(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139515
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】除塵装置
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20241002BHJP
F24F 8/133 20210101ALI20241002BHJP
F24F 8/15 20210101ALI20241002BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20241002BHJP
A61L 2/18 20060101ALN20241002BHJP
【FI】
F24F7/06 C
F24F8/133
F24F8/15
A61L2/24
A61L2/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050487
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
【テーマコード(参考)】
3L058
4C058
【Fターム(参考)】
3L058BF04
3L058BF09
3L058BG03
3L058BG04
4C058AA28
4C058BB07
4C058CC06
4C058CC08
4C058JJ06
4C058JJ24
(57)【要約】
【課題】対象者に対して好適に液体を吹き付けることが可能な除塵装置を提供する。
【解決手段】対象者Pが通過可能な通過部Tに向かって気体を吹き出すことで、前記通過部Tを通過する前記対象者Pに付着した粉塵を除去する気体吹出口30と、前記気体吹出口30とは異なる位置に配置され、前記通過部Tに向かって消臭除菌液(液体)を吹き出す第一液体吹出口40と、を具備した。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が通過可能な通過部に向かって気体を吹き出すことで、前記通過部を通過する前記対象者に付着した粉塵を除去する気体吹出口と、
前記気体吹出口とは異なる位置に配置され、前記通過部に向かって液体を吹き出す第一液体吹出口と、
を具備する除塵装置。
【請求項2】
前記第一液体吹出口は、
前記対象者が前記通過部を通過する通過方向において、前記気体吹出口の両側にそれぞれ配置されている、
請求項1に記載の除塵装置。
【請求項3】
前記気体吹出口は、
前記通過部の所定の位置に向かって気体を吹き出すように構成され、
前記第一液体吹出口は、
前記所定の位置とは異なる位置に向かって液体を吹き出すように構成されている、
請求項2に記載の除塵装置。
【請求項4】
前記通過方向において、前記第一液体吹出口の内側に配置される第二液体吹出口をさらに具備する、
請求項2に記載の除塵装置。
【請求項5】
前記気体吹出口からの気体の吹き出し、及び、前記第一液体吹出口からの液体の吹き出しを制御する制御部をさらに具備し、
前記制御部は、
前記気体吹出口からの気体の吹き出しを行う気体吹出制御と、
前記気体吹出制御の後で、前記気体吹出口からの気体の吹き出し、及び、前記第一液体吹出口からの液体の吹き出しを行う第一気液吹出制御と、
を実行可能である、
請求項1に記載の除塵装置。
【請求項6】
前記気体吹出口からの気体の吹き出し、並びに、前記第一液体吹出口及び前記第二液体吹出口からの液体の吹き出しを制御する制御部をさらに具備し、
前記制御部は、
前記気体吹出口からの気体の吹き出しを行う気体吹出制御と、
前記気体吹出制御の後で、前記気体吹出口からの気体の吹き出し、及び、前記第一液体吹出口からの液体の吹き出しを行う第一気液吹出制御と、
前記第一気液吹出制御の後で、前記気体吹出口からの気体の吹き出し、並びに、前記第一液体吹出口及び前記第二液体吹出口からの液体の吹き出しを行う第二気液吹出制御と、
を実行可能である、
請求項4に記載の除塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象者に付着した粉塵を除去する除塵装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象者に付着した粉塵を除去することが可能な除塵装置の技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、エアジェットノズルの内部に、衛生水を吹き出す衛生水ノズルを設けたエアシャワー装置が開示されている。当該エアシャワー装置では、微粒化した衛生水を吹き出すことで、対象者の除菌、消臭を行うと共に、除塵を行うことができる。
