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特開2024-139610電源管理装置、電源管理システム、及び電源管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139610
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】電源管理装置、電源管理システム、及び電源管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/3209 20190101AFI20241002BHJP
   G06F 1/329 20190101ALI20241002BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
G06F1/3209
G06F1/329
H02J3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050636
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 昇
【テーマコード(参考)】
5B011
5G066
【Fターム(参考)】
5B011DA01
5B011EA02
5B011EA10
5B011EB08
5B011FF04
5B011HH02
5B011KK12
5B011MB06
5G066AA05
5G066AE09
5G066HA13
5G066LA03
5G066LA04
(57)【要約】
【課題】複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりに起因する電流増加の抑制を図る。
【解決手段】電源管理装置(スマートプラグ104)は、第1ON動作の指示の受け付け後であって、第1ON実行完了通知の送信前に、他の電源管理装置(スマートプラグ204,スマートプラグ304)から、他の電源管理装置(スマートプラグ204,スマートプラグ304)が管理する他の電子機器(プリンタ203,プリンタ303)を起動させる第2ON動作が指示されたことを通知する第2ON指示受け通知を受信した場合であって、第2ON動作が完了したことを通知する第2ON実行完了通知が未受信の場合に、予め設定された条件を満たすと、第1電子機器(プリンタ103)に対する第1ON動作を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサを有し、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
電源を管理する対象である第1電子機器を起動させる第1ON動作の指示を受け付け、
前記第1ON動作の指示を受け付けると、第1ON動作が指示されたことを通知する第1ON指示受け通知を、接続されている他の電源管理装置に送信し、
前記第1ON動作の実行が完了すると、前記第1ON動作が完了したことを通知する第1ON実行完了通知を前記他の電源管理装置に送信し、
前記第1ON動作の指示の受け付け後であって、前記第1ON実行完了通知の送信前に、前記他の電源管理装置から、前記他の電源管理装置が管理する他の電子機器を起動させる第2ON動作が指示されたことを通知する第2ON指示受け通知を受信した場合であって、
前記第2ON動作が完了したことを通知する第2ON実行完了通知が未受信の場合に、予め設定された条件を満たすと、前記第1電子機器に対する前記第1ON動作を実行する、
電源管理装置。
【請求項2】
前記条件は、前記第2ON実行完了通知を受信することである、
請求項1に記載の電源管理装置。
【請求項3】
前記第1ON動作の指示の受け付け後であって、前記第1ON実行完了通知の送信前に、複数の前記他の電源管理装置から、それぞれ、複数の前記第2ON指示受け通知を受信し、対応する複数の第2ON実行完了通知を未受信の場合に、複数の前記第2ON指示受け通知のうち、時間的に最後に受信した前記第2ON指示受け通知に対応する前記第2ON実行完了通知の受信後に、前記第1電子機器に対する前記第1ON動作を実行する、
請求項2に記載の電源管理装置。
【請求項4】
複数の他の前記電源管理装置には、それぞれ、ON動作に必要な突入電流の発生時間が小さい順に優先順位が付与されており、
前記第2ON指示受け通知の中に、前記第1ON指示受け通知の送信時刻と重なる受信時刻を有し、かつ、自己より高い前記優先順位を有する前記他の電源管理装置からの前記第2ON指示受け通知が含まれる場合、
前記優先順位が高い前記第2ON指示受け通知に対応する前記第2ON実行完了通知の受信後に、前記第1ON動作を実行する、
請求項3に記載の電源管理装置。
【請求項5】
前記第2ON実行完了通知は、前記他の電源管理装置において、前記第2ON動作による電源網への突入電流が予め設定された値以下に低下した後に、前記他の電源管理装置から送信される、
請求項2~4のいずれか一項に記載の電源管理装置。
【請求項6】
前記第2ON実行完了通知を受信してから、予め設定された第1待機期間の経過後に、前記第1ON動作を実行する、
請求項2~4のいずれか一項に記載の電源管理装置。
【請求項7】
前記第1待機期間は、前記第2ON動作による電源網への突入電流が予め設定された値以下に低下する時間である、
請求項6に記載の電源管理装置。
【請求項8】
前記条件は、前記第2ON指示受け通知を受信してから、予め設定された第2待機期間が経過することである、
請求項1に記載の電源管理装置。
【請求項9】
第1電源管理装置としての請求項1に記載の電源管理装置と、
前記第1電源管理装置により電源が管理される第1電子機器と、
前記第1電源管理装置と接続される第2電源管理装置と、
前記第2電源管理装置により電源が管理される第2電子機器と、
を有する電源管理システム。
【請求項10】
請求項9に記載の電源管理システムにおいて、
前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記第1ON動作の指示を受け付けると、第1ON動作が指示されたことを通知する第1ON指示受け通知を、接続されている他の電源管理装置に送信する処理と、
