を排出させるクリーニングである。
【0053】
液体吐出装置11の制御方法は、第1加圧部27によって開閉弁46より上流の供給流路22内を第1圧力にした状態で、第2加圧部28によってダイヤフラム48を加圧して開閉弁46を開状態にすることを含む。第1加圧部27は、開閉弁46より上流の供給流路22内を加圧可能である。
【0054】
制御部16は、加圧機構23を制御する。制御部16は、加圧ポンプ31に第1電圧を印加する。第1加圧部27は、加圧ポンプ31の駆動により、供給流路22内の液体に第1圧力を加える。制御部16は、第1加圧部27によって開閉弁46より上流の供給流路22内を第1圧力にする。すなわち、フィルター室41及び液体流入部43内の圧力は、第1圧力になる。
【0055】
第1圧力は、第1加圧部27が印刷時に供給流路22内を加圧する圧力と同程度であってもよい。第1圧力は、圧力調整機構24と加圧ポンプ31との間の水頭、供給流路22の流路抵抗、液体の粘度などに応じて設定される。本実施形態の第1圧力は、例えば25kPaに設定される。
【0056】
制御部16は、駆動機構26を制御してもよい。制御部16は、第1切り替え部68を制御することにより、第1空気室57を排気流路67に接続させる。制御部16は、第2切り替え部69を制御することにより、第2空気室62を吸気流路66に接続させる。第1切り替え部68と第2切り替え部69の制御は、加圧ポンプ31を駆動した後に行ってもよいし、駆動する前に行ってもよい。
【0057】
図2に示すように、制御部16は、開閉弁46より上流の供給流路22内を第1圧力にした状態で、第2加圧部28によってダイヤフラム48を加圧して開閉弁46を開状態にする。具体的には、制御部16は、ポンプ65を駆動させる。ポンプ65は、吸気流路66を介して第2空気室62から空気を吸引すると共に、排気流路67を介して第1空気室57に空気を流入させる。加圧された第1空気室57は、膨張する。制御部16は、第1空気室57へ排気して第1空気室57内を加圧することで、液体流出部44内の容積が小さくなる方向にダイヤフラム48を変位させる。すなわち、可撓部材59は、ダイヤフラム48を液体流出部44の容積を小さくする方向に撓み変位させることによって、強制的に連通流路45を開放する。
【0058】
液体流出部44の容積が小さくなった分の液体は、ノズル20から排出される。開閉弁46より上流は、第1圧力に加圧されている。そのため、連通流路45が開放されると、加圧された液体がノズル20から排出される。
【0059】
このとき、第2空気室62には、吸気流路66が接続されている。駆動機構26は、第2空気室62から吸気して第2空気室62内を減圧する。第2空気室62は、減圧された状態に維持される。
【0060】
ノズル20から十分に液体が排出されると、制御部16は、連通流路45を開放させたまま、加圧ポンプ31に印加する電圧を、第1電圧から第2電圧に変更する。第2電圧は、第1電圧より低い。すなわち、制御部16は、加圧ポンプ31に印加する電圧を低下させる。加圧ポンプ31に印加される電圧が低下すると、第1加圧部27が供給流路22内の液体に加える圧力が小さくなる。制御部16は、第1加圧部27によって開閉弁46より上流の供給流路22内を第1圧力より低い第2圧力にする。制御部16は、加圧ポンプ31に印加する電圧を変化させることで、開閉弁46より上流の供給流路22内に対する加圧力を変化させる。制御部16は、例えばデューティー比を変更するパルス幅変調制御を行うことで、加圧ポンプ31に印加する電圧を調整してもよい。
【0061】
第2圧力は、例えば第1圧力の半分程度の圧力であってもよいし、第1圧力の半分より小さな圧力であってもよい。第2圧力は、正の圧力である。第2圧力は、第2加圧部28によるダイヤフラム48への加圧を解除した際にノズル20内の液体に作用する圧力がメニスカスを破壊する負圧よりも高くなるように設定される。
【0062】
液体吐出ヘッド15内の液体は、上述した調整圧力より低い破壊圧力が作用すると、メニスカスが破壊されて、ノズル20から空気を引き込んでしまう虞がある。調整圧力と破壊圧力は、負の圧力である。破壊圧力は、調整圧力より大きな負圧である。破壊圧力は、ノズル20の大きさ、液体の種類などに応じて決まる。破壊圧力は、例えば-3kPaである。
【0063】
