(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139590
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】廃棄物選別装置
(51)【国際特許分類】
B09B 5/00 20060101AFI20241002BHJP
B02C 23/00 20060101ALI20241002BHJP
B02C 23/20 20060101ALI20241002BHJP
B09B 3/35 20220101ALI20241002BHJP
B07B 4/02 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B09B5/00 Z
B02C23/00 D
B02C23/20
B09B3/35 ZAB
B07B4/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050600
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新居 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】千葉 信之
(72)【発明者】
【氏名】亀川 出
【テーマコード(参考)】
4D004
4D021
4D067
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004AA21
4D004BA03
4D004BA05
4D004CA04
4D004CA08
4D004CA09
4D004CB13
4D004DA01
4D004DA02
4D021FA02
4D021GA08
4D021GA16
4D021GA27
4D021HA01
4D067EE22
4D067GA18
4D067GB05
(57)【要約】
【課題】破砕機で被破砕物を破砕することで生じた多数の破砕片が投入される筐体内で、破砕片を重廃棄物と軽廃棄物とに選別する廃棄物選別装置において、筐体内でエア選別に利用されたエアが吸気口、ブロワ及び排気口を経て再び筐体内に還流、循環し、そのエア流に混じる粉塵が大気に放出されにくくしてバグフィルタ等の粉塵除去設備を小型、小容量化した上で、筐体内を負圧状態に保ち易くして、筐体の廃棄物排出口からの粉塵流出を更に抑制する。
【解決手段】重廃棄物72を筐体40内の重廃棄物ラインL2に、また軽廃棄物71を軽廃棄物ラインL1に誘導する一次選別機S1と、筐体40に設けた吸気口7iに吸込側Biが、また排気口8oに吐出側Boが接続されるブロワBとを備え、重廃棄物72に混じる軽廃棄物71を軽廃棄物ラインL1側に押し出すエア流asが筐体40内に生じ、ブロワBから排気口8oに向かうエアの一部を大気開放装置Kが大気に逃がす。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕機(D)で被破砕物(BM)を破砕することで生じた多数の破砕片(70)が投入される筐体(40)と、その筐体(40)内で前記破砕片(70)を重廃棄物(72)と軽廃棄物(71)とに選別して、重廃棄物(72)を該筐体(40)内の重廃棄物ライン(L2)に、また軽廃棄物(71)を該筐体(40)内の軽廃棄物ライン(L1)にそれぞれ誘導する選別機(S1)とを備えた廃棄物選別装置において、
前記筐体(40)に設けられて該筐体(40)内に開口する吸気口(7i)に吸込側(Bi)が接続され、且つ前記重廃棄物ライン(L2)寄りで前記筐体(40)に設けられて該筐体(40)内に開口する排気口(8o)に吐出側(Bo)が接続されるブロワ(B)を備え、
前記吸気口(7i)及び前記排気口(8o)は、前記選別機(S1)で前記重廃棄物ライン(L2)側に誘導された重廃棄物(72)に混じる軽廃棄物(71)を前記軽廃棄物ライン(L1)側に押し出すエア流(as)が前記ブロワ(B)の作動時に前記排気口(8o)を起点として前記筐体(40)内に生じるように配置され、
前記ブロワ(B)の吐出側(Bo)と前記排気口(8o)との間には、該ブロワ(B)から前記排気口(8o)に向かうエアの一部を大気に逃がす大気開放装置(K)が接続されることを特徴とする、廃棄物選別装置。
【請求項2】
前記吸気口(7i)は、前記軽廃棄物ライン(L1)寄りで前記筐体(40)に配設されることを特徴とする、請求項1に記載の廃棄物選別装置。
【請求項3】
複数の前記排気口(8o′)が、前記筐体(40)に互いに間隔をおいて設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の廃棄物選別装置。
【請求項4】
前記複数の排気口(8o′)は、前記筐体(40)の壁面に沿って水平方向に互いに間隔をおいて設けられることを特徴とする、請求項3に記載の廃棄物選別装置。
【請求項5】
前記複数の排気口(8o′)は、前記筐体(40)の壁面に沿って上下方向に互いに間隔をおいて数設けられることを特徴とする、請求項3に記載の廃棄物選別装置。
【請求項6】
前記破砕機(D)から前記筐体(40)内に投入される前記破砕片(70)の投入重量を検出可能な投入重量検出装置(SE)と、その投入重量検出装置(SE)の検出結果に基づいて前記大気開放装置(K)によるエアの大気開放量を増減制御可能な制御装置(CU)とを備え、
前記制御装置(CU)は、前記投入重量検出装置(SE)が検出する投入重量が所定値より大きい場合は前記大気開放量を通常より増やし、また所定値より小さい場合は前記大気開放量を通常より減らすことを特徴とする、請求項1又は2に記載の廃棄物選別装置。
