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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139613
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H03K 17/16 20060101AFI20241002BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
H03K17/16 H
H03K17/687 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050640
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 晴喜
(72)【発明者】
【氏名】宮本 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】後藤 周作
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX25
5J055AX56
5J055AX66
5J055BX16
5J055CX08
5J055CX13
5J055CX22
5J055DX13
5J055DX22
5J055DX31
5J055DX32
5J055DX36
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5J055DX49
5J055DX54
5J055DX72
5J055DX73
5J055DX80
5J055DX82
5J055EX02
5J055EY12
5J055EZ15
5J055EZ42
5J055FX05
5J055FX13
5J055FX20
5J055GX01
5J055GX02
5J055GX05
(57)【要約】
【課題】スイッチ素子に不具合が生じることを抑制するスイッチ装置を提供する。
【解決手段】スイッチ装置1は、交流電源ACと負荷Lとをつなぐ電力供給経路SLに設けられた第1の半導体スイッチ10と、第1の半導体スイッチ10に並列接続された第2の半導体スイッチ20と、所定の周期ごとに、第1の半導体スイッチ10の導通および非導通の切り替え、ならびに、第2の半導体スイッチ20に対するオン指令およびオン指令の解除の出力の切り替えを行う制御部50と、を備える。制御部50は、第1の半導体スイッチ10を導通から非導通に切り替える前に第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力することで第2の半導体スイッチ20を導通状態とし、第1の半導体スイッチ10を非導通に切り替えてから交流電源ACの電流がゼロになる前に第2の半導体スイッチ20にオン指令の解除を出力する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源と負荷とをつなぐ電力供給経路に設けられた第1端子および第2端子と、
前記電力供給経路において前記第1端子と前記第2端子との間に設けられた第1の半導体スイッチと、
前記第1の半導体スイッチに並列接続された第2の半導体スイッチと、
所定の周期ごとに、前記第1の半導体スイッチの導通および非導通の切り替え、ならびに、前記第2の半導体スイッチに対するオン指令およびオン指令の解除の出力の切り替えを行う制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の半導体スイッチを導通から非導通に切り替える前に前記第2の半導体スイッチにオン指令を出力することで前記第2の半導体スイッチを導通状態とし、前記第1の半導体スイッチを非導通に切り替えてから前記交流電源の電流がゼロになる前に前記第2の半導体スイッチにオン指令の解除を出力する
スイッチ装置。
【請求項2】
前記第1の半導体スイッチは、電界効果トランジスタを含むスイッチであり、
前記第2の半導体スイッチは、サイリスタまたは双方向サイリスタである
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記第2の半導体スイッチは、前記制御部から出力された前記オン指令の解除を受け付けた後も導通状態を維持し、前記交流電源の電流がゼロになったときに当該導通状態を非導通状態とする
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
さらに、前記制御部を駆動するための駆動電圧を生成する電源回路部を備え、
前記電源回路部は、第1整流素子を介して前記第1端子に電気的に接続され、および、第2整流素子を介して前記第2端子に電気的に接続されている
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の半導体スイッチに印加される電圧を検出する電圧検出部を有し、前記第1の半導体スイッチに印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、前記第2の半導体スイッチにオン指令を出力する
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項6】
前記電圧検出部は、前記第1端子および前記第2端子のそれぞれに電気的に接続され、
前記制御部は、前記第1端子または前記第2端子における電位が所定の電位よりも高い場合に、前記第2の半導体スイッチにオン指令を出力する
請求項5に記載のスイッチ装置。
【請求項7】
さらに、前記電力供給経路において前記第1の半導体スイッチと前記第2端子との間に設けられた電磁リレーを備え、
前記電磁リレーは、前記第1の半導体スイッチに直列接続されている
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記第1の半導体スイッチに印加される電圧を検出する電圧検出部を有し、前記第1の半導体スイッチに印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、導通状態にある前記電磁リレーを非導通状態とする
請求項7に記載のスイッチ装置。
【請求項9】
前記第2の半導体スイッチは、前記第1の半導体スイッチおよび前記電磁リレーに対して並列接続されており、
前記制御部は、前記第1の半導体スイッチに印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、前記第2の半導体スイッチにオン指令を出力する
請求項8に記載のスイッチ装置。
【請求項10】
