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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139558
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/04 20060101AFI20241002BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20241002BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20241002BHJP
   F21V 23/06 20060101ALI20241002BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20241002BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20241002BHJP
【FI】
F21S8/04 110
F21S8/04 100
F21S2/00 230
F21V23/00 150
F21V23/06
F21V23/00 160
F21V5/04 500
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050556
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 隼人
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014BA01
3K014DA08
3K014HA01
3K014HA03
(57)【要約】
【課題】天井への設置作業性を向上させることができる照明装置を提供する。
【解決手段】本発明の一形態に係る照明装置は、照明光を壁面で反射させて周囲を照らす照明装置であって、ケースと、光源ユニットと、電源ユニットとを具備する。前記ケースは、一軸方向に対向する一対の開口端部と、前記一対の開口端部の間に設けられた支持面と、前記一対の開口端部と連通する中空部とを有する閉断面形状の中空ブロック材で構成される。前記光源ユニットは、前記支持面に配置され、前記壁面に向けて照明光を出射する。前記電源ユニットは、前記中空部に配置され、前記光源ユニットに電力を供給する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光を壁面で反射させて周囲を照らす照明装置であって、
一軸方向に対向する一対の開口端部と、前記一対の開口端部の間に設けられた支持面と、前記一対の開口端部と連通する中空部とを有する閉断面形状の中空ブロック材で構成されたケースと、
前記支持面に配置され、前記壁面に向けて照明光を出射する光源ユニットと、
前記中空部に配置され、前記光源ユニットに電力を供給する電源ユニットと
を具備する照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記電源ユニットは、電源回路を搭載し前記一軸方向に長手の電源基板を含み、
前記中空部は、前記電源基板の前記一軸方向に平行な側縁部を支持する一対の溝部を有する
照明装置。
【請求項3】
請求項2に記載の照明装置であって、
前記一対の溝部は、鉛直方向に互いに対向して配置される
照明装置。
【請求項4】
請求項2に記載の照明装置であって、
前記電源ユニットは、前記電源基板を電力源および前記光源ユニットにそれぞれ接続する配線ケーブルをさらに有し、
前記ケースは、前記一対の開口端部に設けられ前記配線ケーブルを前記中空部へ導く切欠き部をそれぞれ有する
照明装置。
【請求項5】
請求項1に記載の照明装置であって、
前記光源ユニットは、複数の発光素子とコネクタ部品とをそれぞれ搭載する回路基板を含むとともに前記一軸方向に沿って複数配列され、
前記一軸方向に隣接する前記回路基板の各々は、前記支持面上において前記コネクタ部品を介して相互に電気的に接続される
照明装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載の照明装置であって、
前記ケースに取り付けられ前記光源ユニットに対向するレンズとして機能する透光性のカバー部材をさらに具備する