【0004】
ここで、効果的に対象者の除菌及び消臭を行うためには、できる限り対象者の身体全体に衛生水を吹き付けることが好ましい。しかしながら、特許文献1に記載の技術では、エアジェットノズルの内部に衛生水ノズルを設けているため、微粒化した衛生水はエアジェットノズルからのエアと共に対象者の局所的な部位に吹き付けられる。このため、対象者の身体全体に衛生水を吹き付けることが困難であり、より好適に対象者に衛生水を吹き付けることが可能な技術が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、対象者に対して好適に液体を吹き付けることが可能な除塵装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、対象者が通過可能な通過部に向かって気体を吹き出すことで、前記通過部を通過する前記対象者に付着した粉塵を除去する気体吹出口と、前記気体吹出口とは異なる位置に配置され、前記通過部に向かって液体を吹き出す第一液体吹出口と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、前記第一液体吹出口は、前記対象者が前記通過部を通過する通過方向において、前記気体吹出口の両側にそれぞれ配置されているものである。
【0010】
請求項3においては、前記気体吹出口は、前記通過部の所定の位置に向かって気体を吹き出すように構成され、前記第一液体吹出口は、前記所定の位置とは異なる位置に向かって液体を吹き出すように構成されているものである。
【0011】
請求項4においては、前記通過方向において、前記第一液体吹出口の内側に配置される第二液体吹出口をさらに具備するものである。
【0012】
請求項5においては、前記気体吹出口からの気体の吹き出し、及び、前記第一液体吹出口からの液体の吹き出しを制御する制御部をさらに具備し、前記制御部は、前記気体吹出口からの気体の吹き出しを行う気体吹出制御と、前記気体吹出制御の後で、前記気体吹出口からの気体の吹き出し、及び、前記第一液体吹出口からの液体の吹き出しを行う第一気液吹出制御と、を実行可能であるものである。
【0013】
請求項6においては、前記気体吹出口からの気体の吹き出し、並びに、前記第一液体吹出口及び前記第二液体吹出口からの液体の吹き出しを制御する制御部をさらに具備し、前記制御部は、前記気体吹出口からの気体の吹き出しを行う気体吹出制御と、前記気体吹出制御の後で、前記気体吹出口からの気体の吹き出し、及び、前記第一液体吹出口からの液体の吹き出しを行う第一気液吹出制御と、前記第一気液吹出制御の後で、前記気体吹出口からの気体の吹き出し、並びに、前記第一液体吹出口及び前記第二液体吹出口からの液体の吹き出しを行う第二気液吹出制御と、を実行可能であるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、対象者に対して好適に液体を吹き付けることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る除塵装置の全体的な構成を示した斜視模式図。
【
図5】除塵装置の制御に関する構成を示したブロック図。
【
図6】制御部による制御態様を示したフローチャート。
【
図7】(a)エアシャワーが作動した様子を示した平面模式図。(b)第一液体吹出口から消臭除菌液が噴霧された様子を示した平面模式図。
【
図8】(a)第一液体吹出口及び第二液体吹出口から消臭除菌液が噴霧された様子を示した平面模式図。(b)エアシャワーが停止した後の様子を示した平面模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下では、図中の矢印に基づいて、前後方向、左右方向及び上下方向を定義して説明を行う。まず、本発明の一実施形態に係る除塵装置1について説明する。
【0017】
