(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139599
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】熱変形推定装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/20 20200101AFI20241002BHJP
G06F 30/10 20200101ALI20241002BHJP
G06F 113/24 20200101ALN20241002BHJP
【FI】
G06F30/20
G06F30/10 100
G06F113:24
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050615
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 裕子
(72)【発明者】
【氏名】井上 良徳
(72)【発明者】
【氏名】岡本 浩孝
(72)【発明者】
【氏名】岸 浩史
(72)【発明者】
【氏名】車 淳一
(72)【発明者】
【氏名】清水 定行
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146DE12
5B146DJ01
(57)【要約】
【課題】熱膨張後に初期形状におおよそ復帰可能な変形の状態で、平板状部材における熱変形を推定する。
【解決手段】熱変形推定装置10は、熱膨張により変形するように拘束された平板状部材の熱膨張の初期変形における予め定められた部位の長手方向の複数位置各々における変形前後の厚み方向の曲率の変化を示す曲率変化情報を取得する取得部(12)と、取得された曲率変化情報から得られる長手方向に対する曲率変化の分布を示す曲率変化パターンに基づいて平板状部材の熱膨張による変形を推定する推定部(14)と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱膨張により変形するように拘束された平板状部材の熱膨張の初期変形における予め定められた部位の長手方向の複数位置各々における変形前後の厚み方向の曲率の変化を示す曲率変化情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得された曲率変化情報から得られる長手方向に対する曲率変化の分布を示す曲率変化パターンに基づいて前記平板状部材の熱膨張による変形を推定する推定部と、
を含む熱変形推定装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記曲率変化パターンが、長手方向中央部に曲率変化の正の極大値が現れ、前記正の極大値の両側に曲率変化の負値が現れ、前記正の極大値と前記負値との差が所定値以上の第1パターンの場合、及び長手方向中央部に曲率変化の負値が表れる第2パターンの場合に不規則変形が発生すると推定する請求項1に記載の熱変形推定装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記曲率変化パターンが、長手方向中央部に曲率変化が略一定となる領域を持ち、かつ前記領域に負値が表れない第3パターンの場合、及び長手方向中央部に曲率変化の正の極大値が現れ、前記正の極大値の両側に曲率変化の負値が現れ、前記正の極大値と前記負値との差が所定値未満の第4パターンの場合に不規則変形は発生しないと推定する請求項1に記載の熱変形推定装置。
【請求項4】
前記初期変形は、熱膨張による永久歪がほとんど残存しない範囲での変形である請求項1記載の熱変形推定装置。
【請求項5】
前記予め定められた部位は、前記平板状部材の長手方向に沿い、かつ前記平板状部材の短手方向の中央部に位置する部位である請求項1に記載の熱変形推定装置。
【請求項6】
前記平板状部材は、前記平板状部材の長辺の少なくとも一方が拘束されている請求項1に記載の熱変形推定装置。
【請求項7】
コンピュータを、
熱膨張により変形するように拘束された平板状部材の熱膨張の初期変形における予め定められた部位の長手方向の複数位置各々における変形前後の厚み方向の曲率の変化を示す曲率変化情報を取得する取得部、及び、
前記取得部で取得された曲率変化情報から得られる長手方向に対する曲率変化の分布を示す曲率変化パターンに基づいて前記平板状部材の熱膨張による変形を推定する推定部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱変形推定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
