(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139523
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】プリンタ装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/42 20060101AFI20241002BHJP
B41J 2/325 20060101ALI20241002BHJP
B41J 2/32 20060101ALI20241002BHJP
B41J 3/36 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B41J11/42
B41J2/325 A
B41J2/32 Z
B41J3/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050498
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹沢 房美
【テーマコード(参考)】
2C055
2C058
2C065
【Fターム(参考)】
2C055CC01
2C058AB11
2C058AC05
2C058AC06
2C058AD06
2C058AE04
2C058AE08
2C058AF31
2C058AF51
2C058AF54
2C058AF61
2C058GA03
2C058GH00
2C065AA01
2C065AB01
2C065AD02
2C065CZ06
2C065CZ12
2C065CZ17
2C065DA03
2C065DA26
(57)【要約】
【課題】印字後にフィードしたラベル用紙を、次の印字に備えてバックフィードした際のラベルとサーマルヘッドとの引っ掛かりを防止することが可能なプリンタ装置を提供する。
【解決手段】プリンタ装置は、印字後のラベル用紙を排紙する排紙口に接続されたアタッチメントの、排紙口からアタッチメントの排紙口までの距離を取得するアタッチメント情報取得部と、取得した距離に応じて、ラベル用紙をアタッチメントの排紙口から排出する際のフィード量を設定するフィード量設定部と、設定されたフィード量だけ、印字後のラベル用紙を排紙させる搬送制御部と、アタッチメントの排紙口から排紙された印字後のラベル用紙を、次の印字位置まで反転搬送させる際のバックフィード量を、プリンタ装置のヘッドアップ機能の有無に応じて設定するバックフィード量設定部と、設定されたバックフィード量だけ、ラベル用紙をバックフィードさせる搬送制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクリボンを加熱して印字用紙に印字を行う熱転写式のプリンタ装置、または、感熱型の印字用紙に印字を行う感熱式のプリンタ装置であって、
前記プリンタ装置で印字された印字用紙を排紙する排紙口に接続されたアタッチメントの、前記排紙口から当該アタッチメントの排紙口までの距離を取得するアタッチメント情報取得部と、
前記アタッチメント情報取得部が取得した前記距離に応じて、印字後の前記印字用紙を前記アタッチメントの排紙口から排出する際の、印字後の前記印字用紙のフィード量を設定するフィード量設定部と、
前記フィード量設定部が設定したフィード量だけ、印字後の前記印字用紙を排紙させるフィード制御部と、
前記アタッチメントの排紙口から排紙された前記印字用紙を、次の印字位置まで反転搬送させる際のバックフィード量を、前記プリンタ装置のヘッドアップ機能の有無に応じて設定するバックフィード量設定部と、
前記バックフィード量設定部が設定したバックフィード量だけ、前記印字用紙をバックフィードさせるバックフィード制御部と、を備える
プリンタ装置。
【請求項2】
前記フィード量設定部は、
印字ヘッドと前記プリンタ装置の排紙口との距離に、前記印字用紙が前記アタッチメントを通過する距離を加算した距離を、前記フィード量として設定する、
請求項1に記載のプリンタ装置。
【請求項3】
前記ヘッドアップ機能の有無に応じて、前記フィード量の微調量を設定する微調量設定部を、更に備える、
請求項2に記載のプリンタ装置。
【請求項4】
前記印字用紙は、台紙に、複数のラベルが所定の間隔で配置されたラベル用紙である、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のプリンタ装置。
【請求項5】
前記ヘッドアップ機能の有無に応じて、前記ラベル用紙における隣接するラベルの上流側端部の間隔、または隣接するラベルの下流側端部の間隔であるラベルピッチの最小値を設定する最小ラベルピッチ設定部を、更に備える、
請求項4に記載のプリンタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクリボンを加熱して印字用紙に印字を行う熱転写式や、感熱型の印字用紙に印字を行う感熱式のプリンタ装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
