(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139607
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】自動改札機、自動改札機の制御方法および自動改札機の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20241002BHJP
【FI】
G07B15/00 G
G07B15/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050630
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大井 沙耶
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127BA06
3E127CA02
3E127DA06
3E127DA17
3E127DA29
3E127EA02
3E127EA25
3E127FA16
3E127FA49
3E127FB06
3E127FB08
(57)【要約】
【課題】時間指定定期券を指定時間帯で利用する場合に、その利用意思を容易かつ確実に確認させることが可能で、自動改札機の通行をスムーズに行わせることができる自動改札機を提供する。
【解決手段】自動改札機は、例えば、判定部と、確認処理部と、通行可否決定部と、を備える。判定部は、予め設定された指定時間帯以外で定期券として利用可能で、指定時間帯では個別運賃で利用可能となる時間限定定期券が利用されたか否かを判定する。確認処理部は、時間限定定期券が指定時間帯に利用された場合、個別運賃での利用意思を確認する確認情報を出力する。通行可否決定部は、確認情報に対する応答内容に応じて通行の可否を決定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された指定時間帯以外で定期券として利用可能で、前記指定時間帯では個別運賃で利用可能となる時間限定定期券が利用されたか否かを判定する判定部と、
前記時間限定定期券が前記指定時間帯に利用された場合、前記個別運賃での利用意思を確認する確認情報を出力する確認処理部と、
前記確認情報に対する応答内容に応じて通行の可否を決定する通行可否決定部と、
を備える、自動改札機。
【請求項2】
前記時間限定定期券は、前記確認情報の出力を要求するか否かを示す要求情報の設定が可能であり、
前記確認処理部は、前記要求情報の設定状況に応じて前記確認情報の出力処理の実行の是非を決定する、請求項1に記載の自動改札機。
【請求項3】
前記確認処理部は、前記確認情報を表示出力態様と音声出力態様の少なくとも一方により出力する、請求項1に記載の自動改札機。
【請求項4】
前記時間限定定期券は、前記確認情報による意思確認を受ける上限回数の設定が可能であり、
前記確認処理部は、前記上限回数を超えた場合、前記確認情報の出力を抑制する、請求項1に記載の自動改札機。
【請求項5】
前記通行可否決定部は、前記時間限定定期券が前記指定時間帯に利用され、かつ前記確認情報に対する応答が所定期間内で得られない場合、前記時間限定定期券に対する処理を終了する、請求項1に記載の自動改札機。
【請求項6】
前記判定部におる処理と前記確認処理部における処理と前記通行可否決定部における処理の少なくとも一つは、前記自動改札機を管理する上位システムによって実行される、請求項1に記載の自動改札機。
【請求項7】
予め設定された指定時間帯以外で定期券として利用可能で、前記指定時間帯では個別運賃で利用可能となる時間限定定期券が利用されたか否かを判定する判定ステップと、
前記時間限定定期券が前記指定時間帯に利用された場合、前記個別運賃での利用意思を確認する確認情報を出力する確認処理ステップと、
前記確認情報に対する応答内容に応じて通行の可否を決定する通行可否決定ステップと、
を含む、自動改札機の制御方法。
【請求項8】
コンピュータに、
予め設定された指定時間帯以外で定期券として利用可能で、前記指定時間帯では個別運賃で利用可能となる時間限定定期券が利用されたか否かを判定する判定部と、
前記時間限定定期券が前記指定時間帯に利用された場合、前記個別運賃での利用意思を確認する確認情報を出力する確認処理部と、
前記確認情報に対する応答内容に応じて通行の可否を決定する通行可否決定部と、
を実行させる自動改札機の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動改札機、自動改札機の制御方法および自動改札機の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄道等の交通機関等において、混雑する時間帯を避けた利用を勧めす時差利用(時差通勤利用等)の推奨が盛んに行われている。この時差利用を浸透させる一環として、全時間帯の利用が可能な通常の定期券とは別に、指定時間帯以外のみで利用できる時間限定定期券が提案されている。この時間限定定期券は、同一区間の通常の定期券より、例えば価格面等でメリットがあるように設定されることがある。この時間指定定期券は、指定時間帯以外であれば、定期券として乗車(利用)可能できるが、指定時間帯では、定期券としては利用できず、例えば、定期券に入金(チャージ)したSF(電子マネー)での精算により乗車することができる。このような時間指定定期券の利用可能な自動改札機においては、例えば、指定時間帯で時間指定定期券が利用された場合に、定期券として利用できない旨を通知する機能を備えるものが提案されている。また、定期券の利用ができない旨を通知してSF利用に切り替える機能を有する定期券が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-203261号公報
