(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024139616
(43)【公開日】2024-10-09
(54)【発明の名称】低μ路面用金属製部材
(51)【国際特許分類】
E01C 9/00 20060101AFI20241002BHJP
E01C 7/26 20060101ALI20241002BHJP
E01C 11/24 20060101ALI20241002BHJP
E01C 5/00 20060101ALI20241002BHJP
【FI】
E01C9/00
E01C7/26
E01C11/24
E01C5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023050643
(22)【出願日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】川原 健治
(72)【発明者】
【氏名】柳川 裕志
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA08
2D051AB02
2D051AF11
2D051DA01
2D051DA11
2D051DC01
(57)【要約】
【課題】低いすべり抵抗値を実現しながらも、材料の安定供給と短納期を実現することが可能な低μ路面用金属製部材を提供する。
【解決手段】金属材料で構成されたベース部(10)と、ベース部(10)と一体に形成され、ベース部(10)から表面側に突出して形成された路面部(11)とを有し、路面部(11)にはベース部(10)からの高さが一定な平坦面部(11a)が設けられている低μ路面用金属製部材(100)。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材料で構成されたベース部と、
前記ベース部と一体に形成され、前記ベース部から表面側に突出して形成された路面部とを有し、
前記路面部には、前記ベース部からの高さが一定な平坦面部が設けられていることを特徴とする低μ路面用金属製部材。
【請求項2】
請求項1に記載の低μ路面用金属製部材であって、
前記平坦面部には、複数の調整用凹凸が形成されていることを特徴とする低μ路面用金属製部材。
【請求項3】
請求項2に記載の低μ路面用金属製部材であって、
前記調整用凹凸は、前記平坦面部からの高さの差が0.1mm以上10mm以下の範囲であることを特徴とする低μ路面用金属製部材。
【請求項4】
請求項2に記載の低μ路面用金属製部材であって、
前記調整用凹凸は、幅が0.3mm以上25mm以下の範囲であることを特徴とする低μ路面用金属製部材。
【請求項5】
請求項2に記載の低μ路面用金属製部材であって、
前記調整用凹凸は、前記平坦面部の100cm2あたりに1個以上100個以下の密度で設けられていることを特徴とする低μ路面用金属製部材。
【請求項6】
請求項1に記載の低μ路面用金属製部材であって、
前記路面部の裏面側に、スペーサ部材が配置されていることを特徴とする低μ路面用金属製部材。
【請求項7】
請求項1に記載の低μ路面用金属製部材であって、
前記路面部の間に給排水用溝が設けられていることを特徴とする低μ路面用金属製部材。
【請求項8】
請求項1から7の何れか一つに記載の低μ路面用金属製部材であって、
前記金属材料はステンレスであることを特徴とする低μ路面用金属製部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低μ路面用金属製部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の移動体の走行性能を試験する目的や、特殊な状況における運転技術を訓練するために、路面のすべり抵抗(μ値)が低いテストコースが用いられている。このようなテストコースは、路面上に水溜まりが生じた状態や路面凍結状態、圧雪状態を再現するために、道路表面をμ値の低いバサルトタイルで覆った構造を備えている(例えば特許文献1-3を参照)。
【0003】
従来の低μ路面用タイルとしては、玄武岩を溶融して鋳型に流し込み成形したタイルが知られている。また、このタイル上に散水することで、0.4未満の低いすべり抵抗(μ値)を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3064774号公報
【特許文献2】特開2000-290915号公報
【特許文献3】特開2005-240305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、バサルトタイルの原料として用いられる玄武岩は、産地によって含有成分が異なっているため、低μ路面用タイルに適した成分の玄武岩を産出する地域は限定されており、原料の安定供給を図ることが困難であった。また、玄武岩の溶融および成形を行う必要があるため加工に要する期間も長く、短納期でのテストコース敷設が困難であった。
【0006】
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、低いすべり抵抗値を実現しながらも、材料の安定供給と短納期を実現することが可能な低μ路面用金属製部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の低μ路面用金属製部材は、金属材料で構成されたベース部と、前記ベース部と一体に形成され、前記ベース部から表面側に突出して形成された路面部とを有し、前記路面部には、前記ベース部からの高さが一定な平坦面部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