このような従来のプリンタ装置で印字を行う際には、ラベル用紙をバックフィードした際に、ラベル後端とサーマルヘッドとが引っ掛かることによって、ラベルの変形やめくれが発生するのを防止するために、印字後のラベル用紙を切断位置までフィードした場合に、ラベル後端がサーマルヘッドを超えないように、ラベル長に制限を設けるのが一般的であった。したがって、ラベル長が短いラベルに印字する場合や、排紙口に各種アタッチメントを装着した場合のように、印字後のラベル用紙のフィード距離が長くなる場合には、ラベル用紙をバックフィードした際に、ラベルとサーマルヘッドとの引っ掛かりが発生してしまうという課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、印字後にフィードしたラベル用紙を、次の印字に備えてバックフィードした際のラベルとサーマルヘッドとの引っ掛かりを防止することが可能なプリンタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態のプリンタ装置は、インクリボンを加熱して印字用紙に印字を行う熱転写式のプリンタ装置、または、感熱型の印字用紙に印字を行う感熱式のプリンタ装置であって、アタッチメント情報取得部と、フィード量設定部と、フィード制御部と、バックフィード量設定部と、バックフィード制御部と、を備える。アタッチメント情報取得部は、プリンタ装置で印字された印字用紙を排紙する排紙口に接続されたアタッチメントの、排紙口から当該アタッチメントの排紙口までの距離を取得する。フィード量設定部は、アタッチメント情報取得部が取得した距離に応じて、印字後の印字用紙をアタッチメントの排紙口から排出する際の、印字後の印字用紙のフィード量を設定する。フィード制御部は、フィード量設定部が設定したフィード量だけ、印字後の印字用紙を排紙させる。バックフィード量設定部は、アタッチメントの排紙口から排紙された印字用紙を、次の印字位置まで反転搬送させる際のバックフィード量を、プリンタ装置のヘッドアップ機能の有無に応じて設定する。バックフィード制御部は、バックフィード量設定部が設定したバックフィード量だけ、印字用紙をバックフィードさせる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態のプリンタ装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、プリンタ装置によって印字されるラベル用紙の構造の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態のプリンタ装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態のプリンタ装置が設定する各種パラメータを説明する図である。
【
図5】
図5は、実施形態のプリンタ装置が行うフィード量設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態のプリンタ装置が行うバックフィード量設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0008】
(プリンタ装置の概略構成)
図1を用いて、実施形態に係るプリンタ装置10の概略構成を説明する。
図1は、実施形態のプリンタ装置の概略構成の一例を示す図である。
【0009】
プリンタ装置10は、インクリボン22を加熱してラベル用紙12に配置されたラベル122(
図2参照)に印字を行う、いわゆるサーマル熱転写式プリンタである。プリンタ装置10は、ラベル用紙12をロール状に巻回したロール紙11からラベル用紙12を引き出しながら印字を行う。ラベル用紙12の構造について、詳しくは後述する(
図2参照)。なお、ラベル用紙12は、本開示における印字用紙の一例である。
【0010】
プリンタ装置10は、筐体20の内部に、搬送ローラ13と、ピンチローラ14と、プラテンローラ15と、サーマルヘッド23とを備える。
【0011】
搬送ローラ13は、駆動モータ131によって、反時計回りまたは時計回りに回転駆動される。
【0012】
ピンチローラ14は、搬送ローラ13との間にラベル用紙12を挟持する。ピンチローラ14は、搬送ローラ13の反時計回りの回転に連れ添って回転することによって、ロール紙11から引き出されたラベル用紙12を、矢印Cに沿って、排紙口27に向けて正転搬送する(フィード)。
【0013】
また、ピンチローラ14は、搬送ローラ13の時計回りの回転に連れ添って回転することによって、ラベル用紙12を、矢印Dに沿って、排紙口27から上流側に向けて逆転搬送する(バックフィード)。
【0014】
プラテンローラ15は、駆動モータ151によって反時計回りに回転駆動される。プラテンローラ15は、サーマルヘッド23との間に挟持したラベル用紙12を、矢印Cに沿って排紙口27に向けて搬送する。
【0015】
なお、プラテンローラ15は、サーマルヘッド23とプラテンローラ15とが当接した状態にある場合に、ラベル用紙12を搬送する。一方、搬送ローラ13とピンチローラ14は、サーマルヘッド23とプラテンローラ15とが当接していない場合に、ラベル用紙12を搬送する。
【0016】
サーマルヘッド23は、複数個の発熱体を整列させた構造を有し、印字パターンに対応する発熱体を発熱させることによって、サーマルヘッド23とプラテンローラ15とに挟持されたラベル用紙12に印字を行う。なお、サーマルヘッド23は、ソレノイド26の作用によって矢印Aの方向(Z軸正方向)に上昇する。また、サーマルヘッド23は、ソレノイド26の作用によって矢印Bの方向(Z軸負方向)に下降する。これによって、サーマルヘッド23とプラテンローラ15とが当接した状態(ヘッドダウン状態)と、サーマルヘッド23とプラテンローラ15とが非当接の状態(ヘッドアップ状態)とを切り替え可能とされている。なお、サーマルヘッド23は、本開示における印字ヘッドの一例である。