塑性変形を伴う材料を設計値に基づいて加工する場合、加工後の形状を設計値通りに仕上げるため加工時の管理が重要である。例えば、プレス成形等の成形加工では、成形品の表面に面形状不良が生じることがあり、当該面形状不良の有無を判定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、成形品の加工をコンピュータによって模擬し、加工を開始してから終了するまでのひずみの履歴を演算し、当該ひずみの履歴から、ひずみ増分の符号(正負)によって面不良を予測し、成形品の面形状不良の有無を判定している。また、成形品の表面に生じる面形状不良について、当該面形状不良の発生領域を推定する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。この技術では、プレス成形中のたわみに起因するシワの発生に着目し、加工中に生じた局所的なたわみが金型で潰されてシワが発生した部分に圧縮応力が生じ、その周囲ではシワの部分に材料が引き込まれて引張応力が生じる特性を用いて面不良を予測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-209500号公報
【特許文献2】国際公開第2016/121638号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、塑性変形を伴う材料は温度上昇等によって膨張(すなわち、熱膨張)することがある。従って、熱膨張を考慮して面形状不良について材料の変形を検討することが要求される。しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、ひずみ増分の正負による符号で面不良を予測する場合、ひずみ増分が正の状態で面不良でないと判定する場合であっても、面不良が生じることがある。従って、ひずみ増分の符号によって面不良を予測することでは、熱膨張に起因する面不良を予測することが困難である。また、特許文献2に記載の技術のように、プレス成形中のたわみに起因するシワの発生に着目したのでは、加工中に生じた局所的なたわみによるシワの発生が前提であって、圧縮応力および引張応力が生じる特性を導出する複雑な演算が要求される。さらに、熱膨張に起因する面不良では、シワが発生しない場合もある。よって、シワが発生しない場合の面不良を考慮することは困難である。従って、熱膨張に起因する面不良が発生することもあり、材料の面不良を検討することには改善の余地がある。
【0005】
本開示は、熱膨張後に初期形状におおよそ復帰可能な変形の状態で、平板状部材における熱変形を推定することができる熱変形推定装置及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本開示の第1態様は、熱膨張により変形するように拘束された平板状部材の熱膨張の初期変形における予め定められた部位の長手方向の複数位置各々における変形前後の厚み方向の曲率の変化を示す曲率変化情報を取得する取得部と、前記取得部で取得された曲率変化情報から得られる長手方向に対する曲率変化の分布を示す曲率変化パターンに基づいて前記平板状部材の熱膨張による変形を推定する推定部と、を含む熱変形推定装置である。
【0007】
第2態様は、第1態様の熱変形推定装置において、前記推定部は、前記曲率変化パターンが、長手方向中央部に曲率変化の正の極大値が現れ、前記正の極大値の両側に曲率変化の負値が現れ、前記正の極大値と前記負値との差が所定値以上の第1パターンの場合、及び長手方向中央部に曲率変化の負値が表れる第2パターンの場合に不規則変形が発生すると推定する。
【0008】
第3態様は、第1態様の熱変形推定装置において、前記推定部は、前記曲率変化パターンが、長手方向中央部に曲率変化が略一定となる領域を持ち、かつ前記領域に負値が表れない第3パターンの場合、及び長手方向中央部に曲率変化の正の極大値が現れ、前記正の極大値の両側に曲率変化の負値が現れ、前記正の極大値と前記負値との差が所定値未満の第4パターンの場合に不規則変形は発生しないと推定する。
【0009】
第4態様は、第1態様の熱変形推定装置において、前記初期変形は、熱膨張による永久歪がほとんど残存しない範囲での変形である。永久歪がほとんど残存しない範囲とは、永久歪が残存しない変形を含み、かつ初期の形状から許容された予め定めた微小変形による予め定めた微小歪を有する変形を含む範囲である。
【0010】
第5態様は、第1態様の熱変形推定装置において、前記予め定められた部位は、前記平板状部材の長手方向に沿い、かつ前記平板状部材の短手方向の中央部に位置する部位である。
【0011】
第6態様は、第1態様の熱変形推定装置において、前記平板状部材は、前記平板状部材の長辺の少なくとも一方が拘束されている。
【0012】
第7態様は、コンピュータを、熱膨張により変形するように拘束された平板状部材の熱膨張の初期変形における予め定められた部位の長手方向の複数位置各々における変形前後の厚み方向の曲率の変化を示す曲率変化情報を取得する取得部、及び、前記取得部で取得された曲率変化情報から得られる長手方向に対する曲率変化の分布を示す曲率変化パターンに基づいて前記平板状部材の熱膨張による変形を推定する推定部、として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、熱膨張後に初期形状におおよそ復帰可能な変形の状態で、平板状部材における熱変形を推定することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る熱変形推定装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る熱変形推定装置として機能するコンピュータの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】平板状部材の形状に関する構造を示す概念図である。