【特許文献2】特開2018-45487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、指定時間帯、つまり混在している時間帯では、自動改札機を急いで通過する場合が多く、定期券として利用できない旨の通知を見落として、定期券利用のつもりがSF利用で自動改札機を通過してしまう場合がある。この場合、目的地で自動改札機を出る場合に、個別運賃の精算が行われることになる。その結果、気づかないうちに、定期券の入金額が減っていたり、個別運賃の精算をめぐり交通機関の職員との間でトラブルが発生する可能性があったりするという、問題があった。したがって、時間指定定期券を指定時間帯で利用する場合に、その利用意思を容易かつ確実に確認させることが可能で、自動改札機の通行をスムーズに行わせることができれば、有意義である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態における自動改札機は、例えば、判定部と、確認処理部と、通行可否決定部と、を備える。判定部は、予め設定された指定時間帯以外で定期券として利用可能で、前記指定時間帯では個別運賃で利用可能となる時間限定定期券が利用されたか否かを判定する。確認処理部は、前記時間限定定期券が前記指定時間帯に利用された場合、前記個別運賃での利用意思を確認する確認情報を出力する。通行可否決定部は、前記確認情報に対する応答内容に応じて通行の可否を決定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態における自動改札機の構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態における自動改札機に利用可能な時間限定定期券の構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態における自動改札機のCPUにおける構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態における自動改札機において、指定時間帯に時間限定定期券が利用された場合に、指定時間帯での利用確認を行う際に表示される例示的かつ模式的な表示画面例である。
【
図5】
図5は、実施形態における自動改札機において、指定時間帯では個別運賃での乗車となることを通知する際に表示される例示的かつ模式的な表示画面例である。
【
図6】
図6は、実施形態における自動改札機の処理の流れを示す例示的なフローチャートである。
【
図7】
図7は、
図6における使用意思確認処理の詳細な流れを示す例示的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0008】
図1は、実施形態における自動改札機10の構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。
【0009】
本実施形態の自動改札機10は、例えば、鉄道等の交通機関の改札内外を仕切る位置等に設置され、利用者が、ICカード(定期券や電子マネー(SF:Stored Fare)カードをセンサに翳すことにより通行が可能となるゲートである。本実施形態の自動改札機10は、ICカード乗車券の一例である「時間限定定期券」の利用が可能なシステムである。時間限定定期券は、例えば、混雑が予想される時間帯等、予め定められた指定時間帯以外であれば、定期券として乗車(利用)可能できるが、指定時間帯では、定期券としては利用できず、例えば、時間限定定期券に入金(チャージ)されたSF(電子マネー)での精算により乗車することができる定期券である。そのため、全時間帯の利用が可能な通常定期券に比べて、例えば、定期券代の割引設定等が行われたりする。なお、混雑する時間帯は、自動改札機10が設置された場所ごと(例えば、駅ごと)によって異なるため、指定時間帯は、自動改札機10ごと(駅ごと)に設定可能である。また、時間限定定期券が指定時間帯での利用か否かは、例えば、入場のために時間限定定期券を自動改札機10に翳したタイミングで判断されるものとする。
【0010】
自動改札機10は、所定の間隔(例えば、1m)を空けて配置された一対の本体部で構成されている。一対の本体部が向かい合って形成する空間が、改札内外の領域に入出場する利用者が通行可能な改札通路となる。一対の本体部は、実質的に同じ構成を有し、通行方向の長さが例えば2m程度の略直方体形状の筐体で構成される。
【0011】
自動改札機10は、
図1に示されるように、CPU(Central Processing Unit)12、メモリ部14、人間検知部16、表示部18、スピーカ部20、ドア機構22、通信部24、ICリーダライタ26等を備える。
【0012】
CPU12と、メモリ部14、人間検知部16、表示部18、スピーカ部20、ドア機構22、通信部24、ICリーダライタ26等とは、互いにデータバスなどで通信可能に接続されている。なお、自動改札機10は、適宜必要な構成を追加し、または、不要な構成を削除してもよい。例えば、自動改札機10として、ICカードとともに磁気券の扱いを可能にする場合には、磁気券処理部等が追加される。
【0013】