【請求項7】
前記破砕機(D)から前記筐体(40)内に投入される前記破砕片(70)の投入重量を検出可能な投入重量検出装置(SE)と、その投入重量検出装置(SE)の検出結果、並びに前記被破砕物(BM)の可燃物含量に基づいて前記大気開放装置(K)によるエアの大気開放量を増減制御可能な制御装置(CU)とを備え、
前記制御装置(CU)は、前記被破砕物(BM)の可燃物含量が多い場合において、特に前記投入重量検出装置(SE)が検出する投入重量が所定値より大きい場合は前記大気開放量を通常より減らすことを特徴とする、請求項1又は2に記載の廃棄物選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕機で被破砕物を破砕することで生じた多数の破砕片が投入される筐体を有し、その筐体内で破砕片を重廃棄物と軽廃棄物とに選別する選別機を具備した廃棄物選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記した破砕機及び廃棄物選別装置を含む破砕選別システムは、例えば特許文献1に開示されるように従来公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムでは、破砕機及び一次選別機等で生じた粉塵や破砕片と共に吸引したエアを、最終選別機たるサイクロン17に導入して、そこで浮遊物と沈降物とに選別し、そのサイクロン17から大量の浮遊物、粉塵と一緒に出たエアが、バグフィルタ19を経てブロワ21側に吸引されて、そのまま大気に放出される。この場合、サイクロン17を出たエアは、一次選別機等に還流されずにブロワ21からそのまま大気に放出されるため、そのエアに混じる大量の浮遊物や粉塵を除去すべく大規模・大容量のバグフィルタ19を配備する必要があり、設置コストが嵩む等の課題がある。また最終選別機たるサイクロン17は、その内部を上記エアが単に通り抜けるだけであって、その内部が負圧状態に積極的に保たれる状態ではないため、サイクロン17の、大気開放状態の沈降物排出口からは、沈降物と一緒に粉塵が少なからず流出する懸念がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来構造の問題を解決可能とした廃棄物選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、破砕機で被破砕物を破砕することで生じた多数の破砕片が投入される筐体と、その筐体内で前記破砕片を重廃棄物と軽廃棄物とに選別して、重廃棄物を該筐体内の重廃棄物ラインに、また軽廃棄物を該筐体内の軽廃棄物ラインにそれぞれ誘導する選別機とを備えた廃棄物選別装置において、前記筐体に設けられて該筐体内に開口する吸気口に吸込側が接続され、且つ前記重廃棄物ライン寄りで前記筐体に設けられて該筐体内に開口する排気口に吐出側が接続されるブロワを備え、前記吸気口及び前記排気口は、前記選別機で前記重廃棄物ライン側に誘導された重廃棄物に混じる軽廃棄物を前記軽廃棄物ライン側に押し出すエア流が前記ブロワの作動時に前記排気口を起点として前記筐体内に生じるように配置され、前記ブロワの吐出側と前記排気口との間には、該ブロワから前記排気口に向かうエアの一部を大気に逃がす大気開放装置が接続されることを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記吸気口は、前記軽廃棄物ライン寄りで前記筐体に配設されることを第2の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、複数の前記排気口が、前記筐体に互いに間隔をおいて設けられることを第3の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第3の特徴に加えて、前記複数の排気口は、前記筐体の壁面に沿って水平方向に互いに間隔をおいて設けられることを第4の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第3の特徴に加えて、前記複数の排気口は、前記筐体の壁面に沿って上下方向に互いに間隔をおいて設けられることを第5の特徴とする。
【0011】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記破砕機から前記筐体内に投入される前記破砕片の投入重量を検出可能な投入重量検出装置と、その投入重量検出装置の検出結果に基づいて前記大気開放装置によるエアの大気開放量を増減制御可能な制御装置とを備え、前記制御装置は、前記投入重量検出装置が検出する前記投入重量が所定値より大きい場合は前記大気開放量を通常より増やし、また所定値より小さい場合は前記大気開放量を通常より減らすことを第6の特徴とする。
【0012】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記破砕機から前記筐体内に投入される前記破砕片の投入重量を検出可能な投入重量検出装置と、その投入重量検出装置の検出結果、並びに前記被破砕物の可燃物含量に基づいて前記大気開放装置によるエアの大気開放量を増減制御可能な制御装置とを備え、前記制御装置は、前記被破砕物の可燃物含量が多い場合において、特に前記投入重量検出装置が検出する前記投入重量が所定値より大きい場合は前記大気開放量を通常より減らすことを第7の特徴とする。
【0013】