【
図4】平板状部材の熱膨張後の形状の一例を示す概念図である。
【
図5】平板状部材の熱膨張後の形状の一例を示す概念図である。
【
図6】平板状部材の熱膨張による曲率変化に関する概念図である。
【
図7】平板状部材の曲率と形状の対応関係を示す図である。
【
図8】平板状部材の初期変形における曲率変化パターンを示す図である。
【
図9】実施形態に係る熱変形推定処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本開示の技術を実現する実施形態を詳細に説明する。
なお、本実施形態では、作用、機能が同じ働きを担う構成要素及び処理には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明を適宜省略する場合がある。各図面は、本開示の技術を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本開示の技術は、図示例のみに限定されるものではない。また、本実施形態では、本発明と直接的に関連しない構成や周知な構成については、説明を省略する場合がある。
【0016】
図1は、本開示の実施形態に係る熱変形推定装置10の構成の一例を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、熱変形推定装置10は、取得部12、パターン特定部16、テーブル17、及び変形特定部18を含む変形推定部14、並びに出力部20を備えている。なお、本実施形態では、取得部12が、熱変形演算部11により演算された、平板状部材の板厚方向(厚み方向)の曲率変化に関する情報を取得する一例を説明する。
【0018】
図2は、熱変形推定装置10として機能するコンピュータの構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
図2に示すように、熱変形推定装置10として機能するコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)31、RAM(Random Access Memory)32、およびROM(Read Only Memory)33を備えた汎用的なコンピュータ本体30を含んで構成されている。ROM33には、熱変形推定処理プログラム33Pが格納されている。コンピュータ本体30は、入出力インタフェース(I/O)34を備えており、CPU31、RAM32、ROM33、及びI/O34は各々コマンド及びデータを授受可能にバス35を介して接続されている。また、I/O34には、外部装置と、有線接続通信及び無線接続通信の少なくとも一方の通信により通信する通信部36が接続されている。さらに、I/O34には、マウス及びキーボード等の入力装置を含む入力部37、及びディスプレイ等の表示装置を含む表示部38が接続されている。なお、これらの通信部36、入力部37、及び表示部38の少なくとも1つをコンピュータ本体30に装備してもよい。
【0020】
熱変形推定処理プログラム33Pは、例えば、熱変形推定装置10に予めインストールされていてもよい。また、熱変形推定処理プログラム33Pは、不揮発性の記憶媒体に記憶して、又はネットワークを介して配布し、熱変形推定装置10に適宜インストールすることで実現してもよい。なお、不揮発性の記憶媒体の例としては、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、光磁気ディスク、HDD(Hard Disk Drive)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、フラッシュメモリ、メモリカード等が想定される。
【0021】
コンピュータ本体30は、熱変形推定処理プログラム33PがROM33から読み出されてRAM32に展開され、RAM32に展開された熱変形推定処理プログラム33PがCPU31によって実行されることで、
図1に示す熱変形推定装置10として動作する。なお、熱変形推定処理プログラム33Pは、
図1に示す熱変形推定装置10の各部を実現するための複数のプロセスを含む。CPU30は、複数のプロセスを実行することで、
図1に示す熱変形演算部11、取得部12、変形推定部14、及び出力部20の各部として機能する。
【0022】
ここで、熱変形推定装置10の説明に先立ち、少なくとも一部が拘束された成形品などの部材の熱変形に関する挙動を説明する。本実施形態では、部材の一例として、平板状部材を用いて説明する。
【0023】