【0017】
なお、サーマルヘッド23とプラテンローラ15との間には、インクリボン22が挿通されている。インクリボン22は、未使用の状態では巻回されてリボンロール21を形成している。インクリボン22は、駆動モータ241によって時計回りに回転駆動される巻取軸24に巻き取られて、矢印Eの向きに移動する。インクリボン22に塗布されたインクは、熱したサーマルヘッド23によって溶融されて、ラベル用紙12に転写される。
【0018】
インクリボン22は、サーマルヘッド23の位置において、ラベル用紙12と接触した状態で搬送されて、巻取軸24に巻き取られる。しかし、ラベル用紙12に印字されない状態が長く続く場合にもインクリボン22は巻取軸24に巻き取られてしまうため、無駄が発生する。そのため、ラベル用紙12に印字されない状態が長く続く場合には、プリンタ装置10は、サーマルヘッド23をヘッドアップの状態として、サーマルヘッド23とプラテンローラ15とを非当接の状態とする。このとき、プリンタ装置10は、更に駆動モータ241を停止することによって、インクリボン22の搬送を停止させる。これによって、ラベル用紙12のみが搬送される状態となるため、インクリボン22の消費量を抑えることができる。即ち、ヘッドアップ機能を用いることによって、インクリボン22の消費量を抑えるリボンセーブが可能となる。
【0019】
印字が完了したラベル用紙12は、更にフィードされて、排紙口27から排出される。なお、印字が完了して排紙口27から排出されたラベル用紙12は、排紙口27の位置で手切りしてもよいし、プリンタ装置10によっては、排紙口27付近に設置されたカッターで、ラベル用紙12を切断してもよい。
【0020】
プリンタ装置10の排紙口27には、各種のアタッチメント30が装着される場合がある。アタッチメント30としては、例えば、印字されたラベル用紙12をカットするカッターユニットや、印字されたラベル用紙12からラベルを剥離させる剥離ユニット、印字されたラベル用紙12に埋め込まれている無線タグ(例えばRFIDタグ)に情報を書き込むRFIDモジュール等が存在する。
【0021】
(ラベル用紙の構造)
図2を用いて、ラベル用紙12の構造を説明する。
図2は、プリンタ装置によって印字されるラベル用紙の構造の一例を示す図である。
【0022】
ラベル用紙12は、台紙121に、同じサイズの複数のラベル122が所定の間隔で配置された構造を有する。なお、ラベル122は、裏面に粘着層が形成されて、剥離紙である台紙121に剥離可能に貼付されたものであってもよい。
【0023】
また、ラベル122は、内部に無線タグ(例えばRFIDタグ)を内蔵していてもよい。
【0024】
ラベル122の搬送方向に沿う長さは、
図2に示す通り、ラベル長Lである。
【0025】
搬送方向に対して隣接するラベル122間は、ラベル間ギャップGに相当する隙間を有する。
【0026】
そして、あるラベル122の下流側の端部と、それに隣接するラベル122の下流側の端部との距離は、ラベルピッチP(=L+G)に相当する値を有する。
【0027】
なお、プリンタ装置10における、サーマルヘッド23と排紙口27との距離は、
図2に示すサーマルヘッド-排紙口間距離Daである。また、プリンタ装置10にアタッチメント30が装着された際に、排紙口27とアタッチメント30の排紙口との距離は、
図2に示すアタッチメント延長距離Dbである。
【0028】
プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されていない場合、プリンタ装置10は、印字済のラベル用紙12の先端をフィードすることによって、少なくとも印字済のラベル122全体を、排紙口27から外側に露出させる必要がある。そのため、プリンタ装置10は、印字済のラベル用紙12を、ラベル長Lとサーマルヘッド-排紙口間距離Daに応じた量だけ、
図2のX軸正方向にフィードする。
【0029】
また、プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されている場合、プリンタ装置10は、印字済のラベル用紙12の先端をフィードすることによって、少なくとも印字済のラベル122全体を、アタッチメント30の排紙口から外側に露出させる必要があるそのため、プリンタ装置10は、印字済のラベル用紙12を、ラベル長Lとサーマルヘッド-排紙口間距離Daとアタッチメント延長距離Dbに応じた量だけ、
図2のX軸正方向にフィードする。
【0030】
(プリンタ装置の機能構成)
図3を用いて、実施形態に係るプリンタ装置10の機能構成を説明する。
図3は、実施形態のプリンタ装置の機能構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0031】
プリンタ装置10は、
図3に示すアタッチメント情報取得部41と、ヘッドアップ機能有無取得部42と、設定部44と、印字データ取得部45と、操作制御部46と、ジョブ管理部47と、コマンド解析部48と、エンジン制御部49とを備える。
【0032】
これらの機能部位は、いずれも、プリンタ装置10が備える不図示のCPUで動作する制御プログラムによって実現される。なお、これらの機能部位の一部または全ては、専用のハードウェアで実現されてもよい。
