(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139612
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】保守管理システム、及び、保守管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20241002BHJP
【FI】
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050639
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 尊之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 一朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋
(72)【発明者】
【氏名】星崎 哲郎
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】複数の保守作業者で対象設備を保守する場合であっても、保守の作業要件が確実に順守されるように保守作業の進行を管理できる保守管理ステムを提供する。
【課題解決手段】計算機システム300は、対象設備の保守現場において、保守に従事している保守作業者の前記端末からのリクエストに基づいて、管理情報から保守現場の保守作業者と共同して対象設備の保守を行う共同作業者を決定し、保守現場での保守作業者と共同作業者との接触を判定して、対象設備の保守に保守用プログラムが使用できるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象設備の保守を管理する保守管理システムであって、
計算機システムを備え、
前記計算機システムは、
複数の保守作業者夫々が携行する端末と通信する通信部と、
前記対象設備の保守のための管理情報を保存する記憶部と、そして、
前記対象設備の保守用プログラムの使用を制御する処理部と、
を備え、
前記処理部は、
前記対象設備の保守現場において、保守に従事している保守作業者の前記端末からのリクエストに基づいて、前記管理情報から、前記保守現場の保守作業者と共同して前記対象設備の保守を行う共同作業者を決定し、
前記保守現場での前記保守作業者と前記共同作業者との接触を判定して、前記対象設備の保守に前記保守用プログラムが使用できるようにする、
保守管理システム。
【請求項2】
前記処理部は、
前記管理情報に基づいて、前記共同作業者としての候補者を選択し、
当該候補者の端末に支援依頼を送信し、
支援が可能であることの応答があった場合、当該候補者を前記共同作業者として決定する、
請求項1に記載の保守管理システム。
【請求項3】
前記処理部は、
前記保守作業者の前記端末から予定外の保守作業のリクエストを受信し、前記管理情報の作業要件に基づいて当該予定外の保守作業に、複数の保守作業者が必要であることを確認すると、前記共同作業者を決定する、
請求項1に記載の保守管理システム。
【請求項4】
前記処理部は、
前記候補者を前記保守現場の保守作業者の端末に通知し、
当該保守作業者が前記候補者を選択したことを当該端末から通知された後、前記候補者の端末に支援依頼を送信する、
請求項2に記載の保守管理システム。
【請求項5】
前記処理部は、
前記保守現場に於ける保守作業者の端末の位置情報と前記共同作業者の端末の位置情報とが規定範囲内にある場合に、前記保守作業者と前記共同作業者との接触を判定する、
請求項1に記載の保守管理システム。
【請求項6】
前記処理部は、
前記保守現場に於ける保守作業者の端末から送信される、当該保守作業者の個体情報と前記共同作業者の個体情報との認証に基づいて、前記保守作業者と前記共同作業者との接触を判定する、
請求項1に記載の保守管理システム。
【請求項7】
対象設備の保守を管理する保守管理方法であって、
計算機システムが、前記対象設備の保守現場の保守作業者と共同して保守を行う共同作業者を決定し、前記保守現場での前記保守作業者と前記共同作業者との接触を判定して、前記対象設備の保守に保守用プログラムが使用できるようにする、
保守管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守管理システム、及び、保守管理方法に係り、例えば、エレベータ、エスカレータ等の昇降機の保守を管理するためのシステム、及び、その方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昇降機は、高機能な機器により構成され、かつ、多数の利用者の安心、安全にも配慮しなければならないことから、定期又は不定期に、昇降機の保守点検作業が必要である。近年、昇降機には、高度な保守点検が必要になっていることから、保守作業者は自身が携行する通信端末を介して、保守項目に適する保守用プログラムを診断装置等の保守用機器にダウンロードして、昇降機の保守点検を実行している。