図3は、熱変形に関する挙動を説明するための部材である平板状部材40の形状に関する構造を示す概念図である。
図3に示すように、平板状部材40は、長辺L1、L2を有し、長手方向の曲率半径R、及び短手方向の曲率半径Rsでかつ板厚Tkの平板状の部材である。長手方向の曲率半径R、及び短手方向の曲率半径Rsは、平板状部材40の曲率の一例である。
なお、曲率半径R、Rsは平面(R、Rs=∞)を含む。また、詳細は後述するが、平板状部材40において、表面Sfで、長手方向に沿って短手方向の中央部の位置を熱変形に関する挙動を特定する際の注目部位CLとする。
【0024】
ところで、平板状部材40は日射等による温度上昇で熱膨張が生じる。平板状部材40の一部を接着剤等で接着固定する拘束状態では、平板状部材40は、接着固定されている箇所で熱膨張が阻止される。一方、接着固定されている箇所以外のその他の箇所では、熱膨張が生じるため、接着固定されている箇所の周囲の変形は、複雑な形状に至る場合がある。そこで、本実施形態では、平板状部材40の熱変形に関する挙動を詳細に考慮するため、平板状部材40の異なる状態を予め定めている。ここでは、ポリプロピレン製板状部材を一例として、形状、板厚、及び拘束状態の少なくとも1つが異なる複数の平板状部材40を適用する。具体的には、曲率半径R、Rs、板厚Tk、及び拘束状態を組み合わせた形状及び拘束状態による6種類の部材番号Em1からEm6の平板状部材40を一例として適用する。次の表1に、部材番号Em1からEm6の平板状部材40の適用例を示す。なお、以降では、平板状部材40を部材番号で区別して説明する場合、平板状部材40(Em1)のように部材番号を付与する。
【表1】
【0025】
平板状部材40(Em1)は、長手方向の曲率半径R1と、短手方向の曲率半径Rs3である略平坦な板状の部材であって、長辺L1のみが図示しない設置部位に拘束される。平板状部材40(Em2)は、平板状部材40(Em1)の形状に対して平板状部材40(Em1)の長手方向の曲率半径R1より小さい曲率半径R2(R1>R2)に曲げられた部材であって、長辺L1のみが拘束される。平板状部材40(Em3)は、平板状部材40(Em1)の形状に対して平板状部材40(Em1)の板厚Tk1より厚い板厚Tk2(Tk1<Tk2)の部材であって、長辺L1のみが拘束される。
【0026】
一方、平板状部材40(Em4、Em5)は、平板状部材40(Em1)に対して拘束状態を変化させた部材である。平板状部材40(Em6)は、平板状部材40(Em1)に対して短手方向の曲率半径Rsを変化させ、拘束状態を変化させた部材である。具体的には、平板状部材40(Em4)は、平板状部材40(Em1)の初期形状で、両辺、すなわち、長辺L1、L2が接着固定によって拘束される。平板状部材40(Em5)は、平板状部材40(Em1)の初期形状で、長辺L1、L2が拘束される。なお、平板状部材40(Em5)は、長辺L1が接着固定によって拘束されるが、長辺L2の拘束状態は異なる。すなわち、長辺L2は接着固定ではなく、平板状部材40の一部を折り曲げた折り曲がり部として拘束される。平板状部材40(Em6)は、平板状部材40(Em1)の形状から短手方向の曲率半径Rs3より小さい曲率半径Rs4(Rs3>Rs4)に曲げられた部材であって、長辺L1、L2が拘束されている。この平板状部材40(Em6)は、平板状部材40(Em5)と同様に、長辺L1が接着固定によって拘束され、長辺L2が折り曲がり部として拘束される。
【0027】
図4及び
図5は、6種類の平板状部材40(Em1)~40(Em6)の各々が熱膨張により変形した後の形状の一例を示す概念図である。
図4、及び
図5には、各平板状部材40の形状及び拘束状態を初期形状とし、日射等によるエネルギ付与によって生じる熱膨張による変形を有限要素解析法により演算して求めた熱膨張後の変形形状を示す一例である。
【0028】
図4及び
図5に示すように、初期形状に応じて熱膨張後の変形形状は様々な形状となる。
図4及び
図5に示す例では、平板状部材40(Em1)、40(Em4)、40(Em5)の各々に、波打ち変形のように、平板状部材40の表面Sf側から見て凸部と凹部が交互に連続する不規則変形が現れている。一方、平板状部材40(Em2)、40(Em3)、40(Em6)の各々には、不規則変形が現れていない。
【0029】
上述した平板状部材40の熱膨張後の変形形状は、熱膨張により時々刻々と変化する平板状部材40の構造を逐次解析し続けることによって得ることは可能であるが、膨大な演算負荷が要求される。このため、有限要素解析法等による解析演算に比べて演算負荷を低減して熱膨張後の変形形状を求めることは困難であった。
【0030】
ところで、例えば、平板状部材40の熱膨張時の変形は、表面に、例えば全面に現れるが、平板状部材40の表面について支配的な部位の変化を注目することで、平板状部材40の変形を推定可能と考えられる。そこで、本実施形態では、平板状部材40の表面の一部における変形を注目する。当該平板状部材40の表面の一部は、平板状部材40の長手方向(すなわち、長辺方向)に沿い、かつ平板状部材40の短手方向(すなわち、短辺方向)の中央部に位置する部位である注目部位CL(
