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特開2024-139608ロボットの制御システム、ロボット、ロボットの制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139608
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】ロボットの制御システム、ロボット、ロボットの制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/04 20060101AFI20241002BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20241002BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20241002BHJP
   B25J 19/04 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
B25J15/04 A
B25J5/00 A
B25J13/08 A
B25J19/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050632
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】591280485
【氏名又は名称】ソフトバンクグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孫 正義
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS03
3C707AS12
3C707AS13
3C707AS15
3C707AS35
3C707BS27
3C707CS08
3C707DS05
3C707ES06
3C707GS01
3C707GS19
3C707KS07
3C707KS08
3C707KS09
3C707KT01
3C707KT05
3C707KV08
3C707KV18
3C707KX07
3C707WA03
3C707WA16
(57)【要約】
【課題】把持部による荷物の把持を含む複数の仕事種の仕事を直接的に実行することで、制御負担を軽減する。
【解決手段】ロボットツール20を用い、対象物100で把持することを主目的としているが、対象物100に対する仕事種が把持ではなく、他の仕事種の場合、ロボットツール20で各種仕事に対応する工具を把持して、対象物100に対峙することも可能であるが、同一の仕事種を継続的に実行する場合は、把持状態の維持制御(把持部と把持している工具との相対位置制御等)の負担が大きい。そこで、ロボットツール20に代えて、対象物100に対する仕事種に応じて、図1及び図4に示すように、ロボットツール21EX(第1の実施の形態では、21EXA、21EXB、21EXCの3種類)を具備しておき、必要に応じて、ロボットツール20から、ロボットツール21EXに交換して、対象物100の把持とは別の仕事種に応じた仕事を実行する構成とした。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元的に稼働する腕部の手首部位で着脱可能であり、対象物に対する仕事種に応じてツールを装着し、前記対象物に対する仕事を実行するロボットの制御システムであって、
前記対象物に対する仕事種を判定する判定部と、
前記判定部で判定された仕事種に対応する前記ツールを装着させる動作を制御し、前記仕事種に応じた動作を制御する制御部と、
を有するロボットの制御システム。
【請求項2】
少なくとも前記ツールを装着可能な複数の腕部を備え、
一の腕部には、前記対象物に対する仕事種に応じたツールが選択的に装着され、
他の腕部には、前記対象物に対する、主たる作業の補助作業を実行可能な補助作業ツールが装着される、請求項1記載のロボットの制御システム。
【請求項3】
前記補助作業ツールが、人の手の機能を有し、前記対象物をホールドする、請求項2記載のロボットの制御システム。
【請求項4】
前記補助作業ツールが、前記対象物に対する主たる作業に特化して監視する監視センサツールを備える、請求項2記載のロボットの制御システム。
【請求項5】
前記ロボットが、人型ロボットである、請求項1記載のロボットの制御システム。
【請求項6】
前記ロボットが、床面に対して駆動輪を介して支持された車両に搭載されている、請求項1記載のロボットの制御システム。
【請求項7】
前記判定部が、前記ツールに搭載された、前記対象物の画像を撮影して当該対象物の種類を識別するカメラ、及び、前記対象物の位置を特定するモーションプロセシングユニットを備えたセンサ部からの情報で判定する、請求項1記載のロボットの制御システム。
【請求項8】
三次元的に稼働する腕部の手首部位で着脱可能であり、対象物に対する仕事種に応じてツールを装着し、前記対象物に対する仕事を実行するロボットであって、
前記対象物及びツールの位置を特定するセンシングユニットを有するロボット。
【請求項9】
コンピュータを請求項1~請求項7の何れか1項記載の前記判定部、前記制御部として動作させる、ロッボットの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの制御システム、ロボット、ロボットの制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場の生産ラインにおいては作業を自動で行うための人型ロボットが使用されている。特許文献1には、人型ロボットの姿勢制御について記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、弾性体アクチュエータで駆動されて複数の関節を有するロボットアームであって、ロボットアームの手先部に配設され支持面と接触することによりロボットアームを支持する手先支持部材と、手先支持部材と支持面との接触する力を制御すると同時にロボットアームの手先部の位置及び姿勢を制御する制御部により制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-093506号公報
