(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139517
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】再生スチレン系樹脂発泡成形体、再生発泡性スチレン系樹脂粒子、および、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子
(51)【国際特許分類】
C08J 9/18 20060101AFI20241002BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20241002BHJP
B29C 44/44 20060101ALI20241002BHJP
C08F 257/02 20060101ALI20241002BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
C08J9/18 CET
B29C44/00 G
B29C44/44
C08F257/02
C08F2/44 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050489
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】新籾 幸雄
【テーマコード(参考)】
4F074
4F214
4J011
4J026
【Fターム(参考)】
4F074AA32K
4F074AA32L
4F074AB01
4F074BA37
4F074CA34
4F074CA38
4F074CA42
4F074CA45
4F074CA48
4F074DA02
4F074DA08
4F074DA32
4F074DA33
4F074DA34
4F074DA58
4F214AA13
4F214AA50
4F214AB02
4F214AG20
4F214AH56
4F214UA21
4F214UB01
4F214UC09
4F214UF01
4J011PA65
4J011PB06
4J011PC02
4J011PC07
4J026AA17
4J026BA05
4J026BB01
4J026DB04
4J026DB13
4J026DB32
4J026GA08
(57)【要約】
【課題】高い強度を発現できる再生発泡性スチレン系樹脂発泡成形体、高い強度を発現できる再生発泡性スチレン系樹脂発泡成形体の原料となり得る再生発泡性スチレン系樹脂粒子、高い強度を発現できる再生発泡性スチレン系樹脂発泡成形体の原料となり得る再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される再生スチレン系樹脂発泡成形体であって、Z平均分子量Mzが37万~500万であり、Z+1平均分子量Mz+1が200万~1500万である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される再生スチレン系樹脂発泡成形体であって、
Z平均分子量Mzが37万~500万であり、Z+1平均分子量Mz+1が200万~1500万である、再生スチレン系樹脂発泡成形体。
【請求項2】
平均最大曲げ強度が0.33MPa以上である、請求項1に記載の再生スチレン系樹脂発泡成形体。
【請求項3】
前記再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体と多官能単量体を添加して重合開始剤の存在下で重合させて得られる再生スチレン系樹脂粒子(A)に、発泡剤を圧入・含浸して得られる、請求項1に記載の再生スチレン系樹脂発泡成形体。
【請求項4】
前記再生スチレン系樹脂原料粒子(a)と前記スチレン系単量体の合計量に対する、前記再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の量の割合が、50質量%以上である、請求項3に記載の再生スチレン系樹脂発泡成形体。
【請求項5】
前記重合開始剤が、10時間半減期温度が65℃以上のパーオキシアルキルエステル系過酸化物を含む、請求項3に記載の再生スチレン系樹脂発泡成形体。
【請求項6】
前記スチレン系単量体100質量部に対する前記多官能単量体の含有割合が0.001質量部~0.049質量部である、請求項3に記載の再生スチレン系樹脂発泡成形体。
【請求項7】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体と多官能単量体を添加して重合開始剤の存在下で重合させて得られる再生スチレン系樹脂粒子(A)に、発泡剤を圧入・含浸して得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子であって、
該再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される再生スチレン系樹脂発泡成形体のZ平均分子量Mzが37万~500万であり、Z+1平均分子量Mz+1が200万~1500万である、
再生発泡性スチレン系樹脂粒子。
【請求項8】
前記重合開始剤が、10時間半減期温度が65℃以上のパーオキシアルキルエステル系過酸化物を含む、請求項7に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子。
【請求項9】
前記スチレン系単量体100質量部に対する前記多官能単量体の含有割合が0.001質量部~0.049質量部である、請求項7に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子。
【請求項10】
請求項7から9までのいずれかに記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生スチレン系樹脂発泡成形体、再生発泡性スチレン系樹脂粒子、および、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡成形体は、軽量かつ断熱性および機械的強度に優れることから、住宅および自動車等に用いられる断熱材、建築資材等に用いられる保温材、発泡スチロール土木工法に用いられる盛土材料、魚箱および食品容器等の輸送用梱包材、緩衝材等に幅広く使用されている。中でも、発泡性粒子(代表的には、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子あるいはそれを予備発泡させた予備発泡スチレン系樹脂粒子)を原料として製造される型内発泡成形体が、所望の形状を得やすい等の利点から多く使用されている。このような発泡成形体は、互いに融着した複数の発泡性粒子により構成されている。
【0003】
他方、プラスチック廃棄物の量は年々増加している。プラスチック廃棄物の大半は、焼却や埋め立てなどにより処分されているが、環境汚染、地球温暖化、埋め立て処理場の不足など、大きな社会問題となっている。このため、プラスチック廃棄物の再利用が社会的に強く要請され、家電リサイクル法の施行を受けるなどして、プラスチック廃棄物のリサイクルについて各種の検討がなされている。様々なリサイクル方法が提案されている中、資源循環や環境負荷低減の観点から、プラスチック廃棄物を再び製品のプラスチック部材として再利用するマテリアルリサイクルが注目されており、スチレン系樹脂発泡成形体についても、このようなマテリアルリサイクルが検討されている。
【0004】
スチレン系樹脂発泡成形体のマテリアルリサイクルとしては、従来、回収原料を溶融して押出すことにより回収ペレットとし、これに発泡剤を含浸して得られる、再生発泡性スチレン系樹脂粒子がいくつか提案されている。
【0005】
スチレン系樹脂発泡成形体の回収品から成形した再生樹脂ペレットに発泡剤を含浸または圧入後に含浸することにより、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法が報告されている(特許文献1~4)。また、スチレン系樹脂発泡成形体の回収品から成形した再生樹脂ペレットに、スチレン単量体を加えて重合し、その後、発泡剤を含浸または圧入後に含浸することにより、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法が報告されている(特許文献5~8)。
【0006】
しかしながら、このような再生発泡性スチレン系樹脂粒子を用いて成形した再生スチレン系樹脂発泡成形体は、回収原料を用いないで製造されたスチレン系樹脂発泡成形体に比べて、強度が低くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3044942号公報
【特許文献2】特許第4234832号公報
【特許文献3】特許第4261676号公報
【特許文献4】特許第6788428号公報
【特許文献5】特許第4052193号公報
【特許文献6】特開2006-160905号公報
【特許文献7】特許第4912567号公報
【特許文献8】特許第5128246号公報
【特許文献9】特開2007-211230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、高い強度を発現できる再生発泡性スチレン系樹脂発泡成形体を提供すること、高い強度を発現できる再生発泡性スチレン系樹脂発泡成形体の原料となり得る再生発泡性スチレン系樹脂粒子を提供すること、高い強度を発現できる再生発泡性スチレン系樹脂発泡成形体の原料となり得る再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、再生スチレン系樹脂発泡成形体は、回収原料を用いないスチレン系樹脂発泡成形体に比べて、質量平均分子量Mwはそれほど低下しない一方で、Z平均分子量MzおよびZ+1平均分子量Mz+1が大きく低下していることが判明した。Z平均分子量MzおよびZ+1平均分子量Mz+1は、質量平均分子量Mwに比べて、高分子量成分の影響を重視した平均分子量であり、Z+1平均分子量Mz+1は、高分子量成分の影響を特に重視した平均分子量である。そこで、再生スチレン系樹脂発泡成形体のZ平均分子量MzおよびZ+1平均分子量Mz+1、特にZ+1平均分子量Mz+1に着目し、これらを所定の範囲に調整することについてさらに検討を重ねた結果、Z平均分子量MzおよびZ+1平均分子量Mz+1がいずれも所定範囲内で大きな値となる再生スチレン系樹脂発泡成形体を完成させ、この再生スチレン系樹脂発泡成形体が上記課題を解決できるに至った。さらに、このような再生スチレン系樹脂発泡成形体の原料となり得る再生発泡性スチレン系樹脂粒子と再生予備発泡スチレン系樹脂粒子についても完成させるに至った。
【0010】
[1]本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される再生スチレン系樹脂発泡成形体であって、Z平均分子量Mzが37万~500万であり、Z+1平均分子量Mz+1が200万~1500万である。
[2]上記[1]に記載の再生スチレン系樹脂発泡成形体において、その平均最大曲げ強度が0.33MPa以上であってもよい。
[3]上記[1]または[2]に記載の再生スチレン系樹脂発泡成形体において、上記再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体と多官能単量体を添加して重合開始剤の存在下で重合させて得られる再生スチレン系樹脂粒子(A)に、発泡剤を圧入・含浸して得られるものであってもよい。
[4]上記[3]に記載の再生スチレン系樹脂発泡成形体において、上記再生スチレン系樹脂原料粒子(a)と上記スチレン系単量体の合計量に対する、該再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の量の割合が、50質量%以上であってもよい。
[5]上記[3]または[4]に記載の再生スチレン系樹脂発泡成形体において、上記重合開始剤が、10時間半減期温度が65℃以上のパーオキシアルキルエステル系過酸化物を含んでもよい。
[6]上記[3]から[5]までのいずれかに記載の再生スチレン系樹脂発泡成形体において、上記スチレン系単量体100質量部に対する上記多官能単量体の含有割合が0.001質量部~0.049質量部であってもよい。
[7]本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体と多官能単量体を添加して重合開始剤の存在下で重合させて得られる再生スチレン系樹脂粒子(A)に、発泡剤を圧入・含浸して得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子であって、該再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される再生スチレン系樹脂発泡成形体のZ平均分子量Mzが37万~500万であり、Z+1平均分子量Mz+1が200万~1500万である。
[8]上記[7]に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子において、上記重合開始剤が、10時間半減期温度が65℃以上のパーオキシアルキルエステル系過酸化物を含んでもよい。
[9]上記[7]または[8]に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子において、上記スチレン系単量体100質量部に対する上記多官能単量体の含有割合が0.001質量部~0.049質量部であってもよい。
[10]本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、上記[7]から[9]までのいずれかに記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高い強度を発現できる再生発泡性スチレン系樹脂発泡成形体、高い強度を発現できる再生発泡性スチレン系樹脂発泡成形体の原料となり得る再生発泡性スチレン系樹脂粒子、高い強度を発現できる再生発泡性スチレン系樹脂発泡成形体の原料となり得る再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0013】
本明細書において「(メタ)アクリル」とある場合は、アクリルおよび/またはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とある場合は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
【0014】
≪≪A.再生スチレン系樹脂発泡成形体≫≫
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される。
【0015】
再生スチレン系樹脂発泡成形体は、代表的には、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子をさらに発泡させた再生発泡スチレン系樹脂粒子(以下、単に「発泡粒子」と称する場合がある)を含む。
【0016】
再生スチレン系樹脂発泡成形体は、代表的には、互いに融着した複数の発泡粒子により構成されている。
【0017】
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、Z平均分子量Mzが37万~500万であり、好ましくは37万~450万であり、より好ましくは37万~400万である。
