(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139514
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】発電ユニット用エンクロージャ及び発電セット
(51)【国際特許分類】
F02B 77/13 20060101AFI20241002BHJP
F02B 63/04 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
F02B77/13 C
F02B63/04 B
F02B77/13 L
F02B77/13 R
F02B77/13 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050486
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】316015888
【氏名又は名称】三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】内藤 敬太
(72)【発明者】
【氏名】永水 武士
(57)【要約】 (修正有)
【課題】燃料ガスの漏洩に起因する燃焼爆発リスクを効果的に低減可能な発電ユニット用エンクロージャ及び発電セットを提供する。
【解決手段】発電ユニット10用エンクロージャ2は、発電機38と、燃料を燃焼させて前記発電機を回転駆動する駆動力を生成するための駆動装置35と、を含む発電ユニットを収容するためのエンクロージャであって、エンクロージャ本体部8の内部空間に空気を取り入れるための給気口12と、前記内部空間から空気を排出するための排気口14と、前記エンクロージャ本体部の内部空間に空気を押し込むように構成された押込み式の換気ファン34と、を備え、前記換気ファンから押し込まれた空気が側壁部18の上端を介して前記内部空間に導かれるように構成され、前記換気ファンは、前記側壁部の前記上端よりも下方に設けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電機と、燃料を燃焼させて前記発電機を回転駆動する駆動力を生成するための駆動装置と、を含む発電ユニットを収容するためのエンクロージャであって、
前記発電ユニットが載置される基礎部と、
前記発電ユニットを囲むように前記基礎部の上に設けられる側壁部と、
前記側壁部の上方に設けられる屋根部と、
を含むエンクロージャ本体部と、
前記基礎部、前記側壁部及び前記屋根部に囲まれる前記エンクロージャ本体部の内部空間に空気を取り入れるための給気口と、
前記内部空間から空気を排出するための排気口と、
前記エンクロージャ本体部の内部空間に空気を押し込むように構成された押込み式の換気ファンと、
を備え、
前記換気ファンから押し込まれた空気が前記側壁部の上端を介して前記内部空間に導かれるように構成され、
前記換気ファンは、前記側壁部の前記上端よりも下方に設けられる
発電ユニット用エンクロージャ。
【請求項2】
前記換気ファンは、前記駆動装置の燃焼室よりも下方に位置するように設置される
請求項1に記載の発電ユニット用エンクロージャ。
【請求項3】
前記換気ファンは、前記駆動装置の燃焼室に燃料を導くための燃料配管よりも下方に位置するように設置される
請求項1又は2に記載の発電ユニット用エンクロージャ。
【請求項4】
前記エンクロージャ本体部の外側に設けられ、前記給気口を形成する給気フードを備え、
前記換気ファンは、前記給気フードの内部に設けられる
請求項1又は2に記載の発電ユニット用エンクロージャ。
【請求項5】
前記屋根部の下面は、前記給気口から離れるにつれて高さ方向の位置が高くなる傾斜部を含む
請求項1又は2に記載の発電ユニット用エンクロージャ。
【請求項6】
前記エンクロージャ本体部の内部空間において、前記発電機及び前記駆動装置よりも上方、かつ、平面視において前記給気口と前記排気口の間の位置に少なくとも部分的に設けられるとともに、少なくとも部分的に上下方向に沿って延びる仕切り板を備え、
前記仕切り板の上端と前記屋根部の前記下面との間に隙間が形成されている
請求項5に記載の発電ユニット用エンクロージャ。
【請求項7】
前記駆動装置の燃焼室に燃料を導くための燃料配管のうち、前記エンクロージャ本体部の内部に設けられる内部配管部が、平面視において前記側壁部を挟んで前記換気ファンとは反対側に設けられるように構成された
請求項1又は2に記載の発電ユニット用エンクロージャ。
【請求項8】
前記燃料配管は、前記内部配管部、及び、前記エンクロージャ本体部の外部に設けられる外部配管部を含み、
前記内部配管部及び前記外部配管部が、平面視において前記側壁部を挟んで前記換気ファンとは反対側に設けられるように構成された
請求項7に記載の発電ユニット用エンクロージャ。
【請求項9】
発電機と、燃料を燃焼させて前記発電機を回転駆動する駆動力を生成するための駆動装置と、を含む発電ユニットと、
前記発電ユニットを収容するための請求項1又は2に記載の発電ユニット用エンクロージャと、
を備える発電セット。
【請求項10】
前記駆動装置の燃焼室に燃料を導くための燃料配管のうち、前記エンクロージャ本体部の内部に設けられる内部配管部に設けられるバルブと、
前記バルブを支持するための架台と、
前記エンクロージャ本体部の内部空間において、平面視において前記給気口と前記排気口の間の位置に少なくとも部分的に設けられるとともに、少なくとも部分的に上下方向に沿って延びる仕切り板と、
を備え、
平面視において、前記架台は、前記仕切り板を挟んで前記換気ファンとは反対側に設けられる
請求項9に記載の発電セット。
【請求項11】
平面視において、前記駆動装置の燃焼室は、前記発電機に比べ、前記換気ファンから遠くに位置する
請求項9に記載の発電セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電ユニット用エンクロージャ及び発電セットに関する。
【背景技術】
【0002】