本発明において「ライン」とは、筐体の内部空間に区画、形成された破砕片(重排気物又は軽廃棄物)の通り道、即ち通路状空間をいう。また本発明において、「重廃棄物ライン寄り」とは、筐体内において、重廃棄物ライン及び軽廃棄物ライン相互の分岐部から見て、両ラインの並び方向で重廃棄物ライン側をいい、また「軽廃棄物ライン寄り」とは、筐体内で前記分岐部から見て両ラインの並び方向で軽廃棄物ライン側をいう。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、廃棄物選別装置において、筐体に設けられて筐体内に開口する吸気口に吸込側が接続され、且つ重廃棄物ライン寄りで筐体に設けられて筐体内に開口する排気口に吐出側が接続されるブロワを備え、吸気口及び排気口は、選別機で重廃棄物ライン側に誘導された重廃棄物に混じる軽廃棄物を軽廃棄物ライン側に押し出すエア流が排気口を起点として筐体内に生じるように配置される。これにより、筐体内でエア選別に利用されたエアが吸気口、ブロワ及び排気口を経て再び筐体内に還流、循環し、そのエア流に混じる粉塵が大気に放出されにくくなるため、そのエア流中の粉塵を除去するバグフィルタ等の粉塵除去設備を小型、小容量化したり或いは省略したりする上で有利となる。
【0015】
その上、ブロワの吐出側と排気口との間には、ブロワから排気口に向かうエアの一部を大気に逃がす大気開放装置が接続されるので、ブロワの作動による吸気口からのエア吸込量よりも、排気口から筐体内へのエア吐出量が少なくなって、筐体内を負圧状態に保ち易くなり、従って、重・軽廃棄物ライン下流側の廃棄物排出口からの粉塵流出を効果的に抑制可能となる。
【0016】
また第2の特徴によれば、吸気口は、軽廃棄物ライン寄りで筐体に配設されるので、重廃棄物ライン寄りの排気口から出たエア流を、軽廃棄物ライン側に効率よく引き寄せることができ、その引かれたエア流の風圧で軽廃棄物を軽廃棄物ラインに効果的に誘導可能となり、従って、筐体内でより高精度のエア選別を行うことができる。
【0017】
また第3の特徴によれば、複数の排気口が筐体に互いに間隔をおいて設けられるので、1つの排気口からのエア吹出量を少なくして、吹出エアの流動圧が過度に高くなるのを抑制でき、従って、過度の流動圧で重廃棄物まで軽廃棄物ライン側に混入するのを効果的に回避可能となり、エア選別精度が高められる。
【0018】
また第4の特徴によれば、複数の排気口は、筐体の壁面に沿って水平方向に互いに間隔をおいて設けられるので、複数の排気口が水平方向に広範囲に分布し、従って、それら排気口からのエアを重廃棄物ラインの広範囲に亘り吹き出すことができるから、重廃棄物中に混じる軽廃棄物を軽廃棄物ライン側にムラなく押し出すことができ、軽廃棄物の取りこぼしが少なくなって、エア選別精度が高められる。
【0019】
また第5の特徴によれば、複数の排気口は、筐体の壁面に沿って上下方向に互いに間隔をおいて設けられるので、重廃棄物ラインを徐々に流下する軽廃棄物を、上下に並ぶ複数の排気口から吹き出すエアで、軽廃棄物ライン側に徐々に押し出すことができ、エア選別精度が高められる。
【0020】
また第6の特徴によれば、破砕機から筐体内に投入される破砕片の投入重量を検出可能な投入重量検出装置と、その投入重量検出装置の検出結果に基づいて大気開放装置によるエアの大気開放量を増減制御可能な制御装置とを備え、制御装置は、投入重量検出装置が検出する破砕片の投入重量が所定値より大きい場合は大気開放量を通常より増やし、また所定値より小さい場合は大気開放量を通常より減らす。これにより、破砕片の投入重量(従って筐体内に投入される破砕片の体積)が大きい場合には、その大きい破砕片が筐体内に投入された際に筐体内のエアを強めに押圧しても、上記大気開放量を通常より増やして排気口から筐体内へのエア流入量を減らすことで、筐体内を適度な負圧に維持できる。一方、破砕片の投入重量(従って上記体積)が小さい場合には、上記大気開放量を通常より減らすことで、破砕片の体積減少分に応じて排気口からのエア流入量を増やせるため、筐体内を適度な負圧に維持できる。以上により、筐体内への破砕片の投入重量(従って上記体積)の変動に影響されずに筐体内を適度な負圧状態に維持できるため、第1の特徴による効果の維持が図られる。
【0021】
また第7の特徴によれば、上記投入重量検出装置の検出結果と被破砕物の可燃物含量とに基づいて、大気開放装置によるエアの大気開放量を増減制御可能な制御装置を備え、制御装置は、被破砕物の可燃物含量が多い場合において、特に筐体内への破砕片の投入重量が所定値より大きい場合は大気開放量を通常より減らすので、排気口から筐体内へのエア吹出し量を増大させることができる。特に被破砕物の可燃物含量が多く且つ破砕片の投入重量が多い場合には、排気口周辺で多量の可燃物片(軽廃棄物)が重廃棄物(例えば金属片)と絡み合って滞留し易くなることで排気口を閉塞させる懸念が増すが、この場合に上記大気開放量を減らして排気口からのエア吹出し量を増大させることで、排気口周辺における多量の可燃物片に因る閉塞を効果的に抑制可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態の廃棄物選別装置を含む破砕選別処理システムの一例を示す全体側面図
【
図2】第1実施形態の廃棄物選別装置を拡大して示す縦断側面図
【
図3】第2実施形態の廃棄物選別装置を拡大して示す縦断側面図(
図2対応図)
【
図4】第2実施形態の廃棄物選別装置において、筐体内方より排気口の配置を示す、筐体の内側面図(
図3の4X矢視図)
【
図5】破砕機、搬送コンベア、及び選別装置(ブロワBと開閉弁V2)に対する制御系の一例を示す制御ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態を、添付図面により以下に具体的に説明する。