図3)を適用する。なお、注目部位は、注目部位CL(
図3)に限定されるものではなく、平板状部材40の短手方向中央部における長手方向と板厚方向からなる注目部位CL(
図3)に対応する断面も適用可能である。以降では、注目部位の一例として当該断面を適用した場合を説明する。
【0031】
また、平板状部材40の熱膨張時の変形は、初期形状から徐々に変形するので、熱膨張時の初期変形時に、継続的に熱膨張した後の変形に至る変化に関係する変化成分が含まれていると考えられる。そして、注目部位にも初期変形時に、変化成分が含まれていると考えられる。そこで、本実施形態では、平板状部材40における注目部位の熱膨張時の初期変形時における変化成分に注目する。また、当該変化成分は、注目部位の断面における曲率変化を適用する。
【0032】
次に、
図6及び
図7を参照して曲率変化及び曲率と形状の対応関係を説明する。
図6は、平板状部材40が熱膨張により変形した際の注目部位の断面における曲率変化に関する概念図である。
図6に示す例では、注目部位CLの断面で、熱膨張による変形前後の曲率特性41について、初期状態での変形前の曲率の分布を特性42として実線で示し、熱膨張後の状態における曲率の分布を特性44として点線で示している。また、変形前の曲率と変形後の曲率との差分特性45を曲率変化の分布を示す特性46として実線で示している。
【0033】
図7は、平板状部材40の曲率と形状の対応関係を示す図である。
図7に示す例では、平板状部材40の表面からの法線ベクトル方向の曲率を正値とし、逆方向の曲率を負値としている。曲率の絶対値が大きくなるに従って凸部又は凹部の大きさが大きくなり(すなわち、急峻になり)、曲率が小さくなるに従って凸部又は凹部の大きさが小さくなる(すなわち、なだらかになる)。
【0034】
次に、上述した複数の平板状部材40(Em1~Em6)の各々の初期変形における曲率変化について説明する。具体的には、複数の平板状部材40(Em1~Em6)の各々について熱膨張に関する解析を行い、初期変形時における変化成分(すなわち、曲率変化)を抽出する。なお、本実施形態では、初期変形として、熱膨張による永久歪がほとんど残存しない範囲での変形を適用する。熱膨張による永久歪がほとんど残存しない範囲とは、永久歪が残存しない変形を含み、かつ初期の形状から許容された予め定めた微小変形による予め定めた微小歪を有する変形を含む範囲の変形である。具体的には、熱膨張に関する解析における平板状部材40の熱歪が所定値(例えば、0.3%)の初期変形での曲率変化を適用する。所定値の熱歪は、熱膨張による永久歪がほとんど残存しない範囲、すなわち、熱膨張により変形した平板状部材40が初期形状におおよそ(例えば、初期形状に対応する形状に)復元可能な予め定めた熱歪の範囲である。
【0035】
図8は、平板状部材40(Em1~Em6)の各々の初期変形における曲率変化の分布を曲率変化パターンとして示す図である。
図8に示すように、複数の平板状部材40(Em1~Em6)の各々の曲率変化の分布は、3つの曲率変化パターンに分類することが可能である。具体的には、第1の曲率変化パターンPT1は、中央部で値が略一定となる領域を有し、負値が現れない曲率変化の分布である。第2の曲率変化パターンPT2は、中央部に正の極大値とその裾、すなわち両側に負値が現れる曲率変化の分布である。第3の曲率変化パターンPT3は、中央部に負値が現れる曲率変化の分布である。なお、第3の曲率変化パターンPT3は、負値が現れる中央部の裾、すなわち両側に正値が現れる曲率変化の分布でもある。
【0036】
平板状部材40(Em2)、40(Em6)の曲率変化は、第1の曲率変化パターンPT1に対応する。また、平板状部材40(Em1)、40(Em3)の曲率変化は、第2の曲率変化パターンPT2に対応する。第2の曲率変化パターンPT2では、平板状部材40(Em1)、40(Em3)の曲率変化における中央部の正の極大値の大きさが異なる。平板状部材40(Em1)の曲率変化は、所定値th以上で、かつ平板状部材40(Em3)の曲率変化より大きい曲率変化のパターンになっている。平板状部材40(Em3)の曲率変化は、所定値th未満の曲率変化のパターンになっている。また、平板状部材40(Em4)、40(Em5)の曲率変化は、第3の曲率変化パターンPT3に対応する。
【0037】
初期変形において第1の曲率変化パターンPT1の曲率変化となる平板状部材40(Em2)、40(Em6)は、熱膨張しても何れも不規則変形を生じない。一方、第3の曲率変化パターンPT3の曲率変化となる平板状部材40(Em4)、40(Em5)は、熱膨張によって不規則変形(波打ち変形)を生じる。また、第2の曲率変化パターンPT2の曲率変化となる平板状部材40(Em1)、40(Em3)では、一方の平板状部材40(Em1)で不規則変形(波打ち変形)が生じ、他方の平板状部材40(Em3)に不規則変形(波打ち変形)が生じない。しかし、平板状部材40(Em1)は、所定値th以上の曲率変化であり、平板状部材40(Em3)は、所定値th未満の曲率変化である。この曲率変化の大きさについては、曲率変化に関する符号が変化する最小値と最大値の差の大きさにより、不規則変形の発生の有無が変化すると捉えることも可能である。すなわち、予め定めた閾値より、曲率変化の最小値と最大値の差の大きい平板状部材40(Em1)では、不規則変形が生じる。一方、予め定めた閾値より小さい平板状部材40(Em3)では不規則変形が生じない。閾値は、実験などによって導出することが可能である。