【0018】
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、Z+1平均分子量Mz+1が200万~1500万であり、好ましくは200万~1200万であり、より好ましくは200万~1000万である。
【0019】
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、Z平均分子量MzおよびZ+1平均分子量Mz+1が上記範囲内に調整されることにより、回収原料を用いないで製造されたスチレン系樹脂発泡成形体と同等レベルの高い強度を発現できる。
【0020】
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、回収原料を用いないで製造されたスチレン系樹脂発泡成形体と同等レベルの平均最大曲げ強度を発現できる。本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、例えば、密度0.0167g/cm3では、平均最大曲げ強度が、好ましくは0.33MPa以上であり、より好ましくは0.34MPa以上であり、さらに好ましくは0.35MPa以上であり、特に好ましくは0.36MPa以上である。平均最大曲げ強度の上限は、大きければ大きいほど良いが、現実的には、代表的には、0.37MPa以下である。
【0021】
再生スチレン系樹脂発泡成形体は、代表的には、目的に応じた所定の形状を有する型内に再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を仕込み、型内発泡成形を行うことにより作製され得る。より詳細には、型内発泡成形は、(i)再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を多数の小孔を有する閉鎖金型内に充填すること、(ii)熱媒体(例えば、加圧水蒸気等)で再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を加熱発泡させて発泡粒子を得ること、(iii)当該加熱発泡により、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させることにより一体化させること、を含む。再生スチレン系樹脂発泡成形体の密度は、目的に応じて適切に設定され得る。再生スチレン系樹脂発泡成形体の密度は、例えば、金型内に充填する予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率を予め調整すること、あるいは、金型内への再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の充填量を調整することにより調整することができる。
【0022】
加熱発泡の温度(実質的には、熱媒体の温度)は、好ましくは90℃~150℃であり、より好ましくは110℃~130℃である。加熱発泡時間は、好ましくは5秒~50秒であり、より好ましくは10秒~50秒である。加熱発泡の成形蒸気圧(熱媒体の吹き込みゲージ圧)は、好ましくは0.04MPa~0.1MPaであり、より好ましくは0.06MPa~0.08MPaである。加熱発泡がこのような条件であれば、発泡粒子を相互に良好に融着させることができる。
【0023】
必要に応じて、再生スチレン系樹脂発泡成形体の成形前に再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を熟成させてもよい。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の熟成温度は、好ましくは20℃~60℃である。熟成温度が低すぎると、過度に長い熟成時間が必要とされる場合がある。熟成温度が高すぎると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子中の発泡剤が散逸して成形性が低下する場合がある。
【0024】
再生スチレン系樹脂発泡成形体における発泡粒子の発泡倍率は、好ましくは2倍以上110倍未満であり、より好ましくは5倍~90倍であり、さらに好ましくは10倍~85倍、特に好ましくは15倍~80倍である。
【0025】
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、軽量かつ断熱性および機械的強度に優れることから、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材、温水タンク用保温材、配管用保温材、ソーラーシステム用保温材、給湯器用保温材、食品および工業製品等の容器(例えば、魚箱などの食品容器、通い箱)、緩衝材、フロート、ブロック、魚および農産物等の梱包材、盛土用成形体、畳の芯材、クッションの芯材、コンクリートの骨材等に好適に用いられる。
【0026】
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を、水蒸気等を用いて、所望の嵩発泡倍率(嵩密度)に発泡させることで得られる。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率は、好ましくは2倍~150倍であり、より好ましくは2倍以上100倍未満であり、より好ましくは5倍~90倍であり、さらに好ましくは10倍~85倍、特に好ましくは15倍~83倍である。嵩密度は、嵩発泡倍率の逆数である。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率が上記範囲内にあることにより、発泡時や成形時のブロッキングをより防止でき、さらに、発泡時と成形時の帯電性をより抑制しつつより良好な融着性や表面性を発現し、静電気のより少ない再生スチレン系樹脂発泡成形体を成形することができる。
【0027】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体と多官能単量体を添加して重合開始剤の存在下で重合させて得られる再生スチレン系樹脂粒子(A)に、発泡剤を圧入・含浸して得られる。
【0028】
再生スチレン系樹脂粒子(A)は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体と多官能単量体を添加して重合開始剤の存在下で重合させて得られる。
【0029】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0030】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の材料としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な再生スチレン系樹脂を採用し得る。このような再生スチレン系樹脂としては、例えば、発泡スチロール(型物成形品、ブロック成形品など)や発泡シート(トレー容器、シート破材など)や家電製品や包装容器やクッションビーズなどで使用されているプラスチック材料のリサイクル品が挙げられる。
【0031】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な再生スチレン系樹脂以外の他の再生樹脂を含んでいてもよい。このような他の再生樹脂としては、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)などのポリエステル系樹脂;ナイロン(PA)などのポリアミド系樹脂;ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)などのポリオレフィン系樹脂;の再生樹脂が挙げられる。他の樹脂は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。なお、本明細書においては、上記のAS樹脂の再生樹脂、ABS樹脂の再生樹脂、およびHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)の再生樹脂は、上記の再生スチレン系樹脂の範疇には含めないものとする。
【0032】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)としては、積水化成品工業株式会社製の商品名「エプスレム」や「エスレンビーズRNW」から作られる成形品を採用してもよい。
【0033】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)としては、使用済みの発泡スチレン系樹脂を加熱および/または減容して得られる再生樹脂を粉砕した粉砕物を採用してもよい。再生スチレン系樹脂原料粒子としては、この粉砕物を押出成形してペレット化したペレットものであってもよいし、このペレットをさらに粉砕したものであってもよい。または、リモネンなどの溶媒を利用して減容回収したものであってもよい。
【0034】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、好ましくは、溶融押出法によって得られるペレットである。溶融押出法とは、代表的には、使用済みのスチレン系樹脂の粉砕品やインゴット、発泡粒子などを樹脂供給装置に供給し、その樹脂供給装置内で溶融し、その樹脂供給装置の先端に付設されたダイの小孔から押し出し、その後、冷却することによってペレットを得る方法である。
【0035】
上記の溶融押出法によって得られるペレットとしては、好ましくは、使用済み発泡スチレン系樹脂を押出機によって押出してストランドカットを行って得られる押出ストランドペレット、使用済み発泡スチレン系樹脂を押出機によって押出すと同時に水中で切断する水中カット法で得られる水中カットペレット、および、使用済み発泡スチレン系樹脂粒子を押出機のダイから出た直後にカットして冷却するホットカット法で得られるホットカットペレットから選ばれる少なくとも1種である。
【0036】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)として、上記の溶融押出法によって得られるペレットをそのまま使用してもよいし、より小さなサイズのペレットとするために、再度、溶融押出法などによっていわゆる「ミニペレット」としてもよい。
【0037】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)としては、使用済みの発泡スチレン系樹脂を、必要に応じて適当な大きさに粗粉砕した後、熱収縮、圧縮による気泡破壊収縮、摩擦熱による収縮、溶融などを行って得られる、発泡スチレン系樹脂の収縮物または溶融物であってもよい。
【0038】
使用済みの発泡スチレン系樹脂としては、例えば、発泡性スチレン系樹脂を金型成形した成形品、これを加熱発泡させたものが挙げられる。
【0039】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)には、微粉状の無機物および/または有機系滑剤を含めることができる。これらは、代表的には、気泡調整剤として機能し得る。
【0040】
微粉状の無機物としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカが挙げられる。ここで、タルクとは、代表的には、酸化ケイ素および酸化マグネシウムを主成分とし、酸化アルミニウム、酸化鉄等を微量に含む混合物をいう。
【0041】
微粉状の無機物の平均粒子径は、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。
【0042】
微粉状の無機物の含有割合は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対して、好ましくは0.1質量%~5質量%であり、より好ましくは0.5質量%~2質量%である。
【0043】
有機系滑剤としては、例えば、流動パラフィン;ポリエチレングリコール;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのシリコーンオイル;メチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイン酸アミド等の高級脂肪酸ビスアトミド;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛等の高級脂肪酸の金属塩;が挙げられる。
【0044】
有機系滑剤の含有割合は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対して、好ましくは0.01質量%~2.0質量%であり、より好ましくは0.02質量%~1.8質量%であり、場合によっては、さらに好ましくは0.02質量%~0.2質量%であり、特に好ましくは0.02質量%~0.1質量%である。
【0045】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に、微粉状の無機物および/または有機系滑剤を含める具体的方法としては、例えば、押出成形の際に、微粉状の無機物および/または有機系滑材を混練する方法が挙げられる。この場合、好ましくは、予め粉砕物と気泡調整剤を混合した後、押出成形する。粉砕物と気泡調整剤の混合方法は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で行うことができる。このような方法としては、例えば、タンブラー、リボンブレンダー、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディゲーミキサー等の混合機を用いた混合方法が挙げられる。
【0046】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、比重調整を目的に熱溶融されることが好ましい。この工程で、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の比重を、好ましくは0.6以上に調整し、より好ましくは0.9以上に調整する。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の比重が0.6未満であると、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の分散が不安定であるため、後に続く重合工程中に過大粒子が発生し歩留まりが低下するおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の熱溶融は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で行うことができる。このような方法としては、例えば、押出機、熱ロールを用いた方法が挙げられる。熱溶融は、得られた樹脂にひずみが残留しない、または、ひずみが小さい状態で、冷却固化することすることが好ましい。樹脂粒子にひずみが残っていると、後に続く工程でひずみが緩和され、延伸方向に収縮し、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子が球状とならず扁平状となるおそれがある。したがって、熱溶融としては、押出機を用いて無延伸溶融することが好ましい。熱溶融を延伸状態で行うと、冷却固化して得られる延伸樹脂にひずみが残るおそれがある。なお、熱溶融によって樹脂にひずみが残っていても、樹脂の軟化点以上の温度で一定時間養生することでひずみを緩和させることもできる。