前記第1ON動作の実行が完了すると、前記第1ON動作が完了したことを通知する第1ON実行完了通知を前記他の電源管理装置に送信する処理と、
前記第1ON動作の指示の受け付け後であって、前記第1ON実行完了通知の送信前に、前記他の電源管理装置から、前記他の電源管理装置が管理する他の電子機器を起動させる第2ON動作が指示されたことを通知する第2ON指示受け通知を受信した場合であって、
前記第2ON動作が完了したことを通知する第2ON実行完了通知が未受信の場合に、予め設定された条件を満たすと、前記第1電子機器に対する前記第1ON動作を実行する処理と、
を実行させる、電源管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源管理装置、電源管理システム、及び電源管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の画像処理装置と通信して、各画像処理装置の電力状況を管理するサーバ装置であって、ユーザにより起動要求が指示されたいずれかの画像処理装置から受け取る起動要求の問い合わせに対して、可動状態にある他の画像処理装置で消費される電力量と、複数の画像処理装置に対してあらかじめ設定された最大電力量とを比較して起動要求された画像処理装置に起動要求の可否を通知する通知手段を備えることを特徴とするサーバ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-114579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりに起因する電流増加の抑制を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様の電源管理装置は、少なくとも1つのプロセッサを有し、前記少なくとも1つのプロセッサは、電源を管理する対象である第1電子機器を起動させる第1ON動作の指示を受け付け、前記第1ON動作の指示を受け付けると、第1ON動作が指示されたことを通知する第1ON指示受け通知を、接続されている他の電源管理装置に送信し、前記第1ON動作の実行が完了すると、前記第1ON動作が完了したことを通知する第1ON実行完了通知を前記他の電源管理装置に送信し、前記第1ON動作の指示の受け付け後であって、前記第1ON実行完了通知の送信前に、前記他の電源管理装置から、前記他の電源管理装置が管理する他の電子機器を起動させる第2ON動作が指示されたことを通知する第2ON指示受け通知を受信した場合であって、前記第2ON動作が完了したことを通知する第2ON実行完了通知が未受信の場合に、予め設定された条件を満たすと、前記第1電子機器に対する前記第1ON動作を実行する。
【0006】
第2態様の電源管理装置では、第1態様において、前記条件は、前記第2ON実行完了通知を受信することである。
【0007】
第3態様の電源管理装置では、第2態様において、前記第1ON動作の指示の受け付け後であって、前記第1ON実行完了通知の送信前に、複数の前記他の電源管理装置から、それぞれ、複数の前記第2ON指示受け通知を受信し、対応する複数の第2ON実行完了通知を未受信の場合に、複数の前記第2ON指示受け通知のうち、時間的に最後に受信した前記第2ON指示受け通知に対応する前記第2ON実行完了通知の受信後に、前記第1電子機器に対する前記第1ON動作を実行する。
【0008】
第4態様の電源管理装置では、第3態様において、複数の他の前記電源管理装置には、それぞれ、ON動作に必要な突入電流の発生時間が小さい順に優先順位が付与されており、前記第2ON指示受け通知の中に、前記第1ON指示受け通知の送信時刻と重なる受信時刻を有し、かつ、自己より高い前記優先順位を有する前記他の電源管理装置からの前記第2ON指示受け通知が含まれる場合、前記優先順位が高い前記第2ON指示受け通知に対応する前記第2ON実行完了通知の受信後に、前記第1ON動作を実行する。
【0009】
第5態様の電源管理装置では、第2~4態様において、前記第2ON実行完了通知は、前記他の電源管理装置において、前記第2ON動作による電源網への突入電流が予め設定された値以下に低下した後に、前記他の電源管理装置から送信される。
【0010】
第6態様の電源管理装置では、第2~4態様において、前記第2ON実行完了通知を受信してから、予め設定された第1待機期間の経過後に、前記第1ON動作を実行する。
【0011】
第7態様の電源管理装置では、第6態様において、前記第1待機期間は、前記第2ON動作による電源網への突入電流が予め設定された値以下に低下する時間である。
【0012】
第8態様の電源管理装置では、第1態様において、前記条件は、前記第2ON指示受け通知を受信してから、予め設定された第2待機期間が経過することである。
【0013】
第9態様の電源管理システムは、第1電源管理装置としての第1態様の電源管理装置と、前記第1電源管理装置により電源が管理される第1電子機器と、前記第1電源管理装置と接続される第2電源管理装置と、前記第2電源管理装置により電源が管理される第2電子機器と、を有する。
【0014】
第10態様の電源管理プログラムは、第1態様の電源管理システムにおいて、前記少なくとも1つのプロセッサに、前記第1ON動作の指示を受け付けると、第1ON動作が指示されたことを通知する第1ON指示受け通知を、接続されている他の電源管理装置に送信する処理と、前記第1ON動作の実行が完了すると、前記第1ON動作が完了したことを通知する第1ON実行完了通知を前記他の電源管理装置に送信する処理と、前記第1ON動作の指示の受け付け後であって、前記第1ON実行完了通知の送信前に、前記他の電源管理装置から、前記他の電源管理装置が管理する他の電子機器を起動させる第2ON動作が指示されたことを通知する第2ON指示受け通知を受信した場合であって、前記第2ON動作が完了したことを通知する第2ON実行完了通知が未受信の場合に、予め設定された条件を満たすと、前記第1電子機器に対する前記第1ON動作を実行する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