【0003】
昇降機保守の管理システムとして、保守作業者が作業現場に到着したことの位置情報を保守作業者が携行する通信端末から管理センタが受信したときに、管理センタが端末に保守用プログラムを送信すること、が知られている(特許文献1)。
【0004】
この従来例によれば、保守作業者が作業現場に到着して初めて保守用プログラムを保守用装置に格納させることにより、保守用プログラムが第三者に漏洩するリスクを軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昇降機という大型で複雑な設備を、正確、かつ、保守作業者の安全にも配慮しながら保守しなければならないため、保守項目によっては、例えば、共同作業者と一緒に保守作業を行うことといった、昇降機の保守作業のための要件(作業要件)が規定されている。しかしながら、従来の管理システムでは、保守作業者の動向を把握できずに、結果として、作業要件の確認を十分になし得ないというおそれがある。
【0007】
本発明は、複数の保守作業者で対象設備を保守する場合であっても、保守の作業要件が確実に順守されるように保守作業の進行を管理できる保守管理ステム、及び、保守管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、対象設備の保守を管理する保守管理システムであって、計算機システムを備え、前記計算機システムは、複数の保守作業者夫々が携行する端末と通信する通信部と、前記対象設備の保守のための管理情報を保存する記憶部と、そして、前記対象設備の保守用プログラム111の使用を制御する処理部と、を備え、前記処理部は、前記対象設備の保守現場において、保守に従事している保守作業者の前記端末からのリクエストに基づいて、前記管理情報から前記保守現場の保守作業者と共同して前記対象設備の保守を行う共同作業者を決定し、前記保守現場での前記保守作業者と前記共同作業者との接触を判定して、前記対象設備の保守に前記保守用プログラムが使用できるようにする、というものである。本発明は、さらに、対象設備の保守を管理する保守管理方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の保守作業者で対象設備を保守する場合であっても、保守の作業要件が確実に順守されるように保守作業の進行を管理できる保守管理ステム、及び、保守管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る保守管理システムのブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る保守管理システムの動作を説明するタイミングチャートの第1のパートである。
【
図4】第1の実施形態に係る保守管理システムの動作を説明するタイミングチャートの第2のパートである。
【
図5】第1の実施形態に係る保守管理システムの動作を説明するタイミングチャートの第3のパートである。
【
図6】第2の実施形態に係る保守管理システムのブロック図である。
【
図7】第2の実施形態に係る保守管理システムの動作を説明するタイミングチャートの第1のパートである。
【
図8】第2の実施形態に係る保守管理システムの動作を説明するタイミングチャートの第2のパートである。
【
図9】第2の実施形態に係る保守管理システムの動作を説明するタイミングチャートの第3のパートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る保守管理システムは、1以上の設備(昇降機)のユーザ(すなわち、保守事業者にとっての顧客)との保守契約に基づいて、保守対象設備に対して保守作業者(保守エンジニア)が実施する保守作業を管理するシステムである。
【0012】
保守管理システムは、複数の保守作業者夫々が携行する通信端末と接続可能な管理センタに於ける計算機システムを備える。通信端末は、ポータブルパソコン、スマートフォン等、通信機能を有する可搬型かつ小型の計算機であればよい。
【0013】
昇降機の保守作業者にとって、保守現場において、予定外の保守項目について保守が必要になった際、作業要件によって、保守項目の中には複数の保守作業者による作業が必須となるものがある。その場合、管理センタは、複数の保守作業者が保守現場に揃う様に保守作業者の動向を管理する。管理センタは、複数の保守作業者が保守現場に揃ったことを判定した後、保守プログラムを利用できるようにして、作業要件を順守しながら、昇降機の保守作業を進められるようにする。
【0014】