【特許文献2】WO2011/001569公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の人型ロボットによる倉庫内でのピッキング作業において、例えば、荷物が陳列されている棚から当該荷物(シャンプーや、コンディショナー、化粧品、歯磨き粉、カップラーメン、菓子袋等の形状や重さ、硬さ、壊れやすさが違うもの)をピックアップし、所定の包装体(箱等)に収容してパッキングするような場面において、現状では人の手に頼っている。
【0006】
また、ロボットの把持部の構造をフィンガータイプとして対応しようとしても、指や腕の動きが遅いため、生産性が低い。さらに、荷物の把持以外の仕事種を実行する場合、把持部で必要な工具(例えば、ドリル、スクリュードライバー等)を把持して作業することになり、把持状態の管理制御が加わった間接的な作業となるため、制御負担が大きくなる場合がある。
【0007】
本発明は上記事実を考慮し、把持部による荷物の把持を含む複数の仕事種の仕事を直接的に実行することで、制御負担を軽減することができるロボットの制御システム、ロボット、ロボットの制御プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様1に係るロボットの制御システムは、三次元的に稼働する腕部の手首部位で着脱可能であり、対象物に対する仕事種に応じてツールを装着し、前記対象物に対する仕事を実行するロボットの制御システムであって、前記対象物に対する仕事種を判定する判定部と、前記判定部で判定された仕事種に対応する前記ツールを装着させる動作を制御し、前記仕事種に応じた動作を制御する制御部と、を有している。
【0009】
本発明の態様1によれば、制御部は、対象物に対する仕事種を判定する判定部で判定された仕事種に対応するツールを装着させる動作を制御すると共に、仕事種に応じた動作を制御する。
【0010】
これにより、把持部による荷物の把持を含む複数の仕事種の仕事を直接的に実行することで、制御負担を軽減することができる。
【0011】
本発明の態様2は、前記態様1において、少なくとも前記ツールを装着可能な複数の腕部を備え、一の腕部には、前記対象物に対する仕事種に応じたツールが選択的に装着され、他の腕部には、前記対象物に対する、主たる作業の補助作業を実行可能な補助作業ツールが装着されることを特徴としている。
【0012】
複数の腕部が、それぞれの役割(主たる仕事、及び主たる仕事の補助)を果たすことができる。
【0013】
本発明の態様3は、前記態様2において、前記補助作業ツールが、人の手の機能を有し、前記対象物をホールドすることを特徴としている。
【0014】
主たる仕事の際の対象物をホールドし、安定して主たる作業を実行することができる。
【0015】
本発明の態様4は、前記態様2又は態様3において、前記補助作業ツールが、前記対象物に対する主たる作業に特化して監視する監視センサツールを備えることを特徴としている。
【0016】
例えば、人の手で対象物を押さえながら作業でき、かつ当該作業を監視センサツールによって、主たる作業を監視することができる。
【0017】
本発明に係る態様5は、前記態様1~態様4の何れか1つに記載の発明において、前記ロボットが、人型ロボットであることを特徴としている。
【0018】
人型ロボットとすることで、人に近い作業が可能であり汎用性が高い。
【0019】
本発明に係る態様6は、前記態様1~態様4の何れか1つに記載の発明において、前記ロボットが、床面に対して駆動輪を介して支持された車両に搭載されていることを特徴としている。
【0020】
車両に搭載することで、機能性(機敏性)を重視した作業環境での作業の効率化を図ることができる。
【0021】
本発明に係る態様7は、前記態様1~態様6の何れか1つに記載の発明において、前記判定部が、前記ツールに搭載された、前記対象物の画像を撮影して当該対象物の種類を識別するカメラ、及び、前記対象物の位置を特定するモーションプロセシングユニットを備えたセンサ部からの情報で判定することを特徴としている。
【0022】
カメラは、撮影した画像情報に基づき、撮影された対象物(以下、荷物という場合がある。)を識別する。すなわち、対象物の種類(形状、大きさ、硬さ等)を特定するための情報を取得する役目を有する。
【0023】
モーションプロセシングユニット(MoPU)は、対象物の存在位置を示す点の、所定の座標軸に沿った動きのベクトル情報を動き情報と共に位置情報として出力する。すなわち、MoPUから出力される動き情報には、対象物の中心点(又は重心点)の座標軸(x軸、y軸、z軸)上の動き(移動方向と移動速度)を示す情報のみが含まれている。すなわち、把持部が対象物に接近するときの軌跡を精度よく案内することができる。
【0024】
本発明の態様9に係るロボットは、三次元的に稼働する腕部の手首部位で着脱可能であり、対象物に対する仕事種に応じてツールを装着し、前記対象物に対する仕事を実行するロボットであって、前記対象物及びツールの位置を特定するセンシングユニットを有している。
【0025】
本発明の態様9に係るロボットの制御プログラムは、前記態様1~態様7の何れか1つに記載の発明において、コンピュータを上記の前記判定部、前記制御部として動作させることを特徴としている。
【0026】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば、把持部による荷物の把持を含む複数の仕事種の仕事を直接的に実行することで、制御負担を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】第1の実施の形態に係る人型ロボットの正面図である。
図2】第1の実施の形態に係る人型ロボットの側面図である。
図3】第1の実施の形態に係る人型ロボットにロボットツールを装着した状態を示す平面図である。
図4図3(A)~(D)に対応するロボットツールでの作業状況を示す斜視図である。