【0033】
アタッチメント情報取得部41は、プリンタ装置10の排紙口27にアタッチメント30が装着されているかを示す情報と、排紙口27にアタッチメント30が装着されている場合に、当該アタッチメント30のアタッチメント延長距離Dbとを取得する。
【0034】
具体的には、アタッチメント情報取得部41は、ユーザの指示によって、装着されているアタッチメント30を特定する情報を取得する。また、アタッチメント情報取得部41は、アタッチメント30が備える電気接点と、プリンタ装置10が備える電気接点とが接触することによって、装着されたアタッチメント30の種類を一意に特定してもよい。
【0035】
ヘッドアップ機能有無取得部42は、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えるかを示す情報を取得する。具体的には、ヘッドアップ機能有無取得部42は、プリンタ装置10が記憶している、自身が有する機能の一覧を示す不図示の機能マスタファイルの内容を参照することによって、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を有するかを判定する。
【0036】
設定部44は、プリンタ装置10を使用して印字を行う際に、ラベル用紙12の搬送に係る各種設定量を設定する。
【0037】
設定部44は、更に、フィード量設定部441と、バックフィード量設定部442と、最小ラベルピッチ設定部443と、微調量設定部444とを備える。
【0038】
フィード量設定部441は、アタッチメント情報取得部41が取得した距離に応じて、印字後のラベル用紙12をアタッチメント30の排紙口から排出する際の、印字後のラベル用紙12のフィード量を設定する。
【0039】
バックフィード量設定部442は、アタッチメント30の排紙口から排紙された印字後のラベル用紙12を、次の印字位置まで反転搬送させる際のバックフィード量を、プリンタ装置10のヘッドアップ機能の有無に応じて設定する。
【0040】
最小ラベルピッチ設定部443は、プリンタ装置10のヘッドアップ機能の有無に応じて、ラベル用紙12における隣接するラベル122の上流側端部の間隔、または隣接するラベル122の下流側端部の間隔であるラベルピッチPの最小値を設定する。
【0041】
微調量設定部444は、プリンタ装置10のヘッドアップ機能の有無に応じて、印字後のラベル用紙12のフィード量の微調量を設定する。具体的には、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備える場合、微調量設定部444は、印字後のラベル用紙12のフィード量およびバックフィード量の微調量Za(
図4参照)を設定する。一方、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えない場合、微調量設定部444は、印字後のラベル用紙12のフィード量およびバックフィード量の微調量Zb(
図4参照)を設定する。なお、フィード量の微調量とバックフィードの微調量とは異なる値に設定されてもよい。
【0042】
また、同じプリンタ装置10であっても、使用するラベル用紙12の材質等によって、プリンタ装置10が備える各種ローラとの摩擦力が異なる場合があるため、同じ搬送量を指示しても、ラベル用紙12の種類によって、実際に搬送される量に差が生じる場合がある。微調量Za,Zbは、このような搬送量のばらつきを抑えるための、一種のバイアス値である。微調量設定部444は、例えば、予めプリンタ装置10に記憶しておいた、ラベル用紙12の種類に応じた微調量の設定マップを参照することによって、微調量を設定してもよい。また、微調量の設定マップは、ヘッドアップ機能の有無とラベル用紙12の種類とに応じた微調量を記憶するものであってもよい。
【0043】
印字データ取得部45は、プリンタ装置10に印字させる印字データを取得する。具体的には、印字データ取得部45は、プリンタ装置10に接続されたパソコン等の外部機器から、印字データを取得する。
【0044】
操作制御部46は、プリンタ装置10に対する印字指示等の操作指示を取得する。
【0045】
ジョブ管理部47は、コマンド解析部48から取得したジョブを管理する。また、ジョブ管理部47は、エンジン制御部49に対して、印字に係る各種指示を出力する。
【0046】
コマンド解析部48は、プリンタ装置10に与えられたコマンドや印字データを解析する。また、コマンド解析部48は、コマンドの解析結果を、ジョブ管理部47およびエンジン制御部49に出力する。
【0047】
エンジン制御部49は、プリンタ装置10の各部(サーマルヘッド23、駆動モータ131,151,241(
図1参照))等を制御する。
【0048】
エンジン制御部49は、更に、搬送制御部491と、印字制御部492とを備える。
【0049】
搬送制御部491は、ラベル用紙12およびインクリボン22の搬送制御を行う。また、搬送制御部491は、印刷データに一定の連続する印字不要領域がある場合、サーマルヘッド23をヘッドアップして、インクリボン22の搬送を止めて、リボンセーブを行う。また、搬送制御部491は、プリンタ装置10に装着されたアタッチメント30の種類、およびプリンタ装置10のヘッドアップ機能の有無に応じて、印字後のラベル用紙12のフィードおよびバックフィードを行う。即ち、搬送制御部491は、フィード量設定部441が設定したフィード量だけ、印字後のラベル用紙12を排紙させる。また、搬送制御部491は、バックフィード量設定部442が設定したバックフィード量だけ、ラベル用紙12をバックフィードさせる。なお、搬送制御部491は、本開示におけるフィード制御部およびバックフィード制御部の一例である。