図1は、本発明に係る保守管理システムの第1の実施形態に係るブロック図を示す。保守管理システムは、管理センタとしての計算機システムを備え、計算機システムには複数の保守作業者夫々の通信端末が接続されている。符号300は計算機システムである。符号100,200は夫々保守作業者が携行する端末である。符号100は保守現場で保守作業に従事する作業者の端末であり、符号200は保守現場に赴くことが要請された共同作業者の端末である。
【0015】
計算機システム300は、通信ネットワーク400を介して、端末100,200に接続している。計算機システム300はサーバー計算機等のコンピュータによって構成される。
【0016】
計算機システム300は、各種データやプログラムを記憶する記憶部310と、各種処理を行う処理部320と、ネットワーク400に接続される通信部330を備える。記憶部310はメモリとストレージによって構成される。処理部320は、プロセッサ、又は、コントローラなどの制御資源によって構成される。
【0017】
記憶部310には、保守のための管理情報として、昇降機の保守作業に紐づき、保守用機器(診断装置等)を保守のために動作させる保守用プログラム、KYミーティング情報、保守のために必要な人員数等を含む作業情報311と、全ての保守作業者について、氏名等のプロフィール、所属する会社や団体等との対応関係、保守作業の履歴、位置等が登録された人員情報312と、保守作業の実施日と保守作業者毎の保守作業内容との対応を登録した作業スケジュール情報313とが格納されている。
【0018】
図2は、作業情報311の一例である。作業情報311はテーブルで構成され、複数のレコードを有する。複数のレコードには、作業コード、昇降機の保守のために、診断装置に適用される保守用プログラムの名称、保守に使用される診断装置名、KYミーティングの内容、保守に必要な作業者数(作業要件の一例)が含まれている。
【0019】
処理部320は、記憶部310に格納された管理プログラムを実行することにより、位置情報判定部321、使用許可判定部322と、そして、支援処理部323等の機能モジュールを実現する。
【0020】
位置情報判定部321は、複数の端末100,200夫々の位置情報を収集し、そして、複数の端末夫々の位置(複数の保守作業者夫々の位置)を判定する。使用許可判定部322は、複数の端末夫々の位置に基づいて、保守用プログラムの使用許可の要否を判定する。支援処理部323は、保守作業のための支援を要する保守作業者が携行する端末から要請を受信し、支援、協力、援助、補助等(これらを纏めて、支援、と云う。)を要する作業者の元に派遣されて、保守作業を支援すべき共同作業者が携行する端末200に支援依頼を送信する。
【0021】
複数の端末夫々は同じハードウェア構成のものでよく、支援要請元端末、及び、支援要請先端末の何れとしても動作可能である。符号100は支援要請元端末のブロック図であり、符号200は、支援要請先端末のブロック図である。
【0022】
符号100は、保守作業者Aが携行する端末Aであるとする。符号200は、共同作業者Bが携行する端末Bであるとする。端末A(100)は記憶部110と、処理部130と、表示部140と、入力部150と、そして、通信部170を備える。
【0023】
端末A(100)の処理部130には位置情報を検出する位置情報検出部131と、保守用プログラムの使用許可を処理する使用許可処理部132を備える。記憶部110には、昇降機の保守作業に使用する保守用プログラム111と、夫々、計算機システム300から受信した、作業スケジュール情報112、使用許可情報113、共同作業者情報116、KYミーティング情報118、診断装置情報120、そして、夫々、作業者Aにより入力される予定外作業情報114、KYミーティング実施結果119、位置情報検出部131にて検出した位置情報115を格納する。
【0024】
端末(B)200は記憶部210と、処理部230と、表示部240と、入力部250と、および、通信部270を備える。処理部230には位置情報を検出する位置情報検出部231を備え、記憶部210は計算機システム300から受信する支援依頼情報211と作業者Bにより入力される支援可否情報212、位置情報検出部231において検出された位置情報213を格納する。
【0025】
次に保守管理システムの動作を
図3に基づいて説明する。端末100,200は夫々、常に位置情報115,213を検出し、定期的に計算機システム300へ送信する(S001,S001B)。計算機システム300は送信された位置情報115,213を受信し、一定期間保管する(S002)。
【0026】
端末A(100)の使用許可処理部132は、保守作業開始前の初期状態では、保守用プログラムの全ての機能、又は、一部の機能の使用を制限している(S003)。端末A(100)から作業者Aの操作により計算機システム300へ作業スケジュール情報313を要求する(S004)。
【0027】
