(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139512
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】データ処理システム及びデータ処理方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20241002BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
A61M25/00 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050484
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】宮本 真衣
(72)【発明者】
【氏名】東出 士郎
【テーマコード(参考)】
3C100
4C267
【Fターム(参考)】
3C100AA57
3C100AA62
3C100AA68
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB17
3C100BB34
3C100CC02
3C100DD08
3C100DD22
4C267AA01
4C267FF01
(57)【要約】
【課題】製品の品質向上に貢献するデータ処理システム及びデータ処理方法を提供する。
【解決手段】データ処理システムは、製品を構成する分岐したラインにそれぞれ配設され、前記ラインにおける加工を検知する検知装置と、前記検知装置それぞれから加工の結果を取得し、前記加工の結果を記録した前記製品の生産管理に係るデータベースを記憶するサーバ装置とを含み、前記検知装置は、加工を検知する都度、加工対象を個別に識別する識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置は、前記検知装置から前記識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時を受信する都度、1回の加工を識別するための加工IDを付与し、加工IDに対応付けて前記1回の加工夫々について前記識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時を加工テーブルの1つのレコードを生成し、生成したレコードを前記データベースに記憶する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の生産管理に係るデータを処理するデータ処理システムであって、
分岐したラインにそれぞれ配設され、前記ラインにおける加工を検知する検知装置と、
前記検知装置それぞれから加工の結果を取得し、前記加工の結果を記録した前記製品の生産管理に係るデータベースを記憶するサーバ装置と
を含み、
前記検知装置は、加工を検知する都度、加工対象を個別に識別する識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時を前記サーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置は、
前記検知装置から前記識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時を受信する都度、1回の加工を識別するための加工IDを付与し、
加工IDに対応付けて前記1回の加工夫々について前記識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時を加工テーブルの1つのレコードを生成し、
生成したレコードを前記データベースに記憶する
データ処理システム。
【請求項2】
前記サーバ装置は、
生産対象の前記製品の指図書のデータを受け付け、
受け付けた前記指図書のデータに基づき前記ラインそれぞれに対して1つのレコードを持つラインテーブルを前記データベースに生成し、
前記ラインテーブルのレコードは、各ラインについての加工前、加工中又は加工後の進捗データを有する
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項3】
前記検知装置は、
前記加工で使用されたパラメータを取得し、
取得したパラメータを、前記識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時と共に送信する
請求項1に記載のデータ処理システム。
【請求項4】
前記検知装置は、
加工対象の部材を加工前に検知すると、加工開始日時を決定し、
前記部材に付与されている識別データを取得し、
前記加工対象の部材への加工終了を検知すると、加工終了日時を決定する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のデータ処理システム。
【請求項5】
前記検知装置は、
加工対象となる分割前の部材に対し、加工開始日時を決定し、
所定時間が経過する都度に、前記部材に付与されている識別データに対して前記部材の一部を他の一部と識別する付加データを決定し、
加工終了日時を決定し、
前記識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時と共に前記付加データを送信する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のデータ処理システム。
【請求項6】
前記製品は、医療用カテーテルであり、
前記検知装置は、
前記医療用カテーテルの部材となるシャフトに対し、連続線である材料を加工する加工設備の加工開始を検知し、
前記材料の加工中、所定時間が経過する都度に、
所定時間の計測の始まりを加工開始日時として決定し、
前記所定時間の計測の終わりで加工終了日時を決定し、
前記材料に付与されている識別データに対して枝番を付加し、
前記識別データ、前記枝番、加工開始日時、及び加工終了日時を前記サーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置は、