【0038】
従って、初期変形において、第1の曲率変化パターンPT1に分類される平板状部材40には、不規則変形(波打ち変形)が生じないことが推定可能である。一方、第3の曲率変化パターンPT3に分類される平板状部材40には、不規則変形(波打ち変形)が生じることが推定可能である。また、第2の曲率変化パターンPT2に分類される平板状部材40のうち曲率変化が所定値th以上の平板状部材40には、不規則変形(波打ち変形)が生じることが推定可能であり、所定値未満の平板状部材40には、不規則変形(波打ち変形)が生じないことが推定可能である。
【0039】
上述した平板状部材40の初期変形における曲率変化パターンと、不規則変形の発生の有無との関係を、次の表2に示す。
【表2】
【0040】
なお、本実施形態の曲率変化パターンPTは、本開示の曲率変化パターンの一例である。第1の曲率変化パターンPT1は、本開示の第3パターンの一例である。第2の曲率変化パターンPT2のうち平板状部材40(Em1)の曲率変化に対応する曲率変化パターンは、本開示の第1パターンの一例である。第2の曲率変化パターンPT2のうち平板状部材40(Em3)の曲率変化に対応する曲率変化パターンは、本開示の第4パターンの一例である。第3の曲率変化パターンPT3は、本開示の第2パターンの一例である。
【0041】
なお、不規則変形は、平板状部材40の熱膨張により引き起こされる次の挙動が起因となることが推定される。曲率変化パターンPT1は曲率が変化せずに熱膨張に応じてそのまま変形し、不規則変形が生じないと推定できる。曲率変化パターンPT2は中央が大きく凸側に膨張するため、凸部の裾野の両側に凹部が生じ、不規則変形が生じる場合があると推定できる。曲率変化パターンPT3は中央が凹側に変形するため、変形が増加すると座屈して凹部が生じ、不規則変形が生じると推定できる。
【0042】
従って、曲率変化パターンPT1は不規則変形が生じないので、不規則変形に対する対策は不要である。一方、曲率変化パターンPT2は、中央部に生じる凸側に膨張する変形が低減するように構造等を対策することで、中央部に生じる凸側に膨張する変形を考慮しない場合と比べて不規則変形を低減できる。また、曲率変化パターンPT3は、中央部を他の部位より熱膨張するように構造等を対策することで、中央部における熱膨張による変形を考慮しない場合と比べて不規則変形を低減できる。このように、初期変形における曲率変化パターンを指標とすることにより、不規則変形に対する対策を得ることも可能になる。
【0043】
以上のことから、本実施形態では、熱膨張時の初期変形に着目し、平板状部材40の短手方向中央部における長手方向と板厚方向からなる断面での曲率変化を用い、曲率変化パターンを指標とすることで、波打ち変形等の不規則変形の有無を推定する。
【0044】
図1に示す熱変形推定装置10の熱変形演算部11は、平板状部材40の板厚方向の曲率変化を解析し、解析結果を取得部12へ出力する。この熱変形演算部11は、平板状部材40に関する情報に基づいて、有限要素解析法によって、日射等で生じる熱膨張による変形について熱歪が所定値(例えば、0.3%)の初期変形になるまで逐次導出する機能部である。平板状部材40に関する情報は、平板状部材40の大きさ及び板厚等の形状に関する構造情報と、平板状部材40の熱膨張に関係する膨張率等を含む素材情報とを含む。熱変形演算部11は、逐次導出された熱膨張した変形形状において、上述した断面での曲率変化を抽出し、解析結果として取得部12へ出力する。
【0045】
なお、熱変形演算部11は、平板状部材40の表面における注目領域CLまたは断面を計測する計測器を適用してもよい。計測器を適用する場合、平板状部材40が熱膨張する単位時間当たりの膨張率等を予め取得しておき、平板状部材40に与えられる日射時間等を、熱歪が所定値(例えば、0.3%)の初期変形に至る時間として対応させればよい。
【0046】
取得部12は、平板状部材40の板厚方向の曲率変化に関する情報を取得する機能部である。本実施形態では、取得部12は、熱変形演算部11により演算された、初期変形における断面での曲率変化の分布を示す情報を取得する(
図6、
図8参照)。
【0047】
