(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139545
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】移動体手配システム及び移動体手配装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20241002BHJP
G06Q 50/50 20240101ALI20241002BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q50/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050532
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山中 規次
(72)【発明者】
【氏名】矢内 勝
(72)【発明者】
【氏名】大竹 一昭
(72)【発明者】
【氏名】村松 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 誠
(72)【発明者】
【氏名】小島 崇
(72)【発明者】
【氏名】小林 航生
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC35
5L049CC46
5L050CC35
5L050CC46
(57)【要約】
【課題】災害等により通信ネットワークが断絶してしまった場合であってもデータを用いたサービスの提供を可能にする。
【解決手段】移動体手配システム(1)は、データを保持するデータ保持装置と上記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する異常取得部(11)と、異常取得部(11)が上記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、上記通信ネットワークを介することなく上記データを上記サービス提供装置まで移動させる移動体を、上記データ保持装置の所在地及び上記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う手配部(12)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを保持するデータ保持装置と前記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する異常取得手段と、
前記異常取得手段が前記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、前記通信ネットワークを介することなく前記データを前記サービス提供装置まで移動させる移動体を、前記データ保持装置の所在地及び前記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う手配手段と、
を備える移動体手配システム。
【請求項2】
前記手配手段は、前記データ保持装置を前記サービス提供装置の所在地まで移送可能な前記移動体を手配する、
請求項1に記載の移動体手配システム。
【請求項3】
前記手配手段は、異常が検知された前記通信ネットワークとは異なる代替の通信手法により前記データを前記サービス提供装置へ送信可能な通信機器を搭載した前記移動体を、前記データの保管場所まで移動させる手配を行う、
請求項1に記載の移動体手配システム。
【請求項4】
前記データ保持装置と前記サービス提供装置との間で前記データの遣り取りを仲介する仲介手段、を更に備え、
前記仲介手段は、前記データの保管場所を示す所在情報を取得し、
前記手配手段は、前記仲介手段が取得した所在情報の示す場所への前記移動体の移動を手配する、
請求項1又は2に記載の移動体手配システム。
【請求項5】
複数の前記サービスの中から、提供が求められているサービスを特定するサービス特定手段、を更に備え、
前記手配手段は、サービスと当該サービスで用いるデータとの対応関係を記憶する記憶装置を参照して、前記サービス特定手段が特定したサービスの提供に必要なデータを特定し、
特定したデータの保管場所への前記移動体の移動を手配する、
請求項1又は2に記載の移動体手配システム。
【請求項6】
前記手配手段は、前記通信ネットワークにおいて異常が検知された区間の一端から他端へ前記データを移動させる前記移動体を手配する、
請求項1又は2に記載の移動体手配システム。
【請求項7】
前記サービス特定手段は、所定のエリアに存在するユーザを特定し、ユーザと当該ユーザが必要とするサービスとの対応関係を記憶する記憶装置を参照して、特定したユーザに対応付けられたサービスを特定する、
請求項5に記載の移動体手配システム。
【請求項8】
前記サービス特定手段は、発生した事象の種別を示す情報を取得し、事象とサービスとの対応関係を記憶する記憶装置を参照して、取得した情報の示す事象の種別に対応するサービスを特定する、
請求項5に記載の移動体手配システム。
【請求項9】
前記サービス特定手段は、所定のエリアに存在するユーザの数に応じて前記サービスを特定する、
請求項5に記載の移動体手配システム。
【請求項10】
データを保持するデータ保持装置と前記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する異常取得手段と、
前記異常取得手段が前記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、前記通信ネットワークを介することなく前記データを前記サービス提供装置まで移動させる移動体を、前記データ保持装置の所在地及び前記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う手配手段と、
を備える移動体手配装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを用いたサービスの提供を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
災害等による通信ネットワークの障害の対策を行うための技術が提案されている。例えば特許文献1には、ネットワーク上での障害発生箇所の切り分けを自動的に行う技術として、ネットワーク上で障害の発生原因となり得る要素が予め分類され、分類された要素に対して通信の異常を示す事象が対応付けられたテーブルを参照して、ネットワークの障害発生原因となる要素を判定する技術が開示されている。また、特許文献2には、キャンピングカー等の移動体を活用して災害発生時にボランティア活動を安全、かつ、スピーディに進めると共に、被災害者に対する救護を敏速に行える災害支援システムとして、状況収集センタと災害支援情報提供サイト等が互いに情報を共有し、災害支援情報提供サイトが指揮車両と、軽トラックとを、一組で災害現場に向かわせるシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-167347号公報
【特許文献2】特開2022-161599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術においては、災害等で通信ネットワークが断絶してしまった場合、必要なデータがデータプロバイダからサービスを提供する装置まで届かなくなってしまい、サービスを提供できなくなってしまうという問題がある。特許文献1及び2に記載の技術においても同様である。
