(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139505
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】ランヤード、ショックアブソーバ
(51)【国際特許分類】
A62B 35/04 20060101AFI20241002BHJP
A62B 35/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
A62B35/04
A62B35/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050474
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】重松 孝一
(72)【発明者】
【氏名】杉原 有哉
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184JA03
2E184KA09
2E184LA14
2E184LB03
(57)【要約】
【課題】高さに応じて前記高所用ランヤードと前記低所ランヤードを付け替える手間をなくすことができるため、作業者の作業時の負担を減らすことができる。
【解決手段】落下の衝撃を緩める緩衝本体部、人体に接続される人体側接続部、及び構造物に接続される構造物側接続部を備える緩衝部と、前記人体側接続部と前記人体、及び前記構造物側接続部と前記構造物の少なくとも一方を連結する索体と、を備え、前記緩衝本体部は、高所緩衝部と低所緩衝部とを備え、前記人体側接続部及び前記構造物側接続部の少なくとも一方は、前記高所緩衝部に接続する高所接続部と、前記低所緩衝部に接続する低所接続部とを含む、ランヤード。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
落下の衝撃を緩める緩衝本体部、人体に接続される人体側接続部、及び構造物に接続される構造物側接続部を備える緩衝部と、
前記人体側接続部と前記人体、及び前記構造物側接続部と前記構造物の少なくとも一方を連結する索体と、を備え、
前記緩衝本体部は、高所緩衝部と低所緩衝部とを備え、
前記人体側接続部及び前記構造物側接続部の少なくとも一方は、前記高所緩衝部に接続する高所接続部と、前記低所緩衝部に接続する低所接続部とを含む、ランヤード。
【請求項2】
前記緩衝本体部は、長尺の索状緩衝部材を含み、
前記索状緩衝部材における前記高所緩衝部の長さは、前記索状緩衝部材における前記低所緩衝部の長さよりも長い、請求項1に記載のランヤード。
【請求項3】
落下の衝撃を緩める緩衝本体部、人体に接続される人体側接続部、及び構造物に接続される構造物側接続部を備え、
前記緩衝本体部は、高所緩衝部と低所緩衝部とを備え、
前記人体側接続部及び前記構造物側接続部の少なくとも一方は、前記高所緩衝部に接続する高所接続部と、前記低所緩衝部に接続する低所接続部とを含むショックアブソーバ。
【請求項4】
前記緩衝本体部は、長尺の索状緩衝部材を含み、
前記索状緩衝部材における前記高所緩衝部の長さは、前記索状緩衝部材における前記低所緩衝部の長さよりも長い、請求項3に記載のショックアブソーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高所作業の際に利用されるランヤード及びショックアブソーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、例えば、特許文献1に記載のランヤードが公知である。このランヤードは、高所において作業を行う作業者が着用するフルハーネスに設けられている環状部材に結びつけられるチョーキング部と、墜落を制止するときに生じる前記作業者への衝撃を吸収するショックアブソーバ部と、ロープ部と、構造物に取り付けられるフックとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現行の規則上、高所作業の際に、所定の高さを越える高所で作業を行う場合には高所用ランヤードを使用し、所定の高さ以下の低所で作業を行う場合には低所用ランヤードを使用する必要がある。
【0005】
そのため、例えば高さを変えながら高所作業を行う場合には、前記作業者は、前記高所用ランヤードと前記低所用ランヤードを準備する必要があり、高所か低所かによって前記高所用ランヤードと前記低所用ランヤードを付け替える必要があった。このように、前記高所用ランヤードと前記低所用ランヤードの付け替えのための作業は、前記作業者の負担になっていた。
【0006】
よって、本発明は、作業者の負担を減らすランヤード及びショックアブソーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、落下の衝撃を緩める緩衝本体部、人体に接続される人体側接続部、及び構造物に接続される構造物側接続部を備える緩衝部と、前記人体側接続部と前記人体、及び前記構造物側接続部と前記構造物の少なくとも一方を連結する索体と、を備え、前記緩衝本体部は、高所緩衝部と低所緩衝部とを備え、前記人体側接続部及び前記構造物側接続部の少なくとも一方は、前記高所緩衝部に接続する高所接続部と、前記低所緩衝部に接続する低所接続部とを含む、ランヤードである。
【0008】
前記構成によれば、前記人体側接続部及び前記構造物側接続部の少なくとも一方は、前記高所緩衝部に接続する前記高所接続部と、前記低所緩衝部に接続する前記低所接続部とを含むため、所定の高さを越える高所で作業を行う場合には前記高所接続部を用いて、所定の高さ以下の低所で作業を行う場合には前記低所接続部を用いればよいため、高さに応じて高所用ランヤードと低所用ランヤードを付け替える手間をなくすことができる。
【0009】
また、本発明では、前記緩衝本体部は、長尺の索状緩衝部材を含み、前記索状緩衝部材における前記高所緩衝部の長さは、前記索状緩衝部材における前記低所緩衝部の長さよりも長くてもよい。