エンクロージャの内部に発電機や発電機駆動用の装置等を収容した、輸送可能な発電セットが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、パッケージ(エンクロージャ)の内部に、発電機、発電機を駆動するためのエンジン、及び、パッケージの外側から内側へ空気を供給するためのファンが収容されたパッケージ型発電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、換気ファンは回転部や電動機を含むため、換気ファンにおいて静電気等により火花が生じ得る。仮に、エンクロージャの内部で燃料ガスが漏れて換気ファンの近傍で局所的に濃度が高くなってしまうと、換気ファンで生じた火花が着火源となり、燃焼爆発が生じる可能性がある。特に、水素等の燃焼しやすい燃料を用いる場合には、このようなリスクを低減する必要性が高い。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、燃料ガスの漏洩に起因する燃焼爆発リスクを効果的に低減可能な発電ユニット用エンクロージャ及び発電セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の少なくとも一実施形態に係る発電ユニット用エンクロージャは、
発電機と、燃料を燃焼させて前記発電機を回転駆動する駆動力を生成するための駆動装置と、を含む発電ユニットを収容するためのエンクロージャであって、
前記発電ユニットが載置される基礎部と、
前記発電ユニットを囲むように前記基礎部の上に設けられる側壁部と、
前記側壁部の上方に設けられる屋根部と、
を含むエンクロージャ本体部と、
前記基礎部、前記側壁部及び前記屋根部に囲まれる前記エンクロージャ本体部の内部空間に空気を取り入れるための給気口と、
前記内部空間から空気を排出するための排気口と、
前記エンクロージャ本体部の内部空間に空気を押し込むように構成された押込み式の換気ファンと、
を備え、
前記換気ファンから押し込まれた空気が前記側壁部の上端を介して前記内部空間に導かれるように構成され、
前記換気ファンは、前記前記側壁部の前記上端よりも下方に設けられる。
【0008】
また、本発明の少なくとも一実施形態に係る発電セットは、
発電機と、燃料を燃焼させて前記発電機を回転駆動する駆動力を生成するための駆動装置と、を含む発電ユニットと、
前記発電ユニットを収容するための上述の発電ユニット用エンクロージャと、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、燃料ガスの漏洩に起因する燃焼爆発リスクを効果的に低減可能な発電ユニット用エンクロージャ及び発電セットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る発電セットを側方から視た概略断面図である。
【
図2】
図1に示す発電セットを平面視した概略断面図である。
【
図3】
図1に示す発電セットの一部の外観を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す発電セットの一部を拡大して示す図である。
【
図5】
図2に示す発電セットの一部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
図1は、一実施形態に係る発電セットを側方から視た概略断面図である。
図2は、
図1に示す発電セットを平面視した概略断面図である。
図3は、
図1に示す発電セットの一部の外観を示す斜視図である。
【0013】
図1及び
図2に示すように、一実施形態に係る発電セット1は、発電機38及び駆動装置35を含む発電ユニット10と、発電ユニット10を収容するためのエンクロージャ2を備える。また、
図1及び
図2に示す発電セット1は、駆動装置35からの燃焼排ガスをエンクロージャ2の外に排気するための排気部4を備える。
【0014】
発電機38は、駆動装置35の出力シャフトに連結されるロータを含み、駆動装置35によって回転駆動されるように構成される。
【0015】
駆動装置35は、燃料を燃焼させて発電機38を回転駆動する駆動力を生成するように構成される。駆動装置35は、例えば、レシプロ式エンジンやガスタービンエンジン等の内燃機関であってもよい。
図1及び
図2に示す例示的な実施形態では、駆動装置35は、1以上のシリンダを含む燃焼室40と、回転シャフトが収容されるクランク室42と、を含むレシプロ式のエンジン36である。エンジン36には、ターボチャージャ44が設けられている。
【0016】
駆動装置35で燃焼される燃料は、空気よりも軽いガスであってもよく、例えば水素ガスであってもよい。
【0017】
駆動装置35は、エンクロージャ2の内部の空気を燃焼室40に導くための給気ダクト48と、燃焼室40に燃料ガスを導くための燃料配管52と、燃焼室40からの燃焼排ガスを排出するための排気配管50と、を含む。給気ダクト48の入口には給気フィルタ46が設けられる。燃料配管52は、エンクロージャ2の内部に設けられる内部配管部54と、エンクロージャ2の外部に設けられる外部配管部56と、を含む。
【0018】
なお、
図1及び
図2に示すように、内部配管部54には、内部配管部54における燃料ガスの流れを調節するための1以上のバルブ57が設けられていてもよい。1以上のバルブ57は、遮断弁58を含んでもよい。
図1及び
図2に示すように、バルブ57は、エンクロージャ2の内部に設けられる架台(バルブスキッド)60(60A,60B)によって支持されていてもよい。
【0019】
図1~
図3に示すように、エンクロージャ2は、発電ユニット10を収容するためのエンクロージャ本体部8と、エンクロージャ本体部8の内部空間に空気を取り入れるための給気口12と、エンクロージャ本体部8の内部空間から空気を排出するための排気口14と、を備えている。
【0020】