【0005】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、災害等により通信ネットワークが断絶してしまった場合であってもデータを用いたサービスの提供を可能にする技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る移動体手配システムは、データを保持するデータ保持装置と前記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する異常取得手段と、前記異常取得手段が前記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、前記通信ネットワークを介することなく前記データを前記サービス提供装置まで移動させる移動体を、前記データ保持装置の所在地及び前記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う手配手段と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る移動体手配装置は、データを保持するデータ保持装置と前記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する異常取得手段と、前記異常取得手段が前記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、前記通信ネットワークを介することなく前記データを前記サービス提供装置まで移動させる移動体を、前記データ保持装置の所在地及び前記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う手配手段と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る移動体手配方法は、少なくとも1つのプロセッサが、データを保持するデータ保持装置と前記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得することと、前記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、前記通信ネットワークを介することなく前記データを前記サービス提供装置まで移動させる移動体を、前記データ保持装置の所在地及び前記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行うことと、を含む。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、データを保持するデータ保持装置と前記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する異常取得処理と、前記異常取得処理において前記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、前記通信ネットワークを介することなく前記データを前記サービス提供装置まで移動させる移動体を、前記データ保持装置の所在地及び前記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う手配処理と、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、災害等により通信ネットワークが断絶してしまった場合であってもデータを用いたサービスの提供を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的実施形態1に係る移動体手配システム及び移動体手配装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】例示的実施形態1に係る移動体手配方法の流れを示すフロー図である。
【
図3】例示的実施形態2に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】例示的実施形態2に係る移動体手配処理の流れを示すフロー図である。
【
図5】管理装置が出力する手配情報の一例を示す図である。
【
図6】例示的実施形態3に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図7】各例示的実施形態に係る各装置として機能するコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0013】
(移動体手配システムの構成)
本例示的実施形態に係る移動体手配システム1の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本例示的実施形態に係る移動体手配システム1及び移動体手配装置2の構成を示すブロック図である。移動体手配システム1は、異常取得部11及び手配部12を備える。
【0014】
異常取得部11は、データを保持するデータ保持装置と上記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する。手配部12は、異常取得部11が上記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、上記通信ネットワークを介することなく上記データを上記サービス提供装置まで移動させる移動体を、上記データ保持装置の所在地及び上記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う。
【0015】
以上のように、本例示的実施形態に係る移動体手配システム1においては、データを保持するデータ保持装置と上記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する異常取得部11と、異常取得部11が上記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、上記通信ネットワークを介することなく上記データを上記サービス提供装置まで移動させる移動体を、上記データ保持装置の所在地及び上記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う手配部12とを備える構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る移動体手配システム1によれば、災害等により通信ネットワークが断絶してしまった場合であってもデータを用いたサービスの提供を可能にすることができるという効果が得られる。
【0016】
(移動体手配装置の構成)
本例示的実施形態に係る移動体手配装置2の構成について、
図1を参照して説明する。移動体手配装置2は、異常取得部21及び手配部22を備える。異常取得部21は、データを保持するデータ保持装置と上記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する。手配部22は、異常取得部21が上記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、上記通信ネットワークを介することなく上記データを上記サービス提供装置まで移動させる移動体を、上記データ保持装置の所在地及び上記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う。
【0017】