照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば鉄道車両の客室内の天井に設置して間接照明に用いられる照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鉄道車両や航空機、船舶等の客室内に用いる室内灯として、例えば客室内の天井に取り付ける照明装置が知られている。また照明装置は、直接光ではなく間接光により客室内を照らすものが提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、天井側に取り付けられて下方に向かい内側が開口するケーシングを備え、該ケーシングに組み付けられた光源からの直接光がレール構造によってはめ込まれた保護カバー(レンズ)を介してケーシングの内側で反射され、該反射された間接光によりケーシングの外側を少なくとも間接的に照らす照明装置について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-49263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の照明装置は、電源ユニットが客室内の天井の上部に設置されているため、天井等の車体に電源回路を設置するための加工(逃げ加工等)が必要となり、これにより照明装置の設置作業性が悪いという問題がある。この問題は、天井に設置される照明装置の数が多いほどより顕著となり、設置作業性の改善が求められている。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、天井等への設置作業性を向上させることができる照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る照明装置は、照明光を壁面で反射させて周囲を照らす照明装置であって、ケースと、光源ユニットと、電源ユニットとを具備する。
前記ケースは、一軸方向に対向する一対の開口端部と、前記一対の開口端部の間に設けられた支持面と、前記一対の開口端部と連通する中空部とを有する閉断面形状の中空ブロック材で構成される。
前記光源ユニットは、前記支持面に配置され、前記壁面に向けて照明光を出射する。
前記電源ユニットは、前記中空部に配置され、前記光源ユニットに電力を供給する。
【0008】
上記照明装置は、光源ユニットに電力を供給する電源ユニットを内蔵しているため、電源ユニットの設置のための加工を車体に施す作業が不要となり、これにより照明装置の設置作業性を向上させることができる。
【0009】
前記電源ユニットは、電源回路を搭載し前記一軸方向に長手の電源基板を含み、前記中空部は、前記電源基板の前記一軸方向に平行な側縁部を支持する一対の溝部を有してもよい。これにより電源ユニットをケース内で安定に支持することができる。
【0010】
前記一対の溝部は、鉛直方向に互いに対向して配置されてもよい。これにより電源ユニット上に結露水などが溜まりにくくなるため、電源ユニットの信頼性の低下を抑えることができる。
【0011】
前記電源ユニットは、前記電源基板を電力源および前記光源ユニットにそれぞれ接続する配線ケーブルをさらに有し、前記ケースは、前記一対の開口端部に設けられ前記配線ケーブルを前記中空部へ導く切欠き部をそれぞれ有してもよい。
【0012】
記光源ユニットは、複数の発光素子とコネクタ部品とをそれぞれ搭載する回路基板を含むとともに前記一軸方向に沿って複数配列され、前記一軸方向に隣接する前記回路基板の各々は、前記支持面上において前記コネクタ部品を介して相互に電気的に接続されてもよい。
【0013】
前記照明装置は、前記ケースに取り付けられ前記光源ユニットに対向するレンズとして機能する透光性のカバー部材をさらに具備してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の照明装置によれば、天井等への設置作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る照明装置の斜視図である。
図2】上記照明装置の一部を分解した状態を示す要部の斜視図である。
図3】上記照明装置の平面図(上面図)である。
図4】上記照明装置の側面図である。
図5】上記照明装置の長手方向から見た断面図である。
図6】上記照明装置の他の適用例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る照明装置100の斜視図、図2は照明装置100の一部を分解した状態を示す要部の斜視図、図3は照明装置100の平面図(上面図)、図4は照明装置100の側面図、そして図5は照明装置100の長手方向から見た断面図である。なお図3についてはカバー部材30の図示を省略している。また各図においてX軸,Y軸及びZ軸方向は相互に直交する3軸方向であり、Z軸方向は高さ方向に相当する。
【0018】
[照明装置]
本実施形態では、照明装置100が鉄道車両における室内灯に適用された例について説明する。照明装置100は、鉄道車両の客室内の天井1(図5参照)に、例えば鉄道車両の前後方向に一対が平行に並ぶように設置される。照明装置100は、天井1から客室内を照らす間接照明としての機能、すなわち、照明光を壁面である天井で反射させて周囲を照らす機能を有する。
なおもちろん、照明装置100は、自動車、航空機、船舶等の室内灯に適用されてもよい。また、照明光を反射する壁面は、天井に限られず、側壁面や床面などであってもよい。
【0019】