圧力調整機構24は、上流側押付部材52及び下流側押付部材53が受圧部50を介してダイヤフラム48を押すことで、開閉弁46より下流側に負圧を作用させる。第2圧力は、上流側押付部材52及び下流側押付部材53の押付力、ノズル20に対する開閉弁46の水頭差などに応じて設定されてもよい。具体的には、第2圧力は、第2圧力と、押付力と、水頭差と、の合計が調整圧力より低く、破壊圧力より高くなるように設定されてもよい。押付力は負の圧力であり、水頭差は正の圧力である。本実施形態の第2圧力は、例えば5~13kPaの間で設定可能である。
【0064】
液体吐出装置11の制御方法は、第1加圧部27によって開閉弁46より上流の供給流路22内を第1圧力よりも低い第2圧力にした状態で、第2加圧部28によるダイヤフラム48への加圧を解除して開閉弁46を閉状態にすることを含む。制御部16は、開閉弁46より下流の供給流路22内の圧力が第2圧力になった後、開閉弁46を閉状態にしてもよい。
【0065】
制御部16は、開閉弁46より上流の供給流路22内を第2圧力にした状態で、第2加圧部28によるダイヤフラム48への加圧を解除して開閉弁46を閉状態にする。具体的には、制御部16は、第1切り替え部68を制御することにより、第1空気室57を吸気流路66に接続させる。第2空気室62は、吸気流路66に接続されている。第1空気室57および第2空気室62が吸気流路66に接続されると、ポンプ65は、第1空気室57および第2空気室62内の空気を吸引する。第1空気室57および第2空気室62は、減圧される。吸引された空気は、第2調圧部74から排出される。
【0066】
図1に示すように、空気が吸引された第1空気室57は、収縮する。すなわち、可撓部材59は、ダイヤフラム48から離れる。ダイヤフラム48は、受圧部50を介して上流側押付部材52および下流側押付部材53に押されることにより、液体流出部44の容積が大きくなる方向に変位する。受圧部50と共に移動する弁体51は、連通流路45を塞ぐ。第2空気室62は、減圧された状態が維持されている。加圧クリーニングが終了すると、制御部16は、ポンプ65の駆動を停止させる。
【0067】
開閉弁46が閉状態になると、制御部16は、フラッシングを行わせてもよい。フラッシングとは、ノズル20から液体を吐出させることで、液体を排出させる動作である。フラッシングを行うことで、メニスカスを整えることができる。
【0068】
加圧クリーニング後に印刷を行う場合、制御部16は、加圧ポンプ31に第1電圧を印加してもよい。加圧クリーニング後に液体吐出装置11の電源が落とされる場合、制御部16は、加圧ポンプ31の駆動を停止させる。加圧クリーニング後に液体吐出装置11の電源が投入されたまま待機する場合、制御部16は、加圧ポンプ31に第1電圧を印加してもよいし、加圧ポンプ31の駆動を停止させてもよい。
【0069】
<実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
液体吐出ヘッド15は、加圧クリーニングにおいて、第1圧力で供給される液体を排出する。その後、液体吐出ヘッド15に供給される液体の圧力は、第2圧力に変更される。第2圧力は、第1圧力よりも低い正の圧力である。そのため、開閉弁46より下流側の供給流路22内が第2圧力になると、液体吐出ヘッド15からは液体が排出されるが、排出の勢いは弱まる。
【0070】
開状態の開閉弁46が閉状態になる場合、液体流出部44の容積が拡大することにより、液体吐出ヘッド15側から液体を引き込もうとする。これにより、第2圧力が相殺されて、ノズル20にメニスカスが形成される。開閉弁46より下流側の供給流路22内の圧力は、調整圧力より低く、且つ破壊圧力より高くなる。
【0071】
<実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1-1)制御部16は、開閉弁46より上流の供給流路22内を第1圧力にした状態で、開閉弁46を開状態にすることでノズル20から液体を排出させる。制御部16は、開閉弁46より上流の供給流路22内を第1圧力よりも低い第2圧力にした状態で、開閉弁46を閉状態にする。そのため、第1圧力のまま開閉弁46を閉状態にする場合に比べ、開閉弁46を閉状態にしたときの液体吐出ヘッド15内の圧力を小さくすることができる。したがって、開閉弁46を閉状態とした後に、液体吐出ヘッド15内の加圧された液体を排出させる動作を短縮することができるため、クリーニングに要する時間を短縮できる。
【0072】