以上のように、本例示的実施形態に係る移動体手配装置2においては、データを保持するデータ保持装置と上記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する異常取得部21と、異常取得部21が上記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、上記通信ネットワークを介することなく上記データを上記サービス提供装置まで移動させる移動体を、上記データ保持装置の所在地及び上記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う手配部22とを備える構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る移動体手配装置2によれば、災害等により通信ネットワークが断絶してしまった場合であってもデータを用いたサービスの提供を可能にすることができるという効果が得られる。
【0018】
(プログラム)
上述の移動体手配装置2の機能は、プログラムによって実現することもできる。本例示的実施形態に係るプログラムは、コンピュータに、データを保持するデータ保持装置と上記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する異常取得処理と、上記異常取得処理において上記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、上記通信ネットワークを介することなく上記データを上記サービス提供装置まで移動させる移動体を、上記データ保持装置の所在地及び上記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う手配処理とを実行させるためのプログラムである。このプログラムによれば、災害等により通信ネットワークが断絶してしまった場合であってもデータを用いたサービスの提供を可能にすることができるという効果が得られる。
【0019】
(移動体手配方法の流れ)
本例示的実施形態に係る移動体手配方法S1の流れについて、
図2を参照して説明する。
図2は、移動体手配方法S1の流れを示すフロー図である。なお、移動体手配方法S1における各ステップの実行主体は、移動体手配装置2が備えるプロセッサであってもよいし、他の装置が備えるプロセッサであってもよい。
【0020】
S11では、少なくとも1つのプロセッサが、データを保持するデータ保持装置と上記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する。S12では、少なくとも1つのプロセッサが、上記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、上記通信ネットワークを介することなく上記データを上記サービス提供装置まで移動させる移動体を、上記データ保持装置の所在地及び上記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う。
【0021】
以上のように、本例示的実施形態に係る移動体手配方法S1は、少なくとも1つのプロセッサが、データを保持するデータ保持装置と上記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得することと、上記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、上記通信ネットワークを介することなく上記データを上記サービス提供装置まで移動させる移動体を、上記データ保持装置の所在地及び上記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行うことと、を含む構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る移動体手配方法S1によれば、災害等により通信ネットワークが断絶してしまった場合であってもデータを用いたサービスの提供を可能にすることができるという効果が得られる。
【0022】
〔例示的実施形態2〕
本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を繰り返さない。
【0023】
<情報処理システムの構成>
図3は、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Aの構成を示すブロック図である。情報処理システム1Aは、災害等で通信ネットワークが断絶してしまった場合に、サービスの提供に必要なデータをサービス提供装置の所在地まで移送するためのシステムである。情報処理システム1Aのユースケースとしては、例えば地震等の災害が発生した場合、又は、野外フェス等のイベントにおいて通信障害が発生した場合等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
情報処理システム1Aは、データ連携基盤10A、管理装置20A、サービス提供装置30A-1、30A-2、データ保持装置40A-1、40A-2、40A-3、を備える。これらの装置は通信ネットワークNに接続される。通信ネットワークNは一例として、無線LAN(Local Area Network)、有線LAN、WAN(Wide Area Network)、公衆回線網、モバイルデータ通信網、又は、これらの組み合わせである。データ連携基盤10A及び管理装置20Aは、本明細書に係る移動体手配システム及び移動体手配装置の一例である。
【0025】
サービス提供装置30A-1、30A-2が備える機能は、例えば専用のコンピュータシステムにより実装されてもよいし、パーソナルコンピュータなどの汎用のコンピュータシステムにおいてアプリケーションソフトウェアとして実装されてもよい。また、サービス提供装置30A-1、30A-2が備える機能が、通信ネットワークNを介して接続された複数のコンピュータに分散して実装されてもよい。換言すると、通信ネットワークNを介して接続された複数の装置が協働することにより、サービス提供装置30Aが実現される構成であってもよい。データ保持装置40A-1、40A-2、40A-3、データ連携基盤10A、及び管理装置20Aについても同様であり、各装置が備える機能は、例えば専用のコンピュータシステムにより実装されてもよいし、パーソナルコンピュータなどの汎用のコンピュータシステムにおいてアプリケーションソフトウェアとして実装されてもよい。また、各装置が備える機能が、通信ネットワークを介して接続された複数のコンピュータに分散して実装されてもよい。
【0026】
(サービス提供装置)
サービス提供装置30A-1、30A-2は、ユーザにサービスを提供するための装置である。
図3では、情報処理システム1Aが2つのサービス提供装置30A-1、30A-2を含む例を図示しているが、サービス提供装置の数はこれより多くても少なくてもよい。以下では、サービス提供装置30A-1、30A-2を各々区別する必要がない場合には、これらを「サービス提供装置30A」と称する。
【0027】
サービス提供装置30Aが提供するサービスとしては、例えば、医療、行政手続、物流、交通、防災、災害対策、社会福祉、教育、金融、環境保全等に関するサービスが挙げられるが、これらに限定されない。医療に関するサービスとしては、例えばオンライン診察が挙げられる。また、交通に関するサービスとしては、例えば現在地から自宅又は最寄りの避難所等までの避難経路を検索するサービスが挙げられる。災害対策に関するサービスとしては、例えば各ユーザの位置(どの避難所にいるか、等)を親族等に通知するサービスが挙げられる。
【0028】
(データ保持装置)
データ保持装置40A-1、40A-2、40A-3はそれぞれ、サービス提供装置30Aによるサービスの提供のために用いられるデータを保持する装置であり、例えばデータプロバイダが管理する装置である。