エンクロージャ本体部8は、発電ユニット10が載置される基礎部16と、発電ユニット10を囲むように基礎部16の上に設けられる側壁部18と、側壁部18の上方に発電ユニット10を覆うように設けられる屋根部24と、を含む。エンクロージャ本体部8の内部空間は、基礎部16、側壁部18及び屋根部24に囲まれる空間である。
図1~
図3に示す例示的な実施形態では、側壁部18は、エンクロージャ本体部8の長手方向に沿って延在する一対の長尺部分19と、一対の長尺部分19を互いに接続する短尺部分(後述する給気側部分20及び排気側部分22)と、を含む。なお、駆動装置35の出力シャフト又は発電機38の回転軸は、エンクロージャ本体部8の長手方向に沿って延びるように設けられていてもよい。
【0021】
図1~
図3に示す例示的な実施形態では、エンクロージャ2は、エンクロージャ本体部8の外側に設けられ、給気口12を形成する給気フード30を含む。給気口12からエンクロージャ2に入り込んだ空気は、エンクロージャ本体部8の入口開口26を介して、エンクロージャ本体部8の内部空間に導入されるようになっている。
図1~
図3に示すように、入口開口26は、側壁部18の給気側部分20の上端20aと、屋根部24の下面25とによって少なくとも部分的に形成されていてもよい。
【0022】
図1~
図3に示す例示的な実施形態では、エンクロージャ2は、エンクロージャ本体部8の外側に設けられ、排気口14を形成する排気ダクト32を含む。エンクロージャ本体部8の内部の空気は、エンクロージャ本体部8の出口開口28を介して排気ダクト32に導かれ、排気口14からエンクロージャ2の外に排出されるようになっている。
図1~
図3に示すように、出口開口28は、側壁部18の排気側部分22の上端22aと、屋根部24の下面25とによって少なくとも部分的に形成されていてもよい。
【0023】
図1~
図3に示すように、エンクロージャ2は、エンクロージャ2の内部の換気をするための換気ファン34を備えていてもよい。すなわち、換気ファン34によって、外部の空気をエンクロージャ2の内部に導入するとともに、エンクロージャ2の内部の空気を外部に排出するようになっていてもよい。
【0024】
図1及び
図2に示すように、エンクロージャ2の内部空間には、平面視において給気口12と排気口14の間の位置に仕切り板37が設けられていてもよい。仕切り板37は、少なくとも部分的に上下方向に沿って延びる部分を有し、給気口12からエンクロージャ2の内部空間に導入された空気が下方に向かって流れるように案内するようになっていてもよい。なお、
図1に示す仕切り板37は、上下方向に沿って延びる下端部を含む。また、
図1に示す仕切り板37は、上方に向かうに従い入口開口26に近づくように湾曲する形状を有する上端部を含む。
【0025】
図1及び
図2に示すように、エンクロージャ2の内部空間には、平面視において給気ダクト48と内部配管部54(燃料配管52)との間の位置に仕切り板29が設けられていてもよい。仕切り板29は、上下方向に沿って延びるように設けられていてもよい。仕切り板29は、上下方向において給気ダクト48及び内部配管部54を含む領域に亘って設けられていてもよい。
【0026】
排気部4は、エンクロージャ2の外に設けられる消音器78と、駆動装置35からの燃焼排ガスを消音器78に導くための接続管部72と、を含む。また、排気部4は、消音器78に接続される出口配管部80を含む。消音器78からの燃焼排ガスは、出口配管部80の出口開口82を介して大気に放出されるようになっている。
図1に示す消音器78は、支持台84に支持されている。
【0027】
図1に示すように、消音器78を含む排気部4は、基礎部70の上に設けられている。基礎部70は、エンクロージャ2が設けられる基礎部16とは別のものであってもよい。この場合、エンクロージャ2が設けられる基礎部16と、排気部4が設けられる基礎部70とは、別々の車両に載せる等して、別々に輸送することができる。
【0028】
以下、
図4及び
図5を参照して、幾つかの実施形態に係るエンクロージャ2及び発電セット1について、より具体的に説明する。
図4及び
図5は、
図1及び
図2に示す発電セットの一部を拡大して示す図である。
【0029】
幾つかの実施形態では、例えば
図4に示すように、エンクロージャ本体部8の屋根部24の下面25は、排気口14に向かって上り勾配を有する傾斜部23を含む。即ち、傾斜部23において、下面25の上下方向における位置は、排気口14に近づくにつれて高くなる。
【0030】
上述の実施形態では、エンクロージャ本体部8を形成する屋根部24の下面25は、排気口14に向かって上り勾配を有する傾斜部23を含む。したがって、仮に、発電ユニット10の運転時や停止時においてエンクロージャ本体部8の内部空間で燃料ガスの漏洩が生じたとしても、内部空間を上昇して屋根部24の下面25に到達した軽量の燃料ガスを、上り勾配を有する傾斜部23に沿って排気口14に向けてスムーズに流し、排気口14を介してエンクロージャ2の外に排出することができる。このように、上述の実施形態によれば、漏洩した燃料ガスのエンクロージャ2の内部での滞留を抑制することができるため、燃料ガスが漏洩した場合であっても燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0031】
幾つかの実施形態では、例えば
図4に示すように、傾斜部23は、屋根部24の下面25の最高位置を含む。
図4に示す例示的な実施形態では、屋根部24の下面25うち排気口14側に位置する端部25bが最高位置に位置する。また、屋根部24の下面25の排気口14側の端部25bは、エンクロージャ本体部8の出口開口28を形成する。
【0032】
上述の実施形態では、傾斜部23は、屋根部24の下面25の最高位置を含む。即ち、屋根部24の下面25は、最高位置に至るまで上り勾配を有するので、エンクロージャ本体部8の内部空間を上昇して屋根部24の下面25に到達した軽量の燃料ガスを、屋根部24の下面25の最高位置に至るまで、上り勾配を有する傾斜部23に沿って排気口14に向かってよりスムーズに流すことができる。よって、上述の実施形態によれば、漏洩した燃料ガスのエンクロージャ2の内部での滞留をより効果的に抑制することができ、燃料ガスが漏洩した場合であっても燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0033】