第1態様の構成によれば、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりに起因する電流増加を抑制できる。
【0016】
第2態様の構成によれば、第2ON実行完了通知の受信前に第1ON動作を実行する場合に比し、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりを抑制し易い。
【0017】
第3態様の構成によれば、電流発生時間が小さい順に従う優先順位が付与される場合と比して、電源管理装置を簡易に構成できる。
【0018】
第4態様の構成によれば、ランダムに優先順位が付与される場合に比して、実行時間を全体的に短縮し易い。
【0019】
第5態様の構成によれば、第2ON動作による電源網への突入電流が予め設定された値以下に低下する前に第2ON実行完了通知が送信される場合に比し、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりを抑制できる。
【0020】
第6態様の構成によれば、第2ON実行完了通知を受信した後で待機期間が設けられることなく第1ON動作を実行する場合に比し、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりを抑制できる。
【0021】
第7態様の構成によれば、複数の電子機器のON動作の突入電流の重なりを抑制できる。
【0022】
第8態様の構成によれば、電流発生時間が小さい順に従う優先順位が付与される場合と比して、電源管理装置を簡易に構成できる。
【0023】
第9態様の構成によれば、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりに起因する電流増加を抑制できる。
【0024】
第10態様の構成によれば、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりに起因する電流増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係る電源管理システムの構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る電源管理システムの電源管理装置を説明するブロック図である。
図3】第1実施形態に係る電源管理装置において実行される電源管理処理の一例を説明するフローチャートである。
図4】第1実施形態に係る電源管理システムにおいて、起動時に複数の電源管理装置によって実行される協働処理の流れの一例を説明するタイミングチャートである。
図5】比較例に係る電源管理システムにおいて、起動時に複数の電源管理装置によって実行される協働処理の流れの一例を説明するタイミングチャートである。
図6】起動時において形成される突入電流の一例を説明するグラフである。
図7】第2実施形態に係る電源管理装置において実行される電源管理処理の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本開示に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
《第1実施形態》
<電源管理システム>
まず、本実施形態に係る電源管理システムの一例を、図1図2を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態に係る電源管理システム100は、複数の電源管理装置としてのスマートプラグ104、スマートプラグ204及びスマートプラグ304を有する。また、電源管理システム100は、それぞれの電源管理装置により電源が管理される複数の電子機器としてのプリンタ103、プリンタ203及びプリンタ303を有する。
【0027】
スマートプラグ104、スマートプラグ204及びスマートプラグ304は、本開示の第1電源管理装置又は第2電源管理装置にそれぞれ対応し得る。スマートプラグ104、スマートプラグ204及びスマートプラグ304は、いずれも本実施形態の実施に必要な構成を共通して有する。また、プリンタ103、プリンタ203及びプリンタ303は、本開示の第1電子機器又は第2電子機器にそれぞれ対応し得る。
【0028】
本実施形態の電源管理システム100には、複数の電子機器の電源の起動を管理するための集中管理用のサーバ装置は、設けられていない。本実施形態における「システム」とは、複数の装置によって構成されたもの及び単一の装置によって構成されたものの両方を含む。
【0029】
(電子機器)
本実施形態では、電子機器としてプリンタ103、プリンタ203及びプリンタ303が例示されたが、本開示では、電子機器は、印刷機能を有するプリンタに限定されない。本開示では、電子機器は、例えば、印刷機能に加えて、コピー機能、スキャン機能、ファクシミリ機能等の他の画像処理機能を有する装置であってもよい。また、電子機器は、テレビ、冷蔵庫、パソコン等の他の家電製品であってもよいし、或いは、レーザ加工装置等の産業製品であってもよい。
【0030】
プリンタ103、プリンタ203及びプリンタ303のそれぞれには、プリンタの操作装置としての情報端末PC102、情報端末PC202及び情報端末PC302が接続される。情報端末PC102、情報端末PC202及び情報端末PC302は、それぞれ対応するプリンタ103、プリンタ203及びプリンタ303を操作するためのプリンタドライバを有する。情報端末としては、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン等を任意に採用できる。
【0031】
本実施形態では、互いに対応するスマートプラグ、プリンタ及び情報端末からなるサブシステムセットが3セット設けられた電源管理システム100が例示されたが、本開示では、サブシステムセットの個数は、2つ以上、任意である。
【0032】
また、サブシステムセットには、情報端末は含まれなくてもよい。すなわち、本開示では、プリンタの操作装置は必須ではない。例えば、プリンタの電源ボタンが使用者によって直接押されることによって、プリンタが起動してもよい。