【0024】
図1及び
図2において、廃棄物の破砕選別処理システムは、被破砕物としてのベッドマットBMを多数の破砕片70に細かく破砕処理可能な破砕機Dと、破砕機Dで破砕された破砕片を可燃物片71と金属片72とに選別可能な本発明に係る廃棄物選別装置Sと、破砕機Dの下部より破砕片70を受け取って廃棄物選別装置S内の上部に搬送する搬送コンベア10とを備える。而して、可燃物片71は軽廃棄物の一例であり、また金属片72は重廃棄物の一例である。
【0025】
破砕機Dは、ベッドマットBMを投入可能なホッパ21を上部に一体的に有したボックス状の破砕機本体20と、多数の破砕刃を外周に有して破砕機本体20内に収容され且つ回転自在に支持された円筒ドラム状の破砕刃付きロータ30と、ロータ30の破砕刃と協働してベッドマットBMの破砕処理を行うべく破砕機本体20に固定される不図示の多数の固定刃と、ロータ30を回転駆動するロータ用モータ31とを備える。破砕機本体20には、投入廃棄物をロータ30に向かって押圧して破砕効果を高めるプッシャ(図示せず)が必要に応じて設けられる。
【0026】
破砕機Dにおいて、ホッパ21へのベッドマットBMの投入作業は、人力で行ってもよいし、ベッドマットBMを把持可能な不図示の作業機械(例えばバックホー、フォークリフト等)で行ってもよい。
【0027】
搬送コンベア10は、従来周知のベルト式コンベアと同様、従動プーリ11及び駆動プーリ12と、その両プーリ11,12間に巻回されるコンベアベルト14と、駆動プーリ12を回転駆動するコンベアモータ13とを有する。
【0028】
破砕機D及び搬送コンベア10の作動を制御する制御装置CU(
図5参照)は、設置面E上の適所に設けた不図示の制御盤に収納され、この制御盤の正面には手動操作可能な種々の操作スイッチ群(例えばコンベアモータ13、ロータ用モータ31、後述のブロワBを各々作動させる操作スイッチSW1~SW3)が設けられる。
【0029】
一般的にベッドマットBMの構成材は、合成樹脂製の弾性マットや布製マットカバー等の可燃物と、弾性マットに内包されてベッドマットBMの骨格やばね材として機能する鉄系の金属部材(例えばフレーム枠、コイルばね等)とから成る。従って、ベッドマットBMを破砕機Dで破砕処理すると、その破砕片70の大部分は、弾性マット材やカバー等が小さく破断された多数の可燃物片71(軽廃棄物)や、金属製のスプリング、フレーム等が小さく破断された多数の鉄系の金属片72(重廃棄物)となる。
【0030】
廃棄物選別装置Sは、中空ボックス状の筐体40と、筐体40内に配設されて破砕機Dで生じる破砕片70を可燃物片71と鉄系金属片72とに一次的に選別する磁力式の一次選別機S1と、その一次選別機S1で選別された鉄系金属片72に混じる可燃物片71を金属片72より分離、選別する風力式の二次選別機S2と、設置面E上に筐体40を起立姿勢で固定、支持する筐体支持枠(図示は省略)とを主要部とする。
【0031】
一次選別機S1は、後述するように搬送コンベア10の搬出部10oより筐体40内に投入、落下した多数の破砕片70を可燃物片71と金属片72とに選別して、軽廃棄物である可燃物片71を筐体40内に画成された第1ラインL1(即ち軽廃棄物ライン)に、また重廃棄物である金属片72を筐体40内に画成された第2ラインL2(即ち重廃棄物ライン)にそれぞれ誘導、選別する機能を発揮する。
【0032】
筐体40は、それの内部空間を挟んで相対向する第1,第2側壁43,44を有しており、第2側壁44の上部には開口44hが形成される。その開口44hを通して搬送コンベア10の搬出部10oが筐体40内の上部に延びている。またその開口44hの上縁には、可撓性を有するカーテン45の上端が吊持されており、このカーテン45の下端縁は、搬送コンベア10の左右側板10s(従ってコンベアベルト14上の破砕片70)に対し摺動可能に接触できるようになっている。
【0033】
而して、開口44hの殆ど全部は、搬送コンベア10及びカーテン45により塞がれており、筐体40内のエアの、開口44hからのリークが最小限に抑えられる。
【0034】
筐体40の下部は、第1,第2選別機S1,S2で順次選別された可燃物片71・金属片72を筐体40外にそれぞれ排出させる第1・第2排出シュート41,42を一体に有する。即ち、その両排出シュート41,42は、筐体40の一部(下部)を構成するものであって、その各々は、下端が開放され且つ下方に向けて先窄まりの角筒状に各々形成される。
【0035】
そして、この第1・第2排出シュート41,42をそれぞれ出た可燃物片71及び金属片72は、両排出シュート41,42に対応して筐体40下部の設置面E上に置かれた上面開放の可燃物片用コンテナ73及び金属片用コンテナ74内にそれぞれ落下、貯留される。
【0036】
搬送コンベア10の搬出部10oより下方側の筐体40の内部空間は、搬出部10oの直下で筐体40に固定されて概ね上下方向に延びる仕切り壁46と、第1,第2排出シュート41,42のシュート形成壁とにより、第1側壁43側の第1ラインL1と第2側壁44側の第2ラインL2とに区画される。しかも仕切り壁46の下端部と、第1,第2排出シュート41,42の分岐部4mとの間には、第1,第2ラインL1,L2の中間部相互を連通させる連通空間47が形成される。
【0037】
また仕切り壁46の上端部に隣接して筐体40には、案内ローラ48が水平軸線回りに回転自在に軸支される。この案内ローラ48は、破砕片70(即ち可燃物片71及び金属片72)をこれとの引っ掛かりを回避しつつ第1,第2ラインL1,L2の何れにもスムーズに案内可能となっている。