図5に示すように照明装置100は、天井1に対して所定の距離を開けて対向させた略水平な状態に配置され、天井1に向けて光Lを照射する。照明装置10は、後述するカバー部材30によって配光制御を行い、壁面である天井1をそのまま反射板として利用する。なお、照明装置100は、必要な長さに応じて、各々が長手方向に一列に並ぶように組み合わされて配置される。
【0020】
本実施形態の照明装置100は、ケース10と、光源ユニット20と、カバー部材30と、エンドキャップ40と、電源ユニット50とを備える。
【0021】
(ケース)
ケース10は、照明装置100の外郭をなす器(灯体)であり、その内側に光源ユニット20等の関連部品が収納されている。ケース10は、Y軸方向に延びた長尺状であり、その両端部と上面側が開口した有底の一様な断面形状を有する直線的な中空ブロック材で構成されている。このようなケース10は、アルミニウム等の金属により押出し成形される。ケース10が、アルミニウム等の熱伝導率の高い金属製であるため、光源ユニット20等が発する熱を放散させるヒートシンクの役割を果たす。
【0022】
ケース10は図5に示すように、底面壁12と、底面壁12の両端縁より所定高さに立ち上がり互いに対向する2つの側面壁13とを有する。底面壁12は、本実施形態では下端にY軸方向に延びる稜線を有する樋状に形成されているが、これに限られず、XY平面に平行な平面形状であってもよい。ケース10の上面は開口しており、その上面開口部130を上方に向けて、ケース10がエンドキャップ40を介して天井1に取り付けられる。
【0023】
図2および図5に示すようにケース10は、Y軸方向に対向する一対の開口端部11(図2では一方側の開口端部11のみ示す)と、一対の開口端部11の間に設けられた支持面16と、一対の開口端部11と連通する中空部19とを有する。
【0024】
図2に示すようにケース10の各開口端部11はXZ平面に平行であり、エンドキャップ40で被覆されることで中空部19が閉塞される。図5に示すようにケース10は、底面壁12と上面開口130との間にケース10の内部を上下に仕切る仕切壁15を有する。仕切壁15は、2つの側面壁13の間に架け渡されたXY平面に平行な板部であり、中空部19は、この仕切壁15と底面壁12と2つの側面壁13とにより区画された閉断面形状に形成される。中空部19は、ケース10の長さ方向(Y軸方向)の全領域にわたって断面が一様な形状に形成される。
【0025】
支持面16は、光源ユニット20を支持し、図5に示すように第1支持面部161と第2支持面部162とを有する。第1支持面部161は、上面開口部130の近傍において各側面壁13の内面からケース10の内部に向けて水平方向(X軸方向)に突出するフランジ部14の先端の上面に形成される。第2支持面部162は、仕切壁15の中央部から上面開口部130に向かって垂直方向(Z軸方向)に立設された断面T字状の中間壁17の上面に形成される。第1支持面部161と第2支持面部162は各々同一平面上に位置しており、後述する光源ユニット20の回路基板22の長手方向(Y軸方向)に沿った両側縁部および裏面中央部をそれぞれ支持する。
【0026】
中間壁17は、ケース10の内部にその幅方向(X軸方向)の両側に2つの空間部18を区画する。各空間部18は、後述するカバー部材30が合成樹脂材料で形成される場合、このカバー部材30が溶融滴下したときに受け入れ可能な溶融受け部として機能する。したがって、カバー部材30が合成樹脂で形成されて万一溶融しても、この溶融物は空間部18に滞留させることができるため、溶融物が客室の下方へ滴下する虞はない。
【0027】
(光源ユニット)
光源ユニット20は、Y軸方向に長手の光源基板で構成され、その長手方向の長さはケース10の長さより小さく、本実施形態ではケース10の支持面16にその長手方向に沿って複数(図示の例では4つ)の光源ユニット20が配列されている。
【0028】
光源ユニット20は、図2に示すように、複数の発光素子21と、複数のコネクタ部品23と、これら発光素子21およびコネクタ部品23が搭載された回路基板22とを有する。
【0029】
発光素子21は、LED(Light Emitting Diode)等の点光源であり、回路基板22の上面である実装面の幅方向(X軸方向)の中央部に、等間隔(例えば10mm)でケース10の長手方向(Y軸方向)に沿って直線的に配置される。各発光素子21は、回路基板22の実装面に対して直交する方向に光軸を有し、その直上に設置された後述するカバー部材30を透過させることで光軸を中心に所定角度の範囲で光を出射させる。発光素子21の発光色は任意に選択でき、単色に限られず、複数種類の発光色を適宜組み合わせてもよい。例えば発光素子21は白色LEDでもよいし、3原色の混色により任意の色を発光可能なフルカラーLEDが採用されてもよい。また、発光素子21は表面実装型のLEDチップに限られず、チップをドーム型のモールドに埋め込んだLEDランプであってもよい。