前記識別データ及び枝番によって加工対象を識別するレコードを生成して前記データベースに記憶する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のデータ処理システム。
【請求項7】
製品の生産管理に係るデータを処理するデータ処理方法であって、
分岐したラインにそれぞれ配設され、前記ラインにおける加工を検知する検知装置が、加工を検知する都度、加工対象を個別に識別する識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時をサーバ装置へ送信し、
前記サーバ装置が、
前記検知装置それぞれから加工の結果を取得し、
前記検知装置から前記識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時を受信する都度、1回の加工を識別するための加工IDを付与し、
加工IDに対応付けて前記1回の加工夫々について前記識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時を加工テーブルの1つのレコードを生成し、
前記製品の前記生産管理に係るデータベースに、前記レコードを記憶する
データ処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル製造工程におけるデータ処理システム及びデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管及び脈管等の管腔器官に存在する病変部の診断用又は治療用に医療用カテーテル(以下、単にカテーテルともいう)が用いられている。医療用カテーテルは、患者の体内に挿入される柔軟なシャフトと、シャフトの基端に設けられる硬質なハブとを備える。医療用カテーテルは、シャフトとハブとを接合したり、先端にバルーンを取り付けたり、微細な部材を組み立てる工程を経て製造される。
【0003】
特許文献1には、医療用カテーテルの製品としての品質を高めるために、接合時の金型に対するシャフトの移動を抑止する製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
医療用カテーテルの製造工程において、組み立てられた製品を個体ごとに識別し、各々を構成する部材について、いつ、どこで製造されたものが、どのように組み立てられたのかといった情報を管理することが提案されている。個体ごと、及び部材それぞれを識別することで、異なる品種を混ぜた混流生産が可能となる。製品及び部材の組み立ての日時の記録、どの部品をどこから入手して組み立てたのかといった記録を、事後的に参照可能とすることで、在庫管理、品質の源流管理が可能となる。
【0006】
また、製造工程において、いくつかの工程で自動検査を組み込み、個体の識別情報に対応付けて記憶することで、不具合等の事象が発生した場合の要因の分析が可能となり、トレーサビリティを向上させることができる。更に、検査のばらつきや検査漏れを低減し、品質向上への貢献が期待できる。
【0007】
本発明は、製造工程における工程の記録により、製品の品質向上に貢献するデータ処理システム及びデータ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本開示の一実施形態のデータ処理システムは、製品の生産管理に係るデータを処理するデータ処理システムであって、分岐したラインにそれぞれ配設され、前記ラインにおける加工を検知する検知装置と、前記検知装置それぞれから加工の結果を取得し、前記加工の結果を記録した前記製品の生産管理に係るデータベースを記憶するサーバ装置とを含み、前記検知装置は、加工を検知する都度、加工対象を個別に識別する識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置は、前記検知装置から前記識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時を受信する都度、1回の加工を識別するための加工IDを付与し、加工IDに対応付けて前記1回の加工夫々について前記識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時を加工テーブルの1つのレコードを生成し、生成したレコードを前記データベースに記憶する。
【0009】
(2)上記(1)のデータ処理システムにおいて、前記サーバ装置は、生産対象の前記製品の指図書のデータを受け付け、受け付けた前記指図書のデータに基づき前記ラインそれぞれに対して1つのレコードを持つラインテーブルを前記データベースに生成し、前記ラインテーブルのレコードは、各ラインについての加工前、加工中又は加工後の進捗データを有する。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)のデータ処理システムにおいて、前記検知装置は、前記加工で使用されたパラメータを取得し、取得したパラメータを、前記識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時と共に送信する。
【0011】
(4)上記(1)から(3)のうちのいずれか1項のデータ処理システムにおいて、前記検知装置は、加工対象の部材を加工前に検知すると、加工開始日時を決定し、前記部材に付与されている識別データを取得し、前記加工対象の部材への加工終了を検知すると、加工終了日時を決定する。
【0012】
(5)上記(1)から(3)のうちのいずれか1項のデータ処理システムにおいて、前記検知装置は、加工対象となる分割前の部材に対し、加工開始日時を決定し、所定時間が経過する都度に、前記部材に付与されている識別データに対して前記部材の一部を他の一部と識別する付加データを決定し、加工終了日時を決定し、前記識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時と共に前記付加データを送信する。
【0013】