図3では、情報処理システム1Aが3つのデータ保持装置40A-1、40A-2、40A-3を含む例を図示しているが、データ保持装置の数はこれより多くても少なくてもよい。以下では、データ保持装置40A-1、40A-2、40A-3を各々区別する必要がない場合には、これらを「データ保持装置40A」と称する。
【0029】
サービスに用いられるデータは、データ格納部41A-1、41A-2、41A-3に記憶される。以下では、データ格納部41A-1、41A-2、41A-3を各々区別する必要がない場合には、これらを「データ格納部41A」と称する。データ格納部41Aは、データを記憶する記憶媒体であり、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせである。また、データ格納部41Aは、例えばCD-ROM(Compact Disc ROM)であってもよい。データ格納部41Aは、本明細書に係るデータ保持装置の一例である。
【0030】
データ格納部41Aに記憶されるデータとしては例えば、各個人のカルテ情報(診察履歴、通院履歴、等を含む)、天候に関する情報、河川の氾濫に関する情報、交通に関する情報(交通規制情報、渋滞情報、等を含む)、住所等の個人情報、災害時における各ユーザの位置情報、物流に関するスケジュール情報、各個人の介護度、各個人の履修に関する情報、口座情報等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
(サービスとデータの具体例)
サービス提供装置30Aが提供するサービスがオンライン診察である場合、サービス提供装置30Aはデータ保持装置40Aからデータ連携基盤10Aを介して各個人のカルテ情報を受信し、受信したカルテ情報を用いてサービスを提供する。より具体的には、サービス提供装置30Aは例えば、診察を希望するユーザのカルテ情報をデータ保持装置40Aから受信し、受信したカルテ情報を、診察を行う医療従事者のユーザ端末に送信する。医療従事者はユーザ端末から出力される情報等に基づき上記ユーザを診察し、診察結果を上記ユーザに通知する。
【0032】
また、サービス提供装置30Aが提供するサービスが経路検索サービスである場合、サービス提供装置30Aはデータ保持装置40Aからデータ連携基盤10Aを介して検索対象である地域の交通に関する情報を受信し、受信した情報を用いてサービスを提供する。より具体的には、サービス提供装置30Aは例えば、経路の検索対象である地域の交通に関する情報をデータ保持装置40Aから受信し、受信した情報を用いて経路検索処理を実行し、検索結果をユーザ端末に送信する。ユーザはユーザ端末から出力される情報を確認することにより経路の検索結果を把握することができる。
【0033】
また、サービス提供装置30Aが提供するサービスがユーザの位置を通知するサービスである場合、サービス提供装置30Aはデータ保持装置40Aからデータ連携基盤10Aを介して各個人の位置情報を受信し、受信した位置情報をサービスの提供を所望するユーザのユーザ端末に送信する。ユーザは、ユーザ端末から出力される情報を確認することで、親族等他のユーザの位置(どの避難所にいるか、等)を把握することができる。
【0034】
また、サービス提供装置30Aが提供するサービスがオンライン教育サービスである場合、サービス提供装置30Aは例えば、データ保持装置40Aからデータ連携基盤10Aを介して受講者が所望する講義に関するデータ(教材、動画、等)を用いてサービスを提供する。より具体的には、サービス提供装置30Aは例えば、講座に関するデータをデータ保持装置40Aから受信し、受信したデータを受講者が所持するユーザ端末に送信する。受講者はユーザ端末から出力される情報を用いて講義を受講する。
【0035】
(データ連携基盤)
データ連携基盤10Aは、サービス提供装置30Aとデータ保持装置40Aとの間で、サービスの提供に必要なデータを仲介する役割を担う装置である。なお、本例示的実施形態では、サービス提供装置30Aとデータ保持装置40Aとはデータ連携基盤10Aを介してデータを遣り取りするが、これに限られず、サービス提供装置30Aとデータ保持装置40Aとがデータ連携基盤10Aを介さずに直接データの遣り取りを行ってもよい。この場合、データ連携基盤10Aは情報処理システム1Aに含まれていなくてもよい。データ連携基盤10Aは、仲介部11A及び通信部12Aを備える。また、データ連携基盤10Aは、データ所在情報格納部51Aを備える。
【0036】
(仲介部)
仲介部11Aは、データ保持装置40Aとサービス提供装置30Aとの間でのデータの遣り取りを仲介する。また、仲介部11Aは、データの保管場所を示す所在情報を取得する。仲介部11Aは一例として、データ所在情報格納部51Aから所在情報を読み出すことにより、所在情報を取得する。
【0037】
データの保管場所を示す所在情報は、データを記憶するデータ格納部41Aの所在を示す情報である。ここで、所在情報は、IPアドレス等の通信で用いられる情報だけではなく、データ保持装置40Aの実空間における位置を示す情報である。所在情報は例えば、データ保持装置40Aが設置された施設の住所及び/又は名称を示す情報、データ保持装置40Aが設置された施設の緯度及び経度を示す情報を含む。また、所在情報は例えば、所定の基準位置からの距離及び当該基準位置に対する方向を示す情報を含んでいてもよい。
【0038】
(通信部)
通信部12Aは、データ連携基盤10Aの外部の装置と通信ネットワークNを介して通信する。通信部12Aは例えば、仲介部11Aから供給されたデータを他の装置に送信したり、他の装置から受信したデータを仲介部11Aに供給したりする。
【0039】
(データ所在情報格納部)
データ所在情報格納部51Aは、サービスに用いられるデータの保管場所を示す所在情報を記憶する。データ所在情報格納部51Aは一例として、データを識別する識別情報と当該データの保管場所を示す所在情報とを対応付けて記憶するテーブルである。
【0040】
(管理装置)
管理装置20Aは、災害等で通信ネットワークNが断絶してしまった場合に、サービスの提供に必要なデータをサービス提供装置30Aまで移動させる移動体を手配する機能を有する。管理装置20Aは、異常取得部21A、サービス特定部22A、手配部23A、通信部24A、及び入出力部25Aを備える。また、管理装置20Aは、サービス所在情報格納部52A、及び対応関係格納部53Aを備える。異常取得部21A、サービス特定部22A、手配部23A、及び仲介部11Aはそれぞれ、本明細書に係る異常取得手段、サービス特定手段、手配手段、及び仲介手段の一例である。
【0041】
図3では、データ連携基盤10Aがデータ所在情報格納部51Aを含み、管理装置20Aがサービス所在情報格納部52A及び対応関係格納部53Aを含む構成例を図示しているが、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Aの構成は
図3に示す例に限定されない。例えば、データ所在情報格納部51Aがデータ連携基盤10A以外の装置、例えば管理装置20Bに設けられていてもよく、また、サービス所在情報格納部52A及び対応関係格納部53Aの少なくともいずれかが、管理装置20A以外の他の装置、例えばデータ連携基盤10Aに設けられていてもよい。
【0042】
(異常取得部)