【0050】
印字制御部492は、コマンド解析部48から取得した印字データを描画する。
【0051】
(プリンタ装置の機能構成)
図4を用いて、プリンタ装置10が、ラベル用紙12のフィード量およびバックフィード量の設定に係る各種パラメータについて説明する。
図4は、実施形態のプリンタ装置が設定する各種パラメータを説明する図である。
【0052】
サーマルヘッド-排紙口間距離Daは、
図2で説明した通り、サーマルヘッド23と排紙口27との距離である。サーマルヘッド-排紙口間距離Daは、プリンタ装置10毎に一意に決定する値である。
【0053】
アタッチメント延長距離Dbは、
図2で説明した通り、排紙口27とアタッチメント30の排紙口との距離である。アタッチメント延長距離Dbは、アタッチメント30の種類毎の一意に決定する値である。
【0054】
微調量Zaは、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えている場合に設定される、フィード量およびバックフィード量の微調整量である。また、微調量Zbは、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えていない場合に設定される、フィード量およびバックフィード量の微調整量である。
【0055】
なお、微調量Za,Zbは、更に、ラベル用紙12の種類に応じて設定されてもよい。
【0056】
ラベル間ギャップGは、
図2で説明した通り、隣接するラベル122の間の距離である。フィードした印字済のラベル用紙12を手切りで切ったり、カッターユニットで切断したりする際には、ラベル間ギャップGの範囲内の位置で切断できるように、ラベル用紙12のフィード量が設定される。そして、ヘッドアップ機能の有無やラベル用紙12の種類によってフィード量が異なる場合には、前述した微調量Za,Zbを設定することによって、ヘッドアップ機能の有無やラベル用紙12の種類によらずに、適切な位置でラベル用紙12を切断することができる。
【0057】
最小ラベルピッチPaは、ヘッドアップ機能を備えている場合に設定される、印字可能なラベルピッチPの最小値である。また、最小ラベルピッチPbは、ヘッドアップ機能を備えていない場合に設定される、印字可能なラベルピッチPの最小値である。
【0058】
ここで、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えている場合、サーマルヘッド23をアップした状態でラベル用紙12のバックフィードを行えば、ラベル122とサーマルヘッド23とが引っ掛かるおそれがないため、最小ラベルピッチPaと最小ラベルピッチPbとの大小関係は、Pa>Pbとなる。
【0059】
このように、プリンタ装置10に応じた最小ラベルピッチPa,Pbを設定することによって、プリンタ装置10で印字することが可能なラベル用紙12を選定することができる。
【0060】
プリンタ装置10は、
図4に示すテーブルを予め記憶しており、前述した設定部44は、このテーブルを参照することによって、各種パラメータの設定を行う。
【0061】
(プリンタ装置が行うフィード量設定処理の流れ)
図5を用いて、プリンタ装置10が行うフィード量設定処理の流れを説明する。
図5は、実施形態のプリンタ装置が行うフィード量設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図4に示した最小ラベルピッチ以上のラベルピッチPを有するラベル用紙12がセットされたプリンタ装置10が、フィード量設定処理の対象となる。
【0062】
アタッチメント情報取得部41は、プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されているかを判定する(ステップS11)。プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されていると判定される(ステップS11:Yes)とステップS12に進む。一方、プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されていると判定されない(ステップS11:No)とステップS13に進む。
【0063】
ステップS11において、プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されていると判定されると、フィード量設定部441は、印字後のラベル用紙12のフィード量をDa+Dbに設定する(ステップS12)。その後、ステップS14に進む。なお、前述したように、Daは、サーマルヘッド-排紙口間距離であり、Dbは、アタッチメント延長距離である。
【0064】
一方、ステップS11において、プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されていると判定されないと、フィード量設定部441は、印字後のラベル用紙12のフィード量をDaに設定する(ステップS13)。その後、ステップS14に進む。