(6)上記(1)から(3)のうちのいずれか1項のデータ処理システムにおいて、前記製品は、医療用カテーテルであり、前記検知装置は、前記医療用カテーテルの部材となるシャフトに対し、連続線である材料を加工する加工設備の加工開始を検知し、前記材料の加工中、所定時間が経過する都度に、所定時間の計測の始まりを加工開始日時として決定し、前記所定時間の計測の終わりで加工終了日時を決定し、前記材料に付与されている識別データに対して枝番を付加し、前記識別データ、前記枝番、加工開始日時、及び加工終了日時を前記サーバ装置へ送信し、前記サーバ装置は、前記識別データ及び枝番によって加工対象を識別するレコードを生成して前記データベースに記憶する。
【0014】
(7)本開示に係るデータ処理方法は、製品の生産管理に係るデータを処理するデータ処理方法であって、分岐したラインにそれぞれ配設され、前記ラインにおける加工を検知する検知装置が、加工を検知する都度、加工対象を個別に識別する識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時をサーバ装置へ送信し、前記サーバ装置が、前記検知装置それぞれから加工の結果を取得し、前記検知装置から前記識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時を受信する都度、1回の加工を識別するための加工IDを付与し、加工IDに対応付けて前記1回の加工夫々について前記識別データ、加工開始日時、及び加工終了日時を加工テーブルの1つのレコードを生成し、前記製品の前記生産管理に係るデータベースに、前記レコードを記憶する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、製造工程における工程の記録により、製品の品質向上に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図5】クライアント装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】生産管理システムの対象となる製造ラインの概要図である。
【
図7】データベースが含むテーブルの内容例を示す図である。
【
図8】データベースが含むテーブルの内容例を示す図である。
【
図9】検知装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】検知装置における処理手順の他の一例を示すフローチャートである。
【
図11】サーバ装置におけるデータベースへの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。以下の実施の形態では、本開示の情報処理システムを適用した医療用カテーテルの製造に関する生産管理システムについて説明する。
【0018】
図1は、本開示の生産管理システム100の概要図である。生産管理システムは、複数の検知装置3と、測定装置4と、サーバ装置1と、クライアント装置2と、各装置の通信媒体となるネットワークN1,N2とを含む。ネットワークN1は、生産管理対象の工場に配設されている制御用のローカルネットワーク(専用線)である。ネットワークN2は、ネットワークN1と接続され、1又は複数のクライアント装置2が接続可能な論理的な生産管理システム100内のローカルネットワーク(工場と離隔した場所であってもよいし、仮想プライベートネットワークを含んでもよいが)である。ネットワークN2には、データベース用のサーバ5が接続されてもよく、クライアント装置2は、公衆通信網及びネットワークN2を介してサーバ5と通信接続が可能であってもよい。
【0019】
検知装置3は、製造工程の作業者(又はロボット)による各工程の実施を検知する装置である。検知装置3は、カメラ、RFID(Radio Frequency Identification)リーダ、赤外線センサ等と接続されている。検知装置3は、カメラや赤外線センサで撮影された画像やバーコード等に対する認識処理、RFIDリーダから取得される識別データ、あるいは、作業者からの入力操作によって得られる情報に基づき、設置されている工程の前後において、その工程で使用される部材、又は製品を識別し、工程の結果を、各部材又は製品に割り当てられている識別データに対応付けてサーバ装置1へ送信する。
【0020】
測定装置4は、いくつかの工程の前後に、その工程における部材又は加工後の製品に対する品質に係るパラメータの測定を自動的に、又は半自動で実施する装置である。測定装置4は、測定対象の部材又は製品を識別し、識別データと測定結果とを対応付けてサーバ装置1へ送信する。
【0021】
サーバ装置1は、データベース(DB:Data Base )110を記憶した記憶装置を備え、各検知装置3から出力される検知結果と、測定装置4から得られる測定結果とに基づき、データベース110に、各工程の結果に対応するデータを記録及び更新する。サーバ装置1は、データベース110への記録に基づく分析結果を、クライアント装置2へ出力する処理を実行する。クライアント装置2は、サーバ装置1と通信接続してデータベース110に対する検索を含む演算操作を受け付け、出力される結果を表示部23に表示する。サーバ装置1のデータベース110は、逐次サーバ5で管理されるデータベース50に転送され、最新の情報(後述するようにリアルタイムに参照されるデータ)のみを記憶したものであってよい。
【0022】
データベース110に記録する内容は、各製品、部材がどの工程(どのライン)に存在し、どのような状態であるかを示す「ラインテーブル」と、どの工程でどのIDの部材をどのように加工したかを記録する「加工テーブル」とを含む。「ラインテーブル」は、リアルタイムに状況をモニタリングするためのデータを記憶・更新し、「加工テーブル」は、工程の履歴を逐次記憶するテーブルである。
【0023】
各検知装置3又は測定装置4から送信されるデータに基づき、サーバ装置1の処理によって、どこでどのような部材が、いつ製造されてどのように組み立てられたかを、リアルタイムに、及び事後的に分析できるデータを含むデータベース110が作成される。以下、このデータベース110の作成処理について、これを実現する各装置のハードウェア構成及び処理の詳細を説明する。
【0024】