(1-2)加圧が解除されたダイヤフラム48は、液体流出部44の容積が大きくなる方向に変位する。そのため、第2圧力が低すぎる場合は、ノズル20のメニスカスが破壊されて、ノズル20から空気を引き込んでしまう虞がある。その点、第2圧力は、ノズル20内の液体に作用する圧力が、メニスカスを破壊する圧力より高くなるように設定される。したがって、開閉弁46を閉状態にした際に、ノズル20から空気を引き込んでしまうことを抑制できる。
【0073】
(1-3)第1加圧部27は、加圧ポンプ31を含む。供給流路22内に対する加圧力の変更は、加圧ポンプ31に印加される電圧を変化させることで行われる。したがって、供給流路22内を加圧する圧力を容易に変化させることができる。
【0074】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0075】
図3に示すように、第1空気室57は、一部が可撓性を有する可撓部材59で形成されてもよい。第1空気室57は、硬質のケース78と、可撓部材59と、により構成されてもよい。可撓部材59は、ケース78の開口を塞ぐことで第1空気室57を形成してもよい。第2加圧部28は、可撓部材59がダイヤフラム48に対向もしくは接触するように配置されてもよい。ポンプ65が第1空気室57から吸気すること、および第1空気室57へ排気することで、第1空気室57の一部である可撓部材59が変位してもよい。
【0076】
・第2加圧部28は、例えばレバーを備えてもよい。第2加圧部28は、レバーによってダイヤフラム48を液体流出部44の外から押すことで、開閉弁46を開状態にしてもよい。
【0077】
・液体吐出装置11は、複数の供給機構13を備えてもよい。複数の供給機構13は、それぞれ異なる種類の液体を供給してもよい。種類の異なる液体とは、例えば色の異なるインクである。液体吐出ヘッド15は、複数種類の液体を吐出することにより、媒体19にカラー印刷を行ってもよい。液体吐出装置11は、複数の供給機構13と、供給機構13と同数の駆動機構26と、を備えてもよい。各駆動機構26は、供給機構13に個別に接続されてもよい。液体吐出装置11は、複数の供給機構13と、供給機構13よりも少ない駆動機構26と、を備えてもよい。1つの駆動機構26が、複数の供給機構13に接続されてもよい。駆動機構26は、複数の第1切り替え部68と、複数の第1接続流路71と、を備えてもよい。複数の第1接続流路71は、複数の供給機構13が備える第1空気室57にそれぞれ接続されてもよい。駆動機構26は、複数の第2切り替え部69と、複数の第2接続流路72と、を備えてもよい。複数の第2接続流路72は、複数の供給機構13が備える第2空気室62にそれぞれ接続されてもよい。駆動機構26は、複数の第1空気室57の加圧および減圧を行ってもよい。駆動機構26は、複数の第2空気室62の加圧および減圧を行ってもよい。
【0078】
・液体吐出装置11が複数の第1空気室57を備える場合、駆動機構26は、1つの第1切り替え部68と、分岐した第1接続流路71と、を備えてもよい。分岐した第1接続流路71は、1つの第1切り替え部68と、複数の第1空気室57と、を接続してもよい。
【0079】
・液体吐出装置11が複数の第2空気室62を備える場合、駆動機構26は、1つの第2切り替え部69と、分岐した第2接続流路72と、を備えてもよい。分岐した第2接続流路72は、1つの第2切り替え部69と、複数の第2空気室62と、を接続してもよい。
【0080】
・キャリッジ14は、液体吐出ヘッド15を媒体19の搬送経路上に固定して配置するラインタイプであってもよい。
・液体流出部44、脱気室61、第1空気室57、および第2空気室62のうち、全てもしくは少なくとも1つは、キャリッジ14と別に設けられてもよい。
【0081】
・脱気機構25は、液体流出部44よりも供給方向Dsの上流の供給流路22に設けられてもよい。脱気室61は、加圧供給される液体を貯留してもよい。脱気機構25は、第2空気室62を備えない構成としてもよい。すなわち、脱気機構25は、脱気室61内の圧力と、大気圧との差圧により、脱気室61内の気泡を透過部63を介して排出させてもよい。
【0082】
・液体吐出装置11は、第2切り替え部69および第2接続流路72を備えない構成としてもよい。第2空気室62には、吸気流路66が直接接続されてもよい。
・吸気流路66および排気流路67は、第2空気室62に接続しなくてもよい。
【0083】
