(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139503
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】発電セット
(51)【国際特許分類】
F02B 63/04 20060101AFI20241002BHJP
F01N 13/12 20100101ALI20241002BHJP
F02B 67/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
F02B63/04 C
F01N13/12
F02B67/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050470
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】内藤 敬太
(72)【発明者】
【氏名】永水 武士
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004AA06
3G004DA23
(57)【要約】
【課題】排気部における燃焼爆発リスクを効果的に低減可能な発電セットを提供する。
【解決手段】発電セットは、発電機と、燃料を燃焼させて前記発電機を回転駆動する駆動力を生成するための駆動装置と、を含む発電ユニットと、前記発電ユニットを収容するエンクロージャと、前記駆動装置からの排ガスを前記エンクロージャの外に排気するための排気部と、を備え、前記排気部は、前記エンクロージャの外に設けられる消音器と、前記駆動装置からの前記排ガスを前記消音器に導くための接続配管部と、を含み、前記接続配管部は、前記排ガスの流れ方向における全ての位置において、水平方向に対する前記流れ方向の上向きの傾斜角度が0度以上である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機と、燃料を燃焼させて前記発電機を回転駆動する駆動力を生成するための駆動装置と、を含む発電ユニットと、
前記発電ユニットを収容するエンクロージャと、
前記駆動装置からの排ガスを前記エンクロージャの外に排気するための排気部と、
を備え、
前記排気部は、
前記エンクロージャの外に設けられる消音器と、
前記駆動装置からの前記排ガスを前記消音器に導くための接続配管部と、
を含み、
前記接続配管部は、前記排ガスの流れ方向における全ての位置において、水平方向に対する前記流れ方向の上向きの傾斜角度が0度以上である
発電セット。
【請求項2】
前記排気部は、前記消音器に接続され、前記消音器からの前記排ガスを大気に放出するための出口配管部を含み、
前記接続配管部、前記消音器、及び、前記出口配管部は、前記排ガスの流れ方向における全ての位置において、水平方向に対する前記流れ方向の上向きの傾斜角度が0度以上である
請求項1に記載の発電セット。
【請求項3】
前記出口配管部の下流端は、水平方向よりも上向きの開口を有する
請求項2に記載の発電セット。
【請求項4】
前記消音器の下端は、上下方向にて前記駆動装置の回転軸よりも上方に位置する
請求項1乃至3の何れか一項に記載の発電セット。
【請求項5】
前記消音器の下方のスペースに設置され、前記発電ユニットを運転するための機器を備える
請求項1乃至3の何れか一項に記載の発電セット。
【請求項6】
前記接続配管部に設けられ、前記接続配管部内の水を排出するためのドレン排出孔を備える
請求項1乃至3の何れか一項に記載の発電セット。
【請求項7】
前記接続配管部の内部において前記ドレン排出孔よりも上流側に設けられ、前記接続配管部内の水の上流側への移動を堰き止めるための水受け部を備える
請求項6に記載の発電セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電セットに関する。
【背景技術】
【0002】
エンクロージャの内部に発電機や発電機駆動用の装置等を収容した、輸送可能な発電セットが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、パッケージ(エンクロージャ)の内部に、発電機、発電機を駆動するためのエンジン、エンジンに供給される燃料を貯留するための燃料タンク、及び、エンジンからの排ガスが導入される消音器等が収容されたパッケージ型発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、燃料を燃焼する駆動装置(エンジン等)においては、点火失敗や失火等により、燃料の未燃成分を含有する排ガスが発生することがある。この場合、排ガスが流れる排気部(排気配管等)において、局所的に燃料の未燃成分の濃度が高い箇所が生じると、火花等の着火源により燃焼爆発が生じる可能性がある。特に、水素等の燃焼しやすい燃料を用いる場合には、このようなリスクを低減する必要性が高い。なお、排気部における燃焼爆発は、一般的に、煙道爆発又は煙道火災等と呼ばれる。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、排気部における燃焼爆発リスクを効果的に低減可能な発電セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態に係る発電セットは、