異常取得部21Aは、データを保持するデータ保持装置40Aと上記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置30Aとの間を繋ぐ通信ネットワークNの異常の検知結果を取得する。ここで、異常取得部21Aは、通信ネットワークNの異常の検知結果を、通信ネットワークNの異常を検知する機能を備える他の装置から受信することにより取得してもよいし、また、自装置が備える機能により異常を検知してもよい。具体的には、異常取得部21Aは例えば、通信ネットワークNを介して所定の機器に対し定期的に所定のコマンドを送信し、応答があるかを確認することにより、通信ネットワークNの異常を検知してもよい。この場合、異常取得部21Aは応答を受信した場合は正常であると判別し、所定期間内に応答を受信できなかった場合は異常が発生したと判別する。
【0043】
また、他の例として、サービス提供装置30Aとデータ保持装置40Aとのデータの遣り取りを仲介する仲介部11Aが、サービス提供装置30Aとデータ保持装置40Aとの間のデータの遣り取りに異常が発生した場合に、その旨を異常取得部21Aに通知してもよい。この場合、異常取得部21Aは仲介部11Aからネットワークの異常の検知結果を取得する。
【0044】
(サービス特定部)
サービス特定部22Aは、複数のサービスの中から、提供が求められているサービスを特定する。サービス特定部22Aは、提供が求められているサービスとして1つのサービスを特定してもよいし、また、複数のサービスを特定してもよい。提供が求められているサービスとしては例えば、災害発生時において避難所に避難した避難者が求めるオンライン診察、薬の提供サービス、ユーザの現在地から最寄りの避難所までの経路検索サービス、親族がどの避難所にいるかを確認するサービス、等が挙げられるが、これらに限定されない。サービス特定部22Aがサービスを特定する手法の詳細については後述する。
【0045】
(手配部)
手配部23Aは、異常取得部21Aが通信ネットワークNの異常の検知結果を取得した場合、異常が検知された通信ネットワークNを介することなく上記データをデータ保持装置40Aからサービス提供装置30Aへ移動させる移動体を、データ格納部41Aの所在地及び上記異常が検知された通信ネットワークNの区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う。ここで、「データをサービス提供装置30Aへ移動させる」とは、(i)データを記憶するデータ格納部41Aを物理的にサービス提供装置30Aの所在地まで搬送すること、及び、(ii)異常が検知された通信ネットワークNを介することなくデータを衛星通信等の代替通信手段によりサービス提供装置30Aへ送信すること、を含む。
【0046】
(移動体)
移動体は、異常が発生した通信ネットワークNを介することなくデータをサービス提供装置30Aの所在地まで移送するものである。移動体は一例として、データ格納部41Aを物理的に搬送する車両、船舶、航空機、及びドローン、の少なくともいずれかひとつを含む。また、移動体は、異常が発生した通信ネットワークNを介することなくデータを衛星通信等の代替通信によりサービス提供装置30Aへ送信するための通信機器を搭載した移動体であってもよい。
【0047】
(データ移動の具体例(i):輸送によるデータ移動)
移動体がデータ格納部41Aを物理的にサービス提供装置30Aの所在地まで搬送するものである場合、手配部23Aは、データ格納部41Aをサービス提供装置30Aの所在地まで移送可能な移動体を手配する。この場合、手配部23Aは一例として、移動体の移動元(データ格納部41Aの所在地)と移動先(サービス提供装置30Aの所在地)を示す情報を、入出力部25Aを介して接続された出力装置(ディスプレイ、プリンタ、等)に出力することにより移動体を手配する。また、手配部23Aは、通信ネットワークNを介して接続された他の装置(例えば、所定のユーザのユーザ端末)に上記情報を送信することにより移動体を手配してもよい。
【0048】
また、手配部23Aは、データをデータ格納部41Aの所在地からサービス提供装置30Aの所在地まで移動させる移動体を手配するのではなく、通信ネットワークNにおいて異常が検知された区間の一端から他端へ上記データを移動させる上記移動体を手配してもよい。この場合、手配部23Aは一例として、通信ネットワークNにおいて異常が検知された区間に対応する実空間の領域を所定のデータベース等を参照して特定し、特定した領域の第1の端部から第2の端部へデータ格納部41Aを搬送する移動体を手配する。
【0049】
(データ移動の具体例(ii):代替通信によるデータ移動)
また、移動体が代替通信によりデータを移動させるものである場合、手配部23Aは、異常が検知された前記通信ネットワークとは異なる代替の通信手法により上記データをサービス提供装置30Aへ送信可能な通信機器を搭載した移動体を、上記データの保管場所及び上記異常が検知された通信ネットワークNの区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う。ここで、通信機器としては例えば、衛星通信により上記データをサービス提供装置30Aへ送信可能な衛星通信機器が挙げられる。本具体例の場合、手配部23Aは一例として、データ格納部41Aの所在地を示す情報を、入出力部25Aを介して接続された出力装置(ディスプレイ、プリンタ、等)に出力することにより移動体を手配する。また、手配部23Aは、通信ネットワークNを介して接続された他の装置(例えば、所定のユーザのユーザ端末)に上記情報を送信することにより移動体を手配してもよい。
【0050】
また、手配部23Aは、データ格納部41Aの所在地まで移動体を手配するのではなく、通信ネットワークNにおいて異常が検知された区間に対応する場所に移動体を移動する手配を行ってもよい。この場合、手配部23Aは一例として、通信ネットワークNにおいて異常が検知された区間に対応する場所を所定のデータベース等を参照して特定し、特定した場所まで移動体を移動させるための手配を行う。
【0051】
(通信部)
通信部24Aは、管理装置20Aの外部の装置と通信ネットワークを介して通信する。通信部24Aは例えば、手配部23Aから供給されたデータを他の装置に送信したり、他の装置から受信したデータを異常取得部21A又はサービス特定部22Aに供給したりする。
【0052】
(入出力部)
入出力部25Aには、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタ、タッチパネル等の入出力機器が接続される。入出力部25Aは、接続された入力機器から管理装置20Aに対する各種の情報の入力を受け付ける。また、入出力部25Aは、接続された出力機器に各種の情報を出力する。入出力部25Aとしては、例えばUSB(Universal Serial Bus)などのインタフェースが挙げられる。
【0053】
(サービス所在情報格納部)
サービス所在情報格納部52Aは、サービス提供装置30Aの所在を示す所在情報を記憶する。サービス所在情報格納部52Aは一例として、サービスを識別する識別情報と当該サービスを提供するサービス提供装置30Aの所在を示す所在情報とを対応付けて記憶するテーブルである。ここで、サービス提供装置30Aの所在を示す所在情報は、実空間における位置を示す情報(サービス提供装置30Aが設置された施設の住所又は名称を示す情報、施設の緯度及び経度を示す情報、等)であってもよく、また、IPアドレス等の通信ネットワーク上の識別情報であってもよい。
【0054】
(対応関係格納部)