CPU12(処理部)は、自動改札機10全体を制御する。CPU12は、内部キャッシュおよび各種のインターフェースなどを備えてもよい。CPU12は、内部メモリ、またはメモリ部14に予め記憶された制御プログラムを実行することにより種々の処理を実現することができる。CPU12は、例えば、プロセッサである。
【0014】
なお、CPU12が制御プログラムを実行することにより実現される各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、CPU12は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0015】
メモリ部14は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリなどから構成される。メモリ部14は、例えば、予め制御プログラム及び制御データなどを格納していてもよい。また、メモリ部14は、CPU12の処理中のデータなどを一時的に格納することができる。例えば、メモリ部14は、CPU12からの命令に基づき種々の実行中のアプリケーションプログラムを格納する。また、メモリ部14は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。また、メモリ部14は、自動改札機10の運用に関する各種設定を格納する。例えば、時間限定定期券が利用不可となる「指定時間帯」の設定や時間限定定期券が自動改札機10に翳されたときの処理内容に関する設定等を格納することができる。
【0016】
人間検知部16は、自動改札機10が形成する改札通路に利用者が進入したこと、または改札通路から利用者が退去したことを検知するセンサである。人間検知部16は、改札通路の所定の位置(例えば、改札通路を構成する本体部の壁面の進行方向中央部等)に配置されている。人間検知部16は、例えば、赤外線を利用した透過型のセンサとすることができる。人間検知部16は、赤外線の遮断を検出して、利用者の進入を検知する。また、人間検知部16は、赤外線が遮断された状態から赤外線を検知すると、利用者が退去したことを検知する。人間検知部16が利用者の進入及び退去を検知する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0017】
表示部18(情報出力部の一例)は、CPU12からの信号に基づいて種々の情報を画像で表示する。表示部18は、例えば、自動改札機10の通行の可否の他、自動改札機10の通行に伴う利用状況の通知表示を行う。表示部18は、例えば、SF利用時の精算金額の表示やチャージ残高の表示、ICカード(時間限定定期券を含む)の読み取りエラー発生時のエラーメッセージの表示等を行う。表示部18としては、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)、ドットマトリックス表示装置等が利用可能である。
【0018】
スピーカ部20(情報出力部に一例)は、CPU12からの信号に基づいて種々の情報を音で出力する。例えば、スピーカ部20は、自動改札機10の通行の可否や案内情報に関する音声、または、読み取りエラーなどの警告音や音声等を出力する。
【0019】
ドア機構22は、自動改札機10の改札通路を通過する利用者を制御(制限)するために設けられるドアである。ドア機構22は、自動改札機10が形成する改札通路に設けられる。ドア機構22は、CPU12からの信号に基づいて、通行不可と判定された利用者の通行を阻止する。
【0020】
通信部24は、上位装置P等とデータの送受信を行うインターフェースである。通信部24は、インターネットなどの外部ネットワークを通じて上位装置Pなどと通信するものであってもよい。また、通信部24は、鉄道事業の内部ネットワークを通じて上位装置Pなどと通信するものであってもよい。通信部24は、例えば、LAN接続をサポートするインターフェースである。本実施形態の自動改札機10の場合、単独でICカード(時間限定定期券やSF専用カード等)の処理を可能にしてもよいし、上位装置Pとの間で情報のやり取りを行うことによって、ICカードの処理を行うようにしてもよい。例えば自動改札機10のみで処理を行う場合、通信のためのタイムラグが抑制できるため処理速度が向上する。また、自動改札機10と上位装置Pとの協働により処理を行う場合、自動改札機10の処理負荷の軽減ができる。例えば、CPU12で実行される、後述する判定部、確認処理部、通行可否決定部等で実行される処理の少なくとも一つを上位装置Pで実行することにより、自動改札機10での処理負荷を軽減することができる。また、自動改札機10と上位装置Pとの協働により処理を行う場合、利用者の所有する端末装置やパーソナルコンピュータと上位装置Pとの接続がインターネット等を介して可能になる。その結果、例えば、ICカード(時間限定定期券等)の設定や設定変更を容易に行うことが可能になり、使い勝手の向上に寄与できる。
【0021】
ICリーダライタ26(受信部)は、ICカード28(時間限定定期券や通常定期券、SF専用カード等)とデータを非接触で送受信するためのインターフェース装置である。ICリーダライタ26は、ICカード28との無線通信を行うためのアンテナ及び通信制御部などにより構成される。ICリーダライタ26では、ICカード28に対する電源供給、クロック供給、リセット制御及びデータの送受信などが行われる。ICリーダライタ26は、アンテナなどから磁界をICカード28に供給し、電力を供給する。
【0022】