【0033】
また、本明細書では、「電子機器の起動」は、全く電力が供給されていない状態の電子機器に対して電力を供給することと、省電力状態(いわゆる待機、スリープ、スタンバイ等の状態)の電子機器に対して省電力状態を解除するように電力を供給することとのいずれも含む。
【0034】
<電源管理装置>
複数の電源管理装置は、共通のAC電源網101に接続される。なお、本開示の電源網には、DC電源が含まれてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、複数の電源管理装置は、通信網としてのネットワーク111を介して接続されている。ネットワーク111は、例えばイーサネット(登録商標)の規格に基づくインターネットである。なお、本開示では、ネットワークは、これに限定されず、例えば、公衆回線、LAN(Local Area Network)等であってもよい。また、本開示では、複数の電源管理装置の接続状態は、これに限定されず、例えば通信網を介することなく、複数の電源管理装置同士が直接接続されることによって、双方向に通信可能な状態が形成されてもよい。
【0036】
電源管理装置は、ネットワーク111及びAC電源網101に接続する機能と、プリンタ103,203,303のAC電源をON/OFF制御する機能と、を有するモジュールである。本実施形態の電源管理装置は、例えば、スマートプラグである。スマートプラグは、電子機器の未使用時に、電子機器の使用者(ユーザ)自身がOFF動作を実行することなく、電子機器のAC電源をOFFする。このため、電子機器自体の待機電力を例えば0.5[W]、0[W]等に低下させることが可能になり、結果、省エネルギを図ることができる。
【0037】
本実施形態では、電源管理装置としてスマートプラグが用いられる場合が例示されたが、本開示では、電源管理装置は、これに限定されない。すなわち、電源管理装置は、電子機器とコンセントとに接続されるプラグ型に限定されない。電源管理装置は、例えば、電子機器に取り付けられてもよい。
【0038】
図2に示すように、電源管理装置の一例であるスマートプラグ104は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)114A、ROM(Read Only Memory)114B、RAM(Random Access Memory)114C、ストレージ114D、ユーザインタフェース114E及び通信インタフェース114Fを有する。各構成は、バス114Gを介して相互に通信可能に接続されている。
【0039】
CPU114Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU114Aは、ROM114B又はストレージ114Dからプログラムを読み出し、RAM114Cを作業領域としてプログラムを実行する。CPU114Aは、ROM114B又はストレージ114Dに記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。CPU114Aは、本開示のプロセッサである。電源管理装置は、少なくとも1つのプロセッサを有する。
【0040】
本実施形態では、ROM114B又はストレージ114Dには、電源管理プログラムが格納されている。電源管理プログラムは、電子機器の電源を管理するための演算プログラムである。
【0041】
ROM114Bは、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM114Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ114Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
【0042】
ユーザインタフェース114Eは、使用者がスマートプラグ104を使用する際のインタフェースである。ユーザインタフェース114Eは、例えば、使用者によるタッチ操作を可能とするタッチパネルを備えた液晶ディスプレイ、使用者による音声入力を受け付ける音声入力受付部、及び使用者が押下可能なボタン等の少なくとも一つを含み得る。本実施形態の表示部は、ユーザインタフェース114Eの一例である。なお、ユーザインタフェース114Eは、必須ではない。
【0043】
通信インタフェース114Fは、スマートプラグ104が、他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0044】
電源管理プログラムを実行する際に、スマートプラグ104は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。スマートプラグ104が実現する機能構成として、スマートプラグ104は、第1ON動作指示受付判定部、第1ON指示受け通知送信部、第2ON指示受け通知受信判定部、第1ON動作実行部、第1ON実行完了通知送信部、送受信時刻重なり判定部、優先順位判定部及び第2ON実行完了通知受信判定部を有する。各機能構成は、CPU114Aが、ROM114B又はストレージ114Dに記憶された電源管理プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0045】
<電源管理処理>
次に、本実施形態に係る電源管理システムにおいて実行される電源管理処理の一例を、図3図5を参照して説明する。なお、以下では、本開示の第1電源管理装置としてのスマートプラグを「自己の電源管理装置」と称すると共に、本開示の第2電源管理装置としてのスマートプラグを「他の電源管理装置」と称して例示的に説明する。以下では、第1電源管理装置としてのスマートプラグが、図1中のスマートプラグ104であり、第2電源管理装置としてのスマートプラグが、図1中のスマートプラグ204、304である場合を例として説明する。スマートプラグ104のCPU114Aが電源管理プログラムを読み出すことによって、図3に示す処理が実行される。
【0046】