【0030】
回路基板22は、Y軸方向に長手の矩形基板であり、その実装面には各発光素子21およびコネクタ部品23を後述する電源ユニット50と電気的に接続するための配線パターンが形成されている。回路基板22は、ガラスエポキシ基板等の比較的リジッド性の高い材料で形成され、Y軸方向に沿ったその両側縁部がケース10の第1支持面部161に支持されるとともに、裏面中央部が第2支持面162に支持されることで、ケース10内において水平な姿勢に保持される。
【0031】
コネクタ部品23は、回路基板22の長手方向の両端部に搭載されている。コネクタ部品23は、図3に示すように光源ユニット20と電源ユニット50の配線ケーブル53とを電気的に接続するとともに、隣接する光源ユニット20相互間を電気的に接続する。
【0032】
(カバー部材)
カバー部材30は、光源ユニット20から出射された光を通すものであり、光源ユニット20の光出射側に対向した状態でケース10の上面開口部130に固定される。カバー部材30は、例えばレンズや保護カバー等が該当し、何れも透光性材質から形成される。本実施形態においてカバー部材30は、例えばアクリルやポリカーボネート等の透明な樹脂材料から形成される。カバー部材30は、Y軸方向に長手であり、Y軸方向から見た断面形状(図5参照)が一様に形成される。光源ユニット20からの出射光を所定角度範囲にわたって配光するレンズとして機能する。
【0033】
カバー部材30は、光源ユニット20から出射された光を配光制御するものであり、例えばケース10の上面開口部130に沿って長手方向に延びる長尺状に形成されている。ここで、カバー部材30の全長は必ずしもケース10の全長に合わせる必要はなく、本実施形態では1つのケース10に対して4つのカバー部材30が一列に並ぶように組み合わされている。つまり、カバー部材30のY軸方向に沿った全長は、光源ユニット20のY軸方向に沿った全長と同じ又はほぼ同じ長さである。
【0034】
カバー部材30は、図5に示すように、光源ユニット20対向する平坦な底面31と、底面31の長手方向の中心に沿って凹設され、発光素子21からの光が入射する半円形断面の入射面32と、底面31の反対側で光を外部に出射する外周をなす出射面33と、を備える。また、カバー部材30の底面31と出射面33との境を形成する両側部には、幅方向(X軸方向)に突出した側端部34が形成されている。
【0035】
カバー部材30の底面31は、ケース10のフランジ部14の上面に形成された台座141に当接し、側端部34の先端がケース10の両側面壁13の上端に形成された係合部131に係合することで、カバー部材30が光源ユニット20を被覆するようにケース10の上面開口部130に取り付けられる。
【0036】
なお、台座141は、フランジ部14の基部側(側面壁13側)に位置し、フランジ部14の先端に形成された光源ユニット20を支持する第1支持面部161よりも上方側に位置している。台座141と第1支持面部161との高さの差は、光源ユニット20の回路基板22の厚みに相当する大きさに設定されている。そしてカバー部材30は、底面31の一部が光源ユニット20の回路基板22の周縁部に当接するようにケース10の上面開口部130に取り付けられる。これにより回路基板22の側縁部が底面31により第1支持面部161に押し付けられるため、ケース10内において光源ユニット20が安定に保持される。
【0037】
また、係合部131は、側面壁13の上端から上面開口部130に向かって突出する爪部で形成されている。このため、係合部131とカバー部材30の側端部34との係合により、カバー部材30の台座141からの浮き上がりが阻止され、カバー部材30を上面開口部130に安定に固定することができる。
【0038】
さらに、両側面壁13のうち一方側(図5において左方側)の側面壁13には、台座141と係合部131との間に、ケース10の全長にわたってY軸方向に延びる軸状の弾性部材132が装着されている。弾性部材132は、カバー部材30の側端部を他方側(図5において右方側)へ押圧することで、カバー部材130を台座141上において幅方向(X軸方向)にガタツキなく安定に支持する。
【0039】
カバー部材30の底面31にはさらに、光源ユニット20の回路基板22の両端部に搭載されたコネクタ部品23を収容できる大きさに形成された凹面部36が設けられている。凹面部36は、入射面31の両側にY軸方向に沿って連続的に形成されている。凹面部36は、カバー部材30とコネクタ部品23との干渉を防ぐ逃げ部であり、凹面部36の形成によりカバー部材30を光源ユニット20に近接配置させることができる。
【0040】