計算機システム300(処理部320)は、作業スケジュール情報要求を受信すると(S005)、日、及び、作業者毎の作業スケジュール情報313と作業情報311から作業者Aの当日、及び、直近の作業日の作業内容に紐づいたKYミーティング情報、診断装置を選択し(S006)、作業スケジュール情報112、KYミーティング情報118、診断装置情報120を端末A(100)へ送信する(S007)。
【0028】
端末A(100)は作業スケジュール情報112、KYミーティング情報118、診断装置情報120を受信すると(S008)、それを、表示部140へ表示し、作業者Aの作業開始操作によりKYミーティング情報を表示部140に表示する。作業者Aは表示されたKYミーティング情報に基づきKYミーティングを実施し、KYミーティング実施結果119を端末A(100)へ入力する(S009)と、端末A(100)から計算機システム300へKYミーティング実施結果119を送信する(S010)。
【0029】
計算機システム300はKYミーティング実施結果119を受信すると(S011)、作業スケジュールに該当する作業内容に紐づいた保守用プログラム111の使用許可を判定し(S012)、KYミーティング実施結果119に問題が無ければ“OK”を、問題あれば“NG”を使用許可情報113として端末A(100)へ送信する(S013)。
【0030】
端末A(100)は使用許可情報113を受信すると(S014)、使用許可処理部132が、“OK”であれば保守用プログラム111の使用を許可、“NG”であれば不許可と処理する。許可と判定された場合、作業に該当する機能(例えば、ブレーキ診断機能、ロープ診断機能)の使用を許可、即ち、この機能を実現する保守用プログラム111を、夫々の保守用装置(例えば、ブレーキ診断装置、ロープ診断装置)で使用可能にする(S015)。
【0031】
保守用プログラム111を使用可能にするには、例えば、計算機システム300から端末A(100)に保守プログラムを送信し、端末A(100)が保守用プログラム111を診断装置にダウンロードすることがある。又は、計算機システム300から端末A(100)に許可コードを送り、記憶部110に既に格納されている保守用プログラム111を診断装置にダウンロードできるようにすることがある。
【0032】
作業者Aは、保守用プログラム111をダウンロードした診断装置を使用して昇降機の診断を行い、この結果、故障、不具合個所が発見されて、予定外の保守作業が必要になることがある。作業者Aは端末装置A(100)へ予定外作業の内容を入力し(S016)、入力された予定外作業情報114は計算機システム300にリクエストされる(S017)。
【0033】
計算機システム300の支援処理部323は、予定外作業情報114を受信すると(S018)、記憶部310の作業情報311から、予定外作業内容に紐づいたKYミーティング情報、診断装置を選択すると共に(
図4:S019)、予定外作業の必要人員数が2人以上であった場合に、人員情報312に基づいて、保守作業実行中の作業者Aを支援できる共同作業者(作業者B)を少なくとも1名を選択する。
【0034】
支援処理部323は、例えば、作業者Aとの関連性に基づいて、作業者Bとなる候補者を選択する(S020)。関連性がある共同作業者は、現場に駆けつける余裕があるエンジニアであって、例えば、作業者Aと同じ組織体に帰属するエンジニア、現場に近距離のロケーションに滞在しているエンジニア等である。
【0035】
支援処理部323は、共同作業者の複数の候補のリストを、関連度が高い順ランキングにして作成してもよい。なお、作業者Aが保守作業に支援が必要と思った場合、予定外作業を含めた所定作業の際に、共同作業者の支援のリクエストを発するようにしてもよい。
【0036】
支援処理部323は、予定外作業の内容に紐づく診断装置情報120と共同作業者情報(複数の候補者のランキングリスト)116を端末A(100)へ送信する(S021)。
【0037】
端末A(100)の処理部130は診断装置情報120と共同作業者情報116を受信すると(S022)、共同作業者の候補のランキングリストを表示部140に表示する。作業者Aはこれを確認し共同作業者Bを選択する(S023)。選択された共同作業者情報116は計算機システム300に送信される(S024)。
【0038】
計算機システム300は共同作業者情報116を受信すると(S025)、支援処理部323は、作業者Aに選択された共同作業者Bの端末B(200)に作業者Aを支援する要請(支援依頼情報211)を送信する(S026)。
【0039】
端末B(200)は支援依頼情報211を受信すると(S027)、その内容を表示部240に表示する。共同作業者Bはこれを確認し、支援可否を入力し(S028)、支援可否情報212として、計算機システム300に応答する(S029)。支援可の場合は、操作完了後、共同作業者Bは作業者Aの保守現場に移動しはじめてもよい。
【0040】