幾つかの実施形態では、例えば
図4に示すように、傾斜部23は、屋根部24の下面25のうち、給気口12側の端部25aから、排気口14側の端部25bに至るまで延在する。
図4に示す例示的な実施形態では、屋根部24の下面25の給気口12側の端部25aは、エンクロージャ本体部8の入口開口26を形成する。
【0034】
上述の実施形態では、傾斜部23は、屋根部24の下面25のうち、給気口12側の端部25aから排気口14側の端部25bに至るまで上り勾配を有するので、エンクロージャ本体部8の内部空間を上昇して屋根部24の下面25に到達した軽量の燃料ガスを、上り勾配を有する傾斜部23に沿って排気口14に向かってよりスムーズに流すことができる。よって、上述の実施形態によれば、漏洩した燃料ガスのエンクロージャ2の内部での滞留をより効果的に抑制することができ、燃料ガスが漏洩した場合であっても燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、上述の傾斜部23は、平滑な面からなる。傾斜部23を形成する平滑な面は、平面及び/又は曲面を含んでもよい。
【0036】
上述の実施形態では、屋根部24の下面25の傾斜部23は平滑な面からなる。即ち、屋根部24の下面25には、傾斜部23において、傾斜部23に交差する方向(例えば傾斜部23に直交する方向)に突出または陥没する部分が存在しないので、エンクロージャ本体部8の内部空間を上昇して屋根部24の下面25に到達した軽量の燃料ガスを、上り勾配を有する傾斜部23に沿って排気口14に向かってよりスムーズに流すことができる。よって、上述の実施形態によれば、漏洩した燃料ガスのエンクロージャ2の内部での滞留をより効果的に抑制することができ、燃料ガスが漏洩した場合であっても燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0037】
幾つかの実施形態では、排気口14は、屋根部24の下面25の最高位置よりも上方に位置する。例えば
図4に示す例示的な実施形態では、排気ダクト32は、エンクロージャ本体部8の屋根部24の下面25よりも上方に位置する天井部33を有し、排気口14は、該天井部33に設けられている。
【0038】
上述の実施形態によれば、排気口14は、屋根部24の下面25の最高位置よりも上方に位置するので、上り勾配を有する傾斜部23に沿って排気口14に向かって流れた燃料ガスは、屋根部24の下面25の最高位置からさらに上昇して、排気口14からスムーズに排出される。よって、漏洩した燃料ガスのエンクロージャ2の内部での滞留をより効果的に抑制することができ、燃料ガスが漏洩した場合であっても燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0039】
幾つかの実施形態では、例えば
図4及び
図5に示すように、エンクロージャ本体部8の内部空間に設けられる仕切り板37は、発電機38及び駆動装置35よりも上方、かつ、平面視において給気口12と排気口14の間の位置に少なくとも部分的に設けられる。そして、仕切り板37の上端37aと屋根部24の下面25との間に隙間39が形成される。
【0040】
上述の実施形態では、エンクロージャ本体部8の内部を、給気口12側の空間と排気口14側の空間とに仕切る仕切り板37が設けられ、該仕切り板37と屋根部24の下面25との間に隙間39が形成されている。したがって、この隙間39を介して屋根部24の下面25に沿って給気口12から排気口14に向かう空気流れが形成されるため、漏洩した燃料ガスを該空気流れとともに排気口14に向けて流しやすくなる。よって、漏洩した燃料ガスのエンクロージャ2の内部での滞留をより効果的に抑制することができ、燃料ガスが漏洩した場合であっても燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0041】
幾つかの実施形態では、平面視において、駆動装置35の燃焼室40は、発電機38に比べ、排気口14の近くに位置する。言い換えると、幾つかの実施形態では、平面視において、排気口14と駆動装置35の燃焼室40との距離は、排気口14と発電機38との距離よりも短い。
【0042】
上述の実施形態では、燃料ガス漏洩の可能性がある駆動装置35の燃焼室40を、比較的排気口14の近くに配置する。したがって、仮に、駆動装置35の燃焼室40から燃料ガスが漏洩したとしても、エンクロージャ2の内部空間を上昇して屋根部24の下面25に到達した軽量の燃料ガスを、上り勾配を有する傾斜部23に沿って排気口14に向かってスムーズに流し、排気口14を介してエンクロージャ2の外に排出することができる。このように、上述の実施形態によれば、駆動装置35の燃焼室40から漏洩した燃料ガスのエンクロージャ2の内部での滞留を抑制することができるため、燃料ガスが漏洩した場合であっても燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0043】
幾つかの実施形態では、平面視において、給気ダクト48の入口47(図示する例では、給気フィルタ46の入口)は、駆動装置35の燃焼室40に比べ、給気口12の近くに位置する。言い換えると、幾つかの実施形態では、平面視において、給気口12と給気ダクト48の入口47との距離は、給気口12と駆動装置35の燃焼室40との距離よりも短い。
【0044】
上述の実施形態では、給気ダクト48の入口を、比較的給気口12の近くに配置するので、仮に、駆動装置35の燃焼室40から燃料ガスが漏洩したとしても、漏洩した燃料ガスが、給気ダクト48の入口47から給気ダクト48に入り込みにくい。よって、給気ダクト48等において、漏洩した燃料ガスが意図せず滞留するのを抑制することができ、給気ダクト48等における燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0045】