カバー部材30の出射面33は、その中央部にY軸方向に沿って設けられた凹曲面部33aと、凹曲面部33aの幅方向(X軸方向)の両側にY軸方向に沿って設けられた凸曲面部33bとを有するレンズ面を形成している。カバー部材30の中心、すなわち凹曲面部33aの中心は、発光素子21の光軸上に位置している。このため、凹曲面部33aは出射面33からの光をカバー部材30の幅方向に広げる凹レンズとして機能し、凸曲面部33bは出射面33からの光を上記幅方向に集光させる凸レンズとして機能する。なお、凹曲面部33aと両側の凸曲面部33bとは、実体的な境界で区画されることなく連続している。
【0041】
ここで、天井1に支持された照明装置100では、光源ユニット20から出射された光がカバー部材30を通じて天井1に向けて照射される。よって、天井1が照明されると共に、天井1から反射された光によって客室内が間接照明される。ここで光源ユニット20の発光素子21は、回路基板22上に1列に並び、各発光素子21の光軸は鉛直方向に一致している。各発光素子21からの出射光は、鉛直上方に位置するカバー部材30の入射面32に入り出射面33に至る過程で配光制御される。
【0042】
本実施形態においてカバー部材30は、出射面33の中央に浅く窪む凹曲面部33aと、この凹曲面部33aの両側で山となる凸曲面部33b,33bとの形状により、図5に破線で示すように広いスパンの方向に光を照射する。
【0043】
このようにカバー部材30の配光制御によって、垂直方向の光の強度よりもカバー部材30の幅方向に広がる光の強度が高くなる配光分布が得られるため、客室内において車両の両側方向(枕木方向)への配光を広げることができる。このように光源ユニット20からの光を、カバー部材30を通して様々な配光制御を実現することができるので、反射板等の光学部品を必要とすることはなく、したがって照明装置100の小型化を図ることができる。なお、各発光素子21の発光色を相違させたり、発光素子21の発光色を変化させる発光制御を採用したりすることにより、照明のイルミネーション効果を高めることもできる。
【0044】
凸曲面部33bの形状は特に限定されず、出射面33から天井1までの距離や照明装置100の設置位置などに応じて任意に設計可能であり、客室内に有効な光を照射できる形状であればよい。また、2つの凸曲面部33bの形状は互いに対称である場合に限られず、照明装置100の幅方向の両側で異なる配光分布が求められる場合などは、例えば2つの凸曲面部33bが各々異なる曲面形状に形成されてもよい。
【0045】
ここで、入射面32は、出射面33から出射する光がケース10の両側面壁13の上端部で遮られないように、当該両側面壁13の上端よりも上方から光が出射するような形状に形成されるのが好ましい。これにより光の利用効率が高められる。また入射面32の断面形状は各発光素子21から出射する光を2つの凸曲面部33bに導くことが可能な形状であれば特に限定されず、図5に示すような断面円弧状の凹溝で形成される以外にも、例えば断面三角形状の凹溝で形成されてもよい。
【0046】
(エンドキャップ)
エンドキャップ40は、図2に示すように、キャップ本体41と、固定片42とを有する。キャップ本体41の内側は、ケース10の開口端部11の断面形状にほぼ合致しており、開口端部11の底面壁12と両側面壁13を囲む形状に形成されている。よって、エンドキャップ40は、ケース11の端部に被せるように外嵌させることができる。
【0047】
キャップ本体41は、ケース10の開口端部11にネジ止め可能となっている。すなわち、キャップ本体41には2つのネジ挿通穴41aが設けられており、これらのネジ挿通穴41aに挿通させたネジ43の先端をケース10の開口端部11に設けられたネジ孔151(図5参照)に螺合させることで、エンドキャップ40が開口端部11に固定される。ネジ孔151は、ケース10の仕切壁15の幅方向両端部に設けられる。
【0048】
また、エンドキャップ40は、照明装置100を設置箇所である天井1に支持するブラケットを兼ねている。すなわち、エンドキャップ40の固定片42を天井1にネジ止めすることにより、ケース11は、その上面開口部130を上方に向けて配置され、天井1との間に所定間隔を開けて吊り下げられた状態に支持することができる。なお、エンドキャップ40も、ケース10と同様にアルミニウム等の熱伝導性に優れた材料から構成すれば、光源ユニット20の発光素子21が発生する熱を放熱するヒートシンクの役割を担うことになる。
【0049】
(電源ユニット)
電源ユニット50は、ケース10の中空部19に配置される。図電源ユニット50は、例えば電源基板51にAC/DCコンバータ、コンデンサ、抵抗器等を搭載したユニットとして構成される。電源ユニット50は、各光源ユニット20に対して共通であり、一台の電源ユニット50で、コネクタ部品23を介して各々接続された複数(本実施形態では4つ)の光源ユニット20へ電力が供給される。
【0050】