発電機と、燃料を燃焼させて前記発電機を回転駆動する駆動力を生成するための駆動装置と、を含む発電ユニットと、
前記発電ユニットを収容するエンクロージャと、
前記駆動装置からの排ガスを前記エンクロージャの外に排気するための排気部と、
を備え、
前記排気部は、
前記エンクロージャの外に設けられる消音器と、
前記駆動装置からの前記排ガスを前記消音器に導くための接続配管部と、
を含み、
前記接続配管部は、前記排ガスの流れ方向における全ての位置において、水平方向に対する前記流れ方向の上向きの傾斜角度が0度以上である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、排気部における燃焼爆発リスクを効果的に低減可能な発電セットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る発電セットを側方から視た概略断面図である。
【
図2】
図1に示す発電セットを平面視した概略断面図である。
【
図3】
図1に示す発電セットの一部の外観を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す発電セットの一部を拡大して示す図である。
【
図5】
図2に示す発電セットの一部を拡大して示す図である。
【
図6】一実施形態に係る発電セットの排気部の一部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0011】
図1は、一実施形態に係る発電セットを側方から視た概略断面図である。
図2は、
図1に示す発電セットを平面視した概略断面図である。
図3は、
図1に示す発電セットの一部の外観を示す斜視図である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、一実施形態に係る発電セット1は、発電機38及び駆動装置35を含む発電ユニット10と、発電ユニット10を収容するためのエンクロージャ2を備える。また、
図1及び
図2に示す発電セット1は、駆動装置35からの排ガスをエンクロージャ2の外に排気するための排気部4を備える。
【0013】
発電機38は、駆動装置35の出力シャフトに連結されるロータを含み、駆動装置35によって回転駆動されるように構成される。
【0014】
駆動装置35は、燃料を燃焼させて発電機38を回転駆動する駆動力を生成するように構成される。駆動装置35は、例えば、レシプロ式エンジンやガスタービンエンジン等の内燃機関であってもよい。
図1及び
図2に示す例示的な実施形態では、駆動装置35は、1以上のシリンダを含む燃焼室40と、回転シャフトが収容されるクランク室42と、を含むレシプロ式のエンジン36である。エンジン36には、ターボチャージャ44が設けられている。
【0015】
駆動装置35で燃焼される燃料は、空気よりも軽いガスであってもよく、例えば水素ガスであってもよい。
【0016】
駆動装置35は、エンクロージャ2の内部の空気を燃焼室40に導くための給気ダクト48と、燃焼室40に燃料ガスを導くための燃料配管52と、燃焼室40からの排ガスを排出するための排気配管50と、を含む。給気ダクト48の入口47には給気フィルタ46が設けられる。燃料配管52は、エンクロージャ2の内部に設けられる内部配管部54と、エンクロージャ2の外部に設けられる外部配管部56と、を含む。
【0017】
図1及び
図2に示すように、内部配管部54には、内部配管部54における燃料ガスの流れを調節するための1以上のバルブ57が設けられていてもよい。1以上のバルブ57は、遮断弁58を含んでもよい。
図1及び
図2に示すように、バルブ57は、エンクロージャ2の内部に設けられる架台(バルブスキッド)60(60A,60B)によって支持されていてもよい。
【0018】
図1~
図3に示すように、エンクロージャ2は、発電ユニット10を収容するためのエンクロージャ本体部8と、エンクロージャ本体部8の内部空間に空気を取り入れるための給気口12と、エンクロージャ本体部8の内部空間から空気を排出するための排気口14と、を備えている。
【0019】
エンクロージャ本体部8は、発電ユニット10が載置される基礎部16と、発電ユニット10を囲むように基礎部16の上に設けられる側壁部18と、側壁部18の上方に発電ユニット10を覆うように設けられる屋根部24と、を含む。エンクロージャ本体部8の内部空間は、基礎部16、側壁部18及び屋根部24に囲まれる空間である。