【0038】
次に一次選別機S1の具体例を説明すると、それは、コンベアベルト14が筐体40内で巻回される従動プーリ11と、この従動プーリ11の内方に配置されて同プーリ11の、破砕片70を落下させる側の半周部(
図2で右半周部)の内周面に対向近接した半円筒状の永久磁石16と、仕切り壁46及び第1,第2ラインL1,L2とを備える。永久磁石16は、筐体40に固定されて従動プーリ11を回転自在に支持する支軸15に固定した不図示の支持体に固着される。
【0039】
また永久磁石16の、側面視で(即ち
図2で見て)上下両端の位置は、第1,第2ラインL1,L2の並列方向(即ち
図2で左右方向)で、仕切り壁46の上端(従って案内ローラ48)の位置と略一致している。
【0040】
而して、破砕機D及び搬送コンベア10の作動中、コンベア搬出部10oから落下しようとする破砕片70のうち、非磁性体である可燃物片71は、そのまま第1ラインL1側にスムーズに自然落下する。一方、鉄系金属片72は、永久磁石16に磁気吸引されることで対応するコンベアベルト14の搬送面に付着しつつ同ベルト14と共に従動プーリ11の下側に回り込むが、それが永久磁石16を過ぎた辺りでその磁気吸引力から解放されることで第2ラインL2側に自然落下する。
【0041】
かくして、一次選別機S1においては、上記したような永久磁石16の磁力を利用した一次選別機能が発揮され、搬送コンベア10の搬出部10oから筐体40内に投入された多数の破砕片70のうち可燃物片71が第1ラインL1側に、また鉄系金属片72が第2ラインL2側にそれぞれ誘導される。尚、上記したような磁力式の一次選別機の基本構造及び機能は、従来周知(例えば特開2022-175482 号公報参照)である。
【0042】
一方、実施形態の二次選別機S2は、上記した一次選別機S1により第2ラインL2側に誘導された金属片72に混じる可燃物片71を、エア圧で金属片72より分離(具体的には可燃物片71だけを吹き飛ば)して第1ラインL1側に誘導する風力式選別機で構成される。
【0043】
この二次選別機S2の具体例を次に説明すると、それは、第1ラインL1寄りで筐体40の上部に設けられて筐体40内に開口する吸気口7iと、第2ラインL2寄りで筐体40の側部に設けられて筐体40内に開口するノズル状の排気口8oと、吸気口7iに第1エア管路7を介して吸込側Biが接続され且つ排気口8oに第2エア管路8を介して吐出側Boが接続されるブロワBと、第1,第2ラインL1,L2の中間部相互を連通させる前記連通空間47とを含む。
【0044】
第2エア管路8には、これを任意に開閉可能な開閉弁V1(例えば従来周知のロータリ弁、バタフライ式のダンパ弁等)が必要に応じて設けられる。またブロワBは、図示例では設置面Eに設置されるが、筐体40又は不図示の前記筐体支持枠に固定してもよい。
【0045】
第2ラインL2の外側壁となる第2側壁44は、下方外向きに傾いた傾斜部46aを有した前記仕切り壁46に対応した位置で、外側に張り出す中間屈曲部44mを有する。そして、この中間屈曲部44mと仕切り壁46とにより、第2ラインL2の中間部において屈曲通路部L2mが形成される。
【0046】
また中間屈曲部44mの直下で第2排出シュート42の外側壁42sは、外方下向きに傾斜しており、その傾斜外側壁42sには、ノズル状に形成された排気口8oが、前記連通空間47に向かって内方上向きに傾斜した姿勢で固着される。
【0047】
従って、第1選別機S1で一次選別されて第2ラインL2に誘導された金属片72は、屈曲通路部L2mを転向しつつ流下するが、この金属片72に混じる軽い可燃物片71は、これが連通空間47の側方を流下する際に、排気口8oから内方上向きに吹出したエア流asによって連通空間47側、延いては第1ラインL1側に吹き飛ばされて重い金属片72から容易に離脱し、そのまま第1ラインL1内を自然落下して第1排出シュート41に向かう。
【0048】
一方、上記金属片72は、重量大であるため、エア流asの風圧を受けてもなお第2ラインL2内に留まり、そこを自然落下して第2排出シュート42に向かう。
【0049】
このようにして二次選別機S2は、風力を利用した二次選別機能を発揮して、一次選別機S1で第2ラインL2に誘導された金属片72から可燃物片71を分離、選別できる。この場合、二次選別機S2の吸気口7i及び排気口8oは、一次選別機S1で第2ラインL2側に誘導された金属片72に混じる可燃物片71を第1ラインL1側に押し出すエア流asがブロワBの作動時に排気口8oを起点として筐体40内に生じるように配置、構成される。尚、筐体40内に吹き出すエア流asの風圧を利用した風力選別技術は、従来周知(例えば特開2022-175482 号公報参照)である。
【0050】
更に実施形態の廃棄物選別装置Sにおいて、ブロワBの吐出側と排気口8oとの間には、ブロワBから排気口8oに向かうエアの一部を大気に逃がす大気開放装置Kが接続される。大気開放装置Kは、例えば、ブロワBの吐出側と排気口8oとを接続する第2管路8の上流側通路部分(即ち開閉弁V1よりも上流側)より分岐し且つ外端が大気に開放した分岐管路9と、この分岐管路9を開閉可能な大気開放用の開閉弁V2とを有しており、開閉弁V2は、制御装置CU(
図5を参照)により開度調節可能に開閉制御される。
【0051】
しかも廃棄物選別装置Sは、破砕機Dから筐体40内に投入される破砕片70の投入重量を検出可能な投入重量検出装置SEを備えており、その投入重量検出装置SEの検出結果に基づいて制御装置CUは、後述するように大気開放装置Kによるエアの大気開放量(より具体的には第2開閉弁V2の開度)を増減制御可能である。