また、ICリーダライタ26は、ICカード28と同等の機能を含む端末装置(スマートフォンやウェアラブル端末等)に組み込まれるICチップとデータを非接触で送受信してもよい。
【0023】
図2は、自動改札機10に利用可能なICカード28の一例である時間限定定期券28Aの構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。前述したように、時間限定定期券28Aは、指定時間帯以外で定期券として機能して、指定時間帯では、SFカードとして機能する。
【0024】
時間限定定期券28Aは、ICリーダライタ26等の外部装置から電力などの供給を受けて活性化される(動作可能な状態になる)。
【0025】
時間限定定期券28Aは、プラスチックなどで形成されたカード状の本体Cを有する。時間限定定期券28Aは、本体C内にモジュールMが内蔵される。モジュールMは、ICチップCa及び通信部としての外部インターフェース(例えば、通信部30)とが接続された状態で一体的に形成され、時間限定定期券28Aの本体C内に埋設される。
【0026】
ICチップCaは、CPU32、ROM(Read Only Memory)34と、RAM(Random Access Memory)36、及びNVM(Non-volatile memory:不揮発性メモリ)38等を備える。これらの各構成は、データバスを介して互いに接続されている。なお、ICカード28としての時間限定定期券28Aは、適宜必要な構成を追加し、または、不要な構成を削除してもよい。
【0027】
CPU32は、時間限定定期券28A全体の制御を司る制御部として機能する。CPU32は、ROM34またはNVM38に記憶されるプログラム及び制御データに基づいて種々の処理を行う。例えば、CPU32は、ROM34に記憶されているプログラムを実行することにより、時間限定定期券28Aの動作制御または時間限定定期券28Aの運用形態に応じた種々の処理を行う。
【0028】
なお、CPU32がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、CPU32は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0029】
ROM34は、予め制御用のプログラム及び制御データなどを記憶する不揮発性のメモリである。ROM34は、製造段階でプログラム及び制御データなどを記憶した状態で時間限定定期券28Aに組み込まれる。即ち、ROM34に記憶されるプログラム及び制御データは、予め時間限定定期券28Aの仕様などに応じて組み込まれる。
【0030】
RAM36は、揮発性のメモリである。RAM36は、CPU32の処理中のデータなどを一時的に格納する。例えば、RAM36は、計算用バッファ、受信用バッファ及び送信用バッファとして機能する。計算用バッファは、CPU32が実行する種々の演算処理の結果などを一時的に保持する。受信用バッファは、通信部30を介して自動改札機10から受信するコマンドデータなどを保持する。送信用バッファは、通信部30を介して自動改札機10へ送信するメッセージ(レスポンスデータ)などを保持する。
【0031】
NVM38は、例えば、EEPROM(登録商標)またはフラッシュROMなどのデータの書き込み及び書換えが可能な不揮発性のメモリにより構成される。NVM38は、時間限定定期券28Aの運用用途に応じてプログラム、アプリケーション、及び種々のデータを格納する。例えば、NVM38では、プログラムファイル及びデータファイルなどが作成される。作成された各ファイルは、プログラム及び種々のデータなどが書き込まれる。
【0032】
NVM38は、記憶領域38a~38d等を備える。記憶領域38aは、時間限定定期券28Aを特定するIDを格納する。例えば、IDは、数字、文字、記号またはそれらの組合せである。記憶領域38aは、時間限定定期券28A(ICカード28)の製造時などにおいてIDを格納する。
【0033】
記憶領域38bは、時間限定定期券28Aの定期券情報を格納する。定期券情報は、定期券に関する情報であり、有効区間情報及び有効期間情報等を備える。記憶領域38cは、SF情報を格納する。SF情報は、時間限定定期券28A(ICカード28)にチャージされた金額を示す。例えば、記憶領域38cは、自動改札機10または、自動改札機10の上位装置Pからのコマンドに基づいてSF情報を格納及び更新する。記憶領域38dは、時間限定定期券28Aの利用時の設定情報等を格納する。例えば、時間限定定期券28Aが指定時間帯に利用された場合、つまりSF利用で利用さる場合に、SF利用でよいか否かの確認を行うための確認情報を出力するか否かの設定や、その確認を行う回数の設定等が格納されている。なお、SF利用の確認を行った回数等も記憶領域38dに格納される。記憶領域38dの確認設定や回数設定は、時間限定定期券28Aを購入する際に利用する券売機等で設定または変更可能である。また、記憶領域38dの確認設定や回数設定は、時間限定定期券28Aが上位装置Pによって管理されている場合には、専用のホームページにインターネット等を介して接続することにより、利用者が所有する携帯端末やパーソナルコンピュータで変更可能である。
【0034】
通信部30は、自動改札機10のICリーダライタ26とデータを送受信するためのインターフェースである。通信部30は、ICリーダライタ26との無線通信を行うための変復調回路などの通信制御部とアンテナとにより構成される。例えば、時間限定定期券28Aは、アンテナ及び変復調回路などを介してICリーダライタ26からの電波を受信する。時間限定定期券28Aは、その電波から図示しない電源部により動作電源及び動作クロックを生成して活性化される。