本実施形態に係る除塵装置1は、対象となる人や物(便宜上、以下では「対象者P」と称する)に対して空気を吹き付けることで当該対象者Pに付着した粉塵を除去すると共に、消臭除菌液を吹き付けることで当該対象者Pの衣服等の消臭及び除菌を行うことができる。ここで、粉塵とは、花粉等の空気中に浮遊する粒子を指す。粉塵には、花粉の他に砂塵や微小なホコリ、PM2.5(粒径2.5μm以下の粒子状物質)等の粒子が含まれる。また、消臭除菌液としては、例えば強酸性水など、消臭効果及び除菌効果を有する種々の溶液を用いることができる。本実施形態に係る除塵装置1は、一例として、ホテルなどの宿泊施設やショッピングモールなどの商業施設のエントランスに配置することを想定している。ホテル等のエントランスに除塵装置1を設けることによって、ホテル等の建物内に粉塵や細菌が侵入するのを防止すると共に、対象者Pの防臭を行うことができる。
【0018】
図1から
図5までに示す除塵装置1は、主として本体10、送風機20、気体吹出口30、第一液体吹出口40、第二液体吹出口50、第一電磁弁60、第二電磁弁70、対象者検知センサ80及び制御部90を具備する。
【0019】
図1から
図4までに示す本体10は、除塵装置1の外郭を成す部材である。本体10は、主として一対の側面部11及び天井部12を具備する。
【0020】
側面部11は、本体10の側面を形成する部分である。側面部11は、中空の直方体状に形成される。側面部11は、互いに対向するように、左右一対設けられる。
【0021】
図1及び
図2に示す天井部12は、本体10の天井を形成する部分である。天井部12は、中空の直方体状に形成される。天井部12は、一対の側面部11の上端を接続するように設けられる。天井部12によって一対の側面部11を接続することによって、除塵装置1の耐震性を向上させることができる。なお、
図1及び
図2以外の図においては、天井部12の図示を省略している。
【0022】
このように本体10は、対象者Pが内側(一対の側面部11の左右内側、かつ、天井部12の下方)を通過可能な門型に形成されている。なお、以下では対象者Pが通過可能な本体10の内側を通過部Tと称する場合がある。
【0023】
図2及び
図5に示す送風機20は、空気にエネルギーを与えて気流を発生させる装置である。送風機20としては、各種の方式(遠心送風機、軸流送風機等)の装置を用いることができる。送風機20は、例えば側面部11内の下部に設けられる。送風機20は、外気を吸引して、後述する気体吹出口30へと圧送することができる。本実施形態では、送風機20は、所定の風量で作動する状態と、停止した状態と、を切り替えることができる。
【0024】
図1から
図4までに示す気体吹出口30は、送風機20から圧送されてきた空気を通過部Tに向かって吐出するための開口部である。気体吹出口30は、側面部11のうち、左右内側を向いた側面に形成される。気体吹出口30は、互いに適宜の間隔を空けて複数形成される。本実施形態では、気体吹出口30は、1つの側面部11に対して、上下に3列、前後に2列並ぶように、計6つ形成された例を示している(
図3等参照)。前側に配置された3つの気体吹出口30は、斜め後下方に向かって空気を吐出するように配置されている。後側に配置された3つの気体吹出口30は、斜め前下方に向かって空気を吐出するように配置されている。これによって、6つの気体吹出口30からの空気は、通過部Tの前後中途部の所定の位置(以下、当該位置を「処置位置L」とも称する)(
図4参照)に向かって吹き出される。なお、気体吹出口30の空気の吐出方向は、任意に調整できるように構成することも可能である。
【0025】
本実施形態では、送風機20と、当該送風機20から圧送される空気を吐出する気体吹出口30等によって、対象者Pに空気を吹き付けるエアシャワーが構成されている。
【0026】
図1、
図3及び
図4に示す第一液体吹出口40は、気体吹出口30の前後両側に配置され、供給された消臭除菌液を通過部Tに向かって吐出するための開口部である。第一液体吹出口40は、例えば消臭除菌液を霧状にして吐出可能な噴霧ノズルにより構成される。第一液体吹出口40は、側面部11のうち、左右内側を向いた側面に形成される。第一液体吹出口40は、気体吹出口30とは異なる位置に配置される。第一液体吹出口40は、互いに適宜の間隔を空けて複数形成される。本実施形態では、第一液体吹出口40は、気体吹出口30の前後両側にそれぞれ3つずつ(計6つ)形成される。具体的には、第一液体吹出口40は、側面部11の前後両端部近傍にそれぞれ形成される。すなわち、第一液体吹出口40は、処置位置Lの前後(通過部Tの出入口近傍)にそれぞれ形成される。気体吹出口30の前後の第一液体吹出口40は、それぞれ上下に3つ並ぶように形成される。第一液体吹出口40は、側面部11から左右内側に向かって水平に消臭除菌液を吐出するように配置されている。したがって、第一液体吹出口40は、処置位置Lとは異なる位置(処置位置Lの前方及び後方)に向けて消臭除菌液を吐出するように配置されている。なお、第一液体吹出口40の消臭除菌液の吐出方向は、任意に調整できるように構成することも可能である。