【0047】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を得る際の粉砕は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の粉砕機を採用し得る。このような粉砕機としては、例えば、プラスチック用の粉砕機を採用でき、ポリスチレン用粉砕機が好ましい。
【0048】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、必要に応じてふるい分けされ、再度、押出機等による溶融に供することができる。
【0049】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の形状は、粒子状であれば、任意の適切な形状を採用でき、円柱状、球状、略球状、楕円球状(卵状)などが挙げられる。なお、現実的には、球状と略球状との区別は難しいため、本明細書では、両者を合わせて球状とする。
【0050】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の平均粒子径は、好ましくは0.2mm~3.0mmであり、より好ましくは0.3mm~2.5mmであり、さらに好ましくは0.4mm~2.0mmであり、特に好ましくは0.5mm~1.7mmである。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の平均粒子径が3mmを越えると、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の形状が球状になりにくいおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の平均粒子径が0.2mm未満であると、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の平均粒子径が小さくなりすぎるおそれがある。
【0051】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)のL(長辺)/D(短辺)は、好ましくは1.0~6.0であり、より好ましくは1.0~5.0であり、さらに好ましくは1.0~4.0であり、特に好ましくは1.0~3.0であり、最も好ましくは1.0~2.5である。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)のL(長辺)/D(短辺)が上記範囲から外れると、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の形状が球状になりにくいおそれがある。
【0052】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、その平均粒子径が200μm以下の粒子の含有量が1質量%未満であることが好ましい。平均粒子径が200μm以下の粒子の含有量が1質量%以上である再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、それを用いて得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の外観が悪化するおそれがある。
【0053】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の質量平均分子量Mwは、好ましくは10万~51万であり、より好ましくは15万~49万である。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の質量平均分子量が10万未満では、十分な強度が得られないおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の質量平均分子量が51万を越えると、再生スチレン系樹脂原料粒子が球状になりにくいおそれや、発泡性が低下して成形品外観が劣るおそれがある。
【0054】
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、その原料として用いる再生スチレン系樹脂原料粒子(a)のZ平均分子量Mzが小さくなっていても、最終的に得られる再生スチレン系樹脂発泡成形体のZ平均分子量Mzが、前述の範囲となり得る。本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体を提供するにあたっては、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)のZ平均分子量Mzは、例えば、50万以下であってもよいし、40万以下であってもよい。
【0055】
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、その原料として用いる再生スチレン系樹脂原料粒子(a)のZ+1平均分子量Mz+1が小さくなっていても、最終的に得られる再生スチレン系樹脂発泡成形体のZ+1平均分子量Mz+1が、前述の範囲となり得る。本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体を提供するにあたっては、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)のZ+1平均分子量Mz+1は、例えば、200万未満であってもよいし、150万以下であってもよいし、100万以下であってもよいし、80万以下であってもよい。
【0056】
スチレン系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0057】
スチレン系単量体は、スチレンまたはスチレン誘導体を含む。スチレン誘導体としては、例えば、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i-プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられる。スチレン系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。スチレン系単量体は、好ましくは、少なくともスチレンを含有する。スチレン系単量体の全量に対するスチレンの含有割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。
【0058】
多官能単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0059】
スチレン系単量体に対する多官能単量体の含有割合は、好ましくは0.001質量%~0.049質量%であり、より好ましくは0.003質量%~0.045質量%であり、さらに好ましくは0.005質量%~0.040質量%であり、特に好ましくは0.007質量%~0.035質量%である。
【0060】
多官能単量体の具体例としては、例えば、о-ジビニルベンゼン、m-ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシルが挙げられる。マレイン酸エステル単量体としては、例えば、マレイン酸ジメチルが挙げられる。フマル酸エステル単量体としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸エチルが挙げられる。
【0061】
多官能単量体の中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、ジビニルベンゼンが好ましい。なお、ジビニルベンゼンは、о-ジビニルベンゼン、m-ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼンの3種類の位置異性体として存在し、本発明においては、これらの位置異性体のどのような組み合わせからなるジビニルベンゼンであっても採用し得る。
【0062】
多官能単量体は、懸濁液に対し、スチレン系単量体と別個に添加してもよいし、スチレン系単量体と一緒に添加してもよい。多官能単量体をスチレン系単量体と一緒に懸濁液に添加する場合、代表的には、多官能単量体はスチレン系単量体に溶解して添加する。
【0063】
重合に際し、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液には、スチレン系単量体と多官能単量体以外の任意の適切なビニル単量体を含んでもよい。このようなビニル単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。このようなビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体、マレイン酸エステル単量体、フマル酸エステル単量体が挙げられる。
【0064】
ビニル単量体は、懸濁液に対し、スチレン系単量体と別個に添加してもよいし、スチレン系単量体と一緒に添加してもよい。ビニル単量体をスチレン系単量体と一緒に懸濁液に添加する場合、代表的には、ビニル単量体はスチレン系単量体に溶解して添加する。
【0065】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)とスチレン系単量体の合計量に対する、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の量の割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上であり、さらに好ましくは70質量%以上であり、特に好ましくは80質量%以上である。上記割合が高ければ高いほど、原料のリサイクル率が高くなり、環境貢献度が高くなる。
【0066】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)とスチレン系単量体の合計量に対する、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の量の割合の上限値は、高ければ高いほど、原料のリサイクル率が高くなり、環境貢献度が高くなるが、スチレン系単量体を所定量以上用いないと、本発明の効果が発現できないおそれがある。このため、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)とスチレン系単量体の合計量に対する、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の量の割合の上限値は、好ましくは98質量%未満であり、より好ましくは95質量%以下であり、さらに好ましくは94質量%以下であり、特に好ましくは93質量%以下であり、最も好ましくは92質量%以下である。
【0067】
再生スチレン系樹脂粒子(A)は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体と多官能単量体を添加して重合開始剤の存在下で重合させて得られる。このような重合方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このような重合方法の好ましい実施形態としては、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を核として水性媒体中へ分散させて得られる懸濁液に対し、重合開始剤とスチレン系単量体と多官能単量体を加え、重合を行う方法が挙げられる。
【0068】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を核として水性媒体中へ分散させて懸濁液を得る際に、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の水性媒体中への分散の方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このような分散の方法としては、好ましくは、攪拌翼を備えた装置を用いて行う分散である。より微細に分散する方法としては、ホモミキサーを用いる方法が挙げられる。
【0069】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を核として水性媒体中へ分散させて懸濁液を得る際に、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の水性媒体中への分散においては、分散剤を用いることが好ましい。分散剤は、懸濁重合に用い得るものであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な分散剤を採用し得る。このような分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等の有機系分散剤;ピロリン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム等の難溶性無機塩;が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、分散剤としては、ピロリン酸マグネシウムが好ましい。
【0070】
再生スチレン系樹脂粒子(A)100質量部に対する分散剤の配合割合は、好ましくは0.1質量部~2質量部であり、より好ましくは0.1質量部~1.5質量部であり、さらに好ましくは0.1質量部~1.0質量部である。
【0071】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を核として水性媒体中へ分散させて懸濁液を得る際に、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の水性媒体中への分散においては、界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤は、懸濁重合に用い得るものであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な界面活性剤を採用し得る。このような界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムおよびα-オレフィンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0072】
再生スチレン系樹脂粒子(A)100質量部に対する界面活性剤の配合割合は、好ましくは0.005質量部~0.1質量部であり、より好ましくは0.005質量部~0.08質量部であり、さらに好ましくは0.005質量部~0.06質量部である。
【0073】
重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0074】
重合開始剤は、好ましくは、スチレン系単量体または溶剤に溶解して添加する。溶剤としては、例えば、エチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;が挙げられる。溶剤を用いる場合は、通常、スチレン系単量体に対して10質量%以下の量で用いる。