計算機システム300の支援処理部323は、支援可否情報212を受信すると(S030)、支援可否情報212を判定し(S031)、支援可否情報117を端末A(100)へ送信する(S032)。端末A(100)は支援可否情報117を受信し(S033)、支援不可であれば再度共同作業者の選択(S023)からやり直す。支援可(S034)になれば、端末A(100)は、KYミーティング情報118を受信(S038)するまで待機する。
【0041】
計算機システム300の位置情報判定部321は端末A(100)、端末B(200)の位置情報115,213を両者が規定範囲内になるまで比較する(S035)。位置情報判定部321は端末A(100)の位置情報115と端末B(200)の位置情報213が規定範囲内(S036)であること、即ち、共同作業者Bが、作業者Aが保守作業中の作業現場に到着して、両者が接触したこと、換言すると、出会ったことを判定すると、現場での保守作業を開始するために、KYミーティング情報118を端末置A(100)に送信する(S037)。
【0042】
端末A(100)はKYミーティング情報118を受信すると(S038)、その内容を表示部140に表示し、作業者A、共同作業者Bはこの内容に基づきKYミーティングを実施し、KYミーティング実施結果119を端末A100に入力し(S039)、端末A(100)はKYミーティング実施結果119を計算機システム300へ送信する(S040)。
【0043】
計算機システム300はKYミーティング実施結果119を受信すると(S041)、使用許可判定部322はこれを評価した後、作業内容に紐づいた保守用プログラム111の使用許可を決定して、使用許可情報113を端末装置A(100)に送信する(S042)。
【0044】
端末A(100)の使用許可処理部132は使用許可情報113を受信すると(S043)、追加保守作業に該当する保守用プログラム111の使用を可能にする(S044)。
【0045】
以上説明した、保守管理システムによれば、共通センタ(計算機システム300)は、共同作業者Bが作業者Aの作業現場に到着したというだけではなく、両方の作業者が実際に接触できたという状況を判定した後でなければ保守用プログラムを利用可能にしない、換言すれば、両方の作用者が実際に揃う前に、拙速に保守用プログラムを使用させないようにしたので、複数の作業者が一緒に保守を行わなければならないという作業要件を確実に履行することが出来る。
【0046】
次に第2の実施形態について説明する。前記第1の実施例1では計算機システム300にて端末装置AおよびB(100および200)の位置情報115および213を比較することで作業者A、Bの実際に現場で揃ったことを判定していたのに対して、第2の実施形態では、端末A(100)が作業者A、Bの個体情報の認証、例えば、顔認証を実施し、両者の認証結果により作業者A、Bが揃ったことを判定する。
【0047】
次に第2の実施形態の保守管理システムを図面に基づいて説明する。第1の実施形態と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図6に、第2の実施形態に係る保守管理システムのブロックを示す。端末A(100)は顔撮影を行う撮像部160を備え、そして、端末B(200)は顔撮影を行う撮像部260を備える。さらに、端末A(100)は、処理部130に顔認証部133を設け、記憶部110は顔認証結果情報121を格納する。
【0048】
端末A(100)、そして、端末B(200)には、第1の実施形態とは異なり位置情報に関する構成は省略されている。そして、計算機システム300には、位置情報判定部321が省略されている。なお、顔認証部133を計算機システムの処理部320に設けてもよい。
【0049】
第2の実施形態に係る保守管理システムの動作を
図7~9のタイミングチャートに基づいて説明する。処理S003~S034までは第1の実施形態と同様である。処理S034において端末A(100)は支援可否情報117が可であれば、作業者Bの現場への到着まで待機する。作業者Bが作業者Aの現場に到着すると、端末A(100)の撮像部160により作業者A、Bの顔を撮影し、顔認証部133にて、両者の顔画像について顔認証を行い顔認証結果情報121として格納する(S045)。
【0050】
顔認証部133の顔認証結果情報121が“OK”、と判定される(作業者A,B夫々の個体認証が完了される)と(S046)、端末A(100)は、顔認証結果情報121を計算機システム300に送信する(S047)。
【0051】
計算機システム300は顔認証結果情報121を受信すると(S048)、作業内容に紐づいたKYミーティング情報118を端末A(100)に送信する(S049)。以降、処理S038~S044によって、保守用プログラム111は使用可能になる。
【0052】