幾つかの実施形態では、換気ファン34は、エンクロージャ2の外部の空気をエンクロージャ本体部8の内部空間に押し込むように構成された押込み式の換気ファンを含む。
【0046】
上述の実施形態では、換気ファン34として、エンクロージャ2の外部の空気をエンクロージャの内部に押し込む押込み式の換気ファンが設けられる。このため、エンクロージャの内部の空気を吸い込んで外部に排出する吸込み式の換気ファンを用いる場合に比べ、エンクロージャ2の内部で漏洩した燃料ガスが、着火源(火花等)の発生源となり得る換気ファンに接触し難い。よって、エンクロージャ2の内部で燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0047】
幾つかの実施形態では、押込み式の換気ファン34は、エンクロージャ本体部8の外側にて、側壁部18の上端(図示する例では、側壁部18のうち給気側部分20の上端20a)よりも下方に設けられる。そして、換気ファン34から押し込まれた空気が、側壁部18の上端(給気側部分20の上端20a)を介してエンクロージャ本体部8の内部空間に導かれるようになっている。
【0048】
一般に、換気ファンは回転部や電動機を含むため、換気ファンにおいて静電気等により火花が生じ得る。仮に、エンクロージャの内部で燃料ガスが漏れて換気ファンの近傍で局所的に濃度が高くなってしまうと、換気ファンで生じた火花が着火源となり、燃焼爆発が生じる可能性がある。特に、水素等の燃焼しやすい燃料を用いる場合には、このようなリスクを低減する必要性が高い。
【0049】
この点、上述の実施形態では、エンクロージャ2の外部の空気をエンクロージャ2の内部に押し込む押込み式の換気ファン34が、エンクロージャ本体部8の側壁部18の上端(給気側部分20の上端20a)よりも下方に設けられ、換気ファン34から押し込まれた空気が側壁部18の上端(給気側部分20の上端20a)を介してエンクロージャ本体部8の内部空間に導かれるようになっている。このため、エンクロージャの内部の空気を吸い込んで外部に排出する吸込み式の換気ファンを用いる場合に比べ、エンクロージャ2の内部で漏洩した燃料ガスが、着火源(火花等)の発生源となり得る換気ファン34に接触し難い。また、エンクロージャ2の内部で漏洩した軽量の燃料ガスが、側壁部18の上端(給気側部分20の上端20a)を乗り越えて、エンクロージャ本体部8の外側における側壁部18の上端(給気側部分20の上端20a)よりも下方の領域に入ることは起こりにくい。よって、上述の実施形態によれば、エンクロージャ2の内部で燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0050】
幾つかの実施形態では、押込み式の換気ファン34は、上下方向にて駆動装置35の燃焼室40よりも下方に位置するように設置される。
【0051】
上述の実施形態では、押込み式の換気ファン34は、駆動装置35の燃焼室40よりも下方に位置するので、仮に、燃焼室40から燃料ガスが漏洩した場合であっても、軽量の燃料ガスは燃焼室40から上昇するため、換気ファン34に接触し難い。よって、エンクロージャ2の内部で駆動装置35の燃焼室40から燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0052】
幾つかの実施形態では、押込み式の換気ファン34は、上下方向にて駆動装置35の燃焼室40に燃料を導くための燃料配管52(内部配管部54及び/又は外部配管部56)よりも下方に位置するように設置される。
【0053】
上述の実施形態によれば、換気ファン34は、駆動装置35の燃焼室40に燃料ガスを導くための(内部配管部54及び/又は外部配管部56)よりも下方に位置するので、仮に、燃料配管52から燃料ガスが漏洩した場合であっても、軽量の燃料ガスは燃料配管52から上昇するため、換気ファン34に接触し難い。よって、燃料配管52から燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0054】
幾つかの実施形態では、押込み式の換気ファン34は、エンクロージャ本体部8の外側に設けられ、給気口12を形成する給気フード30の内部に設けられる。
【0055】
上述の実施形態によれば、エンクロージャ本体部8の側壁部18(図示する例では給気側部分20)を介してエンクロージャ本体部8の内部空間と隔てられた給気フード30の内部に換気ファン34が設けられる。よって、仮に、エンクロージャ本体部8の内部で燃料ガスが漏洩した場合であっても、軽量の燃料ガスが、側壁部18の上端(給気側部分20の上端20a)を乗り越えて、給気フード30内における側壁部18の上端(給気側部分20の上端20a)よりも下方の領域に入ることは起こりにくい。よって、エンクロージャ2の内部で燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0056】
幾つかの実施形態では、上述の屋根部24の下面25は、給気口12から離れるにつれて高さ方向の位置が高くなる傾斜部23を含む。
【0057】
上述の実施形態では、エンクロージャ本体部8を形成する屋根部24の下面25は、給気口12から離れるにつれて高さ方向の位置が高くなる傾斜部23を含む。したがって、仮に、発電ユニット10の運転時や停止時においてエンクロージャ本体部8の内部空間で燃料ガスの漏洩が生じたとしても、内部空間を上昇して屋根部24の下面25に到達した軽量の燃料ガスを、上り勾配を有する傾斜部23に沿って給気口12から遠ざけるように流すことができる。このように、上述の実施形態によれば、漏洩した燃料ガスを、給気口12の近傍に設けられる換気ファン34から遠ざけることができ、漏洩した燃料ガスが換気ファン34に接触するのを効果的に抑制することができる。よって、エンクロージャ2の内部で燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクをより効果的に低減することができる。