さらに、前記負荷を操作するための操作情報を取得する情報取得部を備え、
前記制御部は、前記操作情報に基づいて前記第1の半導体スイッチの導通および非導通、ならびに、前記第2の半導体スイッチに対するオン指令およびオン指令の解除を制御する
請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項11】
さらに、前記負荷を操作するための操作情報を取得する情報取得部を備え、
前記制御部は、前記操作情報に基づいて前記第1の半導体スイッチの導通および非導通、前記第2の半導体スイッチに対するオン指令およびオン指令の解除、ならびに、前記電磁リレーの導通および非導通を制御する
請求項7に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷を制御するためのスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具などの負荷を制御するための装置が知られている。この種の装置の一例として、特許文献1には、交流電源と負荷との間に設けられた第1のスイッチ素子と、第1のスイッチ素子に並列接続された第2のスイッチ素子と、交流電源から出力される波形のゼロクロスを検出するゼロクロス検出回路と、を備える調光装置が開示されている。この調光装置では、ゼロクロス検出回路で検出したゼロクロスのタイミングに基づいて、2つのスイッチ素子のうちの一方のスイッチ素子の導通および非導通を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6389911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された装置では、例えば、スイッチ素子をオフしたときに負荷を起因とする逆起電力が発生し、スイッチ素子に不具合が生じることがある。
【0005】
本発明は、スイッチ素子に不具合が生じることを抑制できるスイッチ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のスイッチ装置の一態様は、交流電源と負荷とをつなぐ電力供給経路に設けられた第1端子および第2端子と、前記電力供給経路において前記第1端子と前記第2端子との間に設けられた第1の半導体スイッチと、前記第1の半導体スイッチに並列接続された第2の半導体スイッチと、所定の周期ごとに、前記第1の半導体スイッチの導通および非導通の切り替え、ならびに、前記第2の半導体スイッチに対するオン指令およびオン指令の解除の出力の切り替えを行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の半導体スイッチを導通から非導通に切り替える前に前記第2の半導体スイッチにオン指令を出力することで前記第2の半導体スイッチを導通状態とし、前記第1の半導体スイッチを非導通に切り替えてから前記交流電源の電流がゼロになる前に前記第2の半導体スイッチにオン指令の解除を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のスイッチ装置は、スイッチ素子に不具合が生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】比較例のスイッチ装置および負荷制御システムの回路図である。
図2】比較例のスイッチ装置の動作を示すタイミングチャートである。
図3】実施の形態1に係るスイッチ装置および負荷制御システムの回路図である。
図4】実施の形態1に係るスイッチ装置の動作を示すタイミングチャートである。
図5】実施の形態2に係るスイッチ装置および負荷制御システムの回路図である。
図6】実施の形態2の変形例に係るスイッチ装置および負荷制御システムの回路図である。
図7】実施の形態3に係るスイッチ装置および負荷制御システムの回路図である。
図8】実施の形態3の変形例に係るスイッチ装置および負荷制御システムの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本発明に至る経緯)
本発明に至る経緯について、比較例を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、比較例のスイッチ装置101および負荷制御システム102の回路図である。
【0011】
図1に示すように、比較例の負荷制御システム102は、交流電源ACと、負荷Lと、スイッチ装置101と、を備えている。スイッチ装置101は、交流電源ACと負荷Lとをつなぐ電力供給経路SLに設けられている。
【0012】
負荷Lは、例えばシーリングライトまたはダウンライトなどの照明装置である。スイッチ装置101は、電界効果トランジスタなどの半導体スイッチ110によって構成されている。
【0013】
図2は、比較例のスイッチ装置101の動作を示すタイミングチャートである。
【0014】
同図には、半導体スイッチ110の導通および非導通の切り替え、半導体スイッチ110の両端電圧であるスイッチ間電圧、および、負荷Lに供給される負荷電流が示されている。
【0015】
負荷制御システム102では、交流電源ACの交流波形に表れる半周期ごとに、制御部150が半導体スイッチ110の導通および非導通を切り替えることで所定波形の負荷電流を生成し、負荷Lの作動を制御する。
【0016】
例えば、負荷Lが照明装置などの誘導性を有する装置である場合、半導体スイッチ110をオフしたとき(t=t2)に逆起電力が発生する。負荷Lを起因とする逆起電力が発生すると半導体スイッチ110に過電圧がかかり、半導体スイッチ110に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0017】
本発明のスイッチ装置は、半導体スイッチをオフしたときに負荷Lによる逆起電力が発生することを抑制するため、以下に示す構成を有している。また、本発明のスイッチ装置は、負荷Lによる逆起電力が発生した場合であっても、発生した逆起電力によって半導体スイッチに不具合が生じることを抑制するため、以下に示す構成を有している。
【0018】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0019】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0020】
(実施の形態1)
実施の形態1に係るスイッチ装置について、図3および図4を参照しながら説明する。
【0021】
図3は、実施の形態1に係るスイッチ装置1および負荷制御システム2の回路図である。
【0022】
図3に示すように、負荷制御システム2は、交流電源ACと、負荷Lと、スイッチ装置1と、を備えている。