このような本発明の低μ路面用金属製部材では、ベース部を金属材料で構成し、路面部に平坦面部を備えていることで、低いすべり抵抗値を実現しながらも、材料の安定供給と短納期を実現することが可能となる。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記平坦面部には、複数の調整用凹凸が形成されている。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記調整用凹凸は、前記平坦面部からの高さの差が0.1mm以上10mm以下の範囲である。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記調整用凹凸は、幅が0.3mm以上25mm以下の範囲である。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記調整用凹凸は、前記平坦面部の100cm2あたりに1個以上100個以下の密度で設けられている。
【0013】
また、本発明の一態様では、前記路面部の裏面側に、スペーサ部材が配置されている。
【0014】
また、本発明の一態様では、前記路面部の間に給排水用溝が設けられている。
【0015】
また、本発明の一態様では、前記金属材料はステンレスである。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、低いすべり抵抗値を実現しながらも、材料の安定供給と短納期を実現することが可能な低μ路面用金属製部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る低μ路面用金属製部材100の概要を示す模式斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る低μ路面用金属製部材100を示す模式図であり、
図2(a)は模式平面図であり、
図2(b)は模式断面図である。
【
図3】低μ路面用金属製部材100を複数配置したテストコースの概要を示す模式斜視図である。
【
図4】第2実施形態に係る低μ路面用金属製部材110の概要を示す模式斜視図である。
【
図5】第2実施形態に係る低μ路面用金属製部材110を示す模式図であり、
図5(a)は模式平面図であり、
図5(b)は模式断面図である。
【
図6】第2実施形態の変形例を示す模式平面図であり、
図6(a)は変形例1の低μ路面用金属製部材120を示し、
図6(b)は変形例2の低μ路面用金属製部材130を示している。
【
図7】第3実施形態に係る低μ路面用金属製部材100の概要を示す模式断面図であり、
図7(a)はスペーサ部材15を別体で配置した例を示し、
図7(b)はスペーサ部材16を充填した例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る低μ路面用金属製部材100の概要を示す模式斜視図である。
図2は、本実施形態に係る低μ路面用金属製部材100を示す模式図であり、
図2(a)は模式平面図であり、
図2(b)は模式断面図である。
図1、
図2に示すように低μ路面用金属製部材100は、ベース部10と、路面部11と、給排水用溝12を備えている。また路面部11は、平坦面部11aと角部11bを備えている。
【0019】
ベース部10は、金属材料で構成された板状の部分である。ベース部10には一方の面に突出した路面部11が複数形成されている。ベース部10の厚さは限定されないが、一例としては0.5mm以上10mm以下の範囲が挙げられる。0.5mm未満の厚さでは、加工時に変形や破損の可能性が高くなり好ましくない。また、10mmよりも厚いと、加工性が悪化するとともに軽量化が困難になり好ましくない。
図1、
図2では、ベース部10として外形が正方形のものを示しているが、外形は限定されず長方形、三角形、六角形等の多角形状や円形等を用いるとしてもよい。ベース部10のサイズは限定されないが、一例としては200mm×200mmの正方形が挙げられる。ベース部10を構成する金属材料は限定されないが、例えば所定の剛性と耐摩耗性を有して低いμ値を実現する材料としてステンレスを用いることが好ましく、耐食性や加工性の観点からオーステナイト系ステンレスを用いることがより好ましい。ベース部10を構成する金属材料としてステンレスを用いることで、良好な剛性、耐摩耗性、耐食性を実現して適切なμ値を長期間にわたって維持することが可能となる。
【0020】
路面部11は、ベース部10と一体に形成され、ベース部10から表面側に突出して形成された部分である。
図1、
図2に示したように、路面部11は平坦面部11aと角部11bを有している。
図1、
図2では、一つのベース部10内に2行2列で合計4個の路面部11を設けた例を示しているが、ベース部10内における路面部11の個数や配置は限定されない。路面部11のサイズは限定されないが、走行車両の車輪と接触する部分であるため、可能な限り大面積とすることが好ましく、ベース部10を分割した領域内において給排水用溝12の幅を除いた部分を用いることが好ましい。路面部11を形成する方法は限定されないが、一例としては板状の金属材料で構成されたベース部10を切削加工する方法、金型を用いて鋳造する方法等を用いて形成することができる。
【0021】