【0010】
前記構成によれば、前記索状緩衝部材における前記高所緩衝部の長さは、前記索状緩衝部材における前記低所緩衝部の長さよりも長いため、所定の高さを越える高所で作業を行う場合には、長い前記高所緩衝部で緩衝でき、所定の高さ以下の低所で作業を行う場合には、短い前記低所緩衝部で緩衝できるため、高さに応じた長さの緩衝部で緩衝できる。
【0011】
また、本発明は、落下の衝撃を緩める緩衝本体部、人体に接続される人体側接続部、及び構造物に接続される構造物側接続部を備え、前記緩衝本体部は、高所緩衝部と低所緩衝部とを備え、前記人体側接続部及び前記構造物側接続部の少なくとも一方は、前記高所緩衝部に接続する高所接続部と、前記低所緩衝部に接続する低所接続部とを含むショックアブソーバである。
【0012】
前記構成によれば、前記人体側接続部及び前記構造物側接続部の少なくとも一方は、前記高所緩衝部に接続する前記高所接続部と、前記低所緩衝部に接続する前記低所接続部とを含むため、所定の高さを越える高所で作業を行う場合には前記高所接続部を用いて、所定の高さ以下の低所で作業を行う場合には前記低所接続部を用いればよいため、このショックアブソーバを備えるランヤードを用いることで、高さに応じて高所用ランヤードと低所用ランヤードを付け替える手間をなくすことができる。
【0013】
また、本発明では、前記緩衝本体部は、長尺の索状緩衝部材を含み、前記索状緩衝部材における前記高所緩衝部の長さは、前記索状緩衝部材における前記低所緩衝部の長さよりも長くてもよい。
【0014】
前記構成によれば、前記索状緩衝部材における前記高所緩衝部の長さは、前記索状緩衝部材における前記低所緩衝部の長さよりも長いため、所定の高さを越える高所で作業を行う場合には、長い前記高所緩衝部で緩衝でき、所定の高さ以下の低所で作業を行う場合には、短い前記低所緩衝部で緩衝できるため、このショックアブソーバを備えるランヤードを用いることで、高さに応じた長さのショックアブソーバで緩衝できる。
【発明の効果】
【0015】
以上、本発明によれば、高さに応じて前記高所用ランヤードと前記低所用ランヤードを付け替える手間をなくすことができるため、作業者の作業時の負担を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、本発明の第一実施形態に係るランヤードの全体図である。
【
図2】
図2は、同実施形態に係るランヤードのうち、一の態様における緩衝部の断面図である。
【
図3】
図3は、同実施形態に係るランヤードのうち、他の態様における緩衝部の断面図である。
【
図4】
図4は、同実施形態に係るランヤードのうち、他の態様における緩衝部が展開した状態の模式図を示し、(a)は低所緩衝部が伸びた状態を示し、(B)は高所接続部が伸びた状態を示す。
【
図5】
図5は、第二実施形態に係るランヤードの全体図である。
【
図6】
図6は、同実施形態にかかるランヤードのうち、一の態様における緩衝部の断面図である。
【
図7】
図7は、同実施形態にかかるランヤードのうち、他の態様における緩衝部の断面図である。
【
図8】
図8は、同実施形態に係るランヤードのうち、他の態様における緩衝部が展開した状態の模式図を示し、(a)は低所緩衝部が伸びた状態を示し、(B)は高所接続部が伸びた状態を示す。
【
図9】
図9は、第三実施形態に係るランヤードの全体図である。
【
図10】
図10は、同実施形態にかかるランヤードのうち、一の態様における緩衝部の断面図である。
【
図11】
図11は、同実施形態にかかるランヤードのうち、他の態様における緩衝部の断面図である。
【
図12】
図12は、同実施形態に係るランヤードのうち、他の態様における緩衝部が展開した状態の模式図を示し、(a)は低所緩衝部が伸びた状態を示し、(B)は高所接続部が伸びた状態を示す。
【
図13】
図13は、構造物側索体の様々な態様を示す図であり、(a)は構造連結部を二つ備える索体を示し、(b)は構造連結部と緩衝連結部を二つ備える索体を示し、(c)は緩衝連結部を二つ備える索体を示す。
【
図14】
図14は、上記実施形態以外の緩衝連結部と構造物側接続部との接続構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のランヤード1と、ショックアブソーバ2の実施形態について説明する。
【0018】
ランヤード1は、高所作業の際に作業者の命を守るためのものである。このランヤード1は、作業者の人体と構造物(例えば、電柱や鉄塔)とを接続して使用される。
図1は、第一実施形態に係るランヤード1の全体を示す。第一実施形態のランヤード1では、構造物への接続部分が二つあり、人体への接続部分が一つある。ランヤード1は、ショックアブソーバ2である緩衝部2と、索体3とを備える。
【0019】
説明の便宜上、まず、索体3について説明する。索体3は、緩衝部2と人体、及び緩衝部2と構造物の少なくとも一方を連結するためのものである。本実施形態の索体3は、緩衝部2と構造物を連結する。
図1に示すように、索体3は、長尺状の索本体部30と、構造物に連結される構造連結部31と、緩衝部2に連結される緩衝連結部32とを備える。本実施形態の索本体部30は、索状体である。索状体としては、例えばロープやケーブル、ワイヤーが挙げられる。構造連結部31は、索本体部30の長さの方向における一端に設けられている。本実施形態の構造連結部31は、構造物に引掛けるフックである。緩衝連結部32は、索本体部30の長さの方向における他端に設けられている。本実施形態の緩衝連結部32は、索本体部30の長さの方向における他端を折り返して形成した輪状部分に取り付けられたD環である。
【0020】
ここで、
図1に示すように、本実施形態のランヤード1は、長さの異なる二つの索体3,3を備える。二つの索体3,3のうち、長い索体3を索長体3aとし、短い索体3を索短体3bとする。索長体3a及び索短体3bのそれぞれは、索本体部30、構造連結部31、緩衝連結部32を備える。