【0023】
交流電源ACは、例えば交流100Vまたは交流200Vの商用電源である。交流電源ACは、一定の周期を有する正弦波状の交流電流(または交流電圧)を出力する。図3には、交流電源ACと負荷Lとをつなぐ単相2線式の電力供給経路SLが示されている。
【0024】
負荷Lは、例えば照明装置または空調装置である。負荷制御システム2は、システムの系全体として誘導性を示すインダクタス成分を有している。負荷Lは、例えば、建物の造営材の一例である天井に設置される。同図には1つの負荷Lが示されているが、それに限られず、負荷Lは互いに並列接続された複数の装置によって構成されていてもよい。負荷Lは、交流電源ACの交流波形およびスイッチ装置1によって作動制御される。
【0025】
スイッチ装置1は、交流電源ACから出力された電力の供給の有無を切り替えることで、負荷Lの作動を制御する。スイッチ装置1は、例えば、建物の造営材の一例である壁に設置される。
【0026】
スイッチ装置1は、負荷Lを操作するための操作情報を取得する情報取得部70を有している。情報取得部70は、例えば負荷Lが照明器具である場合、照明器具の調光に関する操作情報を取得する。情報取得部70は、例えば、ユーザの操作入力を受け付けるタッチパネルおよびボタンスイッチ、または、温度および湿度を検出する環境センサである。情報取得部70は、無線および赤外線通信によって操作情報を取得する通信モジュールであってもよい。
【0027】
スイッチ装置1は、情報取得部70で取得した操作情報に基づいて、負荷Lの作動を制御する。
【0028】
図3に示すように、スイッチ装置1は、第1端子T1と、第2端子T2と、第1の半導体スイッチ10と、第2の半導体スイッチ20と、電源回路部30と、制御部50と、を備えている。スイッチ装置1の制御部50は、上記の操作情報に基づいて第1の半導体スイッチ10の導通および非導通、ならびに、第2の半導体スイッチ20に対するオン指令およびオン指令の解除を制御する。
【0029】
第1端子T1および第2端子T2は、交流電源ACと負荷Lとをつなぐ電力供給経路SLに設けられている。この例では、第1端子T1は、第2端子T2よりも交流電源AC側に位置し、第2端子T2は第1端子T1よりも負荷L側に位置している。言い換えると、第1端子T1は、第1の半導体スイッチ10から見て交流電源AC側に位置し、第2端子T2は、第1の半導体スイッチ10から見て負荷L側に位置している。
【0030】
第1の半導体スイッチ10は、電力供給経路SLにおいて第1端子T1と第2端子T2との間に設けられている。第1の半導体スイッチ10は、互いに直列接続された2つの電界効果トランジスタ11および12によって構成されている。電界効果トランジスタは、例えば、N型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0031】
2つの電界効果トランジスタのうち、一方の電界効果トランジスタ11のゲートは制御部50に接続され、ドレインは第1端子T1に接続され、ソースは他方の電界効果トランジスタ12のソースに接続されている。他方の電界効果トランジスタ12のゲートは制御部50に接続され、ドレインは第2端子T2に接続され、ソースは一方の電界効果トランジスタ12のソースに接続されている。
【0032】
第1の半導体スイッチ10は、制御部50から出力された第1のゲート信号s1に応じて導通状態および非導通状態を切り替える。例えば、第1の半導体スイッチ10の電界効果トランジスタ11および12は、第1のゲート信号s1のオン指令によって瞬時に導通状態となり、第1のゲート信号s1のオフ指令によって瞬時に非導通状態となる。なお、第1の半導体スイッチ10は、非導通状態となった後は次のオン指令があるまで非導通状態を維持する。
【0033】
第2の半導体スイッチ20は、第1の半導体スイッチ10に並列接続されている。具体的には第2の半導体スイッチ20の一端は、第1端子T1と第1の半導体スイッチ10との間のノードn1に接続され、第2の半導体スイッチ20の他端は、第1の半導体スイッチ10と第2端子T2との間のノードn2に接続されている。なおこの例では、第1端子T1およびノードn1は同電位であり、第2端子T2およびノードn2は同電位である。
【0034】
第2の半導体スイッチ20は、サイリスタまたは双方向サイリスタ(例えばトライアック)などのシリコン制御整流子(SCR:Silicon Controlled Rectifier)である。第2の半導体スイッチ20は、制御部50から出力された第2のゲート信号s2、および、第2の半導体スイッチ20自身に流れる電流に基づいて、導通状態および非導通状態を切り替える。例えば、第2の半導体スイッチ20は、第2のゲート信号s2のオン指令を受け付けることで導通状態となる。一方、第2の半導体スイッチ20は、第2のゲート信号s2のオン指令の解除を受け付けた場合、すぐに非導通状態とならずに自身に電流が流れている間は導通状態を維持し、自身に流れる電流がゼロ(零)になると非導通状態となる。なお、第2の半導体スイッチ20は、非導通状態となった後は次のオン指令があるまで非導通状態を維持する。
【0035】
電源回路部30は、制御部50を駆動するための駆動電圧(動作電圧)を生成する回路である。電源回路部30は、第1整流素子31を介して第1端子T1に電気的に接続され、および、第2整流素子32を介して第2端子T2に電気的に接続されている。なお、第1整流素子31のアノードは第1端子T1に接続され、カソードは、第1整流素子31と電源回路部30との間に位置するノードn3を介して電源回路部30に接続されている。第2整流素子32のアノードは第2端子T2に接続され、カソードは、ノードn3を介して電源回路部30に接続されている。電源回路部30は、交流電源ACを電力源として第1端子T1または第2端子T2から電力を取得する。電源回路部30は、第1端子T1または第2端子T2から取得した電力を所定の直流電圧に変換し、駆動電圧として制御部50へ出力する。
【0036】
図3に示すように制御部50は、第1ゲート回路51、第2ゲート回路52およびMCU(Micro Controller Unit)55によって構成されている。第1ゲート回路51および第2ゲート回路52のそれぞれは、論理回路によって構成されている。
【0037】
第1ゲート回路51は、第1の半導体スイッチ10のゲートに接続されている。具体的には、第1ゲート回路51は、一方の電界効果トランジスタ11のゲートおよび他方の電界効果トランジスタ12のゲートのそれぞれに接続されている。第1ゲート回路51は、2つの電界効果トランジスタ11、12のゲートに第1のゲート信号s1を出力することで、第1の半導体スイッチ10の導通および非導通を切り替える。