【0075】
重合開始剤は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、10時間半減期温度が65℃以上のパーオキシアルキルエステル系過酸化物を含む。
【0076】
10時間半減期温度が65℃以上のパーオキシアルキルエステル系過酸化物としては、例えば、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(10時間半減期温度=65.3℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(10時間半減期温度=66.2℃)、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(10時間半減期温度=69.9℃)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(10時間半減期温度=72.1℃)、t-ブチルパーオキシベンゾエート(10時間半減期温度=104.3℃)が挙げられる。
【0077】
10時間半減期温度が65℃以上のパーオキシアルキルエステル系過酸化物としては、上記に例示した化合物以外にも、例えば、日油株式会社のカタログ「有機過酸化物(第10版)」などの文献に記載の公知の化合物が挙げられる。
【0078】
10時間半減期温度が65℃以上のパーオキシアルキルエステル系過酸化物の使用量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、スチレン系単量体に対して、好ましくは0.011質量%~1.50質量%であり、より好ましくは0.055質量%~1.00質量%であり、さらに好ましくは0.09質量%~0.60質量%であり、特に好ましくは0.15質量%~0.50質量%であり、最も好ましくは0.20質量%~0.44質量%である。
【0079】
重合開始剤は、本発明の効果をより一層発現させ得る点で、好ましくは、10時間半減期温度が65℃~75℃のパーオキシアルキルエステル系過酸化物を含む。10時間半減期温度が65℃~75℃のパーオキシアルキルエステル系過酸化物としては、例えば、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(10時間半減期温度=65.3℃)、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン(10時間半減期温度=66.2℃)、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(10時間半減期温度=69.9℃)、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(10時間半減期温度=72.1℃)が挙げられる。
【0080】
10時間半減期温度が65℃~75℃のパーオキシアルキルエステル系過酸化物の使用量は、スチレン系単量体に対して、好ましくは0.01質量%~1.00質量%であり、より好ましくは0.05質量%~0.70質量%であり、さらに好ましくは0.08質量%~0.40質量%であり、特に好ましくは0.10質量%~0.35質量%であり、最も好ましくは0.12質量%~0.32質量%である。
【0081】
重合開始剤は、本発明の効果をさらにより一層発現させ得る点で、好ましくは、10時間半減期温度が65℃~75℃のパーオキシアルキルエステル系過酸化物と、10時間半減期温度が100℃~110℃のパーオキシアルキルエステル系過酸化物を併用する。10時間半減期温度が100℃~110℃のパーオキシアルキルエステル系過酸化物としては、例えば、t-ブチルパーオキシベンゾエート(10時間半減期温度=104.3℃)が挙げられる。
【0082】
10時間半減期温度が100℃~110℃のパーオキシアルキルエステル系過酸化物の使用量は、スチレン系単量体に対して、好ましくは0.001質量%~0.50質量%であり、より好ましくは0.005質量%~0.30質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%~0.20質量%であり、特に好ましくは0.05質量%~0.15質量%であり、最も好ましくは0.08質量%~0.12質量%である。
【0083】
再生スチレン系樹脂粒子(A)を得る際に、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液に、スチレン系単量体を添加する際の添加温度は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは40℃~119℃であり、より好ましくは40℃~118℃であり、さらに好ましくは、40℃~117℃、特に好ましくは50℃~117℃、最も好ましくは60℃~115℃である。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を添加する際の添加温度を上記範囲内に調整すれば、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を適度な硬さに維持した状態でスチレン系単量体を取り込めるので、再生スチレン系樹脂粒子(A)の良好な球状化が発現でき、最終的に得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の良好な球状化や優れた成形性を発現し得る。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)にスチレン系単量体を添加する際の添加温度が上記範囲を外れて低すぎると、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)が硬くなりすぎてしまい、この状態でスチレン系単量体を取り込んだ場合に再生スチレン系樹脂粒子(A)が球状化しにくくなり、最終的に得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子が球状化しにくいおそれや成形性に劣るおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)にスチレン系単量体を添加する際の添加温度が上記範囲を外れて高すぎると、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)が柔らかくなりすぎてしまい、この状態でスチレン系単量体を取り込んだ場合に再生スチレン系樹脂粒子(A)が球状化しにくくなり、最終的に得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子が球状化しにくいおそれや成形性に劣るおそれがある。
【0084】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を加えた後に、必要に応じて、任意の適切な温度と時間で重合反応を続行してもよい。
【0085】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液には、気泡調整剤が含まれていてもよい。このような気泡調整剤としては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸モノアミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸ビスアミド;が挙げられる。
【0086】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、再生スチレン系樹脂粒子(A)に発泡剤を圧入・含浸して得られる。
【0087】
発泡剤の圧入と含浸の方法としては、代表的には、再生スチレン系樹脂粒子(A)を、オートクレーブ等の反応器に入れ、発泡剤を圧入・含浸する方法が挙げられる。
【0088】
発泡剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0089】
発泡剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な発泡剤を用いることができる。ここにいう発泡剤は、好ましくは揮発性発泡剤である。発泡剤としては、好ましくは、沸点がスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状または液状の有機化合物である。具体例としては、例えば、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ペンタン(n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン)、n-ヘキサン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロペンタジエン等の脂環式炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物;トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素;などが挙げられる。発泡剤として、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガスを用いてもよい。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、発泡剤としては、好ましくは、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、およびシクロペンタジエンから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、およびイソペンタンから選ばれる少なくとも1種である。
【0090】
発泡剤の含有量は、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子および再生スチレン系樹脂発泡成形体を形成するために十分な量であれば、目的に応じて適切に設定され得る。発泡剤の含有量は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)とスチレン系単量体の合計量を100質量部としたときに、好ましくは2質量部~15質量部である。
【0091】
再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の圧入温度は、好ましくは40℃~150℃であり、より好ましくは40℃~140℃であり、さらに好ましくは40℃~130℃であり、さらに好ましくは40℃~123℃であり、さらに好ましくは40℃~110℃であり、さらに好ましくは40℃~105℃であり、さらに好ましくは40℃~95℃であり、さらに好ましくは40℃~89℃であり、さらに好ましくは40℃~88℃であり、さらに好ましくは40℃~87℃であり、特に好ましくは40℃~86℃であり、最も好ましくは40℃~85℃である。再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の圧入温度は、上記範囲内で変化させてもよい。再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の圧入温度が上記範囲内にあれば、発泡剤を低い温度で圧入できることになり、このように低い温度で発泡剤を圧入した後に昇温することで、発泡剤が再生スチレン系樹脂粒子(A)に急激に含浸されることが抑制され、均一な含浸が可能となり、例えば、再生スチレン系樹脂発泡成形体に成形したときに収縮して溶けたりする箇所が低減できる。再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の圧入温度が上記範囲を外れて低すぎると、発泡剤の圧入時に該発泡剤が再生スチレン系樹脂粒子(A)に含浸されにくく、温度を上昇した際に急激に発泡剤が含浸されてしまい、再生スチレン系樹脂粒子(A)に均一に発泡剤が含浸されず、気泡バラツキが生じやすく、成形時の表面収縮が生じやすくなるおそれがある。再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の圧入温度が上記範囲を外れて高すぎると、発泡剤の圧入時に該発泡剤が再生スチレン系樹脂粒子(A)に急激に含浸されてしまい、再生スチレン系樹脂粒子(A)に均一に発泡剤が含浸されず、気泡バラツキが生じやすく、成形時の表面収縮が生じやすくなるおそれがある。
【0092】
再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の含浸温度の一つの実施形態は、好ましくは40℃~150℃であり、より好ましくは40℃~140℃であり、さらに好ましくは40℃~130℃であり、さらに好ましくは40℃~123℃であり、さらに好ましくは40℃~110℃であり、特に好ましくは40℃~105℃であり、最も好ましくは40℃~95℃である。
【0093】
再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の含浸温度の別の一つの実施形態は、好ましくは、再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の圧入温度以上の温度であり、好ましくは93℃~130℃であり、より好ましくは94℃~129℃であり、さらに好ましくは95℃~128℃であり、特に好ましくは96℃~127℃であり、最も好ましくは97℃~126℃である。
【0094】
再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の含浸温度は、上記範囲内で変化させてもよい。再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の含浸温度が上記範囲内にあれば、上記の圧入温度の調整と合わせて、発泡剤が再生スチレン系樹脂粒子(A)に急激に含浸されることが抑制され、均一な含浸が可能となり、例えば、再生スチレン系樹脂発泡成形体に成形したときに収縮して溶けたりする箇所が低減できる。再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の含浸温度が上記範囲を外れて低すぎると、発泡剤が再生スチレン系樹脂粒子(A)の中心部まで含浸されず、非発泡部分が残ってしまい、良好な成形品を得ることができないおそれがある。再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の含浸温度が上記範囲を外れて高すぎると、発泡剤が再生スチレン系樹脂粒子(A)に含浸されすぎてしまい、成形時に溶けてしまうおそれがある。
【0095】
再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の含浸時間は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な時間を採用し得る。このような含浸時間としては、好ましくは1時間~10時間である。
