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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139504
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】切断装置
(51)【国際特許分類】
   B23D 25/12 20060101AFI20241002BHJP
   B23D 21/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B23D25/12
B23D21/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050472
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大日向 桂作
【テーマコード(参考)】
3C039
【Fターム(参考)】
3C039EA31
(57)【要約】
【課題】コアチューブを含む扁平チューブの変形を抑制しながら、ロータリーカッタ方式で高速切断ができる切断装置を提供する
【解決手段】本発明は、厚さ方向に平行な二面を有し内部に流路が形成され、幅が厚さより大きい扁平チューブ7を厚さ方向に切断する装置であり、二つのロータ本体11、12、少なくとも一対のカッタ21、22、一対のガイド31、32を備える。各ロータ本体11、12は回転軸R1、R2を中心として扁平チューブ7の進行速度に追従した回転速度で互いに対称な方向に回転する。各カッタ21、22は各ロータ本体11、12の周方向に対称に設けられ、扁平チューブ7の各二面を挟み込んで切断する。各ガイド31、32は扁平チューブ7の幅方向において各カッタ21、22の連続した刃先がなす刃線の両側に設けられ、各カッタ21、22が挟み込んだ扁平チューブ7の幅方向の両端部を扁平チューブ7の厚さ方向に沿ってガイドする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に供給され、厚さ方向の相反する側に平行な二面を有しかつ内部に流路が複数形成された、幅が厚さより大きい扁平チューブ(7)を厚さ方向に切断する切断装置であって、
前記扁平チューブの厚さ方向の両側に配置された互いに平行な回転軸(R1、R2)を中心として、前記扁平チューブの進行速度に追従した回転速度で互いに対称な方向に回転する二つのロータ本体(11、12)と、
各前記ロータ本体の周方向の一箇所以上に対称に設けられ、前記扁平チューブの前記二面を挟み込んで切断する少なくとも一対のカッタ(21、22)と、
前記扁平チューブの幅方向において前記一対のカッタの各前記カッタの連続した刃先がなす刃線の両側に設けられ、前記一対のカッタが挟み込んだ前記扁平チューブの幅方向の両端部を前記扁平チューブの厚さ方向に沿ってガイドする少なくとも一対のガイド(31、32)と、
を備える切断装置。
【請求項2】
各前記ロータ本体の全周をN等分(Nは2以上の整数)した箇所に複数対の前記カッタが設けられている請求項1に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コルゲートフィンと扁平チューブを積層した熱交換器用のコアチューブについて、コルゲートフィン又はコアチューブを切断する装置及び方法が知られている。
【0003】
特許文献1の切断機は上刃と下刃とを備え、上刃又は下刃の少なくとも一方を他方に押圧することにより、被切断物のコルゲートフィンを切断するものである。
【0004】
特許文献2の扁平チューブ(コアチューブ)の切断方法及びその装置は、扁平チューブの両側に一対のローラカッタを配置し、被切断物の扁平チューブの供給速度と同じ速度で追従させ、内部の流路成形部材とともに切断するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-69296号公報
【特許文献2】特開平8-71838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の切断機はコルゲートフィンのリブ部又は溝部に沿ってロータリーカッタ方式で切断するものであり、リブ部又は溝部との直交方向に沿って切断したり、コアチューブごと切断したりすることは想定されていない。
【0007】
またリブ部又は溝部との直交方向に沿って切断する場合、ロータリーカッタ方式では一般に高速切断が可能であるが、コアチューブに用いるとチューブが潰れてしまい、加工後の切断面の形状品質がよくない。
【0008】
一方、特許文献2の切断方法は、ローラカッタの追従搬送機構が必要なため、装置が大型化しやすい。またローラカッタ方式では一般にコアチューブの変形を生じることなく切断できるものの、成形速度が遅い。