図1に示すように、索長体3aの索本体部30は、索短体3bの索本体部30よりも長い。なお、索長体3a及び索短体3bにおいて、構造連結部31と緩衝連結部32のそれぞれは、同一に構成されている。
【0021】
図1~3に示すように、第一実施形態に係るランヤード1において、緩衝部2は、後述する人体側接続部21を一つ備え、後述する構造物側接続部22を二つ備える。ここで、緩衝部2として、
図2と
図3に示す二つの態様が挙げられる。そのため、以下では、緩衝部2の態様それぞれについて説明する。
図2は、第一実施形態に係るランヤード1における緩衝部2の一の態様を示す。緩衝部2は、落下の衝撃を緩める緩衝本体部20と、人体に接続される人体側接続部21と、構造物に接続される構造物側接続部22とを備える。本実施形態の緩衝部2は、緩衝本体部20を覆うカバー部23をさらに備える。
【0022】
緩衝本体部20は、索状緩衝部材2aを含む。本実施形態の索状緩衝部材2aは、帯状のストラップである。具体的には、
図2に示すように、緩衝本体部20は、索状緩衝部材2aのうち、長さの方向において所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分である。また、緩衝本体部20は、厚みの方向において索状緩衝部材2aの重なりが解けないよう破断糸(図示しない)で縫い合わされている。よって、本実施形態の緩衝本体部20は、落下時の衝撃により破断糸が破断しながら、折り畳まれたストラップが伸びることにより衝撃を緩める。
【0023】
図2に示すように、本実施形態の構造物側接続部22は、索状緩衝部材2aの長さの方向における一端に設けられている。よって、構造物側接続部22は、緩衝本体部20に接続され、且つ緩衝本体部20よりも一端側に配置されている。具体的に、本実施形態の構造物側接続部22は、索状緩衝部材2aの一端が折り返して形成された輪状部分(採番しない)に取り付けられたD環である。
図1に示すように、構造物側接続部22には緩衝連結部32が接続されている。具体的に、D環同士が連結されることにより、構造物側接続部22と緩衝連結部32とが接続されている。よって、構造連結部31であるフックが構造物に引掛けられた状態で、構造物側接続部22が索体3を介して構造物に接続される。
【0024】
図2に示すように、本実施形態の人体側接続部21は、索状緩衝部材2aの長さの方向における他端に設けられている。よって、人体側接続部21は、緩衝本体部20に接続され、且つ緩衝本体部20よりも他端側に配置されている。具体的に、
図1,2に示すように、人体側接続部21は、索状緩衝部材2aの長さの方向における他端を折り返して形成した輪状部分(採番しない)に取り付けられたカラビナである。そのため、人体側接続部21であるカラビナが作業者の着用する墜落制止用器具(具体的には、フルハーネス)に設けられたD環(採番しない)に引掛けられることにより、人体側接続部21が作業者の人体に直接接続される。
【0025】
即ち、人体側接続部21が作業者の人体に接続され、構造物側接続部22が構造物に接続されることにより、緩衝部2を備えるランヤード1が作業者の人体と構造物とを接続する。
【0026】
図2に示すように、一の態様の緩衝部2では、緩衝本体部20は長さの異なる二つの索状緩衝部材2aを備える。ここで、二つの索状緩衝部材2aのうち、長い索状緩衝部材2aを索状緩衝長部材2bとし、短い索状緩衝部材2aを索状緩衝短部材2cとする。そのため、一の態様では、緩衝本体部20が別体として構成される索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2cとを含む。また、索状緩衝長部材2b、索状緩衝短部材2cそれぞれに人体側接続部21、構造物側接続部22が設けられている。
【0027】
ここで、索状緩衝長部材2bのうち、長さの方向において所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分を高所緩衝部2Aとし、索状緩衝短部材2cのうち、長さの方向において所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分を低所緩衝部2Bとする。即ち、緩衝本体部20は高所緩衝部2Aと低所緩衝部2Bとを備え、高所緩衝部2Aの長さは低所緩衝部2Bの長さよりも長い。具体的に、高所緩衝部2Aの長さは4mであるのに対して、低所緩衝部2Bの長さは1.8mである。よって、
図2に示すように、高所緩衝部2Aは8回折り返すように畳まれているのに対して、低所緩衝部2Bは4回折り返すように畳まれている。即ち、索状緩衝長部材2bにおける構造物側接続部22と人体側接続部21の長さが、索状緩衝短部材2cにおける構造物側接続部22と人体側接続部21の長さよりも長い。
【0028】
高所緩衝部2Aは、地面からの所定の高さ(例えば、6.75m)を越える高所で作業を行う場合に用いられ、低所緩衝部2Bは、地面から所定の高さ(例えば、6.75m)以下の低所で作業を行う場合に用いられる。
【0029】
また、索状緩衝長部材2bに設けられる構造物側接続部22は、高所緩衝部2Aに接続する高所接続部Aとして構成され、索状緩衝短部材2cに設けられる構造物側接続部22は、低所緩衝部2Bに接続する低所接続部Bとして構成される。
【0030】
一の態様の緩衝部2は人体側接続部21を一つ備える。具体的に、
図1,2に示すように、一つの人体側接続部21は、カラビナに対して、索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2cそれぞれの長さの方向における他端を折り返して形成した環状部分(採番しない)が取り付けられることで構成されている。
【0031】
これに対して、
図2に示すように、一の態様の緩衝部2では、索状緩衝長部材2bに構造物側接続部22が設けられると共に、索状緩衝短部材2cに構造物側接続部22が設けられることで、緩衝部2は二つの構造物側接続部22を備える。そして、