・第1調圧部73と第2調圧部74は、空気を溜めるタンクであってもよい。第1調圧部73と第2調圧部74は、空気を溜める空間の容積を変更することで、吸気流路66および排気流路67の圧力を調整してもよい。
【0084】
・液体吐出装置11は、第1調圧部73と第2調圧部74のうち少なくとも一方を備えない構成としてもよい。制御部16は、検出部75の検出結果に基づいて吸気流路66内の圧力が所定の負圧になるようにポンプ65の駆動を制御してもよい。制御部16は、検出部75の検出結果に基づいて排気流路67内の圧力が所定の正圧になるようにポンプ65の駆動を制御してもよい。
【0085】
・第1空気室57は、全体が硬質部材で形成されてもよい。例えば第1空気室57は、内部の圧力によってピストンが変位するシリンダーにより形成されてもよい。
・第1加圧部27は、加圧ポンプ31を複数備えてもよい。制御部16は、駆動する加圧ポンプ31を変更することで、供給流路22内の圧力を変更してもよい。
【0086】
・第2圧力は、第2加圧部28によるダイヤフラム48への加圧を解除した際に、ノズル20内の圧力が破壊圧力より低くなるように設定されてもよい。例えば、開状態の開閉弁46が閉状態になる際のダイヤフラム48の変位量が小さい場合は、メニスカスが破壊されても引き込まれる空気の量が少ない。そのため、フラッシングを行ってノズル20の状態を回復させてもよい。
【0087】
・第2圧力は、第2加圧部28によるダイヤフラム48への加圧を解除した際に、ノズル20内の圧力が調整圧力より高くなるように設定されてもよい。調整圧力より高くなったとしても、第1圧力でダイヤフラム48への加圧を解除した場合と比べてノズル20内の圧力を早く調整圧力に近づけることができるため、クリーニングに要する時間を短縮することができる。
【0088】
・液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体吐出装置であってもよい。液体吐出装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体吐出装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体吐出装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。
【0089】
[定義]
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0090】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0091】
(A)液体吐出装置は、ノズルから液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、液体供給源から前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給可能な供給流路と、前記供給流路内を加圧可能な加圧機構と、前記供給流路に設けられる圧力調整機構と、前記加圧機構を制御する制御部と、を備え、前記圧力調整機構は、前記液体供給源から供給される前記液体が流入する液体流入部と、ダイヤフラムが変位することで内部の容積が変化する液体流出部と、前記液体流入部と前記液体流出部とを連通する連通流路と、前記液体流出部内が所定の負圧になることで変位する前記ダイヤフラムによって、前記連通流路を閉鎖する閉状態から前記連通流路を開放する開状態になる開閉弁と、を有し、前記加圧機構は、前記開閉弁より上流の前記供給流路内を加圧可能な第1加圧部と、前記液体流出部の容積が小さくなる方向に前記ダイヤフラムを加圧可能な第2加圧部と、を有し、前記制御部は、前記第1加圧部によって前記開閉弁より上流の前記供給流路内を第1圧力にした状態で、前記第2加圧部によって前記ダイヤフラムを加圧して前記開閉弁を前記開状態にし、前記第1加圧部によって前記開閉弁より上流の前記供給流路内を前記第1圧力よりも低い第2圧力にした状態で、前記第2加圧部による前記ダイヤフラムへの加圧を解除して前記開閉弁を前記閉状態にする。
【0092】
この構成によれば、制御部は、開閉弁より上流の供給流路内を第1圧力にした状態で、開閉弁を開状態にすることでノズルから液体を排出させる。制御部は、開閉弁より上流の供給流路内を第1圧力よりも低い第2圧力にした状態で、開閉弁を閉状態にする。そのため、第1圧力のまま開閉弁を閉状態にする場合に比べ、開閉弁を閉状態にしたときの液体吐出ヘッド内の圧力を小さくすることができる。したがって、開閉弁を閉状態とした後に、液体吐出ヘッド内の加圧された液体を排出させる動作を短縮することができるため、クリーニングに要する時間を短縮できる。