【0038】
第2ゲート回路52は、第2の半導体スイッチ20のゲートに接続されている。第2ゲート回路52は、第2の半導体スイッチ20のゲートに第2のゲート信号s2を出力することで、第2の半導体スイッチ20に対するオン指令およびオン指令の解除を与える。
【0039】
MCU55は、所定の周期ごとに、第1の半導体スイッチ10の導通および非導通の切り替え、ならびに、第2の半導体スイッチ20に対するオン指令およびオン指令の解除の出力の切り替えの制御を行う。所定の周期は、例えば交流電源ACの交流波形に表れる周期の半分の周期である。なお、所定の周期は、交流電源ACの交流波形に表れる周期と同じであってもよいし、交流波形に表れる半周期の逓倍であってもよい。
【0040】
例えばMCU55は、半周期の間に、第1ゲート回路51を作動して第1のゲート信号s1を出力し、第1の半導体スイッチ10の導通および非導通の切り替えを行う。また、MCU55は、半周期の間に、第2ゲート回路52を作動して第2のゲート信号s2を出力し、第2の半導体スイッチ20に対するオン指令およびオン指令の解除の出力の切り替えを行う。オン指令の解除を行う理由は、第2の半導体スイッチ20が次の半周期の開始時点において導通状態とならないようにするためである。このようにMCU55は、第1ゲート回路51および第2ゲート回路52を作動し、第1の半導体スイッチ10および第2の半導体スイッチ20の開閉を制御することで負荷Lの作動を制御する。
【0041】
図4は、スイッチ装置1の動作を示すタイミングチャートである。
【0042】
同図には、第1の半導体スイッチ10が受け付ける第1のゲート信号s1、第2の半導体スイッチ20が受け付ける第2のゲート信号s2、第1端子T1および第2端子T2の端子間電圧、および、負荷Lに供給される負荷電流が示されている。端子間電圧が0であるとき、負荷Lに負荷電流が供給される。
【0043】
また、同図には、制御部50を駆動するための駆動電圧の確保完了に関するタイミングチャートも示されている。電源回路部30は、時間t=t0にて交流電源ACの電流がゼロクロスしてから立ち上がるときに駆動電圧を生成するが、駆動電圧を生成するにはある程度の時間が必要である。そこで、電源回路部30は、十分な駆動電圧を生成できたときに、駆動電圧の確保が完了したことを示す駆動電圧確保完了信号を制御部50へ出力する。
【0044】
制御部50は、駆動電圧確保完了信号を受け付けることで、ゲート回路を介して半導体スイッチの制御を行う。まず、制御部50は、第1ゲート回路51を介して第1の半導体スイッチ10の導通および非導通を制御する。第1の半導体スイッチ10の導通時間は、タイマーによって予め設定されている。
【0045】
本実施の形態のスイッチ装置1では、第1の半導体スイッチ10をオフしたときに負荷Lによる逆起電力が発生することを抑制するため、以下に示す制御を行う。
【0046】
例えば制御部50は、第1の半導体スイッチ10を導通(t=t1)させた後、導通から非導通(t=t2)への立下りをまたぐように、第2の半導体スイッチ20にオン指令およびオン指令の解除を出力する。具体的に、制御部50は、第1の半導体スイッチ10を導通から非導通に切り替える前に、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力することで第2の半導体スイッチ20を導通状態とする。この制御によれば、第1の半導体スイッチ10が非導通となったときに、交流電源ACの電流を、第2の半導体スイッチ20を経由させて負荷L側に出力させることができる。そのため、第1の半導体スイッチ10をオフしたときも負荷Lに電流が供給され、負荷Lによる逆起電力が発生することを抑制できる。これにより、第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制できる。
【0047】
また、制御部50は、第1の半導体スイッチ10を非導通に切り替えてから交流電源ACの電流がゼロになる前に第2の半導体スイッチ20にオン指令の解除を出力する。第2の半導体スイッチ20は、オン指令の解除を受け付けた後、すぐに非導通状態とならずに自身に電流が流れている間は導通状態を維持し、自身に流れる電流がゼロになったとき(t=t0)に当該導通状態を非導通状態とする。そのため、第2の半導体スイッチ20がオン指令の解除を受け付けた後であっても、交流波形に沿って電流がゼロになるまで負荷Lに電流が供給され続け、負荷Lによる逆起電力が発生することを抑制できる。これにより、第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制できる。
【0048】
(実施の形態2)
実施の形態2に係るスイッチ装置1Aについて、図5を参照しながら説明する。実施の形態2では、スイッチ装置1Aが電圧検出部58を備えている例について説明する。
【0049】
図5は、実施の形態2に係るスイッチ装置1Aおよび負荷制御システム2Aの回路図である。
【0050】
実施の形態2の負荷制御システム2Aは、交流電源ACと、負荷Lと、スイッチ装置1Aと、を備えている。交流電源ACおよび負荷Lは、実施の形態1と同様である。スイッチ装置1Aの情報取得部70も実施の形態1と同様である。
【0051】
実施の形態2のスイッチ装置1Aは、第1端子T1と、第2端子T2と、第1の半導体スイッチ10と、第2の半導体スイッチ20と、電源回路部30と、制御部50Aと、を備えている。第1の半導体スイッチ10、第2の半導体スイッチ20および電源回路部30は、実施の形態1と同様である。
【0052】
図5に示すように、実施の形態2の制御部50Aは、第1ゲート回路51、第2ゲート回路52およびMCU55を備え、さらに、電圧検出部58を備えている。
【0053】
第1ゲート回路51は、実施の形態1と同様である。MCU55は、半周期の間に、第1ゲート回路51を作動して第1のゲート信号s1を出力し、第1の半導体スイッチ10の導通および非導通の切り替えを行う。つまりMCU55は、第1ゲート回路51を作動し、第1の半導体スイッチ10の開閉を制御することで負荷Lの作動を制御する。
【0054】
電圧検出部58は、第1の半導体スイッチ10に印加される電圧を検出する回路である。電圧検出部58は、第1端子T1および第2端子T2のそれぞれに電気的に接続されている。具体的には、電圧検出部58は、第1整流素子31を介して第1端子T1に接続されており、第1端子T1における電位を検出する。また、電圧検出部58は、第2整流素子32を介して第2端子T2に接続されており、第2端子T2における電位を検出する。