対応関係格納部53Aは、サービスとサービスの提供に必要なデータとの対応関係を示す情報を格納する。対応関係格納部53Aは、本明細書に係る対応関係を記憶する記憶装置の一例である。対応関係を示す情報としては、例えばサービスを識別する識別情報とサービスの提供に必要なデータを識別する識別情報とを対応付けて記憶するテーブルが挙げられるが、これに限定されない。対応関係格納部53Aは、提供が求められているサービスに必要なデータの保管場所を手配部23Aが特定する際に参照される。
【0055】
<移動手配方法の流れ>
図4は、本例示的実施形態に係る移動体手配方法S1Aの流れの一例を示すフロー図である。
【0056】
(ステップS101:ネットワークの異常の検知)
ステップS101において、異常取得部21Aは、データ保持装置40Aとサービス提供装置30Aとの間を繋ぐ通信ネットワークNに異常が発生したかを判別する。異常が発生していない場合(ステップS101;NO)、異常取得部21AはステップS101の処理に戻り、異常が発生するまで待機する。一方、異常が発生した場合(ステップS101;YES)、異常取得部21AはステップS102の処理に進む。
【0057】
(ステップS102:サービスを特定)
ステップS102において、サービス特定部22Aは、複数のサービスの中から、提供が求められるサービスを特定する。サービス特定部22Aが実行するサービスの特定処理の具体例について説明する。
【0058】
(サービスの特定処理の具体例1)
サービス特定部22Aは例えば、災害等が発生した場合に、発生した事象(地震、台風、等)の種別を示す情報を取得し、事象とサービスとの対応関係を記憶する記憶装置を参照して、取得した情報の示す事象の種別に対応するサービスを特定してもよい。より具体的には例えば、サービス特定部22Aは、事象を識別する識別情報とサービスを識別情報とを対応付けて記憶するテーブルを参照し、発生した事象に対応付けられたサービスを特定してもよい。この場合、サービス特定部22Aが参照するテーブルは、管理装置20Aの記憶部に記憶されていてもよく、また、管理装置20A以外の装置に記憶されていてもよい。
【0059】
(サービスの特定処理の具体例2)
また、他の例として、サービス特定部22Aは例えば、所定のエリア(避難所、等)に存在するユーザの数に応じて上記サービスを特定してもよい。この場合、サービス特定部22Aは例えば、ユーザ数とサービスを識別情報とを対応付けて記憶するテーブルを参照し、所定のエリアに居るユーザの数に対応するサービスを特定してもよい。この場合、サービス特定部22Aが参照するテーブルは、管理装置20Aの記憶部に記憶されていてもよく、また、管理装置20A以外の装置に記憶されていてもよい。この例では、サービス特定部22Aは例えば、災害が発生した場合において、ある避難所のユーザの数が所定の閾値を超えた場合に、その避難所でオンライン診察の需要があると判別する。
【0060】
(サービスの特定処理の具体例3)
また、他の例として、サービス特定部22Aは、所定のエリア(避難所、等)に存在するユーザを特定し、ユーザと当該ユーザが必要とするサービスとの対応関係を記憶する記憶装置を参照して、特定したユーザに対応付けられたサービスを特定してもよい。より具体的には例えば、サービス特定部22Aは、ユーザを識別するユーザIDと各ユーザが必要とするサービスの種別を示す情報とを対応付けて記憶するテーブルを参照して、避難所に居るユーザに対応付けられたサービスを特定する。この場合、サービス特定部22Aが参照するテーブルは、管理装置20Aの記憶部に記憶されていてもよく、また、管理装置20A以外の装置に記憶されていてもよい。
【0061】
所定のエリアに居るユーザを認識する手法としては、例えば、避難所に設置したカメラで避難者の顔画像を撮影し、撮影した顔画像データに基づきユーザを識別する手法や、ユーザが所持する身分証明書(運転免許証、保険証、等)をスキャンして得られた画像データに基づきユーザを識別する手法、避難所に設置された入力装置を用いて避難者が入力した情報(氏名、住所、等)を所定のデータベースで照合することによりユーザを識別する手法、所定の安否登録システムに登録されたデータを参照することによりユーザを識別する手法、SNS(Social networking service)での発信情報を抽出することにより各避難所に避難しているユーザを識別する手法、等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
(ステップS103:データの保管場所を特定)
ステップS103において、手配部23Aは、複数のデータの保管場所の中から、サービス特定部22Aが特定したサービスの提供に必要なデータの保管場所を特定する。ステップS103において、手配部23Aはまず、対応関係格納部53Aを参照して、サービス特定部22Aが特定したサービスの提供に必要なデータを特定する。このとき、例えば避難所に居るユーザが特定されている場合等、サービスの提供を要するユーザが特定されている場合、手配部23Aは特定されたユーザの識別情報を用いて、サービス特定部22Aが特定したサービスに必要なデータのうち、特定されたユーザに対応するデータを特定してもよい。
【0063】
次いで、手配部23Aは、特定したデータの保管場所を仲介部11Aに問い合わせる。この問い合わせには、例えば手配部23Aが特定したデータを識別する識別情報が含まれる。仲介部11Aは手配部23Aからの問い合わせに基づき、データ所在情報格納部51Aを参照して、受信した問い合わせに含まれる識別情報に対応するデータの所在情報をデータ所在情報格納部51Aから読み出し、読み出した所在情報を手配部23Aに送信する。
【0064】
例えば、サービス特定部22Aが特定したサービスがオンライン診察である場合、サービスに必要なデータは、オンライン診察で参照されるカルテ情報であり、データの保管場所は、カルテ情報を記憶するデータ保持装置40Aが設置されている場所である。
【0065】
(ステップS104:データの移送を手配)
ステップS104において、手配部23Aは、ステップS103で特定したデータの保管場所からサービス提供装置30Aへのデータの移送を手配する。より具体的には、手配部23Aは、仲介部11Aが取得した所在情報の示す場所への移動体の移動を手配する。また、手配部23Aは、サービス所在情報格納部52Aからサービス提供装置30Aの所在情報を読み出し、読み出した所在情報に基づき、データの保管場所からサービス提供装置30Aの所在地までの移動体の移動を手配する。
【0066】
手配部23Aは例えば、手配の内容を表す手配情報を入出力部25A又は通信部24Aを介して出力することにより、移動体の手配を行う。また、手配部23Aは例えば、ドローン等の移動体又は移動体の移動を制御する制御装置に、当該移動体を移動させるための制御信号を送信することにより、移動体の移動を手配してもよい。この場合、例えば制御装置は受信した制御信号に基づき移動体をデータの保管場所等まで移動させる制御を行う。
【0067】
移動体がデータ格納部41Aを物理的に搬送する場合、移動体が搬送したデータ格納部41Aは、例えばサービス提供装置30Aの入出力インタフェースに接続される。サービス提供装置30Aは、データ格納部41Aからデータを読み出し、読み出したデータを用いてサービスの提供を行う。これにより、通信ネットワークNに通信異常が発生した場合であっても、異常が発生した通信ネットワークNを介することなくサービス提供装置30Aはデータを用いたサービスを提供することができる。
【0068】