図5】第1の実施の形態に係る人型ロボットの機能構成の一例を概略的に示す図である。
図6】人型ロボットの全体の動作に連動し、把持部によって荷物を把持する際の把持制御の手順を示すフローチャートである。
図7】ロボットツール適用処理サブルーチンの詳細を示す制御フローチャートである。
図8】第1の実施の形態の変形例(変形例1)に係る人型ロボットの平面図である。
図9】(A)は第2の実施の形態に係るアームの正面図、(B)~(D)はアームに装着可能なロボットツールの正面図である。
図10】第2の実施の形態の変形例(変形例2)に係るアームの斜視図である。
図11】第2の実施の形態の変形例(変形例3)に係るアームの斜視図である。
図12】第2の実施の形態に係るアームを用いた、EV車製造ラインでの作業状況を示す斜視図である。
図13】第2の実施の形態に係るアームを用いたEV車製造ラインでの作業状況であり、(A)はエンジルーム(駆動ユニットルーム)での作業での作業を示す斜視図、(B)は車室内での作業を示す斜視図である。
図14】Central Brainとして機能するコンピュータのハードウェア構成の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0030】
(第1の実施の形態)
【0031】
図1は第1の実施の形態に係る人型ロボット1の正面図である。図1に示すように、第1の実施の形態に係る人型ロボット1は、上半身部2、脚部3、および上半身部2を脚部3に対して回動可能に連結する連結部4を備え、例えば工場の生産ライン等に配置されて、作業の対象物100に対して作業を行う。
【0032】
作業が、対象物100である荷物を把持するするピッキング作業の場合は、生産ライン上、又は床上の対象物(落下物等)に対して把持する。なお、把持作業は、棚から対象物100を把持するピッキング以外に、把持した対象物100を所定の筐体(ダンボール等)に収容するパッキングを含む。
【0033】
上半身部2は2本の腕部5、6を有する。腕部5、6は上半身部2の左右に回動自在に取り付けられている。また、腕部5、6の先端には対象物100に対して所定の作業を実行するためのロボットツール20L、20R(詳細後述)が取り付けられている。なお、腕部は2本に限定されるものではなく、1本あるいは3本以上であってもよい。
【0034】
脚部3は2つの車輪7、8がその下部に取り付けられており、人型ロボット1が配置される床の上を移動可能とされている。
【0035】
連結部4は、上半身部2と脚部3を回動可能に連結する。このため、上半身部2は、脚部3に対して前傾および後傾が可能となっている。このため、第1の実施の形態に係る人型ロボット1は、図2に示すように、脚部3に対して上半身部2を前傾させて、棚に置かれた対象物100や、床に置かれていた対象物100、及び作業中に床に落ちたりした対象物100を拾うことが可能である。
【0036】
なお、脚部3は、上半身部2が脚部3に対して前傾または後傾したり、人型ロボット1が移動したりした際に、人型ロボット1が転倒しないようにするためのバランス機能を有する。
【0037】
また、連結部4は、図1に示すように上半身部2と脚部3との距離を変更可能な機能を有する。このため、生産ラインにおける作業台の高さに合うように、脚部3に対する上半身部2の上下方向の位置を矢印Aに示すように調整することができる。
【0038】
また、第1の実施の形態に係る人型ロボット1は、人型ロボット1内に実装された制御システム10(図5参照)によりその駆動が制御される。
【0039】
(ロボットツール20L、20Rの構造)
図3(A)に示される如く、人間で言えば左手に相当する、腕部6の先端に取り付けられたロボットツール20Lは、人間の同様の手の構造とされ(Intelligent Hand System)、主として、ロボットツール20Rでの作業の際に、対象物100を動かないように押さえる等の補助作業を行う。
【0040】
また、図3(A)に示される如く、人間で言えば右手に相当する、腕部5の先端に取り付けられたロボットツール20Rは、特定の作業を実行するツールである。
【0041】
ロボットツール20L、20Rは、腕部6、5に対して、ユニバーサルジョイント構造で連結されており、それぞれ、三次元的に回転自在に取り付けられている。より詳しくは、手首の回転(ひねり)、及び、手首の上下動作(コッキング)が可能であり、さらに、必要に応じて手首の伸縮動作を可能としてもよい。
【0042】
また、少なくとも腕部5に装着されたロボットツール20Rは、腕部5に対して着脱可能であり、後述する、ロボットツール21EXと取り替えることが可能となっている。
【0043】
腕部6に装着されたロボットツール20Lは、着脱対象としていないが、ロボットツール20Rと同様に、着脱可能としてもよい。
【0044】
腕部5は、指示された作業を実行するためのツールに取り替えられる。一方、腕部6は、指示された作業の実行を補助する役目(例えば、対象物100の把持を補助するように支える、或いは対象物100を加工するときに動かないように押さえる等)を有する補助作業ツールという位置付けとなる。
【0045】
なお、第1の実施の形態の人型ロボット1では、人間の右利きに相当する構造であり、実際の作業を利き腕である右側の腕部5に、着脱可能にロボットツール20Rを取り付け、利き腕ではない左側の腕部6に人の手の構造のロボットツール20L(補助作業ツール)を取り付けたが、人間の左利きに相当する構造(腕部5に補助作業ツール(人の手)、腕部6に作業用ツール)としてもよい。
【0046】
(ロボットツール20L)
図3に示される如く、第1の実施の形態に係るロボットツール20Lは、所謂人間の掌に相当する基部として掌部を備え、掌部には、各々複数の関節を備えた5本の指部が取り付けられている。なお、第1の実施の形態では、ロボットツール20Lの指の数を5本としているが、3本指などの数の異なる指構造であってもよい。
【0047】