【0027】
図1及び
図3に示す第二液体吹出口50は、第一液体吹出口40の前後内側(気体吹出口30の近傍)に配置され、供給された消臭除菌液を通過部Tに向かって吐出するための開口部である。第二液体吹出口50は、例えば消臭除菌液を霧状にして吐出可能な噴霧ノズルにより構成される。第二液体吹出口50は、側面部11のうち、左右内側を向いた側面に形成される。第二液体吹出口50は、互いに適宜の間隔を空けて複数形成される。本実施形態では、第二液体吹出口50は、気体吹出口30と同数(すなわち、計6つ)形成される。6つの第二液体吹出口50は、6つの気体吹出口30にそれぞれ対応する位置に配置される。具体的には、第二液体吹出口50は、各気体吹出口30の前後内側やや下方にそれぞれ配置される。第二液体吹出口50は、側面部11の内側に向かって水平に消臭除菌液を吐出するように配置されている。第二液体吹出口50をこのように配置することによって、第二液体吹出口50から噴霧された消臭除菌液を、気体吹出口30から吹き出された空気に直接混入させることができる。なお、第二液体吹出口50の消臭除菌液の吐出方向は、任意に調整できるように構成することも可能である。
図4においては、図示の簡略化のため、第二液体吹出口50を省略している。
【0028】
図5に示す第一電磁弁60は、第一液体吹出口40へと供給される消臭除菌液の流通の可否を切り替えるものである。第一電磁弁60は、消臭除菌液が貯溜されたタンク(不図示)と第一液体吹出口40とを接続する消臭除菌液の流通経路(配管等)の中途部に配置される。第一電磁弁60を開くことで、前記タンクから圧送された消臭除菌液を第一液体吹出口40から噴霧することができる。
【0029】
第二電磁弁70は、第二液体吹出口50へと供給される消臭除菌液の流通の可否を切り替えるものである。第二電磁弁70は、前記タンクと第二液体吹出口50とを接続する消臭除菌液の流通経路(配管等)の中途部に配置される。第二電磁弁70を開くことで、前記タンクから圧送された消臭除菌液を第二液体吹出口50から噴霧することができる。
【0030】
対象者検知センサ80は、除塵装置1を通過する対象者Pを検知可能なセンサである。対象者検知センサ80としては、例えば赤外線センサ、超音波センサ等を用いることができる。対象者検知センサ80は、対象者Pを検出することができるものであれば、その検出方式は限定するものではない。対象者検知センサ80は、例えば本体10の内側の適宜の位置に設けられ、本体10の通過部Tに進入してきた対象者Pを検出することができる。特に本実施形態では、処置位置Lに到達した対象者Pに対して風等を吹き付けるため、対象者検知センサ80は対象者Pが処置位置Lにいることを検出することができるように配置されている。
【0031】
制御部90は、除塵装置1に関する制御を行うものである。制御部90は、CPU等の演算処理装置、RAMやROM、HDD等の記憶装置等により構成される。制御部90は、本体10の内部や外部など、任意の場所に配置することができる。
【0032】
制御部90は、対象者検知センサ80に接続され、対象者検知センサ80の検出結果を取得することができる。また、制御部90は、送風機20、第一電磁弁60及び第二電磁弁70に接続され、送風機20、第一電磁弁60及び第二電磁弁70の動作を制御することができる。
【0033】
以下では、制御部90による除塵装置1の制御態様について説明する。
【0034】
図6に示すステップS101において、制御部90は、対象者Pが処置位置Lにいることを対象者検知センサ80によって検知した場合、送風機20を作動させる。これによって、エアシャワーが作動し、気体吹出口30から空気が吹き出される。
【0035】
ステップS101の処理が行われると、