【0035】
次に、上述のように構成される、自動改札機10において、ICカード28としての時間限定定期券28Aを用いた場合の制御態様について、
図3~
図7を用いて詳細に説明する。
【0036】
図3は、自動改札機10のCPU12における構成を示す例示的かつ模式的なブロック図である。CPU12は、メモリ部14等の記憶された制御プログラムを読み出し、実行することで、判定部40、時間限定定期券処理部42、通常定期券処理部44、SF処理部46等の機能を実現する。判定部40は、ICリーダライタ26に翳されたICカード28の種別を判別する。また、時間限定定期券処理部42は、ICリーダライタ26に翳されたICカード28が時間限定定期券28Aの場合に時間限定定期券28Aに対する処理を実行する。通常定期券処理部44は、ICリーダライタ26に翳されたICカード28が通常定期券の場合に通常定期券に対する処理を実行する。SF処理部46は、ICリーダライタ26に翳されたICカード28がSF専用カードである場合、または、時間限定定期券28Aや通常定期券がSF利用となる場合に、SF利用に関する処理を実行する。
【0037】
上述したように、判定部40は、ICリーダライタ26に翳されたICカード28が時間限定定期券28Aであるか、通常定期券か、SF専用カードであるか等の判定を行う。判定部40は、自動改札機10の起動中、ICリーダライタ26を通じて、定期券情報やSF情報等を取得するための要求コマンドを定期的または常時送信している。なお、判定部40は、例えば、人間検知部16により自動改札機10に人間(利用者)が接近したことを検出した場合に、要求コマンドを送信するようにしてもよい。
【0038】
ICカード28は、要求コマンドに対するレスポンスとして、定期券情報及びSF情報をICリーダライタ26に戻す。その結果、判定部40は、ICリーダライタ26に翳さあれたICカード28が、時間限定定期券28Aであるか、通常定期券であるか、SF専用カードであるか等の判別を行うことができる。
【0039】
判定部40により、ICリーダライタ26に翳されたICカード28が時間限定定期券28Aであると判定された場合、時間限定定期券処理部42は、時間限定定期券28Aに対する処理を実行する。例えば、メモリ部14から自動改札機10に設定されている指定時間帯を読み出し、現在の時刻が指定時間帯に含まれるか否か確認する。現在の時刻が指定時間帯に含まれる場合、時間限定定期券28Aを定期券として扱えない。つまり、時間限定定期券28Aは、SFカードとして扱われることになる。逆に現在の時刻が指定時間帯外の場合、時間限定定期券28Aを定期券として扱う。つまり、有効期限内であれば有効区間内を定期券利用することができる。したがって、確認処理部42aは、現在の時刻が指定時間帯に含まれる場合、利用者に対して、時間限定定期券28AをSFカードとして扱ってよいか否かの確認処理を行う。この場合、確認処理部42aは、時間限定定期券28Aが指定時間帯に利用された場合、SFカードとして扱い、個別運賃が請求される使い方をする意思(利用意思)を確認する確認情報を出力する。例えば、自動改札機10に指定時間帯として午前7:30~午前9:30が設定され、現在時刻が午前8:00である場合、時間限定定期券28Aは定期券として利用できない。それにもかかわらず、ICリーダライタ26に時間限定定期券28Aが翳された場合、利用者が、SF利用を理解した上で翳しているかSF利用となることに気づかず翳しているかの確認を行うことになる。
【0040】
このときの利用意思の確認処理は、例えば、利用者に対して自動改札機10の通過時に追加動作を要求するものとするこがである。例えば、時間限定定期券28Aを再度ICリーダライタ26に翳すことを求める追加動作要求である。つまり、時間限定定期券28Aの再翳しによって、SF利用の意思確認を行うものである。この場合の追加動作の要求は、表示部18を用いた要求メッセージの表示とスピーカ部20を用いた要求音声や警告音の出力の少なくとも一方で行うことができる。
【0041】
図4は、自動改札機10において、指定時間帯に時間限定定期券28Aが利用された場合に、指定時間帯での利用確認を行う際に表示部18に表示される例示的かつ模式的な表示画面例である。確認情報は、例えば、アニメーションによりICリーダライタ26にICカード28(時間限定定期券28A)を再度翳すことを促す表示が行われる。また、文字メッセージで、「もう一度ふれてください Pleas touch your IC card again」等の表示が行われる。また、同様な内容をスピーカ部20から音声メッセージとして出力してもよい。なお、
図4に示す意思確認の画面は一例であり、利用者に現在の時刻が時間限定定期券28Aの利用時間外であることの注意喚起ができる内容であり、乗車(入場)するためには、追加動作(例えば、時間限定定期券28Aの再翳し)が必要であることを促すものであれば、適宜変更可能である。
【0042】
確認処理部42aにより