掌部には、掌センサ26が取り付けられている。第1の実施の形態に係る掌センサ26を構成する高解像度カメラは、撮影した画像情報に基づき、撮影された対象物100が何であるかシャンプー、コンディショナー、化粧品、歯磨き粉等のケア商品なのか、又は、カップラーメン、菓子袋等の食品なのかを識別する。
【0048】
言い換えると、高解像度カメラは、対象物100の種類(形状、大きさ、硬さ等)を特定するための情報を取得する役目を有する。
【0049】
一方、高解像度カメラと共に、第1の実施の形態の掌センサ26を構成するMoPUは、1000フレーム/秒以上のフレームレートで撮影された対象物100の画像から、撮影された対象物100の動き(この場合、腕部5、6との間の相対的な動きとなる。)を示す動き情報を、例えば1000フレーム/秒以上のフレームレートで出力する。なお、移動中の対象物100を検知する場合、フレームレートを上げて、固定物(移動しない対象物100)を検知する場合、フレームレートを下げるようにしてもよい。
【0050】
MoPUは、対象物100の存在位置を示す点の、所定の座標軸に沿った動きのベクトル情報を動き情報として出力する。すなわち、MoPUから出力される動き情報には、撮影された対象物100が何であるか(上記ケア商品、食品)を識別するために必要な情報は含まれておらず、当該対象物100の中心点(又は重心点)の座標軸(x軸、y軸、z軸)上の動き(移動方向と移動速度)を示す情報のみが含まれている。
【0051】
すなわち、ロボットツール20が対象物100に接近するときの軌跡を精度よく案内することができる。
【0052】
高解像度カメラ及びMoPUを含む掌センサ26から出力された情報は、情報処理装置14に供給される。情報処理装置14は、本発明の判定部、及び制御部として機能する。
【0053】
なお、掌センサ26(高解像度カメラ及びMoPU)は、最も作業に近い場所として示したが、掌に取り付けることが必須ではない。例えば、手の甲や手首に高解像度カメラ及びMoPUを、取り付けてもよい。また、俯瞰で作業を把握するためには、高解像度カメラ及びMoPUを、図3に示す人型ロボット1の頭部に取り付けるようにしてもよい。さらに、高解像度カメラ及びMoPUを複数の位置に取り付けてもよい。
【0054】
情報処理装置14は、高解像度カメラ及びMoPUを含む掌センサ26からの情報により、高精度に対象物100の位置を特定し、把持するときの指部22A、22B、22Cの広がり度合い、掴むときの強度、及び吸着パッド24による吸着力等を演算し、腕部5、6及びロボットツール20の微小な動きを、精度よくコントロールし、様々な対象物100のピッキング作業に対応することができる。
【0055】
(ロボットツール20R、及び、ロボットツール21EX)
第1の実施の形態では、対象物100に対する仕事種として、ロボットツール20Rを用い、対象物100で把持することを主目的としている。
【0056】
一方、対象物100に対する仕事種が把持ではなく、他の仕事種(例えば、重量物把持、ドリルによる穿孔、汚れ拭き取り、微細物取扱い(ピンセット作業)等)の場合がある。
【0057】
この場合、ロボットツール20Rで各種仕事に対応する工具を把持して、対象物100に対峙することも可能であるが、同一の仕事種を継続的に実行する場合は、把持状態の維持制御(把持部と把持している工具との相対位置制御等)の負担が大きい。
【0058】
そこで、第1の実施の形態では、腕部5に装着された基本ツールであるロボットツール20R(図3(A)参照)に代えて、対象物100に対する仕事種に応じて、図3(B)~(C)に示すように、ロボットツール21EX(第1の実施の形態では、21EXA、21EXB、21EXCの3種類)を具備しておき、必要に応じて、ロボットツール20Rから、ロボットツール21EXに交換して、対象物100の把持とは別の仕事種に応じた仕事を実行する構成とした。
【0059】
(ロボットツール21EXの保管例)
図1に示される如く、人型ロボット1は、上半身部2の下部(所謂、腰位置)にベルト28が装着され、ベルト28には、3個のロボットツール21EXA、21EXB、21EXCの各々を着脱可能に保持するホルダ(図示省略)が取り付けられている。
【0060】
図1では、3個のロボットツール21EXとしているが、ロボットツール20Rに代えて装着可能なロボットツール21EXの数は、1種類、2種類、又は4種類以上であってもよく、後述する対象物100の属性に合わせて、装着する数を決めればよい。
【0061】
図3及び図4は、ロボットツール20R、及び、ロボットツール20Rに代えて腕部5に装着可能なロボットツール21(21EXA、21EXB、21EX)の詳細構成と、その用途との関係が示されている。
【0062】
図3(A)及び図4(A)は、ロボットツールの基本ツールであるロボットツール20Rによる対象物100の把持状態を示している。ロボットツール21EXBの仕事種は、ロボットツール20Lと同様に把持であるが、ロボットツール20Lでは把持が困難な特殊な対象物100(重量オーバー等)を把持することができる構造となっている。
【0063】
すなわち、ロボットツール20Rは、例えば、重機のアタッチメントとして適用されるフォークと同様の構造である。第1の実施の形態では、ロボットツール20Rは、2本指構造となっており、圧力源から配管を介して供給される圧力により、2本の指が開いたり閉じたりすることで、モータ等による把持動作(ロボットツール20L)に比べて、汎用性は低いが、対象物100を掴む強度が増強されている。
【0064】
このロボットツール20Rでの作業中、ロボットツール20Lは、対象物100が動かないように押さえている。
【0065】
図3(B)及び図4(B)に示される如く、ロボットツール21EXAの仕事種は穿孔であり、ツールとして、ドリルが取り付けられている。ドリルには、所定の径寸法のドリル刃が着脱可能に取り付け可能であり、ドリル刃は、対象物100に穿孔するための孔寸法に合わせて事前に装着されている。
【0066】
このロボットツール21EXAでの作業中、ロボットツール20Lは、対象物100が動かないように押さえている。
【0067】