【0096】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分が含まれていてもよい。このような他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0097】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子には、難燃性を高めるために、難燃剤を含んでいてもよい。難燃剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0098】
難燃剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な難燃剤を採用し得る。このような難燃剤としては、ポリスチレンと相溶する臭素化合物が好ましく、例えば、テトラブロモエタン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモシクロヘキサン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、2,2-ビス[4’(2’’,3’’-ジブロモアルコキシ)-3’,5’-ジブロモフェニル]-プロパン、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、2,2-ビス(4-アリロキシ-3,5-ジブロモ)プロパン、ヘキサブロモベンゼンが挙げられる。
【0099】
難燃剤を用いる際には、難燃助剤を併用してもよい。難燃助剤としては、例えば、クメンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサンが挙げられる。
【0100】
難燃剤と難燃助剤の合計の使用量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な使用量を採用し得る。このような使用量としては、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対して、好ましくは0.1質量%~15質量%、より好ましくは0.2質量%~10質量%であり、さらに好ましくは0.2質量%~5質量%であり、特に好ましくは0.2質量%~3質量%である。
【0101】
難燃剤の添加は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なタイミングで添加し得る。難燃剤は、発泡剤を圧入する前に添加されることが好ましい。難燃剤を、発泡剤を圧入する前に添加することにより、難燃剤を、発泡剤を圧入する温度と同等の低い温度で添加し得るので、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の良好な球状化や優れた成形性を発現し得る。
【0102】
難燃剤の添加する際の添加温度は、好ましくは5℃~120℃であり、より好ましくは5℃~118℃であり、さらに好ましくは5℃~115℃であり、さらに好ましくは5℃~113℃であり、さらに好ましくは5℃~110℃であり、さらに好ましくは40℃~89℃であり、さらに好ましくは40℃~87℃であり、さらに好ましくは40℃~85℃であり、特に好ましくは40℃~83℃であり、最も好ましくは40℃~80℃である。
【0103】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造するにあたっては、気泡調整剤として、高級脂肪酸とアルコールの部分エステルを用いてもよい。すなわち、再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、高級脂肪酸とアルコールの部分エステルを含んでいてもよい。高級脂肪酸とアルコールの部分エステルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。高級脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘニン酸等の炭素数15以上の脂肪酸が挙げられ、これらのモノグリセライド、ジグリセライドなどが使用できる。高級脂肪酸とアルコールの部分エステルとしては、好ましくは、ステアリン酸モノグセライド、ステアリン酸ジグリセライドが挙げられる。高級脂肪酸とアルコールの部分エステルの含有割合は、再生スチレン系樹脂粒子(A)100質量部に対して、好ましくは0質量部~3.0質量部であり、より好ましくは0.5質量部~3.0質量部である。高級脂肪酸とアルコールの部分エステルを添加する方法としては、例えば、発泡剤と一緒に添加、もしくはドライブレンド法、マスターバッチ法、溶融圧入法等の通常行われている方法を採用し得る。
【0104】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造するにあたっては、発泡助剤を用いてもよい。すなわち、再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、発泡助剤を含んでいてもよい。発泡助剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。発泡助剤としては、例えば、アジピン酸ジイソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン、流動パラフィン、ヤシ油が挙げられる。
【0105】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造するにあたっては、気泡調整剤を用いてもよい。すなわち、再生発泡性スチレン系樹脂粒子は気泡調整剤を含んでいてもよい。気泡調整剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。気泡調整剤としては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸モノアミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸ビスアミド;が挙げられる。
【0106】
気泡調整剤の使用量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な使用量を採用し得る。このような使用量としては、再生スチレン系樹脂粒子(A)100質量部に対して、好ましくは0質量部~5.0質量部であり、より好ましくは0.02質量部~3.0質量部であり、さらに好ましくは0.02質量部~2.0質量部であり、特に好ましくは0.02質量部~1.0質量部である。
【0107】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、クエン酸、重炭酸ナトリウムなどの気泡調整剤を含んでもよい。気泡調整剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0108】
他の添加剤としては、これらの他に、例えば、顔料、輻射伝熱抑制成分、架橋剤、可塑剤、安定剤、充填剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、展着剤、耐候剤、老化防止剤、防曇剤、香料が挙げられる。
【0109】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、表面処理が施されていてもよい。このような表面処理としては、好ましくは、シリコーンオイル、帯電防止剤、脂肪酸金属塩、および融着促進剤から選ばれる少なくとも1種による表面処理である。
【0110】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子に対してシリコーンオイルによる表面処理が行われる場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対するシリコーンオイルの使用量は、好ましくは0.001質量部~0.3質量部であり、より好ましくは0.003質量部~0.28質量部であり、さらに好ましくは0.005質量部~0.25質量部であり、特に好ましくは0.008質量部~0.23質量部であり、最も好ましくは0.01質量部~0.23質量部である。シリコーンオイルの使用量が上記範囲を外れて少なすぎると、例えば、帯電防止剤を使用する場合、予備発泡時に帯電防止剤との親和性が十分でなくなり、静電気が発生しやすくなるおそれがある。シリコーンオイルの使用量が上記範囲を外れて多すぎると、成形時に表面が溶けてしまう等によって表面性が失われるおそれがある。
【0111】
シリコーンオイルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0112】
シリコーンオイルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーンオイルを採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのストレートシリコーンオイルが挙げられ、好ましくは、メチルフェニルポリシロキサンである。
【0113】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子に対して帯電防止剤による表面処理が行われる場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する帯電防止剤の使用量は、好ましくは0.001質量部~0.3質量部であり、より好ましくは0.005質量部~0.28質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.27質量部であり、特に好ましくは0.015質量部~0.26質量部であり、最も好ましくは0.02質量部~0.25質量部である。帯電防止剤の量が上記範囲を外れて少なすぎると、予備発泡時に静電気が発生しやすくなるおそれがある。帯電防止剤の量が上記範囲を外れて多すぎると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子や再生スチレン系樹脂発泡成形体の表面がべたつくおそれがある。
【0114】
帯電防止剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0115】
帯電防止剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な帯電防止剤を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、帯電防止剤としては、非イオン界面活性剤および脂肪酸グリセライドから選ばれる少なくとも1種が挙げられ、好ましくは、非イオン界面活性剤および脂肪酸グリセライドの併用である。
【0116】
非イオン界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0117】
非イオン界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な非イオン界面活性剤を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、多価アルコール、1-アミノ-2-ヒドロキシ化合物が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエステルとしては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレエートが挙げられる。多価アルコールとしては、具体的には、例えば、グリセリン、プロピレングリコールが挙げられる。1-アミノ-2-ヒドロキシ化合物としては、具体的には、例えば、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシアルキル)アミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ドデシルアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)テトラデシルアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)へキサデシルアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシヘキサデシル)アミン、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシオクタデシル)アミン、N-ヒドロキシプロピル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシブチル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシペンチル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシペンチル-N-(2-ヒドロキシヘキサデシル)アミン、N-ヒドロキシペンチル-N-(2-ヒドロキシオクタデシル)アミン、N,N-ビス(2―ヒドロキシエチル)ドデシルアミン、N,N-ビス(2―ヒドロキシエチル)テトラデシルアミン、N,N-ビス(2―ヒドロキシエチル)ヘキサデシルアミン、N,N-ビス(2―ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン、それらの塩が挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、非イオン界面活性剤としては、ポリエチレングリコールが好ましい。
【0118】
帯電防止剤の少なくとも一部として非イオン界面活性剤を採用する場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する該非イオン界面活性剤の使用量は、好ましくは0.001質量部~2.0質量部であり、より好ましくは0.001質量部~1.5質量部であり、さらに好ましくは0.001質量部~1.0質量部であり、さらに好ましくは0.001質量部~0.5質量部であり、さらに好ましくは0.001質量部~0.3質量部であり、さらに好ましくは0.005質量部~0.28質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.27質量部であり、特に好ましくは0.015質量部~0.26質量部であり、最も好ましくは0.02質量部~0.25質量部である。非イオン界面活性剤の量が上記範囲を外れて少なすぎると、予備発泡時に静電気が発生しやすくなるおそれがある。非イオン界面活性剤の量が上記範囲を外れて多すぎると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子や再生スチレン系樹脂発泡成形体の表面がべたつくおそれがある。
【0119】
脂肪酸グリセライドは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0120】