図4に示すような確認情報(例えば、再翳しを要求する情報)の出力が行われた場合、通行可否決定部42bは、確認情報に対する応答内容に応じて通行の可否を決定する。例えば、通行可否決定部42bは、時間限定定期券28Aの再翳しが所定期間内に行われ、SF利用となる意思確認ができた場合、SF処理部46に対して、SF利用で通行を許可することを通知する。SF処理部46では、移動先で自動改札機10を通って改札内から退場する場合には、SF利用として、個別運賃をチャージ金額から精算することを示す情報を、ICリーダライタ26を介して時間限定定期券28Aの記憶領域38c等に書き込む。その結果、利用者が移動先で自動改札機10を出る場合には、チャージ金額から個別運賃の精算が行われる。この場合、退場側の自動改札機10の表示部18において、指定時間帯での入場であったため、個別運賃が適用になったことを示す情報を出力するようにしてもよい。また、通行可否決定部42bは、SF処理部46への通知と併せて、ドア機構22に対してドアを開放すること、または開放状態を維持することを通知して、ドアを開放させて利用者のSF利用による自動改札機10の通行を許可する。
【0043】
一方、通行可否決定部42bは、時間限定定期券28Aの再翳しが所定期間内に行われず、SF利用の意思確認ができない場合(SF利用が拒否された場合)、ドア機構22に対してドアを閉鎖すること、または閉鎖状態を維持することを通知して、ドアを閉鎖させて利用者の自動改札機10の通行を阻止する。この場合、通行可否決定部42bは、自動改札機10の表示部28等において、指定時間帯のため時間限定定期券28Aの利用ができないことを示すメッセージを表示するようにしてもよい。
【0044】
なお、確認処理部42aおよび通行可否決定部42bは、時間限定定期券28Aが翳された自動改札機10が利用区間以外の場合や時間限定定期券28Aが有効期限切れの場合は、SF処理部46に対してSF利用を通知して、SF利用による自動改札機10の通行処理を行う。
【0045】
判定部40において、ICリーダライタ26に翳されたICカード28が通常定期券であると判定された場合、通常定期券処理部44は、利用区間の確認や有効期限の確認を行う。そして、有効期限以内でかつ利用区間内の利用の場合、通常定期券処理部44は、ドア機構22に対してドアを開放すること、または開放状態を維持することを通知して、利用者の自動改札機10の通行を許可する。
【0046】
一方、通常定期券が利用区間外であったり、有効期限切れであったりする場合、SF利用が可能な場合は、SF利用であることを、表示部18等で表示した上で、SF処理部46に対して、SF利用で通行を許可することを通知する。SF処理部46では、移動先で自動改札機10を出る場合には、SF利用として、個別運賃をチャージ金額から精算することを示す情報を、ICリーダライタ26を介して通常定期券の記憶領域38c等に書き込む。その結果、利用者が移動先で自動改札機10を出る場合には、チャージ金額から個別運賃の精算が行われることになる。この場合、退場側の自動改札機10の表示部18において、利用区間外であることの表示や有効期限切れであることの表示を行うようにしてもよい。また、通常定期券処理部44は、SF処理部46への通知と併せて、ドア機構22に対してドアを開放すること、または開放状態を維持することを通知して、利用者のSF利用による自動改札機10の通行を許可する。なお、SF利用ができない場合、通常定期券処理部44は、ドア機構22に対してドアを閉鎖すること、または閉鎖状態を維持することを通知して、利用者の自動改札機10の通行を阻止する。
【0047】
判定部40において、ICリーダライタ26に翳されたICカード28が定期機能のないSF専用カードであると判定された場合、SF処理部46は、チャージ金額を確認し、SF利用が可能な場合には、自動改札機10の通行を許可し、移動先で自動改札機10を出る場合には、SF利用として、個別運賃をチャージ金額から精算することを示す情報を、ICリーダライタ26を介してSF専用カードに書き込む。その結果、利用者が移動先で自動改札機10を出る場合には、チャージ金額から個別運賃の精算が行われることになる。この場合、退場側の自動改札機10の表示部18において、チェーン残額の表示を行ってもよい。また、SF処理部46は、ドア機構22に対してドアを開放すること、または開放状態を維持することを通知して、利用者のSF利用による自動改札機10の通行を許可する。なお、SF利用ができない場合、SF処理部46は、ドア機構22に対してドアを閉鎖すること、または閉鎖状態を維持することを通知して、利用者の自動改札機10の通行を禁止する。
【0048】
ところで、利用者は、意図的に時間限定定期券28Aを指定時間帯で利用する場合がある。このような場合、上述したように、SF利用の意思確認、例えば、時間限定定期券28Aの再翳しを促す通知がなされたり、再翳しを要求されたりすると、利用者は煩わしさを感じてしまう場合がある。そこで、時間限定定期券28Aは、確認情報の出力を要求するか否かを示す要求情報(例えば、ビット情報)の設定を可能にしてもよい。例えば、確認情報の出力を要求する要求情報や確認情報の出力を省略する要求情報を時間限定定期券28Aの記憶領域38dに設定可能とする。この場合、確認処理部42aは、要求情報の設定状況に応じて確認情報の出力処理の実行の是非を決定する。この要求情報は、例えば、時間限定定期券28Aの購入時や利用途中で、時間限定定期券28Aを発行する券売機等で設定可能である。また、時間限定定期券28Aが上位装置Pによって管理されている場合には、専用のホームページにインターネット等を介して接続することにより、利用者が所有する携帯端末やパーソナルコンピュータで設定が可能である。このように、時間限定定期券28Aに指定時間帯での利用時にSF利用の意思確認を行うか行わないかを設定可能にすることにより、意図しないSF利用を避けたい利用者および意図的なSF利用を行う利用者に対して、違和感や煩わしさ等を与え難くすることができて、適切な時間限定定期券28Aの利用サービスを提供することができる。また、時間限定定期券28Aの指定時間帯での利用時の意思確認を不要とする利用者に対して、意思確認を省略するようにすることにより、そのような利用者の自動改札機10の通過処理の迅速化が可能になり、混雑が予想される指定時間帯の改札処理の効率化に寄与できる。