図3(C)及び図4(C)に示される如く、ロボットツール21EXBの仕事種は、汚れの拭き取りであり、cotton swab(例えば、綿棒)が取り付けられている。
【0068】
ロボットツール21EXBでは、ロボットツール20Lによって抑えられた対象物100の表面に付着している汚れ部位100Aを、cotton swabを接触させながら左右に振幅移動させることで、拭き取ることができる構造となっている。
【0069】
このロボットツール21EXBでの作業中、ロボットツール20Lは、対象物100が動かないように押さえている。
【0070】
図3(D)及び図4(D)に示される如く、ロボットツール21EXCの仕事種は、微細物をつまんだり、抜き取ったりするピンセット作業であり、ツールとして、tweezer(ピンセット)が取り付けられている。なお、微細物の汚れとは、電気基板上に電子部品を取り付ける場合の半田のペーストや、金属を溶着する場合の溶接の後の溶接材かす等が挙げられる。
【0071】
ロボットツール21EXCでは、ロボットツール20Lによって抑えられた対象物100の表面に付着している塵埃等の微細物100Bを、ピンセットでつまみあげて除去することができる構造となっている。なお、塵埃等とは、ドリルによる穿孔時に発生する削りかす等があげられる。なお、狭い溝に入り込んだビス等を取り除くときにも適用可能である。
【0072】
このロボットツール21EXCでの作業中、ロボットツール20Lは、対象物100が動かないように押さえている。
【0073】
その他、第1の実施の形態では、人型ロボット1に搭載していないが、ロボットツールとして、塗装用のスプレーガン、電動ドリル、彫刻刀、筆記具、3D造形用成形剤吐出等、他の仕事種のロボットツールを装着してもよい。
【0074】
例えば、スプレーガンは、吹き付け塗装で使用されるピストル状の塗装機器の一つである。コンプレッサー(図示省略)の圧縮空気を利用し塗料を霧状にして、スプレーガンの先端から噴出させる構造となっており、被塗装面に対してムラなく塗装することが可能である。
【0075】
ここで、第1の実施の形態では、仕事種に基づいて、最適なロボットツール20R、ロボットツール21EXを選択し(表1参照)、ロボットツール20から、選択したロボットツール21に付け替えて、処理を実行する。
【0076】
【表1】
【0077】
なお、ロボットツール20Lには掌センサ26を取り付けているが、各々のロボットツール21EXにもセンサ部26を取り付けてもよい。
【0078】
図5は、第1の実施の形態に係る人型ロボット1の制御システム10の一例の概略図である。制御システム10は、人型ロボットに搭載されるセンサ12と、高解像度カメラ及びMoPUを含む掌センサ26と、情報処理装置14とを備えている。
【0079】
センサ12は、人型ロボット1の周辺にある、人型ロボット1が作業する対象物100と腕部5、6との距離および角度を少なくとも表す情報を逐次取得する。センサ12としては、最高性能のカメラ、ソリッドステートLiDAR、マルチカラーレーザ同軸変位計、又はその他様々なセンサ群が採用され得る。また他には、センサ12としては、振動計、サーモカメラ、硬度計、レーダー、LiDAR、高画素・望遠・超広角・360度・高性能カメラ、ビジョン認識、微細音、超音波、振動、赤外線、紫外線、電磁波、温度、湿度、スポットAI天気予報、高精度マルチチャネルGPS、低高度衛星情報、又はロングテールインシデントAI data等が挙げられる。
【0080】
なお、センサ12は、上記の情報のほかに、画像、距離、振動、熱、匂い、色、音、超音波、紫外線、又は赤外線等を検知する。他にセンサ12が検知する情報としては、人型ロボット1の重心移動、人型ロボット1が設置される床の材質の検知、外気温度の検知、外気湿度の検知、床の上下横斜め傾き角度の検知、水分量の検知等が挙げられる。
【0081】
センサ12は、これらの検知を例えばナノ秒毎に実施する。
【0082】
掌センサ26(高解像度カメラ及びMoPU)は、腕部5、6のロボットツール20Lに設けられるセンサであり、センサ12とは別に、対象物100を撮影するカメラ機能、及び、対象物100位置を特定する位置特定機能を有する。
【0083】
なお、1つのMoPU12を用いた場合には、対象物100の存在位置を示す点の、三次元直交座標系における2つの座標軸(x軸及びy軸)の各々に沿った動きのベクトル情報を取得することが可能である。ステレオカメラの原理を利用して、2つのMoPU12を用いて、対象物100の存在位置を示す点の、三次元直交座標系における3つの座標軸(x軸、y軸、z軸)の各々に沿った動きのベクトル情報を出力してもよい。z軸は、奥行方法(車両の走行)に沿った軸である。
【0084】
情報処理装置14は、情報取得部140と、制御部142と、情報蓄積部144とを備えている。
【0085】
情報取得部140は、センサ12及び掌センサ26(高解像度カメラ及びMoPU)によって検知された対象物100の情報を取得する。
【0086】
制御部142は、情報取得部140がセンサ12から取得した情報とAI(Artificial intelligence)とを用いて、連結部4の回動動作、上下方向の移動動作および腕部5、6の動作等を制御する。
【0087】
また、制御部142は、情報取得部140が掌センサ26(高解像度カメラ及びMoPU)から取得した情報を用いて、対象物100の種類(形状、大きさ、硬さ等)及び位置を詳細に把握し、当該外形や位置に応じて対峙させ、例えば、対象物100を把持するように制御する(把持制御)。
【0088】
例えば、制御部142は、全体の動作として、以下の各処理を実行する。
(1)棚及び床にある対象物100を拾い上げることが可能なように連結部4を駆動して、上半身部2を前傾または後傾させる。
(2)対象物100をつかむことが可能なように腕部5、6および把持部を駆動する。
(3)生産ラインの作業台の高さに合うように、上半身部2を脚部3に対して上下に駆動する。
(4)人型ロボット1の転倒を防ぐために、バランスを取る。
(5)人型ロボット1がカート等を押し進めることができるように、車輪7、8の駆動を制御する。
【0089】
以下に第1の実施の形態の作業を説明する。