平坦面部11aは、ベース部10からの高さが一定な面であり、路面部11における上面を構成する。平坦面部11aの高さは限定されないが、一例としては1mm以上20mm以下の範囲が挙げられる。ここで、ベース部10からの高さが一定とは、低μ路面用金属製部材100に外力を加えない状態において、外周を構成しているベース部10の枠を含む平面と、平坦面部11aを構成する面が略平行であることを意味している。略平行とは、意図的にベース部10を含む平面と平坦面部11aを傾斜させていないことを意味しており、設計上または製造上の精度によって制御不能な角度差が生じている場合も略平行に含まれる。平坦面部11aの面積は限定されないが、走行車両の車輪と接触する主たる部分であるため、μ値に与える影響が大きく、平面視において低μ路面用タイル100に占める平坦面部11aの比率は50%以上80%以下であることが好ましい。
【0022】
角部11bは、路面部11において平坦面部11aの周囲に設けられた部分である。角部11bの形状や構造は限定されないが、走行車両の車輪と接触する部分であるため、車輪を傷つけないように面取り加工されていることが好ましく、所定の曲率を有する局面で角部11bを構成することがより好ましい。また、路面部11はベース部10と一体に形成された金属材料からなる部分であるため、切削加工等によって路面部11をベース部10から突出させる際に、加工時に生じる金属材料の曲げ変形をそのまま角部11bとして用いるとしてもよい。
【0023】
給排水用溝12は、路面部11の間に設けられた溝である。給排水用溝12の深さは限定されないが、外周と同様にベース部10を残すとしてもよい。路面部11の間に給排水用溝12が設けられていることで、低μ路面用金属製部材100の上面に散水して低μ値を実現した際に、余剰の水滴が平坦面部11a上に滞留することを防止して、不要な水を速やかに排水することが可能となる。また給排水用溝12は、車両がテストコース上を走行する際に、タイヤが溝内に滞留した水を給排水用溝12から掻き揚げ、平坦面部11a上に給水する効果を奏する。また後述するように、テストコース上には複数の低μ路面用金属製部材100を敷き詰めるため、隣接する低μ路面用金属製部材100間におけるベース部10の領域で給排水用溝12と同様の機能を実現できる。
【0024】
図3は、低μ路面用金属製部材100を複数配置したテストコースの概要を示す模式斜視図である。
図3に示すように、テストコースの路面上に複数の低μ路面用金属製部材100を敷き詰め、低μ路面用金属製部材100上に散水した状態でテスト車両Cを走行させる。これにより、低μ路面用金属製部材100の平均μ値を0.5未満の範囲で調整することが可能となり、良好に低いすべり抵抗値の路面状態を再現して試験走行を行うことができる。
【0025】
また
図3では、テストコースの延伸方向に複数の低μ路面用金属製部材100を列状に連続して敷設し、隣接する列の間では低μ路面用金属製部材100を延伸方向に僅かにずらして配置した例を示しているが、低μ路面用金属製部材100の配置方向は限定されない。
【0026】
低μ路面用金属製部材100を敷設するテストコースの構造は限定されず、低μ路面用金属製部材100の下地としてアスファルト舗装、コンクリート舗装、鋼板等を用いることができる。また、低μ路面用金属製部材100を下地に固定する方法も限定されず、接着剤、セメント系材料、樹脂系材料等を用いた接着や、ネジ止め、釘打ち、ビス止め等の機械的固定方法を用いることができる。さらに、隣接する低μ路面用金属製部材100のベース部10を溶接するとしてもよい。
【0027】
上述したように本実施形態の低μ路面用金属製部材100では、ベース部10を金属材料で構成し、路面部11に平坦面部11aを備えていることで、低いすべり抵抗値を実現しながらも、材料の安定供給と短納期を実現することが可能となる。また、低μ路面用金属製部材100を構成する金属材料としてステンレスを用いることで、良好な剛性、耐摩耗性、耐食性を実現して適切なμ値を長期間にわたって維持することが可能となる。
【0028】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図4、
図5を用いて説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図4は、本実施形態に係る低μ路面用金属製部材110の概要を示す模式斜視図である。
図5は、本実施形態に係る低μ路面用金属製部材110を示す模式図であり、
図5(a)は模式平面図であり、
図5(b)は模式断面図である。
図4、
図5に示すように低μ路面用金属製部材110は、ベース部10と、路面部11と、給排水用溝12を備えている。また路面部11は、平坦面部11aと角部11bを備え、平坦面部11aの表面には複数の調整用凹凸13が形成されている。
【0029】
調整用凹凸13は、平坦面部11aに形成された凹部または凸部である。調整用凹凸13は、平坦面部11aから高さの差が生じる部分であり、平坦面部11aのみで実現されるμ値を増大または減少させ、適切なμ値に調整するために設けられる。
図4、
図5では、調整用凹凸13の形状として平面視が円形で断面が半球状のものを示したが、形状は限定されない。一例としては、円柱形状の角部および底部が所定の曲率とされた形状が挙げられる。
【0030】
図5(b)に示したように、調整用凹凸13の幅をWとし、高さまたは深さをHとし、隣り合う調整用凹凸13の間隔をPとする。調整用凹凸13は凹形状であっても凸形状であってもよいが、平坦面部11aにおけるμ値の調整という観点からは、平坦面部11aから突出した凸部であることが好ましい。また、調整用凹凸13のサイズは限定されないが、高さまたは深さHが0.1mm以上20mm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.3mm以上3mm以下の範囲である。高さまたは深さHが小さすぎるとμ値への影響が小さく調整が困難になり、大きすぎると車輪と平坦面部11aの接触を妨げてしまう。