【0093】
(B)(A)に記載の液体吐出装置において、前記第2圧力は、前記第2加圧部による前記ダイヤフラムへの加圧を解除した際に前記ノズル内の前記液体に作用する圧力がメニスカスを破壊する負圧よりも高くなるように設定されてもよい。
【0094】
加圧が解除されたダイヤフラムは、液体流出部の容積が大きくなる方向に変位する。そのため、第2圧力が低すぎる場合は、ノズルのメニスカスが破壊されて、ノズルから空気を引き込んでしまう虞がある。その点、この構成によれば、第2圧力は、ノズル内の液体に作用する圧力が、メニスカスを破壊する圧力より高くなるように設定される。したがって、開閉弁を閉状態にした際に、ノズルから空気を引き込んでしまうことを抑制できる。
【0095】
(C)(A)又は(B)に記載の液体吐出装置において、前記第1加圧部は、加圧ポンプを含み、前記制御部は、前記加圧ポンプに印加する電圧を変化させることで、前記開閉弁より上流の前記供給流路内に対する加圧力を変化させてもよい。
【0096】
この構成によれば、第1加圧部は、加圧ポンプを含む。供給流路内に対する加圧力の変更は、加圧ポンプに印加される電圧を変化させることで行われる。したがって、供給流路内を加圧する圧力を容易に変化させることができる。
【0097】
(D)液体吐出装置の制御方法は、ノズルから液体を吐出可能な液体吐出ヘッドと、液体供給源から前記液体吐出ヘッドに前記液体を供給可能な供給流路と、前記供給流路内を加圧可能な加圧機構と、前記供給流路に設けられる圧力調整機構と、を備え、前記圧力調整機構は、前記液体供給源から供給される前記液体が流入する液体流入部と、ダイヤフラムが変位することで内部の容積が変化する液体流出部と、前記液体流入部と前記液体流出部とを連通する連通流路と、前記液体流出部内が所定の負圧になることで変位する前記ダイヤフラムによって、前記連通流路を閉鎖する閉状態から前記連通流路を開放する開状態になる開閉弁と、を有し、前記加圧機構は、前記開閉弁より上流の前記供給流路内を加圧可能な第1加圧部と、前記液体流出部の容積が小さくなる方向に前記ダイヤフラムを加圧可能な第2加圧部と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、前記第1加圧部によって前記開閉弁より上流の前記供給流路内を第1圧力にした状態で、前記第2加圧部によって前記ダイヤフラムを加圧して前記開閉弁を前記開状態にすることと、前記第1加圧部によって前記開閉弁より上流の前記供給流路内を前記第1圧力よりも低い第2圧力にした状態で、前記第2加圧部による前記ダイヤフラムへの加圧を解除して前記開閉弁を前記閉状態にすることと、を含む。この方法によれば、上記液体吐出装置と同様の効果を奏することができる。
【0098】
(E)(D)に記載の液体吐出装置の制御方法において、前記第1加圧部は、加圧ポンプを含み、前記加圧ポンプに印加する電圧を変化させて、前記開閉弁より上流の前記供給流路内に対する加圧力を前記第1圧力から前記第2圧力に変化させることを更に含んでもよい。この方法によれば、上記液体吐出装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0099】
11…液体吐出装置、12…装着部、13…供給機構、14…キャリッジ、15…液体吐出ヘッド、16…制御部、18…液体供給源、19…媒体、20…ノズル、22…供給流路、23…加圧機構、24…圧力調整機構、25…脱気機構、26…駆動機構、27…第1加圧部、28…第2加圧部、30…第1一方向弁、31…加圧ポンプ、32…リリーフ流路、33…リリーフ弁、35…第1接続部、36…第2接続部、41…フィルター室、42…フィルター、43…液体流入部、44…液体流出部、45…連通流路、46…開閉弁、48…ダイヤフラム、50…受圧部、51…弁体、52…上流側押付部材、53…下流側押付部材、57…第1空気室、58…収容室、59…可撓部材、61…脱気室、62…第2空気室、63…透過部、65…ポンプ、66…吸気流路、67…排気流路、68…第1切り替え部、69…第2切り替え部、71…第1接続流路、72…第2接続流路、73…第1調圧部、74…第2調圧部、75…検出部、76…第2一方向弁、78…ケース、Ds…供給方向。
図1
図2
図3