次に、変形推定部14について説明する。変形推定部14は、取得部12で取得された曲率変化情報から得られる平板状部材40の長手方向に対する曲率変化の分布を示す曲率変化パターンに基づいて平板状部材40の熱膨張による変形を推定する機能部である。この変形推定部14は、パターン特定部16、テーブル17、及び変形特定部18を含む。テーブル17は、上述した平板状部材40の初期変形における曲率変化パターンと、不規則変形の発生の有無との関係(表2)を記憶する機能部である。パターン特定部16は、平板状部材40の初期変形における曲率変化パターンを特定する機能部である。このパターン特定部16は、取得部12で取得された曲率変化情報、及びテーブル17を用いて、平板状部材40の初期変形における曲率変化が、テーブル17に記憶されている何れの曲率変化パターンに該当するかを特定する。変形特定部18は、平板状部材40の曲率変化による不規則変形の発生の有無を特定する機能部である。この変形特定部18は、パターン特定部16で特定された曲率変化パターン、及びテーブル17を用いて、特定された曲率変化パターンに対応する不規則変形の発生の有無を特定する。変形推定部14は、これらパターン特定部16、テーブル17、及び変形特定部18を用いて、平板状部材40の熱膨張による変形を推定する。
【0048】
出力部20(
図1)は、変形推定部14により推定された平板状部材40の熱膨張による変形を示す情報を出力する機能部である。具体的には、出力部20は、平板状部材40の初期変形における曲率変化(すなわち、曲率変化パターン)で推定される、平板状部材40に不規則変形が発生するか否かを示す情報を出力する。なお、出力部20は、上述したように初期変形における曲率変化パターンを指標として、対象の平板状部材40に対して推定される不規則変形に対する対策の要否を示す情報を出力してもよい。また、不規則変形が生じることが推定される場合、対象の平板状部材40に対して推定される不規則変形に対する対策を示す情報を出力してもよい。
【0049】
上述した熱変形演算部11は、本開示の曲率変化情報を導出するための装置の一例である。取得部12は、本開示の取得部の一例であり、変形推定部14は、本開示の推定部の一例である。
【0050】
次に、
図9を参照して、本実施形態に係る熱変形推定装置10の作用を説明する。
図9は、コンピュータが実行する熱変形推定情報を実現可能に熱変形推定装置10で実行される熱変形推定処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0051】
まず、ステップS100では、平板状部材40に関する情報を読み取る。このステップS100では、上述した熱変形演算部11が、予め記憶された情報または入力部37で入力された情報、若しくは通信部36で受信した情報である対象の平板状部材40の熱変形に関係する情報を読み取る。すなわち、平板状部材40の熱変形に関係する情報として、平板状部材40の大きさ及び板厚等の形状に関する構造情報と、平板状部材40の熱膨張に関係する膨張率等を含む素材情報とを読み取る。
【0052】
ステップS102では、平板状部材40の初期変形の形状を演算する。このステップS102では、熱変形演算部11が、平板状部材40の板厚方向の曲率変化を解析する演算を行うことで初期変形の形状を演算する。よって、日射等で生じる熱膨張による変形について熱歪が所定値の初期変形に熱膨張した変形形状における上述した断面での曲率変化を、解析結果として得ることが可能となる。
【0053】
ステップS104では、平板状部材40の初期変形時の曲率変化情報を取得する。このステップS104では、取得部12が、熱変形演算部11の解析結果の初期変形の形状を示す情報を取得することで、平板状部材40の初期変形時の曲率変化情報を取得する。取得部12で取得される曲率変化情報は、平板状部材40の初期変形における断面での曲率変化の分布を示す情報でもある。
【0054】
ステップS106では、ステップS104で取得された曲率変化情報を用いて曲率変化パターンを分類し特定する。このステップS106では、パターン特定部16が、取得された曲率変化情報、及びテーブル17を用いて、平板状部材40の初期変形における曲率変化が、テーブル17に記憶されている何れの曲率変化パターンに該当するか分類し、対象の平板状部材40の曲率変化パターンを特定する(
図8)。
【0055】
ステップS108では、ステップS106で分類されて特定された対象の平板状部材40の熱変形による変形の形状を推定する。このステップS108では、変形特定部18が、特定されている対象の平板状部材40の曲率変化パターン、及びテーブル17を用いて、対象の平板状部材40の曲率変化パターンに対応する不規則変形の発生の有無を特定することで、平板状部材40の熱膨張による変形を推定する(表2)。
【0056】
ステップS110では、ステップS108で推定された平板状部材40の熱膨張による変形を示す情報を出力し、本処理ルーチンを終了する。
【0057】
本実施形態によれば、予め定めた時期の初期変形として平板状部材40の板厚方向の曲率変化を用いて平板状部材40の熱膨張による変形を推定する。すなわち、熱膨張後に初期形状におおよそ復帰可能な変形の状態で、平板状部材40における不規則変形を含む熱膨張による変形を推定することが可能となる。平板状部材40における不規則変形を含む熱膨張による変形を推定することが可能となるので、平板状部材40が不規則変形する以前に不規則変形を低減するための対策を提供することが可能となる。