【0058】
幾つかの実施形態では、既に述べたように、エンクロージャ本体部8の内部空間に設けられる仕切り板37は、発電機38及び駆動装置35よりも上方、かつ、平面視において給気口12と排気口14の間の位置に少なくとも部分的に設けられ、仕切り板37の上端37aと屋根部24の下面25との間に隙間39が形成される。
【0059】
上述の実施形態では、エンクロージャ本体部8の内部を、給気口12側の空間と排気口14側の空間とに仕切る仕切り板37が設けられ、該仕切り板37の上端37aと屋根部24の下面25との間に隙間39が形成されている。したがって、この隙間39を介して屋根部24の下面25に沿って給気口12から排気口14に向かう空気流れが形成されるため、漏洩した燃料ガスを該空気流れとともに給気口12から遠ざけるように流しやすくなる。よって、漏洩した燃料ガスが換気ファン34に接触するのをより効果的に抑制することができ、燃料ガスが漏洩した場合であっても燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0060】
幾つかの実施形態では、エンクロージャ本体部8の内部に設けられる内部配管部54が、平面視において側壁部18(図示する例では給気側部分20)を挟んで換気ファン34とは反対側に設けられる。
【0061】
上述の実施形態によれば、駆動装置35の燃焼室40に燃料を導くための内部配管部54が、平面視において側壁部18(給気側部分20)を挟んで換気ファン34とは反対側に設けられるので、仮に、内部配管部54から燃料ガスが漏洩した場合であっても、該燃料ガスは、側壁部18(給気側部分20)を隔てて内部配管部54とは反対側に設けられる換気ファン34に接触し難い。よって、エンクロージャ内部で内部配管部から燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0062】
幾つかの実施形態では、内部配管部54及び外部配管部56が、平面視において側壁部18(給気側部分20)を挟んで換気ファン34とは反対側に設けられる。あるいは、内部配管部54及び外部配管部56が、平面視において上述の仕切り板37を挟んで換気ファン34とは反対側に設けられる。
【0063】
上記(8)の構成によれば、駆動装置35の燃焼室40に燃料を導くための内部配管部54及び外部配管部56が、平面視において側壁部18(給気側部分20)、又は仕切り板37を挟んで換気ファン34とは反対側に設けられる。即ち、内部配管部54及び外部配管部56は、換気ファン34から比較的遠い位置に設けられるので、仮に、内部配管部54又は外部配管部56から燃料ガスが漏洩した場合であっても、該燃料ガスは、内部配管部54及び外部配管部56から比較的遠くに位置する換気ファン34に接触し難い。よって、内部配管部54又は外部配管部56から燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0064】
幾つかの実施形態では、内部配管部54に設けられる1以上のバルブ57を支持するための架台60(
図4及び
図5における架台60A又は60B)は、平面視において上述の仕切り板37を挟んで換気ファン34とは反対側に設けられる。
【0065】
上述の実施形態では、燃料ガス漏洩の可能性がある内部配管部54に設けられる複数のバルブ57を支持するための架台を60、比較的換気ファン34から遠くに配置する。したがって、仮に、架台60に支持されるバルブ57から燃料ガスが漏洩したとしても、該燃料ガスは、架台60から比較的遠くに位置する換気ファン34に接触し難い。よって、エンクロージャ2の内部で架台60に支持されるバルブ57から燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0066】
幾つかの実施形態では、平面視において、駆動装置35の燃焼室40は、発電機38に比べ、換気ファン34から遠くに位置する。
【0067】
上述の実施形態では、燃料ガス漏洩の可能性がある駆動装置35の燃焼室40を、比較的換気ファン34から遠くに配置する。したがって、仮に、駆動装置35の燃焼室40から燃料ガスが漏洩したとしても、該燃料ガスは、駆動装置35の燃焼室40から比較的遠くに位置する換気ファン34に接触し難い。よって、エンクロージャ2の内部で駆動装置35の燃焼室40から燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0068】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0069】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る発電ユニット用エンクロージャ(2)は、
発電機(38)と、燃料を燃焼させて前記発電機を回転駆動する駆動力を生成するための駆動装置(35)と、を含む発電ユニットを収容するためのエンクロージャであって、
前記発電ユニットが載置される基礎部(16)と、
前記発電ユニットを囲むように前記基礎部の上に設けられる側壁部(18)と、
前記側壁部の上方に設けられる屋根部(24)と、
を含むエンクロージャ本体部(8)と、
前記基礎部、前記側壁部及び前記屋根部に囲まれる前記エンクロージャ本体部の内部空間に空気を取り入れるための給気口(12)と、
前記内部空間から空気を排出するための排気口(14)と、
前記エンクロージャ本体部の内部空間に空気を押し込むように構成された押込み式の換気ファン(34)と、
を備え、
前記換気ファンから押し込まれた空気が前記側壁部(例えば上述の吸気側部分20)の上端(20a)を介して前記内部空間に導かれるように構成され、
前記換気ファンは、前記側壁部の前記上端よりも下方に設けられる。