図7(a)に示すように、処置位置Lに立つ対象者Pに向けて気体吹出口30から空気が吹き付けられる。当該気体吹出口30から吹き出される空気に伴って、周囲の空気も処置位置L(対象者P)へ向かうように流動する。これによって対象者Pには、気体吹出口30から直接吹き付けられる空気だけでなく、その他の方向からの空気も吹き付けられる。これによって、対象者Pに付着した粉塵を効果的に除去することができる。
【0036】
この際、気体吹出口30は斜め下方を向いているため、対象者Pの顔には風が直接吹き付けられ難くなっている。これによって、対象者Pが不快になるのを防止することができる。また、除塵装置1を利用する対象者Pには、予め処置位置Lで一定時間(エアシャワーが停止するまで)立ち止まるように要請しておくことで、除塵装置1による除塵等を効果的に行うことができる。
【0037】
制御部90は、当該ステップS101の処理を行った後、ステップS102に移行する。
【0038】
ステップS102において、制御部90は、ステップS101で送風機20を作動させてから所定時間が経過したか否かを判定する。本実施形態では、ステップS101の処理から5秒経過したか否かを判定している。
【0039】
制御部90は、ステップS101の処理から5秒経過したと判定した場合、ステップS103に移行する。一方、制御部90は、ステップS101の処理から5秒経過していないと判定した場合、ステップS102の処理を再度実行する。
【0040】
ステップS103において、制御部90は第一電磁弁60を短時間だけ開放し、通過部Tの出入口近傍に配置された第一液体吹出口40から消臭除菌液を噴霧させる。
【0041】
ステップS103の処理が行われると、
図7(b)に示すように、通過部Tの出入口近傍に配置された第一液体吹出口40から霧状の消臭除菌液が通過部Tに噴霧される。当該消臭除菌液は、気体吹出口30から吹き出される空気に伴って発生した空気の流れによって、通過部T全域に広く行き渡る。この消臭除菌液は、空気中を浮遊する粉塵(対象者Pから除去された粉塵)に付着して、自重により落下する。これによって、空気中の粉塵を床に落下させ、対象者Pに再度付着するのを防止することができる。
【0042】
制御部90は、当該ステップS103の処理を行った後、ステップS104に移行する。
【0043】
ステップS104において、制御部90は、ステップS103で消臭除菌液を噴霧させてから所定時間が経過したか否かを判定する。本実施形態では、ステップS103の処理から2秒経過したか否かを判定している。
【0044】
制御部90は、ステップS103の処理から2秒経過したと判定した場合、ステップS105に移行する。一方、制御部90は、ステップS103の処理から2秒経過していないと判定した場合、ステップS104の処理を再度実行する。
【0045】
ステップS105において、制御部90は第一電磁弁60及び第二電磁弁70を短時間だけ開放し、通過部Tの出入口近傍に配置された第一液体吹出口40、及び、気体吹出口30近傍に配置された第二液体吹出口50から消臭除菌液を噴霧させる。
【0046】
ステップS105の処理が行われると、
図8(a)に示すように、通過部Tの出入口近傍に配置された第一液体吹出口40から霧状の消臭除菌液が通過部Tに噴霧される。当該消臭除菌液は、気体吹出口30から吹き出される空気に伴って発生した空気の流れによって、対象者Pの全身にまんべんなく吹き付けられる。また、ステップS105の処理が行われると、気体吹出口30の近傍に配置された第二液体吹出口50から霧状の消臭除菌液が噴霧され、当該消臭除菌液が気体吹出口30から吹き出された空気と共に対象者Pに吹き付けられる。このようにして、ステップS105の処理によって、第一液体吹出口40及び第二液体吹出口50からの消臭除菌液が、対象者Pの全身に吹き付けられる。これによって、対象者Pの衣服の消臭及び除菌を効果的に行うことができる。
【0047】
制御部90は、当該ステップS105の処理を行った後、ステップS106に移行する。
【0048】
ステップS106において、制御部90は、ステップS105で消臭除菌液を噴霧させてから所定時間が経過したか否かを判定する。本実施形態では、ステップS105の処理から2秒経過したか否かを判定している。
【0049】
制御部90は、ステップS105の処理から2秒経過したと判定した場合、ステップS107に移行する。一方、制御部90は、ステップS105の処理から2秒経過していないと判定した場合、ステップS106の処理を再度実行する。
【0050】