脂肪酸グリセライドとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な脂肪酸グリセライドを採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、上記脂肪酸グリセライドとしては、具体的には、例えば、ステアリン酸モノグリセライド、リノール酸モノグリセライドが挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、脂肪酸グリセライドとしては、ステアリン酸モノグリセライドが好ましい。
【0121】
帯電防止剤の少なくとも一部として脂肪酸グリセライドを採用する場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する該脂肪酸グリセライドの量は、好ましくは0.001質量部~0.3質量部であり、より好ましくは0.005質量部~0.28質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.27質量部であり、特に好ましくは0.015質量部~0.26質量部であり、最も好ましくは0.02質量部~0.25質量部である。脂肪酸グリセライドの量が上記範囲を外れて少なすぎると、予備発泡時に静電気が発生しやすくなるおそれがある。脂肪酸グリセライドの量が上記範囲を外れて多すぎると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子や再生スチレン系樹脂発泡成形体の表面がべたつくおそれがある。
【0122】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子に対して脂肪酸金属塩による表面処理が行われる場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する脂肪酸金属塩の使用量は、好ましくは0.005質量部~0.5質量部であり、より好ましくは0.007質量部~0.45質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.4質量部であり、特に好ましくは0.015質量部~0.35質量部であり、最も好ましくは0.02質量部~0.3質量部である。脂肪酸金属塩の量が上記範囲を外れて少なすぎると、予備発泡時のブロッキングが多く発生してしまい、良好なスチレン系樹脂発泡成形体を得ることができないおそれがある。脂肪酸金属塩の量が上記範囲を外れて多すぎると、予備発泡時に金属塩が多く存在してしまい、帯電しやすくなり、静電気が発生しやすくなり、成形品の融着が悪くなるおそれがある。
【0123】
脂肪酸金属塩は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0124】
脂肪酸金属塩としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な脂肪酸金属塩を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸金属塩、ラウリン酸金属塩が挙げられる。ステアリン酸金属塩としては、具体的には、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウムが挙げられる。ラウリン酸金属塩としては、具体的には、例えば、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウムが挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛が好ましい。
【0125】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子に対して融着促進剤による表面処理が行われる場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する融着促進剤の使用量は、好ましくは0.01質量部~0.8質量部であり、より好ましくは0.01質量部~0.7質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.6質量部であり、特に好ましくは0.01質量部~0.55質量部であり、最も好ましくは0.013質量部~0.5質量部である。融着促進剤の量が上記範囲を外れて少なすぎると、成形時に融着性が低下してしまい、良好な再生スチレン系樹脂発泡成形体を得ることができないおそれがある。融着促進剤の量が上記範囲を外れて多すぎると、予備発泡時にブロッキングするおそれがある。
【0126】
融着促進剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0127】
融着促進剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な融着促進剤を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、融着促進剤としては、例えば、脂肪酸トリグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、脂肪酸モノグリセライド、植物油が挙げられる。脂肪酸トリグリセライドとしては、具体的には、例えば、ラウリン酸トリグリセライド、ステアリン酸トリグリセライド、リノール酸トリグリセライド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドが挙げられる。脂肪酸ジグリセライドとしては、具体的には、例えば、ラウリン酸ジグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、リノール酸ジグリセライドが挙げられる。脂肪酸モノグリセライドとしては、具体的には、例えば、ラウリン酸モノグリセライドが挙げられる。植物油としては、具体的には、例えば、硬化ヒマシ油が挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、融着促進剤としては、ステアリン酸トリグリセライド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドが好ましい。
【0128】
≪≪B.再生発泡性スチレン系樹脂粒子≫≫
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、全体として粒子の形状を有する。再生発泡性スチレン系樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは0.40mm~2.0mmであり、より好ましくは0.6mm~1.8mmである。平均粒子径は、JIS Z 8815に準拠して測定され得る。具体的には、平均粒子径は、JIS Z 8815の篩分け試験による粒度分布から積算値50%の粒径として測定した値とされる。
【0129】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の形状としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な形状を採用することができる。このような形状の具体例としては、例えば、球状、略球状、楕円球状(卵状)などが挙げられる。本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の形状としては、本発明の効果を発現する点で、好ましくは、球状、略球状であり、より好ましくは球状である。しかしながら、現実的には、球状と略球状との区別は難しいため、本明細書では、両者を合わせて球状とする。
【0130】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の質量平均分子量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な質量平均分子量を採用することができる。このような質量平均分子量としては、好ましくは10万~60万であり、より好ましくは11万~50万であり、さらに好ましくは12万~47万であり、特に好ましくは13万~45万である。
【0131】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、該再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される再生スチレン系樹脂発泡成形体のZ平均分子量Mzが37万~500万であり、Z+1平均分子量Mz+1が200万~1500万である。
【0132】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される再生スチレン系樹脂発泡成形体のZ平均分子量Mzは、好ましくは37万~500万であり、より好ましくは37万~400万である。
【0133】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される再生スチレン系樹脂発泡成形体のZ+1平均分子量Mz+1は、好ましくは200万~1500万であり、より好ましくは200万~1200万である。
【0134】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、該再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される再生スチレン系樹脂発泡成形体のZ平均分子量MzおよびZ+1平均分子量Mz+1が上記範囲内に調整されることにより、該再生発泡性スチレン系樹脂粒子を原料として得られる再生スチレン系樹脂発泡成形体が、回収原料を用いないで製造されたスチレン系樹脂発泡成形体と同等レベルの高い強度を発現できる。
【0135】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体と多官能単量体を添加して重合開始剤の存在下で重合させて得られる再生スチレン系樹脂粒子(A)に、発泡剤を圧入・含浸して得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子である。
【0136】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)、スチレン系単量体、多官能単量体、重合方法や重合条件など重合に関する詳細、再生スチレン系樹脂粒子(A)、発泡剤の圧入・含浸など、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を得るための説明については、前述の≪≪A.再生スチレン系樹脂発泡成形体≫≫の項目における説明を援用し得る。
【0137】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、そのまま、本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体の製造に用いることができる。
【0138】
≪≪C.再生予備発泡スチレン系樹脂粒子≫≫
本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる。
【0139】
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、平均気泡径が、好ましくは0.01mm~1.10mmであり、より好ましくは0.01mm~1.00mmであり、さらに好ましくは0.01~0.90mmであり、特に好ましくは0.01mm~0.80mmであり、最も好ましくは0.01mm~0.70mmである。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の平均気泡径が上記範囲にあれば、発泡時や成形時のブロッキングをより防止でき、さらに、発泡時と成形時の帯電性をより抑制しつつより良好な融着性や表面性を発現し、静電気のより少ない再生スチレン系樹脂発泡成形体を成形することができる、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を提供し得る。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の平均気泡径が0.01mmより小さくなると、成形時に表面が溶けて収縮するおそれがある。
【0140】
予備発泡は、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子を、水蒸気等を用いて所望の嵩発泡倍率(嵩密度)に発泡させることを含む。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率は、好ましくは2倍~150倍であり、より好ましくは2倍以上100倍未満であり、より好ましくは5倍~90倍であり、さらに好ましくは10倍~85倍、特に好ましくは15倍~83倍である。嵩密度は、嵩発泡倍率の逆数である。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率が上記範囲内にあることにより、発泡時や成形時のブロッキングをより防止でき、さらに、発泡時と成形時の帯電性をより抑制しつつより良好な融着性や表面性を発現し、静電気のより少ない再生スチレン系樹脂発泡成形体を成形することができる。
【0141】
1つの代表的な実施形態においては、本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、再生スチレン系樹脂発泡成形体の成形に用いることができる。別の実施形態においては、本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、そのままで緩衝材、断熱材、コンクリートの骨材等として用いることができる。本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子をそのまま用いる場合、本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、好ましくは、多数の再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を袋体に充填した充填体として用いられ得る。このような再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、例えば、クッションの芯材(クッションの内部に充填している発泡粒)に好適である。
【0142】
本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、そのまま、本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体の製造に用いることができる。
【実施例0143】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法および評価方法は以下の通りである。
【0144】
<質量平均分子量Mwの測定>
本明細書において、質量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)を用いて測定したポリスチレン(PS)換算質量平均分子量を意味する。
質量平均分子量は、具体的には、次のようにして測定した。