また、実施形態2では、端末A(100)から顔認証結果情報121を計算機システム300に送信して使用可否を判定していたが、端末A(100)の顔認証部133にて顔認証結果がOKである場合に作業者Aと共同作業者Bが現場に揃ったことを判定し、使用可否(使用許可)判定部132にて保守用プログラム111の使用を許可するにしてもよい。
【0053】
既述の実施形態によれば、この出願は、以下の発明を開示している。昇降機の保守を管理する第1の保守管理システムであって、計算機システム300を備え、計算機システムは、複数の保守作業者夫々が携行する端末100,200と通信する通信部330と、昇降機の保守のための管理情報を保存する記憶部310と、そして、昇降機の保守用プログラム111の使用を制御する処理部320と、を備え、処理部320は、昇降機の保守現場において、保守に従事している保守作業者の端末A(100)からのリクエストに基づいて、管理情報から、保守現場の保守作業者と共同して昇降機の保守を行う共同作業者を決定し、保守現場での保守作業者と共同作業者との接触を判定して、昇降機の保守に保守用プログラムが使用できるようにする。第1の保守管理システムによれば、複数の保守作業者で対象設備を保守する場合であっても、保守の作業要件が確実に順守されるように保守作業の進行を管理できる。
【0054】
第2の保守管理システムは、第1の管理システムにおいて、処理部320は、管理情報に基づいて、共同作業者としての候補者を選択し、候補者の端末に支援依頼を送信し、支援が可能であることの応答があった場合、候補者を共同作業者として決定する。第2の保守管理システムによれば、共同作業者としての候補者に支援をすることの意向の有無を確認することができる。
【0055】
第3の保守管理システムは、第1の管理システムにおいて、処理部320は、保守作業者の端末100から予定外の保守作業のリクエストを受信し、管理情報の作業要件に基づいて予定外の保守作業に、複数の保守作業者が必要であることを確認すると、前記共同作業者を決定する。第3の保守管理システムによれば、保守現場において、予定外の保守作業が出ても作業要件の順守を達成することができる。
【0056】
第4の保守管理システムは、第2の管理システムにおいて、処理部320は、候補者を保守現場の保守作業者の端末に通知し、保守作業者が候補者を選択したことを端末から通知された後、候補者の端末に支援依頼を送信する。第4の保守管理システムによれば、保守作業者が候補者を選択できるようにして、共同作業が円滑に進むようにした。
【0057】
第5の保守管理システムは、第1の管理システムにおいて、処理部320は、保守現場に於ける保守作業者の端末の位置情報と共同作業者の端末の位置情報とが規定範囲内にある場合に、保守作業者と共同作業者との接触を判定する。第5の保守管理システムによれば、保守作業者と共同作業者との実際の接触を判定することにより、複数の保守作業者によって保守が行われなければならないという作業要件を確実に達成することが出来る。
【0058】
第6の保守管理システムは、第1の管理システムにおいて、処理部320は、保守現場に於ける保守作業者の端末から送信される、保守作業者の個体情報と共同作業者の個体情報との認証に基づいて、保守作業者と共同作業者との接触を判定する。第6の保守管理システムによれば、保守作業者と共同作業者との実際の接触を判定することにより、複数の保守作業者によって保守が行われなければならないという作業要件を確実に達成することが出来る。
【0059】
さらに、対象設備の保守を管理する保守管理方法であって、計算機システムが、前記対象設備の保守現場の保守作業者と共同して保守を行う共同作業者を決定し、前記保守現場での前記保守作業者と前記共同作業者との接触を判定し、当該判定に基づいて、前記対象設備の保守に保守用プログラムが使用できるようにする。この保守管理方法によれば、複数の保守作業者で対象設備を保守する場合であっても、保守の作業要件が確実に順守されるように保守作業の進行を管理できる。
【符号の説明】
【0060】
100:端末A、110:記憶部、111:保守用プログラム、112:作業スケジュール情報、113:使用許可情報、114:予定外作業情報、115:位置情報、116:共同作業者情報、117:支援可否情報、118:KYミーティング情報、119:KYミーティング実施結果、120:診断装置情報、121:顔認証結果情報、130:処理部、131:位置情報検出部、132:使用可否判定部、133:顔認証部、140:表示部、150:入力部、160:撮像部、170:通信部、200:端末B、210:記憶部、211:支援依頼情報、212:支援可否情報、213:位置情報、230:処理部、231:位置情報検出部、240:表示部、250:入力部、260:撮像部、270:通信部、300:計算機システム、310:記憶部、311:作業情報、312:人員情報、313:作業スケジュール情報、320:処理部、321:位置情報判定部、322:使用許可判定部、330:通信部、400:ネットワーク。