図2は、検知装置3の構成を示すブロック図である。検知装置3は、プログラマブルロジックコントローラ、マイクロコンピュータ等を用いる。検知装置3は、処理部30と、記憶部31と、通信部32と、入出力部33とを含む。
【0025】
処理部30は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit )、MPU(Micro-Processing Unit )、GPU(Graphics Processing Unit)、GPGPU(General-purpose computing on graphics processing units)、又は、TPU(Tensor Processing Unit)等のいずれかを採用する。処理部は、図示しないRAM(Random Access Memory)等の非一時記憶媒体を用い、処理中に生成したデータを非一時記憶媒体に記憶しつつ、記憶部に記憶されているコンピュータプログラムP3に基づき、後述の演算を実行する。
【0026】
記憶部31は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体である。記憶部は、処理部30が読み出すコンピュータプログラムP3、設定データ等を記憶する。設定データは、各検知装置3自体を識別するための機器ID、検知対象の工程を識別する工程ID、検知対象の工程の作業者の作業者ID等を含む。
【0027】
コンピュータプログラムP3は、装置外の非一時記憶媒体9に記憶されたコンピュータプログラムP9を、処理部30が入出力部33を介して読み出して、複製したものであってもよい。コンピュータプログラムP3は、遠隔のサーバ装置が配信するものを、処理部30が通信部32を介して取得し、記憶部31に記憶したものであってもよい。
【0028】
通信部32は、検知装置3とサーバ装置1との間の通信接続を実現する。通信部32は、工場に配設されているローカルネットワークであるネットワークN1の無線LAN用のアクセスポイントと、無線通信を実現する無線通信デバイスである。通信部32は有線通信デバイスであってもよいし、他の無線通信デバイスであってもよい。
【0029】
入出力部33は、外部機器が接続されるインタフェースである。入出力部33は例えば、通信インタフェースである。本実施形態において入出力部33には、カメラ331、RFIDリーダ332及びRFIDライタ333が接続されている。処理部30は、入出力部33を介し、カメラ331から出力される画像信号を取得する。処理部30は、入出力部33を介し、RFIDリーダ332で読み取られるRFIDタグに記憶されている各種IDを取得できる。処理部30は、入出力部33を介し、RFIDライタ333へ、RFIDタグに記憶するデータを出力して書き込ませることができる。
【0030】
図3は、測定装置4の構成を示すブロック図である。測定装置4は、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ等を用いる。測定装置4は、処理部40と、記憶部41と、通信部42と、測定部43とを含む。測定装置4の各構成部のハードウェア構成は、測定部43を除き、検知装置3の各構成部と同様であるから、対応する符号を付して詳細な説明を省略する。
【0031】
測定装置4の記憶部41には、測定装置4としての機能を実装するためのコンピュータプログラムP4が記憶されている。コンピュータプログラムP4は、記憶媒体8に記憶されているコンピュータプログラムP8を複製したものであってもよいし、通信部42を介して他のプログラム配信サーバからダウンロードされたものであってもよい。
【0032】
測定部43は、カメラ、圧力センサ、温度センサ等、測定対象のカテーテルの製造段階に応じて種々のセンサ類が用いられる。カメラは、可視光カメラ、赤外線カメラ、様々な波長帯の光に対するハイパースペクトルカメラを含んでよい。圧力センサ又は温度センサは、例えばバルーンを形成する工程で使用される加工装置で使用されるセンサであって、加工装置で使用されるセンサの出力を測定部43で取得する構成としてもよい。
【0033】
測定装置4では、測定部43として使用されるカメラ等の各種センサから得られる信号に基づき、処理部40が、較正された係数を乗算して推定値を算出したり、画像から寸法を算出したり、分光結果と併せた評価をしたりする演算を実行する。測定装置4において処理部40は、記憶部41に記憶してある機器ID、工程IDと対応付けて、演算結果をサーバ装置1へ送信する。
【0034】
図4は、サーバ装置1の構成を示すブロック図である。サーバ装置1は、サーバコンピュータである。サーバ装置1は、説明を容易にするために1台のサーバコンピュータとして以下に説明するが、通信接続される複数のサーバコンピュータ(サーバ5等)で処理又は機能を分散させた構成としてよい。
【0035】
サーバ装置1は、処理部10、記憶部11、通信部12及び入出力部13を備える。処理部10は、CPU又はGPUを用いたプロセッサである。処理部10は、内蔵するRAM及びROMを用いて各構成部を制御する。処理部10は、記憶部11に記憶されているサーバプログラムP1に基づき、後述する情報処理を実行する。
【0036】
記憶部11は、ハードディスク又はSSD(Solid State Drive )を用いる。記憶部11は、サーバプログラムP1を記憶しているほか、処理部10が参照する他のプログラム、及びデータを記憶する。サーバ装置1は、記憶部11の内部又は外部に設けた記録装置にデータベースを構築している。記憶部11に記憶されているサーバプログラムP1は、コンピュータから読み取り可能な記憶媒体7に記憶されていたサーバプログラムP7を処理部10が読み出して記憶部11に記憶したものであってもよいし、プログラム配信サーバからダウンロードされたものであってもよい。
【0037】
通信部12は、ネットワークN1又はネットワークN2を介した通信を実現する。処理部10は、通信部12によりローカルネットワーク又は専用線であるネットワークN1を介して、検知装置3及び測定装置4との間でデータの送受信が可能である。処理部10は、通信部12により、ネットワークN2を介して、場合によってはネットワークN2及び公衆通信網を介して、クライアント装置2との間でデータの送受信が可能である。