試料3mgをTHF(テトラヒドロフラン)10mLに溶解させ(浸漬時間:24h±1hr(完全溶解))、試料溶液を得た。(株)島津ジーエルシー製の非水系0.45μmシリンジフィルターにて試料溶液を濾過して濾液を得た。得られた濾液について、クロマトグラフを用いて、以下の測定条件にて測定した。なお、質量平均分子量Mwは、予め作成しておいた標準ポリスチレン検量線から求めた。
・使用装置:東ソー(株)製「HLC-8320GPC EcoSEC」ゲル浸透クロマトグラフ(RI検出器・UV検出器内蔵)
・GPC測定条件:
サンプル側カラム:ガードカラム(東ソー(株)製、TSK guardcolumn SuperMP(HZ)-H(4.6mmI.D.×2cm)×1本)、測定カラム(東ソー(株)製、TSKgel SuperMultiporeHZ-H(4.6mmI.D.×15cm)×2本直列)
リファレンス側カラム:東ソー(株)製、TSKgel Super HZ1000(6.0mmI.D.×15cm)×1本
・カラム温度=40℃
・移動相=THF
・移動相流量(サンプル側ポンプ=0.2mL/min、リファレンス側ポンプ=0.2mL/min)
・検出器=RI検出器
・試料濃度=0.1質量%
・注入量=20μL
・測定時間=26min
・サンプリングピッチ=200msec
検量線用標準ポリスチレン試料は、昭和電工(株)製の製品名「STANDARD SM-105」および「STANDARD SH-75」で質量平均分子量が5,620,000、3,120,000、1,250,000、442,000、151,000、53,500、17,000、7,660、2,900、1,320のものを用いた。
上記検量線用標準ポリスチレンをA(5,620,000、1,250,000、151,000、17,000、2,900)およびB(3,120,000、442,000、53,500、7,660、1,320)にグループ分けした後、Aを(2mg、3mg、4mg、4mg、4mg)秤量後、THF30mLに溶解し、Bも(3mg、4mg、4mg、4mg、4mg)秤量後、THF30mLに溶解した。標準ポリスチレン検量線は、作製したA溶解液およびB溶解液を20μL注入して、測定後に得られた保持時間から較正曲線(一次式)を作成することにより得た。その検量線を用いて質量平均分子量Mw、Z平均分子量Mz、およびZ+1平均分子量Mz+1を算出した。
【0145】
<平均最大曲げ強度の測定>
発泡成形体の平均最大曲げ強度は、JIS A9511に記載の方法に準拠して測定した。具体的には、発泡成形体の平均最大曲げ強度をJIS A9511:1999「発泡プラスチック保温材」に記載の方法に準拠して測定した。より具体的には、密度16.7kg/m3(0.0167g/cm3)の発泡体から縦75mm×横300mm×厚さ30mmの直方体形状の試験片を5個切り出し、この5個の試験片それぞれについて、曲げ強度測定器(オリエンテック社製、商品名「UCT-10T」)を用いて、圧縮速度10mm/分、支点間距離200mm、加圧くさび10Rおよび支持台10Rの条件下にて最大曲げ強度を測定した。5個の測定結果の相加平均を平均最大曲げ強度とした。
最大曲げ強度測定条件は、開始点荷重が0.0fs%、終了点荷重が20.0fs%、ピッチ荷重が0.2fs%であった。
以下の基準で評価した。
○:平均最大曲げ強度が0.33MPa以上。
×:平均最大曲げ強度が0.33MPa未満。
【0146】
<外観性の評価>
発泡成形体の外観性は、次の基準で評価した。
〇:発泡体の表面を目視して確認し、表面粒子間の隙間がなく、発泡体に収縮が発生していない。
×:発泡体の表面を目視して確認し、表面粒子間の隙間が多い、または発泡体に収縮が発生している。
【0147】
<再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩密度および嵩発泡倍率の測定>
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩密度および嵩発泡倍率は、以下のようにして測定した。
(嵩密度の測定方法)
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を試料としてメスシリンダー内に自然落下させたのち、メスシリンダーの底をたたいて試料容積を一定にさせ、その容積と質量を測定し次式により算出した。
嵩密度(g/mL)=試料質量(g)/メスシリンダー中の試料容積(mL)
(嵩発泡倍率の測定方法)
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を試料としてメスシリンダー内に自然落下させたのち、メスシリンダーの底をたたいて試料容積を一定にさせ、その容積と質量を測定し次式により算出した。樹脂比重は、スチレン系樹脂の場合1.0とした。
嵩発泡倍率(倍)=メスシリンダー中の試料容積(mL)/試料質量(g)×樹脂比重
なお、嵩発泡倍率は、嵩密度の逆数として算出してもよい。
【0148】
<再生スチレン系樹脂発泡成形体の密度および発泡倍率の測定>
(密度の測定方法)
再生スチレン系樹脂発泡成形体の密度は、試験片の寸法と質量を有効数字3桁以上になるように測定し、次式により算出した。
密度(g/cm3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm3)
(発泡倍率の測定方法)
再生スチレン系樹脂発泡成形体の発泡倍率は、試験片の寸法と質量を有効数字3桁以上になるように測定し、次式により算出した。樹脂比重は、スチレン系樹脂の場合1.0とした。
発泡倍率(倍)=試験片体積(cm3)/試験片質量(g)×樹脂比重
【0149】
[実施例1]
魚箱として使用されていた発泡ポリスチレン系容器を粉砕した後、φ30mmの2軸押出機に供給し、230℃にて溶解混錬して、穴径0.6mm、8穴の金型よりストランド状に押出した。その後、25℃の水温の冷却浴で冷却した後に、平均径0.8mm、長さ1.0mm毎に切断して、円柱状の再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を得た。得られた再生スチレン系樹脂原料粒子(a)のスチレン換算での質量平均分子量Mwは19万、Mzは37万、Mz+1は63万であった。
次に、撹拌機付き耐圧重合容器に、水2000質量部、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)1600質量部、ピロリン酸マグネシウム6質量部、及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム0.3質量部を供給し、撹拌しつつ70℃に加熱して、分散液を作成した。
続いて、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.06質量部を、スチレンモノマー400質量部に溶解させ、このスチレンモノマー溶液をすべて上記の分散液中に撹拌しながら供給した。供給後30分経過した後に、90℃に昇温して3時間重合を行い、さらに125℃に加熱して2時間保持し、重合を行い、再生スチレン系樹脂粒子(A1)を得た。
続いて、再度90℃に保ったまま容器内にブタン160質量部を圧入して6時間維持し、再生スチレン系樹脂粒子(A1)にブタンを含浸させた後、30℃に冷却し、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子の表面に、帯電防止剤としてポリエチレングリコールを塗布した後、再生発泡性スチレン系樹脂粒子の表面にステアリン酸亜鉛及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを塗布した。なお、ステアリン酸亜鉛及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドはそれぞれ、再生発泡性スチレン系樹脂粒子中、0.05質量%となるように調整した。その後、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を13℃の恒温室にて5日間に亘って放置した。放置後の再生発泡性スチレン系樹脂粒子(1)中のブタン含有量をガスクロマトグラフにて測定したところ、5.1質量%であった。
その後、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(1)を、円筒型バッチ式加圧発泡機に投入し、蒸気により2分間加熱して、嵩密度0.0167g/cm3に予備発泡させ、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(1)を得た。この再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(1)を20℃で24時間に亘って熟成させた。
次に、得られた再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(1)を室温雰囲気下で24時間放置後、キャビティのサイズ:幅300mm、長さ400mm、厚み30mmの成形型を有する成形機を用い、成形型のキャビティ内に再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(1)を充填し、0.08MPa(ゲージ圧)の蒸気圧で30秒間加熱し、次いで、成形型内圧力が0.03MPaになるまで冷却した後、成形型から離型し、成形型に対応する板状の再生スチレン系樹脂発泡成形体(1)を得た。得られた再生スチレン系樹脂発泡成形体(1)のMwは26万、Mzは52万、Mz+1は390万であった。この再生スチレン系樹脂発泡成形体(1)を50℃の乾燥室で6時間に亘って熟成した後、密度を測定したところ、0.0167g/cm3であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(1)は、収縮もなく外観性は〇であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(1)の平均最大曲げ強度は0.35MPaであった。
結果を表1に示した。
【0150】
[実施例2]
t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.06質量部を、スチレンモノマー400質量部に溶解させる代わりに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.0質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.06質量部をスチレンモノマー400質量部に溶解させた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(2)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(2)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(2)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(2)のMwは28万、Mzは57万、Mz+1は470万であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(2)は、収縮もなく外観性は〇であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(2)の平均最大曲げ強度は0.36MPaであった。
結果を表1に示した。
【0151】
[実施例3]
t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.06質量部を、スチレンモノマー400質量部に溶解させる代わりに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.8質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.12質量部をスチレンモノマー400質量部に溶解させた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(3)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(3)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(3)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(3)のMwは28万、Mzは59万、Mz+1は650万であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(3)は、収縮もなく外観性は〇であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(3)の平均最大曲げ強度は0.37MPaであった。
結果を表1に示した。
【0152】
[実施例4]
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の量を1000質量部に変更し、さらに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.06質量部を、スチレンモノマー400質量部に溶解させる代わりに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート3.0質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート1.0質量部、ジビニルベンゼン0.15質量部を、スチレンモノマー1000質量部に溶解させた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(4)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(4)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(4)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(4)のMwは28万、Mzは67万、Mz+1は730万であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(4)は、収縮もなく外観性は〇であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(4)の平均最大曲げ強度は0.37MPaであった。
結果を表1に示した。
【0153】
[実施例5]