【0031】
また調整用凹凸13は、幅Wが0.3mm以上25mm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.3mm以上15mm以下の範囲である。幅Wが小さすぎるとμ値への影響が小さく調整が困難になり、大きすぎると平坦面部11aの接触を妨げてしまう。また、隣り合う調整用凹凸13の間隔Pは、5mm以上60mm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは5mm以上30mm以下の範囲である。
【0032】
図4、
図5では、一つの平坦面部11a上に4行4列で16個の調整用凹凸13を設けた例を示しているが、個数や配置は限定されない。調整用凹凸13は、平坦面部11aの100cm
2あたりに1個以上100個以下の密度で設けられていることが好ましく、より好ましくは100cm
2あたりに1個以上50個以下の範囲である。
【0033】
上述したように本実施形態の低μ路面用金属製部材110でも、ベース部10を金属材料で構成し、路面部11に平坦面部11aを備え、平坦面部11aに調整用凹凸13が設けられていることで、低いすべり抵抗値を実現しながらも、材料の安定供給と短納期を実現することが可能となる。また、調整用凹凸13の高さ、幅、ピッチ、個数、密度等を適切に設定することで、所望のμ値(例えば平均μ値が0.5未満の範囲)を容易に実現し、良好に低いすべり抵抗値の路面状態を再現して試験走行を行うことができる。
【0034】
(第2実施形態の変形例)
次に、本発明の第2実施形態の変形例について
図6を用いて説明する。第1実施形態および第2実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図6は、本実施形態の変形例を示す模式平面図であり、
図6(a)は変形例1の低μ路面用金属製部材120を示し、
図6(b)は変形例2の低μ路面用金属製部材130を示している。
【0035】
図6(a)に示した例では、一つの平坦面部11a上に7行7列で49個の調整用凹凸13を設けている。平坦面部11aおよび調整用凹凸13のサイズを第2実施形態の低μ路面用タイル110と同様にしたところ、低μ路面用金属製部材110と低μ路面用金属製部材120とではμ値に差異が生じていた。したがって、調整用凹凸13の高さ、幅、ピッチ、個数、密度等を変更することで、μ値を微調整できることが確認できた。
【0036】
図6(b)に示した例では、調整用凹凸14を凹部で構成し、円弧状の溝を複数形成している。平坦面部11aのサイズを第2実施形態の低μ路面用金属製部材110と同様にしたところ、低μ路面用金属製部材110と低μ路面用金属製部材130とではμ値に差異が生じていた。したがって、調整用凹凸14を凹部で構成してもμ値を調整でき、μ値を小さくする調整も可能であることが確認できた。
【0037】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について
図7を用いて説明する。第1実施形態および第2実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図7は、本実施形態に係る低μ路面用金属製部材100の概要を示す模式断面図であり、
図7(a)はスペーサ部材15を別体で配置した例を示し、
図7(b)はスペーサ部材16を充填した例を示している。
【0038】
スペーサ部材15,16は、路面部11の裏面側に配置された部材である。路面部11の裏面側にスペーサ部材15,16を配置することで、下地である道路と路面部11との間の空隙をスペーサ部材15,16で埋めて、平坦面部11aが車両の重量によって変形することを抑制できる。スペーサ部材15,16を構成する材料は限定されないが、一例としては金属材料、セメント系材料、樹脂系材料、砂、粘土等が挙げられる。また、テストコース上を走行する車両の重量が軽く、低μ路面用金属製部材100の変形が生じない場合にはスペーサ部材15,16を省略するとしてもよい。
【0039】
スペーサ部材15は、低μ路面用金属製部材100とは別体に予め成形しておき、低μ路面用金属製部材100を下地に敷設する際に、路面部11の裏面側に配置することができる。スペーサ部材15の厚さは、平坦面部11aの裏側と下地との高さと同じであることが好ましい。
図7(a)では、スペーサ部材15を平坦な板形状に形成した例を示しているが、スペーサ部材15の形状は限定されず、車両の重量による平坦面部11aの変形を抑制できるものであれば複数の柱状部分で平坦面部11aを支える構造や、ハニカム構造、多孔質状等の形状を用いることができる。
【0040】
スペーサ部材16は、流動性のある物質を路面部11の裏面側に充填して硬化させることで形成することができる。スペーサ部材16の厚さは、平坦面部11aの裏側と下地との高さ以上であることが好ましい。
図7(b)に示した例では、スペーサ部材16をベース部10の裏面に至るまで充填した例を示しているが、ベース部10と面一となる位置まで充填するとしてもよい。また、低μ路面用金属製部材100の出荷前にスペーサ部材16を形成するとしてもよく、施工現場においてスペーサ部材16の充填および硬化を行うとしてもよい。
【0041】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0042】
100,110,120,130…低μ路面用金属製部材
10…ベース部
11…路面部
11a…平坦面部
11b…角部
12…給排水用溝
13,14…調整用凹凸
15,16…スペーサ部材