【0049】
また、時間限定定期券28Aは、確認情報による意思確認を受ける上限回数の設定を可能としてもよい。この場合、確認処理部42aは、時間限定定期券28Aにおける上限回数以下では、確認処理部42aは、確認情報の出力(SF利用の意思確認)を行い、上限回数を超えた場合は、確認情報の出力を抑制するようにしてもよい。これにより、利用者は、時間限定定期券28Aの指定時間帯でのSF利用を認識し易くなるとともに、過剰な意思確認が行われて煩わしさを感じることが軽減される。この点においても利用者に過剰な煩わしさを与えてしまうことを軽減可能となる。なお、この上限回数の設定も適宜変更することができる。また、上限回数は、例えば、半年間で上限5回の通知等のように、所定期間内での上限回数として設定したり、期間を設けずに上限回数を設定したりすることもできる。また、実施された意思確認の累計は、途中でリセットすることも可能であり、利用者の指定時間帯における時間限定定期券28Aの利用態様に応じて、意思確認の実行程度を調整するようにして、利用者への指定時間帯での時間限定定期券28Aの利用に関する注意喚起を十分かつ、過剰にならないように行うことができる。
【0050】
なお、時間限定定期券28Aには、意思確認を行う際の通知の仕方を設定できるようにしてもよい。例えば、表示部18を用いた通知とスピーカ部20を用いた通知の両方を行うようにする設定や、いずれか一方による通知を行うようにする設定や、初期の段階では、両方の通知で、通知回数が所定回を超えたらいずれか一方にする等の設定を可能にしてもよい。この場合も利用者への指定時間帯での時間限定定期券28Aの利用に関する注意喚起を十分かつ、過剰にならないように行うことができる。
【0051】
以上のように構成される自動改札機10の処理の流れを
図6に示す例示的なフローチャートを用いて説明する。
【0052】
まず、自動改札機10のCPU12の判定部40は、ICリーダライタ26にICカード28が翳されたか否かの確認を、常時または所定間隔または人間検知部16が人間を検知したタイミング等で行う(S100)。ICリーダライタ26にICカード28が翳されていない場合(S100のNo)、判定部40は、ICリーダライタ26にICカード28が翳されたか否かを継続して監視する。
【0053】
S100の処理において、ICリーダライタ26にICカード28が翳された場合(S100のYes)、ICカード28の読取ができた場合、つまり、読取未完でない場合(S102のNo)、判定部40は、読み取ったICカード28が時間限定定期券28Aであるか否か判定する(S104)。S104の処理で、時間限定定期券28Aではないと判定された場合(S104のNo)、通常定期券処理部44やSF処理部46は、通常定期券やSF専用カードに対する通行判定や必要な情報の書き込み処理を行い(S106)、今回のタイミングで翳されたICカード28に対する処理を一旦終了する。
【0054】
S104の処理で、時間限定定期券28Aであると判定された場合(S104のYes)、確認処理部42aは、この時間限定定期券28Aが指定時間帯の利用か否か確認する(S108)。指定時間帯の利用ではない場合(S108のNo)、時間限定定期券28Aは定期券として利用可能となるので、S106に移行して、時間限定定期券処理部42は、時間限定定期券28Aに関する通行判定や必要な情報の書き込み処理を行い、利用者の自動改札機10の通過可否を決定し、今回のタイミングで翳されたICカード28(時間限定定期券28A)に対する処理を一旦終了する。
【0055】
S108の処理で、時間限定定期券28Aが指定時間帯の利用である場合(S108のYes)、確認処理部42aは、確認情報の出力を要求するか否かを示す要求情報において、指定時間帯利用確認(利用意思確認)の設定が行われているか判定する(S110)。S110の処理において、指定時間帯利用確認の設定が行われていない場合(S110のNo)、つまり、利用者により、指定時間帯に時間限定定期券28Aを利用しても確認不要の設定が行われている場合である。この場合、通行可否決定部42bは、直ちにSF処理部46にSF利用を通知し、時間限定定期券処理部42は、時間限定定期券28Aに関する通行判定や必要な情報の書き込み処理を行い、利用者の自動改札機10の通過可否を決定し、今回のタイミングで翳されたICカード28(時間限定定期券28A)に対する処理を一旦終了する。
【0056】
S110の処理で、指定時間帯利用確認の設定が行われている場合(S110のYes)、つまり、利用者により、指定時間帯に時間限定定期券28Aを利用した場合に確認が必要でるという設定が行われている場合である。この場合、確認処理部42aは、利用意思確認処理を実行し(S112)、その後、S106の処理に移行し、時間限定定期券処理部42は、時間限定定期券28Aに関する通行判定や必要な情報の書き込み処理を行い、利用者の自動改札機10の通過可否を決定し、今回のタイミングで翳されたICカード28(時間限定定期券28A)に対する処理を一旦終了する。