【0052】
投入重量検出装置SEとしては、例えば搬送コンベア10の搬出部10o近くでコンベアベルト14の内方に配置されてコンベアベルト14上の破砕片70の重量を検出可能な重量センサ、或いはコンベアモータ13の負荷(例えば負荷電流又は負荷トルク)を検出可能な負荷センサが用いられる。
【0053】
而して、制御装置CUは、投入重量検出装置SEが検出する破砕片70の投入重量が所定値(即ち所定の上限閾値)より大きい場合は大気開放量(第2開閉弁V2の開度)を通常より増やし、また所定値(即ち所定の下限閾値)より小さい場合は大気開放量(上記開度)を通常より減らす制御を実行する。
【0054】
さらに制御装置CUには、破砕機Dが破砕処理されるベッドマットBMが可燃物含量の大きい(即ち所定含量以上の)タイプか否かを操作入力する選択スイッチSW4が接続される。尚、選択スイッチSW4への操作入力は、現場作業員が破砕機Dに実際に投入されるベッドマットBMの種別(即ち可燃物含量が多いタイプか否か)を目視等に基づき判断した結果に応じて任意に行われる。
【0055】
而して、制御装置CUは、投入重量検出装置SEの検出結果と、選択スイッチSW4への操作入力態様(即ち破砕対象となるベッドマットBMの可燃物含量が大きいタイプか否かの判断結果)とに基づいて、大気開放装置Kによるエアの大気開放量(第2開閉弁V2の開度)を制御可能である。例えば、制御装置CUは、破砕機Dで破砕されるベッドマットBMが可燃物含量の多いタイプである場合において、特に筐体40内への破砕片70の投入重量が所定値より大きい場合は大気開放量(上記開度)を通常より減らす制御を実行する。
【0056】
次に前記した第1実施形態の作用について説明する。
【0057】
ベッドマットBMの破砕・選別処理に当たっては、先ず、制御盤の操作スイッチ群への操作入力により破砕機Dを作動させ、且つ搬送コンベア10及びブロワBを作動させた状態で、破砕機Dのホッパ21内に被破砕物としてのベッドマットBMを適宜投入する。その投入に応じて破砕機DでベッドマットBMが破砕処理されると、それにより生じた多数の破砕片70(具体的には可燃物片71及び金属片72)が搬送コンベア10で廃棄物選別装置Sの筐体40内の上部に搬送され、そのコンベア搬出部10oより筐体40内に投入される。
【0058】
次いで、廃棄物選別装置Sの筐体40内では、第1選別機S1が前述の磁力利用の一次選別機能を発揮し、これにより、搬送コンベア10から投入された多数の破砕片70が可燃物片71と金属片72とに選別された後、可燃物片71は、筐体40の第1側壁43側の第1ラインL1に誘導され、一方、金属片72は第2側壁44側の第2ラインL2に誘導される。
【0059】
このとき、第2ラインL2に誘導されて流下する金属片72は、これに多少の可燃物片71が混じったり絡んでいたりした場合でも、第2選別機S2で前述の風力利用の二次選別機能が発揮される。即ち、ブロワBからの吐出エアが筐体40の排気口8oから吹き出すことで筐体40内に生じるエア流asの風圧により、重い金属片72より軽い可燃物片71が効率よく分離されて第1ラインL1の下部(従って第1排出シュート41)に誘導され、一方、可燃物片71分離後の重い金属片72は、風圧を受けてもそのまま自然落下して第2ラインL2下部(従って第2排出シュート42)に誘導される。
【0060】
かくして、廃棄物選別装置Sにおいては、筐体40下部の第1排出シュート41から可燃物片71が、また第2排出シュート42から金属片72がそれぞれ落下、排出されて、可燃物片用コンテナ73及び金属片用コンテナ74内に各々収納される。
【0061】
そして、可燃物片用コンテナ73及び金属片用コンテナ74は、それらが可燃物片71及び金属片72で満たされると、適宜の運搬手段(例えば運搬車)を用いて不図示の可燃物処理装置及び金属片処理装置まで各々搬送され、そこで従来周知の手法でそれぞれ的確に処理される。
【0062】
以上説明した第1実施形態によれば、廃棄物選別装置Sは、筐体40に設けられて筐体40内に開口する吸気口7iに第1管路7を介して吸込側Biを接続したブロワBを具備し、このブロワBの吐出側Boは、第2ラインL2寄りで筐体40に設けられて筐体40内に開口する排気口8oに第2管路8を介して接続される。しかも吸気口7i及び排気口8oは、ブロワBの作動時において、第2ラインL2側に誘導された金属片72に混じる可燃物片71を第1ラインL1側に押し出すエア流asが排気口8oを起点として筐体40内に生じるように配置、構成される。
【0063】
これにより、筐体40内でエア選別に利用されたエア流asが吸気口7i、ブロワB及び排気口8oを経て再び筐体40内に還流、循環し、そのエア流asに混じる粉塵が大気に放出されにくくなる。このため、そのエア流as中の粉塵を除去するバグフィルタ等の粉塵除去設備を小型、小容量化したり或いは省略したりする上で有利となり、大幅なコスト節減が図られる。
【0064】
また特に本実施形態において、ブロワBの吐出側と排気口8oとの間には、ブロワBから排気口8oに向かうエアの一部を大気に逃がす大気開放装置Kが接続される。これにより、ブロワBの作動による吸気口7iからのエア吸込量よりも、排気口8oから筐体40内へのエア吐出量が少なくなって、筐体40内を負圧状態に保ち易くなるため、第1,第2ラインL1,L2の下流側に存する第1,第2排出シュート41,42の開口端からの粉塵流出を効果的に抑制可能となる、といった本発明に特有の格別顕著な効果が達成される。