【0055】
実施の形態2のスイッチ装置1Aでは、電圧検出部58と第2ゲート回路52とが接続されており、電圧検出部58が第2ゲート回路52の作動を制御する。
【0056】
電圧検出部58は、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、第2ゲート回路52を作動し、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力する。なお、所定の電圧は、第1の半導体スイッチ10の許容電圧以下の電圧に設定される。
【0057】
つまり実施の形態2の制御部50Aは、電圧検出部58を用いて、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い状態にあることを検出した場合に、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力する。言い換えると、制御部50Aは、第1端子T1または第2端子T2における電位が所定の電位よりも高い場合に、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力し、第2の半導体スイッチ20を導通させる。
【0058】
実施の形態2のスイッチ装置1Aでは、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力する。このように、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に第2の半導体スイッチ20を導通状態にすることで、第1の半導体スイッチ10に過電圧が印加されることを抑制できる。これにより、負荷Lによる逆起電力が発生した場合であっても、発生した逆起電力によって第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制することができる。
【0059】
(実施の形態2の変形例)
実施の形態2の変形例に係るスイッチ装置1Bについて、図6を参照しながら説明する。実施の形態2の変形例では、第2の半導体スイッチ20が、MCU55および電圧検出部58のそれぞれによって制御される例について説明する。
【0060】
図6は、実施の形態2の変形例に係るスイッチ装置1Bおよび負荷制御システム2Bの回路図である。
【0061】
変形例の負荷制御システム2Bは、交流電源ACと、負荷Lと、スイッチ装置1Bと、を備えている。交流電源ACおよび負荷Lは、実施の形態1と同様である。スイッチ装置1Bの情報取得部70も実施の形態1と同様である。
【0062】
変形例のスイッチ装置1Bは、第1端子T1と、第2端子T2と、第1の半導体スイッチ10と、第2の半導体スイッチ20と、電源回路部30と、制御部50Bと、を備えている。第1の半導体スイッチ10、第2の半導体スイッチ20および電源回路部30は、実施の形態1と同様である。
【0063】
変形例の制御部50Bは、第1ゲート回路51、第2ゲート回路52、MCU55および電圧検出部58を備えている。
【0064】
第1ゲート回路51、MCU55および電圧検出部58は、実施の形態1と同様である。
【0065】
変形例では、MCU55および電圧検出部58のそれぞれが、第2ゲート回路52に接続され、第2ゲート回路52の作動を制御する。
【0066】
MCU55は、第1ゲート回路51および第2ゲート回路52を作動し、第1の半導体スイッチ10および第2の半導体スイッチ20の開閉を制御することで負荷Lの作動を制御する。電圧検出部58は、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、第2ゲート回路52を作動し、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力する。
【0067】
実施の形態2の変形例に係るスイッチ装置1Bは、実施の形態1および実施の形態2の両方の効果を有する。つまり、スイッチ装置1Bでは、第1の半導体スイッチ10をオフしたときに負荷Lによる逆起電力が発生することを抑制することができる。また、仮に負荷Lによる逆起電力が発生した場合であっても、発生した逆起電力によって第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制することができる。
【0068】
(実施の形態3)
実施の形態3に係るスイッチ装置1Cについて、図7を参照しながら説明する。実施の形態3では、スイッチ装置1Cが電磁リレー40を備えている例について説明する。
【0069】
図7は、実施の形態3に係るスイッチ装置1Cおよび負荷制御システム2Cの回路図である。
【0070】
実施の形態3の負荷制御システム2Cは、交流電源ACと、負荷Lと、スイッチ装置1Cと、を備えている。交流電源ACおよび負荷Lは、実施の形態2と同様である。スイッチ装置1Cの情報取得部70も実施の形態2と同様である。
【0071】
実施の形態3のスイッチ装置1Cは、第1端子T1と、第2端子T2と、第1の半導体スイッチ10と、第2の半導体スイッチ20と、電源回路部30と、制御部50Cと、電圧検出部58と、を備えている。第1の半導体スイッチ10、第2の半導体スイッチ20、電源回路部30および電圧検出部58は、実施の形態2と同様である。なお、電圧検出部58による電圧検出情報は、第2ゲート回路52だけでなくMCU55にも出力される。
【0072】
図7に示すスイッチ装置1Cは、電磁リレー40を備えている。電磁リレー40は、例えば、ノーマリーオープン型の有接点リレーである。電磁リレー40は、電力供給経路SLにおいて第1の半導体スイッチ10と第2端子T2との間に設けられている。電磁リレー40は、第1の半導体スイッチ10に直列接続されている。なお、同図では電磁リレー40が、第1の半導体スイッチ10から見て負荷L側に配置されているが、それに限られず、第1の半導体スイッチ10から見て交流電源AC側に配置されてもよい。すなわち電磁リレー40は、電力供給経路SLにおいて第1の半導体スイッチ10と第1端子T1との間に設けられもよい。
【0073】
第2の半導体スイッチ20は、第1の半導体スイッチ10および電磁リレー40に対して並列接続される。具体的には、第2の半導体スイッチ20の一端は、第1端子T1と第1の半導体スイッチ10との間のノードn1に接続され、第2の半導体スイッチ20の他端は、電磁リレー40と第2端子T2との間のノードn2に接続されている。
【0074】