【0090】
(対象物100に対する仕事制御)
図6は、ロボットツール20によって対象物100を対象とする仕事を実行する際の仕事制御の手順を示すフローチャートである。
【0091】
ステップ150では、対象物100の仕事の指示があったか否かを判断し、肯定判定されると、ステップ152へ移行して、人型ロボット1を移動させ(例えば、腕部5、6を動作させ)、対象の対象物100に掌側を対峙させ、ステップ154へ移行する。
【0092】
ステップ154では、ロボットツール20Lを対象物100に対向させて、掌センサ26(高解像度カメラ及びMoPU)で対象物100の情報を検出する。
【0093】
次のステップ156では、掌センサ26による検出情報を解析して、対象物100の種類(形状、大きさ、硬さ等)及び位置を詳細に把握し、ステップ158へ移行する。
【0094】
ステップ158では、対象物100を対象とする仕事のための作業(仕事種)を選択する。次いで、ステップ160へ移行して、対象物100の属性に応じた、ロボットツール20R、21EXA、21EXB、21EXCの選択処理(詳細は、図7参照)を実行し、ステップ162へ移行する。
【0095】
ステップ162では、対象物100を対象とする仕事(例えば、ロボットツール20Rであれば、重量物の把持)を実行する。
【0096】
次のステップ164では、対象物100に対する仕事が成功したか否かを判定し、肯定判定された場合は、後処理(把持した場合は、把持した対象物100を所定の場所へ運ぶ後処理)を実行し、ステップ150へ移行して、次の対象物100に対する仕事の指示を待つ。
【0097】
また、ステップ164で否定判定された場合は、ステップ166へ移行して、エラー処理を実行し、ステップ150へ戻る。
【0098】
ロボットツール20Lには、高解像度カメラ及びMoPUを含む掌センサ26を取り付けているので、仕事の状況をリアルタイムで把握することができる。仮に、仕事が不成功であっても、迅速な対応(トラブルシューティング)が可能となる。
【0099】
また、掌センサ26(高解像度カメラ及びMoPU)が掌側20Aに搭載されているので、高精度に対象物100を捉えることができ、微小な動きをする作業にも対応することができる。
【0100】
(ロボットツール適用処理の詳細)
図7は、ロボットツール適用処理サブルーチンの詳細を示す制御フローチャートである。
【0101】
ステップ200では、対象物100に対する仕事種(表1参照)に基づき、ロボットツール20R又は21EXA、21EXB、21EXCを選択する。
【0102】
すなわち、表1に示される如く、対象物100に対する仕事種に応じて、必要なロボットツール20R又は21EXA、21EXB、21EXCの種類が決まる。
【0103】
なお、表1に示す対象物100に対する仕事種に基づくロボットツールの種類の選択は一例であり、所持しているロボットツールの種類や数に基づき定めればよい。
【0104】
第1の実施の形態では、3種類のロボットツール21EXA、21EXB、21EXCがベルト28に装着されているため、ロボットツール20Rを加えて、合計4種類のロボットツール20、21EXA、21EXB、21EXCからの選択になるが、ベルト28への装着数を増加したり、作業現場に応じて、多種のロボットツール21の中から選択してベルト28に予め装着しておいてもよい。また、人型ロボット1毎に異なる種類のロボットツール21EXを装着するようにしてもよい。
【0105】
次のステップ202では、交換側の腕部5に装着されたツール(通常はロボットツール20Rであるが、既に別のロボットツール21EXA、21EXB、21EXCが装着されている場合もある。)を、腕部6に取り付けたロボットツール20Lを用いて取り外す。
【0106】
次のステップ204では、交換側の腕部5を、ベルト28の位置に移動し、ロボットツール21EXA、21EXB、21EXCを装着する。
【0107】
次のステップ206では、非交換側の腕部6で把持している、交換側の腕部5にもともと装着されていたロボットツールを、ベルト28のホルダに格納し、このルーチンは終了する。
【0108】
以上説明したように第1の実施の形態では、ロボットツール20、21EXA、21EXB、21EXCによる仕事制御に加え、例えば、対象物100に対する仕事種に応じて、ロボットツール20R、21EXA、21EXB、21EXCを準備しておく。
【0109】
これにより、比較例の把持部で、仕事種に必要な工具を、人の手の形のロボットで把持して仕事することで生じる制御負担(ロボットツール20と工具との相対位置制御に係る負担等)を、直接ロボットツール21EXA、21EXB、21EXCを装着することで解消することができる。
【0110】
(変形例1「第1の実施の形態」)
なお、第1の実施の形態の人型ロボット1では、所謂人間と同様に、2本の腕部5、6(右の腕部5及び左の腕部6)を持ち、それぞれに、ロボットツール20R(21EXA、21EXB、21EXC)が装着された構造としたが、図8に示される如く、さらに、監視専用の腕部7を取り付け、先端部に取り付けたカメラ50で監視しながら、作業を実行するようにしてもよい。
【0111】
腕部7は、所謂スネーク構造であり、腕部5,6の隙間から、対象物100に近づくことができ、掌センサ26の死角となる領域をカバーすることができる。
【0112】
(第2の実施の形態)
以下に本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態と同一構成部分には、同一の符号を付してその構成の説明を省略する。
【0113】
図9に示される如く、第2の実施の形態の特徴は、人型ロボット1ではなく、先端部が仕事種に応じて着脱可能な可動自在アーム52である点にある。
【0114】
可動自在アーム52は、例えば、アッセンブリ組立工場のラインにおいて、台座54に対して、回転可能な円筒状の支持体56を介して取り付けられている。
【0115】