ステップS107において、制御部90は、送風機20を停止させる。これによって、エアシャワーが停止し、気体吹出口30からの空気の吹き出しが終了する。
【0051】
ステップS107の処理が行われた時点で、
図8(b)に示すように、対象者Pは除塵され、概ね全身に消臭除菌液が吹き付けられた状態となる。ステップS107でエアシャワーが停止したことを確認した対象者Pは、除塵装置1を通過する。
【0052】
このように、除塵装置1を用いることで、建物内に入る対象者Pに付着した粉塵を除去することができる。また、消臭除菌液を空気中に噴霧することで、除去された粉塵を落下させることで、粉塵が対象者Pに再度付着するのを防止することができる。さらに、消臭除菌液を対象者Pに吹き付けることで、対象者Pの衣類等の消臭及び除菌を行うことができる。特に本実施形態では、気体吹出口30とは異なる位置に配置された第一液体吹出口40から消臭除菌液を噴霧することで、対象者Pの身体全体に消臭除菌液を吹き付けることができる。
【0053】
以上の如く、本実施形態に係る除塵装置1は、
対象者Pが通過可能な通過部Tに向かって気体を吹き出すことで、前記通過部Tを通過する前記対象者Pに付着した粉塵を除去する気体吹出口30と、
前記気体吹出口30とは異なる位置に配置され、前記通過部Tに向かって消臭除菌液(液体)を吹き出す第一液体吹出口40と、
を具備するものである。
このように構成することにより、対象者Pに対して好適に消臭除菌液を吹き付けることができる。すなわち、気体吹出口30とは異なる位置に配置された第一液体吹出口40から消臭除菌液を吹き出すことで、対象者Pに局所的に消臭除菌液が吹き付けられるのを防止し、対象者Pの身体全体にまんべんなく消臭除菌液を吹き付けることができる。これによって、対象者Pの消臭及び除菌を効果的に行うことができる。
【0054】
また、前記第一液体吹出口40は、
前記対象者Pが前記通過部Tを通過する通過方向において、前記気体吹出口30の両側にそれぞれ配置されているものである。
このように構成することにより、消臭除菌液を気体吹出口30の両側から噴霧することで、消臭除菌液をよりまんべんなく対象者Pに吹き付けることができる。
【0055】
また、前記気体吹出口30は、
前記通過部Tの所定の位置(処置位置L)に向かって気体を吹き出すように構成され、
前記第一液体吹出口40は、
前記処置位置Lとは異なる位置に向かって液体を吹き出すように構成されているものである。
このように構成することにより、第一液体吹出口40から吹き出された消臭除菌液が局所的に対象者Pに付着するのを抑制することができる。
【0056】
また、除塵装置1は、
前記通過方向において、前記第一液体吹出口40の内側に配置される第二液体吹出口50をさらに具備するものである。
このように構成することにより、消臭除菌液をよりまんべんなく対象者Pに吹き付けることができる。特に本実施形態では、第二液体吹出口50を気体吹出口30の近傍に設けることで、第二液体吹出口50から噴霧された消臭除菌液を気体吹出口30から吹き出される風にのせて対象者Pへと吹きつけることができ、より確実に対象者Pに消臭除菌液を吹き付けることができる。
【0057】
また、除塵装置1は、
前記気体吹出口30からの気体の吹き出し、及び、前記第一液体吹出口40からの液体の吹き出しを制御する制御部90をさらに具備し、
前記制御部90は、
前記気体吹出口30からの気体の吹き出しを行う気体吹出制御(ステップS101)と、
前記気体吹出制御の後で、前記気体吹出口30からの気体の吹き出し、及び、前記第一液体吹出口40からの液体の吹き出しを行う第一気液吹出制御(ステップS103)と、
を実行可能なものである。
このように構成することにより、気体吹出制御によって対象者Pから除去された粉塵を、第一気液吹出制御によって落下させることができる。これによって、対象者Pから除去された粉塵が、対象者Pに再度付着するのを防止することができる。
【0058】
また、除塵装置1は、
前記気体吹出口30からの気体の吹き出し、及び、前記第一液体吹出口40からの液体の吹き出しを制御する制御部90をさらに具備し、
前記制御部90は、
前記気体吹出口30からの気体の吹き出しを行う気体吹出制御(ステップS101)と、
前記気体吹出制御の後で、前記気体吹出口30からの気体の吹き出し、及び、前記第一液体吹出口40からの液体の吹き出しを行う第一気液吹出制御(ステップS103)と、