【0009】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、コアチューブを含む扁平チューブの変形を抑制しながら、ロータリーカッタ方式で高速切断ができる切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、連続的に供給され、厚さ方向の相反する側に平行な二面を有しかつ内部に流路が複数形成された、幅が厚さより大きい扁平チューブ(7)を厚さ方向に切断する切断装置であって、二つのロータ本体(11、12)と、少なくとも一対のカッタ(21、22)と、少なくとも一対のガイド(31、32)とを備える。
【0011】
二つのロータ本体は、扁平チューブの厚さ方向の両側に配置された互いに平行な回転軸(R1、R2)を中心として、扁平チューブの進行速度に追従した回転速度で互いに対称な方向に回転する。
【0012】
少なくとも一対のカッタは、各ロータ本体の周方向の一箇所以上に対称に設けられ、扁平チューブの各二面を挟み込んで切断する。
【0013】
一対のガイド(31、32)は、扁平チューブの幅方向において一対のカッタの各カッタの連続した刃先がなす刃線の両側に設けられ、一対のカッタが挟み込んだ扁平チューブの幅方向の両端部を扁平チューブの厚さ方向に沿ってガイドする。
【0014】
以上の構成により、本発明の切断装置は、切断の際、扁平チューブの幅方向の両端部に当接するように一対のガイドを存在させ、変形部材の逃げ場をなくし、その存在可能領域を制限することで、扁平チューブの幅方向の両端部の変形を抑制する。これにより、内部に構造物を有するか否かにかかわらず、チューブ形状の変形を抑制しながら、扁平チューブのロータリーカッタ方式での高速切断が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態の切断装置の斜視図。
図2】扁平チューブを例示する正面図。
図3】一実施形態の切断方式を示す斜視図。
図4】一実施形態のカッタ装置の平面図。
図5】扁平チューブの切断過程を示す図4のV部拡大模式図。
図6】一実施形態のカッタ装置の正面図。
図7】一実施形態のカッタ装置の細部の斜視図。
図8】比較例の切断方式を示す正面図。
図9】一実施形態の切断方式を示す正面図。
図10】他の実施形態のカッタ装置の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、一実施形態の切断装置を図面に基づいて説明する。一実施形態では、扁平チューブとしてコルゲートフィンを内部に有する熱交換器用のコアチューブを想定している。
【0017】
<一実施形態>
一実施形態の切断装置は、連続的に供給され、厚さ方向の相反する側に平行な二面を有しかつ内部に流路が複数形成された、幅が厚さより大きい扁平チューブ7(以下、コアチューブ7)を厚さ方向に切断する切断装置であり、二つのロータ本体11、12と、少なくとも一対のカッタ21、22と、少なくとも一対のガイド31、32とを備える。
【0018】
図1に一実施形態の切断装置の全体像を示す。切断装置は、カッタ装置1、搬送装置4を備える。カッタ装置1は、駆動装置10と、図4、6に示す二つのロータ本体11、12と、一対のカッタ21、22と、図6~7に示す一対のガイド31、32とを有する。
【0019】
搬送装置4は、一対の搬送アーム41、42を有し、この一対の搬送アーム41、42がコアチューブ7を両側から挟み込んで把持し、一対のカッタ21、22と、一対のガイド31、32との間を搬送し、カッタ装置1のカッタ作業に供する。このとき、コアチューブ7の搬送速度(一実施形態では300m/min)に同期するように一対のカッタ21、22を回転させることで、一対のカッタ21、22の各刃先と、図3に示すコアチューブ7の予定切断線Lcを一致させる。
【0020】
図2に一実施形態の切断対象となるコアチューブ7を模式的に示す。コルゲートフィン71は波形状に成形されたアルミ等の板材であり、複数のリブ部又は溝部を有し、コアチューブ7の内部でリブ部又は溝部に沿って複数の流路を形成する。
【0021】
図3にコアチューブ7の切断方式を模式的に示す。一実施形態のコアチューブ7は、コルゲートフィン71が形成する流路と直交する平面Pとの交点群(=予定切断線Lc)に沿って切断される。以下、各カッタ21、22の刃先がなす稜線を刃線Lbとする。
【0022】
図3に図示しない搬送装置4がコアチューブ7を搬送方向Dtに沿って搬送すると、カッタ装置1の一対のカッタ21、22が各回転方向Drに沿って回転し、各刃線Lbをコアチューブ7の予定切断線Lcに接近させる。
【0023】
図4にカッタ装置1を平面図で示す。図4に示すように、一対のカッタ21、22はロータリーカッタであり、各回転方向Drに沿って回転する。コアチューブ7は搬送装置4の搬送アーム41、42に把持され、搬送方向Dtに搬送され、図4に示したV領域で両側から一対のカッタ21、22に押圧され、切断される。
【0024】