まず、第1電源管理装置としてのスマートプラグ104は、電源を管理する対象である第1電子機器としてのプリンタ103を起動させる第1ON動作の指示を、第2電子機器としてのプリンタ203,303に接続されたスマートプラグ204,304から受け付ける。なお、第1ON動作の指示は、例えば、使用者がプリンタ103,203,303に接続された情報端末PC102,PC202,PC302を操作すること、或いは、使用者がプリンタ103,203,303の電源ボタンを直接押すことを意味し得る。
【0047】
具体的には、図3中のステップS101に示すように、スマートプラグ104の第1ON動作指示受付判定部は、第1ON動作の指示を受け付けているかどうかを判定する。第1ON動作の指示を受け付けている場合、YES判定として、処理は、ステップS102に移行する。また、第1ON動作の指示を受け付けていない場合、NO判定として、第1ON動作指示受付判定部は、第1ON動作の指示を受け付けるまで、ステップS101の処理を繰り返す。
【0048】
次に、ステップS102において、スマートプラグ104の第1ON指示受け通知送信部は、第1ON動作が指示されたことを通知する第1ON指示受け通知を生成する。そして、第1ON指示受け通知送信部は、生成された第1ON指示受け通知を、ネットワーク111を介して接続されている他のすべてのスマートプラグ204,304に送信する。
【0049】
次に、ステップS103において、スマートプラグ104は、第1ON動作の指示の受け付け後であって、第1ON実行完了通知の送信前に、他のスマートプラグ204,304から、ネットワーク111を通じて、他のスマートプラグ204,304が管理する他のプリンタ203,303を起動させる第2ON動作が指示されたことを通知する第2ON指示受け通知を受信しているかどうかを判定する。スマートプラグ104が、第2ON動作が完了したことを通知する第2ON実行完了通知が未受信の第2ON指示受け通知を受信している場合、YES判定として、処理は、ステップS106~ステップS108に移行する。また、スマートプラグ104が、第2ON実行完了通知が未受信の第2ON指示受け通知を受信していない場合、NO判定として、処理は、ステップS104に移行する。
【0050】
ステップS104において、スマートプラグ104の第1ON動作実行部は、自己に対応する電子機器であるプリンタ103に対して、第1ON動作を実行する。
【0051】
次に、ステップS105において、スマートプラグ104の第1ON動作完了送信部は、第1ON動作の実行が完了すると、第1ON動作が完了したことを通知する第1ON実行完了通知を生成する。そして、第1ON動作完了送信部は、生成された第1ON実行完了通知を、ネットワーク111を介して他のスマートプラグ204,304に送信する。
【0052】
(第1実施形態の処理条件)
ここで、スマートプラグ104は、ステップS106~ステップS108において、予め設定された条件が満たされると、接続されたプリンタ103に対する第1ON動作を実行する。本実施形態の処理条件は、他のスマートプラグ204,304から送信された第2ON実行完了通知の受信後に第1ON動作を実行することである。具体的には、ステップS108に示すように、スマートプラグ104は、第2ON実行完了通知を受信したかどうかを判定する。
【0053】
スマートプラグ104が第2ON実行完了通知を受信した場合、処理は、ステップS103に移行する。また、スマートプラグ104が第2ON実行完了通知を受信していない場合、第2ON実行完了通知を受信するまで、スマートプラグ104は、ステップS108の処理を繰り返す。
【0054】
以下、ステップS106~ステップS108をより詳細に説明する。本実施形態では、複数のスマートプラグ104,204,304には、それぞれ、ON動作に必要な突入電流の発生時間が小さい順に優先順位が付与されている。
【0055】
第2ON指示受け通知の中に、第1ON指示受け通知の送信時刻と重なる受信時刻を有し、かつ、自己より高い優先順位を有する他のスマートプラグ204,304からの第2ON指示受け通知が含まれる場合、優先順位が高い第2ON指示受け通知に対応する第2ON実行完了通知の受信後に、第1ON動作を実行する。
【0056】
具体的には、ステップS106において、送受信時刻重なり判定部は、第1ON指示受け通知の送信時刻と第2ON指示受け通知の受信時刻とが重なるかどうかを判定する。第1ON指示受け通知の送信時刻と第2ON指示受け通知の受信時刻とが重なる場合、YES判定として、処理は、ステップS107に移行する。また、第1ON指示受け通知の送信時刻と第2ON指示受け通知の受信時刻とが重ならない場合、NO判定として、処理は、ステップS108に移行する。
【0057】
ステップS107において、スマートプラグ104の送受信時刻重なり判定部は、自己の第1ON指示受け通知の送信時刻と重なる時刻に受信した第2ON指示受け通知を送信したスマートプラグ104が、自己より高い優先順位を有するかどうかを判定する。第2ON指示受け通知を送信したスマートプラグ204,304が、自己より高い優先順位を有する場合、YES判定として、処理は、ステップS108に移行する。また、第2ON指示受け通知を送信した他のスマートプラグ204,304が、自己より低い優先順位を有する場合、NO判定として、処理は、ステップS104に移行する。
【0058】
ステップS108において、スマートプラグ104の第2ON実行完了通知受信判定部は、第2ON実行完了通知を受信したかどうかを判定する。スマートプラグ104が第2ON実行完了通知を受信した場合、YES判定として、処理は、ステップS103に移行する。また、スマートプラグ104が第2ON実行完了通知を受信していない場合、NO判定として、第2ON実行完了通知受信判定部は、第2ON実行完了通知を受信するまで、ステップS108の処理を繰り返す。
【0059】
スマートプラグ104は、上記のステップS107~ステップS108に示すように、優先順位が高い第2ON指示受け通知に対応する第2ON実行完了通知の受信後に、第1ON動作を実行する。なお、本開示では、ステップS107~ステップS108の処理は、必須ではない。