図1に示すように、索状緩衝長部材2bの構造物側接続部22が索長体3aの緩衝連結部32に接続され、索状緩衝短部材2cの構造物側接続部22が索短体3bの緩衝連結部32に接続されている。
【0032】
カバー部23は筒状である。カバー部23は、例えば樹脂により構成されている。
図2に示すように、カバー部23は、人体側接続部21と構造物側接続部22をカバー部23の外側に配置した状態で、緩衝本体部20を収容している。本実施形態のカバー部23は、索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2cとを収容している。
【0033】
一の態様の緩衝部2によれば、索状緩衝長部材2bに高所接続部Aが設けられ、索状緩衝短部材2cに低所接続部Bが設けられる。よって、所定の高さを越える高所で作業を行う場合には高所接続部Aを用いて、所定の高さ以下の低所で作業を行う場合には低所接続部Bを用いればよい。これにより、所定の高さを越える高所で作業を行う場合には、高所接続部Aに接続される高所緩衝部2Aで落下時の衝撃を緩め、所定の高さ以下の低所で作業を行う場合には、低所接続部Bに接続される低所緩衝部2Bで落下時の衝撃を緩めることができる。したがって、一の態様の緩衝部2であるショックアブソーバ2を備えるランヤード1を用いることで、高さに応じて高所用ランヤードと低所用ランヤードを付け替える手間をなくすことができる。
【0034】
また、一の態様の緩衝部2によれば、緩衝本体部20が別体として構成される索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2cとを含む。そのため、高所緩衝部2Aと低所緩衝部2Bとがそれぞれ独立して、落下時の衝撃を緩めることができる。
【0035】
また、一の態様の緩衝部2によれば、人体側接続部21を一つ備える。そのため、一つの人体側接続部21を作業者の人体に対して接続すれば、緩衝部2であるショックアブソーバ2及びこのショックアブソーバ2を備えるランヤード1を作業者の人体に接続できるため、接続の際の作業者の負担を減らすことができる。
【0036】
また、一の態様の緩衝部2によれば、索状緩衝長部材2bにおける構造物側接続部22と人体側接続部21の長さが、索状緩衝短部材2cにおける構造物側接続部22と人体側接続部21の長さよりも長い。そして、索状緩衝長部材2bに設けられる構造物側接続部22は、高所緩衝部2Aに接続する高所接続部Aとして構成され、索状緩衝短部材2cに設けられる構造物側接続部22は、低所緩衝部2Bに接続する低所接続部Bとして構成される。そのため、所定の高さを越える高所で作業を行う場合には、長い高所緩衝部2Aで緩衝でき、所定の高さ以下の低所で作業を行う場合には、短い低所緩衝部2Bで緩衝できるため、高さに応じた長さの緩衝部2で緩衝できる。よって、このショックアブソーバ2を備えるランヤードを用いることで、高さに応じた長さの緩衝部2で緩衝できる。
【0037】
また、一の態様の緩衝部2によれば、カバー部23は索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2cとを収容している。そのため、カバー部23が緩衝本体部20を覆うことにより、高所緩衝部2Aと低所緩衝部2Bとを一つにまとめることができる。
【0038】
また、一の態様の緩衝部2によれば、例えば索状緩衝部材2a(具体的には、索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2c)の長さの方向における一端側をカバー部23に固定した場合には、落下時の衝撃により、索状緩衝部材2a(具体的には、索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2c)の他端側が伸びる。ここで、索状緩衝部材2aの長さの方向における他端では、カラビナに対して、索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2cそれぞれの長さの方向における他端を折り返して形成した環状部分(採番しない)が取り付けられることにより、一つの人体側接続部21が構成されている。よって、落下時の衝撃により、索状緩衝部材2a(具体的には、索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2c)の他端側が伸びる場合には、高所緩衝部2Aと低所緩衝部2Bで破断糸が破断する。したがって、高所緩衝部2Aと低所緩衝部2Bで衝撃を緩衝できる。即ち、高所緩衝部2A又は低所緩衝部2Bだけで緩衝する場合よりも大きい緩衝効果が得られる。
【0039】
次に、第一実施形態に係るランヤード1のうち、
図3に示す緩衝部2の他の態様について説明する。なお、他の態様の緩衝部2を説明するに際して、一の態様と共通する構成や作用についての説明を省略する。他の態様の緩衝部2は、一の態様と同様、緩衝本体部20、人体側接続部21、構造物側接続部22及びカバー部23を備える。
【0040】
他の態様の緩衝部2では、緩衝本体部20は索状緩衝部材2aを一つ備える。そのため、カバー部23は、一つの索状緩衝部材2aを収容している。よって、他の態様の緩衝部2は、これらの点で一の態様の緩衝部2と異なる。なお、索状緩衝部材2aの長さは4mである。
図3に示すように、他の態様の緩衝部2では、長さの方向の一端に高所接続部Aとして構成される構造物側接続部22が配置され、長さの方向の他端に人体側接続部21が配置されている。また、他の態様の人体側接続部21は、カラビナに対して、一つの索状緩衝部材2aの長さの方向における他端を折り返して形成した環状部分(採番しない)が取り付けられることで構成されている。よって、他の態様の緩衝部2は、この点でも一の態様の緩衝部2と異なる。
【0041】
さらに、他の態様の緩衝部2では、低所接続部Bとして構成される構造物側接続部22が、索状緩衝部材2aに取り付けられている点で一の態様の緩衝部2とは異なる。