なお、実施の形態3における電圧検出部58は、一方がノードn1に接続されているが、他方は第1の半導体スイッチ10と電磁リレー40との間のノードn1aに接続されている。電圧検出部58は、第1の半導体スイッチ10の両端のいずれか(ノードn1またはn1a)の電位を検出するように構成されている。
【0075】
制御部50Cは、通常稼働時は電磁リレー40を導通状態とし、過電圧が発生したときに電磁リレーを非導通状態(遮断状態)とする。例えば制御部50Cは、電圧検出部58を用いて、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い状態にあることを検出した場合に、導通状態にある電磁リレー40を非導通状態とする。
【0076】
実施の形態3のスイッチ装置1Cでは、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、電磁リレー40を非導通状態とする。そのため、第1の半導体スイッチ10に過電圧が印加されることを抑制できる。これにより、負荷Lによる逆起電力が発生した場合であっても、発生した逆起電力によって第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制することができる。
【0077】
また、実施の形態3のスイッチ装置1Cでは、電界効果トランジスタ11、12と電磁リレー40とを直列接続させているので、低耐圧仕様の電界効果トランジスタ11、12を採用することができる。これにより、第1の半導体スイッチ10のオン抵抗を小さくすることができる。
【0078】
また、接点の溶着等により電磁リレー40を意図的に非導通とすることができない場合であっても、電圧検出部58を用いて、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い状態にあることを検出して、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力し、第2の半導体スイッチ20を導通させることができる。これによれば、第1の半導体スイッチ10に過電圧が印加されることを抑制できる。これにより、負荷Lによる逆起電力が発生した場合であっても、発生した逆起電力によって第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制することができる。
【0079】
(実施の形態3の変形例)
実施の形態3の変形例に係るスイッチ装置1Dについて、図8を参照しながら説明する。実施の形態3の変形例では、第2の半導体スイッチ20が、MCU55および電圧検出部58のそれぞれによって制御される例について説明する。
【0080】
図8は、実施の形態3の変形例に係るスイッチ装置1Dおよび負荷制御システム2Dの回路図である。
【0081】
この変形例の負荷制御システム2Dは、交流電源ACと、負荷Lと、スイッチ装置1Dと、を備えている。交流電源ACおよび負荷Lは、実施の形態2の変形例と同様である。スイッチ装置1Dの情報取得部70も実施の形態2の変形例と同様である。
【0082】
この変形例のスイッチ装置1Dは、第1端子T1と、第2端子T2と、第1の半導体スイッチ10と、第2の半導体スイッチ20と、電源回路部30と、制御部50Dと、を備えている。第1の半導体スイッチ10、第2の半導体スイッチ20および電源回路部30は、実施の形態2の変形例と同様である。
【0083】
変形例の制御部50Dは、第1ゲート回路51、第2ゲート回路52、MCU55および電圧検出部58を備えている。
【0084】
第1ゲート回路51、MCU55および電圧検出部58は、実施の形態2の変形例と同様である。
【0085】
この変形例では、電圧検出部58およびMCU55のそれぞれが、第2ゲート回路52に接続され、第2ゲート回路52の作動を制御する。
【0086】
MCU55は、第1ゲート回路51および第2ゲート回路52を作動し、第1の半導体スイッチ10および第2の半導体スイッチ20の開閉を制御することで負荷Lの作動を制御する。電圧検出部58は、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、第2ゲート回路52を作動し、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力する。
【0087】
実施の形態3の変形例に係るスイッチ装置1Dは、実施の形態1、2および3と同様の効果を有する。つまり、スイッチ装置1Dでは、第1の半導体スイッチ10をオフしたときに負荷Lによる逆起電力が発生することを抑制することができる。また、仮に負荷Lによる逆起電力が発生した場合であっても、発生した逆起電力によって第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制することができる。
【0088】
(まとめ)
本実施の形態に係るスイッチ装置の構成を以下に例示する。
【0089】
[例1]本実施の形態に係るスイッチ装置1は、交流電源ACと負荷Lとをつなぐ電力供給経路SLに設けられた第1端子T1および第2端子T2と、電力供給経路SLにおいて第1端子T1と第2端子T2との間に設けられた第1の半導体スイッチ10と、第1の半導体スイッチ10に並列接続された第2の半導体スイッチ20と、所定の周期ごとに、第1の半導体スイッチ10の導通および非導通の切り替え、ならびに、第2の半導体スイッチ20に対するオン指令およびオン指令の解除の出力の切り替えを行う制御部50と、を備える。制御部50は、第1の半導体スイッチ10を導通から非導通に切り替える前に第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力することで第2の半導体スイッチ20を導通状態とし、第1の半導体スイッチ10を非導通に切り替えてから交流電源ACの電流がゼロになる前に第2の半導体スイッチ20にオン指令の解除を出力する。
【0090】
このように、第1の半導体スイッチ10を導通から非導通に切り替える前に第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力することで、第1の半導体スイッチ10が非導通となったときに、交流電源ACの電流を、第2の半導体スイッチ20を経由させて負荷L側に出力させることができる。そのため、第1の半導体スイッチ10をオフしたときも負荷Lに電流が供給され、負荷Lによる逆起電力が発生することを抑制できる。これにより、第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制できる。
【0091】