【0060】
図4中には、3つのサブシステムとして、第1スマートプラグシステム、第2スマートプラグシステム及び第3スマートプラグシステムに含まれるそれぞれのスマートプラグ104,204,304同士によって実行される協働処理の流れが例示されている。図4中の3つのスマートプラグ104,204,304は、それぞれ、2つの第2ON指示受け通知を他のスマートプラグから受信する。
【0061】
図4に示すように、3つのスマートプラグ104,204,304のそれぞれの第1ON指示受け通知の送信時刻のうち、左側のスマートプラグ104の送信時刻が1番目である。また、図4中の中央のスマートプラグ204の送信時刻が2番目である。また、図4中の右側のスマートプラグ304の送信時刻が3番目である。
【0062】
このため、図4に示すように、3つのスマートプラグ104,204,304のうち、左側のスマートプラグ104が、中央のスマートプラグ204と右側のスマートプラグ304とに先立って、プリンタ103のAC電源を1番目にONする。また、図4中の左側のスマートプラグ104が第1ON実行通知を中央のスマートプラグ204と右側のスマートプラグ304とに通知した後、中央のスマートプラグ204が、プリンタ203のAC電源を2番目にONする。
【0063】
また、図4中の中央のスマートプラグ204が第1ON実行通知を左側のスマートプラグ104と右側のスマートプラグ304とに通知した後、右側のスマートプラグ304が、プリンタ303のAC電源を3番目にONする。すなわち、本実施形態では、3つのスマートプラグ104,204,304同士が、第2ON指示受け通知の受信時刻が早い順に基づき協調動作することによって、それぞれのスマートプラグ104,204,304に対応するプリンタ103,203,303のAC電源のONを実行するタイミングが判断される。
【0064】
<比較例>
一方、図5中には、3つのスマートプラグ104,204,304のそれぞれの第1ON指示受け通知の送信時刻が重なった状態が形成された比較例が例示されている。図5中の比較例におけるそれぞれのスマートプラグ104,204,304の構成は、図4中のそれぞれのスマートプラグ104,204,304の構成と共通する。しかし、比較例では本実施形態のように、スマートプラグ104,204,304同士の協調動作が行われない。
【0065】
ここで、図6に示すように、プリンタ103,203,303のAC電源のONによって、定常電流値を超える比較的大きなピーク電流値を有する突入電流が、AC電源網101に発生する。このため、スマートプラグ104,204,304同士の協調動作が行われない比較例では、複数のプリンタ103,203,303のAC電源ONによる突入電流の重なりによって、AC電源網101のブレーカが作動し、結果、AC電源網101が停電する、或いは、AC電源網101の電圧が急峻に低下する。また、電圧の低下によって情報端末PC102,PC202,PC302等、プリンタ103,203,303以外の他の電子機器の誤動作が生じ易い。
【0066】
(第1実施形態の作用)
本実施形態に係る電源管理装置は、第1ON動作の受け付け後であって、第1ON実行完了通知の送信前に、他の電源管理装置から、ネットワーク111を通じて、他の電源管理装置が管理する他の電子機器を起動させる第2ON動作が指示されたことを通知する第2ON指示受け通知を受信した場合であって、第2ON動作が完了したことを通知する第2ON実行完了通知が未受信の場合に、予め設定された条件を満たすと、第1電子機器に対する第1ON動作を実行する。このため、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりに起因する電流増加を抑制できる。また、集中管理用のサーバ装置を用意する必要がない。
【0067】
また、本実施形態では、処理条件は、第2ON実行完了通知の受信後に第1ON動作を実行することである。このため、第2ON実行完了通知の受信前に第1ON動作を実行する場合に比し、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりを抑制し易い。
【0068】
また、本実施形態では、少なくとも1つのプロセッサは、第1ON動作の受け付け後であって、第1ON実行完了通知の送信前に、複数の他の電源管理装置から、それぞれ、複数の第2ON指示受け通知を受信する。少なくとも1つのプロセッサは、対応する複数の第2ON実行完了通知を未受信の場合に、複数の第2ON指示受け通知のうち、時間的に最後に受信した第2ON指示受け通知に対応する第2ON実行完了通知の受信後に、第1電子機器に対する第1ON動作を実行する。このため、電流発生時間が小さい順に従う優先順位が付与される場合と比して、電源管理装置を簡易に構成できる。
【0069】
また、本実施形態では、電源管理システムに含まれる複数の電源管理装置には、それぞれ、ON動作に必要な突入電流の発生時間が小さい順に優先順位が付与されている。そして、第2ON指示受け通知の中に、第1ON指示受け通知の送信時刻と重なる受信時刻を有し、かつ、自己より高い優先順位を有する他の電源管理装置からの第2ON指示受け通知が含まれる場合、優先順位が高い第2ON指示受け通知に対応する第2ON実行完了通知の受信後に、第1ON動作を実行する。このため、ランダムに優先順位が付与される場合に比して、実行時間を全体的に短縮し易い。
【0070】
<第1変形例>
また、本開示では送信側の処理として、電源管理システムに含まれるそれぞれの電源管理装置において、第2ON実行完了通知は、第2ON動作による電源網への突入電流が予め設定された値以下に低下した後に、他の電源管理装置から送信されてもよい。
【0071】
このため、第1変形例によれば、第2ON動作による電源網への突入電流が予め設定された値以下に低下する前に第2ON実行完了通知が送信される場合に比し、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりを抑制できる。
【0072】
<第2変形例>