電源基板51は、Y軸方向に長手の矩形基板であり、その長手方向の一端部には光源ユニット20のコネクタ部品23と接続される配線ケーブル53が接続される第1コネクタ54が搭載され、その長手方向の他端部には商用電源ケーブル55の一端が接続される第2コネクタ56が搭載される。なお中空部19には、電源ユニット50とは別に、光源ユニット20の点灯駆動を制御するための制御装置(図示せず)が収納されても良く、あるいは、電源ユニット50に上記制御装置が組み込まれても良い。
【0051】
ケース10の仕切壁15の一方の開口端部11側には、光源ユニット20のコネクタ部品に接続された配線ケーブル53を中空部19へ導くための切欠き部152が設けられている。これにより電源ユニット50と光源ユニット20との間を接続する配線ケーブル53が開口端部11より外側へ張り出すことを防止でき、これにより開口端部11へのエンドキャップ40の取り付けを安定に行うことができる。
【0052】
仕切壁15の他方の開口端部11側には図示せずとも、商用電源ケーブル55を天井1の上部からケース10の中空部19へ導くための切欠き部が設けられている。本実施形態では、ケース10が電源ユニット50を中空部19に内蔵しているため、商用電源ケーブル50を電源ユニット50ともに中空部19に収容できる。
【0053】
これにより天井1の上部で商用電源ケーブル50を引き回す必要なくなるとともに、図6に示すように客室に複数設置される照明装置100各々のケース10の内部(中空部19)を通して各照明装置100の電源ユニット50へ配電することができる。このため、天井1に電源ユニットを設置するための逃げ加工等を天井1に施す必要がなくなり、照明装置100の設置作業を簡素化できる。また、隣接する2つの照明装置100の間を中継ケース60で接続し、この中継ケース60の内部に照明装置100間に架け渡される商用電源ケーブル55を収容することで、商用電源ケーブル55を客室内に露出させることなく各照明装置100へ接続することができる。
【0054】
中空部19に収容される電源ユニット50の保持形態は特に限定されず、本実施形態では図5に示すように、電源基板51のその長手方向(Y軸方向)に平行な側縁部を支持する一対の溝部191,192が中空部19に設けられる。一対の溝部191,192はケース10の全長にわたって長手方向(Y軸方向)に連続的に形成されているとともに、互いに鉛直方向(Z軸方向)に対向して配置される。より具体的に、一方の溝部191はケース10の底面壁12内面に、他方の溝部192は仕切壁15の内面にそれぞれ設けられる。
【0055】
このように電源ユニット50を中空部19に設けられた一対の溝部191,192で支持する構成が採用されているため、ネジ等の締結具を用いることなく簡素な構成で電源ユニット50を中空部19に保持することができる。なお、電源ユニット50の両端に接続された配線ケーブル53および商用電源ケーブル55の張力を利用して、電源ユニット50をケース10の長手方向に位置決め可能である。
【0056】
さらに鉛直方向(Z軸方向)に対向配置された一対の溝部191,192によって電源ユニット50が支持されているため、電源基板51の回路形成面を垂直な姿勢に保持できる。これにより電源ユニット50上に結露水などが溜まりにくくなるため、電源ユニット50の信頼性の低下を抑えることができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく種々変更を加え得ることは勿論である。
【0058】
例えば以上の実施形態では、照明装置100を鉄道車両の客室内の天井1に設置する例を説明したが、航空機や自動車等の他の乗物における客室内の間接照明、あるいは屋内施設や一般家庭用の照明に適用しても良い。また、照明装置100は客室の天井1に設置される場合に限られず、客室の側壁面や床面に設置されてもよい。
【0059】
また、ケース10の具体的な形状は、図示した例に限定されることはない。さらに、カバー部材30の出射面33の形状も特に限定されず、垂直方向の光の強度よりもカバー部材の幅方向に広がる光の強度が高くなる配光分布が得られる形状であれば、凹曲面部33aが設けられていなくてもよい。
【0060】
また、光源ユニット20を構成する光源に複数の発光素子(LEDチップ)を用いたが、これに限られず、例えばY軸方向に長手の蛍光ランプなどが用いられてもよい。
【0061】
さらに電源ユニット50は、ケース10の中空部19に複数配置されてもよいし、一台で複数の照明装置に共通に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…天井
10…ケース
11…開口端部
16…支持面
19…中空部
20…光源ユニット
21…発光素子
22…回路基板
23…コネクタ部品
30…カバー部材
32…入射面
33…出射面
33a…凹曲面部
33b…凸曲面部
34…側端部
40…エンドキャップ
50…電源ユニット
51…電源基板
53…配線ケーブル
55…商用電源ケーブル
100…照明装置
130…上面開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6