可動自在アーム52は、複数の連結部材58が各々関節軸部60を介して連結されており、台座54に対する回転動作を含め、x軸、y軸、及びθ軸方向に先端部に取り付けたロボットツール20R(21EXA、21EXB、21EXC)を所望の位置へ移動させることができる。
【0116】
また、ロボットツール20R(21EXA、21EXB、21EXC)自体も三次元的に動作可能である。
【0117】
第2の実施の形態の可動自在アーム52によれば、アッセンブリ組立工場のラインにおいて、単一の仕事種ではなく、ロボットツール20R(21EXA、21EXB、21EXC)を付け替えることで、複数の仕事種の作業をこなすことができる。
【0118】
この場合、ロボットツール20Rによって対象物100を把持して、所定の作業台へ移動させ、ロボットツール21EXAに付け替えて対象物100に穿孔作業を実行し、ロボットツール21EXBに付け替えて穿孔部の汚れをふき取り、ロボットツール21EXCに付け替えて穿孔部の周囲に残る削りかすを取り除くといった、一連の作業を1つのライン工程で実行することができ、単純計算で、従来の1/4のライン長で作業を行うことができる。
【0119】
(変形例2「第2の実施の形態」)
なお、第2の実施の形態では、1つのロボットツール20R(21EXA、21EXB、21EXC)に、1つの仕事種に対応したツールを取り付けているが、図10に示される如く、第2の実施の形態の変形例1に係る可動自在アーム52Aでは、1つのロボットツール20R(21EXA、21EXB、21EXCに、2つの仕事種に対応したツールを取り付けるようにしてもよい。
【0120】
図10では、一方のツールが、腕部5に取り付けられた重量物把持のための2枚爪ツール(ロボットツール20R)であり、他方のツールが、腕部6に取り付けられたローカルセンサツール62とされている。腕部5、6は、それぞれが共通して動作するメイン連結部64から分岐しており、独立して動作可能となっている。
【0121】
これにより、ロボットツール20Rで作業中に、当該ロボットツール20Rの作業(例えば、重量物把持)に特化した映像情報等をローカルセンサツール62から取得することができる。
【0122】
また、図10では、可動自在アーム52Aが、走行可能な車両66に搭載されているため、アッセンブリ組立工場のラインに固定的に配置されるのではなく、自ら作業が必要とする現場へ出向くことができるため、より汎用性の高い作業が可能となる。
【0123】
(変形例3「第2の実施の形態」)
図11は、第2の実施の形態に係る変形例2に係る可動自在アーム52Bでは、第1の実施の変形例1に係る人型ロボット1(図8参照)と同様に、人の手の形のロボットツール20Lと、着脱可能で複数の仕事種に応じて交換可能なロボットツール20R(21EXA、21EXB、21EXC)が取り付けられると共に、スネーク状に変形可能なカメラ(スネークカメラ68)が取り付けられている。
【0124】
これにより、装着されたロボットツール20R(21EXA、21EXB、21EXC)で作業中に、当該作業に特化した映像情報等をスネークカメラ68から取得することができる。
【0125】
また、可動自在アーム52Bは、走行可能な車両66に搭載されているため、車両66が走行可能な領域(平坦な床面の工場等)であれば、人型のロボットよりもフットワークに優れた機動性を有することができる。
【0126】
(実用例「第2の実施の形態」
図12は、第2の実施の形態に係る可動自在アーム52(特に、変形例2に係る可動自在アーム52A及び変形例3に係る可動自在アーム52B)を用いた、EV(エレクトリック・ビークル)車の組立ラインの概略を示す斜視図である。
【0127】
図12及び図13に示す工程は、車両ボディ70に、EV車特有のリチウムイオンバッテリ72を搭載する工程である。
【0128】
可動自在アーム52、可動自在アーム52A及び可動自在アーム52Bのように、多関節、胴長、首長、指等のロボットツールを活用すれば、EV車等の製造でも、車両ボディ70の中の複雑なケーブル接続や、ねじ締め等、従来のロボットアームでは届かない箇所の作業も、人間に代わり作業することができる。
【0129】
また、溶接ロボットを始めする、車両組み立てロボットは、コンピュータ制御によって、迅速かつ正確な作業を行うことは、周知の技術として、知られているが、近年の、EV車のように、リチウムイオンバッテリ72の取り付けや、配線作業は、今まで以上に、精密、かつ、精度の高い作業となるため、現状の作業ロボットのような、プログラミングされた動作制御(シーケンス制御)に加え、作業中の確認、監視を強固なものにする必要がある。
【0130】
この点、フレキシブルなカメラワークが可能な本実施の形態に係るロボットは、EV車に最適な、ロボットということができる。
【0131】
図13(A)は、車両ボディ70のエンジンルーム(EV車ではモータ等の駆動ユニットが配置されたスペースであり、駆動ユニットルームという場合がある。)内での作業を示す斜視図である。
【0132】
2本の腕部6、7に装着されたロボットルール20R(21EXA、21EXB、21EXC)での作業が、アーム74の先端に取り付けられたカメラ(MoPU)76によって、リアルタイムで監視しながら実行カメラ68で実行される。可動自在アーム52(52A、52B)の関節部は、360°の範囲で回転可能であり、作業の性質に応じて、回転範囲を定めることで、制御負担を減らすことも可能である。
【0133】
図13(B)は、車両ボディ70の車室内での作業を示す斜視図である。
【0134】
図12にも示される如く、リチウムイオンバッテリ72は、車室の床に沿って配置される場合があり、この場合、特に車両ボディ70がモノコックボディでは、外部から作業アームを車室内に入れるスペースが限られる場合がある。
【0135】
このような場合でも、多関節、胴長、首長、指等備えたロボット(可動自在アーム52、可動自在アーム52A及び可動自在アーム52B)を活用すれば、リチウムイオンバッテリ72の取り付けや配線等の作業が容易となる。
【0136】