また、移動体が衛星通信機器を搭載したものである場合、例えば、データ格納部41Aの保管場所まで移動した移動体に搭載された衛星通信機器の入出力インタフェースに接続される。衛星通信機器はデータ格納部41Aからデータを読み出し、読み出したデータを衛星通信によりサービス提供装置30Aに送信する。サービス提供装置30Aは、衛星通信を介して受信されるデータを用いてサービスの提供を行う。これにより、通信ネットワークNに通信異常が発生した場合であっても、異常が発生した通信ネットワークNを介することなくサービス提供装置30Aはデータを用いたサービスを提供することができる。
【0069】
図5は、管理装置20Aが出力する手配情報の一例を示す図である。
図5の例では、手配の内容を表す情報として、移送元を示す情報、移送の対象物を示す情報、移送先を示す情報、が出力される。出力情報は、入出力部25Aを介して接続された出力装置(ディスプレイ、プリンタ、等)に出力されてもよいし、また、手配部23Aは、通信ネットワークNを介して接続された他の装置(例えば、所定のユーザのユーザ端末)に送信されることにより出力されてもよい。
【0070】
(本例示的実施形態の効果)
以上のように、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Aにおいては、管理装置20Aの手配部23Aが、データ格納部41Aをサービス提供装置30Aの所在地まで移送可能な移動体を手配する構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Aによれば、災害等により通信ネットワークが断絶してしまった場合であっても、データが格納されたデータ格納部41Aをサービス提供装置30Aの所在地まで物理的に移動させることができ、これによりデータを用いたサービスの提供を可能にすることができる。
【0071】
また、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Aにおいては、管理装置20Aの手配部23Aが、異常が検知された通信ネットワークNとは異なる代替の通信手法により上記データをサービス提供装置30Aへ送信可能な通信機器を搭載した移動体を、データの保管場所まで移動させる手配を行う構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Aによれば、災害等により通信ネットワークNが断絶してしまった場合であっても、データの保管場所まで移動させた移動体に搭載された通信機器を用いた代替通信により、データを用いたサービスの提供を可能にすることができる。
【0072】
また、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Aにおいては、データ連携基盤10Aがデータ保持装置40Aとサービス提供装置30Aとの間で上記データの遣り取りを仲介する仲介部11Aを備え、仲介部11Aは、データの保管場所を示す所在情報を取得し、手配部23Aは、仲介部11Aが取得した所在情報の示す場所への移動体の移動を手配する構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Aによれば、サービスの提供に必要なデータの保管場所へ、当該データを移動させる移動体を手配することができる。
【0073】
また、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Aにおいては、管理装置20Aは、複数のサービスの中から、提供が求められているサービスを特定するサービス特定部22Aを備え、手配部23Aは、対応関係格納部53Aを参照して、サービス特定部22Aが特定したサービスの提供に必要なデータを特定し、特定したデータの保管場所への移動体の移動を手配する構成が採用されている。サービスに用いられるデータの保管場所の数が多いほど移動体の数及び/又は移動距離が大きくなってしまうが、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Aによれば、移動体の数及び/又は移動距離が大きくなってしまうことを防ぐことができるとともに、提供が求められているサービスの提供を可能にすることができる。
【0074】
また、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Aにおいては、管理装置20Aの手配部23Aは、通信ネットワークNにおいて異常が検知された区間の一端から他端へデータを移動させる移動体を手配する構成が採用されている。通信ネットワークNの断絶区間のみデータを移動させることにより、移動体の数及び/又は移動距離が大きくなってしまうことを抑制できる。
【0075】
また、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Aにおいては、管理装置20Aのサービス特定部22Aが、所定のエリアに存在するユーザを特定し、ユーザと当該ユーザが必要とするサービスとの対応関係を記憶する記憶装置を参照して、特定したユーザに対応付けられたサービスを特定する構成が採用されている。これにより、例えば避難所に居るユーザ等の特定のユーザが所望するサービスの提供を、通信ネットワークNが断絶してしまった場合であっても可能にすることができる。
【0076】
また、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Aにおいては、管理装置20Aのサービス特定部22Aが、発生した事象の種別を示す情報を取得し、事象とサービスとの対応関係を記憶する記憶装置を参照して、取得した情報の示す事象の種別に対応するサービスを特定する構成が採用されている。これにより、地震又は台風等の災害が発生した場合に、その災害の発生により必要とされるサービスの提供を、通信ネットワークNが断絶してしまった場合であっても可能にすることができる。
【0077】
また、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Aにおいては、サービス特定部22Aが、所定のエリアに存在するユーザの数に応じてサービスを特定する構成が採用されている。これにより、例えば避難所等において必要とされるサービスの提供を、通信ネットワークNが断絶してしまった場合であっても可能にすることができる。
【0078】
〔例示的実施形態3〕
本発明の第3の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0079】
図6は、本例示的実施形態に係る情報処理システム1Bの構成を示すブロック図である。情報処理システム1Bにおいて、管理装置20Bは、上述の例示的実施形態に係る管理装置20Aが備える各部に加えて、所在情報取得部26Bを備える。所在情報取得部26Bは本明細書に係る仲介手段の一例である。所在情報取得部26Bは、データの保管場所を示す所在情報を、データ所在情報格納部51Aから取得する。
【0080】
本例示的実施形態では、仲介部11Aがデータの所在情報を取得するのではなく、所在情報取得部26Bがデータの所在情報を取得し、取得した所在情報を手配部23Aに供給する。本例示的実施形態においても、上述の例示的実施形態2と同様に、災害等により通信ネットワークが断絶してしまった場合であっても、データを用いたサービスの提供を可能にすることができる。
【0081】
〔ソフトウェアによる実現例〕
データ連携基盤10A、管理装置20A、管理装置20B、サービス提供装置30A、及びデータ保持装置40A(以下「データ連携基盤10A等」という)の一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0082】
後者の場合、データ連携基盤10A等は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を