また、第1の半導体スイッチ10を非導通に切り替えてから交流電源ACの電流がゼロになる前に第2の半導体スイッチ20にオン指令の解除を出力する。それに対し、第2の半導体スイッチ20は、オン指令の解除を受け付けた後、すぐに非導通状態とならずに自身に電流が流れている間は導通状態を維持し、自身に流れる電流がゼロになったときに当該導通状態を非導通状態とする。そのため、第2の半導体スイッチ20がオン指令の解除を受け付けた後であっても、電流がゼロになるまで負荷Lに電流が供給され続け、負荷Lによる逆起電力が発生することを抑制できる。これにより、第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制できる。
【0092】
[例2]第1の半導体スイッチ10は、電界効果トランジスタ11、12を含むスイッチである。第2の半導体スイッチ20は、サイリスタまたは双方向サイリスタである。
【0093】
この第1の半導体スイッチ10によれば、瞬時に導通および非導通の切り替えが可能となる。また、この第2の半導体スイッチ20によれば、オン指令を受け付けることで導通状態となり、オン指令の解除を受け付けた場合、すぐに非導通状態とならずに自身に電流が流れている間は導通状態を維持し、自身に流れる電流がゼロになると非導通状態とすることができる。この第2の半導体スイッチ20によれば、第1の半導体スイッチ10をオフしたときに負荷Lによる逆起電力が発生することを抑制することができる。例2の構成は、例1に適用可能である。
【0094】
[例3]第2の半導体スイッチ20は、制御部50から出力されたオン指令の解除を受け付けた後も導通状態を維持し、交流電源ACの電流がゼロになったときに当該導通状態を非導通状態とする。
【0095】
この第2の半導体スイッチ20によれば、オン指令を受け付けることで導通状態となり、オン指令の解除を受け付けた場合、すぐに非導通状態とならずに自身に電流が流れている間は導通状態を維持し、自身に流れる電流がゼロになると非導通状態とすることができる。この第2の半導体スイッチ20によれば、第1の半導体スイッチ10をオフしたときに負荷Lによる逆起電力が発生することを抑制することができる。例3の構成は、例1または2に適用可能である。
【0096】
[例4]スイッチ装置1は、さらに、制御部50を駆動するための駆動電圧を生成する電源回路部30を備える。電源回路部30は、第1整流素子31を介して第1端子T1に電気的に接続され、および、第2整流素子32を介して第2端子T2に電気的に接続されている。
【0097】
これによれば、制御部50を安定して駆動させ、第1の半導体スイッチ10および第2の半導体スイッチ20の制御を安定して実行することができる。これにより、第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制できる。例4の構成は、例1~3のいずれかに適用可能である。
【0098】
[例5]スイッチ装置1A(または1B)の制御部50A(または50B)は、第1の半導体スイッチ10に印加される電圧を検出する電圧検出部58を有し、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力する。
【0099】
これによれば、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力して第2の半導体スイッチ20を導通状態にし、第1の半導体スイッチ10に過電圧が印加されることを抑制できる。これにより、負荷Lによる逆起電力が発生した場合であっても、発生した逆起電力によって第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制することができる。例5の構成は、例1~4のいずれかに適用可能である。
【0100】
[例6]電圧検出部58は、第1端子T1および第2端子T2のそれぞれに電気的に接続されている。制御部50A(または50B)は、第1端子T1または第2端子T2における電位が所定の電位よりも高い場合に、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力する。
【0101】
これによれば、第1端子T1または第2端子T2における電位が所定の電位よりも高い場合に、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力して第2の半導体スイッチ20を導通状態にし、第1の半導体スイッチ10に過電圧が印加されることを抑制できる。これにより、負荷Lによる逆起電力が発生した場合であっても、発生した逆起電力によって第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制することができる。例6の構成は、例5に適用可能である。
【0102】
[例7]スイッチ装置1C(または1D)は、さらに、電力供給経路SLにおいて第1の半導体スイッチ10と第2端子T2との間に設けられた電磁リレー40を備える。電磁リレー40は、第1の半導体スイッチ10に直列接続されている。
【0103】
これによれば、例えば第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、電磁リレー40を非導通状態として、第1の半導体スイッチ10に過電圧が印加されることを抑制できる。これにより、負荷Lによる逆起電力が発生した場合であっても、発生した逆起電力によって第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制することができる。
【0104】
また、第1の半導体スイッチ10と電磁リレー40とを直列接続させることで、低耐圧仕様の第1の半導体スイッチ10を採用することができる。これにより、第1の半導体スイッチ10のオン抵抗を小さくすることができる。例7の構成は、例1~6のいずれかに適用可能である。
【0105】
[例8]制御部50C(または50D)は、第1の半導体スイッチ10に印加される電圧を検出する電圧検出部58を有し、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、導通状態にある電磁リレー40を非導通状態とする。
【0106】
このように、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、電磁リレー40を非導通状態とすることで、第1の半導体スイッチ10に過電圧が印加されることを抑制できる。これにより、負荷Lによる逆起電力が発生した場合であっても、発生した逆起電力によって第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制することができる。例8の構成は、例7に適用可能である。