図3に示すように、低所接続部Bは、折り畳まれた索状緩衝部材2aの折り返し部分に取り付けられている。低所接続部Bは、索状緩衝部材2aのうち、高所接続部Aが配置される側の折り返し部分に取り付けられている。本実施形態の低所接続部Bは、前記折り返し部分に対して取り付けられたD環(採番しない)と、該D環に連結されたストラップ(採番しない)とを介して、索状緩衝部材2aの折り返し部分に取り付けられている。この低所接続部Bは、索状緩衝部材2aの長さの方向において、高所接続部Aよりも人体側接続部21に近く配置されている。
【0042】
ここで、他の態様の緩衝部2では、索状緩衝部材2aのうち、人体側接続部21と高所接続部Aとの間において、長さの方向の所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分を高所緩衝部2Aとし、人体側接続部21と低所接続部Bとの間において、長さの方向の所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分を低所緩衝部2Bとする。具体的に、
図3に示すように、他の態様の緩衝部2では、索状緩衝部材2aのうち、長さの方向において所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分の全域が高所緩衝部2Aになり、索状緩衝短部材2cのうち、長さの方向において所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分の一部が低所緩衝部2Bになる。即ち、他の態様の緩衝部2では、一つの索状緩衝部材2aによって高所緩衝部2Aと低所緩衝部2Bとが構成される。よって、他の態様の緩衝部2では、索状緩衝部材2aにおける人体側接続部21と高所接続部Aの長さが、索状緩衝部材2aにおける人体側接続部21と低所接続部Bとの長さよりも長い。
【0043】
以上、他の態様の緩衝部2によれば、所定の高さ以下の低所で作業を行う場合には低所接続部Bを用いることで、
図4(a)に示すように、索状緩衝部材2aのうち、人体側接続部21と低所接続部Bとの間において、長さの方向の所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分が伸びることにより、低所緩衝部2Bで衝撃を緩めることができる。
【0044】
一方で、所定の高さを越える高所で作業を行う場合には高所接続部Aを用いることで、
図4(b)に示すように、落下時の衝撃により破断糸が破断して、索状緩衝部材2aのうち、長さの方向において所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分の全域が伸びることにより、高所緩衝部2Aで衝撃を緩めることができる。
【0045】
また、他の態様の緩衝部2では、緩衝本体部20は索状緩衝部材2aを一つ備え、索状緩衝部材2aのうち、人体側接続部21と高所接続部Aとの間において、長さの方向の所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分を高所緩衝部2Aとし、人体側接続部21と低所接続部Bとの間において、長さの方向の所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分を低所緩衝部2Bとしている。そのため、緩衝部2を構成する際の部品点数を少なくすることができる。さらに、カバー部23は、一つの索状緩衝部材2aを収容している。そのため、一の態様に比べて、緩衝部2そのものを厚さの方向でコンパクト化できる。
【0046】
よって、本実施形態のランヤード1によれば、構造物側接続部22が高所緩衝部2Aに接続する高所接続部Aと、低所緩衝部2Bに接続する低所接続部Bとを含むため、所定の高さを越える高所で作業を行う場合には高所接続部Aを用いて、所定の高さ以下の低所で作業を行う場合には低所接続部Bを用いればよいため、高さに応じて高所用ランヤードと低所用ランヤードを付け替える手間をなくすことができる。
【0047】
続いて、第二実施形態に係るランヤード1について説明する。なお、第二実施形態を説明するに際して、第一実施形態と同一の構成及び作用については説明を省略する。第二実施形態のランヤード1では、構造物への接続部分が一つあり、人体への接続部分が二つある。
【0048】
図5に示すように、まず、第二実施形態のランヤード1は、索体3を一つ備える点で第一実施形態とは異なる。この索体3は、第一実施形態と同様に索本体部30、構造連結部31、緩衝連結部32を備える。
【0049】
第二実施形態に係るランヤード1では、緩衝部2は、人体側接続部21を二つ備え、構造物側接続部22を一つ備える点で第一実施形態とは異なる。ここで、緩衝部2の態様として、
図6と
図7に示す二つの態様が挙げられる。そのため、以下では、緩衝部2の態様それぞれについて説明する。
図6は、第二実施形態に係るランヤード1における緩衝部2の一の態様を示す。
【0050】
図6に示すように、一の態様の緩衝部2では、緩衝本体部20は別体として構成される索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2cとを含む。また、第一実施形態の一の態様と同様に、索状緩衝長部材2bのうち、長さの方向において所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分を高所緩衝部2Aとし、索状緩衝短部材2cのうち、長さの方向において所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分を低所緩衝部2Bとする。
【0051】
一の態様の緩衝部2は、構造物側接続部22を一つ備える。具体的に、