【0065】
ステップS12またはステップS13に続いて、ヘッドアップ機能有無取得部42は、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えているかを判定する(ステップS14)。プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えていると判定される(ステップS14:Yes)とステップS15に進む。一方、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えていると判定されない(ステップS14:No)とステップS16に進む。
【0066】
ステップS14において、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えていると判定されると、微調量設定部444は、フィード量の微調量をZaに設定する(ステップS15)。その後、プリンタ装置10は、フィード量設定処理を終了する。
【0067】
一方、ステップS14において、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えていると判定されないと、微調量設定部444は、フィード量の微調量をZbに設定する(ステップS16)。その後、プリンタ装置10は、フィード量設定処理を終了する。
【0068】
(プリンタ装置が行うバックフィード量設定処理の流れ)
図6を用いて、プリンタ装置10が行うバックフィード量設定処理の流れを説明する。
図6は、実施形態のプリンタ装置が行うバックフィード量設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、
図5においてフィード量設定処理を行った、ラベル用紙12がセットされたプリンタ装置10が、バックフィード量設定処理の対象となる。
【0069】
ヘッドアップ機能有無取得部42は、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えているかを判定する(ステップS21)。プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えていると判定される(ステップS21:Yes)とステップS22に進む。一方、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えていると判定されない(ステップS21:No)とステップS25に進む。
【0070】
ステップS21において、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えていると判定されると、アタッチメント情報取得部41は、プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されているかを判定する(ステップS22)。プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されていると判定される(ステップS22:Yes)とステップS23に進む。一方、プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されていると判定されない(ステップS22:No)とステップS24に進む。
【0071】
ステップS22において、プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されていると判定されると、バックフィード量設定部442は、ラベル用紙12のバックフィード量をDa+Db+Zaに設定する(ステップS23)。その後、プリンタ装置10は、バックフィード量設定処理を終了する。
【0072】
一方、ステップS22において、プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されていると判定されないと、バックフィード量設定部442は、ラベル用紙12のバックフィード量をDa+Zaに設定する(ステップS24)。その後、プリンタ装置10は、バックフィード量設定処理を終了する。
【0073】
ステップS21に戻り、ステップS21において、プリンタ装置10がヘッドアップ機能を備えていると判定されないと、アタッチメント情報取得部41は、プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されているかを判定する(ステップS25)。プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されていると判定される(ステップS25:Yes)とステップS26に進む。一方、プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されていると判定されない(ステップS25:No)とステップS27に進む。
【0074】
ステップS25において、プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されていると判定されると、バックフィード量設定部442は、ラベル用紙12のバックフィード量をDa+Db+Zbに設定する(ステップS26)。その後、プリンタ装置10は、バックフィード量設定処理を終了する。
【0075】