【0038】
入出力部13は、データベース110を記憶した記憶装置への接続インタフェースである。データベース110が記憶部11内に設けられている場合は不要である。
【0039】
このように構成されるサーバ装置1による処理手順については詳細を後述する。
【0040】
図5は、クライアント装置2の構成を示すブロック図である。クライアント装置2は、ラップトップ型又はタブレット型のパーソナルコンピュータを用いる。クライアント装置2は、スマートフォンであってもよいし、デスクトップ型のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0041】
クライアント装置2は、処理部20、記憶部21、通信部22、表示部23、及び操作部24を備える。
【0042】
処理部20は、CPU又はGPUを用いたプロセッサを有し、内蔵するRAM及びROMを用いて各構成部を制御する。処理部20は、記憶部21に記憶してあるクライアントプログラムP2を読み出し、サーバ装置1経由でデータベース110に対する検索操作、演算操作等を含む分析処理を実行できる。クライアントプログラムP2は、ウェブブラウザプログラムを含み、サーバ装置1が提供するWebページを介して上述の分析処理をサーバ装置1側で実行させるスクリプトであってもよい。
【0043】
記憶部21は、フラッシュメモリ又はSSDを用いる。記憶部21は、クライアントプログラムP2を記憶しているほか、使用者のアカウントデータ、処理部20が参照する他のデータ等を記憶する。
【0044】
通信部22は、ネットワークN2を介した通信を実現する通信デバイスである。通信部22は、無線通信デバイスであって、ネットワークN2に含まれるアクセスポイントと無線により通信可能であってもよいし、キャリアネットワーク等の公衆通信網を介してサーバ装置1又はサーバ5と通信可能であってもよい。通信部22は、無線に限られず、有線通信デバイスであってもよい。
【0045】
表示部23は、液晶パネル又は有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を用いる。操作部24は、サーバ装置1を介したデータベース110に対する検索操作、演算操作を実行するオペレータの操作を受け付けるインタフェースである。操作部は、物理ボタン、キーボード、ポインティングデバイス、表示部23内蔵のタッチパネルデバイス、スピーカ及びマイクロフォン等を用いる。操作部24は、物理ボタン又はタッチパネルにて表示部23で表示している画面上で操作を受け付けてもよいし、マイクロフォンにて入力音声から操作内容を認識し、スピーカで出力する音声との対話形式で操作を受け付けてもよい。
【0046】
このように構成されている生産管理システム100において、製造工程にてデータベース110が記録、更新されて混流生産がスムーズに実現される過程を説明する。
【0047】
図6は、生産管理システム100の対象となる製造ラインの概要図であり、
図7及び
図8は、
図6の製造ラインに対して記憶されるデータベース110が含むテーブルの内容例を示す図である。後述する生産管理システム100の対象となる医療用カテーテルの製造ラインは、以下のA~Fの製造ラインを枝に持ち、それぞれがメインラインに合流する。
ラインA:先端シャフト製造ライン
ラインB:バルーン元チューブ製造ライン(又はステントマウント製造ライン)
ラインC:基部内管シャフト製造ライン
ラインD:先端内管シャフト製造ライン
ラインE:基端シャフト製造ライン
ラインF:中間シャフト製造ライン
【0048】
医療用カテーテルの製造工程は、ラインAで製造される先端シャフトと、ラインBで製造されるバルーン元チューブとを、メインラインの上流で組み合わせる工程を含む。製造工程は、バルーン元チューブが組み合わされた先端シャフトに、ラインCで製造された基部内管シャフトを組み合わせる工程を含む。ラインCの基部内管シャフトの製造工程は、ラインCの中ほどで、ラインDの先端内管シャフトを組み合わせる工程を含む。製造工程は、基部内管シャフトが組み合わされた先端シャフトに、ラインFで製造された中管シャフトを組み合わせる工程を含む。製造工程は、中間シャフトと先端シャフトとが組み合わされたものに、ラインEで製造された基端シャフトを組み合わせる工程を含む。製造工程は、先端シャフト、中管シャフト、及び基端シャフトを組み合わせた後に、針を取り付けて1つの医療用カテーテルデバイスとしてパッケージ化する工程を含む。
【0049】
このような製造工程に対し、データベース110は、大きく分けて「ラインテーブル」、「加工テーブル」を含む。「ラインテーブル」は、製品を構成する部材の種類それぞれに対して分岐した「ライン」毎に、当該ラインで製造する部材の品番(製品)IDと、その部材を製造する根拠となる指図書を識別する指図書IDを含む。「ラインテーブル」は、その指図書に基づき作成する部材の計画数と、それに対する進捗状態(加工前、加工中、加工終了等)とを、1行に含めて記憶し、その部材に対する製造が進捗する都度に更新される。
【0050】
例えば、
図7に示す「ラインテーブル」は、
図6に示したラインAについてのレコードを含む。1行目のラインAのレコードは、製品ID「1234567890ABCDEF」で識別される先端シャフト(部分)を製造対象としており、指図書IDは「ORDER_1234」である。当該ラインAのレコードは、製品ID「1234567890ABCDEF」の部材の製造の進捗が、当該ラインAにて「加工中」であって、計画数「 305」に対して、測定装置にて測定結果に基づき「不適合」と判定された数が「 1」であり、他は「適合」として進行していることを示す。「ラインテーブル」は、製品ID「1234567890ABCDEF」の部材が、次に進むべき工程(ライン)を識別するデータ(工程ID)を含んでもよい。同様にして3行目のラインBのレコードは、製品ID「7890123456DEFABC」で識別されるバルーンを製造対象とし、指図書IDは「ORDER_1234」で先端シャフトと同一の指図書を基に作成される。最終製品の指図書IDに対して、部材毎に枝番が振られている場合、その枝番を別途項目として記憶してもよい。