図5図4の細部を示す。なお図4では、カッタ21、22の各刃線Lbは刃先を示す点として表れている。切断開始点T1では、カッタ21、22の各刃線Lbがコアチューブ7の予定切断線Lcにそれぞれ当接し、切断が開始される。切断終了点T2では、理想的にはカッタ21の刃線Lbとカッタ22の刃線Lbとが真正面から対向しており、各刃線Lbは互いに当接する。
【0025】
カッタ装置1は、切断開始点T1から切断終了点T2への移動の際、搬送装置4の搬送速度に合わせて、コアチューブ7の予定切断線Lcのうち平行な二面上にある部分と、各刃線Lbとの当接箇所が常に一致し続けるように制御されている。
【0026】
図6~7にカッタ装置1を示す。一対のガイド31、32は、一対のカッタ21、22の各カッタ21、22の連続した刃先がなす各刃線Lbに対しコアチューブ7の幅方向の両側に設けられ、各刃線Lbとの直交面を有し、一対のカッタ21、22が挟み込んだコアチューブ7の幅方向の両端部を、扁平チューブ7の厚さ方向に沿ってガイドする。
【0027】
図6に示すように、一対のガイド31、32はコアチューブ7の2箇所のアールの付いた端部の頂点に沿って当接するように設けられている。一実施形態では、一対のカッタ21、22の各刃線Lbと直交する面は、各刃線Lbの進行方向に対して平行になるように形成されている。
【0028】
図7に、一実施形態の一対のカッタ21、22、及び、一対のガイド31、32の形状を示す。図7に示すように、一実施形態の一対のガイド31、32は、一対のカッタ21、22のうちカッタ21の側にカッタ21と一体に設けられている。なお、カッタ21及び一対のガイド31、32は、ホルダ110に固定されている。カッタ22は、ホルダ120に固定されている。
【0029】
図8に比較例(従来技術)の切断方式を示す。ここでは後述する図9ともども、コアチューブ7の上端部及び上方にあるガイド31の周辺の状況を例示する。図8に示した比較例では、ガイド31が存在しない。その結果、一対のカッタ21、22のみを用いてコアチューブ7を両側から押し切ろうとすると端部のアール形状を圧縮し、流路を形成する内部のコルゲートフィン71もろとも押し潰してしまう。
【0030】
図9に一実施形態の切断方式を示す。一実施形態の構成では、図8の比較例のようにコアチューブ7の端部が押し潰されるのを阻止するため、コアチューブ7端部の頂点からなる頂線に当接するように、ガイド31が配置されている。これにより部材が変形して移動しうる領域が予め制限されるため、コアチューブ7の両端部が押し潰されることがない。よって切断後もコアチューブ7内部の流路形状を保持することができる。
【0031】
以上の構成により、本実施形態の切断装置は、コアチューブの両端部の変形を抑制しながら、ロータリーカッタ方式によりコアチューブを高速切断することができる。
【0032】
<他の実施形態>
上記の実施形態では、各ロータ本体の周方向の一箇所に一対のカッタが設けられていた。しかし、例えば図10に示す他の実施形態のように、各ロータ本体11、12の全周を2等分した箇所に、第一ホルダ110a、120a及び第二ホルダ110b、120bを設け、第一カッタ21a、22a及び第二カッタ23b、24bの二対のカッタが設けられてもよい。なお、カッタにガイドが一体に取り付けられる構成では、二対のカッタに対応して二対のガイドが設けられる。
【0033】
これにより、コアチューブの切断間隔を1/2にすることができる。なお、コアチューブの切断間隔を1/2にするため、回転速度を2倍にすることも理論的には可能であるが、現実には速度調整が難しい。これに対し、周方向の2箇所にカッタを設けることで、回転速度を変えずにチューブの切断間隔を1/2にすることができる。
【0034】
さらに、各ロータ本体の全周を3等分、4等分等した箇所に複数対のカッタを設けることでも同様の効果が得られる。以上を一般化すると、各ロータ本体の全周をN等分(Nは2以上の整数)した箇所に複数対のカッタを設けることができる。
【0035】
上述の実施形態では、一対のガイドを、一対のカッタのうち一方のカッタ側に設ける例を示した。しかし、ガイドの設置方法は上述の例に限らず、例えば上方のガイドと下方のガイドとを各カッタ側に分けて設けてもよい。
【0036】
上述の実施形態では、一対のガイドと一対のカッタとを一体に設ける例を示した。しかし、ガイドの設置方法は上述の例に限らず、例えば一対のカッタと一対のガイドとを一体化せず、切断時にカッタの刃に当接するように外部からガイドが差し込まれるようにしてもよい。また、カッタのホルダに、カッタとは別体のガイドを取り付けてもよい。
【0037】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0038】
11、12 ロータ本体、21、22 一対のカッタ、31、32 一対のガイド
R1、R2 (ロータ本体の)回転軸、7 扁平チューブ(コアチューブ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10