【0065】
また吸気口7iは、軽廃棄物ライン寄りで筐体40に配設されるので、第2ラインL2(重廃棄物ライン)寄りの排気口8oから出たエア流asを、第1ラインL1(軽廃棄物ライン)側に効率よく引き寄せることができて、その第1ラインL1側に引かれたエア流asの風圧で軽い可燃物片71を第1ラインL1に効果的に誘導可能となる。従って、筐体40内でより高精度のエア選別を行える。
【0066】
その上、実施形態の廃棄物選別装置Sは、破砕機Dから筐体40内に投入される破砕片70の投入重量を検出可能な投入重量検出装置SEと、その投入重量検出装置SEの検出結果に基づいて大気開放装置Kによるエアの大気開放量を増減制御可能な制御装置CUとを備え、制御装置CUは、投入重量検出装置SEが検出する破砕片70の投入重量が所定値より大きい場合は大気開放量(第2開閉弁V2の開度)を通常より増やし、また所定値より小さい場合は大気開放量を通常より減らす制御を行う。
【0067】
これにより、破砕片70の投入重量(従って筐体40内に投入される破砕片70の体積)が大きい場合には、その大きい破砕片70が筐体40内に投入された際に筐体40内のエアを強めに押圧しても、上記大気開放量を通常より増やして排気口8oから筐体40内へのエア流入量を減らすことで、筐体40内を適度な負圧に維持できる。一方、破砕片70の投入重量(従って上記体積)が小さい場合には、上記大気開放量を通常より減らすことで、破砕片70の体積減少分に応じて排気口8oからのエア流入量を増やせるため、筐体40内を適度な負圧に維持できる。
【0068】
以上の結果、筐体40内への破砕片70の投入重量(従って上記体積)の変動に影響されずに筐体40内を適度な負圧状態に維持できるため、筐体40内の負圧状態に基づく前記格別顕著な効果を安定して維持可能となる。
【0069】
更に実施形態の制御装置CUは、投入重量検出装置SEの検出結果と、選択スイッチSW4への操作入力態様(即ちベッドマットBMが可燃物含量の多いタイプか否かの判断結果)とに基づいて、大気開放装置Kによるエアの大気開放量(開閉弁V2の開度)を制御可能である。具体的に言えば、破砕機Dで破砕処理されるベッドマットBMが可燃物含量の多いタイプであるときに、特に筐体40内への破砕片70の投入重量が所定値より大きい場合は大気開放量を通常より減らす制御が行われるため、排気口8oから筐体40内へのエア吹出し量を増大させることができる。
【0070】
特にベッドマットBMが可燃物含量の多いタイプであり且つ破砕片70の筐体40内への投入重量が多い場合には、排気口8o周辺で多量の可燃物片71が金属片72と絡み合って滞留し易くなることで排気口8oを閉塞させる懸念が増すが、この場合に上記大気開放量(開閉弁V2の開度)を減らして排気口8oからのエア吹出し量を増大させることで、排気口8o周辺における多量の可燃物片71に因る閉塞を効果的に抑制可能となる。
【0071】
ところで
図3,
図4には、第2実施形態が示される。第1実施形態では、筐体40に只1個開口する排気口8oだけが第2エア管路8を介してブロワBの吐出側Boに接続されるものを示したが、第2実施形態では、第1実施形態の排気口8に加えて/又は代えて、別の複数の排気口8o′が、筐体40の平板状をなす第2側壁44に互いに間隔をおいて(より具体的には水平方向にも上下方向にも間隔をおいて)分散配置される。
【0072】
その複数の排気口8o′は、ブロワBの吐出側Boに延びる第1エア管路8の、開閉弁V1よりも下流側から互いに並列に分岐した複数の分岐エア管路6・・と、第1エア管路8の上流側通路部分(即ち開閉弁V1よりも上流部)とを介してブロワBの吐出側Boに並列に接続される。
【0073】
第2実施形態のその他の構成は、基本的に第1実施形態と同じであるため、第2実施形態の各構成要素には、第1実施形態の対応する構成要素と同じ参照付すにとどめ、それ以上の説明は省略する。
【0074】
而して、第2実施形態によっても、第1実施形態の前記作用効果と同等の作用効果を達成可能であるが、更に第2実施形態では、複数の排気口8o′が筐体40の第2側壁44に互いに間隔をおいて複数設けられるので、排気口8o′1個当たりのエア吹出量を少なくして、吹出エアの流動圧が過度に高くなるのを抑制できる。これにより、過度の風圧で重い金属片72までが第1ラインL1(軽廃棄物ライン)側に混入するのを効果的に回避可能となり、エア選別精度が高められる。
【0075】
しかも第2実施形態では、複数の排気口8o′が筐体40の壁面に沿って水平方向に互いに間隔をおいて分散配置されるので、複数の排気口8o′が水平方向に広範囲に分布する。従って、それら排気口8o′からのエアを第2ラインL2(重廃棄物ライン)の広範囲に亘り吹き出させることができるから、金属片72中に混じる可燃物片71を第1ラインL1(軽廃棄物ライン)側にムラなく押し出すことができ、これにより、可燃物片71の取りこぼしが少なくなって、エア選別精度が高められる。
【0076】
その上、上記複数の排気口8o′は、筐体40の壁面に沿って上下方向にも互いに間隔をおいて分散配置されるので、第2ラインL2(重廃棄物ライン)を徐々に流下する軽廃棄物を、上下に並ぶ複数の排気口8o′から吹き出すエアで、第1ラインL1(軽廃棄物ライン)側に徐々に押し出すことができ、エア選別精度が高められる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態を実施可能である。
【0078】