【0057】
S102の処理において、ICカード28の読取ができていない場合、つまり、読取未完の場合(S102のYes)、ICカード28の種別に関わらず、CPU12は、ドア機構22に対してドアを閉鎖すること、または閉鎖状態を維持することを通知して、ドアを閉鎖させて利用者の自動改札機10の通行を阻止する(S114)。そして、今回のタイミングで翳されたICカード28に対する処理を一旦終了する。
【0058】
図7は、
図6のフローチャートにおけるS112の使用意思確認処理の詳細な流れを示す例示的なフローチャートである。
【0059】
S112の使用意思確認処理が開始されると、確認処理部42aは、例えば、
図4に示すような時間限定定期券28Aを再翳しする案内を表示部18に出力して、時間限定定期券28Aが指定時間帯に利用されていることを利用者に通知する(S200)。そして、確認処理部42aは、例えば、内部タイマをONして、案内開始からの経過時間の計測を開始する(S202)。そして、通行可否決定部42bは、時間限定定期券28Aの再翳しが行われたか否か確認する(S204)。そして、時間限定定期券28Aの再翳しが行われたことが確認できた場合(S204のYes)、通行可否決定部42bは、SF利用の意思確認ができたと判定し、意思確認フラグをONして(S206)、このフローを一旦終了する。つまり、
図6のフローチャートのS106の処理において、SF利用を伴う通行判定や必要な情報の書き込み処理を行い、利用者の自動改札機10の通過可否を決定し、今回のタイミングで翳されたICカード28(時間限定定期券28A)に対する処理を一旦終了する。
【0060】
S204の処理で、時間限定定期券28Aの再翳しの確認ができない場合(S204のNo)、通行可否決定部42bは、人間検知部16の検出結果を参照し、利用者が改札通路の無札位置(例えば、改札通路の中ほど、出口側のドアの手前等)まで進行したか否か確認する(S208)。利用者が改札通路の無札位置まで進行したことが確認できた場合(S208のYes)、通行可否決定部42bは、ドア機構22を介して自動改札機10の出口側のドアを閉めて(S210)、利用者の自動改札機10の通行を阻止する。
【0061】
通行可否決定部42bは、S200の案内開始(S202の計測開始)から所定期間(例えば、5秒)経過したか確認する(S212)。通行可否決定部42bは、所定期間の経過前の場合(S212のNo)、S204の処理に移行して、再翳しが行われるかの確認を継続する。S212の処理において、所定期間が経過した場合(S212のYes)、利用者は、S200の案内により時間限定定期券28Aが利用できない指定時間帯であること、また、再翳しをすれば、SF利用となり個別運賃の精算が必要になることを認識可能となっているとみなせる。また、所定期間内に時間限定定期券28Aの再翳しを行わなかったということは、現段階で自動改札機10の通行をあきらめていると推定できる。したがって、通行可否決定部42bは、改札通路内に利用者がいないか(改札通路から退避しているか)確認する(S214)。通行可否決定部42bは、改札通路に利用者がいないことを確認した場合(S214のYes)、時間限定定期券28Aに対する処理をリセットして(S216)、このフローを一旦終了する。つまり、通行可否決定部42bは、時間限定定期券28Aが指定時間帯に利用され、かつ確認情報(時間限定定期券28Aの再翳し要求)に対する応答が所定期間内で得られない場合、時間限定定期券28Aに対する処理を終了する。その結果、次の利用者に対する自動改札機10の通行処理に迅速に移行することができる。なお、S214の処理で、改札通路内に利用者がいることが確認された場合(S214のNo)、利用者の改札通路からの退避遅れや再翳し遅れなどの可能性があるため、一旦S204の処理に戻る。この場合は、例えば、改札通路からの退避や時間限定定期券28Aの再翳しを強く要求する警報を出力して利用者の次の行動を促し、
図7のフローチャートが終了するようにするようにすることが望ましい。
【0062】
また、
S208の処理で、通行可否決定部42bが、人間検知部16の検出結果を参照し、利用者が改札通路の無札位置まで進行していないと判定した場合(S208のNo)、S212の処理に移行し、S212以降の処理を実行する。
【0063】
このように、本実施形態の自動改札機10によれば、時間限定定期券28Aを指定時間帯で利用する場合に、その利用意思を利用者に容易かつ確実に確認させることが可能で、自動改札機10の通行をスムーズに行わせることができるとともに、利用者の気づかないうちに、時間限定定期券28Aの入金額が減っているという不都合や、個別運賃の精算をめぐり交通機関の職員との間でトラブルが発生するというリスクを回避し易くなる。
【0064】
本実施形態の自動改札機10のCPU12(時間限定定期券処理部42)で実行される制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0065】
さらに、制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0066】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
10 自動改札機
12 CPU
14 メモリ部
16 人間検知部
18 表示部
20 スピーカ部
22 ドア機構
24 通信部
26 ICリーダライタ
28 ICカード
28A 時間限定定期券
30 通信部