【0051】
図7に示す「ラインテーブル」には、
図6に示したラインAについて、異なる指図書による同一の先端シャフト(部分)の製造指示に基づくレコードが作成されている。新たな指図書「ORDER_2345」に基づく、製品ID「1234567890ABCDEF」で識別される先端シャフトの進捗を示すレコードの進捗は「加工前」となっている。異なる製品IDの部材であってラインAに配設されている加工設備を利用できる場合、その部材が同一のラインAで製造されるように決定されることが許容される。
【0052】
「加工テーブル」は、各工程に対して生成される1つのレコードを含む。「加工テーブル」は、各加工工程を識別する加工IDが割り当てられている。「加工テーブル」は、部材の個体について、いつ、どこで、だれによって加工されたかを記録するためのデータである。「加工テーブル」は、部材の種類を示す製品ID、同一の指図書に基づく部材の識別データ(その部材は何番目に生産されたものか)、を少なくとも含む。「加工テーブル」は、各レコードに、加工開始日時及び下降終了日時、加工の作業を行なう作業者又はロボットの識別データ(作業者ID)を含む。
【0053】
例えば、
図7に示す「加工テーブル」には、ラインAで加工した製品ID「1234567890ABCDEF」で識別される先端シャフトを製造するまでの1つ1つの加工単位に対応するレコードが含まれている。
図7の例では、医療用カテーテルの先端シャフトという部材が製造対象であるから、加工前の部材の状態は巻き取られた長いチューブである。この場合、カットする前のチューブ(連続線)を対象とする加工単位は、時間区切りとする。カット後のチューブ(単線)を対象とする加工単位は、カット後のチューブ1つ1つに対する加工工程である。
図7の例では、加工ID「00000001」「00000002」の2つのIDが振られた加工のレコードが生成されている。加工ID「00000001」のレコードは、各工程の内容を識別するための工程ID「ABC001」を含む。工程の内容は例えば「引落」=「ABC001」、「カット」=「ABC103」、「成型」=「ABC302」、「先端シャフトにバルーンを接合」=「ABC006」、「ピッキング工程」=「ABC005」、のように割り振られている。「加工ID「00000001」のレコードは、その加工のために使用された設備を識別する施設ID「XXX12345」、加工の作業を行なった作業者の「作業者ID」のデータが記憶されている。このように、医療用カテーテルの製造において、加工の元となる部材が連続的なものであって、最終的な製品となるまでに分割(カット)の工程を含むような場合、カット前の部材に対しては時間区切りで1つ1つの加工について記憶することで、後にそのデータを利用できる。
【0054】
「加工テーブル」は、親子関係を有する他のテーブルと関連付けられている。
図8は、他のテーブルの内容例を示す図である。「加工テーブル」は、各部材に対する測定結果や加工時のパラメータを記憶しておく「パラメータテーブル」と、部材のリストを記憶しておく「ピッキングテーブル」と親子関係を有する。「パラメータテーブル」は、加工IDに対応付けて、各加工におけるパラメータを記録したものである。パラメータは測定値であってもよい。これにより、製品ID「1234567890ABCDEF」で識別される先端シャフトの1番目の部材(枝番「0001」に対して実施された加工ID「00000001」で識別される加工では、装置(設備)の一次出力が「0.38」、時間が「 5(秒)」、二次出力が「 2.0」、時間が「 0.1(秒)」であったことが記録される。これにより、ある部材がどのようなパラメータで、いつ、どの作業者によって加工されたか、を確認可能になる。
【0055】
図6に示すように、サブラインであるラインAからラインFで製造された部材は、メインラインとの接続箇所において、仕掛品としてバッファされる。バッファされた部材(仕掛品)は、メインラインにてピッキングされて組み立てられる。データベース110には、ピッキングの履歴を示す「ピッキングテーブル」が記憶される。
図8は、「ピッキングテーブル」の内容例を示す図である。「ピッキングテーブル」は、ピッキング工程の対象となった部材が何であるかを「加工テーブル」から参照可能に記憶するテーブルである。「ピッキングテーブル」は、ピッキング工程の加工テーブル内での加工IDと、ピッキング工程に付与されたピッキングIDと、ピッキング対象の部材を識別するIDを含む。
【0056】
例えば、このメインラインの先頭工程として、中間部材である製品ID「7890123456DEFABC」と、バルーンと製品ID「1234567890ABCDEF」で識別される先端シャフトとをピッキングする作業が行なわれるとする。この場合、加工テーブルに「ピッキング工程」が1行追加される(
図7)。ピッキング工程それぞれに付与されるピッキングIDに対し、その「ピッキング工程」に付与された加工IDと、ピッキングされた部材を識別する部材IDと個数とが対応付けられて記憶される。また、メインラインでは下流において、中間シャフトと先端シャフトとが組み合わされたものに、ラインEで製造された基端シャフトを組み合わせるシャフト溶着という工程が実施される。この場合、シャフト溶着工程の1本ずつの加工に対し、この加工に必要な1つの基端シャフトのピッキングが行なわれると、このピッキング自体を識別するピッキングIDに、「シャフト溶着工程」の加工IDと、基端シャフトの部材IDが対応付けて記憶される。このようにして、ピッキング履歴が「ピッキングテーブル」に記憶される。
【0057】
これにより、仕掛品がいつピッキングされ、どの工程に使用されたものであるか(加工ID)で特定可能である。仕掛品がどれくらい、残っているかのバッファ状況は、「ラインテーブル」で製造された数から、「ピッキングテーブル」が示すピッキング済みの数を差し引いて算出可能である。
【0058】
このようなデータベースを生成、更新するための検知装置3、測定装置4、及びサーバ装置1における処理について、フローチャートを参照して説明する。
【0059】