また、本開示では受信側の処理として、電源管理システムに含まれるそれぞれの電源管理装置は、第2ON実行完了通知を受信してから、予め設定された第1待機期間の経過後に、第1ON動作を実行してもよい。このため、第2変形例によれば、第2ON実行完了通知を受信した後で待機期間が設けられることなく第1ON動作を実行する場合に比し、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりを抑制できる。
【0073】
また、第2変形例では、第1待機期間は、例えば、第2ON動作による電源網への突入電流が予め設定された値以下に低下する時間に設定できる。このため、複数の電子機器のON動作の突入電流の重なりを抑制できる。
【0074】
《第2実施形態》
次に、第2実施形態に係る電源管理システムの構成を説明する。なお、第1実施形態と同一に構成された部分については、同一符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0075】
<電源管理システム>
第2実施形態では、スマートプラグ104等の電源管理装置が実現する機能構成として、電源管理装置は、第1実施形態における送受信時刻重なり判定部、優先順位判定部及び第2ON実行完了通知受信判定部に代えて、第2待機期間経過定部を有する。第2実施形態における他の構成は、第1実施形態における対応する構成と共通であるため、重複説明を省略する。
【0076】
<電源管理処理>
第1実施形態では、電源管理処理における処理条件として、他の電源管理装置が送信した第2ON実行完了通知の受信後に第1ON動作を実行することである場合が、例示的に説明された。しかし、第2実施形態に係る電源管理システムでは、電源管理処理における処理条件が、第1実施形態の処理条件と異なる。
【0077】
(第2実施形態の処理条件)
第2実施形態の処理条件は、第2ON指示受け通知を受信してから、予め設定された第2待機期間が経過することである。このため、第1ON動作は、第2待機期間の経過後に実行される。すなわち、第2ON実行完了通知の受信の有無は、第1ON動作の実行タイミングに関係しない。
【0078】
図7中のステップS201に示すように、電源管理装置の第2待機期間経過定部は、第2ON指示受け通知を受信してから、予め設定された第2待機期間が経過したかどうかを判定する。
【0079】
第2待機期間が経過した場合、処理は、ステップS104に移行する。また、第2待機期間が経過していない場合、第2待機期間が経過するまで、第2待機期間経過定部は、ステップS201の処理を繰り返す。すなわち、電源管理装置は、第1ON動作を実行することなく、第2待機期間が経過するまで待機する。
【0080】
第2待機期間は、例えば、第2ON実行完了通知が未受信である複数の第2ON指示受け通知のうち、最初に受信した第2ON指示受け通知の受信時刻を起点として設定できる。或いは、第2待機期間は、例えば、第2ON実行完了通知が未受信である複数の第2ON指示受け通知のうち、最後に受信した第2ON指示受け通知の受信時刻を起点として設定できる。第2実施形態に係る電源管理処理におけるステップS201以外の他の電源管理処理については、第1実施形態の場合の処理と共通であるため、重複説明を省略する。
【0081】
(第2実施形態の作用)
第2実施形態においても第1実施形態のように、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりに起因する電流増加を抑制できる。また、集中管理用のサーバ装置を用意する必要がない。
【0082】
また、本実施形態では、処理条件は、第2ON指示受け通知を受信してから、予め設定された第2待機期間が経過することである。このため、電流発生時間が小さい順に従う優先順位が付与される場合と比して、電源管理装置を簡易に構成できる。
【0083】
<その他の実施形態>
本開示は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した実施形態、及び変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【0084】
また、例えば、本開示では、上記の実施形態で、CPU114Aがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した電源管理処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。
【0085】
また、電源管理処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0086】
また、上記各実施形態では、電源管理プログラムがROM114B又はストレージ114Dに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0087】
本開示は、上記に記載していない様々な実施の形態等を含むと共に、本開示の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0088】
<付記>
(((1)))
少なくとも1つのプロセッサを有し、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
電源を管理する対象である第1電子機器を起動させる第1ON動作の指示を受け付け、
前記第1ON動作の指示を受け付けると、第1ON動作が指示されたことを通知する第1ON指示受け通知を、接続されている他の電源管理装置に送信し、
前記第1ON動作の実行が完了すると、前記第1ON動作が完了したことを通知する第1ON実行完了通知を前記他の電源管理装置に送信し、
前記第1ON動作の指示の受け付け後であって、前記第1ON実行完了通知の送信前に、前記他の電源管理装置から、前記他の電源管理装置が管理する他の電子機器を起動させる第2ON動作が指示されたことを通知する第2ON指示受け通知を受信した場合であって、
前記第2ON動作が完了したことを通知する第2ON実行完了通知が未受信の場合に、予め設定された条件を満たすと、前記第1電子機器に対する前記第1ON動作を実行する、