図7に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCをデータ連携基盤10A等として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、データ連携基盤10A等の各機能が実現される。
【0083】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、量子プロセッサ、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0084】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0085】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0086】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0087】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
(付記1)
データを保持するデータ保持装置と前記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する異常取得手段と、前記異常取得手段が前記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、前記通信ネットワークを介することなく前記データを前記サービス提供装置まで移動させる移動体を、前記データ保持装置の所在地及び前記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う手配手段と、を備える移動体手配システム。
【0088】
(付記2)
前記手配手段は、前記データ保持装置を前記サービス提供装置の所在地まで移送可能な前記移動体を手配する、付記1に記載の移動体手配システム。
【0089】
(付記3)
前記手配手段は、異常が検知された前記通信ネットワークとは異なる代替の通信手法により前記データを前記サービス提供装置へ送信可能な通信機器を搭載した前記移動体を、前記データの保管場所まで移動させる手配を行う、付記1に記載の移動体手配システム。
【0090】
(付記4)
前記データ保持装置と前記サービス提供装置との間で前記データの遣り取りを仲介する仲介手段、を更に備え、前記仲介手段は、前記データの保管場所を示す所在情報を取得し、前記手配手段は、前記仲介手段が取得した所在情報の示す場所への前記移動体の移動を手配する、付記1~3のいずれかに記載の移動体手配システム。
【0091】
(付記5)
複数の前記サービスの中から、提供が求められているサービスを特定するサービス特定手段、を更に備え、前記手配手段は、サービスと当該サービスで用いるデータとの対応関係を記憶する記憶装置を参照して、前記サービス特定手段が特定したサービスの提供に必要なデータを特定し、特定したデータの保管場所への前記移動体の移動を手配する、付記1~4のいずれかに記載の移動体手配システム。
【0092】
(付記6)
前記手配手段は、前記通信ネットワークにおいて異常が検知された区間の一端から他端へ前記データを移動させる前記移動体を手配する、付記1~5のいずれかに記載の移動体手配システム。
【0093】
(付記7)
前記サービス特定手段は、所定のエリアに存在するユーザを特定し、ユーザと当該ユーザが必要とするサービスとの対応関係を記憶する記憶装置を参照して、特定したユーザに対応付けられたサービスを特定する、付記5に記載の移動体手配システム。
【0094】
(付記8)
前記サービス特定手段は、発生した事象の種別を示す情報を取得し、事象とサービスとの対応関係を記憶する記憶装置を参照して、取得した情報の示す事象の種別に対応するサービスを特定する、付記5に記載の移動体手配システム。
【0095】
(付記9)
前記サービス特定手段は、所定のエリアに存在するユーザの数に応じて前記サービスを特定する、付記5に記載の移動体手配システム。
【0096】
(付記10)
データを保持するデータ保持装置と前記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する異常取得手段と、前記異常取得手段が前記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、前記通信ネットワークを介することなく前記データを前記サービス提供装置まで移動させる移動体を、前記データ保持装置の所在地及び前記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う手配手段と、を備える移動体手配装置。
【0097】
(付記11)
少なくとも1つのプロセッサが、データを保持するデータ保持装置と前記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得することと、前記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、前記通信ネットワークを介することなく前記データを前記サービス提供装置まで移動させる移動体を、前記データ保持装置の所在地及び前記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行うことと、を含む移動体手配方法。
【0098】
(付記12)
コンピュータに、データを保持するデータ保持装置と前記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する異常取得処理と、前記異常取得処理において前記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、前記通信ネットワークを介することなく前記データを前記サービス提供装置まで移動させる移動体を、前記データ保持装置の所在地及び前記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う手配処理と、を実行させるためのプログラム。
【0099】
(付記13)
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、データを保持するデータ保持装置と前記データを用いてサービスを提供するサービス提供装置との間を繋ぐ通信ネットワークの異常の検知結果を取得する異常取得処理と、前記異常取得処理において前記通信ネットワークの異常の検知結果を取得した場合、前記通信ネットワークを介することなく前記データを前記サービス提供装置まで移動させる移動体を、前記データ保持装置の所在地及び前記異常が検知された区間の少なくともいずれか一方に対応する場所まで移動させる手配を行う手配処理とを実行する移動体手配装置。
【0100】
なお、この移動体手配装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記異常取得処理と、前記手配処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0101】
1 移動体手配システム
1A 情報処理システム
10A データ連携基盤
11、21、21A 異常取得部
11A 仲介部
12、23A 手配部
12A、24A 通信部
20A 管理装置
22A 需要検知部
25A 入出力部
26B 所在情報取得部
30A サービス提供装置
40A データ保持装置
41A データ格納部
51A データ所在情報格納部
52A サービス所在情報格納部
53A 対応関係格納部