図9は、検知装置3における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9の処理手順は、加工対象がカットされたチューブ(単線)や、接続コネクタ、針等の1つ1つの加工対象が加工単位である場合に実行される。
【0060】
検知装置3は、部材又は製品の製造開始前に、検知対象の加工内容(工程ID、施設ID、作業者ID)の入力を事前に受け付けておき、記憶部31に記憶し(ステップS301)、以降の処理を実行する。施設IDの入力は、ライン設置タイミングで受け付けられている。工程IDは、ラインの設置タイミングで受け付けられてもよいし、後述するサーバ装置1からの通知によって受け付けてもよい。作業者IDの入力は、施設IDで識別される加工施設(加工機械)の作業者が変わる都度、カメラ331若しくはRFIDリーダ332による読み取り又は入力操作によって受け付けられている。
【0061】
処理部30は、カメラ331又はRFIDリーダ332から取得する信号に基づき、加工開始を検知すると(ステップS302)、内蔵するタイマーによるカウントに基づいて加工開始日時を決定する(ステップS303)。
【0062】
ステップS302において処理部20は、カメラ331又はRFIDリーダ332により、加工対象の部材(加工前)の個体に付与された識別データを読み取ってもよい。特に、仕掛品を加工対象とする場合、加工前の部材の識別データを、加工対象のデータとして取得する。これにより、どの部材はどのような加工がされるのか、を全工程についてデータベース110に残すことができる。
【0063】
処理部30は、加工に使用されたパラメータ(測定装置4の場合は測定結果)を加工機器から取得する(ステップS304)。
【0064】
処理部30は、カメラ331又はRFIDリーダ332から取得する信号に基づき、加工終了を検知すると(ステップS305)、内蔵するタイマーによるカウントに基づいて加工終了日時を決定する(ステップS306)。
【0065】
処理部30は、記憶されている機器ID、加工対象を示す識別データ、ステップS301で記憶してある加工内容(工程ID、施設ID、及び作業者ID)、及び、加工開始日時、パラメータ(測定結果)、及び加工終了日時をサーバ装置1へ送信する(ステップS307)。検知対象が、パラメータ等が取得できない加工が対象である場合、パラメータの送信は省略される。ステップS307において処理部30は、ステップS302でカメラ331又はRFIDリーダ332にて取得した信号に基づき、もしくは作業者による入力操作に基づき、加工対象を示す識別データを送信する。
【0066】
処理部30は、加工内容の変更があったか否かを判断する(ステップS308)。ステップS308において処理部30は、例えば、作業者IDが入力されて作業者が変更になったか、あるいは加工内容が変わったことによって工程ID等が入力され直すか、などに基づいて判断する。処理部30は、変更があったと判断した場合(S308:YES)、処理を終了する。この場合、処理部30は、再度ステップS301から処理を開始する。
【0067】
変更がないと判断された場合(S308:NO)、処理部30は処理をステップS302へ戻し、入出力部33を介して接続されるカメラ331、RFIDリーダ332等から信号を入力する都度、加工を検知する処理を実行する。
【0068】
なお、ステップS307のサーバ装置1へのデータ送信は、加工開始、パラメータ取得の都度にも行なわれてもよい。
【0069】
測定装置4においても同様に、測定内容を識別するデータ(測定ID、測定装置ID)の入力を事前に受け付けて記憶しておき、処理部40は、測定対象がセットされたことを検知して測定開始を検知すると、測定開始日時を決定し、測定結果を測定部43から取得し、サーバ装置1へ送信する。このとき、処理部40は、測定の前に、測定対象の部材に取り付けられたRFIDタグから記憶されている識別データ(製造部材ID及び枝番)を取得し、測定結果と共にサーバ装置1へ送信する。処理部40は、測定終了を検知すると、測定終了の通知と共に測定内容を識別するデータ(測定ID、測定装置ID)、パラメータ(測定結果)をサーバ装置1へ送信する。
【0070】
図10は、検知装置3における処理手順の他の一例を示すフローチャートである。
図10の処理手順は、加工対象がカットされる前のチューブ(連続線)であって、時間が加工単位である場合に実行される。
図10に示す処理手順のうち、
図9に示した処理手順と同様である処理手順については同一のステップ番号を付して詳細な説明を省略する。
【0071】
処理部30は、同一の加工内容について、加工開始が検知されると(S302)、カメラ331又はRFIDリーダ332により、加工対象の部材(加工前)の個体に付与された識別データを読み取って、加工対象の部材(加工前)の個体に付与された識別データを特定する(ステップS311)。内蔵するタイマーにより、加工時間の計測を開始する(ステップS312)。
【0072】
処理部30は、加工単位毎の加工開始日時を決定し(ステップS313)、加工開始日時からの経過時間が所定時間に達したか否かを判断する(ステップS314)。
【0073】
処理部30は、経過時間が所定時間に達していないと判断した場合(S314:NO)、処理をステップS314へ戻し、所定時間が経過するまで待機する。この間、加工施設では連続線に対する加工が継続している。
【0074】
処理部30は、経過時間が所定時間に達したと判断した場合(S314:YES)、加工に使用されたパラメータを取得し(ステップS315)、加工終了日時を決定する(ステップS316)。
【0075】
処理部30は、加工対象が連続しているので、所定時間経過毎に識別データに対して、更に加工を識別する付加データを決定する(ステップS317)。ステップS317において処理部30は、例えば、ステップS312で特定した識別データに対する枝番を「1」から順に付加する。処理部30は、識別データに時間情報を付加してもよい。
【0076】