図1~
図3に示す例示的な実施形態では、側壁部18は、エンクロージャ本体部8の長手方向に沿って延在する一対の長尺部分19と、一対の長尺部分19を互いに接続する短尺部分(後述する給気側部分20及び排気側部分22)と、を含む。なお、駆動装置35の出力シャフト又は発電機38の回転軸は、エンクロージャ本体部8の長手方向に沿って延びるように設けられていてもよい。
【0020】
図1~
図3に示す例示的な実施形態では、エンクロージャ2は、エンクロージャ本体部8の外側に設けられ、給気口12を形成する給気フード30を含む。給気口12からエンクロージャ2に入り込んだ空気は、エンクロージャ本体部8の入口開口26を介して、エンクロージャ本体部8の内部空間に導入されるようになっている。
図1~
図3に示すように、入口開口26は、側壁部18の給気側部分20の上端20aと、屋根部24の下面25とによって少なくとも部分的に形成されていてもよい。
【0021】
図1~
図3に示す例示的な実施形態では、エンクロージャ2は、エンクロージャ本体部8の外側に設けられ、排気口14を形成する排気ダクト32を含む。エンクロージャ本体部8の内部の空気は、エンクロージャ本体部8の出口開口28を介して排気ダクト32に導かれ、排気口14からエンクロージャ2の外に排出されるようになっている。
図1~
図3に示すように、出口開口28は、側壁部18の排気側部分22の上端22aと、屋根部24の下面25とによって少なくとも部分的に形成されていてもよい。
【0022】
図1~
図3に示すように、エンクロージャ2は、エンクロージャ2の内部の換気をするための換気ファン34を備えていてもよい。すなわち、換気ファン34によって、外部の空気をエンクロージャ2の内部に導入するとともに、エンクロージャ2の内部の空気を外部に排出するようになっていてもよい。
【0023】
図1及び
図2に示すように、エンクロージャ2の内部空間には、平面視において給気口12と排気口14の間の位置に仕切り板37が設けられていてもよい。仕切り板37は、少なくとも部分的に上下方向に沿って延びる部分を有し、給気口12からエンクロージャ2の内部空間に導入された空気が下方に向かって流れるように案内するようになっていてもよい。なお、
図1に示す仕切り板37は、上下方向に沿って延びる下端部を含む。また、
図1に示す仕切り板37は、上方に向かうに従い入口開口26に近づくように湾曲する形状を有する上端部を含む。
【0024】
図1及び
図2に示すように、エンクロージャ2の内部空間には、平面視において給気ダクト48と内部配管部54(燃料配管52)との間の位置に仕切り板29が設けられていてもよい。仕切り板29は、上下方向に沿って延びるように設けられていてもよい。仕切り板29は、上下方向において給気ダクト48及び内部配管部54を含む領域に亘って設けられていてもよい。
【0025】
排気部4は、エンクロージャ2の外に設けられる消音器78と、駆動装置35からの排ガスを消音器(マフラー)78に導くための接続配管部72と、を含む。また、排気部4は、消音器78に接続される出口配管部80を含む。接続配管部72は、上述の排気配管50に接続される上流端と、消音器78に接続される下流端と、を含む。出口配管部80は、消音器78に接続される上流端と、下流端に設けられる出口開口82と、を有する。消音器78からの排ガスは、出口配管部80の出口開口82を介して大気に放出されるようになっている。
図1に示す消音器78は、支持台84に支持されている。
【0026】
図1に示すように、消音器78を含む排気部4は、基礎部70の上に設けられている。基礎部70は、エンクロージャ2が設けられる基礎部16とは別のものであってもよい。この場合、エンクロージャ2が設けられる基礎部16と、排気部4が設けられる基礎部70とは、別々の車両に載せる等して、別々に輸送することができる。
【0027】
以下、
図4~
図6を参照して、幾つかの実施形態に係る発電セット1について、より具体的に説明する。
図4及び
図5は、
図1及び
図2に示す発電セットの一部を拡大して示す図である。
図6は、一実施形態に係る発電セットの排気部4の一部を示す概略図である。
【0028】
幾つかの実施形態では、接続配管部72は、排ガスの流れ方向における全ての位置において、水平方向に対する排ガスの流れ方向の上向きの傾斜角度が0度以上である。
図4及び
図5に示す例示的な実施形態では、接続配管部72は、燃料の流れ方向における全ての位置において、水平方向に対する流れ方向の上向きの傾斜角が約0度である。すなわち、接続配管部72は、水平面に沿って設けられている。
【0029】