【0058】
[その他の実施形態]
以上、実施形態として熱変形推定装置を例示して説明した。実施形態は、コンピュータを、熱変形推定装置が備える各部として機能させるためのプログラムの形態としてもよい。実施形態は、このプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体の形態としてもよい。
【0059】
その他、上記実施形態で説明した熱変形推定装置の構成は、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更してもよい。
【0060】
また、上記実施形態で説明したプログラムの処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、プログラムを実行することにより、実施形態に係る処理がコンピュータを利用してソフトウェア構成により実現される場合について説明したが、これに限らない。実施形態は、例えば、ハードウェア構成や、ハードウェア構成とソフトウェア構成との組み合わせによって実現してもよい。
【0062】
さらに、上記実施形態における処理は、プログラムとして光ディスク等の記憶媒体等に記憶して流通するようにしてもよい。
【0063】
上記実施形態において、CPUとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサや、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC: Application Specific Integrated Circuit、FPGA: Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0064】
この場合、プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0065】
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【0066】
(実施態様)
本開示の技術は、以下の付記に示す従属関係の実施態様を構成し得る。
【0067】
[付記1]
熱膨張により変形するように拘束された平板状部材の熱膨張の初期変形における予め定められた部位の長手方向の複数位置各々における変形前後の厚み方向の曲率の変化を示す曲率変化情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得された曲率変化情報から得られる長手方向に対する曲率変化の分布を示す曲率変化パターンに基づいて前記平板状部材の熱膨張による変形を推定する推定部と、
を含む熱変形推定装置。
【0068】
[付記2]
前記推定部は、前記曲率変化パターンが、長手方向中央部に曲率変化の正の極大値が現れ、前記正の極大値の両側に曲率変化の負値が現れ、前記正の極大値と前記負値との差が所定値以上の第1パターンの場合、及び長手方向中央部に曲率変化の負値が表れる第2パターンの場合に不規則変形が発生すると推定する、付記1に記載の熱変形推定装置。
【0069】
[付記3]
前記推定部は、前記曲率変化パターンが、長手方向中央部に曲率変化が略一定となる領域を持ち、かつ前記領域に負値が表れない第3パターンの場合、及び長手方向中央部に曲率変化の正の極大値が現れ、前記正の極大値の両側に曲率変化の負値が現れ、前記正の極大値と前記負値との差が所定値未満の第4パターンの場合に不規則変形は発生しないと推定する、付記1又は付記2に記載の熱変形推定装置。
【0070】
[付記4]
前記初期変形は、熱膨張による永久歪がほとんど残存しない範囲での変形である、付記1から付記3の何れか1つに記載の熱変形推定装置。
【0071】
[付記5]
前記予め定められた部位は、前記平板状部材の長手方向に沿い、かつ前記平板状部材の短手方向の中央部に位置する部位である、付記1から付記4の何れか1つに記載の熱変形推定装置。
【0072】
[付記6]
前記平板状部材は、前記平板状部材の長辺の少なくとも一方が拘束されている、付記1から付記5の何れか1つに記載の熱変形推定装置。
【0073】
[付記7]
コンピュータを、
熱膨張により変形するように拘束された平板状部材の熱膨張の初期変形における予め定められた部位の長手方向の複数位置各々における変形前後の厚み方向の曲率の変化を示す曲率変化情報を取得する取得部、及び、
前記取得部で取得された曲率変化情報から得られる長手方向に対する曲率変化の分布を示す曲率変化パターンに基づいて前記平板状部材の熱膨張による変形を推定する推定部、
として機能させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0074】
10、10B、10C 熱変形推定装置
11 熱変形演算部
12 取得部
14 変形推定部
16 パターン特定部
17 テーブル
18 変形特定部
20 出力部
30 コンピュータ本体
33P 熱変形推定処理プログラム