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の量を1000質量部に変更し、さらに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.06質量部を、スチレンモノマー400質量部に溶解させる代わりに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート3.0質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート1.0質量部、ジビニルベンゼン0.3質量部を、スチレンモノマー1000質量部に溶解させた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(5)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(5)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(5)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(5)のMwは29万、Mzは70万、Mz+1は890万であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(5)は、収縮もなく外観性は〇であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(5)の平均最大曲げ強度は0.37MPaであった。
結果を表1に示した。
【0154】
[実施例6]
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の量を1800質量部に変更し、さらに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.06質量部を、スチレンモノマー400質量部に溶解させる代わりに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.3質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.2質量部、ジビニルベンゼン0.06質量部を、スチレンモノマー200質量部に溶解させた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(6)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(6)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(6)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(6)のMwは20万、Mzは48万、Mz+1は285万であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(6)は、収縮もなく外観性は〇であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(5)の平均最大曲げ強度は0.35MPaであった。
結果を表1に示した。
【0155】
[実施例7]
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の量を1900質量部に変更し、さらに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.06質量部を、スチレンモノマー400質量部に溶解させる代わりに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.15質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.1質量部、ジビニルベンゼン0.03質量部を、スチレンモノマー100質量部に溶解させた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(7)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(7)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(7)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(7)のMwは20万、Mzは42万、Mz+1は205万であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(7)は、収縮もなく外観性は〇であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(7)の平均最大曲げ強度は0.34MPaであった。
結果を表1に示した。
【0156】
[実施例8]
t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2質量部の代わりにt-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2質量部を用いた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(8)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(8)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(8)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(8)のMwは22万、Mzは59万、Mz+1は505万であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(8)は、収縮もなく外観性は〇であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(8)の平均最大曲げ強度は0.37MPaであった。
結果を表1に示した。
【0157】
[実施例9]
t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2質量部の代わりに2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパ-オキシ)ヘキサン1.2質量部を用いた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(9)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(9)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(9)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(9)のMwは22万、Mzは54万、Mz+1は355万であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(9)は、収縮もなく外観性は〇であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(9)の平均最大曲げ強度は0.37MPaであった。
結果を表1に示した。
【0158】
[実施例10]
t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.06質量部を、スチレンモノマー400質量部に溶解させる代わりに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.4質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.12質量部をスチレンモノマー400質量部に溶解させた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(10)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(10)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(10)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(10)のMwは52万、Mzは394万、Mz+1は1065万であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(10)は、収縮もなく外観性は〇であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(10)の平均最大曲げ強度は0.36MPaであった。
【0159】
[実施例11]
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の量を1400質量部に変更し、さらに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.06質量部を、スチレンモノマー400質量部に溶解させる代わりに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.9質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.6質量部、ジビニルベンゼン0.18質量部を、スチレンモノマー600質量部に溶解させた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(11)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(11)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(11)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(11)のMwは70万、Mzは299万、Mz+1は610万であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(11)は、収縮もなく外観性は〇であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(11)の平均最大曲げ強度は0.36MPaであった。
【0160】
[比較例1]
t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.06質量部を、スチレンモノマー400質量部に溶解させる代わりに、過酸化ベンゾイル1.2質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.06質量部をスチレンモノマー400質量部に溶解させた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C1)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C1)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(C1)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(C1)のMwは22万、Mzは45万、Mz+1は105万であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(C1)は、収縮もなく外観性は〇であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(C1)の平均最大曲げ強度は0.31MPaであった。
結果を表1に示した。
【0161】
[比較例2]
ジビニルベンゼンを使用しなかった以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C2)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C2)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(C2)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(C2)のMwは21万、Mzは42万、Mz+1は81万であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(C2)は、収縮もなく外観性は〇であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(C2)の平均最大曲げ強度は0.30MPaであった。
結果を表1に示した。
【0162】
[比較例3]
ジビニルベンゼンの量を0.2質量部に変更した以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C3)を得たが、発泡性が低く、得られる発泡成形体の外観性は×であった
結果を表1に示した。
【0163】
[比較例4]
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の量を1960質量部に変更し、さらに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート1.2質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.4質量部、ジビニルベンゼン0.06質量部を、スチレンモノマー400質量部に溶解させる代わりに、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート0.12質量部、t-ブチルパーオキシベンゾエート0.04質量部、ジビニルベンゼン0.012質量部を、スチレンモノマー40質量部に溶解させた以外は、実施例1と同様に行い、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(C4)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C4)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(C4)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(C4)のMwは19万、Mzは35万、Mz+1は72万であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(C4)は、収縮もなく外観性は〇であった。再生スチレン系樹脂発泡成形体(C4)の平均最大曲げ強度は0.30MPaであった。
結果を表1に示した。
【0164】
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、住宅および自動車等に用いる断熱材、建築資材等に用いる保温材、魚箱および食品容器等の輸送用梱包材、緩衝材等に好適に用いられる。本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、より具体的には、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材、温水タンク用保温材、配管用保温材、ソーラーシステム用保温材、給湯器用保温材、食品および工業製品等の容器(例えば、魚箱などの食品容器、通い箱)、緩衝材、フロート、ブロック、魚および農産物等の梱包材、盛土材(盛土ブロックなど)、畳の芯材、クッションの芯材、コンクリートの骨材等に好適に用いられる。