図5,6に示すように、一つの構造物側接続部22は、D環に対して、索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2cそれぞれの長さの方向における一端を折り返して形成した環状部分が取り付けられることで構成されている。
【0052】
これに対して、
図6に示すように、一の態様の緩衝部2では、索状緩衝長部材2bに人体側接続部21が設けられると共に、索状緩衝短部材2cに人体側接続部21が設けられることで、緩衝部2は、二つの人体側接続部21,21を備える。そして、索状緩衝長部材2bに設けられる人体側接続部21が、高所緩衝部2Aに接続する高所接続部Aとして構成され、索状緩衝短部材2cに設けられる人体側接続部21が、低所緩衝部2Bに接続する低所接続部Bとして構成される。
【0053】
また、一の態様の緩衝部2では、索状緩衝長部材2bにおける構造物側接続部22と高所接続部Aである人体側接続部21の長さが、索状緩衝短部材2cにおける構造物側接続部22と低所接続部Bである人体側接続部21の長さよりも長い。
【0054】
以上、一の態様の緩衝部2によれば、構造物側接続部22を一つ備える。そのため、一つの構造物側接続部22を構造物に対して接続すれば、緩衝部2であるショックアブソーバ2及びこのショックアブソーバ2を備えるランヤード1を構造物に接続できるため、接続の際の作業者の負担を減らすことができる。
【0055】
また、一の態様の緩衝部2では、索状緩衝長部材2bにおける構造物側接続部22と高所接続部Aである人体側接続部21の長さが、索状緩衝短部材2cにおける構造物側接続部22と低所接続部Bである人体側接続部21の長さよりも長い。よって、所定の高さを越える高所で作業を行う場合には、長い高所緩衝部2Aで緩衝でき、所定の高さ以下の低所で作業を行う場合には、短い低所緩衝部2Bで緩衝できるため、この緩衝部2を備えるランヤード1を用いることで、高さに応じた長さの緩衝部2で緩衝できる。
【0056】
また、一の態様の緩衝部2によれば、例えば索状緩衝部材2a(具体的には、索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2c)の長さの方向における他端側をカバー部23に固定した場合には、落下時の衝撃により、索状緩衝部材2a(具体的には、索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2c)の一端側が伸びる。ここで、索状緩衝部材2aの長さの方向における一端では、D環に対して、索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2cそれぞれの長さの方向における一端を折り返して形成した環状部分が取り付けられることにより、一つの構造物側接続部22が構成されている。よって、落下時の衝撃により、索状緩衝部材2a(具体的には、索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2c)の一端側が伸びる場合には、高所緩衝部2Aと低所緩衝部2Bで破断糸が破断する。したがって、高所緩衝部2Aと低所緩衝部2Bで衝撃を緩衝できる。即ち、高所緩衝部2A又は低所緩衝部2Bだけで緩衝する場合よりも大きい緩衝効果が得られる。
【0057】
次に、第二実施形態に係るランヤード1のうち、
図7に示す緩衝部2の他の態様について説明する。なお、他の態様の緩衝部2を説明するに際して、一の態様と共通する構成や作用についての説明を省略する。
【0058】
他の態様の緩衝部2では、緩衝本体部20は索状緩衝部材2aを一つ備える。
図7に示すように、他の態様の緩衝部2では、長さの方向の一端に構造物側接続部22が配置され、長さの方向の他端に高所接続部Aとして構成される人体側接続部21が配置されている。また、他の態様の構造物側接続部22は、D環に対して、一つの索状緩衝部材2aの長さの方向における一端を折り返して形成した環状部分が取り付けられることで構成されている。よって、他の態様の緩衝部2は、この点でも一の態様の緩衝部2と異なる。
【0059】
さらに、他の態様の緩衝部2では、低所接続部Bとして構成される人体側接続部21が、索状緩衝部材2aに取り付けられている。低所接続部Bは、索状緩衝部材2aのうち、高所接続部Aが配置される側の折り返し部分に取り付けられている。具体的に、低所接続部Bは、前記折り返し部分に対して取り付けられたD環(採番しない)と、該D環に連結されたストラップ(採番しない)とを介して、索状緩衝部材2aの折り返し部分に取り付けられている。この低所接続部Bは、索状緩衝部材2aの長さの方向において、高所接続部Aよりも構造物側接続部22に近く配置されている。
【0060】
他の態様の緩衝部2では、索状緩衝部材2aのうち、構造物側接続部22と高所接続部Aとの間において、長さの方向の所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分を高所緩衝部2Aとし、構造物側接続部22と低所接続部Bとの間において、長さの方向の所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分を低所緩衝部2Bとする。即ち、他の態様の緩衝部2では、一つの索状緩衝部材2aによって高所緩衝部2Aと低所緩衝部2Bとが構成される。よって、他の態様の緩衝部2では、索状緩衝部材2aにおける構造物側接続部22と高所接続部Aの長さが、索状緩衝部材2aにおける構造物側接続部22と低所接続部Bとの長さよりも長い。
【0061】
以上、他の態様の緩衝部2によれば、所定の高さ以下の低所で作業を行う場合には低所接続部Bを用いることで、
図8(a)に示すように、索状緩衝部材2aのうち、構造物側接続部22と低所接続部Bである人体側接続部21との間において、長さの方向の所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分が伸びることにより、低所緩衝部2Bで衝撃を緩めることができる。
【0062】
また、他の態様の緩衝部によれば、所定の高さを越える高所で作業を行う場合には高所接続部Aを用いることで、