【0107】
[例9]第2の半導体スイッチ20は、第1の半導体スイッチ10および電磁リレー40に対して並列接続されている。制御部50C(または50D)は、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力する。
【0108】
この構成によれば、例えば、電磁リレー40を意図的に非導通とすることができない場合であっても、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い状態にあることを検出して、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力し、第2の半導体スイッチ20を導通させることができる。これによれば、第1の半導体スイッチ10に過電圧が印加されることを抑制できる。これにより、負荷Lによる逆起電力が発生した場合であっても、発生した逆起電力によって第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制することができる。例9の構成は、例8に適用可能である。
【0109】
[例10]スイッチ装置1は、さらに、負荷Lを操作するための操作情報を取得する情報取得部70を備える。制御部50は、操作情報に基づいて第1の半導体スイッチ10の導通および非導通、ならびに、第2の半導体スイッチ20に対するオン指令およびオン指令の解除を制御する。
【0110】
これによれば、操作情報に応じて負荷Lを適切に制御することができる。例10の構成は、例1~9のいずれかに適用可能である。
【0111】
[例11]スイッチ装置1は、さらに、負荷Lを操作するための操作情報を取得する情報取得部70を備える。制御部50は、操作情報に基づいて第1の半導体スイッチ10の導通および非導通、第2の半導体スイッチ20に対するオン指令およびオン指令の解除、ならびに、電磁リレー40の導通および非導通を制御する。
【0112】
これによれば、操作情報に応じて負荷Lを適切に制御することができる。例11の構成は、例8または例9に適用可能である。
【0113】
また、本実施の形態に係るスイッチ装置は、以下に示す構成を有していてもよい。
【0114】
[例12]本実施の形態に係るスイッチ装置1Aは、交流電源ACと負荷Lとをつなぐ電力供給経路SLに設けられた第1端子T1および第2端子T2と、電力供給経路SLにおいて第1端子T1と第2端子T2との間に設けられた第1の半導体スイッチ10と、第1の半導体スイッチ10に並列接続された第2の半導体スイッチ20と、第1の半導体スイッチ10の導通および非導通の切り替え、ならびに、第2の半導体スイッチ20に対するオン指令およびオン指令の解除の出力の切り替えを行う制御部50Aと、を備える。制御部50Aは、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力する。
【0115】
このように、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力することで、第2の半導体スイッチ20を導通状態にし、第1の半導体スイッチ10に過電圧が印加されることを抑制できる。これにより、負荷Lによる逆起電力が発生した場合であっても、発生した逆起電力によって第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制することができる。
【0116】
[例13]本実施の形態に係るスイッチ装置1Cは、交流電源ACと負荷Lとをつなぐ電力供給経路SLに設けられた第1端子T1および第2端子T2と、電力供給経路SLにおいて第1端子T1と第2端子T2との間に設けられた第1の半導体スイッチ10と、電力供給経路SLにおいて第1の半導体スイッチ10と第2端子T2との間に設けられた電磁リレー40と、第1の半導体スイッチ10の導通および非導通の切り替えを行う制御部50Cと、を備える。制御部50Cは、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、導通状態にある電磁リレー40を非導通状態とする。
【0117】
このように、第1の半導体スイッチ10に印加された電圧が所定の電圧よりも高い場合に、電磁リレー40を非導通状態とすることで、第1の半導体スイッチ10に過電圧が印加されることを抑制できる。これにより、負荷Lによる逆起電力が発生した場合であっても、発生した逆起電力によって第1の半導体スイッチ10に不具合が生じることを抑制することができる。
【0118】
(その他の形態)
以上、スイッチ装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0119】
例えば実施の形態1において、第2の半導体スイッチ20がオン指令を受け付けてから直ぐに導通状態とならない場合、つまり、第2の半導体スイッチ20がオン指令を受け付けてから導通状態となるまでに所定の遷移時間を要する場合、第2の半導体スイッチ20にオン指令を出力するタイミングは、第1の半導体スイッチ10が非導通に切り替えられるとき(t=t2)よりも、所定の遷移時間以上前のタイミングであることが望ましい。
【0120】
実施の形態2では、電圧検出部58が制御部50に含まれている例を示したが、それに限られない。電圧検出部58は、制御部50とは異なる別の構成要素として、制御部50の外に設けられていてもよい。その場合、電圧検出部58の駆動電力は、電源回路部30から供給されてもよい。また、実施の形態2では、電圧検出部58がMCU55とは異なる別の構成要素として、MCU55の外に設けられている例を示したが、それに限られない。電圧検出部58は、MCU55の内部に設けられていてもよい。すなわちMCU55が、電圧検出部58の機能を有していてもよい。
【0121】
実施の形態3では、MCU55を用いて電磁リレー40を非導通とする例を示したがそれに限られない。例えば、電磁リレー40は、電圧検出部に接続された外付け回路によって導通および非導通を制御されてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1、1A、1B、1C、1D スイッチ装置
10 第1の半導体スイッチ
20 第2の半導体スイッチ
30 電源回路部
31 第1整流素子
32 第2整流素子
40 電磁リレー
50、50A、50B、50C、50D 制御部
58 電圧検出部
70 情報取得部
AC 交流電源
L 負荷
SL 電力供給経路
T1 第1端子
T2 第2端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8