上述の実施形態では、駆動装置35からの排ガスを消音器78に導くための接続配管部72は、排ガスの流れ方向における全ての位置において、水平方向に対する排ガス流れ方向の上向きの傾斜角度が0度以上である。すなわち、接続配管部72は、消音器78に至るまで、下り勾配を有さず、上り勾配を有するか水平に延びているので、配管内にて軽量の燃料ガス未燃分が滞留するのを抑制することができる。よって、接続配管部72を含む排気部4にて燃料ガス濃度が局所的に上昇するのを抑制することができ、排気部4における燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0030】
幾つかの実施形態では、接続配管部72、消音器78、及び、出口配管部80は、排ガスの流れ方向における全ての位置において、水平方向に対する排ガスの流れ方向の上向きの傾斜角度が0度以上である。
図4及び
図5に示す例示的な実施形態では、消音器78は、燃料の流れ方向における全ての位置において、水平方向に対する流れ方向の上向きの傾斜角が約0度である。また、出口配管部80は、上述の傾斜角が約90度である第1部分80aと、上述の傾斜角が0度以上90度未満の第2部分80bと、を含む。
【0031】
上述の実施形態によれば、接続配管部72に加え、消音器78及び出口配管部80において、排ガスの流れ方向における全ての位置において、水平方向に対する排ガスの流れ方向の上向きの傾斜角度が0度以上である。すなわち、接続配管部72、消音器78及び出口配管部80は、出口配管部80の出口開口82に至るまで、下り勾配を有さず、上り勾配を有するか水平に延びているので、配管や消音器78の内部で軽量の燃料ガス未燃分が滞留するのを抑制することができる。よって、排気部4にて燃料ガス濃度が局所的に上昇するのを抑制することができ、排気部4における燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0032】
幾つかの実施形態では、出口配管部80の下流端は、水平方向よりも上向きの出口開口82を有する。即ち、幾つかの実施形態では、出口配管部80の出口開口82における出口配管部80の中心線L1の、水平方向(
図4における直線LH)に対する上向きの傾斜角度θ(
図4参照)が0度よりも大きい。この傾斜角度θは30度以上90度以下であってもよい。
【0033】
上述の実施形態では、出口配管部80の下流端は、水平方向よりも上向きの出口開口82を有するので、出口配管部80において排ガスが滞留し難く、排ガスをスムーズに大気に放出することができる。よって、出口配管部80において排ガス中の燃料ガス未燃分濃度が局所的に上昇するのを抑制することができ、排気部4における燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0034】
なお、
図4及び
図5に示す例示的な実施形態において、出口配管部80の出口開口82は、駆動装置35側を向いているが、駆動装置35とは反対側を向いていてもよい。
また、上述の傾斜角度θが90度近傍の場合、雨水等、上方から降下する水分が出口配管部80を介して消音器78に侵入する可能性もあるが、消音器78に入り込んだ水分は、消音器78の底部に設けられるドレン抜きを介して排出可能である。
【0035】
幾つかの実施形態では、消音器78の下端78aは、上下方向にて駆動装置35の回転軸O(
図4参照)よりも上方に位置する。
図4に示す例示的な実施形態では、消音器78は、上下方向にて駆動装置35の回転軸Oよりも上方に位置する位置にて、支持台84に支持されている。
【0036】
上述の実施形態によれば、消音器78の下端78aが比較的上方に位置するので、駆動装置35からの排ガスが流れる配管(接続配管部72)を、下り勾配にすることなく、上り勾配又は水平となるように、消音器78まで延ばしやすい。よって、接続配管部72を含む排気部4にて燃料ガス濃度が局所的に上昇するのを抑制しやすくなり、排気部4における燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0037】
幾つかの実施形態では、消音器78の下方のスペースに、発電ユニット10を運転するための機器が設置される。発電ユニット10を運転するための機器は、例えば、配管内のガスを排出するためのファン86、又は、油タンク88を含んでもよく、あるいは、冷却水ポンプ等であってもよい。
【0038】
上述の実施形態によれば、消音器78の下方のスペースに発電ユニット10を運転するための機器が設置されているので、消音器78の下端78aは比較的上方に位置する。したがって、駆動装置35からの排ガスが流れる配管(接続配管部72)を、下り勾配にすることなく、上り勾配又は水平となるように、消音器78まで延ばしやすい。また、消音器78を比較的上方の位置に設けることで形成されるスペースを、機器設置スペースとして有効利用できる。よって、発電セット1の小型化を図りながら、接続配管部72を含む排気部4にて燃料ガス濃度が局所的に上昇するのを抑制しやすくなり、排気部4における燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0039】