電源管理装置。
【0089】
(((2)))
前記条件は、前記第2ON実行完了通知を受信することである、
(((1)))に記載の電源管理装置。
【0090】
(((3)))
前記第1ON動作の指示の受け付け後であって、前記第1ON実行完了通知の送信前に、複数の前記他の電源管理装置から、それぞれ、複数の前記第2ON指示受け通知を受信し、対応する複数の第2ON実行完了通知を未受信の場合に、複数の前記第2ON指示受け通知のうち、時間的に最後に受信した前記第2ON指示受け通知に対応する前記第2ON実行完了通知の受信後に、前記第1電子機器に対する前記第1ON動作を実行する、
(((2)))に記載の電源管理装置。
【0091】
(((4)))
複数の他の前記電源管理装置には、それぞれ、ON動作に必要な突入電流の発生時間が小さい順に優先順位が付与されており、
前記第2ON指示受け通知の中に、前記第1ON指示受け通知の送信時刻と重なる受信時刻を有し、かつ、自己より高い前記優先順位を有する前記他の電源管理装置からの前記第2ON指示受け通知が含まれる場合、
前記優先順位が高い前記第2ON指示受け通知に対応する前記第2ON実行完了通知の受信後に、前記第1ON動作を実行する、
(((3)))に記載の電源管理装置。
【0092】
(((5)))
前記第2ON実行完了通知は、前記他の電源管理装置において、前記第2ON動作による電源網への突入電流が予め設定された値以下に低下した後に、前記他の電源管理装置から送信される、
(((2)))~(((4)))のいずれか1つに記載の電源管理装置。
【0093】
(((6)))
前記第2ON実行完了通知を受信してから、予め設定された第1待機期間の経過後に、前記第1ON動作を実行する、
(((2)))~(((5)))のいずれか1つに記載の電源管理装置。
【0094】
(((7)))
前記第1待機期間は、前記第2ON動作による電源網への突入電流が予め設定された値以下に低下する時間である、
(((6)))に記載の電源管理装置。
【0095】
(((8)))
前記条件は、前記第2ON指示受け通知を受信してから、予め設定された第2待機期間が経過することである、
(((1)))に記載の電源管理装置。
【0096】
(((9)))
第1電源管理装置としての(((1)))に記載の電源管理装置と、
前記第1電源管理装置により電源が管理される第1電子機器と、
前記第1電源管理装置と接続される第2電源管理装置と、
前記第2電源管理装置により電源が管理される第2電子機器と、
を有する電源管理システム。
【0097】
(((10)))
(((9)))に記載の電源管理システムにおいて、
前記少なくとも1つのプロセッサに、
前記第1ON動作の指示を受け付けると、第1ON動作が指示されたことを通知する第1ON指示受け通知を、接続されている他の電源管理装置に送信する処理と、
前記第1ON動作の実行が完了すると、前記第1ON動作が完了したことを通知する第1ON実行完了通知を前記他の電源管理装置に送信する処理と、
前記第1ON動作の指示の受け付け後であって、前記第1ON実行完了通知の送信前に、前記他の電源管理装置から、前記他の電源管理装置が管理する他の電子機器を起動させる第2ON動作が指示されたことを通知する第2ON指示受け通知を受信した場合であって、
前記第2ON動作が完了したことを通知する第2ON実行完了通知が未受信の場合に、予め設定された条件を満たすと、前記第1電子機器に対する前記第1ON動作を実行する処理と、
を実行させる、電源管理プログラム。
【0098】
(((1)))の構成によれば、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりに起因する電流増加を抑制できる。
【0099】
(((2)))の構成によれば、第2ON実行完了通知の受信前に第1ON動作を実行する場合に比し、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりを抑制し易い。
【0100】
(((3)))の構成によれば、電流発生時間が小さい順に従う優先順位が付与される場合と比して、電源管理装置を簡易に構成できる。
【0101】
(((4)))の構成によれば、ランダムに優先順位が付与される場合に比して、実行時間を全体的に短縮し易い。
【0102】
(((5)))の構成によれば、第2ON動作による電源網への突入電流が予め設定された値以下に低下する前に第2ON実行完了通知が送信される場合に比し、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりを抑制できる。
【0103】
(((6)))の構成によれば、第2ON実行完了通知を受信した後で待機期間が設けられることなく第1ON動作を実行する場合に比し、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりを抑制できる。
【0104】
(((7)))の構成によれば、複数の電子機器のON動作の突入電流の重なりを抑制できる。
【0105】
(((8)))の構成によれば、電流発生時間が小さい順に従う優先順位が付与される場合と比して、電源管理装置を簡易に構成できる。
【0106】
(((9)))の構成によれば、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりに起因する電流増加を抑制できる。
【0107】
(((10)))の構成によれば、複数の電子機器のON動作の実行時間の重なりに起因する電流増加を抑制できる。
【符号の説明】
【0108】
100 電源管理システム
101 AC電源網
103 プリンタ
104 スマートプラグ
111 ネットワーク
114D ストレージ
114E ユーザインタフェース
114F 通信インタフェース
114G バス
203 プリンタ
204 スマートプラグ
303 プリンタ
304 スマートプラグ
PC102 情報端末
PC202 情報端末
PC302 情報端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7