例えば、第1,第2実施形態では、破砕機D及び選別装置Sの破砕・選別対象となる被破砕物としてベッドマットBMを例示したが、破砕機D及び選別装置Sの破砕・選別対象は、ベッドマットBM以外の被破砕物(但し破砕機Dで生じた破砕片70が軽廃棄物(例えば可燃物片)と、重廃棄物(例えば金属片)とに選別可能なもの)でもよい。
【0079】
また第1,第2実施形態では、破砕機Dで生じた多数の破砕片70を搬送コンベア10を使用して搬送し、そのコンベア搬出部10oから選別装置Sの筐体40内に破砕片70を直接投入するようにしたものを示したが、破砕片70の搬送・投入手段は、実施形態に限定されず、搬送コンベア10以外の運搬車両や作業車両、作業機械等を用いてもよく、或いはまた、人力で搬送・投入作業を行うようにしてもよい。
【0080】
また第1,第2実施形態では、選別機としての一次選別機S1が、磁力を利用して破砕片70を鉄系金属片72(重廃棄物)と可燃物片71(軽廃棄物)とに一次選別する磁力式選別機で構成されるものを例示したが、一次選別機S1は、実施形態に限定されず、他の選別方式を採用した選別機(例えば破砕片の重量の大小に応じて軽廃棄物と重排気物とに選別可能な従来周知の重量式選別機)を用いてもよい。
【0081】
また第1,第2実施形態では、選別装置Sの筐体40内に監視カメラが設置されていないが、必要に応じて筐体40(例えば重廃棄物ラインとして第2ラインL2)内に監視カメラを設置してもよい。この場合、監視カメラの画像から、第2ラインL2内を流下する金属片72に混入した可燃物片71を色で判別し、混入を検知した場合にのみ第2選別機S2(ブロワBや開閉弁V2を含む)を作動させて、第2選別機S2による空気選別(即ち、第2ラインL2内の金属片72に混じる可燃物片71に対する第1ラインL1側への風力誘導)を行うようにしてもよい。
【0082】
また特に第2実施形態では、筐体40の壁面に複数の排気口8oを水平方向に間隔をおいて配設したものを示し、それら排気口8oを通してブロワBからのエアが筐体40内に同時に噴出するものを示したが、複数の排気口8oにそれぞれ接続される複数の分岐エア管路6を不図示の開閉弁で個別に開閉できるようにしてもよい。その場合、上記したような監視カメラの画像から金属片72に混入した可燃物片71を検知したときに、その可燃物片71を検知した部位に対応した分岐エア管路6の開閉弁のみを開弁して、それと対応する排気口8oのみからエアを噴出させることで、第2選別機S2による前記空気選別を行うようにしてもよい。
【0083】
また第1,第2実施形態では、第1ラインL1寄りで筐体40に配設される吸気口7iを、筐体40の上壁に下向き姿勢で開口させるものを示したが、吸気口7iの開口位置は、実施形態に限定されない。即ち、吸気口7iは、排気口8oから筐体40内に吹き出して吸気口7iに向かうエアが、第2ラインL2内の金属片72(重廃棄物)に混じる可燃物片71(軽廃棄物)を第1ラインL1側に押し出すエア流asを生じさせる配置であればよい。例えば、吸気口7iを筐体40の第1側壁43に開口させてもよく、或いは第1側壁43に隣接する他側壁に開口させてもよい。或いはまた、吸気口7iを横向き姿勢で第1側壁43又は他側壁に開口させてもよいし、又は内方上向きの傾斜姿勢で第1側壁43又は他側壁に開口させてもよく、特に上記傾斜姿勢の場合は、吸気口7i側へ引かれる斜め下向きエアの風圧を第2選別機S2による前記空気選別に利用してもよい。
【0084】
また第1,第2実施形態では、破砕機Dとして、破砕刃を外周部に有して破砕機本体20内に回転自在に収容、支持される刃付きロータ30が1軸式の破砕機を用いたものを例示したが、破砕機は実施形態に限定されず、他のタイプの破砕機、例えば刃付きロータを一対有した2軸式破砕機を用いてもよく、或いはまた、外周に破砕刃以外の破砕具(例えば多数の破砕用チェーンの基端)を結着したチェーン式破砕機を用いてもよい。
【0085】
また第1,第2実施形態では、ベッドマットBMが可燃物含量の大きいタイプか否かを作業員が操作入力可能な選択スイッチSW4を制御装置CUに接続し、制御装置CUが、投入重量検出装置SEの検出結果と、選択スイッチSW4への操作入力態様(即ち破砕対象となるベッドマットBMが可燃物含量の大きいタイプか否かの判断結果)とに基づいて、大気開放装置Kによるエアの大気開放量(第2開閉弁V2の開度)を制御可能としたものを示したが、ベッドマットBMが可燃物含量の大きいタイプか否かの判断手法は、選択スイッチSW4の使用に限定されない。例えば、破砕機Dのホッパ21に監視カメラを設けると共に、このカメラの撮影画像を制御装置CUに送信し、その撮影画像に基づいて制御装置CUが、ホッパ21内へ投入されるベッドマットBMのタイプ(従って可燃物含量が大きいか否か)をマット外観から判断して、その判断結果と、投入重量検出装置SEの検出結果とに基づいて、大気開放装置Kによるエアの大気開放量(第2開閉弁V2の開度)を制御するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
B・・・・・・ブロワ
Bi,Bo・・ブロワの吸込側,吐出側
BM・・・・・被破砕物としてのベッドマット
CU・・・・・制御装置
D・・・・・・破砕機
K・・・・・・大気開放装置
L1・・・・・軽廃棄物ラインとしての第1ライン
L2・・・・・重廃棄物ラインとしての第2ライン
S・・・・・・廃棄物選別装置
S1・・・・・選別機としての一次選別機
SE・・・・・投入重量検出装置
as・・・・・エア流
7i・・・・・吸気口
8o,8o′・・排気口
40・・・・・筐体
70・・・・・破砕片
71・・・・・軽廃棄物としての可燃物片
72・・・・・重廃棄物としての金属片