図8(b)に示すように、落下時の衝撃により破断糸が破断して、索状緩衝部材2aのうち、構造物側接続部22と高所接続部Aである人体側接続部21との間において、長さの方向において所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分の全域が伸びることにより、高所緩衝部2Aで衝撃を緩めることができる。
【0063】
次に、第三実施形態に係るランヤード1について説明する。なお、第三実施形態を説明するに際して、第一及び第二実施形態と同一の構成及び作用については説明を省略する。
【0064】
図9に示すように、第三実施形態のランヤード1は、第一実施形態と同様に、長さの異なる二つの索体3(具体的には、索長体3aと索短体3b)を備える。そのため、索長体3aの索本体部30は、索短体3bの索本体部30よりも長い。
【0065】
図9~11に示すように、第三実施形態のランヤード1において、緩衝部2は、人体側接続部21及び構造物側接続部22を二つ備える。ここで、緩衝部2として、
図10と
図11に示す二つの態様が挙げられる。そのため、緩衝部2の態様それぞれについて説明する。
図10は、第三実施形態に係るランヤード1における緩衝部2の一態様を示す。
【0066】
図10に示すように、一の態様の緩衝部2では、緩衝本体部20は別体として構成される索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2cとを含む。また、第一及び第二実施形態の一の態様と同様に、索状緩衝長部材2bのうち、長さの方向において所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分を高所緩衝部2Aとし、索状緩衝短部材2cのうち、長さの方向において所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分を低所緩衝部2Bとする。
【0067】
一の態様の緩衝部2では、索状緩衝長部材2bに人体側接続部21が設けられると共に、索状緩衝短部材2cにも人体側接続部21が設けられることで、緩衝部2は、二つの人体側接続部21を備える。そして、索状緩衝長部材2bに設けられる人体側接続部21が、高所緩衝部2Aに接続する高所接続部Aとして構成され、索状緩衝短部材2cに設けられる人体側接続部21が、低所緩衝部2Bに接続する低所接続部Bとして構成される。
【0068】
また、一の態様の緩衝部2では、索状緩衝長部材2bにおける高所接続部A,A同士の長さが、索状緩衝短部材2cにおける低所接続部B,B同士の長さよりも長い。
【0069】
また、一の態様の緩衝部2では、索状緩衝長部材2bに構造物側接続部22が設けられると共に、索状緩衝短部材2cにも構造物側接続部22が設けられることで、緩衝部2は、二つの構造物側接続部22を備える。さらに、索状緩衝長部材2bに設けられる構造物側接続部22が、高所緩衝部2Aに接続する高所接続部Aとして構成され、索状緩衝短部材2cに設けられる構造物側接続部22が、低所緩衝部2Bに接続する低所接続部Bとして構成される。
【0070】
以上、一の態様の緩衝部2によれば、緩衝本体部20が別体として構成される索状緩衝長部材2bと索状緩衝短部材2cとを含む。そのため、高所緩衝部2Aと低所緩衝部2Bとがそれぞれ独立して落下の衝撃を緩めることができる。具体的に、索状緩衝長部材2bに人体側接続部21が設けられると共に、索状緩衝短部材2cにも人体側接続部21が設けられ、索状緩衝長部材2bに構造物側接続部22が設けられると共に、索状緩衝短部材2cにも構造物側接続部22が設けられることで、緩衝部2は、二つの人体側接続部21及び構造物側接続部22を備える。したがって、高所緩衝部2Aと低所緩衝部2Bとが独立して落下の衝撃を緩めることができる。
【0071】
また、一の態様の緩衝部2によれば、他の態様の緩衝部2では、索状緩衝長部材2bにおける高所接続部A,A同士の長さが、索状緩衝短部材2cにおける低所接続部B,B同士の長さよりも長い。よって、所定の高さを越える高所で作業を行う場合には、長い高所緩衝部2Aで緩衝でき、所定の高さ以下の低所で作業を行う場合には、短い低所緩衝部2Bで緩衝できるため、この緩衝部2を備えるランヤード1を用いることで、高さに応じた長さの緩衝部2で緩衝できる。
【0072】
次に、第三実施形態に係るランヤード1のうち、
図11に示す緩衝部2の他の態様について説明する。なお、他の態様の緩衝部2を説明するに際して、一の態様と共通する構成や作用についての説明を省略する。他の態様の緩衝部2では、緩衝本体部20は索状緩衝部材2aを一つ備える。そして、
図11に示すように、他の態様の緩衝部2では、索状緩衝部材2aのうち、長さの方向の一端に高所接続部Aとして構成される構造物側接続部22が配置され、長さの方向の他端に高所接続部Aとして構成される人体側接続部21が配置されている。
【0073】
また、他の態様の緩衝部2では、低所接続部Bとして構成される人体側接続部21と、低所接続部Bとして構成される構造物側接続部22とが索状緩衝部材2aに取り付けられている。低所接続部Bとして構成される人体側接続部21は、索状緩衝部材2aのうち、高所接続部Aとして構成される人体側接続部21が配置される側の折り返し部分に取り付けられている。一方で、低所接続部Bとして構成される構造物側接続部22は、索状緩衝部材2aのうち、高所接続部Aとして構成される構造物側接続部22が配置される側の折り返し部分に取り付けられている。具体的に、低所接続部B,Bは、折り返し部分に対して取り付けられたD環(採番しない)と、該D環に連結されたストラップ(採番しない)とを介して、索状緩衝部材2aの折り返し部分に取り付けられている。
【0074】