図14は、情報処理装置14として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、第1の実施の形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、第1の実施の形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、および/又はコンピュータ1200に、第1の実施の形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャートおよびブロック図のブロックのうちのいくつか又は全てに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0137】
第1の実施の形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、およびグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ、およびICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブは、DVD-ROMドライブおよびDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブおよびソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230およびキーボードのような入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0138】
CPU1212は、ROM1230およびRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0139】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラムおよびデータを格納する。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラムおよびデータをICカードから読み取り、および/又はプログラムおよびデータをICカードに書き込む。
【0140】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、および/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0141】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0142】
例えば、通信がコンピュータ1200および外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0143】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0144】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、およびデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本発明の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0145】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0146】
第1の実施の形態及び第2の実施の形態におけるフローチャートおよびブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表してよい。特定の段階および「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、および/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタルおよび/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)および/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、およびプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、および他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0147】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0148】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0149】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0150】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0151】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【0152】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0153】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0154】
1 人型ロボット、2 上半身部、3 脚部、4 連結部、5、6 腕部、7、8 車輪、10 制御システム、12 センサ、14 情報処理装置、20(20L、20R、21EXA、21EXB、21EXC) ロボットツール、26 掌センサ、50 カメラ、52 可動自在アーム、54 台座、56 支持体、58 連結部材、60 関節軸部、62 ローカルセンサツール、64 メイン連結部、66 車両、68 スネークカメラ、70 車両ボディ、72 リチウムイオンバッテリー、100 対象物、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1230 ROM、1240 入出力チップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14