幾つかの実施形態では、例えば
図4~
図6に示すように、接続配管部72には、接続配管部72内の水を排出するためのドレン排出孔90が設けられる。接続配管部72には、ドレン排出孔90を介して水を外部に排出するためのドレン排出管92が設けられていてもよい。
【0040】
接続配管部72について上述の傾斜角度を0度以上とする場合、配管(接続配管部72)内で生じた凝縮水が上流側に(即ち駆動装置35に向かって)逆流する可能性がある。逆流した凝縮水が駆動装置35に付着すると駆動装置35の不具合の要因となる。この点、上述の実施形態によれば、接続配管部72に、該接続配管部72内の水を排出するためのドレン排出孔90を設けたので、接続配管部72の内部で生じた凝縮水を排出することができる。よって、凝縮水の逆流に起因する駆動装置35の不具合の発生を抑制することができる。
【0041】
幾つかの実施形態では、
図6に示すように、接続配管部72の内部においてドレン排出孔90よりも上流側の位置に、接続配管部72内の水の上流側への移動を堰き止めるための水受け部94が設けられていてもよい。水受け部94は、ドレン排出孔90の近傍の位置にて接続配管部72の底部に設けられる板状の部材を含んでもよい。
【0042】
上述の実施形態によれば、ドレン排出孔90よりも上流側に、水の逆流を堰き止めるための水受け部94を設けたので、接続配管部72の内部で生じた凝縮水の逆流をより効果的に抑制することができる。よって、凝縮水の逆流に起因する駆動装置35の不具合の発生をより効果的に抑制することができる。
【0043】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0044】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る発電セット(1)は、
発電機(38)と、燃料を燃焼させて前記発電機を回転駆動する駆動力を生成するための駆動装置(35)と、を含む発電ユニット(10)と、
前記発電ユニットを収容するエンクロージャ(2)と、
前記駆動装置からの排ガスを前記エンクロージャの外に排気するための排気部(4)と、
を備え、
前記排気部は、
前記エンクロージャの外に設けられる消音器(78)と、
前記駆動装置からの前記排ガスを前記消音器に導くための接続配管部(72)と、
を含み、
前記接続配管部は、前記排ガスの流れ方向における全ての位置において、水平方向に対する前記流れ方向の上向きの傾斜角度が0度以上である。
【0045】
上記(1)の構成によれば、駆動装置からの排ガスを消音器に導くための接続配管部は、排ガスの流れ方向における全ての位置において、水平方向に対する前記流れ方向の上向きの傾斜角度が0度以上である。すなわち、接続配管部は、消音器に至るまで、下り勾配を有さず、上り勾配を有するか水平に延びているので、配管内にて軽量の燃料ガス未燃分が滞留するのを抑制することができる。よって、接続配管部を含む排気部にて燃料ガス濃度が局所的に上昇するのを抑制することができ、排気部における燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0046】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記排気部は、前記消音器に接続され、前記消音器からの前記排ガスを大気に放出するための出口配管部(80)を含み、
前記接続配管部、前記消音器、及び、前記出口配管部は、前記排ガスの流れ方向における全ての位置において、水平方向に対する前記流れ方向の上向きの傾斜角度が0度以上である。
【0047】
上記(2)の構成によれば、接続配管部に加え、消音器及び出口配管部において、排ガスの流れ方向における全ての位置において、水平方向に対する前記流れ方向の上向きの傾斜角度が0度以上である。すなわち、接続配管部、消音器及び出口配管部は、出口配管部の出口開口に至るまで、下り勾配を有さず、上り勾配を有するか水平に延びているので、配管や消音器の内部で軽量の燃料ガス未燃分が滞留するのを抑制することができる。よって、排気部にて燃料ガス濃度が局所的に上昇するのを抑制することができ、排気部における燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0048】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記出口配管部(80)の下流端は、水平方向よりも上向きの開口(例えば上述の出口開口82)を有する。
【0049】