他の態様の緩衝部2では、索状緩衝部材2aのうち、高所接続部Aとして構成される構造物側接続部22と、高所接続部Aとして構成される人体側接続部21との間において、長さの方向の所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分を高所緩衝部2Aとし、低所接続部Bとして構成される構造物側接続部22と、低所接続部Bとして構成される人体側接続部21との間において、長さの方向の所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分を低所緩衝部2Bとする。即ち、他の態様の緩衝部2では、一つの索状緩衝部材2aによって高所緩衝部2Aと低所緩衝部2Bとが構成される。よって、他の態様の緩衝部2では、索状緩衝部材2aにおける高所接続部A,A同士の長さが、索状緩衝部材2aにおける低所接続部B,B同士の長さよりも長い。
【0075】
以上、他の態様の緩衝部2によれば、所定の高さ以下の低所で作業を行う場合には、低所接続部Bを用いることで、
図12(a)に示すように、索状緩衝部材2aのうち、低所接続部Bである人体側接続部21と低所接続部Bである構造物側接続部22との間において、長さの方向の所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分が伸びることにより、低所緩衝部2Bで衝撃を緩めることができる。
【0076】
また、他の態様の緩衝部2によれば、所定の高さを越える高所で作業を行う場合には、高所接続部Aを用いることで、
図12(b)に示すように、索状緩衝部材2aのうち、高所接続部Aである人体側接続部21と高所接続部Aである構造物側接続部22との間において、長さの方向において所定の間隔で折り返され且つ厚みの方向で重なるように畳まれた部分が伸びることにより、高所緩衝部2Aで衝撃を緩めることができる。
【0077】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
【0078】
上記実施形態では、緩衝本体部20が帯状のストラップである索状緩衝部材2aを含み、緩衝本体部20は、落下時の衝撃により破断糸が破断して、折り畳まれたストラップが伸びることにより衝撃を緩めるように構成されていた。しかし、これに限らず、例えば、緩衝本体部20は、弾性体により構成されており、弾性体が弾性変形することにより衝撃を緩めてもよい。また、緩衝本体部20は、蛇腹状の索状体で構成されており、索状体の蛇腹が広がることにより衝撃を緩めてもよい。
【0079】
上記実施形態では、人体側接続部21であるカラビナが作業者の着用する墜落制止用器具(具体的には、フルハーネス)に設けられたD環(採番しない)に引掛けられることにより、人体側接続部21が作業者の人体に接続される、と説明した。しかし、これに限らず、人体側接続部21は、作業者の人体に対して直接接続されていてもよい。
【0080】
上記実施形態では、索体3が緩衝部2と構造物を連結するものであるについて説明した。しかし、これに限らず、索体3が緩衝部2と構造物を連結するものであることに代えて又は加えて、索体3が緩衝部2と人体を連結するものであってもよい。ここで、緩衝部2と構造物を連結する索体3の長さが、緩衝部2と人体を連結する索体3の長さよりも短くてもよいし長くてもよいし同一でもよい。なお、索体3が緩衝部2と人体のみを連結するものである場合には、人体側接続部21が索体3を介して人体に接続され、構造物側接続部22が構造物に対して直接接続される。
【0081】
索体3は、
図13(a)(b)に示すように、二つの構造連結部31を備えてもよい。この場合、索本体部30の長さの方向の一端側が二股状に構成され、長さの方向の一端それぞれに構造連結部31が配置されている。また、
図13(b)(c)に示すように、二つの緩衝連結部32を備えていてもよい。この場合、索本体部30の長さの方向の他端側が二股状に構成され、長さの方向の他端それぞれに緩衝連結部32が配置されている。
【0082】
上記実施形態では、
図1,9に示すように、D環同士が連結されることにより、構造物側接続部22と緩衝連結部32とが接続されていた。即ち、上記実施形態では、索長体3aの緩衝連結部32と高所接続部Aとの接続構造が、索短体3bの緩衝連結部32と低所接続部Bとの接続構造が同じであった。しかし、これに限らず、例えば、
図14に示すように、索長体3aの緩衝連結部32と高所接続部Aとの接続構造が、索短体3bの緩衝連結部32と低所接続部Bとの接続構造が異なっていてもよい。この場合において、索体3は、構造物側接続部22に対して取り外し可能に接続されていてもよい。即ち、索長体3aの緩衝連結部32が高所接続部Aに対してのみ接続可能に構成され、索短体3bの緩衝連結部32が低所接続部Bに対してのみ接続可能に構成されていてもよい。これにより、高所接続部Aに対して索短体3bの緩衝連結部32を接続し、低所接続部Bに対して索長体3aの緩衝連結部32を接続するといった接続誤りを防止できる。なお、索体3が緩衝部2と人体を接続する場合においても同様である。
【0083】
上記実施形態の他の態様の緩衝部2において、低所接続部Bは、索状緩衝部材2aの折り返し部分に対して取り付けられたD環と、該D環に連結されたストラップとを介して、索状緩衝部材2aの折り返し部分に取り付けられていた。しかし、これに限らず、低所接続部Bは、索状緩衝部材2aの折り返し部分に取り付けられていればよい。したがって、例えば、低所接続部Bは、索状緩衝部材2aの折り返し部分に対して取り付けられた環状のストラップを介して、索状緩衝部材2aの折り返し部分に取り付けられていてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1:ランヤード、2:緩衝部、ショックアブソーバ、20:緩衝本体部、21:人体側接続部、22:構造物側接続部、23:カバー部、2A:高所緩衝部、2B:低所緩衝部、2a:索状緩衝部材、2b:索状緩衝長部材、2c:索状緩衝短部材、3:索体、30:索本体部、31:構造連結部、32:緩衝連結部、3a:索長体、3b:索短体、A:高所接続部、B:低所接続部