【0070】
上記(1)の構成では、エンクロージャ外部の空気をエンクロージャの内部に押し込む押込み式の換気ファンが、エンクロージャ本体部の側壁部の上端よりも下方に設けられ、換気ファンから押し込まれた空気が側壁部の上端を介してエンクロージャ本体部の内部空間に導かれるようになっている。このため、エンクロージャ内部の空気を吸い込んで外部に排出する吸込み式の換気ファンを用いる場合に比べ、エンクロージャ内部で漏洩した燃料ガスが、着火源(火花等)の発生源となり得る換気ファンに接触し難い。また、エンクロージャ内部で漏洩した軽量の燃料ガスが、側壁部の上端を乗り越えて、エンクロージャ本体部外側における側壁部の上端よりも下方の領域に入ることは起こりにくい。よって、上記(1)の構成によれば、エンクロージャ内部で燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0071】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記換気ファンは、前記駆動装置の燃焼室(40)よりも下方に位置するように設置される。
【0072】
上記(2)の構成によれば、換気ファンは、駆動装置の燃焼室よりも下方に位置するので、仮に、燃焼室から燃料ガスが漏洩した場合であっても、軽量の燃料ガスは燃焼室から上昇するため、換気ファンに接触し難い。よって、エンクロージャ内部で駆動装置の燃焼室から燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0073】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の構成において、
前記換気ファンは、前記駆動装置の燃焼室に燃料を導くための燃料配管(例えば上述の内部配管部54)よりも下方に位置するように設置される。
【0074】
上記(3)の構成によれば、換気ファンは、駆動装置の燃焼室に燃料を導くための燃料配管よりも下方に位置するので、仮に、燃料配管から燃料ガスが漏洩した場合であっても、軽量の燃料ガスは燃料配管から上昇するため、換気ファンに接触し難い。よって、エンクロージャ内部で燃料配管から燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0075】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(3)の何れかの構成において、
前記発電ユニット用エンクロージャは、
前記エンクロージャ本体部の外側に設けられ、前記給気口を形成する給気フード(30)を備え、
前記換気ファンは、前記給気フードの内部に設けられる。
【0076】
上記(4)の構成によれば、エンクロージャ本体部の側壁部を介してエンクロージャ本体部の内部空間と隔てられた給気フードの内部に換気ファンが設けられる。よって、仮に、エンクロージャ本体部の内部で燃料ガスが漏洩した場合であっても、軽量の燃料ガスが、側壁部の上端を乗り越えて、給気フード内における側壁部の上端よりも下方の領域に入ることは起こりにくい。よって、エンクロージャ内部で燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0077】
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの構成において、
前記屋根部の下面は、前記給気口から離れるにつれて高さ方向の位置が高くなる傾斜部(23)を含む。
【0078】
上記(5)の構成ではエンクロージャ本体部を形成する屋根部の下面は、給気口から離れるにつれて高さ方向の位置が高くなる傾斜部を含む。したがって、仮に、発電ユニットの運転時や停止時においてエンクロージャ本体部の内部空間で燃料ガスの漏洩が生じたとしても、内部空間を上昇して屋根部の下面に到達した軽量の燃料ガスを、上り勾配を有する傾斜部に沿って給気口から遠ざけるように流すことができる。このように、上記(5)の構成によれば、漏洩した燃料ガスを、給気口の近傍に設けられる換気ファンから遠ざけることができ、漏洩した燃料ガスが換気ファンに接触するのを効果的に抑制することができる。よって、エンクロージャ内部で燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクをより効果的に低減することができる。
【0079】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記発電ユニット用エンクロージャは、
前記エンクロージャ本体部の内部空間において、前記発電機及び前記駆動装置よりも上方、かつ、平面視において前記給気口と前記排気口の間の位置に少なくとも部分的に設けられるとともに、少なくとも部分的に上下方向に沿って延びる仕切り板(37)を備え、
前記仕切り板の上端(37a)と前記屋根部の前記下面との間に隙間(39)が形成されている。
【0080】
上記(6)の構成では、エンクロージャ本体部の内部を、給気口側の空間と排気口側の空間とに仕切る仕切り板が設けられ、該仕切り板と屋根部の下面との間に隙間が形成されている。したがって、この隙間を介して屋根部の下面に沿って吸気口から排気口に向かう空気流れが形成されるため、漏洩した燃料ガスを該空気流れとともに給気口から遠ざけるように流しやすくなる。よって、漏洩した燃料ガスが換気ファンに接触するのをより効果的に抑制することができ、燃料ガスが漏洩した場合であっても燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0081】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの構成において、
前記発電ユニット用エンクロージャは、
前記駆動装置の燃焼室に燃料を導くための燃料配管(52)のうち、前記エンクロージャ本体部の内部に設けられる内部配管部(54)が、平面視において前記側壁部を挟んで前記換気ファンとは反対側に設けられるように構成される。