前記第一気液吹出制御の後で、前記気体吹出口30からの気体の吹き出し、並びに、前記第一液体吹出口40及び前記第二液体吹出口50からの液体の吹き出しを行う第二気液吹出制御(ステップS105)と、
を実行可能なものである。
このように構成することにより、第一気液吹出制御によって空中の粉塵を落下させた後で、消臭除菌液を対象者Pの身体全体に吹き付けることができる。これによって、対象者Pの消臭及び除菌を好適に行うことができる。特に、第一液体吹出口40から消臭除菌液を複数回(ステップS103及びステップS105)噴霧させることで、対象者Pの身体全体に消臭除菌液を吹き付け易くなり、対象者Pの消臭及び除菌をより好適に行うことができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0060】
例えば、本実施形態で示した気体吹出口30、第一液体吹出口40及び第二液体吹出口50の配置や個数等は一例であり、その配置や個数等は任意に変更することが可能である。例えば
図9に示すように、第一液体吹出口40を、前後方向における気体吹出口30の間に設けることも可能である。またこの場合、側面部11の前後両端部近傍(通過部Tの出入口)に設けられた第一液体吹出口40を省略してもよい。
【0061】
また、第一液体吹出口40の配置や向き(噴霧方向)は特に限定するものではないが、気体吹出口30から吹き出される空気に第一液体吹出口40からの消臭除菌液が直接混入しないように配置されることが望ましい。これによって、第一液体吹出口40からの消臭除菌液が、気体吹出口30からの空気と共に対象者Pの身体の特定の部位に居所的に吹き付けられるのを防止し、ひいては対象者Pの全身に消臭除菌液を吹き付け易くすることができる。
【0062】
また、
図6に示した制御部90による制御態様は一例であり、任意に変更することが可能である。例えば、ステップS103及びステップS104の処理を省略し、エアシャワーの作動後に(ステップS101及びステップS102)、第一液体吹出口40及び第二液体吹出口50から消臭除菌液を噴霧する(ステップS105及びステップS106)ように制御することも可能である。この場合、第一液体吹出口40及び第二液体吹出口50から噴霧された消臭除菌液によって、空気中の粉塵を落下させると共に、対象者Pの招集及び除菌を行うことができる。
【0063】
また、
図6に示した制御部90による制御態様で示した具体的な数値(時間)は一例であり、任意に変更することが可能である。
【0064】
また、本実施形態では、気体吹出口30から空気を吹き出す例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、任意の気体を吹き出すことが可能である。また、本実施形態では、第一液体吹出口40及び第二液体吹出口50から消臭除菌液を吹き出す例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、任意の液体を吹き出すことが可能である。但し、対象者Pの除塵、消臭、除菌等を好適に行うことが可能な気体及び液体を用いることが好ましい。
【0065】
また、本実施形態において例示した除塵装置1の構成は一例であり、各部の個数、配置、形状、機器等は任意に変更することが可能である。例えば本実施形態では、送風機20、第一電磁弁60及び第二電磁弁70を用いて空気及び消臭除菌液の吹き出しを制御する例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、空気及び消臭除菌液の吹き出しを制御するための具体的な装置構成は任意に変更することが可能である。
【0066】
また本実施形態では、側面部11と天井部12を具備する門型の除塵装置1を例示したが、本発明はこれに限るものではなく、除塵装置1を任意の構成とすることが可能である。例えば、天井部12を設けず、一対の側面部11、又は、左右一方のみの側面部11からなる除塵装置1とすることも可能である。
【0067】
また、本実施形態で例示した対象者検知センサ80の配置は特に限定するものではなく、任意の場所に配置することが可能である。例えば、除塵装置1の本体10だけでなく、本体10の外部(本体10から離れた場所)に配置することも可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 除塵装置
10 本体
30 気体吹出口
40 第一液体吹出口
50 第二液体吹出口
90 制御部