上記(3)の構成によれば、出口配管部の下流端は、水平方向よりも上向きの開口を有するので、出口配管部において、排ガスが滞留し難く、排ガスをスムーズに大気に放出することができる。よって、出口配管部において燃料ガス濃度が局所的に上昇するのを抑制することができ、排気部における燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0050】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記消音器の下端(78a)は、上下方向にて前記駆動装置の回転軸(O)よりも上方に位置する。
【0051】
上記(4)の構成によれば、消音器の下端が比較的上方に位置するので、駆動装置からの排ガスが流れる配管を、下り勾配にすることなく、上り勾配又は水平となるように、消音器まで延ばしやすい。よって、接続配管部を含む排気部にて燃料ガス濃度が局所的に上昇するのを抑制しやすくなり、排気部における燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0052】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、
前記発電セットは、
前記消音器の下方のスペースに設置され、前記発電ユニットを運転するための機器(例えば上述のファン86又は油タンク88)を備える。
【0053】
上記(5)の構成によれば、消音器の下方のスペースに発電ユニットを運転するための機器が設置されているので、消音器の下端は比較的上方に位置する。したがって、駆動装置からの排ガスが流れる配管を、下り勾配にすることなく、上り勾配又は水平となるように、消音器まで延ばしやすい。また、消音器を比較的上方の位置に設けることで形成されるスペースを、機器設置スペースとして有効利用できる。よって、発電セットの小型化を図りながら、接続配管部を含む排気部にて燃料ガス濃度が局所的に上昇するのを抑制しやすくなり、排気部における燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0054】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかの構成において、
前記発電セットは、
前記接続配管部に設けられ、前記接続配管部内の水を排出するためのドレン排出孔(90)を備える。
【0055】
上記(1)のように接続配管部について上述の傾斜角度を0度以上とする場合、配管内で生じた凝縮水が上流側に(即ち駆動装置に向かって)逆流する可能性がある。逆流した凝縮水が駆動装置に付着すると駆動装置の不具合の要因となる。この点、上記(6)の構成によれば、接続配管部に、該接続配管部内の水を排出するためのドレン排出孔を設けたので、接続配管部の内部で生じた凝縮水を排出することができる。よって、凝縮水の逆流に起因する駆動装置の不具合の発生を抑制することができる。
【0056】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記発電セットは、
前記接続配管部の内部において前記ドレン排出孔よりも上流側に設けられ、前記接続配管部内の水の上流側への移動を堰き止めるための水受け部(94)を備える。
【0057】
上記(7)の構成によれば、ドレン排出孔よりも上流側に、水の逆流を堰き止めるための水受け部を設けたので、接続配管部の内部で生じた凝縮水の逆流をより効果的に抑制することができる。よって、凝縮水の逆流に起因する駆動装置の不具合の発生をより効果的に抑制することができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた。
【0059】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0060】
1 発電セット
2 エンクロージャ
4 排気部
8 エンクロージャ本体部
10 発電ユニット
12 給気口
14 排気口
16 基礎部
18 側壁部
19 長尺部分
20 給気側部分
20a 上端
22 排気側部分
22a 上端
24 屋根部
25 下面
26 入口開口
28 出口開口
29 仕切り板
30 給気フード
32 排気ダクト
34 換気ファン
35 駆動装置
36 エンジン
37 仕切り板
38 発電機
40 燃焼室
42 クランク室
44 ターボチャージャ
46 給気フィルタ
47 入口
48 給気ダクト
50 排気配管
52 燃料配管
54 内部配管部
56 外部配管部
57 バルブ
58 遮断弁
60 架台
60A 架台
60B 架台
70 基礎部
72 接続配管部
78 消音器
78a 下端
80 出口配管部
80a 第1部分
80b 第2部分
82 出口開口
84 支持台
86 ファン
88 油タンク
90 ドレン排出孔
92 ドレン排出管
94 水受け部
O 回転軸
L1 出口配管部80の中心線L1
LH 水平方向の直線
θ 傾斜角度