【0082】
上記(7)の構成によれば、駆動装置の燃焼室に燃料を導くための内部配管部が、平面視において側壁部を挟んで換気ファンとは反対側に設けられるので、仮に、内部配管部から燃料ガスが漏洩した場合であっても、該燃料ガスは、側壁部を隔てて内部配管部とは反対側に設けられる換気ファンに接触し難い。よって、エンクロージャ内部で内部配管部から燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0083】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記燃料配管は、前記内部配管部、及び、前記エンクロージャ本体部の外部に設けられる外部配管部(56)を含み、
前記発電ユニット用エンクロージャは、
前記内部配管部及び前記外部配管部が、平面視において前記側壁部を挟んで前記換気ファンとは反対側に設けられるように構成される。
【0084】
上記(8)の構成によれば、駆動装置の燃焼室に燃料を導くための内部配管部及び外部配管部が、平面視において側壁部を挟んで換気ファンとは反対側に設けられる。即ち、内部配管部及び外部配管部は、換気ファンから比較的遠い位置に設けられるので、仮に、内部配管部又は外部配管部から燃料ガスが漏洩した場合であっても、該燃料ガスは、内部配管部及び外部配管部から比較的遠くに位置する換気ファンに接触し難い。よって、内部配管部又は外部配管部から燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0085】
(9)本発明の少なくとも一実施形態に係る発電セット(1)は、
発電機と、燃料を燃焼させて前記発電機を回転駆動する駆動力を生成するための駆動装置と、を含む発電ユニット(10)と、
前記発電ユニットを収容するための上記(1)乃至(8)の何れか一項に記載の発電ユニット用エンクロージャ(2)と、
を備える。
【0086】
上記(9)の構成では、エンクロージャ外部の空気をエンクロージャの内部に押し込む押込み式の換気ファンが、エンクロージャ本体部の側壁部の上端よりも下方に設けられ、換気ファンから押し込まれた空気が側壁部の上端を介してエンクロージャ本体部の内部空間に導かれるようになっている。すなわち、換気ファンは、エンクロージャ本体部の外側において、側壁部の上端よりも下方に設けられている。このため、エンクロージャ内部の空気を吸い込んで外部に排出する吸込み式の換気ファンを用いる場合に比べ、エンクロージャ内部で漏洩した燃料ガスが、着火源(火花等)の発生源となり得る換気ファンに接触し難い。また、エンクロージャ内部で漏洩した軽量の燃料ガスが、側壁部の上端を乗り越えて、エンクロージャ本体部外側における側壁部の上端よりも下方の領域に入ることは起こりにくい。よって、上記(9)の構成によれば、エンクロージャ内部で燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0087】
(10)幾つかの実施形態では、上記(9)の構成において、
前記発電セットは、
前記駆動装置の燃焼室に燃料を導くための燃料配管のうち、前記エンクロージャ本体部の内部に設けられる内部配管部に設けられるバルブ(57)と、
前記バルブを支持するための架台(60)と、
前記エンクロージャ本体部の内部空間において、平面視において前記給気口と前記排気口の間の位置に設けられるとともに、少なくとも部分的に上下方向に沿って延びる仕切り板(37)と、
を備え、
平面視において、前記架台は、前記仕切り板を挟んで前記換気ファンとは反対側に設けられる。
【0088】
上記(10)の構成では、燃料ガス漏洩の可能性がある内部配管部に設けられる複数のバルブを支持するための架台を、比較的換気ファンから遠くに配置する。したがって、仮に、架台に支持されるバルブから燃料ガスが漏洩したとしても、該燃料ガスは、架台から比較的遠くに位置する換気ファンに接触し難い。よって、エンクロージャ内部で架台に支持されるバルブから燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0089】
(11)幾つかの実施形態では、上記(9)又は(10)の構成において、
平面視において、前記駆動装置の燃焼室(40)は、前記発電機に比べ、前記換気ファンから遠くに位置する。
【0090】
上記(11)の構成では、燃料ガス漏洩の可能性がある駆動装置の燃焼室を、比較的換気ファンから遠くに配置する。したがって、仮に、駆動装置の燃焼室から燃料ガスが漏洩したとしても、該燃料ガスは、駆動装置の燃焼室から比較的遠くに位置する換気ファンに接触し難い。よって、エンクロージャ内部で駆動装置の燃焼室から燃料ガスが漏洩した場合であっても、燃焼爆発リスクを効果的に低減することができる。
【0091】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0092】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0093】
1 発電セット
2 エンクロージャ
4 排気部
8 エンクロージャ本体部
10 発電ユニット
12 給気口
14 排気口
16 基礎部
18 側壁部
19 長尺部分
20 給気側部分
20a 上端
22 排気側部分
22a 上端
23 傾斜部
24 屋根部
25 下面
25a 端部
25b 端部
26 入口開口
28 出口開口
29 仕切り板
30 給気フード
32 排気ダクト
33 天井部
34 換気ファン
35 駆動装置
36 エンジン
37 仕切り板
37a 上端
38 発電機
39 隙間
40 燃焼室
42 クランク室
44 ターボチャージャ
46 給気フィルタ
47 入口
48 給気ダクト
50 排気配管
52 燃料配管
54 内部配管部
56 外部配管部
57 バルブ
58 遮断弁
60 架台
60A 架台
60B 架台
70 基礎部
72 接続管部
78 消音器
80 出口配管部
82 出口開口
84 支持台