一方ステップS25において、プリンタ装置10にアタッチメント30が装着されていると判定されないと、バックフィード量設定部442は、ラベル用紙12のバックフィード量をDa+Zbに設定する(ステップS27)。その後、プリンタ装置10は、バックフィード量設定処理を終了する。
【0076】
なお、
図5と
図6では、フィード時の微調量とバックフィード時の微調量とを等しい値に設定するものとして説明したが、使用するラベル用紙12の種類等に応じて、フィード時の微調量とバックフィード時の微調量とを異なる値に設定してもよい。
【0077】
プリンタ装置10は、
図5のフィード量設定処理と、
図6のバックフィード量設定処理とを終了した後で、印字指示を受けて必要な印字を実行する。印字の実行は、一般のプリンタ装置が行う処理と同じであるため、説明は省略する。
【0078】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、実施形態のプリンタ装置10は、インクリボン22を加熱してラベル用紙12(印字用紙)に印字を行う熱転写式のプリンタ装置、または、感熱型のラベル用紙12(印字用紙)に印字を行う感熱式のプリンタ装置であって、プリンタ装置10で印字されたラベル用紙12を排紙する排紙口27に接続されたアタッチメント30の、排紙口27からアタッチメント30の排紙口までの距離(アタッチメント延長距離Db)を取得するアタッチメント情報取得部41と、アタッチメント情報取得部41が取得したアタッチメント延長距離Dbに応じて、印字後のラベル用紙12をアタッチメント30の排紙口から排出する際の、印字後のラベル用紙12のフィード量を設定するフィード量設定部441と、フィード量設定部441が設定したフィード量だけ、印字後のラベル用紙12を排紙させる搬送制御部491(フィード制御部)と、アタッチメント30の排紙口から排紙されたラベル用紙12を、次の印字位置まで反転搬送させる際のバックフィード量を、プリンタ装置10のヘッドアップ機能の有無に応じて設定するバックフィード量設定部442と、バックフィード量設定部442が設定したバックフィード量だけ、ラベル用紙12をバックフィードさせる搬送制御部491(バックフィード制御部)と、を備える。したがって、プリンタ装置10のヘッドアップ機能の有無に応じて、適切なフィード量およびバックフィード量を設定することができるため、フィードしたラベル用紙12を、次の印字に備えてバックフィードした際のラベル122とサーマルヘッド23(印字ヘッド)との引っ掛かりを確実に防止することができる。
【0079】
また、実施形態のプリンタ装置10において、フィード量設定部441は、サーマルヘッド23(印字ヘッド)とプリンタ装置10の排紙口27との距離に、ラベル用紙12(印字用紙)がアタッチメント30を通過する距離を加算した距離を、フィード量として設定する。したがって、プリンタ装置10に装着されたアタッチメント30の種類に応じて、適切なフィード量を設定することができる。
【0080】
また、実施形態のプリンタ装置10は、ヘッドアップ機能の有無に応じて、フィード量の微調量Za,Zbを設定する微調量設定部444を、更に備える。したがって、プリンタ装置10のヘッドアップ機能に有無に応じて、正確なフィード量を実現することができる。
【0081】
また、実施形態のプリンタ装置10において、印字用紙は、台紙121に、複数のラベル122が所定の間隔で配置されたラベル用紙12である。したがって、台紙121に厚みを有するラベル122が貼付された印字用紙であっても、バックフィード時に、ラベル122とサーマルヘッド23との引っ掛かりを防止することができる。
【0082】
また、実施形態のプリンタ装置10は、ヘッドアップ機能の有無に応じて、ラベル用紙12(印字用紙)における隣接するラベル122の上流側端部の間隔、または隣接するラベル122の下流側端部の間隔であるラベルピッチの最小値を設定する最小ラベルピッチ設定部443を、更に備える。したがって、プリンタ装置10で印字することが可能なラベル用紙12を選定することができる。
【0083】
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例示であり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0084】
10 プリンタ装置
11 ロール紙
12 ラベル用紙(印字用紙)
121 台紙
122 ラベル
13 搬送ローラ
131 駆動モータ
14 ピンチローラ
15 プラテンローラ
151 駆動モータ
21 リボンロール
22 インクリボン
23 サーマルヘッド(印字ヘッド)
27 排紙口
30 アタッチメント
41 アタッチメント情報取得部
42 ヘッドアップ機能有無取得部
44 設定部
441 フィード量設定部
442 バックフィード量設定部
443 最小ラベルピッチ設定部
444 微調量設定部
45 印字データ取得部
46 操作制御部
47 ジョブ管理部
48 コマンド解析部
49 エンジン制御部
491 搬送制御部(フィード制御部、バックフィード制御部)
492 印字制御部
Da サーマルヘッド-排紙口間距離
Db アタッチメント延長距離
G ラベル間ギャップ
L ラベル長
P ラベルピッチ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0085】