続いて処理部30は、記憶されている機器ID、加工対象の識別データ、ステップS317で付与した付加データ、加工内容(工程ID、施設ID、及び作業者ID)、及び、加工開始日時、パラメータ(測定結果)、及び加工終了日時をサーバ装置1へ送信する(ステップS318)。検知対象が、パラメータ等が取得できない加工が対象である場合、パラメータの送信は省略される。
【0077】
経過時間が所定時間に達する都度に処理部30は、経過時間をリセットし(ステップS319)、次の計測に利用する。
【0078】
続いて処理部30は、加工内容の変更があったか否かを判断し(S308)、変更があったと判断されるまで、処理をステップS313へ戻して経過時間が所定時間に達する都度にサーバ装置1へのデータ送信を継続する。
【0079】
次に、サーバ装置1側の処理について説明する。
図11は、サーバ装置1におけるデータベースへの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0080】
サーバ装置1の処理部10は、MES(Manufacturing Execution System)等の上位装置から対象の指図書に基づく指示を受け取る(ステップS101)。ステップS101において処理部10は、指図書IDと共に、製造対象の製造部材ID、それらの部材又は製品をいずれのラインで作成するかを識別するラインID、生産計画数、工程の繋がりを示すデータ等を所定のフォーマットで受け取る。
【0081】
処理部10は、指示に基づき、「ラインテーブル」に、各ラインについて、進捗が加工前状態のレコードを作成する(ステップS102)。処理部10は、指図書に基づき、どの部材(製造部材ID)を、いずれのライン(ラインID)で製造するかを特定し、レコードを作成する。
【0082】
処理部10は、同一のラインIDのラインについて加工中のレコードが存在するか否か、即ち、新たな加工の指示を対象のラインに対して実行してよいか否かを判断する(ステップS103)。
【0083】
加工中のレコードが存在すると判断された場合(S103:YES)、新たな加工指示を出せないのでステップS103へ戻り、加工中の部材についての加工が完了するまで待機する。
【0084】
加工中のレコードが存在しないと判断された場合(S103:NO)、処理部10は、各ラインに設置されている加工施設の施設IDを、予め記憶部11にライン設置時に設定されて記憶されている設定データから読み出す(ステップS104)。例えばラインAに対応付けて、そのラインAに存在する加工施設の設備ID及び各施設の種類、すなわち何の加工ができるか、を特定できるデータが設定データとして記憶されている。
【0085】
処理部10は、各施設IDで識別される加工施設へ、又はこれに対応する検知装置3へ、加工内容(なにを加工するか)を識別するための工程IDを通知する(ステップS105)。ステップS104は、加工内容の切替指示に対応する。
【0086】
処理部10は、新たな加工内容への切替指示を通知した後に、各加工施設に対応する検知装置3又は測定装置4から、加工内容(測定結果)を示すデータが送信されると、これを受信する(ステップS106)。
【0087】
処理部10は、受信した通知内容(加工開始、加工中のパラメータ、加工終了、測定結果等)に基づき、「加工テーブル」にレコードを生成して加える(ステップS107)。ステップS107において処理部10は、「加工テーブル」と共に、「パラメータテーブル」、「ピッキングテーブル」を作成、更新する。
【0088】
処理部10は、加工終了に応じて、ラインテーブルを更新し(ステップS108)、指図書における計画数分の加工が終了したか否かを判断する(ステップS109)。ステップS108において処理部10は、対象のラインの最終工程において加工の終了を検知すると、指図書の生産数を1つ加算して更新する。
【0089】
加工が終了していないと判断された場合(S109:NO)、処理部10は、処理をステップS106へ戻し、加工通知がされる都度、「加工テーブル」等を更新する処理を続行する。
【0090】
加工が終了したと判断された場合(S109:YES)、処理部10は、ステップS102にて作成さいたレコードについて進捗を「加工終了」に更新し(ステップS110)、1つの指図書に基づく加工処理を終了する。進捗が「加工終了」になったレコードについては「加工テーブル」にそのまま残されてもよいし、他に加工履歴として別のテーブルとして記憶されてもよい。
【0091】
図9-
図11に示した処理手順によるデータベース110の生成及び更新により、
図7及び
図8に示したような各テーブルを含むデータベース110が作成され、更新される。
【0092】
次に、データベース110に基づく分析結果のクライアント装置2における表示について説明する。
図12は、分析結果の表示例を示す図である。
図12は、「ラインテーブル」の履歴及び「加工テーブル」に基づき表示される進捗を示すイメージ図である。
図12は、クライアント装置2の表示部23に表示されるWeb画面230の一例を示す。
図12は、クライアント装置2にて、データベース110に記憶されているデータへのアクセス権限が与えられているアカウントに基づきログインされたWeb画面230を示す。
【0093】
図12に示すWeb画面230は、各ラインA~F及びメインラインにおいて指図書に基づき製造された部材又は製品の加工開始から加工終了までの期間を示すタイムチャート231を含む。タイムチャート231は、リアルタイムに表示されてもよいし、事後的に表示されてもよい。
【0094】
図12に示すように、同一のラインで異なる指図書に基づく部材又は製品の製造工程を順次各ラインで実行できる。各部材又は製品には、個別に個体を識別するデータが付与されているため(RFIDタグ又は印字)、これを検知装置3又は測定装置4にて検知してそれぞれに適切な加工が可能であり、混流生産が実施できる。また、データベース110に適宜データが記憶されるので、
図12に示したように進捗や状況を、クライアント装置2から遠隔で解析することが可能である。
【0095】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0096】
100 生産管理システム
1 サーバ装置
3 検知装置
4 測定装置